説明

医療装置誘導システム、医療装置誘導方法および医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法

【課題】カプセル型医療装置の位置検出範囲の周囲に配置された誘導用コイル等に起因する不要な磁界の影響を受けない正確な位置検出を、少ない計算量で高速に行えるようにする。
【解決手段】位置検出に際して医療装置10の位置検出範囲の周囲に配置された誘導用コイル21が磁界発生部30による第1の磁界の作用により磁界センサ41〜41での位置に誘導発生する不要な第2の磁界を算出して磁界センサ41〜41で検出された第1の磁界からこの第2の磁界分を減算して補正磁界情報を算出することで、第2の磁界の影響を受けない正確な位置検出を可能とし、かつ、磁界センサ41〜41の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を予め格納したLUT52,52,52を用いて第2の磁界の算出を行うことで、都度行う計算量を減らして高速で処理できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内を誘導されて移動する医療装置の位置を検出する位置検出機能を有する医療装置誘導システム、医療装置誘導方法および医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体内の観察を行う医療装置の一つとして、カプセル型内視鏡等のカプセル型の医療装置が実用化されている。カプセル型内視鏡は、体腔内に導入され、体腔内を通過する際に、内蔵の撮像素子で所望の目的部位を撮像するものである。この際、撮像素子の撮像範囲(画角)が固定されているため、所望する観察対象部位が撮像範囲に入るようにカプセル型内視鏡の位置または向きを誘導制御する必要がある。このための誘導システムとして、例えば、特許文献1に示されるものがある。特許文献1によれば、磁石内蔵のカプセル型内視鏡の周囲6面を囲むように配置された誘導用コイルによる誘導用磁界を磁石に作用させてカプセル型内視鏡の位置および向きの制御を行うようにしている。
【0003】
ここで、このような誘導制御を、所望通りに行うためには、カプセル型内視鏡の現在位置を正確に検出する位置検出装置が不可欠となる。このため、特許文献1では、カプセル型内視鏡の内部にコイルとコンデンサとからなるLC共振回路を備え、カプセル型内視鏡の位置検出範囲に向けて放射された磁界によってそのLC共振回路を共振させ、共振により新たに発生する特定周波数の磁界を、位置検出範囲の周囲に配置させた複数の磁界センサにより検出し、各磁界センサが検出した磁界強度からカプセル型内視鏡の位置を求めるようにしている。
【0004】
また、特許文献2,3に示されるように、カプセル型内視鏡の位置検出範囲に向けて外部から放射された磁界を、カプセル型内視鏡に内蔵させた磁界センサで検出することによっても、カプセル型内視鏡の位置検出が可能である。
【0005】
これら特許文献1〜3等に示されるいずれの位置検出方式であっても、コイルが空間に作る磁界分布を理論上、計算できることを利用しているため、その磁界分布を乱す可能性がある導体、磁性体などが位置検出範囲内に存在することは望ましくない。
【0006】
そこで、特許文献2には、位置検出範囲に存在する妨害体などに渦電流が流れると位置検出の精度が低下するため、異なる周波数の磁界により渦電流の時定数を求めることでデータ補正する方法が開示されている。また、妨害体(シールド部材)による効果を計算、考慮した磁界分布を、LUT(ルックアップテーブル)に保持しておき、読み出す方法も開示されている。
【0007】
【特許文献1】国際公開第05/112733号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6493573号明細書
【特許文献3】特開2006−75533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、磁気誘導システム内で使用する磁気式の位置検出装置は、誘導用コイルからの誘導磁界の影響を受けるため、位置検出精度が悪化するという課題がある。例えば、特許文献1に示されるような位置検出装置が、磁気誘導システム内で動作する状況を考える。この場合、位置検出範囲の周囲にはカプセル型内視鏡に対して強力な誘導用磁界を発生させるために複数の誘導用コイルが配置される。ここで、誘導用コイルを駆動する駆動用アンプは、駆動時の電力損失を少なくするために、低い出力インピーダンスであることが多い。このため、位置検出装置から見れば、両端を短絡した複数のコイルが存在するのと等価であるため、磁気干渉を生じ、位置検出装置が必要とする磁界分布は周囲にコイルが存在しない状況とは大きく異なる。よって、誘導用コイルを通過する磁束により発生する起電力は、誘導用コイルと駆動部とからなる閉回路に誘導電流を流し、この誘導電流によって誘導用コイルから位置検出装置の磁界センサの位置に意図しない不要な磁界が発生してしまい、位置検出装置の磁界センサによる検出値が不正確となってしまう。
【0009】
また、特許文献2に示されるような磁界分布そのものをLUTから読み出す方式では、テーブルの目の粗さなどによって位置検出精度を保てない可能性が大きい。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カプセル型の医療装置の位置検出範囲の周囲に配置された誘導用コイル等に起因する不要な磁界の影響を受けない正確な位置検出を、少ない計算量で高速に行うことができる医療装置誘導システム、医療装置誘導方法および医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる医療装置誘導システムは、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、磁界発生部と磁界検出部とを有して一部が前記医療装置に内蔵され、前記磁界発生部が特定周波数の第1の磁界を発生し、前記磁界検出部が前記特定周波数の第1の磁界を含む検出磁界情報を検出し、前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方を検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きの少なくともいずれか一方を変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと、該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備え、前記位置検出装置は、前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方を推定するための特定の位置検出範囲を有するとともに、前記医療装置が複数の特定位置に複数の特定向きで配置されたときに、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部の少なくともいずれか一方が、前記第1の磁界の作用により前記磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ複数の数値情報を格納したルックアップテーブルと、前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を推定する磁界算出部と、前記磁界検出部が検出した前記検出磁界から前記磁界算出部で推定された前記第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出する磁界抽出部と、該磁界抽出部で算出された補正磁界情報から前記医療装置の位置および向きを推定する位置計算部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記位置検出装置は、前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方に基づき、前記磁界算出部が前記ルックアップテーブルを参照して再度前記第2の磁界を推定し、前記磁界抽出部が前記磁界検出部の検出した前記検出磁界情報から再度推定された第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出し、前記位置計算部が前記医療装置の位置および向きを前記補正磁界情報から推定する繰り返し計算を行う繰り返し計算部を有し、前記繰り返し計算部は、前記第2の磁界または前記補正磁界情報の再計算による変化量が設定された閾値より小さくなるまで繰り返し計算を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記位置検出装置は、前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づく前記第1の磁界による前記磁界検出部の検出値を推定した推定検出値を求め、前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づき、前記磁界算出部が前記ルックアップテーブルを参照して再度前記第2の磁界を推定し、前記磁界抽出部が前記磁界検出部の検出した前記検出磁界情報から再度推定された第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出し、前記位置計算部が前記医療装置の位置および向きを前記補正磁界情報から推定する繰り返し計算を行う繰り返し計算部を有し、前記繰り返し計算部は、前記補正磁界情報と前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づく前記第1の磁界による前記磁界検出部の推定検出値が略一致するまで繰り返し計算を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記磁界発生部は、前記医療装置に内蔵された発振回路と放射コイルとからなり、特定周波数の前記第1の磁界を発生し、前記磁界検出部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなり、前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記磁界発生部は、前記位置検出範囲の周囲に配設される駆動コイルと、前記医療装置に内蔵されたコンデンサと放射コイルとによる共振回路とからなり、該共振回路が前記駆動コイルの発生する位置検出用磁界によって共振し外部に特定周波数の前記第1の磁界を発生し、前記磁界検出部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなり、前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記第2の磁界を算出する対象は、前記駆動コイルを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記磁界発生部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の放射コイルからなり、特定周波数の前記第1の磁界を発生し、前記磁界検出部は、前記医療装置に内蔵され、前記位置検出装置は、前記医療装置に内蔵されて前記磁界検出部が検出した磁界の情報を該医療装置の外部へ無線送信する無線送信部と、前記医療装置の外部に設けられて前記無線送信部が送信した磁界の情報を受信する無線受信部とを備え、前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記第2の磁界を算出する対象は、前記放射コイルを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲内で離散的に設定された複数の前記特定位置毎の前記数値情報を格納し、前記磁界算出部は、前記医療装置の位置が前記特定位置の中間の場合には、該位置を挟む少なくとも2つの特定位置で前記ルックアップテーブルを参照し少なくとも2つの特定位置間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記医療装置の向きが1次独立である3つの軸の各軸毎に個別に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記1次独立である3つの軸がそれぞれ直交していることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、複数の前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が、予め設定された次数までの多重干渉によって前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を格納していることを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、複数の前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が、多重干渉によって前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記誘導用コイル間または前記磁界発生部間の相互インダクタンスに基づき算出し格納していることを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部に流れる電流の実測データに基づく情報として格納していることを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部をさらに備え、前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする。
【0026】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部と、前記駆動コイルの接続状態の情報を得る第2の情報取得部とをさらに備え、前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動コイルの接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルおよび前記駆動コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする。
【0027】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部と、前記放射コイルの接続状態の情報を得る第3の情報取得部とをさらに備え、前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルおよび前記放射コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記誘導用コイルのインピーダンス情報を得る第4の情報取得部をさらに備え、前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの異なる特定インピーダンス毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルのインピーダンス情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記位置検出装置は、得られた前記誘導用コイルのインピーダンス情報が前記特定インピーダンスの中間の場合には、該インピーダンス情報を挟む2つの特定インピーダンスで前記複数のルックアップテーブルを参照し2つの特定インピーダンス間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする。
【0030】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記磁界発生部の誘導により前記誘導用コイルに流れる電流と相関を持つ数値情報を、前記磁界発生部の位置情報を変数として格納した第1のルックアップテーブルと、前記誘導用コイルに予め設定された特定の電流を流した場合に前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記磁界検出部の位置情報を変数として格納した第2のルックアップテーブルと、に分割して構成され、前記磁界算出部は、前記磁界発生部の位置情報に基づき前記第1のルックアップテーブルを参照した数値情報とインピーダンス情報とを用いて前記誘導用コイルに流れる電流を算出し、算出された電流に基づき前記第2のルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出することを特徴とする。
【0031】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを1本の線として近似したシングルフィラメントモデルに基づき作成されていることを特徴とする。
【0032】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを複数線として近似したマルチフィラメントモデルに基づき作成されていることを特徴とする。
【0033】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを有限要素法で作成した物理形状のコイルモデルに基づき作成されていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入されるカプセル型の医療装置に対して、磁界発生部と磁界検出部とを有して一部が前記医療装置に内蔵された位置検出装置を用いて、特定周波数の第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出した結果に基づき前記医療装置の位置または向きを制御する医療装置誘導方法であって、駆動部から電力が供給される誘導用コイルによって前記磁石に作用する誘導用磁界を発生させて前記医療装置の位置または向きを制御する誘導ステップと、前記磁界発生部によって特定周波数の第1の磁界を発生させる磁界発生ステップと、該磁界発生ステップで発生した前記第1の磁界を含む磁界を前記磁界検出部で検出する磁界検出ステップと、前記医療装置が複数の特定位置に複数の特定向きで配置されたときに、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部の少なくともいずれか一方が、前記第1の磁界の作用により前記磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ複数の数値情報を格納したルックアップテーブルを用い、前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を推定する磁界算出ステップと、前記磁界検出部が検出した前記検出磁界から前記磁界算出部で推定された前記第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出する磁界抽出ステップと、該磁界抽出ステップで算出された補正磁界情報から前記医療装置の位置および向きを推定する位置計算ステップと、を備えることを特徴とする。
【0035】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記位置計算ステップは、該ステップにより推定された前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出する前記磁界算出ステップと前記位置計算ステップとを繰り返し行う繰り返し計算ステップをさらに有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記位置計算ステップは、該ステップにより推定された前記医療装置の位置および向きに基づき前記磁界検出部が検出する推定検出磁界情報を算出する推定検出磁界情報算出ステップと、前記補正磁界情報と前記推定磁界が略一致するまで前記磁界検出ステップと前記推定検出磁界情報算出ステップを繰り返す繰り返し計算ステップと、を備えることを特徴とする。
【0037】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記磁界発生ステップは、前記医療装置に内蔵された発振回路と放射コイルとからなる前記磁界発生部によって特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、前記磁界検出ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなる前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする。
【0038】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記磁界発生ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと、前記医療装置に内蔵されたコンデンサと放射コイルとによる共振回路とからなる前記磁界発生部において、前記共振回路が前記位置検出用磁界によって共振することで外部に特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、前記磁界検出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなる前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする。
【0039】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記磁界発生ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設された複数の放射コイルからなる前記磁界発生部によって特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、前記磁界検出ステップは、前記医療装置に内蔵された前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする。
【0040】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得て、その接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする。
【0041】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動コイルの接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動用コイルの接続状態の情報を得て、これら接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする。
【0042】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態の情報を得て、これら接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする。
【0043】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの異なる特定インピーダンス毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、前記誘導用コイルのインピーダンス情報を得て、そのインピーダンス情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする。
【0044】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記磁界算出ステップは、前記誘導用コイルのインピーダンス情報が前記特定インピーダンスの中間の場合には、該インピーダンス情報を挟む2つの特定インピーダンスで前記ルックアップテーブルを参照し2つの特定インピーダンス間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする。
【0045】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルとして、前記磁界発生部の誘導により前記誘導用コイルに流れる電流と相関を持つ数値情報を、前記磁界発生部の位置情報を変数として格納した第1のルックアップテーブルと、前記誘導用コイルに予め設定された特定の電流を流した場合に前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記磁界検出部の位置情報を変数として格納した第2のルックアップテーブルと、を用い、前記磁界算出ステップは、前記磁界発生部の位置情報に基づき前記第1のルックアップテーブルを参照した数値情報とインピーダンス情報とを用いて前記誘導用コイルに流れる電流を算出し、算出された電流に基づき前記第2のルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出することを特徴とする。
【0046】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置に内蔵されて特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルと発振回路とからなる磁界発生部と前記医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルを貫く磁束を算出する磁束算出ステップと、算出された磁束によって前記誘導用コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、算出された誘導電流が前記誘導用コイルに流れた場合に、前記磁界センサに誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記磁束算出ステップ、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0047】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、上記発明において、前記磁束算出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配置された複数の前記誘導用コイル間の予め設定された次数までの多重干渉によって生ずる磁束分も含めて算出することを特徴とする。
【0048】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置に内蔵されて特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルと発振回路とからなる磁界発生部と前記医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルとの相互インダクタンスを算出し、算出した相互インダクタンスを用いて前記各誘導用コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、算出された誘導電流が前記誘導用コイルに流れた場合に、前記位置検出範囲の周囲に配置されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサに誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0049】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと前記医療装置に内蔵されて前記位置検出用磁界によって共振し特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルとコンデンサとによる共振回路とからなる磁界発生部と前記位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルを貫く磁束を算出する磁束算出ステップと、算出された磁束によって前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れた場合に、前記磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記磁束算出ステップ、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0050】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、上記発明において、前記磁束算出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイル間の予め設定された次数までの多重干渉によって生ずる磁束分も含めて算出することを特徴とする。
【0051】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと前記医療装置に内蔵されて前記位置検出用磁界によって共振し特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルとコンデンサとによる共振回路とからなる磁界発生部と前記位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルとの相互インダクタンスを算出し、算出した相互インダクタンスを用いて前記各誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れた場合に、前記位置検出範囲の周囲に配置されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0052】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて特定周波数の第1の磁界を発生する複数の放射コイルからなる磁界発生部と前記医療装置に内蔵されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて、前記放射コイルで該位置検出範囲に対して特定周波数の第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された前記誘導用コイルまたは前記放射コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記放射コイルに流れた場合に、前記磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0053】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを1本の線として近似したシングルフィラメントモデルに基づき作成することを特徴とする。
【0054】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを複数の線として近似したマルチフィラメントモデルに基づき作成することを特徴とする。
【0055】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、上記発明において、前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを有限要素法で作成した物理形状のコイルモデルに基づき作成することを特徴とする。
【0056】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報であることを特徴とする。
【0057】
また、本発明にかかる医療装置誘導システムは、上記発明において、前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報と位相情報であることを特徴とする。
【0058】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報であることを特徴とする。
【0059】
また、本発明にかかる医療装置誘導方法は、上記発明において、前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報と位相情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
本発明にかかる医療装置誘導システム、医療装置誘導方法および医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法は、位置検出に際して誘導用コイルまたは磁界発生部が第1の磁界の作用により磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界を算出して磁界検出部で検出された第1の磁界からこの第2の磁界を減算して補正磁界情報を算出するので、不要な第2の磁界の影響を受けない正確な位置検出が可能となり、かつ、磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を予め格納したルックアップテーブルを用いて第2の磁界の算出を行うので、都度行う計算量を減らして高速で処理することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、図面を参照して、本発明にかかる医療装置誘導システム、医療装置誘導方法および医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、各実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0062】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。本実施の形態の医療装置誘導システム1Aは、概略的には、カプセル型の医療装置10と、磁気誘導装置20と、位置検出装置50とにより構成されている。
【0063】
医療装置10は、例えば、水密構造で密閉された円筒型カプセル形状の容器を備え、被検体の体腔内に導入されるカプセル型内視鏡である。この医療装置10は、体腔内を撮像する撮像部や、撮像された信号を処理する信号処理部や、処理された信号を被検体外に無線で送信出力する無線送信部(いずれも図示せず)等を備え、撮像機能、無線通信機能を有する。このような医療装置10に対応して被検体外に配置される体外受信装置15を備える。体外受信装置15は、被検体の体表の数箇所に配置されて医療装置10から無線出力される信号を受信する複数個のアンテナ16を有し、アンテナ16を介して撮影画像に関する信号を無線で受信し、蓄積するためのものである。
【0064】
また、医療装置10は、内部の撮像等に支障ない位置に固定配置されて、誘導用磁界の作用を受けて位置または向きを変化させるための推進力を発生する永久磁石等による磁石11を備える。
【0065】
磁気誘導装置20は、体腔内に導入された医療装置10の磁石11に対して被検体外から誘導用磁界を作用させて医療装置10の位置や向きを変化させるためのものであり、誘導用コイル21と操作部22と信号発生制御部23と駆動部24とを備える。誘導用コイル21は、位置検出装置50が、医療装置10の位置を検出するための位置検出範囲をなす被検体外の周囲の既知の位置に配置されて、被検体内に導入された医療装置10中の磁石11に対して誘導用磁界を放射するためのものである。
【0066】
操作部22は、操作者の意図する医療装置10の移動方向や向きの指示を行うためのジョイスティック等の入力デバイスや情報入力および諸設定を行うためのキーボードまたはパネルスイッチ等で構成される。信号発生制御部23は、操作部22の指示および後述の位置検出装置50からの位置情報に基づき、医療装置10を誘導するために必要な信号波形を算出し、駆動部24を制御して算出された結果による波形を発生させる。駆動部24は、信号発生制御部23の制御に従い、誘導用コイル21に駆動電流を流し誘導用磁界を発生させる。ここで、医療装置10を移動させる目的で発生させる誘導用磁界の強度は、比較的大きなものであり、損失が少なくなるように、駆動部24の出力インピーダンスは小さめに設定されている。
【0067】
また、位置検出装置50は、概略的には、磁界発生部30と磁界検出部40とを有し、その一部である磁界発生部30が医療装置10に内蔵され、磁界検出部40が位置検出範囲の周囲に配設されて、磁界発生部30が発生した特定周波数の第1の磁界を磁界検出部40で検出することで、医療装置10の位置および向きを検出するものである。
【0068】
ここで、磁界発生部30は、原点位置が定められたXYZ座標系からなる医療装置10の位置検出範囲に対して特定周波数の第1の磁界を発生させるためのものである。この磁界発生部30は、医療装置10に内蔵された放射コイル31と図示しない発振回路とからなる。すなわち、本実施の形態1の磁界発生部30は、発振回路により放射コイル31に誘導磁界を発生させることで、外部に向けて特定周波数の第1の磁界を発生させる自励式磁界発生部として構成されている。ここで、発生する第1の磁界の特定周波数は、角周波数でω[rad]とする。
【0069】
また、磁界検出部40は、磁界発生部30が位置検出範囲に対して発生させた特定周波数の第1の磁界を検出するためのものである。磁界検出部40は、医療装置10に内蔵されて対をなす放射コイル31に対して、位置検出範囲の周囲に配置された複数の磁界センサ41a〜41nを備える。これら複数の磁界センサ41a〜41nは、それぞれのコイルを通過する特定周波数の交番磁界を電圧に変換して検出する。
【0070】
本実施の形態1の位置検出装置50は、さらに、メモリ51に保持されたLUT(ルックアップテーブル)52と、信号処理部53と、磁界算出部54と、磁界抽出部55と、位置計算部56とを備える。
【0071】
ここで、LUT52は、詳細は後述するが、医療装置10が位置検出範囲内の予め設定された複数の特定位置および複数の特定向きで配置されたときに、誘導用コイル21が、第1の磁界の作用により磁界検出部40(磁界センサ41a〜41n)の位置に誘導発生する特定周波数の不要な第2の磁界と相関を持つ数値情報を、医療装置10の複数の特定位置および複数の特定向きを変数として格納したものである。また、信号処理部53は、磁界検出部40から取得した電圧信号を、位置計算に必要とするデジタルデータに変換し、磁界検出部40が検出した磁界や、デジタル信号を評価しその位置分布データから医療装置10の推定される現在位置情報や現在向き情報を取得する。
【0072】
また、磁界算出部54は、位置計算部56における最適化計算において順次推定される医療装置10の現在位置および現在向きを特定位置および特定向きとしてルックアップテーブル52を参照して第2の磁界を推定するためのものである。磁界抽出部55は、磁界検出部40で検出された第1の磁界から磁界算出部54で推定された第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出するためのものである。さらに、位置計算部56は、磁界抽出部55で算出された補正磁界情報と医療装置10の位置および向きから計算される磁界(理論値)とが略一致するまで最適化計算を繰り返し行う繰り返し位置計算部57を有して、医療装置10の位置および向きを推定するためのものである。
【0073】
ここで、LUT52や磁界算出部54がない場合の位置検出装置50による基本的な位置検出動作について説明する。まず、磁気検出部40は、n=9なる9個の磁界センサ41〜41が3×3のマトリックス状に離散的に配置されているものとする。すなわち、医療装置10内の放射コイル31が1つの場合、ここで説明する位置計算例として、医療装置10のXYZ座標系における位置座標[x,y,z]とその磁気ダイポールモーメント
【0074】
【数1】

【0075】
の合計6個の変数を求めるためには最低6個の磁界センサ41が必要となる。
【0076】
このような状況下で、磁界検出部40の各磁界センサ41〜41からの出力信号Vd1,Vd2,…,Vdnは、信号処理部53による信号処理を経て、磁界抽出部55に出力される。磁界抽出部55は、これら各電圧情報に対して単純な比例係数を適用することで、各磁界センサ41〜41を通過する磁界強度Bd1,Bd2,…,Bdnを求める。
【0077】
そして、医療装置10が、位置検出範囲内の或る座標位置に或る向きで存在することをPベクトルとして、以下のように
【0078】
【数2】

【0079】
表し、このとき、i番目の磁界センサ41の位置を、
【0080】
【数3】

【0081】
とする。そして、Pベクトルとi番目の磁界センサ41との距離ベクトル
【0082】
【数4】

【0083】
をとると、磁気ダイポールモーメントが作る磁界は、
【0084】
【数5】

【0085】
として表される。
【0086】
そこで、位置検出装置50は、通常は、実測値Bdiと理論値(推定値)Bとの2つを用いて、評価関数
【0087】
【数6】

【0088】
を作成し、最小二乗法などの最適化計算を行うことで、医療装置10の位置座標および向きを示すPベクトルを求めることが可能である。
【0089】
ところが、実際には、位置検出範囲の周囲に磁界誘導用の誘導用コイル21が配置されている場合、図2に示すように、誘導用コイル21が、放射コイル31が発した特定周波数の第1の磁界の作用を受けて磁界センサ41〜41の位置に不要な第2の磁界を誘導発生する。図2においては、点線四角が誘導用コイル21を示し、実線四角が磁界センサ41〜41を有する磁界検出部40を示している。すなわち、医療装置10に内蔵された放射コイル31から発生する第1の磁界は、磁界検出部40だけでなく、誘導用コイル21も通過してしまうため、誘導用コイル21に何らかの負荷が接続されて実際に誘導用コイル21に誘導電流が流れると、通過した磁界を打ち消そうとする破線矢印で示すような第2の磁界が誘導発生する。このような第2の磁界の一部は、磁界検出部40の磁界センサ41〜41の位置を通過するため、磁界センサ41〜41の検出出力が本来の誘導コイル31から発生する第1の磁界成分だけでなくなり、位置検出に悪影響を及ぼす。
【0090】
ここで、このような不要となる第2の磁界は、以下のように計算によって算出することができる。まず、矩形状の誘導用コイル21の開口部を一定の微小面積ΔSで区切ることでT分割し(例えば、T=20×20=400)、各微小面積ΔSの位置としてその中心を対象点とする。そして、放射コイル31が内蔵された医療装置10の位置、磁気ダイポールモーメントの存在をPベクトルで表すものとすれば、各対象点での磁界強度が計算できる。この計算を、誘導用コイル21の内側の面に対して行い、全て加算し、微小面積ΔSを掛けることで、誘導用コイル21を通過する全磁束ΦがPベクトルの関数として以下のように求まる。
【0091】
【数7】

【0092】
ここで、誘導用コイル21の巻き数をNとすると、誘導用コイル21には、起電力
【0093】
【数8】

【0094】
が発生する。
【0095】
そして、この起電力は、誘導用コイル21に接続される負荷インピーダンスZと、誘導用コイル21の抵抗成分が示すインピーダンスRにより閉回路を形成することで、電流
【0096】
【数9】

【0097】
が流れ、第2の磁界が発生する。ここで、インピーダンスZは、誘導用コイル21が持つ抵抗値Rを含むこととする。
【0098】
このような電流が誘導用コイル21に流れたときに、i番目の磁界センサ41の位置
【0099】
【数10】

【0100】
での磁界強度は、誘導用コイル21上に流れる電流を細分して電流素として扱い、各電流素の寄与を加算することで、ビオサバールの法則に従い、以下のように
【0101】
【数11】

【0102】
Pベクトルの関数として計算することができる。ここで、rベクトルは、電流素の位置を示す。
【0103】
このように、放射コイル31を内蔵して位置検出用の第1の磁界を発生する医療装置10の位置と向きとを示す1つのPベクトルに対して、誘導用コイル21に起因して磁界センサ41上に生ずる第2の磁界の算出が可能である。ここで、本実施の形態1では、このような第2の磁界を算出するために、LUTを利用するものであり、上記原理に従い予めLUT52を作成してメモリ51に保持させておくものである。
【0104】
ここで、LUT52の作成方法の概略について説明する。なお、本実施の形態1ならびに後述の実施の形態では、位置検出範囲の周囲に配置された誘導用コイル21を1本の線として近似したシングルフィラメントモデルに基づき作成するが、誘導用コイル21を複数の線として近似したマルチフィラメントモデルに基づき作成し、または、誘導用コイル21を有限要素法で作成した物理形状のコイルモデルに基づき作成するようにしてもよい。後述の実施の形態のように、位置検出範囲の周囲に配置された駆動コイルや放射コイルを対象とする場合も同様である。
【0105】
まず、対象となる位置検出範囲をある間隔でメッシュ化する。そして、メッシュ化された各点に磁気ダイポールモーメントMをおく。ただし、[mx,my,mz]は、[1,0,0]、[0,1,0]、[0,0,1]の3種類でよい。これにより、医療装置10の位置[x,y,z]に対してXYZ座標系の各軸X,Y,Z毎に3つのLUT52,52,52が用意され、各軸毎の3つの磁界強度Bgix,Bgiy,Bgizが得られる。
【0106】
LUT52,52,52のより詳細な作成方法を、図3に示す概略フローチャートを参照して説明する。まず、医療装置10の位置を検出するための位置検出範囲内に、所定の間隔で離散的な複数の特定位置をメッシュ状に設定する(ステップS11:特定位置設定ステップ)。また、医療装置10に内蔵されて位置検出用の第1の磁界を発生する磁界発生部30(放射コイル31)の向きを、対象となるX軸、Y軸、Z軸のうち、X軸方向[1,0,0]にセットする(ステップS12)。
【0107】
ついで、一つの特定位置(一つの特定向きは、X軸方向)を医療装置10に内蔵の放射コイル31(カプセル磁界発生源)の位置として入力し(ステップS13)、この特定位置および特定向きに医療装置10を位置させて放射コイル31によって位置検出用の第1の磁界を発生させた場合に、位置検出範囲の周囲に配置された誘導用コイル21を貫く鎖交磁束を計算する(ステップS14:磁束算出ステップ)。そして、算出された磁束によって誘導用コイル21に流れる誘導電流を求める(ステップS15:電流算出ステップ)。さらに、算出された誘導電流が誘導用コイル21に流れた場合に、誘導用コイル21が、位置検出範囲の周囲に配置された各磁界センサ41〜41の位置に誘導発生する磁界を第2の磁界として算出する(ステップS16:磁界算出ステップ)。そして、算出された第2の磁界の数値情報を、特定位置および特定向きに関連付けて保存する(ステップS17:記憶ステップ)。
【0108】
そして、全ての特定位置の計算が完了するまで、特定位置に関する情報を+1ずつ順次インクリメントすることで(ステップS18;No,ステップS19:繰り返しステップ)、医療装置10の特定位置を順次変更して、このようなステップS13〜S17の処理を、複数の特定位置の全てについて繰り返すことで、向きがX軸方向の場合に各特定位置を変数とするX軸用のLUT52が作成される。
【0109】
この後、磁界発生部30(放射コイル31)の特定向きを、対象となるY軸方向[0,1,0]やZ軸方向[0,0,1]に順次設定し(ステップS20;No、:繰り返しステップ)、Y軸、Z軸についてもステップS13〜S19の処理を同様に繰り返すことで、各特定位置を変数とするY軸、Z軸用のLUT52,52が作成される。
【0110】
つづいて、このようなLUT52を利用する位置検出装置50の動作例について説明する。磁界算出部54は、現在の医療装置10の推定位置情報を位置計算部56から取得する。この推定位置情報は、計算開始時には計算開始点の位置情報であり、最適化計算の途中では、順次推定されてその都度変化する位置情報である。このような推定された位置情報を特定位置としてLUT52,52,52を参照することで、特定位置で医療装置10が+X軸方向、+Y軸方向、+Z軸方向を向いた場合に発生する第2の磁界の情報が算出される。
【0111】
なお、一般的には、あまりに膨大なデータ量のLUTを保持することは困難であり、かつ、現実的でないため、推定される位置情報に対して1対1の対応関係でLUT52に数値情報が格納されているわけではない。そこで、磁界算出部54は、推定される医療装置10の位置が特定位置の中間の場合には、推定位置を挟む2つの特定位置でルックアップテーブル52を参照し2つの特定位置間の線形補間計算により第2の磁界を算出することで十分な精度の第2の磁界情報を得る。LUT生成時の座標ピッチは、あまり広げすぎると補正精度が悪化する可能性がある。このため、細かいピッチで発生した補正データと、補間後のデータを比較することで、補正精度を落さないピッチを選ぶことが必要である。
【0112】
ここで、医療装置10の磁気ダイポールモーメントM情報として、M,M,Mを用いることで、各軸方向に実際に生ずる第2の磁界を、以下の式で算出することができる。
【0113】
【数12】

【0114】
このように磁界算出部54で算出された第2の磁界の磁界強度情報は、磁界抽出部55に出力される。磁界抽出部55は、実測値Bdiから医療装置10(放射コイル31)の推定位置/向きを示すPベクトルに対する第2の磁界Bgiを減算することで、実測値を補正した補正磁界情報を算出する。位置計算部56は、このような第2の磁界分を減算してなる補正磁界情報を用いて、以下のような評価関数
【0115】
【数13】

【0116】
を作成し、最適化計算を行う。最適化計算では、収束過程でPベクトルの値が逐次変化していくため、磁界算出部54では、その都度、その位置/向き毎に変化したPベクトルを用いてLUT52,52,52を参照して、第2の磁界を算出し直す。
【0117】
このようにして行われる本実施の形態1の医療装置誘導方法をまとめて説明する。本実施の形態1の医療装置誘導方法は、駆動部24から電力が供給される誘導用コイル21によって、医療装置10内の磁石11に作用する誘導用磁界を発生させて医療装置10の位置または向きを制御する誘導ステップと、医療装置10に内蔵された放射コイル31を発振回路で駆動して、位置検出範囲に対して特定周波数の第1の磁界を発生させる磁界発生ステップと、位置検出範囲の周囲に配置された複数の磁界センサ41〜41で、特定周波数の第1の磁界を検出する磁界検出ステップと、この磁界検出ステップの検出結果に基づき位置検出範囲内における医療装置10の位置および向きを検出する位置検出ステップとからなる。
【0118】
ここで、位置検出装置50によって実行される位置検出ステップの処理例を図4の概略フローチャートに示す。まず、磁界検出部40の各磁界センサ41〜41が検出した電圧情報(あるいは、磁界情報)を取り込むとともに(ステップS21)、医療装置10の推定位置方向を示すPベクトルの情報を入力する(ステップS22)。このPベクトルの情報は、初回は初期値とされる。
【0119】
そして、磁界算出部54は、推定された医療装置10の位置および向きとしてPベクトル情報が示す特定位置および特定向きを用いてルックアップテーブル52,52,52を参照して第2の磁界を算出する(ステップS23;磁界算出ステップ)。磁界抽出部55は、検出された磁界(実測値)からこの第2の磁界を減算して補正磁界情報を算出する(ステップS24;磁界抽出ステップ)。一方、位置計算部56は、磁界検出部40の磁界センサ41〜41が検出すべき磁界の推定検出値を算出し(ステップS25)、補正磁界情報と推定検出値とを用いる評価関数を作成し(ステップS26)、最小二乗法等を用いてPベクトルの最適化計算を行う(ステップS27)。このようなステップS25〜S27による位置計算ステップを、収束判定結果が予め設定された所望の誤差xx以下の範囲内に収まるまで(ステップS28;Yes)、Pベクトルの修正を繰り返す(ステップS29)。すなわち、位置計算ステップでは、ステップS24で算出された補正磁界情報と、医療装置10の位置および向きから計算される磁界の推定検出値とが略一致するまで、医療装置10の位置および向きを繰り返し推定する。
【0120】
このように、本実施の形態1によれば、本来の位置検出装置のアルゴリズムに対して、LUT52からの情報を付加的に与えることで、最適化計算を可能にすることができる。この際、第2の磁界の算出には、積分動作を含むため比較的時間がかかるが、本実施の形態1では、このような積分動作を含む計算を予め行い、LUT52の形態でメモリ51に保持させておくことで、実動作時の計算時間を大幅に短縮することができる。
【0121】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について図5を参照して説明する。本実施の形態2は、誘導用コイルが複数個配置される、より実際的なシステム構成例を考慮したLUTの作成方法に関するものである。
【0122】
前述の実施の形態1を示す図では、誘導用コイル21が1つのみであるかのように説明したが、医療装置10をXYZ座標系内において任意の方向に誘導移動させるため、実際には、位置検出範囲を囲むように、位置検出範囲の周囲には、数個ないし数十個の誘導用コイルが配置される。図5は、位置検出範囲の周囲の既知の位置にn=6個の誘導用コイル21〜21が配置された例を示している。このような状況では、磁界センサ41〜41の位置に誘導発生する第2の磁界の振る舞いは、さらに複雑となる。
【0123】
この場合、まず、前述した場合と同様に、医療装置10に内蔵の放射コイル31が発生する位置検出用の第1の磁界が各誘導用コイル21〜21に作用して、それぞれ第2の磁界を誘導発生する。ここで、ここまでの現象であれば、磁界検出部40での磁界強度は、医療装置10から各誘導用コイル21〜21に対する影響としてそれぞれ計算を行い、最後にそれらを加算すればよいといえる。
【0124】
しかしながら、実際は、誘導された各誘導用コイル21〜21が新たな磁界発生源となり、他の残りの誘導用コイルに対して第2の磁界を誘導発生させる多重干渉を生ずる。このような第2の磁界は、原因となる第1の磁界とは、位相が逆となって発生し、磁界強度も小さくなっていくので、この計算方法を繰り返すことで、最終的には、ある平衡状態に達することとなる。そこで、位置検出装置50に要求される精度により、この多重干渉を何次まで考慮するかを決めてLUT52を作成するようにすればよい。
【0125】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図6を参照して説明する。本実施の形態3は、実施の形態2で説明したような誘導用コイル21の多重干渉を考慮したLUTの別の作成方法に関するものである。本実施の形態3は、コイル間の誘導は、コイル同士の相互インダクタンスで定義することで表現可能な点に着目したものである。
【0126】
まず、n個の誘導用コイル21〜21に対して、識別番号i,j=1,2,…,nを付け、医療装置10に内蔵の放射コイル31には番号0を付与することで、各コイル同士の相互インダクタンスLijを定義する。ここで、添え字i,jは、i番目のコイルとj番目のコイとの間での相互インダクタンスであることを示している。磁界の影響する方向は、i←jとする。ただし、LijとLjiとは同じとなる。また、この定義によれば、i=jも存在し、これは通常自己インダクタンスを示すが、ここでは特に区別しないものとする。
【0127】
このような条件下に、相互インダクタンスは、コイルの物理的な形状、配置によって決まる。より具体的には、あるコイルに単位電流を流したときに、他方のコイルを鎖交する磁束数を示す。そこで、医療装置10に内蔵された放射コイル31に電流I=1Aを流したとき、その他の誘導用コイル21〜21を通過する磁束を求める。つまり、ここで求める相互インダクタンスLi0は、実施の形態1で説明した通過磁束計算の場合とほぼ同じである。そして、磁気ダイポールモーメントMは、電流Iに対して、μ*I*S*N(ただし、μ:透磁率、S:コイル断面積、N:コイル巻き数)で表されるので、変換が必要なことと、対象となるコイルiの巻き数Nを掛けることが違うだけである。そして、医療装置10の向きを座標軸+X、+Y、+Zとして、医療装置10の一つの特定位置に対して3種類の値が計算できる。
【0128】
次に、各誘導用コイル21〜21同士の相互インダクタンスも用意する。誘導用コイル21は、通常、配置位置が固定され、その位置が既知であるため、n個の誘導用コイル21〜21に対してn×nのマトリックスを用意することができる。ここでは、説明を簡単にするため、n=4(i,j=1〜4)の場合を想定する(位置検出装置として成立するか否かは無関係である)。まず、1番目の誘導用コイル21に発生する電圧を求めると、i=1に対して、
【0129】
【数14】

【0130】
となる。同様にして、i番目の誘導用コイル21に対して、
【0131】
【数15】

【0132】
という4つの式が立てられる。個々で、位置検出用の第1の磁界が角周波数ω[rad]の正弦波であるとすると、dI/dtの項は、ωIとなる。
【0133】
これらを整理すると、以下のようになる。ここでは、行列表記のまま概念的に示すと、
【0134】
【数16】

【0135】
となる。Lは、誘導用コイル同士の相互インダクタンス行列を示し、Lは、医療装置10内の放射コイル31と誘導用コイル21〜21との相互インダクタンス行列を示し、jは、虚数単位を示している。ここで、各誘導用コイル21〜21が駆動アンプに接続されている場合、右項中のI*Zを0として扱ってもよいことがある。つまり、
【0136】
【数17】

【0137】
を計算すれば、I行列I〜Iという各コイルに流れる電流が求められる。
【0138】
電流を求める作業は、磁界発生部30(放射コイル31)の3方向(+X、+Y、+Z方向)に対して、I,I,Iのような個別の値を算出する。このような各電流を、誘導用コイル21〜21に流したときに磁界センサ41〜41の位置に発生する第2の磁界は、実施の形態1で説明したように求めることができる。
【0139】
よって、これまでの方法から、医療装置10の位置情報を変数とする第2の磁界に関する3つの数値情報B,B,Bを得ることができ、LUT52,52,52の作成が可能となる。
【0140】
ここで、このような相互インダクタンスを利用した本実施の形態3のLUT52,52,52の作成方法を図6の概略フローチャートにまとめて示す。なお、図6に示すフローチャート中、電流を求める部分は、誘導用コイル同士の相互インダクタンスが予め判っているものとする。まず、医療装置10の位置を検出するための位置検出範囲内に、所定の間隔で離散的な複数の特定位置をメッシュ状に設定する(ステップS31:特定位置設定ステップ)。また、医療装置10に内蔵されて位置検出用の第1の磁界を発生する磁界発生部30(放射コイル31)の向きを、対象となるX軸、Y軸、Z軸のうち、X軸方向[1,0,0]にセットする(ステップS32)。
【0141】
ついで、一つの特定位置(一つの特定向きは、X軸方向)を医療装置10に内蔵の放射コイル31(カプセル磁界発生源)の位置として入力する(ステップS33)。そして、誘導用コイルとの相互インダクタンスを計算し(ステップS34:相互インダクタンス算出ステップ)、各誘導用コイルに発生する電圧に関する連立方程式を解き、各誘導用コイルに流れる誘導電流を求める(ステップS35:電流算出ステップ)。さらに、算出された誘導電流が誘導用コイルに流れた場合に、位置検出範囲の周囲に配置された各磁界センサ41〜41に誘導発生する磁界を第2の磁界として算出する(ステップS36:磁界算出ステップ)。そして、算出された第2の磁界の数値情報を、特定位置および特定向きに関連付けて保存する(ステップS37:記憶ステップ)。
【0142】
そして、全ての特定位置の計算が完了するまで、特定位置に関する情報を+1ずつ順次インクリメントすることで(ステップS38;No,ステップS39:繰り返しステップ)、特定位置を順次変更して、このようなステップS33〜S37の処理を、複数の特定位置の全てについて繰り返すことで、各特定位置を変数とするX軸用のLUT52が作成される。
【0143】
この後、磁界発生部30(放射コイル31)の向きを、対象となるY軸方向[0,1,0]やZ軸方向[0,0,1]に順次設定し(ステップS40;No、:繰り返しステップ)、Y軸、Z軸についてもステップS33〜S39の処理を同様に繰り返すことで、各特定位置を変数とするY軸、Z軸用のLUT52,52が作成される。
【0144】
本実施の形態3において、磁界算出部54は、これらLUT52,52,52の数値情報と、磁気ダイポールモーメントMの電流値とを使うことで、第2の磁界の値を求める。つまり、第2の磁界は、Bgi=(Bix*M/|M|+Biy*M/|M|+Biz*M/|M|)*Iとなる。
【0145】
本実施の形態3の方法では、発生電圧の連立方程式を一度立ててから電流を求めているため、その解は、平衡状態を示しており、干渉の次数を指定する必要がない。
【0146】
なお、本実施の形態3の変形例として、相互インダクタンス(自己インダクタンスを含む)は、装置で実測した値を用いてLUTを作成するようにしてもよい。具体的には、実際にあるコイルに電流を流し、その他の残りのコイルで発生する起電力を測定した結果から求めればよい。起電力が発生する仕組みについては、実施の形態1で説明した通りである。
【0147】
(実施の形態4)
つづいて、本発明の実施の形態4について図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施の形態4の医療装置誘導システムの構成例を示す概略ブロック図であり、図8は、本実施の形態4の位置検出装置50によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。本実施の形態4は、誘導用コイル21〜21の接続状態の変更を考慮したものである。すなわち、実施の形態3等では、LUT52の計算過程で誘導用コイル21〜21に接続されるインピーダンスが0であるとみなして計算したが、このインピーダンス変化には、ある不使用の誘導用コイル21が電気的に切り離される状況で使用されることで、影響が大きなことがある。誘導用コイル21が電気的に切り離されるということは、インピーダンスが無限大になることであり、この誘導用コイル21には電流が流れないため、影響がなくなる(この誘導用コイル21による第2の磁界は生じない)。
【0148】
そこで、本実施の形態4では、図7に示すように、予め誘導用コイル21〜21の接続形態毎に異なるn種類にグループ分けされたLUT521x,521y,521z,522x,522y,522z,…,52nx,52ny,52nzを作成してメモリ51に保持させておき、誘導用コイル21〜21の接続形態に応じて参照するLUT52のグループを切替えるようにしたものである。誘導用コイル21〜21の接続形態に関する情報は、磁気誘導装置20に付加した情報取得部25によって認識されて、位置検出装置50の磁界算出部54中に設けた切替部54aに対して出力される。切替部54aは、情報取得部25からの接続形態に関する情報を取得して磁界算出部54が参照するLUT52のグループを切替える。
【0149】
ここで、本実施の形態4の位置検出ステップについて図8を参照して説明する。基本的には、図4に示した位置検出ステップの処理例と同様であるが、本実施の形態4では、磁界算出ステップ中の前処理として、磁気誘導装置20の情報取得部25から誘導用コイル21〜21の接続形態に関する情報として接続コイル情報を取得し(ステップS41)、切替部54aが、この接続コイル情報に応じて使用するLUT52のグループを選択する(ステップS42:テーブル切替えステップ)処理を行ってから、選択されたグループのLUT52を使用してステップS21以降の処理を行わせるものである。
【0150】
(実施の形態5)
つづいて、本発明の実施の形態5について図9および図10を参照して説明する。図9は、本実施の形態5の医療装置誘導システムの構成例を示す概略ブロック図であり、図10は、本実施の形態5の位置検出装置50によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。本実施の形態5は、誘導用コイル21〜21の接続状態の変更および温度変化に伴うインピーダンス変化を考慮したものである。すなわち、実施の形態4では、誘導用コイル21〜21に接続されるインピーダンスが0または無限大(不要磁界なし)の状況を考慮して参照するLUT52のグループ切替えを行うようにしたが、誘導用コイル21は、温度が変化することでコイルの抵抗値(インピーダンス)が変わる、といった連続的な変化を示すことがある。
【0151】
そこで、本実施の形態5では、図9に示すように、予め誘導用コイル21〜21の接続形態毎にグループ分けした異なるn種類のLUT521x,1y,1z,522x,2y,2z,…,52nx,ny,nzを作成する上で(例えば、添え字1x,1y,1zは3個分を1つにまとめて表記するものである)、各グループ内で、代表的なm種類の特定インピーダンスZ1,Z2,…,ZmでのLUT521x,1y,1z(Z1),521x,1y,1z(Z2),…,521x,1y,1z(Zm),522x,2y,2z(Z1),522x,2y,2z(Z2),522x,2y,2z(Zm),…,52nx,ny,nz(Z1),52nx,ny,nz(Z2),52nx,ny,nz(Zm)を作成してメモリ51に保持させておき、誘導用コイル21〜21の接続形態の情報およびコイル温度に基づくインピーダンス情報に応じて参照するLUT52を切替えるようにしたものである。誘導用コイル211〜21nの接続形態に関する情報は、磁気誘導装置20に付加した情報取得部25によって認識され、誘導用コイル21の温度に基づくインピーダンス情報は、磁気誘導装置20に付加した情報取得部26によって認識されて、位置検出装置50の磁界算出部54中に設けた切替部54aに対して出力される。切替部54aは、情報取得部25からの接続形態に関する情報およびインピーダンス情報を取得して磁界算出部54が参照するLUT52のグループを切替える。
【0152】
ここで、本実施の形態5の位置検出ステップについて図10を参照して説明する。基本的には、図4に示した位置検出ステップの処理例と同様であるが、本実施の形態5では、磁界算出ステップ中の前処理として、磁気誘導装置20の情報取得部25,26から誘導用コイル21〜21の接続形態に関する情報として接続コイル情報およびコイル温度に基づくインピーダンスZ情報を取得し(ステップS51)、切替部54aが、この接続コイル情報およびインピーダンスZ情報に応じて使用するLUT52のグループを選択する(ステップS52)処理を行ってから、選択されたインピーダンス対応のグループのLUT52を使用してステップS21以降の処理を行わせるものである。
【0153】
ところで、LUT52は代表的な特定インピーダンスZ1,Z2,…,Zmに従い作成されているため、取得したインピーダンス情報は、これら特定インピーダンスZ1,Z2,…,Zmに一致しない場合が多い。このような場合、取得したインピーダンスを挟む2つの特定インピーダンスのLUT52を参照してそれぞれ第2の磁界を算出した上で、2つの特定インピーダンス間の線形補間計算を行うことで(ステップS53)、コイル温度に基づくコイルインピーダンスに対応する第2の磁界を算出するようにすればよい。
【0154】
(実施の形態6)
つづいて、本発明の実施の形態6について図11を参照して説明する。図11は、本実施の形態6の位置検出装置50によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。本実施の形態は、コイル温度の変化に伴うインピーダンス変化が複雑で線形補間が困難な場合を考慮したものである。すなわち、実施の形態5では、誘導用コイル21〜21に接続されるインピーダンスが0または無限大(不要磁界なし)の状況およびコイルのインピーダンスを考慮してLUT52の切替え、コイルインピーダンスに応じてLUT52間で線形補間を行うようにしたが、誘導用コイル21の温度変化に伴うインピーダンス変化が複雑な場合には補間も単純でなくなる可能性がある。ここで、誘導用コイル21の温度によってコイルを構成する銅の抵抗(インピーダンス)が変わるので、演算によって誘導用コイル21に接続されているインピーダンスZの値を算出(推定)することができる。
【0155】
そして、実施の形態3では、LUT52を用いて医療装置10の位置および向きから一度に磁界センサ41の位置に生ずる第2の磁界を算出するようにしたが、本実施の形態6では、LUT52を、磁界発生部30の誘導により誘導用コイル21に流れる電流と相関を持つ数値情報を、磁界発生部30の位置情報を変数として格納した第1のLUTと、誘導用コイル21に予め設定された特定の電流を流した場合に磁界検出部40の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を、磁界検出部40の位置情報を変数として格納した第2のLUTとに分割して構成し、磁界算出部54は、磁界発生部30の位置情報に基づき第1のLUTを参照した数値情報とインピーダンス情報とを用いて誘導用コイル21に流れる電流を算出し、算出された電流に基づき第2のLUTを参照して第2の磁界を算出するようにしたものである。すなわち、誘導用コイル21に流れる電流を求める部分には第1のLUTを用い、その都度、情報取得部26から取得されるコイル温度情報に基づき算出したインピーダンスZを入力して行列を解いた上で、求めた電流を用いて第2のLUTを参照することで、第2の磁界を求めるようにしたものである。
【0156】
ここで、本実施の形態6の位置検出ステップについて図11を参照して説明する。まず、磁気誘導装置20の情報取得部25,26から誘導用コイル21〜21の接続形態に関する情報として接続コイル情報およびコイル温度情報を取得し(ステップS61)、切替部54aが、この接続コイル情報に応じて使用するLUT52のグループを選択する(ステップS62)。そして、前述したように、磁界検出部40の各磁界センサ41〜41が検出した電圧情報(あるいは、磁界情報)を取り込むとともに(ステップS21)、医療装置10の推定位置方向を示すPベクトルの情報を入力する(ステップS22)。このPベクトルの情報は、初回は初期値とされる。
【0157】
そして、磁界算出部54は、推定された医療装置10の位置を示すPベクトル情報が示す特定位置を用いて、第1のLUTを参照することで、誘導用コイル21に発生する誘導起電力を算出する(ステップS63)。また、情報取得部26から取得したコイル温度情報によって誘導用コイル21の抵抗Rを算出し(ステップS64)、算出した抵抗Rと誘導用コイル21のインダクタンスとから各誘導用コイル21〜21に流れる電流Iを算出する(ステップS65)。
【0158】
【数18】

【0159】
この後、算出された電流Iによって第2のLUTを参照することで、磁界センサ41上に発生する第2の磁界を算出する(ステップS66)。以後は、図4の場合と同様に、ステップS24〜S29の処理を繰り返す。
【0160】
なお、図6に示したように相互インダクタンスを利用してLUTを作成する場合であれば、推定された医療装置10の位置を示すPベクトル情報が示す特定位置を用いて、第1のLUTを参照することで、医療装置10に内蔵の放射コイル31と誘導用コイル21との間の相互インダクタンスLを算出し、コイル温度情報から算出された抵抗Rを代入することで行列方程式を作成し、この行列方程式を解くことで誘導用コイル21に流れる電流Iを、
【0161】
【数19】

【0162】
として求め、算出された電流Iによって第2のLUTを参照することで、磁界センサ41上に発生する不要磁界を算出するようにすればよい。
【0163】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7について図12を参照して説明する。前述の説明では、LUT52を計算に基づき作成するようにしたが、本実施の形態7では、LUT52の一部については実測データを用いて作成するようにしたものであり、後述する実施の形態にも適用可能である。
【0164】
本実施の形態7は、磁気誘導装置20中に、誘導用コイル21に流れる電流を検出する電流検出部27を備え、この電流検出部27によって検出された実測電流値を位置検出装置50中のLUT52に入力することで第2の磁界を求めるようにしたものである。また、誘導用コイル21に対して所定の電流を流したときに、この電流値でLUT52を参照して磁界センサ41の位置に発生する第2の磁界を求めるようにしてもよい。
【0165】
(実施の形態8)
つづいて、本発明の実施の形態8について図13を参照して説明する。図13は、本発明の実施の形態8の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。本実施の形態の医療装置誘導システム1Bは、位置検出装置50が、磁界発生部30に代えて、誘導式の磁界発生部60を備える構成とされている。この磁界発生部30は、医療装置10に内蔵されて共振により特定周波数の第1の磁界を発生するLC共振回路61と、位置検出範囲の周囲に配置されてLC共振回路61を共振させる位置検出用磁界を付与する駆動コイル62とからなる。LC共振回路61は、放射コイルと寄生容量または付加容量からなり、共振角周波数は、ω[rad]となるように設定されている。また、駆動コイル62は、位置検出範囲に対して共振周波数成分を含む交番磁界を付与する。なお、図13では、一つの駆動コイル62のみ図示するが、適宜複数個配設してもよい。また、位置検出装置50は、これら駆動コイル62を駆動するための駆動部63を備える。
【0166】
本実施の形態8のような医療装置誘導システム1Bの場合も、必要となるLUT52の作成方法は、医療装置10が位置検出用の第1の磁界を位置検出範囲に向けて発する発生源として考えれば、医療装置誘導システム1Aの場合と全く同様でよい。もっとも、本実施の形態8の場合、位置検出範囲の周囲には、誘導用コイル21の他に駆動コイル62が配置され、駆動コイル62も誘導用コイル21と同様に低い出力インピーダンスを持つ駆動部63に接続されているので、磁界検出部40からみれば不要な第2の磁界の発生源となる。このため、本実施の形態8では、LUT52の作成時には、駆動コイル62も誘導用コイル21と同様に、第2の磁界を算出する対象とされ、位置検出範囲の周囲に配置されたコイルの一つに含めて第2の磁界が算出される。
【0167】
また、本実施の形態8の場合も、特に図示しないが、LUT52として、誘導用コイル21の駆動部24に対する接続状態および駆動コイル62の駆動部63に対する接続状態毎に異なる複数のLUTを用意しておき、情報取得部25や図示しない第2の情報取得部から得られる誘導用コイル21及び駆動コイル62の接続状態の情報に基づき磁界算出部54が参照するLUT52を切替えるようにしてもよい。
【0168】
(実施の形態9)
また、本発明の実施の形態9について図14を参照して説明する。図14は、本発明の実施の形態9の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。本実施の形態の医療装置誘導システム1Cは、位置検出装置50が、磁界発生部30、磁界検出部40の配置関係を逆とした磁界発生部70と磁界検出部80とを備える構成とされている。すなわち、位置検出範囲に対して外部側から位置検出用の特定周波数の第1の磁界を付与して医療装置10に内蔵させた磁界センサによって位置検出用の第1の磁界を捕えることで医療装置10の位置を検出する方式である。
【0169】
磁界発生部70は、位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の放射コイル71,71からなり、位置検出範囲内に向けて特定周波数の交番磁界を発生させる。また、位置検出装置50は、これら放射コイル71,71を駆動するための駆動部72を備える。
【0170】
磁界検出部80は、医療装置10に内蔵されて放射コイル71,71が発生した特定周波数の第1の磁界を検出するための磁界センサ81と、磁界センサ81が検出した磁界情報を電圧信号に変換し、デジタル化して医療装置10外へ送信するための送信データを生成する図示しない信号処理部と、信号処理された送信データ(磁界センサ81が検出した磁界情報)を外部に無線送信する図示しない無線送信部とを備える。ここで、医療装置10は、本来的に、撮像装置が撮像した画像情報を被検体外の受信装置15(アンテナ16)に対して無線送信する無線機能を有しているので、磁界センサ81が検出した磁界情報に関しても、画像情報に付加または重畳させて無線送信させるように構成することができる。もちろん、磁界情報専用に別個の無線送信部を備える構成であってもよい。また、位置検出装置50は、医療装置10の無線送信部から送信される磁界情報を無線受信するための無線受信部59を備える。この無線受信部59は、体外受信装置15を利用するものであってもよい。
【0171】
本実施の形態9に示すような磁界発生部70および磁界検出部80の構成の場合も、基本的には、医療装置10の位置、向きを推定して磁界強度を計算し、実測値との差が最小となるように最適化計算することで、医療装置10の位置検出が可能である。
【0172】
しかしながら、誘導用コイル21,21が位置検出範囲の周囲に配置されている場合、同じく位置検出範囲の周囲に配置されている放射コイル71,71との相互誘導によって、所望の磁界分布に変化を生じさせる第2の磁界が誘導発生する。
【0173】
ここで、この場合の第2の磁界もこれらコイル21,21,71,71の配置、形状のみによって決まるため、計算によって算出することが可能であるが、位置検出時に逐次的に不要磁界を計算するには複雑で膨大な時間がかかってしまう。そこで、本実施の形態9でも、前述の実施の形態の場合と同様に、医療装置10が位置検出範囲内の予め設定された特定位置に特定向きで位置する場合に、これらコイル21,21,71,71によって医療装置10内の磁界センサ81の位置に発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を、医療装置10の複数の特定位置および複数の特定向きを変数として格納したLUT52を予めメモリ51に保持させておき、位置検出時に参照するようにしたものである。LUT52を用いて第2の磁界を算出し、実測値から第2の磁界を減算することで、補正磁界情報を算出し、この補正磁界情報を用いて最適化計算を行うことで、短時間で位置検出を行う。
【0174】
ここで、本実施の形態9の場合のLUT52としては、以下の2つの機能が必要となる。第1は、放射コイル71,71が作る位置検出用の第1の磁界により、コイル21,21,71,71に流れる電流である。これは、駆動コイル71,71を微小電流素に分けてそれぞれを磁界発生源とすれば、実施の形態1で説明した誘導用コイル21への影響の場合と同じ計算で算出することができる。
【0175】
第2は、上記電流が流れた場合に、コイル21,21,71,71が医療装置10の磁界センサ81の位置に作る磁界である。すなわち、計算を実行する点は、医療装置10の存在する点である。この計算は、実施の形態1で、各誘導用コイル21が磁界センサ41の位置に作る磁界を計算する過程と同じであるが、求める点が、医療装置誘導システム1Cによって固定されておらず、位置検出範囲内の全てをカバーしている点で異なる。
【0176】
入力としては、位置座標(x,y,z)を入力し、この1地点に対してX,Y,Z軸の3軸分の磁界強度が得られる。位置検出装置50の動作としては、最適化計算の途中の各推定位置/向きでの磁界を求め、医療装置10の推定される向きに応じてこれら3軸のデータを合成することで実際の磁界を求めればよい。
【0177】
本実施の形態9の方式でも、磁界センサ81の位置/向きに対する各コイル21,21,71,71との相互インダクタンスを計算することでLUT52を作成することができる。
【0178】
また、本実施の形態9の場合も、特に図示しないが、LUT52として、誘導用コイル21の駆動部24に対する接続状態および放射コイル71の駆動部72に対する接続状態毎に異なる複数のLUTを用意しておき、情報取得部25や図示しない第3の情報取得部から得られる誘導用コイル21及び放射コイル71の接続状態の情報に基づき磁界算出部54が参照するLUT52を切替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の実施の形態1の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。
【図2】不要磁界の発生する様子を示す説明図である。
【図3】実施の形態1のLUTの作成方法を示す概略フローチャートである。
【図4】実施の形態1の位置検出装置によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。
【図5】実施の形態2にかかる誘導用コイルの配置例を示す斜視図である。
【図6】実施の形態3のLUTの作成方法を示す概略フローチャートである。
【図7】実施の形態4の医療装置誘導システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】実施の形態4の位置検出装置によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。
【図9】実施の形態5の医療装置誘導システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【図10】実施の形態5の位置検出装置によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。
【図11】実施の形態6の位置検出装置によって実行される位置検出ステップの処理例を示す概略フローチャートである。
【図12】実施の形態7の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。
【図13】実施の形態8の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。
【図14】実施の形態9の医療装置誘導システムの原理的構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0180】
1A,1B,1C 医療装置誘導システム
10 カプセル型医療装置
11 磁石
20 磁気誘導装置
21 誘導用コイル
24 駆動部
30 磁界発生部
31 放射コイル
40 磁界検出部
41 磁界センサ
50 位置検出装置
52 LUT
54 磁界算出部
55 磁界抽出部
56 位置計算部
57 繰り返し位置計算部
60 磁界発生部
61 LC共振回路
62 駆動コイル
70 磁界発生部
71 放射コイル
80 磁界検出部
81 磁界センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、
磁界発生部と磁界検出部とを有して一部が前記医療装置に内蔵され、前記磁界発生部が特定周波数の第1の磁界を発生し、前記磁界検出部が前記特定周波数の第1の磁界を含む検出磁界情報を検出し、前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方を検出する位置検出装置と、
前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きの少なくともいずれか一方を変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと、該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、
前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方を推定するための特定の位置検出範囲を有するとともに、
前記医療装置が複数の特定位置に複数の特定向きで配置されたときに、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部の少なくともいずれか一方が、前記第1の磁界の作用により前記磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ複数の数値情報を格納したルックアップテーブルと、
前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を推定する磁界算出部と、
前記磁界検出部が検出した前記検出磁界から前記磁界算出部で推定された前記第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出する磁界抽出部と、
該磁界抽出部で算出された補正磁界情報から前記医療装置の位置および向きを推定する位置計算部と、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システム。
【請求項2】
前記位置検出装置は、前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きの少なくともいずれか一方に基づき、前記磁界算出部が前記ルックアップテーブルを参照して再度前記第2の磁界を推定し、前記磁界抽出部が前記磁界検出部の検出した前記検出磁界情報から再度推定された第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出し、前記位置計算部が前記医療装置の位置および向きを前記補正磁界情報から推定する繰り返し計算を行う繰り返し計算部を有し、
前記繰り返し計算部は、前記第2の磁界または前記補正磁界情報の再計算による変化量が設定された閾値より小さくなるまで繰り返し計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の医療装置誘導システム。
【請求項3】
前記位置検出装置は、前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づく前記第1の磁界による前記磁界検出部の検出値を推定した推定検出値を求め、
前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づき、前記磁界算出部が前記ルックアップテーブルを参照して再度前記第2の磁界を推定し、前記磁界抽出部が前記磁界検出部の検出した前記検出磁界情報から再度推定された第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出し、前記位置計算部が前記医療装置の位置および向きを前記補正磁界情報から推定する繰り返し計算を行う繰り返し計算部を有し、
前記繰り返し計算部は、前記補正磁界情報と前記位置計算部が推定した前記医療装置の位置および向きに基づく前記第1の磁界による前記磁界検出部の推定検出値が略一致するまで繰り返し計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の医療装置誘導システム。
【請求項4】
前記磁界発生部は、前記医療装置に内蔵された発振回路と放射コイルとからなり、特定周波数の前記第1の磁界を発生し、
前記磁界検出部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなり、
前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項5】
前記磁界発生部は、前記位置検出範囲の周囲に配設される駆動コイルと、前記医療装置に内蔵されたコンデンサと放射コイルとによる共振回路とからなり、該共振回路が前記駆動コイルの発生する位置検出用磁界によって共振し外部に特定周波数の前記第1の磁界を発生し、
前記磁界検出部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなり、
前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項6】
前記第2の磁界を算出する対象は、前記駆動コイルを含むことを特徴とする請求項5に記載の医療装置誘導システム。
【請求項7】
前記磁界発生部は、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の放射コイルからなり、特定周波数の前記第1の磁界を発生し、
前記磁界検出部は、前記医療装置に内蔵され、
前記位置検出装置は、前記医療装置に内蔵されて前記磁界検出部が検出した磁界の情報を該医療装置の外部へ無線送信する無線送信部と、前記医療装置の外部に設けられて前記無線送信部が送信した磁界の情報を受信する無線受信部とを備え、
前記第2の磁界を算出する対象は、前記誘導用コイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項8】
前記第2の磁界を算出する対象は、前記放射コイルを含むことを特徴とする請求項7に記載の医療装置誘導システム。
【請求項9】
前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲内で離散的に設定された複数の前記特定位置毎の前記数値情報を格納し、
前記磁界算出部は、前記医療装置の位置が前記特定位置の中間の場合には、該位置を挟む少なくとも2つの特定位置で前記ルックアップテーブルを参照し少なくとも2つの特定位置間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項10】
前記ルックアップテーブルは、前記医療装置の向きが1次独立である3つの軸の各軸毎に個別に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項11】
前記1次独立である3つの軸がそれぞれ直交していることを特徴とする請求項10に記載の医療装置誘導システム。
【請求項12】
前記ルックアップテーブルは、複数の前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が、予め設定された次数までの多重干渉によって前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を格納していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項13】
前記ルックアップテーブルは、複数の前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が、多重干渉によって前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記誘導用コイル間または前記磁界発生部間の相互インダクタンスに基づき算出し格納していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項14】
前記ルックアップテーブルは、前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部に流れる電流の実測データに基づく情報として格納していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項15】
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部をさらに備え、
前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項16】
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部と、前記駆動コイルの接続状態の情報を得る第2の情報取得部とをさらに備え、
前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動コイルの接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルおよび前記駆動コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする請求項6に記載の医療装置誘導システム。
【請求項17】
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得る第1の情報取得部と、前記放射コイルの接続状態の情報を得る第3の情報取得部とをさらに備え、
前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルおよび前記放射コイルの接続状態の情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする請求項8に記載の医療装置誘導システム。
【請求項18】
前記誘導用コイルのインピーダンス情報を得る第4の情報取得部をさらに備え、
前記位置検出装置は、前記誘導用コイルの異なる特定インピーダンス毎に異なる複数の前記ルックアップテーブルを備え、前記誘導用コイルのインピーダンス情報に基づき前記磁界算出部が参照する前記ルックアップテーブルを切替えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項19】
前記位置検出装置は、得られた前記誘導用コイルのインピーダンス情報が前記特定インピーダンスの中間の場合には、該インピーダンス情報を挟む2つの特定インピーダンスで前記複数のルックアップテーブルを参照し2つの特定インピーダンス間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする請求項18に記載の医療装置誘導システム。
【請求項20】
前記ルックアップテーブルは、
前記磁界発生部の誘導により前記誘導用コイルに流れる電流と相関を持つ数値情報を、前記磁界発生部の位置情報を変数として格納した第1のルックアップテーブルと、
前記誘導用コイルに予め設定された特定の電流を流した場合に前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記磁界検出部の位置情報を変数として格納した第2のルックアップテーブルと、
に分割して構成され、
前記磁界算出部は、前記磁界発生部の位置情報に基づき前記第1のルックアップテーブルを参照した数値情報とインピーダンス情報とを用いて前記誘導用コイルに流れる電流を算出し、算出された電流に基づき前記第2のルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項21】
前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを1本の線として近似したシングルフィラメントモデルに基づき作成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項22】
前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを複数線として近似したマルチフィラメントモデルに基づき作成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項23】
前記ルックアップテーブルは、前記第2の磁界を算出する対象となる前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部が有するコイルを有限要素法で作成した物理形状のコイルモデルに基づき作成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項24】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置に対して、磁界発生部と磁界検出部とを有して一部が前記医療装置に内蔵された位置検出装置を用いて、特定周波数の第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出した結果に基づき前記医療装置の位置または向きを誘導制御する医療装置誘導方法であって、
駆動部から電力が供給される誘導用コイルによって前記磁石に作用する誘導用磁界を発生させて前記医療装置の位置または向きを制御する誘導ステップと、
前記磁界発生部によって特定周波数の第1の磁界を発生させる磁界発生ステップと、
該磁界発生ステップで発生した前記第1の磁界を含む磁界を前記磁界検出部で検出する磁界検出ステップと、
前記医療装置が複数の特定位置に複数の特定向きで配置されたときに、前記誘導用コイルまたは前記磁界発生部の少なくともいずれか一方が、前記第1の磁界の作用により前記磁界検出部の位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ複数の数値情報を格納したルックアップテーブルを用い、前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を推定する磁界算出ステップと、
前記磁界検出部が検出した前記検出磁界から前記磁界算出部で推定された前記第2の磁界を減算した補正磁界情報を算出する磁界抽出ステップと、
該磁界抽出ステップで算出された補正磁界情報から前記医療装置の位置および向きを推定する位置計算ステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導方法。
【請求項25】
前記位置計算ステップは、該ステップにより推定された前記医療装置の位置および向きに基づき前記ルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出する前記磁界算出ステップと前記位置計算ステップとを繰り返し行う繰り返し計算ステップをさらに有することを特徴とする請求項24に記載の医療装置誘導方法。
【請求項26】
前記位置計算ステップは、
該ステップにより推定された前記医療装置の位置および向きに基づき前記磁界検出部が検出する推定検出磁界情報を算出する推定検出磁界情報算出ステップと、
前記補正磁界情報と前記推定磁界が略一致するまで前記磁界検出ステップと前記推定検出磁界情報算出ステップを繰り返す繰り返し計算ステップと、
を備えることを特徴とする請求項24に記載の医療装置誘導方法。
【請求項27】
前記磁界発生ステップは、前記医療装置に内蔵された発振回路と放射コイルとからなる前記磁界発生部によって特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、
前記磁界検出ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなる前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする請求項24〜26のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項28】
前記磁界発生ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと、前記医療装置に内蔵されたコンデンサと放射コイルとによる共振回路とからなる前記磁界発生部において、前記共振回路が前記位置検出用磁界によって共振することで外部に特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、
前記磁界検出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配設された複数の磁界センサからなる前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする請求項24〜26のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項29】
前記磁界発生ステップは、前記医療装置の位置および向きを推定するために前記位置検出装置が有する特定の位置検出範囲の周囲に配設された複数の放射コイルからなる前記磁界発生部によって特定周波数の前記第1の磁界を発生させ、
前記磁界検出ステップは、前記医療装置に内蔵された前記磁界検出部で前記第1の磁界を検出することを特徴とする請求項24〜26のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項30】
前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態の情報を得て、その接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする請求項24〜29のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項31】
前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動コイルの接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記駆動用コイルの接続状態の情報を得て、これら接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の医療装置誘導方法。
【請求項32】
前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、
前記誘導用コイルの前記駆動部に対する接続状態および前記放射コイルの接続状態の情報を得て、これら接続状態の情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする請求項29に記載の医療装置誘導方法。
【請求項33】
前記ルックアップテーブルとして、前記誘導用コイルの異なる特定インピーダンス毎に異なる複数のルックアップテーブルを用い、
前記誘導用コイルのインピーダンス情報を得て、そのインピーダンス情報に基づき前記磁界算出ステップで参照する前記ルックアップテーブルを切替えるテーブル切替えステップをさらに備えることを特徴とする請求項24〜29のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項34】
前記磁界算出ステップは、前記誘導用コイルのインピーダンス情報が前記特定インピーダンスの中間の場合には、該インピーダンス情報を挟む2つの特定インピーダンスで前記ルックアップテーブルを参照し2つの特定インピーダンス間の補間計算により前記第2の磁界を算出することを特徴とする請求項33に記載の医療装置誘導方法。
【請求項35】
前記ルックアップテーブルとして、前記磁界発生部の誘導により前記誘導用コイルに流れる電流と相関を持つ数値情報を、前記磁界発生部の位置情報を変数として格納した第1のルックアップテーブルと、前記誘導用コイルに予め設定された特定の電流を流した場合に前記磁界検出部の位置に誘導発生する前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を、前記磁界検出部の位置情報を変数として格納した第2のルックアップテーブルと、を用い、
前記磁界算出ステップは、前記磁界発生部の位置情報に基づき前記第1のルックアップテーブルを参照した数値情報とインピーダンス情報とを用いて前記誘導用コイルに流れる電流を算出し、算出された電流に基づき前記第2のルックアップテーブルを参照して前記第2の磁界を算出することを特徴とする請求項24〜29のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項36】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置に内蔵されて特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルと発振回路とからなる磁界発生部と前記医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、
前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルを貫く磁束を算出する磁束算出ステップと、
算出された磁束によって前記誘導用コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、
算出された誘導電流が前記誘導用コイルに流れた場合に、前記磁界センサに誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、
算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記磁束算出ステップ、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項37】
前記磁束算出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配置された複数の前記誘導用コイル間の予め設定された次数までの多重干渉によって生ずる磁束分も含めて算出することを特徴とする請求項36に記載の医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項38】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置に内蔵されて特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルと発振回路とからなる磁界発生部と前記医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、
前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルとの相互インダクタンスを算出し、算出した相互インダクタンスを用いて前記各誘導用コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、
算出された誘導電流が前記誘導用コイルに流れた場合に、前記位置検出範囲の周囲に配置されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサに誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、
算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項39】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと前記医療装置に内蔵されて前記位置検出用磁界によって共振し特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルとコンデンサとによる共振回路とからなる磁界発生部と前記位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、
前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルを貫く磁束を算出する磁束算出ステップと、
算出された磁束によって前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、
算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れた場合に、前記磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、
算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記磁束算出ステップ、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項40】
前記磁束算出ステップは、前記位置検出範囲の周囲に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイル間の予め設定された次数までの多重干渉によって生ずる磁束分も含めて算出することを特徴とする請求項39に記載の医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項41】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて位置検出用磁界を発生する駆動コイルと前記医療装置に内蔵されて前記位置検出用磁界によって共振し特定周波数の第1の磁界を発生する放射コイルとコンデンサとによる共振回路とからなる磁界発生部と前記位置検出範囲の周囲に配設されて前記第1の磁界を検出するための複数の磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、
前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて前記第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された複数の前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルとの相互インダクタンスを算出し、算出した相互インダクタンスを用いて前記各誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、
算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記駆動コイルに流れた場合に、前記位置検出範囲の周囲に配置されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、
算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して、前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の前記特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項42】
磁石を内蔵して体腔内に導入される医療装置と、該医療装置の位置検出範囲の周囲に配設されて特定周波数の第1の磁界を発生する複数の放射コイルからなる磁界発生部と前記医療装置に内蔵されて前記第1の磁界を検出するための磁界センサからなる磁界検出部とを有して前記第1の磁界から前記医療装置の位置および向きを検出する位置検出装置と、前記磁石に作用させて前記医療装置の位置または向きを変えるための誘導用磁界を発生する誘導用コイルと該誘導用コイルに接続されて前記誘導用磁界を発生させるための電力を供給する駆動部とを有する磁気誘導装置と、を備える医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法であって、
前記位置検出範囲内に離散的な複数の特定位置および複数の特定向きを設定する特定位置設定ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに前記医療装置を配置させて、前記放射コイルで該位置検出範囲に対して特定周波数の第1の磁界を発生させた場合に、前記位置検出範囲の周囲の既知の位置に配置された前記誘導用コイルまたは前記放射コイルに流れる誘導電流を算出する電流算出ステップと、
算出された誘導電流が前記誘導用コイルまたは前記放射コイルに流れた場合に、前記磁界センサの位置に誘導発生する第2の磁界と相関を持つ数値情報を算出する磁界算出ステップと、
算出された前記第2の磁界と相関を持つ数値情報を一つの前記特定位置および一つの前記特定向きに関連付けて記憶させる記憶ステップと、
一つの前記特定位置および一つの前記特定向きを順次変更して前記電流算出ステップ、磁界算出ステップおよび前記記憶ステップを、複数の前記特定位置および複数の特定向きの全てについて繰り返してテーブルを作成する繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項43】
前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを1本の線として近似したシングルフィラメントモデルに基づき作成することを特徴とする請求項38〜42のいずれか一つに記載の医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項44】
前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを複数の線として近似したマルチフィラメントモデルに基づき作成することを特徴とする請求項38〜42のいずれか一つに記載の医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項45】
前記ルックアップテーブルは、前記位置検出範囲の周囲に配置された前記コイルを有限要素法で作成した物理形状のコイルモデルに基づき作成することを特徴とする請求項38〜42のいずれか一つに記載の医療装置誘導システムで用いるルックアップテーブルの作成方法。
【請求項46】
前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項47】
前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報と位相情報であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の医療装置誘導システム。
【請求項48】
前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報であることを特徴とする請求項24〜29のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。
【請求項49】
前記検出磁界情報および前記補正磁界情報が磁界の振幅情報と位相情報であることを特徴とする請求項24〜29のいずれか一つに記載の医療装置誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−39356(P2009−39356A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208460(P2007−208460)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】