説明

医用画像診断装置及び画像処理装置

【課題】医用画像を適切に表示することができる医用画像診断装置及び画像処理装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、生成部と、表示部と、受付部と、撮像部とを備える。前記生成部は、3次元の情報を有する医用画像データから所定の視差数の視差画像群を生成する。前記表示部は、前記所定の視差数の視差画像群を表示する。前記受付部は、前記表示部に表示される視差画像群において操作者による関心領域の指定を受け付ける。前記撮像部は、前記関心領域の指定に従って、該関心領域を撮像範囲とする撮像を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像診断装置による撮像は、事前に設定された撮像計画に従って行われる。撮像計画においては、撮像範囲となる関心領域(以下、ROI(Region Of Interest)の指定が行われる。この場合、操作者は、コンソールのモニタに表示された位置決め画像を見ながら、この位置決め画像上で、ROIの指定を行う。例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の場合、位置決め画像として、アキシャル(axial)断面像、コロナル(coronal)断面像、及びサジタル(sagittal)断面像の3断面の位置決め画像がモニタに表示され、操作者は、この3断面の位置決め画像を見ながらROIの指定を行う。なお、ROIの指定を自動化する技術も開発されているが、特異的な構造を有する患者の場合など、依然として手動による指定が必要な場合がある。
【0003】
操作者は、2次元表示された画像上でROIを指定するので、撮像対象の3次元構造を把握しながらROIを指定することが難しい。すなわち、操作者は、例えばモニタの表示面に垂直な奥行き方向の構造を把握しながらROIを指定することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平成05−269113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、医用画像を適切に表示することができる医用画像診断装置及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、生成部と、表示部と、受付部と、撮像部とを備える。前記生成部は、3次元の情報を有する医用画像データから所定の視差数の視差画像群を生成する。前記表示部は、前記所定の視差数の視差画像群を表示する。前記受付部は、前記表示部に表示される視差画像群において操作者による関心領域の指定を受け付ける。前記撮像部は、前記関心領域の指定に従って、該関心領域を撮像範囲とする撮像を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る表示部を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る視差画像群生成処理を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る制御部の構成を説明するための図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る位置決め画像の表示例を説明するための図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る視点位置の移動を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る処理手順を説明するための図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るMRI装置の構成を説明するための図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る位置決め画像の表示例を説明するための図である。
【図10】図10は、第3の実施形態に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。
【図12】図12は、第3の実施形態の変形例に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。
【図13】図13は、第3の実施形態の変形例に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、医用画像診断装置及び画像処理装置の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る医用画像診断装置100は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波診断装置、MRI装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置などである。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置100の構成を説明するための図である。第1の実施形態に係る医用画像診断装置100は、図1に示すように、架台部100aと、計算機システム部100bとを備える。架台部100aは、撮影に用いられる各部を有し、例えば、医用画像診断装置100がX線CT装置の場合、架台部100aは、X線管、検出器、回転フレーム、寝台などを有する。
【0011】
一方、計算機システム部100bは、図1に示すように、入力部101と、表示部102と、通信部103と、記憶部104と、制御部105と、レンダリング処理部106とを有する。
【0012】
入力部101は、マウス、キーボード、トラックボールなどであり、医用画像診断装置100に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。例えば、第1の実施形態に係る入力部101は、撮像計画の入力や、ROIの指定の入力、撮像指示の入力などを受け付ける。
【0013】
表示部102は、各種情報を表示する。例えば、第1の実施形態に係る表示部102は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、ROIの指定を受け付けるための位置決め画像などを表示する。
【0014】
ここで、第1の実施形態に係る表示部102は、対象物を立体視可能に3次元表示する立体表示モニタである。図2は、第1の実施形態に係る表示部102を説明するための図である。第1の実施形態に係る表示部102は、所定の視差数の視差画像群を表示することで、対象物を立体視可能に3次元表示する。なお、第1の実施形態において、「視差画像群」とは、複数の視点位置をレンダリング条件として生成された一群のボリュームレンダリング画像のことである。また、「視差数」とは、立体表示モニタにて3次元表示に用いられる視差画像の数のことである。
【0015】
例えば、図2に示すように、表示部102は、平面状の表示面200(例えば液晶パネル)を有し、表示面200の前面に光線制御子を有する。例えば、光線制御子は、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201である。なお、図2においては、垂直レンチキュラーシート201の凸部が前面側となるように貼り付けられているが、垂直レンチキュラーシート201の凸部が表示面200に対向するように貼り付けられてもよい。
【0016】
また、表示部102の表示面200には、図2に示すように、縦横比3:1、縦方向に、赤(R)、緑(G)、青(B)となるように、画素202が配置される。また、図2に示すように、1〜9の各列に、各視差画像の画素がそれぞれ配置される。9列分の画素202の集合体である画素群203は、例えばLED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により多方向に放射される。各視差画像に対応する各列の画素の光が多方向に放射されることにより、表示部102を観察する観察者の右目及び左目には、それぞれ異なる視差画像が入射され、この結果、観察者は、対象物を立体視することができる。なお、1〜9の各列に同一画像の画素が配置された場合、対象物は2次元表示される。
【0017】
なお、図2に示す表示部102は、一例に過ぎない。表示部102は、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶に限らず、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶でもよい。また、表示部102は、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式に限らず、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式でもよい。
【0018】
図1に戻り、通信部103は、NIC(Network Interface Card)などであり、他の装置との間で通信を行う。記憶部104は、ハードディスク、半導体メモリ素子などであり、各種情報を記憶する。具体的には、第1の実施形態に係る記憶部104は、撮像により収集された撮像データを記憶する。また、第1の実施形態に係る記憶部104は、撮像データから生成されたボリュームデータや、レンダリング処理により生成された視差画像群などを記憶する。
【0019】
制御部105は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路であり、医用画像診断装置100の全体制御を行う。
【0020】
例えば、第1の実施形態に係る制御部105は、表示部102に対するGUIの表示や位置決め画像の表示を制御する。また、例えば、制御部105は、架台部100aが有する各部を制御することで行われる撮像を制御する。また、例えば、制御部105は、レンダリング処理部106によるレンダリング処理を制御する。また、例えば、制御部105は、各種データの記憶部104からの読み込みや、記憶部104への格納を制御する。なお、制御部105については後に詳述する。
【0021】
レンダリング処理部106は、画像データに対するレンダリング処理を行う。例えば、第1の実施形態に係るレンダリング処理部106は、制御部105による制御の下、記憶部104からボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。なお、第1の実施形態において、レンダリング処理とは、画像処理全体のことであり、ボリュームレンダリング処理とは、レンダリング処理のうち、ボリュームレンダリング画像として、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理のことである。
【0022】
ここで、レンダリング処理部106によるボリュームレンダリング処理は、レンダリング条件に従って行われる。例えば、レンダリング条件は、「平行投影法」又は「透視投影法」である。また、例えば、レンダリング条件は、「基準の視点位置」及び「視差角(視線方向間の角度)」である。このようなレンダリング条件は、入力部101を介して操作者から受け付ける場合や、初期設定される場合がある。いずれの場合も、レンダリング処理部106は、制御部105からレンダリング条件を受け付け、このレンダリング条件に従って、ボリュームデータに対するボリュームレンダリング処理を行う。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係る視差画像群生成処理を説明するための図である。例えば、レンダリング処理部106が、図3の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、レンダリング条件として、平行投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、レンダリング処理部106は、視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に平行移動して、平行投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行う場合、レンダリング処理部106は、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
【0024】
あるいは、レンダリング処理部106が、図3の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、レンダリング条件として、透視投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、レンダリング処理部116は、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行う場合、レンダリング処理部116は、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行う場合、レンダリング条件によっては、視点(1)〜(9)は、平行移動される場合であってもよい。
【0025】
なお、レンダリング処理部106は、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行ってもよい。
【0026】
このようにして生成された9つの視差画像が、視差画像群である。第1の実施形態において、9つの視差画像は、制御部105によって所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換され、立体表示モニタとしての表示部102に表示される。
【0027】
なお、図3の例では、レンダリング条件として、投影方法、基準の視点位置及び視差角を受け付けた場合を説明したが、レンダリング条件として、他の条件を受け付けた場合も同様に、レンダリング処理部106は、それぞれのレンダリング条件を反映しつつ、視差画像群を生成する。
【0028】
また、レンダリング処理部106は、ボリュームレンダリング処理だけでなく、断面再構成法を行ってボリュームデータからMPR(Multi Planer Reconstruction)画像を生成する機能も有する。また、レンダリング処理部106は、Curved MPR画像を生成する機能も有する。
【0029】
さて、第1の実施形態に係る医用画像診断装置100は、表示部102に位置決め画像を3次元表示し、3次元表示された位置決め画像上でROIの指定を受け付けるものである。かかる機能は、制御部105などによって実現される。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る制御部105の構成を説明するための図である。第1の実施形態に係る制御部105は、視差画像群生成部105aと、表示制御部105bと、受付部105cと、撮像部105dとを備える。
【0031】
視差画像群生成部105aは、レンダリング処理部106を制御することで、位置決め画像を3次元表示するための視差画像群を生成する。第1の実施形態において、医用画像診断装置100は、まず、位置決め画像用のボリュームデータ(例えば、低解像度のボリュームデータ)を収集する。そこで、視差画像群生成部105aは、位置決め画像用のボリュームデータが収集されると、収集されたボリュームデータから視差画像群を生成するように、レンダリング処理部106を制御する。すると、レンダリング処理部106にて、複数の視点位置をレンダリング条件としたボリュームレンダリング処理が行われ、一群のボリュームレンダリング画像、すなわち視差画像群が生成される。
【0032】
例えば、医用画像診断装置100は、撮像対象が頭部の場合、磁場中心を中心位置とする位置決め画像用のボリュームデータを収集する。これにより、歪みの少ないボリュームデータを収集することができ、視差画像群生成処理を施した位置決め画像の精度を向上させることができる。なお、位置決め画像用のボリュームデータの中心位置は、磁場中心に限られず、磁場中心からずれた位置(オフセンター)でもよい。この場合、視差画像群生成処理の前に歪み補正を施してもよい。
【0033】
表示制御部105bは、表示部102に対する視差画像群の表示を制御する。例えば、表示制御部105bは、視差画像群生成部105aによって生成された視差画像群を、所定フォーマット(例えば格子状)の中間画像に変換し、立体表示モニタとしての表示部102に表示する。
【0034】
図5は、第1の実施形態に係る位置決め画像の表示例を説明するための図である。例えば、表示制御部105bは、図5に示すように、立体表示モニタとしての表示部102に、位置決め画像を3次元表示する。図5は、説明の便宜上、表示部102を斜め上方から観察した概念図として示す。なお、図5において、位置決め画像の立体感は、表示面から手前方向の飛び出し感として表現されているが、実施形態はこれに限られるものではなく、表示面から奥行き方向の奥行き感として表現される場合や、飛び出し感と奥行き感とが組み合わされて表現される場合でもよい。また、対象物の3次元構造を見易くするために、表示制御部105bは、対象物の表面の透過度を上げるように表示を制御してもよい。
【0035】
受付部105cは、表示部102の表示面上でROIの指定を受け付ける。例えば、受付部105cは、図5に示すように、3次元表示された位置決め画像上で、ROI(符号a)の指定を受け付ける。なお、視差画像群生成部105aは、受付部105cによって受け付けられたROIについても視差画像群を生成し、表示制御部105bは、ROIについても3次元表示する。
【0036】
なお、例えば、予め自動で指定されたROIが存在する場合や、初期値として指定されたROIが存在する場合、表示制御部105bは、これらのROIについても3次元表示する。操作者は、3次元表示された位置決め画像と3次元表示されたROIとを確認し、ROIの指定を変更する必要があると判断した場合に、ROIの指定を変更する。一方、ROIの指定を変更する必要がないと判断した場合には、操作者は、このROIの指定のまま撮像を行うように撮像指示を入力すればよい。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る視点位置の移動を説明するための図である。例えば、図6に示すように、操作者の視点位置が移動した場合、操作者の右目及び左目に入射される視差画像も変化する。この結果、操作者は、3次元構造を有する対象物を、異なる方向から3次元的に観察することが可能になる。すなわち、操作者は、例えば少し顔の位置を動かしただけで、対象物の3次元構造を回りこんで観察することが可能になり、奥行き方向の構造などを把握しながら、ROIの位置や向き、大きさなどを決定することが可能になる。
【0038】
撮像部105dは、指定されたROIを撮像範囲とする撮像を実行する。例えば、撮像部105dは、受付部105cによってROIの指定が受け付けられると、このROIを撮像範囲とするように撮像条件を設定し、設定した撮像条件に従って本撮像を実行するように、架台部100aなどを制御する。
【0039】
図7は、第1の実施形態に係る処理手順を説明するための図である。図7に示すように、第1の実施形態において、医用画像診断装置100は、まず、位置決め画像用のボリュームデータを収集する(ステップS101)。
【0040】
次に、視差画像群生成部105aが、レンダリング処理部106を制御することで、レンダリング処理部106にて、複数の視点位置をレンダリング条件としたボリュームレンダリング処理が行われ、視差画像群が生成される(ステップS102)。
【0041】
続いて、表示制御部105bが、視差画像群生成部105aによって生成された視差画像群を中間画像に変換し、立体表示モニタとしての表示部102に、位置決め画像を3次元表示する(ステップS103)。
【0042】
そして、受付部105cが、表示部102の表示面上でROIの指定を受け付けたか否かを判定し(ステップS104)、受け付けた場合(ステップS104肯定)、撮像部105dは、このROIを撮像範囲とするように撮像条件を設定し(ステップS105)、設定した撮像条件に従って本撮像を実行するように、架台部100aなどを制御する(ステップS106)。
【0043】
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態においては、位置決め画像を3次元表示し、3次元表示された位置決め画像上でROIの指定を受け付けるので、操作者は、3次元構造を有する対象物を3次元的に観察することが可能になり、簡便な操作でROIを指定することが可能になる。すなわち、2次元表示されたボリュームレンダリング画像上でROIを指定する場合、操作者は、奥行き方向の構造を把握したい場合には、例えば視点位置を変更するための操作をしなければならなかった。これに対し、第1の実施形態において、操作者は、奥行き方向の構造を把握したい場合、例えば顔の位置を動かすだけでよい。
【0044】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、医用画像診断装置としてMRI装置110を想定する。
【0045】
図8は、第2の実施形態に係るMRI装置110の構成を説明するための図である。なお、図8において、計算機システム部110bは、図1を用いて説明した計算機システム部100bと同様の機能を有するので、説明を割愛する。すなわち、入力部111は入力部101に対応し、表示部112は表示部102に対応し、通信部113は通信部103に対応し、記憶部114は記憶部104に対応し、制御部115は制御部105に対応し、レンダリング処理部116はレンダリング処理部106に対応する。
【0046】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から電流の供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0047】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル2の空洞内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0048】
送信コイル6は、高周波磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7から高周波パルス(以下、RF(Radio Frequency)パルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部7は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に送信する。
【0049】
受信コイル8は、磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号)を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。また、受信コイル8は、受信したMR信号を受信部9に出力する。
【0050】
受信部9は、シーケンス制御部10から送られる制御信号に従って、受信コイル8から出力されたMR信号に基づきMR信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されたMR信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成し、生成したMR信号データを、シーケンス制御部10を介して計算機システム110bに送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2などを備える架台装置側に備えられていてもよい。
【0051】
シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御する。具体的には、シーケンス制御部10は、計算機システム110bから送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。
【0052】
ここで、第1の実施形態と第2の実施形態との主な違いを説明する。第1の実施形態においては、位置決め画像を3次元表示する目的で、医用画像診断装置100が、位置決め画像用のボリュームデータ(例えば、低解像度のボリュームデータ)を予め収集することを想定した。これに対し、第2の実施形態に係るMRI装置110は、あえて位置決め画像用のボリュームデータを収集するのではなく、本撮像に先行して行われる事前撮像において収集されたボリュームデータを位置決め画像用のボリュームデータとして流用する。
【0053】
例えば、第2の実施形態に係るMRI装置110は、心臓検査のための撮像を行うことを想定する。ここで、心臓検査のための撮像においては、心臓の解剖学的な特徴に基づく「基準断面像」が収集される。「基準断面像」には、アキシャル断面像、コロナル断面像及びサジタル断面像の他、垂直長軸像、水平長軸像、二腔長軸(2 chamber)像、三腔長軸(3 chamber)像、四腔長軸(4 chamber)像、左室短軸像などがある。
【0054】
このため、MRI装置110による心臓検査のための撮像においては、これらの複数の「基準断面像」が収集される。もっとも、心臓は複雑な構造を有するので、MRI装置110は、例えば、「基準断面像」を収集し、収集した「基準断面像」を用いて他の「基準断面像」の位置決めを行い、次に、位置決めされた「基準断面像」の収集を行う、といった撮像を繰り返し行うことになる。例えば、MRI装置110は、まずアキシャル断面像を収集し、このアキシャル断面像を用いて他の「基準断面像」の位置決めを行う。また、例えば、MRI装置110は、3次元の情報を有するWH MRCA(Whole Heart MR Coronary Angiography)データを収集し、WH MRCAデータから生成されたMPR画像を利用して、「基準断面像」の位置決めを行う。
【0055】
そこで、第2の実施形態に係るMRI装置110は、心臓検査のための撮像において、「基準断面像」の位置決めのために収集されたボリュームデータを、位置決め画像用のボリュームデータとして流用する。例えば、第2の実施形態に係る視差画像群生成部105aは、他の「基準断面像」の位置決めのために収集された複数枚のアキシャル断面像をボリュームデータとして扱い、レンダリング処理部116を制御することで、位置決め画像の視差画像群を生成する。また、例えば、第2の実施形態に係る視差画像群生成部105aは、他の「基準断面像」の位置決めのために収集されたWH MRCAデータをボリュームデータとして扱い、レンダリング処理部116を制御することで、位置決め画像の視差画像群を生成する。
【0056】
そして、第2の実施形態に係る表示制御部105bは、視差画像群生成部105aによって生成された視差画像群を中間画像に変換し、立体表示モニタとしての表示部112に表示する。図9は、第2の実施形態に係る位置決め画像の表示例を説明するための図である。例えば、表示制御部105bは、図9に示すように、立体表示モニタとして表示部112に、位置決め画像を3次元表示する。図9は、説明の便宜上、表示部112を正面から観察した概念図として示す。なお、図9において、符号bは、ROIである。また、図9において、位置決め画像の立体感は、表示面から手前方向の飛び出し感として表現される場合や、表示面から奥行き方向の奥行き感として表現される場合、あるいは、飛び出し感と奥行き感とが組み合わされて表現される場合でもよい。
【0057】
(第2の実施形態の効果)
上述したように、第2の実施形態においては、本撮像に先行して行われる事前撮像において収集されたボリュームデータから位置決め用の視差画像群を生成するので、あえて位置決め画像用のボリュームデータを収集する必要もなく、位置決め画像の3次元表示を効率的に実現することが可能になる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態に係る医用画像診断装置300は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置100と同様の構成を有する。もっとも、第3の実施形態において、医用画像診断装置300は、ROIの指定を受け付けるための位置決め画像を3次元表示するのではなく、MPR画像を生成するために断面の指定を受け付ける断面指定画像を3次元表示する。なお、以下の説明においては、医用画像診断装置300が断面指定画像を3次元表示する例を説明するが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)上のワークステーションや端末装置などに適用されてもよい。この場合、ワークステーションや端末装置は、医用画像診断装置300の計算機システム部300bと同様の機能を有する。
【0059】
図10は、第3の実施形態に係る制御部305の構成を説明するための図である。第3の実施形態に係る制御部305は、視差画像群生成部305aと、表示制御部305bと、受付部305cと、MPR画像生成部305dとを備える。なお、視差画像群生成部305aは視差画像群生成部105aに対応するので、説明を割愛する。
【0060】
図11及び図12は、第3の実施形態に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。例えば、表示制御部305bは、図11に示すように、立体表示モニタとしての表示部302に、断面指定画像を3次元表示する。なお、説明の便宜上、図11は、表示部302を正面から観察した概念図として示し、図12は、表示部302を斜め上方から観察した概念図として示す。なお、図12において、位置決め画像の立体感は、表示面から手前方向の飛び出し感と、表示面から奥行き方向の奥行き感との組合せとして表現されているが、実施形態はこれに限られるものではなく、飛び出し感のみで表現される場合や、奥行き感のみで表現される場合でもよい。図12に示すように、3次元表示されることで、操作者は、断面指定画像の奥行き方向の構造を容易に把握することができる。
【0061】
そして、第3の実施形態に係る受付部305cは、表示部302に3次元表示された断面指定画像上で、CurvedMPR画像を生成するための断面の指定を受け付ける。例えば、受付部305cは、図11及び図12に示すように、3次元表示された断面指定画像上で、断面の指定(符号c)を受け付ける。MPR画像生成部305dは、断面の指定に従ってCurvedMPR画像を生成する。なお、MPR画像生成部305dは、生成したCurvedMPR画像を表示部302に2次元表示してもよい。この場合、第1の実施形態において説明したように、表示部302において、1〜9の各列に同一画像の画素が配置される。
【0062】
(第3の実施形態の効果)
上述したように、第3の実施形態においては、断面指定画像を3次元表示し、3次元表示された断面指定画像上で断面の指定を受け付けるので、操作者は、3次元構造を有する対象物を3次元的に観察することが可能になり、簡便な操作で断面を指定することが可能になる。
【0063】
なお、図13は、第3の実施形態の変形例に係る断面指定画像の表示例を説明するための図である。第3の実施形態において、MPR画像としてCurvedMPR画像を想定したが、実施形態はこれに限られるものではなく、図13に示すように、通常のMPR画像の場合にも、同様に適用することができる。なお、図13において、符号dは、断面の指定である。
【0064】
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0065】
(磁気による歪み)
例えば、MRI装置による撮像においては、静磁場や傾斜磁場の乱れが存在する場合、画像の歪みとなって表示されてしまう。このため、通常、MRI装置は、歪みを測定し、画像の歪みを補正した上で画像を再構成する。MRI装置は、位置決め画像についても、画像の歪みを補正した上で画像を再構成する。この結果、ROIの指定を受け付けるための位置決め画像も、歪み補正がなされた後の位置決め画像となる。
【0066】
しかしながら、歪み補正後の位置決め画像上でROIの指定が受け付けられた場合、ROIの指定が適切に行われない可能性がある。すなわち、操作者が、歪み補正後の位置決め画像上で、撮像対象が適切に撮像されるようにROIを指定したにも関わらず、実際に収集された画像に、撮像対象が適切に撮像されていない場合がある。これは、位置決め画像が歪み補正されているため、位置決め画像上の位置と実際の位置とが正しく対応しないからである。
【0067】
そこで、例えば、MRI装置は、歪み補正後の位置決め画像、又は、歪み補正前の位置決め画像が、操作者の顔の位置に応じて観察されるように、視差画像群を生成し、表示を制御する。この場合、例えば、MRI装置は、視差画像群のうち、一部の視差画像群については、歪み補正後の位置決め画像を3次元表示するための視差画像群を生成し、一部の視差画像群については、歪み補正前の位置決め画像を3次元表示するための視差画像群を生成する。
【0068】
そして、MRI装置は、座標変換を行うことで、両位置決め画像間でROIの指定を連動させる。すなわち、歪み補正後の位置決め画像上でROIが指定された場合には、MRI装置は、このROIの指定を、歪み補正前の位置決め画像用に座標変換し、歪み補正前の位置決め画像上に、座標変換後のROIの指定を表示する。こうすることで、操作者は、歪み補正後の位置決め画像上でROIを指定しつつ、そのROIが、歪み補正前の位置決め画像上でどのようなROIとして指定されるかを確認することが可能になる。
【0069】
(2視差、6視差など)
また、上述した実施形態においては、9視差画像の場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、2視差、6視差など、任意の視差数を用いることができる。
【0070】
(立体表示モニタ)
また、上述した実施形態においては、立体表示モニタとして、レンチキュラーレンズなどの光線制御子を用いることで裸眼による立体視が可能な方式を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、シャッター方式や偏光メガネ方式などでもよい。
【0071】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の医用画像診断装置及び画像処理装置によれば、医用画像を適切に表示することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
100 医用画像診断装置
105 制御部
105a 視差画像群生成部
105b 表示制御部
105c 受付部
105d 撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の情報を有する医用画像データから所定の視差数の視差画像群を生成する生成部と、
前記所定の視差数の視差画像群を表示する表示部と、
前記表示部に表示される視差画像群において操作者による関心領域の指定を受け付ける受付部と、
前記関心領域の指定に従って、該関心領域を撮像範囲とする撮像を実行する撮像部と
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記生成部は、本撮像に先行して行われる事前撮像において収集された前記医用画像データから前記視差画像群を生成し、
前記撮像部は、前記関心領域を撮像範囲とする本撮像を実行することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
3次元の情報を有する医用画像データから所定の視差数の視差画像群を生成する生成部と、
前記所定の視差数の視差画像群を表示する表示部と、
前記表示部に表示される視差画像群において操作者によるMPR(Multi Planer Reconstruction)画像を生成するための断面の指定を受け付ける受付部と、
前記断面の指定に従って、前記MPR画像を生成するMPR画像生成部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、CurvedMPR画像を生成するための断面の指定を受け付け、
前記MPR画像生成部は、前記断面の指定に従って、前記CurvedMPR画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−249676(P2012−249676A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122430(P2011−122430)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】