説明

医薬液を保存するための、透明で、可撓性且つ不浸透性のプラスチック製容器

厚み約40〜100μmのPCTFEの単層からなる可撓性の容器であって、本容器は、必要に応じて液体を通過させて外部へと導く装置を備え、透明であり、液体医薬組成物、特に防腐剤を含むインスリン組成物を保存するのに優れた特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
本発明は、例えば、場合によっては防腐剤を含む薬剤の溶液又は懸濁液を保存するために使用できる透明なプラスチック容器に関する。
【0002】
背景技術
薬剤には、患者に固体状態で提供されるものもあれば、液体状態で提供されるものもある。多くの場合、液体の薬剤は容器に入れた状態で提供される。容器には、ガラスのみ、主にガラスを原料にしているものもあれば、プラスチック等の別の材料のみ、又は主にそのような材料からなっているものがある。
固体の薬剤は、ガラス製容器又はプラスチック製容器に収容されて販売されていることが多い。プラスチック製容器の例としては、ブリスター包装が挙げられる。
【0003】
液体の医薬組成物中では、活性成分が溶解状態又は懸濁状態で存在する。また、この活性成分以外に、医薬組成物は、製薬的に活性の担体、分解剤、安定剤又は緩衝物質を含み得る。
薬剤によって、投与の経路は様々である。経口で投与される薬剤もあれば、例えば静脈注射又は皮下注射によって投与される薬剤もある。ペプチド、例えば、インスリン及び成長ホルモンである薬剤の多くは、注射によって投与される。以前は、注射には注射器が用いられていた。最近ではインスリンの注射にはいわゆるペンシステムを使用することが一般的である。さらに、注射による投与のためにポンプを用いることが、注射による投与の一般的な手法となるであろう。一部のポンプでは、水性組成物は、ガラス製リザーバ又は他の硬質のリザーバに収容され、又は別のポンプでは、可撓性のリザーバ、例えば、全体的に又は主にガラス以外の材料、例えばプラスチックからなるリザーバに収容されることもある。
【0004】
多くの水性組成物に対して、その水性組成物を患者が使用するまで収容しておくための、安全に使用できる非ガラス材料を見つけるのは極めて困難である。多くの問題のうちの1つは、ポリエチレン(ここではPEと記す)、ポリプロピレン(ここではPPと記す)、ポリエチレンテレフタレート(ここではPETと記す)等のポリマーを主成分とする溶着層に含まれる防腐剤が、高い移動性と、ポリクロロトリフルオロエチレン(ここではPCTFEと記す)のような湿性のバリアに溶着層を付加するのに使用されるポリウレタンを主成分とした広く使用される接着剤に対する高い親和性を併せ持つことである。公知の技術を用いると、薬用溶液中の防腐剤の量が急速に低減し、望ましくない。
【0005】
本発明の発明者の主たる課題は、防腐剤、例えばフェノール、m−クレゾール及びベンジルアルコールを含有する医薬溶液の保存のための、安全要件を満たす透明で可撓性の容器を提供するのに使用できる材料を見つけることであった。上記の要件を満たす材料を見つけることは極めて困難であった。
つまり、本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも一部を克服又は改善することである。したがって、以下に記載する目的の全てが完全に克服又は改善されなくてもよい。
【0006】
本発明の具体的な目的は、容器又はリザーバを提供することである。
本発明の別の目的は、可撓性の容器を提供することである。
本発明の別の目的は、透明な容器を提供することである。
本発明の別の目的は、滅菌可能な部材を提供することである。
本発明の別の目的は、それを溶着することにより上述のリザーバを形成することのできる材料を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、場合によっては防腐剤を含有する薬剤の溶液又は懸濁液の保存に使用できる容器を提供することである。
本発明の別の目的は、容器の内容物の検査に十分な透明性を備えた容器を提供することである。
本発明の別の目的は、場合によっては防腐剤を含む薬剤の溶液又は懸濁液の保存に使用でき、ガラスを全く又はわずかしか含まない容器を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、水性組成物中の活性成分の濃度が、十分な時間に亘る保存中に実質的に変化しないことを保証するバリア特性を有する容器を提供することである。
本発明の別の目的は、水性組成物中の任意の防腐剤の濃度が、十分な時間に亘る保存中に実質的に変化しないことを保証するバリア特性を有する容器を提供することである。
本発明のさらなる目的は、滅菌水をベースとした組成薬物の保存に使用できる袋用のフィルムを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、滅菌後の材料の物理的特性、滅菌後の材料の化学的要件、及び清浄度といった所定の機能上の要件を満たす上記袋用のフィルム材料を提供することである。
したがって、本発明の目的の1つは、例えば、γ線照射、電子線、水蒸気又はエチレンオキシドを利用して滅菌できる上記袋のフィルム材料を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、滅菌後、以下の物理的な要件の大部分又は全てを満たす上記袋用のフィルム材料を提供することである。即ち、1)材料が透明でなくてはならない、2)材料が、水に対する良好なバリアを提供しなくてはならない、3)材料が、気体(例えば、酸素及び二酸化炭素)に対する良好なバリアを提供しなくてはならない、4)材料が、防腐剤(例えば、フェノール及びm−クレゾール)に対する良好なバリアを提供しなくてはならない、5)材料が、臭気(例えば、防腐剤)に対する良好なバリアを提供しなくてはならない、6)材料が、環境応力亀裂(例えば、オイル、香料)に対する耐性を有していなくてはならない、7)材料が、曲げ亀裂に対する耐性を有していなくてはならない、8)材料が、良好な封止特性(例えば、溶着による)を有していなくてはならない、9)材料に、保存及び使用中に著しい緩和が生じてはならない、ことである。
本発明のさらなる目的は、滅菌後、以下の化学的要件の大部分又は全てを満たす上記の袋用のフィルム材料を提供することである。即ち、1)材料が、患者の健康及び安全に影響を与えうる物質(浸出可能物)を薬物中に放出してはならない、2)材料の抽出可能物のレベルが極めて低くなくてはならない、3)材料が、薬物組成と適合性がなくてはならない、ことである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、滅菌後、以下の清浄度の要件を満たす上記の袋用のフィルム材料を提供することである。即ち、1)衛生条件下で材料を提供できる、2)最終製品に、塵や粒子が付着していてはならない、ことである。
本発明のさらなる目的は、所定の健康及び安全要件を満たす、好ましくは、1)欧州薬局方(Ph. Eur.)2002年、第4版、2)米国薬局方(USP)25、3)日本薬局方(JP)第十四改正、4)EEC指令90/128+修正「Relating to plastics materials and articles intended to come into contact with foodstuffs」、5)連邦規制基準(CFR)第21編、Food and Drugs、170〜190部、6)III/9090/90EN、Plastic Primary Packaging Materials、Note for Guidance、7)米国食品医薬品局(FDA)のGuidance for Industry、Container Closure Systems for Packaging Human Drugs and Biologics, Chemistry, Manufacturing, and Controls Documentation、1999年5月、に記載されている要件の大部分又は全てを満たす、上記の袋用のフィルムを提供することである。
【0012】
定義
可撓性の物品とは、簡単に曲がるか又は曲げることができ、(過度に曲げられない限りは)破損することがない物品である。ガラスは可撓性を有していない。本明細書において、容器に関して使用される可撓性という用語は、例えば液体を満たすことで容器に力が加わった場合、破損せずにその形状が変化することを示す。
ここでは、「インスリン」という用語は、ブタインスリン、ウシインスリン及びヒトインスリンのようなあらゆる種由来のインスリン、ならびにそれらの塩、例えば亜鉛塩及びプロタミン塩、さらにはインスリンの活性誘導体、及びインスリンアナログを指す。「インスリンの活性誘導体」という用語は、当業者により一般的に誘導体と考えられるもの、つまり、一般的な教科書を参照すると例えば、親インスリン分子に存在していない置換基を有するインスリンである。「インスリンアナログ」という用語は、1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された、及び/又は1つ以上のアミノ酸残基が削除されてた、及び/又は1つ以上のアミノ酸残基が追加されたインスリンであり、ただし、インスリンとして十分な活性を有しているものを指す。当技術分野の専門家、例えば医師であれば、いわゆるフリーファット(free fat)細胞アッセイの結果を利用して、インスリンアナログの投与時期及び投与量が分かる。インスリンアナログの例は、米国特許第5618913号明細書、欧州特許第254516号明細書、同第280534号明細書、米国特許第5750497号明細書及び同第6011007号明細書及びこれらの等価物に記載されている。具体的なインスリンアナログの例としては、インスリンアスパート(つまり、AspB28ヒトインスリン)、インスリンリスプロ(つまり、LysB28、ProB29ヒトインスリン)及びインスリングラルギン(つまり、GlyA21、ArgB31、ArgB32ヒトインスリン)が挙げられる。ここでは、インスリンという用語は、インスリン誘導体及びインスリンアナログの両方として認識され得る化合物をも包含する。このような化合物の例は、米国特許第5750497号明細書及び同第6011007号明細書及びこれらの等価物に記載されている。具体的なインスリンアナログ及びインスリン誘導体の例としては、インスリンデテミル(つまり、des−ThrB30ヒトインスリンγLysB28テトラデカノイル)が挙げられる。
【0013】
本明細書において、用語「U」は、インスリン単位を指す。現在使用(販売)されているインスリン(ウシ、ブタ、ヒト、リスプロ、アスパート及びグラルギン)の殆どは、6nmolを効力の一単位としている。持続型アシル化インスリンの効能は、ヒトインスリンと比較して小さい。つまり、インスリンデテミルの一単位は24nmolに相当する。その他のインスリンのUとnmolとの関係は、既知でなければ、例えばヒトインスリンと同様の薬理学的な(血糖を低下させる)効果をもたらす量を測定することによって決定することができる。
本明細書では、PEはポリエチレンを指し、PPはポリプロピレンを指す。便宜上、PEは、ポリエチレンを少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%(重量/重量)含む。便宜上、PPは、ポリプロピレンを少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%(重量/重量)含む。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、PEは、欧州薬局方、2001年、第4版、3.1.5項に規定されているものであり、その内容を参照文献として本発明に包含する。PE中に存在する成分の例としては、比較的高級のアルケン相同体(C〜C10)及び本明細書に記載の他の添加剤が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態では、PPは、欧州薬局方、2001年、第4版、3.1.6項に規定されているものであり、その内容を参照文献として本発明に包含する。つまり、PPは、プロピレンのホモポリマーであるか、或いは、エチレン含有率が25%以下であるか、又はポリエチレン含有率が25%以下のポリプロピレンの混合物(アロイ)を含むプロピレンのコポリマーである。上記で3.1.6項を参照したように、PPは添加剤を含んでいてもよい。
有利には、PCTFEは、ポリエチレンを少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%(重量/重量)含む。
【0015】
発明の概要
要約すると、本発明は、PCTFEフィルムからなる可撓性で透明な防水性のチャンバに関し、本チャンバでは、前記フィルムを透明の袋に成形し、該袋が、湿潤、フェノール及びm−クレゾールに対する耐性を有することにより、水、フェノール及び/又はm−クレゾールを含有する薬剤を長期間に亘って保存することができ、且つ長時間に亘って水、フェノール及びm−クレゾールの濃度が著しく変化することがなく、且つ前記袋は放射線により滅菌可能である。
別の態様では、本発明は、投与装置での使用のためにインスリンの溶液及び/又は懸濁液を長時間保存する方法に関し、本方法は、水、フェノール及びm−クレゾールに対して十分な耐性を有することにより、製薬的特性を劣化させることなくインスリンを2年間に亘って保存可能な透明のポリマーフィルムから袋を形成するステップ、袋を滅菌するステップ、及び長時間に亘る保存を目的に、この袋の中にインスリン化合物を入れるステップを含む。
【0016】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、特許請求の範囲に記載の容器は、水溶液の保存に使用される容器に対して設定される要件を満たすことが見いだされた。
1つの態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明の容器であって、このチャンバの壁材料がPCTFE単層を含む容器に関し、本容器は、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにフェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、液体中のフェノールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする。
【0017】
別の態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明の容器であって、このチャンバの壁材料がPCTFE単層を含む容器に関し、本容器は、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにフェノール1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、液体中のフェノールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする。
別の態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、このチャンバの材料がPCTFE単層を含む容器に関し、本容器は、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにm−クレゾールを2.06mg/mL(19mM)含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、液体中のm−クレゾールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする。
【0018】
別の態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、このチャンバの壁材料がPCTFE単層を含む容器に関し、本容器は、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量は10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにm−クレゾール2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、液体中のm−クレゾールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする。
別の態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、このチャンバの壁材料がPCTFE単層を含む容器に関し、本容器は、壁材料の厚みが約40μmより大きく、約100μm未満、好ましくは約75μm未満であることを特徴とする。
別の態様では、本発明は、防水性のチャンバ内に液体を保存するための容器であって、壁材料の厚みが、約40μmより大きく、約100μm未満、好ましくは約75μm未満である容器に関する。
【0019】
一実施形態では、本発明は、層が溶着可能である上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、少なくとも部分的に透明な、上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、全体が透明な上述の種類の容器に関する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量が、10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満(重量/重量)である容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、フェノール約1.8mg/mL(19mM)を含む水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、フェノールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である容器に関する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、フェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、フェノールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、m−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、m−クレゾールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である容器に関する。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、m−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、m−クレゾールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である、容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Aによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Aによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2より大きい袋フォイルから製造される容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Bによって試験した場合、最大重量損失が約2.5%、好ましくは約1%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Bによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Bによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2より大きい袋フォイルから製造される容器に関する。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Cによって試験した場合、最大重量損失が2.5%、好ましくは約2%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Cによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Cによって試験した場合、フェノールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、本明細書記載の試験Cによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2以下である袋フォイルから製造される容器に関する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、希釈度1:50、好ましくは1:100、より好ましくは1:200、さらに好ましくは1:400について、本明細書記載の試験Dを満足する袋フォイルから製造される容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、可撓性を有する上述の種類の容器に関する。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、前記液体の前記容器からの放出を可能にする装置を備えた容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、第2のポリマー層が、PCTFE層の外面の一部又は全面に追加されている容器に関する。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、上述の種類の容器であって、液体を完全に満たした場合、約0.5ml以上、好ましくは約1ml以上、約10ml以下、好ましくは約5ml以下、より好ましくは約3ml以下の液体量を収容することができ、好ましくは体積が約2.5mlである容器に関する。
【0030】
別の態様では、本発明は、液体医薬組成物を保存するための、上述の容器の使用法に関する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、一部又は全体に液体医薬組成物が満たされる、上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、容器の内部の少なくとも95%(体積/体積)、好ましくは少なくとも98%(体積/体積)、より好ましくは少なくとも99%(体積/体積)、さらに好ましくは少なくとも99.9%(体積/体積)に液体医薬組成物を収容する、上述の種類の容器に関する。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、一部又は全体に、活性成分がペプチドである液体医薬組成物が満たされる、上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、前記ペプチドがインスリンである、上述の種類の容器に関する。
【0033】
本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物中の活性成分が、成長ホルモン又は因子VII及びこれらの類似体である。
別の実施形態では、本発明は、インスリン含有量が約10U/ml〜約1500U/mlである、上述の種類の容器に関する。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、防腐剤を含有する上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、一部又は全体に、フェノールを含有する液体医薬組成物が満たされる、上述の種類の容器に関する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、一部又は全体に、m−クレゾールを含有する液体医薬組成物が満たされる、上述の種類の容器に関する。
別の実施形態では、本発明は、一部又は全体に、ベンジルアルコールを含有する液体医薬組成物が満たされる、上述の種類の容器に関する。
【0036】
別の態様では、本発明は、フィルム材料を上述の透明の容器を製造するために使用できることを特徴とする、PCTFEフィルムに関する。
本発明の好ましい実施形態では、PCTFE層は、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、例えばHoneywell社(Morris Town, New Jersey, USA)のAclar(登録商標)を少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%(重量/重量)含む。
【0037】
別のポリマー層を、PCTFE層の外側に追加することができる。そのような層の例としては、PE、PP、PET−G(ポリエチレンテレフタレートグリセロール改質体)及びTPE(熱可塑性エラストマー)が挙げられ、これらにより、リザーバの外側からの溶着が可能となる。
本発明の好ましい実施形態では、PCTFE層の厚みは、約20μm以上、好ましくは約30μm以上、及び約100μm以下、好ましくは約75μm以下である。
【0038】
本発明による容器は、袋として使用できるような容器の充填を可能にする可撓性を有していなくてはならない。
水性組成物が、防腐剤を含有する場合、その濃度が、反生物学的な効果を維持するのに十分であることが重要である。
【0039】
上述のように、公知のPCTFE容器は、防腐剤、例えばフェノール、m−クレゾール又はベンジルアルコールを含有する薬剤を保存するために使用することができない。本発明の容器を製造する場合、最終的に得られる容器に不都合な影響を与えない容器の密閉手順を利用することが重要である。これを行う1つの方法は、接着層の使用を回避すること、例えば、PCTFE層を互いに溶着することである。したがって、一実施形態では、本発明の容器は接着層を有していない。つまり、本発明の容器は、溶着によって密閉されている。
好ましい実施形態では、本発明の容器は、便利な方法、例えばβ線又はγ線照射又は加熱によって容器の滅菌が可能なPCTFE材料からなる。
【0040】
好ましい実施形態では、本発明の容器は、可撓性に対する以下の試験を満足するPCTFE材料からなる。この試験では、いずれも60mm×20mmの寸法を有する試験材料の2つの長方形片を3mmの溶着ゾーンで互いに溶着することにより溶着された試験袋を形成し、この袋に水1.5mlを満たす。過圧が100mBar未満であれば、材料は十分な可撓性を有する。
別の好ましい実施形態では、本発明の容器は、可撓性に対する以下の試験を満足するPCTFE材料からなる。この試験は、いずれも60mm×20mmの寸法を有する試験材料の2つの長方形片を2mmの溶着ゾーンで互いに溶着することにより溶着された試験袋を形成し、この袋に水1.5mlを満たす。過圧100mBar未満である場合、材料は十分な可撓性を有する。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の容器は、水性医薬組成物の保存のために使用される。
本発明の好ましい実施形態では、前記医薬組成物中の活性成分はタンパク質である。本発明の別の好ましい実施形態では、活性成分はインスリン又は成長ホルモンである。本発明の好ましい実施形態では、水溶液中のインスリンの量は、10U/ml以上、好ましくは40U/ml以上、より好ましくは100U/ml以上、さらにより好ましくは150U/ml以上、及び1500U/ml以下、好ましくは1000U/ml以下、より好ましくは500U/ml以下、さらにより好ましくは300U/ml以下である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、水性の製剤は安定剤を含有している。本発明のより好ましい実施形態では、水性製剤はフェノールを含有している。本発明の別の好ましい実施形態では、水性製剤はm−クレゾールを含有している。本発明の別の好ましい実施形態では、水性製剤はベンジルアルコールを含有している。本発明のさらなる好ましい実施形態では、水性製剤中のフェノール及び/又はm−クレゾールの総濃度は、約20mM〜約50mM、好ましくは約30mM〜約45mMである。フェノール及び/又はm−クレゾールの濃度は、とりわけ、水性製剤中のインスリンの濃度によって決まる。本発明の好ましい実施形態では、水溶液中のフェノールの量は、約15mM〜約25mMである。本発明の別の好ましい実施形態では、水溶液中のm−クレゾールの量は、約15mM〜約25mMである。本発明の別の好ましい実施形態では、水性製剤中のベンジルアルコールの量は、約15mM〜約25mMである。本発明の別の好ましい実施形態では、水性製剤中にベンジルアルコールは含まれない。
本発明の容器を製造するために使用されるPCTFE材料を選択する場合、水性医薬組成物中の活性成分及び他の成分を過度に吸収しない材料を選択することが重要である。
【0043】
特許請求の範囲に記載するように、本発明の容器は、前記液体を前記容器から放出可能にする装置を(必要に応じて)備えることができる。そのような装置の一例は、容器フォイルの内側又は外側に、或いは2つのフォイル間の溶着ゾーンに接着された、ゴム材料の形態の、針の穿通用の隔膜である。別の例として、容器に接着された能動的又は受動的な閉鎖バルブを挙げることができる。本発明の容器は、リザーバに外圧をかけることにより、又はポンプ装置からの吸引により、空にすることができる。
本発明の容器は、多くの装置、例えばポンプ、注射器又はペン型注射器において使用することができる。有利には、本発明の容器は使い捨て可能である。
【0044】
本発明は、フィルム材料を本発明による透明容器の製造に使用できるPCTFEフィルムにも関する。本発明の好ましい実施形態では、本発明の範囲に包含されるPCTFEフィルムは、特許請求の範囲に記載の容器を製造するために直接的に使用することができる。例えば、本発明の範囲に含まれるPCTFEフィルムは、2つの表面のうち一方の面の全体に、別のフィルムを装着するような方法で加工してはならない。
参照文献の引用は、それらを先行技術と認めるものではない。
本明細書において、「備える」という表現は、「有する」、「含む」又は「包含する」という意味に広く解釈することができる(欧州特許庁審査便覧2000、C部第III章4.13を参照)。
【0045】
試験方法
好ましい実施形態では、本発明の容器は、以下の試験の一部又は全てを満足する袋フォイルから製造される。
試験A
m−クレゾールの損失及びpHの変化についての試験:
10cm(2×5cm)のフォイルを、15個の部分(0.7×1cm)に切断し、フェノール約1.80mg/mL(19mM)、m−クレゾール2.06mg/mL(19mM)、グリセロール16.0mg/mL(174mM)、リン酸一水素二ナトリウム1.25mg/mL(7mM)、塩化ナトリウム0.58mg/mL(10mM)を含み、pH7.40の溶液1.5mL中に浸す。浸した試料及び対照試料を、37℃で1週間インキュベータ内に置く。
溶液中のm−クレゾールの含有量を、クロマトグラフィ法を用いて分析する。
この試験により、端部への直接的な吸収を含む、m−クレゾールの全移動量が示される。上記の条件で保存した場合、次の要件が満たされなければならない。つまり、m−クレゾールの最大損失は10%、好ましくは5%未満でなければならない。溶液のpH値の変化は、±0.2以下でなければならない。
【0046】
試験B
m−クレゾールの浸透、損失、及びpHについての試験:
DS/EN13726−2の変形の、パディントンカップ試験(Paddington cup test)法
この方法では、試験するフォイルを2つのフランジ間に置き、10cmのフォイルを、フェノール約1.80mg/mL(19mM)、m−クレゾール2.06mg/mL(19mM)、グリセロール16.0mg/mL(174mM)、リン酸一水素二ナトリウム1.25mg/mL(7mM)、塩化ナトリウム0.58mg/mL(10mM)を含み、pH7.40である溶液5mlと接触させる。37℃、相対湿度最大15%のインキュベータ内に、溶液とフォイルとの直接的な接触が可能となるようにパディントンカップを逆さまにして1週間置き、またこれと併せて、不活性なアルミニウム製フォイルとパディントンカップを含む対照試料を置く。保存の前と後で、パディントンカップの重量を計測する。m−クレゾールの含有量をクロマトグラフィ法を用いて分析する。この試験は、全蒸発量を試験するのに有用であり、m−クレゾール及びフェノールのような防腐剤に対するバリア特性が示される。上記の条件で保存した場合、次の要件が満たされなければならない。最大重量損失は2.5%、好ましくは1%未満でなければならず、m−クレゾールの最大損失が10%、好ましくは5%未満でなければならず、pH値の変化が±0.2以下でなければならない。
【0047】
試験C
媒体を用いた袋の試験
この試験では、フォイルを溶着し、袋に媒体を充填することによって袋を製造した。いくつかの袋を計量し、その後37℃、相対湿度15%で保存し、12週間後に計量した。いくつかの袋は、37℃で保存し、m−クレゾール及びフェノールの含有量について周期的に12週間に亘り試験した。対照としてガラスバイアルを使用した。上記の条件で12週間保存した場合、次の要件が満たされなければならない。最大重量損失は、2.5%以下、好ましくは2%以下であり、m−クレゾールの最大損失は、10%以下、好ましくは5%以下であり、フェノールの最大損失は、10%以下、好ましくは5%以下である。pH値の変化は、±0.2以下でなければならない。
【0048】
試験D
充填された袋の透明性
充填された袋は、欧州薬局方2001、第4版、3.2.2.1項、非経口輸液のための水溶液用のプラスチック容器に関する透明性の要件を満たさなくてはならない。上記方法では、溶液Sを、1:200(PE又はPPに対して)又は別の容器に対しては1:400に希釈する。1:50又は1:100に希釈した溶液Sを試験することによって上記試験を変形することができる。
【0049】
以下の実施例は、例示を目的として示すものであり、本発明を制限するものではない。
実施例1
厚み55μmのPCTFEフォイルを、温度300℃、圧力3.5barで4秒間溶着し、幅2mmの溶着シームを有する60mm×20mmの寸法の容器を形成する。
フォイルに試験Aを行ったところ、m−クレゾールの損失は0.2%であった。pH値は7.44から7.43へ変化した。
フォイルに試験Bを行ったところ、m−クレゾールの損失は0%であった。pH値は7.44から7.40へ変化した。
フォイルに試験Dを行ったところ、1:200及び1:400のいずれの希釈度についても要件が満たされた。
【0050】
実施例2
Tekni-Plex Europe N.V.による特許出願PCT/BE03/000226によって作られた、50μmのPE及び51μmのPCTFE(ならびに結合層)からなる実験用の多層フィルムを、秘密保持契約の下、上述の試験Cによって試験した。試験Cでは、この多層フィルムのPCTFE側を互いに溶着した。この試験による結果は次の通りである。重量損失は0.44%であった。m−クレゾールの損失は約0%であった。フェノールの損失は約0%であった。pH値は、試験媒体に対して7.43から7.32へ変化した。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図3】可撓性の容器を一方の側から見た側面図であり、溶着層4が容器を確実に密閉しており、容器5の内部に液体を満たすことができる。
【図4】図3に示す面に対し、線1−1で切った面を見た斜視図であり、容器6の壁部が溶着されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁材料(6)にPCTFE単層を含む防水性のチャンバ(5)内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器の外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにフェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、液体中のフェノールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする容器。
【請求項2】
壁材料(6)にPCTFE単層を含む防水性のチャンバ(5)内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器の外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにフェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、液体中のフェノールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする容器。
【請求項3】
壁材料(6)にPCTFE単層を含む防水性のチャンバ(5)内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器の外部へ拡散する水の量が10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバにm−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、液体中のm−クレゾールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする容器。
【請求項4】
壁材料(6)にPCTFE単層を含む防水性のチャンバ(5)内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明な容器であって、前記チャンバに水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器の外部へ拡散する水が内容量の10%未満(重量/重量)であり、前記チャンバをm−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、液体中のm−クレゾールの濃度の変化が約10%未満であることを特徴とする容器。
【請求項5】
壁材料(6)にPCTFE単層を含む防水性のチャンバ(5)内に液体を保存するための、可撓性で少なくとも部分的に透明の容器であって、壁材料の厚みが約40μmを超え、且つ約100μm未満、好ましくは75μm未満であることを特徴とする容器。
【請求項6】
前記層が溶着可能である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
防水性のチャンバ内に液体を保存するための容器であって、壁材料の厚みが、約40μmを超え、且つ約100μm未満、好ましくは約75μm未満である容器。
【請求項8】
少なくとも部分的に透明である、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
全体が透明である、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
水を満たし、温度約5℃で2年間保存した場合、容器から外部へ拡散する水の量が、10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満(重量/重量)である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
フェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月保存した場合、フェノールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
フェノール約1.8mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、フェノールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
m−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約5℃で24ヶ月間保存した場合、m−クレゾールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
m−クレゾール約2.06mg/mL(19mM)を含有する水を満たし、温度約37℃で12週間保存した場合、m−クレゾールの濃度の変化が約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
本明細書記載の試験Aによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の容器。
【請求項16】
本明細書記載の試験Aによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2より大きい袋フォイルから製造される、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の容器。
【請求項17】
本明細書記載の試験Bによって試験した場合、最大重量損失が約2.5%、好ましくは約1%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
本明細書記載の試験Bによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
本明細書記載の試験Bによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2より大きい袋フォイルから製造される、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の容器。
【請求項20】
本明細書記載の試験Cによって試験した場合、最大重量損失が約2.5%、好ましくは約2%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
本明細書記載の試験Cによって試験した場合、m−クレゾールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
本明細書記載の試験Cによって試験した場合、フェノールの最大損失が約10%、好ましくは約5%以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の容器。
【請求項23】
本明細書記載の試験Cによって試験した場合、pH値の変化が約±0.2以下となる袋フォイルから製造される、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の容器。
【請求項24】
1:50、好ましくは1:100、より好ましくは1:200、さらに好ましくは1:400の希釈度に対し、本明細書記載の試験Dを満足する袋フォイルから製造される、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の容器。
【請求項25】
可撓性である、請求項1ないし24のいずれか1項に記載の容器。
【請求項26】
前記液体を前記容器から放出可能な装置を備えている、請求項1ないし25のいずれか1項に記載の容器。
【請求項27】
第2のポリマー層が、前記PCTFE層の外面の一部又は全面に加えられている、請求項1ないし26のいずれか1項に記載の容器。
【請求項28】
液体を完全に満たした場合、約0.5ml以上、好ましくは約1ml以上、約10ml以下、好ましくは約5ml以下、より好ましくは約3ml以下の液体の量を収容することができ、好ましくは体積が約2.5mlである、請求項1ないし27のいずれか1項に記載の容器。
【請求項29】
請求項1ないし28に言及された液体医薬組成物を保存するための、請求項1ないし28のいずれか1項に記載の容器の使用法。
【請求項30】
一部又は全体に液体医薬組成物が満たされ、請求項1ないし28のいずれか1項に記載の容器。
【請求項31】
容器内部の少なくとも95%(体積/体積)、好ましくは少なくとも98%(体積/体積)、より好ましくは少なくとも99%(体積/体積)、さらにより好ましくは少なくとも99.9%(体積/体積)に液体医薬組成物を収容する、請求項30に記載の容器。
【請求項32】
一部又は全体に、活性成分がペプチドである液体医薬組成物が満たされる、請求項1ないし28、30及び31のいずれか1項に記載の容器。
【請求項33】
前記ペプチドがインスリンである、請求項32に記載の容器。
【請求項34】
前記インスリンの含有量が、約10U/ml〜約1500U/mlである、請求項33に記載の容器。
【請求項35】
防腐剤を含有する、請求項1ないし28及び30ないし34のいずれか1項に記載の容器。
【請求項36】
一部又は全体に、フェノールを含有する液体医薬組成物が満たされる、請求項1ないし28及び30ないし35のいずれか1項に記載の容器。
【請求項37】
一部又は全体に、m−クレゾールを含有する液体医薬組成物が満たされる、請求項1ないし28及び30ないし36のいずれか1項に記載の容器。
【請求項38】
一部又は全体に、ベンジルアルコールを含有する液体医薬組成物が満たされる、請求項1ないし28及び30ないし37のいずれか1項に記載の容器。
【請求項39】
フィルム材料が、請求項1ないし28及び30ないし38のいずれか1項に記載の透明な容器を製造するために使用できることを特徴とする、PCTFEフィルム。
【請求項40】
前記に記載の新規な特徴又は特徴の組合せ。

【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515235(P2007−515235A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545920(P2006−545920)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000890
【国際公開番号】WO2005/061222
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】