説明

医薬品配合物または栄養補強食品配合物

本発明は、生物学的利用能促進剤が生物学的利用能促進剤なしの相応する配合物と比較して、有効成分の経口的生物学的利用能を少なくとも5倍増大させる、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤であることを特徴とする、医薬品または栄養補強食品の有効成分、浸透促進剤および生物学的利用能促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤、有効成分の生物学的利用能を増大させる生物学的利用能促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物に関する。
【0002】
技術的背景
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19724458号明細書A1には、医薬品の有効成分の吸収を改善するためのタンパク分解酵素の使用が記載されている。
【0003】
欧州特許出願公開第1302201号明細書A1には、経口的吸収性を増進させる医薬品組成物が記載されている。前記組成物は、薬剤、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEおよび酸性物質を含有する。
【0004】
欧州特許出願公開第146626号明細書A1には、経口的吸収性を増進させる医療用組成物が記載されている。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、前記欧州特許出願公開明細書中に生物活性ペプチド分解を阻止するための薬剤として記載されている。
【0005】
WO2005007139A2には、実質的に、
a)ペプチドまたはタンパク質の誘導体または共役型を含むペプチドまたはタンパク質であり、かつ粘膜付着性効果を有するポリマーのマトリックス中に埋設された有効成分を含有する内部マトリックス層と、この場合このマトリックスは、場合によりさらに製薬学的に通常の賦形剤を含有していてよく、
b)場合により製薬学的に通常の賦形剤、殊に可塑剤と配合されていてよい、本質的にアニオン性のポリマーまたはコポリマーからなる外部フィルムコーティングとからなる、50〜2500μmの範囲内の寸法を有するペレットを含有する経口的多重粒子状医薬品形が記載されており、この医薬品形は、
含有されているペレットが胃のpH範囲内で放出されるように多重粒子状医薬品形が配合され、外部コーティングが腸内で4.0〜8.0のpH範囲内で15〜60分以内で溶解するようにアニオン性ポリマーまたはコポリマー、またはこれらと賦形剤との配合物およびその層厚を選択することによって調節され、したがって有効物質含有粘膜付着性マトリックス層が露出され、および腸の粘膜に結合することができかつそこで有効物質を放出し、さらに粘膜付着性効果を有するポリマーが、ηb=150〜1000mPa.sの粘膜付着性効果および10〜750%の水分吸収量を、外部コーティングが溶解を開始するpHに関連して+/−0.5pH単位の範囲内で15分間で示すように粘膜付着性効果を有するポリマーが選択され、およびマトリックス層の有効物質含量が粘膜付着性効果を有するポリマーの含量の最大40質量%であることによって特徴付けられる。
【0006】
粘膜付着性マトリックス層は、さらに賦形剤、例えばプロテアーゼ阻害剤、例えば大豆トリプシン阻害剤または透過促進剤を含有してよいことが挙げられる。
【0007】
しかし、透過促進剤を高分子量(Mw)の有効成分、例えば10000またはそれを上廻るMwを有するタンパク質と組み合わせてのみ使用することが示唆されている。プロテアーゼ阻害剤は、3000〜10000のMwを有するタンパク質またはペプチドおよび安定剤、例えば親油性マトリックスを形成する脂肪酸または脂肪アルコールとの組合せで使用されてよい。プロテアーゼ阻害剤と透過促進剤とを組み合わせる具体的な例は、存在しない。
【0008】
欧州特許第1771157号明細書B1には、低い可溶性の有効物質のための多重粒子状医薬品投与形およびこの医薬品投与形を製造するための方法が記載されている。
【0009】
WO 2006/061069A1には、粘膜付着性有効成分を含有する核酸を有する多重粒子投与形およびこの投与形を製造するための方法が記載されている。
【0010】
ボーマン・バーク型阻害剤(The Bowman−Birk inhibitor)(BBI)は、大豆および種々の他の種子、主にマメ科植物の種子および植物性原料中に見出される、安定した低分子量のトリプシンおよびキモトリプシン阻害剤の系列からよく知られた呼称である。例えば、米国特許第5962414号明細書または米国特許第6767564号明細書を参照のこと。
【0011】
米国特許第6767564号明細書B2には、多発性硬化症および他の自己免疫疾病、例えばギラン・バレー症候群(Guillian Barre Syndrome)およびリウマチ性関節炎を治療するためのボーマン・バーク型阻害剤(BBI)の使用が記載されている。経口摂取されるボーマン・バーク型阻害剤は、吸収され、かつ全身性の効果を有することが述べられている。摂取されるボーマン・バーク型阻害剤の約50%は、血流中に吸収される。更に、ボーマン・バーク型阻害剤濃縮剤(BBIC)、プロテアーゼ阻害剤中で濃縮された、大豆に由来するエキスは、情報によれば、現在までに記載された、任意の他の生理的プロテアーゼ阻害剤よりも良好なヒトキマーゼ阻害剤である。
【0012】
問題および解決
前記の研究中に、本発明者らは、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物がインビトロ細胞アッセイにおいて良好な透過効果を有することを見い出した。
【0013】
しかし、インビトロで有効成分デスモプレシンを用いて得られた見込みのある結果は、インビボで(生体内で)期待を裏切る結果だけをまねく。相応する配合物をミニ豚のインビボで試験した場合には、血漿濃度レベルとしてインビボで測定された、僅かな生物学的利用能だけを検出することができた。
【0014】
デスモプレシンは、ペプチドであるので、インビボで膵臓酵素によってペプチドの酵素分解を阻止しうるタンパク分解酵素の付加は、最初にインビトロで試験され、次にインビボで試験された。異なるペプチダーゼおよびプロテイナーゼを含有する膵酵素カクテルの存在下でのインビトロアッセイにおいて、タンパク分解酵素の阻害剤としてのボーマン・バーク型阻害剤(BBI)の添加による或る程度の保護効果が観察された。この効果を同レベルまたは若干低いレベルでインビボ系中で見出すことが期待された。
【0015】
しかし、ボーマン・バーク型阻害剤の添加によるインビボ効果がそれぞれ期待されるよりも5倍上廻る、殆ど10倍上廻る高さであることは、本発明者らにとって大きな驚きであった。インビボ効果がインビトロでの結果と比較して極めて高かったという事実に基づいて、本発明者らは、この効果を単に膵酵素に抗するタンパク分解酵素の阻害剤の保護効果によって説明し得ないことを示す。更に、一般にタンパク分解酵素の阻害剤の添加によって、または少なくとも植物起源からの係るものによって、または少なくとも特許保護が請求されたような前記系の他の要素との組合せでのボーマン・バーク型阻害剤によって引き起こされる、有効成分の生物学的利用能を増大させる、新規の知られていない効果が存在すると思われる。従って、本発明者らは、特許保護が請求された医薬品配合物または栄養補強食品配合物がペプチドまたはタンパク質ではない他の有効成分に十分に適用できるであろうと確信している。
【0016】
本発明の1つの目的は、増大された生物学的利用能を有する経口的症例のために医薬品または栄養補強食品の有効成分を含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物を提供することであった。
【0017】
この問題は、
生物学的利用能促進剤が生物学的利用能促進剤なしの相応する配合物と比較して、有効成分の経口的生物学的利用能を少なくとも5倍増大させる、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤であることを特徴とする、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物によって解決された。
【0018】
詳細な記載
医薬品配合物または栄養補強食品配合物
本発明は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤と有効成分の生物学的利用能を増大させる生物学的利用能促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物に関する。
【0019】
1つの簡単な実施態様において、医薬品配合物または栄養補強食品配合物は、コーティングマトリックスタブレットである。しかし、医薬品配合物または栄養補強食品配合物が多重粒子状配合物であることは、好ましい。
【0020】
多重粒子状の医薬品配合物または栄養補強食品配合物
本発明は、好ましくは、多数の粒子を1つの投与単位中に含有する多重粒子状の医薬品配合物または栄養補強食品配合物に関する。この粒子は、好ましくは、コーティングされたか、またはコーティングされていないペレットである。
【0021】
好ましい粒径は、0.2〜2mm、好ましくは0.3〜1mmであってよい。比較的小さな粒径は、少なくともコーティングされたペレットの場合に胃から十二指腸への急速で確実な輸送が存在するという利点を有する。全ての場合に、有効成分の投与および腸内での良好な分布の高度な標準化という利点が存在する。
【0022】
多重粒子状の医薬品配合物または栄養補強食品配合物は、有利にコーティングされたか、またはコーティングされていないペレットである粒子を10〜1000個、好ましくは50〜500個含有していてよい。
【0023】
本発明の多重層形での医薬品は、主に、多重粒子状の医薬品または栄養補強食品形としての意味を成す。
【0024】
多重粒子形は、例えばペレット含有タブレットまたは圧縮されたタブレット、ミニタブレット、粒子もしくはペレットを含有する複数の有効成分で充填されたサシェ(sachet)またはカプセルであってよい。
【0025】
全ての前記用語は、製薬および製剤の分野で当業者によく知られている。
【0026】
ペレット含有タブレットまたは圧縮タブレットの用語は、当業者によく知られている。係るタブレットは、例えば約5〜25mmの寸法を有していてよい。通常、ペレットを含有する、定義された複数の小さな有効成分は、このペレット中で結合賦形剤と一緒に圧縮され、よく知られたタブレット形を生じる。経口摂取および体液との接触の後に、タブレット形は、崩壊され、ペレットは、放出される。圧縮されたタブレットは、摂取のための簡単な投与形という利点を多重形の利点、例えば投与の精度と兼備している。
【0027】
ミニタブレットの用語は、当業者によく知られている。ミニタブレットは、伝統的なタブレットより小さく、ほぼ1〜4mmまたは5mm未満の寸法を有していてよい。ミニタブレットは、ペレットと同様に、簡単な投与形であり、多重投与に使用される。同じ寸法であってよいペレットとの比較で、ミニタブレットは、通常、よりいっそう正確に、およびよりいっそう均一にコーティングされうる、よりいっそう規則的な表面を有するという利点を有する。ミニタブレットは、カプセル、例えばゼラチンカプセル中に密閉されて提供されてよい。係るカプセルは、経口摂取および胃液または腸液との接触の後で崩壊し、ミニタブレットは、放出される。ミニタブレットの別の適用は、有効成分の用量を個別的に細かく調整することにある。この場合、患者は、治癒する疾患の重度に適合する、定義された数のミニタブレットを直接摂取してよいが、患者の個々の体重に適合させて直接摂取してもよい。ミニタブレットは、上記に議論したように、ペレット含有圧縮タブレットとは異なる。
【0028】
サシェの用語は、当業者によく知られている。このサシェは、有効成分をしばしば液体含有ペレット形で含有するかまたは乾燥ペレットまたは粉末の形でも含有する小型のシールされたパッケージに言及される。サシェそれ自体は、ただ摂取されることを意図しないパッケージ形であるにすぎない。サシェの内容物は、水中に溶解されてよいか、または有利な特徴として、直接他の液体なしに染み渡ることができるかまたは摂取することができる。この後者の他の液体なしの場合には、水なしが有効である状況で投与形を摂取しなければならない際に患者にとって有利な特徴である。サシェは、タブレット、ミニタブレットまたはカプセルに対する他の選択可能な投与形である。
【0029】
カプセルの用語は、当業者によく知られている。カプセルは、サシェと同様に液体を含有するペレットのための容器であるか、または乾燥ペレットまたは粉末のための容器でもある。しかし、サシェとは対照的に、カプセルは、製薬学的に認容性の賦形剤、例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成され、タブレットのように摂取することを意図している。カプセルは、経口摂取および胃液または腸液との接触の後で崩壊し、含有されている多重単位は、放出される。製薬学的目的のためのカプセルは、標準化された異なる寸法で商業的に利用可能である。
【0030】
ペレット
ペレットは、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および有効成分の生物学的利用能を増大させる生物学的利用能促進剤を含有する芯材を含有する。芯材は、好ましくはターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのコーティングを有していてよい(腸溶コーティング)。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはゼラチンカプセルは、多数の腸溶性ペレットで充填されていてよい。
【0031】
ペレットがターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのコーティングを有しない場合には、投与単位は、係るポリマーコーティングを有していなければならない。例えば、HPMCまたはゼラチンカプセルは、腸溶コーティングなしにペレットを含有することができるが、しかし、カプセルそれ自体は、さらに腸溶性ポリマーでコーティングされている。カプセル、殊にHPMCカプセルの腸溶コーティングは、例えば欧州特許出願公開第1117386号明細書A1の記載から公知である。
【0032】
コーティングされたかまたはコーティングされていないペレット寸法の平均粒径は、100〜1500μm、好ましくは200〜800μmの範囲であることができる。
【0033】
好ましくは、ペレットは、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤、生物学的利用能促進剤を含有する芯材と場合により腸溶コーティングとからなる。
【0034】
最も好ましくは、ペレットは、本質的に医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤、有効成分の経口的生物学的利用能を増大させる生物学的利用能促進剤、分離層または同期化層からなる芯材と腸溶コーティングとからなる。この好ましい形は、賦形剤の数を減少させるという利点を伴って本質的な要素に減少され、常に利点を有する。それというのも、有効成分との相互作用の危険または患者に対して予想されうる不耐性は、減少されるからである。
【0035】
好ましくは、ペレット、粒子または芯材は、粘膜付着性効果を有するポリマーを全く含有しないか、または本質的な量の前記ポリマーを全く含有しない。粘膜付着性効果を有する本質的な量のポリマーは、最終的な配合物中でほぼ10質量%を上廻る。好ましくは、粒子は、ηb=150〜1000mPa.s、好ましくは150〜600mPa.sの粘膜付着性効果および10〜750%、好ましくは10〜250%、特に好ましくは10〜160%の水分吸収量を、外部コーティングが溶解を開始するpHに関連して+/−0.5pH単位、好ましくは+/−0.3pH単位の範囲内で15分間で示す粘膜付着性ポリマーを全く含有しないか、または本質的な量の前記ポリマーを全く含有しない。好ましくは、粒子は、キトサンを全く含有しないか、または本質的な量のキトサンを全く含有しないか、或いはメチルメタクリレート20〜40質量%とメタクリル酸またはナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは架橋されたポリアクリル酸および/または架橋されていないポリアクリル酸、またはレクチンまたはアルギン酸ナトリウムまたはペクチン60〜80質量%からなる(メタ)アクリレートコポリマーを全く含有しないか、または本質的な量の該コポリマーを全く含有しない。
【0036】
粘膜付着性の性質の測定
粘膜付着性の性質を特性決定するのに適した測定方法は、Hassan and Gallo(1990)中の含まれている(Hassan E.E.and Gallo J.M."A Simple Rheological Method for the in Vitro Assessment of Mucin−Polymer Bioadhesive Bond Strength"Pharma Res.7(5),491(1990)参照)。この方法は、ポリマーとムチンとの混合物の粘度(η、動的粘度または粘度係数)が個々の成分の粘度の総計とは異なるという仮定を基礎としている。この関係式は、
ηポリマーとムチンとの混合物=ηムチン+ηポリマー+ηbが適用され、この場合ηbは、差を表わす。よりいっそう高いηbは、粘膜付着性の性質がよりいっそう際立っていることを意味する。個々の成分は、最初にその粘度について回転粘度計を用いて測定される。粘膜付着性ポリマーの濃度0.5%(w/w)の水溶液およびブタの胃ムチンの濃度15%の溶液が使用される。粘膜付着性の性質を測定するために、ムチンおよびポリマーは、単独で測定され、および前記濃度で混合される。
【0037】
水和および水分吸収量
ポリマーの水和は、水を吸収するポリマーの親和力を基礎とする。ポリマーは、この水分吸収により膨潤する。これは、ポリマー中の水の化学的ポテンシャルと周囲媒体中の水との不均衡さに関連する。水は、内部相と外部相との間に平衡が設定されるまで、ポリマーの透過圧により吸収される。次に、ポリマーは、100%水和される。更に、低い平均分子量を有するポリマーは、溶液の形で存在する。ゲルは、よりいっそう高い分子量を有するポリマーで製造されるか、または架橋されたポリマーで製造される。平衡が設定されるまでの水分吸収量は、例えばポリマーの質量1000%に相応して、固有質量の10倍までの量に達してよい。
【0038】
百分率での水分吸収量の測定
百分率での水分吸収量の測定は、当業者によく知られている。適当な方法は、例えばLehrbuch der pharmazeutischen Technologie/Rudolf Voigt,Basel:Verlag Chemie,第5完全改訂版,1984,第151頁,7.7.6"Aufsaugvermogen(吸収能)"中に記載されている。この方法は、ガラス製の吸引濾過用漏斗がチューブによって目盛付きピペットに結合している、いわゆるEnslin装置を使用する。ピペットは、当該ピペットがガラスフリットと同じレベルであるように水平方向に正確に取り付けられている。100%の水分吸収量は、本発明の場合に15分間で粘膜付着性効果を有するポリマー1g当たり水1mlの水分吸収量として定義されている。
【0039】
芯材
芯材は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および有効成分の生物学的利用能を増大させる生物学的利用能促進剤を含有する。更に、芯材は、医薬品または栄養補強食品の有効成分とは異なる医薬品賦形剤または栄養補強食品賦形剤、透過促進剤および生物学的利用能促進剤を含有していてよい。更に、芯材は、場合により同期化層を有することができる。
【0040】
芯材は、中性の芯材粒子(無比の)を有することができ、この粒子上には、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤が例えばスプレーコーティング技術により、有利に結合剤、例えばラクトースまたはポリビニルピロリドン中に結合されて塗布される。しかし、好ましくは、芯材は、中性の芯材粒子(無比の)を含有しない。
【0041】
好ましくは、芯材は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤からなるか、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤を本質的に含んでいるか、または医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤を含有する。好ましくは、芯材は、公知方法、例えば湿潤押出、溶融押出、転動凝集または球状化によって製造されてよい、球状ペレットの形である。芯材は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤をマトリックス構造の形または層構造の形で含有することができる。層構造は、公知のスプレーコーティング技術によって発生させることができるか、または塗布されることができる。
【0042】
医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤は、一緒に混合されてよく、独特なマトリックス構造を形成する。
【0043】
芯材は、総和で他の賦形剤を90質量%まで、50質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有することができる。好ましくは、芯材は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0044】
更に、芯材は、同期化層を含むことができる。
【0045】
更に、芯材は、ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマー腸溶コーティングによってコートされてよい。
【0046】
更に、芯材は、ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマー腸溶コーティングによってコートされてよい。
【0047】
芯材は、コートされているかまたはコートされていないとしても、さらに、結合剤、例えば糖および例えば顔料を含有する、急速溶解型トップコートでコートされていてよい。
【0048】
陰イオン性有効成分のための特異的な製剤的取り組み方
医薬品または栄養補強食品の有効成分が陰イオン性であり、かつ透過促進剤が陽イオン性である場合には、前記物質が装入に関連してほぼ等モル量で一緒に混合される際に、または有効成分が透過促進剤を越えて到達して存在する場所で、相互作用、例えば透過促進剤の沈殿または透過性の不活性化が起こりうる。
【0049】
係る望ましくない相互作用を回避するために、医薬品または栄養補強食品の有効成分および透過促進剤は、分離層中で分離されてよい(層状コア構造)。更に、個々の層は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤および生物学的利用能促進剤、例えば結合剤、例えばポリビニルピロリドンまたはラクトース、またはポリマー、例えばセルロースまたは(メタ)アクリル酸コポリマーとは異なる賦形剤を含有することができる。
【0050】
透過促進剤の沈殿または透過性の不活性化を回避するためのもう1つの取り組み方は、マトリックス構造を使用することであってよいが、望ましくないイオンの相互作用を弱体化する賦形剤、例えば塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、Mgステアリン酸塩または類似物、両親媒性ポリマーまたは水素結合非イオン性ポリマーを添加しながらマトリックス構造を使用することであってよい。
【0051】
従って、本発明の配合物は、有効成分が陰イオン性であり、透過促進剤が陽イオン性であり、両成分間のイオン相互作用が
配合物の同じコンパートメント中での両成分の混合物中の過剰量の透過促進剤によるか、または
配合物の異なるコンパートメント中での両成分の局所的分離によるか、または
配合物の同じコンパートメント中での両成分の混合物への塩、両親媒性ポリマーまたは水素結合非イオン性ポリマーの添加により回避されることによって特徴付けられてよい。
【0052】
配合物のコンパートメントという用語は、有効成分および透過促進剤を含有する均一なマトリックス構造を有する芯材の意味(同じコンパートメント中での両成分の混合物)、または有効成分を有する芯材および透過促進剤を含有していてよい分離層またはその逆の意味(異なるコンパートメント中での局所的分離)のことである。
【0053】
最終的な配合物中での主要成分の量
摂取すべき全単一用量を意味する、最終的な配合物中での透過促進剤の量は、1〜60質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内であることができる。
【0054】
透過促進剤が粘膜付着性効果を有するポリマー、例えばキトサンであるとしても、最終的な配合物の量は、この配合物が粘膜付着性になることを回避させるために10質量%を超えるべきではない。従って、粘膜付着性効果を有するポリマー、例えばキトサンは、10質量%を上廻る量の透過促進剤が十分な透過促進剤効果の保証のために必要とされる場合には、有利に、係る粘膜付着性効果を有しない透過促進剤、例えばEUDRAGIT(登録商標)Eと組み合わせるべきである。
【0055】
この一定量は、有利に当該生理的液体、例えば腸液100ml中での最終的濃度0.1〜2.5mg/ml、好ましくは0.5〜1mg/mlを得るために選択されるべきである。これは、透過促進剤の存在下で有効成分としてのデスモプレシンおよび輸送バリヤーとしてのヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層培養物を用いる輸送試験において測定された30分後の1mg/mlの濃度で50%またはそれ未満、好ましくは40%またはそれ未満、好ましくは30%またはそれ未満、好ましくは20%またはそれ未満の、インビトロ試験システムにおけるヒト大腸癌由来細胞株Caco−IIの経上皮電気抵抗(TEER値)に相当すべきである。
【0056】
摂取すべき全単一用量を意味する、最終的な配合物中での生物学的利用能促進剤の量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは1〜2.5質量%の範囲内であることができる。この一定量は、有利に当該生理的液体、例えば腸液100ml中での最終的濃度0.004〜0.1mg/ml、好ましくは0.02〜0.04mg/mlを得るために選択されるべきである。これは、生物学的利用能促進剤なしの相応する配合物と比較して、少なくとも5倍の有効成分の経口的生物学的利用能の増加率に相当すべきである。
【0057】
配合物中での医薬品または栄養補強食品の有効成分の量は、治療に必要とされる量に依存して極めて変動可能である。治療に必要とされる全体量のデスモプレシンの1つの例は、投与形1個当たり約200μgであり、これに反して治療に必要とされる全体量のヘパリンは、投与形1個当たり約200mgであってよい。
【0058】
医薬品または栄養補強食品の有効成分
有効成分は、任意の医薬品または栄養補強食品の有効成分であることができ、この場合経口的デリバリーが望ましい。好ましくは、有効成分は、BCSクラスIIIおよびIVの群に属し、この場合経口吸収の改善が望まれる。好ましい有効成分は、生物学的起源、例えばタンパク質またはペプチド、核酸、脂質または炭水化物、またはこれらの物質の天然の誘導体または合成誘導体の分子である。
【0059】
有効成分は、3000Da未満の平均分子量Mwを有するタンパク質またはペプチドであってよい。係るペプチドの例は、殊にアバレリクス、アンギオテンシンII、アニドゥラファンギン、アンチド、アルギプレシン、アザリンおよびアザリンB、ボンベシンアンタゴニスト、ブラジキニン、ブセレリン、セトロレリクス、シクロスポリンA、デスモプレシン、デチレリクス、エンケファリン(Leu,Met−)ガニレリクス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン分泌促進物質、ミカファンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルンチド、オキシトシン、ラモレリクス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレシン、テトラコサクチド、テベレリクス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン、バソプレシンである。
【0060】
有効成分は、3000〜10000Daの平均分子量Mwを有するタンパク質またはペプチドであってよい。係るタンパク質またはペプチドの例は、殊にカルシトニン、コルチコトロフィン、エンドルフィン、上皮成長因子、グルカゴン、インスリン、ノボリン、副甲状腺ホルモン、レラキシン、プロソマトスッチン、サケセクレチンである。
【0061】
有効成分は、10000を上廻る平均分子量Mwを有するタンパク質またはペプチドであってよい。係るタンパク質またはペプチドの例は、殊にインターフェロン(α,β,γ)、インターロイキン(IL1,IL2)、ソマトトロピン、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNFα,β)、レラキシン、エンドルフィン、ドマセα(domase alpha)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)、黄体化ホルモン(LH)または表皮成長因子であってよい。
【0062】
有効成分は、デスモプレシンまたはその誘導体、例えば異なる塩またはデスモプレシン酢酸塩またはデスモプレシン乳酸塩であってよい。
【0063】
有効成分は、恐らく多糖類である。有効成分は、ヘパリンまたはその誘導体、例えば未分画ヘパリンまたは中程度の分子量のヘパリンおよび低分子量のヘパリンまたは極めて低分子量のヘパリンであってよい。
【0064】
有効成分は、核酸またはその誘導体、例えば5−フルオロ−ウラシルであってよい。
【0065】
栄養補強食品有効成分の例は、ビタミン、必須脂肪酸、酸化防止剤としての、ブドウ産物からのレスベラトロール、可溶性の食事性繊維産物、例えば高コレステリン血症を軽減させるためのオオバコ種殻psyllium seed husk、癌腫防腐剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈性の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養補強食品の例は、フラボノイド、酸化防止剤、亜麻仁からのα−リノール酸、マリーゴールドの花弁からのβ−カロテンまたは液果類からのアントシアニンである。
【0066】
更に、栄養補強食品の例は、ビタミンおよびミネラル、タウリン、ω−3、緑茶カテキン、コエンザイムQ10、バルバドスアロエ、グルコサミン、コンドロイチン、乳漿たんぱく、ガラナ、イチョウ、γ−アミノ酪酸である。他の栄養補強食品は、植物性薬品、プロバイオティクス、プレバイオティクス、植物ステロールまたは酵素から選択されうる。
【0067】
BCSクラスIIIおよびIV
単数または複数の有効成分は、例えばBCSクラスIIIおよびIV(Prof.AmidonによるBiopharmaceutical classification system生物薬剤学分類システム;Amidon et al.,Pharm.Res.12,413−420(1995))の群および/または抗アンドロゲン薬、抗うつ薬、抗糖尿病剤、抗リウマチ薬、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、片頭痛薬、神経弛緩剤、抗生物質、エストロゲン、ビタミン、向精神薬、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗剤、利尿剤、心臓グルコシド、抗てんかん薬、利尿剤/抗緑内障薬、尿酸合成抑制薬、H2受容体遮断薬およびウイルス抑制剤に属することができる。
【0068】
医薬品配合物または栄養補強食品配合物は、少なくとも1つ、一般的に1つだけの有効成分を含むが、しかし、場合により2つの、またはそれを上廻る有効成分の組合せも含む。それ故に、存在する有効成分は、1つだけの有効成分から成っていてよいか、または場合により複数の個々の有効成分から成っていてもよい。
【0069】
BCSクラスIIIー低い透過性、高い可溶性
吸収は、透過率によって制限されるが、しかし、薬剤は、極めて急速に溶媒和される。
【0070】
BCSクラスIVー低い透過性、低い可溶性
当該化合物は、少ない生物学的利用能を有する。通常、当該化合物は、腸粘膜上で十分には吸収されず、高い変異性が期待される。
【0071】
BCS IIIおよびIVの単数または複数の有効成分は、有利に、物質収支の決定を基礎として投与されたかまたは物質収支の決定と比較して投与された用量および静脈内用量の90%未満である透過性を有する。透過性は、間接的に人体内での原薬の吸収の程度に基づくものであり、および直接的にヒトの腸膜を横切る物質の移動率の測定に基づくものである。他の選択可能な方法によれば、人体内での薬物吸収を予想しうる薬物吸収系を予想することができる非ヒト系は、使用されることができる(例えば、インビトロ培養法)。原薬は、人体内での吸収の程度が物質収支の決定に基づいて投与されたかまたは物質収支の決定と比較して投与された用量および静脈内用量の90%またはそれを上廻ることが測定される場合に高度に透過性であることが考えられる。
【0072】
BCSクラスIVの有効成分は、3.3g/lまたはそれ未満の脱塩水中で可溶性を有することができる。BCSクラスIIIの有効成分は、水中で良好な可溶性を有する。BCSクラスIVの有効成分は、低い透過性を有する。それ故に、本発明の利点は、殊にBCSクラスIIIの有効成分について示される。それというのも、ここで有効成分の透過性は、生物学的利用能の唯一の制限を成すからである。しかし、有効成分の増大された透過性は、前記有効成分の水中での少ない可溶性の制限にも拘わらず生物学的利用能の或る程度の改善を少なくとも漸進的に達成させるために、BCSクラスIVの有効成分の場合に役に立つこともできる。
【0073】
単数または複数の有効成分は、ビカルタミド、アナストロゾール、アルベンダゾール、アミトリプチリン、アルテメテル、クロルプロマジン、シプロフロキサチン、クロファジミン、ダプソン、ジロキサニド、エファビレンツ、葉酸、フロセミド、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ハロペリドール、イベルメクチン、イブプロフェン、インジナビル、ロピナビル、ルメファントリン、メベンダゾール、メフロキン、ニクロサミド、ネルフィマビル、ニフェジピン、ニトロフラントイン、フェニトイン、ピランテル、ピリメタミン、レチノール、リトナビル、スピロノラクトン、スルファジアジン、スルファサラジン、スルファメトキサゾール、トリクラベンダゾール、トリメトプリム、バルプロ酸、ベラパミル、ワルファリン、ナリジキシン酸、ネビラピン、プラジカンテル、リファンピシン、グリメピリド、ニルタミド、ブロモクリプチン、ケトチフェン、レトロゾール、ナラトリプタン、ガンシクロビル、オルリスタット、ミソプロストール、グラニストロン、ピオグリタゾン、ラミブジン、ロシグリタゾン、ジドブジン、エナラプリル、アテノロール、ナドロール、フェロジピン、ベプリジル、ジゴキシン、ジギトキシン、カルバマゼピン、アセタゾラミド、アロプリノール、シメチジン、ラニチジンまたはオキシカルバゼピンであってよい。
【0074】
水中での可溶性
有効成分は、3.3g/lまたはそれ未満、好ましくは3.3g/lまたはそれ未満、殊に1.1g/lまたはそれ未満の脱塩水中での可溶性を有していてよい。
【0075】
有効成分についての水中での可溶性は、DAB 10に従って定義されうる(Deutsches Arzneibuch[German Pharmacopoeia],第10版,第3改訂版1994,Deutscher Apothekerverlag,Stuttgart and Govi Verlag,Frankfurt am Main,第2改訂版(1993),IV Allgemeine Vorschriften[IV General methods]p.5−6,"Loslichkeit und Losungsmittel"["Solubility and solvents"];Ph.Eur.4.07,2004も参照のこと)。
【0076】
有効成分の酵素分解阻害剤
有効成分が、生物学的起源、例えばタンパク質またはペプチド、核酸、脂質または炭水化物、またはこれらの物質の天然の誘導体または合成誘導体の分子である場合、胃腸管の環境条件かまたは環境条件内で起こりうる、有効成分の酵素分解を阻止するかまたは減少させる阻害剤は、添加されてよい。阻害剤は、生物学的利用能促進剤とは異なり、すなわち付加的に添加されてよい。好ましくは、有効成分の酵素分解を阻止するかまたは減少させる係る阻害剤は、生物学的起源の有効成分に対して多少とも特異的であるべきである。好ましくは、有効成分の酵素分解を阻止するかまたは減少させる阻害剤は、動物またはヒトにおける一定の適用に関連して製薬学的に認容性であるべきである。製薬学的に認容性とは、一般的に安全と認められる状況(GRAS)またはGRAS状況と比較可能な或る状況が存在する意味において定義されうる。
【0077】
有効成分が主にトリプシンまたはキモトリプシンの基質であるタンパク質またはペプチドである場合には、通常、生物学的利用能促進剤は既に係る阻害剤であるので、タンパク質分解酵素の阻害剤を添加することは、不要である。しかし、生物学的利用能促進剤とは別に配合物中に存在するタンパク質分解酵素の阻害剤はもはや存在していない方が好ましいが、他のタンパク質分解酵素が分解に役割を果たす場合には、他のタンパク質分解酵素が添加されてよいことは、排除されない。
【0078】
有効成分が核酸、好ましくはDNAまたはRAである場合には、酵素分解阻害剤は、哺乳動物またはヒトの出所からのDNアーゼまたはRNアーゼ阻害剤、好ましくはDNアーゼまたはRNアーゼ阻害剤である。
【0079】
有効成分がグリコシド物質、好ましくはスルホン化されたかまたはスルホン化されていないグルコサミノグリカン、例えばプロテオグリカン、ヘパリンまたはヘパランスルフェートである場合には、酵素分解阻害剤は、ヘパラナーゼ(EC.3.2.1.B2)またはヘパリンリアーゼ(EC.4.2.2.7)またはヘパリンスルフェートリパーゼ(EC.4.2.2.8)の阻害剤であってよい。更に、前記阻害剤は、L−イドゥロニダーゼ(EC 3.2.1.76)、N−スルホグルコサミン−3−スルファターゼ(EC 3.1.6.15)、イドゥロネート−2−スルファターゼ(EC 3.1.6.13)、ヘパラン−α−グルコサミニドN−アセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.78)、α−およびβ−アミラーゼ(EC 3.2.1.1,EC 3.2.1.2)、グルカン1,4−α−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.3)、α,α−トレハラーゼ(EC 3.2.1.28)またはスクロースα−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.48)の阻害剤であってよい。
【0080】
ヘパラナーゼ(EC.3.2.1.B2)は、ヘパリンスルフェート鎖を細胞表面および基底膜−ヘパランスルフェート−プロテオグリカンから特異的に切断することができる内在性酵素である。
【0081】
ヘパラナーゼの酵素分解阻害剤の例は、有利にスチルベン、フラボノイドまたはアントシアンの群からのポリフェノールである。好ましくは、例えば虎杖根(コジョウコン) Polygonum cuspidatumまたはブドウのつる木から単離されうるレスベラトロール(トランス−3,4,5−トリヒドロキシスチルベン)である。ヘパラナーゼに対するレスベラトロールの阻害効果は、例えばAhn et.al.(2006)Life Sciences 79,1551−1665によって示された。
【0082】
透過促進剤
透過促進剤は、本発明の範囲内で、インビトロ試験システムにおけるヒト大腸癌由来細胞株Caco−IIの経上皮電気抵抗(TEER値)を減少させる。
【0083】
好ましくは、透過促進剤は、本発明の範囲内で、透過促進剤なしの緩衝液の初期TEER値(100%)を、透過促進剤の存在下で輸送バリヤーとしてのヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層培養物中で測定した60分後の1mg/mlの濃度で50%またはそれ未満、有利に40%またはそれ未満、有利に30%またはそれ未満、有利に20%またはそれ未満に減少することによって定義されてよい。ヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層培養物を使用してそれぞれヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層培養物バリヤーを通過させる輸送試験におけるTEER値を試験する方法は、十分に確立されており、当業者に公知である。
【0084】
例12でも使用されたような概要の条件の疑問点を回避させるために、ここで総括してもよい:50未満のヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の通路数;TranswellTMフィルター上での14〜30日の培養物年齢;200Ω・cm2を上廻る輸送前および輸送後のTEER値(細胞単層の完全性および堅固さを示す);1・10-6cm・s-1未満の低透過性マーカー(フルオレセイン)の見掛け透過係数(頂端側/基底外側および基底外側/頂端側(abおよびba)(細胞単層の堅固さを保証する、低透過性輸送を識別するためのモデルの適性を示す));4・10-6cm・s-1より高いローダミン123の見掛け透過係数(ba)(P−グリコプロテインの明らかな表現を示す);5・10-6cm・s-1より高いプロパノロールの見掛け透過係数(ab)(高透過性輸送を識別するためのモデルの適性を示す);頂端側のため、または基底外側のための輸送試験で使用されてよい緩衝液は、頂端側のためのHBSS緩衝液pH6.5〜7.4および基底外側のためのHBSS緩衝液pH7.4であり(個々に調節されたpH);細胞培養培地:公知技術水準で公知のように非必須アミノ酸およびゲンタマイシンスルフェートで有利に栄養補強されたDulbecco’s Modified Eagle Mediumダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地(DMEM)。
【0085】
好ましくは透過促進剤は、ポリマー物質であるか、またはよりいっそう好ましくは、陽イオン性ポリマー物質である。
【0086】
好ましくは、透過促進剤は、第三級アミノ基を有する陽イオン性(メタ)アクリレートコポリマーであってよい。
【0087】
よりいっそう好ましくは、透過促進剤は、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%とアルキル基中に第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%からなるコポリマーであってよい。
【0088】
排除してよい透過促進剤は、殊に可塑剤、例えばトリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ポリマー、例えばカルボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリカルボフィル−システイン、長鎖脂肪酸、そのエステル(例えば、モノグリセリドおよびジグリセリド)およびその塩、例えばラウリン酸、ラウリンスルホン酸、パルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、アシルカルニチン、キレート化剤、例えばEDTA、サリチレート、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、胆汁酸、例えばコール酸、コリルタウリン、コリルサルコシン、ケノデオキシコール酸およびその塩、例えばNaコラート、Naグリココラート、Naタウロコラート、Naタウロジヒドロフシデート、Naグリコジヒドロフシデート、界面活性剤および乳化剤、例えば殊にナトリウムドデシルするフェート(SDS)、ポリソルベート80(Tween 80)、ポリエトキシ化ひまし油(Cremophor EL)、トキシン ゾヌラオクルデンストキシンzonula occludens toxin(ZOT)およびビタミン、例えばビタミンE(トコフェロール)またはビタミンB12である。
【0089】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eタイプ
第三級アミノ基を有する陽イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、部分的または全体的に、アルキル基中に第三級アミノ基を有するアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートから成っていてよい。適当な(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば欧州特許第0058765号明細書B1の記載から公知である。
【0090】
第三級アミノ基を有する陽イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、例えばアクリル酸またはメタクリル酸のフリーラジカル重合されたC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%とアルキル基中に第三級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%とから成っていてよい。
【0091】
第三級アミノ基を有する適当なモノマーは、米国特許第4705695号明細書、第3欄、第64行〜第4欄、第13行に詳述されている。殊に、ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノベンジルアクリレート、ジメチルアミノベンジルメタクリレート、(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート、ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレート、(3−ジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレートおよびジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレートを挙げるべきである。特に好ましくは、ジメチルアミノエチルメタクリレートが記載される。
【0092】
コポリマー中に第三級アミノ基を有するモノマーの含量は、有利に20〜70質量%、好ましくは40〜60質量%であってよい。アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステルの割合は、70〜30質量%である。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートを挙げるべきである。
【0093】
第三級アミノ基を有する適当な(メタ)アクリレートコポリマーは、例えばメチルメタクリレート20〜30質量%とブチルメタクリレート20〜30質量%とジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%とから形成されていてよい。
【0094】
第三級アミノ基を有する特に適した商業的な(メタ)アクリレートコポリマーは、例えばメチルメタクリレート25質量%とブチルメタクリレート25質量%とジメチルアミノエチルメタクリレート50質量%とから形成されている(EUDRAGIT(登録商標)E100またはEUDRAGIT(登録商標)E PO(粉末の形))。ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E100およびユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POは、およそpH5.0未満で水溶性であり、したがって胃液可溶性でもある。
【0095】
透過促進剤は、恐らくいわゆる"アミノメタクリレートコポリマー(USP/NF)"、"塩基性のブチル化メタクリレートコポリマー(Ph.Eur.)"または"アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(JPE)"であってよく、これらは、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eタイプである。
【0096】
炭酸アミノ(メタ)アクリレートコポリマーの使用
アミノ(メタ)アクリレートコポリマー、第三級アミノ基を有する陽イオン性(メタ)アクリレートコポリマーである透過促進剤は、有利に、例えばスプレーコーティングによって、二酸化炭素で炭酸塩化された水性媒体の形で芯材に塗布されてよい。従って、マトリックス構造または層状構造を有していてよい芯材の配合物に透過促進剤を添加することが可能になり、それによって芯材を取り囲むマトリックス中または層中の透過促進剤は、微量の酸でさえも全く含有しない。
【0097】
二酸化炭素で炭酸塩化された水性媒体は、アミノ(メタ)アクリレートコポリマーの溶液または分散液を実現させるために使用されてよいことが見い出された。アミノ基は、少なくとも部分的に、水相中に溶解された炭酸/炭酸水素塩によって中和され、したがってアミノ(メタ)アクリレートコポリマーは、少なくとも分散されるか、部分的溶解されるか、または十分完全に溶解されるか、またはこれらの条件間で分散または溶解されることが証明された。
【0098】
炭酸水性媒体を含有するアミノ(メタ)アクリレートコポリマーは、有機溶剤溶液と同様の方法で簡単に取り扱うことができる。しかし、この場合には、有機溶剤は、除去されずに炭酸水が除去される。これは、本発明による分散液または溶液から形成された乾燥コーティングが多少とも純粋なアミノ(メタ)アクリレートポリマーまたはコポリマーからなるであろうことを意味する。それというのも、二酸化炭素は、蒸気と共に除去されるからである。これは、固体または液体の酸によって部分的に中和された水性分散液を凌駕する顕著な利点であり、この場合酸または他の賦形剤は、常に、乾燥されたアミノ(メタ)アクリレートコポリマー配合物と共に残留する。
【0099】
従って、脱塩水中で非可溶性であるアミノ(メタ)アクリレートコポリマーを含有する水性媒体を使用することは、有利であり、この場合この媒体は、少なくとも1つの60質量%の水相の含量およびアミノ(メタ)アクリレートコポリマーを含有する40質量%までの個体含量を有していてよく、それによって水相は、溶質の形で媒体中に存在するアミノ(メタ)アクリレートコポリマーをもたらす十分な量の二酸化炭素によって充填される。
【0100】
生物学的利用能促進剤
生物学的利用能促進剤は、生物学的利用能促進剤なしの相応する配合物と比較して、有効成分の経口的生物学的利用能を少なくとも5倍増大させる、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤である。
【0101】
生物学的利用能促進剤は、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤、好ましくはトリプシンおよびキモトリプシンの阻害剤である。
【0102】
タンパク分解酵素の阻害剤は、例14の酵素阻害試験の境界内で定義されてよい。従って、本発明の範囲内のタンパク分解酵素の阻害剤は、1mg/mlを超えない濃度で、pH6.5のHBSS緩衝液中の溶液1ml当たり初期量のデスモプレシンアセテート20μgが37℃および180分の恒温保持時間で10mg/mlの濃度を有するパンクレアチン溶液の存在下で80%未満に減少することを回避させるような阻害剤として定義されてよい。
【0103】
生物学的利用能促進剤は、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤、好ましくは、哺乳動物起源のタンパク分解酵素の阻害剤、好ましくは哺乳動物の胃腸管のタンパク分解酵素の阻害剤であり、この阻害剤は、有効成分の生物学的利用能を5倍、好ましくは少なくとも6倍、好ましくは少なくとも7倍、好ましくは少なくとも8倍、好ましくは少なくとも9倍、好ましくは少なくとも10倍増大させ、それによって生体内で測定された、有効成分の生物学的利用能における増加率は、相応する配合物と比較して、または同じ配合物ではあるがタンパク分解酵素の阻害剤なしの配合物と比較して相対的な生物学的利用能として存在する。タンパク分解酵素の阻害剤は、ペプチダーゼまたはプロテイナーゼの阻害剤を含む。
【0104】
生物学的利用能促進剤は、透過促進剤とは異なる。生物学的利用能促進剤は、第三級アミノ基を有する陽イオン性の(メタ)アクリレートコポリマーとは異なる。
【0105】
製薬学的に適したプロテアーゼ阻害剤の例は、アンチパイン、アプロチニン、バシトラシン、ベンズアミジン、ベスタチン、キモスタチン、ひよこのオボインヒビター、キトサン−EDTA接合体、ロイペプチン、ペプスタチン、大豆トリプシンインヒビター、チオルファン、トシル−リシンtos−lysクロロメチルケトン、ポテトカルボキシペプチダーゼ阻害剤である。
【0106】
好ましくは、タンパク分解酵素の阻害剤は、ペプチダーゼまたはタンパク質である。好ましくは、ペプチダーゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤は、3000〜100000、有利に3000〜10000(g/mol)の分子量(質量平均Mw)を有するペプチダーゼまたはタンパク質である。
【0107】
本発明の範囲内のタンパク分解酵素の阻害剤は、哺乳動物起源のペプチダーゼまたはプロテイナーゼ、例えばヒトトリプシンまたはキモトリプシンのタンパク分解活性を阻害する。タンパク分解酵素の阻害剤は、天然に産生する酵素またはその誘導体であってよい。天然に産生する酵素からの誘導体は、フラグメントまたはその変形を意味する。フラグメントまたはその変形は、合成プロセスによって、または遺伝子工学的方法のための修飾によって入手可能である。
【0108】
植物源、例えば大豆、ヒヨコマメまたはライマビーンからのタンパク分解酵素起源の阻害剤が好ましい。タンパク分解酵素の阻害剤が単離されてよい、典型的な原料または源は、大豆粉または大豆フレーク、ヒヨコマメ粉、ライマビーン粉または工業的な大豆タンパク濃縮物から製造されたかまたは伝統的な大豆タンパクプロセスにより製造された大豆ホエイであってよい。
【0109】
ボーマン・バーク型阻害剤(BBI)は、大豆および種々の他の種子、主にマメ科植物の種子および植物性原料中に見出される、安定した低分子量のトリプシンおよびキモトリプシン阻害剤の系列からよく知られたタンパク分解酵素の阻害剤の呼称である。本発明の範囲内のボーマン・バーク型阻害剤(BBI)は、少なくとも1つまたはそれを上廻る、ボーマン・バーク型阻害剤酵素系列のメンバーを意味すべきである。
【0110】
タンパク分解酵素の阻害剤は、ボーマン・バーク型阻害剤またはその誘導体であってよい。ボーマン・バーク型阻害剤は、トリプシンおよびキモトリプシンに対して独特の阻害面を有する、有利に大豆由来の71個のアミノ酸ポリペプチドであってよい。ボーマン・バーク型阻害剤は、公知方法で上記に述べた植物源から水抽出、親和クロマトグラフィーおよびその後の溶離によって単離されてよい。他の選択可能な方法によれば、ボーマン・バーク型阻害剤は、商業的に種々の出所から入手可能である。
【0111】
ボーマン・バーク型阻害剤の誘導体は、フラグメントまたはその変形であってよい。フラグメントまたはその変形は、合成プロセスによって、または遺伝子工学的方法のための修飾によって入手可能である。この意味における誘導体の用語は、当業者によく知られている。
【0112】
タンパク分解酵素の阻害剤の質量による濃度は、好ましくは有効成分の質量と比較して、0.1〜100倍、有利に0.5〜50倍、有利に5〜25倍であってよい。
【0113】
従って、本発明は、本発明による配合物中での有効成分の経口的生物学的利用能を増大させる賦形剤としての、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤である生物学的利用能促進剤の使用に関する。
【0114】
増大された経口的生物学的利用能
生物学的利用能促進剤は、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤であり、この阻害剤は、有効成分の経口的生物学的利用能を少なくとも5倍、有利に少なくとも6倍、有利に少なくとも7倍、有利に少なくとも8倍、有利に少なくとも9倍、有利に少なくとも10倍増大させる。
【0115】
経口的生物学的利用能が増大されたか否かの計算
経口的生物学的利用能の用語および相対的な経口的生物学的利用能の計算は、当業者によく知られている。
【0116】
有効成分の経口的生物学的利用能の増加の倍数は、配合物の経口的デリバリー後の濃度−時間曲線(AUC0〜∞[pg/ml*min])の下でaeraとして表現された試験動物群の血中濃度を、タンパク分解酵素の阻害剤なしの相応する配合物の経口的デリバリー後の相応する試験動物群の相応する血中濃度で除することによって計算されてよい。
【0117】
試験動物群は、代表例であるべきであるか、またはそれぞれ統計的に該当する群であるべきである。当業者であれば、統計的な記載内容は熟知している。従って、試験動物の代表例または統計的に該当する数は、当業者によって簡単に定めることができる。好ましい試験動物は、ミニ豚である(Goettingen)。ミニ豚の試験動物の統計学的に該当する群の代表例は、例えば8匹の動物から成っていてよい(n=8)。
【0118】
タンパク分解酵素の阻害剤を有する例11による配合物と一緒のデスモプレシンの経口的デリバリー後のミニ豚の血液からの薬物血中濃度−時間曲線下面積(AUC0〜∞[pg/ml*min])は、本発明の例中で53823pg/ml*minである。これは、AUC0〜∞が5155pg/ml*minであるタンパク分解酵素の阻害剤なしの相応する配合物のAUC0〜∞(例10)と比較される。従って、経口的生物学的利用能の増加の倍数は、53823/5155=10.44と計算される。
【0119】
ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するための腸溶コーティング
少なくとも粒子または容量単位の芯材は、ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングを有する。ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングは、それぞれ腸溶コーティングおよび腸溶コーティング層である。
【0120】
腸溶コーティング層は、他の賦形剤、例えば可塑剤または滑剤を50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有してよい。好ましくは、腸溶コーティング層は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0121】
腸溶コーティングは、当業者によく知られている。腸溶コーティングは、胃液中で非可溶性であるが、しかし、腸液中では可溶性である。胃耐性とは、有効成分10%以下がpH1.2の緩衝液中で120分内で放出されることを意味する。腸液中で可溶性とは、腸液が十二指腸、空腸、回腸または結腸内で5.0〜7.5の一定のpH値での腸液の化学的性質に依存して溶解することを意味する。
【0122】
ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングは、カルボキシル官能性コモノマー陰イオン性多糖類、セルロースポリマーまたは陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含有してよい。
【0123】
適当なカルボキシル官能性多糖類またはセルロースポリマーは、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(CMC、Na−CMC、ブラノース、チロプルTylopur)、カルボキシメチルエチルセルロースおよびその塩、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリエート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS−LFM、−MF、−HF)から選択されてよい。
【0124】
適当なカルボキシル官能性コポリマーは、ポリビニルアセテートフタレートまたはビニルアセテートとクロトン酸9:1のコポリマーによって例示されたように、アクリル酸またはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸に由来する構造単位を含有するビニルコポリマーである。
【0125】
陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマー
ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングは、有利に陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、腸溶ポリマーと呼称されていてもよい。陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のフリーラジカル重合されたC1〜C4アルキルエステル25〜95質量%、有利に40〜95質量%、殊に60〜40質量%および陰イオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー75〜5質量%、有利に60〜5質量%、殊に40〜60質量%を含有する。
【0126】
記載された量は、100質量%まで添加されてよい。しかし、さらに、本質的な性質の欠陥または変更を生じることなし、ビニル共重合を可能にする他のモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレート0〜10質量%、例えば1〜5質量%の範囲内の少量が存在していてよいこともありうる。しかし、ビニル共重合を可能にする他のモノマーは、存在しない方が好ましい。
【0127】
アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステルは、殊にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートである。
【0128】
陰イオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えばアクリル酸であり、好ましくは、メタクリル酸である。
【0129】
適当な陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸40〜60質量%とメチルメタクリレート60〜40質量%またはエチルアクリレート60〜40質量%とからなるコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)LまたはEUDRAGIT(登録商標)L 100−55タイプ)。
【0130】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Lは、メチルメタクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。腸液または人工腸液中の特異的な有効成分の放出開始時のpHは、pH6.0であると記載することができる。
【0131】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55は、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 100−55 30質量%を含有する分散液である。腸液または人工腸液中の特異的な有効成分の放出開始時のpHは、pH5.5であると記載することができる。
【0132】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%とメチルメタクリレート80〜60質量%とからなる陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーも適している(EUDRAGIT(登録商標)S タイプ)。腸液または人工腸液中の特異的な有効成分の放出開始時のpHは、pH7.0であると記載することができる。
【0133】
適当な(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%とメチルアクリレート50〜70質量%とメタクリル酸5〜15質量%とからなるコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。腸液または人工腸液中の特異的な有効成分の放出開始時のpHは、pH7.0であると記載することができる。
【0134】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)FSは、メチルメタクリレート25質量%とメチルアクリレート65質量%とメタクリル酸10質量%とのコポリマーである。ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)FS 30質量%を含有する分散液である。
【0135】
更に、
メタクリル酸および/またはアクリル酸20〜34質量%、
メチルアクリレート20〜69質量%および
エチルアクリレート0〜40質量%および/または場合により
ビニル重合を可能にする他のモノマー0〜10質量%からなるコポリマーは、適しており、
但し、この場合ISO 11357−2、サブセクション3.3.3に従うコポリマーのガラス輸送温度は、60℃以下である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、ペレットをタブレットに圧縮するための良好な破断時伸びの性質のために、特に好適である。
【0136】
更に、
メタクリル酸および/またはアクリル酸20〜33質量%、
メチルアクリレート5〜30質量%および
エチルアクリレート20〜40質量%および
ブチルメタクリレート10質量%を上廻り30質量%まで、および場合により
ビニル重合を可能にする他のモノマー0〜10質量%からなるコポリマーは、適しており、
この場合モノマーの量は、100質量%まで添加され、
但し、この場合ISO 11357−2、サブセクション3.3.3に従うコポリマーのガラス転移温度(中点温度Tmg)は、55〜70℃である。このタイプのコポリマーは、ペレットをタブレットに圧縮するための良好な機械的性質のために、特に好適である。
【0137】
上記のコポリマーは、殊に
メタクリル酸またはアクリル酸、有利にメタクリル酸20〜33質量%、好ましくは25〜32質量%、特に有利に28〜31質量%、
メチルアクリレート5〜30質量%、好ましくは10〜28質量%、特に有利に15〜25質量%、エチルアクリレート20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%、特に有利に18〜22質量%、およびブチルメタクリレート10質量%を上廻り30質量%まで、好ましくは15〜25質量%、特に有利に18〜22質量%のフリーラジカル重合された単位から成り、この場合モノマー組成物は、前記コポリマーのガラス転移温度が55〜70℃、好ましくは59〜66℃、特に有利に60〜65℃であるように選択される。
【0138】
これに関連して、ガラス転移温度は、殊にISO 11357−2、サブセクション3.3.3に従う中点温度Tmgを意味する。測定は、可塑剤を添加することなく、100ppm未満の残留モノマー含量(REMO)を用いて10℃/分の加熱速度で窒素雰囲気下で行なわれる。
【0139】
前記コポリマーは、好ましくは本質的に、または専ら、下記量の範囲内で、モノマーのメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルメタクリレート90質量%、95質量%または99〜100質量%から成る。
【0140】
しかし、必要に応じて本質的な性質の欠陥を生じることなし、付加的にビニル共重合を可能にする他のモノマー、例えばメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、ビニルアセテートおよび/またはその誘導体0〜10質量%、例えば1〜5質量%の範囲内の少量が存在していてよいこともありうる。
【0141】
陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーの製造
陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法でモノマーをフリーラジカル重合させることによって製造されることができる(例えば、欧州特許出願公開第0704207号明細書A2および欧州特許出願公開第0704208号明細書A2参照)。本発明によるコポリマーは、自体公知の方法で、例えばドイツ連邦共和国特許第2135073号明細書に記載の方法により、水相中で好ましくは陰イオン性乳化剤の存在下でフリーラジカル乳化重合させることによって製造されることができる。
【0142】
前記コポリマーは、フリーラジカル重合の常法によって、連続的または非連続的(バッチ法)にフリーラジカル形成開始剤および場合により希釈されていない分子量を調節するための調節剤の存在下で、溶液中で、ビーズ重合により、または乳濁液中で製造されることができる。平均分子量Mw(例えば、溶液粘度を測定することによって測定された質量平均)は、例えば80000〜1000000(g/mol)であってよい。水溶性開始剤および(好ましくは陰イオン性)乳化剤の存在下での水相中の乳化重合は、好ましい。
【0143】
塊状重合の場合、コポリマーは、破砕、押出、造粒またはホットカットによって固体の形で得ることができる。
【0144】
(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法でフリーラジカル塊状重合、フリーラジカル溶液重合、フリーラジカルビーズ重合またはフリーラジカル乳化重合によって得られる。前記の(メタ)アクリレートコポリマーは、本発明の粒径範囲への処理前に適当な粉砕法、乾燥法またはスプレーコーティング法によってもたらされなければならない。これは、押出されかつ冷却されたペレットを簡単に破砕するかまたはホットカットすることによって行なうことができる。
【0145】
殊に、他の粉末または液体との混合物での粉末の使用は、有利であることができる。粉末を製造するのに適した装置、例えばエアジェットミル、ピン付きディスク粉砕機、コンパートメントミルは、当業者によく知られている。場合により、適当な篩別工程を含むことも可能である。工業的に大容量に適した粉砕機は、例えば約6バールのゲージ圧で操作される対向ジェットミルである。
【0146】
部分中和
本発明の目的に適した根拠は、欧州特許出願公開第0088951号明細書A2またはWO 2004/096185の記載、またはこれらの記載から推論できる記載に述べられている。更に、中和に適した塩基は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液(KOH)、水酸化アンモニウムまたは有機塩基、例えばトリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウムまたはアンモニア、または生理的に許容されるアミン、例えばトリエタノールアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0147】
更に、適当な陽イオン性有機塩基は、塩基性アミノ酸ヒスチジン、アルギニンおよび/またはリシンである。
【0148】
混合物による部分中和の程度の調節
混合物は、部分中和の程度の調節において工業的利点を生じてもよい。内部コーティングのための本発明の好ましい実施態様において、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル25〜95質量%および陰イオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー5〜75質量%のフリーラジカル重合された単位からなる、部分中和度の異なる陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーの混合物が使用され、この場合、含有された陰イオン性基の1〜80%は、混合物に対して計算された平均として、塩基によって中和される。例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル25〜95質量%および陰イオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー5〜75質量%のフリーラジカル重合された単位からなる、部分中和されていない陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーを、同じモノマー組成の部分中和された(メタ)アクリレートコポリマーと前記の量範囲内で混合することは、可能であり、したがって、含有された陰イオン性基の1〜80%は、混合物に対して計算された平均として中和される。前記混合物は、例えば部分中和された陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーの分散液から、例えばスプレー乾燥または凍結乾燥により得られた粉末を、部分中和されなかった陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーの分散液に攪拌混入することによって製造されることができる。
【0149】
芯材の部分としての同期化層
場合による同期化層(サブコート層)は、芯材に添加されてよい。この層は、有効成分および生物学的利用能促進剤の溶解を同期化する機能を有する。同期化層は、同様にサブコート層または分離層と呼称されてよい。
【0150】
サブコート層は、芯材の物質を、相互に非相容性であってよい腸溶コーティング層の物質から分離する機能を有していてよい。殊に、芯材中の透過促進剤が第三級アミノ基を有する陽イオン性(メタ)アクリレートコポリマーであり、および外側腸溶コーティングが陰イオン性セルロースポリマーまたは陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーである場合には、サブコートの添加によって回避されうる望ましくない相互作用が存在していてよい。サブコートは、本質的に放出特性に対して何らの影響も及ぼさない。サブコートは、有利に、このサブコートが被膜形成剤としての物質、例えばヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)から成るとしても、本質的に水溶性である。サブコート層の平均厚さは、極めて薄手であり、例えば50μm以下、好ましい30μm以下である。
【0151】
サブコート層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース少なくとも50質量%を含有してよい。
【0152】
サブコート層は、前記配合物中の生物学的利用能促進剤の全体量を90質量%まで、有利に50質量%まで含有することができる。有効成分の分子量が生物学的利用能促進剤の分子量よりも低いかまたは十分に低い場合には、有効成分は、生物学的利用能促進剤よりも急速に芯材物質から拡散することができる。この場合、有効成分は、生物学的利用能促進剤を伴うことなしにターゲット細胞に到達することができる。従って、双方の物質が一緒に細胞に到達するとしても、望ましい効果は、そのまま達成することはできない。従って、サブコート層は、好ましくはそれぞれ生物学的利用能促進剤およびタンパク分解酵素の阻害剤を90質量%まで、有利に50質量%まで含有することができる。これは、芯材の有効成分の放出前に少なくとも急速に溶解するサブコートからの少量の生物学的利用能促進剤が既にターゲット細胞への途中で既に存在していてよいという利点を有する。これは、有効成分の放出と生物学的利用能促進剤の放出とを同期化するのに役に立つ(同期化層)。
【0153】
反対に、サブコート層は、有効成分を20%まで含有してよい。有効成分の分子量がペプチダーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤の分子量よりも高いかまたは十分に高い場合には、有効成分は、ペプチダーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤よりも遅速に芯材物質から拡散することができる。この場合、ペプチダーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤は、有効成分を伴うことなしにターゲット細胞に到達することができる。従って、双方の物質が一緒に細胞に到達するとしても、望ましい効果は、そのまま達成することはできない。従って、サブコート層は、好ましくは有効成分を20%まで含有してよい。これは、芯材のペプチダーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤の放出前に少なくとも急速に溶解するサブコートからの一定量の有効成分が既にターゲット細胞への途中で既に存在していてよいという利点を有する。これは、有効成分とペプチダーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤とを同期化するのに役に立つ(同期化層)。
【0154】
同期化層は、存在する場合に、他の賦形剤を50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有することができる。好ましくは、同期化層は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0155】
多重粒子状医薬品形の製造
反応性物質含有ペレットの芯材は、製薬学的に常用の賦形剤を用いて自体公知の方法で再形成のために多重粒子状医薬品形、殊にペレット含有タブレット、ミニタブレット、カプセル、サシェまたは粉末に加工されることができ、これらは、含有されたペレットが胃のpH範囲内で放出されるように配合される。多重粒子状医薬品形としての調製は、高い用量の確実性をもたらし、および腸管腔内でのペレットの均一な分布という利点を提供する。本発明の多重粒子状医薬品形は、付加的に異なる反応性物質および/または異なるペレット構造を有する異なるペレットタイプを有していてもよい。
【0156】
圧縮されたタブレット
製薬学的に常用の結合剤を有効成分含有粒子と一緒に圧縮することによる多重粒子状医薬品形の製造は、例えばBeckert et al.(1996),"Compression of enteric−coated pellets to disintegrating tablets",International Journal of Pharmaceutics 143,第13〜23頁およびWO 96/01624中に記載されている。
【0157】
反応性物質含有ペレット上のフィルムコーティングは、通常、流動床装置中で塗布される。配合物の例は、前記国際公開明細書WO 96/01624中に記載されている。被膜形成剤は、通常、可塑剤および放出剤と適当な方法によって混合される。この場合、被膜形成剤が溶液または懸濁液の形であることは可能である。被膜形成のための賦形剤は、同様に溶解または懸濁されてよい。有機溶剤または水性溶剤または分散剤は、使用されることができる。安定剤は、付加的に分散液を安定化するために使用されることができる(例:Tween 80または他の適当な乳化剤または安定剤)。
【0158】
放出剤の例は、グリセロールモノステアレートまたは他の適当な脂肪酸誘導体、シリカ誘導体またはタルクである。可塑剤の例は、プロピレングリコール、フタレート、ポリエチレングリコール、セバケートまたはシトレート、および刊行物中に記載された他の物質である。
【0159】
コーティングされた粒子からなるタブレットを製造するための混合物は、ペレットをタブレット化に適した結合剤と混合し、必要に応じて崩壊促進剤を添加し、および必要に応じて滑剤を添加することによって製造される。混合は、適当な機械中で行なうことができる。不適当な混合装置、例えばブラウシェアミキサーは、コーティングされた粒子に損傷を与える。適当な短い崩壊時間を達成させるために、賦形剤をコーティングされた粒子に特殊な順序で添加することは必要であってよい。コーティングされた粒子を滑剤または離型剤ステアリン酸マグネシウムと予め混合することにより、該粒子の表面を疎水性にし、こうして粘着を回避させることが可能である。
【0160】
タブレット化に適した混合物は、通常、崩壊剤、例えばKollidon CL3〜15質量%および例えば滑剤および離型剤、例えばステアリン酸マグネシウム0.1〜1質量%を含有する。結合剤の割合は、コーティングされた粒子の必要とされる割合によって決定される。
【0161】
典型的な結合剤の例は、Cellactose(登録商標)、微結晶性セルロース、燐酸カルシウム、Ludipress(登録商標)、ラクトースまたは例えば糖、硫酸カルシウムまたは澱粉誘導体である。
【0162】
低い嵩密度の物質は、好ましい。
【0163】
典型的な崩壊補助剤(崩壊剤)は、架橋された澱粉誘導体またはセルロース誘導体、および架橋されたポリビニルピロリドンである。セルロース誘導体は、同様に適している。適当な結合剤を選択することによって崩壊補助剤を使用することで計量供給することは可能である。
【0164】
典型的な滑剤および離型剤は、ステアリン酸マグネシウムまたは脂肪酸の他の適当な塩、または前記目的に関連する刊行物中に詳説された物質である(例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、タルク、等)。適当な機械(例えば、外部潤滑部を備えたタブレット圧縮機)の使用時に混合物での滑剤および離型剤、または適当な配合物を使用して計量供給することは、可能である。
【0165】
場合により、1つの補助剤を混合物に添加し、流れを改善することは、可能である(例えば、コロイド状シリカ誘導体、タルク等)。
【0166】
タブレット化は、通常のタブレット圧縮機、偏心タブレット圧縮機または回転タブレット圧縮機上で、5〜40kN、好ましくは10〜20kNの範囲内の圧縮力で行なうことができる。タブレット圧縮機は、外部潤滑のためのシステムを装備することができる。羽根型パドル翼によりキャビティ充填を回避させる、キャビティ充填のための特殊なシステムが場合により使用される。
【0167】
他の多重粒子状医薬品形
圧縮されたタブレットまたはミニタブレットへの他の選択可能な方法として、反応性物質を含有するコーティングされたペレットは、任意の他の経口投与される多重粒子状医薬品形に加工することも可能である。コーティングされたペレットは、例えばカプセル中、例えばゼラチンカプセル中に梱包することができるかまたはサシェまたは再形成可能な粉末に配合することができる。
【0168】
使用
更に、本発明は、本発明による配合物中での有効成分の経口的生物学的利用能を増大させる賦形剤としての、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤である生物学的利用能促進剤の使用に関する。本発明による医薬品配合物または栄養補強食品配合物は、ヒトに適用されてもよいし、獣医用途に適用されてもよい。
【0169】
栄養補強食品
栄養補強食品は、人の健康に医学的効果を有することの特許保護が請求された食品のエキスとして定義されてよい。栄養補強食品は、通常、医学的形成物、例えばカプセル、タブレットまたは粉末中に処方された用量で含有されている。栄養補強食品の例は、酸化防止剤としての、ブドウ産物からのレスベラトロール、可溶性の食事性繊維産物、例えば高コレステリン血症を軽減させるためのオオバコ種殻psyllium seed husk、癌腫防腐剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈性の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養補強食品の例は、フラボノイド、酸化防止剤、亜麻仁からのα−リノール酸、マリーゴールドの花弁からのβ−カロテンまたは液果類からのアントシアニンである。時折、栄養補強食品neutraceuticalsの表現は、栄養補強食品nutraceuticalsの同義語として使用される。
【0170】
賦形剤
芯材、場合により同期化層および腸溶コーティングは、必須成分とは異なる、他の賦形剤を含む必須成分から離れていてよい。必須成分は、医薬品または栄養補強食品の有効成分、透過促進剤、生物学的利用能促進剤およびターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングである。同期化層の場合には、勿論、この層が医薬品または栄養補強食品の有効成分、または生物学的利用能促進剤の一部分と共に有利に水溶性被膜形成ポリマーによって形成されていることは、本質的なことである。
【0171】
場合による同期化層なしの芯材は、他の賦形剤を50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有してよい。好ましくは、芯材は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0172】
同期化層は、存在する場合に、他の賦形剤を50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有することができる。好ましくは、同期化層は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0173】
腸溶コーティング層は、他の賦形剤を50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%まで含有することができる。好ましくは、腸溶コーティング層は、本質的な量の賦形剤を含有しないかまたは他の賦形剤を全く含有しない。
【0174】
医薬品賦形剤または栄養補強食品賦形剤は、当業者によく知られている。
【0175】
医薬品賦形剤または栄養補強食品賦形剤は、実際の理由のために、例えば粘着性を回避させるため、または色を付けるために含有されてよい。しかし、前記賦形剤は、通常、本明細書中で特許保護が請求されたような発明それ自体に対する効果に貢献しないか、この効果を全く示さないか、または殆ど何らの効果も示さない。前記賦形剤は、加工補助剤として使用されてよく、および確実に再現可能な製造法ならびに良好な長期貯蔵安定性を保証することを意図するものであるか、或いは前記賦形剤は、医薬品形の付加的に有利な性質を達成する。
【0176】
適当な賦形剤は、酸化防止剤、増白剤、結合剤、着香剤、流動補助剤、芳香剤、滑剤、透過促進剤、顔料、可塑剤、ポリマー、細孔形成剤または安定剤であってよい。使用される全ての物質は、勿論、毒物学的に安全でなければならず、かつ患者への危険なしに医薬品または栄養補強食品中に使用されなければならない。
【0177】
可塑剤
可塑剤は、ポリマーとの物理的相互作用によって、ガラス転移温度の減少を達成し、かつ添加された量に応じて被膜形成を促進する。適当な物質は、通常、100〜20000の分子量を有し、かつ分子中、例えばヒドロキシル基、エステル基またはアミノ基中で1個またはそれを上廻る親水性基を有する。
【0178】
適当な可塑剤の例は、アルキルシトレート、グリセロールエステル、アルキルフタレート、アルキルセバケート、スクロースエステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール200〜12000である。好ましい可塑剤は、トリエチルシトレート(TEC)、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、ジエチルセバケートおよびジブチルセバケート(DBS)である。付加的に、通常室温で液体であるエステル、例えばシトレート、フタレート、セバケートまたはひまし油が記載されるべきである。クエン酸およびセバシン酸のエステルが有利に使用される。
【0179】
前記配合物への可塑剤の添加は、公知方法で、直接に、水溶液中で、または混合物の熱的前処理後に実施されてよい。可塑剤の混合物を使用することも可能である。
【0180】
滑剤/放出剤/脱粘着剤
滑剤、放出剤または脱粘着剤は、通常、親油性の性質を有し、通常、スプレー用懸濁液に添加される。前記の滑剤、放出剤または脱粘着剤は、芯材配合物または腸溶コーティングに添加されてよい。前記の滑剤、放出剤または脱粘着剤は、被膜形成中またはコーティングされたペレットの凝集中に芯材が凝集するのを回避させる。タルク、Mgステアリン酸塩またはCaステアリン酸塩、粉砕シリカ、カオリンまたは2〜8のHLB値を有する非イオン性乳化剤である。本発明によるコーティング剤および結合剤中で滑剤を使用するための標準的な割合は、芯材の質量に関連して、または腸溶コーティングの質量に関連して0.5〜70質量の範囲にある。
【0181】
データの計算
計算は、MS(マイクロソフト)エクセルスプレッドシートパッケージを使用して実施された。
見掛け透過係数(Papp
appは、等式1に従って計算された。
【0182】
【数1】

ΔQ/Δt 時間に対して輸送された量の基質の輪郭から得られた透過速度(定常状態での輸送速度)。時間および濃度の線形回帰による計算。
A 晒された細胞単層の面積[cm2
0 供与体コンパートメント中の試験化合物の初期質量[μgまたはdpm]
D 供与体コンパートメントの緩衝液容量[cm3]。
【0183】
経上皮電気抵抗(TEER値)
TEER値は、等式2に従って計算された。
TEER=RC(A)=(Rc+f−Rf)・A[Q・cm2] 等式2
c(A) 面積Aを有する単層の電気抵抗[Ω・cm2
c+f フィルターを含む単層の電気抵抗[Ω]
f 細胞なしのフィルターの電気抵抗[Ω]
A 単層の面積[cm2]。
【0184】
1.13cm2の面積を有する細胞不含フィルターの電気抵抗は、100Ωである。
【0185】
フラックス
フラックスは、等式3に従って計算された。
【0186】
【数2】

AK120 120分後の受容体中のAPIの濃度[μg・ml-1
D0 実感の開始時(0分)の供与体中のAPIの濃度[μG・ml-1
【実施例】
【0187】

材料
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eは、メチルメタクリレート25質量%とブチルメタクリレート25質量%とジメチルアミノエチルメタクリレート50質量%とからなるコポリマーである。
【0188】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POは、約15μmの平均粒径を有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eの粉末形である。
【0189】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30D−55は、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 100−55 30質量%を含有する分散液である。ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)l 100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。
【0190】
Minirin(登録商標)は、錠剤の形の、商業的に入手できる、デスモプレシン含有医薬品である。Minirin(登録商標)錠剤は、200gの質量を有し、かつ規格含量のデスモプレシン200μgを含有する。
【0191】
大豆源からのボーマン・バーク型阻害剤(BBI)を使用した(Sigma Aldrich,ドイツ)。
【0192】
ヘパリン:低分子量ヘパリン(LMWヘパリン)、Fraxiparin(TM)(ナドロパリンカルシウム);Glaxo Smith Kline。
【0193】
製造例1〜11
例1
例1のデスモプレシン調製剤として、デスモプレシンを含有する、商業的に入手可能な錠剤を使用した(ミニリンMinirin(登録商標))。
【0194】
ミニリン対照配合物を、他のデスモプレシン配合物と等しい質量を得るために1つのMinirin(登録商標)とセレット(cellets)(微結晶性セルロースペレット)とを混合することによって得た。
【0195】
1つのミニリンMinirin(登録商標)錠剤(デスモプレシン200μgの規定含量を含有する200mg)を半分に切断した。この切断片をCellets(登録商標)500(微結晶性セルロースペレット)と混合し、350mgの全質量を達成した。
【0196】
例2
デスモプレシンおよび透過促進剤としてのユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POのペレットの調製
例2の配合物を2工程で製造した。第1の工程は、スプレーコーティング溶液の調製である。第2の工程は、スプレーコーティング法でのスプレーコーティング溶液の適用にある。こうして、粒径画分400〜710μmを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシンペレットが得られた。
【0197】
スプレー溶液の調製
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO 83gを1000mlのガラスビーカー中に充填した。700rpmでの機械的攪拌によって、1N HClの全体量および水の全体量の90%をポリマー分散液中に添加した。10分間一定に攪拌した後、Tween(登録商標)80 8.3gを前記分散液に添加した。中位の粘度および僅かなフォーム形成を有する澄明な溶液が850rpmで1時間さらに攪拌した後に得られた。HClで中和したユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO溶液を0.315mmのワイヤメッシュを通して濾過した後、デスモプレシン溶液を添加した。全部の溶液をさらに10分間攪拌し、均一な混合物を得た。
【0198】
スプレーコーティング法によるデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POペレットの製造
デスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POを調製するための出発物質は、250〜355μmの無比の糖ペレット画分50gであった。このために、HClで中和された、デスモプレシンを含有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO 591.3mlをスプレーコーティング時に適用した。
【0199】
要するに、この方法は、次のように運転された:
入口空気を35〜51℃に調節し、生成物の温度を29〜35℃に設定した。スプレー速度を0.3〜2.5g溶液/分で開始し、空気流を16〜20m3/hに維持した。スプレー法を327分後に終結させた。最終的にペレットを機械中で10分間乾燥させ、710μmの篩を通して篩別した。得られた最終収量は、理論的質量の95%に相応する139.77gであった。
【0200】
例3
デスモプレシン、透過促進剤としてのユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POおよびボーマン・バーク型阻害剤(BBI)のペレットの調製
例3の配合物を2工程で製造した。第1の工程は、スプレーコーティング溶液の調製である。第2の工程は、スプレーコーティング法でのスプレーコーティング溶液のコーティングにある。こうして、粒径画分400〜710μmを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシン/BBIペレットが得られた。
【0201】
スプレー溶液の調製
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO 189.9gを1000mlのガラスビーカー中に充填した。600rpmでの機械的撹拌下に、水の全体量の60%中に溶解したドデシル硫酸ナトリウム16.31gを前記ポリマーに添加した。10分間一定に攪拌した後、10%の酢酸溶液182.7gを徐々にビーカー中に添加し、ポリマーの凝集を回避させた。30分後、溶融したカプリン酸の全体量を混合物中に添加した。中位の粘度および僅かなフォーム形成を有する澄明な溶液が850rpmで2時間さらに攪拌した後に得られた。ボーマン・バーク型阻害剤(BBI)25.31gおよびドデシル硫酸ナトリウムの残存量を250mlのガラス瓶を用いて水190.4g中に溶解し、かつ攪拌しながらポリマー中に添加した。デスモプレシンを50mlのガラス瓶を用いて残留する水の10%中に溶解した。中和したユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO溶液を0.315mmのワイヤメッシュを通して濾過した後、デスモプレシン溶液を添加した。全部の溶液をさらに10分間攪拌し、均一な混合物を得た。
【0202】
スプレーコーティング法によるデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO/BBIペレットの製造
デスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO/BBIを調製するための出発物質は、250〜355μmの無比の糖ペレット画分50gであった。
【0203】
この方法は、次のように運転された:
入口空気を40〜48℃に調節し、生成物の温度を29〜33℃に設定した。スプレー速度を0.8〜4.0g溶液/分で開始し、空気流を16〜27m3/hに維持した。スプレー法を314分後に終結させた。最終的にペレットを機械中で10分間乾燥させ、710μmの篩を通して篩別した。得られた最終的な質量は、400〜710μmのデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO/BBIの全質量のデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO/BBI 77%に相当する146.15gであった。
【0204】
例4
付加的なHPMCコーティング層を有する、例2からのペレットの調製
例2からのペレットを取出し、さらにHPMCでコーティングした。第1の工程で、HPMCスプレーコーティング溶液を調製する。第2の工程で、HPMCスプレーコーティング溶液をスプレーコーティング法でペレットにコーティングした。こうして、粒径画分400〜710μmを有する、HPMCコーティングを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシンペレットが得られた。
【0205】
HPMCスプレー溶液の調製
水252.8gを250mlのガラス瓶中に充填し、かつ電磁攪拌機を用いて攪拌しながら約70℃に加熱した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース25gの全体量を徐々に熱水に添加した。15分間一定に攪拌した後、この溶液をヒーターから取り外し、かつ室温になるまで冷却した。蒸発によって失なわれた水を満杯になるまで補充した。HPMC溶液を0.315mmのワイヤメッシュを通して濾過した。
【0206】
HPMCコーティングを有するデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E POペレットの製造
コーティングされたペレットを調製するための出発物質は、例2の篩別されたペレット100g、画分600μm未満、であった。このために、HPMCスプレーコーティング溶液277.8gをスプレーコーティング時に適用した。
【0207】
この方法は、次のようにして実施された:生成物の温度を29〜35℃に設定し、開始時に入口空気温度を30℃に調節し、プロセス空気湿度に依存してプロセスの終結時に55℃に増加させた。スプレーコーティングを0.7〜1.4g 溶液/スプレーコーティング溶液を用いて開始し、空気流を12〜16m3/hに設定した。スプレーコーティング法を215分後に終結させた。ペレットを10分間10m3/hおよび生成物温度34〜35℃でスプレーコーターを用いて乾燥し、次に600μmの篩を通して篩別した。得られた最終質量は、理論的に予想される全質量のコーティングされたペレット600μm未満の98%に相当する122.99gであった。
【0208】
例5
BBIを含有する付加的なHPMC同期化層を有する、例3からのペレットの調製
例3からのペレットを取出し、さらにBBIを含有するHPMCでコーティングした。第1の工程で、HPMC/BBIスプレーコーティング溶液を調製する。第2の工程で、HPMC/BBIスプレーコーティング溶液をスプレーコーティング法でペレットにコーティングした。こうして、粒径画分400〜710μmを有する、HPMC/BBIコーティングを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシン/BBIペレットが得られた。
【0209】
BBIを含有するHPMCスプレーコーティング溶液の調製
水178gを250mlのガラス瓶中に充填し、かつ電磁攪拌機を用いて攪拌しながら約70℃に加熱した。HPMC19.5gの全体量を徐々に熱水に添加した。15分間一定に攪拌した後、この溶液をヒーターから取り外し、かつ室温になるまで冷却した。蒸発によって失なわれた水を満杯になるまで補充した。ボーマン・バーク型阻害剤(BBI)2.6gを50mlのガラスビーカーを用いて水45.5g中に溶解した。澄明なHPMC溶液を0.315mmのワイヤメッシュを通して濾過した後、BBI溶液を添加した。全部の溶液をさらに15分間攪拌し、均一な混合物を得た。
【0210】
HPMC/BBIコーティングを有するデスモプレシン/ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO/BBIペレットの製造
例3からの篩別したペレット130g、500〜710μm、を出発物質として使用した。このために、HPMC/BBIコーティング溶液245.6mlをスプレーコーティング時に適用した。
【0211】
この方法は、次のようにして実施された:入口空気を30〜45℃に調節し、生成物の温度を29〜33℃に設定した。スプレーコーティング速度を0.6g溶液/分で開始し、および2.2g溶液/分に上昇させ、空気流を18〜24m3/hに維持した。スプレーコーティング法を134分後に終結させた。最終的にペレットを機械中で10分間乾燥させ、710μmの篩を通して篩別し、重さを量ることにより収量を検査した。得られた最終質量は、理論的に予想される全質量のコーティングされたペレット710μm未満の98%に相当する149.23gであった。
【0212】
例6
付加的なユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55腸溶コーティング層を有する、例4からのペレットの調製
例4からのペレットを取出し、さらにユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55でコーティングした。第1の工程でユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレーコーティング溶液を調製する。第2の工程で、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレーコーティング溶液をスプレーコーティング法でペレットにコーティングした。こうして、粒径画分400〜710μmを有する、HPMCコーティングおよびユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55腸溶コーティングを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシンペレットが得られた。
【0213】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレー分散液の調製
水105gを100mlのガラス瓶中に充填し、かつ電磁攪拌機を用いて攪拌しながら約80℃に加熱した。電磁攪拌機の速度を増加させた後に、Tween80溶液3.6g(33.33%)を、グリセロールモノステアレート3.0gの添加前に熱水に添加した。15分間強力に攪拌した後、この分散液をヒーターから取り外し、かつ室温になるまで強力に攪拌しながら冷却した。蒸発によって失なわれた水を満杯になるまで補充した。
【0214】
篩別したユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55分散液133.3gおよび水72.4gを250mlのガラス瓶中で混合した。攪拌しながらトリエチルシトレート4gを分散液に添加した。更に、10分の攪拌後、上記の調製したグリセロールモノステアレート分散液を添加した。全部の溶液をさらに40分間攪拌し、均一なスプレーコーティング溶液を得た。
【0215】
例4からの腸溶コーティングペレットの製造
コーティングされたペレットを製造するための出発物質は、例4の篩別されたペレット100g、画分600μm未満、であった。このために、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55 321.3gをスプレーコーティング時に適用した。
【0216】
この方法は、次のようにして実施された:生成物の温度を30〜36℃に設定し、開始時に入口空気温度を37℃に調節し、プロセス空気湿度に依存してプロセスの終結時に52℃に増加させた。スプレーコーティング法を0.6g 溶液/分で開始し、2.6g 溶液/分に増加させ、空気流を開始時の16m3/hから18m3/hに設定した。スプレーコーティング法を213分後に終結させた。ペレットを10分間10m3/hおよび生成物温度35〜36℃でスプレーコーターを用いて乾燥し、次に710μmの篩を通して篩別した。更に、ペレットを付加的に40℃で2時間、乾燥炉内で乾燥させた。得られた最終質量は、理論的に予想される全質量のコーティングされたペレット710μm未満の98%に相当する145.03gであった。
【0217】
例7
付加的なユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55腸溶コーティング層を有する、例5からのペレットの調製
例5からのペレットを取出し、さらにユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55でコーティングした。第1の工程でユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレーコーティング溶液を調製する。第2の工程で、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレーコーティング溶液をスプレーコーティング法でペレットにコーティングした。こうして、粒径画分400〜710μmを有する、HPMC/BBIコーティングおよびユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55腸溶コーティングを有するユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E/デスモプレシン/BBIペレットが得られた。
【0218】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55スプレー分散液の調製
水52.5gを100mlのガラス瓶中に充填し、かつ電磁攪拌機を用いて攪拌しながら約80℃に加熱した。Tween 80溶液1.8g(33.33%)を熱水に添加し、この分散液をグリセロールモノステアレート1.5gの添加前に強力に攪拌した。15分間強力に攪拌した後、この分散液をヒーターから取り外し、かつ室温になるまで強力に攪拌しながら冷却した。蒸発によって失なわれた水を満杯になるまで補充した。
篩別したユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55分散液66.7gおよび水36.2gを250mlのガラス瓶中に混入した。攪拌しながらトリエチルシトレート2gを分散液に添加した。更に、10分の攪拌後、上記の調製したグリセロールモノステアレート分散液を添加した。全部の溶液をさらに40分間攪拌し、均一なスプレーコーティング溶液を得た。
【0219】
例5からの腸溶コーティングペレットの製造
コーティングされたペレットを製造するための出発物質は、例4の篩別されたペレット100g、画分710μm未満、であった。このために、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55 160.7mlをスプレーコーティング時に適用した。
【0220】
入口空気を35〜46℃に調節し、生成物の温度を30〜33℃に設定した。スプレーコーティング速度を0.3g溶液/分で開始し、および1.6g溶液/分に上昇させ、空気流を16〜18m3/hに維持した。スプレーコーティング法を146分後に終結させた。最終的にペレットを機械中で10分間乾燥させ、710μmの篩を通して篩別し、重さを量ることにより収量を検査した。得られた最終質量は、理論的に予想される全質量のコーティングされたペレット710μm未満の100%に相当する123.98gであった。
【0221】
例8(薬剤管理(カプセル剤))
例1のペレットをHMPCカプセル剤寸法1中に充填した。
例1の混合物を、350mgの全質量の達成のために充填漏斗を用いてHPMCカプセル剤寸法1中に充填した。カプセル剤の質量の均一性は、350.2mg +/−0.9であった(標準偏差、n=10)。カプセル剤中のデスモプレシンの含量の均一性は、215.62 +/−5.55μgであった(標準偏差、n=10)。
【0222】
例9(本発明によらない配合物(カプセル剤))
例2のペレットをHMPCカプセル剤寸法1中に充填した。
1つのカプセル剤のために、デスモプレシン約205μgの含量を有する、例2のペレット107mgを、充填材料としてのCellets(登録商標)500と混合し、HPMC寸法1のカプセル剤を全質量が350mgになるように充填した。カプセル剤の質量の均一性は、350.5mg +/−0.3であった(標準偏差、n=10)。カプセル剤中のデスモプレシンの含量の均一性は、204.57 +/−2.42μgであった(標準偏差、n=10)。
【0223】
例10(本発明によらない配合物(カプセル剤))
例6のペレットをHMPCカプセル剤寸法1中に充填した。
1つのカプセル剤のために、デスモプレシン約225μgの含量を有する、例6のペレット195.6mgを、充填材料としてのCellets(登録商標)500と混合し、HPMC寸法1のカプセル剤を全質量が350mgになるように充填した。カプセル剤の質量の均一性は、350.1mg +/− 0.2であった(標準偏差、n=10)。カプセル剤中のデスモプレシンの含量の均一性は、225.4 +/−0.51μgであった(標準偏差、n=10)。
【0224】
例11(本発明による配合物(カプセル剤))
例7のペレットをHMPCカプセル剤寸法1中に充填した。
1つのカプセル剤のために、デスモプレシン約211μgの含量を有する、例7のペレット145.5mgを、充填材料としてのCellets(登録商標)500と混合し、HPMC寸法1のカプセル剤を全質量が350mgになるように充填した。カプセル剤の質量の均一性は、350.0mg +/− 0.2であった(標準偏差、n=10)。カプセル剤中のデスモプレシンの含量の均一性は、211.31 +/−1.19μgであった(標準偏差、n=10)。
【0225】
試験例12〜16
例12(TEER)
ヒト大腸癌由来細胞株CacoIIにおける例1、4および5の調製物のインビトロ試験(TEER値)
経上皮電気抵抗(TEER値)測定のためのヒト大腸癌由来細胞株CacoIIの単層の調製
輸送試験のために、ヒト大腸癌由来細胞株Caco−2を、12ウェルのフラットボトムクラスタプレート中に置かれた、TranswellTM フィルターインサート上で1cm2当たり60000個の細胞密度で播種した。このインサート(頂端側のコンパートメント)にDMEM培養培地0.5mlを供給し、外側のウェル(基底のコンパートメント)にDMEM培養培地1.5mlを供給した。前記細胞が融合単層を形成するまで、前記細胞をDMEM培養培地中で37℃、CO210%および相対湿度90%で14〜30日間培養した。前記培養培地を2、3日ごとに交換した。細胞単層の融合性および堅固さを、EVOMTM電圧抵抗計を用いて経上皮電気抵抗を測定することによりルーチンで検査した。
【0226】
ヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層バッチ量を、TranswellTM フィルターインサート上で同じ条件下に同時に播種および培養したヒト大腸癌由来細胞株Caco−2として定義する。選択された輸送マーカーによるヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層バッチ量の適格性評価を、それぞれの輸送条件に対して三重反復試験で実施した。次の品質判断基準は、単層バッチ量が透過性の研究のために供される前に満たされなければならない:
ヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の継代数50未満
TranswellTM フィルター上での培養年齢14〜30日
200Ωcm2を上廻る輸送前および輸送後のTEER値(細胞単層の完全性および堅固さを示す)
1・10-6cm・s-1未満の低透過性マーカー(フルオレセイン)の見掛け透過係数(abおよびba)(細胞単層の堅固さを保証する、低透過性輸送を識別するためのモデルの適性を示す)
4・10-6cm・s-1を上廻るローダミン123の見掛け透過係数(ba)(P−グリコプロテインの明らかな表現を示す)
5・10-6cm・s-1を上廻るプロプラノロールの見掛け透過係数(ab)(高透過性輸送を識別するためのモデルの適性を示す)
【0227】
次の品質判断基準は、試験化合物を用いての透過性研究に使用されるそれぞれの個々の単層に対して満たされなければならない:
単層は、修飾されたバッチ量の一部分である。
TEERは、予め恒温保持された(30〜45分)後に200Ω・cm2より高くなければならず、
TEERは、輸送研究の後に200Ω・cm2よりも高くなければならず、よりいっそう低いTEER値は、この研究を通じての単層の完全性の欠落を示す。
【0228】
頂端側または基底外側のための試験で使用される緩衝剤
【表1】

【0229】
試料の調製および測定
試験のために、例1のMinirin(登録商標)粉末状タブレットまたは例4および5からの無傷のペレット1mgを供与体コンパートメントに適用した。更に、対照として、デスモプレシンアセテートおよびCellets(登録商標)700を適用した。
【0230】
TEERに対するペレット配合物の効果を、輸送試験中にTEERを監視することによって評価した。TEERを0分、15分、30分、60分、120分および240分、測定した。最後のTEER測定後、頂端側のコンパートメントおよび基底外側の含量を除去し、細胞を洗浄し、付加的に20時間細胞培養培地中で再培養した。TEERを再び測定し、透過増強の可逆性を評価した。
【0231】
結果
【表2】

【0232】
例4および5からのペレットのTEER値は、対照の緩衝液と比較して15%未満に減少された。これとは異なり、例1からの配合物は、70%への減少だけを示した。
【0233】
例13(フラックス)
ヒト大腸癌由来細胞株Caco IIにおける例1、4および5の調製物のインビトロ試験(フラックスの測定)
フラックス測定のためのヒト大腸癌由来細胞株Caco−IIの単層の調製
ヒト大腸癌由来細胞株Caco−IIの単層を例12の記載と同様に調製した。
【0234】
試料の調製および測定
1000μg・ml-1を含有するデスモプレシンアセテートの溶液を、物質10mgをHBSS緩衝液10ml、pH6.5中に溶解することによって調製した。
この溶液は、ペレット調製物または粉末状Minirin(登録商標)タブレットと一緒に供与体コンパートメントに適用された。
【0235】
試験のために、例1のMinirin(登録商標)粉末状タブレットまたは例4および5からの無傷のペレット1mgを供与体コンパートメントに適用した。更に、対照として、デスモプレシンアセテートおよびCellets(登録商標)700を適用した。
【0236】
予め恒温保持が実施されなかった場合、輸送溶液中で見い出された試験化合物の濃度は、初期供与体濃度(CDO)と見なされた。120分後、100μlの試料を受容体コンパートメントおよび供与体コンパートメントから取り出した。試料採取点の間で、前記単層を37℃でCO2インキュベーター中で恒温保持した。全ての試験を三重反復試験で実施した。
対照として、不活性のペレット(cellets)を使用した。
【0237】
前記溶液をHPLCにより、固定相としてのRP−18カラムおよび溶離相としての水/アセトニトリル混合物(80:20)を用いて220nmの波長で分析した。フラックスは、供与体側で適用された100%の量に相当する、デスモプレシン1000μg・ml-1の百分率として計算された。適用されたペレット中のデスモプレシン含量(約2μg)を、計算のために無視した。
【0238】
結果
"フラックス"試験の結果は、第3表中に記載されている。
【0239】
【表3】

【0240】
1つの結果として、例4および5からの配合物は、ヒト大腸癌由来細胞株Caco−II中のデスモプレシンのフラックスを20%を上廻る値に増大させることが明らかになる。
【0241】
例14(タンパク分解酵素の阻害)
例1、4および5の調製物のインビトロ膵臓酵素阻害試験
試験設計
阻害試験をペレットの溶解を考慮する新規の研究設計を用いて実施した。
それぞれの配合物80mgを利用可能な最も低い攪拌速度でHBSS10ml pH5.8中で攪拌した。攪拌を30分後に停止させ、懸濁液を静置させ、その後にアリコート(2ml)を抽出し、およびHBSS緩衝液pH6.5中のデスモプレシンアセテート80μg・ml-1を含有する溶液2mlと混合した。前記溶液のpHを測定したが、調整しなかった。
【0242】
ネガティブコントロールとして、HBSS緩衝液2mlを、HBSS緩衝液pH6.5中のデスモプレシンアセテート80μg・ml-1を含有する溶液2mlと混合した。前記溶液のpHを測定したが、調整しなかった。
ポジティブコントロールとして、HBSS中に1ml当たりBBI4mgを含有する溶液を使用した。溶液2mlを、HBSS緩衝液pH6.5中のデスモプレシンアセテート80μg・ml-1を含有する溶液2mlと混合した。前記溶液のpHを測定したが、調整しなかった。
【0243】
調製した溶液200μlをパンクレアチン溶液200μlと混合し(20mg・ml-1)、37℃で1時間、2時間および3時間恒温保持した。それぞれの試験を三重反復試験で実施した(3つの個々に調製された溶液)。
(ポジティブコントロール中の最終濃度:BBI 1mg/ml、デスモプレシンアセテート20μg/mlおよびパンクレアチン10mg/ml)
【0244】
100%の値のために、ペレット80mgをHBSS緩衝液pH5.8 10ml中で30分間攪拌し、およびウルトラターラックス(Ultraturrax)を用いて均質化した。この懸濁液をさらに15分間攪拌し、および静置させた。
上澄み液を捕集し、さらに上記したようにHBSS緩衝液pH6.5中のデスモプレシンアセテートで希釈した。前記溶液のpHを測定したが、調整しなかった。
【0245】
出発値(t0)のために、前記混合物を直接アセトニトリル400μlに添加し、およびHBSS緩衝液pH6.5 1200μlで希釈した。前記溶液をHPLCにより、固定相としてのRP−18カラムおよび溶離相としての水/アセトニトリル混合物(80:20)を用いて220nmの波長で分析した。
【0246】
結果
酵素阻害試験の結果は、第4表中に記載されている。
【0247】
【表4】

【0248】
配合物および対照(n=3)に関して得られた結果。例4からのタブレット配合物(Minirin(登録商標))およびペレットは、殆ど全く阻害特性を示さなかった。崩壊速度論は、ネガティブコントロール(緩衝液)と同様である。溶解された試料(30分)と均質化された試料との間で殆ど差は観察されなかった。ポジティブコントロールおよび例5からのペレットだけは、デスモプレシンアセテートの崩壊をパンクレアチンによって顕著に減少させることができた。しかし、BBIが不在であっても、デスモプレシンの60%を上廻る回収率が観察される。これは、BBIの効果が検出可能であるが、しかし、ほんの僅かであることを示す。
【0249】
例15(同期化)
デスモプレシンとボーマン・バーク型阻害剤の同期化に関する例5、7および11の調製物のインビトロ試験
ペレットの溶解試験は、USP装置2に従って、37℃、パドル速度100rpm、燐酸塩緩衝液pH6.0、n=6、デスモプレシンアセテート約1400〜2100μgに従い容器1個当たり1gで実施された。付加的に腸溶ペレットを塩酸塩、0.1N、中で2時間処理し、その後にpH6.0にスイッチを切り換えた。
カプセル剤の溶解試験は、同様にn=6で、デスモプレシンアセテート1080μgの全体量に相応する1個の容器当たり5個のカプセル剤で実施された。
捕集された試料をHPLCを用いて分析し、デスモプレシンアセテートとBBIを210nmでのUV検出により別々に測定した。
【0250】
結果
同期化の効果は、第5表、第6表および第7表中にそれぞれの物質の全体量に対する百分率で示されている。
【0251】
燐酸塩緩衝液pH6.0中での例5からのペレットの溶解プロフィールは、個別的にデスモプレシンおよびBBIに関して示された。
【0252】
【表5】

【0253】
2時間のHCl 0.1Nでの処理後およびpH6.0へのスイッチ切り換え後の例7からのペレットの溶解プロフィールは、個別的にデスモプレシンおよびBBIに関して示された。
【0254】
【表6】

【0255】
2時間のHCl 0.1Nでの処理後およびpH6.0へのスイッチ切り換え後の例11からのペレットの溶解プロフィールは、個別的にデスモプレシンおよびBBIに関して示された。
【0256】
【表7】

【0257】
例5および7からのペレットおよび例11からのカプセル剤の溶解プロフィールは、同期化法でデスモプレシンおよびBBIのpH6.0での急速な放出(20分後に90%を上廻る)および完全な放出(30分後にほぼ100%)を示す。この時点でのずれ(例5において20/30分または例7および11において140/150分)は、5%未満である。
【0258】
例16(インビボ研究)
ミニ豚における例8、9、10および11の調製物のインビトロ試験(相対的な生物学的利用能)
方法についての記載
ミニ豚をヒトにおける経口的生物学的利用能の研究のための良好なモデルとして選択した。ミニ豚は、飼育豚よりも小型であり、それ故に取扱いがよりいっそう簡単である。
種:ミニ豚(Goettingen)
出所:Ellegaard Goettingenミニ豚A/S(Dalmose、DK)
数、性別:8匹の雌;余分な動物は、含まなかった。前記動物の幾つかを用いて、予見不能の複雑さは生じなかった。
年齢、体重:前記動物は、12kgの平均体重で投与する際に7〜8ヶ月の年齢であった。TNOへの到着時に、前記動物の体重を量り、2つのグループに割り当てた。それぞれの投与期間よりも前の1日目に、前記動物の体重を記録した。
気候順応:前記動物を実験室条件、バイオテクノロジー技術者、ならびに研究の開始よりも3週間早い週の数日間での投与方法および試料採取方法に気候順応させた。
健康条件:到着時に、前記動物を検疫室に入れ、不健康さおよび奇形の顕性の徴候に関して検査した。その後に、この検疫室を試験室としての使用のために支障が全くないようにした。
環境:前記動物を通常の条件下で1つの室内に閉じ込めた。他の試験系は、研究中、同じ室内に閉じ込めなかった。この室内を毎時約10回の空気の入れ換えで換気し、22℃+/−2℃の温度および少なくとも40%の相対湿度に維持し、室内の掃除中以外は、相対湿度を70%を超えないようにした。照明は、12時間の照明と12時間の暗闇の順番で人工照明で行なった。
室内への閉じ込め:気候順応中および研究中に、前記動物を敷わらとしてのわらおよび玩具を備えた檻内に閉じ込めた。1個の檻につき4匹のミニ豚。採血日には、前記動物を個別的に閉じ込めた。投与の2週間目の間に、前記動物は、互いに闘争を開始し、それ故にその時から咬傷を避けるために個別的に閉じ込めた。
識別:前記動物に供給者による独特の番号を有する耳標を付けた。
前記動物は、研究を通してこの耳標を付けたままである。また、前記動物を前頭部に書かれた1〜8の数字によって番号付けした。
食餌:複数のミニ豚に1日2回、約350gの市販のミニ豚用餌を与えた(Mpig−H)。この餌のそれぞれのバッチ量は、栄養素および夾雑物に関して供給者(Ssniff Spezialdiaten GmbH,Soest,Germany)によって分析されている。この研究で使用されるバッチ量に関係する分析証明書は、本研究ファイルに含まれる。
飲用水:飲料水は、不断給餌で提供された。この飲料水は、ヒトが摂取するのに適していた。
【0259】
試験配合物
例8、9、10および11からのカプセル剤を研究のために使用した。
含量:カプセル剤1個当たりデスモプレシン約215μg
貯蔵条件:+2〜+8℃
安定性:貯蔵条件下で安定。
【0260】
試験方法
前記動物は、一回投与量のそれぞれの配合物(1個のカプセル剤)を受容し、それぞれの投与後に血液採取を行なった。
【0261】
動物1〜4には、4つの配合物を次の順序で投与した:例9、10、11および8からのカプセル剤。
【0262】
動物5〜8には、同じ配合物を逆の順序で投与した。
【0263】
この手段(クロスオーバー研究)は、デスモプレシン(例えば、抗体産生物)自体の薬力学を管理するパラメーターに対するデスモプレシンの繰返し投与の予想される望ましくない効果を説明することができるか、または配合物の効果(例えば、腸管の機能に対する効果)を説明することができない。
【0264】
用量レベル、投与法、グループの大きさおよび識別法
用量レベルは、ヒトにおける70kgの体重に対してデスモプレシンアセテート約215μg(絶対)によって選択された。それぞれのグループは、4匹の雌のミニ豚から成り立っていた。処理グループに割り当てられた動物の数は、支障が全くないグループを識別するために研究中に記録された。
【0265】
試験完成品を、相応する量の試験物質を含有する1個のカプセル剤に対してそれぞれの動物に経口投与した。経口投与を前記動物の歯間にバイトスティック(中心が穿孔された)を置くことによって実施した。チューブ(直径約0.5cm)を備えたピルガンをミニ豚の口内の穴に装入し、カプセル剤を直接喉内に投薬した。バイトスティックを、動物がカプセル剤を飲み込んだ後で取り除いた。前記動物は、投与直後に新しい水道水の飲料水に接近することができた。
【0266】
それぞれの配合物は、1回だけ与えられ、それぞれの投与に続いて1週間の休薬期間が続く。
【0267】
採血
それぞれ約0.5mlの血液試料をそれぞれの動物の静脈から、それぞれの投与後15、30、45、60、90、120、180、240、360、480分してから、採取サイトを2つの採取セッション間で回収させるために1回のセッションにつき両サイドを交替させることによって捕集した。
試料をK2EDTAを含有するVaccutainer(登録商標)チューブ中に捕集した。このチューブを+4℃(10分間3000rpm)で捕集後30分以内で遠心分離し、2つのアリコート(AおよびB)中に捕集された血漿をポリエチレンチューブ中に捕集した。分析サイトへのドライアイスでの輸送が完結するまで、血漿試料を−70℃未満で凍結して貯蔵した。
それぞれの試料を研究番号、動物コード、試料タイプ、採取日および採取時間によって識別した。
【0268】
生体分析:血漿試料をRIA法によってデスモプレシン濃度について分析した。
【0269】
薬物動態学的分析および薬物動態学的統計
生体分析の結果をキネティカ(Kinetica)R v4.2を用いることによって分析した。時間曲線に対する血漿濃度は、最終的な結果から構成され、およびノンコンパートメンタル分析(non−compartmental analysis)によって分析した。
次の薬物動態学的パラメーターが計算され、次のデーターが許容された:
Cmax、Tmax、半減期(T1/2)、分布容積(Vz)、全身クリアランス(ClT)、薬物血中濃度−時間曲線下面積(AUC0〜∞)。
相対生物学的利用能は、例8からのカプセル剤の平均AUC0〜∞(Minirin(登録商標))とそれぞれ例9、10および11の配合物のAUC0〜∞との比として計算された。
結果は、曲線下での全面積として、および第8表中の百分率および第8表中に報告された記載として表わされた。
【0270】
【表8】

【0271】
例9および10は、参考例8よりも良好ではなく(Minirin(登録商標)、薬物対照)、薬物対照と比較して約59および68%の相対的生物学的利用能を表わす。
しかし、例9および10は、商業的に入手可能な生成物をベースとする、薬物対照の例8として比較可能な範囲内にあると考えることができる。
これとは異なり、例11の配合物は、薬物対照の例8(100%)よりも7倍高い相対的生物学的利用能AUC0〜∞(711%)を表わした。
【0272】
特許保護が請求されたように経口的生物学的利用能の増加率は、例11と例10との比較によって計算される。タンパク分解酵素の阻害剤と一緒に例11に記載の配合物を有するデスモプレシンの経口的デリバリー後のミニ豚の血液からの薬物血中濃度−時間曲線下面積(AUC0〜∞)[pg/ml・min]は、53823pg/ml・minである。これは、AUC0〜∞が5155pg/ml・min(=100%)であるタンパク分解酵素の阻害剤なしの相応する配合物(例10)のAUC0〜∞と比較される。従って、経口的生物学的利用能の増加率の倍数は、53823/5155=10.44(=1044%)であると計算される。
【0273】
ペレットは、それぞれ例1、4、6および7のペレットに相当する、例8、9、10および11からのカプセル剤中に含有された。配合物6および7は、それぞれ例4および5の腸溶コーティングペレットを表わす。
【0274】
例4および5のペレットは、例12および13中に示されたインビトロ細胞アッセイにおいて良好な細胞透過効果を生じた(TEERおよびフラックス値)。例4および5の配合物は、ヒト大腸癌由来細胞株Caco−II中のデスモプレシンのフラックスを20%を上廻る値に増加させた。例4および5からのペレットのTEER値は、対照の緩衝液と比較して15%未満に減少された。これとは異なり、例1からの配合物(Minirin(登録商標))は、70%への減少だけを示した。
【0275】
しかし、インビトロで得られた、それぞれ腸溶コーティングを有しないかまたは有する、例9および10のカプセル剤中に置かれた、例4のペレットの見込みのある結果は、インビボでは失望する結果だけをまねく。相応する配合物をミニ豚中でのインビボ試験を行なった場合には、僅かな生物学的利用能だけを検出することができた。これは、例1の参照調製物を含む例8のカプセル剤に関して得られた値よりも少ない(薬物対照)。
【0276】
例11からのカプセル剤配合物(例5のペレットの腸溶コーティング変形である、例7からのペレットを含有する)だけは、生物学的利用能促進剤BBIを含有した唯一のものとして、例11の本発明による配合物に対して相応する配合物である、例10の対照配合物と比較した場合に、10.44倍の生物学的利用能の明らかな増加率を示した。
【0277】
この相対的な生物学的利用能の著しい増加率は、単に例14に示された、BBIの酵素阻害活性の唯一の弱い効果では説明することができない。
【0278】
インビボ効果がインビトロでの結果と比較して極めて高かったという事実に基づいて、本発明者らは、この効果を単に膵酵素に抗するタンパク分解酵素の阻害剤の保護効果では説明し得ないと確信している。更に、一般にタンパク分解酵素の阻害剤の添加によって、または少なくとも植物起源からの係るものによって、または少なくとも特許保護が請求されたような前記系の他の要素との組合せでのボーマン・バーク型阻害剤(BBI)によって引き起こされる、有効成分の生物学的利用能を増大させる、新規の知られていない効果が存在すると思われる。
【0279】
例17(TEER、純粋な透過促進剤)
透過促進剤は、本発明の範囲内で、透過促進剤なしの緩衝液の初期TEER値(100%)を、透過促進剤の存在下で輸送バリヤーとしてのヒト大腸癌由来細胞株Caco−2の単層培養物中で測定した60分後の1mg/mlの濃度で50%またはそれ未満、有利に40%またはそれ未満、有利に30%またはそれ未満、有利に20%またはそれ未満に減少することによって定義されてよい。
【0280】
TEER試験を例12と同様に実施した。ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eアセテート=ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eを、澄明な溶液が得られるまで酢酸の添加によって水中に溶解し;ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO塩基=ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E PO(ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eの粉末形)の分散液を水中に入れ(溶解しなかった);キトサンアセテート=キトサンを澄明な溶液が得られるまで酢酸の添加によって水中に溶解した。
【0281】
【表9】

【0282】
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eアセテート、ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)E塩基およびキトサンアセテートは、これらが0.005%=0.05mg/ml(1mg/ml未満)であっても60分後にTEERを50%未満に減少させるので、透過促進剤のためのTEER要件を満たす。
【0283】
例18(TEER、陽イオン性透過促進剤/陰イオン性有効成分)
TEER試験を例12と同様に実施した。
【0284】
【表10】

【0285】
配合物についての記載:HBSS緩衝液中の次の混合物を試験した:
略符号:
デスモプレシンアセテート=Desmo、
ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eカーボネート=E(カーボネート化アミノ(メタ)アクリレートコポリマーの記載参照)、ボーマン・バーク型阻害剤=BBI、
ヘパリン:低分子量ヘパリン(LMWヘパリン);Fraxiparin(TM)(ナドロパリンカルシウム);皮下注射のためのシリンジに直ちに使用可能0.6ml(5700IUアンチXa/mg);
Ch.B.:3394−1;Glaxo Smith Kline。
【0286】
例18a:Desmo0.01%/E0.1%/BBI0.01%
例18b:Desmo0.01%/BBI0.01%
例18c:Desmo0.01%(有効成分の制御)
例18d:ヘパリン0.1%(有効成分の制御)
例18e:ヘパリン0.1%/E0.4%/BBI0.01%
例18f:ヘパリン0.1%/E0.1%/BBI0.01%
例18g:ヘパリン0.1%/E0.25%/BBI0.01%
例18h:ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)0.1%(ポジティブコントロール)
例18i:HBSS緩衝液(ネガティブコントロール)
【0287】
結果についての議論:
例18a、18e、18fおよび18gは、本発明による調製物の芯材(胃腸コーティングなし)の定性的組成物を表わす。例18aおよび18eは、TEER値の減少の点で有効であり、これに反して例18fおよび18gでは有効でない。
例18aは、明らかにそれぞれユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eなしの、またはユードラギットEUDRAGIT(登録商標)EおよびBBIなしの比較例18bおよび18cからなるユードラギットEUDRAGIT(登録商標)Eの存在に基づく、TEER値の強力な減少を示す。
【0288】
例18e、18fおよび18gにおいて、ヘパリンは、強い陰イオン性の有効成分のための例として使用される。これらの例において、ヘパリンは、透過促進剤としての陽イオン性ユードラギットEUDRAGIT(登録商標)およびBBIと混合される。例18fおよび18gにおいて、TEERの減少は存在しない。これは、陽イオン性透過促進剤活性を妨げかつその機能を阻害する過剰量の陰イオン性ヘパリンに基づくものと推測される。例18eにおいて、TEERの遅延された減少が観察される。これは、陰イオン性ヘパリンを上廻る過剰の陽イオン性透過促進剤活性に基づくものと推測され、したがって、透過促進剤活性は、例18fおよび18gの場合のように完全には阻害されない。例18e、18fおよび18gは、陰イオン性物質と陽イオン性物質がこれらの装入に関連してほぼ等モル量で一緒に混合される場合、または有効成分が透過促進剤を越えて接近して存在する場所で、透過促進剤活性の損失が起こりうることを示す。これは、例18e中に示されているように、例えば有効成分上で透過促進剤の全体量を増加させることによって克服されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品または栄養補強食品の有効成分、浸透促進剤および生物学的利用能促進剤を含有する芯材とターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングとを含有する医薬品配合物または栄養補強食品配合物であって、前記生物学的利用能促進剤が生物学的利用能促進剤なしの相応する配合物と比較して、有効成分の経口的生物学的利用能を少なくとも5倍増大させる、タンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤であることを特徴とする、前記の医薬品配合物または栄養補強食品配合物。
【請求項2】
タンパク分解酵素の阻害剤が、ボーマン・バーク型阻害剤またはその誘導体である、請求項1記載の配合物。
【請求項3】
有効成分がBCSクラスIIIおよびIVによる低い透過性を有する、請求項1または2記載の配合物。
【請求項4】
有効成分が生物学的起源を有し、有効成分の酵素分解を阻止するかまたは減少させる阻害剤が添加されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項5】
有効成分が、タンパク質またはペプチド、脂質、多糖類または核酸、またはこれらの物質の天然の誘導体または合成誘導体である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項6】
有効成分が、デスモプレシンまたはその誘導体、またはヘパリンまたはその誘導体である、請求項5記載の配合物。
【請求項7】
前記配合物が多数の粒子を1つの投与単位中に含有する多重粒子状の医薬品配合物または栄養補強食品配合物である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項8】
最終配合物中の生物学的利用能促進剤の量が0.1〜10質量%の範囲内にある、請求項1から7までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項9】
透過促進剤が陽イオン性ポリマー物質である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項10】
透過促進剤が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%とアルキル基中に第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%からなるコポリマーである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項11】
芯材は、同期化層を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項12】
同期化層が生物学的利用能促進剤の全体量の90質量%までを有する、請求項11記載の配合物。
【請求項13】
ターゲットとしての胃腸へ有効成分を放出するためのポリマーコーティングが、陰イオン性セルロースポリマーまたは陰イオン性(メタ)アクリレートコポリマーを有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項14】
有効成分が陰イオン性であり、透過促進剤が陽イオン性であり、これら双方の成分間のイオン性相互作用が
配合物の同じコンパートメント中での両成分の混合物中の過剰量の浸透促進剤によるか、または
配合物の異なるコンパートメント中での両成分の局所的分離によるか、または
配合物の同じコンパートメント中での両成分の混合物への塩、両親媒性ポリマーまたは水素結合非イオン性ポリマーの添加により回避されている、請求項1から13までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の配合物中での、有効成分の経口的生物学的利用能を増大させる、賦形剤としてのタンパク分解酵素の製薬学的に認容性の阻害剤である生物学的利用能促進剤の使用。

【公表番号】特表2013−520451(P2013−520451A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554226(P2012−554226)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052401
【国際公開番号】WO2011/103920
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】