説明

医用画像処理装置、及び医用画像処理プログラム

【課題】複数の部位を容易に比較できる医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】この実施形態に係る医用画像処理装置は、設定手段と第1の画像生成手段と第2の画像生成手段と表示制御手段とを有する。設定手段は、ボリュームデータに対して第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを設定し、ボリュームデータに対して第1の視線方向と第1の視線方向とは反対方向の第2の視線方向とを設定する。第1の画像生成手段は、第1のクリッピング面から第1の視線方向に向かって見える第1の医用画像をボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成手段は、第2のクリッピング面から第2の視線方向に向かって見える第2の医用画像をボリュームデータに基づいて生成する。表示制御手段は、第1の医用画像と第2の医用画像とを並べて表示手段に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、医用画像処理装置、及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置、超音波診断装置、又はMRI装置などの医用画像撮影装置によって、被検体を表すボリュームデータを取得することができる。ボリュームデータを用いて3次元画像を表示する場合に、クリッピング処理を行うことにより3次元画像の一部を非表示にすることがある。例えばボリュームデータに交差する切断面と視点との間の画像を非表示にし、視点から切断面に向かう方向を観察方向として、切断面を1つの観察方向から見た3次元画像を表示することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切断面に対して1つの観察方向から見た3次元画像のみを表示するだけでは、複数の部位を比較することは困難である。
【0005】
この実施形態は、複数の部位を容易に比較できる医用画像処理装置、及び医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この実施形態に係る医用画像処理装置は、医用画像撮影装置によって取得されたボリュームデータを受けて、ボリュームデータに基づいて医用画像データを生成する。この実施形態に係る医用画像処理装置は、設定手段と、第1の画像生成手段と、第2の画像生成手段と、表示制御手段と、を有する。設定手段は、ボリュームデータに対して第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを設定し、ボリュームデータに対して第1の視線方向と第1の視線方向とは反対方向の第2の視線方向とを設定する。第1の画像生成手段は、第1のクリッピング面から第1の視線方向に向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成手段は、第2のクリッピング面から第2の視線方向に向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。表示制御手段は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを並べて表示手段に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この実施形態に係る医用画像処理装置のブロック図である。
【図2】基準面の設定例を示す図である。
【図3】クリッピング処理により生成された医用画像を模式的に示す図である。
【図4】クリッピング面の設定例を示す図である。
【図5】クリッピング処理により生成された医用画像を模式的に示す図である。
【図6】クリッピング面の設定例を示す図である。
【図7】クリッピング面の設定例を示す図である。
【図8】クリッピング面の設定例を示す図である。
【図9】この実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照して、この実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。この実施形態に係る医用画像処理装置1は、例えば医用画像撮影装置90に接続されている。
【0009】
(医用画像撮影装置90)
医用画像撮影装置90には、X線CT装置やMRI装置などの撮影装置が用いられる。医用画像撮影装置90は、被検体を撮影することで被検体を表す医用画像データを生成する。例えば医用画像撮影装置90は、3次元の撮影領域を撮影することで3次元の撮影領域を表すボリュームデータを生成する。例えば医用画像撮影装置90としてのX線CT装置は、3次元の撮影領域を撮影することにより、位置がそれぞれ異なる複数の断面におけるCT画像データを生成する。X線CT装置は、複数のCT画像データを用いてボリュームデータを生成する。医用画像撮影装置90は、ボリュームデータを医用画像処理装置1に出力する。
【0010】
(医用画像処理装置1)
医用画像処理装置1は、画像記憶部2と、設定部3と、画像生成部4と、表示制御部5と、表示部6と、入力部7と、を有する。
【0011】
(画像記憶部2)
画像記憶部2は、医用画像撮影装置90によって生成されたボリュームデータを記憶する。なお、医用画像撮影装置90がボリュームデータを生成せずに、医用画像処理装置1がボリュームデータを生成してもよい。この場合、医用画像処理装置1は、医用画像撮影装置90によって生成された複数の医用画像データ(例えばCT画像データ)を受けて、複数の医用画像データに基づいてボリュームデータを生成する。この場合、画像記憶部2は、医用画像処理装置1によって生成されたボリュームデータを記憶する。
【0012】
(設定部3)
設定部3は、クリッピング面設定部51と視線方向設定部52とを有する。設定部3は、ボリュームデータにクリッピング処理を行うためのクリッピング面と視線方向とを設定する。この実施形態では、2つのクリッピング面(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を設定する。
【0013】
例えば操作者が入力部7を用いて、クリッピング面を設定するための設定条件を入力する。設定条件には、クリッピング面を設定するための基準となる基準面Sの位置、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離L、及び、基準面Sから見た第1のクリッピング面の方向(以下、「第1の移動方向」と称する)が含まれる。操作者は入力部7を用いて、上記の設定条件を入力する。なお、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離Lは零であってもよい。また、操作者が入力部7を用いて、観察方向である第1の視線方向DAを指定する。基準面Sの位置を示す座標情報、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離Lを示す距離情報、第1の移動方向を示す第1の移動方向情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報が、入力部7から設定部3に出力される。
【0014】
例えば、後述する画像生成部4がボリュームデータを画像記憶部2から読み込んで、そのボリュームデータにボリュームレンダリングを施すことにより3次元画像データを生成する。または、画像生成部4が、ボリュームデータにMPR処理(Multi Planar Reconstruction)を施すことにより、任意の断面における画像データ(MPR画像データ)を生成してもよい。表示制御部5は、3次元画像又はMPR画像を表示部6に表示させる。操作者は表示部6に表示されている3次元画像やMPR画像を参照して、入力部7を用いて、基準面Sの位置、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離L、第1の移動方向、及び第1の視線方向DAを指定する。例えば、腫瘍などの関心領域に交差する面を基準面Sとして指定したり、頭部の中心を通る面を基準面Sとして指定したり、心臓の中心を通る面を基準面Sとして指定したりする使用例が考えられる。
【0015】
(クリッピング面設定部31)
クリッピング面設定部31は、操作者によって入力された設定条件に従って、2つのクリッピング面(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を設定する。クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L離れた面を第1のクリッピング面とし、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に距離L離れた面を第2のクリッピング面とする。例えば、第1の移動方向が基準面Sに直交している場合、クリッピング面設定部31は、基準面Sに直交する第1の移動方向に距離L離れた面を第1のクリッピング面とし、基準面Sに直交する第2の移動方向に距離L離れた面を第2のクリッピング面とする。この場合、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とは、基準面Sに平行となる。なお、第1の移動方向が基準面Sに直交していない場合には、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とは基準面Sに対して傾いた状態となる。また、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離(以下、「第1の距離」と称する場合がある)と、基準面Sから第2のクリッピング面までの距離(以下、「第2の距離」と称する場合がある)とは、同じ距離であってもよいし、異なる距離であってよい。例えば操作者が入力部7を用いて、基準面Sから第1のクリッピング面までの第1の距離と、基準面Sから第2のクリッピング面までの第2の距離とを入力してもよい。また、基準面Sからの距離が零の場合には、クリッピング面設定部31は、基準面の位置に第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを設定する。
【0016】
(視線方向設定部32)
視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報を受けて、第1のクリッピング面に対しては第1の視線方向DAを視線方向に設定し、第2のクリッピング面に対しては第1の視線方向DAとは反対方向の第2の視線方向DBを視線方向に設定する。
【0017】
設定部3は、第1のクリッピング面の位置を示す座標情報、第2のクリッピング面の位置を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報、及び第2の視線方向DBを示す第2の視線方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0018】
(画像生成部4)
画像生成部4は、第1の画像生成部41と第2の画像生成部42とを有する。画像生成部4はボリュームデータを画像記憶部2から読み込んで、ボリュームデータに基づいて3次元画像データやMPR画像データなどの医用画像データを生成する。
【0019】
(第1の画像生成部41)
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面から第1の視線方向DA側にあるボリュームデータに基づいて、第1の3次元画像データや第1のMPR画像データなどの第1の医用画像データを生成する。これにより、第1の医用画像データには、第1の視線方向DAに沿って見た場合に、第1のクリッピング面よりも手前側にある画像が表されない。すなわち、第1の医用画像データにおいては、第1のクリッピング面よりも手前側の画像が非表示となる。
【0020】
(第2の画像生成部42)
第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、第2のクリッピング面から第2の視線方向DB側にあるボリュームデータに基づいて、第2の3次元画像データや第2のMPR画像データなどの第1の医用画像データを生成する。これにより、第2の医用画像データには、第2の視線方向DBに沿って見た場合に、第2のクリッピング面よりも手前側にある画像が表されない。すなわち、第2の医用画像データにおいては、第2のクリッピング面よりも手前側の画像が非表示となる。
【0021】
画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0022】
(表示制御部5)
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像と、を表示部6に並べて表示させる。
【0023】
(表示部6、入力部7)
表示部6は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタで構成されている。表示部6は、画像生成部4によって生成された3次元画像やMPR画像等の医用画像を表示する。入力部7は、キーボードやマウスなどの入力装置で構成されている。
【0024】
次に、基準面及びクリッピング面の設定例について説明する。
【0025】
(第1の設定例)
図2及び図3を参照して、基準面からの距離が零の場合の処理について説明する。図2は、基準面の設定例を示す図である。図3は、クリッピング処理により生成された医用画像を模式的に示す図である。一例として、頭部を観察対象とする。図2に示す医用画像100は、被検体の頭部を表す3次元画像である。表示制御部5は、頭部を表す医用画像100を表示部6に表示させる。操作者は入力部7を用いて、頭部に交差する基準面Sを指定する。例えば、被検体の右脳と左脳とを比較したい場合には、頭部の中心を通る面を基準面Sとして指定する。また、操作者は入力部7を用いて、第1の視線方向DAを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離として零を入力する。基準面Sの位置を示す座標情報、距離(零)を示す距離情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0026】
クリッピング面設定部31は、基準面Sの位置を第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す情報を受けて、第1の視線方向DAとは反対方向を第2の視線方向DBとする。
【0027】
設定部3は、基準面S(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報、及び第2の視線方向DBを示す第2の視線方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0028】
第1の画像生成部41は、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、基準面Sから第1の視線方向DA側にあるボリュームデータに基づいて、第1の3次元画像データや第1のMPR画像データなどの第1の医用画像データを生成する。これにより、第1の医用画像データには、第1の視線方向DAに沿って見た場合に、基準面Sよりも手前側にある画像、すなわち、基準面Sから第2の視線方向DB側にある画像が表されない。第2の画像生成部42は、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第2の画像生成部42は、基準面Sから第2の視線方向DB側にあるボリュームデータに基づいて、第2の3次元画像データや第2のMPR画像データなどの第2の医用画像データを生成する。これにより、第2の医用画像データには、第2の視線方向DBに向かって見た場合に、基準面Sよりも手前側にある画像、すなわち、基準面Sから第1の視線方向DA側にある画像が表されない。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0029】
図3に、第1の医用画像と第2の医用画像とを示す。表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像210と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像220とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像210には、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって頭部の内部を見たときの像が表されている。第2の医用画像220には、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって頭部の内部を見たときの像が表されている。すなわち、第1の医用画像210と第2の医用画像220とには、基準面Sを間にして互いに反対方向から頭部の内部を見たときの像が表されている。このように、表示制御部5は、2つの医用画像(第1の医用画像210及び第2の医用画像220)を本開きの状態にして並べて表示部6に表示させる。
【0030】
以上のように、第1の視線方向DAから見た第1の医用画像と、第1の視線方向DAとは反対方向の第2の視線方向DBから見た第2の医用画像とを生成して表示することにより、操作者は互いに反対方向から観察対象を観察して、複数の部位を容易に比較することが可能となる。例えば頭部を観察対象とする場合に、頭部の中心を通る面に基準面Sを設定することにより、第1の医用画像210には右脳が表され、第2の医用画像220には左脳が表される。これにより、操作者は互いに反対方向から頭部の内部を観察することが可能となる。すなわち、右脳と左脳とを同時に観察することができるため、右脳と左脳とを容易に比較することが可能となる。このように左右対称の部位を観察するときには、その部位の中心を通る位置に基準面Sを設定することにより、右側部位と左側部位とを容易に比較することが可能となる。
【0031】
(第2の設定例)
次に、図4及び図5を参照して、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とが異なる位置に設定される場合の処理について説明する。図4は、クリッピング面の設定例を示す図である。図5は、クリッピング処理により生成された医用画像を模式的に示す図である。表示制御部5は、3次元画像としての医用画像300を表示部6に表示させる。医用画像300には、部位310、320、330が表されている。操作者は入力部7を用いて、医用画像300に交差する基準面Sを指定する。例えば部位310が腫瘍やポリー部などの病変部であり、その病変部を観察したい場合には、操作者は入力部7を用いて部位310に交差する基準面Sを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、第1の視線方向DAを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を入力する。例えば、操作者は入力部7を用いて、第1の距離LAと第2の距離LBとを入力する。第1の距離LAは、基準面Sから第1のクリッピング面までの距離である。第2の距離LBは、基準面Sから第2のクリッピング面までの距離である。なお、第1の距離LAと第2の距離LBとは同じ距離であってもよいし、異なる距離であってもよい。第1の距離LAと第2の距離LBとが同じ距離の場合には、操作者は入力部7を用いて、第1の距離LAだけを入力するようにしてもよい。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sから見た第1のクリッピング面の方向(第1の移動方向)を指定する。基準面Sの位置を示す座標情報、第1の距離LAを示す距離情報、第2の距離LBを示す距離情報、第1の移動方向を示す第1の移動方向情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0032】
クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に第1の距離LA離れた面を第1のクリッピング面SAとする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に第2の距離LB離れた面を第2のクリッピング面SBとする。図4に示す例では、第1の移動方向は、第1の視線方向DAとは反対の方向である。また、第2の移動方向は、第2の視線方向DBとは反対の方向である。また、第1の視線方向DAは、第1のクリッピング面SAから第2のクリッピング面SBを向いた方向である。また、第2の視線方向DBは、第2のクリッピング面SBから第1のクリッピング面SAを向いた方向である。
【0033】
設定部3は、第1のクリッピング面SAの位置を示す座標情報、第2のクリッピング面SBの位置を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す方向情報、及び、第2の視線方向DBを示す方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0034】
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SAから第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SAから第1の視線方向DA側にあるボリュームデータに基づいて第1の医用画像データを生成する。これにより、第1の医用画像データには、第1の視線方向DAに沿って見た場合に、第1のクリッピング面SAよりも手前側にある画像、すなわち、第1のクリッピング面SAから第2の視線方向DB側にある画像が表されない。第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SBから第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SBから第2の視線方向DB側にあるボリュームデータに基づいて第2の医用画像データを生成する。これにより、第2の医用画像データには、第2の視線方向DBに向かって見た場合に、第2のクリッピング面SBよりも手前側にある画像、すなわち、第2のクリッピング面SBから第1の視線方向DA側にある画像が表されない。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0035】
図5に、第1の医用画像と第2の医用画像とを示す。表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像410と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像420とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像410には、第1のクリッピング面SAから第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表されている。具体的には、第1の医用画像410には、部位310と部位320とが表されている。第2の医用画像420には、第2のクリッピング面SBから第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表されている。具体的には、第2の医用画像420には、部位310と部位330とが表されている。このように、第1の医用画像410と第2の医用画像420とには、互いに反対方向から見たときの像が表されている。また、第1のクリッピング面SAと第2のクリッピング面SBとの間の領域においては、第1の視線方向DAと第2の視線方向DBとが重なっているため、その領域における組織は、第1の医用画像410と第2の医用画像420との両方に表される。そのことにより、その領域における組織を、第1の視線方向DA及び第2の視線方向DBの両方向(前後両方)から観察することが可能となる。例えば、部位310は第1の医用画像410と第2の医用画像420とに表されているため、第1の視線方向DA及び第2の視線方向DBの両方から部位310を観察することが可能となる。
【0036】
(第3の設定例)
次に、図6を参照して、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを移動させる場合の処理について説明する。図6は、クリッピング面の設定例を示す図である。図6(a)に示すように、表示制御部5は、3次元画像としての医用画像500を表示部6に表示させる。操作者は入力部7を用いて、医用画像500に交差する基準面Sを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、第1の視線方向DAを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を入力する。一例として、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離として零を入力した場合について説明する。基準面Sを示す座標情報、距離(零)を示す距離情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0037】
図6(a)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sの位置を第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す情報を受けて、第1の視線方向DAとは反対方向を第2の視線方向DBとする。
【0038】
設定部3は、基準面S(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報、及び第2の視線方向DBを示す第2の視線方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0039】
第1の画像生成部41は、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0040】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とには、基準面Sを間にして互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。
【0041】
そして、操作者が入力部7を用いて、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる距離を入力する。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離(第1の距離及び第2の距離)を入力する。一例として図6(b)に示すように、操作者は入力部7を用いて、第1の距離と第2の距離とで同じ距離L1を入力する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sから見た第1のクリッピング面の方向(第1の移動方向)を指定する。距離L1を示す距離情報及び第1の移動方向を示す第1の移動方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0042】
図6(b)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L1離れた面を第1のクリッピング面SA1とする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に距離L1離れた面を第2のクリッピング面SB1とする。図6(b)に示す例では、第1の移動方向は、第1の視線方向DAと同じ方向である。また、第2の移動方向は、第2の視線方向DBと同じ方向である。また、第1の視線方向DAは、第1のクリッピング面SA1から第2のクリッピング面SB1を向いた方向とは反対の方向である。また、第2の視線方向DBは、第2のクリッピング面SB1から第1のクリッピング面SA1を向いた方向とは反対の方向である。
【0043】
設定部3は、第1のクリッピング面SA1の位置を示す座標情報と第2のクリッピング面SB1の位置を示す座標情報とを、画像生成部4に出力する。
【0044】
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DA側にあるボリュームデータに基づいて第1の医用画像データを生成する。これにより、第1の医用画像データには、第1の視線方向DAに沿って見た場合に、第1のクリッピング面SA1よりも手前側にある画像、すなわち、第1のクリッピング面SA1から第2の視線方向DB側にある画像が表されない。第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DB側にあるボリュームデータに基づいて第2の医用画像データを生成する。これにより、第2の医用画像データには、第2の視線方向DBに向かって見た場合に、第2のクリッピング面SB1よりも手前側にある画像、すなわち、第2のクリッピング面SB1から第1の視線方向DA側にある画像が表されない。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0045】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とには、互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。また、第1のクリッピング面SA1と第2のクリッピング面SB1とは、それぞれ基準面Sから距離L1離れている。また、第1の視線方向DAは、第1のクリッピング面SA1から第2のクリッピング面SB1を向いた方向とは反対の方向である。また、第2の視線方向DBは、第2のクリッピング面SB1から第1のクリッピング面SA1を向いた方向とは反対の方向である。そのため、第1のクリッピング面SA1と第2のクリッピング面SB1との間にある組織は、医用画像に表されない。このように、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを移動させることにより、基準面Sからそれぞれ離れた位置における2つの医用画像を比較することが可能となる。例えば基準面Sからそれぞれ同じ距離L1離れた位置における2つの医用画像を容易に比較することが可能となる。
【0046】
さらに操作者が入力部7を用いて、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる。すなわち、基準面Sから距離L1離れた位置における第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離(第1の距離及び第2の距離)を入力する。一例として図6(c)に示すように、操作者は入力部7を用いて、第1の距離と第2の距離とで同じ距離L2を入力する。距離L2を示す距離情報は、入力部7から設定部3に出力される。一例として、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる方向は変えないものとする。
【0047】
図6(c)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L2離れた面を第1のクリッピング面SA2とする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の方向に距離L2離れた面を第2のクリッピング面SB2とする。
【0048】
設定部3は、第1のクリッピング面SA2の位置を示す座標情報と第2のクリッピング面SB2の位置を示す座標情報とを、画像生成部4に出力する。
【0049】
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA2から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。すなわち、第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA2から第1の視線方向DA側にあるボリュームデータに基づいて第1の医用画像データを生成する。これにより、第1の医用画像データには、第1の視線方向DAに沿って見た場合に、第1のクリッピング面SA2よりも手前側にある画像、すなわち、第1のクリッピング面SA2から第2の視線方向DB側にある画像が表されない。第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB2から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データを生成する。すなわち、第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB2から第2の視線方向DB側にあるボリュームデータに基づいて第2の医用画像データを生成する。これにより、第2の医用画像データには、第2の視線方向DBに向かって見た場合に、第2のクリッピング面SB2よりも手前側にある画像、すなわち、第2のクリッピング面SB2から第1の視線方向DA側にある画像が表されない。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0050】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、第1のクリッピング面SA2から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、第2のクリッピング面SB2から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。
【0051】
以上のように、基準面Sから第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面までの距離を徐々に変えることにより、視点の位置を変えつつ、2つの医用画像を比較することが可能となる。例えば基準面Sからそれぞれ同じ距離離れた位置における2つの医用画像を、視点の位置を徐々に変えながら容易に比較することが可能となる。
【0052】
(第4の設定例)
次に、図7を参照して、第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを移動させる場合の処理について説明する。図7は、クリッピング面の設定例を示す図である。図7(a)に示すように、表示制御部5は、3次元画像としての医用画像500を表示部6に表示させる。操作者は入力部7を用いて、医用画像500に交差する基準面Sを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、第1の視線方向DAを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を入力する。一例として、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を零として入力した場合について説明する。基準面Sを示す座標情報、距離(零)を示す距離情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0053】
図7(a)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sの位置を第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す情報を受けて、第1の視線方向DAとは反対方向を第2の視線方向DBとする。
【0054】
設定部3は、基準面S(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報、及び第2の視線方向DBを示す第2の視線方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0055】
第1の画像生成部41は、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0056】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とでは、基準面Sを間にして互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。
【0057】
そして、操作者が入力部7を用いて、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる距離を入力する。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離(第1の距離及び第2の距離)を入力する。一例として図7(b)に示すように、操作者は入力部7を用いて、第1の距離と第2の距離とで同じ距離L1を入力する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sから見た第1のクリッピング面の方向(第1の移動方向)を指定する。距離L1を示す距離情報及び第1の移動方向を示す第1の移動方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0058】
図7(b)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L1離れた面を第1のクリッピング面SA1とする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に距離L1離れた面を第2のクリッピング面SB1とする。図7(b)に示す例では、第1の移動方向は、第1の視線方向DAとは反対の方向である。すなわち、第1の移動方向は、第2の視線方向DBと同じ方向である。また、第2の移動方向は、第2の視線方向DBとは反対の方向である。すなわち、第2の移動方向は、第1の視線方向DAと同じ方向である。また、第1の視線方向DAは、第1のクリッピング面SA1から第2のクリッピング面SB1を向いた方向である。また、第2の視線方向DBは、第2のクリッピング面SB1から第1のクリッピング面SA1を向いた方向である。
【0059】
設定部3は、第1のクリッピング面SA1の位置を示す座標情報と第2のクリッピング面SB1の位置を示す座標情報とを、画像生成部4に出力する。
【0060】
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0061】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とには、互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。また、第1のクリッピング面SA1と第2のクリッピング面SB1とは、それぞれ基準面Sから距離L1離れている。また、第1の視線方向DAは、第1のクリッピング面SA1から第2のクリッピング面SB1を向いた方向である。また、第2の視線方向DBは、第2のクリッピング面SB1から第1のクリッピング面SA1を向いた方向である。そのため、第1のクリッピング面SA1と第2のクリッピング面SB1との間にある組織は、第1の医用画像と第2の医用画像とにそれぞれ表されることになる。このように第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを移動させることにより、基準面Sからそれぞれ離れた位置における2つの医用画像を比較することが可能となる。例えば基準面Sからそれぞれ同じ距離L1離れた位置における2つの医用画像を容易に比較することが可能となる。
【0062】
さらに操作者が入力部7を用いて、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる。すなわち、基準面Sから距離L1離れた位置における第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離(第1の距離及び第2の距離)を入力する。一例として図7(c)に示すように、操作者は入力部7を用いて、第1の距離と第2の距離とで同じ距離L2を入力する。距離L2を示す距離情報は、入力部7から設定部3に出力される。一例として、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面を移動させる方向を変えないものとする。
【0063】
図7(c)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L2離れた面を第1のクリッピング面SA2とする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に距離L2離れた面を第2のクリッピング面SB2とする。
【0064】
設定部3は、第1のクリッピング面SA2の位置を示す座標情報と第2のクリッピング面SB2の位置を示す座標情報とを、画像生成部4に出力する。
【0065】
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA2から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB2から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データを生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0066】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、第1のクリッピング面SA2から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、第2のクリッピング面SB2から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。
【0067】
以上のように、基準面Sから第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面までの距離を徐々に変えることにより、視点の位置を変えつつ、2つの医用画像を比較することが可能となる。例えば基準面Sからそれぞれ同じ距離離れた位置における2つの医用画像を、視点の位置を徐々に変えながら容易に比較することが可能となる。
【0068】
(第5の設定例)
次に、図8を参照して、基準面Sを移動させる場合の処理について説明する。図8は、クリッピング面の設定例を示す図である。図8(a)に示すように、表示制御部5は、3次元画像としての医用画像500を表示部6に表示させる。操作者は入力部7を用いて、医用画像500に交差する基準面Sを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、第1の視線方向DAを指定する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を入力する。一例として、操作者は入力部7を用いて、基準面Sからクリッピング面までの距離を零として入力した場合について説明する。基準面Sを示す座標情報、距離(零)を示す距離情報、及び第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0069】
図8(a)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sの位置を第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す情報を受けて、第1の視線方向DAとは反対方向を第2の視線方向DBとする。
【0070】
設定部3は、基準面S(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報、第1の視線方向DAを示す第1の視線方向情報、及び第2の視線方向DBを示す第2の視線方向情報を、画像生成部4に出力する。
【0071】
第1の画像生成部41は、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0072】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、基準面Sから第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、基準面Sから第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とには、基準面Sを間にして互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。
【0073】
そして、第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、新たな基準面S1の位置を指定する。例えば図8(b)に示すように、初期の基準面Sから第1の移動方向に距離L1離れた面を、新たな基準面S1として指定する。基準面S1の位置を示す座標情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0074】
図8(b)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから距離L1離れた新たな基準面S1の位置を、新たな第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。設定部3は、基準面S1(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報を画像生成部4に出力する。
【0075】
第1の画像生成部41は、基準面S1から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、基準面S1から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0076】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、基準面S1から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、基準面S1から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とでは、基準面S1を間にして互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。このように、基準面を移動させることにより、視点の位置を変えつつ、基準面を間にして互いに反対方向から見たときの像を比較することが可能となる。
【0077】
さらに、第1の医用画像と第2の医用画像とが表示部6に表示されている状態で、操作者は入力部7を用いて、新たな基準面S2の位置を指定する。例えば図8(c)に示すように、初期の基準面Sから第2の移動方向に距離L2離れた面を、新たな基準面S2として指定する。基準面S2の位置を示す座標情報は、入力部7から設定部3に出力される。
【0078】
図8(c)に示すように、クリッピング面設定部31は、基準面Sから距離L2離れた新たな基準面S2の位置を、新たな第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置とする。設定部3は、基準面S2(第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面)を示す座標情報を画像生成部4に出力する。
【0079】
第1の画像生成部41は、基準面S2から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。第2の画像生成部42は、基準面S2から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。画像生成部4は、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを表示制御部5に出力する。
【0080】
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。第1の医用画像には、基準面S2から第1の視線方向DAに向かって被検体を見たときの像が表される。第2の医用画像には、基準面S2から第2の視線方向DBに向かって被検体を見たときの像が表される。すなわち、第1の医用画像と第2の医用画像とには、基準面S2を間にして互いに反対方向から被検体を見たときの像が表される。以上のように、基準面を徐々に移動させることにより、視点の位置を変えつつ、基準面を間にして互いに反対方向から見た状態の像を比較することが可能となる。
【0081】
上述した設定部3、画像生成部4、及び表示制御部5のそれぞれの機能は、プログラムによって実行されてもよい。一例として、設定部3、画像生成部4、及び表示制御部5はそれぞれ、CPU、GPU、又はASICなどの図示しない処理装置と、ROM、RAM、又はHDDなどの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、設定部3の機能を実行するための設定プログラムと、画像生成部4の機能を実行するための画像生成プログラムと、表示制御部5の機能を実行するための表示制御プログラムと、が記憶されている。設定プログラムには、クリッピング面設定部31の機能を実行するためのクリッピング面設定プログラムと、視線方向設定部32の機能を実行するための視線方向設定プログラムと、が含まれる。また、画像生成プログラムには、第1の画像生成部41の機能を実行するための第1の画像生成プログラムと、第2の画像生成部42の機能を実行するための第2の画像生成プログラムと、が含まれる。CPUなどの処理装置が、記憶部に記憶されている各プログラムを実行することにより、各部の機能を実行する。なお、設定プログラムと画像生成プログラムと表示制御プログラムとによって、「医用画像処理プログラム」の一例を構成する。
【0082】
(動作)
図9を参照して、この実施形態に係る医用画像処理装置1の動作について説明する。
【0083】
(ステップS01)
まず、画像生成部4がボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、そのボリュームデータに基づいて3次元画像データやMPR画像データなどの医用画像データを生成する。表示制御部5は、3次元画像やMPR画像などの医用画像を表示部6に表示させる。
【0084】
(ステップS02)
操作者は表示部6に表示されている3次元画像やMPR画像を参照し、入力部7を用いて基準面Sの位置を指定する。例えば、腫瘍などの関心領域に交差する面を基準面Sとして指定したり、頭部の中心を通る面を基準面Sとして指定したり、心臓の中心を通る面を基準面Sとして指定したりする。また、操作者は入力部7を用いて、観察方向である第1の視線方向DAを指定する。
【0085】
(ステップS03)
また、操作者は入力部7を用いてクリッピング面の位置を指定する。具体的には、操作者は入力部7を用いて、基準面Sから第1のクリッピング面までの第1の距離LAと、基準面Sから第2のクリッピング面までの第2の距離LBとを入力する。第1の距離LAと第2の距離LBとが同じ距離の場合には、操作者は第1の距離LAのみを入力するようにしてもよい。一例として、操作者は入力部7を用いて、第1の距離LAと第2の距離LBとで同じ距離L1を入力した場合について説明する。また、操作者は入力部7を用いて、基準面Sから見た第1のクリッピング面の方向(第1の移動方向)を指定する。
【0086】
(ステップS04)
クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向に距離L1離れた面を第1のクリッピング面SA1とする。また、クリッピング面設定部31は、基準面Sから第1の移動方向とは反対方向の第2の移動方向に距離L1離れた面を第2のクリッピング面SB1とする。なお、第1の移動方向が基準面Sに直交している場合、クリッピング面設定部31は、基準面Sに直交する第1の移動方向に距離L1離れた面を第1のクリッピング面SA1とし、基準面Sに直交する第2の移動方向に距離L1離れた面を第2のクリッピング面SB1とする。視線方向設定部32は、第1の視線方向DAを示す情報を受けて、第1の視線方向DAとは反対方向を第2の視線方向DBとする。
【0087】
(ステップS05)
第1の画像生成部41は、第1のクリッピング面SA1から第1の視線方向DAに向かって見える第1の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。
【0088】
(ステップS06)
第2の画像生成部42は、第2のクリッピング面SB1から第2の視線方向DBに向かって見える第2の医用画像データをボリュームデータに基づいて生成する。
【0089】
(ステップS07)
表示制御部5は、第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と、第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを、並べて表示部6に表示させる。
【0090】
(ステップS08)
そして、操作者が入力部7を用いて基準面Sの位置を変えると(ステップS08、YES)、入力部7から入力された基準面Sの新たな座標情報が設定部3に出力される。この場合、上述したステップS02からステップS07までの処理が実行される。
【0091】
(ステップS09)
一方、基準面Sの位置を変えずに(ステップS08、NO)、操作者が入力部7を用いて基準面Sからクリッピング面までの距離を変えると(ステップS09、YES)、入力部7から入力された距離情報が設定部3に出力される。この場合、上述したステップS03からステップS07までの処理が実行される。
【0092】
なお、ステップS07の処理とステップS08の処理とは順番が逆であってもよいし、同時に行われてもよい。基準面Sの位置を変えず、基準面Sからクリッピング面までの距離を変えない場合には(ステップS09、NO)、処理が終了する。
【0093】
以上のように、観察方向である第1の視線方向DAから見た画像と、第1の視線方向DAとは反対方向の第2の視線方向DBから見た画像とを生成して表示することにより、操作者は、互いに反対方向から見た医用画像を比較することが可能となる。また、第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面の位置を徐々に変えることにより、互いに反対方向の医用画像を、視点の位置を変えつつ表示することが可能となる。このように、互いに反対の方向から部位を観察することができるため、複数の部位を容易に比較することができる。
【0094】
この実施形態に係る医用画像処理装置1の使用例として、以下の(1)〜(3)の使用例が考えられる。
(1)例えば右脳と左脳との間に基準面Sを設け、基準面Sから第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを互いに反対方向に徐々に離していくことにより、位置を徐々に変えながら右脳と左脳とを比較することが可能となる。このように左右対称の部位の右側部位と左側部位とを比較して観察したい場合に、左右対称の部位の中心を通る位置に基準面Sを設けることにより、右側部位と左側部位とを容易に比較することが可能となる。
(2)また、腫瘍などの関心領域に基準面Sを設け、基準面Sから第1のクリッピング面及び第2のクリッピング面までの距離を変えることにより、関心領域を前後両方から観察することが可能となる。例えば、第1のクリッピング面から第2のクリッピング面を向いた方向を第1の視線方向とし、第2のクリッピング面から第1のクリッピング面を向いた方向を第2の視線方向とする。これにより、第1の視線方向と第2の視線方向とが重なる領域における組織は、第1の医用画像及び第2の医用画像の両方に表される。そのため、その領域における組織を、第1の視線方向及び第2の視線方向の両方向(前後両方)から観察することが可能となる。
(3)また、心臓の中心に基準面Sを設けることにより、右心室、左心室、右心房、及び左心房を同時に観察することも可能である。
【0095】
なお、医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1の機能を備えていてもよい。
【0096】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 医用画像処理装置
2 画像記憶部
3 設定部
4 画像生成部
5 表示制御部
6 表示部
7 入力部
31 クリッピング面設定部
32 視線方向設定部
41 第1の画像生成部
42 第2の画像生成部
90 医用画像撮影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像撮影装置によって取得されたボリュームデータを受けて、前記ボリュームデータに基づいて医用画像データを生成する医用画像処理装置であって、
前記ボリュームデータに対して第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを設定し、前記ボリュームデータに対して第1の視線方向と前記第1の視線方向とは反対方向の第2の視線方向とを設定する設定手段と、
前記第1のクリッピング面から前記第1の視線方向に向かって見える第1の医用画像データを前記ボリュームデータに基づいて生成する第1の画像生成手段と、
前記第2のクリッピング面から前記第2の視線方向に向かって見える第2の医用画像データを前記ボリュームデータに基づいて生成する第2の画像生成手段と、
前記第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と前記第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを並べて表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記第1のクリッピング面と前記第2のクリッピング面とを同じ位置に設定可能に構成されている、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記ボリュームデータに対する基準面の指定を受けて、前記基準面から第1の方向に第1の距離離れた位置に前記第1のクリッピング面を設定し、前記基準面から前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に第2の距離離れた位置に前記第2のクリッピング面を設定可能に構成されている、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記第1のクリッピング面から前記第2のクリッピング面を向いた方向とは反対方向を前記第1の視線方向として設定し、前記第2のクリッピング面から前記第1のクリッピング面を向いた方向とは反対方向を前記第2の視線方向として設定可能に構成されている、
請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記第1のクリッピング面から前記第2のクリッピング面を向いた方向を前記第1の視線方向として設定し、前記第2のクリッピング面から前記第1のクリッピング面を向いた方向を前記第2の視線方向として設定可能に構成されている、
請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記第1のクリッピング面と前記第2のクリッピング面との移動指示を受けると、前記第1のクリッピング面を前記第1の視線方向に移動させ、前記第2のクリッピング面を前記第2の視線方向に移動させる、
請求項3から請求項5のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記第1のクリッピング面と前記第2のクリッピング面との移動指示を受けると、前記第1のクリッピング面を前記第1の視線方向とは反対方向に移動させ、前記第2のクリッピング面を前記第2の視線方向とは反対方向に移動させる、
請求項3から請求項5のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の距離と前記第2の距離とが等しい、
請求項3から請求項7のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
医用画像撮影装置によって取得されたボリュームデータを受けて、前記ボリュームデータに基づいて医用画像データを生成する医用画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記ボリュームデータに交差する第1のクリッピング面と第2のクリッピング面とを設定し、前記ボリュームデータに対する第1の視線方向と前記第1の視線方向とは反対方向の第2の視線方向とを設定する設定機能と、
前記第1のクリッピング面から前記第1の視線方向に向かって見える第1の医用画像データを前記ボリュームデータに基づいて生成する第1の画像生成機能と、
前記第2のクリッピング面から前記第2の視線方向に向かって見える第2の医用画像データを前記ボリュームデータに基づいて生成する第2の画像生成機能と、
前記第1の医用画像データに基づく第1の医用画像と前記第2の医用画像データに基づく第2の医用画像とを並べて表示装置に表示させる表示制御機能と、
を実行させる医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−88759(P2012−88759A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232366(P2010−232366)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】