説明

医用画像表示装置および方法並びにプログラム

【課題】医用画像上に病変を表す情報を対応づけて表示する。
【解決手段】第一の医用画像および第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶し、第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶し、病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶し、病変領域の位置に対応する第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶し、
第二の医用画像を表示し、第二の医用画像上に、病変文字からなるリンク文字と、リンク文字の表す病変領域の位置と対応するリンク位置を表す位置指標と、リンク文字と位置指標とを関連付けて示す関連付け指標を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置および方法並びにプログラム、特に読影レポートに記載された病変文字を指定することによりその病変領域の画像を表示する医用画像表示装置および方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医用画像を再構成して表示する医用画像表示技術が発達し、医療分野で行われる画像診断を支援している(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
医用画像を用いた画像診断においては、一般に、読影医が作成した読影レポートを参照して診断医が診療を行っている。読影レポートには、特許文献3に示すように、参照画像が読影レポートに記載された文字列にハイパーリンクによってリンク付けされた読影レポートを作成することができるようにしたものがある。このような読影レポートを用いると、読影者は、読影レポートに記載された文字を指定することにより対応する医用画像を表示でき、読影レポートをより容易に理解できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−189541号公報
【特許文献2】特開平7−21405号公報
【特許文献3】特開2005−301453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3では、読影レポートの文字列に対応する医用画像を参照することはできても、医用画像自体からは、読影レポートに記載された病変領域が存在する位置および対応する病変を表す文字列を把握することはできなかった。
【0006】
また、読影レポートの一つの文字列に対して一枚の医用画像をリンク付けするため、読影レポートに記載された病変が医用画像上のどの位置を指しているかを正確に把握することは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑み、医用画像上に、読影レポートに示された病変の情報を表示して、より正確に読影を行える医用画像表示装置および方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による医用画像表示装置は、第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶する医用画像記憶手段と、前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段と、前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段と、前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示する医用画像表示手段と、前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示するリンク情報表示手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明による医用画像表示方法は、第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶する医用画像記憶手段と、前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段と、前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段とを参照して、前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示し、前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示することを特徴とするものである。
【0010】
本発明による医用画像プログラムは、コンピュータを、第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶する医用画像記憶手段と、前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段と、前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段と、前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示する医用画像表示手段と、前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示するリンク情報表示手段として機能させることを特徴とするものである。
【0011】
「第一の医用画像」とは、病変領域を含む医用画像であれば何でもよく、様々な医用画像を用いることができる。例えば、CT装置、MRI装置、PET、超音波診断装置等により撮影された2次元医用画像が代表的なものとしてあげられるが、これに限られるものでない。
「再構成された第二の医用画像」とは、例えば、CT装置、MRI装置、PET、超音波診断装置等により撮影された多数のスライス画像を再構成してなる3次元医用画像もしくは、2次元医用画像をいう。代表的なものとして、ボリュームレンダリング法、レイサム(Ray Summation)法、MIP(Maximum Intensity Projection)法、MPR(Multi Planar Reformat)法で表された画像が適用可能である。
【0012】
「病変文字」とは、病名、病名を表すキーワードまたは記号、もしくはそれらの略称のいずれかを含むものである。また、病変名に臓器名を含んでもよい。
【0013】
ここで、「病変領域の位置」は、病変領域内の任意の位置を示す点であってもよいし、病変領域そのものを示すものであってもよい。領域は、円、矩形、矢印、閉曲面など、様々な手法で示すことができ、任意の点は、その領域の重心や中心などを適宜選択することができる。
【0014】
「前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示する」とは、リンク文字と該リンク文字にどの位置指標が対応するかを判別できるように表示すればいかなる方法によってもよく、例えばリンク文字と対応する位置指標を関連付けて示す引出し線などの関連付け指標を用いて表してもよいし、リンク文字を対応する位置指標の近傍に表示してもよい。また、特に関連付け指標や、リンク文字を位置指標の近傍に表示することをしていなくても、リンク文字が一つと位置指標が一つ表示されている場合など、リンク文字と対応する位置指標が判別できる場合であれば、「関連付けて表示」していることに含まれる。
【0015】
また、前記第二の医用画像は3次元医用画像であってもよい。
【0016】
また、前記リンク位置記憶手段は、前記読影レポート記憶手段に記憶された前記読影レポートから前記病変文字に加えて前記病変文字の前後の語句を記憶するものであり、前記リンク情報表示手段が、前記リンク文字に加えて前記前後の語句を表示するものであってもよい。
【0017】
前記第二の医用画像上の前記リンク文字を指定するリンク文字指定手段と、前記読影レポートを表示する読影レポート表示手段をさらに備え、前記リンク文字が、前記読影レポート上の前記病変文字とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、前記読影レポート表示手段が、前記第二の医用画像上の前記リンク文字の指定に応じて、指定された該リンク文字に対応する病変文字を含む前記読影レポートの全体をさらに追加表示し、追加表示された該読影レポート上の前記指定されたリンク文字に対応する病変文字を強調して表示するものであることが好ましい。
【0018】
ここで、ハイパーリンクによってリンク付けされた「リンク文字」は、例えば、リンク文字の着色または背景色の着色、下線、点滅、太字、書体、リンク文字の大きさ、枠など周知の手法を用いて、リンク付けされていない文字と識別できるように表示される。
【0019】
また、「リンク文字」の文字は、文字列または記号または数字を含む。
【0020】
「病変文字を強調して表示する」とは、例えば、病変文字の着色または背景色の着色、下線、点滅、太字、書体、病変文字の大きさ、枠など周知の手法を用いて、他の病変文字よりも強調されて識別できるように表示される。
【0021】
「リンク文字の指定」とは、マウスやキーボードあるいはその他の入力装置によってリンク文字が指定されることをいう。
【0022】
前記病変文字は、前記第一の医用画像とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、前記医用画像表示手段は、前記第二の医用画像のほかに、前記追加表示された読影レポート上の前記病変文字の指定に応じて、前記第一の医用画像をも表示するものであり、前記リンク情報表示手段は、さらに前記第一の医用画像上に前記病変領域の位置を表す指標を表示するものであってもよい。
【0023】
前記読影レポート表示手段は、前記指定されたリンク文字に対応する病変領域を含む医用画像を縮小した添付画像を、前記読影レポートに併せて表示するものであってもよい。
【0024】
前記読影レポートは、過去の医用画像についての複数の読影レポートまたは複数の異なる病変位置についての複数の読影レポートを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明による読影レポート表示装置および方法ならびにプログラムによれば、第一の医用画像上の病変領域の位置と病変を表す病変文字が対応付けられた読影レポートを記憶するとともに病変文字と病変領域の位置とを対応付けて記憶し、病変領域の位置に対応する位置を前記第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、このリンク文字の表す病変領域の位置と対応するリンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示することにより、第二の医用画像上で病変領域の位置と病変を表す文字列を参照することができ、正確に病変領域の位置を把握できる。
【0026】
また、前記第二の医用画像が3次元医用画像である場合には、3次元医用画像に病変領域の位置を関連づけて参照できるので、さらに正確に病変領域の位置を把握できる。
【0027】
また、前記リンク位置記憶手段が、前記読影レポート記憶手段に記憶された前記読影レポートから前記病変文字に加えて前記病変文字の前後の語句を記憶するものであり、前記リンク情報表示手段が、前記リンク文字に加えて前記前後の語句を表示する場合には、病変を表す病変文字だけでなく、前後の文字も医用画像上に表示されるため、読影レポートに記載された情報を医用画像上でより多く把握でき、正確に読影できる。
【0028】
前記第二の医用画像上の前記リンク文字を指定するリンク文字指定手段と、前記読影レポートを表示する読影レポート表示手段をさらに備え、前記リンク文字が、前記読影レポート上の前記病変文字とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、前記読影レポート表示手段が、前記第二の医用画像上の前記リンク文字の指定に応じて、指定された該リンク文字に対応する病変文字を含む前記読影レポートの全体をさらに追加表示し、追加表示された該読影レポート上の前記指定されたリンク文字に対応する病変文字を強調して表示するものである場合には、医用画像上のリンク文字の指定に応じて読影レポートの全体を表示することができるため、必要に応じて読影レポートの全体を容易に参照でき、容易に読影できる。
【0029】
前記病変文字が、前記第一の医用画像とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、前記医用画像表示手段が、前記第二の医用画像のほかに、前記追加表示された読影レポート上の前記病変文字の指定に応じて、前記第一の医用画像をも表示するものであり、前記リンク情報表示手段が、さらに前記第一の医用画像上に前記病変領域の位置を表す指標を表示する場合には、第二の医用画像上の病変領域の位置に加えて、医用画像上での対応する病変領域の位置を正確に把握することができ、正確に医用画像を読影できる。
【0030】
前記読影レポート表示手段が、前記指定されたリンク文字に対応する病変領域を含む医用画像を縮小した添付画像を、前記読影レポートに併せて表示する場合には、病変領域の位置を含む添付画像を容易に参照することができ、容易に読影できる。
【0031】
前記読影レポートが、過去の医用画像についての複数の読影レポートまたは複数の異なる病変位置についての複数の読影レポートを含む場合には、複数の読影レポートの情報を参照でき、正確に読影できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態となる医用画像表示装置の概略構成図
【図2】第一の実施形態の構成を示すブロック図
【図3】第一の実施形態の医用画像表示機能を示す機能ブロック図
【図4】第一の実施形態の読影レポートのリンク文字挿入処理の流れを説明するためのフロー図
【図5】第一の実施形態のリンク文字挿入画面の概念図
【図6】第一の実施形態のリンク文字変更の流れを説明するためのフロー図
【図7】第一の実施形態のリンク文字を一部変更して作成された読影レポートの概念図
【図8】第一の実施形態により表示された医用画像表示画面の概念図
【図9】第一の実施形態のリンク位置の入力処理の流れを説明するためのフロー図
【図10】第二の実施形態の医用画像表示機能を示す機能ブロック図
【図11】第二の実施形態により表示された医用画像表示画面の概念図
【図12】第三の実施形態により表示された医用画像表示画面の概念図
【図13】病変領域の位置とリンク文字の候補を対応付ける対応付けテーブルの例
【図14】リンク文字の候補リストの表示例
【図15】第四の実施形態の変形例により表示された医用画像表示画面を説明する図
【図16】第五の実施形態の医用画像表示機能を示す機能ブロック図
【図17】第五の実施形態の表示条件決定部の機能ブロック図
【図18】第五の実施形態のキーワードテーブルの例
【図19】第五の実施形態の表示条件テーブルの例
【図20】第五の実施形態の変形例の表示条件テーブルの例
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、医用画像処理装置の概要を示すハードウェア構成図である。図に示すように、このシステムでは、モダリティ1と、画像保管サーバ2と、画像処理ワークステーション3とが、ネットワーク9を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0034】
モダリティ1は、被検体を表す医用画像Vを取得するものであり、具体的には、CT装置、MRI装置、PET、超音波診断装置等である。
【0035】
画像保管サーバ2は、モダリティ1で取得された医用画像Vや画像処理ワークステーション3での画像処理によって生成された医用画像Vを画像データベースに保存・管理するコンピュータであり、大容量外部記録装置やデータベース管理ソフトウェア(たとえば、ORDB(Object Relational Database)管理ソフトウェア)を備えている。
【0036】
画像処理ワークステーション3は、読影者からの要求に応じて、モダリティ1や画像保管サーバ2から取得した医用画像Vに対して画像処理を行い、生成された画像を表示するコンピュータである。
【0037】
画像データの格納形式やネットワーク9経由での各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0038】
次いで、第一の実施形態の医用画像処理機能に関連する構成を説明する。
【0039】
図2は画像処理ワークステーション3の構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように、本発明の実施形態による医用画像表示装置は、各種表示を行う液晶モニタ等の表示部301、各種入力を行うキーボードおよびマウス等からなる入力部303、本発明の医用画像処理プログラムを含む、本実施形態による医用画像表示装置を制御するための各種プログラムおよび画像データ等の各種データを保存するハードディスク305、各種プログラムを実行することにより本実施形態による医用画像表示装置を制御するCPU307、プログラム実行時の作業領域となるメモリ309、バス313を介してネットワークと接続する通信インターフェース311を備えた画像処理ワークステーション3で構成されている。
【0040】
なお、全ての実施形態において、本発明の機能は、外部からインストールされるプログラムによって、コンピュータにより遂行される。そして、そのプログラムは、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を供給されてインストールされたものであってもよい。
【0041】
図3は、本発明の第1の実施形態における医用画像表示装置に関連する部分を示す機能ブロック図である。図3に示すように、本発明の医用画像表示装置は、モダリティ1または画像保管サーバ2からの要求に応じて、ネットワーク9を介して、第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を取得して記憶する医用画像記憶手段50と、第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段10と、病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段20と、病変領域の位置に対応する第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段30と、第二の医用画像を医用画像記憶手段から取得して表示する医用画像表示手段60と、第二の医用画像上に、病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す病変領域の位置と対応するリンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示するリンク情報表示手段40とから構成されている。
【0042】
読影レポート記憶手段10は、主にハードディスク305を含み構成され、医用画像V上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する。
【0043】
病変記憶手段20は、主にハードディスク305を含み構成され、読影レポート記憶手段10に記憶された読影レポートの病変文字と対応する病変領域の位置とを対応付けて記憶する。
【0044】
リンク位置記憶手段30は、主にハードディスク305とCPU307を含み構成され、病変記憶手段に記憶された第一の医用画像上の病変の位置に対応する再構成された第二の医用画像133上の病変領域の位置を算出して記憶する。
【0045】
リンク情報表示手段40は、主に表示部301を含み、再構成された医用画像上133上にリンク文字と、対応付けられている病変領域の位置を表す位置指標とを関連付けて表示する。位置指標は、図8に示す指標135Cのような円型マークでもよいし、点、十字型、矢印、など、位置を示すことができる周知の指標を用いることができる。また、位置指標は、円、矩形、矢印、閉曲面など、様々な手法で示された病変領域を示す場合、病変領域内の特定の点について表示してもよい。特定の点は、その領域の重心や中心もしくは病変の特徴を表す点などを適宜選択することができる。また、関連付けて表示するとは、リンク文字と対応する位置指標とを対応させて識別できるものであればよく、例えば、リンク文字と対応する位置指標とを、線、または矢印、若しくは、位置指標から吹き出した吹き出しなどの図形からなる関連付け指標でつないで示してもよい。また、リンク文字を対応する位置指標の近傍に表示してもよい。また、特に関連付け指標や、リンク文字を位置指標の近傍に表示することをしていなくても、リンク文字が一つと位置指標が一つ表示されている場合など、リンク文字と対応する位置指標が判別できる場合であれば、「関連付けて表示」していることに含まれる。
【0046】
医用画像記憶手段50は、主にハードディスク305を含み構成され、CT装置、MRI装置、PET、超音波診断装置等のスライス画像、およびこれらのスライス画像を再構成してなる3次元医用画像もしくは、2次元医用画像を記憶する。代表的なものとして、ボリュームレンダリング法、レイサム(Ray Summation)法、MIP(Maximum Intensity Projection)法、MPR(Multi Planar Reformat)法で表された画像を記憶する。
【0047】
医用画像表示手段60は、主に医用画像Vをネットワーク9から取得する通信インターフェース311および取得した医用画像Vを表示するための表示部301を含み構成され、医用画像記憶手段50から取得した医用画像を表示部301に表示する。
【0048】
第一の実施形態にかかる読影レポートの作成方法、リンク情報の作成方法、および作成されたリンク情報を表示した医用画像表示の概要を説明する。
【0049】
図5を用いて、第一の実施形態の読影レポートを作成する方法の例を説明する。
【0050】
図5は、第一の実施形態の読影レポートの作成画面の概念図である。図5には、読影レポート作成画面の一例として、読影レポート作成画面100が示されている。
【0051】
まず、図5に示す読影レポート作成画面100の構成を説明する。図5に示す読影レポート作成画面100は患者の情報を記す患者情報領域101を備える。患者情報領域には、例えば、DICOMのヘッダー情報から得られる患者名、患者ID、性別、年齢等が表示される。医用画像Vの情報を示す医用画像情報領域103には、撮影日、モダリティ、依頼科等が、マウスやキーボード等の入力部303、または、DICOMのヘッダー情報から入力され、表示される。読影レポート領域104には、読影医名欄106、読影レポートである所見欄105、診断欄107が設けられる。読影医名欄106、所見欄105、診断欄107は医師等がオペレータとなって、マウスやキーボード等により入力、編集を行うことができる。
【0052】
さらに、読影レポート作成画面100には、編集した読影レポートを保存、キャンセル等するための読影レポート編集ボタン109やその他必要に応じて様々な機能ボタンが適宜備えられてもよい。図5では、一時保存ボタン、確定ボタン、キャンセルボタン等を例として示した。
【0053】
読影レポート作成画面100には、過去レポート選択ボタン119A、参照画像選択ボタン119Bなどの情報を参照するために必要なボタンが適宜用意され、本発明の実施形態におけるリンク入力を可能にするリンク入力選択ボタン111を備えている。このようなリンク入力選択ボタン111は、その目的を達成する範囲で、周知の様々は形態で備えられ得る。
【0054】
過去レポート選択ボタン119Aを選択すると、参照情報領域117に過去レポートが選択可能に表示される。参照画像選択ボタン119Bを選択すると、図5に示すように参照情報領域117に医用画像Vのサムネイルが選択可能に表示される。
【0055】
また、読影レポート作成画面100には、詳細画像表示領域113が備えられ、参照情報選択領域117には医用画像Vのサムネイルや過去レポート等の参照情報が適宜表示される。図5では、参照情報領域117において医用画像Vを示す複数のサムネイルのうちサムネイル121Aが選択され、サムネイル121Aに対応する医用画像115が詳細画像表示領域113に表示された様子を示している。なお、参照情報領域117に示された複数のサムネイルは、医用画像Vの一つのシリーズに含まれる病変を表す医用画像のサムネイルであってもよいし、複数のシリーズに含まれた病変を表す医用画像のサムネイルであってもよい。
【0056】
詳細画像表示領域113には、詳細画像表示領域113に表示された医用画像を加工、編集するための編集ボタン113A、113Bが適宜備えられる。
【0057】
次いで、図4に沿って、リンク文字105A備えた読影レポートの作成方法を説明する。図4は、本実施形態に示す読影レポート作成方法を示すフローチャートである。
まず、リンク入力ボタン111を入力部303で選択し、リンク入力モードをオンにする(ST101)。
リンク入力病変の位置を入力するために、編集ボタン113Aから十字型ポインタ113Cを、入力部303を用いて選択する。すると、十字型ポインタが表示されるため、十字型ポインタを病変の位置の上に合わせてマウスでクリックすると病変の位置115Aが入力される(ST102のY)。
【0058】
次に、病変領域の位置115Aが入力されると、病変の位置115Aを含む医用画像115の記憶場所を示す情報、および医用画像115上での病変領域の座標などの病変領域の位置を示す位置情報を含む情報が取得される。また、位置情報には、例えばDICOMのヘッダー情報から取得した、画像IDなどの情報をさらに含んでいてもよい。例えば、病変領域の位置が点の場合は、医用画像115上での座標値として位置情報を取得でき、病変領域の位置が円の場合は、医用画像115上での中心の座標値と半径の長さとして位置情報を取得でき、病変領域の位置が直線または曲線で囲まれた図形の場合は、医用画像115上での直線の端点や曲線を表す関数など、その図形を表す情報を適宜位置情報として取得できる。
【0059】
所定の文字列から所見欄105にまだ使用されていない文字列を選択して、病変文字105Aとして挿入する文字列を決定する(ST103)。
【0060】
この所定の文字列は、文字列または記号または数字のいずれでもよく、(1)病変1、病変2のような定型の文字列、(2)医用画像115が一連の断層画像からなる1つのシリーズを構成する医用画像であれば、医用画像のシリーズ番号と病変の位置を含む医用画像を特定する情報としてスライス番号等を組み合わせた番号、(3)病変の位置の画素値、(4)左肺上陽、左舌区など、病変の位置の解剖学的な部位名、(5)病変の位置の座標値、(6)上記の組み合わせを使用することができる。
【0061】
所見欄105に挿入するための文字列として、上記(4)に示すように解剖学的な部位を表す部位名を用いる場合は、文字列を以下のように抽出して挿入できる。まず、入力された病変領域の位置が所属する臓器を、計算機支援画像診断(CAD;Computer Aided Diagnosis)によって抽出する。各臓器の抽出の具体例を挙げると、肺野について、特開2001−137230号、特開2008−253293号、肝臓抽出について特開2001−283191号、特開2002−345807号、骨について、特開2008−43564号、心臓について、特開2004−141612号の技術が利用でき、その他の臓器認識技術も指定された病変の位置が所属する臓器を自動的に抽出できるものであれば利用可能である。例えば、病変の位置を含む医用画像について、上記の臓器抽出を行い、抽出された臓器に病変の位置が含まれていれば、その臓器を病変の位置が所属する臓器と決定できる。この臓器を表す解剖学的な部位を表す部位名を病変文字として挿入できる。この場合は、病変文字を入力部303から入力することなくリンク付け操作を行えることに加えて、病変領域の症状また位置を病変文字から推測できるため、読影レポート作成作業をより効率的に進めることができる。また、部位名として、各臓器または各臓器の部位を表す部位名を使用することができ、例えば、肺の場合、左肺、右肺を部位名としてもよいし、さらに細かく分類した、右肺上葉か、右肺中葉、右肺下葉、左肺上葉、左肺下葉を部位名としてもよいし、左肺上葉上舌区(S4)等、肺区域で分類した部位名としてもよいし、これらの略称を部位名としてもよい。
【0062】
さらに、位置情報として、病変領域の位置の画像の輝度値203などの情報をさらに取得した場合には、以下のように挿入する文字列を決定することができる。図13に示すように、臓器名201と病変領域の位置の特徴情報203と病変を表す病変文字の候補205を対応付けた病変領域の位置とリ病変文字の候補の対応付けテーブルを用意する。図13では、病変領域の位置の特徴情報203として、CT画像の輝度値203が対応付けられている。
【0063】
病変領域の位置を入力すると、先述の計算機支援画像診断による臓器抽出の具体例等を用いて、入力された病変領域の位置が所属する臓器を抽出する。次に、入力された病変領域の位置の画像の輝度値を位置情報として取得する。図13に示すように、入力された病変領域の位置が、臓器名201の中の肺に属するものであり、例えば、病変領域の位置の特徴情報203について入力された病変領域の位置の輝度値が−2000から0の間に含まれる値である−50であれば、病変文字の候補205のうち、ブラ、気胸、肺気腫、気管支拡張、の4つの文字列が対応する病変文字の候補205Aと決定する。また、輝度値が100の場合は、輝度値100は輝度値50から100に含まれ、かつ輝度値100から1000に含まれるため、結節GGO、浸潤影、石灰化がリンク文字の候補と決定する。図13に示すように、この病変文字の候補20Aは、ユーザーが病変領域の位置を指定すると、読影レポート作成画面100上に、病変文字の候補リスト210として表示される。病変文字の候補リスト210から病変文字の候補210Aがユーザーによって選択されると、選択された病変文字の候補210Aが病変文字として読影レポートに挿入される。図14には、病変文字の候補にない文字列を入力する場合、その他を選択して、入力部から病変文字を入力することもできる。病変文字の候補のリスト表示は、プルダウンメニューの形式で表示されてもよいし、部位名を選択できる種々の方法を適用できる。
【0064】
また、病変の位置から取得する情報として、病変領域の位置の周辺の輝度値平均、分散、または輝度値パターンを取得するものとしてもよく、病変領域の位置の特徴情報203をそれぞれ病変領域の位置の周辺の輝度値平均、分散、または輝度値パターンに応じた特徴情報として、対応するリンク文字の候補を選択できるようにしてもよい。
【0065】
次いで、病変記憶手段20は病変の位置115Aの病変情報を記憶する(ST104)。病変情報は、例えば、(1)病変ID、(2)シリーズ名およびスライス名およびスライス上の座標からなる病変領域の位置、(3)病変文字から構成されてもよい。病変ID、シリーズ名およびスライス名およびスライス上の座標からなる病変領域の位置は、入力部303から入力された位置情報により取得できる。
【0066】
所見欄105に、入力部303から取得した病変領域の位置115Aを含む医用画像とハイパーリンクによってリンク付けした病変文字105Aを挿入する(ST105)。この際、病変文字105Aは、ハイパーリンクによってリンク付けされていることが識別できるように、病変文字の着色または背景色の着色、下線、点滅、太字、書体、病変文字の大きさ、枠などで、病変文字以外の文字とは区別して認識できるよう挿入される。
【0067】
そして、さらに、病変領域の位置がST102と同様に入力された場合は、ST102からST105までのステップを繰り返す(ST106のY)。つまり、病変文字は、医用画像Vから複数の病変領域の位置が指定された場合、指定された回数分、対応する病変文字が挿入される。
【0068】
病変領域の位置が入力されない場合は、病変文字の挿入処理を終了する(ST106のN)。
【0069】
また、読影レポート作成領域105で、挿入された病変文字が、入力部303によって選択された場合、例えば、図5に示す選択ツール123等によって病変文字105Aが選択された場合、医用画像表示手段60は病変記憶手段20から病変文字105Aに対応する医用画像115の位置情報を取得し、医用画像115を詳細画像表示領域113に表示する。また、リンク情報表示手段40は病変記憶手段20から病変領域の位置115Aを取得し、病変文字105Aに対応する病変領域の位置115Aを詳細画像表示領域113の医用画像115上に表示する。指標は、病変領域の位置が領域で表される場合に、領域内の代表的な点として指標を表示できるようにしてもよい。また、指標の表示形式を、矢印、領域、病変領域内の代表的な点を示す種々のポインタなど選択できてもよい。
【0070】
図6および図7を用いて、本実施形態にかかる読影レポートに挿入された病変文字を変更する動作を説明する。
【0071】
図6は、第一の実施形態の病変文字変更の流れを説明するためのフロー図である。
【0072】
図7は、第一の実施形態の病変文字を一部変更して作成された読影レポートの概念図である。
【0073】
図7は読影レポート作成画面100の所見欄105の一例である。図7には、病変1、病変2(105A)、病変3(105C)の3つの病変文字が挿入され、病変1が編集されて新たな病変文字である不整形結節(105A)に変更された状態を示している。
【0074】
まず、病変文字が挿入された所見欄105において、病変文字を入力部303で選択する(ST201)。次に、病変文字を任意の文字列または記号もしくは数字に、マウス、キーボードの操作に応じて変更する。具体的には、病変文字に矢印113等の選択ツールを合わせ、右クリックするとプルダウンメニュー形式で病変文字変更オプションが表示され、その病変文字変更オプションを選択して病変文字変更を行う(ST202)。ハイパーリンクされた状態を保ったまま病変文字の文字列だけを変更できる方法であれば、適宜別の方法を用いて病変文字の変更を行ってもよい。次に、変更前の病変文字と対応する病変領域の位置と変更後の病変文字とをハイパーリンクによってリンク付けして、対応する病変情報を更新する(ST203)。
【0075】
以上のように、第一の実施形態に用いる読影レポートが作成される。また、このように、病変文字に対応付けられた病変領域の位置を含む医用画像が、第一の実施形態に用いる、第一の医用画像となる。
【0076】
次に、本実施形態の医用画像表示方法において、リンク情報を医用画像上に表示する方法を、図9を用いて説明する。図9は本実施形態の医用画像表示方法において、リンク情報を作成する流れを示したフロー図である。
【0077】
まず、リンク位置記憶手段30は、病変記憶手段20からスライス画像115上での病変の位置および対応する病変文字を取得する(ST301)。スライス画像115を含む複数のスライス画像を積み重ねて再構成された医用画像133上での座標を算出する(ST302)。再構成された医用画像として、代表的なものとして、ボリュームレンダリング法、レイサム(Ray Summation)法、MIP(Maximum Intensity Projection)法、MPR(Multi Planar Reformat)法で表された画像に適用可能である。
【0078】
3次元画像は、多数のスライス画像すなわち所定の厚みでスライスされた多数の2次元画像から再構成されたものであるから、いずれかの2次元画像の上で指定された点の位置は、そのスライスの位置とその点の座標から、3次元画像上での座標が算出され、スライス画像での病変の位置の座標に対応する3次元画像上での座標位置が特定される。したがって、スライス画像上で指定した病変の位置を3次元画像上に示すことが可能になる。
【0079】
次いで、リンク位置記憶手段30は、再構成された画像133上での座標値と対応する病変文字を対応づけてリンク情報としてリンク位置記憶手段30に記憶する(ST303)。リンク情報は、例えば、(1)リンクID、(2)スライス画像上の病変の位置に対応する再構成された画像133上の位置であるリンク位置、(3)リンク文字、(4)対応する病変IDから構成されてもよい。病変IDは、病変記憶手段20から入力された病変情報により取得できる。
【0080】
次に、図8を用いて再構成された画像上での病変の位置に指標を表示する。図8は、第一の実施形態により表示された医用画像表示画面の概念図である。
【0081】
図8に示す医用画像表示画面110の構成を説明する。図8は、参照画像表示ボタン119Bが選択され、参照画像領域117に参照画像のサムネイル117Bが表示されている。参照画像領域117の参照画像のサムネイル117Bが選択され、詳細情報領域113に、選択されたサムネイル117Bに対応する再構成された第二の医用画像である画像133が表示されている。再構成された第二の医用画像133が表示された詳細情報表示領域113には、再構成された画像133を大きさ、角度を変更して参照できるように選択ツール113Dが備えられている。また、医用画面表示装置にはリンク情報を表示させるためのリンク表示ボタン131が備えられ、リンク表示ボタン131が選択されることにより、リンク情報である、リンク文字135A、137Aおよびリンク位置135C、137Cおよび関連付け指標135B、137Bが表示されている。
【0082】
再構成した医用画像133に、リンク位置記憶手段30から取得したリンク位置135Cと、対応する病変文字105Dからなるリンク文字135Aを挿入する(ST307)。また、リンク文字は、医用画像Vから複数の病変領域の位置がリンク位置記憶手段30に記憶されている場合、複数の病変領域の位置すべてに対応するリンク文字およびリンク位置が表示される。図8においては、リンク位置記憶手段30に2つの病変領域の位置が記憶されているため、リンク文字135A、137Aおよびリンク位置135C、137Cが表示される。ここで、リンク文字と対応するリンク位置は関連付けられて表示される。図8においては、関連付け指標135Bによって、リンク文字135Aと対応するリンク位置135Cが関連付けられ、関連付け指標137Bによって、リンク文字137Aと対応するリンク位置137Cが関連付けられている。
【0083】
ただし、リンク文字と対応するリンク位置の関連付けは、関連付け指標によるものである必要はなく、リンク文字と該リンク文字にどの位置指標が対応するかを判別できるように表示すればよい。例えば、リンク文字135Aを対応する位置指標135Cの近傍に表示してもよく、リンク文字が一つと位置指標が一つ表示されている場合など、リンク文字と対応する位置指標が判別できる場合であれば、特に特に関連付け指標や、リンク文字を位置指標の近傍に表示することをしていなくてもよい。
【0084】
このようにリンク位置135C、137Cとリンク文字135A、137Aを医用画像上に表示することで、医用画像を見るだけで、読影レポートに記載された病変領域の位置および病変領域を表す文字列が参照でき、リンク位置135C、137Cから病変領域の位置の正確な把握が行える。また、リンク位置に関連づけられて示されたリンク文字135A、137Aから病変を容易に把握することができる。
【0085】
従来技術では、読影レポートの一つの文字列に対して一枚の医用画像をリンク付けするため、読影レポートに記載された病変が医用画像上のどの位置を指しているかを正確に把握することは困難であったが、本実施形態のようにリンク位置を位置指標を用いて示しているため、病変領域の位置を正確に把握できる。
【0086】
また、リンク位置135C、137Cとリンク文字135A、137Aは医用画像上で関連づけられて示されているので、複数のリンク文字とリンク位置を同時に表示しても、リンク位置とリンク文字の対応関係を容易に把握することができる。結果として、医用画像を見るだけで、複数の病変領域の位置と対応する複数の病変を表す文字列を一度に把握することができ、より容易に診断を行うことができる。また、リンク位置135C、137C同士の相対的な位置も把握が容易になる。
【0087】
また、再構成された医用画像上にリンク位置を示すことにより、スライス画像の病変領域の位置を、別の医用画像で把握できるため、病変領域の位置をより正確な理解ができる。また、再構成された3次元医用画像でリンク位置を表示させた場合は、立体的に病変の位置を把握でき、その病変領域より正確な読影ができる。また、再構成された3次元医用画像が、回転、拡大縮小して参照できるものであり、リンク位置およびリンク文字をその回転、拡大縮小に連動して表示できるようにしてもよい。その場合、別の角度から大きさを変えて病変の位置を把握でき、より正確な読影ができる。
【0088】
図8においては、リンク文字135Aのみを表示したが、病変記憶手段20が病変情報として、読影レポート上の病変文字の前後の語句をさらに記憶しており、リンク位置記憶手段30が病変記憶手段20から読影レポート上の病変文字の前後の語句をさらに取得し、リンク情報表示手段40がリンク文字135Aに加えて、図11の135Dに例を示すようにリンク文字の前後の語句を表示するものであってもよい。例えば、リンク文字の前10文字、後10文字を抜き出して表示してもよいし、リンク文字を含む1文を抜き出して表示してもよい。
【0089】
このように、リンク文字の前後の語句を併せて医用画像上に表示した場合は、より詳細な病変の情報を医用画像上から直接得られるため、容易に診断を行うことができる。また、読影レポートの病変を表すリンク文字の前後は、その病変に関する記載を行っている可能性が高いため、リンク文字の前後の語句を表示させることにより、病変の理解を助ける情報が表示される可能性が高くなり、より診断を支援することができる。
【0090】
さらに、複数のリンク文字と病変領域が存在する場合には、対応するリンク文字と病変領域の対応関係が分かるようにする必要があるから、その対応関係を示す識別指標を行なう、例えば対応する同士の間に引き出し線を引いたり、対応する同士を他の対応する同士とは異なる同じ色で着色して表示したりすることが望まれる。このように識別表示を行った場合には、どのリンク文字がどのリンク位置と対応するかが明確に把握できるため、読影レポートの把握がより容易になる。
【0091】
次に、図10を用いて、第二の実施形態の構成を説明する。図10は、第二の実施形態の読影レポート作成機能を示す機能ブロック図である。読影レポート表示手段70、リンク文字指定手段80を備えている以外は図3と同様であるため、同じ部分については説明を省略する。
【0092】
読影レポート表示手段70は、主に読影レポートを表示するための表示部301を含み構成され、リンク文字指定手段80の指定に応じて読影レポート記憶手段10に記憶された読影レポートを表示部301に表示する。
【0093】
リンク文字指定手段80は、主に病変領域を入力するための入力部303を含み構成され、入力部303からオペレータによるリンク文字または病変文字の指定に応じて、リンク情報表示手段40、医用画像表示手段60、読影レポート表示手段70のいずれかに指定されたリンク文字を入力する。
【0094】
また、第二の実施形態においては、リンク情報表示手段40は医用画像上のリンク文字137Aを読影レポートに記載された対応する病変文字141とハイパーリンクでリンク付けして表示する。
【0095】
図11を用いて第二の実施形態の医用画像表示の例を説明する。図11は、第二の実施形態の医用画像表示画面110の例である。図11では、リンク文字135Aに加えて読影レポートに記載された病変文字141の前後の語句がコメント135Dに示すように表示されている。同様に、リンク文字137Aに加えて、読影レポートに記載されたリンク文字137Aに対応する病変文字の前後の語句がコメント137Dに示すように表示されている。図8と共通の番号の構成については、図8の説明と同様であるため説明を省略する。
【0096】
図11においては、指定したリンク文字137Aが読影レポートに記載された病変文字141を含む読影レポートとハイパーリンクでリンク付けされているため、リンク文字指定手段80の選択ツール123によるリンク文字137Aの指定に応じて、読影レポート表示手段70は所見欄105に病変文字141を含む読影レポートを表示する。所見欄105には、例として、読影レポートの病変文字141の付近のみが表示され、カーソル139によって読影レポート全体を参照できるように表示されている。ここで、読影レポートの表示方法は、これに限定されるものでなく、読影レポートは、リンク文字137Aの指定に応じて別ウィンドウで表示されてもよく、読影レポートの全体が表示されてもよい。
【0097】
このように、リンク文字137Aと病変文字141を含む画像がハイパーリンクでリンク付けされているため、画像上のリンク文字137Aを指定するだけで、読影レポートの対応する詳細情報を容易に参照することができ、効率よく診断を行うことができる。
【0098】
図12を用いて第二の実施形態の変形例の医用画像表示の例を説明する。図12は、第二の実施形態の変形例の医用画像表示画面110の例である。図12は、図11と共通の番号の構成については、図11の説明と同様であるため説明を省略する。第二の実施形態の変形例においては、読影レポートに記載された病変文字141と対応する第一の医用画像であるスライス画像121Aはハイパーリンクでリンク付けがされている。
【0099】
図12は、指定したリンク文字141は対応する病変領域の位置を含む第一の医用画像であるスライス画像121Aとハイパーリンクでリンク付けがされているため、リンク文字指定手段80の選択ツール123による病変文字141の指定に応じて、医用画像表示手段60は添付画像表示領域121にスライス画像121Aのサムネイルを表示する。また、病変文字141の指定に応じて、スライス画像121A上にはリンク情報表示手段40によって、図示しない病変の位置を示す指標147が表示される。ここで、病変領域の位置を含む医用画像の表示方法は、これに限定されるものでなく、スライス画像121Aは、病変文字141の指定に応じて別ウィンドウで表示されても良く、サムネイル形式でなく詳細な医用画像を表示してもよい。
【0100】
このように、病変文字141とスライス画像121Aがハイパーリンクでリンク付けされているため、読影レポートの病変文字141を指定するだけで対応するスライス画像121Aを容易に参照することができ、効率よく読影を行うことができる。第二の実施形態によれば、再構成された医用画像133上のリンク文字137Aから対応する読影レポート上の病変文字141を参照し、病変文字141から対応するスライス画像121Aを参照できるため、対応する詳細な情報を得ることが非常に容易となるため、効率よく読影を行える。
【0101】
また、リンク文字137Aの指定に応じて、指定されたリンク文字137Aおよび病変領域の位置137Cを他のリンク文字137Aおよびリンク位置137Cとは識別表示することが望ましい。このことで、どのリンク文字137Aが指定されているか明確に把握でき、リンク文字137Aに対応する読影レポートが表示されていることを容易に把握できる。
【0102】
また、指定されたリンク文字および対応する病変領域の位置を、マークまたは文字もしくはこれら両方の点滅、リンク文字の着色または背景色の着色、下線、点滅、太字、書体、リンク文字の大きさ、枠など識別表示可能な種々の方法によって強調表示してもよい。この結果、どのリンク文字に対応する病変領域の位置が指定されているかより明確に示すことができ、読影レポートの把握がより容易になる。
【0103】
次に、第三の実施形態を説明する。読影レポート記憶手段10は、同一患者の過去の医用画像に関する過去の読影レポートを含めて、複数の読影レポートを記憶する。
病変記憶手段20は、過去の医用画像における病変の位置を、同じ部位の同じ位置を示す現在の医用画像における対応する病変の位置に置き換えて病変情報として記憶する。具体的には、過去の医用画像における病変の位置を示すスライス画像143について、本発明者の特開2009−72432号に示す技術を用いて、過去のスライス画像143を含む断層画像の群からなる医用画像と現在の断層画像の群からなる医用画像とを位置合わせし、スライス画像143上の病変の位置を示す座標を、対応する現在の医用画像145上の注目箇所の座標として取得する。そして、第一の医用画像である、現在の医用画像145上の病変の位置の座標を病変情報として記憶する。
【0104】
さらに、病変記憶手段20は、病変情報に、病変文字を含む読影レポートを特定する読影レポート特定情報をさらに対応付けて記憶する。読影レポート特定情報は、読影レポートのファイル名、読影レポートの作成日、など読影レポートを特定できる情報からなる。
【0105】
この場合、リンク位置記憶手段30は、病変情報を病変記憶手段20から取得して、リンク情報に読影レポート特定情報も対応付けて記憶する。リンク情報表示手段40は、読影レポート特定情報に基づいて過去の病変文字と現在の病変文字を識別できるように表示する。例えば、再構成された医用画像上にリンク文字に加えて読影レポート特定情報として読影レポート作成日を表示してもよい。さらに、第三の実施形態に、第二の実施形態を併せて適用して、リンク文字137Aを指定に応じて対応する読影レポートが表示される際、読影レポートに加えて読影レポートの作成日などの読影レポート特定情報も表示されるようにしてもよい。
【0106】
このことにより、リンク情報表示手段40は、過去の読影レポートに記載された病変を表す過去の病変文字を再構成された第二の医用画像上に表示することができ、過去の病変の位置に対応する病変の位置を現在の医用画像上で参照することが容易になる。結果として、過去の病変の経過を参照して診断することが容易になり、読影を効率化できる。
【0107】
読影レポート特定情報を再構成された医用画像上に表示した場合には、どの読影レポートに記載された情報であるかを特定して病変の経過を診断することが容易になる。例えば、レポートの作成日が医用画像上に表示された場合は、レポートの作成日からの時間の経過も考慮して診断することができ、正確に読影できる。
【0108】
第三の実施形態に、第二の実施形態を併せて適用して、過去の読影レポートに併せて読影レポート特定情報を表示した場合には、同様に、どの読影レポートに記載された情報であるかを特定して病変の経過を診断することが容易になる。例えば、レポートの作成日が医用画像上に表示された場合は、レポートの作成日からの時間の経過も考慮して診断することができ、正確に読影できる。
【0109】
第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像は、複数でもよい。以下、第二の医用画像が複数である場合の、第四の実施形態を説明する。
【0110】
なお、第二の医用画像が複数の場合、それぞれの第二の医用画像は異なる再構成方法によって再構成された医用画像、または、それぞれと異なる表示位置やサイズにおいて表示した医用画像である。第二の医用画像には、ボリュームレンダリング法、サーフィスレンダリング法、レイサム(Ray Summation)法、MIP(Maximum Intensity Projection)法、MPR(Multi Planar Reformat)法、MNIP(Minimum Intensity Projection)法、CPR(Curved Planer Reformation)法等、種々の再構成された画像を適用することができる。
【0111】
図15を用いて具体的に説明する。図15に、第一の実施形態の変形例により表示された医用画像表示画面を説明する図を示す。図15は、図8に示す詳細情報領域113のみを表している。図15に示す詳細情報領域113には、図8に示すように、参照画像領域117の参照画像のサムネイル117Bが選択され、詳細情報領域113に、選択されたサムネイル117Bに対応する再構成された第二の医用画像133であるVR(ボリュームレンダリング)法で表された画像および第二の医用画像151であるMPR法で表された画像がさらに表示されている。なお、第二の医用画像133および第二の医用画像151は同じ画像データから生成されたものである。そして、VR法で表された画像とMPR法で表された画像の両方にリンク情報であるリンク文字135A,リンク位置135C、関連づけ指標135Bを表示している。また、図15では、リンク文字135Aに加えて読影レポートに記載された病変文字141の前後の語句をコメント135Dに示すようにさらに表示している。
【0112】
また、図15には、同じリンク情報を複数の第二の医用画像の全てに表示したが、これに限られず、リンク情報に、VR法、MIP法等の第二の医用画像の種別に応じてリンク情報を選択的に表示してもよい。例えば、リンク情報に、リンク文字ごとに選択的表示オプションを設けて、選択的表示オプションにVRが設定されていた場合には、VR法で表示される画像にのみリンク情報を表示し、選択的表示オプションにMIPが設定されていた場合には、MIP法で表示される画像にのみ表示してもよい。また、リンク情報が複数の読影レポートの病変文字に対応付けられている場合、読影レポートごとに選択的表示オプションを設定してもよい。具体的には、各々の読影レポートが作成された日時等、読影レポートを特定する読影レポート特定情報をリンク情報として設定し、読影レポート特定情報が同じリンク情報に同じ選択的表示オプションを設定することが考えられる。
【0113】
以上の第四の実施形態によれば、第一の医用画像を含む複数の医用画像から構成された複数の第二の医用画像のそれぞれにリンク情報を表示することによって、同じ病変について複数の再構成された医用画像によって画像診断が行えるため、より精度良く病変の画像診断を行うことができる。またリンク情報を第二の医用画像の種別ごとに選択的に表示した場合は、第二の医用画像の種別に応じて第二の医用画像上に必要な情報のみを選択的に表示できるため、より効率的に精度良く読影することができる。
【0114】
また、第四の実施形態の変形例として、GUIから第二の医用画像上で他の第二の医用画像の表示を選択可能に設定できるようにし、他の第二の医用画像の表示の選択に応じて、第二の医用画像に替えてまたは第二の医用画像に加えて他の第二の医用画像を医用画像表示手段60に表示させてもよい。例えば、VR法で表された第二の医用画像上で、マウスを右クリックすると、MIP、MPR等の表示方法がプルダウンメニューで選択可能に表示し、ユーザーがマウス等でプルダウンメニューからMIPを選択すると、選択されたMIP法によって表された他の第二の医用画像が、VR法で表された第二の医用画像に替えて表示されるようにしてもよい。
【0115】
また、本明細書の第一の実施形態の他の変形例として、第二の医用画像が時系列的な画像データを有する場合は、第二の医用画像上で、第二の医用画像のリンク位置にリンク情報を表示した状態で、第二の医用画像を4D表示するようにしてもよい。
【0116】
次に、図16を用いて、第五の実施形態について説明する。図16は、第五の実施形態の機能ブロック図である。図16に示すように、第五の実施形態においては、病変記憶手段20から読影レポートに記憶された病変文字を取得し、病変文字に対応するキーワードを抽出し、抽出したキーワードから第二の医用画像の表示条件を決定する表示条件決定手段90と、決定された表示条件に基づいて第二の医用画像を生成し、医用画像記憶手段50に記憶する第二の医用画像生成手段91をさらに設ける。また、第五の実施形態による医用画像表示手段60は、決定した表示条件に基づいて、第二の医用画像を表示する。
【0117】
図17は、表示条件決定手段90をさらに機能ブロックで表した図である。図17に示すように、表示条件決定手段90は、キーワードテーブル93、キーワード抽出部92、表示条件テーブル94、表示条件決定部95を備える。
【0118】
キーワード抽出部92は、病変記憶手段20から読影レポートに記載された病変文字を取得し、キーワードテーブル93を用いて、表示条件の決定要因となるキーワードK1,K2を抽出する。図18は、キーワードテーブル93の一例を示したものである。図18に示したように、キーワードテーブル93は、キーワードと病変文字とが関連づけられたものであり、病変文字および抽出対象語として、解剖学的構造物および病変に関する情報が登録されている。キーワード抽出部92は、病変記憶手段20から病変情報に登録された病変文字を取得する。この例では、病変情報の病変文字として「左肺」と「結節」を取得したものとする。次に、キーワード抽出部92は、検索でヒットした病変文字をキーワードに変換する。すなわち、「左肺」は、各語と関連づけられたキーワード「肺」(キーワードK1)に変換され、「結節」は、そのままキーワード「結節」(キーワードK2)となる。
【0119】
なお、キーワードの抽出方法は上記の方法に限定されず、例えば、サーチエンジン等で用いられる公知の自然言語処理技術等を採用することも可能であるが、読影レポートの作成時に、解剖学的構造物や病変の選択入力するユーザインターフェースを提供するなどして、解剖学的構造物や病変の呼称を標準化しておけば、上記のようなキーワードテーブルを用いた検索でも十分な効果は得られる。また、第五の実施形態においては、キーワードテーブルを設けず、キーワード抽出部92は病変文字をそのままキーワードとして用いることもできる。しかし、キーワードテーブルを設けることで、複数の病変文字に一つのキーワードを対応付けることができるため、表示条件テーブルに登録するキーワードを必要以上に増やすことなく、様々な病変文字に対して効率的に表示条件を設定することができる。
【0120】
次に、表示条件決定部95は、キーワード抽出部92によって抽出されたキーワードK1、K2を用いて、第一の医用画像を含む複数の医用画像から第二の医用画像を生成して表示する画像処理方法および/または第二の医用画像の表示態様を決定する表示条件テーブル94を参照し、これらのキーワードK1、K2と関連づけられた表示条件を特定する。
【0121】
なお、このような表示条件は、診療科の医師等のユーザーが、必要に応じて、登録、変更、削除等のメンテナンスが可能である。このメンテナンスは、表示条件テーブル94を直接設定してもよいが、表示条件テーブルの内容を対話的に入力、選択するGUIから設定できるようにすることが好ましい。また、現在表示されている画像に適用されている表示条件をGUIから確認できることが好ましい。画像診断の際のユーザーの理解を助け、表示条件テーブルの編集等での操作性も向上するためである。
【0122】
表示条件テーブル94には、各キーワードに対応付けられて、VRのカラーテンプレート、階調処理、強調処理のパラメータ、医用画像のウィンドウ幅、ウィンドウレベル、CADを用いた画像認識処理等の表示条件が設定されていることが好ましい。ここで、VRのカラーテンプレートは画像データの濃度値に対応付けてRGBや不透明度を予め設定した、VRのカラー表示態様を決定するテンプレートである。
【0123】
図19に、第五の実施形態の表示条件テーブル94aの例を示す。例えば、病変文字が血管の異常を表すものであれば、表示条件決定手段90がキーワードテーブルからキーワードとして「血管」を抽出し、表示条件テーブル94aからキーワード「血管」に対応する表示条件「101」を決定する。そして、表示条件決定手段90は決定した表示条件「101」および病変文字「血管」を第2の医用画像生成手段91に出力する。
【0124】
第2の医用画像生成手段91は、表示条件決定手段90から表示条件「101」および病変文字「血管」を取得し、病変記憶手段20を参照して、病変文字「血管」に関連づけられた第一の医用画像を含む画像データを医用画像記憶手段50から取得する。そして、取得した画像データから表示条件「101」の画像の種別「VR」に基づいて、第二の医用画像をVR法で生成し医用画像記憶手段50に記憶する。また、第二の医用画像には、タグ情報等で第二の医用画像の表示条件を特定する情報、例えば、表示条件ID「101」を関連付けて医用画像記憶手段50に記憶する。このように、キーワードに対応付けて第二の医用画像の種別を決定した場合には、病変や臓器に応じた画像の再構成法によって第二の医用画像を生成して表示することができるため、より効率的に精度良く読影することができる。
【0125】
そして、医用画像表示手段60は、ユーザーの入力等による第二の医用画像の表示指示を受けると、医用画像記憶手段50から第二の医用画像および第二の医用画像の表示条件を特定する情報、例えば表示条件ID「101」を取得し、表示条件決定手段90から第二の医用画像の表示条件「101」を取得し、表示条件「101」に基づいて第二の医用画像を表示する。図19では、決定された表示条件「101」は、第二の医用画像の種別として「VR」、第二の医用画像の表示ウィンドウの表示位置情報として、始点座標とウィンドウのサイズ「(0,0)、W=512、H=512」、カラーテンプレートとしてVRのカラーテンプレート「Cr1」を、キーワード「血管」に対応付けて設定している。よって、医用画像表示手段60は、VR法で再構成された第二の医用画像を医用画像記憶手段50から取得し、この第二の医用画像に座標(0,0)からW=512、H=512となるウィンドウ内にVRのカラーテンプレートCr1を適用して表示する。
【0126】
また、例えば、臓器ごとに、各臓器を最適に表示できるカラーテンプレートが用意されていてもよい。例えば、リンク文字が「肝臓」であれば、肝臓用に用意されたカラーテンプレートCr2が選択され、選択されたカラーテンプレートCr2に基づいてVR法で表示されてもよい。病変文字に応じた表示条件で第二の医用画像が表示されるため、より効率的に精度良く読影することができる。
【0127】
また、医用画像表示手段60は、第二の医用画像上でのリンク位置を中心として表示するように表示位置を位置合わせして表示してもよい。例えば、医用画像表示手段60は、リンク位置記憶手段30からリンク位置を取得し、表示条件決定手段90から取得した表示条件に基づいて画面上の特定の位置に配置される特定のサイズの表示ウィンドウ内に、リンク位置が表示ウィンドウの中心となるように位置合わせして第二の医用画像を表示してもよい。
【0128】
リンク位置が表示ウィンドウの中心となるように第二の医用画像を表示することにより、病変領域の位置を視認しやすい配置で、第二の医用画像が表示されるため、効率的に、精度良く読影することができる。なお、病変領域の位置を視認しやすい位置であれば、表示ウィンドウの中心に限られず、様々な位置に配置させて第二の医用画像を表示してよい。
【0129】
なお、第五の実施形態の変形例として、すでに第二の医用画像が生成されて医用画像記憶手段50に記憶されており、画像条件テーブルがキーワードに画像の種別を対応付けるものでない場合は、第二の医用画像を生成する必要がないため、第二の医用画像生成手段91を備えなくてもよい。具体的には、表示条件決定手段90は病変記憶手段20から読影レポートに記憶された病変文字を取得し、病変文字に対応するキーワードを抽出し、抽出したキーワードから第二の医用画像の表示条件を決定する。そして、医用画像表示手段60は、すでに生成されて医用画像記憶手段50に記憶された第二の医用画像を、決定された表示条件に基づいて表示すればよい。
【0130】
図20を用いて第五の実施形態のさらなる変形例を説明する。図20は、第五の実施形態の変形例の表示条件テーブル94bの例を示す。図20に示すように、第五の実施形態の変形例では、医用画像表示装置は種類の異なる複数のCADをさらに備え、表示条件テーブル94bは各キーワードに対応付けてCADによる自動認識処理を用いた画像処理を設定したものである。CADを用いた臓器又は病変の抽出には、本明細書で上述した例を含め種々の周知の自動認識技術を用いることができる。
【0131】
第五の実施形態の変形例では、例えば、病変文字が心臓の病変を表す文字であれば、表示条件決定手段90は、キーワード「心臓」を抽出し、表示条件テーブル94bからキーワード「心臓」に対応する表示条件「201」を決定する。表示条件「201」には、心臓に対応付けてCADによる心臓抽出および冠動脈抽出の処理および抽出された心臓及び冠動脈表示の識別表示が設定されている。医用画像表示手段60は、表示条件「201」に基づいて、医用画像記憶手段50から取得した第二の医用画像に心臓抽出と冠動脈抽出を行って、第二の医用画像を表示すると共に、第二の医用画像のうち抽出された心臓を識別表示し、心臓のうち冠動脈をさらに識別表示する。
【0132】
また、この際、キーワードに対応付けて、抽出された臓器等の解剖学的な構造物をマスクして非表示にするオプションを設定してもよい。
【0133】
例えば、表示条件テーブル94bの「202」、「203」に示すように、キーワード「肝臓」に対応付けて肝臓抽出処理および「抽出された解剖学的構造物以外非表示」、「脾臓」に対応付けて脾臓抽出処理および「抽出された解剖学的構造物以外非表示」をそれぞれ設定してもよい。この場合、表示条件決定手段90は、例えば、「肝臓と脾臓の病変」を表す病変文字に対して、キーワードテーブル93からキーワード「肝臓」と「脾臓」を抽出し、表示条件テーブル94bからキーワード「肝臓」および「脾臓」に対応する表示条件「202」および「203」を決定する。
【0134】
医用画像表示手段60は、表示条件決定手段90から決定した表示条件「202」および「203」を取得し、医用画像記憶手段50から第一の医用画像を含む複数の医用画像または第二の医用画像を取得して、取得した医用画像からCADにより肝臓を抽出するとともにCADにより脾臓を抽出する。そして、医用画像表示手段60は、第二の医用画像を表示する際、抽出された肝臓及び脾臓以外の臓器をマスクして非表示にする。
【0135】
また、表示条件テーブル94bの表示条件「204」に示すように、キーワード「血管」に対応付けて、CADによる骨抽出処理および抽出した解剖学的構造物を非表示にするオプションを設定してもよい。この場合、医用画像表示手段60は、表示条件「204」を取得して、医用画像記憶手段50から取得した第二の医用画像からCADにより骨を抽出し、第二の医用画像を表示する際、抽出された骨をマスクして非表示にする。
【0136】
以上のように、表示条件にキーワードに対応付けてCADによる画像認識処理を設定した場合には、病変や臓器等の病変文字に対応付けられて抽出したキーワードに応じて、病変や臓器を視認しやすく識別表示して第二の医用画像を表示することができ、より効率的に精度良く読影できる。また、キーワードに応じて病変や臓器等を選択的に非表示にした場合には、必要な領域のみが表示され、効率的に精度良く読影することができる。
【0137】
以上の実施形態は、その本質を変容させることなく、他の実施形態にも適用できる。
【符号の説明】
【0138】
1 モダリティ
2 画像保管サーバ
3 画像処理ワークステーション
9 ネットワーク
10 読影レポート記憶手段
20 病変記憶手段
30 リンク位置記憶手段
40 リンク情報表示手段
50 医用画像記憶手段
60 医用画像表示手段
70 読影レポート表示手段
80 リンク文字指定手段
100 読影レポート作成画面
110 医用画像表示画面
105 所見欄
105A リンク文字
115A 病変領域の位置
121A 添付画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶する医用画像記憶手段と、
前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、
前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段と、
前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段と、
前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示する医用画像表示手段と、
前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示するリンク情報表示手段を備えたことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記第二の医用画像が3次元医用画像であることを特徴とする請求項1記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記リンク位置記憶手段が、前記読影レポート記憶手段に記憶された前記読影レポートから前記病変文字に加えて前記病変文字の前後の語句を記憶するものであり、
前記リンク情報表示手段が、前記リンク文字に加えて前記前後の語句を表示するものであることを特徴とする請求項1または2記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記第二の医用画像上の前記リンク文字を指定するリンク文字指定手段と、
前記読影レポートを表示する読影レポート表示手段をさらに備え、
前記リンク文字が、前記読影レポート上の前記病変文字とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、
前記読影レポート表示手段が、前記第二の医用画像上の前記リンク文字の指定に応じて、指定された該リンク文字に対応する病変文字を含む前記読影レポートの全体をさらに追加表示し、追加表示された該読影レポート上の前記指定されたリンク文字に対応する病変文字を強調して表示するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記病変文字が、前記第一の医用画像とハイパーリンクによってリンク付けされているものであり、
前記医用画像表示手段が、前記第二の医用画像のほかに、前記追加表示された読影レポート上の前記病変文字の指定に応じて、前記第一の医用画像をも表示するものであり、
前記リンク情報表示手段が、さらに前記第一の医用画像上に前記病変領域の位置を表す指標を表示するものであることを特徴とする請求項4に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記読影レポート表示手段が、前記指定されたリンク文字に対応する病変領域を含む医用画像を縮小した添付画像を、前記読影レポートに併せて表示するものであることを特徴とする請求項4または5記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記読影レポートが、過去の医用画像についての複数の読影レポートまたは複数の異なる病変位置についての複数の読影レポートを含むものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶し、
前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶し、
前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶し、
前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶し、
前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示し、
前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示することを特徴とする医用画像表示方法。
【請求項9】
コンピュータを、
第一の医用画像および該第一の医用画像を含む複数の医用画像から再構成された第二の医用画像を記憶する医用画像記憶手段と、
前記第一の医用画像上の病変領域の病変内容を表す病変文字を含む読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、
前記病変文字と前記病変領域の位置とを対応付けて記憶する病変記憶手段と、
前記病変領域の位置に対応する前記第二の医用画像における位置を算出してリンク位置として記憶するリンク位置記憶手段と、
前記第二の医用画像を前記医用画像記憶手段から取得して表示する医用画像表示手段と、
前記第二の医用画像上に、前記病変文字からなるリンク文字と、該リンク文字の表す前記病変領域の位置と対応する前記リンク位置を表す位置指標とを関連付けて表示するリンク情報表示手段として機能させるための医用画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−83590(P2011−83590A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67799(P2010−67799)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100160679
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 弘子
【Fターム(参考)】