説明

医用画像処理装置

【課題】医用画像の各種条件に適したモジュールで構成されたアプリケーションを用いて該医用画像に対し画像処理を行う医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】医用画像に対応する少なくとも検査装置及び検査部位を含む画像関連情報を記憶している関連情報記憶部003と、画像処理要求を受ける処理要求受付部001と、医用画像に対応する画像関連情報を関連情報記憶部003から取得する関連情報取得部002と、機能モジュールを複数記憶しているモジュール記憶部005と、画像関連情報を基に機能モジュールを選択するモジュール選択部004と、機能モジュールを組み合わせてアプリケーションを生成し、該アプリケーションを使用して画像処理を行う画像処理部006と、医用画像を表示部011に表示させる表示制御部008と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種モダリティで撮像し作成したデータに対し画像処理を行うアプリケーションを用いて画像処理を行い生成した医用画像を表示する医用画像処理装置に関する。さらに詳しくは、実行する処理のうち一部の処理の変更が可能なアプリケーションを使用した画像処理を行う医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置など各種医用画像撮影装置(「モダリティ」とも呼ばれる)の進歩により、撮影される画像の種別が増加している。さらに、医師などの操作者が医用画像を観察するための医用画像処理装置において、医用画像撮像装置で撮影された医用画像データに対して画像処理を行い、この画像処理を行った医用画像データを表示する医用画像処理装置で実行されるアプリケーション(プログラム)の種別も増加の一途をたどっている。
【0003】
また、画像処理を実行するアプリケーションは、細分化された複数の処理で構成されている。そして、その一部の処理を行うアプリケーションの一部分を機能モジュール(単に「モジュール」ということもある。)という。すなわち、機能モジュールを複数組み合わせてアプリケーションが構成されている。例えば、この機能モジュールには、画像処理を行う機能モジュール、画像を表示する機能モジュールデータを取得する機能モジュールなどといったものがある。アプリケーション全体の処理としては、データを取得する機能モジュールが外部から医用画像のデータを取得し、画像処理を行う機能モジュールはデータを取得する機能モジュールからデータを受けてデータに対し画像処理を施し、画像を表示する機能モジュールは画像処理を施したデータを受けてそのデータを基に医用画像を表示するといったことが行われる。この様に各機能モジュール間でデータの受け渡しが行われる。近年、この機能モジュール間におけるデータの受け渡しを行うためのインタフェースの統一が図られてきている。このような機能モジュールのインタフェースの統一により、アプリケーション全体でなく、アプリケーションの一部の処理を行う機能モジュールを供給することが行われることになる。そして、各アプリケーションは内部の機能モジュールを変更することで行う処理を変更することが可能となる。これら機能モジュールは供給元毎に僅かな差異を有するものとなっており、その僅かな差異によって画像処理を行おうとする医用画像に対して、より適した処理を行うことが可能となる。
【0004】
このような状況により、臨床の現場では、画像ごとに最も適した機能モジュールで構成されたアプリケーションを使用することが可能になっている。しかしながら、多数ある機能モジュールの組み合わせの中から、最適な機能モジュールを選択し、処理する医用画像に適したアプリケーションとして実行することは多くの知識と熟練した技術が必要となる。そのため、必ずしも最適とは言えない機能モジュールで構成されたアプリケーションが固定的に使用されるおそれがある。
【0005】
従来、医用画像の処理や表示の操作性を向上させる技術として、順次読影すべき検査対象医用診断画像を高速に連続的に表示していく技術(例えば、特許文献1参照。)や、タッチパネルを用いて入力されたタッチ入力信号の種別を判断し、該種別に応じた医用画像の表示形態を選択する技術(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−110202号公報
【特許文献2】特開2007−29341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1や特許文献2は、いずれも単一の画像処理や表示を行うアプリケーションを前提としており、検査装置種別や画像種別などの条件に応じて起動させるプログラムを切り替えることは行われない。そのため、処理しようとする医用画像に応じて適した機能モジュールを有するアプリケーションを用いて処理を行うことは困難である。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、医用画像の各種条件に適した機能モジュールで構成されたアプリケーションを用いて該医用画像に対し画像処理を行う医用画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医用画像処理装置は、外部の医用画像診断装置で撮像された医用画像に対応する少なくとも検査装置種別及び検査部位を含む画像関連情報を記憶している関連情報記憶手段と、画像処理に含まれる一連の処理を構成するそれぞれ異なる種類の処理を行うプログラムである機能モジュールを、前記異なる種類の処理毎に複数記憶しているモジュール記憶手段と、特定の前記医用画像の画像処理要求を受ける処理要求受付手段と、前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報を前記関連情報記憶手段から取得する関連情報取得手段と、前記取得した前記特定の医用画像に対応する画像関連情報を基に機能モジュールを選択するモジュール選択手段と、前記選択された機能モジュールを組み合わせて前記特定の医用画像の前記一連の画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理が行われた前記特定の医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の医用画像処理装置は、画像処理の要求を受けた特定の医用画像に対応する画像関連情報を基に処理を行う機能モジュールを自動的に選択し、その選択した機能モジュールを用いて画像処理を行う構成である。これにより、特定の医用画像に対する画像処理を実行するに際し、自動的に適切な機能モジュールを用いて画像処理を実行することが可能となり、操作者による処理する医用画像に対応した機能モジュール選択の手間を削減することが可能となる。したがって、請求項1に記載の医用画像処理装置は、操作者の負荷を軽減及び画像処理の時間の短縮による効率化に寄与することが可能となる。また、操作者が機能モジュールの選択を行う必要がないため、操作者に特別な知識がなくても適した機能モジュールを使用できる環境を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る医用画像処理装置のブロック図
【図2】DICOMのタグの情報の一例を示す図
【図3】アプリケーション及び機能モジュールを説明するための図
【図4】第1の実施形態に係る対応テーブルの一例の図
【図5】第1の実施形態に係る医用画像処理装置における画像処理のフローチャートの図
【図6】第2の実施形態に係る対応テーブルの一例の図
【図7】第3の実施形態に係る対応テーブルの一例の図
【図8】推奨度表の一例の図
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。図1は本発明に係る医用画像処理装置の機能を表すブロック図である。ただし、本実施形態に係る医用画像処理装置は、図1における点線で表わされる推奨情報管理部012は有さない。この推奨情報管理部012については第4の実施形態で説明する。
【0013】
ユーザインタフェース009は、入力部010及び表示部011を有している。操作者は、表示部011に表示されている画像や入力画面を参照し、入力部010を用いて医用画像処理装置への入力を行う。この表示部011が本発明おける「表示手段」にあたる。
【0014】
画像記憶部007は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。画像記憶部007は、超音波診断装置、MRI装置、X線CT装置などの画像診断装置(モダリティ)で撮像された医用画像の画像データを各医用画像の識別情報とともに予め記憶している。
【0015】
関連情報記憶部003は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。関連情報記憶部003は、前述の画像診断装置で撮像された医用画像の識別情報に対応させて、該医用画像に関連する画像関連情報を記憶している。この画像関連情報はDICOM規格に準拠して医用画像の付帯情報として記憶されている。すなわち、DICOMで規定されている識別情報であるタグを付して各画像関連情報を記憶している。このタグとは、図2に示すような情報である。ここで、図2はDICOMのタグの情報の一例を示す図である。例えば、タグ201で示す(0008,0016)というタグに対応する情報としては、内容202で示すSOPクラスUIDという情報が記憶されている。本実施形態では、関連情報記憶部003は、画像関連情報として、検査装置種別、検査部位、検査目的、画像種別、及び画像サイズを記憶している。図2において内容として「モダリティ」と記載されている情報は、医用画像を撮像した検査装置の種類(検査装置種別)を示している。ここで、関連情報記憶部003が記憶する画像関連情報としては特に制限はなく、医用画像に関連している情報であればどのようなものでもよい。この関連情報記憶部003が本発明における「関連情報記憶手段」にあたる。
【0016】
処理要求受付部001は、入力部010から医用画像の画像処理要求を受け付ける。この入力部010からの画像処理要求には医用画像の識別情報が含まれている。処理要求受付部001は、関連情報取得部002へ取得した医用画像の識別情報を出力する。この処理要求受付部001が本発明における「処理要求受付手段」にあたる。
【0017】
関連情報取得部002は、ハードディスクやメモリなどの記憶領域を有している。そして、関連情報取得部002は、自己の記憶領域に使用する画像関連情報に対応するタグの情報を記憶している。本実施形態では、画像関連情報として検査装置の種類を使用するので、図2に記載されたモダリティに対応するタグ(0008,0060)を記憶している。関連情報取得部002は、処理要求受付部001から医用画像の識別情報の入力を受ける。関連情報取得部002は、取得した医用画像の識別情報及び画像関連情報のタグの情報を基に、関連情報記憶部003を参照する。そして、関連情報取得部002は、識別情報に対応した医用画像の付帯情報の中からタグの情報に対応する画像関連情報を抽出し取得する。例えば、関連情報取得部002は、医用画像の識別情報と共にタグ(0008,0060)を基に関連情報記憶部003を参照して、その医用画像を生成した検査装置の種類を取得する。関連情報取得部002は、取得した画像関連情報及びそのタグの情報をモジュール選択部004へ出力する。ここで、本実施形態ではタグの情報を出力しているが、出力するのは画像関連情報のみでもよい。この関連情報取得部002が本発明における「関連情報取得手段」にあたる。
【0018】
モジュール記憶部005は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。モジュール記憶部005は、画像処理に含まれる一連の処理のうちの一部の処理を行う機能モジュールを複数記憶している。このモジュール記憶部005が本発明における「モジュール記憶手段」にあたる。
【0019】
ここで、機能モジュールについて詳細に説明する。3D画像の再構成などといった画像処理を行うアプリケーションは、一つのアプリケーションが医用画像の画像データを受け取り、その画像データに加工処理を施し、加工処理を施した画像データを表示させるという一連の動作を行っている。この画像処理を行うアプリケーションについてより詳しく見ると、一つのアプリケーションは医用画像の画像データに対する画像処理を行うにあたり複数の処理を実行することで一連の画像処理を行っている。例えば、図3のように、アプリケーション340が行う処理は、310で示すAという種類の処理、320で示すBという種類の処理、及び330で示すCという種類の処理の組み合わせで構成されている。図3は、アプリケーション及び機能モジュールを説明するための図である。その個々の処理を行う個々のプログラムを機能モジュールという。すなわち、図3ではAという種類の処理を行う機能モジュール、Bという種類の処理を行う機能モジュール、Cという種類の処理を行う機能モジュールによってアプリケーション340が構成される。言い換えると、医用画像の画像データに対し個々の機能モジュールが順次処理を行っていくことで医用画像に対する処理を完了する。具体的な例としては、機能モジュールには、画像データを取得する機能モジュール、データに対し加工処理を行う機能モジュール、表示を指示する機能モジュールなどがある。そして、各機能モジュールが画像データを受け取り、自己が行う処理を実施した後に次の処理を行う機能モジュールに自己の処理を施した画像データを渡す。そして、図3に示すように、個々の異なる種類の処理毎に機能モジュールが複数存在する。具体的には、Bという種類の処理に対してモジュールB1、モジュールB2、モジュールB3といったように複数の機能モジュールが存在する。たとえば、Bが画像の加工処理という種類の機能モジュールとすると、その機能モジュールとして、3D画像の再構成を行う機能モジュール、CAD処理を行う機能モジュール、血管抽出を行う機能モジュールなどがある。
【0020】
この機能モジュールとしては、ほぼ同じような処理を行う機能モジュールが複数記憶されていてもよい。なぜなら、例えば、ボリュームデータである画像データを基に3D画像を再構成するような処理においても、再構成方法には複数の処理方法が存在し、基となるボリュームデータの種類に応じて適切な処理方法が異なる場合がある。そのため、ほぼ同じような処理を行う機能モジュールであっても異なる処理方法を実施する機能モジュールが存在するため、モジュール記憶部005は、それら同じような処理を行うが差異を有する機能モジュールをそれぞれ記憶することになる。
【0021】
この様な機能モジュールの組み合わせによって構成されるアプリケーションにより、様々な画像処理を行うことができる。具体的には、図3の様に、Aという処理を行う機能モジュールとして311に示すモジュールA1を、Bという処理を行う機能モジュールとして321に示すモジュールB3を、Cという処理を行う機能モジュールとして331に示すモジュールC2を選択し、それらを組み合わせて(以下では、機能モジュールの組み合わせを「A+B+C」と表す。)、A1+B3+C2で構成されるアプリケーション341とする。そして、特定の機能モジュールを他の機能モジュールと交換することで、異なる処理を行うアプリケーションとすることができる。例えば、上述したアプリケーション341の機能モジュールのうちのモジュールB3をモジュールB2に交換すると、A1+B2+C2で構成されるアプリケーションとすることができる。このアプリケーションは、アプリケーション341と比べると、Bという種類の処理の部分が異なるアプリケーションとなっている。具体的には、画像データを受け取る機能モジュール、加工処理を行う機能モジュール、及び表示を支持する機能モジュールがある場合、加工処理を行う機能モジュールを交換することで、異なる加工処理を行うアプリケーションとすることが可能である。
【0022】
モジュール選択部004は、ハードディスクやメモリなどの記憶領域を有している。そして、モジュール選択部004は、図4のようなタグと画像関連情報とモジュール識別情報が記載された対応テーブルを記憶している。図4は本実施形態に係る対応テーブルの一例の図である。ここで、本実施形態では対応テーブルにタグの情報も記載しているが、このタグの情報は対応テーブルに記載されていなくてもよい。そして、本実施形態では、モジュール選択部004は、図4に示す対応テーブルだけを記憶している。また、本実施形態では、図3に示すA及びCという種類の処理については、それぞれモジュールA1及びモジュールC1を固定的に使用することとする構成である。すなわち、本実施形態ではBという種類の処理を行う部分のみの変更が可能な構成になっている。この固定的にモジュールA1及びモジュールC1を使用するという情報は、予めモジュール選択部004が記憶している。ここで、本実施形態では説明をわかり易くするために図3の220で示されるBという種類の処理の部分だけ変更できる構成にしているが、これは他の部分を変更できる構成もしくはそれらの組み合わせにしてもよい。
【0023】
モジュール選択部004は、関連情報取得部002からタグの情報及び画像関連情報の入力を受ける。モジュール選択部004は、取得したタグの情報及び画像関連情報を基に対応するモジュール識別情報を取得する。例えば、モジュール選択部004が、画像関連情報としてCT、タグの情報として(0008,0006)を取得した場合、モジュール選択部004は、モジュール識別情報として、モジュールB2の識別情報を取得する。そして、モジュール選択部004は、モジュールB2の識別情報を基にモジュール記憶部005からモジュールB2を取得する。また、モジュール選択部004は、固定的に使用すると決められているモジュールA1及びモジュールC1をモジュール記憶部005から取得する。
【0024】
モジュール選択部004は、選択した機能モジュールである、モジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を画像処理部006へ出力する。このモジュール選択部004が本発明における「モジュール選択手段」にあたる。
【0025】
画像処理部006は、モジュール選択部004から、モジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1の入力を受ける。画像処理部006は、入力されたモジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を組み合わせてA1+B2+C1という組み合わせを構成する。
【0026】
画像処理部006は、入力部010より入力された処理要求を受けた医用画像の識別情報を基に、画像記憶部007を参照し、識別情報に対応する医用画像を取得する。画像処理部006は、取得した医用画像に対し、生成したA1+B2+C1という機能モジュールの組み合わせを用いて画像処理を行い、表示制御部008に対し加工処理を施した医用画像ともに表示要求を出力する。この画像処理部006が本発明における「画像処理手段」にあたる。
【0027】
表示制御部008は、表示制御部008から医用画像及び表示要求の入力を受ける。そして、表示制御部008は、表示要求に基づいて表示部011に医用画像を表示させる。この表示制御部008が本発明における「表示制御手段」にあたる。
【0028】
次に、図5を参照して本実施形態に係る医用画像処理装置における画像処理の動作を説明する。ここで、図5は本実施形態に係る医用画像処理装置における画像処理のフローチャートの図である。
【0029】
ステップS001:処理要求受付部001は、操作者が入力部010を利用して入力した医用画像の識別情報を含む該医用画像の画像処理の要求を受信する。処理要求受付部001は、受信した医用画像の識別情報及び画像処理の要求を関連情報取得部002へ出力する。
【0030】
ステップS002:関連情報取得部002は、処理要求受付部001から医用画像の識別情報及び画像処理の要求の入力を受ける。関連情報取得部002は、入力された医用画像の識別情報及び自己が記憶している機能モジュールの選択に使用するDICOMのタグの情報を基に関連情報記憶部003を検索し、画像処理要求を受けた医用画像の画像関連情報のうちタグの情報と一致する画像関連情報を抽出し、取得する。関連情報取得部002は、タグの情報及び取得した画像関連情報をモジュール選択部004へ出力する。
【0031】
ステップS003:モジュール選択部004は、関連情報取得部002からタグの情報及び画像関連情報の入力を受ける。モジュール選択部004は、入力されたタグの情報及び画像関連情報を基に、予め記憶している対応テーブルを参照し、画像関連情報に対応するモジュール識別情報を抽出する。
【0032】
ステップS004:モジュール選択部004は、抽出したモジュール識別情報を基に、モジュール記憶部005を参照し、識別情報に対応する機能モジュールを抽出し取得する。また、モジュール選択部004は、予め記憶している固定的に使用するモジュール識別情報を基に、対応する機能モジュールを取得する。そして、モジュール選択部004は、取得した機能モジュールを画像処理部006へ出力する。
【0033】
ステップS005:画像処理部006は、モジュール選択部004から機能モジュールの入力を受ける。
【0034】
ステップS006:画像処理部006は、操作者から入力された画像処理を行う医用画像の識別情報を基に、画像記憶部007を参照し、該医用画像の画像データを抽出し取得する。
【0035】
ステップS007:画像処理部006は、取得した医用画像の画像データに対し、入力された各機能モジュールを組み合わせて画像処理要求のあった医用画像に対して画像処理を行う。画像処理部006は、表示制御部008へ加工処理を施した医用画像の画像データと共に医用画像の表示命令を出力する。
【0036】
ステップS008:表示制御部008は、画像処理部006から医用画像の画像データ及び医用画像の表示命令の入力を受ける。表示制御部008は、表示命令に基づき、表示部011に医用画像を表示させる。
【0037】
ここで、ステップS005とステップS006は説明の都合上、ステップS005を行った後にステップS006を行うように説明したが、この各ステップの順序は逆でもよく、また並行して行われてもよい。
【0038】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、画像処理要求のあった医用画像に対応する画像関連情報を基に、機能モジュールを自動的に選択し、その選択した機能モジュールを組み合わせて該医用画像の画像処理を行う構成である。これにより、画像処理要求があった医用画像に対して適切な機能モジュールを自動的に選択することができ、操作者が都度複数ある機能モジュールの中から画像処理を行いたい医用画像の画像データに適した機能モジュールを探す手間を省くことができる。これにより、医用画像に対する画像処理の効率を向上させることが可能となる。
【0039】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、各画像関連情報に基づいて選択対象となる機能モジュールに点数を付してその点数の合計が最も高い機能モジュールを選択する構成であることが第1の実施形態と異なるものである。そこで、以下では機能モジュールの選択について主に説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置における機能を表すブロック図も図1で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0040】
本実施形態に係るモジュール選択部004は、図6に記載されている対応テーブルを記憶している。ここで、図6は本実施形態に係る対応テーブルの一例の図である。図6の対応テーブルは第1の実施形態で用いた図4の対応テーブルと異なり、画像関連情報に対応する各モジュール識別情報に対しスコア(点数)が付されている。このスコアはその画像関連情報に対しその機能モジュールがどの程度適しているかを表す数であり、点数が高いほどより適していることを表している。すなわち、モジュール記憶部005が記憶している機能モジュールの中には、ある画像関連情報を有する画像データに対して処理を行える機能モジュールは1つとは限らず、複数の機能モジュールが処理を行える場合がある。その場合、その画像関連情報の内容に応じて処理を行わせることがより適している機能モジュールが存在する。そこで、画像関連情報毎により処理を行わせることが適している機能モジュールに対し高い点数を付すことで、その画像関連情報に対する機能モジュールの適性の程度を表す。たとえば、図6に示すように、画像関連情報601及び画像関連情報602はともにMRIである。このMRIの画像データに対し画像処理を実行できる機能モジュールとしてモジュール識別情報603で表わされるモジュールB1及びモジュール識別情報604で表わされるモジュールB2の2つが存在している。そして、それぞれの機能モジュールの点数はスコア605としてモジュールB1は10点、スコア606としてモジュールB2は20点が付されている。すなわち、MRIの画像データに対してモジュールB1及びモジュールB2ともに画像処理を実施することができるが、モジュールB2の方がMRIの画像データを処理するにはより適した機能モジュールであることを図6の対応テーブルは表している。以下では、モジュール識別情報に付されている点数を表す時には、「モジュールB1(10)」というように、モジュール識別情報の後ろのカッコ内に付されている点数を記載する。ここで、本実施形態では、説明を簡単にするために、画像関連情報として検査装置の種類及び検査部位を使用しているが、これは画像サイズなどの他の画像関連情報を使用してもよいし、またそれら使用する画像関連情報をどのように組み合わせてもよい。
【0041】
モジュール選択部004は、関連情報取得部002からタグの情報及び画像関連情報の入力を受ける。本実施形態では、機能モジュールを選択するための画像関連情報として検査装置の種類及び検査部位を使用するので、モジュール選択部004は、関連情報取得部002から検査装置の種類及び検査部位の情報の入力を受ける。以下の説明では、モジュール選択部004が、検査装置の種類として「MRI」、検査部位として「腹部」という情報を受け取った場合で説明する。
【0042】
モジュール選択部004は、入力された画像関連情報であるMRI及び腹部を基に、自己が記憶している図6に示す対応テーブルを参照する。そして、モジュール選択部004は、MRIに対応するモジュール識別情報として、モジュールB1(10)及びモジュールB2(20)を取得する。また、モジュール選択部004は、腹部に対応するモジュール識別情報として、モジュールB1(10)及びモジュールB2(15)を取得する。そして、モジュール選択部004は、取得したモジュール識別情報に対応する点数をそれぞれモジュール識別情報毎に合計する。ここでは、モジュールB1の点数が20点、モジュールB2の点数が35点となる。そして、モジュール選択部004は、点数が最も高いモジュール識別情報を選択する。ここでは、モジュールB2の方がモジュールB1よりも合計点が高いため、モジュール選択部004は、モジュールB2を選択する。ここで、本実施形態では、2つのモジュール識別情報が抽出された場合で説明しているが、実際にはもっと多くのモジュール識別情報が抽出されてもよく、その場合にもモジュール選択部004は最も合計点が高いモジュール識別情報を選択することで機能モジュールの選択を行う。
【0043】
また、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、モジュール選択部004は、固定的に使用するモジュール識別情報として、モジュールA1及びモジュールC1を予め記憶している。ここでも、第1の実施形態と同様に説明をわかり易くするためにBという種類の処理の部分だけ変更できる構成にしているが、これは他の部分を変更できる構成もしくはそれらの組み合わせにしてもよい。
【0044】
そこで、モジュール選択部004は、予め記憶しているモジュール識別情報であるモジュールA1並びにモジュールC1、及び選択したモジュール識別情報であるモジュールB2を基に、モジュール記憶部005を検索し、モジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を取得する。
【0045】
モジュール選択部004は、取得したモジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を画像処理部006へ出力する。
【0046】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、複数の機能モジュールが選択された場合にそれらの中で付されている点数の合計がもっとも高い機能モジュールを選択する構成である。これにより、ある医用画像の画像データに対して複数の機能モジュールが処理を行える場合でも、その中からその画像データの処理を行う機能モジュールとして、より適した機能モジュールを選択することが可能となる。
【0047】
〔第3の実施形態〕
以下、この発明の第3の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、各画像関連情報に基づいて選択対象となる機能モジュールのうち操作者の指定した機能モジュールを選択する構成であることが第1及び第2の実施形態と異なるものである。そこで、以下では、第2の実施形態を基にした医用画像処理装置の場合で、機能モジュールの選択について主に説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置における機能を表すブロック図も図1で表わされる。以下の説明では、第2の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0048】
本実施形態に係るモジュール選択部004は、図7に記載されている対応テーブルを記憶している。ここで、図7は本実施形態に係る対応テーブルの一例の図である。図7の対応テーブルは第2の実施形態で用いた図6の対応テーブルと異なり、画像関連情報に対応する各モジュール識別情報に対し操作者の識別情報が付されている。この操作者の識別情報は、識別情報に対応する操作者が特定の画像関連情報に対してどの機能モジュールを使用することを要求しているかを示している。画像処理のアプリケーションは専門性が高いため、同一施設内の操作者であっても各操作者の過去の経験によって利用を希望する機能モジュールが異なる場合がある。そのため、操作者が希望する画像関連情報とモジュール識別情報との対応に対して、利用者の識別情報を付しておくことにより、特定の画像関連情報に対して操作者が希望する機能モジュールを判定できる。
【0049】
例えば、図7に示すように、画像関連情報701及び画像関連情報702はともにMRIである。このMRIの画像データに対し画像処理を実行できる機能モジュールとしてモジュール識別情報703で表わされるモジュールB1及びモジュール識別情報704で表わされるモジュールB2の2つが存在している。そして、MRIとモジュールB1の組に705のように操作者IDとしてXXXが付されており、MRIとモジュールB2の組に706のように操作者IDとしてYYYが付されている。これにより、MRIの画像データに対してモジュールB1を使用することを操作者IDがXXXである操作者が指定しており、MRIの画像データに対してモジュールB2を使用することを操作者IDがYYYである操作者が指定していることが判別できる。ここで、本実施形態では、説明を簡単にするために、画像関連情報として検査装置の種類及び検査部位を使用しているが、これは画像サイズなどの他の画像関連情報を使用してもよいし、またそれら使用する画像関連情報をどのように組み合わせてもよい。
【0050】
この操作者の識別情報は操作者の機能モジュール使用の履歴を基に自動的に対応テーブルに記載してもよいし、操作者からの入力を受けて対応テーブルに記載してもよい。本実施形態では、予め各操作者からの入力を受けて対応テーブルに記載しているものとする。さらに、対応テーブルにおける操作者の情報は固定的に管理してもよいし、自動的に更新するように構成してもよい。
【0051】
モジュール選択部004は、入力部010から操作者の識別情報を取得する。ここで、操作者の識別情報はモジュール選択部004が他の機能部(例えば、処理要求受付部001)から取得する構成でもよい。さらに、モジュール選択部004は、関連情報取得部002からタグの情報及び画像関連情報を取得する。以下では、モジュール選択部004が、操作者の識別情報として「XXX」、画像関連情報として、「MRI」及び「腹部」という情報を受けた場合で説明する。
【0052】
モジュール選択部004は、操作者ID「XXX」、検査装置の種類「MRI」、検査部位「腹部」という情報を基に、対応テーブルを参照する。モジュール選択部004は、まず画像関連情報が「MRI」で操作者ID「XXX」が付されているモジュール識別情報であるモジュールB1を抽出する。さらに、モジュール選択部004は、まず画像関連情報が「腹部」で操作者ID「XXX」が付されているモジュール識別情報であるモジュールB1を抽出する。この場合、操作者ID「XXX」の操作者はいずれもモジュールB1を指定しているので、モジュール選択部004は、モジュールB1の識別情報を抽出する。
【0053】
また、本実施形態でも第2の実施形態と同様に、モジュール選択部004は、固定的に使用するモジュール識別情報として、モジュールA1及びモジュールC1を予め記憶している。ここでも、第1の実施形態と同様に説明をわかり易くするためにBという種類の処理の部分だけ変更できる構成にしているが、これは他の部分を変更できる構成もしくはそれらの組み合わせにしてもよい。
【0054】
そこで、モジュール選択部004は、予め記憶している識別情報であるモジュールA1並びにモジュールC1、及び選択したモジュール識別情報であるモジュールB2を基に、モジュール記憶部005を検索し、モジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を取得する。
【0055】
モジュール選択部004は、取得したモジュールA1、モジュールB2、及びモジュールC1を画像処理部006へ出力する。
【0056】
以上では、いずれも操作者が同じ機能モジュールを指定している場合で説明したが、操作者の指定が異なる場合がある。たとえば、画像関連情報として「MRI」及び「頭部」が入力された場合には、操作者IDがXXXの操作者は、「MRI」に対してモジュールB1、「頭部」に対してモジュールB2を指定し、その指定している機能モジュールが異なっている。この場合には、第2の実施形態と同様にモジュール選択部004は、選択したモジュール識別情報に付された点数の合計を計算し、最も高い点数となったモジュール識別情報を選択する。前述の「MRI」及び「頭部」の場合には、モジュールB1の合計点が25、モジュールB2の合計点が30であるので、モジュール選択部004は、モジュールB2の識別情報を取得する。また、操作者の指定がない場合にも、モジュール選択部004は、同様に点数の合計を計算し最も点数の高いものを選択する。
【0057】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、操作者が指定する機能モジュールを優先的に使用する構成である。これにより、個々の操作者に適した機能モジュールの選択が自動的に行え、各操作者の医用画像に対する画像処理の利便性を向上させることが可能となる。
【0058】
また、以上の説明では、操作者を識別する情報として一人を一意に識別する情報を用いたが、複数の操作者を含むグループを作成し、そのグループの識別情報を用いてもよい。
【0059】
以上の説明における操作者の識別情報としては、診療科を識別するコードなどを利用してもよい。また、操作者のグループの識別情報としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と呼ばれるネットワーク上に構築されたコミュニティの識別番号など医療施設外で定義される識別番号を用いてもよい。
【0060】
〔第4の実施形態〕
以下、この発明の第4の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、各操作者がいずれの機能モジュールを推奨するかという統計を取り、より多くの操作者が推奨する機能モジュールを優先的に使用する構成であることが第1乃至第3の実施形態と異なるものである。そこで、以下では、機能モジュールの推奨方法及び、機能モジュールの選択について主に説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置における機能を表すブロック図も図1で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0061】
本実施形態に係る医用画像処理装置は第1の実施形態に係る医用画像処理装置に図1の点線で表わされる推奨情報管理部012を追加したものである。この推奨情報管理部012が本発明における「推奨情報管理手段」にあたる。
【0062】
操作者は、自己の経験や技術資料などから得た情報を基に、特定の画像関連情報と特定の機能モジュールとの推奨される組み合わせを、入力部010を用いて推奨情報管理部012へ入力する。この推奨される組み合わせの入力は、表示制御部008が予め記憶しているフォーマットを基に表示部011に表示させた入力画面を参照して入力を行う。この入力画面としては、例えば画像関連情報とモジュール識別情報との組み合わせが選択可能に複数表示されており、個々の組み合わせに対し推奨ボタンが配置されているような構成で構成されている。そして、操作者が推奨する組み合わせに対応する推奨ボタンを押下することで、その組み合わせに対する推奨の情報が推奨情報管理部012へ送信される。
【0063】
推奨情報管理部012は、ハードディスクやメモリなどの記憶領域を有している。そして、推奨情報管理部012の記憶領域には、図8のような推奨度表を記憶している。ここで、図8は推奨度表の一例の図である。図8に示すように推奨度表では画像関連情報とモジュール識別情報との各組み合わせに対して推奨度が付されている。ここで、本実施形態では、推奨度表に記載された情報として、画像関連情報とモジュール識別情報の組み合わせで説明したが、これは他の情報を加えてもよく、例えば、機能モジュールの推奨者の識別情報などを含ませてもよい。
【0064】
推奨情報管理部012は、入力部010より推奨される画像関連情報とモジュール識別情報との組み合わせの情報の入力を受ける。推奨情報管理部012は、組み合わせの入力を受けると、対応する組み合わせの推奨度に1を加える。このように、推奨された組み合わせは推奨度の値が増えていくので、推奨度が高いほど推奨されているということになる。たとえば、図8においては、モジュールB1ではMRIの画像データに対する推奨度801が71であり、CTの画像データに対する推奨度802が53であるので、MRIの画像データを処理する方がモジュールB1は推奨されている。
【0065】
ここで、本実施形態では単に推奨度の数をインクリメントしていく構成にしたが、これは他の方法でもよく、例えば、同じタグを有する画像関連情報における割合を求めてもよい。この様に割合を求めた場合、100に近いほどより推奨されていることになる。また、本実施形態ではすべての操作者の推薦に対し1ずつ推奨度を増やしたが、操作者によって増える率を増やすことで、各操作者の推奨の入力に対する重みづけをおこなってもよい。この様にすることで、例えばグループのリーダの推奨はより大きく推奨度に反映されるなどが可能である。さらに、これらの推奨度は情報をいったん収集しておいて、操作者が定期的に更新してもよいし、データを自動的に更新してもよい。
【0066】
推奨情報管理部012は、モジュール選択部004が抽出した画像関連情報とモジュール識別情報の組み合わせの入力を受ける。以下では、画像関連情報として「MRI」及び「腹部」が利用されている場合で、かつ、モジュール選択部004が、「MRI」及び「腹部」を基にモジュールB1及びモジュールB2を抽出したものとして説明する。推奨情報管理部012は、モジュール選択部004から前述の入力を受けると、入力された組み合わせを基に推奨度表を参照し、入力された各画像関連情報と各機能モジュールとの組み合わせの推奨度を抽出し、モジュール選択部004へ出力する。ここでは、推奨情報管理部012は、「MRI」と「モジュールB1」の組み合わせ(以下では、組み合わせを(モジュールB1、MRI)と表示する。)に対する推奨度として71、(モジュールB1、腹部)の推奨度として82、(モジュールB2、MRI)の推奨度として54、(モジュールB2、腹部)の推奨度として56を、モジュール選択部004へ出力する。
【0067】
モジュール選択部004は、画像関連情報である「MRI」及び「腹部」を基に自己が記憶している対応テーブルを参照し、選択対象となるモジュール識別情報を抽出する。ここでは、モジュール選択部004は、モジュールB1及びモジュールB2を抽出する。そして、モジュール選択部004は、利用した画像関連情報として「MRI」並びに「腹部」、及び抽出したモジュール識別情報としてモジュールB1及びモジュールB2を推奨情報管理部012へ出力する。
【0068】
モジュール選択部004は、推奨情報管理部012から各画像関連情報に対する各機能モジュールの推奨度の入力を受ける。モジュール選択部004は、入力された推奨度をモジュール識別情報毎に合計する。本実施形態では、モジュールB1の推奨度の合計が153、モジュールB2の推奨度の合計が110となり、モジュールB1の推奨度の合計の方が高い点数となる。そこで、モジュール選択部004は、推奨度の合計の点数の最も高いモジュール識別情報を抽出する。本実施形態では、モジュール選択部004は、モジュール識別情報としてモジュールB1を抽出する。
【0069】
また、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、モジュール選択部004は、固定的に使用する機能モジュールのモジュール識別情報として、モジュールA1及びモジュールC1を予め記憶している。ここでも、第1の実施形態と同様に説明をわかり易くするためにBという種類の処理の部分だけ変更できる構成にしているが、これは他の部分を変更できる構成もしくはそれらの組み合わせにしてもよい。
【0070】
そこで、モジュール選択部004は、予め記憶している識別情報であるモジュールA1並びにモジュールC1、及び選択したモジュールの識別情報であるモジュールB1を基に、モジュール記憶部005を検索し、モジュールA1、モジュールB1、及びモジュールC1を取得する。
【0071】
モジュール選択部004は、取得したモジュールA1、モジュールB1、及びモジュールC1を画像処理部006へ出力する。
【0072】
以上の説明では、第1の実施形態の医用画像処理装置に推奨情報管理部012を加えた構成で説明したが、これは第2の実施形態及び第3の実施形態と組み合わせてもよい。その場合には、いずれの点を優先して使用するかを予め決定しておく必要がある。例えば、第2の実施形態と組み合わせた場合に、推奨度をスコアの点数に優先させる構成とすると、まず、推奨度を用いて選択する機能モジュールを決定し、それでも選択する機能モジュールが決定できない場合(例えば、推奨度が同じ値だった場合など)にスコアの点数の合計によって選択する機能モジュールを決定するといった構成になる。
【0073】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、操作者による推奨される画像関連情報と機能モジュールの組み合わせの統計をとり、その統計結果に基づいて使用する機能モジュールの選択を行う構成である。これにより、広範囲に操作者の意見を取り入れた機能モジュールの選択を自動的に行うことが可能となり、より様々な意見を反映した適切な機能モジュールの選択が可能となる。
【0074】
さらに、第1乃至第4の実施形態で説明した医用画像処理装置において、画像関連情報の一部または全てを、ネットワークを介して接続された他のシステムから取得する構成としてもよい。
【0075】
例えば、ネットワークを介して接続されるシステムとしては、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)や、放射線部門管理システム(RIS:Radiology Information System)がある。これらのシステムは、患者指名、年齢、性別、アレルギー情報など患者の基本情報の管理、及び医師が発行する検査依頼の管理を行う。この検査依頼の中には検査装置の種類や検査部位といった情報が含まれている。また、放射線部門管理システムは、放射線関連検査の検査依頼、検査実施記録の管理を行う。この検査依頼や検査実施記録に検査装置の種類や検査部位といった情報が含まれている。この場合、関連情報記憶部003は、これらのシステムに配置されることになる。
【0076】
関連情報取得部002は、ネットワークを介して上述した病院情報システムや放射線部門システムなどから使用する画像関連情報、例えば、検査装置の種類などとった情報を取得する。この画像関連情報の取得はシステム毎に定義された方法(プロトコルや送信方法など)に従って取得してもよいが、HL7と呼ばれる医療情報交換のためのプロトコルを使用することが好ましい。そして、関連情報取得部002は、必要とするすべての画像関連情報を病院情報システム又は放射線部門システムといった一つのシステムから取得してもよいし、複数のシステムから取得してもよい。また、この様な構成においても、関連情報取得部002は前述したDICOMデータからのデータ取得を併用してもよい。
【0077】
DICOMデータは他医用施設との相互運用性が重視されるため、施設毎に定義された固有の情報や一時的な情報を管理することが困難である。これに対し、ネットワークを介して画像関連情報を取得する場合、病院情報システムや放射線部門システムでは病院固有の情報(例えば、特定の医用画像が特定の種類症例研究目的に適用できることを示すグラフなど)や一時的な情報が比較的容易であるため、そのような情報を画像関連情報として使用することが容易となる。
【符号の説明】
【0078】
001 処理要求受付部
002 関連情報取得部
003 関連情報記憶部
004 モジュール選択部
005 モジュール記憶部
006 画像処理部
007 画像記憶部
008 表示制御部
009 ユーザインタフェース
010 入力部
011 表示部
012 推奨情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の医用画像診断装置で撮像された医用画像に対応する少なくとも検査装置種別及び検査部位を含む画像関連情報を記憶している関連情報記憶手段と、
画像処理に含まれる一連の処理を構成するそれぞれ異なる種類の処理を行うプログラムである機能モジュールを、前記異なる種類の処理毎に複数記憶しているモジュール記憶手段と、
特定の前記医用画像の画像処理要求を受ける処理要求受付手段と、
前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報を前記関連情報記憶手段から取得する関連情報取得手段と、
前記取得した前記特定の医用画像に対応する画像関連情報を基に機能モジュールを選択するモジュール選択手段と、
前記選択された機能モジュールを組み合わせて前記特定の医用画像の前記一連の画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理が行われた前記特定の医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記モジュール選択手段は、前記画像関連情報と該画像関連情報に対応する前記機能モジュールの識別情報とが記載されたモジュール選択テーブルを記憶しており、前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報を基に前記モジュール選択テーブルを参照することで、前記機能モジュールの選択を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記関連情報記憶手段は、前記画像関連情報をDICOMで規定されたデータを識別するための情報であるタグ情報に対応して記憶しており、
前記関連情報取得手段は、前記タグ情報を基に前記画像関連情報を取得する
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記モジュール選択手段は、操作者の識別情報及び画像関連情報に対応する機能モジュールの情報を予め記憶しており、前記特定の医用画像の画像処理要求を行った操作者の識別情報及び前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報を基に前記機能モジュールの選択を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記モジュール選択手段は、複数の操作者の識別情報を含むグループの情報、及び該グループ毎に画像関連情報に対応する機能モジュールの情報を予め記憶しており、前記特定の医用画像の画像処理要求を行った操作者の識別情報及び前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報を基に前記機能モジュールの選択を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記モジュール選択手段は、前記画像関連情報及び前記機能モジュールの各組み合わせに対し予め点数を記憶しており、前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報及び前記点数を基に前記機能モジュールの選択をおこなう、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記モジュール選択手段は、複数の前記画像関連情報の入力を受けた場合に、前記機能モジュール毎に前記複数の画像関連情報と該機能モジュールとの組み合わせに対応する点数を合計して前記画像関連情報及び該機能モジュールの組み合わせの点数とすることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
操作者から特定の前記画像関連情報と特定の前記機能モジュールの組み合わせに対する指定を受けて、前記画像関連情報と前記機能モジュールの組み合わせの推奨度を求める推奨情報管理手段をさらに備え、
前記モジュール選択手段は、前記特定の医用画像に対応する前記画像関連情報及び前記推奨度を基に前記機能モジュールの選択を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記画像関連情報には、画像種別、画像サイズ、及び検査目的を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−170311(P2010−170311A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11944(P2009−11944)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】