説明

医用画像表示装置及びプログラム

【課題】描画された医用画像の表示を容易にする。
【解決手段】医用画像表示装置は、複数の医用画像を表示する表示手段と、前記表示された医用画像に対し描画の操作がなされると、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶手段に記憶させる制御手段と、を備え、前記制御手段は、描画された医用画像の表示が指示されると(ステップS22;Y)、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる(ステップS23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、X線撮影やCT(Computed Tomography)撮影のような検査撮影によって得られた医用画像のデジタル化が進み、ディスプレイに表示された医用画像により医師の読影が行われている。
読影時に、医師は医用画像に対し補助線を引いたり、マーキングしたりと描画を行い、組織間の距離や角度を計測することがある。このような医師の作業を補助するため、表示された医用画像において描画や計測が可能な装置も開発されている。
【0003】
読影後、医師は読影に関するレポートを作成するが、このレポートに医用画像を添付する場合がある。しかし、CT撮影やMRI(Magnetic Resonance Imaging)撮影では、1回の検査で得られる撮影枚数が100〜1000枚単位と、読影する医用画像数が非常に多い。多数の医用画像の中から医師が読影時に添付しようと思っていた医用画像を見つけ出すのは非常に煩雑である。そこで、読影用に医用画像を表示中に、医師の登録操作によって、後のレポート作成時に参照したい医用画像をブックマーク登録できる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−167042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レポートには医用画像が添付されるだけでなく、描画による計測値も入力されることがあり、レポート作成時には読影時に描画された医用画像が医師によって再度参照される場合がある。しかしながら、上述のように読影対象の医用画像が多数ある場合、多数の医用画像の中から描画された医用画像を探し出すのは容易ではない。上記特許文献1に記載のように、描画された医用画像についてブックマーク登録の操作を行うことにより、後のレポート作成時に求める医用画像を識別できるようにすることは可能である。しかし、レポートに添付する医用画像は1,2枚程度と少ないのに対し、描画の操作はもっと多くの医用画像に対して行われる。医師が描画する度に逐一ブックマーク登録の操作を行うのは煩雑であり、医師の負担となる。
【0005】
本発明の課題は、描画された医用画像の表示を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、
複数の医用画像を表示する表示手段と、
前記表示された医用画像に対し描画の操作がなされると、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶手段に記憶させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる医用画像表示装置が提供される。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、
前記識別情報は医用画像の描画の種別を示す識別情報を含み、
前記制御手段は、描画の種別を選択して描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち、選択された種別の描画がされた医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる請求項1に記載の医用画像表示装置が提供される。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、
前記識別情報は医用画像の描画の種別を示す識別情報を含み、
描画の種別はグループ分類され、
前記制御手段は、前記描画の種別を示す識別情報とともに、描画の種別のグループを示す識別情報を前記記憶手段に記憶させ、描画の種別のグループを選択して描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された描画の種別のグループを示す識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち、選択されたグループに属する種別の描画がなされた医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる請求項1に記載の医用画像表示装置が提供される。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、
前記制御手段は、前記表示された医用画像に対しキー画像である指定がなされると、当該医用画像がキー画像であることを示す情報を記憶手段に記憶させ、描画された医用画像とキー画像の表示が指示されると、前記記憶されたキー画像であることを示す情報に基づいて前記複数の医用画像のうちキー画像として指定された医用画像を抽出し、前記描画されたことを示す識別情報によって抽出された医用画像と、前記キー画像であることを示す情報によって抽出された医用画像とを表示させる請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像表示装置が提供される。
【0010】
請求項5に記載の発明によれば、
コンピュータを、
表示手段に表示された複数の医用画像に対し描画の操作がなされると、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶手段に記憶させ、
描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる制御手段として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の医用画像 の中から、描画された医用画像を容易に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は医用画像システム1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像システム1は、サーバ10と、本実施の形態に係る医用画像表示装置20とを含む。サーバ10と医用画像表示装置20とはネットワークNを介して通信が可能である。その通信方式としては、医用画像の通信方式として一般的に用いられるDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)が挙げられる。
【0014】
サーバ10は、医用画像や電子カルテ、レポートを保存し、管理する。サーバ10は医用画像表示装置20からの要求に応じて、医用画像や電子カルテ、レポートを医用画像表示装置20に送信し、提供する。
【0015】
医用画像表示装置20は、サーバ10から医用画像を取得して表示する。また、医用画像表示装置20は、医師の操作に応じて電子カルテやレポートを作成し、サーバ10に送信する。
【0016】
図2は医用画像表示装置20の機能的構成を示している。
図2に示すように、医用画像表示装置20は、制御部21、記憶部22、表示部23、操作部24、通信部25、I/F部26、CD/DVDドライブ27を備えている。
【0017】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備える制御手段である。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムとの協働により、各種演算を行い、各部の動作を制御し、処理を実行する。
例えば、制御部21はビューア画面に1シリーズ分の複数の医用画像を表示させる。また、制御部21は表示部23に表示された医用画像に対し描画の操作がなされると、当該操作に応じて医用画像上に描画するとともに、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶部22に記憶させる。また、制御部21は描画された医用画像の表示が指示されると、記憶部22に記憶された識別情報に基づいて1シリーズ分の複数の医用画像のうち、描画された医用画像を抽出して表示部23に表示させる。
【0018】
記憶部22は、例えばハードディスクから構成され、各種プログラムの他、処理の実行に必要なパラメータやファイルを記憶している。
記憶部22は、表示する医用画像や作成された電子カルテ、レポートのファイルを記憶している。
【0019】
また、記憶部22は描画テーブルを記憶する記憶手段である。描画テーブルは、医用画像が描画されたことを示す識別情報が設定されたテーブルである。
図3は描画テーブルの一例を示している。図3に示す描画テーブルT1には、描画された医用画像について、医用画像のシリーズ管理番号、画像管理番号、当該描画の種別を示すフラグ、種別が属するグループを示すフラグがそれぞれ対応付けて記憶されている。
【0020】
MRI撮影やCT撮影のように、1単位の検査撮影で複数の医用画像が得られる場合、当該複数の医用画像は同じシリーズの医用画像として扱われ、同一のシリーズ番号が付与されて管理される。例えば、胸部から腹部にかけての複数の断層画像を得るCT撮影の場合、これら複数の断層画像は全て同じシリーズ番号が付与される。しかしながら、1つの検査に複数の検査撮影が含まれる場合、例えばある検査Aとある検査Bにそれぞれ同じシリーズ番号1のシリーズが存在し、シリーズ番号自体は固有の番号ではない。そこで、各シリーズを一意に管理するため、シリーズそれぞれに固有のシリーズ管理番号が付与される。つまり、医用画像のシリーズ管理番号は、同じシリーズ管理番号の医用画像であれば同じ検査撮影で得られたことを示す。
【0021】
シリーズ番号とは別に、シリーズ内の個々の医用画像を識別するために付与されるのが画像番号である。画像番号は1シリーズの複数の医用画像について撮影により生成された順に付与される。例えば、胸部から腹部にかけての断層画像のCT撮影であれば、先に生成された胸部側の断層画像を先頭、後に生成された腹部側の断層画像を後尾として1、2、3…の順に画像番号が付与される。しかしながら、画像番号は別シリーズにも同じ番号が存在する場合があり、複数のシリーズを保有するシステムにおいては、固有の番号とはならない。よって、各医用画像を一意に管理するために、医用画像それぞれに対して固有の画像管理番号が付与される。
【0022】
描画の種別のフラグは、医用画像が描画されたことを示すとともに、どのような描画がなされたのかを示す識別情報である。医用画像表示装置20では複数種類の描画が可能であり、図4に示すように、点や線、矩形、楕円、矢印のような様々な種類の図形の描画が可能である。また、図形の描画に伴って制御部21により計測された距離、角度のような計測値を描画することも可能である。よって、描画の種類毎にその種別を示すフラグが割り当てられている。例えば、点の描画であれば「1」のフラグ、直線の描画であれば「2」のフラグ、楕円の描画であれば「3」のフラグが割り当てられる。また、直線の距離の描画は「11」のフラグ、2つの直線の交点における角度(3点角度と呼ばれる)の描画であれば「12」のフラグ、2つの直線の延長線上の交点の角度(コブ角度と呼ばれる)の描画であれば「13」のフラグが割り当てられる。
【0023】
描画の種別はグループ分類されている。描画の種別のグループのフラグは、医用画像に施された描画がどのグループに分類されているのかを示す識別情報である。グループは、例えば図4に示すように図形を描画する図形系のグループと、計測値を描画する計測系のグループとに分類されてもよい。また、放射線医学系、核医学系、整形医学系のように医学の分野毎によく使用される種別単位で分類されてもよいし、内科、外科、整形外科、放射線科のような診療科毎に分類されてもよい。なお、全ての描画の種別についてグループ分類する必要はない。また、どのようなグループに分類するかはユーザが設定可能である。
【0024】
例えば、医学分野毎にグループ分類する場合、放射線医学系のグループとして、直線、矩形、楕円、多角形の描画、これらの図形内で算出された最大画素値、最小画素値、平均画素値、標準偏差等の計測値の描画を分類することができ、これらの描画の種別に対してグループのフラグ「1」が割り当てられる。また、核医学系のグループとして、矩形、楕円、多角形の描画、これらの図形内で算出されたSUV(Standardized Uptake Value;標準化した半定量的指数)の最大値、平均値、標準偏差等の計測値の描画を分類することができ、これら描画の種別に対してグループのフラグ「2」が割り当てられる。整形医学系のグループとして、シャープ角、大腿頸骨角、ベーラー角等の計測値の描画を分類することができ、これら描画の種別に対してグループのフラグ「3」が割り当てられる。
【0025】
また、記憶部22はキー画像テーブルを記憶している。キー画像テーブルは、医用画像がキー画像として指定されたことを示す情報が設定されたテーブルである。キー画像とは、医師が注目する医用画像として医師により指定された医用画像をいう。例えば、医師がレポートに添付しようと思っている医用画像や、後で参照しなおそうと思っている医用画像が挙げられる。
【0026】
図5はキー画像テーブルの一例を示している。図5に示すキー画像テーブルT2には、キー画像として指定された医用画像について、当該医用画像のシリーズ管理番号、画像管理番号、指定を行ったユーザ(医師)に付与されているユーザIDが対応付けて記憶されている。
【0027】
表示部23はディスプレイを備えた表示手段である。表示部23は制御部21の表示制御に従って、読影用に医用画像を表示するビューア画面やレポート入力用のレポート画面のような各種表示画面を表示する。
操作部24はマウスやキーボードを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部21に出力する。なお、操作部24は表示部23のディスプレイと一体となったタッチパネルであってもよい。
【0028】
通信部25は通信用のインターフェイスを備え、制御部21の通信制御に従ってサーバ10のような外部機器との通信を行う。例えば、通信部25はサーバ10に医用画像の要求情報を送信し、サーバ10から医用画像を受信する。
【0029】
I/F部26はCD/DVDドライブ27に接続され、CD/DVDドライブ27とデータをやりとりする。
CD/DVDドライブ27はメディアMに対し、データの読み書きを行う。メディアMはCDやDVDである。例えば、CD/DVDドライブ27はメディアMに記録された過去の医用画像やレポートを読み出し、今回の診察で新たに得られた医用画像やレポートを書き込む。このようなデータの規格としては、PDI(Portable Data for Imaging)が挙げられる。
【0030】
次に、上記医用画像表示装置20により実行される処理について説明する。
医師は、医用画像を読影するにあたり、上記医用画像表示装置20を操作し、ビューア画面により医用画像を表示させることができる。
図6は、医師が医用画像を読影する際に、医用画像表示装置20により実行される処理の流れを示している。この処理に先立って、CT撮影により得られた1シリーズ分の医用画像が読影対象としてサーバ10から取得され、記憶部22に記憶されていることとする。
【0031】
図6に示すように、医用画像表示装置20では制御部21が表示部23にビューア画面を表示し、このビューア画面において1シリーズ分の複数の医用画像をスタック表示させる(ステップS1)。スタック表示とは 、1フレームに1枚の医用画像を表示し、フレーム内に表示する医用画像を切り替えながら複数の医用画像を順次表示していく表示形態をいう。医師はスタック表示により1シリーズ分の医用画像を1枚ずつ読影することができる。
【0032】
図7は、医用画像がスタック表示されたビューア画面例を示している。
図7に示すように、スタック表示により画面全体に1つのフレームが表示され、このフレームに1枚の医用画像が表示されている。医用画像上には、当該医用画像のシリーズ管理番号及び画像管理番号の情報d1が表示されている。また、医用画像上にはスライダーバーd2が表示されている。スライダーバーd2はその長さが1シリーズ分の全医用画像の数を表している。スライダーバーd2上に表示された「15/107」の「15」は現在ビューア画面に表示中の医用画像の順番を示し、「107」は1シリーズ分の全医用画像の枚数を示している。
【0033】
スライダーバーd2上のボタンd21は、シリーズ内における現在表示中の医用画像の位置を表している。ボタンd21は、スライダーバーd2の上端をシリーズの先頭に当たる画像管理番号101、下端を最後尾の画像管理番号207として1シリーズ分の医用画像を画像管理番号順に並べたときに、現在表示中の医用画像の画像管理番号115に該当する位置に配置される。ボタンd21の位置がスクロール操作により移動されると、ビューア画面に現在表示中の医用画像はボタンd21が移動された位置に該当する画像管理番号の医用画像に切り替えて表示される。
【0034】
ビューア画面において現在表示中の医用画像に対し、医師は描画の操作を行うことができる。医師は、スタック表示により1シリーズ分の医用画像を順次読影し、描画や計測が必要な医用画像については描画の操作を行う。描画の操作には、図7に示す描画ツールd31が用いられる。描画ツールd31には描画の種別が選択的に表示されるので、医師は所望する描画の種別の選択操作を行う。例えば、直線の描画が選択されたのであれば、医師はさらにマウス操作により医用画像上で始点と終点の選択操作を行う。制御部21はこのような描画操作に応じて始点と終点を結ぶ直線を医用画像上に表示させる。描画ツールd31により直線距離の計測値の描画が選択されたのであれば、制御部21は直線を描画した上で当該直線の距離を算出し、当該算出された距離の計測値を医用画像上の直線付近に描画する。
【0035】
また、ビューア画面において現在表示中の医用画像を、医師はキー画像として指定することができる。図7に示すようにビューア画面にはキー画像として指定するためのキー画像ボタンd4が設けられているので、現在表示中の医用画像をレポート作成時に添付しようと考えたのであれば、医師はキー画像ボタンd4を操作すればよい。
【0036】
このようなビューア画面において、制御部21は現在表示中の医用画像について描画の操作がなされたか否かを判別する(ステップS2)。描画の操作がなされた場合(ステップS2;Y)、制御部21は上述のように描画の操作に応じて医用画像上に描画を行うとともに、当該医用画像に施された描画の種別及びグループのフラグを設定する。例えば、直線が描画された場合は直線の種別を示すフラグ「2」が設定され、直線の種別が属するグループのフラグ「1」が設定される。制御部21は、描画された医用画像のシリーズ管理番号、画像管理番号、設定された描画の種別、グループのフラグを描画テーブルT1に書き込み、記憶させる(ステップS3)。
【0037】
描画の操作はなされないが(ステップS2;N)、キー画像ボタンd4の操作によりキー画像としての指定操作がなされた場合(ステップS4;Y)、制御部21は現在表示中の医用画像がキー画像として指定されたことを示す情報として、当該医用画像のシリーズ管理番号及び画像管理番号、指定を行った医師のユーザIDをキー画像テーブルT2に書き込み、記憶させる(ステップS5)。医師のユーザIDは、医用画像表示装置20へのログイン時にユーザ認証のために入力されるので、このログイン時に入力されるユーザIDを用いればよい。
【0038】
次いで、制御部21は読影終了の操作がなされたか否かを判断する(ステップS6)。読影終了の操作がなされた場合(ステップS6;Y)、本処理を終了し、読影終了の操作がなされていない場合(ステップS6;N)、ステップS2の処理に戻る。すなわち、1シリーズ分の医用画像について順次読影される間、医師による描画操作があれば描画の種別及びグループのフラグが記憶され、キー画像の指定操作があればキー画像に指定されたことを示す情報が記憶される。
【0039】
上述の処理によって表示された医用画像の読影終了後、医師はレポート画面を表示させ、当該レポート画面においてレポートの入力操作を行い、レポートを作成することができる。レポート作成時、必要であれば再度ビューア画面により医用画像を表示させることも可能である。
図8は、レポート作成時に医用画像を表示する際に、医用画像表示装置20により実行される処理の流れを示している。
【0040】
図8に示すように、医用画像表示装置20では制御部21の表示制御により、表示部23にレポート画面を表示させる。レポート画面は、レポート入力用の操作画面である。また、医師の指示に応じて、制御部21はレポート画面に重ねてビューア画面を表示させる(ステップS21)。
【0041】
ビューア画面では、医師により指定されたシリーズの医用画像を、通常通り画像管理番号順にスタック表示することもできるし、描画された医用画像のみをスタック表示することもできる。例えば、操作部24のキーボードのTabキーが、描画された医用画像のみの表示を指示するためのキーに割り当てられる。
【0042】
医師によりTabキーが操作され、描画された医用画像の表示が指示されると(ステップS22;Y)、制御部21は医師によりビューア画面に表示するよう指定されたシリーズのシリーズ管理番号に対応して、描画テーブルT1に描画の種別のフラグが設定されている医用画像の画像管理番号を特定する。そして、制御部21は記憶部22に記憶されている1シリーズ分の複数の医用画像のうち、特定された画像管理番号の医用画像を抽出し、ビューア画面上にスタック表示する(ステップS23)。
【0043】
抽出された医用画像は画像管理番号順にスタック表示され、画像管理番号の切り替えはTabキーの操作により指示することができる。つまり、描画された医用画像の中で画像管理番号が最も小さい医用画像がスタック表示された状態で、さらにTabキーが操作されると(ステップS24;Y)、制御部21は現在表示中の医用画像を、描画された医用画像のうちの次の画像管理番号の医用画像に切り替えて表示させる(ステップS25)。特にTabキーの操作がなければ(ステップS24;N)、本処理を終了する。
【0044】
図9は、1シリーズのうち、画像管理番号 115、149、152の医用画像が描画された場合の描画された医用画像の表示遷移例を示している。
ビューア画面が表示された当初、描画されたか否かに拘わらず、ビューア画面上のフレームには1シリーズの複数の医用画像のうち、先頭の画像管理番号101の医用画像が表示される。ここで、医師によりTabキーが操作されると、画像管理番号101の医用画像の表示から画像管理番号115の描画された医用画像の表示に切り替えられる。さらなるTabキーの操作によって、画像管理番号115から画像管理番号149の描画された医用画像に、画像管理番号149から画像管理番号152の描画された医用画像にと順次切り替えられる。
【0045】
このように、ビューア画面ではTabキーが操作される毎に、描画された医用画像が画像管理番号順に次々にスタック表示される。図9に示すように、TabキーとShiftキーとの同時操作により、画像管理番号順と逆順に描画された医用画像を表示するようにキーの機能を割り当てることとしてもよい。
【0046】
また、描画された医用画像を、描画の種別単位又は種別のグループ単位で表示できるようにしてもよい。この場合、制御部21はビューア画面においてTabキーが操作された時点で描画の種別又はグループの選択画面を表示部23に表示させる。例えば、種別であれば直線、矩形、楕円、距離、角度等のように種別の選択候補が選択画面上に表示され、グループであれば放射線医学系、核医学系のように、グループの選択候補が表示される。医師により種別又はグループが選択されると、制御部21は描画テーブルT1において選択された描画の種別又はグループのフラグが設定されている医用画像の画像管理番号を特定する。そして、制御部21は当該特定された画像管理番号の医用画像を記憶部22から抽出し、ビューア画面上に表示させる。一度、種別やグループを選択した後でも、種別又はグループは途中で再選択可能である。
【0047】
例えば、矩形の種別が選択された場合、描画テーブルT1において矩形の種別のフラグが設定されている医用画像が記憶部22から抽出され、画像管理番号順にスタック表示される。図9に示す例では、Tabキーの操作により画像管理番号101→画像管理番号149の順に医用画像がスタック表示される・
また、核医学系のグループが選択された場合、描画テーブルT1において核医学系のグループのフラグが設定されている医用画像が記憶部22から抽出され、画像管理番号順にスタック表示される。図9に示す例では、Tabキーの操作により画像管理番号101→画像管理番号149→画像管理番号152の順に医用画像がスタック表示される。
【0048】
なお、描画された医用画像の前後の医用画像を参照したい場合、描画された医用画像を表示した状態で医師はカーソルキーを操作すればよい。カーソルキーの操作に応じて制御部21は描画された医用画像の前の画像管理番号又は次の画像管理番号の医用画像に切り替えて表示する。
【0049】
以上が描画された医用画像のみを表示する場合の処理の流れであるが、描画された医用画像だけでなくキー画像をも表示できる構成としてもよい。描画された医用画像と併せてキー画像も参照することができる。
例えば、Tabキーは描画された医用画像とキー画像の表示を指示するためのキーとして割り当てられ、図8のステップS22においてTabキーが操作されると、制御部21は記憶部22に記憶された1シリーズ分の医用画像のうち、描画テーブルT1において描画の種別のフラグが設定されている医用画像と、キー画像テーブルT2においてキー画像であることを示す情報が設定されている医用画像とを抽出する。ステップS23〜S25ではTabキーが操作されると、抽出された医用画像が画像管理番号順にスタック表示される。
【0050】
すなわち、Tabキーの操作により、ビューア画面に描画された医用画像とキー画像として指定された医用画像が画像管理番号順に順次表示される。
例えば、1シリーズの複数の医用画像のうち、画像管理番号107、136の医用画像がキー画像として指定され、画像管理番号115、149の医用画像が描画された場合、図10に示すようにTabキーの操作に応じて画像管理番号107、115、136、149の順に表示される医用画像が遷移する。このとき、TabキーとShiftキーの同時操作によって表示順を逆順に遡る構成としてもよい。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、読影時に1シリーズ分の複数の医用画像を表示部23に表示し、表示された医用画像に対し描画の操作がなされると、制御部21は当該医用画像が描画されたことを示す描画の種別のフラグを記憶部22の描画テーブルT1に記憶させる。その後、レポート作成時等においてTabキーの操作により描画された医用画像の表示が指示されると、描画テーブルT1に記憶された描画の種別のフラグに基づいて、制御部21は1シリーズ分の複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出し表示部23に表示させる。
【0052】
これにより、描画の後、描画された医用画像を容易に表示することができる。医師は読影後、読影時に描画した医用画像を簡単な操作で呼び出すことができ、1シリーズの多数の医用画像の中から描画された医用画像を検索する手間が省ける。特に、医用画像をスタック表示する表示形態においては、描画された医用画像を表示させた後、必要であれば描画された医用画像の前後周辺の医用画像をも簡単に表示させることができ、便利である。
また、描画の種別のフラグは医用画像に描画の操作がされたタイミングで、制御部21が記憶部22に記憶させるので、描画した医用画像を後で呼び出せるように、医師がキー画像として逐一指定する操作は必要なく、医師の作業負担を軽減することができる。描画の回数はキー画像の指定に比べて多いので、このような指定操作を省略する構成は特に有効である。
【0053】
また、医師により描画の種別を選択して描画された医用画像の表示が指示されると、制御部21は描画テーブルT1に記憶された描画の種別のフラグに基づいて、1シリーズ分の複数の医用画像のうち、選択された種別の描画がなされた医用画像を抽出して表示部23に表示する。これにより、描画された医用画像が多数ある場合であっても、医師は参照したい種別の描画に限定して描画された医用画像を参照することができる。描画の種別は多数用意されているので、種別を限定して表示することにより、目的とする医用画像の検索が容易となる。
【0054】
また、制御部21は描画の操作がなされたとき、描画の種別のグループを示すフラグを描画テーブルT1に記憶させる。医師により描画の種別のグループを選択して描画された医用画像の表示が指示されると、制御部21は記憶された描画の種別のグループのフラグに基づいて、1シリーズ分の複数の医用画像のうち、選択されたグループに属する種別の描画がなされた医用画像を抽出して表示部23に表示させる。これにより、描画された医用画像が多数ある場合であっても、医師は参照したいグループの描画に限定して描画された医用画像を参照することができる。描画の種別は多数用意されているので、よく使用する種別が分類されたグループに限定して表示することにより、目的とする医用画像の検索が容易となる。
【0055】
なお、上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、 図7によってビューア画面全体に1つのフレームを表示し、このフレーム内で1シリーズ分の複数の医用画像をスタック表示する例を示した。しかし、この他にも、1つの画面上に2つのフレームを表示し、一方のフレームにはシリーズA、他方のフレームにはシリーズBを表示し、各シリーズA、Bの医用画像に対して同期操作する場合もある。このように複数のフレームによって医用画像を表示する場合にも本発明を適用し、シリーズA、Bのそれぞれにおいて描画された医用画像のみを抽出して表示すればよい。
さらに、1シリーズ分の複数の医用画像を表示する場合に限らず、異なるシリーズの医用画像を複数表示する場合もある。この場合も本発明を適用し、表示する医用画像のシリーズ管理番号、画像管理番号から描画の種別のフラグを特定することにより、描画された医用画像のみを抽出して表示することができる。
【0056】
また、上記実施形態ではスタック表示により医師が医用画像を参照する場合の例を説明したが、タイル表示により表示する場合も本発明を適用することができる。タイル表示とは 、1つのフレームを複数領域に分割し、分割されたそれぞれの領域に医用画像を表示する表示形態をいう。具体的には、図8のステップS22において描画された医用画像の表示が指示されると、ステップS23において制御部21が描画の種別のフラグが設定されている医用画像を抽出する。制御部21は当該抽出された医用画像を、図11に示すように画像管理番号順にタイル表示させる。これにより、タイル表示によってシリーズの医用画像を一覧表示する表示形態においても、医師は描画された医用画像のみを容易に参照することができる。
【0057】
また、複数のディスプレイを用いる場合、次のような表示を行ってもよい。
例えば、図12に示すように3つのディスプレイが使用できる場合、各ディスプレイにレポート画面A1、シリーズの医用画像をスタック表示するビューア画面A2、描画された医用画像のみをタイル表示するビューア画面A3を表示する。医師はレポート画面A1でレポートの入力操作を行い、描画された医用画像をさらに詳細に参照したい場合、ビューア画面A3のタイル表示された医用画像の中から参照したい医用画像を選択すればよい。制御部21はビューア画面A2において現在表示中の医用画像を、ビューア画面A3において選択された、描画された医用画像に切り替えて表示させる。
【0058】
このように、スタック表示する医用画像を医師が選択する際の目次としてタイル表示を用いることにより、医師のレポート作成がより効率的となる。タイル表示では描画された医用画像のみの表示となるが、スタック表示では描画された医用画像の前後の医用画像の表示が容易である。複数のディスプレイが利用可能である場合には、個々のディスプレイで目的に応じた表示ができる点で有効である。
【0059】
また、上記実施形態では医用画像表示装置20が単独で処理する構成であったが、クライアント・サーバ構成による処理としてもよい。クライアント・サーバ構成では、サーバ10が描画テーブルT1、キー画像テーブルT2を管理し、医用画像表示装置20が描画操作やキー画像の指定操作があると描画テーブルT1、キー画像テーブルT2に書き込む情報をサーバ10にアップロードする。そして、医用画像表示装置20において描画された医用画像を表示する際には、サーバ10からダウンロードされた描画テーブルT1やキー画像テーブルT2を用いる。
【0060】
また、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】医用画像システムの構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における医用画像表示装置の機能的構成を示す図である。
【図3】描画テーブルの一例を示す図である。
【図4】描画の種別の例を示す図である。
【図5】キー画像テーブルの一例を示す図である。
【図6】医用画像の読影時に医用画像表示装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す処理において表示されるビューア画面例である。
【図8】レポート作成時に医用画像表示装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す処理によって遷移する医用画像の表示例である。
【図10】図8に示す処理によって遷移する医用画像の表示例である。
【図11】タイル表示の場合のビューア画面例である。
【図12】複数のディスプレイを利用した表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 医用画像システム
10 サーバ
20 医用画像表示装置
21 制御部
22 記憶部
T1 描画テーブル
T2 キー画像テーブル
23 表示部
24 操作部
25 通信部
26 I/F部
27 CD/DVDドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医用画像を表示する表示手段と、
前記表示された医用画像に対し描画の操作がなされると、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶手段に記憶させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる医用画像表示装置。
【請求項2】
前記識別情報は医用画像の描画の種別を示す識別情報を含み、
前記制御手段は、描画の種別を選択して描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち、選択された種別の描画がされた医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記識別情報は医用画像の描画の種別を示す識別情報を含み、
描画の種別はグループ分類され、
前記制御手段は、前記描画の種別を示す識別情報とともに、描画の種別のグループを示す識別情報を前記記憶手段に記憶させ、描画の種別のグループを選択して描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された描画の種別のグループを示す識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち、選択されたグループに属する種別の描画がなされた医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記表示された医用画像に対しキー画像である指定がなされると、当該医用画像がキー画像であることを示す情報を記憶手段に記憶させ、描画された医用画像とキー画像の表示が指示されると、前記記憶されたキー画像であることを示す情報に基づいて前記複数の医用画像のうちキー画像として指定された医用画像を抽出し、前記描画されたことを示す識別情報によって抽出された医用画像と、前記キー画像であることを示す情報によって抽出された医用画像とを表示させる請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、
表示手段に表示された複数の医用画像に対し描画の操作がなされると、当該医用画像が描画されたことを示す識別情報を記憶手段に記憶させ、
描画された医用画像の表示が指示されると、前記記憶された識別情報に基づいて前記複数の医用画像のうち描画された医用画像を抽出して前記表示手段に表示させる制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−131237(P2010−131237A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310780(P2008−310780)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】