説明

医用装置及びメッセージ出力装置

【課題】操作者が検査室にいてもメッセージを容易に確認することができる医用装置及びメッセージ出力装置を提供する。
【解決手段】被検体Pを撮影してX線投影データを生成する検査部1と、検査部1が配置された検査室121に隣接する操作室122内に配置され、検査部1で生成されたX線投影データに基づいて生成された画像データを表示する第1の表示部41と、X線診断装置100の操作者の位置を検出する位置検出部5と、X線診断装置100の警告情報を含む重要なメッセージを表示するメッセージ出力部7とを備え、位置検出部5からの位置情報に基づいて、操作者が検査室121内に位置しているときに前記メッセージを第1の表示部41に表示すると共に、メッセージ出力部7に第1の表示部41よりも識別可能に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用装置及びメッセージ出力装置に係り、特に警告情報等のメッセージを出力する医用装置及びメッセージ出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、及び核医学診断装置等の画像診断に用いられる画像診断装置、並びに放射線治療に用いられる放射線治療装置等の医用装置は、被検体を寝台に載せて撮影や放射線治療が行われる検査部、検査部を操作する操作部、操作を行うための画面の表示や撮影により生成された画像データの表示等の撮影や放射線治療に関連する情報を表示する表示部等の各ユニットを備えている。この医用装置の各ユニットは、X線、磁場、放射線等の外部への漏洩を防ぐシールド材で覆われた検査室、及びこの検査室に隣接する操作室等に配置される。そして、操作室に検査部の遠隔操作が可能な遠隔操作部が配置され、検査室に検査部及びこの検査部の近くに配置された遠隔操作部の一部の操作が可能な近接操作部が配置された画像診断装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、医用装置の操作者は、検査部の寝台に被検体を載置した後、検査室と操作室を行き来しながら被検体の撮影や治療を行う。そして、撮影中や治療中に医用装置内で異常が発生した場合、そのエラーメッセージが操作室に配置された表示部に表示される。このメッセージを見た操作者は、緊急を要するエラーメッセージに対して即座に対処する。
【特許文献1】特開2006―197964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作者が検査室にいるときに表示部にメッセージが表示されると、そのメッセージの確認及びこのメッセージに応じた作業の遅れにより、検査や治療が遅延する問題がある。また、作業の遅れにより再検査の必要が生じ、被検体に負担を掛けてしまう問題がある。
【0005】
また、操作室の表示部を検査室にも配置することにより、その表示部にメッセージを表示させることができる。しかしながら、検査室では検査部の動作に支障がないように、例えば検査部の上部など操作者から離れた位置に制限されるため、メッセージの確認が困難である。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、操作者が検査室にいてもメッセージを容易に確認することができる医用装置及びメッセージ出力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に係る本発明の医用装置は、検査室内に配置された被検体の撮影又は治療を行うための検査手段を有する医用装置において、前記検査室に隣接する操作室内に配置され、前記検査手段による撮影又は治療に関連する情報を表示する第1の表示手段と、前記医用装置の操作者が前記検査室内に位置しているか否かを検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記操作者の位置情報に基づいて、前記操作者が前記検査室内に位置しているときに、重要であると決定した前記医用装置の警告情報を含むメッセージを前記第1の表示手段に表示すると共に、前記第1の表示手段よりも識別可能に出力する前記検査室内に配置されたメッセージ出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項8に係る本発明のメッセージ出力装置は、検査室に配置された被検体の撮影又は治療を行うための検査手段を有する医用装置から得られた情報を出力するメッセージ出力装置において、前記医用装置の操作者が前記検査室内に位置しているか否かを検出する位置検出手段と、前記検査室内に配置され、前記位置検出手段により検出された前記操作者の位置情報に基づいて、前記操作者が前記検査室内に位置しているときに、重要であると決定した前記医用装置の警告情報を含むメッセージを、前記検査室に隣接する操作室に配置された前記検査手段による撮影又は治療に関連する情報を表示する表示手段よりも識別可能に出力するメッセージ出力手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者が検査室にいるときに、医用装置のメッセージを検査室に配置した出力部に、操作室の表示部に表示するよりも識別可能に出力することにより、そのメッセージを容易に確認することができる。これにより、メッセージに応じた作業を迅速に行うことが可能となり、撮影や治療における検査の迅速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例は、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、及び核医学診断装置等の画像診断に用いられる画像診断装置、並びに放射線治療に用いられる放射線治療装置等の医用装置に適用可能であるが、以下に説明する実施例では、X線診断装置の例を説明する。
【0012】
図1は、X線診断装置の構成を示したブロック図である。このX線診断装置100は、被検体Pを撮影する検査部1と、検査部1における撮影に必要な高電圧を発生する高電圧部2と、検査部1における撮影で生成されたX線投影データから画像データの生成や生成した画像データの保存を行なう画像処理部3とを備えている。
【0013】
また、画像処理部3で生成された画像データの出力や、X線診断装置100の各ユニットで発生した異常情報や警告情報等のメッセージを出力するデータ出力部4と、X線診断装置100の操作者の位置を検出する位置検出部5と、位置検出部5で検出された操作者の位置情報に基づいて前記メッセージを処理するメッセージ処理部6とを備えている。
【0014】
更に、メッセージ処理部6で処理されたメッセージを出力するメッセージ出力部7と、被検体Pの被検体情報、撮影条件、表示条件等の諸条件の入力、種々のコマンドの入力、検査部1の操作等を行う操作部8と、検査部1、高電圧部2、画像処理部3、データ出力部4、メッセージ処理部6、及びメッセージ出力部7等の各ユニットを統括して制御するシステム制御部9とを備えている。
【0015】
検査部1は、被検体Pに対してX線を照射するX線発生部10と、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成するX線検出部20と、被検体Pが載置される天板17と、天板17を移動可能に保持する支持台15と、X線発生部10、X線検出部20及び支持台15を保持するアーム13と、アーム13及び天板17の移動を行なう機構部30とを備えている。
【0016】
X線発生部10は、X線を発生するX線管101及びこのX線管101から発生するX線の被検体Pに対する照射範囲を設定するX線絞り器102を備えている。X線検出部20は、被検体Pを透過したX線を検出して光に変換するイメージインテンシファイア201と、イメージインテンシファイア201からの光を検出して電気信号に変換した後、デジタル信号に変換してX線投影データを生成するテレビカメラ202とを備えている。
【0017】
なお、放射線治療装置の検査部では、被検体Pの患部に放射線を照射する放射線照射部を有し、この放射線照射部を用いて被検体Pの治療が行われる。
【0018】
機構部30は、X線発生部10及びX線検出部20を被検体Pに相対的に移動させるために、天板17を長手方向及び幅方向に移動する天板移動機構301と、アーム13を所定方向に所定角度起倒するアーム起倒移動機構302と、天板移動機構301及びアーム起倒移動機構302を制御する機構制御部303とを備えている。
【0019】
高電圧部2は、検査部1におけるX線発生部10のX線管101に透視用や撮影用のX線を発生させるための高電圧を供給する高電圧発生部21と、システム制御部9の制御に基づいて高電圧発生部21の制御を行なうX線制御部22を備えている。
【0020】
画像処理部3は、検査部1のX線検出部20で生成されたX線投影データに基づいて透視画像データ、撮影画像データ等の画像データを生成する画像データ生成部31と0、画像データ生成部31で生成された画像データ等を保存する記憶部32とを備えている。
【0021】
データ出力部4は、操作を行うための画面の表示や画像処理部3からの画像データの表示等の撮影に関連する情報を表示出力する第1の表示部41、及び画像処理部3からの画像データを印刷出力する印刷部42を備えている。そして、第1の表示部41は、液晶パネル、CRT等のモニタを備え、画像処理部3の画像データ生成部31から出力された画像データを表示する。また、システム制御部9から供給される各ユニットの警告情報や異常情報等のメッセージを所定のサイズの文字、記号等で表示する。更に、印刷部42は、プリンタなどを備え、画像データ生成部31から出力された画像データを予め設定された印刷フォーマットに従って、フィルムなどに印刷出力する。
【0022】
位置検出部5は、所定の周波数の電波を受信する受信機と、受信した信号を処理する処理回路を備え、X線診断装置100の操作者が携帯する発信機110から発信された前記所定の周波数の電波を受信し、受信した信号を処理して操作者の位置を検出する。そして、検出した操作者の位置情報をメッセージ処理部6に出力する。
【0023】
メッセージ処理部6は、システム制御部9から供給されるメッセージが重要であるか否かを決定する。そして、位置検出部5から出力される操作者の位置情報に基づいて、重要であると決定したメッセージを、データ出力部4の第1の表示部41への表示出力よりも識別可能にメッセージ出力部7に出力させる。
【0024】
メッセージ出力部7は、メッセージ処理部6から出力されたメッセージや画像処理部3の画像データ生成部31から出力された画像データを表示する第2の表示部71、及びメッセージ処理部6から出力されたメッセージを音声出力する音声部72を備えている。
【0025】
第2の表示部71は、例えば第1の表示部41と同様のモニタを備え、メッセージ処理部6から出力されたメッセージを、第1の表示部41に表示されるサイズよりも大きなサイズ、又は第1の表示部41に表示される色よりも目立つ色で表示する。また、画像データを表示しているときに、メッセージ処理部6からメッセージが出力されると、そのメッセージを優先して表示する。
【0026】
操作部8は、検査部1から離れた位置から検査部1の操作が可能な遠隔操作部81、及び検査部1の近くで検査部1の操作が可能な近接操作部82により構成され、夫々キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスや表示パネル、更には、各種スイッチ等を備えている。そして、被検体Pの被検体情報の入力操作、透視を開始させる透視開始操作、撮影を行う撮影操作、透視を停止させる透視終了操作、アーム13及び天板17の移動による撮影方向などの各種撮影条件の設定操作、各種コマンドの入力操作を行う。
【0027】
システム制御部9は、CPU及び記憶回路等を備え、操作部8から供給されるコマンド信号や撮影条件などの入力情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいてアーム13及び天板17の移動制御、X線投影データの生成や画像データの生成と表示の制御などシステム全体の制御を行う。また、各ユニットから出力されるメッセージをデータ出力部4の第1の表示部41に表示させる。更に、そのメッセージをメッセージ処理部6に供給する。
【0028】
図2は、X線診断装置100の検査部1、データ出力部4、位置検出部5、メッセージ出力部7、及び操作部8の配置例を示した図である。検査部1、この検査部1の近傍に配置された操作部8の近接操作部82、位置検出部5、及びメッセージ出力部7は、検査部1で発生したX線の管理範囲外への漏洩を防ぐための検査室121内に配置される。また、データ出力部4及び操作部8の遠隔操作部81は、検査室121に隣接された操作室122内に配置される。
【0029】
検査室121には、検査室121及び操作室122の外側から検査室121への入室、並びに検査室121から検査室121及び操作室122の外側への退室が可能な出入口123が設けられている。また、検査室121から操作室122への入室及び操作室122から検査室121への入室が可能な出入口124が設けられている。そして、各出入口123,124にはX線の漏洩を防ぐ開閉可能なドアが設けられている。
【0030】
検査室121内の位置検出部5には、発信機110を携帯した操作者の検査室121への入室により発信機110の発信する電波の検出が可能な最低の信号レベルを下限値とする範囲が設定されている。そして、発信機110が検査室121外に位置して各出入口123,124のドアが閉じられている場合、位置検出部5で検出される発信機110からの電波の信号レベルは下限値よりも低い。また、発信機110が検査室121内に位置している場合、又は各出入口123,124のドアが開かれて発信機110が各出入口123,124の近傍に位置している場合、発信機110からの電波の信号レベルは下限値以上になる。
【0031】
従って、発信機110を携帯した操作者が検査室121の外側から出入口123又は出入口124のドアを開けたとき、及び検査室121内にいるときに、位置検出部5は操作者が検査室121内に位置している位置情報をメッセージ処理部6に出力する。また、発信機110を携帯した操作者が出入口123又は出入口124のドアを閉じた状態で検査室121の外側にいるときに、操作者が検査室121外に位置している位置情報をメッセージ処理部6に出力する。
【0032】
なお、各出入口123,124のドアの開閉毎に検査室121への入室及び検査室121からの退室の検出が可能な2つのセンサを設け、各ドアの開閉によるセンサの信号に基づいて、操作者の位置を検出するようにしてもよい。また、検査室121への入室及び検査室121からの退室により各出入口123,124を通過した操作者の検出が可能な2つのセンサを設け、各出入口123,124の通過によるセンサの信号に基づいて、操作者の位置を検出するようにしてもよい。
【0033】
次に、図1乃至図3を参照して、メッセージ処理部6の構成の詳細を説明する。
図3は、メッセージ処理部6の構成を示したブロック図である。メッセージ処理部6は、システム制御部9から供給されたメッセージを受け付ける受付部61と、受付部61で受け付けたメッセージをメッセージ出力部7に出力させるほど重要であるか否かを決定する決定部62と、決定部62で決定されたメッセージをメッセージ出力部7に出力させる指示部63とを備えている。
【0034】
受付部61は、システム制御部9から供給されたメッセージを受け付けて決定部62に出力する。決定部62は、メッセージ毎に予め設定された通知条件に含まれる決定条件に基づいて、受付部61から出力されたメッセージが重要であるか否かを決定する。次いで、受付部61でメッセージを受け付けたときに位置検出部5から出力された位置情報に基づいて、重要であると決定したメッセージを出力部7に出力させるか否かを決定する。
【0035】
そして、操作者が検査室121内に位置している場合、重要であると決定したメッセージを指示部63に出力する。また、操作者が検査室121外に位置している場合、検査室121内にいる被検体Pに不用な不安を与えないために、受付部61から出力されたメッセージのメッセージ出力部7への出力を不必要と決定して、指示部63へのメッセージの出力を停止する。なお、操作者は、検査中には被検体Pの安全の確保、及び検査を行うための操作部8の操作等の作業のために検査室121又は操作室122のいずれかにいる。
【0036】
指示部63は、決定部62から出力されたメッセージを、予め設定された通知条件に含まれる出力条件に基づいて、メッセージ出力部7の第2の表示部71及び/又は音声部72に出力させる。そして、安全に関わるメッセージ等の高い緊急度のメッセージを、例えば第2の表示部71及び音声部72に出力させる。また、前記高い緊急度よりも低い緊急度のメッセージを第2の表示部71に出力させる。
【0037】
以下、図1乃至図5を参照して、X線診断装置100の動作の一例を説明する。図4は、X線診断装置100の動作を示すフローチャートである。また、図5は、予め設定された通知条件の一例を示す図である。
【0038】
図4において、発信機110を携帯した操作者が被検体Pを伴って検査室121に入いることにより、X線診断装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0039】
位置検出部5は、発信機110から発信される電波信号に基づいて、操作者の位置を検出する。そして、その位置情報をメッセージ処理部6に出力する。
【0040】
出入口123のドアを閉じた後、検査室121内に配置された近接操作部82からアーム13の下降操作が行われると、検査部1における機構部30のアーム起倒移動機構302は、被検体Pが天板17に乗降し易い高さまでアーム13を下げる。次いで、被検体Pを天板17上に載せた後、アーム13の上昇操作及びアーム13及び天板17の撮影位置への移動操作が行われると、アーム13を所定の高さまで上げて、被検体Pの撮影が可能な位置にアーム13及び天板17を移動させる。
【0041】
遠隔操作部81又は近接操作部82から例えば透視開始の操作が行われると、システム制御部9は、検査部1、高電圧部2、画像処理部3、データ出力部4、メッセージ処理部6、及びメッセージ出力部7を制御して透視を開始させる。
【0042】
検査部1のX線発生部10は、被検体PにX線を照射する。X線検出部20は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成し、生成した画像データを画像処理部3の画像データ生成部31に出力する。画像データ生成部31は、X線検出部20から出力されたX線投影データから透視画像データを生成してデータ出力部4の第1の表示部41及びメッセージ出力部7の第2の表示部71に表示する。そして、第1及び第2の表示部41,71に表示された透視画像データを観察する操作者により、遠隔操作部81又は近接操作部82から撮影操作が行われると、画像データ生成部31は生成した撮影画像データを記憶部32に保存する。
【0043】
遠隔操作部81又は近接操作部82から透視終了操作が行われると、システム制御部9は、検査部1、高電圧部2、画像処理部3、データ出力部4、メッセージ処理部6、及びメッセージ出力部7を制御して透視を停止させる。
【0044】
そして、記憶部32に保存した被検体Pの撮影画像データを表示させる操作が遠隔操作部81又は近接操作部82から行われると、第1又は第2の表示部41,71に撮影画像データが表示される。更に、遠隔操作部81又は近接操作部82から印刷操作が行われると、印刷部42は、第1又は第2の表示部41,71に表示された撮影画像データを印刷出力する動作を開始する。そして、印刷部42内に例えばフィルムがないと、印刷部42は「フィルムが不足しています」等のメッセージをシステム制御部9に出力する。
【0045】
システム制御部9は、印刷部42から出力されたメッセージを第1の表示部41に表示させる(ステップS2)。また、そのメッセージをメッセージ処理部6に供給する。このように、第1の表示部41にメッセージを表示させることにより、即座に通知することができる。これにより、操作者が操作室122内にいるときにそのメッセージを容易に確認することができる。
【0046】
メッセージ処理部6の受付部61は、システム制御部9から供給されたメッセージを受け付けて決定部62に出力する。決定部62は、予め設定された通知条件に含まれる決定条件に基づいて、受付部61から出力されたメッセージが重要であるか否かを決定する。
【0047】
そして、メッセージが重要である場合(ステップS3のはい)、ステップS4へ移行する。また、メッセージが不必要である場合(ステップS3のいいえ)、受付部61から出力されたメッセージの指示部63への出力を停止してステップS6へ移行する。このように、メッセージが不必要である場合にメッセージ出力部7への出力を停止させることにより、被検体Pに不用な不安を与えるのを防ぐことができる。
【0048】
次いで、受付部61でメッセージを受け付けたときに位置検出部5から出力された位置情報に基づいて、重要であると決定したメッセージを出力部7に出力させる必要があるか否かを決定する。そして、操作者が検査室121内に位置している場合(ステップS4のはい)、重要であると決定したメッセージを指示部63に出力する。また、操作者が検査室121外に位置している場合(ステップS4のいいえ)、受付部61から出力されたメッセージの指示部63への出力を停止してステップS6へ移行する。
【0049】
指示部63は予め設定された通知条件に含まれる出力条件に基づいて、決定部62から出力されたメッセージを、メッセージ出力部7の第2の表示部71に第1の表示部41に表示されるサイズよりも大きいサイズで表示する(ステップS5)。
【0050】
このように、操作者が検査室121内にいるとき、第2の表示部71に第1の表示部41に表示されるよりも大きなサイズのメッセージを表示させることにより、そのメッセージを即座に通知することができる。これにより、操作者がメッセージを容易に確認することができる。また、操作者が操作室122内にいるとき、メッセージ出力部7へのメッセージの出力を停止させることにより、被検体Pに不用な不安を与えるのを防ぐことができる。
【0051】
ここで、第2の表示部71に表示されたメッセージを見た操作者が印刷部42にフィルムを補充するために出入口124のドアを開けて通過した後に閉じると、位置検出部5は、操作者が検査室121外に位置している位置情報をメッセージ処理部6に出力する。この位置情報により、ステップS4の「いいえ」が実行される。
【0052】
そして、印刷部42にフィルムの補充が行われると、印刷部42はシステム制御部9へのメッセージの出力を停止する。この停止に応じてシステム制御部9は、第1の表示部41へのメッセージの表示を停止する。また、メッセージ処理部6へのメッセージの供給を停止する。
【0053】
フィルムの補充後、印刷部42から撮影画像データが印刷される。操作者は検査室121に移動し、近接操作部82を操作して被検体Pを天板17から降ろした後、操作者が被検体Pを伴って出入口123から検査室121の外へ退出した時点で終了する(ステップS6)。
【0054】
次に、図5を参照して、予め設定された通知条件に検査を区分した各検査シーンが含まれるメッセージの例、及びこのメッセージが各検査シーンに基づいて処理される例を説明する。
【0055】
図5は、予め設定された通知条件に検査シーンが含まれているメッセージの例を示した図である。この通知条件91は、第1及び第2の表示部41,71に表示されるメッセージが設定された「表示メッセージ」の欄、及び検査の各検査シーン及びこの検査シーンにおける決定条件及び出力条件が設定された「メッセージ通知条件」の欄などにより構成される。
【0056】
「表示メッセージ」の欄には、記憶部32の画像データ等を保存するメモリの保存可能な容量が、所定の量よりも残り少なくなったときに出力されるメッセージである例えば「ディスク容量が残り少ないです」が設定されている。
【0057】
「メッセージ通知条件」の欄は、「検査シーン」の欄、「決定条件」の欄、及び「出力条件」の欄により構成される。そして、「検査シーン」の欄には、被検体Pを検査室121内に入室させてから操作部8から透視開始操作又は撮影操作が行われるまでの間である「検査準備中」、透視開始操作と透視終了操作の間又は撮影操作である「撮影中」、透視終了操作又は撮影操作が行われた後に被検体Pを検査室121から退室させるまでの間である「後処理中」等の各検査シーンに区分されている。
【0058】
また、「決定条件」の欄には、「検査シーン」の欄で区分された検査シーンである「検査準備中」及び「撮影中」に対応する「重要」が設定されている。また、「後処理中」に対応する「不必要」設定されている。そして、「重要」が設定されていると、メッセージが「検査準備中」及び「撮影中」の検査シーンに出力されたときに決定部62により重要であると決定される。また、「不必要」が設定されていると、メッセージが「後処理中」の検査シーンに出力されたときに不必要であると決定され、メッセージ出力部7へのメッセージの出力が停止される。
【0059】
更に、「出力条件」の欄には、「検査シーン」の欄で「検査準備中」に区分された「決定条件」の欄の「重要」に対応する「表示及び音声」が設定されている。また「検査シーン」の欄で「撮影中」に区分された「決定条件」の欄の「重要」に対応する「表示」が設定されている。更に「決定条件」の欄の「不必要」に対しては設定されていない。そして、「表示及び音声が」が設定されていると、指示部63により第2の表示部71及び音声部72にメッセージを出力させる。また「表示」が設定されていると、第2の表示部71にメッセージを出力させる。更に出力条件が設定されていないと、メッセージ出力部7へのメッセージの出力が停止される。
【0060】
ここで、操作部8から撮影操作が行われたとき、画像データ生成部31で生成された撮影画像データが記憶部32に保存する動作が行われるため、記憶部32のメモリの保存可能な容量が所定の量よりも少ないと、「ディスク容量が残り少ないです」のメッセージをシステム制御部9に出力する。そして、そのメッセージの処理が、図4のステップS2乃至S6と同様のステップで実行される。
【0061】
そして、決定部62では、通知条件91の「検査シーン」の欄の「撮影中」に対応する「決定条件」の欄の「重要」に基づいて、「ディスク容量が残り少ないです」の容量不足のメッセージを重要であると決定する。次いで、位置検出部5から出力された位置情報に基づいて、重要であると決定した容量不足のメッセージを出力部7に出力させる必要があるか否かを決定する。更に、指示部63では、操作者が検査室121内に位置しているとき重要であると決定した容量不足のメッセージを、通知条件91に設定された「出力条件」の欄の「表示」に基づいて、第2の表示部71に表示させる。
【0062】
このように、各検査シーンに応じた決定条件及び出力条件を設定した通知条件91を用いてメッセージの処理を行うことにより、被検体Pに不用な不安を与えるのを防ぐと共に、メッセージを即座に通知することができる。これにより、操作者がメッセージを容易に確認することができる。
【0063】
以上述べたように本発明の実施例によれば、X線診断装置100の各ユニットからのメッセージが重要であるか否かを決定する。そして、前記メッセージが重要である場合、操作者が検査室121内に位置しているときには操作室122に配置された第1の表示部41にその重要であるメッセージを表示すると共に、検査室121内に配置されたメッセージ出力部7に第1の表示部41よりも識別可能に出力することにより、メッセージを即座に通知することができる。これにより、操作者がメッセージを容易に確認することができる。
【0064】
また、前記メッセージが不必要である場合、そのメッセージを第1の表示部41に表示し、メッセージ出力部7へのそのメッセージの出力を停止することができる。これにより、被検体Pに不用な不安を与えることなく、メッセージを通知することができる。
【0065】
更に、決定したメッセージが重要である場合、操作者が検査室121外に位置しているときには第1の表示部41にその重要であるメッセージを表示し、メッセージ出力部7への重要であるメッセージの出力を停止することにより、被検体Pに不用な不安を与えることなく、メッセージを即座に通知することができる。これにより、操作者がメッセージを容易に確認することができる。
【0066】
以上により、メッセージに応じた作業を迅速に行うことが可能となり、被検体Pへの負担を軽減して検査の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例に係るX線診断装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係るX線診断装置の検査部、データ出力部、位置検出部、メッセージ出力部、及び操作部の配置を示す図。
【図3】本発明の実施例に係るメッセージ処理部の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例に係るX線診断装置の動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例に係る予め設定された通知条件に検査シーンが含まれているメッセージの例を示す図。
【符号の説明】
【0068】
P 被検体
1 検査部
2 高電圧部
3 画像処理部
4 データ出力部
5 位置検出部
6 メッセージ処理部
7 メッセージ出力部
8 操作部
9 システム制御部
31 画像データ生成部
32 記憶部
41 第1の表示部
42 印刷部
71 第2の表示部
72 音声部
81 遠隔操作部
82 近接操作部
100 X線診断装置
110 発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室内に配置された被検体の撮影又は治療を行うための検査手段を有する医用装置において、
前記検査室に隣接する操作室内に配置され、前記検査手段による撮影又は治療に関連する情報を表示する第1の表示手段と、
前記医用装置の操作者が前記検査室内に位置しているか否かを検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記操作者の位置情報に基づいて、前記操作者が前記検査室内に位置しているときに、重要であると決定した前記医用装置の警告情報を含むメッセージを前記第1の表示手段に表示すると共に、前記第1の表示手段よりも識別可能に出力する前記検査室内に配置されたメッセージ出力手段とを
備えたことを特徴とする医用装置。
【請求項2】
前記操作者が前記操作室内に位置しているとき、前記第1の表示手段に前記メッセージを表示し、前記メッセージ出力手段への前記メッセージの出力を停止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項3】
前記メッセージ出力手段は、前記第1の表示手段に表示したサイズよりも大きなサイズで前記メッセージを表示する第2の表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項4】
前記メッセージ出力手段は、前記メッセージを音声で出力する音声手段を有することを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、前記操作者に携帯された発信手段からの信号に基づいて、前記操作者の位置を検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項6】
予め設定された通知条件に基づいて前記メッセージが重要であるか否かを決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項7】
前記通知条件は、少なくとも前記検査手段による撮影中、前記検査手段による撮影が行われる前の検査準備中、及び前記検査手段による撮影が行われた後の後処理中を含む各検査シーン、並びにこの検査シーンに設定された重要であるか否かの決定条件により構成され、
前記決定手段は、前記通知条件に含まれる前記メッセージが発生したときの検査シーンに対応する決定条件に基づいて決定するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の医用装置。
【請求項8】
検査室に配置された被検体の撮影又は治療を行うための検査手段を有する医用装置から得られた情報を出力するメッセージ出力装置において、
前記医用装置の操作者が前記検査室内に位置しているか否かを検出する位置検出手段と、
前記検査室内に配置され、前記位置検出手段により検出された前記操作者の位置情報に基づいて、前記操作者が前記検査室内に位置しているときに、重要であると決定した前記医用装置の警告情報を含むメッセージを、前記検査室に隣接する操作室に配置された前記検査手段による撮影又は治療に関連する情報を表示する表示手段よりも識別可能に出力するメッセージ出力手段とを
備えたことを特徴とするメッセージ出力装置。
【請求項9】
前記操作者が前記操作室内に位置しているとき、前記メッセージ出力手段への前記メッセージの出力を停止するようにしたことを特徴とする請求項8に記載のメッセージ出力装置。
【請求項10】
予め設定された通知条件に基づいて前記メッセージが重要であるか否かを決定する決定手段を有することを特徴とする請求項8に記載のメッセージ出力装置。
【請求項11】
前記通知条件は、少なくとも前記検査手段による撮影中、前記検査手段による撮影が行われる前の検査準備中、及び前記検査手段による撮影が行われた後の後処理中を含む各検査シーン、並びにこの検査シーンに設定された重要であるか否かの決定条件により構成され、
前記決定手段は、前記通知条件に含まれる前記メッセージが発生したときの検査シーンに対応する決定条件に基づいて決定するようにしたことを特徴とする請求項10に記載のメッセージ出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−77942(P2009−77942A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249700(P2007−249700)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】