説明

医療診断支援コンピュータシステム、コンピュータプログラム、及びサーバコンピュータ

【課題】医師が患者の病態を的確に判断するための情報を適切に提供するとともに、患者への情報の提供の際における患者の理解容易性を確保したシステムを提供する。
【解決手段】表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部を備え、前記医師用画面W2は、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域を同時に表示するよう構成され、前記患者用画面W3は、その表示内容を、患者の前記病態情報と、患者に関する1又は複数の関連情報とに、選択的に切り替え表示可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病などの診療支援に用いられる医療診断支援コンピュータシステム、コンピュータプログラム、及びサーバコンピュータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病気の治療に際しては、医師による問診に加え、患者に対して様々な検査が行われるのが一般的である。
そして、医師は、患者の検査結果や臨床所見などの判断材料に基づいて、自己の経験と勘を頼りに、治療方法を選択しているというのが現状である。
【0003】
したがって、診療に役立つ情報がコンピュータによって提供されれば、医師による診療が、より的確に行われることを期待できる。
診療を支援するシステムとしては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、血糖値を予測するシステムがある。
これらのシステムは、患者の血糖値の変化を予測して、予測血糖値を医師に提供することにより、診療を支援するものである。
【特許文献1】特開平10−332704号公報
【特許文献2】特開平11−296598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適切な治療方法を選択する際には、医師が、病気の各種症状の原因を構成する要因を適切に把握することが望まれる。要因を適切に把握できれば、その要因を改善する治療を行うことで、より適切な治療が期待できる。
しかし、医師が、要因を把握するために用いることができるデータは、患者を検査して得られる検査値ぐらいである。
検査値だけでも、医師が要因を把握できる疾患であればよいが、疾患によっては、検査値からだけでは、要因を適切に把握することが著しく困難な場合がある。
【0005】
例えば、糖尿病の場合、その病気の程度を示す指標として「血糖値」が用いられる。しかし、「血糖値」は、あくまでも結果にすぎず、この結果をもたらしたインスリン分泌不全、末梢インスリン抵抗性、肝糖取込低下、肝糖放出亢進といった病態を、前記臨床所見等から的確に把握するのは容易ではない。
【0006】
したがって、特許文献1及び2のような血糖値の予測値が医師に提供されるだけでは、患者の病態を的確に判断するのは依然として困難である。
【0007】
また、例えば、糖尿病や心臓疾患等にあっては、通常、経口糖負荷試験や心電図、血圧、脈拍の測定、血液検査等の検査結果を用いて専門医が患者の病態を判断することになるが、前記検査結果から正確に病態を判断するには、豊富な経験を必要とし、非専門医には困難である。
そこで、検査結果から正確に病態を判断することができるように、経験の浅い医師や非専門医を教育する効果のあるシステムも要望されている。
【0008】
一方、上記のように、医師が患者の病態を的確に判断するための支援システムが望まれるものの、そのようなシステムは、患者に必要な情報を提供するためにも用いることができれば好適である。
つまり、患者が、自己の状況を把握することは、治療効果を高める上でも重要であり、システムから画面表示等によって提供される情報は、医師だけでなく、患者も見ることが望まれる。
【0009】
しかし、医師が患者の病態を的確に判断する際の情報の提供の仕方と同じ方法で、患者に情報を提供すると、患者にとっては複雑すぎる場合があり、患者の理解容易性が損なわれる。
ところが、患者にわかりやすく情報を提供しようとすると、画面表示等される情報量が少なくなり、医師が患者の病態を的確に判断するのが困難となって医師の診断容易性が損なわれる。
【0010】
そこで、本発明は、医師が患者の病態を的確に判断するための情報を適切に提供するとともに、患者への情報の提供の際における患者の理解容易性を確保したシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、医師による患者の診断を支援するための医療診断支援コンピュータシステムであって、患者の生体機能を表現した生体モデルをコンピュータ上で構築し、当該生体モデルに基づいて患者の病態情報を生成する病態情報生成手段と、表示装置と、表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、
前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力を受け付ける画面切替部と、を備え、前記医師用画面は、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域を同時に表示するよう構成され、前記患者用画面は、その表示内容を、患者の前記病態情報と、患者に関する1又は複数の関連情報とに、選択的に切り替え表示可能に構成されている。
【0012】
上記本発明によれば、医師用画面では、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域が同時に表示されるため、病態情報と関連情報とを総合して病態を的確に判断することができる。
また、患者用画面では、患者の前記病態情報と患者の関連情報とが、選択的に切り替え表示されるため、病態情報の表示と関連情報の表示それぞれがシンプルになり、患者によって見やすく、理解が容易なものとなる。
【0013】
前記関連情報には、患者の医療検査の結果情報を含むのが好ましい。
また、前記関連情報には、医師の診察の結果である所見情報を含むのが好ましい。
前記関連情報には、患者への薬の投与状況を示す処方情報を含むのが好ましい。
【0014】
患者用画面において前記病態情報又は前記関連情報を選択的に表示するための画面領域は、医師用画面において前記病態情報を表示するための画面領域又は前記関連情報を表示するための画面領域それぞれよりも大きいのが好ましく、この場合、患者用画面が患者にとって見やすいものとなる。
【0015】
他の観点からみた本発明は、医師による患者の診断を支援するための医療診断支援コンピュータシステムであって、患者の生体機能を表現した生体モデルをコンピュータ上で構築し、当該生体モデルに基づいて患者の病態情報を生成する病態情報生成手段と、表示装置と、表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力を受け付ける画面切替部と、を備え、前記医師用画面は、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域を同時に表示するよう構成され、前記患者用画面には、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面を含む。
【0016】
上記本発明によれば、医師用画面では、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域が同時に表示されるため、病態情報と関連情報とを総合して病態を的確に判断することができる。
また、患者用画面では、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面を含むため、患者には理解が困難な病態情報を表示せずに、患者にとってより必要な検査結果情報を表示することができる。よって、検査結果情報が、患者によって見やすく、理解が容易なものとなる。
【0017】
患者用画面において前記検査結果画面の画面領域は、医師用画面において前記関連情報を表示するための画面領域よりも大きいのが好ましく、この場合、患者用画面が見やすくなる。
【0018】
前記病態情報は、前記生体モデルを用いたシミュレーション解析によって得られた糖尿病の病態情報を含むのが好ましい。
【0019】
前記病態情報の表示は、前記生体モデルを用いたシミュレーション解析によって得られた病態情報を示すレーダーチャートを含むのが好ましい。
【0020】
他の観点からみた本発明は、表示装置を有するコンピュータシステムを、上記医療診断支援コンピュータシステムとして機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0021】
更に他の観点からみた本発明は、医師による患者の診断を支援するための画面を、ネットワークを介して接続された端末装置の表示装置に表示させるサーバコンピュータであって、前記端末装置の前記表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力が前記端末装置においてなされると、前記医師用画面と患者用画面との間で表示を切り替える画面切替部と、前記医師用画面は、患者の生体機能を表現するようにコンピュータ上に構築された生体モデルに基づいて生成された患者の病態情報を表示するための画面領域と、患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域と、を同時に表示するよう構成され、前記患者用画面は、その表示内容を、患者の前記病態情報と、患者に関する1又は複数の関連情報とに、選択的に切り替え表示可能に構成されているものである。
【0022】
医師による患者の診断を支援するための画面を、ネットワークを介して接続された端末装置の表示装置に表示させるサーバコンピュータであって、前記端末装置の前記表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力が前記端末装置においてなされると、前記医師用画面と患者用画面との間で表示を切り替える画面切替部と、前記医師用画面は、患者の生体機能を表現するようにコンピュータ上に構築された生体モデルに基づいて生成された患者の病態情報を表示するための画面領域と、患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域と、を同時に表示するよう構成され、前記患者用画面には、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面を含むものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、医師が患者の病態を的確に判断するための情報を適切に提供するとともに、患者への情報の提供の際における患者の理解容易性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の医療診断支援コンピュータシステム(以下、単に「システム」ともいう)の実施の形態を詳細に説明する。
[システム全体構成]
図1は、医療診断支援コンピュータシステムSSを、サーバ−クライアントシステムとして構成した場合のシステム構成図を示している。なお、本実施形態において、システムSSは、糖尿病の診断を支援するためのシステムとして構築されている。
【0025】
このシステムSSは、サーバコンピュータ(以下、単に「サーバ」ともいう)Sと、サーバSにインターネット又はLAN等のネットワークを介して接続されたクライアント端末装置(以下、単に「クライアント」ともいう)Cとを含むネットワークシステムとして構成されている。
なお、このシステムSSは、1台のコンピュータによって構成されていてもよい。
【0026】
前記クライアントCは、医師又は検査技師等のユーザによって使用される。このクライアントCは、表示装置(ディスプレイ)及び入力装置(キーボード又はマウス等)を有するコンピュータによって構成されている。また、クライアントCには、図示しないプリンタが接続され、クライアントの表示画面等を印刷することができる。
【0027】
前記クライアントCは、WebブラウザC1を備えている。このWebブラウザC1は、システムSSのユーザインターフェースとして機能する。つまり、ユーザは、WebブラウザC1には、サーバSで生成されてクライアントCへ送信された画面が出力される。WebブラウザC1上で、入力や必要な操作を行うことができる。
【0028】
サーバSは、アプリケーションサーバS1としての機能、シミュレータ・解析サーバS2としての機能、及びデータベースサーバS3としての機能を有している。なお、各機能S1〜S3は、1台のコンピュータで実現してもよいし、ネットワーク接続された複数のコンピュータによって実現してもよい。
【0029】
本実施形態において、アプリケーションサーバS1は、ネットワークシステムSSを医療診断支援システムとして機能させるために中核的な働きを担っており、WebブラウザC1に表示される画面を生成してクライアント端末Cに送信したり、WebブラウザC1上で入力された情報をクライアント端末Cから受け付けたりする機能を有している。
このため、アプリケーションサーバS1には、WebブラウザC1で表示されるユーザインターフェース画面を生成する機能、クライアント端末Cから情報を受け付ける機能、その他の必要な処理を行う機能を実現するためのコンピュータプログラム(アプリケーションプログラム)が、コンピュータ実行可能に搭載されている。
【0030】
なお、クライアント端末Cは、サーバSから、WebブラウザC1に表示される画面の一部又は全部の機能を実現するためのjava(登録商標)アプレット等のプログラムをダウンロードして、WebブラウザC1に画面を表示してもよい。
【0031】
シミュレータ・解析サーバ(病態情報解析サーバ)S2は、患者の生体機能を表現した生体モデルをコンピュータ(サーバS)上で構築し、当該生体モデルに基づいて患者の病態情報(糖尿病の病態情報)を生成する。
本実施形態において、前記生体モデルは、人体全体又はある疾患についての生体機能を表現すべく、生体機能に関する複数のパラメータを含むコンピュータ上の数理モデルとして構築されている。シミュレータ・解析サーバS2は、後述のように、前記生体モデルに基づいて、特定の患者の疾患(糖尿病)に関するシミュレーションを行い、当該シミュレーションによって当該患者の病態情報を取得する。
【0032】
なお、シミュレータ・解析サーバ(病態情報生成サーバ;病態情報生成部)S2には、病態シミュレータ・解析プログラム(病態情報解析コンピュータプログラム)が、コンピュータ実行可能に搭載されており、当該プログラムによって、シミュレーション及び解析機能が実現される。
【0033】
前記データベースサーバS3には、患者の検査結果等の各種データDB1〜DB7を有するデータベースが構築されている。
【0034】
図2は、前記サーバSのハードウェア構成を示すブロック図である。前記サーバSは、本体S110と、ディスプレイS120と、入力デバイスS130とから主として構成されたコンピュータによって構成されている。本体S110は、CPUS 110aと、ROM S110bと、RAM S110cと、ハードディスクS110dと、読出装置S110eと、入出力インタフェースS110fと、画像出力インタフェースS110hとから主として構成されており、CPU S110a、ROM S110b、RAM S110c、ハードディスクS110d、読出装置S110e、入出力インタフェースS110f、及び画像出力インタフェースS110hは、バスS110iによってデータ通信可能に接続されている。
【0035】
CPUS110aは、ROMS110bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAMS110cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。
そして、アプリケーションサーバS1機能を実現するためのアプリケーションプログラム140a、シミュレータ・解析サーバS2機能を実現するためのプログラム、及びデータベースサーバ機能を実現するためのプログラム、を当該CPU110aが実行することにより、後述するような各機能ブロックが実現され、コンピュータが本実施形態のサーバSとして機能する。
ROM S110bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPUS110aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0036】
RAM S110cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM S110cは、ROM S110b及びハードディスクS110dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU S110aの作業領域として利用される。
ハードディスクS110dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU S110aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0037】
読出装置S110eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体S140に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体S140には、コンピュータを本発明のシステムとして機能させるためのコンピュータプログラムが格納されており、コンピュータが当該可搬型記録媒体S140から必要なアプリケーションプログラムS140a等を読み出し、当該アプリケーションプログラムS140a等をハードディスクS110dにインストールすることが可能である。
【0038】
なお、前記アプリケーションプログラムS140a等の前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体S140によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラムS140a等がインターネット上のアプリケーションプログラム提供サーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスクS110dにインストールすることも可能である。
また、ハードディスクS110dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態において説明するコンピュータプログラムは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0039】
入出力インタフェースS110fは、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェースS110fには、キーボードおよびマウスからなる入力デバイスS130が接続されており、ユーザが当該入力デバイスS130を使用することにより、コンピュータにデータを入力することが可能である。
画像出力インタフェースS110hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイS120に接続されており、CPUS110aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイS120に出力するようになっている。ディスプレイS120は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0040】
なお、前記クライアント端末Cのハードウェア構成も、前記サーバSのハードウェア構成と同様である。
【0041】
[シミュレータ・解析サーバS2について]
以下、シミュレータ・解析サーバ(病態情報生成サーバ;病態情報生成部)S2について説明する。
【0042】
[生体モデルについて]
図3は、本実施形態の病態シミュレーションのために用いられる生体モデルの一例の全体構成を示すブロック図である。この生体モデルは、特に、糖尿病に関連した生体器官を模したものであり、膵臓ブロック1、肝臓ブロック2、インスリン動態ブロック3及び末梢組織ブロック4から構成されている。
【0043】
各ブロック1,2,3,4は、それぞれ入力と出力を有している。すなわち、膵臓ブロック1は、血中グルコース濃度6を入力とし、インスリン分泌速度7を出力としている。
肝臓ブロック2は、消化管からのグルコース吸収5、血中グルコース濃度6及びインスリン分泌速度7を入力とし、正味グルコース放出8及び肝臓通過後インスリン9を出力としている。
また、インスリン動態ブロック3は、肝臓通過後インスリン9を入力とし、末梢組織でのインスリン濃度10を出力としている。
さらに、末梢組織ブロック4は、正味グルコース放出8及び末梢組織でのインスリン濃度10を入力とし、血中グルコース濃度6を出力としている。
【0044】
グルコース吸収5は、生体モデル外部(データベースサーバS3)から与えられるデータである。本実施形態において、グルコース吸収に関するデータは、実際の検査データ(生体応答)としてデータベースS3に登録されている。
また、それぞれの機能ブロック1〜4は、コンピュータプログラムがサーバS2のCPUによって実行されることにより実現される。
【0045】
つぎに、前述した例における各ブロックの詳細について説明する。なお、FGB及びWsはそれぞれ空腹時血糖値(FGB=BG(0))及び患者体重を示しており、またDVg及びDViはそれぞれグルコースに対する分布容量体積及びインスリンに対する分布容量体積を示している。
【0046】
[生体モデルの膵臓ブロック]
膵臓ブロック1の入出力の関係は、以下の微分方程式(1)を用いて記述することができる。また、微分方程式(1)と等価な、図4に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(1):
dY/dt = −α{Y(t)−β(BG(t)−h)}
(ただし、BG(t)> h)
= −αY(t) (ただし、BG(t)<=h)
dX/dt = −M・X(t)+Y(t)
SR(t) = M・X(t)
変数:
BG(t):血糖値
X(t) :膵臓から分泌可能なインスリン総量
Y(t) :グルコース刺激に対しX(t)に新たに供給されるインスリン供給速度
SR(t):膵臓からのインスリン分泌速度
パラメータ:
h :インスリン供給を刺激できるグルコース濃度のしきい値
α :グルコース刺激に対する追従性
β :グルコース刺激に対する感受性
M :単位濃度あたりの分泌速度
ここで、図3における膵臓ブロック1への入力である血糖値6はBG(t)と対応し、また出力であるインスリン分泌速度7はSR(t)と対応する。
【0047】
図4のブロック線図において、6は血糖値BG(t)、7は膵臓からのインスリン分泌速度SR(t)、12はインスリン供給を刺激できるグルコース濃度のしきい値h、13はグルコース刺激に対する感受性β、14はグルコース刺激に対する追従性α、15は積分要素、16はグルコース刺激に対して新たに供給されるインスリン供給速度Y(t)、17は積分要素、18は膵臓から分泌可能なインスリン総量X(t)、19は単位濃度当たりの分泌速度Mをそれぞれ示している。
【0048】
[生体モデルの肝臓ブロック]
肝臓ブロック2の入出力の関係は、以下の微分方程式(2)を用いて記述することができる。また、微分方程式(2)と等価な、図5に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(2):
dI(t)/dt = α2{−A(t) + (1−A)・SR(t) }
Goff(FGB) = f1 (ただし FGB<f3)
= f1 + f2・(FGB−f3)
(ただしFGB>=f3)
Func1(FGB)= f4 − f5・(FGB−f6)
Func2(FGB)=f7/FGB
b1(I(t))= f8{1 + f9・I4(t)}
HGU(t) =r・Func1(FGB)・b1(I(t))・RG(t)+ (1−r)・Kh・BG(t)・I(t) (ただしHGU(t)>=0)
HGP(t) = I4off・Func2(FGB)・b2+Goff(FGB)−I(t)・Func2(FGB)・b2 (ただしHGP(t)>= 0)
SGO(t) =RG(t)+ HGP(t)−HGU(t)
SRpost(t) = ASR(t)
変数:
BG(t):血糖値(血液単位体積あたりのグルコース濃度)
SR(t):膵臓からのインスリン分泌速度
SRpost(t):肝臓通過後のインスリン
RG(t) :消化管からのグルコース吸収
HGP(t) :肝糖放出
HGU(t) :肝糖取込
SGO(t) :肝臓からの正味グルコース
(t) :肝インスリン濃度
パラメータ:
Kh :単位インスリン、単位グルコース当たりの肝臓でのインスリン依存グルコース取り込み速度
:肝臓でのインスリン取り込み率
Goff :基礎代謝に対するグルコース放出速度
b2 :肝糖放出抑制率に関する調整項
r :インスリン非依存性肝糖取り込みへの分配率
α2 :インスリン刺激に対する追従性
4off :肝糖放出が抑制されるインスリン濃度のしきい値
関数:
Goff(FGB): 基礎代謝に対するグルコース放出速度
Func1(FGB): 消化管からのグルコース刺激に対する肝糖取り込み率
Func2(FGB): インスリン刺激に対する肝糖放出抑制率
f1〜f9 : 上記の3要素の表現にあたって用いた定数
b1(I(t)): 肝糖取り込み率に関する調整項
ここで、図3における肝臓ブロックへの入力である、消化管からのグルコース吸収5はRG(t)、血糖値6はBG(t)、インスリン分泌速度7はSR(t)とそれぞれ対応し、また出力である正味グルコース放出8はSGO(t)、肝臓通過後インスリン9はSRpost(t)とそれぞれ対応している。
【0049】
図5のブロック線図において、5は消化管からのグルコース吸収RG(t)、6は血糖値BG(t)、7は膵臓からのインスリン分泌速度SR(t)、8は肝臓からの正味グルコースSGO(t)、9は肝臓通過後のインスリンSRpost(t)、24は肝臓のインスリン通過率(1−A7)、25はインスリン刺激に対する追従性α2、26は肝臓通過後のインスリン分配速度A3、27は積分要素、28は肝インスリン濃度I(t)、9はインスリン依存性肝糖取り込み分配率(1−r)、30は単位インスリン、単位グルコース当たりの肝臓でのインスリン依存グルコース取り込み速度Kh、31はインスリン非依存性肝糖取り込みへの分配率r、32は消化管からのグルコース刺激に対する肝糖取り込み率Func1(FGB)、33は肝糖取り込み率に関する調整項b1(I(t))、34は肝糖取込HGU(t)、35は肝糖放出が抑制されるインスリン濃度のしきい値I4off、36はインスリン刺激に対する肝糖放出抑制率Func2(FGB)、37は肝糖放出抑制率に関する調整項b2、38は基礎代謝に対するグルコース放出速度、39は肝糖放出HGP(t)、40は肝臓でのインスリン取り込み率Aを示している。
【0050】
[生体モデルのインスリン動態ブロック]
インスリン動態分泌の入出力の関係は、以下の微分方程式(3)を用いて記述することができる。また、微分方程式(3)と等価な、図6に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(3):
dI(t)/dt = −A(t)+A(t)+A(t)+SRpost(t)
dI(t)/dt= A(t)− A(t)
dI(t)/dt=A(t) − A(t)
変数:
SRpost(t):肝臓通過後のインスリン
(t) :血中インスリン濃度
(t) :インスリン非依存組織でのインスリン濃度
(t) :末梢組織でのインスリン濃度
パラメータ:
:末梢組織でのインスリン消失速度
:末梢組織へのインスリン分配率
:肝臓通過後のインスリン分配速度
:末梢組織通過後のインスリン流出速度
:インスリン非依存組織でのインスリン消失速度
:インスリン非依存組織へのインスリン分配率
ここで、図3におけるインスリン動態ブロックの入力である肝臓通過後のインスリン9は、SRpost(t)と対応し、また出力である末梢組織でのインスリン濃度10は、I(t)と対応する。
【0051】
図6のブロック線図において、9は肝臓通過後のインスリンSRpost(t)、10は末梢組織でのインスリン濃度I(t)、50は積分要素、51は肝臓通過後のインスリン分配速度A、52は血中インスリン濃度I(t)、53は末梢組織へのインスリン分配率A、54は積分要素、55は末梢組織でのインスリン消失速度A1、56は末梢組織通過後のインスリン流出速度A、57はインスリン非依存組織へのインスリン分配率A、58は積分要素、59はインスリン非依存組織でのインスリン濃度I(t)、60はインスリン非依存組織でのインスリン消失速度Aをそれぞれ示している。
【0052】
[生体モデルの末梢組織ブロック]
末梢組織ブロック4の入出力の関係は、以下の微分方程式(4)を用いて記述することができる。また、微分方程式(4)と等価な、図7に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(4):
dBG´/dt=SGO(t)−u* Goff(FGB)−Kb(BG´(t)−FBG´)−Kp・I(t)・BG´(t)
変数:
BG´(t) :血糖値(単位体重あたりのグルコース濃度)
(ただしBG[mg/dl]、BG´[mg/kg])
SGO(t) :肝臓からの正味グルコース
(t) :末梢組織でのインスリン濃度
FBG´ :空腹時血糖(ただしFBG´=BG´(0))
パラメータ:
Kb :末梢組織でのインスリン非依存グルコース消費速度
Kp :単位インスリン、単位グルコースあたりの
末梢組織でのインスリン依存グルコース消費速度
u :基礎代謝に対するグルコース放出速度のうち
基礎代謝に対するインスリン非依存グルコース消費が占める割合
関数:
Goff(FGB):基礎代謝に対するグルコース放出速度
f1〜f3 :Goffの表現にあたって用いた定数
ここで、図3における末梢組織ブロックへの入力である末梢組織でのインスリン濃度10はI(t)、肝臓からの正味グルコース8はSGO(t)とそれぞれ対応し、また出力である血糖値6はBG(t)と対応する。
【0053】
図7のブロック線図において、6は血糖値BG(t)、8は肝臓からの正味グルコースSGO(t)、10は末梢組織でのインスリン濃度I(t)、70は基礎代謝に対するインスリン非依存グルコース消費速度u* Goff(FGB)、71は積分要素、72は末梢組織でのインスリン非依存グルコース消費速度Kb、73は単位インスリン、単位グルコース当たりの末梢組織でのインスリン依存グルコース消費速度Kp、74は単位変換定数Ws/DVgをそれぞれ示している。
【0054】
図3に示されるように、本システムを構成するブロック間の入力、出力は、相互に接続されているため、消化管からのグルコース吸収5を与えることで、血糖値、インスリン濃度の時系列変化を、数式に基づいて計算し、シミュレートすることができる。
【0055】
本システムの微分方程式の計算には、例えばE−Cell(慶應義塾大学公開ソフトウェア)やMatLab(マスワークス社製品)を用いることができるが、他の計算システムを用いてもよい。
【0056】
[生体モデル生成部]
図3〜図7に示す上述の生体モデルによって、個々の患者の生体器官をシミュレートするには、個々の患者に応じた特性を有する生体モデルを生成する必要がある。具体的には、生体モデルのパラメータと変数の初期値とを、個々の患者に応じて決定し、決定されたパラメータ及び初期値を生体モデルに適用して、個々の患者に対応した生体モデルを生成する必要がある(なお、以下では、特に区別しなければ、変数の初期値も生成対象のパラメータに含めるものとする)。
【0057】
本システムSSのサーバ2(のシミュレータ・解析サーバS2)は、生体モデル生成部としての機能を実現するため、生体モデルの内部パラメータの組である内部パラメータセット(以下、単に「パラメータセット」ということがある)を求め、求めたパラメータセットが適用された生体モデルを生成する機能を有している。なお、この機能は、病態シミュレータ・解析プログラムによって実現されている。
生体モデル生成部によって生成されたパラメータセットを前記生体モデルに与えることで、生体モデル演算部が、生体器官の機能のシミュレートを行って、実際の生体応答(検査結果)を模した疑似応答を出力することができる。
【0058】
[パラメータセット生成部]
以下、実際の患者(生体)の検査結果(生体応答)に基づき、その患者の生体器官を模した生体モデルを形成するためのパラメータセットを生成するパラメータセット生成部について説明する。
【0059】
[OGTT時系列データ入力:ステップS1−1]
図8は、システムSSのパラメータセット生成部が、生体モデルのパラメータセットを求める処理手順を示している。同図に示すように、パラメータを求めるには、まず、実際の検査結果(生体応答)としてのOGTT(Oral Glucose Tolerance Test;経口ブドウ糖負荷試験)時系列データの入力処理(ステップS1−1)が行われる。
OGTT時系列データは、生体モデルによってシミュレートしようとする患者に対して実際に行った検査であるOGTT(所定量のブドウ糖液を経口負荷して血糖値や血中インスリン濃度の時間的変化を測定)の結果であり、本システムは、クライアント端末3から、実際の生体応答(実際の検査値)として入力を受け付ける。ここでは、OGTT時系列データとして、OGTTグルコースデータ(血糖値変動データ)と、OGTTインスリン(血中インスリン濃度変動データ)の2つが入力される。
【0060】
なお、入力されたOGTT時系列データは、データベースサーバS3のデータベースのうち、OGTTデータテーブルDB4(図17(c)参照)に「検査データ」として登録される。
【0061】
図9は、入力されるOGTT時系列データとしての血糖値変動データ(図9(a))及び血中インスリン濃度変動データ(図9(b))の例を示している。
図9(a)の血糖値変動データは、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血糖値BG(t)の時間的変化に対応した実測データである。
また、図9(b)の血中インスリン濃度変動データは、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血中インスリン濃度I(t)の時間的変化に対応した実測データである。
【0062】
[テンプレートマッチング:ステップS1−2]
次に、本システムSSは、入力されたOGTT時系列データと、テンプレートデータベースDB1のテンプレートとのマッチングを行う。なお、テンプレートデータベースDB1は、データベースサーバS3のデータベース24に含まれる1つのデータベースである。
テンプレートデータベースDB1は、図10に示すように、テンプレートとなる生体モデルの参照用出力値T1,T2,・・と、当該参照用出力値を発生させるパラメータセットPS#01,PS#02・・とが対応付けられた複数組のデータが予め格納されたものである。参照用出力値とパラメータセットの組を作成するには、任意の参照用出力値に対して、適当なパラメータセットを割り当てたり、逆に任意のパラメータセットを選択した場合の生体モデルの出力を生体シミュレーションシステムで求めたりすればよい。
【0063】
図11は、テンプレート(参照用出力値)T1の例を示している。図11(a)は、テンプレートとしての血糖値変動データであり、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血糖値BG(t)の時間的変化に対応した参照用時系列データである。図11(b)は、テンプレートとしての血中インスリン濃度変動データであり、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血中インスリン濃度I(t)の時間的変化に対応した参照用時系列データである。
【0064】
システムSSは、上記テンプレートデータベースDB1の各参照用時系列データと、OGTT時系列データとの類似度を演算する。類似度は、誤差総和を求めることによって得られる。誤差総和は、次式によって得られる。
誤差総和=αΣ|BG(0)−BGt(0)|+βΣ|PI(0)−PIt(0)|
+αΣ|BG(1)−BGt(1)|+βΣ|PI(1)−PIt(1)|
+αΣ|BG(2)−BGt(2)|+βΣ|PI(2)−PIt(2)|
+・・・
=α{Σ|BG(t)−BGt(t)|}+β{Σ|PI(t)−PIt(t)|}
ここで、
BG:入力データの血糖値[mg/dl]
PI:入力データの血中インスリン濃度[μU/ml]
BGt:テンプレートの血糖値[mg/dl]
PIt:テンプレートの血中インスリン濃度[μU/ml]
t:時間[分]
また、α及びβは規格化に用いる係数であり、
α=1/Average{ΣBG(t)}
β=1/Average{ΣPI(t)}
定式のAverageはテンプレートデータベースDB1に格納された全テンプレートに対する平均値を指す。
【0065】
図12は、テンプレートT1に対するOGTT時系列データの誤差総和(規格化なし)を示しており、具体的には、図12(a)は、図9(a)の血糖値と図11(a)の血糖値との誤差を示しており、図12(b)は、図9(b)のインスリンと図11(b)のインスリンの誤差を示している。
図9の入力データ(10分間隔の0分から180分のデータ)と、図11のテンプレートT1についてみると、
Σ|BG(t)−BGt(t)|=29
Σ|PI(t)−PIt(t)|=20
となる。ここで、α=0.00035、β=0.00105とすると、
誤差総和=(0.00035×29)+(0.00105×20)
=0.03115
【0066】
上記のようにして、CPU100aは、テンプレートデータベースDB1中の各テンプレートについて誤差総和を求め、誤差総和(類似度)が最小となるテンプレート、すなわちOGTT時系列データに最も近似するテンプレートを決定する(ステップS1−2)。
【0067】
[パラメータセット獲得:ステップS1−4]
さらに、ステップS1−3では、システムSSは、ステップS1−2において決定されたテンプレートに対応するパラメータセットを、テンプレートデータベースDB1から獲得する。つまり、テンプレートT1に対応するパラメータセットPS#01が得られる(図10参照)。
下記表1は、このようにして得られたパラメータセットPS#01に含まれるパラメータ値の具体的数値例を示している。
【表1】

【0068】
なお、パラメータセット(生体モデル)を生成する方法は、上記のようなテンプレートマッチングに限られるものではない。例えば、パラメータセットを遺伝的アルゴリズムによって生成してもよい。つまり、パラメータセットの初期集団をランダムに発生させ、初期集団に含まれるパラメータセット(個体)に対して、選択・交叉・突然変異処理を行って、新たな子集団を生成するという遺伝的アルゴリズムを行うことができる。この遺伝的アルゴリズムによって生成されたパラメータセットのうち、入力された生体応答(検査結果)に近似した疑似応答を出力するパラメータセットを採用することができる。
このように、生体モデル生成部は、入力され生体応答を模した疑似応答を出力できる生体モデルを生成できるものであれば、その具体的生成方法は特に限定されない。
【0069】
[疑似応答取得部(生体モデル演算部)]
システムSSは、上記パラメータセットPS#01が、生体モデルに与えられると、その生体モデルに基づき演算を行い、入力されたOGTT時系列データを模した疑似応答情報(血糖値及びインスリン濃度の時系列変化)を出力する機能を有している(システムSSの疑似応答取得部(生体モデル演算部)としての機能)。
つまり、システムSSでは、生成された生体モデルに基づき、患者の生体器官のシミュレーションを行うことができる。なお、この機能も、病態シミュレータ・解析プログラムによって実現されている。
また、生成されたパラメータセットは、病態情報(病態特徴情報)を取得するためにも用いられるが、この点については、後述する。
【0070】
[アプリケーションサーバS1の機能]
図13は、サーバSのアプリケーションサーバS1の画面制御部S1−Aが生成し、クライアントCの表示装置に表示される本システムSSの画面を示している。
図13の画面は、医師等のユーザがクライアントCから本システムにログインした直後の起動画面を示している。
【0071】
本システムSSの画面は、クライアントCのWebブラウザC1上に表示される。図13では、WebブラウザC1のタイトルバーC1−1、ツールバーC1−2、及び表示領域C1−3を示している。サーバSでは、ブラウザC1の表示領域C1−3に表示される画面を生成する。なお、以下では、簡略化のため、画面を示す図では表示領域C1−3のみを示し、Webブラウザの各種バーC1−1,C1−2表示は図示を省略する。
【0072】
図13のブラウザ表示領域C1−3に表示されているのは、患者情報の検索を行って、その検索結果を表示するための患者検索・一覧画面(以下、「基本画面」ともいう)W1である。この基本画面W1は、他の画面W2,W3へ遷移するための基礎となる画面(ルート画面)でもある。
【0073】
図14にも示すように、基本画面W1からは、医師が閲覧するための医師用画面である診療メイン画面W2(図15参照)と、患者が閲覧するための患者用画面W3(図16参照)とに遷移することができる。なお、いずれの画面W1,W2,W3からでも、他の2つの画面W1,W2,W3へ遷移することが可能である。
【0074】
各画面W1,W2,W3は、画面遷移操作等のシステム操作のためのボタン表示が配置された操作画面領域W1A,W2A,W3Aと、各画面W1,W2,W3ごとの内容を表示したり、各画面W1,W2,W3内での操作を行う本体画面領域W1B,W2B,W3Bと、を有している。
【0075】
操作画面領域W1A,W2A,W3Aは、本体画面領域W1B,W2B,W3Bにおける表示内容にかかわらず、常に、各画面W1,W2,W3について表示されるものである。
【0076】
基本画面W1及び医師用画面W2の操作画面領域W1A,W2Aは、共通しており、各画面W1,W2,W3への画面遷移ボタンとして、「患者・検索一覧」ボタン101、「診療メイン」ボタン102、「患者向けビュー」ボタン103を含んでいる。
これらのボタン101,102,103に対し、マウス操作等によって選択する操作を行うことで、現在表示中の画面W1,W2,W3から、他の画面W1,W2,W3へ遷移することができる。
【0077】
また、基本画面W1及び医師用画面W2の操作画面領域W1A,W2Aは、システムからユーザへの「お知らせ」画面を表示するための「お知らせ」ボタン104、システムSからログアウトするための「ログアウト」ボタン105を有している。
【0078】
患者用画面W3の操作画面領域W3Aは、他の画面W1,W2への遷移ボタン101,102を含む他、患者用画面W3の本体画面領域Bに表示されている画面の内容をプリンタによって印刷する印刷処理を実行するための「印刷する」ボタン106を有している。この「印刷する」ボタン106の選択操作が成されると、現在の本体画面領域Bの内容が紙に印刷される。紙に印刷された画面内容は、患者に渡され、この紙資料が、医師による患者への説明の際の資料及び患者による自己の状態の理解のための補助資料となる。
【0079】
患者用画面W3の操作画面領域W3Aは、「ログアウト」ボタン105も有している。また、患者用画面W3の操作画面領域W3Aは、「お知らせ」ボタン104を有しておらず、画面が簡素化されている。
【0080】
なお、図14は、画面遷移の他、各画面W1,W2,W3の操作画面領域に表示されたボタンの操作によるシステムの状態遷移全般を示している。また、図14中の矢印に付した符号は、対応する符号を有するボタン(画面W1,W2,W3の操作画面領域のボタン)による操作を示している。
【0081】
また、基本画面W1及び医師用画面W2では、医師又は検査技師などシステムユーザによる操作性を確保するため、注目しやすい画面W1,W2上部に、操作画面領域W1A,W2Aが配置されている。
一方、患者は、システムを直接操作するのではなく、画面をみるだけであるため、患者用画面W3では、画面をシンプルにし、患者に分かり易くするため、操作画面領域W3Aが、画面W3下部に配置されている。
また、患者用画面W3の操作画面領域W3Aでは、ボタンサイズを小さくする等して、基本画面W1及び医師用画面W2の操作画面領域W1A,W2Aよりも、ボタンを目立たなくしている。
【0082】
[患者検索・一覧画面(基本画面)W1の詳細]
以下、基本画面である患者検索・一覧画面W1の詳細について説明する。この基本画面W1は、患者氏名などの検索条件を入力して患者を検索する機能と、検索結果として患者一覧を表示する機能とを有している。なお、両機能は別々の画面によって構成されていてもよい。
【0083】
図13に示すように、基本画面W1の(本体画面領域W1B)は、検索条件等の入力を行う検索操作部110と、検索結果を表示する検索結果表示部130とを有している。
また、基本画面W1には、患者の情報を新規登録するための新規登録部140を有している。新規登録部140を選択して、新規登録処理を行うと、新たな患者の情報がデータベースに登録され、当該患者が検索可能になる。
【0084】
検索操作部110は、検索条件として、患者ID入力部111、カルテID入力部112、患者氏名入力部113、患者名カナ入力部114、性別入力部115、担当医入力部116、生年月日入力部117、メモ入力部118、最終診察日からの経過日数入力部119、検査項目名入力部120などの各種検索条件の入力部を有している。
【0085】
本実施形態では、上記入力部に1以上の入力条件を入力し、検索ボタン121を選択すると、当該検索条件が、サーバSへ送信される。サーバSのアプリケーションサーバS1は、検索条件を受信すると、データベースサーバS3のデータベースに含まれる患者データテーブルDB2を検索する。なお、患者データテーブルの内容については図17(a)に示した。患者データテーブルには、前記検索条件に対応する患者情報が、患者ごとに登録されている。
【0086】
サーバSは、検索条件に合致する患者の情報を抽出すると、抽出した情報を検索結果表示部130に一覧表示した基本画面を生成し、クライアントCへ送信する。
【0087】
そして、クライアントCでは、サーバSから送信された基本画面W1を表示する。検索後の基本画面W1の検索結果表示部130では、図13に示すように、患者検索結果一覧が表示されている。検査結果表示部130には、検索条件によって抽出された患者の情報(患者ID131、患者氏名132、性別133、生年月日134、担当医135、カルテID136)が表示される。なお、患者一覧は、通常、患者IDの昇順で並んでいるが、患者情報の各項目131〜136をクリックすることで、選択した患者情報(例えば、生年月日)の昇順又は降順で並び替えることができる。
【0088】
検索結果表示部130には、患者ごとに、それぞれ、操作を選択可能な操作メニュー部137が表示される。図18に示すように、ある患者についての操作メニュー部137を選択すると、選択可能な操作メニューとして、「患者情報編集」選択部151、「検査データ入力」選択部152、「診療メイン」選択部153、及び「患者向けビュー」選択部154が表示される。
なお、操作メニュー部137は、患者ごとに表示されるため、操作メニューの選択は、同時に、患者の選択を行うことにもなっている。
【0089】
医師等のユーザが、「患者情報編集」選択部151を選択すると、サーバSは、選択された患者の患者IDをキー情報として、データベースの患者データテーブルDB2(図17(a)参照)を参照して、編集対象の患者情報を抽出する。さらに、サーバSは、当該患者の情報(患者データテーブルの内容)を編集する「患者情報編集」画面を生成し、クライアントCに表示させる(図19参照)。患者情報の編集が終了すると、サーバSは、患者データデータテーブルDB2の内容を、当該患者について更新する。また、画面は、元の基本画面W1に戻る。
【0090】
医師等のユーザが、「検査データ入力」選択部152を選択すると、サーバSは、検査データを入力する「検査データ入力画面」を生成し、クライアントCに表示させる(図21〜図22参照)。検査データの入力が終了すると、元の基本画面W1に戻る。
検査データ入力画面は、体重等の基本検査値を入力するための基本検査データ画面(図20)、OGTTデータを入力するためのOGTTデータ画面(図21)、基本検査項目の目標値を入力するための目標値画面(図22)が、タブ形式により切り替え表示可能に構成されている。
【0091】
図20の基本検査データ画面では、検査日ごとに、各検査項目の検査結果を入力することができる。この基本検査データ画面において入力されたデータは、患者IDとともに、検査日ごとの検査結果として、データベースの基本検査結果データテーブルDB3に登録される(図17(b)参照)。
【0092】
図21のOGTTデータ画面は、検査日ごとに、OGTT時系列データとして、OGTTグルコースデータ(血糖値変動データ)と、OGTTインスリンデータ(血中インスリン濃度変動データ)とを入力することができる。このOGTTデータ画面において入力されたデータは、患者IDとともに、検査日ごとの検査データとして、データベースのOGTTデータテーブルDB4に登録される(図17(c)参照)。
【0093】
図22の目標値画面では、体重等の基本検査項目についての目標値を入力することができる。この目標値画面において入力されたデータは、患者IDとともに、目標値データテーブルDB5に登録される(図17(d)参照)。
【0094】
図21のOGTTデータ画面において、前記OGTTデータの新規登録、修正が行われた場合、シミュレータ・解析サーバS2は、そのOGTTデータを用いてシミュレーション及び病態解析を行い、病態の特徴を示す病態情報(病態特徴情報)を取得する。なお、取得された病態特徴情報は、OGTTデータと関連付けてデータベースのOGTTデータテーブルDB4に登録される。病態解析の詳細については、後述する。
また、シミュレーション及び病態解析の際には、患者の体重情報(基本検査項目の一つ)も必要であるため、最新の基本検査の検査日における当該患者の体重を、基本検査結果データテーブルDBから取得する。
【0095】
このように、シミュレーション及び病態解析の際には、基本検査データも用いられるため、本システムSSでは、図21のOGTTデータ画面において前記OGTTデータの新規登録、修正が行われた場合に限らず、図20の基本検査データ入力画面において基本検査データの登録、修正が行われた場合にも、シミュレーションの再実行及び病態の再解析を行う。そして、再取得した病態特徴情報は、シミュレーションに使用したOGTTデータと関連付けてデータベースのOGTTデータテーブルDB4に再登録される。
【0096】
図18に戻り、基本画面W1において、医師等のユーザが、「診療メイン」選択部153を選択すると、サーバSは、選択された患者についての情報を表示する「診療メイン」画面(医師用画面)W2を生成し、クライアントCに表示させる(図15参照)。
この医師用画面W2は、基本画面W1において選択された「患者」についての情報を表示するものであり、サーバSは、選択された患者の患者IDをキーとして、データベース中のデータテーブルDB2〜DB7を参照して、当該患者の情報を抽出し、医師による診断の支援のために、当該患者の情報を表示する医師用画面W2を生成する。
【0097】
また、基本画面W1において、医師等のユーザが、「患者向けビュー」選択部154を選択すると、サーバSは、選択された患者についての情報を表示する「患者ビュー」画面(医師用画面)W3を生成し、クライアントCに表示させる(図16参照)。
この患者用画面W3は、基本画面W1において選択された「患者」についての情報を表示するものであり、サーバSは、選択された患者の患者IDをキーとして、データベース中のデータテーブルDB2〜DB7を参照して、当該患者の情報を抽出し、患者に閲覧させるための情報を表示する患者用画面W2を生成する。
【0098】
[画面切替機能(画面切替部S1−B)についての補捉説明]
ここでは、図18の「診療メイン」選択部153及び「患者向けビュー」選択部154の操作による画面遷移と、図13,15及び図16の操作画面領域W1A,W2A,W3Aの「診療メイン」ボタン102及び「患者向けビュー」ボタン103の操作による画面遷移との違いについて説明する。
いずれも、医師用画面である診療メイン画面W2又は患者用画面である患者向けビューW3に画面を切り替える点では、同じである。すなわち、いずれの場合でも、サーバSの画面切替部S1−Bは、クライアントCから、表示切り替えを行うための入力を受け付け、画面を切り替える。
【0099】
ただし、前者は、患者を選択しつつ選択された患者の診療メイン画面又は患者向けビューを表示させる場合に使用される。すなわち、「異なる患者」の表示に切り替える際には、基本画面W1に戻って、前者の画面遷移を行うことが必要である。
【0100】
これに対し、後者は、「同じ患者」について、診療メイン画面又は患者向けビューを切り替えるために使用される。後者の場合、画面を切り替えるために、基本画面W1に戻る必要がなく、各画面W2,W3の操作画面領域W2A,W3Aの操作で、迅速に切り替えることができる。
したがって、医師が医師用画面W2を閲覧して診断を行い、その場で、患者にも必要な情報を示す場合には医師用画面W2からダイレクトに(基本画面W1を経由することなく)、患者用画面W3へ移ることができる。また、その逆も行える。
【0101】
[診療メイン(医師用画面)W2の詳細]
図15に示す医師用画面W2及び図23に示す医師用画面W2から明らかなように、医師用画面W2の本体画面領域W2Bは、本体画面領域W2Bの上部において位置固定的に表示された固定表示部161を備えている。また、本体画面領域W2Bの固定表示部161下方の領域には、位置移動自在に表示された複数の画面領域(ウィンドウ)が同時に表示されるマルチ画面領域(マルチウィンドウ領域)が形成されている。
【0102】
固定表示部161には、患者の氏名、生年月日、患者IDなどの患者情報(患者データテーブルDB2の情報)が表示される他、当該患者の情報を編集する患者情報編集画面を表示させるための「患者情報を編集する」ボタン161a、及び、複数の画面領域の配置(位置・大きさ)を初期状態に戻すための「配置リセット」ボタン161bが設けられている。
【0103】
本実施形態のマルチ画面領域には、基本検査データ画面領域(基本検査データウィンドウ)162、OGTTデータ画面領域(OGTTデータウィンドウ)163、処方画面領域(処方ウィンドウ)164、所見画面領域(所見ウィンドウ)165の4つの画面領域(ウィンドウ)が同時に表示されている。
それぞれの画面領域162〜165は、マウス等の操作によって、医師用画面W2のマルチ画面領域内において、位置調整自在であり、その大きさも調整自在である。
【0104】
上記画面領域162〜165のうち、医師による診断支援のためには、基本検査データ画面領域(患者に関する関連情報を表示するための画面領域)162及びOGTTデータ画面領域(患者の病態情報を表示するための画面領域)163が、特に重要である。基本検査データ画面領域162は、実際の検査(基本検査)によって得られた検査結果を示しており、OGTTデータ画面領域163は、実際のOGTT結果とともにシミュレーション解析の結果である病態情報を示しているからである。
【0105】
さて、基本検査画面領域162は、図17(b)に示す基本検査結果データテーブルDB3に格納されている情報(検査結果)に基づいて、サーバSによって生成される。サーバSは、選択された患者の患者IDをキーとして基本検査結果データテーブルを検索し、最新の検査日についての検査結果情報を、検査結果表示部162aとして基本検査画面領域162中に生成する。
【0106】
また、基本検査画面領域162では、基本検査結果表示部162中の各検査項目名を、マウス操作(ダブルクリック等)によって選択可能であり、選択された項目についての時系列グラフ162bが、基本検査画面領域162中(検査結果表示部162aの右側)の位置に、表示される。なお、選択された検査項目について目標値が設定されている場合、時系列グラフ162bには、検査値Tstだけでなく、目標値Trも表示される。
時系列グラフ162bは、医師用画面W2の基本検査画面領域162では、最大4つまで選択可能である。なお、図15では、時系列グラフ162bを4つ示し、図23では、時系列グラフ162bを一つ示した。
【0107】
なお、検査結果表示部162aに表示される検査結果は、検査日が異なる検査結果に変更可能である。このため、基本検査画面領域162には、任意の検査日を指定し、その検査日の検査結果を表示するための「他の検査日」ボタン162c、前の検査日の検査結果を表示するための「前の検査日」ボタン162d、次の検査日の検査結果を表示するための「次の検査日」ボタン162eを備えている。
【0108】
図15に示すOGTTデータ画面領域(患者の病態情報を表示するための画面領域)163は、図17(c)に示すOGTTデータテーブルDB4に格納されている情報(検査データ及び解析結果)に基づいて、サーバSによって生成される。サーバSは、選択された患者の患者IDをキーとしてOGTTデータテーブルDB4を検索し、最新の検査日についての検査データ(OGTT時系列データ)と解析結果(病態情報)を取得し、OGTT検査データの時系列グラフ163a、及び解析結果のレーダチャート163bを、OGTT画面領域163中に生成する。
【0109】
時系列グラフ163aには、実際のOGTT検査結果における血糖値の時系列変化163a−1と、実際のOGTT検査結果におけるインスリン濃度の時系列変化163a−2とが表示されている。
【0110】
レーダチャート163bは、病態解析を行った結果を示している。以下、生体モデルに基づくシミュレーションから病態解析を行って病態情報(病態特徴情報)を取得する処理の詳細を説明する。
【0111】
[病態シミュレーション解析(病態情報取得)]
生体モデルを用いた前述のシミュレーションにおいては、実際のOGTT検査結果(生体応答情報)を模した再現値(疑似応答情報)を出力できる生体モデルを構成するパラメータセットが演算により求められる。そして、システムSSは、そのパラメータセットが適用された生体モデルの出力値として、OGTT検査結果の再現値(疑似応答情報)を求める(システムSSの疑似応答取得機能)。
【0112】
また、シミュレータ・解析サーバS2は、生成された生体モデル(のパラメータセット)に基づいて、患者の病態の特徴を示す病態情報(病態特徴情報)を求める(システムSSの病態特徴情報取得機能)。
本実施形態では、病態特徴の指標として、P1:空腹時血糖、P2:基礎分泌、P3:追加分泌、P4:分泌感度、P5:肝糖新生抑制、P6:糖処理能、P7:処理感度が採用されている。
これらの指標は、病態の特徴を良く表しているものとして採用されており、特に、治療によって改善可能な生体機能が採用されている。なお、病態特徴の指標としては、上記のものに限られない。
【0113】
ここで、P1:空腹時血糖は、生体モデルの変数である血糖値BG(t=0)から算出される。P2:基礎分泌は、生体モデルの変数である空腹時インスリンI(t=0)から算出される。P3:追加分泌は、I(t=) の積分値から算出される。P4:分泌感度は、生体モデルのパラメータであるグルコース刺激に対する感受性βから算出される。P5:肝糖新生抑制は、生体モデルの変数である肝糖放出HGTP(t)から算出される。P6:糖処理能は、生体モデルの変数である肝臓からの正味グルコースSGO(t)及び血糖値BG(t)から算出される。P7:処理感度は、生体モデルのパラメータである単位インスリン、単位グルコースあたりの末梢組織でのインスリン依存グルコース消費速度Kpから算出される。
【0114】
このように、生体モデルは、生体器官の特性を示すパラメータ(変数を含む)を持つ数理モデルによって構成されているため、生体モデルのパラメータ値は、病態に関連した値を示している。したがって、これらのパラメータに基づいて、病態の特徴を示す病態情報(病態特徴情報)を算出することができる。
なお、算出された病態情報は、解析結果として、データベースのOGTTデータテーブルDB4に登録され、レーチャート163bの作成に用いられる。
【0115】
なお、図15のレーダチャート163bでは、病態特徴情報の指標ごとの値がスコアリングされて表示されており、単位や数値幅の異なる各指標の値の良否について比較可能となっている。
【0116】
医師は、レーダチャート163bをみて、患者の病態を診断することができる。例えば、レーダチャート163bが、末梢での糖処理能に関係する糖処理能及び処理感度が低いことを示している場合、レーダチャートをみた医師は、末梢での糖処理能を改善する治療方針が有効であると容易に判断することができる。
【0117】
しかも、実際のOGTT検査結果163aと病態情報163bが同時に表示されているため、医師は、両者を見比べて、OGTT検査結果のグラフ形状と病態の関連性を学習することができる。したがって、このシステムSSを実際に使用して経験を積むことで、OGTT検査結果から病態を把握するための効果的な学習効果が期待できる。
さらに、本実施形態では、基本検査データ画面領域162も、病態情報163bと同時に表示されるため、医師は、基本検査結果との関連でも、病態を把握する経験を積むことができる。
【0118】
このように、医師用画面W2では、患者の病態情報を表示するための画面領域163と、患者に関する関連情報(特に、基本検査情報)を表示するための画面領域162を同時に表示するよう構成されているため、多くの情報に基づいて医師が的確な診断するのを支援することができる。また、多くの情報が表示されるため、医師の経験を深めることができる。
【0119】
しかも、OGTT検査結果(生体応答)の入力画面には、実際の検査結果(生体応答情報)でなく、任意の値を入力することができる。そして、その任意の値についての検査結果再現値(疑似応答情報)と病態特徴情報の出力を得ることができる。したがって、医師は、任意の検査結果値(生体応答情報)を入力してみて、その場合にどのような病態となるのかを知ることができる。よって、実際の患者のデータがなくても、適当な検査結果を入力して、どのような出力が得られるかを確認するというトレーニング的な使用を行うことができる。
つまり、本システムSSは、非専門医や経験の浅い医師が学習するためのトレーニング用にも使用できる。
【0120】
また、OGTTデータ画面領域163には、「病態解説/推奨治療法/用語説明」欄(病態解説表示部)163cが設けられており、病態の解説、推奨される治療法、用語の説明などのテキスト説明文(病態解説文)が表示される。「病態解説/推奨治療法/用語説明」欄163cが設けられていることで、 レーダチャート132に表示された病態特徴情報の理解が容易に行え、医師が病態把握をより一層的確に行うことができる。また、治療法などを決定するのに役立つ情報も得られる。
【0121】
病態解説表示部163cに表示される病態解説文は、病態解説文は予めデータベースに登録されており、生成された生体モデル(のパラメータ)に対応する病態解説文がシステムによって選択され、選択された文が病態解説表示部163cに表示される。
なお、OGTTデータ画面領域163には、特記事項表示部163dも設けられており、解析して得られた病態情報に特記事項がある場合には、その特記事項が、特記事項表示部163に表示される。
【0122】
また、OGTTデータ画面領域163の時系列グラフ163a及びレーダチャート163bに表示されるデータは、検査日が異なるものに変更可能である。このため、基本検査画面領域162には、任意の検査日を指定し、その検査日の検査結果及び当該検査結果に基づく病態情報を表示するための「他の検査日」ボタン163e、前の検査日の検査結果等を表示するための「前の検査日」ボタン163f、次の検査日の検査結果等を表示するための「次の検査日」ボタン163gを備えている。
【0123】
さらに、OGTTデータ画面領域163の時系列グラフ163a及びレーダチャート163bには、異なる検査日のデータを重ねて表示するオーバレイ表示が可能である。OGTTデータ画面領域163のオーバレイ表示のチェックボックス163hにチェックを入れ、日付選択ボタンである「日付を選択してください」を選択して、現在の時系列グラフ163a及びレーダチャート163bに重ねて表示したいデータがある検査日を選択することで、両検査日の時系列グラフ163a及びレーダチャート163bを重ねて表示できる。
これにより、医師は、異なる日のOGTTデータ及び病態情報を同時に見比べることができ、OGTTデータ及び病態情報の時間的変化に基づく診断が可能となる。
【0124】
また、OGTTデータ画面領域163では、OGTT検査データ及び解析結果(病態情報)を、時系列グラフ163a及びレーダチャート163bのように図示するのではなく、数値情報としてそのまま表示することも可能である。図15及び図23に示す画面では、OGTT検査データ及び解析結果(病態情報)を図式化した表示と、数値データでの表示とがタブ形式により切り替え可能に構成されており、「数値データ」タブ163jを選択すると、OGTTデータ画面領域163中に、OGTT検査データ及び解析結果(病態情報)の数値データが表示される。
【0125】
図23に示すように、医師用画面W2では、処方画面領域(処方ウィンドウ)164、所見画面領域(所見ウィンドウ)165も表示されている。
医師が病態を把握し、治療方針を決定して処方内容が決まると、処方画面領域164では、診察日ごとに、その処方内容を登録することができる。処方内容は、図17(e)に示す処方データテーブルDB6において、診察日ごとに、登録される。
また、医師が把握した病態は、医師の所見として、所見画面領域165に登録することができる。所見内容は、図17(f)に示す所見データテーブルDB7において、診察日ごとに、登録される。
【0126】
医師の所見や処方内容が登録できるため、本システムSSは、電子カルテとしての機能をも有しており、利便性が向上している。
また、医師用画面W2で、病態情報163bなどと同時に表示された処方画面領域(処方ウィンドウ)164又は所見画面領域(所見ウィンドウ)165にて、処方又は所見等の登録作業が可能であるため、この点からも、利便性が高い。
なお、処方画面領域164と所見画面領域165とは、いずれも、基本検査データ画面領域162及びOGTTデータ画面領域と同様に、データテーブルDB6,DB7に登録されている、他の診察日についての処方内容又は所見内容を表示可能に構成されている。
【0127】
[患者向けビュー(患者用画面)W3の詳細]
図16のほか、図24〜図27は、患者用画面W3を示している。
患者用画面W3の本体画面領域W3Bは、本体画面領域W3Bの上部において位置固定的に表示された固定表示部181を備えている。
また、本体画面領域W3Bの固定表示部181下方の領域は、タブ切替により、複数の画面領域を切り替え表示可能なタブ切替画面領域182として形成されている。
【0128】
固定表示部181には、患者の氏名、生年月日、担当医などの患者情報(患者データテーブルDB2の情報)が表示される。患者用画面W3の固定表示部181は、医師用画面W2の固定表示部161と比べて、患者IDが表示されないなど、患者にとって必ずしも必要のない情報が省略されて、情報量が少なくなっており、簡素で見やすい表示となっている。また、患者用画面W3の固定表示部181の方が、文字が大きくされており、この点からも見やすい表示となっている。さらに、患者用画面W3の固定表示部181では、医師用画面Wの固定表示部161におけるボタン161a,161bが設けられておらず、この点からもシンプルで見やすい表示となっている。
【0129】
タブ切替画面領域182は、4つ(複数)の画面切替用タブ182a,182b,182c,182dを有している。これらのタブのうち、「基本検査データ」タブ182aは、基本検査データ画面領域192を表示させるためのものであり、「OGTTデータ」タブ182bは、OGTTデータ画面領域193を表示させるためのものであり、「処方・所見」タブ182cは、処方・所見画面領域194を表示させるためのものであり、「過去の処方一覧」タブ182dは、過去の処方一覧画面領域195を表示させるためのものである。
【0130】
図16及び図24は、患者用画面W3の基本検査データ画面領域192を示している。基本検査データ画面領域192は、患者IDをキーにして、基本検査結果データテーブルDB3から生成されたものである。
この基本検査データ画面領域192は、位置や大きさは変更できないが、タブ切り替え画面領域182のほぼ全体に形成されており、医師用画面W2の基本検査データ画面領域162(の初期状態の大きさ;図23参照)よりも大きく形成されている。
【0131】
患者用画面W3の基本検査データ画面領域192には、医師用画面W2の基本検査データ画面領域162と同様に、最新の検査日についての検査結果情報を、検査結果表示部192aとして表示することができる。この検査結果表示部192aは、医師用画面W2の検査結果表示部162aよりも大きく形成さており、より多くの情報を表示している。具体的には、患者用画面W3の検査結果表示部192aには、各検査項目について設定された目標値が含まれる。この目標値は、患者IDをキーとして、目標値データテーブルDB5(図17(d)参照)を参照することによって得られる。
【0132】
また、基本検査画面領域192では、基本検査結果表示部192中の各検査項目名を、マウス操作(ダブルクリック等)によって選択可能であり、選択された項目についての時系列グラフ192bが、基本検査データ画面領域192中(検査結果表示部192aの右側)の位置に、表示される。
時系列グラフ192bは、患者用画面W3の基本検査データ画領域192では、最大4つまで選択可能である。
【0133】
なお、検査結果表示部192aに表示される検査結果は、検査日が異なる検査結果に変更可能である。このため、基本検査データ画面領域192には、任意の検査日を指定し、その検査日の検査結果を表示するための「他の検査日」ボタン192cが備わっている。なお、検査結果表示部192aは、他の検査日の基本検査データを比較カラムとして表示したり、当該表示を非表示とするための「比較カラム表示/非表示」切替ボタン192dが設けられている。
【0134】
上記のように、患者用画面W3において、基本検査データ画面領域(検査結果画面)192が表示されている場合、他の画面領域193〜195は表示されない。したがって、患者用画面W3の基本検査データ画面領域192が選択的に表示された患者用画面W3は、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面である。
【0135】
図24は、患者用画面W3のOGTTデータ画面領域193を示している。OGTTデータ画面領域193は、患者IDをキーとして、OGTTデータテーブルDB4に基づいて生成されたものである。
このOGTTデータ画面領域193も、位置や大きさは変更できないが、タブ切り替え画面領域182のほぼ全体に形成されており、医師用画面W2のOGTTデータ画面領域162よりも大きく形成されている。
【0136】
患者用画面W3のOGTTデータ画面領域193においても、OGTT検査データの時系列グラフ193a及び、解析結果(病態情報)のレーダチャート193bが表示可能である。さらに、患者用画面W3のOGTTデータ画面領域193では、タブで切り替えなければ表示できなかったOGTT検査データの数値データ193cも同時に表示される。当該数値データは、医師用画面W2では、タブで切り替えなければ表示できなかったが、患者用画面W2ではグラフとともにまとめて表示される。
【0137】
しかも、患者用画面W3のOGTTデータ画面領域193では、医師用画面W2のOGTTデータ画面領域162における「病態解説/推奨治療法/用語説明」欄163cや特記事項163dのような、患者にとって直接必要のない情報は表示されない。
【0138】
また、患者用画面W3のOGTTデータ画面領域193では、複数の検査日についての情報193a〜193cを同時に表示することができ、患者は、複数の検査日の情報を同時に比較することができる。
【0139】
このように、患者用画面W3では、医師用画面W2で表示される情報のうち、患者にとって不要な情報は省略され、患者にとって有用な情報は、大きなスペースをもって詳しく表示される。
【0140】
また、患者にとっては、基本検査データ画面領域192の情報と、OGTTデータ画面領域193とは、それぞれ、別の検査の情報であるため、同時に見る必然性は低く、両画面領域192,193を選択的に表示しても、患者の利便性は低下しない。
【0141】
図26は、患者用画面W3の処方・所見画面領域194を示している。処方・所見画面領域194は、患者IDをキーにして、処方データテーブルDB6及び所見データテーブルDB7から生成されたものであり、医師用画面W2の処方画面領域164の表示内容及び所見画面領域165の表示内容を総合したものが表示される。
また、処方・所見画面領域194を選択表示した場合、操作画面領域W3Aには、画像選択部として「G」選択部107が表示される。この画像選択部107は、処方・所見画面領域194に表示される画像194gを、医師等のユーザが切り替え選択するためのものである。
【0142】
図27は、患者用画面W3の「過去の処方一覧」画面領域195を示している。「過去の処方一覧」画面領域195は、患者IDをキーにして、処方データテーブルDB6から生成されたものであり、過去の所定期間に処方された薬の一覧が表示される。
【0143】
上述した患者用画面W3の各画面領域192〜193は、「印刷する」ボタン106を選択することによって、印刷することができる。医師用画面W2の各画面領域162〜165と異なり、患者用画面W3の各画面領域192〜193内では、表示内容の切り替えがほとんどないため、画面の内容をそのまま印刷しても、必要な情報をすべて印刷でき、患者にとって見やすい印刷物が得られる。
【0144】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、病態情報の表示形式は、レーダチャートに限らず、他の表示形式であってもよい。また、表示する病態情報の種類・数は、特に限定されず、例えば、肝糖代謝能、インスリン分泌能、末梢インスリン感受性の3つの指標を病態情報として表示してもよい。
【0145】
さらに、図17には、データテーブルを複数示したが、これらのデータテーブルは一つの統括されたテーブルであってもよい。
また、上記実施形態では、医師用画面W2と患者用画面W3との間で画面を切り替えた際に、当該患者の最新の検査日のデータを表示するようにしたが、医師用画面W2又は患者用画面W3において、検査日として他の検査日を選択した後に、他方の画面W2,W3に切り替えた場合、切り替えられた画面W2,W3でも他の検査日のデータを引き続き表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】医療診断支援コンピュータシステムのシステム構成図である。
【図2】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】生体モデルの全体構成図である。
【図4】生体モデルの膵臓モデルの構成を示すブロック線図である。
【図5】生体モデルの肝臓モデルの構成を示すブロック線図である。
【図6】生体モデルのインスリン動態モデルの構成を示すブロック線図である。
【図7】生体モデルの末梢組織モデルの構成を示すブロック線図である。
【図8】パラメータセット生成処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実測OGTT時系列データであり、(a)は血糖値、(b)は血中インスリン濃度である。
【図10】テンプレートデータベースDB1の構成図である。
【図11】テンプレートデータであり、(a)は血糖値、(b)はインスリン濃度である。
【図12】テンプレートT1に対するOGTT時系列データの誤差総和を示す図であり、(a)は血糖値、(b)はインスリン濃度である。
【図13】システムの基本画面である。
【図14】システムの画面遷移図である。
【図15】医師用画面である。
【図16】患者用画面である。
【図17】データベースのデータ構造を示す図である。
【図18】基本画面の操作メニューを示す図である。
【図19】患者情報編集画面である。
【図20】基本検査データ入力画面である。
【図21】OGTTデータ入力画面である。
【図22】目標値入力画面である。
【図23】医師用画面である。
【図24】基本検査データ画面領域が選択された患者用画面である。
【図25】OGTTデータ画面領域が選択された患者用画面である。
【図26】処方・所見画面領域が選択された患者用画面である。
【図27】過去の処方一覧画面領域が選択された患者用画面である。
【符号の説明】
【0147】
SS 医療診断支援コンピュータシステム
S サーバコンピュータ
C クライアント端末装置
W2 医師用画面
W3 患者用画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師による患者の診断を支援するための医療診断支援コンピュータシステムであって、
患者の生体機能を表現した生体モデルをコンピュータ上で構築し、当該生体モデルに基づいて患者の病態情報を生成する病態情報生成手段と、
表示装置と、
表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、
前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力を受け付ける画面切替部と、
を備え、
前記医師用画面は、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域を同時に表示するよう構成され、
前記患者用画面は、その表示内容を、患者の前記病態情報と、患者に関する1又は複数の関連情報とに、選択的に切り替え表示可能に構成されている、
ことを特徴とする医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項2】
前記関連情報には、患者の医療検査の結果情報を含むことを特徴とする請求項1記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項3】
前記関連情報には、医師の診察の結果である所見情報を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項4】
前記関連情報には、患者への薬の投与状況を示す処方情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項5】
患者用画面において前記病態情報又は前記関連情報を選択的に表示するための画面領域は、医師用画面において前記病態情報を表示するための画面領域又は前記関連情報を表示するための画面領域それぞれよりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項6】
医師による患者の診断を支援するための医療診断支援コンピュータシステムであって、
患者の生体機能を表現した生体モデルをコンピュータ上で構築し、当該生体モデルに基づいて患者の病態情報を生成する病態情報生成手段と、
表示装置と、
表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、
前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力を受け付ける画面切替部と、
を備え、
前記医師用画面は、患者の前記病態情報を表示するための画面領域と患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域を同時に表示するよう構成され、
前記患者用画面には、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面を含むことを特徴とする医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項7】
患者用画面において前記検査結果画面の画面領域は、医師用画面において前記関連情報を表示するための画面領域よりも大きいことを特徴とする請求項6記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項8】
前記病態情報は、前記生体モデルを用いたシミュレーション解析によって得られた糖尿病の病態情報を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項9】
前記病態情報の表示は、前記生体モデルを用いたシミュレーション解析によって得られた病態情報を示すレーダーチャートを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医療診断支援コンピュータシステム。
【請求項10】
表示装置を有するコンピュータシステムを、請求項1〜9のいずれかに記載の医療診断支援コンピュータシステムとして機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
医師による患者の診断を支援するための画面を、ネットワークを介して接続された端末装置の表示装置に表示させるサーバコンピュータであって、
前記端末装置の前記表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、
前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力が前記端末装置においてなされると、前記医師用画面と患者用画面との間で表示を切り替える画面切替部と、
前記医師用画面は、
患者の生体機能を表現するようにコンピュータ上に構築された生体モデルに基づいて生成された患者の病態情報を表示するための画面領域と、
患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域と、
を同時に表示するよう構成され、
前記患者用画面は、その表示内容を、患者の前記病態情報と、患者に関する1又は複数の関連情報とに、選択的に切り替え表示可能に構成されている、
ことを特徴とするサーバコンピュータ。
【請求項12】
医師による患者の診断を支援するための画面を、ネットワークを介して接続された端末装置の表示装置に表示させるサーバコンピュータであって、
前記端末装置の前記表示装置に、医師が閲覧するための医師用画面及び患者が閲覧するための患者用画面を切り替え可能に表示させる画面制御部と、
前記医師用画面と患者用画面との間の表示切り替えを行うための入力が前記端末装置においてなされると、前記医師用画面と患者用画面との間で表示を切り替える画面切替部と、
前記医師用画面は、
患者の生体機能を表現するようにコンピュータ上に構築された生体モデルに基づいて生成された患者の病態情報を表示するための画面領域と、
患者に関する1又は複数の関連情報を表示するための画面領域と、
を同時に表示するよう構成され、
前記患者用画面には、病態情報の表示を伴うことなく、患者の医療検査の結果情報を表示する検査結果画面を含むことを特徴とするサーバコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−293171(P2008−293171A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136412(P2007−136412)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】