説明

医療用ポンプシステム

【課題】医療用ポンプを用いて薬剤を投与する医療用ポンプと専用架台のみで患者とシリンジポンプ等の医療用ポンプと一対一の対応を行い、患者間違いによる薬剤誤投与防止を図る医療用ポンプシステムの提供。
【解決手段】患者への薬剤投与手段、投与設定等の各種設定を行なう設定手段、表示手段、外部通信手段、患者固有情報を含む患者データを記憶し、患者と一対一対応を行なう記憶手段とを有する医療用ポンプ、複数の医療用ポンプ間の相互通信を可能にする通信デバイスからなる医療用ポンプシステムで、医療用ポンプは通信デバイスとの接続検知手段、外部通信手段による通信により他の医療用ポンプに記憶された患者データを取得し、記憶手段に記憶されている患者データと照合及び整合性を取り得る制御手段とを有することにより、同一の通信デバイスを介し接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者と複数台のシリンジポンプ、輸液ポンプ等の医療用ポンプとの紐付けに関するシステムおよび方法に係わり、複数台の医療用ポンプを設置可能な医療用ポンプ用架台を介して、医療用ポンプに登録される患者固有情報の整合性を取るシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者とシリンジポンプおよび輸液ポンプ等の医療用ポンプとの紐付けを行い、患者間違いによる薬剤誤投与防止を図るシステムとしては、例えば、ALARIS社、B.BRAUN社、Fresenius社等が提案している。
【0003】
しかしながら、ALARIS社による米国特許第5,781,442号公報(特許文献1)に開示されているシステムは、薬局コンピュータ、ナースステーションコンピュータ、およびベッドサイドコンピュータから成り、このベッドサイドコンピュータが医療用ポンプに接続され得る。各コンピュータはネットワークを介して接続されており、ベッドサイドコンピュータにて入力されるデータを薬局コンピュータにより比較照合を実施し、合致する場合にのみ医療用ポンプ作動パラメータをベッドサイドコンピュータにダウンロードする。次にベッドサイドコンピュータが作動パラメータに従って、医療用ポンプをプログラムすることにより患者間違いによる薬剤誤投与防止を図っている。このシステムは、幾つかのコンピュータを必要とし、各ベッドサイドに1台のコンピュータが必要である。また、B.BRAUN社およびFresenius社により提案されているポンプシステムはいずれも医療用ポンプと医療用ポンプ用の専用架台およびコントロールユニットからなり、コントロールユニットに患者情報を登録することで、このシステムと患者との一対一対応(紐付け)を実現しているが、これらシステムはいずれも情報管理するためのコントロールユニットが必要である。これらのシステムはいずれも高価であり、また、その特殊性から広く世間に普及するまでには到っておらず、患者間違いおよび薬剤間違い等の不注意による事故防止に対して貢献しているとは言えない。
【特許文献1】米国特許第5,781,442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、患者へ医療用ポンプを用いて薬剤を投与する上で最低限必要な要素である医療用ポンプと専用架台のみで、患者とシリンジポンプおよび輸液ポンプ等の医療用ポンプとの一対一の対応(紐付け)を行い、患者間違いによる薬剤誤投与防止を図る医療用ポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の医療用ポンプシステムは、患者に薬剤の投与を行なう投与手段と、投与設定等の各種設定を行なう設定手段と、設定情報および状態情報等の表示を行なう表示手段と、外部機器と通信を行なう外部通信手段と、患者固有情報を含む患者データを記憶し、患者との一対一対応(紐付け)を行なう記憶手段と、を有する医療用ポンプと、複数の医療用ポンプ間の相互通信を可能にする通信手段を有する通信デバイスからなる医療用ポンプシステムであって、医療用ポンプは、通信デバイスとの接続を検知する検知手段と、外部通信手段による通信デバイスを介した通信により他の医療用ポンプに記憶されている患者データを取得し、記憶手段に記憶されている患者データと照合および整合性を取り得る制御手段とを有することによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする。また、患者に薬剤の投与を行なう投与手段と、投与設定等の各種設定を行なう設定手段と、設定情報および状態情報等の表示を行なう表示手段と、外部機器と通信を行なう外部通信手段と、患者固有情報を含む患者データを記憶し、患者との一対一対応(紐付け)を行なう記憶手段と、を有する医療用ポンプと、複数の医療用ポンプ間の相互通信を可能にする通信手段を有する通信デバイスからなる医療用ポンプシステムであって、通信デバイスは、医療用装置との接続状態を検出可能な検出手段を有し、医療用ポンプは、外部通信手段による通信デバイスを介した通信により他の医療用ポンプに記憶されている患者データを取得し、記憶手段に記憶されている患者データと照合を行なう制御手段を有することによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の前記患者データが確実に使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、患者へ医療用ポンプを用いて薬剤を投与する上で最低限必要な要素である医療用ポンプと専用架台のみで、患者とシリンジポンプおよび輸液ポンプ等の医療用ポンプとの一対一の対応(紐付け)を行い、患者間違いによる薬剤誤投与防止を図る医療用ポンプシステムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施例)
以下に本発明の好適な一実施形態について、添付の図面を参照して説明する。尚、便宜上、医療用ポンプとしてシリンジポンプを例として詳細な説明を後述しているが、これに限定されず、他の方式の医療用ポンプである例えば輸液チューブの蠕動運動を行なうように構成されたペリスタリックフィンガ方式の蠕動式輸液ポンプ、回転ローラを備えたローラ式輸液ポンプ等の各種の医療用ポンプにも適宜適用できることは言うまでもない。
【0008】
先ず、図1は、シリンジを用いる医療用ポンプの一例であるシリンジポンプ1を示しており、図(a)は斜め前方から見た外観斜視図、(b)は斜め後方から見た外観斜視図である。図2は、複数台の医療用ポンプを設置可能な医療用ポンプ用架台20の1実施形態を示しており、図(a)は外観斜視図であり、(b)は医療用ポンプを戴置するトレイ部21の構造図である。図3は、シリンジポンプ1と、複数のシリンジポンプ1を設置可能な医療用ポンプ用架台2からなる医療ポンプシステムであり、本発明の好適な一実施形態を示した図である。
【0009】
図1において、シリンジポンプ1は、ICU、CCU、NICUでの、栄養補給や輸血、化学療法剤、麻酔剤などの薬液注入を目的とした微量持続注入ポンプであり、表示手段である表示部10および11を図示のように上面において略集中するように上記の操作部12と併設しており、操作性を良くしている。また、下方の筐体2の底面3には距離Wをその谷部として形成される1組の突起部4、4が一体成形されている。また、突起部4、4の間には第1被係止部5が形成されている。また、筐体2の後壁面上において凹溝形状を有するように第2被係止部6が形成されている。また、シリンジポンプ1の上方の筐体にはシリンジ外筒(本体)のフランジ部をセットするための溝部7と、シリンジの筒部を戴置する戴置部8とが一体成型されている。
【0010】
また、シリンジポンプ1の上面には、シリンジの本体を固定することでシリンジの直径寸法を自動検出するように構成された把持部材9と、シリンジの押子をセットするスライダー13が設けられており、押子が最大の位置に引き出された状態でスライダー13を設置することで、内蔵の不図示の機構によりスライダー13が矢印方向に移動されるように駆動されることで、正確な薬液が不図示の輸液チューブを介して送液されるように構成されている。
【0011】
また、シリンジポンプ1の筐体2の底面には、周知の赤外線を利用した通信ユニットである赤外線通信ユニット14と、金属接点により直流電源を受電する受電ユニット15と、マグネット16が設けられている。尚、赤外線通信ユニット14は、後述の医療用ポンプ用架台における医療用ポンプ設置トレイ部に設けられる通信ユニットに、受電ユニット15は給電ユニットに、マグネット16は検知ユニットに対応する位置に夫々設けられている。
【0012】
また、筐体2の内部に、操作パネル面に密接するように、電磁結合技術を用いた無線通信モジュール(不図示)が設けられていることにより、対応する通信モジュール(不図示)が搭載された携帯型デバイス等との間で無線通信が可能となっている。また、シリンジポンプ1は、無線通信モジュールによる通信、または赤外線通信ユニット14による通信、または操作部12および設定ダイヤル6によって入力された所定の書式に則った患者データを記憶し、シリンジポンプ1と患者との紐付けを行なう記憶部(不図示)が内部に設けられている。
【0013】
さらに、シリンジポンプ1の内部に、照合部(不図示)が設けられていることにより、シリンジポンプ1に記憶されている患者データと、携帯型デバイスを介して無線通信にて取得した投与される薬剤の薬剤データとの照合、および記憶されている患者データと、無線通信モジュールによる通信、赤外線通信ユニット14による通信により取得される患者データとの照合を可能なように設計されている。
【0014】
尚、患者データに含まれる内容には、患者識別コード、医療記録番号、血液型、生年月日、年齢、性別、アレルギー等が挙げられるが、これらに限定されない。また薬剤データに含まれる内容には、薬剤識別コード、容量、希釈剤の量、投与速度、投与開始時刻、投与持続時間、患者識別コード、オーダ番号、日付等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
次に、図2において、医療用ポンプ用架台20は、基部22にシリンジポンプ1を設置可能なトレイ部21を等間隔に6箇所備えている。トレイ部21の戴置面23の幅寸法Wは、図1で示した突起部4、4間の距離Wよりクリアランス分少なく設定されており、シリンジポンプ1の底面3を戴置面23上に載せるときに自動的に戴置位置になることで左右方向の位置決めを行なえるように構成されている。
【0016】
また、上記の第1被係止部(第1の凹上被係止部)5が第1係止部(第1の凸状係止部)24に潜入されるとともに、矢印D2方向に回動自在であり、実線図示の位置に付勢されている第2係止部材25の傾斜爪部25aが筐体2の角部に当接することで矢印D2方向に移動するように回動した後に、付勢力により上記の第2被係止部6に対して係合するようにフックすることでシリンジポンプ1の前後方向の位置決めが行なわれる。また、第2係止部材25は、トレイ部21の側面に設けられた矢印D1方向に回動操作可能な操作レバー26と連動するように設計されていることにより、医療従事者は、操作レバー26を矢印D1方向に回動させることによりシリンジポンプ1をトレイ部21から取り外すことが可能となっている。
【0017】
ここで、第1被係止部5が前方に設けられ第2被係止部6が後方に設けられる場合について述べるが、この位置関係は逆であっても良いことは言うまでもない。また、トレイ部21の戴置面23には、戴置したシリンジポンプ1との赤外線通信が可能な通信ユニット27と、シリンジポンプ1への金属接点による直流電源の給電が可能な給電ユニット29、およびシリンジポンプ1の底面に設けられたマグネット16を周知の磁界によるホール効果を利用した検知ユニット28が、夫々対応する位置に設けられている。また、基部22の内部には、商用電源から入力されたAC電源を、各ユニットに必要な直流電源に変換するAC−DC電源ユニット(不図示)と、各ユニットを制御する制御回路基板(不図示)が設置されている。
【0018】
次に、図3に示す本発明の好適な一実施形態を用いて、医療用ポンプに記憶される患者データの整合管理を行なうシステムおよび方法について詳細に説明する。図3において、少なくとも3個以上好ましくは安定を図るために5個のキャスタ31を有する基台32と、基台32の略中央位置より上方に垂直に立ち上がるように固定されている支柱33からなる移動架台(移動スタンド)30と、前述のシリンジポンプ1と、医療用ポンプ用架台2から成るシステムであって、医療用ポンプ用架台2は、移動架台30の支柱33にクランプ装置(不図示)を介して固定されている。
【0019】
本発明の医療用ポンプシステムは、図2に示す医療用ポンプ用架台20に新たに医療用ポンプ1が設置される場合、予め設置されている医療用ポンプに登録されている患者データの変更がなされる場合に、他の設置されている医療用ポンプに記憶されている患者データとの整合管理を行なうシステムである。先ず、図4を用いて、医療用ポンプ用架台20に新たに医療用ポンプが設置される場合について説明する。尚、医療用ポンプ1としてシリンジポンプを例として説明するが、前記の通りこれに限らないことは言うまでもない。
【0020】
医療用ポンプ用架台20において、第2の患者データが記憶されている第2のシリンジポンプ1が、新たにトレイ部21に設置される場合(ステップS1)、第2のシリンジポンプがトレイ部21に前記した構造により設置されると、トレイ部21の戴置面23に設けられている検知ユニット28が、第2のシリンジポンプ1の底面に設けられているマグネット16を検知し、それをトリガーに給電ユニット29から受電ユニット15に直流電源が供給され、さらに、通信ユニット27がリクエスト信号を出力する。このとき、第2のシリンジポンプ1の底面に設けられている赤外線通信ユニット14は、受信待機状態であり、リクエスト信号を受信すると応答信号を出力することで、第2のシリンジポンプ1と医療用ポンプ用架台2との間で通信が成立する。
【0021】
通信が成立した第2のシリンジポンプ1は、まず、その医療用ポンプ用架台2に既に設置されている少なくとも1台の第1のシリンジポンプ1があるかどうかを医療用ポンプ用架台20を介して確認する(ステップS2)。第1のシリンジポンプ1が無いと確認された場合、第2のシリンジポンプ1の設置は完了する(ステップS9)。第1のシリンジポンプ1があると確認された場合、設置されている第1シリンジポンプ1の内で最上部に設置されている第1のシリンジポンプ1と医療用ポンプ用架台20を介して通信を行ない、第1のシリンジポンプに記憶されている第1の患者データを取得し、照合部(不図示)にて取得した第1の患者データと第2の患者データの照合作業を実行する(ステップS3)。照合した結果、第1の患者データと第2の患者データが一致した場合は、医療用ポンプ用架台20に設置されている全てのシリンジポンプ1に記憶されている患者データの整合性が取れているので、第2のシリンジポンプ1の設置は完了する(ステップS10)。照合した結果、一致しないと判断された場合は、第2のシリンジポンプ1の表示部10に警告表示し、ブザー(不図示)にてアラーム音を鳴らし、医療従事者に確認を喚起させる。また、第2のシリンジポンプ1の操作部12を操作することにより、第2のシリンジポンプ1に記憶されている第2の患者データを第1の患者データに変更するか、第1のシリンジポンプ1に記憶されている第1の患者データを一括して第2の患者データに変更するかを選択可能な状態となる(ステップS5)。ここで、第2のシリンジポンプ1の第2の患者データを第1の患者データに変更することを選択すると、第2のシリンジポンプ1の患者データが第1の患者データに変更され、医療用ポンプ用架台20に設置されている全てのシリンジポンプ1に記憶されている患者データが第1の患者データとなり整合性を取り得る(ステップS7)。また、第1のシリンジポンプ1に記憶されている第1の患者データを一括して第2の患者データに変更することを選択すると、医療用ポンプ用架台20に設置されている少なくとも1台の第1のシリンジポンプ1の患者データが一括して第2の患者データに変更され、医療用ポンプ用架台20に設置されている全てのシリンジポンプ1に記憶されている患者データが第2の患者データとなり整合性を取り得る(ステップS8)。
【0022】
次に、図5を用いて、医療用ポンプ用架台2に少なくとも1台の第1の患者データが記憶されている第1のシリンジポンプ1と、第1の患者データが記憶されている第2のシリンジポンプ1が設置されている場合(ステップS21)において、第2のシリンジポンプ1に記憶されている第1の患者データを異なる第2の患者データに変更する際に、患者データの整合管理を行なう方法について説明する。
【0023】
医療従事者が、第2のシリンジポンプ1において、操作部12および設定ダイアル6における手動操作で第2に患者データを手入力するか、または、患者37の腕に装着されたリストバンド34に貼付されている第2の患者データを含んだバーコード35を携帯型デバイス36で読み取り、シリンジポンプ1に搭載されている無線通信モジュール(不図示)と対応する携帯型デバイス26に搭載された通信モジュール(不図示)との無線通信によって、第2の患者データを転送することで、患者データ入力作業を実施する場合(ステップS22)、第2のシリンジポンプ1は、入力操作をトリガーにして、表示部10に警告を表示し、ブザー(不図示)にてアラーム音を鳴らし、医療従事者に確認を喚起させる。そして医療従事者は、第2のシリンジポンプ1の操作部12を操作することにより、第2のシリンジポンプ1に記憶されようとしている第2の患者データを破棄し、第1の患者データに維持するか、第1のシリンジポンプ1に記憶されている第1の患者データを一括して第2の患者データに変更するかを選択可能となる(ステップS23)。ここで、第2のシリンジポンプ1に記憶されようとしている第2の患者データを破棄し、第1の患者データに維持することを選択した場合、第2のシリンジポンプ1の患者データは変更されず、医療用ポンプ用架台20に設置されている全てのシリンジポンプ1に記憶されている患者データの整合性が確保され得る(ステップ26)。また、第1のシリンジポンプ1に記憶されている第1の患者データを一括して第2の患者データに変更することを選択すると、医療用ポンプ用架台20に設置されている少なくとも1台の第1のシリンジポンプ1の患者データが一括して第2の患者データに変更され、医療用ポンプ用架台20に設置されている全てのシリンジポンプ1に記憶されている患者データが第2の患者データとなり整合性を取り得る(ステップS25)。
【0024】
尚、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれることは言うまでもなく、医療用ポンプと医療用ポンプ用架台2の固定方法は、上記のワンタッチ方式に限られないのは言うまでもなく、ワンタッチ方式でなく従来のポンプ用トレイに採用されているようなネジ固定式とすることも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】シリンジを用いるシリンジポンプを示す図である。
【図2】複数台の医療用ポンプを設置可能な医療用ポンプ用架台の実施例を示す図である。
【図3】シリンジポンプと、複数のシリンジポンプを設置可能な医療用ポンプ用架台からなる医療ポンプシステムを示す図である。
【図4】シリンジポンプを用いた本医療用システムの処理フローを示す図である。
【図5】シリンジポンプを用いた本医療用システムの処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 シリンジポンプ、20 医療用ポンプ用架台、30 移動架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に薬剤の投与を行なう投与手段と、投与設定等の各種設定を行なう設定手段と、設定情報および状態情報等の表示を行なう表示手段と、外部機器と通信を行なう外部通信手段と、患者固有情報を含む患者データを記憶し、前記患者との一対一対応を行なう記憶手段と、を有する医療用ポンプと、複数の前記医療用ポンプ間の相互通信を可能にする通信手段を有する通信デバイスからなる医療用ポンプシステムであって、
前記医療用ポンプは、前記通信デバイスとの接続を検知する検知手段と、前記外部通信手段による前記通信デバイスを介した通信により他の医療用ポンプに記憶されている前記患者データを取得し、前記記憶手段に記憶されている前記患者データと照合および整合性を取り得る制御手段とを有することによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の前記患者データが確実に使用されることを特徴とした医療用ポンプシステム。
【請求項2】
前記医療用ポンプは、少なくとも1台の第1の前記医療用ポンプが接続されている前記通信デバイスに、新たに第2の前記医療用ポンプを追加接続する場合、
該第2の医療用ポンプは、前記検出手段によって該通信デバイスとの接続が検出されることをトリガーにして、該通信デバイスを介した該第1の医療用ポンプと通信が成立し、前記制御手段により、該第1の医療用ポンプに記憶されている第1の患者データを取得し、前記記憶手段に記憶されている第2の患者データとの照合処理を実行し、一致しないと判断された場合に前記表示手段に警告を表示し、該第2の患者データを容易に該第1の患者データに変更するか、該第1の医療用ポンプに記憶されている該第1の患者データを一括して該第2の患者データに変更するかを、選択可能とすることによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする、請求項1記載の医療用ポンプシステム。
【請求項3】
前記医療用ポンプは、少なくとも1台の第1の患者データが記憶されている第1の医療用ポンプと、該第1の患者データが記憶されている第2の医療用ポンプが、前記通信デバイスに接続されている場合、
該第2の医療用ポンプについて該第1の患者データを異なる第2の患者データに変更しようとすると、前記制御手段により、前記表示手段に警告を表示し、該第2の患者データへの変更処理をキャンセルするか、該第1の医療用ポンプに記憶されている該第1の患者データを一括して該第2の患者データに変更するかを、選択可能とすることによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする、請求項1または2記載の医療用ポンプシステム。
【請求項4】
前記通信デバイスは、複数に分岐したケーブルであり、各端部に前記医療用ポンプと接続可能なコネクタを備えたことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項5】
前記医療用ポンプは、無線にて外部と通信を行なう無線通信手段を有し、
前記通信デバイスにおいて、前記通信手段が前記医療用ポンプの前記無線通信手段と無線通信が可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項6】
前記通信デバイスは、複数の前記医療用ポンプを設置可能な設置手段と、前記医療用ポンプが有している前記外部通信手段と通信可能な通信手段を有する架台であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項7】
前記医療用ポンプにおいて、前記検出手段は、物理的スイッチ、ホール素子による磁気スイッチ、光による光スイッチ、であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項8】
前記通信デバイスにおいて、前記通信手段は、断続的に通信リクエスト信号を発信し、
前記医療用ポンプにおいて、前記外部通信手段は常に通信待機状態であり、前記通信リクエスト信号を受信することで、前記通信デバイスとの接続を検出する前記検出手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項9】
患者に薬剤の投与を行なう投与手段と、投与設定等の各種設定を行なう設定手段と、設定情報および状態情報等の表示を行なう表示手段と、外部機器と通信を行なう外部通信手段と、患者固有情報を含む患者データを記憶し、患者との一対一対応を行なう記憶手段と、を有する医療用ポンプと、
複数の前記医療用ポンプ間の相互通信を可能にする通信手段を有する通信デバイスからなる医療用ポンプシステムであって、
前記通信デバイスは、前記医療用装置との接続状態を検出可能な検出手段を有し、
前記医療用ポンプは、前記外部通信手段による前記通信デバイスを介した通信により他の医療用ポンプに記憶されている前記患者データを取得し、前記記憶手段に記憶されている前記患者データと照合を行なう制御手段を有することによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の前記患者データが確実に使用されることを特徴とした医療用ポンプシステム。
【請求項10】
前記医療用ポンプは、少なくとも1台の第1の前記医療用ポンプが接続されている前記通信デバイスに、新たに第2の前記医療用ポンプを追加接続する場合、
該通信デバイスにおける前記検出手段によって、該第2の医療用ポンプの接続が検出されることをトリガーにして、該通信デバイスを介した該第2の医療用ポンプと該第1の医療用ポンプとの通信が成立し、該第2の医療用ポンプにおいて、前記制御手段により、該第1の医療用ポンプに記憶されている第1の患者データを取得し、前記記憶手段に記憶されている第2の患者データとの照合処理を実行し、一致しないと判断された場合に前記表示手段に警告を表示し、該第2の患者データを容易に該第1の患者データに変更するか、該第1の医療用ポンプに記憶されている該第1の患者データを一括して該第2の患者データに変更するかを、選択可能とすることによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする、請求項9記載の医療用ポンプシステム。
【請求項11】
前記医療用ポンプは、少なくとも1台の第1の患者データが記憶されている第1の医療用ポンプと、該第1の患者データが記憶されている第2の医療用ポンプが、前記通信デバイスに接続されている場合、
該第2の医療用ポンプについて該第1の患者データを異なる第2の患者データに変更しようとすると、前記制御手段により、前記表示手段に警告を表示し、該第2の患者データへの変更処理をキャンセルするか、該第1の医療用ポンプに記憶されている該第1の患者データを一括して該第2の患者データに変更するかを、選択可能とすることによって、同一の通信デバイスを介して接続された複数の医療用ポンプにおいて同一の患者データが確実に使用されることを特徴とする、請求項9に記載の医療用ポンプシステム。
【請求項12】
前記通信デバイスは、複数に分岐したケーブルであり、各端部に前記医療用ポンプと接続可能なコネクタを備えたことを特徴とする、請求項9または10のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項13】
前記医療用ポンプは、無線にて外部と通信を行なう無線通信手段を有し、
前記通信デバイスにおいて、前記通信手段が前記医療用ポンプの前記無線通信手段と無線通信が可能であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項14】
前記通信デバイスは、複数の前記医療用ポンプを設置可能な設置手段と、前記医療用ポンプが有している前記外部通信手段と通信可能な通信手段を有する架台であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項15】
前記通信デバイスにおいて、前記検出手段は、物理的スイッチ、ホール効果による磁気スイッチ、光による光スイッチ、であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。
【請求項16】
前記医療用ポンプにおいて、前記外部通信手段は、断続的に通信リクエスト信号を発信し、
前記通信デバイスにおいて、前記通信手段は、常に通信待機状態であり、前記通信リクエスト信号を受信することで、前記医療用ポンプとの接続を検出する前記検出手段を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の医療用ポンプシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−167888(P2008−167888A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2989(P2007−2989)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】