説明

医療用診療台

【課題】診療台の最低位を、患者が負担なく乗りやすい高さ位置に設定できること、及び、診療台の最高位を、医師が自然な姿勢で診察できる高さ位置に設定できること。
【解決手段】第1作動部4により、基台10に対して、第1部材1を上昇させ、第2作動部5により、第1部材1に対して、第2部材2を上昇させ、第3作動部6により、第2部材2に対して、第3部材3を上昇させることによって、第3部材3を最低位から最高位へ設定するようになっており、その際、固定筒体70に対して第1筒体71が摺動し、第1筒体71に対して第2筒体72が摺動し、第2筒体72に対して第3筒体73が摺動することによって、ガイド部7が、第1、第2、及び第3部材1、2、3の移動をガイドするようになっている。ガイド部の各筒体の摺動は、すべり軸受からなる第1、第2、及び第3摺動機構を介して行われるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降機構を備えた医療用診療台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用診療台の昇降機構は、特許文献1、2に示されるように、2段昇降であった。具体的には、特許文献1の昇降装置は、シリンダ機構からなる第1及び第2の昇降機構によって、診療台を昇降させるようになっており、また、特許文献2の医療用寝台は、滑車及び伝導ベルトにより、第2支柱を第1支柱に対して昇降させることによって、寝台を昇降させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−87887号公報
【特許文献2】特開平7−299103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昇降機構を備えた医療用診療台においては、診療台の最低位を、患者が負担なく乗りやすい高さ位置に設定できること、及び、診療台の最高位を、医師が自然な姿勢で診察できる高さ位置に設定できること、が要望されている。
【0005】
しかしながら、従来の2段昇降では、最高位を高くすると、必然的に最低位も高くならざるを得ないので、上記要望を十分に満足させることができなかった。
【0006】
一方、3段以上の多段昇降を実現するためには、昇降機構の構造的な不安定性や作動的な不安定性を克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基台と、基台の上方に位置する診療台本体と、診療台本体を昇降させる昇降機構とを備えている医療用診療台において、昇降機構が、第1部材、第2部材、及び第3部材と、第1作動部、第2作動部、及び第3作動部と、ガイド部とを備えており、第3部材は、診療台本体と一体となっており、第1作動部は、第1部材を基台の上方において昇降させるように、基台に設けられており、第2作動部は、第2部材を第1部材の上方において昇降させるように、第1部材に設けられており、第3作動部は、第3部材を第2部材の上方において昇降させるように、第2部材に設けられており、ガイド部は、基台に上下方向に設けられた固定筒体と、第1部材の昇降作動を基台に対してガイドするように、固定筒体に第1摺動機構を介して内装された、第1筒体と、第2部材の昇降作動を第1部材に対してガイドするように、第1筒体に第2摺動機構を介して内装された、第2筒体と、第3部材の昇降作動を第2部材に対してガイドするように、第2筒体に第3摺動機構を介して内装された、第3筒体とを備えており、ガイド部の上記摺動機構が、すべり軸受からなっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第3部材と一体の診療台本体を、最低位から3段階目の最高位に、設定できる。したがって、診療台本体の最低位をより低くできるとともに最高位をより高くできる。これにより、最低位を、患者が負担なく乗り降りしやすい高さ位置に設定でき、また、最高位を医師が自然な姿勢で診療できる高さ位置に設定できる。その結果、患者及び医師の利便性を向上できる。
【0009】
しかも、ガイド部は、すべり軸受からなる第1、第2、及び第3摺動機構を有しているので、第1、第2、及び第3筒体を円滑に且つ安定した状態で、摺動させることができる。その結果、第1、第2、及び第3部材を、円滑に且つ安定した状態で移動させることができるので、長時間使用した時の振動や、低速で昇降させた時のリップスティックを、防ぐことができ、装置の長寿命化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の医療用診療台を示す正面図であり、診療台本体が最低位に位置している状態を示している。
【図2】本発明の第1実施形態の医療用診療台を示す正面図であり、診療台本体が最高位に位置している状態を示している。
【図3】図1の昇降機構の透視平面図である。
【図4】図3のIVa−IVa断面図であるが、一部が図3のIVb−IVb断面として表された図であり、第3部材が最低位に位置した状態を示している。
【図5】第3部材が1段階目の高さ位置に位置した状態を示す図4に相当する図である。
【図6】第3部材が2段階目の高さ位置に位置した状態を示す図4に相当する図である。
【図7】第3部材が最高位に位置した状態を示す図4に相当する図である。
【図8】ガイド部の要部拡大断面図である。
【図9】第3部材が最高位に位置した時のガイド部の状態を示す正面断面図である。
【図10】第1作動部の上昇作動状態を示しており、(A)は、第1ピストンロッドが第1シリンダ内を略上端まで上昇した状態を示し、(B)は、第1ピストンロッドが第1シリンダ内を上限まで上昇した状態を示している。
【図11】第1作動部の下降作動状態を示しており、(A)は、第1ピストンロッドが第1シリンダ内を略下端まで下降した状態を示し、(B)は、第1ピストンロッドが第1シリンダ内を下限まで下降した状態を示している。
【図12】本発明の第2実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態の医療用診療台を示す正面図である。この診療台100は、基台10と、基台10の上方に位置する診療台本体20と、診療台本体20を昇降させる昇降機構30とを備えている。昇降機構30は、診療台本体20を最低位P1から高さ位置P2、P3を経て最高位P4に設定できるように構成されている。すなわち、昇降機構30は、3段昇降を実現できるように構成されている。図1は、診療台本体20が最低位P1に位置した状態を示しており、図2は、診療台本体20が最高位P4に位置した状態を示している。
【0012】
図3は、図1の昇降機構30の透視平面図である。昇降機構30は、第1部材1、第2部材2、及び第3部材3と、第1作動部4、第2作動部5、及び第3作動部6と、ガイド部7とを備えている。第1、第2、及び第3部材1、2、3は、平板である。第3部材3は、診療台本体20と一体となっている。図4は、図3のIVa−IVa断面図である。但し、図4では、第1、第2、及び第3作動部4、5、6を図3のIVb−IVb断面として示している。
【0013】
図4は、第3部材3が最低位P1に位置した状態を示す正面断面図である。図5は、第3部材3が高さ位置P2に位置した状態を示す正面断面図である。図6は、第3部材3が高さ位置P3に位置した状態を示す正面断面図である。図7は、第3部材3が最高位P4に位置した状態を示す正面断面図である。
【0014】
図4〜図7に示されるように、第1作動部4は、第1部材1を基台10の上方において昇降させるように、基台10に設けられている。具体的には、第1作動部4は、油圧式の第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構は、上下方向に設けられた第1シリンダ41と、第1シリンダ41内を上下方向に摺動する第1ピストンロッド42とを有している。第1シリンダ41は、基台10のフランジ101に固定されている。第1ピストンロッド42の上端421は、第1部材1に固定されている。
【0015】
第2作動部5は、第2部材2を第1部材1の上方において昇降させるように、第1部材1に設けられている。具体的には、第2作動部5は、油圧式の第2シリンダ機構からなっており、第2シリンダ機構は、上下方向に設けられた第2シリンダ51と、第2シリンダ51内を上下方向に摺動する第2ピストンロッド52とを有している。第2シリンダ51は、第1部材1に固定されている。第2ピストンロッド52の上端521は、第2部材2に固定されている。
【0016】
第3作動部6は、第3部材3を第2部材2の上方において昇降させるように、第2部材2に設けられている。具体的には、第3作動部6は、油圧式の第3シリンダ機構からなっており、第3シリンダ機構は、上下方向に設けられた第3シリンダ61と、第3シリンダ61内を上下方向に摺動する第3ピストンロッド62とを有している。第3シリンダ61は、第2部材2に固定されている。第3ピストンロッド62の上端621は、第3部材3に固定されている。
【0017】
図8は、ガイド部7の要部拡大断面図である。図9は、第3部材3が最高位P4に位置した時のガイド部7の状態を示す正面断面図である。ガイド部7は、固定筒体70と、第1筒体71と、第2筒体72と、第3筒体73とを備えている。固定筒体70は、基台10に上下方向に固定されている。第1筒体71は、第1部材1の昇降作動を基台10に対してガイドするように、固定筒体70に第1摺動機構81を介して内装されている。第1筒体71の上端711は、第1部材1に固定されている。第2筒体72は、第2部材2の昇降作動を第1部材1に対してガイドするように、第1筒体71に第2摺動機構82を介して内装されている。第2筒体72の上端721は、第2部材2に固定されている。第3筒体73は、第3部材3の昇降作動を第2部材2に対してガイドするように、第2筒体72に第3摺動機構83を介して内装されている。第3筒体73の上端731は、第3部材3に固定されている。
【0018】
ガイド部7の第1、第2、及び第3摺動機構81、82、83は、それぞれ、すべり軸受からなっている。すなわち、第1摺動機構81は、固定筒体70の内面と、第1筒体71の外面との間に設けられており、上下に間隔を空けて配置された2個のシール部材811、812と、両シール部材811、812の間に充填された潤滑油813と、潤滑油813の出入口814とを備えている。出入口814は、固定筒体70を貫通して形成されており、着脱可能なピン815で塞がれている。なお、ピン815の頭部8151は、出入口814の内部に収容されている。
【0019】
第2摺動機構82及び第3摺動機構83も、第1摺動機構81と同じ構成を有している。すなわち、第2摺動機構82は、第1筒体71の内面と、第2筒体72の外面との間に設けられており、上下に間隔を空けた配置された2個のシール部材821、822と、両シール部材821、822の間に充填された潤滑油823と、潤滑油823の出入口824とを備えている。出入口824は、第1筒体71を貫通して形成されており、着脱可能なピン825で塞がれている。なお、ピン825の頭部8251は、出入口824の内部に収容されている。また、第3摺動機構83は、第2筒体72の内面と、第3筒体73の外面との間に設けられており、上下に間隔を空けた配置された2個のシール部材831、832と、両シール部材831、832の間に充填された潤滑油833と、潤滑油833の出入口834とを備えている。出入口834は、第2筒体72を貫通して形成されており、着脱可能なピン835で塞がれている。なお、ピン835の頭部8351は、出入口834の内部に収容されている。
【0020】
図9に示されるように、第1摺動機構81は、固定筒体70と第1筒体71との間において、上下に間隔を空けて2箇所に設けられている。この2箇所は、昇降する第1筒体71が常に接している位置である。第2摺動機構82は、第1筒体71と第2筒体72との間において、上下に間隔を空けて2箇所に設けられている。この2箇所は、昇降する第2筒体72が常に接している位置である。第3摺動機構83は、第2筒体72と第3筒体73との間において、上下に間隔を空けて2箇所に設けられている。この2箇所は、昇降する第3筒体73が常に接している位置である。
【0021】
ガイド部7は、2つが並設されている。
【0022】
図10は、第1作動部4の上昇作動状態を示しており、(A)は、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を略上端まで上昇した状態を示し、(B)は、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を上限まで上昇した状態を示している。第1シリンダ41の上端は、第1ピストンロッド42が摺動可能に貫通した上栓43で塞がれている。そして、第1ピストンロッド42の下端のピストン421と、上栓43との間には、スプリング45が介設されている。したがって、(A)の状態では、ピストン421が、スプリング45の反発を受けて、第1シリンダ41内の略上端で停止しており、(B)の状態では、ピストン421が、スプリング45を圧縮して、第1シリンダ41内の上限で停止している。
【0023】
図11は、第1作動部4の下降作動状態を示しており、(A)は、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を略下端まで下降した状態を示し、(B)は、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を下限まで下降した状態を示している。第1シリンダ41の下端は、作動油の給排機構を有する下栓44で塞がれている。下栓44の給排機構は、下栓44の上面から下方に延びた主通路441と、主通路441の下端から下栓44の外面まで延びた副通路442と、下栓44の上面から下方に延び且つ調整バルブ443を経て副通路442に連通したバイパス通路444とを備えている。バイパス通路444は、主通路441より細い。一方、ピストン421の下面には、下向きの凸部422が形成されている。凸部422は、主通路441に嵌入して主通路441を塞ぐ形態を有している。したがって、(A)の状態では、凸部422が主通路441を塞いでいるため、第1シリンダ41内の作動油は、バイパス通路444から排出されており、(B)の状態では、バイパス通路444からの作動油の排出が終わっている。なお、バイパス通路444からの作動油の排出速度は、調整バルブ443によって調整される。
【0024】
第2作動部5及び第3作動部6も、第1作動部4の図10及び図11に示された構成と同じ構成を有している。すなわち、第2作動部5は、図6に示されるように、ピストン521、凸部522、上栓53、下栓54、及びスプリング55を有しており、下栓54の給排機構は、主通路541と、副通路542と、調整バルブ543と、バイパス通路544とを有している。また、第3作動部6は、図7に示されるように、ピストン621、凸部622、上栓63、下栓64、及びスプリング65を有しており、下栓64の給排機構は、主通路641と、副通路642と、調整バルブ643と、バイパス通路644とを有している。
【0025】
そして、例えば図4に示されるように、第1、第2、及び第3作動部4、5、6は、油圧ポンプ90に供給経路91を介して連結されている。供給経路91は、1つの油圧回路で構成されており、上昇作動の際には、油圧ポンプ90からの作動油を、第3シリンダ61を経た後に第2シリンダ51へ送り、第2シリンダ51を経た後に第1シリンダ41へ送るように構成されており、また、下降作動の際には、作動油を、第1シリンダ41から排出させた後に第2シリンダ51から排出させ、その後に第3シリンダ61から排出させるように構成されている。
【0026】
上記構成の医療用診療台100は、例えば次のように作動する。
【0027】
(上昇作動)
第3部材3が最低位P1に位置している状態(図1、図4)において、足操作部99の上昇スイッチを踏み操作すると、油圧ポンプ90が作動して作動油が吐出される。
【0028】
(1)作動油は、供給経路91を介して、まず、第3シリンダ61へ供給される。これにより、図5に示されるように、第3作動部6が作動し、すなわち、第3ピストンロッド62が第3シリンダ61内を上昇し、その結果、第3部材3が高さ位置P2まで上昇する。
【0029】
このとき、2つのガイド部7においては、第3筒体73が第2筒体72内を摺動しながら上昇する。第3筒体73は、上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0030】
また、第3ピストンロッド62は、スプリング65の反発を受けるので、第3シリンダ61の上限までは上昇しない。そのため、第3ピストンロッド62のピストン621と第3シリンダ61の上栓63との衝突は、回避される。よって、第3作動部6の上昇作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0031】
(2)次に、作動油は、第3ピストンロッド62を第3シリンダ61の上限まで上昇させることなく、供給経路91を介して第2シリンダ51へ供給される。これにより、図6に示されるように、第2作動部5が作動し、すなわち、第2ピストンロッド52が第2シリンダ51内を上昇し、その結果、第2部材2が上昇する。第2部材2には、第3作動部6が設けられているので、第2部材2と共に第3作動部6及び第3部材3も上昇する。すなわち、高さ位置P2まで上昇していた第3部材3が更に上昇する。これにより、第3部材3が高さ位置P3まで上昇する。
【0032】
このとき、2つのガイド部7においては、第2筒体72が第1筒体71内を摺動しながら上昇する。第2筒体72は、上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0033】
また、第2ピストンロッド52は、スプリング55の反発を受けるので、第2シリンダ51の上限までは上昇しない。そのため、第2ピストンロッド52のピストン521と第2シリンダ51の上栓53との衝突は回避される。よって、第2作動部5の上昇作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0034】
(3)そして、作動油は、第2ピストンロッド52を第2シリンダ51の上限まで上昇させることなく、供給経路91を介して第1シリンダ41へ供給される。これにより、図7に示されるように、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を上昇し、その結果、第1部材1が上昇する。第1部材1には、第2作動部5が設けられているので、第1部材1と共に第2作動部5及び第2部材2も上昇し、また、第2部材2には、第3作動部6が設けられているので、第2部材2と共に第3作動部6及び第3部材3も上昇する。すなわち、高さ位置P3まで上昇していた第3部材3が更に上昇する。
【0035】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が固定筒体70内を摺動しながら上昇する。第1筒体71は、上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0036】
また、第1ピストンロッド42は、スプリング45の反発を受けるので、第1シリンダ41の上限までは上昇しない。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の上栓43との衝突は、回避される。よって、第1作動部4の上昇作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0037】
(4)そして、作動油は、供給経路91を介して更に供給されて、まず、第3ピストンロッド62が、スプリング65を圧縮しながら、第3シリンダ61の上限まで上昇し、次いで、第2ピストンロッド52がスプリング55を圧縮しながら、第2シリンダ51の上限まで上昇し、その後、第1ピストンロッド42がスプリング45を圧縮しながら、第1シリンダ41の上限まで上昇する。これによって、第3部材3は、最高位P4まで上昇する。したがって、第3部材3が最高位P4まで上昇する直前の各作動部の作動は緩やかになる。
【0038】
こうして、診療台本体20が、最低位P1から最高位P4へ設定される。
【0039】
(下降作動)
第3部材3が最高位P4に位置している状態(図7)において、足操作部99(図1)の下降スイッチを踏み操作すると、供給経路91中の電磁弁が開放され、作動油は、診療台本体20の自重によって第1シリンダ41内から排出され始める。
【0040】
(1)作動油は、供給経路91を介して、まず、第1シリンダ41から排出される。これにより、図6に示されるように、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を下降し、その結果、第1部材1が下降する。第1部材1には、第2作動部5が設けられているので、第1部材1と共に第2作動部5及び第2部材2も下降し、また、第2部材2には、第3作動部6が設けられているので、第2部材2と共に第3作動部6及び第3部材3も下降する。すなわち、最高位P4に位置している第3部材3が下降する。
【0041】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が固定筒体70内を摺動しながら下降する。第1筒体71は、上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0042】
また、第1ピストンロッド42が、図11の(A)に示されるように、第1シリンダ41内の略下端まで下降すると凸部422が下栓44の主通路441を塞ぐ。このため、第1シリンダ41内の作動油は、主通路441からではなくバイパス通路444から排出される。バイパス通路444からの作動油の排出が終了すると、第1ピストンロッド42は、第1シリンダ41内の下限に位置する。これにより、第3部材3は、高さ位置P3まで下降する。このとき、バイパス通路444からの作動油の排出速度は、主通路441からの作動油の排出速度より遅いので、第1ピストンロッド42は、第1シリンダ41内の略下端から下限までは緩やかに下降する。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の下栓44との衝突は回避される。よって、第1作動部4の下降作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0043】
(2)次に、作動油は、供給経路91を介して第2シリンダ51から排出される。これにより、図5に示されるように、第2作動部5が作動し、すなわち、第2ピストンロッド52が第2シリンダ51内を下降し第2部材2が下降する。第2部材2には、第3作動部6が設けられているので、第2部材2と共に第3作動部6及び第3部材3も下降する。すなわち、高さ位置P3まで下降していた第3部材3が更に下降する。
【0044】
このとき、2つのガイド部7においては、第2筒体72が第1筒体71内を摺動しながら下降する。第2筒体72は、上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0045】
また、第2シリンダ51の下栓54の給排機構が、第1シリンダ41の場合と同様に作動するため、第2ピストンロッド52は、第1作動部4の場合と同様に、図11の(A)及び(B)に示されるように、第2シリンダ51内の略下端まで下降した後、緩やかに第2シリンダ51内の下限まで下降する。これにより、第3部材3は、高さ位置P2まで下降する。すなわち、第2ピストンロッド52は、第2シリンダ51内の略下端から下限までは緩やかに下降するので、第2ピストンロッド52のピストン521と第2シリンダ51の下栓54との衝突は回避される。よって、第2作動部5の下降作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0046】
(3)そして、作動油は、供給経路91を介して第3シリンダ61から排出される。これにより、図4に示されるように、第3作動部6が作動し、すなわち、第3ピストンロッド62が第3シリンダ61内を下降し第3部材3が下降する。すなわち、高さ位置P2まで下降していた第3部材3が更に下降する。
【0047】
このとき、2つのガイド部7においては、第3筒体73が第2筒体72内を摺動しながら下降する。第3筒体73は、上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら摺動するので、円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0048】
また、第3シリンダ61の下栓64の給排機構が第1シリンダ41の場合と同様に作動するため、第3ピストンロッド62は、第1作動部4の場合と同様に、図11の(A)及び(B)に示されるように、第3シリンダ61内の略下端まで下降した後、緩やかに第3シリンダ61内の下限まで下降する。これにより、第3部材3は、最低位P1まで下降する。すなわち、第3ピストンロッド62は、第3シリンダ61内の略下端から下限までは緩やかに下降するので、第3ピストンロッド62のピストン621と第3シリンダ61の下栓64との衝突は回避される。よって、第3作動部6の下降作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0049】
上記構成の診療台100によれば、次のような効果を発揮できる。
【0050】
(1)第3部材3と一体の診療台本体20を、最低位P1から高さ位置P2、P3を経て最高位P4に設定できる。したがって、診療台本体20の最低位をより低くできるとともに最高位をより高くできる。これにより、最低位P1を、患者が負担なく乗りやすい高さ位置に設定でき、また、最高位P4を医師が自然な姿勢で診察できる高さ位置に設定できる。その結果、患者及び医師の利便性を向上できる。
【0051】
(2)上昇作動時及び下降作動時においては、ガイド部7が第1、第2、及び第3部材1、2、3の移動をガイドするので、これらの部材1、2、3を安定した状態で移動させることができる。
【0052】
しかも、ガイド部7は2つが並設されているので、診療台本体20の昇降中の回転を防止でき、上記部材1、2、3をより安定した状態で移動させることができる。
【0053】
また、ガイド部7はすべり軸受からなる第1、第2、及び第3摺動機構81、82、83を有しているので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73を円滑に且つ安定した状態で摺動させることができる。その結果、上記部材1、2、3を円滑に且つ安定した状態で移動させることができる。
【0054】
更に、第1、第2、及び第3摺動機構81、82、83は、それぞれ、上下の2箇所に設けられており、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は、それぞれ、第1、第2、及び第3摺動機構81、82、83に常に接しながら摺動するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73をより円滑に且つより安定した状態で摺動させることができる。その結果、上記部材1、2、3をより円滑に且つより安定した状態で移動させることができる。
【0055】
(3)第1、第2、及び第3作動部4、5、6の各々が、同じ構成のシリンダ機構からなっており、負荷の軽い上段の第3作動部6から順に作動する。よって、全体的に円滑な昇降作動を実現できる。
【0056】
(4)上昇作動時においては、供給経路91を介して第3作動部6、第2作動部5、及び第1作動部4がこの順に作動するので、1段階毎の上昇作動を確実に実行できる。しかも、各作動部4、5、6においてショックは発生せず、また、第3部材3が最高位P4まで上昇する直前の各作動部4、5、6の作動は緩やかになる。したがって、全体的な上昇作動を確実に且つ円滑に実行できる。
【0057】
(5)下降作動時においては、供給経路91を介して第1作動部4、第2作動部5、及び第3作動部6がこの順に作動するので、1段階毎の下降作動を確実に実行できる。しかも、各作動部4、5、6においてショックは発生しない。したがって、全体的な下降作動を円滑に且つ確実に実行できる。
【0058】
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。図12は、第3部材3が最高位P4に位置した状態を示している。
【0059】
本実施形態の医療用診療台100Aの昇降機構30Aでは、第2作動部5A及び第3作動部6Aが、第1実施形態の第2作動部5及び第3作動部6とは異なっており、また、油圧ポンプ90が、供給経路91Aを介して第1作動部4のみに連通されているが、第1作動部4及びその他の構成は第1実施形態と同じである。図12においては、第1実施形態と同じ構成要素に同じ符号を付している。
【0060】
すなわち、第1作動部4は、油圧式の第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構は、上下方向に設けられた第1シリンダ41と、第1シリンダ41内を上下方向に摺動する第1ピストンロッド42とを有している。第1シリンダ41は、基台10のフランジ101に固定されている。第1ピストンロッド42の上端421は、第1部材1に固定されている。
【0061】
第2作動部5Aは、第1定滑車51Aと第1紐体52Aとからなっている。第1定滑車51Aは、第1部材1に固定されている。第1紐体52Aは、第1定滑車51Aに掛けられており、一端561が基台10に固定されており、他端562が第2部材2から垂下されたアーム201の下端に固定されている。
【0062】
第3作動部6Aは、第2定滑車61Aと第2紐体62Aとからなっている。第2定滑車61Aは、第2部材2に固定されている。第2紐体62Aは、第2定滑車61Aに掛けられており、一端661が第1部材1に固定されており、他端662が第3部材3から垂下されたアーム301の下端に固定されている。
【0063】
上記構成の医療用診療台100Aは、例えば次のように作動する。
【0064】
(上昇作動)
第3部材3が最低位P1に位置している状態において、足操作部99(図1)の上昇スイッチを踏み操作すると、油圧ポンプ90が作動して作動油が吐出される。
【0065】
作動油は、供給経路91Aを介して第1シリンダ41へ供給される。これにより、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を上昇する。これにより、第1部材1が上昇し、第1部材1と共に第1定滑車51Aが上昇し、それに伴って他端562が上昇し、それに伴って第2部材2が上昇し、第2部材2と共に第2定滑車61Aが上昇し、それに伴って他端662が上昇し、それに伴って第3部材3が上昇する。その結果、第3部材3が高さ位置P2、P3を経て、最高位P4まで上昇する。こうして、診療台本体20が、最低位P1から最高位P4へ設定される。
【0066】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら上昇し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら上昇し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら上昇するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は、円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0067】
また、第1ピストンロッド42は、スプリング45の反発を受けるので、まず、第1シリンダ41の略上端まで上昇し、その後、スプリング45を圧縮しながら、第1シリンダ41の上限まで緩やかに上昇する。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の上栓43との衝突は回避される。よって、第1作動部4の上昇作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0068】
したがって、本実施形態の昇降機構30Aの上昇作動は、円滑に且つ安定した状態で、しかも、ショックを発生させることなく行われる。
【0069】
(下降作動)
図12の状態において、足操作部99(図1)の下降スイッチを踏み操作すると、供給経路91中の電磁弁が開放され、作動油は、診療台本体20の自重によって第1シリンダ41内から排出され始める。
【0070】
作動油は、供給経路91Aを介して第1シリンダ41から排出される。これにより、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を下降する。これにより、第1部材1が下降し、第1部材1と共に第1定滑車51Aが下降し、それに伴って他端562が下降し、それに伴って第2部材2が下降し、第2部材2と共に第2定滑車61Aが下降し、それに伴って他端662が下降し、それに伴って第3部材3が下降する。その結果、第3部材3が高さ位置P3、P2を経て、最低位P1まで下降する。こうして、診療台本体20が、最高位P4から最低位P1へ設定される。
【0071】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら下降し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら下降し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら下降するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は、円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0072】
また、第1シリンダ41の下栓44の給排機構が、第1実施形態の場合と同様に作動するため、第1ピストンロッド42は、まず、第1シリンダ41内の略下端まで下降し、その後、第1シリンダ41内の下限まで緩やかに下降する。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の下栓44との衝突は回避される。よって、第1作動部4の下降作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0073】
したがって、本実施形態の昇降機構30Aの下降作動は、円滑に且つ安定した状態で、しかも、ショックを発生させることなく行われる。
【0074】
上記構成の診療台100Aによれば、次のような効果を発揮できる。
【0075】
(1)第3部材3と一体の診療台本体20を最低位P1から高さ位置P2、P3を経て最高位P4に設定できる。したがって、第1実施形態と同様に、患者及び医師の利便性を向上できる。
【0076】
(2)上昇作動時及び下降作動時において、ガイド部7が、第1実施形態と同様に作動する。したがって、第1実施形態と同様に、第1、第2、及び第3部材1、2、3をより円滑に且つより安定した状態で移動させることができる。
【0077】
(3)上昇作動時に、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の上栓43との衝突を回避できるので、衝突によるショックの発生を防止できる。また、下降作動時に、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の下栓44との衝突を回避できるので、衝突によるショックの発生を防止できる。したがって、昇降作動をショックを発生させることなく実行できる。
【0078】
(4)第2作動部5Aが第1定滑車51Aと第1紐体52Aとからなっており、第3作動部6Aが第2定滑車61Aと第2紐体62Aとからなっているので、作動部全体の構成を簡素化できる。
【0079】
(5)上昇作動時においては、第1作動部4の作動と共に、第2作動部5A及び第3作動部6Aも作動するので、第3部材3を短時間で最高位P4まで上昇させることができる。下降作動時においても、同様に、第3部材3を短時間で最低位P1まで下降させることができる。
【0080】
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。図13は、第3部材3が最高位P4に位置した状態を示している。
【0081】
本実施形態の医療用診療台100Bの昇降機構30Bでは、第2作動部5B及び第3作動部6Bが、第1実施形態の第2作動部5及び第3作動部6とは異なっており、また、油圧ポンプ90が、供給経路91Aを介して第1作動部4のみに連通されており、また、第1リンク機構4Bを備えているが、第1作動部4及びその他の構成は、第1実施形態と同じである。図13においては、第1実施形態と同じ構成要素に同じ符号を付している。
【0082】
すなわち、第1作動部4は、油圧式の第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構は、上下方向に設けられた第1シリンダ41と、第1シリンダ41内を上下方向に摺動する第1ピストンロッド42とを有している。第1シリンダ41は、基台10のフランジ101に固定されている。第1ピストンロッド42の上端421は、第1部材1に固定されている。
【0083】
第1部材1には、第1リンク機構41Bが設けられている。第1リンク機構41Bは、パンタグラフの形態を有しており、第1部材1の昇降作動に連動して伸縮作動するように構成されている。具体的には、第1リンク機構41Bにおいて、下端461は基台10に固定されており、上端462は第1部材1に固定されている。
【0084】
第2作動部5Bは、第2リンク機構51Bからなっている。第2リンク機構51Bは、パンタグラフの形態を有しており、第1リンク機構41Bの伸縮作動に連動して、第1部材1に対して第2部材2を昇降させるように伸縮作動するように構成されている。具体的には、第2リンク機構51Bにおいて、下端561は第1部材1に固定されており、上端562は第2部材2に固定されている。
【0085】
第3作動部6Bは、第3リンク機構61Bからなっている。第3リンク機構61Bは、パンタグラフの形態を有しており、第2リンク機構51Bの伸縮作動に連動して、第2部材2に対して第3部材3を昇降させるように伸縮作動するように構成されている。具体的には、第3リンク機構61Bにおいて、下端661は第2部材2に固定されており、上端662は第3部材3に固定されている。
【0086】
上記構成の医療用診療台100Bは、例えば次のように作動する。
【0087】
(上昇作動)
第3部材3が最低位P1に位置している状態において、足操作部99(図1)の上昇スイッチを踏み操作すると、油圧ポンプ90が作動して作動油が吐出される。
【0088】
作動油は、供給経路91Aを介して第1シリンダ41へ供給される。これにより、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を上昇する。これにより、第1部材1が上昇し、それに伴って第1リンク機構41Bが伸長し、それに連動して、第2リンク機構51B及び第3リンク機構61Bが共に伸長する。その結果、第3部材3が高さ位置P2、P3を経て最高位P4まで上昇する。こうして、診療台本体20が最低位P1から最高位P4へ設定される。
【0089】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら上昇し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら上昇し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら上昇するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は、円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0090】
また、第1ピストンロッド42は、スプリング45の反発を受けるので、まず、第1シリンダ41の略上端まで上昇し、その後、スプリング45を圧縮しながら、第1シリンダ41の上限まで緩やかに上昇する。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の上栓43との衝突は回避される。よって、第1作動部4の上昇作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0091】
したがって、本実施形態の昇降機構30Bの上昇作動は、円滑に且つ安定した状態で、しかも、ショックを発生させることなく行われる。
【0092】
(下降作動)
図13の状態において、足操作部99(図1)の下降スイッチを踏み操作すると、供給経路91中の電磁弁が開放され、作動油は、診療台本体20の自重によって第1シリンダ41内から排出され始める。
【0093】
作動油は、供給経路91Aを介して第1シリンダ41から排出される。これにより、第1作動部4が作動し、すなわち、第1ピストンロッド42が第1シリンダ41内を下降する。これにより、第1部材1が下降し、それに伴って第1リンク機構41Bが収縮し、それに連動して、第2リンク機構51B及び第3リンク機構61Bが共に収縮する。その結果、第3部材3が高さ位置P3、P2を経て最低位P1まで下降する。こうして、診療台本体20が最高位P4から最低位P1へ設定される。
【0094】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら下降し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら下降し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら下降するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は、円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0095】
また、第1シリンダ41の下栓44の給排機構が、第1実施形態の場合と同様に作動するため、第1ピストンロッド42は、まず、第1シリンダ41内の略下端まで下降し、その後、第1シリンダ41内の下限まで緩やかに下降する。そのため、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の下栓44との衝突は回避される。よって、第1作動部4の下降作動において、上記衝突によるショックは発生しない。
【0096】
したがって、本実施形態の昇降機構30Bの下降作動は、円滑に且つ安定した状態で、しかも、ショックを発生させることなく行われる。
【0097】
上記構成の診療台100Bによれば、次のような効果を発揮できる。
【0098】
(1)第3部材3と一体の診療台本体20を最低位P1から高さ位置P2、P3を経て最高位P4に設定できる。したがって、第1実施形態と同様に、患者及び医師の利便性を向上できる。
【0099】
(2)上昇作動時及び下降作動時において、ガイド部7が第1実施形態と同様に作動する。したがって、第1実施形態と同様に、第1、第2、及び第3部材1、2、3をより円滑に且つより安定した状態で移動させることができる。
【0100】
(3)上昇作動時に、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の上栓43との衝突を回避できるので、衝突によるショックの発生を防止できる。また、下降作動時に、第1ピストンロッド42のピストン421と第1シリンダ41の下栓44との衝突を回避できるので、衝突によるショックの発生を防止できる。したがって、昇降作動をショックを発生させることなく実行できる。
【0101】
(4)第1リンク機構41Bを備えてはいるが、第2作動部5Bが第2リンク機構51Bからなっており、第3作動部6Bが第3リンク機構61Bからなっているので、作動部全体の構成を簡素化できる。
【0102】
(5)上昇作動時においては、第1作動部4の作動と共に、第2作動部5B及び第3作動部6Bも作動するので、第3部材3を短時間で最高位P4まで上昇させることができる。下降作動時においても、同様に、第3部材3を短時間で最低位P1まで下降させることができる。
【0103】
[第4実施形態]
図14は、本発明の第4実施形態の医療用診療台の昇降機構を示す正面断面図である。図14は、第3部材3が最高位P4に位置した状態を示している。
【0104】
本実施形態の医療用診療台100Cの昇降機構30Cでは、第1実施形態の第1、第2、及び第3作動部4、5、6の全てが、1つの同軸多段シリンダ機構4Cで構成されており、また、油圧ポンプ90が、供給経路91Cを介して同軸多段シリンダ機構4Cに連通されており、その他の構成は第1実施形態と同じである。図14においては、第1実施形態と同じ構成要素に同じ符号を付している。
【0105】
同軸多段シリンダ機構4Cは、第1シリンダ41C、第2シリンダ51C、第3シリンダ61C、及び1本のピストンロッド42Cを備えている。そして、同軸多段シリンダ機構4Cにおいて、第1実施形態の第1作動部4に相当するのは、第1シリンダ41C及び第2シリンダ51Cであり、第1実施形態の第2作動部5に相当するのは、第2シリンダ51C及び第3シリンダ61Cであり、第1実施形態の第3作動部6に相当するのは、第3シリンダ61C及びピストンロッド42Cである。第1シリンダ41Cは、基台10に固定されている。第2シリンダ51Cは、第1シリンダ41C内を上下に移動可能に設けられており、上端571が第1部材1に固定されている。第3シリンダ61Cは、第2シリンダ51C内を上下に移動可能に設けられており、上端671が第2部材2に固定されている。ピストンロッド42Cは、第3シリンダ61C内を上下に移動可能に設けられており、上端771が第3部材3に固定されている。
【0106】
上記構成の医療用診療台100Cは、例えば次のように作動する。
【0107】
(上昇作動)
第3部材3が最低位P1に位置している状態において、足操作部99(図1)の上昇スイッチを踏み操作すると、油圧ポンプ90が作動して作動油が吐出される。
【0108】
作動油は、供給経路91Cを介して同軸多段シリンダ機構4Cへ供給される。これにより、第2シリンダ51Cが上昇し、次いで、第3シリンダ61Cが上昇し、最後に、ピストンロッド42Cが上昇する。その結果、第3部材3が高さ位置P2、P3を経て最高位P4まで上昇する。こうして、診療台本体20が最低位P1から最高位P4へ設定される。
【0109】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら上昇し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら上昇し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら上昇するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は円滑に且つ安定した状態で上昇する。
【0110】
したがって、本実施形態の昇降機構30Cの上昇作動は、円滑に且つ安定した状態で行われる。
【0111】
(下降作動)
図14の状態において、足操作部99(図1)の下降スイッチを踏み操作すると、供給経路91中の電磁弁が開放され、作動油は、診療台本体20の自重によって同軸多段シリンダ機構4Cから排出される。
【0112】
作動油が、供給経路91Cを介して同軸多段シリンダ機構4Cから排出されていくと、第2シリンダ51Cが下降し、次いで、第3シリンダ61Cが下降し、最後に、ピストンロッド42Cが下降する。その結果、第3部材3が高さ位置P3、P2を経て最低位P1まで下降する。こうして、診療台本体20が最高位P4から最低位P1へ設定される。
【0113】
このとき、2つのガイド部7においては、第1筒体71が上下の2箇所の第1摺動機構81に常に接しながら、固定筒体70内を摺動しながら下降し、また、第2筒体72が上下の2箇所の第2摺動機構82に常に接しながら、第1筒体71内を摺動しながら下降し、また、第3筒体73が上下の2箇所の第3摺動機構83に常に接しながら、第2筒体72内を摺動しながら下降するので、第1、第2、及び第3筒体71、72、73は円滑に且つ安定した状態で下降する。
【0114】
したがって、本実施形態の昇降機構30Cの下降作動は円滑に且つ安定した状態で行われる。
【0115】
上記構成の診療台100Cによれば、次のような効果を発揮できる。
【0116】
(1)第3部材3と一体の診療台本体20を最低位P1から高さ位置P2、P3を経て最高位P4に設定できる。したがって、第1実施形態と同様に、患者及び医師の利便性を向上できる。
【0117】
(2)上昇作動時及び下降作動時において、ガイド部7が第1実施形態と同様に作動する。したがって、第1実施形態と同様に、第1、第2、及び第3部材1、2、3を、より円滑に且つより安定した状態で移動させることができる。
【0118】
(3)第1実施形態の全ての作動部4、5、6を1個の同軸多段シリンダ機構4Cで構成しているので、作動部全体の構成を簡素化できる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の医療用診療台は患者及び医師の利便性を向上できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0120】
1 第1部材 2 第2部材 3 第3部材 4 第1作動部 41 第1シリンダ 42 第1ピストンロッド 41B 第1リンク機構 4C 同軸多段シリンダ機構 41C 第1シリンダ 42C ピストンロッド 45、55、65 スプリング 5 第2作動部 51 第2シリンダ 52 第2ピストンロッド 51A 第1定滑車 52A 第1紐体 561 一端 562 他端 51B 第2リンク機構 51C 第2シリンダ 571 上端 6 第3作動部 61 第3シリンダ 62 第3ピストンロッド 61A 第2定滑車 62A 第2紐体 661 一端 662 他端 61B 第3リンク機構 61C 第3シリンダ 671 上端 7 ガイド部 70 固定筒体 71 第1筒体 72 第2筒体 73 第3筒体 771 上端 81 第1摺動機構 82 第2摺動機構 83 第3摺動機構 10 基台 20 診療台本体 30、30A、30B、30C 昇降機構 90 油圧ポンプ 91 供給経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、基台の上方に位置する診療台本体と、診療台本体を昇降させる昇降機構と、を備えている、医療用診療台において、
昇降機構が、
第1部材、第2部材、及び第3部材と、
第1作動部、第2作動部、及び第3作動部と、
ガイド部と、
を備えており、
第3部材は、診療台本体と一体となっており、
第1作動部は、第1部材を基台の上方において昇降させるように、基台に設けられており、
第2作動部は、第2部材を第1部材の上方において昇降させるように、第1部材に設けられており、
第3作動部は、第3部材を第2部材の上方において昇降させるように、第2部材に設けられており、
ガイド部は、
基台に上下方向に設けられた固定筒体と、
第1部材の昇降作動を基台に対してガイドするように、固定筒体に第1摺動機構を介して内装された、第1筒体と、
第2部材の昇降作動を第1部材に対してガイドするように、第1筒体に第2摺動機構を介して内装された、第2筒体と、
第3部材の昇降作動を第2部材に対してガイドするように、第2筒体に第3摺動機構を介して内装された、第3筒体と、
を備えており、
ガイド部の上記摺動機構が、すべり軸受からなっている、
ことを特徴とする医療用診療台。
【請求項2】
第1作動部が、第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構が、基台に固定された第1シリンダと、上端が第1部材に固定された第1ピストンロッドと、を有しており、
第2作動部が、第2シリンダ機構からなっており、第2シリンダ機構が、第1部材に固定された第2シリンダと、上端が第2部材に固定された第2ピストンロッドと、を有しており、
第3作動部が、第3シリンダ機構からなっており、第3シリンダ機構が、第2部材に固定された第3シリンダと、上端が第3部材に固定された第3ピストンロッドと、を有している、
請求項1記載の医療用診療台。
【請求項3】
第1作動部が、第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構が、基台に固定された第1シリンダと、上端が第1部材に固定された第1ピストンロッドと、を有しており、
第2作動部が、第1部材に固定された第1定滑車と、一端が基台に固定され且つ他端が第2部材に固定され、第1定滑車に掛けられた、第1紐体と、からなっており、
第3作動部が、第2部材に固定された第2定滑車と、一端が第1部材に固定され且つ他端が第3部材に固定され、第2定滑車に掛けられた、第2紐体と、からなっている、
請求項1記載の医療用診療台。
【請求項4】
第1作動部が、第1シリンダ機構からなっており、第1シリンダ機構が、基台に固定された第1シリンダと、上端が第1部材に固定された第1ピストンロッドと、を有しており、
第1部材が、第1部材の昇降作動に連動して伸縮作動する第1リンク機構を、有しており、
第2作動部が、第1リンク機構の伸縮作動に連動して、第1部材に対して第2部材を昇降させるように伸縮作動する、第2リンク機構、からなっており、
第3作動部が、第2リンク機構の伸縮作動に連動して、第2部材に対して第3部材を昇降させるように伸縮作動する、第3リンク機構、からなっている、
請求項1記載の医療用診療台。
【請求項5】
全ての作動部が、1つの同軸多段シリンダ機構によって構成されており、
第1作動部は、基台に固定された第1シリンダと、上端が第1部材に固定されており、第1シリンダ内を上下に移動可能な、第2シリンダと、で構成されており、
第2作動部は、上記第2シリンダと、上端が第2部材に固定されており、第2シリンダ内を上下に移動可能な、第3シリンダと、で構成されており、
第3作動部は、上記第3シリンダと、上端が第3部材に固定されており、第3シリンダ内を上下に移動可能な、ピストンロッドと、で構成されている、
請求項1記載の医療用診療台。
【請求項6】
全てのシリンダ機構が、油圧式であり、
油圧ポンプからの供給経路が、上昇作動時には、作動油を、第3シリンダを経た後に第2シリンダへ送り、第2シリンダを経た後に第1シリンダへ送るように、構成されており、また、下降作動時には、作動油を、第1シリンダから排出させた後に第2シリンダから排出させ、その後に第3シリンダから排出させるように、構成されている、
請求項2記載の医療用診療台。
【請求項7】
各シリンダ機構のピストンロッドの下端部には、ピストンロッドの下端とシリンダの上壁との衝突を緩衝するための弾性部材が、設けられている、
請求項2、3、又は4に記載の医療用診療台。
【請求項8】
ガイド部の第1、第2、及び第3摺動機構が、それぞれ、少なくとも上下の2箇所に設けられている、
請求項1記載の医療用診療台。
【請求項9】
少なくとも2つのガイド部が並設されている、
請求項1記載の医療用診療台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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