説明

区画線認識装置、区画線認識方法、プログラム及び媒体

【課題】より適切な警報を行ってドライバに自車両を自車線の中央を維持する走行を適切に促すことができる区画線認識装置を提供すること。
【解決手段】本発明による区画線認識装置1は、車両の前方の路面を含んで撮像する撮像手段2と、撮像手段2の出力する画像情報から路面内のエッジ点を抽出するエッジ点抽出手段3aと、エッジ点から区画線に相当する可能性を有する線分群を抽出する線分抽出手段3bと、線分群から区画線に相当する線分を検出する検出手段3cと、を含み、検出手段3cによる検出が所定未検出回数N以上なされない場合に、所定再検出回数M以上連続して、検出手段3cによる検出がされた場合に、検出を確定する確定手段3dを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両において、自車両が走行車線の中央付近を維持して走行することを支援する車線維持支援制御を行い、自車両の乗員の安全と他車両の安全を確保することができる運転支援装置に主に用いられる、区画線認識装置、区画線認識方法、プログラム及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の左右の位置を自車線内における中央付近に維持しながら自車両を安全かつ安定的に走行させることを促す運転支援装置に用いられる区画線認識装置としては、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
このような区画線認識装置においては、自車両の例えばウインドシールド近傍のルーフ下面又はフロントパネル上に自車両前方に光軸が指向されるカメラ等の撮像手段を設置して、この撮像手段の撮像した自車両の前方の画像を二値化処理、微分処理、フィルタ処理等の処理を施して、自車両の位置する自車線の両側の区画線を検出し認識することが行われる。
【0004】
この検出された両側の区画線の中央に対して自車両がある程度逸脱する可能性があると判断される場合には、運転支援装置においてスピーカによる音声やステアリングホイールを振動させること等による警報又は、自車両の操舵装置により自車両が逸脱する方向とは逆方向に指向させるように転舵力つまりは警報トルクを発生して警報することが行われている。
【0005】
この警報に基づいて、自車両のドライバは自車両が自車線内の中央から逸脱していることを認知して、自車両を自車線内の中央に沿って走行するように適宜操舵操作を行うことができる。あるいは、警報に伴わせて、操舵自体を制御する運転支援を行うこともできる。一般に前者はLDW(Lane Departure Warning)、後者はLKA(Lane Keep Assist)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−179386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような特許文献1に記載されている区画線認識装置においては、区画線のエッジの抽出が連続して成功する回数によって認識の妥当性を判断しているものの、一旦未検出となった後の再度の検出つまり再検出については特には考慮、言及がなされていない。
【0008】
ここで、一旦未認識となった後未認識側の区画線を一フレームでも検出した場合に、その検出された区画線を確定すると、その一フレームの検出が誤検出であった場合には、誤検出による出力精度の低下と、精度低下に伴う不適切な警報を招くこととなる。特に、画像内において区画線に近い特性を示す路面ノイズやタール痕、タイヤ痕等による誤検出に対応することが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、一旦未検出となった側の区画線をより適切に再検出することができる区画線認識装置、区画線認識方法、プログラム及び媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するため、本発明による区画線認識装置は、
車両の前方の路面を含んで撮像する撮像手段と、
当該撮像手段の出力する画像情報から前記路面内のエッジ点を抽出するエッジ点抽出手段と、
前記エッジ点から前記区画線に相当する可能性を有する線分群を抽出する線分抽出手段と、
当該線分群から前記区画線に相当する線分を検出する検出手段と、を含み、
前記検出手段による検出が所定未検出回数以上なされない場合に、所定再検出回数以上連続して、前記検出手段による検出がされた場合に、当該検出を確定する確定手段を含むことを特徴とする。
【0011】
前記区画線認識装置において、
前記検出手段は前記線分群を構成する線分候補が所定条件を満たす場合に前記線分として検出することとしてもよい。
【0012】
上記の問題を解決するため、本発明による区画線認識方法は、
車両の前方の路面を含んで撮像する撮像ステップと、
当該撮像ステップにおいて出力される画像情報から前記路面内のエッジ点を抽出するエッジ点抽出ステップと、
前記エッジ点から前記区画線に相当する可能性を有する線分群を抽出する線分抽出ステップと、
当該線分群から前記区画線に相当する線分を検出する検出ステップと、を含み、
前記検出ステップにおける検出が所定未検出回数以上なされない場合に、所定再検出回数以上連続して、前記検出ステップにおける検出がされた場合に、当該検出を確定する確定ステップを含むことを特徴とする。
【0013】
なお、本発明によるプログラムは、前記区画線認識方法を実行するプログラムであり、本発明による媒体は、前記プログラムを格納した媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一旦未検出となった側の区画線をより再検出するにあたり、誤検出の発生を極力防止してより適切に再検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御内容が適用される路面の具体的態様を示す模式図である。
【図3】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御に用いられる所定未検出回数Nの概念を示す模式図である。
【図4】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御に用いられる所定再検出回数Mの概念を示す模式図である。
【図5】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御内容における状態遷移態様を示す模式図である。
【図7】本発明に係る実施例の区画線認識装置1の一実施形態の制御内容の各ステップと状態遷移の相関態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0017】
図1に示すように、本実施例の区画線認識装置1は、前方認識カメラ2と、LDWECU3(Electronic Control Unit)と、ブザー4を備えて構成される。
【0018】
前方認識カメラ2(撮像手段)は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば自車両室内のウインドシールド中央上部に、前方に光軸が合致するように配設され、自車両の前方の路面を車線の両側を含む範囲にて撮像して、撮像した画像情報をLDWECU3に出力するものである。
【0019】
LDWECU3は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものであり、以下に述べる処理を行うエッジ点抽出手段3aと、線分抽出手段3bと、検出手段3cと、確定手段3dと、警報手段3e、状態判定手段3f、状態遷移手段3gを構成するものである。
【0020】
LDWECU3のエッジ点抽出手段3aは、画像情報を前方認識カメラ2から取得して、前方認識カメラ2により撮像された画像情報内に位置する路面の車線内のエッジ点を二値化処理、微分処理等により抽出する。線分抽出手段3bは、エッジ点の群に対してハフ変換を行い路面の白線(区画線)に相当する可能性を有する線分群を抽出する。検出手段3cは、線分群を構成する線分候補が所定条件を満たす場合に、白線に相当する線分として検出する。なお、所定条件とは、例えば車両が通行している道路幅だけ左右方向に離隔した、二対の線分が、相互に白線相当の幅寸法を有している等の条件を指す。
【0021】
LDWECU3の確定手段3dは、検出された白線に相当する線分の検出位置から、カルマンフィルタにより道路パラメータ(道路形状:レーン幅、半径R、ヨー角、ピッチ角)を推定し、確定する。カルマンフィルタとは、時間変化に依存する法則を活用して、目標物の位置を現在、未来、過去に推定する機能一般を指すが、詳細な説明は割愛する。
【0022】
このように検出された白線に相当する線分と推定された道路パラメータから、LDWECU3の警報手段3eは、路面の左方、右方、又は双方の白線を認識して、白線が左右双方存在する場合には、それらからのオフセット距離W1、W2を算出し、一方しか存在しない場合には左方又は右方の白線とのオフセット距離W3を算出する。
【0023】
また、LDWECU3の確定手段3dは、検出手段3cによる白線の検出が所定未検出回数N以上なされない場合に、所定再検出回数M以上連続して、再度白線が検出された場合においてのみ、再度の白線の検出について確定する処理を行う。さらに、LDWECU3の警報手段3eは、オフセット距離W1〜W2のいずれか又はオフセット距離W3が閾値Wth未満となって、警報条件が成立した場合にはドライバに対して警報を出力するように、ブザー4を鳴動する。
【0024】
本実施例において、所定未検出回数N以上連続して白線が未検出である場合に、再度の検出については、所定再検出回数M以上連続して検出されない限りは、カルマンフィルタに入力し確定する処理を行わないこととする意義について述べる。一般にLDW、LKAともに、車両が高速道路や自動車専用道路を走行するケースを想定しているが、本実施例では一般道において凹凸、タール痕、タイヤ痕等のノイズ対象が存在する場合に、適用することを想定している。
【0025】
例えば、図2に示すような片側二車線以上の一般道の形態を考慮する。図2に示すように、車両が左側の車線を走行している場合には、車両の左方に実線の白線が位置し、右方に破線の白線が位置する。このとき、破線の実線の車両の進行方向における長さをL1(m)、破線の実線の間隔をL2とし、路面上のノイズ対象の長さをL3とする。なお、ノイズ対象は白線に対して形態の相似する、例えば平行な直線により囲繞される細長い長方形状または平行四辺形状、あるいは進行方向に細長い楕円形状のものを想定している。
【0026】
ここで、一般に画像情報からエッジ点を抽出するにあたっては、画像情報の全領域についてラインスキャンするのではなく、車両のボンネットと夜間照明範囲を考慮し、処理負荷の軽減を目的として、進行方向に対して有効距離L4の範囲をラインスキャンしている。また車速をV(m/s)、1秒間の画像取得数(フレーム数)をA枚/sとしている。
【0027】
所定未検出回数Nについては、基本的には破線周期(破線間隔の通過時間)に基づき設定する。図3左図において有効距離L4の範囲の下限が、下側の破線に接している時間から、t1秒経過し、車両が速度Vで上側に移動して、上側の破線が有効距離L4の範囲の上限に接するものとする。
【0028】
この場合、破線の間隔を通過するための時間t1はt1=(L2−L4)/Vで表され、破線の間隔による未検出は一回で再検出させる必要があるため、所定未検出回数の下限値はN≧A×t1を満たす必要がある。なお、エッジ点抽出手段3aの抽出に必要な画像情報中の情報量の確保を考慮した場合には、図3左図、右図ともに進行方向における重複量を斟酌して、L2−L4の値を小さめとし、上述の図2中のノイズ対象とは異なる例えば路面反射光等の離散的かつ全般的な分布を示すノイズ源の存在等を考慮すると、下限値を大きい側に底上げする適宜の補正を行う。
【0029】
所定再検出回数Mについても、基本的にはノイズ対象の画像情報上の継続時間に基づき設定する。図4左図において有効距離L4の範囲の上限が、ノイズ対象の上側に接している時間から、t2秒経過し、車両が速度Vで上側に移動して、ノイズ対象の下側が有効距離L4の範囲の下限に接するものとする。なお、所定未検出回数Nに対して所定再検出回数Mは大きく設定する。
【0030】
この場合、検出対象から排除したいノイズ対象が有効距離L4の範囲を通過するための通過時間t2はt2=(L4−L3)/Vで表され、ノイズ対象の検出による再検出を排除する必要があるため、所定未検出回数の下限値はM≧A×t2を満たす必要がある。なおここでも、エッジ点抽出手段3aの抽出に必要な画像情報中の情報量の確保を考慮した場合には、L4−L3の値は小さめとし、上述の図2、図4中のノイズ対象とは異なる離散的な分布を示すノイズ源の存在等を考慮して、この下限値を大きい側に底上げする適宜の補正を行う。
【0031】
すなわち、本実施例においては、所定未検出回数Nと所定再検出回数Mをそれぞれ別個に定義して、前者においては、一般道における破線の間隔による未検出を防止して、後者においてはノイズ対象による一旦未検出となった後の再検出時の誤検出を防止することとしている。
【0032】
以下、本実施例1の区画線認識装置1の制御内容を、図5に示すフローチャートと図6に示す状態遷移図を用いて説明する。
【0033】
図4のステップS1において、LDWECU3の図1に示す状態判定手段3fは、検出手段3cが左右に位置することが想定される白線のうち一方又は他方を二回以上連続して検出したか否かを判定する。
【0034】
ステップS1において、肯定と判定される場合には、LDWECU3の図1に示す状態遷移手段3gは、検出過渡状態フラグをオンとし、認識ステータスを図6に示す未検出状態C0から検出過渡状態C1に移行させる。
【0035】
ステップS3において、LDWECU3の状態判定手段3fは、確定された道路パラメータが予め格納されたパラメータに対して乖離しており異常であるか否か、又は、白線の双方が未検出であるか否かを判定し、肯定であればステップS29にすすみ状態遷移手段3gが検出過渡状態フラグをオフとし、図6に示す検出過渡状態C1から未検出状態C0に移行させ、否定であればステップS4にすすむ。
【0036】
ステップS4において、LDWECU3の状態判定手段3fは、一方を10回連続で検出したか否かを判定し、肯定であればステップS5にすすみ、検出過渡状態フラグをオフとし、状態遷移手段3gは、一方が右であれば図6に示す右検出状態C2に、一方が左であれば図6に示す左検出状態C6に移行させ、否定であれば、ステップS4の手前に戻る。
【0037】
ステップS6において、LDWECU3の状態判定手段3fは、双方を10回連続で検出したか否かを判定し、肯定であればステップS7にすすみ、状態遷移手段3gは、両側検出成功状態フラグをオンとし、図6に示す両検出成功状態C5に移行させ、否定であれば、ステップS19にすすむ。
【0038】
ステップS8において、LDWECU3の状態判定手段3fは、確定された道路パラメータが予め格納されたパラメータに対して乖離しており異常であるか否か、又は、白線の双方の未検出が10回連続であるか否かを判定し、状態遷移手段3gは、肯定であればステップS9にすすみ両検出成功状態フラグをオフとし、図6に示す両検出成功状態C5から未検出状態C0に移行させ、否定であればステップS10にすすむ。
【0039】
ステップS10において、LDWECU3の状態判定手段3fは、ステップS4の一方に対する他方が未検出であるか否かを判定し、状態遷移手段3gは、肯定であればステップS11にすすみ両検出成功状態フラグをオフとし、さらに、ステップS12にすすみ、他方瞬時ロスト状態フラグをオンとし、図6に示す両検出成功状態C5から左瞬時ロスト状態C4(右検出中)へ、又は、両検出成功状態C5から右瞬時ロスト状態C8(左検出中)へ移行させ、否定であればステップS10の手前に戻る。
【0040】
ステップS13において、LDWECU3の状態判定手段3fは、他方未検出が10回連続であるか否かを判定し、肯定であればステップS17にすすみ、状態遷移手段3gは、他方瞬時ロストフラグをオフとし、図6中の左瞬時ロスト状態C4(右検出中)であれば右検出成功状態C2に移行させ、右瞬時ロスト状態C8(左検出中)であれば、左検出成功状態C6へ移行させ、否定であれば、ステップS14にすすむ。
【0041】
ステップS14において、LDWECU3の状態判定手段3fは、ステップS13における未検出回数が所定未検出回数N以上であるか否かを判定し、肯定であればステップS15にすすみ、否定であればステップS18にすすむ。
【0042】
ステップS15において、状態判定手段3fは、他方の再検出が所定再検出回数M以上連続しているか否かを判定し、肯定であればステップS16にすすみ、否定であればステップS13の手前に戻る。
【0043】
ステップS18において、状態判定手段3fは、他方の再検出が一回連続しているか否かを判定し、肯定であればステップS16にすすみ、否定であればステップS13の手前に戻る。
【0044】
ステップS16において、LDWECU3の状態遷移手段3gは、他方瞬時ロスト状態フラグをオフとし、ステップS7にすすみ、両側検出成功状態フラグをオンとし、図6に示す両検出成功状態C5に移行させる。この後、ステップS7の手前のBに戻る。
【0045】
ステップS6における否定判定後、又は、ステップS17の処理後においては、ステップS19が実行され、状態遷移手段3gにより一方検出成功フラグがオンとされ、図6に示す右検出成功状態C2又は左検出成功状態C6に移行される。
【0046】
ステップS20において、LDWECU3の状態判定手段3fは、ステップS19の一方が未検出であるか否かを判定し、状態遷移手段3gは、肯定であればステップS21にすすみ一方検出成功状態フラグをオフとし、さらに、ステップS22にすすみ、一方瞬時ロスト状態フラグをオンとし、図6に示す右検出成功状態C2から右瞬時ロスト状態C3へ、又は、左検出成功状態C6から右瞬時ロスト状態C7へ移行させ、否定であればステップS20の手前に戻る。
【0047】
ステップS23において、LDWECU3の状態判定手段3fは、一方未検出が10回連続であるか否かを判定し、肯定であればステップS27にすすみ、状態遷移手段3gは、一方検出成功状態フラグをオフとし、図6中の右瞬時ロスト状態C3、又は、左瞬時ロスト状態C7から、未検出状態C0に移行させ、否定であれば、ステップS24にすすむ。
【0048】
ステップS24において、LDWECU3の状態判定手段3fは、ステップS13における未検出回数が所定未検出回数N以上であるか否かを判定し、肯定であればステップS15にすすみ、否定であればステップS18にすすむ。
【0049】
ステップS25において、状態判定手段3fは、一方の再検出が所定再検出回数M以上連続しているか否かを判定し、肯定であればステップS26にすすみ、否定であればステップS23の手前に戻る。
【0050】
ステップS28において、状態判定手段3fは、一方の再検出が一回連続しているか否かを判定し、肯定であればステップS26にすすみ、否定であればステップS23の手前に戻る。
【0051】
ステップS26において、LDWECU3の状態遷移手段3gは、一方瞬時ロスト状態フラグをオフとし、図6に示す右瞬時ロスト状態C3から右検出成功状態C2へ、又は、左瞬時ロスト状態C7から左検出成功状態C6へ移行させる。この後、ステップS6の手前のAに戻る。
【0052】
すなわち、ステップS10からステップS16が図6の両検出成功状態C5と、左瞬時ロスト状態C4(右検出中)又は右瞬時ロスト状態C8(左検出中)との遷移を制御し、ステップS19からステップS26が図6の右検出成功状態C2と右瞬時ロスト状態C3、左検出成功状態C6と左瞬時ロスト状態C7との遷移を制御する。なお、図5のフローチャートのステップ番号と図6の状態遷移の相関については図7に示す。
【0053】
以上述べた制御内容により本発明の区画線認識方法が実行される。これらのことよって実現される本実施例の区画線認識装置1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0054】
すなわち、所定未検出回数Nと所定再検出回数Mをそれぞれ別個に定義して、前者については破線間隔通過時間t1と画像取得数Aに基づいて決定することにより、一般道における破線の間隔による未検出を防止することができる。また、後者については、ノイズ対象通過時間t2と画像取得数Aに基づいて決定しており、ノイズ対象による一旦未検出となった後の再検出時の誤検出を防止することとしている。
【0055】
これらのことにより、LDWの適用対象を一般道に拡張した場合においても、特には破線の白線の検出精度を高め、一般道においてより発生頻度の高いノイズ対象に対しても、ノイズ対象に起因する誤検出の発生を防止して、これによっても検出精度を高めることができる。
【0056】
特に処理負荷の軽減を目的として、上述した有効距離L4の範囲について、さらに、幅方向の範囲に制限を設ける場合に以下のメリットを有する。すなわち、既に検出された白線を中心とする車両幅よりも狭い領域にスキャン範囲を絞り、白線が未検出とされていない側についてはスキャン範囲を絞らない場合においては、未検出から再検出に至るプロセスで、ノイズ対象を拾って誤検出するおそれが高いが、本実施例によれば、このような誤検出をも効果的に防止することができる。
【0057】
このように検出精度を高めることにより、カルマンフィルタに入力する前の所謂観測雑音に該当する外乱成分を抑制し、道路パラメータの出力精度を高めることができる。ひいては、LDW自体の警報の信頼性を高めることができる。
【0058】
また、図5のステップS14又はステップS24において未検出回数が所定未検出回数N以上でない場合には、再検出については一回の検出で確定することとしている。これにより、破線の白線の一つが単に消耗によりかすれている場合の再検出をより円滑に行うことができる。
【0059】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0060】
さらに、上述した実施例においては、エッジ点抽出手段3aと、線分抽出手段3bと、検出手段3cと、確定手段3dと、警報手段3e、確定手段3f、状態判定手段3g、状態遷移手段3hを構成するにあたってLDWECU3を用いたが、これをLKAECUに置換することも可能である。この場合には警報に加えて、支援制御の信頼性を高めることができる。
【0061】
また、上述した実施例においては、実際に適用が想定される路面について左側が実線の白線であり、右側が破線の白線である場合を示しているが、例えばセンターラインのない路面で、左側のみに実線の白線が不連続に存在する場合においても、図6に示す左検出成功状態C6と左瞬時ロスト状態C7に示される状態遷移に基づき、正確な再検出を行うことができる。
【0062】
このことは海外の右側通行の路面においても同様であり、例えばセンターラインのない路面で、右側のみに実線の白線が不連続に存在する場合においても、図6に示す右検出成功状態C2と右瞬時ロスト状態C3に示される状態遷移に基づいて、正確な再検出を行うことができる。
【0063】
さらに、国内外問わずに、一方通行の路面において、両側に白線が存在するものの、一方又は他方が不連続に存在する場合においても、図6に示す両検出成功状態C5、左瞬時ロスト状態C4、右瞬時ロスト状態C8の状態遷移に基づいて、正確な再検出行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、区画線認識装置に関するものであり、ノイズ対象による特には再検出時の誤検出を防止して、不適切な警報を排除して、より適切な警報を行うことに伴って適切にドライバに自車両を自車線の中央を維持する走行を促すことができる。すなわち、より安全性を高めることができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【符号の説明】
【0065】
1 区画線認識装置
2 前方認識カメラ(撮像手段)
3 LDWECU
3a エッジ点抽出手段
3b 線分抽出手段
3c 検出手段
3d 確定手段
3e 警報手段
3f 状態判定手段
3g 状態遷移手段
4 ブザー
C0 未検出状態
C1 検出過渡状態
C2 右検出成功状態
C3 右瞬時ロスト状態
C4 左瞬時ロスト状態(右検出中)
C5 両検出成功状態
C6 左検出成功状態
C7 左瞬時ロスト状態
C8 右瞬時ロスト状態(左検出中)
N 所定未検出回数
M 所定再検出回数
L1 破線長
L2 破線間隔
L3 ノイズ対象長
L4 有効距離
V 車両の速度
A 1秒間の画像取得数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の路面を含んで撮像する撮像手段と、当該撮像手段の出力する画像情報から前記路面内のエッジ点を抽出するエッジ点抽出手段と、前記エッジ点から前記区画線に相当する可能性を有する線分群を抽出する線分抽出手段と、当該線分群から前記区画線に相当する線分を検出する検出手段と、を含み、前記検出手段による検出が所定未検出回数以上なされない場合に、所定再検出回数以上連続して、前記検出手段による検出がされた場合に、当該検出を確定する確定手段を含むことを特徴とする区画線認識装置。
【請求項2】
前記検出手段は前記線分群を構成する線分候補が所定条件を満たす場合に前記線分として検出することを特徴とする請求項1に記載の区画線認識装置。
【請求項3】
車両の前方の路面を含んで撮像する撮像ステップと、当該撮像ステップにおいて出力される画像情報から前記路面内のエッジ点を抽出するエッジ点抽出ステップと、前記エッジ点から前記区画線に相当する可能性を有する線分群を抽出する線分抽出ステップと、当該線分群から前記区画線に相当する線分を検出する検出ステップと、を含み、前記検出ステップにおける検出が所定未検出回数以上なされない場合に、所定再検出回数以上連続して、前記検出ステップにおける検出がされた場合に、当該検出を確定する確定ステップを含むことを特徴とする区画線認識方法。
【請求項4】
請求項3に記載の区画線認識方法を実行するプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを格納した媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3634(P2013−3634A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131012(P2011−131012)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】