説明

医薬組成物、それを得る方法及びその使用

本発明は医学の分野に関し、医学、獣医学、バイオ産業、医薬品産業及び食品産業において家庭用目的、浴場、公衆便所、美容院などのために消毒組成物として使用される。本発明は防腐手段としての処理目的で使用することができる。技術的結果は、製造が簡単で安価かつ高い消毒及び防腐特性を有する無毒の医薬組成物の創造にある。本医薬組成物は、弱硝酸、他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有するアンモニア合成触媒廃棄物残渣、クエン酸、エチルアルコール、芳香剤及び水を以下の成分比(質量%)で含む:弱硝酸0.3〜10.0、アンモニア合成触媒廃棄物残渣0.1〜5.0、クエン酸0.1〜2.0、エチルアルコール0.1〜5.0、芳香剤0.05〜0.1、残りは水。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願で提案する発明は、医学の分野に関し、医学、獣医学、バイオ産業、医薬品産業及び食品産業において家庭用目的などのために消毒手段として使用される。本発明を防腐手段としての処理目的で使用することができる。
公知なように、消毒及び防腐手段は病院及び他の健康施設で表面の抗菌処理のため広く使用されている。この手段は感染疾患及び院内感染の予防で特に広い用途を有する。
通常の抗菌物質は以下の3群に分けることができる:1)環境内の微生物の駆除のために使用する消毒手段;2)創傷、皮膚及び粘膜内の微生物に対して局部的に使用する防腐手段;3)感染疾患の治療のために使用する化学手段及び治療手段。
【0002】
一般に、消毒手段作用の範囲はずっと広い。それらは生きている生物内又は何らかの物質内又はその表面上の細菌の成長を破壊又は停止するような範囲の化学薬品を意味する。
本出願で提示する医薬手段は、強力な消毒特性のみならず実質的な防腐特性を有する。
上記特性で特徴づけされる多くの消毒手段が知られている(Pharmaceutical and Therapeutic Reference Book, TRINUS F.P., p. 453, 477)。例えば、そのベースに基づいて作られるホウ酸やケイ酸(silicum acid)及び異なる種類の防腐手段のようなものである。それらの感染表面上での抗菌作用の機構は、酸媒体の生成が必要条件となる。細菌細胞の侵入の結果、それらが解離にさらされ、そこで(細菌細胞内)胚乳(アルブミネート)の結合及び沈殿を生じさせる。これら酸は弱い消毒薬と特徴づけすることができる。
過酸化水素とギ酸を混合するプロセスで特定の波長を有する紫外線を照射して得られる消毒手段(ソビエト発明者証 N 1172514,A01N37/02)も知られている。
前記方法の欠点は、混合成分の紫外線による照射操作には特殊な設備及び装置が必要であり、技術的に複雑なことである。さらに、紫外線照射法は生体に負の効果をもたらす。前記方法の実行では、ギ酸及び過酸化水素を適用すると、ヒトの皮膚に火傷を生じさせ、この理由のため別個の保護手段が必要である。
広く普及している消毒手段“Lysoformin-3000”(“Lysoform 3000”使用の方法論的説明書, Dr. Hans Rosemann GmbH)も知られている。これはグルタルアルデヒド、グリコサル(glycosal)、塩化ジデシルジメチルアミンとその中に付加された活性成分、酸化防止剤、安定剤、着色剤及び賦形剤を含む。前記消毒手段を得る技術的プロセスは非常に複雑である。同時に、その適用前に、気道、皮膚及び目を保護する厳格な安全規則を遵守しなければならない。溶液の適用後には、セッケン水ですべてのものをきれいにし、かつ蒸留水でダブルクレンジングすることが望ましい。同時に、この消毒溶液は自己引火性特徴を有するので、一般的使用ではアクセスできない場所内で、暗く、空気対流式ヴォールト内で貯蔵しなければならない。この溶液の使用はメンテナンススタッフの中毒を考慮すると危険である。
過酸化水素とフッ化カリウムを含み、その中にプロモーターが添加されている消毒手段“Pharmadez”が知られている(インターネット:hhttp://www.farmahim.ru, 製剤“Farmadez”, 20.05.2002)。驚くべきことに、前記消毒薬が最終目標を達成するのにかかる作用時間は60又は120分であり、他の消毒薬に比べて時間がかかりすぎる。同時に、過酸化水素とフッ化カリウムの攻撃的特徴に注意すべきであり、その化合物は中毒及び火傷を引き起こすフッ素酸のような非常に攻撃的かつ毒性の物質を生じる。このことが、それらの安全基準及び安全手段を遵守して適用しなければならない理由である。それらの貯蔵には特殊な条件も必要である。
【0003】
ここで、我々は、防腐手段としての本類似体の出願を知らないことに注意すべきである(Pharmaceutic and Therapeutic Reference Book, TRINUS F.P., p.453, 477;Methodological Instructions of Using “Lysoform 3000”, Dr. Hans Rosemann GmbH;インターネット:hhttp://www.farmahim.ru, 製剤“Farmadez”, 20.05.2002)。
本発明の目的は、高い消毒及び防腐特性を有する製造が容易で安価な無毒の医薬組成物
を創造することである。
提案発明の本質は、弱無機酸、無機物の塩及び溶媒を含んでなる医薬組成物が、無機酸として弱硝酸を用い、無機物塩として、他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有するアンモニア合成触媒廃棄物残渣を用い、かつ溶媒として水とエチルアルコールを使用することにある。さらに、クエン酸及び芳香剤をこの溶液に添加する。前記組成物は、以下の成分比、質量%で示される。
弱硝酸 0.3〜10.0
アンモニア合成触媒廃棄物残渣 0.1〜5.0
クエン酸 0.1〜2.0
エチルアルコール 0.1〜5.0
芳香剤 0.05〜0.1
水 残り
【0004】
本医薬組成物を得る方法は、組成物を得るため、まず、他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有するアンモニア合成触媒廃棄物残渣及びクエン酸をエチルアルコールと均質塊が得られるまで混合後、弱硝酸と水を加えることを特徴とする。この後、溶液を加熱し、透明フラクションが得られるまで加圧下で静置する。溶液を沈殿剤で精製し、芳香剤を加える。医薬組成物は以下の成分比、質量%で得られる。
弱硝酸 0.3〜10.0
アンモニア合成触媒廃棄物残渣 0.1〜5.0
クエン酸 0.1〜2.0
エチルアルコール 0.1〜5.0
芳香剤 0.05〜0.1
水 残り
【0005】
本発明で提示する医薬組成物は消毒のために使用される。本組成物は、高い化学的安定性で特徴づけられる。
本発明で提示する医薬消毒溶液を用いて以下の方法で表面の消毒を行う:完全に被覆するまで浸漬し、或いは湿ったラグ又はエアロゾル噴霧できれいにし、或いは完全に湿るまで洗浄する。この目的のため、弱硝酸と、他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有するアンモニア合成触媒廃棄物残渣と、クエン酸と、エチルアルコールと、芳香剤と水を含んでなる医薬組成物を以下の成分比、質量%で使用する。
弱硝酸 0.3〜10.0
アンモニア合成触媒廃棄物残渣 0.1〜5.0
クエン酸 0.1〜2.0
エチルアルコール 0.1〜5.0
芳香剤 0.05〜0.1
水 残り
【0006】
皮膚の些細な外傷の治療用の防腐手段として本出願で提示する医薬組成物を適用する。
以下のように提案医薬組成物を得る。
全体積の0.1〜5.0%のアンモニア合成触媒廃棄物残渣と全体積の0.1〜2.0%のクエン酸を取り、全体積の0.1〜5.0%のエチルアルコールと混合後、混合物に全体積の0.3〜10.0%の弱硝酸を加え、100%になるまで水を補充し、上述したすべての成分をもう一度混合し、25〜90℃で加熱し、透明フラクションが得られるまで1.013×104〜1.013×105パスカルの圧力下で静置し、この透明フラクションを別の容器に注ぐ。さらに芳香剤を加える。溶液の調製プロセス中に起こる活性化及び触媒プロセスにより均質かつ活性な混合物が得られる。同時に、本混合物は潤いを与える良い特徴で区別される。このことは、適用時に経済的である。
提案医薬組成物を得るとき、適用成分のターミナルバリューより少ないか又は多い量を使用すると、得られる消毒手段の質又は使用条件に負の効果をもたらす。
弱硝酸のような医薬組成物に含まれる1つの物質は濃酸について計算して与えられる。0.3%未満の量の弱硝酸は殺細菌特性及び殺ウイルス特性を低減し、10%を超えると混合物の質と特性に負の効果をもたらす。
0.1%未満の量のアンモニア合成触媒廃棄物残渣は、得られる最終生成物を不安定にし、かつ効率を低くし、5.0%を超えると分離される沈殿剤の量を増やし、実用的には化合物の品質を良くしない。廃棄物触媒は触媒特性を失っており、かつ本組成物要素との複合体で非常に有効な消毒特性を示すことに注意すべきである。やはり、使用済触媒に比べて未使用触媒の適用は、異なる(ずっと効率の低い)消毒特性を示す。
0.1%未満の量のクエン酸を使うと、本化合物の有効な作用を生じさせず、2.0%を超えると溶液のpHの急な変化をもたらす。
0.1%未満の量のエチルアルコールを使うと、溶媒機能として不十分であり、5.0%を超える量では、過剰な希釈のため最終生成物の効率を低減すると同時に不要な費用が増す。
組成物の特性を変えず、かつ快い香りを有するような化合物を芳香剤として使用する。
均質化合物を得るとき、普通の水を溶媒として使用する。
本医薬組成物を得るため、一価の酒精剤−エチルアルコールを使った。この群の他の代表化合物を適用しても同様の技術的効果を与えるだろうが、それらは毒性なのでその使用を差し控える。本発明の目的は、安全な万能消毒手段を得ることである。
我々が使用する有機酸であるクエン酸は三価のヒドロキシ酸を代表する。一価及び二価の有機酸の適用は、硝酸との反応で容易に引火しうる爆発性物質を与えるので許容できない。
この方法で生成される医薬組成物ではエステル化が起こり、同時に非常に安定した効果のある化合物を得ることができる。エステル化のプロセスは以下の概略モデルに従って行われる:酸からヒドロキシルが引き出され、酒精剤から水素が引き出される。エステル化の両プロセスは可逆である。
【化1】

エチルアルコールがクエン酸と反応し、結果として水と合成エステルを得る。
【化2】

エチルアルコールと硝酸が水と合成エステルを発生させる。
合成エステルは容易に加水分解される。合成エステルは水中で分解して最初の成分になる。エステル化の可逆特性のため、最終的に化学平衡が生じる。
【0007】
本医薬組成物は、反応器又は同様の技術的設備内で得られる。反応器に入れた溶液を25℃〜95℃の温度に加熱し、この温度で透明フラクションが得られるまで1.013×104〜1.013×105パスカルの圧力下で静置する。
反応器内で等容プロセスが起こる。プロセス中、反応容器内の溶液の体積、温度、密度、pH及び圧力は自動様式で調節される。それらの比は一定値である。
本化学プロセスの成分で反応器の容積の70%まで充填する。反応器の使用で原料と電力を節約する。
【0008】
〔本医薬組成物を得る方法の具体例〕
実施例1:0.1%のアンモニア合成触媒廃棄物残渣と0.1%のクエン酸を取り、容器内で0.1%のエチルアルコールと混合し、0.3%の弱硝酸を加え、水で100%充填し、上記すべての成分を混ぜ合わせ、75℃に加熱し、透明フラクションが得られるまで7.0×104パスカルの圧力下で静置する。透明フラクションを別個の容器に注ぐ。得られた物質の、細菌で飽和した生理溶液に及ぼす6時間の効果は、20分後に100%の殺細菌及び殺ウイルス効果を与える。
実施例2:1.0%のアンモニア合成触媒廃棄物残渣と0.8%のクエン酸を取り、容器内で1.0%のエチルアルコールと混合し、1.5%の弱硝酸を加え、水で100%充填し、上記すべての成分を混ぜ合わせ、55℃に加熱し、透明フラクションが得られるまで7.0×104パスカルの圧力下で静置する。透明フラクションを別個の容器に注ぐ。得られた物質の、細菌で飽和した生理溶液に及ぼす6時間の効果は、5分で100%の殺細菌効果を示し、20分間で殺ウイルス効果を示す。
実施例3:1.5%のアンモニア合成触媒廃棄物残渣と1.5%のクエン酸を取り、容器内で2.5%のエチルアルコールと混合し、5.0%の弱硝酸を加え、水で100%充填し、上記すべての成分を混ぜ合わせ、45℃に加熱し、透明フラクションが得られるまで4.0×104パスカルの圧力下で静置する。透明フラクションを別個の容器に注ぐ。得られた物質の、細菌で飽和した生理溶液に及ぼす6時間の効果は、5分で100%の殺細菌効果を示し、10分間で殺ウイルス効果を示す。
実施例4:5.0%のアンモニア合成触媒廃棄物残渣と2.0%のクエン酸を取り、容器内で5.0%のエチルアルコールと混合し、10.0%の弱硝酸を加え、水で100%充填し、上記すべての成分を混ぜ合わせ、35℃に加熱し、透明フラクションが得られるまで4.0×104パスカルの圧力下で静置する。透明フラクションを別個の容器に注ぐ。得られた物質の、細菌で飽和した生理溶液に及ぼす6時間の効果は、5分間で100%の殺細菌効及び殺ウイルス効果を与える。
【0009】
表面を消毒するための本組成物の使用は、いくつかの方法で行うことができる。エアロゾル法を用いる特定の場合、消毒薬適用の技術的プロセスが改良される。
消毒溶液で処理する前にアイテムの表面を普通の常法でいずれの物理的及び有機的汚染もきれいにしなければならない。
消毒溶液として使用する提案医薬組成物は、表面に結合して表面を硬化させる高分子有機物質(脂肪、タンパク質、炭化水素など)を表面から容易にきれいにする点で現存組成物とは異なる。このような場合、現存する類似品は、作用溶液を汚染している該高分子有機物質を溶かしてしまい、類似消毒溶液はさらに消毒用に使用できなくなる。
我々の場合、硬化した有機物質を分離する簡単な実験室の方法で消毒溶液をろ過することができ、該溶液をさらに使用することができる。
作用及び希釈の条件に従う提案消毒手段は、以下の種類の細菌及びウイルスに対して静菌性(細菌の成長と増殖を減らす)、又は殺菌作用(細菌を殺す)をもたらす(表1及び表2参照)。表1及び表2中の記号:+は細菌及びウイルスの成長を意味し;−は成長が観察されなかったことを意味する。
【0010】
以下の条件は本提案組成物の抗-細菌及び抗-ウイルス効果に影響する。
−消毒溶液の濃度とその解離度。濃度が高いほど効果が大きい;
−消毒溶液作用の持続性。作用時間を増やすことで効率が増し、減らすと効率が減る;
−作業表面上に存在する高分子有機物質による汚染度。高分子有機物質で汚染されたアイテムを消毒するとき、抗-細菌及び抗-ウイルス力は低減し、逆もまた同様に汚染度と量に応じて該力が増す;
−消毒薬の温度。消毒溶液の温度を上昇又は低下させると、(多くではないが、それでも)消毒溶液の効力を高め、又は低減する;
−細菌及びウイルスの種類。同濃度の消毒溶液の場合、すべての可能な細菌及びウイルスに同等の力(同じ結果)で溶液が効果を及ぼすわけではない。
【0011】
パブリックスペース(学校、幼稚園、マーケット、家庭的対象、映画館)でのみならず、家具、サニタリー設備及び技術設備、レストラン及び実験室のガラス製品、リネン、医用ストックの処理のため、テキスタイル製品の清掃及び消毒のため;患者の分泌物を中和するため;院内感染と戦うために消毒薬として本医薬組成物を適用できる。提案した製法により、医療及び予防施設で使用されるゴム、プラスチック、ガラス、金属製のいずれのストックをも処理することができる。
本医薬組成物は、以下の特性で特徴づけられる:
−最小濃度の活性作用の適用で即座に開始され;
−処理した表面上に痕跡を残さずに迅速に乾燥する。
処方及び作用機構に従う抗-細菌物質としての提案医薬組成物は、酸特性を有する消毒薬の群に関するものである。
本医薬組成物の化学的及び生物学的本質は簡単に説明することができる。
濃度に応じて組織に局所効果を及ぼす間に酸媒体は結合作用(弱希釈中)、又は刺激作用、壊死作用(高希釈)を生じさせる。上述した酸媒体の作用は、タンパク質が水を失って縮合するとき(アルブミネート)の酸媒体とタンパク質の作用に基づく。強酸媒体を適用する場合、生じるアルブミネートは安定であり、このため組織損傷は表在性である(いわゆる凝固壊死)。前記機構は、酸媒体の抗-細菌作用も必要条件とし、細菌細胞内の侵入の結果としてそれらは解離しやすく、そこで(細菌細胞内で)結合及び沈殿を起こす。結果として、細菌は殺され、或いはそれ以上発育及び増殖しない。
【0012】
本医薬組成物の希釈度及びその効果を表3に示す。表面消毒について行った実験の結果を表4に示す。通常の記号は以下のように解釈するものとする。
--- 消毒された
○ 部分的に消毒された
+ 消毒されず
研究は以下の条件で行った:空気湿度75〜86%;消毒薬溶液温度;倉庫建物内の空気温度は10℃以上。
同時に、1リットルの0.5%溶液を得るため50mlの10%濃縮物を1.0%用には100ml、2.0%用には200ml取り、残りは水である。希釈には普通の水を使用する。
薬理学的作用を考慮すると、提案した医薬消毒組成物は一般的な防腐特性を示す。
防腐手段として、かすり傷、裂傷、切り傷のような皮膚の些細な外傷の治療のために本組成物を使用する。
前記疾患の治療では、本医薬組成物の1〜3%溶液を使用する。治療のため、損傷場所を溶液で洗う必要があり、或いは溶液で処理した包帯を上からかぶせるべきだ。必要に応じてこれら手順を数回繰り返す。
【0013】
〔提案医薬組成物を防腐手段として使用する実施例〕
体に種々の複雑さの皮下創傷を有する50名の患者について救急スタッフが本医薬組成物の試験を行った。創傷治療のすべての場合に、創傷の表面のみならずその周りの皮膚を提案医薬組成物の3%溶液で処理した包帯で汚れをきれいにして洗浄した後、同一溶液中で処理した包帯を当てた。すべての場合に創傷のこのような処理は一次感染から創傷を保護するという目的の最良の結果を示した。逆の徴候の症例はなかった。
防腐手段としての提案消毒医薬組成物は、良い治療作用のみならず、適用の簡単さをも特徴とする。実際の適用は、防腐剤としての提案組成物が同群のホウ酸やサリチル酸よりもずっと強くかつ活性であることを明白に示した。
【0014】
提案発明の医薬組成物を得るため、化学プラントの残渣触媒(他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有する)を使用する。このことは本出願で提案する消毒手段を得るための重要な経済的必須条件である。同時に、本組成物を得る技術的方法は簡単であり、複雑な装置や設備を必要とせず、その結果、化学的観点から、異なる作用機構を有する消毒薬の特性を示すユニークな化学的性質を備えた医薬組成物が得られる。本組成物は、アイテムの表面が高分子有機物質で有意に汚染されている場合でさえ高品質の殺細菌及び殺ウイルス効果を与える。
濃縮組成物を希釈してさらにそれを適用する場合、別個の保護手段を使う必要がない。わずかな量の弱硝酸、アンモニア合成触媒廃棄物残渣(他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有する)、クエン酸及びエチルアルコール、並びにそれらの化合物が人体上に存在しても如何なる負の作用をも引き起こさないことは注目すべきである。
【0015】
【表1】










【0016】
【表2】

【0017】
【表3】
















【0018】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱無機酸、無機物塩及び溶媒を含んでなる医薬組成物であって、無機酸として弱硝酸を用い、無機物塩として他の化合物との混合物中に50%以上の輝鉄鉱を含有するアンモニア合成触媒廃棄物残渣を用い、かつ溶媒として水とエチルアルコールを用い、該溶液がさらにクエン酸と芳香剤を含み、上記成分を以下の成分比(質量%)で含むことを特徴とする医薬組成物。
弱硝酸 0.3〜10.0
アンモニア合成触媒廃棄物残渣 0.1〜5.0
クエン酸 0.1〜2.0
エチルアルコール 0.1〜5.0
芳香剤 0.05〜0.1
水 残り
【請求項2】
アンモニア合成触媒廃棄物残渣が、鉄、クロム、マグネシウム、亜鉛、銅及び他の元素の酸化物を含む請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
アンモニア合成触媒廃棄物残渣が、50%以上の輝鉄鉱を含む請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
弱無機酸、無機物塩及び溶媒の相互作用を与える請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物を得る方法であって、無機酸として硝酸を用い、塩としてアンモニア合成触媒廃棄物残渣を用い、溶媒として水とエチルアルコールを用い、その中にクエン酸、芳香剤を加える方法において、前記成分を以下の成分比(質量%)で、まずアンモニア合成触媒廃棄物残渣とクエン酸をエチルアルコールと共に均質塊が得られるまで混合してから弱硝酸を加え、水で希釈し、加熱して透明フラクションが得られるまで加圧下で静置した後、沈殿剤で精製し、芳香剤を加えることを特徴とする前記方法。
弱硝酸 0.3〜10.0
アンモニア合成触媒廃棄物残渣 0.1〜5.0
クエン酸 0.1〜2.0
エチルアルコール 0.1〜5.0
芳香剤 0.05〜0.1
水 残り
【請求項5】
前記医薬組成物の構成要素の混合及び相互作用が閉じた系、例えば、反応器又は同様の技術設備内で行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
反応器内のプロセスが25〜90℃の温度及び1.013×104〜1.013×105パスカルの圧力下で行われる、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかい1項記載の方法で得られる、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物の消毒薬としての使用。
【請求項9】
消毒薬による表面処理のための医薬組成物の使用方法であって、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物で処理を行うことを特徴とする方法。
【請求項10】
消毒薬による表面処理のための医薬組成物の使用方法であって、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法で得られる医薬組成物で処理を行うことを特徴とする方法。
【請求項11】
消毒薬による表面処理のための医薬組成物の使用方法であって、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法で得られる請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物で処理を行うことを特徴とする方法。
【請求項12】
完全に被覆するまで浸漬し、或いは湿ったラグ又はエアロゾル噴霧できれいにし、又は完全に湿るまで洗浄することによって、汚染表面を処理する請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物の防腐手段としての使用。
【請求項14】
湿ったラグ又はエアロゾル噴霧で表面をきれいにすることによって、或いは湿った包帯を当てることによって行う、請求項13記載の使用。

【公表番号】特表2007−513137(P2007−513137A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542028(P2006−542028)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/GE2004/000006
【国際公開番号】WO2005/053714
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506100244)
【出願人】(506100266)
【Fターム(参考)】