説明

医療用カフ

配置縫合、接着又は摩擦的取り付けできる医療用カフ(5)。本カフがチタンやチタン合金のような医学的承認金属の柔軟な透かし構造からなり、編むか、織るか、鎖かたびら構造を持つか薄い柔軟な穴あき板でも良い。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用カフ、即ち体内に取り付けに必要な部品を取り囲むカフに関する。カフのあるものは配置縫合し、他のものは他部品周りに単に位置付けする。
【背景技術】
【0002】
現在カフは通常布、通常高密度で柔軟な非常に密に織ったダクロン(商標)でできている。又ダクロンはカフを縫合する場合容易に縫い針を通す。
しかし布カフは表面積が非常に大で、その結果細菌が身体防御から逃げてしまう場所を多数提供する。これにより感染の危険が大いに増加し、何かの感染が起こり治療が非常に困難になる。布カフの更なる欠陥は体がこの布を“異物”と見なし、その結果カフが感染すると、抗生物質による殺菌や身体防御のための糸表面での貪食が殆ど不可能となる。
従って布カフが感染すると、通常カフの交換が、しばしばカフと、カフにより設置保持した部品の交換を必要とする。これにより既に重症患者に追加外科手術が伴うことになり、明らかに好ましくない。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は上記欠陥を克服する医療用カフを提供することである。
本発明によりカフが柔軟な透かし構造の医学的承認金属からできた医療用カフが提供される。
ここで用いた“医学的承認”という用語は体に毒性がなく、好ましくは体に不活性、即ち体に埋め込んだ時に“異物”反応を引き起こさない金属を意味する。本発明のカフは適切にはチタンや医学的承認のチタン合金(例えばニッケル/チタン ニチノール(商標)合金)から作られることが考えられるが、他の医学的承認金属を使用することも可能である。
柔軟な透かし構造は多数の穴を持つ薄い平板片からなり、多数の開口を持つ柔軟な構造が得られる。開口端は鋭利で無いことが重要で、その結果縫合が切れない。開口のレーザー切断を用いて容認できる滑らかな端を持つ開口が得られる。
代わりに柔軟な透かし構造は、例えば編み型プロセスや織りプロセスを用いるか、鎖かたびら(即ち一連の別々に繋いだ輪のワイヤー)を製造するか、又は“スチールウール”型構造を用いて、ワイヤーから作る。
完成透かし構造は永久屈曲することなく曲げられる必要があり、且つ(縫ったカフの場合)縫い針が挿入できる多数の開口を提供する必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1及び2に関しては広く用いられたデザインの置換心臓弁2は弁フラップ4を支えるチタン縁3からなる。心臓弁自身は既知デザインの“僧帽弁位メドトロニックホール”機械弁であり、詳細には説明しない。
縁3により編みチタンワイヤーでできたカフ5を支える。カフ5は置換するダクロンカフと同じ基本形状である。内側輪6は縁3周りにしっかりと合わさりカフ5を弁2上に保持し、外側輪7は内側輪6と一体化して形成され内側輪6より大きな直径を持つ。
カフ5はその編み構造のため柔軟で、縫い針が挿入できる非常に多数の開口を与え、カフを体に縫合する。従って本カフにより弁に確実で柔軟な着座が得られる。本カフは置換するダクロンと同じぐらい容易に配置縫合でき、細菌感染は遙かに起こりにくく、感染しても手術に頼ることなく抗生物質で効果的に殺菌できる。
更なる利点はチタンやチタン合金は体に不活性と見なされるだけでなく、良好な組織成長を促進する事である。従って挿入弁周りで体が治癒すると、組織がカフ上やその中へ容易に成長し、並体弁もれの発生を減少する。更に本発明のカフは優れた内皮形成をもたらし、血栓塞栓率を減少しパンヌス形成を減ずる。
図3に関しては本発明によるカフ10をライン11と一緒に用いたものを示す。ライン11は例えば胸腔ライン、静脈ライン又は腹腔ラインでも良い。ライン11を既知の方法で皮膚12から挿入し、カフ10をその皮膚直下に配置し、ライン外面を取り巻き、ライン11が入れる開口からの体内への侵入感染を防止し、ライン外面下へ進む。
カフ10は編みチタンワイヤーで形成した円筒からなる。本円筒の内径は円筒がライン11に圧入できるようにする。カフ10はライン外側と摩擦接触によるか又は接着剤により配置固定する。
本発明により形成のカフは現在布カフが用いられている広範囲な応用のいずれかで使用でき、上に詳細に説明した特定な応用には限られないことが分かる。例えば本発明によるカフは腹膜透析カテーテルと一緒にバリヤーカフと用いても良く、摩擦接触により保持する。更に本発明のカフを用いて弁輪形成バンドかリング(バンドは不完全なリング)を形成し、配置縫合し且つ輪を締め付けるか又は弁修理後の輪を支えるのに用いる。
上記カフ5と10は図4aに示した形の編み構造からできているよりは、むしろ織りワイヤー構造(図4b)又は鎖かたびら、即ち図4cに示すような一連の繋ぎ輪のワイヤー、或いは図4dに示すようにふそろいな“スチールウール”型構造からなっても良い。更に可能なものでは図4eに示すように穴あき板のカフを作ることである。これは多数のあき穴を持つ薄い平板片であり、あき穴の全ては円い縁を有し、いかなる縫合糸も切断しない。この板は生成穴あき板の柔軟性が十分なように薄い必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施例だけで本発明の好ましい実施形態を以下の付随図面について詳細に説明する。
【図1】本発明による縫い込みカフと合致した置換心臓弁の上面と下面それぞれの斜視図を示す。
【図2】本発明による縫い込みカフと合致した置換心臓弁の上面と下面それぞれの斜視図を示す。
【図3】ライン接続に用いた本発明によるカフの概略側面図を示す。
【図4a】編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら、スチールウール及び穴あき平板のそれぞれの断面を示す。
【図4b】編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら、スチールウール及び穴あき平板のそれぞれの断面を示す。
【図4c】編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら、スチールウール及び穴あき平板のそれぞれの断面を示す。
【図4d】編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら、スチールウール及び穴あき平板のそれぞれの断面を示す。
【図4e】編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら、スチールウール及び穴あき平板のそれぞれの断面を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用カフで、本カフが柔軟な透かし構造の医学的承認金属からなるカフ。
【請求項2】
カフが以下の一つを提供するように形成され、それが心臓弁用カフ、ライン用カフ、腹膜透析カテーテル用バリヤーカフ、弁輪形成バンド、弁輪形成リングである請求項1に記載のカフ。
【請求項3】
機械心臓弁用カフで、本カフが柔軟な透かし構造の医学的承認ワイヤーからなり、且つ心臓弁外周に合う大きさでその内側環状縁より大なる直径の外側輪と一体化した内側輪を提供するカフ。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載のカフで、柔軟な透かし構造を以下のものから一つ選び、それらが編みワイヤー、織りワイヤー、鎖かたびら構造に加工したワイヤー、ふぞろいな“スチールウール”構造に形成したワイヤー、穴あき金属板からなるカフ。
【請求項5】
金属をチタン、医学的承認のチタン合金から選んだ前記請求項のいずれかに記載のカフ。





【図3】
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【公表番号】特表2007−521061(P2007−521061A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517007(P2006−517007)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/NZ2004/000130
【国際公開番号】WO2005/000167
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505469584)
【Fターム(参考)】