説明

医用画像診断装置、医用画像処理装置及び方法

【課題】被検体の特性を示す特定値を容易に把握させることができる医用画像診断装置、医用画像処理装置及び方法を提供すること。
【解決手段】実施形態の医用画像診断装置は、画像生成部と、表示制御部とを備える。画像生成部は、医用画像データから被検体の画像である被検体画像を生成するとともに、前記医用画像データが示す前記被検体の特性値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成する。表示制御部は、前記画像生成部によって生成された被検体画像と図形画像とを所定の表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの視点から撮影された2つの画像をモニタに表示することで、立体視用メガネ等の専用機器を用いた利用者にとって立体視可能な画像を表示する技術が知られている。また、近年、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いて、複数の視点から撮影された画像(例えば、9つの画像)をモニタに表示することで、裸眼の利用者にとっても立体視可能な画像を表示する技術が知られている。なお、立体視可能なモニタにて表示される複数の画像は、1視点から撮影された画像の奥行き情報を推定し、推定した情報を用いた画像処理により生成される場合もある。
【0003】
一方、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置では、3次元の医用画像データ(以下、ボリュームデータ)を生成可能な装置が実用化されている。かかる医用画像診断装置は、ボリュームデータに対して種々の画像処理を実行することで表示用の平面画像を生成し、汎用モニタ上に表示する。例えば、医用画像診断装置は、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を実行することで、被検体についての3次元の情報が反映された2次元のレンダリング画像を生成し、生成したレンダリング画像を汎用モニタ上に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−86414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被検体の特性を示す特定値を容易に把握させることができる医用画像診断装置、医用画像処理装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用画像診断装置は、画像生成部と、表示制御部とを備える。画像生成部は、医用画像データから被検体の画像である被検体画像を生成するとともに、前記医用画像データが示す前記被検体の特性値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成する。表示制御部は、前記画像生成部によって生成された被検体画像と図形画像とを所定の表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態におけるX線CT装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、2視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。
【図3】図3は、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示すレンダリング処理部の構成例を説明するための図である。
【図5】図5は、第1の実施形態におけるボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、第1の実施形態におけるX線CT装置による処理の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態におけるシステム制御部の構成例を説明するための図である。
【図8】図8は、第1の実施形態におけるシステム制御部による処理の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、第1の実施形態におけるシステム制御部による処理の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、第1の実施形態におけるシステム制御部による処理の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、第1の実施形態におけるX線CT装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、立体画像空間とボリュームデータ空間との対応関係の一例を示す図である。
【図13】図13は、第3の実施形態における画像処理システムの構成例を説明するための図である。
【図14】図14は、第3の実施形態におけるワークステーションの構成例を説明するための図である。
【図15】図15は、第3の実施形態における端末装置の構成例を説明するための図である。
【図16】図16は、第3の実施形態における画像処理システムによる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、医用画像診断装置としてX線CT装置を一例に挙げて説明する。最初に、以下の実施形態で用いる用語について説明すると、「視差画像群」とは、ボリュームデータに対して、所定の視差角ずつ視点位置を移動させてボリュームレンダリング処理を行うことで生成された画像群のことである。すなわち、「視差画像群」は、「視点位置」が異なる複数の「視差画像」から構成される。また、「視差角」とは、「視差画像群」を生成するために設定された各視点位置のうち隣接する視点位置とボリュームデータによって表される空間内の所定位置(例えば、空間の中心)とにより定まる角度のことである。また、「視差数」とは、立体表示モニタにて立体視されるために必要となる「視差画像」の数のことである。また、以下で記載する「9視差画像」とは、9つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。また、以下で記載する「2視差画像」とは、2つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。
【0009】
(第1の実施形態)
X線CT装置は、X線管から被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線を検出器により検出することで、被検体内における組織形態情報を示すX線CT画像データの再構成を行う装置である。
【0010】
図1を用いて、第1の実施形態におけるX線CT装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態におけるX線CT装置1の構成例を示す図である。図1に例示するように、第1の実施形態におけるX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置100とを有する。
【0011】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出してコンソール装置100に出力する。かかる架台装置10は、高電圧発生部11と、X線管12と、X線検出器13と、データ収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16と、架台寝台制御部17とを有する。
【0012】
高電圧発生部11は、架台寝台制御部17による制御に従って、X線管12に対して高電圧を供給する。X線管12は、高電圧発生部11から供給される高電圧によってX線を発生する真空管であり、回転フレーム15の回転に伴って、被検体Pに対してX線を照射する。すなわち、高電圧発生部11は、X線管12に供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
【0013】
X線検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。例えば、X線検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
【0014】
データ収集部14は、X線検出器13によって検出されたX線を用いて投影データを生成し、生成した投影データをコンソール装置100の画像処理部140に送信する。回転フレーム15は、被検体Pを中心にして、高速でかつ連続的に回転する円環状のフレームであり、X線管12及びX線検出器13が対向して配置される。
【0015】
架台駆動部16は、架台寝台制御部17による制御に従って、架台を駆動する。具体的には、架台駆動部16は、モータの駆動によって回転フレーム15を高速に連続回転させ、被検体Pを中心とした円軌道上でX線管12及びX線検出器13を連続回転させる。架台寝台制御部17は、後述するスキャン制御部160による制御に従って、高電圧発生部11、架台駆動部16及び寝台駆動部21を制御する。
【0016】
寝台装置20は、撮影対象の被検体Pを載置する台であり、寝台駆動部21と、天板22とを有する。寝台駆動部21は、架台寝台制御部17による制御に従って、モータの駆動によって、天板22を被検体Pの体軸方向に連続して往復移動する。天板22は、被検体Pを載置する板である。
【0017】
なお、X線CT装置1による検査では、回転フレーム15を固定させた状態でX線管12からX線を照射しながら天板22を移動させることで、被検体Pの全身を体軸方向に沿ってスキャンしたスキャノグラムが撮影される。そして、被検体Pのスキャノグラムを参照した操作者は、撮影計画を立案する。これにより、架台装置10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。
【0018】
コンソール装置100は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データからX線CT画像データを再構成する。例えば、コンソール装置100は、データ収集部14から受信した3次元投影データから3次元X線CT画像データ(以下、「ボリュームデータ」と表記する)を再構成したり、ボリュームデータから視差画像群を生成し、この視差画像群を立体視可能なモニタに表示したりする。かかるコンソール装置100は、図1に示すように、入力部110と、表示部120と、システム制御部130と、画像処理部140と、記憶部150と、スキャン制御部160とを有する。
【0019】
入力部110は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部130に転送する。例えば、入力部110は、操作者からスキャン計画及び再構成計画の設定に関する操作や、医用画像を3Dモニタに表示させる際の各種設定に関する編集操作等を受け付ける。
【0020】
表示部120は、立体視可能なモニタ(立体表示モニタ、立体画像表示装置とも称する)であり、各種情報を表示する。例えば、表示部120は、記憶部150に記憶されているボリュームデータから生成された視差画像群や、ボリュームデータから生成されたMPR(Multi Planer Reconstruction)画像や、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。
【0021】
ここで、立体表示モニタについて説明する。現在最も普及している一般的な汎用モニタは、2次元画像を2次元で表示するものであり、2次元画像を立体表示することができない。仮に、観察者が汎用モニタにて立体視を要望する場合、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、平行法や交差法により観察者が立体視可能な2視差画像を並列表示させる必要がある。又は、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、例えば、左目用の部分に赤色のセロハンが取り付けられ、右目用の部分に青色のセロハンが取り付けられたメガネを用いて余色法により観察者が立体視可能な画像を表示する必要がある。
【0022】
一方、立体表示モニタとしては、立体視用メガネ等の専用機器を用いることで、2視差画像(両眼視差画像とも称する)を立体視可能とするものがある。
【0023】
図2は、2視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。図2に示す一例は、シャッター方式により立体表示を行う立体表示モニタであり、モニタを観察する観察者が装着する立体視用メガネとしてシャッターメガネが用いられる。かかる立体表示モニタは、モニタにて2視差画像を交互に出射する。例えば、図2の(A)に示すモニタは、左目用の画像と右目用の画像を、120Hzにて交互に出射する。ここで、モニタには、図2の(A)に示すように、赤外線出射部が設置され、赤外線出射部は、画像が切り替わるタイミングに合わせて赤外線の出射を制御する。
【0024】
また、赤外線出射部から出射された赤外線は、図2の(A)に示すシャッターメガネの赤外線受光部により受光される。シャッターメガネの左右それぞれの枠には、シャッターが取り付けられており、シャッターメガネは、赤外線受光部が赤外線を受光したタイミングに合わせて左右のシャッターそれぞれの透過状態及び遮光状態を交互に切り替える。以下、シャッターにおける透過状態及び遮光状態の切り替え処理について説明する。
【0025】
各シャッターは、図2の(B)に示すように、入射側の偏光板と出射側の偏光板とを有し、更に、入射側の偏光板と出射側の偏光板との間に液晶層を有する。また、入射側の偏光板と出射側の偏光板とは、図2の(B)に示すように、互いに直交している。ここで、図2の(B)に示すように、電圧が印加されていない「OFF」の状態では、入射側の偏光板を通った光は、液晶層の作用により90度回転し、出射側の偏光板を透過する。すなわち、電圧が印加されていないシャッターは、透過状態となる。
【0026】
一方、図2の(B)に示すように、電圧が印加された「ON」の状態では、液晶層の液晶分子による偏光回転作用が消失するため、入射側の偏光板を通った光は、出射側の偏光板で遮られてしまう。すなわち、電圧が印加されたシャッターは、遮光状態となる。
【0027】
そこで、例えば、赤外線出射部は、モニタ上に左目用の画像が表示されている期間、赤外線を出射する。そして、赤外線受光部は、赤外線を受光している期間、左目のシャッターに電圧を印加せず、右目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、図2の(A)に示すように、右目のシャッターが遮光状態となり、左目のシャッターが透過状態となるため、観察者の左目に左目用の画像が入射する。一方、赤外線出射部は、モニタ上に右目用の画像が表示されている期間、赤外線の出射を停止する。そして、赤外線受光部は、赤外線が受光されない期間、右目のシャッターに電圧を印加せず、左目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、左目のシャッターが遮光状態となり、右目のシャッターが透過状態であるため、観察者の右目に右目用の画像が入射する。このように、図2に示す立体表示モニタは、モニタに表示される画像とシャッターの状態を連動させて切り替えることで、観察者が立体視可能な画像を表示させる。なお、2視差画像を立体視可能な立体表示モニタとしては、上記のシャッター方式以外にも、偏光メガネ方式を採用したモニタも知られている。
【0028】
更に、近年実用化された立体表示モニタとしては、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いることで、例えば、9視差画像等の多視差画像を観察者が裸眼にて立体視可能とするものがある。かかる立体表示モニタは、両眼視差による立体視を可能とし、更に、観察者の視点移動に合わせて観察される映像も変化する運動視差による立体視も可能とする。
【0029】
図3は、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。図3に示す立体表示モニタには、液晶パネル等の平面状の表示面200の前面に、光線制御子が配置される。例えば、図3に示す立体表示モニタには、光線制御子として、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201が表示面200の前面に貼り付けられている。なお、図3に示す一例では、垂直レンチキュラーシート201の凸部が前面となるように貼り付けられているが、垂直レンチキュラーシート201の凸部が表示面200に対向するように貼り付けられる場合であってもよい。
【0030】
表示面200には、図3に示すように、縦横比が3:1であり、縦方向にサブ画素である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つが配置された画素202がマトリクス状に配置される。図3に示す立体表示モニタは、9つの画像により構成される9視差画像を、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換したうえで、表示面200に出力する。すなわち、図3に示す立体表示モニタは、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを、9列の画素202に割り振って出力させる。9列の画素202は、視点位置の異なる9つの画像を同時に表示する単位画素群203となる。
【0031】
表示面200において単位画素群203として同時に出力された9視差画像は、例えば、LED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により、多方向に放射される。9視差画像の各画素の光が多方向に放射されることにより、観察者の右目及び左目に入射する光は、観察者の位置(視点の位置)に連動して変化する。すなわち、観察者の見る角度により、右目に入射する視差画像と左目に入射する視差画像とは、視差角が異なる。これにより、観察者は、例えば、図3に示す9つの位置それぞれにおいて、撮影対象を立体的に視認できる。また、観察者は、例えば、図3に示す「5」の位置において、撮影対象に対して正対した状態で立体的に視認できるとともに、図3に示す「5」以外それぞれの位置において、撮影対象の向きを変化させた状態で立体的に視認できる。なお、図3に示す立体表示モニタは、あくまでも一例である。9視差画像を表示する立体表示モニタは、図3に示すように、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶である場合であってもよいし、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶である場合であってもよい。また、図3に示す立体表示モニタは、図3に示すように、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式である場合であってもよいし、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式である場合であってもよい。
【0032】
図1に戻って、システム制御部130は、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置100を制御することによって、X線CT装置1全体の制御を行う。例えば、システム制御部130は、スキャン制御部160を制御して3次元投影データを収集させる。また、例えば、システム制御部130は、画像処理部140を制御して3次元投影データからボリュームデータを再構成させ、さらに、ボリュームデータから視差画像群を生成させる。また、システム制御部130は、画像処理部140によって生成された視差画像群を表示部120に表示させる。なお、システム制御部130の詳細な処理については後に詳述する。
【0033】
画像処理部140は、図1に示すように、画像再構成部141と、レンダリング処理部142とを有する。画像再構成部141は、データ収集部14から受信した3次元投影データに対して各種処理を行う。具体的には、画像再構成部141は、データ収集部14から受信した3次元投影データに対して感度補正などの前処理を行い、前処理後の3次元投影データを逆投影処理することで、ボリュームデータを再構成する。そして、画像再構成部141は、再構成後のボリュームデータを記憶部150に格納する。例えば、画像再構成部141は、被検体を撮影することにより収集された投影データから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面のX線CT画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、画像再構成部141、500枚のアキシャル面のX線CT画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面のX線CT画像データ群が、ボリュームデータである。なお、医用画像診断装置110により撮影された被検体の投影データやMR信号等自体をボリュームデータとしても良い。
【0034】
レンダリング処理部142は、システム制御部130による制御の下、画像再構成部141によって生成されたボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、MPR画像や視差画像群を生成する。具体的には、第1の実施形態におけるレンダリング処理部142は、記憶部150からボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対して、まず前処理を行う。次に、レンダリング処理部142は、前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、MPR画像や視差画像群を生成する。
【0035】
また、レンダリング処理部142は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された2次元画像を生成し、これを視差画像群それぞれに対して重畳することで、出力用の2次元画像を生成する。そして、レンダリング処理部142は、生成した視差画像群や出力用の2次元画像を記憶部150に格納する。なお、第1の実施形態において、レンダリング処理とは、ボリュームデータに対して行う画像処理全体のことであり、ボリュームレンダリング処理とは、レンダリング処理の内、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理のことである。レンダリング処理により生成される医用画像とは、例えば、視差画像が該当する。また、レンダリング処理部142の詳細については、後述する。
【0036】
記憶部150は、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータやレンダリング処理部142によって生成されたMPR画像や視差画像群等を記憶する。また、記憶部150は、視差画像群の生成に関する情報であり、後述するシステム制御部130によって用いられる設定情報等を記憶する。スキャン制御部160は、システム制御部130から指示されたスキャン条件に基づき架台寝台制御部17を制御する。
【0037】
ここで、レンダリング処理部142の詳細について説明する。図4は、図1に示すレンダリング処理部142の構成例を説明するための図である。図4に示すように、レンダリング処理部142は、前処理部1421と、3次元画像処理部1422と、2次元画像処理部1423とを有する。前処理部1421が、ボリュームデータに対する前処理を行い、3次元画像処理部1422が、前処理後のボリュームデータから視差画像群を生成し、2次元画像処理部1423が、視差画像群に各種情報が重畳された出力用の2次元画像を生成する。以下、各部を順に説明する。
【0038】
前処理部1421は、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う際に、種々の前処理を行う処理部であり、画像補正処理部1421aと、3次元物体フュージョン部1421eと、3次元物体表示領域設定部1421fとを有する。
【0039】
画像補正処理部1421aは、2種類のボリュームデータを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行う処理部であり、図4に示すように、歪み補正処理部1421b、体動補正処理部1421c及び画像間位置合わせ処理部1421dを有する。
【0040】
歪み補正処理部1421bは、個々のボリュームデータにおいて、データ収集時の収集条件に起因するデータの歪みを補正する。体動補正処理部1421cは、個々のボリュームデータを生成するために用いられたデータの収集時期における被検体の体動に起因する移動を補正する。画像間位置合わせ処理部1421dは、歪み補正処理部1421b及び体動補正処理部1421cによる補正処理が行われた2つのボリュームデータ間で、例えば、相互相関法等を用いた位置合わせ(Registration)を行う。
【0041】
3次元物体フュージョン部1421eは、画像間位置合わせ処理部1421dにより位置合わせが行われた複数のボリュームデータをフュージョンさせる。なお、画像補正処理部1421a及び3次元物体フュージョン部1421eの処理は、単一のボリュームデータに対してレンダリング処理を行う場合、省略される。
【0042】
3次元物体表示領域設定部1421fは、操作者により指定された表示対象臓器に対応する表示領域を設定する処理部であり、セグメンテーション処理部1421gを有する。セグメンテーション処理部1421gは、操作者により指定された心臓、肺、血管等の臓器を、例えば、ボリュームデータの画素値(ボクセル値)に基づく領域拡張法により抽出する処理部である。
【0043】
なお、セグメンテーション処理部1421gは、操作者により表示対象臓器が指定されなかった場合、セグメンテーション処理を行わない。また、セグメンテーション処理部1421gは、操作者により表示対象臓器が複数指定された場合、該当する複数の臓器を抽出する。また、セグメンテーション処理部1421gの処理は、レンダリング画像を参照した操作者の微調整要求により再度実行される場合もある。
【0044】
3次元画像処理部1422は、前処理部1421が処理を行った前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行う。ボリュームレンダリング処理を行う処理部として、3次元画像処理部1422は、投影方法設定部1422aと、3次元幾何変換処理部1422bと、3次元物体アピアランス処理部1422fと、3次元仮想空間レンダリング部1422kとを有する。
【0045】
投影方法設定部1422aは、視差画像群を生成するための投影方法を決定する。例えば、投影方法設定部1422aは、ボリュームレンダリング処理を平行投影法により実行するか、透視投影法により実行するかを決定する。
【0046】
3次元幾何変換処理部1422bは、ボリュームレンダリング処理が実行されるボリュームデータを3次元幾何学的に変換するための情報を決定する処理部であり、平行移動処理部1422c、回転処理部1422d及び拡大縮小処理部1422eを有する。平行移動処理部1422cは、ボリュームレンダリング処理を行う際の視点位置が平行移動された場合に、ボリュームデータを平行移動させる移動量を決定する処理部であり、回転処理部1422dは、ボリュームレンダリング処理を行う際の視点位置が回転移動された場合に、ボリュームデータを回転移動させる移動量を決定する処理部である。また、拡大縮小処理部1422eは、視差画像群の拡大や縮小が要求された場合に、ボリュームデータの拡大率や縮小率を決定する処理部である。
【0047】
3次元物体アピアランス処理部1422fは、3次元物体色彩処理部1422g、3次元物体不透明度処理部1422h、3次元物体材質処理部1422i及び3次元仮想空間光源処理部1422jを有する。3次元物体アピアランス処理部1422fは、これらの処理部により、例えば、後述するシステム制御部130による制御に基づいて、表示される視差画像群の表示状態を決定する処理を行う。
【0048】
3次元物体色彩処理部1422gは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域に対して着色される色彩を決定する処理部である。3次元物体不透明度処理部1422hは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域を構成する各ボクセルの不透過度(Opacity)を決定する処理部である。なお、ボリュームデータにおいて不透過度が「100%」とされた領域の後方の領域は、視差画像群において描出されないこととなる。また、ボリュームデータにおいて不透過度が「0%」とされた領域は、視差画像群において描出されないこととなる。
【0049】
3次元物体材質処理部1422iは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域の材質を決定することで、この領域が描出される際の質感を調整する処理部である。3次元仮想空間光源処理部1422jは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行う際に、3次元仮想空間に設置する仮想光源の位置や、仮想光源の種類を決定する処理部である。仮想光源の種類としては、無限遠から平行な光線を照射する光源や、視点から放射状の光線を照射する光源等が挙げられる。
【0050】
3次元仮想空間レンダリング部1422kは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。また、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、ボリュームレンダリング処理を行う際、必要に応じて、投影方法設定部1422a、3次元幾何変換処理部1422b、3次元物体アピアランス処理部1422fにより決定された各種情報を用いる。
【0051】
ここで、3次元仮想空間レンダリング部1422kによるボリュームレンダリング処理は、レンダリング条件に従って行われることになる。例えば、レンダリング条件は、「平行投影法」又は「透視投影法」である。また、例えば、レンダリング条件は、「基準の視点位置及び視差角」である。また、例えば、レンダリング条件は、「視点位置の平行移動」、「視点位置の回転移動」、「視差画像群の拡大」、「視差画像群の縮小」である。また、例えば、レンダリング条件は、「着色される色彩」、「透過度」、「質感」、「仮想光源の位置」、「仮想光源の種類」である。
【0052】
このようなレンダリング条件は、入力部110を介して操作者から受け付けたり、初期設定されたり、システム制御部130によって決定される。いずれの場合も、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、システム制御部130からレンダリング条件を受け付け、このレンダリング条件に従って、ボリュームデータに対するボリュームレンダリング処理を行う。また、このとき、上述した投影方法設定部1422a、3次元幾何変換処理部1422b、3次元物体アピアランス処理部1422fが、このレンダリング条件に従って必要な各種情報を決定するので、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、決定されたこれらの各種情報を用いて視差画像群を生成する。
【0053】
図5は、第1の実施形態におけるボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。例えば、3次元仮想空間レンダリング部1422kが、図5の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、レンダリング条件として、平行投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に平行移動して、平行投影法により視差角(視線方向間の角度)が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行う場合、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
【0054】
或いは、3次元仮想空間レンダリング部1422kが、図5の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、レンダリング条件として、透視投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行う場合、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行う場合、レンダリング条件によっては、視点(1)〜(9)は、平行移動される場合であってもよい。なお、視線方向は、図5の(A)及び(B)に示すように、視点からボリュームデータの切断面の中心(重心)に向かう方向となる。
【0055】
なお、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行ってもよい。
【0056】
また、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、ボリュームレンダリングだけでなく、断面再構成法(MPR)を行うことで、ボリュームデータからMPR画像を再構成する機能も有する。また、3次元仮想空間レンダリング部1422kは、MPRとして「Curved MPR」を行う機能や、「Intensity Projection」を行う機能も有する。
【0057】
また、3次元画像処理部1422がボリュームデータから生成した視差画像群は、アンダーレイ(Underlay)とされる。そして、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出されたオーバーレイ(Overlay)がアンダーレイに対して重畳されることで、出力用の2次元画像とされる。2次元画像処理部1423は、オーバーレイ及びアンダーレイに対して画像処理を行うことで、出力用の2次元画像を生成する処理部であり、図3に示すように、2次元物体描画部1423a、2次元幾何変換処理部1423b及び輝度調整部1423cを有する。例えば、2次元画像処理部1423は、出力用の2次元画像の生成処理に要する負荷を軽減するために、9枚の視差画像(アンダーレイ)のそれぞれに対して1枚のオーバーレイを重畳することで、出力用の2次元画像を9枚生成する。なお、以下では、オーバーレイが重畳されたアンダーレイを単に「視差画像」と表記する場合もある。
【0058】
2次元物体描画部1423aは、オーバーレイに描出される各種情報を描画する処理部であり、2次元幾何変換処理部1423bは、オーバーレイに描出される各種情報の位置を平行移動処理又は回転移動処理したり、オーバーレイに描出される各種情報の拡大処理又は縮小処理したりする処理部である。輝度調整部1423cは、輝度変換処理を行う処理部であり、例えば、出力先の立体表示モニタの諧調や、ウィンドウ幅(WW:Window Width)、ウィンドウレベル(WL:Window Level)等の画像処理用のパラメータに応じて、オーバーレイ及びアンダーレイの輝度を調整する処理部である。
【0059】
レンダリング処理部142により生成された視差画像群は、記憶部150に格納される。その後、例えば、X線CT装置1は、オーバーレイ画像が重畳された視差画像群を所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換した上で立体表示モニタに表示することで、利用者である医師や検査技師に、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された立体画像を表示可能となる。
【0060】
ところで、上述してきたX線CT装置1は、時系列に被検体を撮影することで、時相の異なるMPR画像等を時系列に沿って順次表示することもできる。このようなX線CT装置1を操作する医師等の操作者は、例えば、被検体に造影剤を投与した後に、診断用の画像を撮影するためのスキャン(メインスキャン)の前に予備のスキャン(プレップスキャン、Real Prep、Sure Startとも呼ばれる)を行うことが多い。そして、操作者は、プレップスキャンにより表示されるX線CT画像を目視することでCT値の経時的変化を観察し、かかるCT値の経時的変化に基づいて、メインスキャンの開始タイミングを決定する。
【0061】
しかし、操作者は、このようなX線CT画像を観察するだけでは、CT値の経時的変化を感覚的に把握しにくい場合があった。そこで、第1の実施形態におけるX線CT装置1は、システム制御部130等による各種処理の下、CT値の観察を容易にすることを可能にする。この点について、図6を用いて簡単に説明する。図6は、第1の実施形態におけるX線CT装置1による処理の一例を説明するための図である。なお、以下では、表示部120の表示面と水平で互いに直交する2方向を横方向(x方向)及び縦方向(y方向)とし、表示部120の表示面に垂直な方向を奥行き方向(z方向)とする。
【0062】
X線CT装置1は、図6(A)に示すように、まず表示部120に被検体のMPR画像等の2次元画像を表示した状態で、操作者から関心領域(ROI:Region of Interest)R10の設定を受け付ける。かかる場合に、X線CT装置1は、操作者に設定された関心領域R10内に位置する臓器等のCT値を取得する。そして、X線CT装置1は、図6(B)に示すように、取得したCT値の大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる立体画像I11を表示する。具体的には、第1の実施形態におけるX線CT装置1は、CT値が大きい位置ほど奥行き感の大きい立体画像を表示し、CT値が小さい位置ほど奥行き感の小さい立体画像を表示する。そして、X線CT装置1は、画像再構成部141によってボリュームデータが再構成されるたびに、関心領域R10内のCT値を取得し、かかるCT値に基づいて、立体画像I11を更新する。これにより、X線CT装置1は、操作者に対して、時系列に変化するCT値の大きさを容易に把握させることができる。なお、図6(B)では、2次元面上に立体画像I11を3次元的に図示したが、かかる立体画像I11は、3次元に立体視可能に表示されていることを示している。
【0063】
以下に、このような第1の実施形態におけるX線CT装置1について詳細に説明する。まず、図7を用いて、第1の実施形態におけるシステム制御部130について説明する。図7は、第1の実施形態におけるシステム制御部130の構成例を説明するための図である。図7に例示するように、システム制御部130は、受付部131と、取得部132と、レンダリング制御部133と、表示制御部134とを有する。
【0064】
受付部131は、表示部120に表示されている被検体画像における関心領域の設定を受け付ける。具体的には、受付部131は、後述する表示制御部134によって被検体画像が表示部120に表示されている場合に、入力部110を介して、かかる画像における関心領域を受け付ける。なお、第1の実施形態では、関心領域を受け付ける際に表示部120に表示される被検体画像は、ボリュームデータを所定方向の断面にて切断したMPR画像であるものとする。ただし、関心領域を受け付ける被検体画像は、例えば、任意のアキシャル面に対応するX線CT画像データから生成される断面画像であってもよいし、ボリュームデータを任意の方向の断面にて切断したオブリーク断面画像であってもよい。
【0065】
取得部132は、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータからCT値を取得する。具体的には、第1の実施形態における取得部132は、表示部120に表示されているMPR画像の生成元となったボリュームデータのうち、受付部131によって受け付けられた関心領域に対応する領域のボリュームデータからCT値を取得する。なお、第1の実施形態における取得部132は、画像再構成部141によってボリュームデータが再構成されるたびに、かかるボリュームデータからCT値を取得する。
【0066】
レンダリング制御部133は、画像処理部140と協同して、ボリュームデータからMPR画像や視差画像群等を生成する画像生成部として機能する。具体的には、レンダリング制御部133は、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータからMPR画像を生成するようにレンダリング処理部142を制御する。このようにして生成されたMPR画像は、関心領域を設定するための画像であり、後述する表示制御部134によって表示部120に表示される。
【0067】
また、レンダリング制御部133は、取得部132によって取得されたCT値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成するようにレンダリング処理部142を制御する。
【0068】
具体的には、第1の実施形態におけるレンダリング制御部133は、ボリュームデータが配置される3次元仮想空間(以下、「ボリュームデータ空間」)と同一の座標系によって表される3次元空間(以下、「図形データ空間」)に、取得部132によって取得されたCT値が大きいほど奥行き方向に長い形状の図形を示す図形データを配置する。より具体的に説明すると、レンダリング制御部133は、取得部132によってCT値が取得されたボリュームデータ空間における位置に対応する図形データ空間の位置に、かかるCT値に基づいて生成した図形データを配置する。そして、レンダリング制御部133は、図形データ空間に図形データが配置された3次元図形データに対して、複数の視点位置からレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御する。これにより、レンダリング処理部142は、3次元図形データから図形画像を生成する。そして、レンダリング制御部133は、表示部120に表示されているMPR画像を視差数だけ複製し、複製したMPR画像の各々に対して、レンダリング処理部142によって生成された図形画像を重畳させることで、複数の重畳画像を生成する。このようにして、第1の実施形態におけるレンダリング制御部133は、取得部132によってCT値が取得されるたびに、複数の重畳画像を生成する処理を行う。
【0069】
なお、レンダリング制御部133は、MPR画像及び図形画像が閲覧可能になるように、3次元物体不透明度処理部1422hに対して図形画像の不透過度(Opacity)を調整させる。例えば、レンダリング制御部133は、3次元物体不透明度処理部1422hに対して、図形画像の不透過度を「50%」とするように指示する。
【0070】
表示制御部134は、レンダリング処理部142によって生成されたMPR画像や視差画像群を表示部120に表示させる。具体的には、第1の実施形態における表示制御部134は、関心領域を設定するためのMPR画像が生成された場合に、かかるMPR画像を表示部120に表示させる。また、表示制御部134は、レンダリング処理部142によってMPR画像に図形画像が重畳された複数の重畳画像が生成された場合に、かかる複数の重畳画像を表示部120に表示させる。このとき、第1の実施形態における表示制御部134は、レンダリング処理部142によって重畳画像を生成されるたびに、生成された重畳画像を表示部120に表示させる。これにより、表示部120は、時間経過に伴って変化するCT値を、立体視可能な図形画像によって表示する。
【0071】
ここで、図8〜図10を用いて、上述したシステム制御部130による処理の具体例を説明する。図8〜図10は、第1の実施形態におけるシステム制御部130による処理の一例を説明するための図である。
【0072】
まず、図8(A)に示した例において、システム制御部130のレンダリング制御部133は、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータからMPR画像を生成するようにレンダリング処理部142を制御する。ここでは、レンダリング制御部133は、ボリュームデータVD10のうち断面P11のMPR画像を生成するように制御するものとする。かかる場合に、表示制御部134は、図8(B)に示した例のように、レンダリング処理部142によって生成された断面P11のMPR画像U11を表示部120に表示させる。
【0073】
続いて、システム制御部130の受付部131は、表示部120に表示されているMPR画像U11における関心領域を入力部110を介して操作者から受け付ける。ここでは、受付部131は、図8(B)に示した例のように、関心領域R10を受け付けるものとする。
【0074】
続いて、取得部132は、図9(A)に示すように、ボリュームデータVD10のうち、受付部131によって受け付けられた関心領域R10に対応する領域からCT値を取得する。図9(A)に示した例では、取得部132は、円形内に斜線を付して示した領域内のボクセルが示すCT値を取得する。なお、取得部132は、かかる領域内のボクセル毎にCT値を取得してもよいし、所定数のボクセル単位でCT値の平均値(又は中央値)を取得してもよい。
【0075】
そして、レンダリング制御部133は、図9(B)に示すように、ボリュームデータVD10が配置されるボリュームデータ空間と同一の座標系で表される図形データ空間に、取得部132によって取得されたCT値に対応する図形データD21を配置することで、3次元図形データVD20を生成する。このとき、第1の実施形態におけるレンダリング制御部133は、CT値が大きいほど奥行き方向に長い形状の図形を示す図形データD21を図形データ空間に配置する。また、レンダリング制御部133は、図9(B)に示すように、取得部132によってCT値が取得されたボリュームデータ空間の位置に対応する図形データ空間の位置(図9(B)中の領域R10に対応する位置)に、かかるCT値に基づいて生成した図形データD21を配置する。
【0076】
なお、レンダリング制御部133は、取得部132によってボクセル毎にCT値が取得された場合には、図形データ空間における各ボクセルの位置に、かかる各ボクセルのCT値に対応する図形データを配置する。また、レンダリング制御部133は、取得部132によって所定数のボクセル毎にCT値の平均値(又は中央値)が取得された場合には、図形データ空間における所定数のボクセルが占める位置に、CT値の平均値(又は中央値)に対応する図形データを配置する。
【0077】
図9(B)に示した例では、例えば、4個の円柱の図形の各々が、かかる図形が配置された領域におけるCT値自体を示す場合や、かかる図形が配置された領域におけるCT値の平均値を示す場合等がある。
【0078】
続いて、レンダリング制御部133は、3次元図形データVD20に対して、複数の視点位置からレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御する。ここでは、レンダリング制御部133は、9個の視点位置からレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御するものとする。これにより、レンダリング処理部142は、図10に示した例のように、3次元図形データVD20から、9個の図形画像O11、O12、・・・、O19を生成する。
【0079】
そして、レンダリング制御部133は、図10に示すように、表示部120に表示されているMPR画像U11(図8(B))を視差数である9個複製し、複製した9個のMPR画像の各々に対して、図形画像O11、O12、・・・、O19を重畳させることで、複数の重畳画像を生成する。
【0080】
表示制御部134は、このようにして生成された複数の重畳画像を表示部120に表示させる。これにより、表示部120は、図6(B)に示したように、CT値の大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる立体画像I11を表示することができる。
【0081】
上述してきた取得部132、レンダリング制御部133及び表示制御部134は、画像再構成部141によってボリュームデータが再構成されるたびに、MPR画像に図形画像を重畳した重畳画像を時系列に沿って順次表示部120に表示させる処理を行う。すなわち、システム制御部130は、関心領域R10内におけるCT値の時間変化に伴って、表示部120に表示させる図形画像を変化させる。
【0082】
次に、図11を用いて、第1の実施形態におけるX線CT装置1による処理の流れの一例を示す。図11は、第1の実施形態におけるX線CT装置1による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
図11に示すように、X線CT装置1のシステム制御部130は、操作者から関心領域を設定するための画像(ここでは、「MPR画像」であるものとする)の表示要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、表示要求を受け付けない場合には(ステップS101否定)、システム制御部130は、表示要求を受け付けるまで待機する。
【0084】
一方、表示要求を受け付けた場合には(ステップS101肯定)、システム制御部130のレンダリング制御部133は、レンダリング処理部142を制御することで、MPR画像を生成し、生成したMPR画像を表示部120に表示する(ステップS102)。
【0085】
続いて、システム制御部130の受付部131は、表示部120に表示されている被検体画像における関心領域の設定を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、関心領域の設定を受け付けない場合には(ステップS103否定)、受付部131は、関心領域の設定を受け付けるまで待機する。
【0086】
一方、受付部131によって関心領域の設定が受け付けられた場合には(ステップS103肯定)、取得部132は、かかる関心領域に対応する領域のボリュームデータからCT値を取得する(ステップS104)。
【0087】
続いて、レンダリング制御部133は、取得部132によって取得されたCT値が大きいほど奥行き方向に長い形状の図形を示す図形データを図形データ空間に配置することで、3次元図形データを生成する(ステップS105)。続いて、レンダリング制御部133は、かかる3次元図形データに対して、複数の視点位置からレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御することで、図形画像を生成する(ステップS106)。続いて、レンダリング制御部133は、表示部120に表示されているMPR画像に対して図形画像を重畳する(ステップS107)。
【0088】
そして、表示制御部134は、レンダリング制御部133によって生成された複数の重畳画像を表示部120に表示させる(ステップS108)。これにより、表示部120には、図6(B)に例示したように、CT値が立体視可能な棒グラフにより表された立体画像I11が表示される。そして、取得部132、レンダリング制御部133及び表示制御部134は、画像再構成部141によってボリュームデータが再構成されるたびに、上記ステップS104〜S108における処理を繰り返し行う。
【0089】
上述してきたように、第1の実施形態によれば、CT値の時間変動を容易に把握させることができる。
【0090】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、2次元の断面画像であるMPR画像における関心領域の設定を受け付け、かかる関心領域内におけるCT値の時間変動を図形画像として表示する例を示した。第2の実施形態では、MPR画像の代わりに立体視可能な立体画像を表示部120に表示し、かかる立体画像における関心領域の設定を受け付ける例について説明する。
【0091】
まず、第2の実施形態におけるX線CT装置2について説明するが、かかるX線CT装置2は、図1に示したX線CT装置1に対応する。また、第2の実施形態におけるX線CT装置2が有するシステム制御部230の構成は、図7に示したシステム制御部130の構成例と同様であるので、図示することを省略する。ただし、第2の実施形態におけるシステム制御部230は、システム制御部130が有する受付部131、取得部132及びレンダリング制御部133と異なる処理を行う。そこで、システム制御部230は、システム制御部130が有する受付部131の代わりに受付部231を有し、取得部132の代わりに取得部232を有し、レンダリング制御部133の代わりにレンダリング制御部233を有するものとして、以下にこれらの処理部について説明する。
【0092】
まず、レンダリング制御部233は、関心領域の設定を受け付ける被検体画像として、立体画像を生成する。図8に示した例を用いて説明すると、第2の実施形態におけるレンダリング制御部233は、図8(A)に示したボリュームデータVD10に対して複数の視点位置からレンダリング処理を行うように、レンダリング処理部142を制御する。これにより、レンダリング処理部142は、ボリュームデータVD10から複数の視点位置に対応する視差画像群を生成する。そして、表示制御部134は、レンダリング処理部142によって生成された視差画像群を表示部120に表示させる。すなわち、第2の実施形態においては、図8(B)に示したMPR画像の代わりに、被検体の内部組織を立体視可能な立体画像が表示部120に表示されることとなる。
【0093】
そして、第2の実施形態における受付部231は、表示部120に表示されている被検体の立体画像における関心領域の設定を受け付ける。具体的には、表示部120に表示されている立体画像は3次元の画像であるので、受付部231は、立体画像が表示されている3次元空間(以下、「立体画像空間」と表記する場合がある)において3次元の関心領域を受け付けることになる。このような場合に、受付部231は、立体画像空間における関心領域に対応するボリュームデータ空間の位置を取得し、取得したボリュームデータ空間の位置を取得部232に出力する。
【0094】
ここで、図12を用いて、立体画像空間とボリュームデータ空間との対応関係について説明する。図12は、立体画像空間とボリュームデータ空間との対応関係の一例を示す図である。図12(A)は、ボリュームデータを示し、図12(B)は、表示部120によって表示される立体画像を示す。また、図12(A)における座標301と座標302と距離303は、それぞれ、図12(B)における座標304と座標305と距離306とに対応する。
【0095】
図12に示すように、ボリュームデータが配置されるボリュームデータ空間と、立体画像が表示されている立体画像空間とは、座標系が異なる。具体的には、図12(B)に示す立体画像は、図12(A)に示すボリュームデータと比較して、奥行き方向(z方向)が狭くなっている。言い換えると、図12(B)に示した立体画像では、図12(A)に示されたボリュームデータの奥行き方向の成分が、圧縮された上で表示されている。この場合、図12(B)に示すように、座標304と座標305との間の距離306は、図12(A)における座標301と座標302との間の距離303と比較して、圧縮される分短くなる。
【0096】
このような立体画像空間座標とボリュームデータ空間座標との対応関係は、立体画像のスケールや視野角、視線方向(レンダリング時の視線方向、又は、立体画像観察時の視線方向)等により一意に決定され、例えば、以下の(数1)のような形で表現することが可能となる。
【0097】
(数1)=(x1、y1、z1)=F(x2、y2、z2)
【0098】
(数1)において、「x2」「y2」「z2」は、それぞれ、立体画像空間座標を示す。また、「x1」「y1」「z1」は、それぞれ、ボリュームデータ空間座標を示す。また、関数「F」は、立体画像のスケールや視野角、視線方向等により一意に決定される関数である。すなわち、受付部231は、(数1)を用いることで、立体画像空間座標とボリュームデータ空間座標との対応関係を取得することができる。なお、関数「F」は、立体画像のスケールや視野角、視線方向(レンダリング時の視線方向、又は、立体画像観察時の視線方向)等が変更されるごとに受付部231により生成される。例えば、回転、平行移動、拡大、縮小を変換する関数「F」として(数2)に示したアフィン変換が用いられる。
【0099】
(数2)x1=a*x2+b*y2+c*z3+d
y1=e*x2+f*y2+g*z3+h
z1=i*x2+j*y2+k*z3+l
(a〜lは変換係数)
【0100】
受付部231は、立体画像空間において関心領域の設定が行われた場合に、設定された立体画像空間における関心領域に対応するボリュームデータ空間の位置を関数「F」により取得し、取得したボリュームデータ空間の領域を取得部232に出力する。
【0101】
なお、上述した説明では、受付部231が、関数「F」に基づいてボリュームデータ空間の座標を取得する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、コンソール装置100が、立体画像空間座標とボリュームデータ空間座標とが対応付けられたテーブルである座標テーブルを有し、受付部231が、立体画像空間座標を検索キーとして座標テーブルを検索することで、立体画像空間座標に対応するボリュームデータ空間座標を取得してもよい。
【0102】
そして、第2の実施形態における取得部232は、受付部231から入力されたボリュームデータ空間における関心領域からCT値を取得する。例えば、取得部232は、かかる関心領域内のボリュームデータのうち、ボクセル毎にCT値を取得する。また、例えば、取得部232は、関心領域内のボリュームデータのうち、ボクセル毎にCT値を取得し、隣接する所定数のボクセル毎にCT値の平均値(又は中央値)を算出する。すなわち、取得部232は、ボクセル単位でCTを取得してもよいし、所定数のボクセル単位でCT値の平均値(又は中央値)を取得してもよい。
【0103】
続いて、第2の実施形態におけるレンダリング制御部233は、第1の実施形態におけるレンダリング制御部133と同様に、取得部232によって取得されたCT値に対応する図形データを図形データ空間に配置することで、3次元図形データを生成する。そして、レンダリング制御部233は、3次元図形データに対してレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御する。このとき、レンダリング制御部233は、表示部120に表示されている視差画像群の生成時と同様の複数の視点位置からレンダリング処理を行うようにレンダリング処理部142を制御する。これにより、レンダリング処理部142は、3次元図形データから多視差の図形画像を生成する。
【0104】
そして、第2の実施形態におけるレンダリング制御部233は、表示部120に表示されている視差画像群の各々に対して、多視差の図形画像のうち視点位置が一致する図形画像を重畳させた重畳画像を生成する。そして、表示制御部134は、このようにして生成された重畳画像を表示部120に表示させる。これにより、表示部120は、被検体の立体画像を表示するとともに、CT値の大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる図形画像を表示する。
【0105】
上述してきたように、第2の実施形態によれば、3次元的に分布するCT値の時間変動を容易に把握させることができる。
【0106】
(第3の実施形態)
上記第1及び第2の実施形態では、医用画像診断装置であるX線CT装置1においてCT値を立体表示する場合について説明した。第3の実施形態では、医用画像処理装置であるワークステーションにおいて上記のMPR画像や図形画像を生成し、所定の端末装置においてMPR画像や図形画像を用いてCT値の大小を示す図形画像の立体表示を実現する例について説明する。
【0107】
まず、図13を用いて、第3の実施形態におけるワークステーションを含む画像処理システムの構成を説明する。図13は、第3の実施形態における画像処理システムの構成例を説明するための図である。図13に示すように、第3の実施形態における画像処理システム3は、医用画像診断装置310と、画像保管装置320と、ワークステーション330と、端末装置340とを有する。図13に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)350により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システム3にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0108】
かかる画像処理システム3は、医用画像診断装置310により生成された3次元の医用画像データ(X線CT画像データ群)であるボリュームデータから視差画像群を生成し、この視差画像群を立体視可能なモニタに表示することで、病院内に勤務する医師や検査技師に立体視可能な医用画像を提供する。
【0109】
具体的には、第3の実施形態においては、ワークステーション330が、図1に示したレンダリング処理部142と同様の機能部を有し、医用画像診断装置310により生成されたボリュームデータに対して種々の画像処理を行い、MPR画像や視差画像群を生成する。また、ワークステーション330及び端末装置340が、立体視可能なモニタを有し、ワークステーション330にて生成されたMPR画像や視差画像群をこのモニタに表示する。また、画像保管装置320は、医用画像診断装置310にて生成されたボリュームデータや、ワークステーション330にて生成されたMPR画像や視差画像群を保管する。すなわち、ワークステーション330や端末装置340は、この画像保管装置320からボリュームデータやMPR画像や視差画像群を取得し、これを処理したり、モニタに表示したりする。以下、各装置を順に説明する。
【0110】
医用画像診断装置310は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、又はこれらの装置群等である。また、第3の実施形態における医用画像診断装置310は、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を生成可能である。
【0111】
具体的には、第3の実施形態における医用画像診断装置310は、被検体を撮影することによりボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置310は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等のデータを収集し、収集したデータから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面のX線CT画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置310は、500枚のアキシャル面の医用画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面の医用画像データ群が、ボリュームデータである。
【0112】
また、第3の実施形態における医用画像診断装置310は、生成したボリュームデータを画像保管装置320に送信する。なお、医用画像診断装置310は、ボリュームデータを画像保管装置320に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置310を識別する装置ID、医用画像診断装置310による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
【0113】
なお、第3の実施形態においては、医用画像診断装置310は、X線CT装置であるものとする。具体的には、医用画像診断装置310は、図1に例示したX線CT装置1と比較して、レンダリング処理部142を有しないX線CT装置であるものとする。
【0114】
画像保管装置320は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、第3の実施形態における画像保管装置320は、医用画像診断装置310から送信されたボリュームデータを記憶部に格納し、これを保管する。また、第3の実施形態においては、ワークステーション330が、ボリュームデータからMPR画像や視差画像群を生成し、生成したMPR画像や視差画像群を画像保管装置320に送信する。このため、画像保管装置320は、ワークステーション330から送信されたMPR画像や視差画像群を記憶部に格納し、これを保管する。なお、本実施形態は、大容量の画像を保管可能なワークステーション330を用いることで、図13に例示するワークステーション330と画像保管装置320とが統合される場合であってもよい。すなわち、本実施形態は、ワークステーション330そのものにボリュームデータやMPR画像や視差画像群を記憶させる場合であってもよい。
【0115】
なお、第3の実施形態において、画像保管装置320に保管されたボリュームデータやMPR画像や視差画像群は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、ワークステーション330や端末装置340は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行うことで、必要なボリュームデータやMPR画像や視差画像群を画像保管装置320から取得する。
【0116】
ワークステーション330は、医用画像に対して画像処理を行う画像処理装置である。具体的には、第3の実施形態におけるワークステーション330は、画像保管装置320から取得したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、MPR画像や視差画像群を生成する。
【0117】
また、第3の実施形態におけるワークステーション330は、表示部として、立体視可能なモニタを有する。ワークステーション330は、MPR画像や視差画像群を生成し、生成したMPR画像や視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、ワークステーション330の操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、各種操作を行うことができる。
【0118】
また、ワークステーション330は、生成したMPR画像や視差画像群を画像保管装置320や端末装置340に送信する。なお、ワークステーション330は、MPR画像や視差画像群を画像保管装置320や端末装置340に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を送信する。また、付帯情報としては、視差画像群に関する付帯情報も挙げられる。視差画像群に関する付帯情報としては、視差画像の枚数(例えば、「9」)や、視差画像の解像度(例えば、「466×350画素」)等がある。
【0119】
端末装置340は、病院内に勤務する医師や検査技師に医用画像を閲覧させるための装置である。例えば、端末装置340は、病院内に勤務する医師や検査技師により操作されるPC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。具体的には、第3の実施形態における端末装置340は、表示部として立体表示モニタを有する。また、端末装置340は、画像保管装置320やワークステーション330からMPR画像や視差画像群を取得し、取得したMPR画像や視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、観察者である医師や検査技師は、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。
【0120】
ここまで、第3の実施形態における画像処理システム3の構成例について簡単に説明した。なお、上述した画像処理システム3は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム3は、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置320は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム3は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。また、画像処理システム3は、上述した構成例に限られるものではない。各装置が有する機能やその分担は、運用の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0121】
次に、第3の実施形態におけるワークステーション330の構成例について図14を用いて説明する。図14は、第3の実施形態におけるワークステーション330の構成例を説明するための図である。
【0122】
第3の実施形態におけるワークステーション330は、画像処理等に適した高性能なコンピュータであり、図14に例示するように、入力部331と、表示部332と、通信部333と、記憶部334と、制御部335とを有する。なお、以下では、ワークステーション330が画像処理等に適した高性能なコンピュータである場合を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、任意の情報処理装置であってよい。例えば、任意のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0123】
入力部331は、マウス、キーボード、トラックボール等であり、ワークステーション330に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。具体的には、第3の実施形態における入力部331は、レンダリング処理の対象となるボリュームデータを画像保管装置320から取得するための情報の入力を受け付ける。例えば、入力部331は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の入力を受け付ける。また、第3の実施形態における入力部331は、レンダリング処理に関する条件(以下、レンダリング条件)の入力を受け付ける。
【0124】
表示部332は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、第3の実施形態における表示部332は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、視差画像群等を表示する。通信部333は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
【0125】
記憶部334は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。具体的には、第3の実施形態における記憶部334は、通信部333を介して画像保管装置320から取得したボリュームデータを記憶する。また、第3の実施形態における記憶部334は、レンダリング処理中のボリュームデータや、レンダリング処理により生成されたMPR画像や視差画像群等を記憶する。
【0126】
制御部335は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路であり、ワークステーション330の全体制御を行う。
【0127】
例えば、第3の実施形態における制御部335は、表示部332に対するGUIの表示や視差画像群の表示を制御する。また、例えば、制御部335は、画像保管装置320や端末装置340との間で通信部333を介して行われるボリュームデータやMPR画像や視差画像群の送受信を制御する。また、例えば、制御部335は、レンダリング処理を制御する。また、例えば、制御部335は、ボリュームデータの記憶部334からの読み込みや、MPR画像や視差画像群の記憶部334への格納を制御する。
【0128】
かかる制御部335は、図14に例示するように、取得部3351と、レンダリング処理部3352とを有する。取得部3351は、第1の実施形態又は第2の実施形態において説明した取得部132又は取得部232と同様の機能を有する。また、レンダリング処理部3352は、第1の実施形態又は第2の実施形態において説明したレンダリング制御部133及びレンダリング処理部142を統合した機能、又は、レンダリング制御部233及びレンダリング処理部142を統合した機能と同様の機能を有する。これらの取得部3351及びレンダリング処理部3352については、後述する。
【0129】
次に、第3の実施形態における端末装置340の構成例について図15を用いて説明する。図15は、第3の実施形態における端末装置340の構成例を説明するための図である。図15に例示するように、第3の実施形態における端末装置340は、入力部341と、表示部342と、通信部343と、記憶部344と、制御部345とを有する。
【0130】
入力部341は、マウスやトラックボール等のポインティングデバイスや、キーボード等の情報入力デバイスであり、端末装置340に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。例えば、入力部341は、立体視要求として、操作者が立体視を要望するボリュームデータを指定するための患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の入力を受け付ける。また、例えば、入力部341は、マウスを介して、表示部342に表示されている画像における関心領域を設定する操作を受け付ける。
【0131】
表示部342は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、第3の実施形態に係る表示部342は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、視差画像群等を表示する。例えば、表示部342は、図2を用いて説明した立体表示モニタ(以下、2視差モニタと記載する)や、図5を用いて説明した立体表示モニタ(以下、9視差モニタと記載する)である。以下では、表示部342が9視差モニタである場合について説明する。
【0132】
通信部343は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。具体的には、第3の実施形態に係る通信部343は、入力部341が受け付けた画像取得要求をワークステーション330に送信する。また、第3の実施形態に係る通信部343は、画像取得要求に応じてワークステーション330が送信したMPR画像や視差画像群を受信する。
【0133】
記憶部344は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。具体的には、第3の実施形態に係る記憶部344は、通信部343を介してワークステーション330から取得したMPR画像や視差画像群を記憶する。また、記憶部344は、通信部343を介してワークステーション330から取得した視差画像群等の付帯情報(視差数、解像度等)も記憶する。
【0134】
制御部345は、CPU、MPUやGPU等の電子回路、ASICやFPGA等の集積回路であり、端末装置340の全体制御を行う。例えば、制御部345は、ワークステーション330との間で通信部343を介して行われる画像取得要求やMPR画像や視差画像群の送受信を制御する。また、例えば、制御部345は、MPR画像や視差画像群の記憶部344への格納や、MPR画像や視差画像群の記憶部344からの読み込みを制御する。
【0135】
かかる制御部345は、図15に例示するように、受付部3451と、表示制御部3452とを有する。受付部3451は、第1の実施形態又は第2の実施形態において説明した受付部131又は受付部231と同様の機能を有する。また、表示制御部3452は、第1の実施形態又は第2の実施形態において説明した表示制御部134と同様の機能を有する。これらの受付部3451及び表示制御部3452については、後述する。
【0136】
ここで、第3の実施形態においては、上述したワークステーション330が有する制御部335と、端末装置340が有する制御部345による処理の下、端末装置340の表示部342にCT値の大小を示す図形画像を表示する。以下に、図16を用いて、制御部335及び制御部345による処理について説明する。図16は、第3の実施形態における画像処理システムによる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、以下の説明では、制御部335及び制御部345が有する各種処理部は、第1の実施形態において説明した各種処理部と同様の機能を有するものとする。例えば、制御部335の取得部3351は、第1の実施形態において説明した取得部132と同様の機能を有する。
【0137】
図16に示すように、端末装置340の制御部345は、操作者から関心領域を設定するためのMPR画像の表示要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、表示要求を受け付けない場合には(ステップS201否定)、制御部345は、表示要求を受け付けるまで待機する。一方、表示要求を受け付けた場合には(ステップS201肯定)、制御部345は、MPR画像の取得要求をワークステーション330に送信する(ステップS202)。
【0138】
ワークステーション330のレンダリング処理部3352は、端末装置340からMPR画像の取得要求を受信した場合に、MPR画像を生成し、生成したMPR画像を端末装置340に送信する(ステップS203)。
【0139】
端末装置340の表示制御部3452は、ワークステーション330から受信したMPR画像を表示部342に表示させる(ステップS204)。続いて、端末装置340の受付部3451は、表示部342に表示されているMPR画像における関心領域の設定を受け付けたか否かを判定する(ステップS205)。ここで、関心領域の設定を受け付けない場合には(ステップS205否定)、受付部3451は、関心領域の設定を受け付けるまで待機する。一方、受付部3451によって関心領域の設定が受け付けられた場合には(ステップS205肯定)、端末装置340は、かかる関心領域を示す位置をワークステーション330に送信する(ステップS206)。
【0140】
ワークステーション330の取得部3351は、端末装置340から受信した関心領域を示す位置に対応するボリュームデータの領域からCT値を取得する(ステップS207)。そして、ワークステーション330のレンダリング処理部3352は、取得部3351によって取得されたCT値が大きいほど奥行き方向に長い形状の図形を示す図形データを図形データ空間に配置することで3次元図形データを生成し、かかる3次元図形データに対して、複数の視点位置からレンダリング処理を行って図形画像を生成する(ステップS208)。続いて、レンダリング制御部133は、ステップS203において端末装置340に送信したMPR画像に対して図形画像を重畳することで複数の重畳画像を生成し、生成した複数の重畳画像を端末装置340に送信する(ステップS209)。
【0141】
そして、端末装置340の表示制御部3452は、ワークステーション330から受信した複数の重畳画像を表示部342に表示させる(ステップS210)。これにより、表示部342には、図6(B)に例示したように、CT値が立体視可能な棒グラフにより表された立体画像I11が表示される。そして、取得部3351、レンダリング処理部3352及び表示制御部3452は、医用画像診断装置310によってボリュームデータが生成されるたびに、上記ステップS207〜S210における処理を繰り返し行う。
【0142】
上述してきたように、第3の実施形態によれば、病院内に勤務する医師や検査技師により操作されるPCやタブレット式PC、PDA、携帯電話等である端末装置340に、CT値の大小を示す図形画像を立体表示することができるので、かかる医師等にCT値の時間変動を容易に把握させることができる。
【0143】
なお、上記図16に示した例では、ワークステーション330及び端末装置340が、第1の実施形態におけるX線CT装置1による処理を実行する例を示した。しかし、第3の実施形態におけるワークステーション330及び端末装置340は、第2の実施形態におけるX線CT装置2による処理を実行してもよい。すなわち、端末装置340は、立体画像における3次元の関心領域の設定を受け付け、ワークステーション330は、3次元の関心領域についてCT値を示す図形画像を生成してもよい。
【0144】
また、上記第3の実施形態においては、ワークステーション330がMPR画像や視差画像群を生成し、端末装置340がかかるMPR画像や視差画像群を表示する例を示した。しかし、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、ワークステーション330がMPR画像や視差画像群を画像保管装置320に格納し、端末装置340が、ワークステーション330によって生成されたMPR画像や視差画像群を画像保管装置320から取得し、取得したMPR画像や視差画像群を表示してもよい。
【0145】
また、上記第3の実施形態において、医用画像診断装置310とワークステーション330とは一体化されてもよい。すなわち、医用画像診断装置310が、制御部335と同等の機能を有し、MPR画像や視差画像群を生成してもよい。
【0146】
また、上記第3の実施形態において、端末装置340が、制御部335と同等の機能を有し、医用画像診断装置310や画像保管装置320からボリュームデータを取得し、取得したボリュームデータからMPR画像や視差画像群を生成し、生成したMPR画像や視差画像群を表示してもよい。
【0147】
(第4の実施形態)
さて、上述した実施形態は、他の実施形態に変形することもできる。そこで、第4の実施形態では、上述した実施形態の変形例を説明する。
【0148】
[特性値]
上記実施形態においては、CT値の大小を示す図形画像を立体的に表示する例を示した。しかし、上記のX線CT装置1、X線CT装置2や端末装置340等は、CT値に限らず、被検体の特性を示す特定値の大小を示す図形画像を立体的に表示してもよい。例えば、上記のX線CT装置や医用画像診断装置がMRI装置である場合には、MR信号データの強度に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる図形画像を表示してもよい。また、例えば、上記のX線CT装置や医用画像診断装置が超音波診断装置である場合には、血流の速度、分散、血流量等を示すパワー成分の大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる図形画像を表示してもよい。
【0149】
また、上記のX線CT装置等は、血流動態を定量的に表す指標(インデックス)であるCBP、CBV、MTTの大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる図形画像を表示してもよい。ここで、CBP、CBV、MTTについて説明すると、X線CT装置やMRI装置等は、灌流(Perfusion)画像を生成する場合がある。この灌流画像は、所定の組織(例えば、頭部の脳組織や、腹部の肝臓組織、膵臓組織など)の毛細血管における血流動態を解析する際に用いられる。例えば、灌流画像の生成機能を有するX線CT装置は、非イオン性ヨード造影剤を投与した被検体の頭部を時系列に沿って撮影したX線CT画像からCT値の経時的濃度変化を算出する。そして、X線CT装置は、算出したCT値の経時的濃度変化から脳組織内の毛細血管を通過する血流動態を定量的に表す指標であるCBP、CBV、MTTを脳組織上にマッピングしたマップ画像を灌流画像として生成する。CBPとは、毛細血管内の単位体積および単位時間当たりの血流量のことであり、CBVとは、毛細血管内の単位体積当たりの血流量のことであり、MTTとは、毛細血管の血液平均通過時間のことである。上記実施形態におけるX線CT装置等は、このようなマップ画像上に、CBP、CBV、MTTの大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる図形画像を表示することもできる。
【0150】
このように、上記実施形態によれば、操作者に対して被検体の特性を示す特定値を容易に把握させることが可能になる。
【0151】
[重畳画像]
また、上記実施形態では、図10等を用いて説明したように、MPR画像を複製し、複製したMPR画像に対して複数視差の図形画像を重畳することで複数の重畳画像を生成する例を示した。しかし、上記実施形態におけるワークステーションは、画像再構成部141によって再構成されたボリュームデータに対して、図形データが配置された3次元図形データをフュージョンさせた後に、フュージョン後のボリュームデータに対してレンダリング処理を行うことにより、被検体画像に図形画像が重畳された視差画像群を生成してもよい。例えば、上記実施形態におけるワークステーションは、図9に例示したボリュームデータVD10と3次元図形データVD20とをフュージョンさせた後に、フュージョン後のボリュームデータに対してレンダリング処理を行ってもよい。
【0152】
[関心領域]
また、上記実施形態においては、操作者から受け付けた関心領域内のCT値を示す図形画像を表示する例について説明した。しかし、この例に限られず、上記のX線CT装置1等は、関心領域を受け付けずに、表示部に表示されている被検体画像の全領域についてCT値を示す図形画像を表示してもよい。
【0153】
[セグメンテーション]
また、上記のX線CT装置1等は、操作者によって心臓、肺、血管等の臓器が指定された場合に、指定された臓器についてのみCT値を示す図形画像を表示してもよい。かかる場合には、取得部132等は、図4に示したセグメンテーション処理部1421gによって抽出される臓器を示すボリュームデータからCT値を取得する。
【0154】
[閾値判定]
また、上記のX線CT装置1等は、ボリュームデータが示すCT値のうち、所定の閾値上であるCT値についてのみ図形画像を生成してもよい。これにより、操作者は、閾値以上におけるCT値の大小を容易に把握することができる。
【0155】
[図形画像]
また、上記実施形態においては、CT値の大小に応じて奥行き方向(z方向)の大きさが異なる立体画像を表示する例を示した。しかし、この例に限られず、上記のX線CT装置1等は、例えば、CT値の大小に応じて横方向(x方向)や縦方向(y方向)の大きさが異なる立体画像を表示してもよいし、CT値の大小に応じて色調の異なる所定の図形画像を表示してもよい。また、上記のX線CT装置1等は、CT値の大小に応じて、変形速度の異なる図形画像を表示してもよい。例えば、上記のX線CT装置1等は、CT値が大きいほど、奥行き方向に伸び縮みする速度が速い図形画像を表示し、CT値が小さいほど、奥行き方向に伸び縮みする速度が遅い図形画像を表示してもよい。
【0156】
[2次元表示]
また、上記実施形態においては、図形画像を立体視可能な立体画像として表示する例を示した。しかし、この例に限られず、上記のX線CT装置1等は、2次元の図形画像を3次元的に表示してもよい。すなわち、上記のX線CT装置1等は、2次元画像(MPR画像等)上に、2次元の図形画像を重畳して表示してもよいし、3次元の立体画像上に2次元の図形画像を重畳して表示してもよい。なお、上記のX線CT装置1等が2次元画像上に2次元の図形画像を重畳して表示する場合には、表示部120は、立体視可能なモニタでなくてもよく、例えば、2次元画像を2次元で表示する汎用モニタであってもよい。
【0157】
また、上記実施形態において、ワークステーションは、重畳画像を生成する場合に、同一のMPR画像を用いてもよい。例えば、第1の実施形態におけるワークステーションは、時間経過とともに新たなボリュームデータが再構成された場合に、かかるボリュームデータから図形画像を順次生成し、関心領域が設定された際のMPR画像に対して、生成した図形画像を重畳することにより重畳画像を順次生成してもよい。同様に、第2の実施形態におけるワークステーションは、時間経過とともに新たなボリュームデータが再構成されるたびに、かかるボリュームデータから図形画像のみを順次生成することで、重畳画像を生成してもよい。
【0158】
[視差画像]
また、上記実施形態においては、主に9つの視差画像である視差画像群を生成する例について説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、X線CT装置1のレンダリング処理部142は、2つの視差画像である視差画像群を生成してもよい。
【0159】
[システム構成]
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0160】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、ワークステーション330の制御部335をワークステーション330の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。
【0161】
[プログラム]
また、上記実施形態におけるX線CT装置1又は2、ワークステーション330、端末装置340等が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。例えば、かかるプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、ブルーレイ等に記録される。また、かかるプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することもできる。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0163】
1 X線CT装置
3 画像処理システム
130 システム制御部
131 受付部
132 取得部
133 レンダリング制御部
134 表示制御部
140 画像処理部
142 レンダリング処理部
310 医用画像診断装置
320 画像保管装置
330 ワークステーション
340 端末装置
3351 取得部
3352 レンダリング処理部
3451 受付部
3452 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データから被検体の画像である被検体画像を生成するとともに、前記医用画像データが示す前記被検体の特性値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された被検体画像と図形画像とを所定の表示部に表示させる表示制御部と
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、
時相の異なる医用画像データから前記図形画像を生成し、
前記表示制御部は、
前記画像生成部によって生成された図形画像を時系列に沿って順次前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記表示部は、
複数の視差画像を用いて立体視可能な立体画像を表示する立体表示装置であり、
前記画像生成部は、
前記医用画像データと同一の座標系によって表される3次元空間に前記図形画像を示す図形データを配置した3次元図形データに対してレンダリング処理を行うことにより多視差の図形画像を生成し、前記被検体画像に対して該多視差の図形画像を重畳した重畳画像を生成し、
前記表示制御部は、
前記画像生成部によって生成された重畳画像を前記立体表示装置に表示させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、
3次元の医用画像データであるボリュームデータに対してレンダリング処理を行うことで多視差の被検体画像を生成し、生成した多視差の被検体画像の各々に対して、前記多視差の図形画像のうち視点位置が一致する図形画像を重畳した重畳画像を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記表示制御部によって表示制御されている被検体画像における関心領域の設定を受け付ける受付部をさらに備え、
前記画像生成部は、
前記医用画像データのうち前記受付部によって受け付けられた関心領域内のデータが示す特性値に基づいて前記図形画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、
前記被検体の特性値のうち、所定の閾値以上である特性値についてのみ前記図形画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
医用画像データから被検体の画像である被検体画像を生成するとともに、前記医用画像データが示す前記被検体の特性値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された被検体画像と図形画像とを所定の表示部に表示させる表示制御部と
を備えたことを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項8】
医用画像データから被検体画像を生成するとともに、前記医用画像データが示す前記被検体の特性値に応じて異なる形状の図形の画像である図形画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程によって生成された被検体画像と図形画像とを所定の表示部に表示させる表示制御工程と
を含んだことを特徴とする医用画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−13552(P2013−13552A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148326(P2011−148326)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】