説明

医療用連結装置

【課題】薬剤供給装置とコネクタの間に置くよう適合されたアダプタにおいて、装置が一方の端に固定されると、薬剤供給装置が取り外されるのを防止するアダプタを提供する。
【解決手段】アダプタは、一方の端がコアに嵌合し、他方の端が内部シュラウドに嵌合するハウジングシュラウドを含む。ハウジングシュラウドに嵌合すると、コア及び内部シュラウドのそれぞれはハウジングシュラウドから取り外しできない。コネクタが内部シュラウドに完全に結合した後には、結合方向に沿った回転移動により、内部シュラウドがハウジングシュラウドに対して自由に回転するように、キャッチ機構を構成する。コネクタを逆回転方向に回した場合に、コネクタが外れるようにキャッチ機構を構成する。内部シュラウドの連結部は、相補的コネクタを受容するよう構成され、コアの接続部は、相補的コネクタを受容するよう構成されており、適当な薬剤搬送路の患者間の構成を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体路用コネクタ、より詳細には薬剤供給装置を、患者に薬剤を供給するコネクタに連結するためのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の薬剤を収容する装置への液体ラインの誤接続を防止するため、従来技術では、コネクタを2つの部分で構成し、これら部分を相補的に構成された対合面により接続することが行われている。かかる二部分コネクタは、コネクタの一方の部分からの一方のラインが誤って異なる薬剤ラインに接続されないようにしている。かかる相補的接続部からなる締結機構は、特許文献1及びその親出願である特許文献2に開示されている。特許文献1は、特にコネクタの一方の部分がシリンジから外れ、このシリンジに他方の部分が接続されることを防止又は阻害するラチェット機構を、コネクトの部品として開示している。実際には、ラチェット機構は、外部スリーブの内面にある歯と、外部スリーブに嵌合する内部体の爪との相互作用に依存するものであるから、シリンジを強制的に締め付けると、内部体が外部スリーブから外れ出てしまう。さらに、特許文献1に記載されているように、ラチェット機構は、外部スリーブ及び内部体の相対回転を完全には切り離さないコネクタの一部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,612,624号明細書
【特許文献2】米国特許第6,402,207号明細書
【発明の概要】
【0004】
この発明のアダプタは、薬剤供給装置とコネクタの間に置くよう適合されたものである。このアダプタは、装置がアダプタの一方の端に固定されると、薬剤供給装置がこれから取り外されるのを防止するよう構成されている。アダプタの他方の端は、コネクタを受容するよう構成される。コネクタは一方向に自由に回転可能にアダプタに接続される。完全に接続されると、同一方向に沿ったさらなる回転移動により、コネクタがアダプタに対して自由に回転する。逆方向への回転移動により、コネクタはアダプタから取り外される。
【0005】
この発明のアダプタは、内周ハブキャッチを有する外部円筒スリーブ又はハウジングシュラウドを含む。さらに、複数の隆起がハウジングシュラウドの内壁からシュラウドの中心軸線に向かって延びる。このハウジングシュラウドには、シュラウドの遠位端に形成された円周溝にスナップ結合する遠位端に隣接して円周に形成された突起を有する円筒状内部シュラウドが嵌合する。内部シュラウド及びハウジングシュラウドは、互いに対して回転可能である。
【0006】
複数の歯が、内部シュラウドの近位端から延びる。所定の力で付勢されると、内部シュラウドのこれらの歯は、ハウジングシュラウドの内壁から延びる隆起に対抗して作動し、ハウジングシュラウドに対する内部シュラウドの回転を防止する。延在歯は、歯が隆起に対抗して作動することを防止する傾斜面を有しているので、付勢力が取り除かれると、2つのシュラウドが互いに対して自由に回転可能となる。内部シュラウドは、コネクタの、特殊加工された接続端を受容するために内側にねじ切りされていてもよい。
【0007】
この発明のアダプタの第3の部品は、他方の端からハウジングシュラウドに嵌合するコアである。コアは、面取りしたフランジ及び環状のフランジにより画定された円筒状中央部を有する。この円筒状中央部は、面取りされたフランジを通過させるが、逆側が平らとなっている面取りフランジが逆方向に通過することを防止するよう構成された多数のフィンガを有する、ハウジングシュラウドのハブキャッチに結合する。しがたって、コアの中央部がハブキャッチと結合すると、コアは、ハウジングシュラウドに回転不能に嵌合するが、これに対して自由に回転可能になる。コアの円筒状中央部及びハブキャッチのフィンガにより形成される開口のそれぞれの大きさは、コアがハウジングシュラウドに対して自由に回転できるように構成される。ハウジングシュラウドに嵌合するコアにより、薬剤供給装置をコアの近位端に結合することができる。
【0008】
薬剤供給装置のコネクタ、例えばルアーコネクタは、シリンジ等の薬剤供給装置をコアの近位コネクタに結合させる。薬剤供給装置がコアに結合すると、ユーザが薬剤供給装置に逆向きのトルクを加えることにより、薬剤供給装置をコアから取り外そうとした場合に、コアは逆向きのトルクの方向に沿って自由に回転する。したがって、薬剤供給装置の、アダプタからの取り外しが防止される。薬剤供給装置がコアに結合する方向にさらにトルクを加えても、コアはシュラウドに対しても自由に回転するので、さらに堅くしまることはない。したがって、薬剤供給装置は、コアに結合した後には、これから取り外すことができない。
【0009】
したがって、この発明は、薬剤供給装置及び薬剤を患者に供給するためのコネクタとともに用いるアダプタに関する。アダプタは、ハウジングシュラウド及びハウジングシュラウドに嵌合する内部シュラウドを含む。内部シュラウドは、コネクタの結合端を受容して、コネクタが内部シュラウドに結合すると、これが一方向には自由に回転するが、逆方向に回転した場合には内部シュラウドから取り外しできるようにする開口を有する。アダプタは、ハウジングシュラウドに嵌合して、薬剤を薬剤供給装置からコネクタに導くことを可能とするコアをさらに含む。コアは、薬剤供給装置のアダプタへの接続を可能とする近位端を有する。薬剤供給装置は、アダプタに接続されると、これから取り外すことができない。
【0010】
また、この発明は、2つの開口端を有するシュラウドと、このシュラウドの一方の開口端に取り外し不能に嵌合する内部シュラウドの組み合わせにも関する。内部シュラウドは、これを所定の薬剤運搬コネクトに結合することを可能とするコネクタ端を有する。内部シュラウドは、所定のコネクタがこれに結合すると、一方向に自由に回転可能である。この組み合わせは、シュラウドの他方の端に取り外し不能に嵌合したコアをさらに含む。コアは、コアを薬剤供給装置のルアーコネクタに結合可能にする貫通路及びコネクタ端を有する。薬剤供給装置は、コアのコネクタ端に結合すると、コアから取り外し不能となる。
【0011】
また、この発明は、薬剤を所定の薬剤供給装置から導く方法にも関し、この方法は、所定の薬剤運搬コネクタを提供するステップと、一方及び他方の開口端を備えるシュラウドを有するアダプタを提供するステップと、シュラウドの一方の端に取り外し不能に内部シュラウドを嵌合するステップと、シュラウドの他方の端に取り外し不能にコアを嵌合するステップを含む。内部シュラウドは、内部シュラウドを所定の薬剤運搬コネクタに結合可能にするコネクタ端を有し、コアは、薬剤供給装置がコネクタ端に結合すると、コアから取り外し不能である薬剤供給装置のコネクタにコアを結合可能にする貫通路及びコネクタ端を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】薬剤を患者に送る全体的な経路の例を、種々の部品とともに示す概略図である。
【図2】部品を揃えてあるが組み立てていない状態のこの発明のアダプタと、薬剤を患者に搬送するためのコネクタの斜視図である。
【図3】部品を組み立てた状態のこの発明のアダプタの斜視図である。
【図4A】この発明のアダプタのハウジングシュラウドを示す図である。
【図4B】この発明のアダプタのハウジングシュラウドを示す他の図である。
【図4C】この発明のアダプタのハウジングシュラウドを示す他の図である。
【図4D】この発明のアダプタのハウジングシュラウドを示す他の図である。
【図5A】この発明のアダプタの内部シュラウドを示す図である。
【図5B】この発明のアダプタの内部シュラウドを示す他の図である。
【図5C】この発明のアダプタの内部シュラウドを示す他の図である。
【図5D】この発明のアダプタの内部シュラウドを示す他の図である。
【図6A】この発明のアダプタのコアを示す図である。
【図6B】この発明のアダプタのコアを示す他の図である。
【図6C】この発明のアダプタのコアを示す他の図である。
【図6D】この発明のアダプタのコアを示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面とともにこの発明の以下の説明を参照することにより、この発明は明確になり、かつ、最もよく理解されるであろう。
【0014】
図1に示すように、この発明のアダプタ2は、コネクタ4に接続されており、このコネクタは2つの部分6及び8を含んで示されている。部分6は所定のコネクタ端10を有し、このコネクタ端10は、これをアダプタ2に結合可能にする一対の突起12を有する。また、コネクタ端10は、図1に示すフィルタ14のルアーコネクタ16等のコネクタのメス端に接続することができる。フィルタ14をコネクタ4とアダプタ2の間に挿入して、例えばシリンジ又はポンプ等の薬剤供給装置からコネクタ4に流れる薬剤又は液体中に存在する場合のある汚染物質をろ過する。ルアーコネクタ16に加えて、フィルタ14はコネクタ4のコネクタ端4の構造と同様の構造を有する第2のコネクタ18も有しており、フィルタをアダプタ2に接続可能にする。
【0015】
図1に示す実施態様において、部分6に接続されていないコネクタ4の部分8の端は、カテーテルの一方の端が嵌合する開口20を有する。カテーテルの他方の端は、患者に接続される。したがって、薬剤等の液体は、コネクタ4から患者に搬送され得る。コネクタ4の部分6及び8は、それぞれ相補的な対合面を有しているので、部分6及び8のみが互いに連結することができる。これにより、これらの部分のいずれか一方を違う半部に誤って連結することが回避され、不適切な薬剤がカテーテルを介して患者に搬送されることを防止する。ろ過の目的で図1の実施態様にフィルタ14を設けているが、この発明の実施には必須ではなく、このことは、図2の実施態様に示したように、コネクタ4を直接アダプタ2に連結していることからも分かる。
【0016】
搬送中及び使用前に、滅菌性を維持するために、キャップ22を用いてコネクタ4のコネクタ端10を覆ってもよい。同様に、フィルタ14のコネクタ18をキャップ24で覆ってもよい。コネクタ端10と同一の構成を有することのできるコネクタ端を有するプラグ26を用いて、図1に示すように、フィルタ14のコネクタ18に対向するアダプタ2の端部開口を覆う。コネクタ4の部分6及び8の相補的対合面のより詳細な説明は、前記の特許文献1の開示から得ることができ、この文献の開示を本願に援用する。
【0017】
図2を参照し、アダプタ2は、2つの対向する開口端32及び34を備える円筒状の外部ハウジングスリーブ又はハウジングシュラウド30を含むように示されている。アダプタ2は、その開口32によりハウジングシュラウド30に嵌合するインサート又は内部シュラウド36をさらに有する。この発明のアダプタ2の第3の部品は、ハウジングシュラウド30にその開口34によって嵌合するコアインサート又は単なるコア38を備える。
【0018】
図3は、アダプタ2を、内部シュラウド36及びコア38をそれぞれハウジングシュラウド30に嵌合して結合した組み立て状態で示す。
【0019】
ハウジングシュラウド30の斜視図を図4Aに示す。図4B及び4Cの断面図並びに図4Dの端面図とともに、ハウジングシュラウド30は、第1の、すなわち遠位端32及び第2の、すなわち近位端34を有するように示されている。図4B及び4Cに最もよく示されているように、延在フィンガ42で構成されるハブキャッチ40をハウジングシュラウド30の近位端に設ける。フィンガ42のそれぞれは、円筒状ハウジングシュラウド30の長手方向軸線46に向かって延びるフィンガ先端44を有しており、近位開口34よりも径の小さな開口48を形成する。ハブキャッチ48を形成するフィンガ先端44は、開口34の方向に面取りされているが、開口32の方向から見ると依然として平らであるハウジングシュラウド30の遠位開口32には、リップ50がある。開口32は位置52で直径が減少する。開口32から見た図4Dの端面図から分かるように、フィンガ42のそれぞれは、フィンガ先端44により最もよく表わされており、開口34を介してハウジングシュラウド30にコア38を挿入した際にフィンガにさらなる可撓性を付与するノッチ54により隣接するフィンガから分離されている。長手方向軸線46に向かって内側に延びる複数の隆起56を、図4B及び4Cの断面図と同様に、図4Dにも示す。
【0020】
図5A〜5Dは、この発明のアダプタの内部シュラウド36を示す。図示のように、内部シュラウド36は、遠位端54から近位端56まで延びる貫通孔53を有する。遠位端には、外面に環状に形成された突起58がある。外部壁60は遠位端54から近位端56まで延び、長手方向で近位端56から遠ざかって延びる複数の歯62で終わる。各歯は頂点62a、傾斜部62r及び直立部62uを有する。各歯は、空間64により隣接する歯から分離される。内部シュラウド36は、近位開口54からシュラウドの主要部を貫く、符号66で示される領域の内部にねじ切りがされている。
【0021】
この発明のアダプタのコア38は図6A〜6Dに最もよく示されている。コア38は、例えばシリンジ又は医療用ポンプ等の薬剤供給装置のルアー端に連結可能とするルアー接続具68の形状のコネクタ端を近位部に含む。ハウジングシュラウド30の近位開口34と実質的に同じ大きさの直径を有する環状フランジ70がコア38の近位部から延びている。円筒状中心部72が、フランジ70から、フランジ70に対向する平らな背面76を有するショルダーフランジ74まで延びる。ショルダーフランジ74は、その表面78に沿って傾斜して面取りされており、ショルダーフランジ74の最も幅広の部分が、遠位オス部80に接合するまで、長手軸線46に向かって内向きに傾斜して延びる。コア38を貫く孔が、遠位端80の先端から、コア38の近位端にある開口まで延びる。
【0022】
組み合わせて、この発明のアダプタは、ハウジングシュラウド30に、その近位開口34にコアを、その遠位開口32に内部シュラウド36を嵌合する。図4A〜4D、5A〜5D及び6A〜6Cを参照し、内部シュラウド36がハウジングシュラウド30に結合されることが分かる。より具体的には、内部シュラウド36の環状隆起58は、ハウジングシュラウド30の遠位端にある空間51に、押し込み又はスナップ嵌合される。内部シュラウド36の断面寸法を、ハウジングシュラウド30の空間51内に嵌合するように構成されているので、隆起58が移動可能に空間51に結合し、リップ50により保持されると、内部シュラウド36はハウジングシュラウド30からもはや取り外しできない。内部シュラウド36の隆起58は、半径減少位置52とリップ50の間の空間51内で滑動可能である。
【0023】
コネクタ4が内部シュラウド36の開口54を介してアダプタ2に連結されると、内部シュラウド36は、ハウジングシュラウド30に対して方向矢印86(図4B)により示される方向に付勢され得る。コネクタ4が内部シュラウド36にねじ結合されると、ユーザにより力が加えられ、すなわちコネクタ4のコネクタ端10を内部シュラウド36の内側ねじ部に固定する方向のトルクが加えられる。トルク力は、前方付勢力と組み合わせられ、内部シュラウド36を方向矢印86の方向に沿って押し、内部シュラウド36の歯62を、ハウジングシュラウド30の内部に形成された隆起56と接触させる。次いで、隆起56は逆転防止装置として作用し、ユーザがコネクタ10を内部シュラウド36に、したがってアダプタ2にねじ結合できるようにする。
【0024】
コネクタ端10が内部シュラウド36のねじ部66に完全に結合した後には、コネクタ4が固定トルク移動の方向にさらに回転した場合に、歯62の斜面部62rが歯62を隆起56から遠ざかるよう案内するので、内部シュラウド36が引き離され自由に回転する。しかし、コネクタ4を内部シュラウド36に結合する方向とは反対の方向に内部シュラウド36を回転するために、コネクタ4に逆向きのトルクが加えられた場合には、各歯62の後部62bが、対応する隆起56の側面に対抗して作用し、ハウジングシュラウド30に対する内部シュラウド36の回転を防止するので、コネクタ4は内部シュラウド36から取り外し可能である。この結果、コネクタ4は、これをアダプタ2にねじ込むのに必要な回転とは逆方向に回転した場合に、アダプタ2から取り外し可能である。
【0025】
コア38は、その近位開口34を介してハウジングシュラウド30に嵌合される。コア38がハウジングシュラウド30に押し込まれると、前方に傾斜しているショルダ74の面取り面によって、特に隣接するフィンガ44はスロット54により分離されているので、ハウジングシュラウド30のキャッチフィンガ44を若干曲げることが容易となり、ショルダ76をキャッチハブ48の開口48に通すことができる。ショルダ74が完全にフィンガ42のキャッチ44を通過すると、ショルダ74の背面は平らであるので、キャッチハブ48により、より詳細には複数のフィンガ42により、コア38がハウジングシュラウド30から外れたり分離したりすることを防止する。
【0026】
遠位開口34は、図4B及び4Cの断面図に最もよく示されているように、フランジ70と同じ直径の断面35を有する。開口34のリッジ37は、フランジ70が方向矢印88の方向でハウジングシュラウド30内にさらに押し込まれることを防止する。したがって、コア38がハウジングシュラウド30に嵌合すると、これは取り外し不能に嵌合する。円筒状中央部72はショルダ76とフランジ70に挟まれており、これはハウジングシュラウド30の近位部に配置される。
【0027】
コア38のノーズ部80は、図3に最もよく示されているように、ハウジングシュラウド30の空間51内に配置できるような長さとなるように構成される。このように配置されると、ノーズ部80は、コネクタ4が内部シュラウド36に結合された場合に、コネクタ4のコネクタ端10に結合するよう適合可能である。コネクタ4が内部シュラウド36に結合すると、コネクタ4の開口20からコア38の開口84まで延びる貫通路が構成されるので、薬剤等の液体が薬剤供給装置からコネクタに、そしてコネクタからこれにカテーテルを通って患者に送ることができる。
【0028】
コア38は、キャッチハブ42に回転可能に装着された中央部72により取り外し不能にハウジングシュラウド30に接続されているので、コア38はハウジングシュラウド30に対して時計回り及び反時計回りのいずれにも自由に回転可能である。ハウジングシュラウド30及びコア38の間に所定の摩擦を生じさせるようにハウジングシュラウド30の近位開口34及びフランジ70のそれぞれの大きさを加工して、ユーザが、従来のシリンジ又は薬剤ポンプのコネクタ等の薬剤供給装置をコア38のルアーコネクタ68に容易に接続できるようにすることができる。しかし、シリンジがコア38に完全に連結されると、コア38はハウジングシュラウド30に対して自由に回転可能であることから、薬剤供給装置に加えられる回転動作はハウジングシュラウド30に対してコア38を自由に回転させるので、薬剤供給装置をアダプタ2から取り外すことはもはやできない。
【0029】
このように、薬剤供給装置をコア38のルアーコネクタ端68に連結した後には、薬剤供給装置のアダプタ2からの取り外しが防止されることにより、この発明のアダプタは、薬剤供給装置内の薬剤を、アダプタのコネクタ端にのみ正確に結合することのできるコネクタ端、すなわち説明した実施態様の内部シュラウド36のねじ付コネクタ部66を有するコネクタのみに搬送できることを確実にする。無論、コネクタ4が異なる構成のコネクタ端10を有する場合には、内部シュラウド36と適切に結合するために、内部シュラウド36に対応するコネクタ端が必要である。したがって、この発明のアダプタ2は、薬剤供給装置を適当なコネクタに連結する橋渡しを提供し、これによって正しい薬剤を患者に搬送するための正しい液体経路が構成されることを確実にすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容するシリンジと患者に薬剤を供給するためのコネクタ(4)との間に流体路を確立する装置において、
前記シリンジのコネクタ端に接続される第1の接続具(68)と、
貫通孔(53)を有し、前記コネクタ(4)のコネクタ端(10)に結合する内側ねじ部(66)と、
対向する開口端(32、34)を有する円筒状ハウジング(30)であって、一方の開口端(32)は前記内側ねじ部(66)と嵌合し、他方の開口端(34)は前記第1の接続具(68)と嵌合し、嵌合した後は、前記内側ねじ部(66)及び前記第1の接続具(68)は前記ハウジング(30)から取り外し不能となる、円筒形ハウジング(30)と、を備え、
前記シリンジのコネクタ端が前記第1の接続具(68)と接続された後は、前記第1の接続具(68)は前記シリンジのその後の回転移動に対して自由に回転可能であるので、前記シリンジは前記第1の接続具(68)から取り外し不能となり、
前記コネクタ(4)のコネクタ端(10)が前記内側ねじ部(66)と完全に嵌合した後は、前記コネクタ端(10)を前記内側ねじ部(66)に固定する方向の回転力により、前記コネクタ端(10)及び前記内側ねじ部(66)が一緒に回転し、前記コネクタ端(10)を前記内側ねじ部(66)に対して逆方向に回転させる回転力により、前記コネクタ(4)が前記内側ねじ部(66)から取り外されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ハウジング(30)は、前記ハウジング(30)の遠位部にあり、環状リップ(50)と内径減少位置(52)の間に画定される空間(51)と、前記ハウジングの第2の端(34)に近い近位部にあるハブキャッチ(40)とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の接続具は、遠位部(80)を有するコア(38)の近位部にあり、前記コア(38)は、前記ハウジング(30)に接続された後は、前記ハウジング(30)のハブキャッチ(40)により、前記ハウジングから取り外し又は分離できないようにされ、貫通孔(82)が前記コア(38)を貫いて延びる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内側ねじ部(66)はインサート(36)の遠位部にあり、前記インサート(36)は前記リップ(50)に保持されて、前記ハウジングに嵌合した後は、前記ハウジング(30)から取り外し不能となる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記インサート(36)は、前記コネクタ(4)を前記内側ねじ部(66)に嵌合させる方向と逆方向に回転され、前記コネクタ(4)を前記インサート(36)から取り外し可能にした際に、前記ハウジング(30)の内部に形成された複数の隆起(56)に対して作用する複数の歯(62)をさらに備え、前記歯(62)のそれぞれは、前記インサート(36)が、前記コネクタ(4)を前記内側ねじ部(66)に嵌合させるのと同じ方向にさらに回転した場合に、前記歯を前記隆起(56)から遠ざかるよう案内する斜面部(62r)を有し、前記コネクタ(4)が完全に前記内側ねじ部(66)に嵌合した後は、前記インサート(36)がその方向に自由に回転される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コネクタ(4)は、互いに嵌合する第1及び第2の部分(6、8)を備え、前記第1の部分(6)は、前記ねじ部(66)に嵌合する前記コネクタ端(10)を有し、前記第2の部分(8)は、カテーテルが嵌合する開口(20)を有し、前記第1及び第2の部分(6、8)は、それぞれ相補的な対合面を有しており、前記第1及び第2の部分(6、8)のみが互いに連結することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コネクタ(4)と前記ねじ部(66)との間に挿入されたフィルタ(14)をさらに備え、前記フィルタは、前記コネクタ(4)のコネクタ端(10)と嵌合する第1の端(16)と、前記ねじ部(66)と嵌合する第2の端(18)とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハブキャッチ(40)は、前記ハウジング(30)の長手方向軸線(46)に向かって延びるフィンガ先端(44)を有し、前記コア(38)の遠位部(30)を通過させる開口(48)を形成する複数の延在フィンガ(42)を備え、前記コア(38)にあるフランジ(74)が、その後の前記ハブキャッチ(40)からの前記コア(38)の取り外しを防ぐ、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
装置であって、
貫通孔(82)を有するコア(38)と、
前記コアの少なくとも1つの部分(80)付近に配置された内部シュラウド(36)であって、前記内部シュラウドは、前記内部シュラウドの一方の端から延びる少なくとも1つの歯(62)を有し、前記内部シュラウドの内側円周壁の少なくとも一部がねじ切りされており、前記内部シュラウドが内側ねじ部(66)を有する、内部シュラウド(36)と、
前記コア(38)及び前記内部シュラウド(36)が移動可能に内部に配置されるシュラウド(30)であって、前記少なくとも1つの歯に対する位置に延びる少なくとも1つの隆起(56)を有するシュラウド(30)と、を備え、
方向性トルク力が、前記装置に接続されるべき流体コネクタ(4)に対して前記シュラウド(30)に加えられた場合に、前記少なくとも1つの歯(62)及び前記少なくとも1つの隆起(56)が互いに接触して、前記流体コネクタを前記内部シュラウドに嵌合可能とすることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記内部シュラウド(36)は、一方の端に配置された複数の歯(62)を備え、前記歯のそれぞれは、前記方向性トルク力が、前記流体コネクタに対して前記シュラウドに連続的に加えられる場合に、前記歯を前記シュラウド(30)において対応する隆起(56)から遠ざかるよう案内する斜面部(62r)を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コア(38)は、前記内部シュラウド(36)により包囲される遠位部(80)を備え、前記コアの遠位部は、前記流体コネクタ(4)のコネクタ端(10)と嵌合可能であり、前記流体コネクタのコネクタ端にある少なくとも1つの突起(12)が、前記内部シュラウド(36)の内側ねじ部(66)に沿ってねじ切られており、前記流体コネクタを前記コアの遠位部及び前記内部シュラウドに結合する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コア(38)は、ルアーコネクタに接続可能な一方の端(68)を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記コア(38)は、遠位部(80)及び近位部を備え、前記遠位部は、患者と流体連通した流体コネクタ(4)に接続可能であり、前記近位部(84)は薬剤源に接続可能であり、薬剤が前記コアを介して患者に供給可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記薬剤源は、前記コアに接続された後は、前記コア(38)から取り外し不能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記コア(38)は、前記シュラウド(30)に対して自由に回転可能であり、薬剤を患者に運搬するコネクタは、前記装置に接続された後は、前記装置から取り外し不能である、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記薬剤を患者に運搬するコネクタは、薬剤供給装置のコネクタ端である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記内部シュラウド(36)は、少なくとも前記コア(38)の遠位部(80)付近に配置された遠位端(54)を備え、
前記コア(38)の遠位部(80)及び前記内部シュラウド(36)の遠位端(54)は、前記流体コネクタ(4)の構成に相補的な構成を形成し、前記コア(38)の遠位部(80)を有する前記装置の端は、前記流体コネクタ(10)に接続可能であるが、前記コアの遠位部及び前記内部シュラウドの遠位端に対向する前記装置の端は、前記流体コネクタに接続不能である、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
アダプタ(2)を備えるシステムであって、前記アダプタ(2)は、
貫通孔(82)を有するコア(38)と、
前記コア(38)付近に配置された内部シュラウド(36)であって、前記内部シュラウドは少なくとも1つの歯(62)を有し、前記内部シュラウドの内側円周壁の少なくとも一部がねじ切りされており、前記内部シュラウドが内側ねじ部(66)を有する、内部シュラウド(36)と、
前記コア(38)及び前記内部シュラウド(36)付近に移動可能に配置されたシュラウド(30)であって、前記シュラウド(30)にある少なくとも1つの隆起(56)が、前記内部シュラウド(36)の前記歯(62)に対して配置され、前記シュラウド(30)及び前記内部シュラウド(36)が互いに対して回転した場合に、前記歯に接触するシュラウド(30)と、
前記内部シュラウド(36)の内側ねじ部(66)に嵌合可能な第1の端(10)を有する流体コネクタ(4)と、
薬剤を前記アダプタ(2)に供給する薬剤源と、を有し、
前記シュラウド(30)が前記流体コネクタ(4)に対して回転した場合に、前記少なくとも1つの歯(62)及び前記少なくとも1つの隆起(56)が互いに接触して、前記流体コネクタ(4)を前記内部シュラウド(36)にねじ嵌合可能とすることを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記流体コネクタ(4)は、患者と流体連通したカテーテルを有する第2の端を備える、請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2012−166034(P2012−166034A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−56442(P2012−56442)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−525737(P2007−525737)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(505397690)スミスズ メディカル エイエスディー インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】