説明

医療用容器への薬剤混注器具

【課題】 生体への直接穿刺、三方活栓のポートへの接続を不能とし、薬剤が直接投与される可能性を極めて低いものとした医療用容器への薬剤混注器具を提供する。
【解決手段】 薬剤混注器具1は、ノズル部22を備える外筒2と、ガスケット5と、充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、ノズル部に装着可能な混注用針3とからなる。ノズル部22は、内筒部23と、外筒部24と、外筒部の外面に設けられた外側リブ25を備え、内筒部の先端部の外径と外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmとなっている。混注用針3は、針本体部31と、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入可能な中筒部38と、内面にノズル部のリブ25と係合する内側リブ37を有する筒状部33と、混注用針3の先端より10〜25mm基端側の位置に設けられた側孔36を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルドシリンジを利用した医療用容器への薬剤混注器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に輸液を投与するのに先立って、医療用容器(具体的には、輸液容器)内に充填された薬液(輸液)に、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質のような様々な薬剤を必要に応じて配合することが行われている。このような薬剤の配合は、バイアル瓶から注射器によって薬液を吸引し、次いで輸液容器に薬液を注入(混注)することによって行われている。しかしながら、このような薬剤の配合は操作が煩雑であり、配合に要する時間、投与に要する時間が長くかかるという欠点がある。そこで、予め薬液が充填されるいわゆるプレフィルドシリンジの採用が提案されている。
このような配合用のプレフィルドシリンジに充填される薬剤としては、希釈されないまま直接血管(静脈)に投与されるべきものでない薬剤があり、このような薬剤は、必ず上述したような医療用容器(輸液容器)内に混注・希釈した後に、投与される。このような薬剤を充填したプレフィルドシリンジを扱う場合、医療従事者は十分に注意を払って使用している。
また、このような薬剤を充填したプレフィルドシリンジには他の薬剤を充填したプレフィルドシリンジとは一見して識別可能とするデザインを施すなど、充填された薬剤が希釈されないまま直接血管に投与されないような工夫が考案されている。
なお、本件出願人は、特に関連する先行技術を発見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
十分に注意を払ったり、注意を払うよう喚起しても、緊急性などの要因もあり、直接血管への注射や血管に繋がる輸液回路の側管・三方活栓等への充填された薬剤が希釈されないままでの誤投与の可能性が全くないわけではない。
そこで、本発明の目的は、生体への直接穿刺による投与、輸液回路の途中に設けられている側管・三方活栓のポートへの接続、さらには、輸液回路の途中に設けられているニードルレス接続部における投与を不能とし、輸液容器に混注されることなく投与される可能性を極めて低いものとした医療用容器への薬剤混注器具を提供する。
また、薬剤混針には、通常針部を保護するプロテクターが装着されている。そして、混注用針は、混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、プロテクターは、プロテクターの内面に設けられ、かつ混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブを備えるものがある。プロテクターを回転させることにより、混注用針の外面リブと内面リブが当接し、これにより、混注用針を外筒のノズル部に装着される。そして、プロテクターの装着時、また、操作中における混注用針に緩みが生じた場合などに、一度取り外したプロテクターの再装着が必要となる場合がある。しかし、プロテクターの内面リブと混注用針の外面リブは、両者の装着時に確認できないため、作業中に当接することが多々あり、装着作業は、かならずしも容易なものではない。
そこで、本発明の第2の目的は、混注用針へのプロテクターの装着を極めて容易に行うことができる医療用容器への薬剤混注器具を提供するものである。
また、上述したように、薬剤混注針には、通常針部を保護するプロテクターが装着されている。そして、混注用針は、混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、プロテクターは、プロテクターの内面に設けられ、かつ混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブを備えるものがある。プロテクターを回転させることにより、混注用針の外面リブと内面リブを当接させ、内面リブに付与される回転トルクを利用して、混注用針は、外筒のノズル部に装着される。
作業中の混注用針の緩みを嫌うあまり、プロテクターを介した過剰トルク付与により、混注用針が外筒のノズル部に過剰締結される場合がある。廃棄時もしくは混注用針交換発生時などにおいて、外筒より混注用針の離脱の必要が生じることがある。しかし、混注用針を把持した回転では、容易に混注用針を離脱させることが困難な場合が多く、プロテクターを再装着が必要となり、また、プロテクターを再装着させても離脱が困難場合もある。
そこで、本発明の第3の目的は、外筒のノズル部に、混注用針が過剰締結されることがない医療用容器への薬剤混注器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するものは以下のものである。
(1) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記ノズル部を封止する封止部材と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子と、前記外筒内に充填された薬剤とからなるプレフィルドシリンジと、前記封止部材離脱後の前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、前記外筒本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の外面に設けられた係合用外側リブを備え、かつ、前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmとなっており、さらに、前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部と、該中筒部を被包するとともに、内面に前記ノズル部の前記係合用外側リブと係合もしくは螺合可能な係合用内側リブを有する筒状部と、前記針本体部の先端部に設けられた穿刺針部と、前記混注用針の先端より10〜25mm基端側に位置し、混注用針内部と外部とを連通する側孔とを備える医療用容器への薬剤混注器具。
【0005】
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(2) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、前記外筒本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の外面に設けられた係合用外側リブを備え、かつ、前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6.0〜10mmとなっており、さらに、前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部と、該中筒部を被包するとともに、内面に前記ノズル部の前記係合用外側リブと係合もしくは螺合可能な内側リブを有する筒状部と、前記針本体部の先端部に設けられた穿刺針部と、前記混注用針の先端より10〜25mm基端側に位置し、混注用針内部と外部とを連通する側孔とを備える医療用容器への薬剤混注器具。
【0006】
(3) 前記係合用外側リブは、螺旋状リブである(1)または(2)に記載の薬剤混注器具。
(4) 前記係合用内側リブは、前記複数の連続しない短いリブである(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(5) 前記ノズル部の前記内筒は、実質的にテーパーを持たない円筒状である(1)ないし(4)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(6) 前記混注用針は、該混注用針の側面に設けられ、前記側孔と連通し前記針本体部の先端部まで延びる溝部を備えている(1)ないし(5)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(7) 前記混注用針は、前記側孔および前記溝部を複数備えている(6)に記載の薬剤混注器具。
(8) 前記混注用針の前記針本体部は、先端側より穿刺端を形成する鋭角のテーパー角を有する第1領域と、該第1領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第2領域と、該第2領域と連続し、第2領域のテーパー角より所定角大きいテーパー角を有する第3領域と、該第3領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第4領域を有するものである(1)ないし(7)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(9) 前記側孔は、前記第3領域もしくは前記第4領域の先端部に設けられている(8)に記載の薬剤混注器具。
【0007】
(10) 前記薬剤混注器具は、前記混注用針に装着されるプロテクターを備え、前記混注用針は、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブと、該プロテクターの外面に設けられ、前記内面リブの非配置部を認識させるための標識部を備えている(1)ないし(9)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【0008】
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(11) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針および該混注用針に装着されるプロテクターとからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、該ノズル部の外面に設けられた係合用リブを備え、
前記混注用針は、前記ノズル部の前記係合用リブと係合もしくは螺合可能な内側リブと、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを備え、
前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブと、該プロテクターの外面に設けられ、前記内面リブの非配置部を認識させるための標識部を備えている医療用容器への薬剤混注器具。
(12) 前記標識部は、向かい合うように2つ設けられている(10)または(11)に記載の薬剤混注器具。
(13) 前記プロテクターは、外面に設けられた軸方向に延びる複数の外面リブを有し、前記標識部は、前記リブ間隔が他のリブ間隔より広く形成されたリブ離間部により構成されている(10)ないし(12)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(14) 前記プロテクターは、外面に設けられた軸方向に延びる外面リブを有し、前記標識部は、該リブにより構成されている(10)ないし(12)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(15) 前記プロテクターは、外面に部分的に形成された他の部分と表面状態の異なる表面領域を有しており、該表面領域により前記標識部が構成されている(10)ないし(12)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(16) 前記表面状態の異なる表面領域は、粗面表面領域となっている(15)に記載の薬剤混注器具。
(17) 前記プロテクターの外面は、粗面表面となっており、前記標識部を構成する表面状態の異なる表面領域が、平滑面となっている(15)に記載の薬剤混注器具。
(18) 前記薬剤混注器具は、前記混注用針に装着されるプロテクターを備え、前記混注用針は、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブを有し、
前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブを乗り越え可能となっている(1)ないし(17)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【0009】
また、上記目的を達成するものは以下のものである。
(19) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針および該混注用針に装着されるプロテクターとからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、該ノズル部の外面に設けられた係合用リブを備え、
前記混注用針は、前記ノズル部の前記係合用リブと係合もしくは螺合可能な内側リブと、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを備え、
前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブの側面と当接可能な複数の内面リブとを備え、
前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブを乗り越え可能となっている医療用容器への薬剤混注器具。
(20) 前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記内面リブの前記外面リブの乗り越え後において、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部より弛緩させる方向に回転トルクを付与した時に、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブと当接し、前記混注用針の前記外筒の前記ノズル部より弛緩する方向への回転を可能としている(18)または(19)に記載の薬剤混注器具。
(21) 前記プロテクターの内面リブは、前記締結方向側が低く、弛緩方向側が高いものとなっている(18)ないし(20)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
(22) 前記混注用針の外面リブは、前記締結方向側が高く、弛緩方向側が低いものとなっている(18)ないし(21)のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【発明の効果】
【0010】
本発明の医療用容器への薬剤混注器具によれば、外筒に注射針を接続することができないので、生体に穿刺することが不可能であり、また、輸液回路の途中に設けられている側管・三方活栓のポートへの接続、さらには、輸液回路の途中に設けられているニードルレス接続部にも接続不能であるため、希釈されないままで、シリンジ内の薬剤が投与されることがなく、充填された薬剤は専用の混注用針を用いて専ら輸液容器内の輸液剤への混注操作に供せられることになるので安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の医療用容器への薬剤混注器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の薬剤混注器具の外観図である。図2は、本発明の薬剤混注器具の混注可能状態の外観図である。図3は、本発明の薬剤混注器具に使用されるプレフィルド用シリンジの外筒の正面図である。図4は、図3の外筒の断面図である。図5は、図3に示す外筒の右側面図である。図6は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注用針の正面図である。図7は、図6の混注用針を所定角度回転させた状態における外観図である。図8は、図6に示す混注用針の右側面図である。図9は、図6に示す混注用針の左側面図である。図10は、図6のA−A線断面図である。図11は、図7のB−B線断面図である。図12は、図7のC−C線断面図である。
【0012】
本発明の医療用容器への薬剤混注器具を図示する実施例の薬剤混注器具を用いて説明する。
薬剤混注器具1は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられ先端が開口したノズル部22を備える外筒2と、ノズル部22を封止する封止部材4と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、外筒2内に充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、封止部材4の離脱後のノズル部22に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器(例えば、輸液容器)のゴムやエラストマーで形成された刺通可能な栓体を有する混注ポート(図示せず)に、穿刺可能な混注用針3とからなる。
【0013】
混注ポートに組み込まれた栓体は、通常直径1〜5cm程度の領域を刺通部として開口させており、その領域の厚みは0.5〜1.5cm程度である。従って、後述する混注用針3における針本体部31は、側孔36a、36b、36cより基端側の長さは0.5cm以上、好ましくは1.5cm以上である。
そして、外筒2のノズル部22は、外筒本体部21の先端面より外方に突出する内筒部23と、内筒部23を被包するように設けられた外筒部24と、外筒部24の外面に設けられた係合用外側リブ25を備え、かつ、内筒部23の先端部の外径と外筒部24の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部24の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmであり、通常規格の医療用雌型接続部が接続不能な形態となっている。
【0014】
混注用針3は、図6ないし図12に示すように、針本体部31と、針本体部31の基端部に設けられ、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部38と、中筒部38を被包するとともに、内面にノズル部22の係合用外側リブ25と係合する係合用内側リブ37a,37bを有する筒状部33と、針本体部31の先端部に設けられた穿刺針部32と、混注用針3の先端より10〜25mm基端側に位置し、混注用針内部42と外部とを連通する側孔36a,36b,36cとを備えている。
混注用針3の針本体部31は、図6ないし図9に示すように、先端側より、穿刺針部32を形成する鋭角のテーパー角を有する第1領域32と、この第1領域32と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第2領域52と、この第2領域52と連続し、第2領域52のテーパー角より所定角大きいテーパー角を有する第3領域53と、この第3領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第4領域54を有することが好ましい。
【0015】
第1領域32のテーパー角(テーパー拡がり角)としては、0°〜90°が好ましく、長さは、2.0〜5.0mmが好ましい。第2の領域52のテーパー角(テーパー拡がり角)としては、0°〜10°が好ましく、長さは、5.0〜20.0mmが好ましい。第3領域53のテーパー角(テーパー拡がり角)としては、20°〜90°が好ましく、長さは、2.0〜5.0mmが好ましく、第3領域53の開始端は、混注用針3の先端より10〜25mm基端側であることが好ましい。また、第4領域54のテーパー角(テーパー拡がり角)としては、0°〜10°が好ましく、長さは、10〜20mmが好ましい。
そして、側孔36は、第3領域もしくは第4領域の先端部に設けられていることが好ましい。
上記のように途中にその前後の部分よりテーパー角が大きい第3領域53を有することにより、輸液回路の途中に設けられている側管ポートやニードルレス接続部への誤穿刺を確実に回避することができる。さらに、第4領域の外径は、3.5〜7.0mmであることが好ましく、特に4.0〜5.0mmであることが好ましい。このようにすることにより、混注ポートへの刺通性を維持したまま誤穿刺防止がより効果的になる。
【0016】
この薬剤混注器具1は、プレフィルドシリンジ10と、混注用針3とからなる。
プレフィルドシリンジ10は、外筒2と、外筒2のノズル部22を封止する封止部材4(具体的には、取り外し可能なキャップ)と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、外筒2内に充填された薬剤8とからなる。
外筒2は、透明もしくは半透明材料により、必要に応じて、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端部に設けられたフランジ26を備える。
外筒本体部21は、ガスケット5を液密かつ摺動可能に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部22は、外筒本体部21より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部21の先端部(肩部)は、ノズル部22に向かってテーパー状に縮径している。
【0017】
フランジ26は、図3、図4および図6に示すように、外筒本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ26は、向かい合う幅広となった2つの把持部を備え、さらに、把持部の先端面側には、複数のリブが形成されている。また、フランジ26の後端面は、周縁および外筒後端部がリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、図3、図4および図13に示すように、外筒本体部21の先端面より外方に突出する内筒部23と、内筒部23を被包するように設けられた外筒部24と、外筒部24の外面に設けられた係合用外側リブ25を備える。
【0018】
そして、ノズル部22は、6%テーパーを備えず、かつ外筒部24と内筒部23間27が狭小に形成されることにより、6%テーパーを有する通常規格の医療用雌型接続部(例えば、注射針ハブ、三方活栓のポート)が接続不能な形態となっている。通常規格の医療用雌型接続部とは、ISO594-1:1986にある「注射筒、注射針や他の医療用具の6%(約3.43°)テーパーとの接合部の合致−パート1:一般的要求事項」を示すものである。
ISO594-1:1986に規定される規格(通常規格)の医療用雌形接続部の端部は、内径が4.270mm〜4.315mm、外径が最大6.73mmである。そして、本発明の薬剤混注器具1では、内筒部の先端部の外径と外筒部の先端部の内径の直径の差および外筒部の先端部の内径が、上述したものとなっているので、上記のISO594-1:1986に規定される規格の医療用雌型接続部の本発明の薬剤混注器具のノズル部22の外筒部24と内筒部23との間27への侵入を防止する。
【0019】
具体的には、内筒部23は、実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。同様に、外筒部24も実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。そして、ノズル部22の内筒部23の外径と外筒部24の内径との差は、0.5〜1.5mmであることが好ましく、さらには0.6〜1.0mmであることが好ましい。このようにすることにより、医療用雌型接続部の外筒部24と内筒部23との間27への侵入を防止する。また、内筒部23の先端は、外筒部24の先端より若干突出していることが好ましい。突出長としては、1.5mm以下であることが好ましい。また、内筒部23の軸方向の長さとしては、6.5〜9.0mm程度が好ましい。
そして、外筒部の外面には、係合用外側リブ25が設けられている。この実施例では、螺旋状リブとなっている。具体的には、2本の螺旋状のものとなっている。
【0020】
また、外筒2のノズル部22は、封止部材によりシールされている。この実施例では、封止部材として、取り外し可能なキャップ4が用いられている。なお、封止部材としては、ノズル部22の内筒部23の先端面を封止する剥離可能なフィルム状のものであってもよい。
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。また、外筒2の形成材料としては、密封性を高めるために、キャップ4より相対的に硬度が高い樹脂を使用することが好ましい。このようにすると、ノズルへのキャップの取り付けの際、螺合操作に伴ってキャップがノズルに密着し、より密封性を高めることができる。
【0021】
ガスケット5は、図1に示すようにほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ(この実施例では2つ、2つ以上であれば、液密性と摺動性を満足できれば適宜数としてもよい)を備え、これらリブが、外筒2の内面に液密に接触する。また、ガスケット5の先端面は、外筒2の先端内面に当接した時に、両者間に極力隙間を形成しないように、外筒2の先端内面形状に対応した形状となっている。
ガスケット5の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
【0022】
そして、ガスケット5には、その後端部より内部に延びる凹部が設けられ、この凹部は、雌ねじ状となっており、押子6の先端部に形成された突出部の外面に形成された雄ねじ部と螺合可能となっている。両者が螺合することにより、押子6は、ガスケット5より離脱しない。なお、押子6は、取り外しておき、使用時に取り付けるようにしてもよい。
押子6は、上述したように、先端部に筒状に突出する突出部を備え、突出部の外面には雄ねじが形成されている。また、押子6は、断面十字状の軸方向に延びる本体部と、後端部に設けられた押圧用の円盤部と、本体部の途中に設けられたリブを備えている。
外筒内に充填される薬剤8としては、ニトログリセリン、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、高濃度塩化ナトリウム注射液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等いかなるものでも良いが、静脈へ急速投与すると重大な健康被害が生じる恐れのある薬剤である場合特に有効である。
【0023】
次に、混注用針3について説明する。
図6は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注用針の正面図である。図7は、図6の混注用針を所定角度回転させた状態における外観図である。図8は、図6に示す混注用針の右側面図である。図9は、図6に示す混注用針の左側面図である。図10は、図6のA−A線断面図である。図11は、図7のB−B線断面図である。図12は、図7のC−C線断面図である。図13は、外筒のノズル部に混注用針を取り付けた状態を説明するための説明図である。
混注用針3は、図2に示すように、外筒2のノズル部22に液密に取付可能なものとなっている。混注用針3は、図6ないし図12および図18に示すように、先端部が閉塞した中空状の針本体部31と、針本体部31の基端部に設けられ、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部38と、中筒部38を被包するとともに、内面にノズル部22の係合用外側リブ25と係合する係合用内側リブ37a,37bを有する筒状部33と、針本体部31の先端部に設けられた穿刺針部32とを備えている。
【0024】
そして、混注用針3は、先端より10〜25mm基端側の位置に設けられ、混注用針内部42と外部とを連通する側孔36a,36b,36cを備える。さらに、混注用針3は、側面に設けられ、側孔36a,36b,36cと連通し針本体部31の先端部まで延びる溝部35a,35b,35cとを備えている。
よって、この混注用針3では、混注用針が少なくとも側孔位置まで穿刺可能な部位(具体的には、医療用容器の混注ポート)でなければ、穿刺しても穿刺針内(言い換えれば、プレフィルドシリンジ内)と連通しないので、薬剤が注入されない。このため、側管ポートやいわゆるニードルレスシステムといわれる、直接静脈内へ急速投与されうる恐れのある注入部位には穿刺できたとして、側管ポート等の内部奥行き部に針先端が突当り、側孔位置が注入可能な位置まで入らないため、薬剤の注入は不能なものとなっている。
【0025】
さらに混注針は、第3領域53により、側管ポートやクローズドシステムのゴム隔壁に当たり、第3領域53付近にある側孔を注入可能な位置にまで穿刺されることを阻止するため、側管ポート等の内部奥行き部が深いタイプのデバイスであっても、薬剤の注入は不能なものとなっている。
具体的には、混注用針3の中筒部38は、実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。同様に、筒状部33も実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。そして、中筒部38は、ノズル部22の内筒部23内に侵入し、液密状体に密着可能な形態に形成されている。また、中筒部38の基端は、筒状部33の基端より所定距離短いものとなっている。中筒部38の基端と筒状部33の基端間の距離は、2.5〜3.5mmであることが好ましい。
また、筒状部33は、基端より所定距離先端側となる位置の内面に形成されたノズル部22の係合用外側リブ25と係合する係合用内側リブ37a,37bを有している。この実施例では、係合用内側リブ37a,37bは、複数設けられるとともに連続しない短いリブとなっている。具体的には、図9および図10に示すように、係合用内側リブ37a,37bは、向かい合う位置に2つ形成された内周方向に延びる短いリブとなっている。また、筒状部33には、窓部34a,34bが設けられており、外筒2への装着時に、ノズル部22の外筒部を視認可能となっている。
【0026】
また、混注用針3は、側孔を包含しかつ軸方向に延びる溝を備えている。
具体的には、図6ないし図8、図11、図12に示すように、混注用針3は、先端より所定距離基端側となる位置に始端を有し、所定長延びる複数の溝35a,35b,35cを備えている。この実施例では、複数の溝35a,35b,35cは、混注用針3の中心軸に対して等角度となるように配置されている。この実施例では、3つの溝がほぼ等角度なるように配置されている。溝の始端位置としては、先端より5〜20mm程度基端側となる位置であることが好ましい。また、溝の終端は、側孔形成位置であることが好ましい。溝の長さとしては、2〜20mm程度であることが好ましい。また、複数の側孔36a,36b,36cは、各溝内に位置しており、このため、混注用針3の中心軸に対して等角度となるように配置されている。そして、図12に示すように、混注用針3の内面には、複数の軸方向に延びるリブ43a,43b,43cが形成されている。このリブは、複数の側孔36a,36b,36cの各側孔間位置より混注用針の基端側に所定距離延びるものとなっている。このようなリブ43a,43b,43cを設けることにより、側孔部分に掛かる外力を分散させ、折れ等に対する物理的強度を向上させ、また、側孔36a,36b,36cより、混注用針3の内部42内に流入する液体の干渉を防止し、良好な液体の流れを形成する。また、混注用針3は、筒状部33の先端より先端側に延びるリブ39a、39bを備えている。このリブ39a、39bは、後述するプロテクター7の基端部内面に形成されたリブ73と係合可能なものとなっており、外筒2へのプロテクターを装着した状態での混注用針3の装着および離脱を容易なものとしている。
【0027】
混注用針3の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルラクトン、液晶ポリエステル等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂の熱硬化性樹脂などが使用できる。
さらに、混注用針の形成材料は、補強繊維を含有していることが好ましい。補強繊維としては、長繊維が好ましいが、短繊維であってもよい。また、形成材料中の樹脂材料に対する繊維の添加量は、使用する樹脂や繊維の組合わせにより異なるが混注用針全体に基づいて概ね10〜80容量%程度が好ましく、より好ましくは30〜80容量%であり、特に、好ましくは40〜70容量%である。
また、補強繊維としては、炭素繊維、ウイスカー(ひげ結晶)、ガラス繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポラミドイミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアミド系繊維、ポリアリレート繊維などが好適である。
【0028】
そして、混注用針3には、図1および図18に示すように、プロテクター7が取り付けられている。
プロテクター7は、図1および図18に示すように、混注用針3を被包し、穿刺針部の露出を防止するとともに、混注用針3の外筒2のノズル部への装着および離脱操作を補助するものである。
図14は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注針用プロテクターの正面図である。図15は、図14のD−D線断面図である。図16は、図14の混注針用プロテクターの右側面図である。図17は、図14の混注針用プロテクターの左側面図である。図18は、混注用針に混注針用プロテクターを取り付けた状態の断面図である。
プロテクターは、図14ないし図18に示すように、混注用針3の穿刺針部32を含む針本体部31を収納可能な筒状本体部70と、基端側に位置し、混注用針のリブ39a,39bの形成部位を収納する拡径部72を有する筒状体である。そして、本体部70の先端部は、閉塞端となっており、また、本体部70の外面には、図14および図16に示すように、軸方向に延びる複数のリブ71a,71b,71c,71d,71e,71fが設けられている。このリブは、プロテクターを回転させる時の滑り止めとして機能する。また、拡径部72の内面には、図15および図17に示すように、プロテクター7を回転させた際に、混注用針3の筒状部33の先端より先端側に延びるリブ39a、39bと係合する複数のリブ73を備えている。両者のリブが係合することにより、プロテクター7に与えた回転が混注用針3に伝達され、混注用針3も回転する。このため、プロテクター7を装着した状態にて、混注用針3を外筒のノズル部に装着できる。この実施例では、リブ73は、プロテクターの中心軸に対してほぼ等角度となるように、4つ設けられている。
なお、上記説明では、ノズル部を封止する封止部材および外筒内に薬剤が収納された実施例の薬剤混注器具を用いて説明したが、薬剤混注用器具としては、それらを備えない用具としての薬剤混注用器具であってもよい。
【0029】
また、上述したすべての実施例の薬剤混注器具は、混注用針3に装着されるプロテクター7を備え、混注用針3は、混注用針3の外面に設けられた複数の外面リブ39a、39bを有し、プロテクター7は、プロテクター7の内面に設けられ、かつ混注用針3の外面リブ39a,39bと当接可能な複数の内面リブ73と、後述する実施例のように、プロテクター7の外面に設けられ、内面リブ73の非配置部を認識させるための標識部74a,74bを備えるものであってもよい。
【0030】
次に、本発明の他の態様の薬剤混注器具について説明する。
この実施例の薬剤混注器具は、上述した薬剤混注器具1と構成は、実質的に同じである。相違点は、図19に示すように、プロテクター7の外面に設けられ、内面リブ73の非配置部を認識させるための標識部74a,74bを備える点のみである。図19および図20は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具に用いられるプロテクターを説明するための説明図である。
薬剤混注器具は、図1ないし図18に示すとともに上述された実施例と同様に、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられ先端が開口したノズル部22を備える外筒2と、ノズル部22を封止する封止部材4と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、外筒2内に充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、外筒2のノズル部22に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針3、混注用針3に装着されるプロテクター7とからなる。
【0031】
そして、この薬剤混注器具では、外筒2のノズル部22は、ノズル部22の外面に設けられた係合用リブ25を備え、混注用針3は、ノズル部22の係合用リブ25と係合もしくは螺合可能な内側リブ37a,37bと、混注用針の外面に設けられた複数の外面リブ39a、39bを備える。そして、プロテクター7は、プロテクター7の内面に設けられ、かつ混注用針3の外面リブ39a,39bと当接可能な複数の内面リブ73と、プロテクター7の外面に設けられ、内面リブ73の非配置部を認識させるための標識部74a,74bを備える。
外筒2,混注用針3については、上述したものと同じであり、上述の説明を参照するものとする。
そして、この薬剤混注器具では、図19に示すように、プロテクター7の外面に設けられ、内面リブ73の非配置部を認識させるための標識部74a,74bを備えている。図19に示すように、標識部74a,74bには、内面リブは配置されていない。
【0032】
そして、図19に示す実施例では、プロテクター7は、外面に設けられた軸方向に延びる複数の外面リブ71を有し、標識部74は、リブ間隔が他のリブ間隔より広く形成されたリブ離間部により構成されている。
具体的には、プロテクター7は、図19に示すように、複数(具体的には、6つ)の軸方向に延びるリブ71aから71fを備えている。そして、外側リブは、リブ71a,リブ71b,リブ71cからなる第1グループと、リブ71d,リブ71e,リブ71fからなる第2グループに区分されている。各グループ内のリブ間隔はほぼ同じとなっている。しかし、グループ間は広く形成され、向かい合うリブ離間部74a,74bが形成されている。特に、図19に示すものでは、正多角形(具体的には、正八角形)の頂点部にリブを形成するとともに、向かい合う一組の頂点部のみリブを形成しない、言い換えれば、リブ欠損部を設けた形態となっている。そして、リブ離間部74a,74bとなっている領域のプロテクターの内面は、リブ非形成部となっている。このため、リブ離間部を認識することによりリブ非形成部を認識することができる。よって、混注用針3にプロテクターを装着する際、混注用針3の外側リブ73をこの標識部74a,74bの領域内となるように挿入することにより、外側リブ73と内側リブ71とが当接することなく、混注用針3にプロテクターを装着できる。
【0033】
また、標識部の形態は、上記のものに限定されるものではない。例えば、図20に示すように、プロテクター7aは、外面に設けられた軸方向に延びる外面リブ71を有し、標識部は、リブ71により構成されているものであってもよい。
具体的には、図20に示すプロテクター7aでは、内面リブ非形成部となっている向かい合う部分の外面に向かい合うようにリブ71b,71eが設けられている。この場合、上述の実施例とは逆に、リブ71b,71eが、標識部を構成している。
さらに、標識部としては、プロテクターが外面に部分的に形成された他の部分と表面状態の異なる表面領域を有しており、この他の部分と表面状態の異なる表面領域により標識部を構成したものであってもよい。
例えば、表面状態の異なる表面領域は、粗面領域とすることが考えられる。粗面の形態としては、エンボス表面、小突起形成表面、溝形成表面などが好ましい。また、逆に、プロテクターの外面の全体を粗面表面とし、標識部を構成する表面状態の異なる表面領域を平滑面により形成してもよい。
【0034】
また、上述したすべての実施例の薬剤混注器具は、混注用針3に装着されるプロテクター7を備え、混注用針3は、混注用針3の外面に設けられた複数の外面リブ39a、39bを有し、プロテクター7は、プロテクター7の内面に設けられ、かつ混注用針3の外面リブ39a,39bと当接可能な複数の内面リブ83と、後述する実施例のように、混注用針3の外面リブとプロテクター70の内面リブ83は、プロテクター70に混注用針3を外筒2のノズル部22に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、プロテクター70の内面リブ83は、混注用針3の外面リブ39a,39bを乗り越え可能となっているものであってもよい。
さらに、上述したすべての実施例の薬剤混注器具は、混注用針3の外面リブ39a,39bとプロテクター70の内面リブ83は、内面リブ83の外面リブ39a,39bの乗り越え後において、プロテクター70に混注用針3を外筒2のノズル部22より弛緩させる方向に回転トルクを付与した時に、プロテクター70の内面リブ83は、混注用針3の外面リブ39a,39bと当接し、混注用針3の外筒2のノズル部22より弛緩する方向への回転を可能としているものであってもよい。
【0035】
次に、本発明の他の態様の薬剤混注器具について説明する。
この実施例の薬剤混注器具は、上述した薬剤混注器具1と構成は、実質的に同じである。実質的な相違点は、プロテクター70の内面リブ83と混注用針3の外面リブ39によるトルク伝達機構のみである。
薬剤混注器具は、図1ないし図18とともに上述された実施例と同様に、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられ先端が開口したノズル部22を備える外筒2と、ノズル部22を封止する封止部材4と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、外筒2内に充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、外筒2のノズル部22に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針3と、混注用針3に装着されるプロテクターとからなる。
【0036】
そして、この薬剤混注器具においても、上述した実施例と同様に、外筒2のノズル部22は、ノズル部22の外面に設けられた係合用リブ25を備え、混注用針3は、ノズル部22の係合用リブ25と係合もしくは螺合可能な内側リブ37a,37bと、混注用針の外面に設けられた複数の外面リブ39a、39bを備える。そして、プロテクター7は、プロテクター7の内面に設けられ、かつ混注用針3の外面リブ39a,39bと当接可能な複数の内面リブ83を備える。
そして、この薬剤混注器具では、図21ないし図26に示すように、混注用針3の外面リブとプロテクター70の内面リブ83は、プロテクター70に混注用針3を外筒2のノズル部22に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、プロテクター70の内面リブ83は、混注用針3の外面リブ39a,39bを乗り越え可能となっている。
【0037】
図21は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具に用いられる混注用針包装体の正面図である。図22は、図21に示した混注用針包装体よりキャップ部材を取り外した状態の正面図である。図23は、図22の断面図である。図24は、図22に示した混注用針包装体のプロテクターの拡大左側面図である。図25は、図22のD−D線拡大断面図である。図26は、この実施例の薬剤混注器具を説明するための説明図である。
また、混注用針3の外面リブ39a,39bとプロテクター70の内面リブ83は、内面リブ83の外面リブ39a,39bの乗り越え後において、プロテクター70に混注用針3を外筒2のノズル部22より弛緩させる方向に回転トルクを付与した時に、プロテクター70の内面リブ83は、混注用針3の外面リブ39a,39bと当接し、混注用針3の外筒2のノズル部22より弛緩する方向への回転を可能であることが好ましい。
【0038】
図21に示すように、この実施例の薬剤混注器具では、混注用針包装体が用いられており、混注用針包装体は、混注用針3と、混注用針3の針部側を被包するプロテクター70と、混注用針の基部側を被包するキャップ部材9を備えている。混注用針3については、上述したものと同じであり、上述の説明を参照するものとする。
図24に示すように、プロテクター70は、混注用針3の外面リブ39a,39bと当接可能な複数の内面リブ83を備えてる。そして、この実施例における内面リブ83は、図24における半時計回り側が低く、時計回り側が高い、傾斜リブとなっている。つまり、内面リブ83の先端面は、図24における時計回り方向に高くなる傾斜面83aとなっている。そして、図25に示すように、プロテクター70を混注用針3が外筒2のノズル部22に締結される方向(矢印方向)に回転させたとき、混注用針3の外面リブ39aの角部が内面リブの傾斜面83aと当接し、混注用針3は、プロテクター70とともに回転し、ノズル部22に締結される。混注用針3がノズル部22に締結された後、さらに、プロテクター70に所定トルク以上のトルクが付与すると、プロテクター70の内面リブ83の傾斜面83aは、混注用針3の外側リブ39a,39bを乗り越え、図26の状態となる。このため、混注用針3に過剰なトルクが付与されることがなく、混注用針3の外筒のノズル部22への過剰締結がない。この実施例では、プロテクター70の内面リブ83は、締結方向側が低く、弛緩方向側が高いものとなっている。
【0039】
また、図26のプロテクター70の内面リブ83が混注用針3の外側リブ39a,39bを乗り越えた状態において、プロテクター70に、混注用針3を外筒2のノズル部22より弛緩させる方向(図26の矢印方向)の回転トルクを付与すると、プロテクター70の内面リブ83の最も突出する頂点83bの側面部が、混注用針3の外面リブ39a,39bと当接する。このため、外面リブに十分にトルクを伝達することができ、混注用針3を外筒2のノズル部22より弛緩させることを可能としている。
そして、図25および図26に示すように、プロテクター70の内面リブ83の頂点83bの側面部と当接する部分の混注用針3の外面リブ39a,39bの角部は、面取りされていないことが好ましい。このようにすることにより、より確実に外面リブにトルクを伝達可能となる。
【0040】
なお、プロテクターの内面リブ83と混注用針の外面リブ39によるトルク伝達機構は、上述した形態に限定されるものではない。例えば、図27および図28に示すようなものであってもよい。図27および図28は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具を説明するための説明図である。上述した実施例では、プロテクターの内面リブが傾斜面を備えていたが、この実施例では、混注用針3aの外面リブ38a,39bに傾斜面39cが設けられている。そして、混注用針3aの外面リブ39a,39bは、締結方向側が高く、弛緩方向側が低いものとなる傾斜面39cを有している。
そして、図27に示すように、プロテクター70aを混注用針3aが外筒2のノズル部22に締結される方向(矢印方向)に回転させたとき、プロテクター70aの内面リブ83の角部が混注用針3aの外面リブ39aの傾斜面39cと当接し、混注用針3aは、プロテクター70aとともに回転し、ノズル部22に締結される。しかし、混注用針3aがノズル部22に締結された後、さらに、プロテクター70aに所定トルク以上のトルクが付与された時、プロテクター70aの内面リブ83は、混注用針3の外側リブ39a,39bの傾斜面39cを乗り越え、図28の状態となる。このため、混注用針3aに過剰なトルクが付与されることがなく、混注用針3aの外筒のノズル部22への過剰締結がない。
【0041】
また、図28に示すプロテクター70aの内面リブ83が混注用針3の外側リブ39a,39bを乗り越えた状態において、プロテクター70aに、混注用針3aが外筒2のノズル部22より弛緩させる方向(図26の矢印方向)の回転トルクを付与すると、プロテクター70aの内面リブ83は、混注用針3の外面リブ39a,39bの最も突出する頂点39dの側面部と当接する。このため、外面リブ39a,39bに十分にトルクを伝達することができ、混注用針3aを外筒2のノズル部22より弛緩させることを可能としている。
そして、混注用針3の外面リブの頂点39dの側面部と当接する部分となる プロテクター70aの内面リブ83の角部は、面取りされていないことが好ましい。このようにすることにより、より確実に外面リブにトルクを伝達可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の薬剤混注器具の外観図である。
【図2】図2は、本発明の薬剤混注器具の混注可能状態の外観図である。
【図3】図3は、本発明の薬剤混注器具に使用されるプレフィルド用シリンジの外筒の正面図である。
【図4】図4は、図3の外筒の断面図である。
【図5】図5は、図3に示す外筒の右側面図である。
【図6】図6は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注用針の正面図である。
【図7】図7は、図6の混注用針を所定角度回転させた状態における外観図である。
【図8】図8は、図6に示す混注用針の右側面図である。
【図9】図9は、図6に示す混注用針の左側面図である。
【図10】図10は、図6のA−A線断面図である。
【図11】図11は、図7のB−B線断面図である。
【図12】図12は、図7のC−C線断面図である。
【図13】図13は、外筒のノズル部に混注用針を取り付けた状態を説明するための説明図である。
【図14】図14は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注針用プロテクターの正面図である。
【図15】図15は、図14のD−D線断面図である。
【図16】図16は、図14の混注針用プロテクターの右側面図である。
【図17】図17は、図14の混注針用プロテクターの左側面図である。
【図18】図18は、混注用針に混注針用プロテクターを取り付けた状態の断面図である。
【図19】図19は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具に用いられるプロテクターを説明するための説明図である。
【図20】図20は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具に用いられるプロテクターを説明するための説明図である。
【図21】図21は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具に用いられる混注用針包装体の正面図である。
【図22】図22は、図21に示した混注用針包装体よりキャップ部材を取り外した状態の正面図である。
【図23】図23は、図22の断面図である。
【図24】図24は、図22に示した混注用針包装体のプロテクターの拡大左側面図である。
【図25】図25は、図22のD−D線拡大断面図である。
【図26】図26は、この実施例の薬剤混注器具を説明するための説明図である。
【図27】図27は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具を説明するための説明図である。
【図28】図28は、本発明の他の実施例の薬剤混注器具を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 薬剤混注器具
2 外筒
3 混注用針
4 封止部材
5 ガスケット
6 押子
7 プロテクター
10 プレフィルドシリンジ
21 外筒本体部
22 ノズル部
23 内筒部
24 外筒部
38 中筒部
33 筒状部
32 穿刺針部(第1領域)
36a,36b,36c 側孔
52 第2領域
53 第3領域
54 第4領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記ノズル部を封止する封止部材と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子と、前記外筒内に充填された薬剤とからなるプレフィルドシリンジと、前記封止部材離脱後の前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、前記外筒本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の外面に設けられた係合用外側リブを備え、かつ、前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmとなっており、さらに、前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部と、該中筒部を被包するとともに、内面に前記ノズル部の前記係合用外側リブと係合もしくは螺合可能な係合用内側リブを有する筒状部と、前記針本体部の先端部に設けられた穿刺針部と、前記混注用針の先端より10〜25mm基端側に位置し、混注用針内部と外部とを連通する側孔とを備えることを特徴とする医療用容器への薬剤混注器具。
【請求項2】
外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、前記外筒本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の外面に設けられた係合用外側リブを備え、かつ、前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6.0〜10mmとなっており、さらに、前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な中筒部と、該中筒部を被包するとともに、内面に前記ノズル部の前記係合用外側リブと係合もしくは螺合可能な内側リブを有する筒状部と、前記針本体部の先端部に設けられた穿刺針部と、前記混注用針の先端より10〜25mm基端側に位置し、混注用針内部と外部とを連通する側孔とを備えることを特徴とする医療用容器への薬剤混注器具。
【請求項3】
前記係合用外側リブは、螺旋状リブである請求項1または2に記載の薬剤混注器具。
【請求項4】
前記係合用内側リブは、前記複数の連続しない短いリブである請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項5】
前記ノズル部の前記内筒は、実質的にテーパーを持たない円筒状である請求項1ないし4のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項6】
前記混注用針は、該混注用針の側面に設けられ、前記側孔と連通し前記針本体部の先端部まで延びる溝部を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項7】
前記混注用針は、前記側孔および前記溝部を複数備えている請求項6に記載の薬剤混注器具。
【請求項8】
前記混注用針の前記針本体部は、先端側より穿刺端を形成する鋭角のテーパー角を有する第1領域と、該第1領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第2領域と、該第2領域と連続し、第2領域のテーパー角より所定角大きいテーパー角を有する第3領域と、該第3領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第4領域を有するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項9】
前記側孔は、前記第3領域もしくは前記第4領域の先端部に設けられている請求項8に記載の薬剤混注器具。
【請求項10】
前記薬剤混注器具は、前記混注用針に装着されるプロテクターを備え、前記混注用針は、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブと、該プロテクターの外面に設けられ、前記内面リブの非配置部を認識させるための標識部を備えている請求項1ないし9のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項11】
外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針および該混注用針に装着されるプロテクターとからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、該ノズル部の外面に設けられた係合用リブを備え、
前記混注用針は、前記ノズル部の前記係合用リブと係合もしくは螺合可能な内側リブと、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを備え、
前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブと、該プロテクターの外面に設けられ、前記内面リブの非配置部を認識させるための標識部を備えていることを特徴とする医療用容器への薬剤混注器具。
【請求項12】
前記標識部は、向かい合うように2つ設けられている請求項10または11に記載の薬剤混注器具。
【請求項13】
前記プロテクターは、外面に設けられた軸方向に延びる複数の外面リブを有し、前記標識部は、前記リブ間隔が他のリブ間隔より広く形成されたリブ離間部により構成されている請求項10ないし12のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項14】
前記プロテクターは、外面に設けられた軸方向に延びる外面リブを有し、前記標識部は、該リブにより構成されている請求項10ないし12のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項15】
前記プロテクターは、外面に部分的に形成された他の部分と表面状態の異なる表面領域を有しており、該表面領域により前記標識部が構成されている請求項10ないし12のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項16】
前記表面状態の異なる表面領域は、粗面表面領域となっている請求項15に記載の薬剤混注器具。
【請求項17】
前記プロテクターの外面は、粗面表面となっており、前記標識部を構成する表面状態の異なる表面領域が、平滑面となっている請求項15に記載の薬剤混注器具。
【請求項18】
前記薬剤混注器具は、前記混注用針に装着されるプロテクターを備え、前記混注用針は、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを有し、前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブと当接可能な複数の内面リブを有し、
前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブを乗り越え可能となっている請求項1ないし17のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項19】
外筒本体部と、該外筒本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備える外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とからなるプレフィルド用シリンジと、前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針および該混注用針に装着されるプロテクターとからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記外筒のノズル部は、該ノズル部の外面に設けられた係合用リブを備え、
前記混注用針は、前記ノズル部の前記係合用リブと係合もしくは螺合可能な内側リブと、該混注用針の外面に設けられた複数の外面リブを備え、
前記プロテクターは、該プロテクターの内面に設けられ、かつ前記混注用針の外面リブの側面と当接可能な複数の内面リブとを備え、
前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部に締結させる方向への所定トルク以上のトルクが付与された時、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブを乗り越え可能となっていることを特徴とする医療用容器への薬剤混注器具。
【請求項20】
前記混注用針の外面リブと前記プロテクターの内面リブは、前記内面リブの前記外面リブの乗り越え後において、前記プロテクターに前記混注用針を前記外筒の前記ノズル部より弛緩させる方向に回転トルクを付与した時に、前記プロテクターの前記内面リブは、前記混注用針の前記外面リブと当接し、前記混注用針の前記外筒の前記ノズル部より弛緩する方向への回転を可能としている請求項18または19に記載の薬剤混注器具。
【請求項21】
前記プロテクターの内面リブは、前記締結方向側が低く、弛緩方向側が高いものとなっている請求項18ないし20のいずれかに記載の薬剤混注器具。
【請求項22】
前記混注用針の外面リブは、前記締結方向側が高く、弛緩方向側が低いものとなっている請求項18ないし21のいずれかに記載の薬剤混注器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−98109(P2007−98109A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91665(P2006−91665)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】