説明

医薬化合物の多形型及び擬多形型

本発明は、含水又は無水の結晶化エナンチオマー型の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩と、特に、本出願で明確化される、新規の結晶化多形型及び擬多形型、「A」、「B」、「D」、及び「E」、並びにその製造の方法に関する。本発明の化合物は、医薬品、特にβ−ラクタマーゼ阻害剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化エナンチオマー型の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩とこの塩の新たな多形型及び擬多形型(「結晶型」)、前記結晶型の製造の方法、該結晶型を単独で、又は抗菌剤(例、セフタジジム、セフタロリンフォサミル)と組み合わせて含んでなる医薬組成物、抗菌剤(例、セフタジジム,セフタロリンフォサミル)と組み合わせた前記結晶型の細菌感染症を治療するための使用、及びこの結晶型を抗菌剤(例、セフタジジム、セフタロリンフォサミル)と組み合わせて投与することによって細菌感染症を治療する方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
特許出願のWO02/10172は、アザ二環式化合物とその酸及び塩基との塩、特に、trans−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドとそのピリジニウム、テトラブチルアンモニウム、及びナトリウム塩の製造について記載する。特許出願のWO03/063864は、trans−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドナトリウム塩が含まれる化合物のβ−ラクタマーゼ阻害剤としての使用と、前記β−ラクタマーゼ阻害剤のセフタジジムのようなβ−ラクタミン抗生物質との組合せにおける使用について記載する。
【0003】
WO02/10172には、trans−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのラセミナトリウム塩の製造について記載されている。それは、WO02/10172の実施例33bに記載の化合物より、そのテトラブチルアンモニウム対イオンのナトリウムとの交換、この塩の水溶液を、予め水酸化ナトリウムで処理したイオン交換樹脂で溶出させることによって間接的に得られる。このナトリウム塩は、水分の除去の後で、固体形態で得られる。このラセミ生成物は、WO02/10172の実施例33cに言及されるように結晶化して、その後実験の部で製造した試料のX線粉末回折(XRPD)分析によって特性決定された(実施例7と図6を参照のこと)。
【0004】
唯一のエナンチオマーに活性があることがわかったので、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩(NXL104としても知られている)である活性エナンチオマーだけを使用するニーズがあった。濃縮乾固は、実験室では、蒸発によって行われる。実際には、水分を凍結乾燥によって除去して、均質な固体形態を入手する。しかしながら、NXL104の非晶形は、水分の存在下でさほど安定ではなくて吸湿性であり、低密度であるので、処理して保存することが難しく、必然的に、その製造法を工業レベルへスケールアップすることは難しいことがわかった。さらに、ラセミ化合物の出発材料の製造について記載されて、実施例10に記載されるような、樹脂上でのイオン交換の方法は、高価であり、大量の樹脂、定量的なイオン交換のために必要である水での希釈、非常に長い操作時間、及び必要とされる高いエネルギーコストのために生産性が低く、これらの理由のためにも、この方法は工業規模で使用することが困難であろう。
【0005】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩は、タンパク質と反応して共有結合を形成する、β−ラクタマーゼ阻害剤である。この反応性に富む阻害剤は、N−オキソスルホキシ尿素環の内部ひずみの結果として、β−ラクタムではないものの、まさにβ−ラクタム類のように、湿気と熱に対して本来的に敏感である。(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の分解の主要な様式は、N−オキソスルホキシ尿素環の加水分解による。分解を最小化するには、この分子を室温又は低温で単離して、水溶液中での曝露時間を最小化することが有利である。これらの条件は、結晶化又は凍結乾燥の間に達成されるが、特許出願のWO02/10172に記載されているように、水溶液の濃縮乾固の間に達成することは困難である。実際には、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩を含有する水溶液は、凍結乾燥によって濃縮するだけで、その生成物を非晶形で見事に入手することができる。
【0006】
本発明は、含水又は無水の結晶化エナンチオマー型である、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩(NXL104としても知られている)の新規結晶型に関する。
【0009】
本発明は、NXL104の4種の新規結晶型、即ち「A」、「B」、「D」及び「E」に関し、その形態は、「B」及び「D」のような無水型又は「A」及び「E」のような水和型のいずれかである。
【0010】
NXL104の第五の型「C型」についても本明細書に記載するが、これは、A型との混合物としてのみ観測された。
さらに本発明は、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩を完全に結晶化された安定形態で得ることを可能にする、上記に記載の非工業条件下でのイオン交換技術にも凍結乾燥にも依らない、前記塩の新規で改善された製造法に関する。故に、本発明による方法は、その技術を単純化して工業レベルへのそのスケールアップを可能にする一方で、安定していて、単離、処理、保存、及び製剤化することが容易である結晶化形態を再現可能なやり方で提供するという二重の利点を提供する。
【0011】
本発明の1つの側面により、水和物、そしてより特別には、一水和物又は二水和物であることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩を結晶化エナンチオマー型で提供する。
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも1つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0012】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも1つの特性ピークが約15.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0013】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも1つの特性ピークが約16.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0014】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも1つの特性ピークが約17.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0015】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも1つの特性ピークが約24.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0016】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも2つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)と約15.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0017】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも3つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、及び約16.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0018】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも4つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、約16.4+/−0.5°(2θ)、及び約17.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0019】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、少なくとも5つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、約16.4+/−0.5°(2θ)、約17.0+/−0.5°(2θ)、及び約24.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0020】
本発明は、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.5°)8.48、15.34、16.38、17.04、24.28にあって、特異線が8.48にあるX線粉末回折パターンを有する、「A」と呼ばれる擬多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩に関する。
【0021】
本発明は、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.1°)8.48、15.34、16.38、17.04、24.28にあって、特異線が8.48にあるX線粉末回折パターンを有する、「A」と呼ばれる擬多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩に関する。
【0022】
本発明の別の側面により、擬多形型「A型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化一水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記A型は、特性ピークを約8.5;約15.3;約16.4;約17.0;又は約24.3、又はこれらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを有し、ここでそれぞれの数値は、+/−0.5°(2θ)であってよい。
【0023】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特性ピークが約13.7+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0024】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特性ピークが約15.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0025】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特性ピークが約15.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0026】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特性ピークが約15.7+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0027】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特性ピークが約19.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0028】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも1つの特異ピークが約24.6+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0029】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも2つの特異ピークが約15.0+/−0.5°(2θ)と24.6+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0030】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも2つの特性ピークが約13.7+/−0.5°(2θ)と約15.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0031】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも3つの特性ピークが約13.7+/−0.5°(2θ)、約15.0+/−0.5°(2θ)、及び約15.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0032】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも4つの特性ピークが約13.7+/−0.5°(2θ)、約15.0+/−0.5°(2θ)、約15.4+/−0.5°(2θ)、及び約15.7+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0033】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、少なくとも5つの特性ピークが約13.7+/−0.5°(2θ)、約15.0+/−0.5°(2θ)、約15.4+/−0.5°(2θ)、約15.7+/−0.5°(2θ)、及び約19.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0034】
本発明はまた、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.5°)13.65、15.01、15.38、15.72、19.42にあって、2つの特異線が15.01と24.57にあるX線粉末回折パターンを有する、「E」と呼ばれる擬多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩に関する。
【0035】
本発明はまた、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.1°)13.65、15.01、15.38、15.72、19.42にあって、2つの特異線が15.01と24.57にあるX線回折パターンを有する、「E」と呼ばれる擬多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩に関する。
【0036】
本発明の別の側面により、擬多形型「E型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化二水和ナトリウム塩を提供し、ここで前記E型は、特性ピークを約13.7;約15.0;約15.4;約15.7;又は約19.4;これらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを有し、ここでそれぞれの数値は、+/−0.5°(2θ)であってよい。
【0037】
本発明の1つの側面により、無水化合物であることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩を結晶化エナンチオマー型で提供する。
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0038】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特性ピークが約16.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0039】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特性ピークが約17.2+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0040】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特性ピークが約17.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0041】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特性ピークが約22.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0042】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも1つの特異ピークが約10.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0043】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも2つの特異ピークが約10.4+/−0.5°(2θ)と約13.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0044】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも2つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)と約16.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0045】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも3つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、及び約17.2+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0046】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも4つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、及び約17.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0047】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも5つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、約17.5+/−0.5°(2θ)、及び約22.3+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0048】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、少なくとも5つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、約17.5+/−0.5°(2θ)、約22.3+/−0.5°(2θ)にあって、2つの特異ピークが約10.4+/−0.5°(2θ)と約13.0+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0049】
本発明は、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.5°)12.97、16.45、17.24、17.45、22.29にあって、2つの特異線が10.36と12.97にあるX線粉末回折パターンを有する、「B」と呼ばれる多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩に関する。
【0050】
本発明は、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.1°)12.97、16.45、17.24、17.45、22.29にあって、2つの特異線が10.36と12.97にあるX線粉末回折パターンを有する、「B」と呼ばれる多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩に関する。
【0051】
本発明の別の側面により、多形型「B型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記B型は、特性ピークを約13.0;約16.5;約17.2;約17.5;又は約22.3、又はこれらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを有し、ここでそれぞれの数値は、+/−0.5°(2θ)であってよい。
【0052】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0053】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特性ピークが約17.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0054】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特性ピークが約17.8+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0055】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特性ピークが約18.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0056】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特性ピークが約22.2+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0057】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも1つの特異ピークが約12.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0058】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも2つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)と約17.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0059】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも3つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)、約17.4+/−0.5°(2θ)、及び約17.8+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0060】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも4つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)、約17.4+/−0.5°(2θ)、約17.8+/−0.5°(2θ)、及び約18.5+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0061】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも5つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)、約17.4+/−0.5°(2θ)、約17.8+/−0.5°(2θ)、約18.5+/−0.5°(2θ)、及び約22.2+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0062】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、少なくとも5つの特性ピークが約16.2+/−0.5°(2θ)、約17.4+/−0.5°(2θ)、約17.8+/−0.5°(2θ)、約18.5+/−0.5°(2θ)、約22.2+/−0.5°(2θ)にあって、1つの特異ピークが約12.4+/−0.5°(2θ)にあるX線粉末回折パターンを有する。
【0063】
本発明はまた、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.5°)16.23、17.44、17.75、18.53、22.22にあって、特異線が12.43にあるX線粉末回折パターンを有する、「D」と呼ばれる多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩に関する。
【0064】
本発明はまた、より特別には、5つの特性線が2θ(±0.1°)16.23、17.44、17.75、18.53、22.22にあって、特異線が12.43にあるX線粉末回折パターンを有する、「D」と呼ばれる多形型であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩に関する。
【0065】
本発明の別の側面により、多形型「D型」であることを特徴とする、式(I)の結晶化無水ナトリウム塩を提供し、ここで前記D型は、特性ピークを約12.4;約16.2;約17.4;約17.8;約18.5;又は約22.2;又はこれらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを有し、ここでそれぞれの数値は、+/−0.5°(2θ)であってよい。
【0066】
本発明の別の側面により、「C型」という型であることを特徴とする、式(I)の結晶化ナトリウム塩を提供し、ここで前記C型は、純粋な形態としては単離されないが、1以上の他の形態、特にA型との混合物において入手される。C型が含まれる形態の混合物についてのX線粉末回折パターンを入手して、図13に示す。これは、特性ピークを約6.5;約8.5;約13.4;約14.4;約15.4;約15.5;約16.4;約17.1;約18.0;約19.3;約19.5;約21.0;約22.9;約24.3;約27.3又は約31.9+/−0.5°(2θ)、又はこれらの混合物に有する。
【0067】
いくつかの態様において、C型混合物は、特性ピークを約6.5+/−0.5°(2θ)に含んでなるX線粉末回折パターンを特徴とする。他の態様において、C型混合物は、特性ピークを約18.0+/−0.5°(2θ)に含んでなるX線粉末回折パターンを特徴とする。なお他の態様において、C型混合物は、特性ピークを約19.3+/−0.5°(2θ)に含んでなるX線粉末回折パターンを特徴とする。さらにC型混合物は、特性ピークを約14.4;約15.5;約16.4;約17.1又は約19.5+/−0.5°(2θ)、又はこれらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを特徴としてよい。なお他の態様において、さらにC型混合物は、特性ピークを約8.5;約13.4;約15.4;約21.0;約22.9;約24.3;約27.3又は約31.9+/−0.5°(2θ)又はこれらの組合せに含んでなるX線粉末回折パターンを特徴としてよい。
【0068】
例示の態様において、C型混合物は、特性ピークを約6.5;約8.5;約13.4;約14.4;約15.4;約15.5;約16.4;約17.1;約18.0;約19.3;約19.5;約21.0;約22.9;約24.3;約27.3、及び約31.9+/−0.5°(2θ)に含んでなるX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0069】
本発明はまた、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩を、0〜50%の水を含有する(1−6C)アルカノールにおいてこの反応混合物に溶けるナトリウム塩で処理してから、得られる結晶を単離することを特徴とする、上記に定義されるような式(I):
【0070】
【化2】

【0071】
の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1、6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩の製造の方法に関する。
【0072】
使用するナトリウム塩は、特に、酢酸塩、酪酸塩、ヘキサン酸塩、エチル−ヘキサン酸塩、又はドデシル硫酸塩であり、そして特に好ましくは、2−エチル−ヘキサン酸塩である。
【0073】
反応の方法は、ナトリウム塩の結晶化によって置換される平衡反応であって、これは、有利にも工業規模で適用し得て、この方法を特に有用にする。
2−エチルヘキサン酸ナトリウムのアルコール溶液をテトラブチルアンモニウム塩のアルコール溶液へ加えるか、又はその逆のいずれかである。
【0074】
本発明による方法に使用する(1−6C)アルカノールは、好ましくは、エタノール、プロパノール、又は直鎖若しくは分岐鎖ブタノールであり、そしてごく好ましくは、エタノールである。この操作は、0〜10%の水の存在下に、15℃と40℃の間の温度で行う。
【0075】
本発明は、本明細書に記載のような多形「B型」又は擬多形「A型」の種結晶の存在下に10〜40℃の温度で操作して、水の最終比率が溶媒の0〜5重量%となるようなやり方で、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール/水混合物中の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウムの純エタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の本明細書に記載のような無水多形型「B型」での製造のための、上記に定義した方法に特に関する。
【0076】
反応混合物中の水の比率、添加の時間、温度、及び濃度といった変数は、得られる結晶型を決定する上でいずれも重要である。純粋なB型を得るには、多形「B型」であって最終の水分比率が2%未満である種結晶の存在下に操作して、2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を1〜7時間の時間にわたって導入して、10〜40℃、そしてごく好ましくは30〜35℃の温度で操作することが好ましい。
【0077】
本発明はまた、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール/水混合物へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール溶液を加えて、上記の記載と同じ溶媒及び温度の条件の下でさらに操作することを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の無水多形「B型」での製造についての、上記に定義した方法に特に関する。
【0078】
本発明はまた、10〜40℃の温度で操作して、水の最終比率が溶媒の3〜10重量%となるようなやり方で、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール/水混合物中の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウムの純エタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の本明細書に記載のような一水和擬多形型「A型」での製造のための、上記に定義した方法に特に関する。結晶化は、種結晶の非存在下に、又は擬多形「A型」の種結晶を加えることによって行う。
【0079】
反応混合物中の水の比率、添加の時間、温度、及び濃度といった変数は、この結晶型に対して相互依存的に作用する。純粋なA型を得るには、擬多形「A型」の種結晶の存在下に、20〜35℃の温度で、そしてごく好ましくは室温で操作して、水の最終比率を溶媒の5重量%より高くして、2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を30分〜2時間の時間にわたって導入することが好ましい。
【0080】
本発明はまた、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール/水混合物へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール溶液を加えて、上記の記載と同じ溶媒及び温度の条件の下で操作することを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の一水和擬多形「A型」での製造のための、上記に定義した方法に特に関する。
【0081】
本発明はまた、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール溶液を加えて室温で操作することを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の本明細書に記載のようなその無水多形型「D型」での製造のための、上記に定義した方法に特に関する。結晶化は、種結晶の非存在下に、又は多形「D型」の種結晶、又は任意選択的に擬多形「A型」の種結晶を加えることによって行う。
【0082】
反応混合物中の水の比率、添加の時間、温度、及び濃度といった変数は、この結晶型に対して相互依存的に作用する。純粋なD型を得るには、種結晶の非存在下に操作し、2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を30分以下の時間にわたって導入して、室温で操作することが好ましい。
【0083】
本発明はまた、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール溶液へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール溶液を加えて、上記の記載と同じ溶媒及び温度の条件の下で操作することを特徴とする、式(I)のナトリウム塩のその多形「A型」での製造についての、上記に定義した方法に特に関する。
【0084】
「A型」の結晶を水に懸濁させてから、この懸濁液を湿った雰囲気中でそのままゆっくり蒸発させることを特徴とする方法によって、本明細書に記載のように「E型」と呼ばれる別の二水和擬多形型を入手した。「A型」の結晶の水又はアルカノール−水混合物中での摩砕によって、又は湿った雰囲気中での無水「B型」及び「D型」の一水和「A型」へ、さらに二水和「E型」への変換によっても結晶を入手した。この「E型」は、70%相対湿度より高い湿度で特に安定である。C型は、無水であって、5%ほどの低い相対湿度で一水和「A型」へ変換するので、きわめて吸湿性である。
【0085】
本発明の1つの態様において、「A」、「B」、「D」及び「E」型は、いずれも「C型」より好ましい。
本発明の1つの態様において、「A」及び「B」型は、「D」及び「E」型より好ましい。
【0086】
本発明の1つの態様において、「B型」は、「A型」より好ましい。
本発明の1つの態様において、「B型」は、最も好ましい。
この多形型及び擬多形型の「A」、「B」、「D」及び「E」は、特許出願WO02/10172に記載のラセミ化合物:trans−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の製造の間には、観測されることがなかった。下記の実施例8において製造されて記載されるような、この材料の単結晶の分析は、二水和ラセミ化合物の特徴となる、両方のエナンチオマーと単位格子内にある2つの水分子の存在を示す。このエナンチオマーの水溶性がそのラセミ化合物に比べてより高いので、このエナンチオマー型のいずれかを濃縮と水からの結晶化によって入手し得ることはほとんどあり得ない。また、過度に希釈された水溶液がイオン交換より生じること、そして(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の安定性により、それらの濃縮と水分の蒸発によるそれらの結晶化が可能でないので、特許出願WO02/10172に記載の条件の下でそれらを工業規模で製造することもできない。
【0087】
擬多形「A型」の種結晶は、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの非晶質ナトリウム塩の1容量の水溶液へ19容量のエタノールを45分にわたって加えること、1時間で5℃へ冷やしてからこの温度に保つこと、濾過、及び最後に乾燥させることによって入手した。
【0088】
多形「B型」の種結晶は、その非晶質塩を33容量のメタノールに溶かし、10容量のエタノールを60℃で加えること、この溶液を室温で約10容量へ濃縮してから、なお室温で、エタノール(25容量を加える)とともに、このメタノールを一定量まで蒸留することによって入手した。このように入手した多形「B型」を濾過してから、乾燥させた。
【0089】
多形型及び擬多形型の「A」、「B」、「D」及び「E」は、安定で均質であり、そのことは、製剤化の方法におけるそれらの保存とそれらの利用にとってだけでなく、工業規模でのそれらの製造にとって特に重要である。
【0090】
D型結晶は、ごく小さくて、濾過を難しくして遅くさせるので、D型を製造することは困難であることがわかった。
また、E型は、長期の保存の間に、そしてより高い温度で、水分を失って加水分解する傾向があるので、やや安定でないことがわかった。
【0091】
相対湿度を0〜70%相対湿度の間に制御して、ガス流の非存在下であれば、A型は、安定した形態である。
無水条件、又は60%相対湿度未満の低い相対湿度にあれば、B型は、安定した形態である。
【0092】
従って、B型が最も好ましい形態である。
しかしながら、B型は、製造するのが容易ではない。なぜなら、種結晶の非存在下では、水分が単に排除されるか、又は迅速な結晶化の下では、B型よりも、動的なD型が製造され得るからである。例えば、以下の実施例5を参照のこと。
【0093】
驚くことに、我々は、無水B型を製造する方法では、いくらかの水を使用することがよりよいことを見出した。実施例3及び4のように、あまりに多くの水を使用すれば、A型が生成される。B型を生成する水の範囲は、比較的狭いのである。
【0094】
一般に、特別な形態への「直接」結晶化への明白なやり方は、その形態で種入れすることであるが、我々は、A型での種入れがB、D、及びE型を産生する可能性があることを見出した。実施例2、5、及び6を参照のこと。このように、ごく稀なことであるが、本件では、特別な結晶型を達成するのに、種入れだけでは十分でないのである。
【0095】
故に、驚くことに、結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」(これらは、いずれもNXL104の非晶形より安定である)の中では、B型が最も好ましい形態である。B型は、無水であるが、再び驚くことに、本発明は、工業レベルへスケールアップすることが可能である、B型の製造用のほぼ再現可能な方法について記載し、しかも、前記方法は、完全に無水ではなく、望まれないD型を得るリスクを最小化するために、いくらかの水を使用するか又は長い添加時間をかける。
【0096】
擬多形「A型」は、一水和物(理論上の水分含量は、5.90重量%)であって、擬多形「E型」は、二水和物である。熱重量測定分析(TGA)を示差熱分析(SDTA)と10℃/分で共役させることによって、擬多形「A型」は、ほぼ110℃で、この塩の脱水に対応する5.7%の重量損失を示し、220℃と240℃の間では、重量損失を伴う発熱分解が続く。同じ技術によると、擬多形「E型」は、ほぼ60℃で最初の5%の重量損失を、そして次いでほぼ100℃で第二の5%の重量損失を示し、その後220℃と240℃の間で分解を示す。この2段階での水分損失は、結晶格子中に2つの非等価な水分子がある二水和型に対応する。
【0097】
多形型「B」及び「D」は、無水であり、実験の部で後に記載するように製造した「B型」の生成物でのカールフィッシャー分析によって、最大でも0〜0.6%の水分が検出された。この多形型「B」及び「D」は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定すると、220℃と240℃の間に発熱分解ピークを示す。
【0098】
さらに、本発明による多形型及び擬多形型の「A」、「B」、「D」及び「E」は、以下に提示するようなX線スペクトル(「XRPD回折パターン」)と、ごく特別には、下記の表に示す特異的な特性線を特徴とする。
【0099】
銅のKα放射線(λ=1.5406Å)を用いる、X'pert Pro Philips 機器でのX線の粉末回折によって、実験上の粉末回折パターンを入手した。試料は、粉砕することなく、ガラス皿上に置いて、周囲の温度及び湿度で、5〜50°の2θ角度で分析する。概して最も強い5本の線より各型の特性ピークを決定した。各型の特異ピークが検出されたのは、本発明による多形型においてのみである。各型の代表的な試料の実験値より、各ピークの平均値とその標準偏差を計算した。
【0100】
E型とラセミ二水和型の単結晶の結晶構造は、回転式銅陰極(l=1.5406Å)を取り付けた Rigaku Rapid R 軸回折計で、296Kで入手した。A型の単結晶の結晶構造は、モリブデンのKα放射線(l=0.7093Å)を用いる Bruker Nonius 回折計で、233Kで入手した。粉末回折パターンは、通常は、銅Kα放射線を使用して測定する。実験上の粉末パターンとの比較のために、擬多形型A及びEとそのラセミ二水和物の理論上の粉末回折パターンを、対応する結晶構造データより、銅Kα放射線(1.5406Å)の適正値を使用して計算した。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】付帯の図において、図1〜5は、多形型及び擬多形型のA、B、D及びEの実験上のXRPD回折パターンと、並びにこれらの型の特異線を示す。
【図2】付帯の図において、図1〜5は、多形型及び擬多形型のA、B、D及びEの実験上のXRPD回折パターンと、並びにこれらの型の特異線を示す。
【図3】付帯の図において、図1〜5は、多形型及び擬多形型のA、B、D及びEの実験上のXRPD回折パターンと、並びにこれらの型の特異線を示す。
【図4】付帯の図において、図1〜5は、多形型及び擬多形型のA、B、D及びEの実験上のXRPD回折パターンと、並びにこれらの型の特異線を示す。
【図5】付帯の図において、図1〜5は、多形型及び擬多形型のA、B、D及びEの実験上のXRPD回折パターンと、並びにこれらの型の特異線を示す。
【図6】図6は、特許出願WO02/10172に記載のラセミ化合物のXRPD回折パターンを示す。
【図7】図7は、このラセミ化合物の二水和型(以下の実施例8において製造した単結晶)の理論上のXRPD回折パターンを示す。
【図8】図8は、このラセミ型のXRPD回折パターンの結晶型A、B、D、Eに対する比較を示す。
【図9】図9及び10は、このラセミ型のXRPD回折パターンの、このラセミ化合物の二水和型(以下の実施例8において製造した単結晶)に対する比較を示す。
【図10】図9及び10は、このラセミ型のXRPD回折パターンの、このラセミ化合物の二水和型(以下の実施例8において製造した単結晶)に対する比較を示す。
【図11】図11は、この二水和ラセミ化合物の単結晶の結晶格子の代表図を示す。
【図12】図12は、このラセミ化合物の二水和型(以下の実施例8において製造した単結晶)のXRPD回折パターンの結晶型A、B、D、Eに対する比較を示す。
【図13】図13は、C型のXRPD回折パターンを示す。
【0102】
これらの回折パターンの特性データは、以下の通りである。
一般に、特性ピーク(又は線)は、最も強度が高いものである。特異ピーク(又は線)は、その特別な多形型又は擬多形型に特異的である。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
上記に言及したように、特許出願WO02/10172及びWO03/063864に記載のアザ二環式化合物は、抗菌治療薬において非常に有用である。これは、特に、病原菌のβ−ラクタマーゼに対するその著しい阻害作用の故に、上記の特許出願に記載される7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩でそうである。
【0110】
その本来的な特性のために、本発明による(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩、そして特に、多形及び擬多形結晶型の「A」、「B」、「D」及び「E」は、抗菌治療薬における使用に特に適している。
【0111】
このように、本発明はまた、医薬品、そして特に、β−ラクタマーゼの阻害剤である医薬品としてのその使用のための、前記ナトリウム塩と前記多形及び擬多形の結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」に関する。
【0112】
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形及び擬多形結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」の、抗菌剤と組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0113】
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形型「B型」の、抗菌剤と組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0114】
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形型「A型」の、抗菌剤と組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0115】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形及び擬多形結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」と組み合わせた使用のための抗菌剤は、好ましくは、β−ラクタミン型の抗生物質である。β−ラクタミン型の抗生物質には、ペナム類、ペネム類、セフェム類、カルバセフェム類、オキサセフェム類、セファマイシン類、また、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、メズロシリン、アパルシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、スルベニシリン、チカルシリン、ピペラシリン、メシリナム、ピブメシリナム、メチシリン、シクラシリン、タランピシリン、アスポキシシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、ナフシリン、又はピバンピシリンのようなペニシリン類、また、セファロチン、セファロリジン、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフラジン、セフチゾキシム、セフォキシチン、セファセトリル、セフォチアム、セフォタキシム、セフスロジン、セフォペラゾン、セフチゾキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セファログリシン、セフォニシド、セフォジジム、セフピロム、セフタジジム、セフタロリン又はセフタロリンフォサミルのようなそのプロドラッグ、セフトリアキソン、セフピラミド、セフブペラゾン、セフォゾプラン、セフェピム、セフォセリス、セフルプレナム、セフゾナム、セフピミゾール、セフクリジン、セフィキシム、セフチブテン、セフジニル、セフポドキシム・アキセチル、セフポドキシム・プロキセチル、セフテラム・ピボキシル、セフェタメト・ピボキシル、セフカペン・ピボキシル、又はセフジトレン・ピビキシル、セフロキシム、セフロキシム・アキセチル、ロラカルバセフ又はラタモキセフのようなセファロスポリン類、また、イミペネム、メロペネム、ビカペネム、又はパニペネムのようなカルバペネム類、そしてまた、アズトレオナム及びカルモナムのようなモノバクタム類、並びにこれらの塩が含まれる。
【0116】
特別な抗菌剤は、セフタジジムである。
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形型「B型」の、セフタジジムと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0117】
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形型「A型」の、セフタジジムと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0118】
特別な抗菌剤は、セフタロリンフォサミルである。
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形型「B型」の、セフタロリンフォサミルと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0119】
本発明の別の側面により、本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形型「A型」の、セフタロリンフォサミルと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用を提供する。
【0120】
セフタロリンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び多剤耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が含まれる、臨床的に重要な市中及び院内のグラム陰性及びグラム陽性病原体に対して広い活性スペクトルがある、新規の非経口セファロスポリンである。
【0121】
米国特許第6,417,175号は、広範囲のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して優れた抗菌活性を有する化合物を開示する。これらの化合物は、一般式:
【0122】
【化3】

【0123】
[式中、R1〜R4、Q、X、Y、及びnは、そこで定義される通りである]によって表される。
米国特許第6,417,175号は、これらの化合物を製造するための方法を開示して、注射用の水溶液剤及び生理食塩水溶液剤のような、該化合物の製剤を一般的に開示する1つのそのような化合物は、7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートである。
【0124】
米国特許第6,906,055号は、式:
【0125】
【化4】

【0126】
の化合物が含まれる化学属を開示する。
セフタロリンフォサミルは、無菌、合成、非経口のセファロスポリンプロドラッグ抗生物質である。このN−ホスホノアミノ水溶性プロドラッグは、生理活性のあるセフタロリンへ速やかに変換されて、これが抗菌活性を示すことが証明されている。セフタロリンフォサミルは、(6R,7R)−7−{(2Z)−2−(エトキシイミノ)−2−[5−(ホスホノアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−3−イル]アセトアミド}−3−{[4−(1−メチルピリジン−1−イウム−4−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボキシレートとして知られている。セフタロリンフォサミルは、酢酸水和型であり得る。
【0127】
【化5】

【0128】
米国特許第7,419,973号は、セフタロリンフォサミルとL−アルギニンのようなpH調整剤を含んでなる組成物を開示する。
米国特許第6,417,175号、6,906,055号、及び7,419,973号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
1つの側面において、本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形又は擬多形結晶型「A」、「B」、「D」又は「E」の治療有効量をセフタジジムのような抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0130】
1つの側面において、本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形又は擬多形結晶型「A」、「B」、「D」又は「E」の治療有効量をセフタロリン又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグといった抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0131】
1つの側面において,本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形結晶型「B型」の治療有効量をセフタジジムのような抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0132】
1つの側面において、本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形結晶型「B型」の治療有効量をセフタロリン又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグといった抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0133】
1つの側面において,本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形結晶型「A型」の治療有効量をセフタジジムのような抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0134】
1つの側面において、本発明は、細菌感染症を治療することを必要とする患者へ本明細書に記載の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形結晶型「A型」の治療有効量をセフタロリン又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグといった抗菌剤と組み合わせて投与することを含んでなる、それを治療する方法を提供する。
【0135】
細菌感染症には、限定されないが、複雑性皮膚及び組織感染症と市中肺炎が含まれる。いくつかの態様において、市中肺炎は、連鎖球菌属(Streptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、クレブシエラ属(Klebsiella)、大腸菌属(Escherichia)、及びモラクセラ属(Moraxella)のような微生物によるものであり得る。さらなる態様において、市中細菌性肺炎は、限定されないが、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(Escherichia coli)、及びモラクセラ・カターリス(Moraxella catarrhalis)が含まれる微生物によるものであり得る。他の態様において、市中肺炎は、エンテロバクター属(Enterobacter)、プロテウス属(Proteus)、又はセラチア属(Serratia)によるものであり得る。さらなる態様において、市中細菌性肺炎は、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、又はセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)によるものであり得る。
【0136】
例示の態様において、微生物は、肺炎連鎖球菌であり得る。肺炎連鎖球菌の菌株は、ペニシリン感受性、ペニシリン耐性、又は多剤耐性であってよい。例示の態様において、微生物は、肺炎連鎖球菌・血清型19Aであり得る。いくつかの態様において、市中肺炎は、併発性の菌血症を伴う場合がある。他の例示の態様において、微生物は、黄色ブドウ球菌であり得る。黄色ブドウ球菌の菌株又は分離株は、メチシリン感受性又はメチシリン耐性であり得る。なお他の例示の態様において、微生物は、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、又は大腸菌であり得る。例示の態様において、微生物は、インフルエンザ菌のβ−ラクタマーゼ−非産生アンピシリン耐性(BLNAR)株であり得る。
【0137】
上記に定義した医薬品は、必要ならば、求められる投与の方法に適した、医薬的に許容される有機又は無機の賦形剤と混合される、医薬組成物の形態で利用されて、本発明はまた、前記医薬組成物に関する。
【0138】
本発明の結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」は、患者への投与用に、単独で、又は、例えば、セフタジジム、セフタロリン、又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグといった抗菌剤と組み合わせて提示することができる。本発明には、本発明の結晶型を単独で、又は、例えば、セフタジジム、セフタロリン、又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグといった抗菌剤と組み合わせて含んでなる医薬組成物が含まれる。この組成物は、1以上の医薬的に許容される担体をさらに含んでよい。
【0139】
上記の組成物は、固体又は液体であり得て、例えば、素錠剤又はコーティング錠剤、カプセル剤、顆粒剤、坐剤、注射用調製物、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤のような、ヒト医学においてよく使用される医薬形態で提示され;それらは、通常の方法によって調製される。これらの医薬組成物によく利用される、タルク、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ココア脂、水性又は非水性の媒体、動物又は植物起源の脂肪、パラフィン誘導体、グリコール、様々な湿潤剤、分散剤又は乳化剤、及び保存剤といった賦形剤とともに、単数又は複数の有効成分をそれらの中に取り込むことができる。
【0140】
上記の組成物はまた、好適な媒体、例えば、非発熱性の無菌水において即座に溶かすように企図された、本発明によるナトリウム塩、そして特に多形又は擬多形型の「A」又は「B」又は「D」又は「E」そのもののいずれか1つの形態であり得る。
【0141】
最後に、本発明は、β−ラクタミン型の抗菌性医薬を成分としてさらに含有することを特徴とする、上記に定義されるような組成物に関する。
本発明の結晶型を使用して、抗菌剤の投薬と同時に、又は別々に、患者を治療することができる。例示の態様では、その結晶型を抗菌剤、例えば、セフタジジム又はセフタロリンフォサミルと組み合わせて、1つの組成物において使用してよい。他の態様では、その結晶型を含んでなる組成物を使用して、抗菌剤(例、セフタジジム又はセフタロリンフォサミル)を含んでなる組成物と同時に患者を治療してよい。
【0142】
結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」の用量は、限定されないが、細菌感染症の型とその感染症の起因となる微生物が含まれる、いくつかの要因に従って変動してよい。
いくつかの態様において、結晶型の1日用量は、約0.1g〜ほぼ約10gの範囲に及び得る。特定の態様において、結晶型の1日用量は、約100mg〜10gであり得る。他の態様において、結晶型の1日用量は、約200mg〜5gであり得る。なお他の態様において、結晶型の1日用量は、約200mg〜2000mgであり得る。例示の態様において、結晶型の1日用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、及び約2000mgであり得る。いくつかの例示の態様において、1日用量は、800mgである。他の例示の態様において、1日用量は、1200mgである。いくつかの例示の態様において、1日用量は、800mgである。他の例示の態様において、1日用量は、500mgである。
【0143】
いくつかの態様において、本方法は、該結晶型を約100mgと約2400mgの間のセフタジジムと組み合わせて投与することを含む。さらなる態様では、セフタジジムを約100mgと約1200mgの間の量で投与してよい。いくつかの態様では、セフタジジムを約200mgと1000mgの間の量で投与してよい。例示の態様において、その量は、約100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、又は1200mgであり得る。ある態様において、その量は、約400mgであり得る。他の態様において、その量は、約600mgであり得る。なお他の態様において、その量は、約800mgであり得る。ある態様において、その量は、約1200mgであり得る。ある態様において、セフタジジムの量は、約2000mgであり得る。
【0144】
いくつかの態様において、本方法は、該結晶型を約100mgと約2400mgの間のセフタロリン又はそのプロドラッグ(例、セフタロリンフォサミル)と組み合わせて投与することを含む。さらなる態様では、セフタロリン又はそのプロドラッグを約100mgと約1200mgの間の量で投与してよい。いくつかの態様では、セフタロリン又はそのプロドラッグを約200mgと1000mgの間の量で投与してよい。例示の態様において、その量は、約100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、又は1200mgであり得る。ある態様において、その量は、約400mgであり得る。他の態様において、その量は、約600mgであり得る。なお他の態様において、その量は、約800mgであり得る。ある態様において、セフタロリンフォサミルの量は、約1200mgであり得る。
【0145】
該結晶型と抗菌剤の量を使用して、1日あたりの単一用量又は多分割用量を提供することができる。例えば、その量は、単回1日用量として使用してよい。例示の態様では、結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」の1つの約800mgを約800mgのセフタロリン又はそのプロドラッグ(例、セフタロリンフォサミル)とともに毎日投与してよい。他の例示の態様では、結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」の1つの約1200mgを約1200mgのセフタロリン又はそのプロドラッグ(例、セフタロリンフォサミル)とともに毎日投与してよい。いくつかの態様では、その量を1日につき2〜8回の用量で投与してよい。例えば、約400mgの結晶型と約400mgのセフタロリン又はそのプロドラッグ(例、セフタロリンフォサミル)を12時間ごとに(即ち、1日2回)投与してよい。いくつかの実施例では、約600mgの結晶型と約600mgのセフタロリン又はそのプロドラッグ(例、セフタロリンフォサミル)を12時間ごとに(即ち、1日2回)投与してよい。
【0146】
いくつかの態様において、該結晶型の抗菌剤に対する比は、約1:20〜約10:1の範囲に及び得る。この比は、感染症の種類と抗菌剤に従って変動してよい。例示の態様において、該結晶型の抗菌剤に対する比は、約1:10〜5:1の間であり得る。
【0147】
特定の態様において、本方法は、該結晶型をセフタロリン又はセフタロリンフォサミルのようなセフタロリンのプロドラッグと組み合わせて投与することを含む。例示の態様において、この方法には、該結晶型とセフタロリンフォサミルを、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1のような、約1:1〜5:1の比で投与することが含まれる。例示の態様において、本方法は、結晶型「A」、「B」、「D」及び「E」の1つとセフタロリンフォサミルを1:1の比で投与することを含む。例えば、約400mgのI型を約400mgのセフタロリンフォサミルと組み合わせて投与してよい。いくつかの態様では、約600mgのI型を約600mgのセフタロリンフォサミルとともに投与してよい。
【0148】
例示の態様において、該結晶型とセフタロリン又はそのプロドラッグは、非経口的に投与され得る。非経口投与に適した方法には、限定されないが、好ましくはレシピエントの血液と等張である、該結晶型の単独又は抗菌剤と組み合わせた無菌の水性調製物(例、生理学的食塩水溶液剤)を投与することが含まれる。このような調製物には、懸濁剤及び濃化剤と、該化合物を血液成分又は1以上の臓器へ標的指向するように設計された、リポソーム又は他の微粒子系が含まれてよい。この調製物は、単位用量又は多用量の形態で提示してよい。
【0149】
他に定義されなければ、本明細書において使用するすべての技術及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を概ね有する。
「プロドラッグ」という用語は、被検者への投与時に代謝的又は化学的な方法による化学変換を受けて活性部分である化合物を生じる、薬物前駆体である化合物を意味する。セフタロリンの好適なプロドラッグには、限定されないが、例えば、7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートのような、ホスホノセフェム誘導体が含まれる。
【0150】
「約」又は「ほぼ」という用語は、当業者によって定量される特別な数値が許容される誤差範囲内にあることを意味し、これは、その数値が測定又は定量される方法(即ち、測定システムの限界)に一部依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における実測(practice)につき、1以上の標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」は、組成物に関して、20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの範囲のプラス又はマイナスを意味し得る。あるいは、特に生物学的な系又はプロセスに関すると、この用語は、ある数値の1桁以内、好ましくは5倍以内、そしてより好ましくは2倍以内を意味する。特許出願と特許請求項において特別な数値が記載される場合、他に述べなければ、「約」という用語は、その特別な数値が許容される誤差範囲内にあることを意味する。例えば、ある時間範囲(例、時間)について言及される場合、提示時間(±20%)がより適用可能である。従って、6時間は、通常の6時間だけでなく、例えば、4.8時間、5.5時間、6.5時間、7.2時間であってよい。
【0151】
「治療する」、「治療」及び「治療すること」という用語は、以下の1以上を意味する:被検者における細菌感染症の少なくとも1つの症状を緩和又は軽減すること;被検者が経験する細菌感染症の症状発現の強度及び/又は期間を緩和又は軽減すること;並びに、細菌感染症の発現を阻止すること、遅らせること(即ち、感染症の臨床症状発現に先立つ時間を遅らせること)、及び/又は細菌感染症が発症又は悪化するリスクを抑えること。
【0152】
本明細書に使用される「市中肺炎」という用語は、「市中細菌性肺炎」という用語と同等であり、交換可能的に使用した。
用量又は量について適用される「治療有効」という用語は、化合物又は組成物を必要とする哺乳動物への投与時に所望の活性をもたらすのに十分である、その量を意味する。「有効量」は、感染症又は疾患を治療するために患者へ投与されるときに、そのような治療の効果をもたらすのに十分である、本発明による化合物の量を意味する。「有効量」は、有効成分、治療される感染症、疾患、又は病態の状態とその重症度、治療される哺乳動物の年齢、体重、身体状態、及び反応性に依存して変化するものである。
【0153】
測定条件(使用する機器又は機械のような)に依存して、1以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンが入手され得ることが知られている。特に、X線粉末回折パターンの強度は、測定条件に依存して変動する場合があることが一般的に知られている。故に、本発明の結晶型A、B、D、Eは、図1、2、3及び4に示されるX線粉末回折パターンに同一なX線粉末回折パターンを提供する結晶に限定されず、そして図1、2、3及び4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターンを提供するどの結晶も本発明の範囲に入ると理解されたい。X線粉末回折の技術分野の当業者は、X線粉末回折パターンの実質的な同一性を判定することが可能である。
【0154】
X線粉末回折の技術分野の当業者であれば、ピークの相対強度が、例えば、30ミクロンより大きいサイズの粒子と非ユニタリアスペクト比によって影響を受ける可能性があり、これが試料の分析に影響を及ぼす場合があることを理解されよう。当業者はまた、回折計において試料が載る正確な高さと回折計のゼロ較正によって反射の位置が影響を受ける可能性があることも理解されよう。試料の表面の平面性もわずかな影響を及ぼす場合がある。従って、提示される回折パターンデータを絶対的な数値とみなしてはならない(Jenkins, R & Snyder, R. L.「X線粉末回折測定入門(Introduction to X-Ray Powder Diffractometry)John Wiley & Sons 1996;Bunn, C. W. (1948)「化学結晶学(Chemical Crystallography)」クラレンドン・プレス、ロンドン;Klug, H. P. & Alexander, L. E. (1974)「X線回折法(X-Ray Diffraction Procedures)」)。
【0155】
一般に、X線粉末回折図における回折角の測定誤差は、約5%以下、特にプラス又はマイナス0.5°(2θ)であり、図1〜10、12及び13のX線粉末回折パターンについて考慮するときには、そのような度合いの測定誤差を斟酌すべきである。さらに、実験条件と試料(好ましい配向)に依存して強度が変動する場合があることを理解されたい。
【0156】
[実施例]
本発明を以下の実施例によって例解する:
実施例1:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩−多形型「B」
【0157】
【化6】

【0158】
スルファツルアミド(sulfaturamide)(20g,39.5ミリモル)のエタノール(126mL)溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウム(13.12g,79ミリモル)のエタノール(126mL)溶液を5時間にわたって加え、30℃で撹拌して、多形型「B」のわずかな結晶を種入れする。この懸濁液を一晩撹拌する。この懸濁液を0〜5℃へ1〜2時間冷やし、濾過してから、5℃で、エタノール(3x40mL)で洗浄する。この結晶を20ミリバールの減圧下に20℃で乾燥させる。多形型「B」(10.79g,37.5ミリモル、収率95.1%)が得られる。
【0159】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図2に示す。
実施例2:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩−多形型「B」
【0160】
【化7】

【0161】
2−エチルヘキサン酸ナトリウム(3.80g,22.9ミリモル)のエタノール(95ml)及び水(5ml;溶媒の全重量の3.1%)溶液へスルファツルアミド(10g,19.7ミリモル)のエタノール(100ml)溶液を45分にわたって加え、室温で撹拌して、擬多形型「A」のわずかな結晶を種入れする。この懸濁液を一晩撹拌する。この懸濁液を0〜5℃へ1〜2時間冷やし、濾過してから、5℃で、エタノール(3x30ml)で洗浄する。この結晶を20ミリバールの減圧下に20℃で乾燥させる。多形型「B」(4.277g,14.9ミリモル、収率75.4%)が得られる。
【0162】
水分(カールフィッシャー):0.2%
DSC:221.9℃に発熱ピーク
得られたXRPDスペクトルは、B型に対応する。
【0163】
実施例3:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、一水和物のナトリウム塩−擬多形型「A」
【0164】
【化8】

【0165】
エタノール(63mL)及び水(7mL,溶媒の全重量の6.23%)の混合物中のスルファツルアミド(10g,19.7ミリモル)の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウム(6.56g,39.4ミリモル)のエタノール(70mL)溶液を45分にわたって加え、20℃で撹拌して、擬多形型「A」を種入れする。この懸濁液を一晩撹拌する。この懸濁液を0〜5℃へ1〜2時間冷やし、濾過してから、5℃へ冷やした(5%)エタノール水溶液(3x20mL)で洗浄する。この結晶を20ミリバールの減圧下に20℃で乾燥させる。擬多形型A(5.35g,17.5ミリモル、収率88.8%)が得られる。
【0166】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図1に示す。
実施例4:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、一水和物のナトリウム塩−擬多形型「A」
【0167】
【化9】

【0168】
2−エチルヘキサン酸ナトリウム(0.506g,3.04ミリモル)のエタノール(9.5ml)及び水(0.5ml)溶液へスルファツルアミド(1g,1.97ミリモル)のエタノール(9.5ml)及び水(0.5ml)溶液を30分にわたって加える。これを室温で撹拌する。この溶液(水が全重量の6.23%)に擬多形型「A」のわずかな結晶を種入れして懸濁液を産生して、これを一晩撹拌する。この懸濁液を0〜5℃へ1〜2時間冷やし、濾過してから、5℃で、エタノール(3x6ml)で洗浄する。この結晶を20ミリバールの減圧下に20℃で乾燥させる。擬多形型「A」(0.378g,1.24ミリモル、収率62.7%)が得られる。
【0169】
水分(カールフィッシャー):5.72%(理論値:5.9%)
DSC:238.9℃に発熱ピーク
得られたXRPDスペクトルは、A型に対応する。
【0170】
実施例5:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩−多形型「D」
【0171】
【化10】

【0172】
スルファツルアミド(4g,9.87ミリモル)のエタノール(25ml)溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウム(3.28g,19.7ミリモル)のエタノール(25ml)溶液を30分にわたって加え、20℃で撹拌して、多形型「A」を種入れする。この懸濁液を一晩撹拌する。この懸濁液を濾過してから、5℃で、エタノール(3x10ml)で洗浄する。この固形物をミリバールの減圧下に20℃で乾燥させる。多形型「D」(2.50g,8.70ミリモル、収率88.2%)が得られる。
【0173】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図3に示す。
実施例6:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、二水和物のナトリウム塩−擬多形型「E」
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、一水和物のナトリウム塩(擬多形型「A」)の試料(1g)を水(2ml)に懸濁させる。この懸濁液を撹拌せず、周囲の温度、気圧、及び湿度でそのままゆっくり蒸発させる。完全な蒸発の後で、結晶化した固形物を回収する。擬多形型「E」(1.056g)が得られる。
【0174】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図4に示す。
実施例7:ラセミのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩
特許出願WO02/10172の実施例33cに記載されるラセミのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の水−アセトン(1−1)混合物中の溶液を前記実施例に記載の濃度条件の下で、減圧下に蒸発させる。この塩は、実際に、本出願で述べたような結晶化形態で得られる。
【0175】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図6に示す。
エナンチオマーの多形型及び擬多形型のA、B、D、及びEのX線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を比較した。付帯の図の図8にはっきり明らかであるように、先行技術に従って得られたラセミ形態の回折パターンは、本発明によるエナンチオマーの多形及び擬多形の結晶化形態のパターンのそれぞれと異なっている。多形型及び擬多形型の「A」、「B」、「D」又は「E」の特性線は、先行技術のラセミ化合物のXRPD回折パターンには生じない。
【0176】
先行技術によって得られるラセミ形態の回折パターンは、二水和ラセミ形態が含まれるいくつかの形態の混合物である。
付帯の図の図9及び10は、このラセミ化合物のXRPD回折パターンを示す。
【0177】
実施例8:ラセミのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の単結晶を構造分析用に調製すること
特許出願WO02/10172の実施例33cに記載されて、上記の実施例7において入手したラセミのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩(50mg)の水(0.5mL,10容量)及びアセトン(0.5mL,10容量)の混合物中の溶液を逆さに開いたビーカー下の時計皿の上に置く。ゆっくりした蒸発の後で、この結晶を水(1mL,20容量)及びアセトン(1mL,20容量)の混合物に一部溶かす。第二の蒸発の後で、構造分析に十分な大きさの単結晶が得られる。
【0178】
図11に示すように、この単結晶の材料の分析は、二水和ラセミ化合物の特徴となる、両方のエナンチオマーと単位格子内にある2つの水分子の存在を示す。
この単結晶に基づいて理論上のXRPDスペクトルを計算して、図7に示す。この単結晶とエナンチオマーの多形型及び擬多形型のA、B、D及びEのX線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を比較した。図12にはっきり明らかであるように、このラセミ塩の単結晶の回折パターンは、本発明によるエナンチオマーの多形及び擬多形の結晶化形態のパターンのそれぞれと異なっている。多形型及び擬多形型の「A」、「B」、「D」又は「E」の特性線は、このラセミ二水和化合物のXRPD回折パターンには生じない。
【0179】
実施例9:「スルファツルアミド」又は(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩の製造
方法A:「スルファツルアミド」化合物は、そのラセミ前駆体のtrans−7−オキソ−6−(フェニルメトキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド(この製造については、特許出願WO02/10172の実施例33a工程Aに記載されている)のキラル分割によって製造することができる。
【0180】
0.4mg/mLのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの試料の20μlを注入し、Chiralpak ADHカラム(5μm,25cmx4.6mm)において、ヘプタン−エタノール−ジエチルアミン(650/350/0.05容量)移動相で、1mL/分で溶出させると、この(1R,2S,5R)エナンチオマーと(1S,2R,5S)エナンチオマーをそれぞれ17.4分と10.8分の保持時間で分離させることが可能である。
【0181】
次いで、特許出願WO02/10172の実施例33a工程Bに次ぐ工程C、そして最後に実施例33bに記載される条件に従う変換によって、スルファツルアミドが得られる。
【0182】
方法B:「スルファツルアミド」はまた、FR2921060に記載の(2S)−5−ベンジルオキシアミノ−ピペリジン−2−カルボン酸ベンジルエステルのシュウ酸塩の混合物((2S,5R)/(2S,5S)、約50/50の混合物)より製造することができる。
【0183】
【化11】

【0184】
工程A:ジベンゾオキス尿素(Dibenzoxurea)又は2−カルボン酸(2S)−7−オキソ−6−(2−フェニルメトキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン2−ベンジル
特許出願FR2921060に記載の(2S)−5−ベンジルオキシアミノ−ピペリジン−2−カルボン酸ベンジルエステルのシュウ酸塩((2S,5R)/(2S,5S)、約50/50の混合物)(2kg,4.65モル)の水(12L)及び酢酸エチル(10L)中の懸濁液へ重炭酸ナトリウムの10%飽和水溶液(16L)を加える。水相を分離させてから、酢酸エチル(8L)で再抽出する。有機相を合わせ、水(4L)で洗浄してから、硫酸ナトリウム(2kg)で乾燥させる。この溶液を濾過してから濃縮して、酢酸エチルをアセトニトリル(35L)に置き換える。この溶液を0〜5℃へ冷やした後で、トリエチルアミン(1.25L)に次いでジホスゲン(290mL)を加える。この反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌した後で、N,N−ジメチルアミノピリジン(270g)を加える。室温で2時間撹拌後、この反応混合物を濃縮してから、ジクロロメタン(15L)で希釈する。この溶液を塩化アンモニウムの20%水溶液(15L)へ加える。有機相を単離する。水相をジクロロメタン(4L)で再抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮乾固させて、上記化合物(1645g,そのままの収率96%,重量/重量)。
【0185】
工程B:ベンゾオキスル酸(Benzoxuracid)又は(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(フェニルメトキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸とそのシクロヘキシルアミン塩
工程Aで入手した化合物(1.028kg,2.80モル)の水(10.3L)及びテトラヒドロフラン(1.5L)中の0〜5℃の撹拌溶液へ水酸化リチウム(79.2g,3.3モル)の水(3.3L)溶液を加える。この反応混合物を1.5時間撹拌した後で、イソプロピルエーテル−酢酸エチルの混合物(8/2(容量/容量)、9.25L)を加える。水相を室温で単離する。有機相を水(2x2.57L)で抽出する。水相を合わせてから、イソプロピルエーテル−酢酸エチルの混合物(8/2(容量/容量)、2L)で洗浄する。この水溶液を酢酸エチル(10.3L)と共に撹拌し、2N塩酸(1.9L)でpH2へ酸性化してから、塩化ナトリウム(4.8kg)で飽和させる。水相を単離して、酢酸エチル(5.14L)で再抽出する。有機相を合わせて、硫酸ナトリウム(1kg)で乾燥させる。この溶液を真空下に40℃で濃縮して、上記化合物(473g,そのままの収率61%,重量/重量)を得る。
【0186】
シクロヘキシルアミン塩は、特許出願WO02/10172の実施例32bに記載の方法に従って製造する。
工程C:ベンゾオキスルアミド(Benzoxuramide)又は(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(フェニルメトキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド
この操作は、上記の工程Bで入手した化合物より始めて、特許出願WO02/10172の実施例33a工程Aに記載の条件の下で行って、上記化合物を得る。
【0187】
工程D及びE:「スルファツルアミド」
この操作は、上記の工程Cで入手した化合物より始めて、特許出願WO02/10172の実施例33a工程B、次いで工程C、そして最後に実施例33bに記載の条件の下で行う。該化合物は、固体形態で得られる。
【0188】
実施例10:非晶形(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマーのナトリウム塩
水酸化ナトリウムの水溶液の溶出に次ぐ中性のpHに達するまでの水での洗浄によって予め調整したDowex 50WX8樹脂(83kg,100〜200メッシュ)のカラムでスルファツルアミド(6.92kg,13.66モル)の水(56L)溶液を溶出させる。生成物を含有する画分を合わせ、濾過し、秤量し(正味76kg)てから凍結乾燥させて、非晶形のナトリウム塩(3.72kg,収率94.8%,HPLC純度>99%)を生成する。
【0189】
実施例11:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、一水和物のナトリウム塩−擬多形型「A」
48.1mlのイソブタノールと2.53mlの水中の10.134g(20ミリモル)の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩の溶液を1.6μmフィルターを通して濾過して、オーバーヘッド撹拌器と内部温度プローブの付いた500mlのジャケット付き反応器へ加えた。この溶液を35℃の内部温度まで温めた。49.5mlのイソブタノールと0.5mlの水中6.65g(40ミリモル)の2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を1.6μmフィルターに通して濾過して、この反応器へ滴下した。この添加の間に結晶化が起こった。この混合物を35℃でさらに1時間、次いで25℃で16時間撹拌した。この混合物を0℃へ2時間冷やした。濾過によって結晶を単離して、19.5mlのイソブタノールと0.5mlの水の氷冷混合物で洗浄した。この結晶を真空下に35℃で20時間乾燥させた。90%の収率に相当する、5.48gのtrans−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3,2,1]オクタン−2−カルボキサミド一水和物のナトリウム塩(A型)を入手した。
【0190】
実施例12:(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドエナンチオマー、一水和物のナトリウム塩−擬多形型「A」
【0191】
【化12】

【0192】
エタノール(63mL)及び水(7mL,溶媒の全重量の6.55%)の混合物中のスルファツルアミド(10g,19.7ミリモル)の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウム(6.56g,39.4ミリモル)のエタノール(63mL)溶液の5%画分を5分にわたって加えて、20℃で撹拌する。この混合物を15分間撹拌する。この5%画分の添加/撹拌サイクルを、自発的な結晶化が起こるまで繰り返す。次いで、この懸濁液を30℃へ温め、1時間撹拌してから、20℃へ冷やす。2−エチルヘキサン酸ナトリウム溶液の添加を再開して、45分にわたって完了させる。この懸濁液を0〜5℃へ2時間冷やし、濾過してから、5℃へ冷やしたエタノール水溶液(5%)(2x20mL)で洗浄する。この結晶を20ミリバールの減圧下に30℃で乾燥させる。擬多形型A(5.15g,16.9ミリモル、収率85.6%)が得られる。
【0193】
X線スペクトル(「XRPD回折パターン」)を記録して、図1に示す。
水分(カールフィッシャー):6%(理論値:5.9%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水又は無水の結晶化エナンチオマー型である、式(I):
【化1】

の(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩。
【請求項2】
少なくとも2つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)と約15.3+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その一水和物の擬多形型「A」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項3】
少なくとも3つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、及び約16.4+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その一水和物の擬多形型「A」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項4】
少なくとも4つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、約16.4+/−0.5°(2θ)、及び約17.0+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その一水和物の擬多形型「A」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項5】
少なくとも5つの特性ピークが約8.5+/−0.5°(2θ)、約15.3+/−0.5°(2θ)、約16.4+/−0.5°(2θ)、約17.0+/−0.5°(2θ)、及び約24.3+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その一水和物の擬多形型「A」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項6】
5つの特性線が2θ(±0.5°)8.48、15.34、16.38、17.04、24.28にあって、特異線が8.48にあるX線回折パターンを有する、その一水和物の擬多形型「A」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項7】
5つの特性線が2θ(±0.5°)13.65、15.01、15.38、15.72、19.42にあって、2つの特異線が15.01と24.57にあるX線回折パターンを有する、その二水和物の擬多形型「E」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項8】
少なくとも2つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)と約16.5+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その多形型「B」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項9】
少なくとも3つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、及び約17.2+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その多形型「B」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項10】
少なくとも4つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、及び約17.5+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その多形型「B」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項11】
少なくとも5つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、約17.5+/−0.5°(2θ)、及び約22.3+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その多形型「B」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項12】
少なくとも5つの特性ピークが約13.0+/−0.5°(2θ)、約16.5+/−0.5°(2θ)、約17.2+/−0.5°(2θ)、約17.5+/−0.5°(2θ)、約22.3+/−0.5°(2θ)にあって、2つの特異ピークが約10.4+/−0.5°(2θ)と約13.0+/−0.5°(2θ)にあるX線回折パターンを有する、その多形型「B」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項13】
5つの特性線が2θ(±0.1°)16.23、17.44、17.75、18.53、22.22にあって、特異線が12.43にあるX線回折パターンを有する、その多形型「D」であることを特徴とする、請求項1に記載のナトリウム塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の結晶化エナンチオマー型のナトリウム塩と、適宜、医薬的に許容される賦形剤を成分として含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項15】
β−ラクタミン型の抗菌性医薬を成分としてさらに含有することを特徴とする、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩を、0〜50%の水を含有する(1−6C)アルカノールにおいて、その反応媒体に溶けるナトリウム塩で処理してから、得られる結晶を単離することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のナトリウム塩の製造の方法。
【請求項17】
使用するナトリウム塩が、酢酸塩、酪酸塩、ヘキサン酸塩、エチル−ヘキサン酸塩、又はドデシル硫酸塩であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ナトリウム塩が2−エチル−ヘキサン酸塩であることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
テトラブチルアンモニウム塩のアルコール溶液をナトリウム塩のアルコール溶液へ加えること、又はその逆のいずれかによって行うことを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
アルカノールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及び直鎖又は分岐鎖ブタノールより選択されることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
アルカノールがエタノールであることを特徴とする、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
0〜10%の水の存在下に15℃と40℃の間の温度で行うことを特徴とする、請求項16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
多形型「B」又は擬多形型「A」の種結晶の存在下に10〜40℃の温度で操作して、水の最終比率が溶媒の0〜5重量%となるようなやり方で、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール/水混合物中の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウムの純エタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の結晶化多形型「B」での製造のための、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を1〜7時間の時間にわたって導入して、30〜35℃の温度で操作することによって、多形型「B」の種結晶と2%未満の水の最終比率の存在下に行うことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項23又は24に記載されるものと同じ溶媒及び温度の条件の下でさらに操作して、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール/水混合物へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩の純エタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩の結晶化多形型「B」での製造のための、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
擬多形型「A」の種結晶の存在又は非存在下に10〜40℃の温度で操作して、水の最終比率が溶媒の3〜10重量%となるようなやり方で、(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール/水混合物中の溶液へ2−エチルヘキサン酸ナトリウムの純エタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩のその結晶化擬多形型「A」での製造のための、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
室温で、溶媒の5重量%より多い水の最終比率の存在下に、そして2−エチルヘキサン酸ナトリウムの溶液を30分〜2時間の時間にわたって導入することによって行うことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載されるものと同じ溶媒及び温度の条件の下で操作して、2−エチルヘキサン酸ナトリウムのエタノール/水混合物へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのテトラブチルアンモニウム塩のエタノール溶液を加えることを特徴とする、式(I)のナトリウム塩のその結晶化擬多形型「A」での製造のための、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形型「B型」の、セフタジジムと組み合わせて細菌感染症を治療するため使用。
【請求項30】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形型「A型」の、セフタジジムと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用。
【請求項31】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形型「B型」の、セフタロリンフォサミルと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用。
【請求項32】
(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の擬多形型「A型」の、セフタロリンフォサミルと組み合わせて細菌感染症を治療するための使用。
【請求項33】
細菌感染症を治療することを必要とする患者へ(1R,2S,5R)−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドのナトリウム塩の多形又は擬多形結晶型「A」、「B」、「D」又は「E」の治療有効量を投与することを含んでなる、それを治療するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−507346(P2013−507346A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532627(P2012−532627)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065147
【国際公開番号】WO2011/042560
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(511082528)ノベクセル・ソシエテ・アノニム (4)
【Fターム(参考)】