説明

医用画像処理装置及びプログラム

【課題】医用画像生成装置毎のデータの送信状況に合わせた単位毎の医用画像データの受信が可能な医用画像処理装置を実現すること。
【解決手段】CPU10は、ユーザの入力部20の操作により設定された受信チャンネル毎のタイムアウト時間をタイムアウト管理テーブル73に記憶する。医用画像データを受信する度に、その受信した受信チャンネルに対応付けられた最終受信時刻を現在時刻62で更新する。次いで、逐次、最終受信時刻と現在時刻との差分がタイムアウト時間を超えたか否かを判定し、タイムアウト時間を超えたと判定した場合には、そのタイムアウト時間を超えたと判定した受信チャンネルにおいて、一検査分の医用画像データを受信したと判別して、受信待機リストテーブル71に記憶してある当該受信チャンネルに対応付けられた医用画像データD3を検像待ちリストテーブル72に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の医用画像生成装置から医用画像データを受信して記憶する医用画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体を撮影して、被写体の画像を含む医用画像データを生成するCT(Computed Tomography)やCR(Computed Radiography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、乳房撮影装置、超音波診断装置等といった様々な医用画像生成装置(以下、「モダリティ」という。)は、各種システムへ統合化される傾向にある。
【0003】
具体的には、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)やRIS(Radiological Information System:放射線情報システム)から患者情報や検査情報を含むオーダー情報が送信され、モダリティは、撮影技師の操作に従ってそのオーダー情報に基づいた撮影を行う。そして、その撮影によって得られた画像を含む医用画像データを、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に基づいたデータ形式で生成した後に、PACS(Picture Archiving and Communication System:画像保管管理システム)にデータ転送する。
【0004】
撮影技師は、医用画像データが転送される前に、オーダー情報通りの撮影を行ったか、医用画像の順序が適切であるか、診断に適した画質の医用画像であるか、医用画像データに含まれる各種情報が正しいか等を事前にチェック・確認する必要がある。このような点から、医用画像データのPACSへの転送前に、当該医用画像データの確認及び修正を行う(以下、医用画像データの確認及び修正するという行為を「検像」という。)ための検像装置の実用化が望まれている。
【0005】
検像装置は、HISやRISから送信されるオーダー情報と、モダリティから送信される医用画像データとを受信し、オーダー情報及び医用画像データを表示出力して、撮影技師がこれらのデータを目視にてチェックして修正・調整を行うための医用画像表示装置である。
【0006】
また、医用画像の撮影においては、同一の検査部位の断層画像が連続的に撮影されたり、同一の検査部位に対して複数のモダリティが使用されたり、造影剤の使用や撮影方法を変えて撮影が行われるため、一つの検査で多数の医用画像データが生成される。このような一つの検査の中で生成される同じ種類のモダリティで撮影された一連の医用画像データの単位をシリーズという。
【0007】
このような単位毎に複数の医用画像の撮影が行われた際には、医用画像の順序や各種情報の整合性をチェックするためにも、その単位毎に検像を行うことが望ましい。このため、検像装置側では、モダリティから送信されてくる検査単位での医用画像データの受信が完了したか否かを判定する必要がある。この受信完了の判定には、最後の医用画像データを受信してから経過した時間からタイムアウトを判定する方法が取られている。
【0008】
また、受信した画像ファイルに含まれるモダリティ側で入力された一検査の総撮影予約画像数の情報と、撮影画像が一検査中の何撮影目の画像であるかの情報とから検査終了を判別する手法も知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−288344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の手法で一検査分の受信完了を判定する場合は、撮影予約画像数の情報と何撮影目の画像であるかの情報との入力が可能な特定のモダリティでのみにしか対応することができず、汎用性に欠けてしまう。このため、様々なモダリティに対して受信完了の判定を行う場合には、上述したようなタイムアウトによって判定を行うことが考えられる。
【0010】
しかし、モダリティによる医用画像データの送信状況は多様である。即ち、例えば、CTの場合、断層画像が連続的に撮影されるため、数秒間隔で医用画像データが送信されてくるが、超音波診断装置等の場合、数分おき程度に断続的に医用画像データが送信されてくるといったように、検像装置に送信されてくる医用画像データの時間間隔がモダリティによって異なる場合があった。このため、単純にタイムアウトの判定時間を一定値に設定した場合に複数のモダリティが接続される環境では、柔軟性が欠け、大変不便な状況となってしまった。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、医用画像生成装置毎のデータの送信状況に合わせた単位毎の医用画像データの受信が可能な医用画像処理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の医用画像処理装置は、
複数の医用画像生成装置から医用画像データを受信する複数の受信手段と、
前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定する設定手段と、
前記複数の受信手段それぞれが前記医用画像データを受信してからの経過時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時された前記受信手段毎の経過時間それぞれが、前記設定手段により前記受信手段毎に設定されたタイムアウト時間を超えたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記タイムアウト時間を超えたと判定された場合は、当該タイムアウト時間を超えたと判定した受信手段によって受信された前記医用画像データをグループ化して記憶する記憶制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、
前記複数の受信手段毎にユーザ操作によって入力されたタイムアウト時間を設定することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、
前記受信手段により受信された医用画像データに含まれる付帯情報に基づいて、前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載のプログラムは、コンピュータを、
複数の医用画像生成装置から医用画像データを受信する複数の受信手段、
前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定する設定手段、
前記複数の受信手段それぞれが前記医用画像データを受信してからの経過時間を計時する計時手段、
前記計時手段により計時された前記受信手段毎の経過時間それぞれが、前記設定手段により前記受信手段毎に設定されたタイムアウト時間を超えたか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記タイムアウト時間を超えたと判定された場合は、当該タイムアウト時間を超えたと判定した受信手段によって受信された前記医用画像データをグループ化して記憶する記憶制御手段、
として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び4に記載の発明によれば、複数の受信手段それぞれが医用画像データを受信してからの経過時間が、設定されたタイムアウト時間を超えたと判定された場合は、そのタイムアウト時間が超えた受信手段によって当該判定までの間に受信された前記医用画像データをグループ化して記憶する。
【0017】
このため、複数の医用画像生成装置毎にタイムアウト時間を設定することができる。従って、医用画像生成装置固有のデータの送信状況に合わせて受信を行うことのできる医用画像処理装置を実現することができる。また、タイムアウト時間を超えたと判定された受信手段によって受信された医用画像データをグループ化して記憶するため、医用画像データをグループ単位で参照でき、検査単位やシリーズ単位といった単位毎の検像を迅速に行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、ユーザ操作によって入力されたタイムアウト時間を設定するため、複数の医用画像生成装置毎に所望のタイムアウト時間の設定が可能になる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、医用画像データに含まれる付帯情報に基づいて、タイムアウト時間を設定するため、当該医用画像データを送信する医用画像生成毎の適切なタイムアウト時間の設定が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の医用画像表示装置を図1の検像装置1に適用した場合の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0021】
〔放射線科システムの概要〕
先ず、検像装置1を有する放射線科システムSの概要について図1を用いて説明する。図1は、放射線科システムSのシステム構成の一例を示すブロック図である。図1によれば、放射線科システムSは、検像装置1と、RIS2と、モダリティM(M1,M2,M3,M4)と、ビューア3と、イメージャ4と、PACS5とが通信ネットワークN2に接続されて、それぞれがデータ通信可能に構成されている。また、RIS2は、院内ネットワークN1を介してHIS6とデータ通信可能に構成されている。
【0022】
HIS(病院情報システム)6は、CPU(Central Processing Unit)や記憶部、入力部、表示部、通信部等を有するコンピュータにより構成され、医療事務会計や診療予約、電子カルテの管理、検査及び薬剤等の各部門へのオーダリング等、病院内の情報を統括的に管理するオーダリングシステムである。
【0023】
HIS6は、医師から放射線科システムSでの撮影依頼を受け付けて、その撮影依頼の内容を含むオーダー情報D1を生成する。そして、そのオーダー情報D1を院内ネットワークN1を介してRIS2に送信する。オーダー情報D1は、撮影を行う患者の氏名やID、性別等の患者情報と、医師がオーダーした検査を識別する検査ID、検査部位、撮影方向及び体位といった検査情報と、撮影を行うモダリティMの種別を含むデータである。
【0024】
RIS(放射線情報システム)2は、CPUや記憶部、入力部、表示部、通信部等を有するコンピュータにより構成され、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行い、放射線科システムS内の情報を統括的に管理するオーダリングシステムである。RIS2はHIS6から送信されたオーダー情報D1を受信し、そのオーダー情報D1に基づいて、撮影を行うモダリティを判別して、当該オーダー情報D1をモダリティMに送信する。また、モダリティMへのオーダー情報D1の送信と共に、検像装置1へも同じオーダー情報D1を送信する。
【0025】
モダリティM(M1,M2,M3,M4)は、CTやCR、MRI、乳房撮影装置、超音波診断装置等であり、撮影技師の操作に従って撮影して得られた画像のデータ信号をDICOM規格に則したデジタルデータに変換して医用画像データD3を生成する。モダリティMは、生成した医用画像データD3を検像装置1に送信する。
【0026】
例えば、CRは、被写体に放射線を照射して、その被写体を透過した放射線をプレート状の輝尽性蛍光体に吸収させる。そして、この輝尽性蛍光体を例えばレーザ光で走査しながら励起することにより、この輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギを発光させ、その発光を光電変換して得られた放射線画像のデータ信号をデジタル変換して被写体の画像データを生成する。
【0027】
図2に、医用画像データD3のデータ構造の一例を示す。図2(a)によれば、医用画像データD3は、付帯情報としてのヘッダ情報D5と画像データD7とを有して構成される。ヘッダ情報D5は、図2(b)に示すように、モダリティ情報D51、検査情報D52及び患者情報D53を有して構成され、例えば、DICOM規格に則ったデータである。尚、図2(b)に示すヘッダ情報D5は、本実施形態において主要なデータを模式化しものであり、他のデータの図示は省略している。
【0028】
モダリティ情報D51は、ヘッダ情報D5に対応付けられた画像データD7の生成を行ったモダリティMの種別を示すデータであり、当該モダリティMにより設定される。検査情報D52は、検査内容を示すデータであり、医師がHIS6からオーダリングした一つの検査に対して割り振られるユニークなIDや検査日時等が含まれる。患者情報D53は、撮影した患者の氏名やID、性別等を含むデータである。これら検査情報D52及び患者情報D53は、RIS2から受信したオーダー情報D1に基づいて設定される。
【0029】
検像装置1は、RIS2から送信されるオーダー情報D1と、モダリティMから送信される医用画像データD3とを受信して、後述する検像待ちリストテーブル72にデータを蓄積していき、撮影技師の検像を待機する。「検像」とは、オーダー情報D1通りの順序及び内容の撮影を行ったか、画像データD7が診断に適した画質であるか、オーダー情報D1とヘッダ情報D5との整合性が取れているか等を医用画像データD3のPACS5への転送する前に確認及び修正する行為である。撮影技師が各医用画像データD3の検像を行うと、当該撮影技師の操作に従ってその医用画像データD3はPACS5に転送される。
【0030】
ビューア3は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成され、医用画像データD3に基づいて医用画像を表示出力する表示装置である。読影医等が再生表示する医用画像データD3を指定すると、その医用画像データD3をPACS5から読み出して再生表示する。
【0031】
イメージャ4は、フィルムデジタイザ等により構成され、医用画像データD3に基づいた医用画像を記録媒体上に画像形成して出力する画像形成装置である。読影医等が画像形成する医用画像データD3を指定すると、その医用画像データD3がPACS5から読み出されて、熱感光フィルム等の記録媒体上に医用画像の画像形成を行って出力する。
【0032】
PACS5は、CR、CT及びMRI等の医用画像生成装置から送信される医用画像データD3を保存管理し、検索やデータ解析を行うデータベースシステムである。PACS5は、CPUや記憶部、通信部等を備えて構成され、検像装置1から受信した医用画像データD3に含まれるヘッダ情報D5に基づいて当該医用画像データD3を例えば、リレーショナルデータベースに蓄積記憶していく。そして、読影医等の操作指示に応じて指定された患者IDや検査ID等を検索キーとして医用画像データD3を検索し、ビューア3やイメージャ4に出力する。
【0033】
〔検像装置の機能構成〕
次に、検像装置1の機能構成について図3〜図5を参照して説明する。図3は、検像装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。図3によれば、検像装置1は、CPU10と、入力部20と、表示部30と、通信部40と、ROM(Read Only Memory)50と、RAM(Random Access Memory)60と、記憶部70とを備えて構成される。
【0034】
CPU10は、各機能部の動作の制御と、機能部間のデータ入出力の制御等を行うことで検像装置1を統括的に管理・制御する制御部である。具体的には、入力部20から入力される操作信号に応じてROM50や記憶部70に格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従った処理を実行する。そして、その処理結果に基づいて、表示部30の表示画面の更新や記憶部70へのデータの記憶、外部機器とのデータ通信等を行う。
【0035】
入力部20は、カーソルキーやテンキー等の各種キー群や、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを備えて構成される。入力部20は、ユーザに押下されたキーに対応する操作信号や、ポインティングデバイスにより指定された画面上の座標位置に対応する操作信号をCPU10に出力する。
【0036】
表示部30は、CRT(Cathode-ray Tube)やLCD等により構成され、CPU10の制御に基づいた表示画面の表示や、医用画像データD3の再生表示等を行う。通信部40は、LANインターフェイス等により構成され、通信ネットワークN2を介して介してRIS2やモダリティM、PACS5等の外部機器との間でデータ通信を行う機能部である。
【0037】
ROM50は、不揮発性の半導体メモリで構成され、各種初期設定、ハードウェアの検査、又は必要なプログラムのロード等を行うための初期プログラムを格納する。RAM60は、書き換え可能な半導体素子で構成され、CPU10が実行する各種プログラムやこれらのプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持する。RAM60は、図3に示すように現在時刻62を記憶する。CPU10は、タイマ機能を有して構成され、現在時刻62の計時を行って、RAM60を逐次更新する。
【0038】
記憶部70は、磁気的、光学的な記憶媒体にデータの読み書きを行う機能部であり、HDD(Hard Disk Drive)等により構成される。図3によれば、記憶部70は、受信待機リストテーブル71と、検像待ちリストテーブル72と、タイムアウト管理テーブル73と記憶している。
【0039】
受信待機リストテーブル71は、通信部40を介してモダリティMから受信した医用画像データD3を、受信チャンネル毎に一時的に蓄積記憶するデータテーブルである。CPU10は、ソフトウェア的に受信チャンネルを管理し、図1に示した複数のモダリティM1,M2,M3,M4・・・とデータ通信を行うに当たり、予め各モダリティMのアドレスを取得し、そのアドレスとの受信チャンネルとを対応付けておく。
【0040】
即ち、図4に示すように、モダリティM1と第1受信チャンネルCH1、モダリティM2と第2受信チャンネルCH2、モダリティM3と第3受信チャンネルCH3、モダリティM4と第4受信チャンネルCH4とを対応付けておき、CPU10は、各モダリティMから送信されてくる医用画像データD3を各々の受信チャンネルで個別に受信する処理を行う。
【0041】
そして、その受信した医用画像データD3を受信チャンネル毎に受信待機リストテーブル71に一時的に記憶していく。また、更に、図4に示すように受信チャンネル毎に後述するタイムアウト判定プロセスP1〜P4を起動して、各受信チャンネルで医用画像データD3を受信してからの経過時間を計時して、その経過時間がタイムアウト時間を超えたか否かを判定することで、一検査分の医用画像データD3を受信したか否かを判別する。
【0042】
尚、受信チャンネルを複数設ける方法としては、CPU10がソフトウェア的に設ける他、例えば、通信部40に受信チャンネルを物理的又は論理的に複数設けてデータ受信を行うこととしてもよく、その構成は適宜変更可能である。
【0043】
検像待ちリストテーブル72は、上述した検像の対象となる医用画像データD3を記憶するデータテーブルであり、RIS2から送信されたオーダー情報D1と、モダリティMから送信された医用画像データD3とを蓄積的に記憶する。
【0044】
CPU10は、受信待機リストテーブル71に一時的に記憶している医用画像データD3のうち、タイムアウト判定プロセスP1〜P4により一検査分受信したと判別した医用画像データD3を検査単位でグループ化して検像待ちリストテーブル72に記憶する。そして、オーダー表示処理や画像表示処理を実行する際に、検像待ちリストテーブル72に記憶されたオーダー情報D1と、そのグループ化された医用画像データD3とを読み出して表示部30に表示する。
【0045】
オーダー表示処理は、オーダー情報D1と、医用画像データD3に含まれるヘッダ情報D5との整合性を撮影技師が確認する際に実行される処理である。CPU10は、オーダー表示処理を開始すると、検像待ちリストテーブル72から、同一の検査情報を含むオーダー情報D1と、医用画像データD3のヘッダ情報D5とを読み出し、このオーダー情報D1が有する患者情報及び検査情報と、ヘッダ情報D5が有する患者情報及び検査情報とをそれぞれ突き合わせて表示部30に表示させる。このとき、撮影技師は、表示された患者情報と検査情報の整合が取れていない場合は、入力部20を操作して適宜修正する。
【0046】
画像表示処理は、医用画像データD3に含まれる画像データD7の撮影状態を撮影技師が確認する際に実行される処理である。CPU10は、画像表示装置を開始すると、検像待ちリストテーブル72から医用画像データD3を読み出して、その医用画像データD3のヘッダ情報D5の内容と、画像データD7に基づいた医用画像とを表示部30に表示させる。撮影技師は、表示された医用画像が診断に適した画質ではないと判断した際には、入力部20を操作して、当該画像データD7に階調(濃度/コントラスト)補正処理や回転・反転処理を行わせる。
【0047】
タイムアウト管理テーブル73は、図5のデータ構成の一例に示すように、CPU10が各モダリティMから医用画像データD3を受信する受信チャンネル74と、タイムアウト時間75と、最終受信時刻76とを記憶するデータテーブルである。タイムアウト時間75は、一検査分の医用画像データD3を受信したか否かの判定基準となる時間であり、ユーザにより設定される。CPU10は、ユーザの入力部20の操作により設定された受信チャンネル74毎のタイムアウト時間75をタイムアウト管理テーブル73に記憶する。
【0048】
最終受信時刻76は、対応付けられた受信チャンネル74において最後に医用画像データD3を受信した時刻であり、CPU10により記憶更新される。CPU10は、医用画像データD3を受信する度に、その受信した受信チャンネル74に対応付けられた最終受信時刻76をRAM60の現在時刻62で更新する。そして、逐次、最終受信時刻76と現在時刻62との差分、即ち医用画像データD3を受信してからの経過時間が、当該最終受信時刻76に対応付けられたタイムアウト時間75を超えたか否かを判定する。
【0049】
CPU10は、タイムアウト時間75を超えたと判定した場合には、そのタイムアウト時間75を超えたと判定した受信チャンネル74において、一検査分の医用画像データD3を受信したと判別して、受信待機リストテーブル71に記憶してある当該受信チャンネル74に対応付けられた医用画像データD3を検像待ちリストテーブル72に記憶すると共に、受信待機リストテーブル71から削除する。このようにして、各モダリティMから受信した医用画像データD3を検査単位でグループ化して記憶する制御を行う。
【0050】
尚、一検査分の医用画像データD3として検像待ちリストテーブル72に記憶することとしたが、例えば、一シリーズ分の医用画像データD3としてグループ化して記憶することしてもよく、その記憶する単位は適宜変更可能である。
【0051】
〔検像装置の具体的な動作〕
次に、検像装置1の具体的な動作について図6のフローチャートを参照して説明する。図6は、CPU10がROM50からプログラムを読み出して生成するタイムアウト判定プロセスPの処理内容を説明するためのフローチャートである。このタイムアウト判定プロセスPは、図4に示す第1〜第4受信チャンネルCH1〜CH4に対応するタイムアウト判定プロセスP1〜P4のように受信チャンネル毎に生成される。
【0052】
先ず、CPU10は、医用画像データD3の受信を行う受信チャンネル74に対応付けられたタイムアウト時間75をタイムアウト管理テーブル73から読み出し(ステップS1)、当該受信チャンネル74から受信した医用画像データD3を受信待機リストテーブル71に記憶する(ステップS3)。
【0053】
そして、RAM60の現在時刻62を最終受信時刻76としてタイムアウト管理テーブル73に記憶した後(ステップS5)、新たな医用画像データD3を受信したか否かを判定する(ステップS7)。CPU10は、新たに医用画像データD3を受信したと判定した場合には(ステップS7;Yes)、ステップS5に処理を移行して、最終受信時刻76を記憶更新する。
【0054】
また、新たに医用画像データD3を受信していないと判定した場合には(ステップS7;No)、現在時刻62から最終受信時刻76を減算した差分の時間が、ステップS1において読み出したタイムアウト時間75を超えたか否かを判定する(ステップS9)。このとき、当該タイムアウト時間75を超えていないと判定した場合には(ステップS9;No)、ステップS7に処理を移行して、新たな医用画像データD3を受信したか否かを判定する。
【0055】
また、タイムアウト時間75を超えたと判定した場合には(ステップS9;Yes)、一検査分の医用画像データD3を受信したと判別して(ステップS11)、そのタイムアウト時間75を超えたと判定した受信チャンネルに対応付けられた医用画像データD3を受信待機リストテーブル71から検像待ちリストテーブル72に書き換え記憶更新する(ステップS13)。
【0056】
例えば、モダリティM1がCTである場合には、タイムアウト時間75を図5に示すように5秒に予め設定しておく。このとき、第1受信チャンネルCH1での医用画像データD3の受信の間隔が5秒を超えた場合には、モダリティM1からの一検査分の医用画像データD3の送信が終了したと判別して、それまでに受信した医用画像データD3を検像待ちリストテーブル72に記憶する。
【0057】
また、モダリティM2が超音波診断装置である場合には、タイムアウト時間75を図5に示すように2分に予め設定しておく。このとき、第2受信チャンネルCH2での医用画像データD3の受信の間隔が2分を超えた場合には、モダリティM2からの一検査分の医用画像データD3の転送が終了したと判別して、それまでに受信した医用画像データD3を検像待ちリストテーブル72に記憶する。
【0058】
以上、本実施形態によれば、受信チャンネル毎にタイムアウト時間75を設定し、各受信チャンネルで医用画像データD3を受信してからの経過時間がタイムアウト時間75を超えた場合には、その受信チャンネルで受信したデータを一検査分の医用画像データD3として検像待ちリストテーブル72に記憶する。これにより、ユーザは、モダリティM毎に各々のタイムアウト時間75を設定することができるため、様々なモダリティMのデータの送信間隔に合わせて医用画像データD3を受信することができる。
【0059】
また、異なるモダリティMから送信された医用画像データD3を混同して記憶してしまうことを防止することができる。また、検像待ちリストテーブル72には、検査単位でグループ化された医用画像データD3が記憶されるため、検査単位で医用画像データD3を参照することができ、検像を迅速に行うことができる。
【0060】
尚、上述した実施形態では、タイムアウト時間75をユーザの入力部20の操作に従って設定することとしたが、例えば、医用画像データD3が有するヘッダ情報D5に従って設定することとしてもよい。
【0061】
具体的には、例えば、ヘッダ情報D5に含まれるモダリティMの種別が「CT」を示す場合には、タイムアウト時間75を5秒に設定し、「超音波診断装置」を示す場合には、タイムアウト時間75を2分に設定する。これにより、上述した実施形態と同様の効果が得られるのは勿論、受信するモダリティMの種別に従ったタイムアウト時間75が設定されるため、ユーザが設定する手間が省ける。
【0062】
また、ヘッダ情報D5に含まれる検査情報D52が「胸部」を示す場合には、タイムアウト時間75を1分に設定し、「造影検査」を示す場合には5分に設定するように、検査情報D52に従って設定することとしてもよく、モダリティMで行われている検査に従ったタイムアウト時間75を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】放射線科システムのシステム構成の一例を示すブロック図。
【図2】医用画像データのデータ構成の一例を示す図。
【図3】検像装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【図4】モダリティ、受信チャンネル及びタイムアウト判定プロセスの対応関係の一例を示す図。
【図5】タイムアウト管理テーブルのデータ構成の一例を示す図。
【図6】タイムアウト判定プロセスの具体的な処理内容を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0064】
M1,M2,M3,M4 モダリティ
1 検像装置
10 CPU
20 入力部
30 表示部
40 通信部
50 ROM
60 RAM
62 現在時刻
70 記憶部
71 受信待機リストテーブル
72 検像待ちリストテーブル
73 タイムアウト管理テーブル
74 受信チャンネル
75 タイムアウト時間
76 最終受信時刻
D3 医用画像データ
P タイムアウト判定プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医用画像生成装置から医用画像データを受信する複数の受信手段と、
前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定する設定手段と、
前記複数の受信手段それぞれが前記医用画像データを受信してからの経過時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時された前記受信手段毎の経過時間それぞれが、前記設定手段により前記受信手段毎に設定されたタイムアウト時間を超えたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記タイムアウト時間を超えたと判定された場合は、当該タイムアウト時間を超えたと判定した受信手段によって受信された前記医用画像データをグループ化して記憶する記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
前記複数の受信手段毎にユーザ操作によって入力されたタイムアウト時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、
前記受信手段により受信された医用画像データに含まれる付帯情報に基づいて、前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
複数の医用画像生成装置から医用画像データを受信する複数の受信手段、
前記複数の受信手段それぞれのタイムアウト時間を設定する設定手段、
前記複数の受信手段それぞれが前記医用画像データを受信してからの経過時間を計時する計時手段、
前記計時手段により計時された前記受信手段毎の経過時間それぞれが、前記設定手段により前記受信手段毎に設定されたタイムアウト時間を超えたか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記タイムアウト時間を超えたと判定された場合は、当該タイムアウト時間を超えたと判定した受信手段によって受信された前記医用画像データをグループ化して記憶する記憶制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−286802(P2007−286802A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111894(P2006−111894)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】