説明

医療システム及び医療システムに関連する方法

医療システムおよびそのようなシステムに関する方法が開示される。実施例において医療システムはスロットを形成する外側部材を含む。実施例において外側部材は内側部材を少なくとも部分的に包囲し、外側部材及び内側部材は移植可能な医療用人工器官が外側部材と内側部材との間に設けられるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療システムおよびそのようなシステムに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体管内にステント等の移植可能な人工器官を搬送する器具が公知である。このタイプの装置は通常使用時に体管の外側に保持される基端側部分と、体管内に(例えば切り口を通じて)挿入される先端側部分とを含む。基端側部分により通常使用時に器具の操作を行う。先端側部分は通常内側部材の周囲に摺動自在に位置される外側部材を含み、これらの間に人工器官を備える。通常器具の先端側部分は体管を通じて処置する部位(例、狭窄症や動脈瘤)に前進される。外側部材は続いて後退され、人工器官を拡張し、処置する部位にて体管の壁部と係合させる。その後、器具は体管と係合する人工器官を残して取り除かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は移植可能な医療用人工器官が外側部材と内側部材との間に設けられ、外側部材を内側部材に対して移動させることにより人工器官を配置するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様において、システムはハンドルアセンブリのハウジングに固定される連結部と、連結部に固定される内側部材と、内側部材を少なくとも部分的に包囲する外側部材とを備える。外側部材はスロットを形成し、連結部の一部がスロット内に位置される。外側部材及び内側部材は移植可能な医療用人工器官が外側部材と内側部材との間に設けられるように構成される。
【0005】
本発明の別の態様において、システムはハンドルアセンブリのハウジングに固定される連結部とシースに固定されるラックとを備える。移植可能な医療用人工器官はシース内に設けられる。ラックは長尺状スロットを形成し、連結部の一部が長尺状スロット内に位置され、これによりラック及びシースがハンドル及び連結部に対して長手方向に移動可能である。
【0006】
本発明の更なる態様において方法は内側部材に対して外側部材を後退させる工程を含む。外側部材が内側部材に対して後退されると、内側部材が取り付けられる連結部の一部は外側部材によって形成されるスロット内に位置される。外側部材及び内側部材は移植可能な医療用人工器官が外側部材と内側部材との間に設けられるように構成される。
【0007】
本発明の実施例は、以下の特徴の一つ以上を含むことも可能である。
一実施例において、外側部材は内側部材に対して後退可能である。
一実施例においてスロットの先端部は連結部に接触すると、外側部材が内側部材に対して更に後退することを防止する。
【0008】
一実施例において、システムは外側部材に固定される係止部を更に備え、係止部は外側部材及び内側部材の移動が制限させるように連結部に接触する。
一実施例において係止部は環状リングを含む。
【0009】
一実施例において外側部材は基端側部分及び先端側部分を含み、基端側部分は径方向に延びる歯を含む。
一実施例において、ハンドルは回動自在なノブを備え、回動自在なノブは外側部材が回動自在なノブを回動することにより後退するように外側部材の第1の部分の径方向に延びる歯と係合する。
【0010】
一実施例においてスロットは基端側部分の基端部から基端側部分の先端部の基端側の部分に延びる。
一実施例においてスロットは基端側部分の基端部から基端側部分の先端部に延びる。一実施例においてスロットは外側部材の先端側部分内に延びる。
【0011】
一実施例において外側部材の基端側部分は管状ラックを含み、外側部材の先端側部分はシースを含み、管状ラックはシースに固定される。
一実施例においてシース及び内側部材は、移植可能な医療用人工器官がシース及び内側部材の間に位置されるように構成される。
【0012】
一実施例においてシースの少なくとも一部はハンドルアセンブリ内に後退される。
一実施例において外側部材はハンドルアセンブリを通過して延び、プルグリップがハンドルアセンブリの基端側にて外側部材に取り付けられる。
【0013】
一実施例において連結部は内側部材を少なくとも部分的に包囲する管状部を含む。
一実施例において連結部は管状部をハンドルアセンブリに取り付けるリブ部を更に備え、スロットは連結部のリブ部がスロットを通じて径方向に延びるように構成される。
【0014】
一実施例においてスロットはガイドワイヤがスロットを通じて径方向に移動するように構成される。
一実施例において使用時にガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の部分にてスロットを通じて径方向に移動する。一実施例においてシステムは外側部材と内側部材との間に設けられる移植可能な医療用人工器官を更に備える。
【0015】
一実施例において移植可能な医療用人工器官は自己拡張型ステントである。
一実施例においてラック及びシースはラックの先端部がハンドルアセンブリの先端部の基端側に位置されるまで長手方向に移動可能である。
【0016】
一実施例においてラック及びシースはシースの一部がハンドルアセンブリ内に延びるまで長手方向に移動可能である。
一実施例において長尺状スロットはガイドワイヤが長尺状スロットを通じて径方向に移動するように構成される。
【0017】
一実施例において使用時にガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の部分にて長尺状スロットを通じて径方向に移動する。
一実施例において連結部はハンドルアセンブリのハウジングに固定される。一実施例において方法はガイドワイヤをスロットを通過させる工程を更に含む。
【0018】
一実施例において外側部材はハンドルアセンブリ内に少なくとも部分的に位置され、ガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の部分にてスロットを通過する。
一実施例において外側部材を内側部材に対して後退させることにより、移植可能な医療用人工器官を外側部材と内側部材との間に位置させ拡張させることができる。
【0019】
一実施例において外側部材を内側部材に対して後退させる工程は外側部材と嵌合する回動自在なノブを回動する工程を含む。
一実施例において外側部材を内側部材に対して後退させる工程は外側部材の基端部領域に取り付けられる張引部材を基端側方向に張引する工程を含む。
【0020】
一実施例において外側部材は移植可能な医療用人工器官を内包するシースを備え、連結部はハンドルアセンブリのハウジングに固定される。外側部材を内側部材に対して後退させる工程はシースの一部をハンドルアセンブリ内に後退させる工程を含む。
【0021】
一実施例において連結部はハンドルアセンブリのハウジングに固定され、外側部材が内側部材に対して後退された場合に、外側部材の一部はハンドルアセンブリの基端部を越えて基端側に延びる。 本発明の一実施例は、以下の一つ以上の利点を含んでいてもよい。
【0022】
一実施例において外側部材は使用時に後退された場合にハンドルアセンブリの基端部を退出する。従ってハンドルアセンブリの長さは同じ使用のタイプに構成された公知のシステムのハンドルアセンブリの長さと比較して低減される。
【0023】
一実施例において外側部材の先端側部分(即ち外側部材の外側シース)は使用時にハンドルアセンブリ内に後退される。
従ってシステムの全長は同じ使用のタイプに構成された公知のシステムと比較して低減される。
【0024】
一実施例において外側部材のスロット(即ち外側部材のラックのスロット)は使用時にガイドワイヤがスロットを通じて径方向に延びるように構成される。従ってガイドワイヤは工程にわたって(即ちステントを配置する工程にわたって)使用者に対して暴露された状態、及び使用者に対して使用可能な状態を保持する。上記構造体によりシステム使用時において使用者によるガイドワイヤの把持し易さが向上する。更に一実施例において上記構造体により、長尺状のシステムを通常使用する必要のある処置を実施する場合(例、体の下肢等の、体の離間した部分における血管に長尺状ステンを搬送する場合)においてもシステムは公知の長さ(例、260センチメートル)のガイドワイヤと組み合わせて使用可能である。
【0025】
一実施例においてプルグリップはハンドルの基端側の部分にて外側部材に取り付けられる。この構造体により外側部材をプルグリップ及びハンドル間において妨害されることなくハンドルアセンブリを通じて後退させることができる。
【0026】
その他の特徴及び効果は、明細書、図面及び特許請求の範囲において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ステント搬送システムを示す分解側面図。
【図2】図1に示すステント搬送システムのカテーテルアセンブリの先端側領域の線2−2における断面図。
【図3】図1に示すステント搬送システムのラックの先端側領域を示す部分斜視図。
【図4】図1に示すステント搬送システムのカテーテルアセンブリの内側部材と、図1に示すステント搬送システムのハンドルアセンブリのハウジングとの間の連結部を示す図。
【図5】ハンドルアセンブリの内側要素を示すべくハウジングの近傍の部分を取り払った、操作可能な構成にある図1に示すステント搬送システムのハンドルアセンブリを示す側面図。
【図6】完全に組み立てられた状態にある図1に示すステント搬送システムのハンドルアセンブリの図5の線6−6における断面図。
【図7A】血管内に自己拡張型ステントを移植すべく図1に示すステント搬送システムを使用する方法を示す図。
【図7B】血管内に自己拡張型ステントを移植すべく図1に示すステント搬送システムを使用する方法を示す図。
【図7C】血管内に自己拡張型ステントを移植すべく図1に示すステント搬送システムを使用する方法を示す図。
【図7D】血管内に自己拡張型ステントを移植すべく図1に示すステント搬送システムを使用する方法を示す図。
【図8】ハンドルアセンブリの内側要素を示すべくハウジングの近傍の部分を取り払った、操作可能な構成にあるステント搬送システムのハンドルアセンブリを示す側面図。
【図9】ステント搬送システムを示す分解側面図。
【図10】図9に示すステント搬送システムのカテーテルアセンブリの先端側領域の線10−10における断面図。
【図11】図9に示すステント搬送システムのラックの先端側領域を示す部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の態様において、システム(即ち、ステント搬送システム)は長尺状スロットを含む外側部材(即ち、外側管状アセンブリ)を含む。内側部材(即ち、内側管状部材)は外側部材内に延び、連結部によりハンドルアセンブリのハウジングに取り付けられる。連結部の一部(即ち、連結部のリブ部)は外側部材のスロットを通じて延びる。上記構成により、例えば使用者は外側部材を内側部材及び連結部に対して後退させることができる。実施例においてハウジング及び外側部材は、外側部材が内側部材及び連結部に対して後退された場合に外側部材をハンドルアセンブリの基端部を越えて基端側に延ばす。実施例において使用時にガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の外側部材のスロットを通じて径方向に延び、これにより使用者は外側部材がハンドルアセンブリの基端部を越えて基端側に後退された場合においてもガイドワイヤを適切に把持できる。
【0029】
図1及び2はカテーテルアセンブリ102及びハンドルアセンブリ104を含むステント搬送システム100を示す。カテーテルアセンブリ102は外側管状アセンブリ106と、外側管状アセンブリ106によって形成されるルーメン110を通じて延びる内側管状部材108とを備える。自己拡張型ステント112は外側管状アセンブリ106の先端部114及び内側管状部材108の先端部116の近傍にて外側管状アセンブリ106と内側管状部材108との間に設けられる。詳細については後述するが、使用時においてカテーテルアセンブリ102の先端側部分は患者の体管(例、血管)内に位置され、外側管状アセンブリ106は内側管状部材108に対して基端側に後退され、ステント112を患者の体管内に位置させる。
【0030】
カテーテルアセンブリ102の外側管状アセンブリ106は外側シース120の基端部に取り付けられる管状ラック118を備える。図3は管状ラック118の先端側領域を示す斜視図である。図1,3は管状ラック118が多数の径方向に延びる歯122を含み、歯122は管状ラック118に沿って軸方向に空隙をおいて設けられることを示す。管状ラック118は処置を施すために(例えばステント112を位置させるために)管状ラック118及び外側シース120が後退される距離に応じて任意の長さを有する。実施例において管状ラック118は約2インチ乃至約12インチ(約5.08cm乃至約30.48cm)(例、約4インチ乃至約8インチ(約10.16cm乃至約20.32cm))の長さを有する。実施例において管状ラック118は約12インチ(約30.48cm)以上の長さを有する。
【0031】
長尺状スロット124は管状ラック118の側壁部に形成される。スロット124はルーメン110から管状ラック118を包囲する領域までの径方向の通路をなす。スロット124は管状ラック118の基端部から管状ラック118の先端部の基端側の部分まで延びる。スロット124の長さにより管状ラック118及び外側シース120が使用時において後退される長手方向の距離が決定される。実施例においてスロット124は約2インチ乃至約12インチ(約5.08cm乃至約30.48cm)の長さを有する(例、約4インチ乃至約8インチ(約10.16cm乃至約20.32cm))。実施例において、スロット124は約12インチ(約30.48cm)以上の長さを有する。実施例においてスロット124はガイドワイヤが管状ラック118を通じスロット124を介して径方向に通過するために十分な幅を有する。スロット124は例えば約0.030インチ乃至約0.090インチ(約0.0762cm乃至約0.229cm)(例、0.070インチ(約0.178cm))の幅を有する。
【0032】
管状ラック118は任意の材料を含む(即ち、任意の材料から形成される)。実施例において管状ラック118はポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、及びこれらの混合物等の1つ以上のポリマー材料を含む。これに代えて、或いは付加的に、管状ラック118はステンレス鋼等の1つ以上の金属や合金を含む。実施例において管状ラック118はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等のポリマー材料から形成される外側層に包囲されるステンレス鋼等の金属から形成される内側層を含む。スロット124は任意の技術を使用して管状ラック118に形成される。実施例において例えば管状ラック118はスロット124を形成するような方法により成型(例、射出成形)されるか鋳造(例、ダイカストで鋳造)される。これに代えて、或いは付加的に、周方向に連続した管状ラックが形成された後に材料が周方向に連続した管状ラックから取り除かれて(例、切断やエッチングにより)スロット124を形成してもよい。
【0033】
図1は更にプルグリップ126が管状ラック118の基端部領域に設けられることを示す。プルグリップ126はハンドルアセンブリ104の基端部128の基端側に設けられ、使用時に使用者によって把持される径方向に延びる突起部を備える。実施例において、プルグリップ126は管状ラック118に固定される別体の要素である。実施例においてプルグリップ126は例えば接着剤、熱的結合、溶接等により、管状ラック118の基端部領域の外側表面に取り付けられる。これに代えてプルグリップ126は管状ラック118と一体的に形成(即ち、成型)されてもよい。
【0034】
上述したように管状ラック118の先端部は外側シース120の基端部に取り付けられる。外側シース120は配置に先立って圧縮した状態のステント112を含む。実施例において外側シース120は多層構造体を備える。実施例において例えば外側シース120はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる内側層、ステンレス鋼網からなる中間部層、並びにナイロン12及びポリエーテルブロックアミド(例、登録商標名PEBAX)のうち少なくともいずれか一方からなる外側層を含む。任意の技術を使用して管状ラックを外側シースに取り付けることができる。例えば管状ラック及び外側シースは接着剤、熱的結合、溶接等により連結される。
【0035】
図2は更に内側管状部材108が外側管状アセンブリ106のルーメン110内に延びることを示す。内側管状部材108は内側管状部材108の基端部から内側管状部材108の先端部に延びるガイドワイヤルーメン130を形成する。図4に示すように内側管状部材108の基端部領域は後述するが、ハンドルアセンブリ104のハウジング132内に延び、ハンドルアセンブリ104のハウジング132に固定される。
【0036】
内側管状部材108及び外側シース120はこれらの長さ部分に沿って可撓性を備え、これによりカテーテルアセンブリ102は例えば入り組んだ血管を横断すべく偏向及び屈曲が可能である。内側管状部材108及び外側シース120は例えば1つ以上の適合するポリマー材料を含む。好適なポリマー材料の例には、ポリエーテル−ブロックコ−ポリアミドポリマー(例:PEBAX (登録商標))、コポリエステルエラストマー(例:Arnitel (登録商標)コポリエステルエラストマー)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(例:Hytrel(登録商標))、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例:Pellethane(商標))、ポリオレフィン(例:Marlex(登録商標)ポリエチレン、Marlex(登録商標)ポリプロピレン)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリアミド(例:Vestamid(登録商標))、及びこれらの材料の組合せが含まれる。実施例において内側管状部材108及び外側シース120は1つ以上のシリコンを含む。実施例において(例、外側シース120を後退させることに使用される圧力を減少させることが好適である場合に)内側管状部材108及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方は比較的低い摩擦係数を有する材料(例、フッ素重合体やシリコン)から形成される。フッ素重合体の例はPTFE及びFEPを含む。これに代えて、或いは付加的に内側管状部材108及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方は潤滑性を備えた添加物を含む材料(例、フッ素重合体、シリコン、超高分子量ポリエチレン、油や、これらの混合物)から形成される。
【0037】
図4は部分的に組み立てられた状態のハンドルアセンブリ104の区分を示す図であり、内側管状部材108がどのようにハウジング132に固定されるかを示すべくハウジング132の片側が取り払われた図である。図4に示すように内側管状部材108は連結部134によってハウジング132の内側表面に固定される。従って内側管状部材108はハウジング132に対して軸方向に固定される。内側管状部材108は連結部134を通じてハンドルアセンブリ104の基端部128に向かって基端側に延びる。従って内側管状部材108の基端部に向かって延びるガイドワイヤルーメン130はガイドワイヤがハウジング132を越えて基端側に延びるための通路をなす。
【0038】
連結部134は管状部136及びリブ部138を備える。内側管状部材108の部分は管状部136内に位置される。リブ部138は管状部136から径方向に延び、ハウジング132の側壁部に固定される。内側管状部材108の外側表面は管状部136の内側表面に固定される。任意の技術を使用して内側管状部材108を管状部136に固定可能である。実施例において例えば内側管状部材108は接着剤により管状部136に固定される。これに代えて、或いは付加的に内側管状部材108は熱的結合や溶接により管状部136に固定されてもよい。連結部134のリブ部138は任意の技術を使用してハンドルアセンブリ104のハウジング132に固定可能である。実施例において例えば連結部134のリブ部138は、連結部134をハウジング132に固定すべくハンドルアセンブリ104のハウジング132にインサート成型される。これに代えて、或いは付加的に1つ以上のその他の技術を使用して連結部134のリブ部138をハンドルアセンブリ104のハウジング132に固定してもよい。例えば連結部134のリブ部138は接着剤、溶接、及び/又は熱的結合によりハウジングに取り付けられてもよい。
【0039】
実施例において連結部134は1つ以上の金属や合金を含む(即ち、金属や合金から形成される)。例えば連結部134はステンレス鋼を含む。これに代えて、或いは付加的に、連結部はポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、及びこれらの混合物等の1つ以上のポリマー材料を含む。実施例において連結部134の管状部136及びリブ部138は相互に一体的に形成される。本実施例において例えば連結部134はダイカストによる鋳造、射出成形等により形成可能である。これに代えて、管状部136及びリブ部138は相互に固定(例、接着、溶接等)される別体として形成される要素であってもよい。
【0040】
図5はハウジング132の側部近傍(即ち図4に示すような連結部134が取り付けられるハウジング132の側部)を取り除いてハンドルアセンブリ104の内側の要素を示す、操作可能な状態にあるハンドルアセンブリ104の側面図である。図5に示すように、回動自在なノブ140はハウジング132に対して回動自在に取り付けられる。回動自在なノブ140は同回動自在なノブ140の側部表面から側方に向かって延びるピン142を備え、ハウジング132の側壁部によって形成される円筒状の凹部内に設けられる。このような構造体により回動自在なノブ140はハウジング132に対して回動自在である。これに代えて、或いは付加的に、任意の他の構造体を使用して回動自在なノブ140をハウジング132に対して回動させてもよい。回動自在なノブ140は回動自在なノブの側部表面から側方に向かって延びるギヤ144を更に備える。ギヤ144は多数の周方向に間隔をおいて設けられた歯146を含む。歯146はギヤ144の周囲の表面から径方向に延びる。ハウジング132の頂壁部148は開口150を含み、これを通じて回動自在なノブ140の上側部分は使用者の親指によって回動自在なノブ140が回動されるように突出する。
【0041】
図5に示すように操作可能な状態において、カテーテルアセンブリ102の(図4に示す)内側管状部材108及び管状ラック118はハンドルアセンブリ104のハウジング132によって形成される空隙内に延びる。管状ラック118の歯122はギヤ144の歯146と係合する。従って管状ラック118は回転する回動自在なノブ140によって軸方向に移動可能である。管状ラック118は第1の構成において、管状ラック118の基端側領域がハンドルアセンブリ104の基端部128の基端側に延び、管状ラック118の先端側領域がハンドルアセンブリ104の先端部152の先端側に延びるようにハンドルアセンブリ104を貫挿する。ハンドルアセンブリ104のハウジング132は基端側開口部154及び先端側開口部156を含み、これらは管状ラック118及び外側シースが開口部を通過し、これによりハウジング132を通じて妨害されることなく軸方向に移動するために十分な間隙となる。
【0042】
図6は完全に組み立てられた状態にあるハンドルアセンブリ104を示す断面図(ハウジング132の側部近傍の位置における)である。図6に示すように連結部134のリブ部138は管状ラック118のスロット124を通じて径方向に延びる。スロット124は管状ラック118が連結部134に対して後退され、リブ部138がスロット124を通過して延びるように構成される(即ち、そのような寸法及び形状に形成される)。スロット124の幅は例えばリブ部138の幅より大きい(例、約0.005インチ乃至約0.010インチ(約0.0127cm乃至約0.0254cm))。
【0043】
図5,6はスロット124が管状ラック118の基端部から管状ラック118の先端部の基端側の部分に延びることを示す。従って管状ラック118は連結部134のリブ部138がスロット124の先端部に隣接する(即ち、管状ラック118の表面がスロットの先端部を形成する)まで基端側に後退される。スロット124の構成により、外側管状アセンブリ106が完全に後退された場合に管状ラック118の先端部はハンドルアセンブリ104の先端部12の基端側に位置され、外側シース120の部分はハンドルアセンブリ104のハウジング132内に後退される。システム100の構成により管状ラック118はハンドルアセンブリ104の基端部128を越えて基端側に延びるため、ハンドルアセンブリ104の長さは、所定の処置(即ち所定の長さのステントを配置する)を施すべく管状ラック118が後退される必要のある距離によって決定する必要はない。従って、ハンドルアセンブリ104は従来技術によるステント搬送システム(即ち長尺状のステントを搬送すべく構成されたステント搬送システム)の所定のハンドルアセンブリに対して短縮されてもよい。付加的に外側シース120の部分はハンドルアセンブリ104のハウジング132内に後退されるため、システム100の全長は所定の従来技術によるステント搬送システム(即ち、長尺状のステントを搬送すべく構成されたステント搬送システム)に対して短縮されてもよい。
【0044】
外側シース120は回動自在なノブ140及びプルグリップ126のいずれかを使用して後退されてもよい。回動自在なノブ140を使用して外側シース120を後退させるために、図5に示すように使用者は回動自在なノブ140を時計方向に回動する。ギヤ144の回動により、ギヤ144の歯146は管状ラック118の歯122と係合し、これにより管状ラック118を基端側に移動させる。管状ラック118は外側シース120に固定されるため、管状ラック118を基端側に移動させると、外側シース120も後退される。プルグリップ126を使用して外側シース120を後退させるために、使用者はプルグリップ126を把持し、プルグリップ126を基端側の方向に張引する。
【0045】
図7A乃至7Dはシステム100を使用してステント112を患者の血管158内に移植する方法を示す。図7Aはガイドワイヤ160が内側管状部材108のガイドワイヤルーメン130内に位置されるようにガイドワイヤ160が最初に血管158内に挿入され、カテーテルアセンブリ102がガイドワイヤ160を伝って移動することを示す。ガイドワイヤ160は内側管状部材108の基端部を退出し、ハンドルアセンブリ104の基端側にて管状ラック118のスロット124を通じて径方向に延びる。カテーテルアセンブリ102の先端側部分はカテーテルアセンブリ102をガイドワイヤ160を伝って移動させることにより血管158を通じて血管158の閉塞領域162に案内される。
【0046】
図7Bに示すようにカテーテルアセンブリ102の先端側部分はカテーテルアセンブリ102のステント搬送部が閉塞領域162内に位置されるまで血管158を通じて案内される。蛍光透視法やその他の任意の撮像技術により使用者によるカテーテルアセンブリ102のステント搬送部の閉塞領域162内への配置が補助される。
【0047】
図7Cはカテーテルアセンブリ102のステント搬送部を閉塞領域162内に位置させた後に、回動自在なノブ140を時計方向に回動することにより管状ラック118及び外側シース120が内側管状部材108に対して最初の距離だけ後退されることを示す。上記外側シース120の最初の後退により、ステント112の先端側部分は閉塞領域162内において自己拡張し、体管158の壁部に接触する。管状ラック118が後退されると、管状ラック118の基端部はハンドルアセンブリ104の基端部128から離間して基端側に移動する。使用者に暴露されるガイドワイヤ160の量は、ガイドワイヤ160が管状ラック118のスロット124を通じて径方向に延びるため管状ラック118が後退されても大きく変わるものではない。従って医師がガイドワイヤ160を把持する能力は管状ラック118を後退させることによって変化するものではない。従って、管状ラック118がハンドルアセンブリ104の基端側に後退されることによりシステム100の全長が大きくなっても、より長尺状のガイドワイヤを使用する必要はない。
【0048】
図7Dは連結部134のリブ部138がスロット124の先端部に接触するまで使用者がプルグリップ126を基端側に張引することを示し、管状ラック118及び外側シース120の更なる後退が防止される。この完全に後退した位置において、管状ラック118の全長はハンドルアセンブリ104の先端部152の基端側に位置され、外側シース120の基端側部分はハンドルアセンブリ104のハウジング132によって形成される空隙内に位置される。プルグリップ126により通常使用者は回動自在なノブ140と比較して外側シース120をより迅速に後退させることができる。付加的にプルグリップ126により歯122を含む管状ラック118の部分が回動自在なノブ140を越えて基端側に後退されて回動自在なノブ140によって外側シース120を後退させることができなくなった場合においても使用者は外側シース120を後退させることができる。外側シース120がステント112の基端部を通過して後退されると、ステント112の全長部分はより大きな径に自己拡張し、血管壁部と接触する。管状ラック118が完全に後退された場合においても、ガイドワイヤ160はハンドルアセンブリ104の基端部128の僅かに基端側にて管状ラック118のスロット124を通じて径方向に延びるため、ガイドワイヤ160は使用者に対して暴露された状態を保持する。この特性は長尺状のステントを搬送及び配置するために使用されるシステム、即ちラックが完全に後退した場合にシステムの全長が公知のガイドワイヤの長さ(例えば260cmのガイドワイヤ)を超えるようなシステムにおいて特に好適である。
【0049】
ステント112を配置した後に、システム100及びガイドワイヤ160は血管158内に移植されたステント112を残して血管158から退出する。
上述した方法は様々なタイプの血管において実施可能である。実施例において、上述した方法は長尺状のステントの使用を要する血管の部位を処置することに使用される(例、約80ミリメートル以上、約100ミリメートル以上、約150ミリメートル以上、約200ミリメートル以上、約80ミリメートル乃至約250ミリメートルの長さを有するステント)。例えばシステム100は浅大腿動脈(SFAs)、胆管、及び/又は上腕血管の部位を処置することに使用可能である。上述したように、管状ラック118をハンドルアセンブリ104を越えて基端側に後退させ、外側シース120を部分的にハンドルアセンブリ104内に後退させる性能により、実施例においてハンドルアセンブリ104の長さ、システム100の全長は類似の部位を処置するように構成される公知のシステムに対して低減させることができる。この低減した長さにより、特に長尺状ステントを搬送するために使用されるシステムにおいて使用者の使用感を向上させることができる。付加的にガイドワイヤ160はハンドルアセンブリ104の僅かに基端側にて管状ラック118のスロット124を通過して延びるため、ガイドワイヤ160の大部分は使用時において使用者に対して暴露され利用可能である。従って実施例において長尺状ステントの搬送は、より長尺状のガイドワイヤを使用することなく実施可能である。多くの例において、例えば公知の260センチメートルのガイドワイヤはシステム100と組み合わせて、比較的遠隔の血管(例、患者の下肢の血管)内に長尺状ステントを搬送及び配置することに使用可能である。
【0050】
特定の実施例について述べてきたが、他の実施例も可能である。
例として、管状ラック118の基端部から管状ラック118の先端部の基端側の部分に延びるスロット124を上述したが、その他の構造体も可能である。実施例において例えばスロット124は管状ラック118の全長、即ち管状ラック118の基端部から管状ラック118の先端部まで延びる。実施例において外側シース120の基端部は、連結部134のリブ部138に接触すると管状ラック118及び外側シースが更に後退することを防止する。これに代えて、或いは付加的にスロット124は管状ラック118を越えて先端側に外側シース120内に延びてもよい。このような構造体により外側シース120はより大きな距離を後退可能である。このような構造体により、例えば外側シース120の大部分はハンドルアセンブリ104のハウジング132内に後退可能である。従って長さを伸長したステントは管状ラック118の長さを略伸長することなく配置可能である。
【0051】
別例においてハンドルアセンブリ104の全長を通じて延びる管状ラック118を上述したが、実施例において、後退に先立って管状ラック118はハンドルアセンブリ104の先端側部分内にのみ延びる。このような実施例において例えば管状ラック118にはハンドルアセンブリ104内を摺動し、管状ラックが後退された場合に(例えば回動自在なノブ140を回動することにより)ハンドルアセンブリ104の基端部128を退出するプルグリップが設けられる。実施例においてハンドルアセンブリ104のハウジング132は、管状ラック118が後退された場合に径方向に延びるプルグリップが通過して延びる長尺状スロットを形成する。
【0052】
これに代えて管状ラック118はプルグリップを含まずに、管状ラック118の全長をハンドルアセンブリ104のハウジング132によって形成される空隙を通過させてもよい。これらの構造体により管状ラック118が完全に後退された場合にシステムの全長を短縮することができる。
【0053】
更なる実施例において、ハンドルアセンブリ104の基端部128に延びる内側管状部材108を上述したが、内側管状部材108はハンドルアセンブリ104の全長にわたって延びる必要はない。実施例において例えば内側管状部材108の基端部は連結部134に取り付けられる。このような実施例において連結部134はハンドルアセンブリ104の基端部128に延び、これによりガイドワイヤが妨害されることなくハンドルアセンブリ104の全長部分を(例、内側管状部材108のガイドワイヤルーメン130を通過し、連結部134の管状部136を通過して)確実に通過することができる。連結部134のルーメンは例えばガイドワイヤルーメン130の延伸部として機能し、ガイドワイヤをハンドルアセンブリ104のハウジング132の基端側開口部154に案内する。
【0054】
付加的な実施例において、連結部134は内側管状部材108を受承する管状部136及びハンドルアセンブリ104のハウジング132に固定されるリブ部138を含むものとして上述したが、これに代えて、或いは付加的にその他の構造体を有する連結部も可能である。実施例において例えば管状部を含むことよりむしろ連結部は内側管状部材108に固定されるC字状チャネル部材及びリブ部138を含む。これに代えて、或いは付加的にリブ部138は内側管状部材108に直接取り付けられ(例、接着剤、熱的結合、溶接等)、内側管状部材108をハウジング132に固定する。
【0055】
別例において、係止部(例、クリップ)が管状ラック118及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方に設けられる。係止部は管状ラック118及び外側シース120が所定の距離だけ後退された場合に例えば連結部134と接触する。従って係止部は管状ラック118及び外側シース120が所定の距離を超えて後退することを防止することができる。実施例において係止部は任意の数の部分にて管状ラック118及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方に固定可能である。本実施例において管状ラック118及び外側シース120が後退する最大距離は係止部を管状ラック118及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方の位置を変更することにより調整可能である。係止部は例えば隣接する歯122間において管状ラック118を挾持するC字状クリップであってもよい。これに代えて、或いは付加的に係止部は管状ラック118及び外側シース120のうち少なくともいずれか一方を包囲し、いずれか一方に取り付けられる環状リングであってもよい。
【0056】
付加的な実施例において、管状ラック118は管状ラック118の基端部まで延びる歯を設けた部分を含むが、実施例において、管状ラックの基端側領域(例、最初の構成における回動自在なノブの基端側の管状ラックの領域)は歯を含まない。管状ラックの基端側領域に歯を備えないことは、管状ラックの基端側領域が後退時において回動自在なノブ140を含むハンドルアセンブリ104の領域を通過して延びるものではないため、管状ラックを後退させる回動自在なノブ140の機能に影響を付与するものではない。実施例において管状ラックの基端側領域に歯を設けないことにより管状ラックはハンドルアセンブリ104の基端側開口部154を容易に通過することができる。
【0057】
更なる実施例において、ハンドルアセンブリ104は1つの回動自在なノブ140を備えるものとして上述したが、これに代えてハンドルアセンブリは多数の回動自在なノブを備えてもよい。実施例において例えば回動自在なノブ140に加えてハンドルアセンブリ104はハンドルアセンブリ104の基端部128近傍に設けられる基端側の回動自在なノブを備えてもよい。実施例において基端側の回動自在なノブは、歯122を備える管状ラック118の部分が回動自在なノブ140を越えて基端側に後退された後に管状ラック118を後退させるために使用可能である。この構成は使用者にとって後退させる工程にわたって機械的に好適である。図8に示すように、これに代えて、或いは付加的に回動自在なノブ140はプーリーシステム242を介してより基端側のギヤ240に操作自在に連結されてもよい。基端側ギヤの歯242は管状ラック118の歯122と係合する。回動自在なノブ140が回動されると、プーリーシステム242は基端側ギヤ242も回動させる。従って回動自在なノブ140のギヤ144及び基端側ギヤ240の両者は回動自在なノブ140が回動されると管状ラック118を後退させる。この構成により歯122を含む管状ラック118の部分が回動自在なノブ140を越えて基端側に後退された後に回動自在なノブ140を回動して所定の時間にわたって管状ラック118を連続して確実に後退させることができる。
【0058】
上述した回動自在なノブの構成に代えて、或いは構成に付加的に、回動自在なノブ140はハンドルアセンブリ104の基端部128のより近傍に位置されてもよい。この構成により後退時に回動自在なノブ140に係合する管状ラック118の長さを伸ばすことができる。
【0059】
更なる実施例においてステント搬送方法は回動自在なノブ140を回動することにより管状ラック118及び外側シース120を後退させる工程、及び続いてプルグリップ126を基端側に張引する工程を含むと上述したがその他の技術も使用可能である。実施例において例えば管状ラック118及び外側シース120はプルグリップ126を基端側に張引することのみによって後退させてもよい。これに代えて管状ラック118及び外側シース120は回動自在なノブ140を回動させることによってのみ後退させてもよい。実施例において管状ラック118及び外側シース120はプルグリップ126を最初の距離だけ基端側に張引することによって後退され、続いて回動自在なノブ140を回動することによって残りの距離を後退される。
【0060】
図9,10は別例においてカテーテルアセンブリ302及びハンドルアセンブリ304を備えるステント搬送システム300を示す。カテーテルアセンブリ302は管状ラック318及び外側シース120を含む外側管状アセンブリ306を備える。内側管状部材108は外側管状アセンブリ306によって形成されるルーメン310を通じて延びる。ステント112は外側管状アセンブリ306及び内側管状部材108の先端部近傍にて外側管状アセンブリ306及び内側管状部材108の間に設けられる。膜350は内側管状部材108及び外側シース120の間に設けられる。膜350の基端部部分はステント112の僅かに基端側の部分にて内側管状部材108の外側表面に取り付けられる。膜350の先端部部分は外側シース120の先端部の周囲を包囲し、外側シース120の先端側部分の外側表面に取り付けられる。従って図10に示すように外側シース120が完全に先端側位置にある場合に膜350は外側シース120及びステント112の間に位置される。
【0061】
図9乃至11は取付具355が管状ラック318の先端側領域から径方向に延びることを示す。取付具355は外側管状アセンブリ306のルーメン310と連通するポート360を形成する。シール(例、Oリング)が取付具355の基端側のルーメン310内に設けられる。シールにより取付具355を通じてルーメン310内に案内された流体は膜350に向かう先端側方向に強制的に配向され、流体が管状ラック118から基端側に流れることを防止することが補助される。ハンドルアセンブリ304は取付具355を受承するスロット365を形成するハウジング332を備える。スロット365はハンドルアセンブリ304の基端部の僅かに先端側にて終端する。管状ラック318のスロット324及びハウジング332のスロット365の組み合わせにより管状ラック318の先端部部分は基端側にハウジング332内に後退され、管状ラック318の基端部部分はハンドルアセンブリ304の基端部を越えて基端側に後退される。
【0062】
システム300はシステム100と同様に使用される。例えば使用時においてシステム300はカテーテルアセンブリ302のステント搬送部が血管の所望の領域内に位置されるまで血管を通じて案内される。カテーテルアセンブリ302のステント搬送部を血管の所望の領域内に位置させた後に、流体は外側管状アセンブリ306のルーメン310を通じて膜350に移動する。流体をルーメン310内に案内するために、加圧流体機構から延びるホースが取付具355に取り付けられ加圧流体機構が駆動される。続いて管状ラック318及び外側シース120は後退される。管状ラック318及び外側シース120が短い距離だけ後退されると、膜350の加圧された二層の部分はステント112を包囲する。管状ラック318及び外側シース120は膜350がステント112の基端部の基端側の位置に移動するまで更に後退され、これによりステント112は完全に血管内にて拡張する。管状ラック318のスロット324により管状ラック318はシステム100に関して上述したものと同様の方法によりハンドルアセンブリ304を通過する。管状ラック118が後退すると、管状ラック318から径方向に延びる取付具355はハンドルアセンブリ304のハウジング332のスロット365を通過して移動する。管状ラック318のスロット324及びハンドルアセンブリ304のハウジング332のスロット365の組み合わせによりステント112を完全に配置するために十分な距離だけ管状ラック318をハンドルアセンブリ304内に後退させることができる。管状ラック118は例えばスロット324の先端部が内側管状部材108をハンドルアセンブリ304のハウジング332に固定する部材と接触するまで、且つ/又は取付具355がハウジング332のスロット365の基端部に接触するまで後退可能である。
【0063】
内側管状部材108及び外側シース120の間に膜350を備える構成により、管状ラック318及び外側シース120はステント112が完全に配置されるに先立って通常上記システム100等の膜を備えないシステムと比較して、更に全長にわたる距離だけ基端側に後退される必要がある。従って管状ラック318のスロット324及びハンドルアセンブリ304のハウジング322のスロット365は、これらにより管状ラック318の基端部をハンドルアセンブリ304の基端部の基端側の部分に後退させることができ、且つ外側シース120をハンドルアセンブリ304内に後退させることができるためシステム300に対して特に好適である。この構成によりシステムの全長を低減させることができる。
【0064】
流体を外側管状アセンブリ306のルーメン310内に注入する導管として使用されることに付加的に、取付具355はプルグリップとして使用可能である。所望に応じて例えば使用者は取付具355を基端側に張引して管状ラック318及び外側シース120を後退させることができる。従って取付具355はプルグリップ126に代えて、或いは付加的に使用可能である。実施例においてシステムの管状ラック318の基端部には取付具355のみが設けられ、プルグリップは設けられない。
【0065】
付加的な例としてシステム100及び300は自己拡張型ステントの搬送及び配置に使用可能であることを上述したが、実施例においてシステムはバルーンにより膨張可能なステント、ステントグラフト、及びフィルタ(例、動脈フィルタ及び静脈フィルタ)等のその他のタイプの移植可能な医療用人工器官の搬送及び配置に使用可能である。
【0066】
別例としてシステム100及び300は様々な異なるタイプの血管に使用可能であることを上述したが、システムはこれに代えて、或いは付加的にその他のタイプの体管にも使用可能である。
【0067】
他の実施例が、特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルアセンブリのハウジングに固定される連結部と、
連結部に固定される内側部材と、
内側部材を少なくとも部分的に包囲する外側部材とを備え、外側部材はスロットを形成し、連結部の一部がスロット内に位置されることと、移植可能な医療用人工器官が外側部材と内側部材との間に設けられることとを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記外側部材は内側部材に対して後退可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スロットの先端部は連結部に接触すると、外側部材が内側部材に対して更に後退することを防止することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記外側部材に固定される係止部を更に備え、同係止部は外側部材及び内側部材の移動が制限されるように連結部に接触することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側部材は基端部及び先端部からなり、同基端部は径方向に延びる複数の歯を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハンドルは回動自在なノブを備え、同回動自在なノブは外側部材が回動自在なノブを回動することにより後退するように外側部材の第1の部分の径方向に延びる歯と係合することを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スロットは基端側部分の基端部から基端側部分の先端部の基端側の部分まで延びることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記スロットは基端側部分の基端部から基端側部分の先端部まで延びることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記スロットは管状部材の先端側部分内に延びることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記外側部材の基端側部分は管状ラックからなり、外側部材の先端側部分はシースからなり、該管状ラックはシースに固定されることを請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
移植可能な医療用人工器官がシース及び内側部材の間に位置されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記シースの少なくとも一部がハンドルアセンブリ内に後退されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記外側部材はハンドルアセンブリを通過して延び、プルグリップがハンドルアセンブリの基端側にて外側部材に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記連結部は内側部材を少なくとも部分的に包囲する管状部からなることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記連結部は管状部をハンドルアセンブリに取り付けるリブ部を更に備え、スロットは連結部のリブ部がスロットを通じて径方向に延びるように構成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スロットはガイドワイヤがスロットを通じて径方向に移動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
使用時に前記ガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の部分にてスロットを通じて径方向に移動することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記外側部材と内側部材との間に設けられる移植可能な医療用人工器官を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記移植可能な医療用人工器官は自己拡張型ステントからなることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは内側部材に取り付けられる第1の部分と、外側部材に取り付けられる第2の部分とを有する膜を備え、同膜は外側部材と内側部材との間に設けられる移植可能な医療用人工器官を少なくとも部分的に包囲することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記ハンドルアセンブリのハウジングは外側部材から径方向に延びる部材を受承するスロットを形成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記部材は内側部材と外側部材との間に形成されるルーメンと連通するポートを形成することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
ハンドルアセンブリのハウジングに固定される連結部と、
シースに固定されるラックとを備え、移植可能な医療用人工器官がシース内に設けられることと、ラックは長尺状スロットを形成し、連結部の一部が長尺状スロット内に位置され、これによりラック及びシースがハンドル及び連結部に対して長手方向に移動可能であることとを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記ラック及びシースはラックの先端部がハンドルアセンブリの先端部の基端側に位置されるまで長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ラック及びシースはシースの一部がハンドルアセンブリ内に延びるまで長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記長尺状スロットはガイドワイヤが長尺状スロットを通じて径方向に移動するように構成されることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
使用時に前記ガイドワイヤはハンドルアセンブリの基端側の部分にて長尺状スロットを通じて径方向に移動することを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記ハンドルアセンブリのハウジングはラックから径方向に延びる部材を受承するスロットを形成することを特徴とする請求項23に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−517631(P2010−517631A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548434(P2009−548434)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052555
【国際公開番号】WO2008/097788
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】