説明

医用画像システム、クライアント端末及びプログラム

【課題】医師による診療録データの再参照の際、過去の参照時における画像処理が施された医用画像データを表示する医用画像システムを提供する。
【解決手段】画像処理済み医用画像データd1を画像ビューワ画面431から電子カルテ画面432にドラッグ&ドロップするとき、これらの画面を表示しているクライアント端末は、当該画像処理済み医用画像データd1に施されている画像処理条件を示した画像処理条件ファイルを生成し、電子カルテサーバに保存する。また、その後、電子カルテ画面432に表示されている前記汎用画像データd2をダブルクリックすると、クライアント端末は、前記画像処理条件ファイルと、PACSから取得する画像処理の施されていない医用画像データに基づき、前記ドラッグ&ドロップを行った当時の画像処理済み医用画像データを生成し、画像ビューワ画面431に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像システム、クライアント端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の分野では、患者を撮影した医用画像のデジタル化が実現されている。例えば、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像生成装置(モダリティ)により撮影され、デジタル化された医用画像(医用画像データ)は、患者情報や検査情報等とともにPACS(Picture Archiving and Communication System)に保存され、管理されている。これに伴い、フィルムに出力された医用画像からモニタ(画像ビューワ画面)に表示された医用画像データへと、医師による画像診断の対象が移行してきている。
【0003】
また、同様に、医師の患者診察による診療録のデジタル化が実現されている。例えば、クライアント端末で作成されたデジタル化された診療録(診療録データ)は、電子カルテサーバに保存され、管理されている。これに伴い、紙のカルテから電子カルテへと移行してきている。
【0004】
これらのデジタル化によって、医療の現場では、例えば、次のような作業、操作が行われている。まず、医師は画像ビューワ画面に表示された医用画像データを観察(画像診断、読影)する。そして、医師は、当該画像ビューワ画面に表示された医用画像データに対して階調処理やアノテーションデータの付加等の画像処理を行う。そして、医師は、画像ビューワ画面に表示された画像処理済み医用画像データに対して、ドラッグ&ドロップを行い、電子カルテ画面上に貼り付ける。このとき、画像処理済み医用画像データは、低い解像度の小容量の汎用画像データ(例えば、JPEG)に変換され、電子カルテ画面上に貼り付けられる。そして、医師は、画像ビューワ画面に表示された医用画像データを参照しながら患者を診察して、電子カルテ画面上で診療録データを作成する。そして、医師は、電子カルテ画面上の貼り付けられた汎用画像データと共に、診療録データを電子カルテサーバに保存させる。
【0005】
また、医師は、患者診断において患者の病状の経過等を知る為に、電子カルテ画面上で、電子カルテサーバに保存されている過去の診療録データと当該診療録データに対応する汎用画像データを参照することがある。このとき、医師が、当該汎用画像データに対応する、過去に参照した画像処理済み医用画像データを画像ビューワ画面にて参照したい場合がある。この場合、医師は、電子カルテ画面に表示されている汎用画像データに対して、ドラッグ&ドロップやダブルクリックを行い、該当する画像処理済み医用画像データをPACSから読み出し、画像ビューワ画面に表示させる。
【0006】
これらの作業、操作を実現するために、例えば、2つの表示画面(例えば、電子カルテビューワ画面と電子カルテ画面)全体を1つの仮想表示画面とみなし、ドラッグ&ドロップにより、表示画面の一方に表示されている画像を他方の表示画面の表示させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−261038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、電子カルテ画面上に表示されている過去の汎用画像データに対応する医用画像データ(画像処理済み医用画像データ)を画像ビューワ画面に表示させる場合、PACSに保存されている医用画像データに画像処理が更に施されており、過去に参照したときの画像処理と異なった画像処理が施された医用画像データが表示される可能性がある。具体的には次のような場合である。即ち、医師が、2008年1月10日に、画像ビューワ画面に表示された画像処理済み医用画像データを参照し、診療録データを作成する。そして、2008年1月21日に、医師が、この画像処理済み医用画像データに更に画像処理を施し、PACSに上書き保存させる。そして、2008年2月12日に、医師が、2008年1月10日当時に作成した診療録データ(過去の診療録データに該当)を参照する。
【0008】
このとき、医師は、当該過去(2008年1月10日当時)の診療録データと共に、過去(2008年1月10日当時)に参照した画像処理済み医用画像データの閲覧を望む。しかし、PACSには、2008年1月21日に画像処理が施された医用画像データが上書きされてしまっている。このため、画像ビューワには、2008年1月10日当時に参照した画像処理済み医用画像データではなく、2008年1月21日に更新された画像処理済み医用画像データが表示されてしまう。このような状況は、医師にとって不便なものであった。
【0009】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、医師による診療録データの再参照の際、過去の参照時における画像処理が施された医用画像データを表示する医用画像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
医用画像データを記憶管理する画像サーバと、診療録データを記憶管理する電子カルテサーバと、クライアント端末とが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された医用画像システムであって、
前記電子カルテサーバは、
前記医用画像データに施された画像処理情報を記憶する記憶手段、
を備え、
前記クライアント端末は、
前記画像サーバから取得した医用画像データを表示する第1表示手段と、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、前記電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段と、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記記憶手段から取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像処理情報は医用画像データに関するアノテーションデータ、階調処理情報及び/又は拡大縮小処理情報を含む。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記表示制御手段は、
前記選択された汎用画像データに関する画像情報に基づいて、当該汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバに記憶されている医用画像データの中から特定する。
【0013】
請求項4に記載のクライアント端末は、
画像サーバに記憶管理されている医用画像データを表示する第1表示手段と、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段と、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記電子カルテサーバに記憶させる記憶制御手段と、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記電子カルテサーバから取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備える。
【0014】
請求項5に記載のプログラムは、
コンピュータを、
画像サーバに記憶管理されている医用画像データを表示する第1表示手段、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記電子カルテサーバに記憶させる記憶制御手段、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記電子カルテサーバから取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2、4、5に記載の発明によれば、クライアント端末の表示制御手段は、ユーザ操作に従って第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを画像サーバから取得する。そして、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を電子カルテサーバから取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して第1表示手段に表示させる。そのため、医師による診療録データの再参照の際、過去の参照時における画像処理が施された医用画像データを表示する医用画像システムを提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、クライアント端末の表示制御手段は、前記選択された汎用画像データに関する画像情報に基づいて、当該汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバに記憶されている医用画像データの中から特定する。そのため、医師等のユーザは直感的に、該当する医用画像データを前記第1表示手段に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る医用画像システムの一実施形態について説明する。
【0018】
[医用画像システムのシステム構成]
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)10と、モダリティ20と、PACS(Picture Archiving and Communication System:画像保管管理システム)30と、クライアント端末40と、電子カルテサーバ50と、NAS(Network Attached Storage)60とから構成されており、各装置は通信ネットワークNを介して、データ通信可能に接続されている。
【0019】
RIS10は、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、電子カルテサーバ50から受信した撮影オーダ情報をモダリティ20及びPACS30に送信する。
【0020】
モダリティ20は、RIS10から受信した撮影オーダ情報に従って、患者を撮影し、医用画像の画像データ(以下、医用画像データという。)を生成する撮影装置である。また、モダリティ20は、前記撮影オーダ情報に基づいて、前記医用画像データに関する画像付帯情報を生成する。そして、モダリティ20は、医用画像データに画像付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOM画像データを生成し、PACS30に送信する。モダリティ20としては、CR装置、CT装置、MRI装置等、様々な種類の医用画像を撮影する撮影装置が適用可能である。
【0021】
画像付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報を含む。ここで、患者情報は患者に関する情報である。検査情報は検査(撮影)に関する情報である。シリーズ情報は、一つの検査の中で生成される撮影装置毎の一連の医用画像データの単位(シリーズ)に関する情報である。画像情報は、医用画像データに関する情報である。
【0022】
PACS30は、DICOM画像データ等を保存し管理する(記憶管理する)画像サーバである。また、PACS30は、クライアント端末40において作成された当該DICOM画像データに関する画像処理情報を保存し管理する。具体的に、画像処理情報とは、医用画像データに関するアノテーションデータ、階調処理情報、拡大縮小処理情報等である。ここで、拡大縮小処理情報とは、ユーザが見やすい大きさになるように画像を拡大縮小する処理の際に参照される情報である。画像処理情報は画像情報を含み、DICOM画像データと画像処理情報とは、当該画像情報によって対応付けられて管理される。PACS30は、他装置から受信するデータ取得要求に応じて、DICOM画像データや画像処理情報等を送信する。
【0023】
電子カルテサーバ50は、診療録データを記憶管理する診療録データ管理機能を有し、患者の病状や診断結果等を保存する。電子カルテサーバ50は、クライアント端末40において作成された診療録データを保存する。また、電子カルテサーバ50は、クライアント端末40において表示された汎用画像データ(DICOM画像データをJPEG等に変換したデータ)を保存する。診療録データは患者情報、検査情報、シリーズ情報、及び画像情報を含む。また、汎用画像データには画像情報が付帯される。診療録データと汎用画像データとは、当該画像情報によって対応付けられる。また、電子カルテサーバ50は、クライアント端末40等からの指示信号に基づいて、患者の撮影を依頼するための撮影オーダ情報を生成し、RIS10に送信する。
【0024】
クライアント端末40は、DICOM画像データの表示等を行う画像ビューワ機能、診療録データの作成等を行う診療録データ作成機能を有する装置である。
【0025】
このクライアント端末40の画像ビューワ機能は、医師による読影作業、撮影技師による検像作業の際に使用される。具体的には、クライアント端末40は、PACS30からDICOM画像データを取得して、当該DICOM画像データに基づき、医用画像データ等を表示する。そして、クライアント端末40は、ユーザ操作に基づき、当該医用画像データに関するアノテーションデータ、階調処理情報及び/又は拡大縮小処理情報等の画像処理情報を作成する。そして、クライアント端末40は、作成した画像処理情報をPACS30に送信する。
【0026】
また、クライアント端末40の診療録データ作成機能は、医師による患者診断の際に使用される。具体的には、クライアント端末40は、電子カルテサーバ50から診療録データや汎用画像データ等の電子カルテ関連データを取得する。そして、クライアント端末40は、取得した電子カルテ関連データに基づき、診療録データや汎用画像データ等を表示する。そして、クライアント端末40は、ユーザ操作に基づき、診療録データ等を作成(更新も含む)する。そして、クライアント端末40は、作成した診療録データを電子カルテサーバ50に送信する。また、新たに表示された汎用画像データがある場合は、当該汎用画像データも電子カルテサーバ50に送信する。
【0027】
NAS60は、ファイル共有サービス等を提供するストレージ機器である。通信ネットワークNに接続された各装置は、NAS60に各種ファイルを保存することができる。また、通信ネットワークNに接続された各装置は、NAS60に保存されたファイルを取得することができる。
【0028】
[クライアント端末の機能的構成]
図2に、クライアント端末40の機能的構成を示す。図2に示すように、クライアント端末40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45を備えて構成され、各部はバス46により接続されている。
【0029】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)411等から構成され、クライアント端末40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、記憶部45に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM411内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0030】
操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0031】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0032】
通信部44は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたPACS30、電子カルテサーバ50、NAS60等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0033】
記憶部45は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。記憶部45は、制御プログラムとして、例えば、画像ビューワプログラム451や電子カルテプログラム452を記憶している。
【0034】
ここで、画像ビューワプログラム451とは、PACS30から取得するDICOM画像データを閲覧するためのプログラムである。つまり、制御部41と当該画像ビューワプログラム451との協働により、クライアント端末40の画像ビューワ機能を実現する。また、電子カルテプログラム452とは、診療録データを作成するためのプログラムである。つまり、制御部41と電子カルテプログラム452との協働により、クライアント端末40の診療録データ作成機能を実現する。
【0035】
図3に、制御部41が画像ビューワプログラム451と電子カルテプログラム452を読み出した場合の、RAM411上のメモリイメージを示す。尚、制御部41は、操作部42からの操作信号に基づき、これらのプログラムを読み出す。
【0036】
図3に示すように、RAM411上では、画像ビューワプログラム451が展開されて画像ビューワプロセスP1が立ち上がる。また、電子カルテプログラム452が展開されて電子カルテプロセスP2が立ち上がる。また、画像ビューワプロセス用データ格納領域P11、電子カルテプロセス用データ格納領域P12が確保される。
【0037】
[電子カルテサーバの機能的構成]
図4に、電子カルテサーバ50の機能的構成を示す。図4に示すように、電子カルテサーバ50は、制御部51、操作部52、表示部53、通信部54、記憶部55を備えて構成され、各部はバス56により接続されている。
【0038】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、電子カルテサーバ50の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部52から入力される操作信号又は通信部54により受信される指示信号に応じて、記憶部55に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0039】
操作部52は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部51に出力する。
【0040】
表示部53は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部51から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0041】
通信部54は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたクライアント端末40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0042】
記憶部55は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部55は、クライアント端末40において作成された診療録データを記憶する。また、記憶部55は、クライアント端末40から受信した画像処理情報ファイル551を記憶する。また、記憶部55は、クライアント端末40において表示された汎用画像データを記憶する。
【0043】
制御部51は、通信部54を介して、クライアント端末40から診療録データを受信すると、当該診療録データを記憶部55に保存する(記憶させる)。また、制御部51は、通信部54を介して、クライアント端末40から画像処理情報ファイル551を受信すると、当該画像処理情報ファイル551を記憶部55に保存する(記憶させる)。また、制御部51は、通信部54を介して、クライアント端末40から汎用画像データを受信すると、当該汎用画像データを記憶部55に保存する(記憶させる)。
【0044】
制御部51は、通信部54を介して、クライアント端末40からデータ取得要求を受信すると、記憶部55に記憶されている診療録データ、画像処理情報ファイル551、汎用画像データ等を当該クライアント端末40に送信する。
【0045】
[プログラム起動時の具体的な動作]
次に、クライアント端末40における画像ビューワプログラム451と電子カルテプログラム452が起動するときに、医用画像システム100において実行される具体的な動作について図5を用いて説明する。
【0046】
図5は、医用画像システム100における処理を示すラダーチャートである。図5に示すように、まず、クライアント端末40は、ユーザ操作等に基づき、画像ビューワプログラム451を起動し(ステップS1)、表示部43に画像ビューワ画面を表示する(ステップS2)。また、クライアント端末40は、ユーザ操作等に基づき、電子カルテプログラム452を起動し(ステップS3)、表示部43に電子カルテ画面を表示する(ステップS4)。
【0047】
次に、クライアント端末40は、ユーザ操作等に基づき、電子カルテ関連データ取得要求を電子カルテサーバ50に送信する(ステップS5)。ここで、電子カルテ関連データ取得要求は、取得データを特定するためのデータ特定情報を含む。具体的に、データ特定情報とは患者情報や検査情報である。
【0048】
電子カルテサーバ50は、クライアント端末40から電子カルテ関連データ取得要求を受信すると、データ特定情報により特定される診療録データと、当該診療録データに対応する汎用画像データとを電子カルテ関連データとしてクライアント端末40に送信する(ステップS6)。
【0049】
クライアント端末40は、電子カルテサーバ50から電子カルテ関連データを受信して電子カルテプロセス用データ格納領域P12に格納すると、当該電子カルテ関連データに基づき、電子カルテ画面内に、患者の診療録データと当該診療録データに対応する汎用画像データを表示する(ステップS7)。
【0050】
次に、クライアント端末40は、ユーザ操作等に基づき、DICOM画像データ取得要求をPACS30に送信する(ステップS8)。ここで、DICOM画像データ取得要求は、取得データを特定するためのデータ特定情報を含む。具体的に、データ特定情報とは画像情報である。
【0051】
PACS30は、クライアント端末40からDICOM画像データ取得要求を受信すると、データ特定情報により特定されるDICOM画像データをクライアント端末40に送信する(ステップS9)。また、PACS30は、当該送信したDICOM画像データに関する(対応する)画像処理情報(アノテーションデータや階調処理情報や拡大縮小処理情報等)を保存している場合、当該画像処理情報をクライアント端末40に送信する(ステップS10)。
【0052】
クライアント端末40は、PACS30からDICOM画像データと画像処理情報を受信して画像ビューワプロセス用データ格納領域P11に格納すると、当該DICOM画像データと画像処理情報に基づき、画像処理済み医用画像データを生成する(ステップS11)。具体的に、クライアント端末40は、画像処理情報に含まれる階調処理情報に基づき、DICOM画像データに含まれる医用画像データに階調処理を施す。そして、クライアント端末40は、階調処理が施された医用画像データと画像処理情報に含まれるアノテーションデータとを合成する。そして、クライアント端末40は、画像処理情報に含まれる拡大縮小処理情報に基づき、当該合成したデータに対して画像の拡大縮小処理を行い、画像処理済み医用画像データを生成する。そして、クライアント端末40は、当該生成した画像処理済み医用画像データを表示する(ステップS12)。以上で処理が終了する。
【0053】
[画面例]
図6に、クライアント端末40の表示部43に表示される画像ビューワ画面431と電子カルテ画面432の画面例を示す。本実施の形態では、一つのディスプレイに画像ビューワ画面431と電子カルテ画面432とを表示させる構成としてもよいし、高解像度のディスプレイに画像ビューワ画面431を、通常のディスプレイに電子カルテ画面432とを表示させ、それぞれのディスプレイに移動自在なカーソルの機能を持たせる構成としてもよい。
【0054】
画像ビューワ画面431は、医用画像データ表示部E1を含む。医用画像データ表示部E1には、1又は複数の医用画像データ(画像処理済み医用画像データ)が表示される。また、電子カルテ画面432は、汎用画像表示部E2を含む。汎用画像表示部E2には、医用画像データに対応する1又は複数の汎用画像データが表示される。また電子カルテ画面432において、汎用画像表示部E2以外の画面領域部分には、患者情報や検査情報を含む診療録データ等が表示される。医師は当該画面領域部分に診療録データを書き込む。
【0055】
ユーザ操作によるドラッグ&ドロップで、画像ビューワ画面431に表示されている画像処理済み医用画像データd1(医用画像データ)が電子カルテ画面432の汎用画像表示部E2に移動されると、当該医用画像データに対応する汎用画像データが画像ビューワプロセスP1により生成され、当該汎用画像データが貼り付けられる。
【0056】
また、ユーザ操作によるダブルクリックで、電子カルテ画面432に表示されている汎用画像データd2が選択されると、当該汎用画像データd2に対応するDICOM画像データがPACS30から取得される。そして、当該DICOM画像データに含まれる医用画像データが画像ビューワ画面431の医用画像データ表示部E1に表示される。
【0057】
[画像ビューワ画面から電子カルテ画面への医用画像のドラッグ&ドロップ時の具体的な動作]
次に、ユーザによって、画像ビューワ画面431に表示されている画像処理済み医用画像データd1が電子カルテ画面432上にドラッグ&ドロップされる場合に実行される医用画像システム100の具体的な動作について図7を用いて説明する。
【0058】
図7に示すように、画像ビューワ画面431に表示されている画像処理済み医用画像データd1が電子カルテ画面432上にドラッグされると、画像ビューワプロセスP1は、ドラッグ&ドロップイベントを生成して電子カルテプロセスP2に通知する(ステップS101)。
【0059】
ここで、図8にドラッグ&ドロップイベントのデータ構成を示す。図8に示すように、ドラッグ&ドロップイベントは、コマンド情報と画像付帯情報から構成される。ここで、当該ドラッグ&ドロップイベントを構成する画像付帯情報は、ドラッグ&ドロップの対象となっている医用画像データの画像付帯情報である。また、前述の通り、画像付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報を含む。
【0060】
コマンド情報は、「コマンド発行元アプリケーション名」、「コマンド種別」、「トランザクションID」の項目を含む。ここで、「コマンド発行元アプリケーション名」とは、ドラッグ&ドロップイベントの通知元(コマンドの発行元)のプロセス名(アプリケーション名)を示す項目である。また、「コマンド種別」とは、ドラッグ&ドロップイベントの種別(コマンド種別)を示す項目である。また、「トランザクションID」とは、ドラッグ&ドロップイベント(コマンド)毎に割り振られるユニークなIDを示す項目である。
【0061】
患者情報は、「患者ID」、「患者名」の項目を含む。当該患者ID、当該患者名、及びこれらの組み合わせによって、患者が特定される。尚、患者名には患者氏名を含む。また、通常は同名患者がいる可能性があり、患者の特定は、患者IDのみで十分であるが、患者名や誕生日、住所、所属(会社や学校)等を組み合わせて確認精度を上げるのが好ましい。検査情報は、「検査ID」、「検査インスタンスUID」の項目を含む。検査インスタンスUIDとは、検査毎に割り振られるユニークなIDである。シリーズ情報は、「シリーズ番号」、「シリーズインスタンスUID」、「モダリティ」、「検査部位」の項目を含む。シリーズインスタンスUIDとは、シリーズ毎に割り振られるユニークなIDである。画像情報は、「画像番号」、「フレーム番号」、「SOPインスタンスUID」、「フォルダパス」の項目を含む。SOPインスタンスUIDとは、画像毎に割り振られるユニークなIDである。また、フォルダパスとは、ドラッグ&ドロップデータが格納されている場所を示す情報である。本実施例においては、NAS60の該当するフォルダのフォルダパスが格納される。
【0062】
図7に戻り、電子カルテプロセスP2は、ドラッグ&ドロップイベントの通知を受けると、当該ドラッグ&ドロップイベントに含まれる患者情報の患者IDと、電子カルテ画面432に表示されている診療録データに含まれる患者情報の患者IDとを比較する(ステップS102)。つまり、電子カルテプロセスP2は、患者情報の整合性をチェックする。尚、ここでは、それぞれの患者情報に含まれる各患者IDを比較するとしたが、それぞれの患者情報に含まれる患者名、又は患者IDと患者名の組み合わせを比較するとしてもよい。
【0063】
ステップS102の比較の結果、患者IDが一致しない場合(ステップS102;不一致)、電子カルテプロセスP2は、イベント拒絶の通知を画像ビューワプロセスP1に行い、表示部43にその旨を表示させる(ステップS103)。具体的には、図10(a)に示すように、カーソル上に禁止のマークと「患者が異なります。」の文字列とを表示する。尚、ドラッグ中には、カーソル上に禁止のマークのみを表示し、ドロップ時に「患者が異なります。」の文字列と表示するとしてもよい。
【0064】
また、ステップS102の比較の結果、患者IDが一致する場合(ステップS102;一致)、電子カルテプロセスP2は、ドラッグしたカーソル位置が電子カルテ画面432の汎用画像表示部E2上にあるか否かを判定する(ステップS104)。
【0065】
ステップS104の判定の結果、カーソル位置が汎用画像表示部E2上にない場合(ステップS104;NG)、電子カルテプロセスP2は、イベント拒絶の通知を画像ビューワプロセスP1に行い、表示部43にその旨を表示させる(ステップS105)。具体的には、図10(b)に示すように、カーソル上に禁止のマークを表示する。尚、ドロップ時に、「貼付領域が異なります。」の文字列を表示するとしてもよい。
【0066】
ステップS104の判定の結果、図10(c)に示すように、カーソル位置が汎用画像表示部E2上にある場合(ステップS104;OK)、電子カルテプロセスP2は、イベント受諾の通知を画像ビューワプロセスP1に行う(ステップS106)。そしてユーザは、ドラッグしている画像処理済み医用画像データd1をドロップする。
【0067】
電子カルテプロセスP2は、イベント受諾の通知を行い、且つ画像処理済み医用画像データd1がドロップされたことを検知すると、NAS60の監視を開始する(ステップS107)。
【0068】
一方、画像ビューワプロセスP1は、イベント受諾の通知を受け取り、且つ画像処理済み医用画像データd1がドロップされたことを検知すると、ドラッグ&ドロップイベントを生成する(ステップS108)。具体的に、画像ビューワプロセスP1は、ドラッグ&ドロップの対象となった画像処理済み医用画像データd1に対応する(に基づいて)汎用画像データを生成する。また、画像ビューワプロセスP1は、当該画像処理済み医用画像データd1に対応する画像処理情報に基づいて画像処理情報ファイル551を生成する。そして、生成した汎用画像データd2と、生成した画像処理情報ファイル551と、当該画像処理済み医用画像データd1の画像情報とをドラッグ&ドロップデータとする。
【0069】
図9に、画像処理情報ファイル551のデータ構成を示す。図9に示すように、画像処理情報ファイル551は、画像処理の対象となる医用画像データを特定する画像情報(SOPインスタンスUID等)、医用画像データの階調処理に用いられる階調処理情報(例えば、LUT(Look Up Table))、拡大縮小処理情報、1組又は複数組のアノテーションデータ(テキスト情報や画像)とその貼付位置の情報等から構成される。
【0070】
図7に戻り、画像ビューワプロセスP1は、生成したドラッグ&ドロップデータをNAS60に保存する(ステップS109)。
【0071】
そして、電子カルテプロセスP2は、NAS60に前記ドラッグ&ドロップデータが保存されていることを検知すると(ステップS110)、NAS60から当該ドラッグ&ドロップデータを取得し、電子カルテプロセス用データ格納領域P12に格納する(ステップS111)。そして、電子カルテプロセスP2は、汎用画像データのデータ形式のチェックやデータサイズのチェック等のデータ整合性チェックを行う(ステップS112)。
【0072】
ステップS112の整合性チェックの結果、データの整合性がない場合(ステップS112;NG)、電子カルテプロセスP2は、NAS60を再監視する(ステップS113)。
【0073】
ステップS112の整合性チェックの結果、データの整合性がある場合(ステップS112;OK)、電子カルテプロセスP2は、NAS60の監視を停止する(ステップS114)。そして、電子カルテプロセスP2は、電子カルテプロセス用データ格納領域P12に格納されている画像処理情報ファイル551と汎用画像データを電子カルテサーバ50に保存する(ステップS115、S116)。次に、電子カルテプロセスP2は、電子カルテ画面432に表示するための汎用画像データの大きさの調整等を行う(ステップS117)。そして、電子カルテプロセスP2は汎用画像データを電子カルテ画面432に表示する(ステップS118)。以上で処理が終了する。
【0074】
このように、ステップS102において電子カルテプロセスP2は、患者情報の整合性をチェック(判定)する。そして、画像ビューワ画面431に表示されている画像処理済み医用画像データd1の撮影元の患者と、電子カルテ画面432に表示されている診療録データの診療対象患者とが異なる場合、カーソル上に禁止のマークと「患者が異なります。」の文字列とを表示する。そして、画像ビューワプロセスP1は、当該画像処理済み医用画像データd1に対応する汎用画像データを生成せず、電子カルテ画面432上に汎用画像データを貼り付けない。つまり、画像の貼り付けが禁止される。そのため、医用画像データの参照を伴う診療録データ作成において、電子カルテ画面432に間違って他の患者の画像データの貼り付けを行うことによる誤診を防止することができる。更に、ドラッグ中にも、カーソル上に禁止のマークと「患者が異なります。」の文字列とが表示されるため、又は禁止マークが表示されるため、ドロップを行う前に、ユーザは、患者が異なることを知ることができる。
【0075】
また、ステップS104において貼付領域のチェックを行い、画像貼付可能な位置(汎用画像表示部E2)が指定された場合のみ、当該画像処理済み医用画像データd1に対応する汎用画像データが生成され、電子カルテ画面432の汎用画像表示部E2に当該汎用画像データが貼り付けられて表示される。また、ドラッグ中、画像貼付可能な位置が指定されない場合は、カーソル上に禁止マークが表示される。このため、ドロップを行う前に、ユーザは、画像を貼り付け可能か否かを知ることができる。
【0076】
また、ステップS115において画像処理情報ファイル551を電子カルテサーバ50に保存することにより、以後、画像処理済み医用画像データd1に更に画像処理が施され、当該画像処理済み医用画像データがPACSに保存された場合でも、今回、画像ビューワ画面431に表示されている画像処理済み医用画像データd1を復元することができる。
【0077】
尚、本実施例において、画像ビューワ画面431に表示されている1つの医用画像データをドラッグ&ドロップする例を示したが、2以上の複数の医用画像データを選択し、ドラッグ&ドロップし、電子カルテ画面432に複数の汎用画像データを表示させるとしてもよい。このとき、画像処理情報ファイル551は選択された医用画像データの数だけ生成される。
【0078】
尚、本実施例において、汎用画像データ、画像情報、画像処理情報ファイル551をドラッグ&ドロップデータとしてNAS60に保存するとしたが、これらのデータを画像ビューワプロセスP1、電子カルテプロセスP2の両方からアクセス可能な共有記憶領域に保存するとしてもよい。例えば、汎用画像データ、画像情報をNAS60に代わりにクリップボードに一時記憶させるとしてもよい。
【0079】
[電子カルテ画面での医用画像のダブルクリック時の具体的な動作]
次に、ユーザによって、電子カルテ画面432に表示されている汎用画像データd2がダブルクリックされる場合に実行される医用画像システム100の具体的な動作について図11を用いて説明する。
【0080】
図11に示すように、電子カルテ画面432に表示されている汎用画像データd2がダブルクリックされると、電子カルテプロセスP2は、当該ダブルクリックにより指定された汎用画像データd2に対応する画像処理情報ファイル551を電子カルテサーバ50から電子カルテプロセス用データ格納領域P12に読み出す(ステップS201)。そして、電子カルテプロセスP2は、当該読み出した画像処理情報ファイル551をNAS60に保存する(ステップS202)。
【0081】
そして、電子カルテプロセスP2は、ダブルクリックにより指定された汎用画像データd2に対応する医用画像データを特定する画像特定情報を画像ビューワプロセスP1に送信する(ステップS203)。ここで、画像特定情報は、汎用画像データd2に付帯する画像情報、又は当該画像情報に含まれるいずれかの項目(例えば、SOPインスタンスUID)を含む。
【0082】
画像ビューワプロセスP1は、画像特定情報を受信すると、当該画像特定情報を含むDICOM画像データ取得要求をPACS30に送信する(ステップS204)。
【0083】
PACS30は、DICOM画像データ取得要求を受信すると、画像特定情報により特定されるDICOM画像データを画像ビューワプロセスP1に送信する(ステップS205)。ここで、PACS30から送信されるDICOM画像データの医用画像データには、階調処理、アノテーションデータの合成、拡大縮小処理等の画像処理は行われていない。
【0084】
例えば、ステップS203〜S205はURL連携の技術で実現される。この場合、画像特定情報は画像情報に含まれるSOPインスタンスUIDの文字列を含んだURL形式
で構成される。また、PACS30では、DICOM画像データを格納しているファイル名やフォルダ名を、ユーザが指定できる名前にしておく必要がある。
【0085】
そして、画像ビューワプロセスP1は、NAS60から電子カルテプロセスP2が保存した画像処理情報ファイル551を取得する(ステップS206)。そして、画像ビューワプロセスP1は、PACS30から送信されたDICOM画像データと、NAS60から取得した画像処理情報ファイル551とに基づいて、画像処理済み医用画像データを生成する(ステップS207)。具体的に、画像ビューワプロセスP1は、画像処理情報ファイル551に含まれる階調処理情報に基づき、DICOM画像データに含まれる医用画像データに階調処理を施す。そして、画像ビューワプロセスP1は、階調処理が施された医用画像データと画像処理情報ファイル551に含まれるアノテーションデータとを合成する。そして、画像ビューワプロセスP1は、画像処理情報ファイル551に含まれる拡大縮小処理情報に基づき、当該合成したデータに対して画像の拡大縮小処理を行い、画像処理済み医用画像データを生成する。
【0086】
そして、画像ビューワプロセスP1は、NAS60に保存されている画像処理情報ファイル551を削除する(ステップS208)。そして、画像ビューワプロセスP1は、当該生成した画像処理済み医用画像データを画像ビューワ画面431に表示する(ステップS209)。以上で処理が終了する。
【0087】
このように、ステップS201において、電子カルテプロセスP2は、汎用画像データd2の生成当時に、医用画像データに施されていた画像処理情報を示した画像処理情報ファイル551を読み出す。そして、ステップS206において、画像ビューワプロセスP1は、当該画像処理情報ファイル551を取得する。そのため、ステップS207において、画像ビューワプロセスP1は、PACS30から取得した画像処理が施されていないDICOM画像データと、当該取得した画像処理情報ファイル551とに基づいて、汎用画像データd2の生成当時の画像処理済み医用画像データを生成することができる。
【0088】
また、ステップS203〜S205において、画像特定情報を参照することにより、電子カルテ画面432上でダブルクリックにより指定された汎用画像データd2に対応するDICOM画像データを、PACS30に記憶されているDICOM画像データの中から特定することができる。このため、医師等のユーザは直感的に、画像ビューワ画面431に該当する医用画像データを表示させることができる。
【0089】
以上、本実施の形態によれば、画像処理済み医用画像データd1を画像ビューワ画面431から電子カルテ画面432にドラッグ&ドロップするとき、画像ビューワプロセスP1は、医用画像データに施されている画像処理情報を示した画像処理情報ファイル551と当該画像処理済み医用画像データd1に対応する汎用画像データd2とを生成する。そして、電子カルテプロセスP2は、当該生成された画像処理情報ファイル551と前記汎用画像データd2を電子カルテサーバ50に保存する。
【0090】
また、その後(数日後でも数ヶ月後でもよい)、画像ビューワ画面431に表示されている前記汎用画像データd2をダブルクリックするとき、電子カルテプロセスP2は、前記汎用画像データd2生成当時に、医用画像データに施されていた画像処理情報を示した画像処理情報ファイル551を読み出す。そして、画像ビューワプロセスP1は、PACS30から取得する画像処理が施されていない医用画像データと当該画像処理情報ファイル551とに基づいて、前記汎用画像データd2生成当時の画像処理済み医用画像データd1を生成する。よって、医師による診療録データの再参照の際、過去の参照時における画像処理が施された医用画像データを表示する医用画像システムを提供することができる。
【0091】
また、画像処理済み医用画像データd1を画像ビューワ画面431から電子カルテ画面432にドラッグ&ドロップするとき、電子カルテプロセスP2は、医用画像データに付帯する患者情報と、電子カルテ画面432に表示されている診療録データに関する患者情報との整合性をチェック(判定)する。そして、画像ビューワプロセスP1は、整合性が有る場合に、ドラッグ&ドロップした画像処理済み医用画像データd1に対応する汎用画像データを生成する。そして、電子カルテプロセスP2は、当該生成された汎用画像データを電子カルテ画面432に貼り付けて表示させる。そのため、医用画像データの参照を伴う診療録データ作成において、電子カルテ画面432に間違って他の患者の画像データの貼り付けを行うことによる誤診を防止することができる。また、個人情報保護の安全性を高めることができる。
【0092】
尚、本実施の形態における記述は、本発明に係る医用画像システムの一例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0093】
また、本実施の形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態における医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】クライアント端末のブロック図である。
【図3】クライアント端末のRAMのメモリイメージである。
【図4】電子カルテサーバのブロック図である。
【図5】プログラム起動時に、医用画像システムにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【図6】クライアント端末の表示部に表示される画像ビューワ画面と電子カルテ画面の画面例である。
【図7】画像ビューワ画面から電子カルテ画面への医用画像のドラッグ&ドロップ時に、医用画像システムにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【図8】ドラッグ&ドロップイベントのデータ構成図である。
【図9】画像処理情報ファイルのデータ構成図である。
【図10】ドラッグ&ドロップ時における、画像ビューワ画面と電子カルテ画面の画面例である。
【図11】電子カルテ画面において、医用画像をダブルクリックした時に、医用画像システムにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【符号の説明】
【0095】
10 RIS
20 モダリティ
30 PACS
40 クライアント端末
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 記憶部
46 バス
50 電子カルテサーバ
51 制御部
52 操作部
53 表示部
54 通信部
55 記憶部
56 バス
60 NAS
100 医用画像システム
411 RAM
431 画像ビューワ画面
432 電子カルテ画面
451 画像ビューワプログラム
452 電子カルテプログラム
551 画像処理情報ファイル
d1 画像処理済み医用画像データ
d2 汎用画像データ
E1 医用画像データ表示部
E2 汎用画像表示部
N 通信ネットワーク
P1 画像ビューワプロセス
P2 電子カルテプロセス
P11 画像ビューワプロセス用データ格納領域
P12 電子カルテプロセス用データ格納領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データを記憶管理する画像サーバと、診療録データを記憶管理する電子カルテサーバと、クライアント端末とが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された医用画像システムであって、
前記電子カルテサーバは、
前記医用画像データに施された画像処理情報を記憶する記憶手段、
を備え、
前記クライアント端末は、
前記画像サーバから取得した医用画像データを表示する第1表示手段と、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、前記電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段と、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記記憶手段から取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備える医用画像システム。
【請求項2】
前記画像処理情報は医用画像データに関するアノテーションデータ、階調処理情報及び/又は拡大縮小処理情報を含む、
請求項1に記載の医用画像システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記選択された汎用画像データに関する画像情報に基づいて、当該汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバに記憶されている医用画像データの中から特定する、
請求項1又は2に記載の医用画像システム。
【請求項4】
画像サーバに記憶管理されている医用画像データを表示する第1表示手段と、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段と、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記電子カルテサーバに記憶させる記憶制御手段と、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記電子カルテサーバから取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えるクライアント端末。
【請求項5】
コンピュータを、
画像サーバに記憶管理されている医用画像データを表示する第1表示手段、
前記医用画像データに基づいて生成された汎用画像データを表示し、電子カルテサーバに記憶管理させる診療録データの作成に供する第2表示手段、
前記第2表示手段に表示された汎用画像データに対応する医用画像データに施された画像処理情報を前記電子カルテサーバに記憶させる記憶制御手段、
ユーザ操作に従って前記第2表示手段に表示中の汎用画像データを選択し、前記選択された汎用画像データに対応する、画像処理が施されていない医用画像データを前記画像サーバから取得し、前記選択された汎用画像データに対応する画像処理情報を前記電子カルテサーバから取得し、当該取得した画像処理情報に基づき、当該取得した医用画像データに画像処理を施して前記第1表示手段に表示させる表示制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−207817(P2009−207817A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56558(P2008−56558)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】