説明

医薬目的のための新規な多官能性化合物

本発明は、1つ以上のエフェクター部分および1つ以上のバインダー部分を含む合成二官能性非抗体化合物に関し、エフェクター部分はリンカーを介してバインダー部分と操作可能に連結され、エフェクター部分は少なくとも1つの病原体パターン認識受容体(PRR)に対するリガンドであり、バインダー部分は腫瘍細胞のマーカーと結合する。このエフェクターは、宿主の免疫応答を誘導、調節、媒介するか、または免疫応答に関与する任意の物質である。特に、エフェクターは、特に先天性免疫系の免疫応答を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療を必要とする患者の疾病の治療に用いる新規な多官能化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、抗原(自己抗原および外来抗原を含む)に対して特異的にまたは非特異的に応答する能力を有する。しかしながら、特定の場合には、免疫系は、病原体(例えば、外来病原細胞、癌細胞、または感染因子)を始めとするこれらの構造を認識し、応答することはない。他の場合には、免疫応答は特定の組織または器官十分に局部集中しないため、患者内で重篤な副作用を生じる場合がある。
【0003】
従って、本発明の目的は、患者内の予め決められた特定の医薬標的に対する免疫応答を引き起こすとともにそれを標的とすることが可能な新規な化合物を提供することである。さらに、本発明の目的は、腫瘍細胞に対して生物活性構造を効果的に標的することを可能にする新規な多官能化合物を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、少なくとも1つのエフェクターと操作可能に連結された少なくとも1つのバインダーを含む本発明に係る化合物により達成される。このエフェクターは、宿主の免疫応答を誘導、調節、媒介するか、または免疫応答に関与する任意の物質である。特に、エフェクターは、特に先天性免疫系の免疫応答を含む。
【0005】
「エフェクター」という用語は、宿主内の先天性または後天性免疫系を誘導、媒介、調節するか、またはそれに関与するあらゆる分子構造を意味する。特に、上記エフェクターは、先天性免疫系の細胞の移動(走化性)および/またはそれらの活性化に関与する化学的性質を示す。従って、本発明のエフェクターは、免疫細胞に対する化学誘引物質および/または宿主内の先天性または後天性免疫系に対する免疫刺激剤とすることができる。これらは免疫系を活性化または強化することもできるため、さらにアジュバントの性質を示すことができる。特に、本発明のエフェクターは、細胞により媒介された障害活性の媒介に関与させることができる。エフェクターの1つの重要な機能は、抗体誘導性障害活性(ADCC)の関与であり得る。
【0006】
本発明の化合物により誘導または調節された免疫応答は、免疫系のいずれの要素または化合物による宿主によって示されたいずれの種類の応答とすることができる。免疫系の要素には、後天性または先天性免疫系に関与する化学物質および細胞が含まれる。免疫系の典型的な化合物は、インターロイキン、TNFもしくはインターフェロンまたは抗体等のサイトカインである。典型的な免疫細胞は、白血球、例えば、リンパ球(T細胞およびC細胞、マクロファージまたは好中球または樹枝状細胞)である。
【0007】
PRR(病原体認識受容体)のアゴニストをエフェクターとして選択することは有利であり得る。本発明の特定の実施態様では、新規な多官能化合物が少なくとも2つのエフェクターを含むようにすることができ、一方のエフェクターを免疫刺激剤とし、他方のエフェクターを抗体のFc領域とすることができる。
【0008】
エフェクターは、PRRにより認識可能であるとともにPRRを活性化して先天性免疫系内におけるその生物学的機能のうちの少なくとも1つを示す病原体関連分子パターン(PAMPS)を含むようにすることができる。
【0009】
PRRは、先天性免疫系の受容体である。先天性免疫系は、抗原に対する曝露の直後または数時間後に宿主が用いるその抗原に対して非特異的な防御機構を表す。適応免疫とは異なり、先天性免疫は、存在しうる抗原の全てを認識するわけではない。その代わり、多くの異なる病原体に存在する2、3の高度に保存された構造を認識するように設計される。認識された構造は、病原体関連分子パターンであり、例えば、グラム陰性細胞壁由来のLPS、ペプチドグリカン、グラム陽性細胞壁由来のリポテコ酸(lipotechoic acids)、マンノース糖(生物糖脂質および糖タンパク質に多くみられるがヒトのものにはまれである)、フコース、N−アセチルグルコサミン、細菌タンパク質に見られる細菌DNA、N−ホルミルメチオニン、ウイルス由来の二本鎖RNA、および真菌細胞壁由来のグルカンを含む。
【0010】
多くの生体防御細胞は、これらのよく見られる病原体関連分子パターンに対するパターン認識受容体を有する。結果的に、侵入病原体に対しては即時に応答がある。病原体関連分子パターンはまた、オプソニンとして機能するとともに補体経路を開始する血中の一連の可溶性パターン認識受容体によっても認識され得る。総合すれば、先天性免疫系は、およそ10個の分子パターンを認識すると考えられる。
【0011】
本明細書において以下に定義するように、本発明のPRRは、表面PRRまたは可溶性PRRのいずれかを含む。細胞表面PRRは、2つの機能的に異なる種類に細分化することができる:エンドサイトーシスパターン認識受容体、およびシグナル伝達パターン認識受容体。エンドサイトーシスパターン認識受容体は、免疫細胞の表面上に見られ、食細胞およびそれらのそれに続く呑食および破壊に対する病原体の付着を促進する。
【0012】
本発明の標的PRRは、特には、マンノース受容体(MR)、ホルミルペプチド受容体(FPR)、トール様受容体(TLR)、CD14、およびヌクレオチド結合オリゴマー化領域タンパク質(NOD)を含む。これらの受容体に対するリガンドの結合はまた、先天性免疫および適応免疫の開始にとって重要なサイトカイン等の細胞内調節分子(免疫調節信号)の合成および分泌も促進する。
【0013】
エンドサイトーシスPRRは、末端マンノース、ならびに糖タンパク質および糖脂質のフコース基(ヒト糖タンパク質および糖脂質は、典型的には、末端N−アセチルグルコサミンおよびシアル酸基を有する)と結合するマンノース受容体(MR)を含むが、スカベンジャー受容体は、他のタイプのエンドサイトーシスPRRを表し、例えば、LPS、ペプチドグリアン(peptidoglyan)およびタイコ酸等の細菌細胞壁構成成分と結合する。他のタイプの生物の特定の構成成分に対するスカベンジャー受容体も存在する。
【0014】
MRは、例えば、樹枝状細胞の表面上に見られ、C型レクチンスーパーファミリーに属するエンドサイトーシス受容体および食細胞受容体である。多数の機能が先天性および適応的免疫応答に関与するこの受容体によるものとされてきた。MRは、特に、免疫応答の初期段階における病原体のエンドサイトーシス捕集に関連するMRは、細菌、菌類、寄生生物、およびウイルス等、いくつかの病原体上の糖成分を結合するため、パターン認識受容体(PRR)とされている。さらに、MRは、内因性分子を結合し、元々は、肺胞マクロファージ中のリソソームグリコシダーゼと結合する膜結合構成成分と説明されていた。その定義により、ホルモン、酵素、細胞膜、細胞外基質成分、ならびに正常および腫瘍性ムチンを含む他の多くの内在性リガンドが説明された。MRは、骨髄細胞系列、特に、樹枝状細胞(DC)および組織マクロファージのサブセット等の免疫細胞上で優先的に発現する。免疫細胞に加えて、特殊な内皮細胞もMR陽性である。
【0015】
TLRは、先天性免疫、および適応免疫の誘導に重要な役割を果たす。TLRの異なる組み合わせが異なる細胞タイプで見られ、ペアで見られることがある。例えば、TLR−1/TLR−2のペアは、寄生生物中の細菌リポペプチドおよびグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)−アンカー型タンパク質を特異的に結合し、TLR−2/TL6のペアは、グラム陽性細胞壁由来のリポタイコ酸および菌類由来のザイモサンを結合し、TLR−2は、ペプチドグリカンフラグメント(グリコペプチド)を結合する役割を果たすか、またはTLR−4/TLR−4のペアは、グラム陰性細胞壁由来のリポ多糖を結合する。リガンドの結合によるTLRの活性化により、TLRは、細胞の核に信号を伝達し、サイトカインと呼ばれる細胞内調節分子(例えば、TNF−αまたはインターロイキン)の合成をコードする遺伝子の発現を誘導する。次いで、サイトカインは、他の防御細胞上のサイトカイン受容体と結合する。
【0016】
CD14は、単球、マクロファージ、および好中球上に見られ、TLR−4のLPSおよびペプチドグリカンに対する応答能力を促進する。これらの分子とCD14およびTLR−4の相互作用は、IL−1、IL−6、IL−8、TNF−α、およびPAF等の炎症性サイトカインの合成および分泌の上昇に繋がる。これらのサイトカインは、次いで、標的細胞上のサイトカイン受容体と結合し、補体経路および凝固経路の両方において炎症および活性化を開始する。
【0017】
NOD1およびNOD2を含むNOD(ヌクレオチド結合オリゴマー化領域)タンパク質は、ペプチドグリカン構成成分の細胞内認識を可能にするシトストリックタンパク質(cytostolic proteins)である。NOD1は、ムラミールジペプチドNAG−NAM−γ−D−グルタミル−メソジアミノピメリン酸、一般的なグラム陰性細菌中のペプチドグリカンモノマーの一部、および少量のグラム陽性菌を含有するペプチドグリカンを認識する。NOD2は、実質的に全ての細菌に見られるムラミールジペプチドNAG−NAM−L−アラニル−イソグルタミンを含有するペプチドグリカンを認識する。
【0018】
マクロファージは、細菌の増殖中に放出された細菌全体またはペプチドグリカンフラグメントのいずれかを貪食するため、ペプチドグリカンは、ムラミールジペプチドに分解される。ムラミールジペチド(muramyl dipetides)をNOD1またはNOD2と結合することにより、細胞表面トール様受容体と同様に炎症性サイトカインをコードする遺伝子の活性化が生じる。
【0019】
ホルミルペプチド受容体
本発明の特に好適な実施態様では、バインダーは、ホルミルペプチド受容体(FPR)を活性化するエフェクターと操作可能に連結される。この受容体群はまた、シグナル伝達PRRのクラスに属する。FPRは、主に好中球およびマクロファージまたは食細胞系統中の細胞で発現したGタンパク質共役受容体である。これらの受容体に対する最も特徴的なリガンドは、原核生物起源のタンパク質の特徴であるN−ホルミルメチオニン残基を含有するペプチドまたはタンパク質フラグメントである。このように、これらのペプチドは、細菌感染部位に対する強力な免疫ホーミング信号として、化学誘引、免疫シグナル伝達分子(例えば、インターロイキン、サイトカイン等)の産生の刺激および放出、ならびに脱顆粒(外来物質または病原体の破壊を媒介可能な化学(例えば、過酸化水素および他の反応性酸素ラジカル種)および酵素物質(例えば、エラスターゼおよび他の消化酵素)の両方の産生および放出を含む細胞過程)を含む数段階の好中球応答および活性化をシグナル伝達するように作用する。
【0020】
ヒトにおいては、3つの関連するFPRファミリーメンバーが特定されている:名前の由来となったホルミルペプチド受容体(FPR)、および他の2つの受容体(FPRL1およびFPRL2)。FPRL1およびFPRL2は、配列相同性によってFPRに関連づけられるが、機能的には異なる。リポキシンA4および血清アミロイドA(SAA)が、FPRL1Rに対する天然リガンドとして提案されている(Takanoら、J Exp.Med.185:1693−1704(1997))。FPRのための自然発生のリガンドは、ホルミル−メチオニン−ロイシン−フェニルアラニン(fMLF)である。
【0021】
ホルミルペプチド受容体(FPR)により媒介される細胞応答は、細胞極性形成および移動、呼吸バーストオキシダーゼを介したスーパーオキシドO2ラジカルの生成、多種多様な分解酵素の脱顆粒および放出、ならびに食作用を含む。本発明によれば、エフェクターは、FPRと相互作用を行い、上記の細胞応答のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
細胞表面パターン認識受容体に加えて、本発明の多官能化合物は、分泌パターン認識受容体と機能的に相互作用を行う少なくとも1つのバインダーを含むようにしてもよい。これらの可溶性PRRは、病原体と結合し、それらが補体経路および食細胞によって認識されることを可能にする。例えば、マンナン結合レクチンは、肝臓によって合成され、血流に放出され、そこで細菌、酵母、なんらかのウイルス、および寄生生物上の糖と結合することができる。そして、これによってレクチン補体経路を活性化し、食細胞に対する生物の付着を促進する分子であるC3bを産生する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本発明で用いるパターン認識受容体(PRR)という用語は、免疫系の細胞により発現するタンパク質のクラスを意味する。PRRは、病原体関連分子パターン(PAMP)により活性化される。病原体パターン認識受容体(PRR)は、一般に、例えば、病原体表面に存在するかまたは病原体またはミトコンドリアの分解中に発達する一般的な構造および分子モチーフを認識し、先天性免疫応答の誘導に寄与する。例えば、MRは、FPRおよびTLRと同様にそのようなPRRと見なされる。
【0025】
「病原体関連分子パターン」(PAMP)は、病原体上に連続して見られるか、または病原体またはミトコンドリアの分解中に発達する小分子配列である。これらは、TLRまたはFPRまたはMR等のPRRによって認識される。リポ多糖(LPS)は、典型PAMPと見なされる。他のPAMPは、グラム陽性菌由来のリポタイコ酸、ペプチドグリカン、および二本鎖RNA(dsRNA)等の通常ウイルスと関連する核酸変異体を含む(さらなる例については下記参照)。
【0026】
「病原体」という用語は、好ましくは、宿主に有害であり得るか、または宿主から除去することが望ましいあらゆる生物、細胞、または構造を意味する。病原体の例としては、細菌、ウイルス、菌(funghi)、寄生生物、腫瘍細胞がある。本発明においては、外見上または他の理由により除去することが好ましい構造も病原体を意味するものとする。
【0027】
本発明で用いる「バインダー」という用語は、好ましくは、第2の分子構造と相互作用する/結合するあらゆる分子構造を意味する。「第2の分子構造」という用語は、例えば、同様に宿主細胞上に存在するがより量が少ない過剰発現した腫瘍マーカーの場合のように、宿主構造と標的とを定量的または定性的のいずれかで識別可能なあらゆる構造を意味する。第1および第2の分子構造間の相互作用は、例えば、水素結合、ファンデルワルス力(van−der−Wals forces)または疎水性相互作用等の共有および非共有結合を含むあらゆる種類の化学的または物理的相互作用を含むようにすることができる。表1に好適な例を示している。
【0028】
癌または腫瘍細胞に対する選択的結合とは、免疫染色、ELISA、ゲルシフトアッセイ、Biacore、または同様の方法等の典型的な結合アッセイで分析した典型的な非癌細胞との複合体の形成よりも高い統計的頻度での癌細胞または癌細胞の表面上のマーカーとの複合体の形成を意味する。
【0029】
第2の分子構造は、マーカーであることが好ましい。「マーカー」は、明確な生理的または病理的機能または病原体に対して十分に特異的ないずれの構造であってそれによってそれを特定し、および/または他の宿主構造からそれを識別することができる構造とすることができる。マーカーの特異性は、当該構造または細胞単位内またはその上またはそれと近接したその選択的発現またはその発現の強化のいずれかによるものとすることができる。よって、特異性という用語は、定性的および/または定量的側面を含む。
【0030】
マーカーが明確な細胞単位(例えば、腫瘍細胞−表面抗原、腫瘍の間質成分、細胞内抗原または細胞内抗原)に対して特異的であることが最も好ましい。「細胞単位」という用語は、細胞、細胞型、細胞集合体または組織およびそれらの一部を含むあらゆる細胞構造を意味する。
【0031】
本発明のバインダーは、天然または合成起源のものとすることができ、修飾したものまたは未修飾のものとすることができる。本発明のバインダーは、例えば、タンパク質、ペプチド、マイクロプロテインおよび模倣薬、ペプチド模倣物、修飾または未修飾アミノ酸またはポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド等の小分子、生体高分子またはオリゴマー、上記のRNAi、ならびにフラグメント、誘導体、類似体、キメラまたはポリマーを含む。
【0032】
バインダーの他の例としては、合成的に生産された小分子が挙げられる。「小分子」という用語は、好ましくは、分子量が好ましくは500Da未満の生物活性分子を意味する。小分子は、ペプチド、タンパク質、DNAまたはRNA以外の分子である。
【0033】
第2の分子構造は、機能的には、医薬標的とすることができる。「医薬標的」という用語は、宿主、好ましくは、ヒト患者の病気を診断、予防、軽減または治療のために、薬剤または薬剤候補の作用点または始点に適した電位を実際に有するかまたは少なくとも有していると思われるあらゆる分子または細胞構造を意味する。標的分子の例としては、受容体、酵素およびイオンチャネルがある。薬理的関連性が明らかな多数のそのような標的分子は当該分野で公知である。表2に例を示している。
【0034】
「エフェクター」という用語は、好ましくは、後天性/適応的または先天性免疫系のいずれかの免疫応答を誘導、調節するか、または免疫応答の一部であるあらゆる分子構造を意味する。本発明のエフェクターは、例えば、タンパク質、ペプチド、マイクロプロテインおよび模倣薬、ペプチド模倣物、修飾または未修飾アミノ酸またはポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド、ならびにそれらのフラグメント、誘導体、類似体、キメラまたはポリマー等の小分子、単糖類または多糖類、生体高分子またはオリゴマーを含む。エフェクター分子は、受容体に結合することができるが、必ずしも天然リガンドの結合部位に結合するわけではない。エフェクターは、単独で用いた場合、信号伝達を調節することができるが、すなわち、リガンドの代理をするか、または天然リガンドの存在下で信号伝達を変更することができる。
【0035】
エフェクターという用語はまた、宿主の免疫を増大または強化する化合物およびそれらの混合物も含む。そのような化合物は、通常、アジュバントと定義される。特に、アジュバントは、宿主内の抗原に対する抗体の産生を強化する。
【0036】
本発明の好適な実施態様では、上記エフェクターは、好ましくは哺乳動物である宿主の自己抗原とは異なるあらゆる分子構造を含む。よって、本発明のエフェクターは、非哺乳動物構造、例えば、タンパク質/ペプチド、ならびに健康な哺乳動物には存在しない細菌およびウイルスまたは合成起源由来のヌクレオチドおよび糖、ならびにそれらのフラグメント、誘導体または修飾体とすることができる。考えられるエフェクターとしては、全てのグラム陰性およびグラム陽性細菌によって共有されるリポ多糖類およびタイコ酸、細菌DNAによって特徴づけられるが哺乳動物DNAによっては特徴づけられない非メチル化CpGモチーフ、RNAウイルスの構造的特徴としての二本鎖RNA、および酵母細胞壁の保存要素であるマンナンが挙げられる。他の例としては、ホルミルペプチドがある。上記エフェクターの1つの重要な機能は、免疫細胞活性化である。
【0037】
エフェクターは、好ましくは、PRRのアゴニストであるが、すなわち、これらは、受容体の信号伝達活動を誘導するか、または強化する。
【0038】
エフェクターは、特に、イミダゾキノリン化合物等の先天性免疫系に対する刺激、修飾または活性化効果を有する合成小分子を含む(Smithら、Pharmacother.2003 Jul;4(7):1105−19参照)。本発明のエフェクターは、天然由来とすることができるが、合成的に生産されることが好ましい。組み換え技術は、合成的製造の1つの方法と見なす。
【0039】
本発明で用いる「先天性免疫系」という用語は、好ましくは、生物の非適応免疫を意味する。先天性免疫の要素は、一般に、外来抗原(病原体)と自己抗原とを識別することができる。よって、先天性免疫応答は、特定の抗原に適応せず、繰り返し曝露した後でも変化しない。反対に、適応的(または後天性)免疫系は、先に生じた抗原に対するその有効性を改善する。先天性免疫の要素は、例えば、食細胞細胞(好中球、単球、およびマクロファージ)、炎症メディエーター(好塩基球、肥満細胞、および好酸球)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、樹枝状細胞(DC)、および補体タンパク質等の分子を放出する細胞、急性期タンパク質、ならびにサイトカインである。
【0040】
先天性免疫系の最も重要な化合物は、リゾチームおよび化学誘引物質(例えば、サイトカインまたはヒスタミン)等の化学物質、または補体タンパク質である。先天性免疫系の最適な細胞は、マクロファージ、多形核好中球を含む好中球、リンパ球、およびNK細胞を含む。これらの細胞は、病原体および病変組織または細胞の破壊および除去に有効である。
【0041】
「リンカー」という用語は、好ましくは、少なくとも1つのエフェクターおよび1つのバインダーを操作可能に連結するあらゆる構造を意味する。本明細書中で用いる「操作可能に連結された」とは、pH、イオン強度、および浸透ポテンシャルの生理的条件下で、エフェクターおよびバインダーの実体の大半が相互に関連づけられるとともに、両方の実体がそれらの目的とする機能を示すことができることを意味する。
【0042】
リンカーがエフェクターおよびバインダーを共有結合する場合、その最小長1つの共有結合(例えば、1つのペプチド結合)である。他のリンカーは、例えば、ホモまたはヘテロ多官能性、オリゴまたはヘテロ官能性架橋剤を含む各種の化学的連結および架橋剤を含む。連結または架橋は、例えば、活性ポリエチレングリコール、アルデヒド、イソシアン酸塩、マレイミド等を含む当該分野で周知の各種の化学的物質のいずれかにより達成することができる。
【0043】
「活性化」という用語は、細胞または受容体(およびその定量測定または定性的評価)と組み合わせて用いた場合、好ましくは、例えば、浸潤、脱顆粒、回転、走化性、食作用、エンドサイトーシス、各種の異化または分解酵素(例えば、エラスターゼ)の発現または活動の増加、酸化的破壊、過酸化水素および他の高反応酸素種の産生または放出、細胞内カルシウム流出、細胞の極性化、およびイソシトール代謝および信号伝達の変化を含むあらゆる直接的または間接的免疫応答を意味する。他の活性化の決定要因は、ロイコトリエン、補体、ケモカイン、サイトカイン、化学誘引因子、インターロイキン、またはインターフェロンの発現および産生の増加を含む。
【0044】
これらの活性を測定する方法は、当業者には周知である。(例えば、William E.Paul,Fundamental Immunology,Lippincott Williams and Wilking Publishers.1999;John E.Coligenら、Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1999を参照されたい。)
「ミメトープ」および「ペプチド模倣物」という用語は、本明細書中では同じ意味で用いられる。化合物Xの「ミメトープ」は、Xの機能活動に必要なXの化学的構造がXの配座を模倣する他の化学的構造と置換された化合物を意味する。ペプチド模倣物の例としては、ペプチド骨格が1つ以上のベンゾジアゼピン分子(例えば、James,G.L.ら(1993)Science260:1937−1942参照)および「レトロインベルソ」ペプチド(Sistoに対する米国特許第4,522,752号参照)と置き換えられたペプチド化合物が挙げられる。「ミメトープ」および「ペプチド模倣物」という用語はまた、ペプチド(例えば、FPRL−1アゴニスト)の機能に対して有意な程度で悪影響を及ぼすような干渉を生じることなく、ペプチド含有化合物内の特定のアミノ酸の置換基として配座的におよび機能的に作用する自然発生アミノ酸以外の部分も意味する。
【0045】
アミノ酸模倣薬の例としては、D−アミノ酸が挙げられる。1つ以上のD−アミノ酸で置換されたペプチドは、周知のペプチド合成法を用いて作ることができる。さらなる置換基としては、例えば、b−シアノアラニン、カナバニン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプトファン、1メチルヒスチジン、または3−メチルヒスチジン等の官能基との変異側鎖を有するアミノ酸類似体が挙げられる。
【0046】
本明細書中で用いる化合物Xの「類似体」とは、好ましくは、Xの機能活動に必要なXの化学的構造を保持するとともに、Xとは異なる特定の化学的構造も有する化合物を意味する。天然発生ペプチドの類似体の一例としては、1つ以上の非自然発生アミノ酸を含むペプチドがある。「類似体」という用語はまた、修飾ミメトープおよび/またはペプチド模倣物、修飾ペプチドおよびポリペプチド、ならびにペプチドおよびポリペプチドの対立遺伝子多型を含むものも意味する。それゆえ、ペプチドの類似体は、元のペプチドと実質的に相同なペプチド類似体を生じる。
【0047】
「実質的に相同」という用語は、アミノ酸配列に関して用いた場合、好ましくは、配列が実質的に同一または同様であり、配座が相同となるため、同様の生物活性を生じるような配列を意味する。この用語は、共通する配列の進化を暗示するものではない。
【0048】
典型的には、「実質的に相同な」配列とは、少なくとも所望の活動に関与することが公知である領域に関して、少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも80%同一の配列である。最も好ましくは、末端以外で5つ程度の残基が異なる。好ましくは、少なくとも前述の領域における配列の相違は、「修飾がさほど多くない」程度である。
【0049】
一般に、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の相同性の割合を判定するために、配列は、最適な比較ができるように並べられる(例えば、最適に並べるために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方において間を空けることができ、比較に関しては非相同な配列を無視するようにすることができる)。好適な実施態様では、比較のために並べた基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、さらに好ましくは、少なくとも60%、またさらに好ましくは、少なくとも70%、80%、もしくは90%である(例えば、第2の配列を、例えば、100個のアミノ酸残基を有する第1のアミノ酸配列に合わせて並べた場合、少なくとも30個、好ましくは、少なくとも40個、より好ましくは、少なくとも50個、さらに好ましくは、少なくとも60個、またさらに好ましくは、少なくとも70個、80個もしくは90個のアミノ酸残基を並べる)。
【0050】
本明細書中で用いる「細胞表面受容体」は、好ましくは、細胞の表面上に発生し、細胞外環境と相互作用する分子を意味する。そのような分子は、細胞内で環境に関する情報を伝達または変換して、特定のプロモーターの転写を最終的に調節し、特定の遺伝子を転写する場合が多い。
【0051】
「マイクロプロテイン」という用語は、好ましくは、好ましくは安定性が高く、熱、pH、およびタンパク質分解に対する耐性を有する小型のタンパク質を意味する。典型的には、これらのアミノ酸は50個未満である。これらは、分子内ジスルフィド結合に基づく明確な構造を有する。
【0052】
本明細書中で用いるADCC(抗体依存細胞媒介障害活性)という用語は、抗体が標的細胞を被覆して免疫細胞による攻撃から脆弱にする免疫応答を意味する。今日では、モノクローナル抗体を用いた異なる療法の多くにおいてADCCによる細胞毒性の媒介が重要な工程であることがさらによく理解されてきている。
【0053】
抗体という用語は、外来抗原の識別および中和に関与するあらゆる免疫グロブリンまたはそれらの一部およびフラグメントを含む。抗体は、その標的に固有の特定の抗原を認識する。抗体のFcフラグメントは、ADCCにおいて重要な役割を果たすが、これは、Fcフラグメントが免疫細胞によって認識されるためである。これ(本発明の1つの実施態様では、多官化合物(multifuntional compound)のエフェクター)は、Fcフラグメントを含む。
【0054】
「好ましくは」」という用語は、本発明に対する代替物を示唆するためのものであり、本発明を何ら限定または制限するものではない。
【0055】
上記で概説したように、本発明の多官能化合物は、少なくとも1つのバインダーおよび少なくとも1つのエフェクターを含む。
【0056】
本発明のエフェクターの例としては、オリゴおよびポリペプチド、ペプチド(修飾、合成、または天然)、ホルミル化ペプチド、特に、fMペプチド、細菌細胞壁由来のペプチドグリカン、原核細胞、原核細胞溶解物、またはミトコンドリア由来のN−ホルミルペプチドを含有する真核細胞由来の溶解物、アシル化リポペプチド、例えば、ジアシル化マイコプラズマリポペプチドまたはトリアシル化細菌リポペプチドおよびトライアシルリポペプチド(tryacyl lipopeptide)(Pam3CSSNA)、デスムラミールペプチド(desmuramyl peptide)(γ−D−グルタミル−メソ−DAP;iE−DAP)、およびムラミールジペプチド(MDP)を含有するジアミノピメリン酸、細菌由来のタンパク質、表面接着剤として機能する細菌由来の凝集物/アドヘシン、例えば、ネズミチフス菌または線毛(Porphyromonas gingivalis由来)の線毛サブユニット(CsgA)、細菌由来のフラジェリン、細菌由来のNアセチル化伸長因子、例えば、大腸菌由来のTu(EF−Tu)、細菌由来の外膜タンパク質、例えば、肺炎桿菌(KpOmpA)、抗体由来のタンパク質、抗体のFc部、抗原由来のタンパク質、抗体を中和した抗原、補体カスケードを誘導する抗原、オリゴヌクレオチド、細菌由来のCpG含有DNA、ウイルスのdsRNA、オリゴ糖または多糖、マンノース含有オリゴ糖または多糖、酵母および細菌細胞壁由来のマンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)、蠕虫由来のラクト−N−フコペンタオースIII(LNFPIII)、修飾オリゴ糖または多糖、細菌由来のLPS、病原体上の糖脂質様分子、イミダゾキノリン、ホスホコリンがある。
【0057】
本発明に係るエフェクターの他の例としては、適応的(後天性)免疫系の化合物がある。これらの例には、抗体およびそれらのフラグメント、特に、抗体のFc部およびそれに相同なタンパク質またはペプチド、Fc−γ受容体と結合するタンパク質またはペプチド、Fc−γ受容体と結合するペプチド模倣物、Fc−γ受容体と結合する小分子、および適応的免疫応答を促進する抗原が含まれる。
【0058】
本発明の好適な局面では、上記新規な化合物は、ADCCを誘導または維持するエフェクターを含む。好ましくは、上記エフェクターは、ナチュラルキラー細胞またはマクロファージ等の免疫エフェクター細胞の表面上でFc受容体(FcγR)と結合し、標的細胞の食作用または溶解を引き起こす。
【0059】
好ましくは、FPRおよびその類似体の活動を調節するエフェクターが用いられる。これらのリガンドは、好ましくは、ホルミルペプチド受容体様1(FPRL−1)のアゴニストである。本発明の1つの実施態様では、上記ポリペプチドは、1〜80個のアミノ酸残基、より好ましくは、3〜40個のアミノ酸残基、より好ましくは、3〜20個のアミノ酸残基、さらに好ましくは、3〜13個のアミノ酸残基を含む。一般に、リガンドアゴニストに対するEC50値は、約2×10−9M〜約20×10−6Mの範囲である。好ましくは、上記リガンドアゴニストは、2×10−5M以下のEC50を有する。好適な実施態様では、上記リガンドアゴニストは、3×10−6MのEC50を有する。1つの実施態様では、上記リガンドアゴニストのEC50は、当業者に公知のカルシウム動員アッセイによって決定される。
【0060】
ホルミルメチオニル−ペプチド群のうち特に好適なエフェクターは、ホルミル−メチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLP)である。FMLPは、多くの白血球機能を刺激することが可能な炎症性ペプチドである。これは、好中球走化性、リソゾーム酵素放出、酸素フリーラジカル産生、Ca++流出、好中球によるロイコトリエン放出、および平滑筋収縮を刺激する。好中球のfMLP刺激は、それらの接着受容体の発現において急速な変化を誘導する。さらに、fMLPは、スーパーオキシド産生および細胞内Ca++レベルの上昇を誘導することが示されてきた。FIMLPは、肺胞マクロファージ、好中球、樹枝状細胞(DC)および単球を含む多数の細胞において走化性を誘導することが示されてきた。実際、fIMLPの走化活性または化学走化性活性は、十分に良好に確立されており、fMLPは、走化性アッセイにおいて陽性対照として用いられることが多い。
【0061】
1950年代には、生菌感染した組織の抽出物が好中球およびマクロファージ誘引物質を含有していることが観察された(Harris,Physiol.Rev.34:529−562(1954))。これらの因子は、グラム陽性およびグラム陰性細菌の両方のろ液に存在するN−ホルミルメチオニルペプチドであることが後に分かった(Schiffmannら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA72:1059−1062(1975);Schiffmannら、J Immunol.114:1831−18(1975))。細菌病原体に対する免疫応答の結果、白血球およびマクロファージ遊走および浸潤に対する非常に強力な化学誘引物質として作用するホルミル化メチオニンを含有する分解ペプチドが放出される。これらのペプチドの受容体はクローン化されており(Murphyら、FEBS Lett.261:353−357(1990);Perezら、Biochemistry 31:11595−11599(1992))、7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(GPCR)として同定されている。ホルミルペプチド受容体(FPR)に対するホルミル化ペプチドアンタゴニストの結合によって媒介される細胞応答は、細胞極性形成および移動、呼吸バーストオキシダーゼによるスーパーオキシドO2<−>ラジカルの生成、多種多様な分解酵素の脱顆粒および放出、ならびに食作用を含む。
【0062】
上記で概説したように、FPR受容体は、骨髄性細胞、すなわち、食細胞(単球(例えば、樹枝状細胞およびマクロファージ)、ならびに顆粒球上で発現した表面受容体である。好中球は、顆粒球の最も豊富なサブセットであるがため、感染に対する防御において重要な役割を果たす。これらは、感染部位に遊走し、それらの部位から異物を取り除く第1の細胞中に含まれる。これらは、血中に豊富に含まれるが、正常な組織には存在しない。感染部位への走化性動員およびナノモル濃度で細胞受容体を刺激する各種のシグナル伝達分子勾配(すなわち、化学誘引物質、インターロイキン、およびケモカイン)による活性化時に、好中球は、連鎖的な細胞性生理応答を開始し、最終的に、スーパーオキシドおよびエラスターゼの放出、免疫応答をさらに増幅する他の因子の放出、単球の動員、および抗原性物質の食作用が行われる。これらの出来事は、先天性免疫応答の重要な生理的要素を表す。
【0063】
従って、本発明の1つの目的は、適切なバインダー(下記参照)に対するFPR結合を介した信号伝達により、好ましくは、ホルミルメチオニル−ペプチド、特に、ホルミル−メチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLP)の連結により好中球の活性化を直接的および/または間接的に誘導するエフェクター分子を含む多官能化合物を提供することである。よって、この実施態様では、本発明の多官能化合物は、好中球および単球の細胞表面受容体と結合する。
【0064】
本発明のさらなる局面によると、上記多官能化合物は、マンノシルフコシル受容体(MFR)と相互作用を行うエフェクターを含む。上記MFRは、エンドサイトーシス受容体として機能する180kDaのCa2+依存レクチンである。これは、まず、マクロファージから単離されたが、樹枝状細胞、肝内皮細胞、網膜色素上皮細胞、および腎臓メサンギウム細胞を含む各種の他のタイプの細胞上で見つかっている。上記受容体は、10個の細胞外ドメインと、それらに続く膜貫通領域および短い細胞質尾部とで構成される。上記細胞外ドメインは、アミノ末端の高システインドメイン、フィブロネクチンII型繰り返しドメイン、および8個のタンデム糖認識ドメインである。上記糖認識ドメインは、接触可能なマンノース、フコース、およびN−アセチルグルコサミン残基と結合するが、酵母表面上のマンナン等、複数の結合部位を有する錯体リガンドに対してはより高い親和性を有する。
【0065】
本発明の他の局面では、上記新規な化合物は、少なくとも2つのエフェクターを含み、一方は、先天性免疫系の免疫応答を誘導することができ、2つ目のエフェクターは、適応的免疫系の応答を誘導する。本発明の特に好適な実施態様では、上記化合物は、PRRのリガンド(例えば、FPR用)およびFc受容体の1つのリガンドを含むようにすることができる。
【0066】
本発明のさらなる目的は、適切なバインダー(下記参照)に対するMRまたはFPRL2結合を介した信号伝達により、好ましくは、D−メチオニンまたはマンノース分子の連結により樹枝状細胞の活性化を直接的および/または間接的に誘導するエフェクター分子を含む多官能化合物を提供することである。それゆえ、この実施態様では、本発明の多官能化合物は、樹枝状細胞の細胞表面受容体と結合する。
【0067】
本発明に係るバインダーの例としては、合成または天然ペプチド(直鎖、環状、または分岐)、ペプチド模倣物、マイクロプロテイン、ペプチドリピート、ペプチド配列、マイクロプロテイン(例えば、システインノット等)、免疫グロブリンおよびそれらのフラグメント(scFvs、Fab、ドメイン等)を含むポリペプチド構造、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAオリゴヌクレオチド(アプタマー)、RNAオリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)、オリゴヌクレオチド類似体(PNA、DNA/RNAキメラ等)または小分子がある。
【0068】
上記バインダーは、結合のために接触可能な病原細胞上のリガンドに対する受容体の発現、優先的発現、または過剰発現による宿主動物内の病原体(例えば、細菌細胞、菌、または腫瘍細胞)を優先的に標的とすることができるようにされる。許容可能なバインダーは、葉酸、葉酸の類似体、および他の葉酸受容体結合分子、他のビタミン、ライブラリースクリーニングで同定されたペプチドリガンド、腫瘍特異的ペプチド、腫瘍特異的アプタマー、腫瘍特異的糖質、腫瘍特異的モノクローナルまたはポリクローナル抗体、例えば、EphA2または転移性癌細胞上で特異的に発現したかもしくは独自に接触可能な他のタンパク質の抗体のFabフラグメント等の抗体のFab orscFv(すなわち、一本鎖可変領域)フラグメント、組み合わせライブラリー由来の有機小分子、EGF、FGF、インスリン、およびインスリン様増殖因子等の増殖因子、および相同なポリペプチド、ソマトスタチンおよびその類似体、トランスフェリン、リポタンパク質複合体、胆汁塩、セレクチン、ステロイドホルモン、ArG−Gly−Asp含有ペプチド、レチノイド、各種ガレクチン、6−オピオイド受容体リガンド、コレシストキニンA受容体リガンド、アンジオテンシンAT1またはAT2受容体に特異的なリガンド、ペルオキシソーム増殖剤−活性受容体yリガンド、13−ラクタム系抗生物質、抗菌薬を含む有機小分子および腫瘍細胞の表面または感染性の生物上で優先的に発現する受容体と特異的に結合する他の分子、またはそれらの分子のいずれかのフラグメントを含む。
【0069】
本発明のバインダーがタンパク質またはペプチドである場合、その長さの範囲が、アミノ酸残基の数にして数個から100個を超える範囲であることが好ましい。好ましくは、オリゴペプチドの長さは、アミノ酸残基の数にして1〜75個、より好ましくは、アミノ酸残基の数にして3〜25個である。上記バインダーは、1つ以上の標的分子、標的細胞、または標的組織、例えば、細菌、菌、または腫瘍細胞に対して結合親和性を有してもよい。本発明のオリゴペプチドは、合成ペプチドであることが好ましい。
【0070】
表1にバインダーの例を示している。
【0071】
好適なペプチドバインダーの配列の例としては、CGLIIQKNEC;CNAGESSKNC;Dhb−pLDIK;Dhb−pLDI;WIFPWIQL;WDLAWMFRLPVG;VVISYSMPD;シクロ(RGDfK);RGDfK;RGDWXE;GGHGRVLWPDGWFSLVGISP;YHWYGYTPQNVI;TACHQHVRMVRP;NLLMAAS;DUP−1;HEWSYLAPYPWF;HTFEPGV;シクロ(SRESPHP);SRESPHP;KCCYSL;LTVXPWY;CSDSWHYWC;CSDxxHxWC;EDYELMDLLAYL;シクロ(CVGNDNSSC);CVGNDNSSC;TTPRDAY;VHLGYAT;CSNRDARRC;CXNXDXR(X)/(R)C;SWKLPPS;IAGLATPGWSHWLAL;AWYPLPP;VPWMEPAYQRFL;EPAYQR;KSLSRHDHIHHH;TNSLP;YYGLAEVDAGGS;MQLPLAT;MXXPがある。
【0072】
これらのペプチドバインダーで標的とすることができる標的構造の例としては、フィブリン−フィブロネクチン複合体;α−4−β−1インテグリン;α−v−β−5インテグリン;α−v−β−3インテグリン;α−3−β−1インテグリン;グルコース調節タンパク質78(GRP78);EGFR;EGFRvIII;EphA2受容体;インターロイキン−6受容体(gp80、CD126);Tie2;Her−2(ヒトErbB−2);ヒト血管内皮増殖因子受容体3(VEGFR−3);FGF受容体;他の細胞−表面腫瘍マーカーがある。
【0073】
これらのペプチドバインダーで特異的に標的とすることができる腫瘍の例としては、固形腫瘍;リンパ腫;非ホジキンリンパ腫;結腸直腸癌;前立腺癌;結腸癌;甲状腺癌;乳癌;膵臓癌、卵巣癌;濾胞性甲状腺癌腫;未分化甲状腺癌腫、乳癌腫、頸癌腫、前立腺癌腫;腫瘍性血管;肝癌;肝細胞癌;膀胱癌;胃癌の腹膜腫瘍;神経芽細胞腫;黒色腫がある。
【0074】
本発明の標的分子の例のさらなるリストを表2に示している。
【0075】
上述のように、本発明の多官能化合物は、操作可能に連結されたバインダーおよびエフェクターを含む。連結部(「リンカー」)は、1つの共有結合または機能的に同等の結合、例えば、ストレプトアビジン/アビジンまたは他の錯化剤によって構成することができる。上記リンカーはまた、例えば、デンドリマーリンカーの場合、バインダー分子間自体、およびエフェクター分子間自体にも連結部を設けることができる。
【0076】
多官能化合物を設計するために可能な異なる構造としては、特に、以下のものがある:
活性物質の構造=バインダー+エフェクター+リンカー
−単一のバインダー+単一のエフェクター+直鎖リンカー
−2つ以上の同じバインダー(親和力)+単一のエフェクター+直鎖リンカー
−2つ以上の異なるバインダー(親和力/選択力/多価)+単一のエフェクター要素+直鎖リンカー
−1つ以上の同じまたは異なるバインダー+2つ以上の同じエフェクター(効力)+直鎖リンカー
−1つ以上の同じまたは異なるバインダー+2つ以上の異なるエフェクター(効力/選択性)+直鎖リンカー
−1つ以上の同じまたは異なるバインダー+1つ以上の同じまたは異なるエフェクター+分岐リンカー(触手様構造)
本発明のリンカーの例には、直接結合、小型リンカー、ホモオリゴ官能性リンカー、オリゴ−アルコール、オリゴ−アミン、オリゴ−カルボン酸、チオールによる統計的カップリング、ヘテロオリゴ官能性カップリング要素による明確な化学論(defined stochiometry)、ポリマー(親水性および親油性ポリマー)、ホモ多官能性リンカーによる統計的カップリング、HPMA、ポリリジン、ヒドロイエチルセルロース(hydroyethylclellulose)、ヒドロキシエチルスターチ、アミノデキストラン、コプリマー(coplymers)、分岐高分子足場、分岐PEG、デンドリマー、特に、ポリリジンデンドマー(polylysine dendrmers)、ヘテロオリゴ官能性結合による明確な化学論(defined stochiometry)、ポリペプチド、官能化活ポリマー(functionalized ativated polymers)、PEG、ポリウレタンが含まれる。
【0077】
ポリマー担体単位、例えば、PEGに対する上記単位の結合は、当業者に公知の反応を用いて行われる。例えば、当業者には多数のPEGおよびHES付着方法が利用可能である(例えば、これについてさらに言及しているWO2004/100997、Robertsら、2002;US4,064,118;EP1 398 322;EP1 398 327;EP 1 398 328;WO2004/024761を参照されたい;)。ペグ化、ジスルフィド架橋、またはリシン側鎖による分子の二量化がWO96/40772;WO96/40749;WO01/38342;WO01/091780;WO2004/101611;WO2004/100997;WO2004/101600;WO2004/101606、Wrightonら、1997;Johnsonら、1997)に記載されている。上述の方法は、所望の二量体または同等の多量体分子を得るために、リンカー構造を介して単量体ペプチドを結合する。
【0078】
(実施態様)
1.単一のバインダー+単一のエフェクター;直鎖リンカー
本発明の1つの実施態様では、本発明の多官能化合物は、直鎖リンカーを介して連結される単一の結合要素(バインダー)および単一のエフェクターを含む。この結合要素は、1つ以上の標的分子、標的細胞、または標的組織に対して結合親和性を有するオリゴペプチドである。標的分子は、細胞の表面で発現した分子であることが好ましい。
【0079】
上記オリゴペプチドの長さは、アミノ酸残基の数にして数個から100個を超える範囲にすることができる。上記オリゴペプチドの長さは、好ましくは、アミノ酸残基の数にして1〜75個、より好ましくは、アミノ酸残基の数にして5〜25個である。上記オリゴペプチドは、典型的には、20個の天然アミノ酸残基の少なくとも一部から構成される。代替的には、上記オリゴペプチドは、非天然アミノ酸残基、または天然アミノ酸残基と非天然アミノ酸残基の混合物から構成され、また非修飾ペプチド結合を含むようにすることもできる。非天然アミノ酸残基は、非標準アミノ酸、例えば、b−アラニン、カルニチン、シトルリン、ホモアルギニン、ホモシトルリン、ホモシステイン、ホモフェニルアラニン、ホモプロリン、ヒドロキシプロリン、アロ−イソロイシン、イソセリン、オルニチン、フェニルグリシン、フェニルイソセリン、アロ−トレオニンまたは立体異性体(例えば、L−アミノ酸の代わりにD−アミノ酸)を含む。1つの実施態様では、上記オリゴペプチドは直鎖分子であり、NまたはC末端を介してリンカーに付着する。代替的には、上記ペプチドは環状であるか、または分子内ジスルフィド架橋を形成する。さらなる局面では、上記オリゴペプチドは、同じオリゴペプチド分子(ペプチドリピート)上において相互に付着した同じまたは異なるアミノ酸配列のコピーをいくつか含む。
【0080】
ペプチド骨格に加えて、ペプチド模倣物の合成のために人工的な非天然骨格を選んで、例えば、より高い体内安定性またはより優れた生物物理的性質を与えることができる。そのような骨格の例としては、ホスホジエステルがある[Bioorg Med Chem Lett.1998 Mar 3;8(5):511−4.Solid−phase synthesis of peptidemimetic oligomers with a phosphodiester backbone.Lin P,Ganesan A.]。
【0081】
この実施態様の特定の局面では、上記オリゴペプチドは、ヒトEGFR(上皮増殖因子受容体)および/またはその変異体、誘導体または同族体に対する結合親和性を有する。例えば、上記オリゴペプチドは、全長EGFRもしくは欠失受容体EGFRvIII(上皮増殖因子受容体変異体III)またはそれらの両方に対する結合親和性を有する。EGFRは、結腸癌、頭部および頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、乳癌、およびグリア芽腫等の多数の病原細胞集団において過剰発現する。
【0082】
EGFR に対する結合親和性を有するオリゴペプチドは、EGFRに対してより選択的に結合するとともに十分な親和性を有するペプチド配列のライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。代替的には、ヒトEGF(上皮増殖因子)等の受容体の天然リガンドまたは抗EGFRモノクローナル抗体等のEGFRに対する新規なバインダー由来のペプチド配列を用いることができる。
【0083】
この実施態様のさらなる局面では、上記オリゴペプチドは、アミノ酸残基の数にして5〜25個分の長さを有し、以下の配列群のうちの1つ以上を含む:GYTP;YGYTPQ;WYGYTPQN;HWYGYTPQNV;YHWYGYTPQNVI。好適な局面では、上記オリゴペプチドは、アミノ酸残基の数にして12個分の長さを有し、配列YHWYGYTPQNVIを含む。
【0084】
略語 アミノ酸
A Ala アラニン
C Cys システイン
D Asp アスパラギン酸
E Glu グルタミン酸
F Phe フェニルアラニン
G Gly グリシン
H His ヒスチジン
I Ile イソロイシン
K Lys リシン
L Leu ロイシン
M Met メチオニン
N Asn アスパラギン
P Pro プロリン
Q Gln グルタミン
R Arg アルギニン
S Ser セリン
T Thr トレオニン
V Val バリン
W Trp トリプトファン
Y Tyr チロシン
X Xxx 任意のアミノ酸。
【0085】
2.バインダーとエフェクター間のリンカー
本発明のリンカーは、上記2つのドメイン、すなわち、バインダーとエフェクター間に物理的分子連結部を設ける。
【0086】
共有結合:直接リンカー
本発明の1つの実施態様では、バインダーおよびエフェクターは、共有結合によって直接連結される。これは、相互反応基を両方のドメイン(すなわち、それぞれ、バインダーおよびエフェクター)に組み込むことにより確立することができる。このような相互反応選択基は、バインダーおよびエフェクターに容易に組み込むことができる。そのような相互反応基の例としては、両方の要素中において酸化条件下でドメイン間に安定したジスルフィド架橋を形成する遊離システイン残基がある。これらの相互反応の他の例としては、一方のドメイン中のカルボニル基および他方のドメイン中のアミノ基により加水分解に不安定なイミン連結部を、シアノドリド化合物とのイミン反応(reaction with imine with cyanohdride compounds)により低減可能な濃度によって形成し、それらの化合物間に加水分解に安定なアミン連結部を生じることが挙げられる。
【0087】
小型リンカー
本発明の他の実施態様では、上記バインダーまたはエフェクターは、低分子量リンカーによって接続される。好適な実施態様では、このリンカーは、1000ダルトン未満の分子量を有する。さらに好適な実施態様では、上記低分子量リンカーは、100ダルトン未満の分子量を有する。バインダーおよびエフェクターは、リンカーとの反応が同時であっても連続したものであってもいずれでもよい。
【0088】
ホモオリゴ官能性リンカーによる統計的カップリング
本発明の他の実施態様では、上記バインダーまたはエフェクターは、例えば、セバシン酸ビス(N−スクシンイミジル)エステル、1,4−ビス[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス[2−(N−スクシンイミジル−オキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、ビス[2−(4−アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド、ジメチル3,3’−ジチオプロピオンイミダートジヒドロクロリド、またはエチレングリコールジスクシナートジ(N−スクシンイミジル)エステル等のホモオリゴ官能性リンカーにより統計的にカップリングする。
【0089】
オリゴ−アルコール、オリゴ−アミン、オリゴ−カルボン酸、チオール
好適な実施態様では、上記のような低分子量リンカーは、上記バインダーおよびエフェクターに対して統計的にカップリング可能な反応基を一種類だけ持ち、本発明において説明するようなエフェクターと連結したバインダーの混合物を生じる。これは、バインダーの二量体、およびエフェクターの二量体をさらに生じる。これらの二量体は、当業者に公知の物理化学的方法により分離することができる。
【0090】
低分子量リンカーは、オリゴ−アルコール、オリゴ−アミン、オリゴ−カルボン酸、チオール、カルボニルの群から選択することができる。さらに、より高い反応効率および選択性という利点を有する官能化活性ホモオリゴ官能性リンカーを選択することができる。好適な実施態様では、これらは、セバシン酸ビス(N−スクシンイミジル)エステル、1,4−ビス[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス[2−(N−スクシンイミジル−オキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、ビス[2−(4−アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド、ジメチル3,3’−ジチオプロピオンイミダートジヒドロクロリド、エチレングリコールジスクシナートジ(N−スクシンイミジル)エステルの群から選択することができる。
【0091】
ヘテロオリゴ官能性リンカーによる明確な化学論(defined stochiometry)
他の好適な実施態様では、ヘテロオリゴ官能性リンカーを用いてバインダーとエフェクターをカップリングする。これらのヘテロオリゴ官能性リンカーは、2つ以上の異なる反応性化学物質を有することを特徴とする。これらのリンカーは、バインダーまたはエフェクターの二量体の形成を回避するため、カップリング反応の選択性および収率を増大する。
【0092】
好適な実施態様では、上記ヘテロオリゴ官能性リンカーは、単糖類、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸の群から選択される。2つより多くの反応基を有するヘテロリゴ官能性リンカー(Heteroligofunctional linkers)を用いて、1つより多くエフェクター(more than on effector)または1つより多くのバインダーを有する分岐構造を用意することができる。そのようなリンカーの例としては、カルボキシルまたはアミノ基様アスパラギン酸、グルタミン酸、またはリシンを持つ側鎖を有するアミノ酸がある。
【0093】
さらに、より高い反応効率および選択性という利点を有する官能化活性ヘテロオリゴ官能性リンカーが選択される。好適な実施態様では、これらは、3−(マレイミド)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、11−マレイミド)ウンデカン酸N−スクシンイミジルエステルの群から選択される。
【0094】
これらのヘテロオリゴ官能性リンカーのスクシンイミド基は、まず、スルフヒドリル特異的マレイミド部分が本質的に安定した反応条件下でバインダーおよび/またはエフェクターのいずれかのアミン部分と反応する。この反応により、マレイミド官能化バインダーまたはエフェクターが生じ、これが、第2の工程において、遊離した未酸化のスルフヒドリル基で官能化したそれぞれのエフェクターまたはバインダーと反応する。
【0095】
ポリマーリンカー(親水性および親油性ポリマー)
他の好適な実施態様では、ポリマーリンカーが選ばれ、このリンカーの分子量は、好ましくは、1kD〜100kD、より好ましくは、5〜50kD、最も好ましくは、10〜30kDである。このリンカーポリマーは、任意の生理的に許容される天然、改質天然、または合成ポリマーである。
【0096】
好適な実施態様では、このライニングポリマー(lining polymer)は、ポリペプチド、多糖類、ポリエステル、ポリアルコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、またはポリヌクレオチドの群から選択される。他の好適な実施態様では、上記ポリマーの官能化または活性誘導体が本発明のリンカーとして用いられる。
【0097】
ホモ多官能性リンカーによる統計的連結
例としては、HPMA(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリリジン、ヒドロイエチルセルロース(hydroyethylclellulose)、ヒドロキシエチルスターチ、アミノデキストランが挙げられる。
【0098】
さらに好適な実施態様では、上記リンカーポリマーは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド共ポリマー、ポリリジン、ヒドロキシエチルセルロース、アミノデキストラン、およびポリエチレンオキシドブロック共ポリマーの群から選択される。これらのポリマーは、上記バインダーおよびエフェクターと統計的に反応し、それらの要素間の物理的連結部を特徴とする官能化ポリマーを生じることができる多数の反応基を持つ。
【0099】
共ポリマーリンカー
他の好適な実施態様では、上述のポリマーの共ポリマー(規則性、ランダム、ブロック、またはグラフト)がリンカーとして用いられる。上記ポリマーの粘性、親水性、可溶性等の物理的生理的性質は、そのような個々のポリマーの物理的に組み合わせによる。そのような共ポリマーの一例としては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド(「Pluronic」)の重合がある。
【0100】
分岐高分子足場
他の好適な実施態様では、他の好適な実施態様では、上述のポリマーの共ポリマー(規則性、ランダム、ブロック、またはグラフト)がリンカーとして用いられる。リンカーとして用いられる。
【0101】
分岐PEG
本発明では直鎖および分岐ポリマーおよび共ポリマーを用いることができる。分岐ポリマーは、グラフト共ポリマーとして用意するか、または小数価開始剤(oligovalent starter)によって開始された直接重合によって用意することができる。好適な実施態様では、後者の方法で用意した分岐ポリエチレングリコール(マルチアームPEG)が用いられる。これらのマルチアームPEGはともに、遊離ヒドロキシル部分を連鎖停止剤として用いて用意されるか、その後に修飾されて官能化活性マルチアームPEGを生じる。そのような修飾の例としては、アクリレート、アミン、エポキシド、イソシアネート、スクシンイミジルグルタラート、スクシンイミジルスクシナートの組み込みがある。これらは、上記バインダーおよびエフェクターの反応基と反応して分子を生じる
デンドリマー
特に好適な実施態様では、デンドリマーがリンカーとして用いられる。
【0102】
デンドリマーは、好ましくは、ポリリジン系のものとすることができ、異なるエフェクターおよび/またはバインダー(置換基)とカップリングすることができるとともに、特に、合成における活性化因子の選択に応じてデンドリマーの一部を形成する2つ以上の置換基の割合を明確に設計することができる。マンノシル化ポリ−L−リシンデンドリマーペプチド結合体を調製するための手順は、KantchevらのBiopolymers(Pept Sci)84:232−240,2006に記載されている。デンドリマー自体を、例えば、さらなるエフェクターまたはバインダーを有する50kDのPEGでペグ化することができる。さらに好適な実施態様では、PEG誘導体化バインダーおよびエフェクターペプチドは、固相により合成され、ポリマーデンドリマースコッフォールド(polymeric dendrimer scoffolds)にカップリングされる。バインダーおよびエフェクターぺチド(binder and effector petide)が、ポリマーデンドリマー足場の類似する化学的部分に同時にカップリングされる場合、この反応により、バインダーおよびエフェクター要素の統計的混合物が実験条件遊離体の濃度を選択することで得られる割当量で足場にカップリングした反応生成物が生じる。バインダーおよびエフェクターぺチド(binder and effector petide)が、ポリマーデンドリマー足場の異なる化学的部分に、好ましくは、連続してカップリングされる場合、この反応により、固定の化学論(fixed stochiometriy)のバインダーおよびエフェクター要素が高分子足場の組成により得られる割当量で足場にカップリングした反応生成物が生じる。
【0103】
他の好適な実施態様では、上記リンカーはポリエチレングリコール(PEG)である。
【0104】
他の好適な実施態様では、リンカーの組み合わせを用いてバインダー要素とエフェクター要素間に物理的カップリングを設けることができる。1つの例では、ヘテロオリゴ官能性直鎖リンカー分子をホモ多官能性高分子足場にカップリングして、バインダーおよびエフェクター要素のカップリングのための中間ヘテロ多官能性足場を設けることができる。他の実施態様では、多数のカップリングされたバインダーおよびエフェクター要素を有するホモリゴ官能性デンドリマー(homoligofunctional dendrimers)自体をへトレオリゴ官能性リンカー(hetreooligofunctional linker)によりカップリングして、空間的に隔てられた多価のバインダーおよびエフェクター要素を有する物質を提供し、より高い結合親和性および信号伝達強度を得ることができる。
【0105】
他の例としては、ヘテロオリゴ官能性カップリングによる明確な化学論(defined stochiometry)、ポイルペプチド(poylpeptides)他の官能性活性ポリマー、ポリウレタンがある。
【0106】
3.エフェクターの例
先天性免疫系のエフェクター
PAMP(病原体関連分子パターン)−ウイルス、菌類、および細菌に関する(1.LPS、2.凝集物、3.CpG−DNA、4.N−ホルミルメチオニンペプチド、5.dsRNA、6.マンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)、マンノース含有多糖類、7.ホスホコリン、8.糖脂質様分子、9.フラジェリン、10.ペプチドグリカン)。
【0107】
ヒト血中単球およびヒト腹腔マクロファージのエフェクター媒介走化性応答の一例としては、Obristら(Obristら、Int.J.Immunopharmacology,5(4),1983,307−314)に記載されるようなホルミル−Met−Leu−Phe(fMLP)がある。
【0108】
Leu−Asp−Leu−Leu−Phe−Leu(LDLLFL)ペプチドは、他のクラスのFPRリガンドを表す。LDLLFLは、CKS−17(免疫応答のいくつかの異なる要素を抑制することが示されているレトロウイルス膜貫通タンパク質の保存領域由来のタンパク質)のフラグメントである。LDLLFLは、ホルミル−Met−Leu−Phe(fMLP)結合を獲得するFPRのアンタゴニストである(Oostendorpら、J.Immunol.149:1010−1015(1992);Oostendorpら、J Leukocyte Biol.51:282−288(1992);Oostendorpら、Eur.J Immunol.22:1505−1511(1995))。
【0109】
アネキシンIタンパク質は、他のクラスのFPRリガンドである。アネキシンIの抗炎症活性は多くの系において観察されているが、これらの効果のメカニズムはよく理解されていない。最近では、アネキシンIのN末端タンパク質分解フラグメント由来のペプチドがFPRリガンドであることが分かった。好中球エラスターゼによる全長アネキシンIの切断によって産生される26アミノ酸N末端ペプチドはFPRアゴニストであるが、fMLP(それぞれ、Kd=740μmおよび0.02μm)よりもはるかに高い濃度で作用する。細胞発現FPRに対するこのアゴニストの効果のテストは、このペプチドはアゴニストであるが、効果的に受容体脱感作を誘導することにより免疫応答を弱めることを示唆している。
【0110】
エフェクターのさらなる例
グラム陰性(桿菌様)の細菌の細菌細胞壁由来のLPS
未修飾LPS
LPS由来の少なく1つの未修飾または修飾モノマー(t least one unmodified or modified monomer)
Mindin/ECMおよび/またはTLR4と結合するLPS模倣薬分子
細菌由来の凝集物
未修飾凝集物
凝集物配列の少なくとも一部と相同性を有するペプチド
凝集物配列の少なくとも一部と相同性を有するペプチド模倣物
Mindin/ECMと結合する凝集物模倣薬
Mindin/ECMと結合するペプチド
Mindin/ECMと結合するペプチド模倣物
Mindin/ECMと結合する任意の分子/小分子
CpG含有DNA配列
CpGリピートを有する非メチル化または低頻度メチル化細菌DNA配列
CpGリピートを有する非メチル化または低頻度メチル化細菌チオホスファトDNA配列(thiophoshphat−DNA−sequence)
TLR9を結合するCpGリピート模倣薬分子を有するDNA配列
N−ホルミルメチオニン
N−ホルミルメチオニンから始まるペプチド
N−ホルミルメチオニンから始まるペプチド模倣物
C末端にD−メチオニンを有するペプチド
C末端にD−メチオニンを有するペプチド模倣物
FPR、FPRL1、またはFPRL2を含むペプチド
FPR、FPRL1、またはFPRL2を含むペプチド模倣物
FPR、FPRL1、またはFPRL2を誘導する任意の分子/小分子
N−ホルミルメチオニンを含有する分子
ウイルスのdsRNA
ウイルスの未修飾dsRNA
ウイルスのチオホスホ−dsRNA
TLR3を結合するウイルス模倣薬分子のdsRNA
マンナン/マンノース含有オリゴマーまたはポリマー
酵母および細菌細胞壁由来の未修飾マンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)
酵母および細菌細胞壁由来のマンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)由来の少なくとも1つの未修飾または修飾モノマー
結合マンナン結合レクチン(MBL)に結合する酵母および細菌細胞壁模倣薬分子由来のマンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)
細菌および菌類由来の未修飾マンノース含有多糖類
細菌および菌類由来のマンノース含有多糖類由来の少なくとも1つの未修飾または修飾モノマー
MMR(マクロファージマンノース受容体)に結合する細菌および菌類模倣薬分子由来のマンノース含有多糖類
細菌細胞壁由来のホスホコリン
細菌細胞壁由来の未修飾ホスホコリン
CPR(C反応性タンパク質)に対するエフェクター結合
病原体上の糖脂質様分子
細菌細胞壁由来の未修飾ホスホコリン
TLR1および/またはTLR2/6二量体を結合
細菌モータータンパク質および毒性因子由来のフラジェリン
未修飾フラジェリン
フラジェリン配列の少なくとも一部と相同性を有するペプチド
フラジェリン配列の少なくとも一部と相同性を有するペプチド模倣物
Mindin/ECMと結合するフラジェリン模倣薬
TLR5と結合するペプチド
TLR5と結合するペプチド模倣物
TLR5と結合する任意の分子/小分子
細菌細胞壁、特にグラム+由来のペプチドグリカン
細菌細胞壁、特にグラム+由来の未修飾ペプチドグリカン
細菌細胞壁、特にグラム+由来のペプチドグリカン由来の少なくとも1つの未修飾または修飾モノマー
細菌細胞壁、特にグラム+由来のペプチドグリカン
TLRおよびNOD、特にNODタンパク質(NOD2およびNOD2)と結合する模倣薬分子
ネズミチフス菌トール様受容体(TLR)2/CD14由来の細巻線毛(thin curled fimbriae)(CsgA)の主用線毛サブユニット
蠕虫糖質ラクト−N−フコペンタオースIII(LNFPIII)は、そのマウス樹枝状細胞に対する作用により先天性Th2プロモーターとして機能し、この活性にはα1−3連結フコースを必要とする。ネオ複合糖質ラクト−N−フコペンタオースIII(12〜25個の分子)−デキストラン(LNFPIII−Dex)は、TLR4を介して樹枝状細胞(DC)を活性化する。
【0111】
合成化合物(大腸菌型トライアシルリポペプチド(tryacyl lipopeptide)(Pam3CSSNA)、大腸菌型リピドA(LA−15−PP)、ジアミノピメリン酸含有デスムラミールペプチド(desmuramyl peptide)(γ−D−グルタミル−メソ−DAP;iE−DAP)、ならびにTLR2、TLR4、ヌクレオチド結合オリゴマー化領域(NOD)1およびNOD2を結合するムラミールジペプチド(MDP)
酵母ザイモサンは、TLR2/TLR6ヘテロ二量体を活性化する一方、サッカロミセスセルビジエおよびカンジダアルビカンス由来マンナンは、TLR4によって検知されると思われる。カンジダアルビカンスの細胞表面に存在するホスホリポマンナンは、TLR2によって認識されることが示されているが、TLR4は、主に、グルクロンオキシロマンナン(glucuronoxylomannan)(クリプトコックスネオフォルマンスの主用莢膜多糖類)と相互作用する。MyD88は、直鎖(1−−>3)−β−D−グルカン、およびニューモシスティスカリニ由来のβ−グルカンのTLR信号伝達に関係してきた。
【0112】
伸長因子Tu(EF−Tu)(最も豊富な細菌タンパク質、大腸菌においてNアセチル化、最初の18個のアミノ酸(elf18と呼ばれる)を含むNアセチル化ペプチド)は、防御応答の誘導因子として十分な活性を有する。
【0113】
TLR2を結合する肺炎桿菌(KpOmpA)由来の外膜タンパク質A
表面接着剤として機能する線毛(ポルフィロモナスジンジバリス由来);TLR2およびTLR4は、線毛に反応して細胞活性化を媒介するが、他のPRR(すなわち、CD14およびCD11b/CD18)は、線毛の認識に関与する。
【0114】
イミダゾキノリン
TLR6およびTLR2を結合するマイコプラズマリポタンパク質
アシル化リポペプチド、例えば、ジアシル化マイコプラズマリポペプチド(マクロファージ活性化リポペプチド2kDa(MALP−2)と呼ばれる)またはトリアシル化細菌リポペプチド
スタフィロコッカスエピデルミディスから分泌されるフェノール可溶性モジュリン;スタフィロコッカスエピデルミディスは、マクロファージを刺激するフェノール可溶性モジュリン(PSM)と呼ばれるペプチド基を放出する。3つのペプチド(PSMα、PSMβ、およびPSMγ)の構造は既述である。我々は、fMSIVSTIIEVVKTIVDIVKKFKKという構造を有する23merである第4のペプチド(PSMδ)について報告する。
【0115】
さらなる例としては、補体カスケード由来のタンパク質が挙げられる。
【0116】
4.特に好適な実施態様
表3に特に好適な実施態様を示す。
【0117】
【化1】

【実施例】
【0118】
I.製造
1.バインダーの製造
ペプチド
体外でオリゴペプチドおよタンパク質(oligopeptides an proteins)を生産する方法は、当業者には公知である。そのようなオリゴペプチドを提供する元々の手順は、1963年にMerrifieldによって公開されている[R.B.Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149(1963);B.D.Larsenら、J.Am.Chem.Soc.115,6247(1993);D.D.Smithら、J.Peptide Protein Res.44,183(1994);M.J.O’Donnellら、J.Am.Chem.Soc.118,6070(1996)。
【0119】
合成ペプチド(非天然アミノ酸等)、環状ペプチド、ペプチド模倣物
上記手順に多くの改良および拡張が行うことによりこの方法に高い柔軟度を持たせた。それらの改良には、非天然アミノ酸の組込み[Ishida,H.、およびInoue,Y.(1999)Peptides that contain unnatural amino acids:Toward artificial proteins.Reviews on Heteroatom Chemistry,19,79−142;O’Donnell,M.J.,Lugar,C.W.,Pottorf,R.S.,Zhou,C.,Scott,W.L.、およびCwi,C.L.(1997)Solid−phase synthesis of unnatural amino acids using unactived alkyl halides.Tetrahedron Lett.,38,7163−7166;Scott,W.L.,Zhou,C.,Fang,Z.、およびO’Donnell,M.J.(1997)The solid synthesis of alpha,alpha−disubstituted unnatural amino acids and peptides(di−UPS).Tetrahedron Lett.,38,3695−3698.]および環状ペプチドの産生[Zhang,L.S.、およびTam,J.P。(1997)Synthesis and application of unprotected cyclic peptides as building blocks for peptide dendrimers.J.Amer.Chem.Soc.,119,2363−2370.;Koppitz,M.,Huenges,M.,Gratias,R.,Kessler,H.,Goodman,S.L.、およびJonczyk,A.(1997)Synthesis of unnatural lipophilic N−(9H−fluoren−9−yl−methoxy)carbonyl−substituted alpha−amino acids and their incorporation into cyclic RGD−peptides:A structure activity study.Helv.Chim.Acta,80,1280−1300.;Gobbo,M.,Biondi,L.,Cavaggion,F.,Filira,F.,Piek,T.,Mantel,P.、およびRocchi,R.(1997)Synthesis and biological activities of head−to−tail cyclic bradykinin analogues of varying ring size.Int.J.Peptide Prot.Res.,50,336−341;Eichler,J.、およびHoughten,R.A.(1997)Synthesis of cyclic disulfide peptides:Comparison of oxidation methods.Protein Peptide Lett.,4,157−164;Blackburn,C.、およびKates,S.A.(1997)Solid−phase synthesis of cyclic homodetic peptides.Methods Enzymol.,289,175−198,Tam,J.P.、およびLu,Y.A.(1998)A biomimetic strategy in the synthesis and fragmentation of cyclic protein.Protein Sci.,7,1583−1592が含まれる。
【0120】
ペプチド配列への非天然アミノ酸の組み込みは、ペプチドの機能(例えば、結合特性)にさらに柔軟性を与える一方、反応選択的化学機能を導入するさらなる手段も提供する。
【0121】
より大きなタンパク質は、C末端チオエステルおよびN末端システインを有する2つ以上の小型のペプチドの天然化学連結により効率よく合成することができる[PNAS|December 19,2000|vol.97|no.26|14074−14078;Chemical synthesis and spontaneous folding of a multidomain protein:Anticoagulant microprotein S ilman M.Hackeng,Jose A.Fernandez,Philip E.Dawson,Stephen B.H.Kent,John H.Griffin]。
【0122】
固相合成の汎用的方法以外に、オリゴペプチドおよび低分子量タンパク質を産生する生物学的システムが当業者に公知である[Protein Expr Purif.2006 Apr 25;Extracellular production of human cystatin S and cystatin SA by Bacillus subtilis。Akiba S,Hayashi Y,Hakamada Y,Endo K,Ara K,Kawai S,Saitoh E.120aa]。
【0123】
ペプチドリピート
ペプチドリピートは、上記の方法を用いて産生および精製することができる。
【0124】
マイクロプロテイン(シスチンノット等)
マイクロプロテインは、固相合成によって効率よく産生することができ[Olga Avrutina,Hans−Ulrich Schmoldt,Harald Kolmar,Ulf Diederichsen、Fmoc−Assisted Synthesis of a 29−Residue Cystine−Knot Trypsin Inhibitor Containing a Guaninyl Amino Acid at the P1−Position,European Journal of Organic Chemistry,2004,23,4931−4935]、さらに、システインノットタンパク質等のマイクロタンパク質を産生する方法が公知である[Schmoldt HU,Wentzel A,Becker S,Kolmar H.A fusion protein system for the recombinant production of short disulfide bond rich cystine knot peptides using barnase as a purification handle.Protein Expr Purif.2005 Jan;39(1):82−9.]。
【0125】
免疫グロブリン(免疫グロブリンフラグメント、scFvs、ドメイン等)
ヒトまたは動物免疫グロビンタンパク質(Human or animal immunoglobin proteins)は、哺乳動物細胞株[Curr Opin Biotechnol.1995 Oct;6(5):553−60.Production of monoclonal antibodies in COS and CHO cells.Trill JJ,Shatzman AR,Ganguly S.]および原核生物[Curr Opin Biotechnol.2004 Aug;15(4):364−73.Prokaryotic expression of antibodies and affibodies.Fernandez LA.]において産生することができる。
【0126】
オリゴヌクレオチド(DNAオリゴヌクレオチド(アプタマー)、RNAオリゴヌクレオチド(アプタマー)、オリゴヌクレオチド類似体(PNA、DNA/RNAキメラ等)
DNAオリゴヌクレオチオド(DNA oligonucleotiodes)および修飾誘導体(例えば、ホスホチエートDNA/RNA(phosphotiate DNA/RNA))は、固相方法により体内において優れた収率および純度で任意の配列を有するとともに、最大で30〜80個のヌクレオチドに相当する長さに合成することができる。専門家にはいくつかの方法が公知である[Caruthers MH,Beaton G,Wu JV,Wiesler W.Chemical synthesis of deoxyoligonucleotides and deoxyoligonucleotide analogs.Methods Enzymol.1992;211:3−20.;Caruthers MH,Beaton G,Cummins L,Graff D,Ma YX,Marshall WS,Sasmor H,Norris P,Yau EK.Synthesis and biochemical studies of dithioate DNA.;Ciba Found Symp.1991;158:158−66;discussion 166−8.;Caruthers MH,Beaucage SL,Becker C,Efcavitch JW,Fisher EF,Galluppi G,Goldman R,deHaseth P,Matteucci M,McBride Lら、Deoxyoligonucleotide synthesis via the phosphoramidite method.Gene Amplif Anal.1983;3:1−26.]。
【0127】
天然塩基(C、T、A、G、U)の組み込みに加えて、長さが選択可能なオリゴヌクレオチド5’アミノリンカー、長さが選択可能な3’アミノリンカー、またはチオール基のカップリングを用意にする人工的な塩基をオリゴヌクレオチドに組み込むことができる。
【0128】
2.リンカーの製造
直線リンカー
上記バインダーおよびエフェクターは、共有結合することができる。各種の機能を共有結合するための適切な反応条件は当業者に公知である[Henson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]。これらは、通常、ある要素(ドメイン)と他の要素(ドメイン)とを直接反応させる前に活性化を行うことを必要とする。そのような反応スキームの例としては、カルボジイミドによる一方のパートナーのカルボキシ部分の活性化、および反応中間体とアミノ基を持つ第2の要素との接触が挙げられる[Hoare DG,Koshland DE,J.Am.Chem.Soc.88,2057;Chu,BCF,Kramer FR,Orgel LE,Nuc.Ac.Res.14,5591−5603]。
【0129】
小型リンカー
ホモオリゴ官能性リンカー、オリゴ−アルコール、オリゴ−アミン、オリゴ−カルボン酸、チオールによる統計的カップリング
ジオール、トリオール、ジアミン、ジカルボイキシリック酸(dicarboyxylic acids)のような低分子物質は、バインダーおよびエフェクターのカップリングのための反応性足場として用いることができる。そのような低分子量足場の例としては、例えば、ギルセロール(gylcerol)、ヘキサンジアミン、コハク酸がある。通常、反応基の活性化の後に、バインダーおよびエフェクターと反応させて反応生成物の統計的混合物を得ることができる。
【0130】
実験条件は、[Henson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]において見ることができる。これに加えて、多数活性化した場合、上記要素のカップリングを容易にする二官能性連基(a number if activated bifunctional liniking groups)を利用することができる(これらの例としては、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)、ジスクシンイミジルスベラート、ジスクシンイミジルトラトレート(Disuccinimidyl tratrate)がある[Henson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]。
【0131】
ヘテロオリゴ官能性リンカーによる明確な化学論(defined stochiometry)
ヘテロオリゴ官能性リンカーは、化学論的に(stochiometrically)明確なバインダーとエフェクターの組み合わせの形成のための反応性足場として用いることができる。そのような足場は、バインダーおよびエフェクターに対して個別にカップリング可能な2つの直交官能基を特徴とする。
【0132】
そのような二官能性足場またはα−アミノ酸の例[NH2、COOH]、ヒドロキシ酸[OH、COOH]。これらの機能を選択的かつ個別にカップリングする方法は専門家には公知である[Henson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]。さらに、多数の活性ヘテロ二官能性リンカーが公知である。これらの例としては、一方の要素のアミン基と他方の要素のスルフヒドリル基とを反応させるN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナートおよびその誘導体、スクシンイミドリオキシカルボニル(succinimidlyoxycarbonyl)−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチラートがある[Henson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]。
【0133】
ポリマーリンカー(親水性および親油性ポリマー)
ホモ多官能性リンカーによる統計的カップリング
HPMA
ポリリジン
ヒドロイエチルセルロース(hydroyethylclellulose)、ヒドロキシエチルスターチ
アミノデキストラン
コプリマー(Coplymers)
高分子量高分子足場を用いて、結合およびエフェクター要素を統計的方法でカップリングすることができる。高分子足場の活性化により、結合および反応との足場の反応。分岐高分子足場
分岐PEG
デンドリマー
ヘテロオリゴ官能性カップリングによる明確な化学論(defined stochiometry)
ポイルペプチド(Poylpeptides)
官能化活性ポリマー
PEG
ポリウレタン
最も好適な実施態様では、上記リンカーはポリテヒレングリコール(polytehylenglycol)である。
【0134】
リンカーの組み合わせおよび共ポリマー
3.エフェクターの製造
ペプチドおよび免疫刺劇要素(Immunostimutating element)
先天性免疫系を刺激するオリゴマー
オリゴペプチドおよびポリペプチド
ペプチド
未修飾ペプチド
fM−ペプチド
上述の方法は、ペプチドの産生に適用することができる。ペプチドの合成において非天然アミノ酸をモノマーとして用いることにより当該ペプチドの改変を行うことができる。
【0135】
代替的な手法では、上記合成ペプチドは、合成語に修飾される。これは、好ましくは、固相からの合成物の脱保護および放出の前に行い、修飾後の反応物の単離を容易にする。この合成手法により、例えば、最初に、ペプチド配列を合成し、N末端メチオニン残基を組み込むことによってN−メチル−ホルミル化ペプチドを生成することができる。次いで、この残基を2,4,5−トリクロロフェニルホルマートと反応させてホルミル化生成物を得ることができる[PNAS.99(14);Jul 9,2002,Scott BaskervilleおよびDavid P.Bartel,A ribozyme that ligates RNA to protein]。次いで、この生成物を逆相HPLCのような当業者に公知の標準的な方法により精製することができる。
【0136】
細菌細胞壁由来のペプチドグリカン
リポペプチド
例えば、アシル化リポペプチド、例えば、ジアシル化マイコプラズマリポペプチドまたはトリアシル化細菌リポペプチドおよびトライアシルリポペプチド(tryacyl lipopeptide)(Pam3CSSNA)、ジアミノピメリン酸含有デスムラミールペプチド(desmuramyl peptide)(γ−D−グルタミル−メソ−DAP;iE−DAP)、およびムラミールジペプチド(MDP)
細菌由来のタンパク質
細菌由来の凝集物/アドヘシネ(adhesines)、例えば、表面接着剤として機能するネズミチフス菌由来の線毛サブユニット(CsgA)または(ポルフィロモナスジンジバリス由来の)線毛
細菌由来のフラジェリン
細菌由来のNアセチル化伸長因子、例えば、大腸菌由来のTu(EF−Tu)
細菌由来の外膜タンパク質、例えば、肺炎桿菌(KpOmpA)
細菌タンパク質は、当業者に公知の生物工学的生産およびタンパク質精製法の標準的な方法により高い収率および純度で産生することができる[Sambook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition−Cold Spring Harbor Laboratory Press(Januar 2001)]。N−ホルミル化細菌または異種タンパク質のような免疫刺激効果を与える修飾タンパク質は、[Protein Expr Purif.2003 Dec;32(2):317−22.Expression of N−formylated proteins in Escherichia coli.Spector S,Flynn JM,Tidor B,Baker TA,Sauer RT]に記載されるよう産生することができる。
【0137】
抗体由来のタンパク質
抗体のFc部
抗原由来のタンパク質
中和抗体由来の抗原
補体カスケードを誘導する抗原
自己免疫版応(autoimmune reations)由来の抗原
このようなタンパク質を原核および真核宿主における異種発現により産生する多数の方法が公知である。
【0138】
オリゴヌクレオチド
細菌由来のCpG含有DNA
上述のような固相合成法を適用することができる。
【0139】
ウイルスのdsRNA
オリゴ糖質または多糖質
マンノース含有オリゴ糖質または多糖質
酵母および細菌細胞壁由来のマンナンおよび/またはマンノース残基(フコース)
蠕虫由来のラクト−N−フコペンタオースIII(LNFPIII)
修飾オリゴ糖質または多糖質
細菌由来のLPS
病原体上の糖脂質様分子
先天性免疫系を刺激する小分子
イミダゾキノリン
ホスホコリン
4.表3に示す実施態様のリストの作成
好適な実施態様のリストの作成を以下に説明する。下記の各項目は、表3の対応項目に関する。下記に示すバインダーおよびエフェクター部分は単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。バインダーの他の例については表1に示している。エフェクターの他の例は上記に示している(「3.エフェクターの例」)。当業者は、バインダー部分およびエフェクター部分が他のバインダーおよびエフェクター部分とどのようにして置き換えられるかを理解している。特に、当業者は、他の配列のペプチドを合成するためにどのようにペプチド固相合成条件を適合させればよいか、および各種のペプチド配列を特定の試薬または固形担体にカップリングする場合に、どのように化学的カップリング手順を適合させればよいかを理解している。
【0140】
ペプチドバインダー:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニン
固相合成法により、C末端に単一の固有リジン残基を有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Cys残基をC末端に有する配列form−MMYALFCのペプチドのエフェクターを合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。
【0141】
[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物YHWYGYTPQNVIK−PEG−MALをエフェクターペプチド(form−MMYALFC)と反応させて所望の反応生成物YHWYGYTPQNVIK−PEG−(form−MMYALFC)を得る。
【0142】
ペプチド:分岐PEG:N−ホルミルメチオン(N−FormylMethione)
固相合成法により、C末端に単一の固有リジン残基を有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Lys残基をC末端に有する配列form−MMYALFKのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。リンカー分子として、4−アームPEG−スクシンイミジルグルタラート(アイテム番号P4SG−20、SunBio 57 Claremont Avenue,Orinda,CA94563,USA)を活性リンカーとして用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、ペプチドバインダーおよびペプチドエフェクターを同時に活性リンカーと反応させる。この反応により一般組成が(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−(form−MMYALFK)(ここで、x+y≦4)の生成物を得る。実験者者(experimentator)は、バインダーペプチドおよびエフェクターペプチドの開始濃度を適切に選ぶことで化学論因子(stochiometric factors)xおよびyを決定することができる。バインダーペプチドのリジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。
【0143】
マイクロプロテイン:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニン
[He−Shu Luら、Crystal Structure of Human Epidermal Growth Factor and Its Dimerization、THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,Vol.276,No。37,Issue of September 14,pp.34913−34917,2001]に記載の方法により、C末端にリジン残基を有するEGFミロタンパク質バインダー(EGF miroprotein binder)を合成する。固相合成法により、Cys残基を有する一般配列form−MMYALFCのミロタンパク質バインダーを合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物EGF−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物EGF−PEG−MALをエフェクターペプチド(form−MMYALFC)と反応させて所望の反応生成物EGF−PEG−(form−MMYALFC)を得る。
【0144】
マイクロプロテイン:分岐PEG:N−ホルミルメチオン(N−FormylMethione)
[He−Shu Luら、Crystal Structure of Human Epidermal Growth Factor and Its Dimerization、THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,Vol.276,No。37,Issue of September 14,pp.34913−34917,2001]に記載の方法により、C末端にリジン残基を有するEGFミロタンパク質バインダー(EGF miroprotein binder)を合成する。固相合成法により、リジン残基を有する一般配列form−MMYALFKのミロタンパク質バインダーを合成する。リンカー分子として、4−アームPEG−スクシンイミジルグルタラート(アイテム番号P4SG−20、SunBio 57 Claremont Avenue,Orinda,CA94563,USA)を活性リンカーとして用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、ペプチドバインダーおよびペプチドエフェクターを同時に活性リンカーと反応させる。この反応により一般組成が(EGF)−PEG−(form−MMYALFK)(ここで、x+y≦4)の生成物を得る。実験者者(experimentator)は、バインダーペプチドおよびエフェクターペプチドの開始濃度を適切に選ぶことで化学論因子(stochiometric factors)xおよびyを決定することができる。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。
【0145】
ペプチド模倣バインダー:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニン
[Nat Chem Biol.2006 Jul;2(7):381−9.Epub 2006 Jun 11,Combinatorial chemistry identifies high−affinity peptidomimetics against alpha(4)beta(1)integrin for in vivo tumor imaging.Peng L,Liu R,Marik J,Wang X,Takada Y,Lam KS.]に示される方法により、α(4)β(1)インテグリンに対するアミノリンカーを有するペプチド模倣高親和性バインダーを合成する。固相合成法により、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Cys残基をC末端に有する配列form−MMYALFCのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物バインダー−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物バインダー−PEG−MALをエフェクターペプチド(form−MMYALFC)と反応させて所望の反応生成物バインダー−PEG−(form−MMYALFC)を得る。
【0146】
ペプチド模倣物:分岐PEG:N−ホルミルメチオン(N−FormylMethione)
[Nat Chem Biol.2006 Jul;2(7):381−9.Epub 2006 Jun 11,Combinatorial chemistry identifies high−affinity peptidomimetics against alpha(4)beta(1)integrin for in vivo tumor imaging.Peng L,Liu R,Marik J,Wang X,Takada Y,Lam KS.]に示される方法により、α(4)β(1)インテグリンに対するアミノリンカーを有するペプチド模倣高親和性バインダーを合成する。固相合成法により、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Lys残基をC末端に有する一般配列form−MMYALFKのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。リンカー分子として、4−アームPEG−スクシンイミジルグルタラート(アイテム番号P4SG−20、SunBio 57 Claremont Avenue,Orinda,CA94563,USA)を活性リンカーとして用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、ペプチドバインダーおよびペプチドエフェクターを同時に活性リンカーと反応させる。この反応により一般組成が(バインダー)−PEG−(form−MMYALFK)(ここで、x+y≦4)の生成物を得る。実験者者(experimentator)は、バインダーペプチドおよびエフェクターペプチドの開始濃度を適切に選ぶことで化学論因子(stochiometric factors)xおよびyを決定することができる。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。
【0147】
DNAバインダー:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニン
固相合成法により、3’末端に単一の固有スルフディドリル残基(sulfdydryl residue)を有する一般配列N−スペーサー−SHのDNAアプタマーを合成する。この固相合成法を用いて、単一の固有Lys残基をC末端に有する配列form−MMYALFKのN−ホルミル−メチオニンペプチドを合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、エフェクターペプチドのC末端リシンをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物form−MMYALFK−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。この反応の終了後、当業者に公知のクロマトグラフ法により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物form−MMYALFK−PEG−MALをDNAアプタマーNNNNN−スペーサー−SHと反応させて所望の反応生成物form−MMYALFK−PEG−スペーサー−NNNNNを得る。
【0148】
DNA:分岐PEG:N−ホルミルメチオン(N−FormylMethione)
固相合成法により、3’末端に単一の固有スルフディドリル残基(sulfdydryl residue)を有する一般配列N−スペーサー−SHのDNAアプタマーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Lys残基をC末端に有する配列form−MMYALFKのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。リンカー分子として、4−アームPEG−スクシンイミジルグルタラート(アイテム番号P4SG−20、SunBio 57 Claremont Avenue,Orinda,CA94563,USA)を活性リンカーとして用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、ペプチドバインダーおよびペプチドエフェクターを同時に活性リンカーと反応させる。この反応により一般組成が(form−MMYALFK)−PEG−(スペーサー−N(ここで、z+y≦4)の生成物を得る。実験者者(experimentator)は、バインダーペプチドおよびエフェクターペプチドの開始濃度を適切に選ぶことで化学論因子(stochiometric factors)xおよびyを決定することができる。
【0149】
ペプチド:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニ(N−FormylMethionie)ペプチド模倣物
固相合成法により、C末端に単一の固有リジン残基を有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチド模倣物であって、単一の固有Cys残基をペプチド模倣エフェクターのC末端に有する配列form−M−XCのペプチド模倣物を合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物(YHWYGYTPQNVIK−)PEG−MALをペプチド模倣エフェクターform−M−XCと反応させて所望の反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−(form−M−XC)を得る。
【0150】
ペプチド:直鎖PEG:小分子 上述した当業者に公知の方法により、小分子を直鎖PEGにカップリングすることができる。
【0151】
多価エフェクターデンドリマー
Kantchevら(Biopolymers.2006;84(2):232−40)に詳述されるように、多価エフェクターデンドリマーを得るために、機械による直接Fmoc/TBu固相ペプチド合成を利用した純粋な単分散第3世代マンノシル化ポリ−L−リシンデンドリマー−ペプチド結合体を調製することができる。
【0152】
高MW高分子足場に統計的にカップリングしたバインダーおよびエフェクター
[Ulbrich K.ら;Polymeric drugs based on conjugates of synthetic an natural macromolecules,J.of Controlled Release,64,2000,63−79]に示される実験手順を用いて、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)と一般組成MA−(Xn)−oNPのメタクリロイル−ペプチド−4−ニトロフェニルエステルの共重合によりポリマー前駆体を調製する。固相合成法により、単一の固有リジン残基をC末端に有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Lys残基をC末端に有する配列form−MMYALFKのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。次いで、[Ulbrich K.ら;Polymeric drugs based on conjugates of synthetic an natural macromolecules,J.of Controlled Release,64,2000,63−79]に示される方法により、ポリマー前駆体を、アミノ分解により(aminolytically)ポリマーのoNP部分と反応するバインダーペプチドおよびエフェクターペプチドと連続して反応させる。この反応の生成物は、バインダーおよびエフェクター機能の統計分布を有する安定した高MW高子分薬剤(stable high−MW poylmeric drug)であり、ポリマーのバインダーおよびエフェクターの平均置換勾配(mean binder and effector substitution grades)は、ポリマー前駆体の調製時の濃度反応物の実験的選択、バインダーおよびエフェクター群のアミノ分解結合により求められる。
【0153】
要素の共重合ステーション(Copolymeristation)(メタアクリレート)
a)[Ulbrich K.ら;Polymeric drugs based on conjugates of synthetic an natural macromolecules,J.of Controlled Release,64,2000,63−79]に示される実験手順を用いて、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)と一般組成MA−(YHWYGYTPQNVI)のメタクリロイル−バインダーペプチド−4−ニトロフェニルエステルおよび一般組成form−MMYALF−MAのメタクリロイル−エフェクターペプチド−4−ニトロフェニルエステルの共重合によりポリマー前駆体を調製する。この反応の生成物は、バインダーおよびエフェクター機能の統計分布を有する安定した高MW高子分薬剤(stable high−MW poylmeric drug)であり、ポリマーのバインダーおよびエフェクターの平均置換勾配(mean binder and effector substitution grades)は、重合物質の調製時の反応物の濃度の実験的選択により求められる。
【0154】
b)[Jackson DC,Free radical Polymerisation of synthetic peptides into polymeric immunogens,Vaccine,15(15),1697−1705,1997]に示される実験手順を用いて、アクリロイル残基をN末端に有する配列アクリロイル−YHWYGYTPQNVIのペプチドバインダーを合成する。[Jackson DC,Free radical Polymerisation of synthetic peptides into polymeric immunogens,Vaccine,15(15),1697−1705,1997]に示される実験手順を用いて、アクリロイル残基をN末端に有する配列アクリロイル−YHWYGYTPQNVIのペプチドエフェクターを合成する。[Jackson DC,Free radical Polymerisation of synthetic peptides into polymeric immunogens,Vaccine,15(15),1697−1705,1997]に示される実験手順を用いて、上記ペプチドエフェクターおよびエフェクターペプチドを共重合して上記活性重合物質を得る。
【0155】
ペプチドバインダー:ポリリジン:マンノシル残基
a)[Kantchev EABら、Direct Fmoc/terTBu solid phase synthesis of Octomannosyl Poylylsine dendrimer−peptide conjugates,Biopolymers.2006;84(2):232−40]に示される方法を用いて、一般組成YHWYGYTPQNVI−(ポリリジン−デンドリマー)−(マンノシル)の活性物質であって、YHWYGYTPQNVI部分がバインダーペプチドであり、ポリリジンがリンカー要素であり、マンノシル残基がエフェクター要素である活性物質を合成する。
【0156】
b)[Kantchev EABら、Direct Fmoc/terTBu solid phase synthesis of Octomannosyl Poylylsine dendrimer−peptide conjugates,Biopolymers.2006;84(2):232−40]に示される方法を用いて、一般組成YHWYGYTPQNVI−(ポリリジン−デンドリマー)−(form−MMYALF)の活性物質であって、YHWYGYTPQNVI部分がバインダーペプチドであり、ポリリジンがリンカー要素であり、form−MMYALFがエフェクターペプチドである活性物質を合成する。
【0157】
c)[Kantchev EABら、Direct Fmoc/terTBu solid phase synthesis of Octomannosyl Poylylsine dendrimer−peptide conjugates,Biopolymers.2006;84(2):232−40]に示される方法を用いて、一般組成YHWYGYTPQNVI−(ポリリジン−デンドリマー)−(form−MMYALF)の活性物質であって、YHWYGYTPQNVI部分がバインダーペプチドであり、ポリリジンがリンカー要素であり、form−MMYALFがエフェクター要素である活性物質を合成する。
【0158】
d)[Kantchev EABら、Direct Fmoc/terTBu solid phase synthesis of Octomannosyl Poylylsine dendrimer−peptide conjugates,Biopolymers.2006;84(2):232−40]に示される方法を用いて、一般組成WKYMVm−(ポリリジン−デンドリマー)−(YHWYGYTPQNVI)の活性物質であって、YHWYGYTPQNVI部分がバインダーペプチドであり、ポリリジンがリンカー要素であり、WKYMVmがエフェクター要素である活性物質を合成する。
【0159】
ペプチドバインダー:直鎖PEG:N−ホルミルメチオニン
固相合成法により、単一の固有リジン残基をC末端に有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、N−ホルミル−メチオニンを有するペプチドであって、単一の固有Lys残基をC末端に有する配列form−MMYALFKのペプチドのエフェクターペプチドを合成する。二官能活性N−スクシンイミジルエステル−PEG−N−スクシンイミジルエステル(NHS−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号4K4K0L02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996]に詳述される標準的な生化学的方法により、バインダーペプチドおよびエフェクターペプチドを同時に、用意したリンカー分子と反応させる。この反応の終了後、所望の生成物YHWYGYTPQNVIK−PEG−(form−MMYALFK)を単離するために、当業者に公知の標準的なクロマトグラフ法により、結果生じた分子生成種(YHWYGYTPQNVIK−PEG−(form−MMYALFK)、YHWYGYTPQNVIK−PEG−(YHWYGYTPQNVIK)、form−MMYALFK−PEG−(form−MMYALFK)、YHWYGYTPQNVIK−PEG、form−MMYALFK−PEG)の混合物と過剰抽出物とを分離する。
【0160】
ペプチド:直鎖PEG:ペプチド模倣物FPRL2バインダー
固相合成法により、単一の固有リジン残基をC末端に有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、単一の固有Cys残基をペプチド模倣物エフェクターのC末端に有する配列(X)Cのペプチド模倣物FPRL2バインダー[Migeotte I.ら、Identification and characterization of an endogenous chemotactic ligand specific for FPRL2 The Journal of Experimental Medicine Vol.201,No.1,January 3,2005 83−93を参照されたい]を合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物(YHWYGYTPQNVIK−)PEG−MALをペプチド模倣物FPRL2バインダーと反応させて所望の反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−((X)C)を得る。
【0161】
ペプチド:直鎖PEG:c末端D−Methを有するペプティド(Peptid)
固相合成法により、単一の固有リジン残基をC末端に有する配列YHWYGYTPQNVIKのペプチドバインダーを合成する。この固相合成法を用いて、D−メチオン(D−Methione)(m)残基をC末端に有するとともに、単一の固有Cys残基をペプチド模倣物エフェクターのN末端に有する配列CWKYMVmのエフェクターペプチド[Yang D,Chen Q,Gertz B,He R,Phulsuksombati M,Ye RD,Oppenheim JJ.,Human dendritic cells express functional formyl peptide receptor−like−2(FPRL2) throughout maturation,J Leukoc Biol.2002 Sep;72(3):598−607を参照されたい]を合成する。多官能活性マレイミド−PEG−N−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG−NHS)NEKTAR製品カタログ、アイテム番号2E4M0H02)をリンカー分子として用意する。[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]に詳述される標準的な生化学的方法により、まず、バインダーペプチドをリンカーのNHS部分と反応させ、反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−MALを得ることができる。これらの条件下では、リンカーのMAL部分は、スルフディドリル機能(sulfdydryl functions)がない場合には本質的に安定する。リジン残基のε−アミノ基に対するカップリングに応じて、ペプチドのアミノ末端に対するカップリングが発生し得る。この反応の終了後、クロマトグラフ法[Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996,228−245]により過剰抽出物を除去し、引き続き、精製反応生成物(YHWYGYTPQNVIK−)PEG−MALを配列CWKYMVmのエフェクターペプチドと反応させて所望の反応生成物(YHWYGYTPQNVIK)−PEG−(CWKYMVm)を得る。
【0162】
固相合成によるデンドリマー
固相法を用いて、ポリエチレングリコールスペーサー(Novabiochem,Cat.No.01−63−0150 Fmoc−NH−(PEG)27−COOH)がバインダーペプチドのC末端と接合する配列YHWYGYTPQNVIK−PEG−COOHを有するバインダーペプチドを合成する。このペプチドを脱保護することなく固相担体から切断する。固相法を用いて、ポリエチレングリコールスペーサー(Novabiochem,Cat.No.01−63−0150 Fmoc−NH−(PEG)27−COOH)がエフェクターペプチドのC末端と接合する配列form−MMYALF−PEG−COOHを有するN−ホルミル−メチオニン−エフェクターペプチドを合成する。このペプチドを脱保護することなく固相担体から切断する。
【0163】
[Kantchev EABら、Direct Fmoc/terTBu solid phase synthesis of Octomannosyl Poylylsine dendrimer−peptide conjugates,Biopolymers.2006;84(2):232−40]に示される方法を用いて、ポリリジンデンドリマーを合成する。保護バインダーペプチド(YHWYGYTPQNVIK−PEG−COOH)および保護エフェクターペプチド(form−MMYALF−PEG−COOH)を同時にポリルシンデンドリマー(Polylsine dendrimer)と反応させて、実験条件および用意されたバインダーおよびエフェクターペプチドの濃度の選択による一般化学論係数(general stochiometric coefficients)xおよびyを有する所望の反応生成物(form−MMYALF−PEG)x−COOHポリリジン−(YHWYGYTPQNVIK−PEG−COOH)yを得る。
【0164】
直鎖ペプチド結合体
代替的な手法では、当業者に公知の方法でペプチド結合体を合成することができる。この化合物は、1つ以上のバインダーペプチド、1つのリンカーペプチド、および1つ以上のエフェクターペプチドを含み、全てがペプチド結合で連結される。好適な実施態様では、エフェクターペプチドはform−MMYALFであり、リンカーペプチドはポリリジンK(n)であり、バインダーペプチドはYHWYGYTPQNVIである。好ましくは、配列form−MMYALF−(K)N−YHWYGYTPQNVIを有する直鎖ペプチド結合体が合成されるが、nは0〜50の範囲、好ましくは、0〜10の範囲である。n=0の場合、バインダーおよびエフェクター部分は単一のペプチド結合で連結される。他の好適な実施態様では、エフェクターペプチドはホルミル−Met−Leu−Phe(fMLP)であり、リンカーペプチドはポリリジンK(n)であり、バインダーペプチドはAWYPLPPであり、nは0〜50の範囲、好ましくは、0〜10の範囲である。
【0165】
分岐ペプチド結合体
代替的な手法では、当業者に公知の方法で、ペプチドおよびアミド結合で連結された1つ以上のバインダーペプチド、1つのリンカーペプチド、および1つ以上のエフェクターペプチドを含むペプチド結合体を合成することができる。エフェクターペプチドform−MMYALF、リンカーペプチドポリリジンK(n)、バインダーペプチドYHWYGYTPQNVIを選んで、配列form−MMYALF−(K)N−YHWYGYTPQNVIを有する直鎖ペプチド結合体を合成するが、nは1〜50の範囲、好ましくは、1〜10の範囲である。第2の基質として、バインダーペプチドYHWYGYTPQNVIを当業者に公知の方法で合成する。続いて、Hermansonら、1996(Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996)で詳述するように、バインダーペプチドをCDIカップリングによる直鎖ペプチド結合体と反応させてリンカー領域のリジン残基のεアミノ機能とバインダーペプチドのカルボキシ末端間にアミド連結部を生じ、一般組成form−MMYALF−(K)n−(YHWYGYTPQNVI)m−YHWYGYTPQNVI分岐ペプチド結合体を得る(ここで、nは1〜50の範囲、好ましくは、1〜10の範囲であり、mは1〜nの範囲である)。分岐数mは、実験者者(eperimentator)が反応条件を選ぶこと、特に、基質の濃度を変更することにより決定される。
【0166】
化学的カップリングを有する固相合成による分岐ペプチド
Tamら、1988(Tam,J.P.,PNAS USA 85,5409−5413,1988)に従って3層リシンコア(three level lysine core)とカップリングされた配列NH2−MQLPLATCOOHの8個の結合ペプチドを有する多重ペプチドデンドリマーを固相合成により合成する。固相合成法を用いて、配列form−MLP−COOHを有するエフェクターペプチドを合成する。続いて、Hermansonら、1996(Hermanson GT.,Bioconjugate techniques,Academic Press 1996)で詳述するように、エフェクターペプチドをCDIカップリングによる分岐ペプチドデンドリマーと反応させてバインダーペプチドデンドリマーのαアミノ基とエフェクターペプチドのカルボキシ末端間にアミド連結部を生じ、一般組成(fMLP)m−(MQLPLATGGG)8−(K)4−(K)2−K−βAの分岐ペプチド結合体を得る。分岐数mは、実験者者(eperimentator)が反応条件を選び、バインダーペプチドデンドリマーに対するエフェクトットペプチド(effectot peptide)の半化学論的カップリング(substochiometric coupling)を生じることにより決定される。
【0167】
固相合成による分岐ペプチド
Sheridanら(Sheridan JM、Hayes GM、Austen BM.、Pept Sci。1999 Dec;5(12):555−62)に記載の方法を用いて、固相合成により分岐ペプチドを直接調製する。Dde保護リジン残基をペプチドの合成における分岐点として用いて、エフェクターfMLP−COOHおよび2つのバインダーNH2−MQLPLATCOOHを含む式fMLPK−(NH2−MQLPLAT)−GGGK−(NH2−MQLPLAT)−I−COOHの分岐結合体を合成する。
【0168】
試薬:Tl(tfa)3(Sigma:Aldrich,UK)、Fmoc−アミノ酸(PE Applied Biosystems,UK、およびAlexis Corporation,UK)、PyBOP(Calbiochem−Novabiochem(UK)Ltd,UK)、ヒドラジン一水和物(Sigma:Aldrich)、1%TNBS:DMFおよび無水酢酸(Fluka Chemicals,UK)。全ての溶媒(およびDIEA)はSigma:Aldrichから購入できる。
【0169】
Fmoc−アミノ酸:PyBOP:DIEA結合を45分間と、Fmoc脱保護反応(DMF中の20%ピペリジン中でv:v)を9分間行うようにプラグラムされたMilligen 9050装置上で連続して流れるDMF中において予め膨らませたFmoc−PAL−PEG−PS樹脂(0.19mmol:g)(PE Applied Biosystems)に対して、固相Fmoc:tBu方法論を用いる。Fmoc脱保護を365nmで監視した。必要であれば、結合またはアセチル化の終了をTNBSで判定した。直径1cmの反応カラムにより2%ヒドラジン:DMF(v:v)を3ml:minで用いて連続流中においてLys(Dde)の選択的脱保護を行う。Ddeの除去を365nmで監視し、TNBSで確認した後、ペプチド樹脂をDMFで洗浄する。樹脂からの最終的な切断およびTFAに不安定な保護基の除去に95%TFA:2.5%TIS:2.5%H2O(v:v)の混合物を2時間室温で用いる。切断した樹脂をろ過により除去し、4mlの純TFAで2回洗浄し、複合ろ液を2mlに蒸発する。氷冷ジエチルエーテル(40ml)を加えてペプチドを沈殿させ、混合物を1000rpmで5分間遠心分離機にかける。このエーテル溶液を他の容器に移し、ジエチルエーテルの抽出をさらに4回行う。Nucleosil 5 C8 300(150_4.6mm)カラムに分析用HPLCを行う(溶媒のグラジエント、A液0.1%aq.TFAおよびB液0.1%TFA:アセトニトリル(v:v)、1ml:minで215nm紫外検出を行う)。同じ溶媒を、分取用HPLCにおいて、225nm紫外検出を行うVydac C4カラム(Hichrom Ltd,UK)に対して用いる。反応が完了した度合いをHPLCエリアから推定する。
【0170】
直鎖ペプチドform−M−L−P−K(Ddee)−G−G−G−K(Dde)−I−PALPEG−PSの調製:樹脂にFmoc−アミノ酸:Py−BOP:DIEAをペプチド−樹脂に関して4:4:8mmolの割合で連続してカップリングする。最初のIleを樹脂に対して二重にカップリングする。この保護ペプチド−樹脂をヒンジ−ループペプチドへの2つの合成経路に対する出発原料として用いる。
【0171】
直鎖エフェクターループペプチドに対するバインダーペプチドの添加:ホルミル−M−L−P−K(Ddee)−G−G−G−K(Dde)−I−PALPEG−PSを上述のように調製し、DMF中で膨らませ、上述のように、連続流中でLys−(Dde)の選択的脱保護を行う。次いで、連続流中で続けてアミノ酸をカップリングする(Fmoc−アミノ酸:PyBOP:DIEA、ペプチド−樹脂に関して8:8:16mmol)。この樹脂をDMF、DCM、およびMeOHで3回洗浄し、高真空下で5時間乾燥させる。上記のTFAカクテルおよびジエチルエーテル粉末を用いて粗ペプチドの最終的な切断および単離を行う。
【0172】
II.アッセイ
1.マンノース受容体の活性化の評価
マンノース、マンナン、マンノース含有分子、フコイダン、ポリグアニル酸(ポリG)化学的修飾および未修飾低密度リポタンパク質(LDL)または任意の他の電位エフェクター分子の活性化電位を測定するために、いくつかのアッセイを採用することができる。それらのいくつかは、MBL(マンノース結合レクチン)、MR(マンノース受容体)またはスカベンジャー受容体(SR)SR−AおよびSR−Bの結合可能性に注目するものである。
【0173】
これらの中には、どのメカニズムが細胞の活性化に重要であるかが分からずに免疫細胞全体を用いるものもある。例えば、単球およびMDM(単球由来マクロファージ)をPAMPで刺激して細胞内サイトカインを産生することは適切な方法である[Mytar B;Inflamm Res.2004 Mar;53(3):100−6.Epub 2004 Feb 16]。
【0174】
結合および内在化アッセイは、マンノース標識分子を用いて実行することができる[Lew D B;J Clin Invest.1994 Nov;94(5):1855−63]。
【0175】
2.FPR受容体の活性化
国際公開公報WO0031261 A1には、FPRL−1の受容体シグナル伝達を誘導し得るポリペプチドまたは非ペプチド化合物のスクリーニングに適した方法が記載されている。この公報に記載されるアッセイは、FPRL−1受容体とアゴニストの相互作用により生じる誘導応答を増強する試験化合物にスコアをつけることができる。
【0176】
WO0031261に開示される方法は、FPR、特に、FPRL−1応答を調節する電位を有するエフェクターの同定に適用可能である。
【0177】
3.免疫調節物質の監視活動
エフェクター候補の活動を評価するために、先天性免疫系とは異なる細胞型の活性化を監視することができる。
【0178】
エフェクター候補(例えば、N−ホルミルメチオニンペプチド、C−D−メチオニンペプチド、未修飾または修飾ペプチド)の活性を測定するために、いくつかのアッセイを採用することができ、それらの中には公知の受容体FPR(ホルミルペプチド受容体)、FPLR1(ホルミルペプチド様受容体)および/またはFPLR2を用いるものがあり、どのメカニズムが細胞の活性化にとって重要かが分からずに免疫細胞全体を用いるものもある。
【0179】
例えば、化学遊走およびCa(2+)動員は、いくつかのin vitroアッセイにおいては、樹枝状細胞の活性化を測定するための顕著な読取パラメータである[Yang,D.ら;J Leukoc Biol.2002 Sep;72(3):598−607,Migeotte,I.ら;J Exp Med.2005 Jan;201(1):83−93]。さらに、cAMP濃度の測定は、β−ヘキソサミニダーゼ分泌または結合アッセイは、樹枝細胞(dendritc cells)の活性化の測定に適用可能である[Migeotte,I.ら;J Exp Med.2005 Jan;201(1):83−93;Haribabu Bら;J Biol Chem.1999;274:37087−37092]。後者の方法は、FPRを発現する細胞と特異的に結合する蛍光架橋バインダーを用いるように修正されている[Mills,J Sら;J Biol Chem 1998 Apr;273(17):10428−10435]。この方法では、FPRを発現するヒト組み換え細胞(CHO)を用いる。
【0180】
異なる細胞株も免疫調節物質の活動の測定に利用可能である。ヒトN−ホルミルペプチド受容体FPRまたはその2つの同族体(FPRL1、FPRL2)を発現するHL−60[Rabiet,M J;Eur J Immunol.2005 Aug;35(8):2486−95]またはラット好塩基白血病細胞株(rat basiophil leukemia cell lines)(FPRFPRL1)[Haribabu Bら;J Biol Chem.1999;274:37087−37092]等の細胞株、これらの受容体を介した細胞内信号伝達を誘発し得る。さらに、免疫調節物質の活性を測定するマウスの空気嚢実験等のin vivoアッセイが記載されている[Chen,Q;J Immunology.2004;173:2652−2659]。
【0181】
III.ホルミルメチオニンペプチドをエフェクターとして有し、肝細胞癌細胞に結合する2つのペプチドをバインダーとして有する化合物
ペプチド配列AWYPLPPは、肝細胞癌細胞を特異的に認識し結合する(Wei−Dong Jiaら、Cancer Lett.2006,Jun 24)。従って、このペプチド配列はバインダーとして用いられる。配列FMLPを有するホルミルメチオニンペプチドはエフェクターとして用いられる。
【0182】
上述のものと同様に(I.4.;「固相合成による分岐ペプチド」)、ペプチド配列AWYPLPPをバインダーとして含む分岐ペプチド化合物を合成する。この合成により、エフェクターfMLP−COOHおよび2つのバインダーNH2−AWYPLPP−COOHを含む式fMLPK−(NH2−AWYPLPP)−GGGK−(NH2−AWYPLPP)−I−COOHを有する分岐結合体が得られるが、エフェクターのホルミルメチオニン、およびバインダー部分のN末端はともに、それぞれの標的構造と自由に相互作用を行うことができる。
【0183】
肝癌細胞は、系統13のオスの離乳モルモット(NIH)においてip(腹腔内)継代により増殖する。上述のような酵素消化により単個細胞浮遊液を調製する。およそ2106個の肝癌細胞の浮遊液を系統13のオスモルモットに腹腔内投与して固形腫瘍を発生させる(1日目)。動物を4つのグループ(各々6匹)に分け、5日目に腹腔内投与を行う:リン酸緩衝食塩水(PBS)(グルーフ1;対照);1匹につき1mgのペプチドNH2−AWYPLPP−COOH(グループ2;バインダーのみ);1匹につき1mgのペプチドfMLP−COOH(グループ3;エフェクターのみ);1匹につき1mgの化合物fMLPK−(NH2−AWYPLPP)−GGGK−(NH2−AWYPLPP)−I−COOH(グループ4)。15日目に動物を屠殺し、腫瘍を切除して重量を測定する。さらに、腫瘍のマクロファージ浸潤を判定する。それゆえ、腫瘍をリン酸緩衝ホルマリン中に固定し、パラフィンブロックに埋め込む。断片(5μm)を切断し、非特異的エステラーゼ活性に関して染色した。エステラーゼ陽性細胞を画像分析器(Optomax,Inc.)で定量化する。
【0184】
典型的な効果を図1および図2に示す。グループ4のモルモット(5日目に化合物を投与)の腫瘍におけるエステラーゼ陽性細胞の数は、対照グループ1(PBS)と比較して大きく増加している。グループ2の動物(バインダーのみ)の腫瘍におけるマクロファージはグループ1と同程度である。グループ3の動物(エフェクターのみ)の腫瘍におけるエステラーゼ陽性細胞もわずかに増加しているが、グループ4(化合物)よりも効果は少ない。グループ4の動物(化合物を投与)の平均腫瘍重量は対照グループ1(PBS)と比べて大きく減少している。グループ2(バインダーのみ)およびグループ3(エフェクターのみ)は、腫瘍サイズについては効果がないか、またはあったとしても僅かである。
【0185】
本発明は、特に、合成構造を用いた場合に以下の利点を可能にする:
−安価で単純な化学合成
−スケールアップが容易
−薬剤(合成化学物質)の化学的性質による承認時間の短縮
−結合ペプチドの生成に標準的な技術を使用、例えば、ファージ提示法(正しい組み合わせに対しては早く、より柔軟)
−柔軟な結合およびエフェクター機能を有する化合物を合成することができる。
および強度(バインダー)x−(エフェクター)y(xおよびy≧1)
−一価〜多価のエフェクター機能までの柔軟性
−いくつかの多価バインダーを用いた設計が可能である(デンドリマーまたは分岐PEG)
−小型化およびペグ化のため免疫原性がない
−スクリーニングのON/Off比および結合定数に適合するとともに、(i)複雑度が低い小型ペプチドおよび(ii)一価〜多価のバインダーを有する設計用足場を最適化する柔軟性が高い
−標的細胞との結合時にのみ、エフェクターの濃度が免疫応答を誘導する程度に十分に高くなるように化合物ごとにエフェクター数を決定することができる(a:エフェクターと受容体の結合強度;b:多価性)
−異なるサイズのPEGの付着、保持分子に対する結合、および安定性により半減期を変更することができる。
【0186】
−(i)小型化、(ii)PEG等のリンカーの影響、および(iii)バインダーおよび/またはエフェクター部分のペプチド配列の親水性および疎水性成分により組織透過性がより良好
【0187】
【化2−1】

【0188】
【化2−2】

【0189】
【化2−3】

【0190】
【化3−1】

【0191】
【化3−2】

【0192】
【化3−3】

【0193】
【化3−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のエフェクター部分および1つ以上のバインダー部分を含む合成二官能性非抗体化合物であって、
該エフェクター部分はリンカーを介して該バインダー部分と操作可能に連結され、該エフェクター部分は少なくとも1つの病原体パターン認識受容体(PRR)に対するリガンドであり、該バインダー部分は腫瘍細胞のマーカーと結合する、化合物。
【請求項2】
前記1つ以上のエフェクター部分はマンノース受容体またはホルミルペプチド受容体(FPR)またはFPRファミリーのメンバーに対するリガンドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記1つ以上のエフェクター部分は、N−ホルミルメチオニンペプチド;N−ホルミルMet−Leu−Phe(fMLF);N−ホルミル−MMYALF(fMMYALF);マンノース;フコース;N−アセチルガラクトサミン;ポリグアニル酸(ポリG);C末端D−メチオニンの群から選択される1つ以上の部分であるかまたはその部分を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記1つ以上のエフェクター部分はN−ホルミルMet−Leu−Pheである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも2つのバインダー部分を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記バインダー部分は、ペプチド、マイクロプロテイン、核酸、PNA、またはペプチド模倣物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記バインダー部分は3〜20アミノ酸の長さのペプチドであり;かつ/または該バインダーは以下のペプチド配列のいずれかを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物:CGLIIQKNEC;CNAGESSKNC;Dhb−pLDIK;Dhb−pLDI;WIFPWIQL;WDLAWMFRLPVG;VVISYSMPD;シクロ(RGDfK);RGDfK;RGDWXE;GGHGRVLWPDGWFSLVGISP;YHWYGYTPQNVI;GYTP;YGYTPQ;WYGYTPQN;HWYGYTPQNV;TACHQHVRMVRP;NLLMAAS;DUP−1;HEWSYLAPYPWF;HTFEPGV;シクロ(SRESPHP);SRESPHP;KCCYSL;LTVXPWY;CSDSWHYWC;CSDxxHxWC;EDYELMDLLAYL;シクロ(CVGNDNSSC);CVGNDNSSC;TTPRDAY;VHLGYAT;CSNRDARRC;CXNXDXR(X)/(R)C;SWKLPPS;IAGLATPGWSHWLAL;AWYPLPP;VPWMEPAYQRFL;EPAYQR;KSLSRHDHIHHH;TNSLP;YYGLAEVDAGGS;MQLPLAT;MXXP。
【請求項8】
前記バインダーは、AWYPLPPまたはMQLPLATまたはYHWYGYTPQNVIKである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記リンカーは、共有結合、エステル結合、アミド結合、ペプチド結合、またはエーテル結合である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記リンカーは合成または半合成ポリマーであり、かつ/または該リンカーは、オリゴペプチド、ポリエチレングリコール、またはポリリジンで構成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍の治療用薬物の製造のための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
固形腫瘍;リンパ腫;非ホジキンリンパ腫;結腸直腸癌;前立腺癌;結腸癌;甲状腺癌;乳癌;膵臓癌、卵巣癌;濾胞性甲状腺癌腫;未分化甲状腺癌腫、乳癌腫、頸癌腫、前立腺癌腫;腫瘍性血管;肝癌;肝細胞癌;膀胱癌;胃癌の腹膜腫瘍;神経芽細胞腫;黒色腫の群から選択される腫瘍の治療のための請求項12に記載の使用。
【請求項14】
さらに1つ以上の腫瘍の治療用薬物と組み合わせた、好ましくは、化学療法、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、または抗体もしくは抗体フラグメントおよび化学的薬剤を含む融合分子と組み合わせた請求項12または13に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−541398(P2009−541398A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517014(P2009−517014)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005836
【国際公開番号】WO2008/000517
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509003070)
【Fターム(参考)】