説明

医薬組成物

【課題】経口投与により、特に、ペプチド、ペプチド模倣剤およびタンパク質のようなポリ(アミノ酸)、の好結果の送達を可能にし、望む治療効果を達成する医薬組成物の提供。
【解決手段】(i)副甲状腺ホルモン(PTH)または少なくとも1−28位のアミノ酸を含むそのフラグメント;式I:


で示される化合物;崩壊剤;および希釈剤を含み、胃媒体中で、20分以下で80%以上の溶解時間を有する、錠剤形態の経口医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化合物、特に、ペプチド、あるいはペプチド模倣剤を含むポリ(アミノ酸)の経口送達のための新規医薬組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、1つの態様において異常な骨吸収により引き起こされる障害の処置のためのならびに/または関節状態の処置のための、ポリ(アミノ酸)を含む新規経口医薬組成物、および他の主題に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ホルモン
医薬または獣医目的のために使用されているか、または使用されることが提案されているポリ(アミノ酸)は、非限定的に、カルシトニン、例えば、サケカルシトニンのようなポリペプチドホルモン、ヒト成長ホルモン(hGH)、組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモン、およびブタ成長ホルモンを含む成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンならびに下垂体甲状腺ホルモンを含む(合成、天然またはその組み換え起源のものを含む)。
【0004】
副甲状腺ホルモンまたはPTHは、副甲状腺ホルモンの完全長84アミノ酸型、例えば、ヒト型、すなわちhPTH (1-84)、または任意のポリペプド、タンパク質、タンパク質断片、または修飾断片、すなわちPTH関連ペプチドおよびPTH類似体であり得て、カルシウムおよびリン酸代謝を制御することでhPTH (1-84)の活性を模倣し、ヒト体内に骨を形成し得る。PTH断片は、一般に、少なくとも28個のN末端残基を内蔵し、一例として、PTH (1-28)、PTH (1-31)、PTH (1-34)、PTH (1-37)、PTH (1-38)およびPTH (1-41)ならびにその類似体、例えば、PTS893を含む。PTHは、単一PTHまたは2個またはそれ以上のPTHの任意の組合せであり得る。
【0005】
好ましいPTH断片は、PTH (1-34)である。
【0006】
副甲状腺ホルモンは、市販されているか、または当分野で十分に確立された方法で、組み換え、ペプチド合成、もしくはヒト体液からの抽出により取得し得る。
【0007】
投与されるPTHの量は、一般に、新規骨形成を刺激するのに有効な量、すなわち治療上有効量である。これは、処置される対象の年齢、サイズ、性別および状態、処置される障害の性質および重篤度などに伴い、必然的に変わる。しかしながら、単位用量は、複数の組成物を投与するとき、記載した用量未満であり得て、すなわち、全有効量を、累積的用量単位で投与し得る。PTHの単位用量は、組成物が、薬理学的活性剤の持続した分泌を提供するとき、有効量より多くてよい。使用するPTHの全量は、当業者に既知の方法により決定し得る。しかしながら、一般に、満足のいく結果は、全身的に、約0.001 μg/kg動物体重から約10 mg/kg動物体重、好ましくは、1 μg/kg体重から約6 μg/kg体重の一日投与量で得られる。
【0008】
好ましい薬理学的活性剤は、薬理学的に活性なペプチド、特に、カルシトニンである。既知のクラスの薬理学的活性剤であるカルシトニンは、各種の医薬有用性を有し、通常は、例えば、ページェット病、高カルシウム血症および閉経後骨粗鬆症の処置に使用される。カルシトニン、例えば、サケ、(Asu1-7)-ウナギまたはヒトカルシトニンは、ほ乳類では甲状腺の傍濾胞細胞により、鳥類および魚類では後鰓体(ultimobranchial gland)により分泌される長鎖ポリペプチドホルモンである化合物である。サケ、ブタおよびウナギカルシトニンを含むさまざまなカルシトニンは、市販されており、通常は、例えば、ページェット病、悪性腫瘍における高カルシウム血症および骨粗鬆症の処置のために使用する。カルシトニンは、天然、合成またはその組み換え起源、および1,7-Asu-ウナギカルシトニンのようなカルシトニン誘導体を含む、任意のカルシトニンであり得る。組成物は、単一カルシトニンまたは2個またはそれ以上のカルシトニンの任意の組合せを含み得る。好ましいカルシトニンは、合成サケカルシトニンである。
【0009】
カルシトニンは、市販されているか、または既知の方法により合成し得る。
【0010】
薬理学的活性剤の量は、一般に、意図する目的を達成するのに有効な量、例えば、治療上有効量である。しかしながら、単位用量は、複数の組成物を投与するとき、記載した用量未満であり得て、すなわち、全有効量を、累積的用量単位で投与し得る。活性剤の単位用量は、また、組成物が、薬理学的活性剤の持続した分泌を提供するとき、有効量を越えてよい。使用する活性剤の全量は、当業者に既知の方法により決定し得る。しかしながら、本発明の組成物は、以前の組成物よりも活性剤をより有効に送達し得るので、以前の単位用量形またはデリバリーシステムで使用した量よりもより少ない量の活性剤を対象に投与でき、なお同じ血液レベルおよび/または治療効果を達成し得る。
【0011】
投与するカルシトニンの適当な用量は、当然に、例えば、投与するカルシトニンの量および処置される状態の重篤度に依存して変わる。しかしながら、一般に、満足のいく結果は、全身的経鼻または注射投与で、約0.5 μg/kg動物体重から約10 μg/kg動物体重、好ましくは、1 μg/kg体重から約6 μg/kg体重の一日投与量で得られる。
【0012】
ヒト成長ホルモン (hGH) (すなわち、ソマトトロピックホルモンまたはソマトトロピン)は、下垂体前葉により分泌されるポリペプチドホルモンであり、特に、ソマトメジンの分泌を促進することにより体の成長を促進し、そしてタンパク質、炭水化物、および脂質の代謝に影響を与える。
【0013】
動物または植物の生長を制御するさまざまな天然または合成物質(例えば、脊椎動物の下垂体成長ホルモンおよび植物のオーキシン)のすべてが、また、hGHの定義に含まれる。
【0014】
骨障害
多くの型の骨障害が既知である。障害の第1のクラスは、骨吸収により引き起こされる障害に関するクラスである。そのような障害の例は、骨粗鬆症、骨溶解およびページェット病である。
【0015】
障害の第2のクラスは、関節炎状態である。そのような障害の例は、骨関節症である。
【0016】
新規製剤
ペプチドおよびタンパク質のようなポリ(アミノ酸)、例えば、ホルモンの吸収を促進する多くの試みがある。一般に、ペプチドおよびタンパク質は、多くのペプチダーゼが存在し、顕著な分解が起こり得る胃腸環境から保護される必要があると考えられている。腸溶性コーティングおよび医薬組成物へのペプチダーゼ阻害剤の添加は、経口投与によるタンパク質およびペプチドのようなポリ(アミノ酸)の吸収を改善するのに有効であることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、これらの方法のみでは、ペプチドおよびタンパク質の満足のいく血漿レベルを達成するのに十分なだけの保護を与えず、今なお、ペプチドおよびタンパク質医薬を、化学的および酵素学的分解から保護し、治療効果を発揮するように対象へうまく送達する別の手段を提供する必要性がある。
【0018】
このことは、特に、経口投与が、それが便利で、比較的容易で、一般に無痛であり、その結果、他の送達形態と比較してより高い患者コンプライアンスを生じるため、好ましい送達経路であるカルシトニンの場合に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の要約
したがって、本発明は、経口投与により、薬学的に有効量で、薬剤、特に、ペプチド、ペプチド模倣剤およびタンパク質のようなポリ(アミノ酸)、例えば、ホルモンの対象への好結果の送達を可能にし、望む治療効果を達成する医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明はさらに、医薬組成物の崩壊時間および/または崩壊速度が短時間で、そのために有効成分が治療効果を発揮できるポリ(アミノ酸)有効成分、例えば、ペプチドまたはタンパク質を含む経口医薬組成物を提供する。
【0021】
特定の局面では、本発明は、医薬組成物、例えば、錠剤の崩壊時間が10分以下である、ペプチドまたはタンパク質有効成分を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明はまた、30分以下、例えば、20分以下、通常は10分以下の崩壊時間を有する、医薬組成物、例えば、錠剤またはカプセルを提供する。
【0023】
特に、本発明は、送達剤5-CNACと共に有効成分としてカルシトニンを含む医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物は、カルシトニン有効成分に関して改善した経口バイオアベイラビリティ、例えば、満足のいくまたは最適なバイオアベイラビリティを提供するような方法で製造する。
【0024】
“バイオアベイラビリティ”は、本発明の範囲内では、ある投与形態の投与後に全身循環に入る用量の割合と理解すべきである。より明確には、標準的な製剤の投与後に“吸収される”量に対する試験製剤から“吸収される”薬剤の量の比率である。しばしば、バイオアベイラビリティを評価するのに使用する“標準的な製剤”は、静脈内に投与される薬剤の水性溶液である。
【0025】
吸収される薬剤の量は、薬剤を薬剤作用部位に送達する製剤の能力の指標と見なされ、それは、投与形態の崩壊および溶解特性、ならびに吸収速度に対する生体内変換速度に依存する。
【0026】
同一量の活性薬剤を含む投与形態は、薬剤を利用可能とするそれらの能力の点で、したがって、薬剤がその期待される薬力学的特性および治療特性を現すことを可能にする能力の点で、著しく異なり得る。
【0027】
驚くべきことに、対象内、例えば、胃内での本発明の医薬組成物のより短時間での崩壊が、活性ペプチドおよびタンパク質に関して最大の吸収特性を示すことが見出されたのは、本発明の範囲内であった(ここでは、主要なペプチドまたはタンパク質分解は、ペプシンまたは他の酵素により生じる)。
【0028】
したがって、本発明はさらに、腸溶性コーティングまたはペプチダーゼ阻害剤の必要性なしに、経口投与によりペプチドまたはタンパク質を送達することができる医薬組成物を提供する。したがって、具体的には、本発明の組成物は、腸溶性コーティングまたはペプチダーゼ阻害剤、またはその両方がない。
【0029】
本発明のカルシトニン含有医薬組成物は、本明細書で記載したとおり、異常な骨吸収に関連する障害を処置するか、または関節炎状態を処置するために使用し得る。
【0030】
1つの態様では、本発明は、
i. ポリ(アミノ酸);
ii. 送達剤;および、所望により、
iii. 希釈剤;
を含む、固相での経口医薬組成物に関し、ここで、該組成物は、10分以下の崩壊時間および20分で80%を越える溶解、特に、6分以下の崩壊時間および20分で90%を越える溶解を有する。
【0031】
特に、本発明に記載の組成物は、2分以下の崩壊時間を有する。
【0032】
他の態様では、本発明に記載の組成物は、さらに、崩壊剤、特に、クロスポビドンまたはポビドンのような任意の超崩壊剤から選択される崩壊剤および/または例えば、発泡および/または他の手段により崩壊時間を減らす他の薬剤を含む。
【0033】
また、本発明の他の態様では、胃媒体(gastric media)中で、20分以下で80%を越える溶解時間を有する医薬組成物を提供する。
【0034】
さらに、本発明は、錠剤の形態での、特に、圧縮錠剤の形態での医薬組成物に関し、ここで、錠剤は、3 Kpから20 Kp、特に、5 Kpから15 Kp、より特に、5 Kpから7 Kpの硬度を有する。
【0035】
特定の態様では、本発明に記載の組成物は、ポリペプチドホルモン、特に、カルシトニン、より特に、サケカルシトニンを含む。
【0036】
特に、カルシトニンは、遊離または塩形で、治療上有効量で存在し、霊長類モデル、特に、サルにおいて、400 pg/mL以上、特に、800 pg/mL以上、より特に、1000 pg/mL以上のピーク血漿濃度(Cmax)および/または6時間で20%を越える血漿カルシウムレベルの減少を提供する。
【0037】
本発明の他の態様では、0.15 mgから2.5 mg、特に、0.15 mgから0.4 mgの用量範囲で、治療上有効量のカルシトニンを遊離または塩形で含む組成物が提供される。
【0038】
本発明に記載の組成物は、さらに、送達剤5-CNACおよび/または崩壊剤としてクロスポビドンおよび/またはポビドンを含み得る。さらに、該組成物は、1個またはそれ以上の増粘剤、安定剤および乾燥結合剤を含み得る。
【0039】
本発明の1つの態様では、医薬組成物は、500 mgの重量を有する錠剤の形態で提供される。
【0040】
本発明の特定の態様では、
a. サケカルシトニン 0.03 wt%から0.5 wt%
b. 微粉化5-CNAC 5 wt%から80 wt%
c. Avicel PH 102または101 0 wt%から70 wt%
d. クロスポビドン、NF 0 %から10%
e. ステアリン酸マグネシウム 0 wt%から1.5 wt%
f. Cab-o-sil 0 wt%から1.5%
(ただし、全割合は、合計100になる)
を含む医薬組成物が提供される。
【0041】
さらに、
a. 本発明に記載および上記で本明細書に記載したとおりの組成物、ならびに、
b. 骨吸収阻害剤である共薬剤、またはカテプシンK阻害剤
を含む医薬的組合せ剤を提供する。
【0042】
また他の態様では、
a. 第1混合物を製造するために、ポリ(アミノ酸)、担体および崩壊剤を混合する;
b. 所望により、第2混合物を製造するために、乾燥結合剤を第1混合物に混合する;
c. 所望により、第3混合物を製造するために、安定剤を第2混合物に混合する;
d. 第3混合物を、5 Kpから20 Kpの硬度を有する錠剤に圧縮する
工程を含む経口医薬組成物を製造する方法を提供する。
【0043】
また他の態様では、本発明は、異常な骨吸収、例えば、骨粗鬆症、関節炎疾患、または骨関節症により引き起こされる疾患の処置のための医薬の製造のための、本発明に記載および上記で本明細書に記載したとおりの医薬組成物の使用に関する。
【0044】
本発明はさらに、
a. 分散時間を決定する
b. 分散時間を溶解時間と関連づける
ことを含む、本発明に従うおよび本明細書に上記したとおりの組成物の吸収特性を決定する方法に関する。
【0045】
他の態様では、本発明は、有効成分、特に、カルシトニン、より特に、サケカルシトニン、および送達剤を含む経口医薬組成物で処理される患者での、有効成分のピーク血漿濃度Cmaxを前決定する方法に関し、該方法は、腸での有効成分の溶解のための胃腸管の良好な微環境を提供するために(有効成分の吸収を最大にするため)、および血漿中における有効成分の治療上有効なピーク血漿濃度(特に、400 pg/mL以上のピーク血漿濃度)を達成するために、医薬組成物の崩壊時間および/または有効成分の溶解時間を調節することを含む。特に、腸での有効成分の溶解のための胃腸管の良好な微環境は、組成物への5-CNACの添加により提供し得る。
【0046】
特定の態様では、経口医薬組成物で処置される患者での、有効成分のピーク血漿濃度Cmaxを前決定する方法を提供し、ここで、経口医薬組成物は、錠剤の形態で提供され、崩壊時間は、錠剤、特に、硬度が、3 Kpから20 Kpの範囲内にある錠剤の硬度を適応させることにより調整する(ここで、崩壊時間は、10分以下、特に、1分以下である)。
【0047】
また別の態様では、本発明は、10分以下の崩壊時間および/または溶解時間を有する経口医薬組成物を製造するための、
(i) ポリ(アミノ酸);
(ii) 送達剤;および
(iii) 崩壊剤
の使用に関する。
【0048】
特に、5-CNACは、サケカルシトニンの溶解に関して、胃腸管での良好な微環境を提供するために使用し得る。
【0049】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリ(アミノ酸)有効成分、例えば、ペプチドまたはタンパク質を含む経口医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物の崩壊時間は、有効成分が十分な治療効果を達成できるような時間である。
【0050】
本発明は、さらに、ポリ(アミノ酸)有効成分、例えば、ペプチドまたはタンパク質を含む経口医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物の溶解速度は、有効成分が十分な治療効果を達成できるような時間である。
【0051】
本発明は、さらに、ポリ(アミノ酸)有効成分、例えば、ペプチドまたはタンパク質を含む経口医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物の崩壊時間および溶解速度の両方は、有効成分が十分な治療効果を達成できるような時間である。
【0052】
分解速度が非常に速い、すなわち、ミリ秒で起こることを考慮に入れると、この急速な分解は、溶解の方法で補うことはできないと考えられていた。しかしながら、驚くべきことに、有効成分の十分に高い治療レベルを、比較的速い時間枠で達成し得て、有効成分の生化学的分解(例えば、胃腸管での)を補うことができることが本発明の範囲内で見出された。
【0053】
治療上有効な成分の増加した血漿濃度の結果として、当然のことながら、本発明の組成物は、本明細書に記載した組成物の特性のない組成物と比較して、多くの有効成分が存在することを必要としないかもしれない。これは、当然に、得られる医薬品の生産費用の軽減に有益であるだけでなく、患者での望まないまたは毒性さえある有効成分の代謝産物を形成するリスクを減らす。
【0054】
さらに、本発明の組成物は、有効成分の治療レベル、例えば、有効成分の血漿濃度を制御し得る方法を提供し得る。すなわち、有効成分の崩壊、溶解および/または血漿濃度の間には直線または直線に近い関係があり、任意の特定の時間における望む血漿濃度は、特定の崩壊時間および/または特定の溶解時間を有する特定の組成物を選択することにより前決定し得る。
【0055】
この目的を達成するために、本発明はまた、本明細書に記載した方法により、各々が異なる崩壊および/または溶解特性を有する組成物のライブラリーを含む。ある特定の組成物のライブラリーは、錠剤のライブラリーを含み、各々が異なる硬度、例えば、3 Kpから20 Kp、特に、5 Kpから20 Kp、より特に、5 Kpから15 Kp、さらに、とりわけ、5 Kpから7 Kpを有する。サブライブラリーでは、各錠剤の各硬度は、また、例えば、有効成分、担体、希釈剤、滑剤、流動促進剤または崩壊剤の量で異なり得る。本発明はまた、滑剤の不在が、より速い崩壊および溶解の開始に貢献し得る組成物のライブラリーを含む。
【0056】
1つの局面では、本発明は、10分以下の溶解時間または崩壊時間の一方または両方を有する経口医薬組成物を提供する。
【0057】
本発明は、溶解の程度が、USP II パドル法を用いて、0.1N HClおよび0.01% Tween-80溶解媒体で、規定の時間で、20%から100%の間にある組成物を提供する。
【0058】
特に、本発明の組成物は、0分から60分、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55および60分で、20%から100%、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%および100%の溶解の程度を有する。
【0059】
本発明の好ましい局面では、上記に記載したとおりの溶解時間および溶解の程度は、10分以下の崩壊時間を有する組成物と相関している。
【0060】
本発明の1つの態様では、組成物は、特に、胃媒体中で、10分以下の崩壊時間および20分以下で80%以上の溶解、特に、6分以下の崩壊時間および20分以下で90%以上の溶解を有する。
【0061】
また他の態様では、組成物は、特に、胃媒体中で、10分以下の崩壊時間および20分で80%以上の溶解、特に、6分以下の崩壊時間および20分で90%以上の溶解を有する。
【0062】
投与形態(例えば、カプセルまたは錠剤)
有効成分の固有性
さらなる有効成分、例えば、送達剤、崩壊剤、流動促進剤、滑剤、希釈剤の固有性
有効成分の量(比率)
粒子サイズ
錠剤硬度
を含む多くの異なるパラメーターが、固相経口製剤の崩壊時間または溶解時間に影響を与えることは、当業者に既知である。
【0063】
したがって、特定の崩壊および/または溶解時間を有するあらゆる組成物を定義し、あらゆる他の組成物を除外する普遍的な1組のパラメーターを説明することは不可能である。それにもかかわらず、当業者は、本明細書に開示した溶解時間および崩壊時間を有する組成物を製造するための、適当な知識および技術を有している。誤解を避けるために、本明細書は、崩壊時間および溶解時間の達成および測定のための手引きを含んでいる。
【0064】
化合物の溶解時間は、直接、ある時間での、有効成分の血漿濃度に影響を与え得る。
【0065】
したがって、本発明は、
ポリ(アミノ酸);
送達剤;および
所望により、希釈剤;
(ただし、該組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)
を含む、固相での医薬組成物を含む。
【0066】
特に、本発明は、
(i) ポリ(アミノ酸)
(ii) 送達剤
(iii) 希釈剤
(ただし、該組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)
を含む、ポリ(アミノ酸)の経口送達のための固体医薬組成物を含む。
【0067】
本発明はまた、
(i) ポリ(アミノ酸)
(ii) 送達剤
(iii) 崩壊剤
(iv) 希釈剤
(ただし、該組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)
を含む、ポリ(アミノ酸)の経口送達のための固体医薬組成物を含む。
【0068】
固体組成物は、錠剤の形態であり得る。錠剤は、本明細書に記載したとおりの方法で圧縮し得る。
【0069】
ポリ(アミノ酸)は、あらゆるポリ(アミノ酸)薬剤であり得て、例えば、タンパク質またはタンパク質断片を含む。表題“発明の背景”のもとで上記に記載した、あらゆるポリ(アミノ酸)であり得る。特定のクラスの医薬組成物において、ポリ(アミノ酸)は、例えば、ホルモン、例えば、カルシトニン(例えば、サケカルシトニン)のようなポリペプチドホルモン、ヒト成長ホルモン(hGH)、組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモン、およびブタ成長ホルモンを含む成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンならびに下垂体甲状腺ホルモンである。
【0070】
ポリ(アミノ酸)は、好ましくは、薬学的有効成分である。
【0071】
一般に信じられているのとは反対に、驚くべきことに、対象内、例えば、胃内での本発明の医薬組成物のより短時間での崩壊が、活性ペプチドおよびタンパク質に関して最大の吸収特性を示すことが見出された(ここでは、主要なペプチドまたはタンパク質分解は、ペプシンまたは他の酵素により生じる)。
【0072】
特定の好ましいクラスの医薬組成物は、有効成分としてサケカルシトニンを含む。ポリ(アミノ酸)は、遊離または塩形であり得る。
【0073】
ポリ(アミノ酸)、例えば、カルシトニンは、好ましくは、医薬組成物の全重量の0.03 wt%から1 wt%、特に、0.05 wt%から1 wt%、より特に、0,03 wt%から0.5 wt%の間の量で存在し得る。特に、ポリ(アミノ酸)、例えば、カルシトニンは、0.05から0.5 wt%、例えば、0.1から0.2 wt%の量で存在し得る。例えば、最終医薬組成物重量が500mgであるとき、これは、0.25mgから5mgのポリ(アミノ酸)、例えば、カルシトニンの量に相当する。
【0074】
送達剤は、経口投与によりポリ(アミノ酸)を送達するのに適当な任意の送達剤であり得る。本製剤、例えば、経口製剤において有用な送達剤は、特定の薬理学的に活性な薬剤を送達するために有用なすべての薬剤である。適当な送達剤は、上記米国特許第5,866,536号で開示した修飾アミノ酸の任意の1個または上記米国特許第5,773,647号で記載した修飾アミノ酸の任意の1個またはその任意の組合せである。上記で記載した米国特許第5,773,647号および第5,866,536号の内容は、それらの全体を引用により本明細書の一部とする。
【0075】
さらに、送達剤は、上記に記載した修飾アミノ酸のいずれかの二ナトリウム塩ならびにそのエタノール溶媒和物および水和物であり得る。適当な化合物は、下記の式I:
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換C2-C16アルキレン、置換または非置換C2-C16アルケニレン、置換または非置換C1-C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換アリール(C1-C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1-C4アルキルである]
の化合物ならびにその水和物およびアルコール溶媒和物を含む。
【0076】
式Iの化合物およびそれらの二ナトリウム塩およびそのアルコール溶媒和物および水和物は、それらを製造するための方法と共に、WO 00/059863に記載されている。
【0077】
さらに、送達剤は、上記に記載した修飾アミノ酸のいずれかの二ナトリウム塩ならびにそのエタノール溶媒和物および水和物であり得る。
【0078】
二ナトリウム塩は、無水二ナトリウム塩を形成するために、当業者に既知の方法を用いて、エタノール溶媒和物を蒸発乾固させることにより、エタノール溶媒和物から製造し得る。乾燥は、一般に、約80℃から約120℃、好ましくは、約85℃から約90℃、および最も好ましくは、約85℃の温度で行う。乾燥工程は、一般に、26”Hgまたはそれ以上の圧力で行う。無水二ナトリウム塩は、一般に、無水二ナトリウム塩の100%全重量に基づいて、エタノールの重量で約5%未満および好ましくは、エタノールの重量で約2%未満を含む。送達剤の二ナトリウム塩はまた、水中で送達剤のスラリーを製造し、2モル当量の水性水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなどを加えることにより製造し得る。
【0079】
適当なナトリウムアルコキシドは、非限定的に、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびその組合せを含む。また、二ナトリウム塩を製造するさらなる方法は、二ナトリウム塩を産生するために、送達剤を1モル当量の水酸化ナトリウムと反応させることによる。二ナトリウム塩は、真空蒸留により濃厚なペーストまで二ナトリウム塩を含む溶液を濃縮することにより、固体として単離し得る。このペーストを真空オーブンで乾燥させ、送達剤の二ナトリウム塩を固体として取得し得る。固体はまた、二ナトリウム塩の水性溶液をスプレー乾燥させることにより、単離し得る。送達剤は、当業者に既知の方法により、例えば、上記に記載したとおり、米国特許第5,773,647号および第5,866,536号に記載された方法により製造し得る。上記WO 00/059863に記載したとおり、エタノール溶媒和物は、非限定的に、分子または分子のイオン錯体または送達剤の二ナトリウム塩の分子またはイオンを有するエタノール溶媒のイオンを含む。典型的には、エタノール溶媒和物は、送達剤の二ナトリウム塩のすべての分子について約1個のエタノール分子またはイオンを含む。送達剤の二ナトリウム塩のエタノール溶媒和物は、エタノール中で送達剤を溶解することにより製造し得る。典型的には、送達剤の各グラムを約1mLから約50mLのエタノール、一般には、約2mLから約10mLのエタノールに溶解させる。次いで、送達剤/エタノール溶液を送達剤に対してモル過剰のナトリウム含有塩、例えば、一ナトリウム含有塩と反応させ、すなわち、送達剤のすべてのモルについて1モルを越えるナトリウムカチオンが存在し、エタノール溶媒和物を生成する。適当な一ナトリウム塩は、非限定的に、水酸化ナトリウム;ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドのようなナトリウムアルコキシド;および上記の任意の組合せを含む。
【0080】
好ましくは、少なくとも約2モル当量の一ナトリウム含有塩をエタノール溶液に添加し、すなわち、送達剤のすべてのモルについて少なくとも約2モルのナトリウムカチオンが存在する。一般に、反応は、混合物の還流温度またはそれ以下、例えば、室温で行う。エタノール溶媒和物は、次いで、当業者に既知の方法(例えば、大気圧蒸留での生じたスラリーの濃縮、濃縮スラリーの冷却および固体のろ過)により回収する。次いで、回収した固体を真空で乾燥させ、エタノール溶媒和物を取得し得る。送達剤の二ナトリウム塩の水和物は、上記に記載したエタノール溶媒和物を乾燥させ、無水二ナトリウム塩を形成し、無水二ナトリウム塩を水和することにより製造し得る。好ましくは、二ナトリウム塩の一水和物が形成される。無水二ナトリウム塩は、非常に吸湿性であるので、大気水分に曝すと、水和物が形成される。
【0081】
一般に、水和工程は、およそ室温から約50℃で、好ましくは、室温から約30℃で、少なくとも50%の相対湿度を有する環境で行う。あるいは、無水二ナトリウム塩は、スチームで水和し得る。
【0082】
好ましい送達剤は、例えば、N-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸 (5-CNAC)、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸 (SNAD)、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸 (SNAC)ならびにそれらのモノおよび二塩、例えば、一ナトリウムおよび二ナトリウム塩、それらの塩のエタノール溶媒和物およびそれらの塩の一水和物およびその任意の組合せ、例えば、それらのナトリウム塩のエタノール溶媒和物およびそれらのナトリウム塩の一水和物およびその任意の組合せから選択し得る。カリウム、リチウムおよびカルシウムのような他の塩もまた、考えられる。送達剤5-CNAC、SNAD、およびSNACは、特に、腸のアルカリ状態で非常に水溶性であり、ほとんど完全に、すなわち、90%以上溶解し、微粉化型または粗型での摂取に関わらず、胃腸管、例えば、十二指腸で吸収される。逆に、送達剤は、酸性環境で、例えば、胃で、沈殿を形成し得る。好ましくは、送達剤は、微粉化型である。
【0083】
特に驚くべき本発明の局面は、選択された送達剤が、有効成分の溶解時間に与える影響である。例えば、担体が5-CNACであるとき、特定の環境、例えば、腸環境での、不溶型、例えば、5-CNACのナトリウム塩または遊離酸の固体型の可溶型、例えば、溶液中の5-CNACへの変換は、有効成分が、例えば、10分以下の高溶解速度を有するメカニズムを提供する。
【0084】
したがって、胃腸環境(例えば、十二指腸の環境)内での接触で可溶型に変換する送達剤のすべての不溶型が、有効成分の高溶解速度に関するメカニズムを提供し得ると考えられる。
【0085】
したがって、送達剤、例えば、5-CNAC、例えばまたその塩は、ポリ(アミノ酸)有効成分の満足のいくまたは最適な溶解および/または吸収速度のための、満足のいくまたは最適な微環境を提供し得る。
【0086】
特に、5-CNACの二ナトリウム塩は、サケカルシトニンの吸収のために、満足のいくまたは最適な微環境を提供し得る。サケカルシトニンの吸収は、例えば、血漿濃度により測定し得る。
【0087】
特定の好ましいクラスの医薬組成物では、送達剤は、5-CNACである。5-CNACは、遊離または塩形であり得て、幅広い範囲の粒子サイズ、例えば、50μmから5μmの平均粒子サイズからなり得る。
【0088】
好ましくは、送達剤は、微粉化型である。
【0089】
微粉化送達剤、例えば、5-CNACの平均粒子サイズを、粗5-CNACを粉砕し、定期的に、粒子サイズ測定に関してサンプリングし、いつ望む平均粒子サイズを達成するかを同定することにより測定し得る。5-CNACを微粉化する方法は、WO 2005/014031に記載されており、それを引用により本明細書の一部とする(特に、5-CNACの異なるサイズ粒子の効果を記載した10頁および実施例1を参照のこと)。
【0090】
送達剤は、好ましくは、医薬組成物の全重量の5 wt %から80 wt %、特に、10 wt %から70 wt %、より特に、20 wt %から60 wt %、さらにより特に、40 wt %から60 wt %、例えば、50 wt%で存在する。最終医薬組成物重量が500mgであるとき、これは、最終医薬組成物中に存在する送達剤の2.5から400mgの量に相当する。
【0091】
さらに、送達剤が、5-CNACまたはその塩であるとき、その塩形は、好ましくは、組成物中に存在する5-CNACの全重量あたり90%重量以上の量で存在し、これは、特に、5-CNACの二ナトリウム塩が存在するときに適用される。
【0092】
好ましい送達剤は、5-CNACの二ナトリウム塩である。
【0093】
有効成分と送達剤の割合は、好ましくは、1/25から1/400、特に、1/50から1/300、より特に、1/100から1/200の間で存在し、sCT/5-CNAC組成物の場合に最も好ましい割合は、0.5 mg-1 mg sCTに対して200 mg-300 mgの5-CNAC二ナトリウム塩である。
【0094】
崩壊剤は、任意の超崩壊剤、例えば、水の吸収を介して膨張できる合成ポリマーから選択し得て、その中で、クロスポビドンおよびポピドンを、特に言及し得る。崩壊剤のより特定の例は、クロスポビドン、ポピドン、エクスプロタブまたはAC-Di-Solである。好ましいクラスの医薬組成物では、崩壊剤は、クロスポビドンである。クロスポビドンは、分子量1,000, 000またはそれ以上を有するN-ビニル-2-ピロリドンの合成架橋ホモポリマーであり、また、1-エテニル-2-ピロリジノンとも呼ばれる。
【0095】
超崩壊剤は、ウィッキング効果または水和により水を吸収でき、相当な程度まで膨張できる薬剤である。超崩壊剤は、それらの水吸収および膨張能力のため、慣用的な崩壊剤よりもより有効である。また、発泡および/または他の手段により崩壊時間を減らす他の薬剤を使用し得る。
【0096】
崩壊剤は、好ましくは、医薬組成物の全重量の0.02 wt %から10 wt %、特に、0.2 wt %から10 wt %、より特に、1.0 wt %から8 wt %、例えば、3 wt %から7 %、例えば、5 wt %の量で存在する。最終医薬組成物重量が500 mgであるとき、これは、0.1 mgから50 mgの間の崩壊剤の量に相当する。
【0097】
市販されているクロスポビドンは、Polyplasdone XL、Polyplasdone XL-10、ISPから購入できるPolyplasdoneINF-10、BASF Corporationから購入できるKollidon CLを含む。好ましいクロスポビドンは、Polyplasdone XLである。ポビドンは、一般に、2,500から3,000, 000の分子量を有し、直鎖1-ビニル-2-ピロリジノン基からなる合成ポリマーである。市販されているポビドンは、Kollidon K-30、BASF Corporationから購入できるKollidon K-90FならびにISPから購入できるPlasdone K-30およびPlasdoneK-29/32を含む。あるいは、それらは、既知の工程により合成し得る。
【0098】
希釈剤は、例えば、Avicel PH 102または101であり得る。希釈剤は、全組成物に基づき、医薬組成物中に90wt%以下で存在し得るか、または望む医薬組成物重量と実際の最終医薬組成物重量の間の何らかの差を埋めるために使用し得て、例えば、600mg以下、例えば、500mgであり得る。好ましくは、結合剤は、全組成物に基づき、20 wt%から70 wt%、例えば、40 wt%から60 wt%、例えば、50 wt%の量で存在する。最終医薬組成物重量が500 mgであるとき、これは、例えば、100mgから350mgの量に相当する。
【0099】
本発明のより好ましい態様では、希釈剤は、微結晶性セルロースである。
【0100】
希釈剤の添加は、錠剤の崩壊時間を減らす。
【0101】
有効成分の溶解時間は、希釈剤と無関係であり得る。
【0102】
流動促進剤または滑剤の錠剤への添加は、有効成分の溶解速度を増加させ得て、これは、滑剤、すなわち、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムなどの疎水性のためであることが、当業者に既知である。
【0103】
崩壊および溶解
崩壊および溶解なる用語は、USPセクション<701>および<711>で定義され得て、それは、引用により本明細書の一部とする。
【0104】
本発明に記載の“溶解時間”によると、該時間は、一定量(または、画分)の薬剤が、固体投与形態から溶液中に放出されるのに要する時間であると理解されるべきである。溶解時間は、インビボで起こることを摸倣する条件下で、インビトロで測定され、溶液中の薬剤の量は、時間の関数として決定される。
【0105】
例えば、溶解は、50 rpmでUSP溶解試験装置2を用いたUSP XXIII パドル法により決定され得る。
【0106】
本発明に記載の“崩壊時間(“DT”)”によると、該時間は、製剤化された薬剤産物(すなわち、カプセルまたは錠剤)が、注意深く特定された試験条件下で、壊れて一次粒子となるのに要する時間であると理解されるべきである。実験室試験、すなわち、インビトロの条件は、インビボで起こるそれらを摸倣するように設定する。
【0107】
例えば、組成物が錠剤型であるとき、崩壊時間は、錠剤が特定のサイズの顆粒にまで壊れるのに要する時間である。錠剤結合剤の種類および量ならびに錠剤有効成分を圧縮するのに使用される圧縮の程度のような因子が、崩壊時間を決定する。
【0108】
本発明に記載の医薬組成物の崩壊時間は、10分以下であり、例えば、9分以下であり得る。好ましくは、崩壊時間は、8分以下、例えば、6分であり、例えば、7分の場合のように8分以下であり得る。さらなるクラスの医薬組成物では、DTは、例えば、5分以下、例えば、1分から4分、例えば、2分である。また、さらなるクラスの医薬組成物では、崩壊時間は、2分以下、例えば、1分またはそれ以下である。
【0109】
したがって、本発明のさらなる局面では、組成物は、10分以下の溶解時間を有する。
【0110】
要約すると、本発明の組成物の崩壊時間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分のいずれかであるか、またはその任意の画分、例えば、0、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、140、150、160、170、180秒などである。
【0111】
崩壊は、本明細書では、錠剤が壊れて微粒子(例えば、直径が0.065 cm以下)になる物理的過程のことを言う。この過程は、視覚的にモニターされ、錠剤の物理的完全性のみに関する。典型的な方法では、崩壊は、USP <701>に示されたとおり、100%の分散粒子が37℃(±2℃)で維持される水槽中、粗メッシュシリンダー、例えば、内径が21.5 mmおよび壁がおよそ2 mmの厚さを有する7.75 cmの胴体を通過するのにかかる時間をモニターすることにより行われる。
【0112】
組成物の崩壊時間は、溶解時間と関連し得る。溶解時間は、有効成分が、液体培地中に溶解する時間である。溶解は、UVまたはHPLC解析によりモニターされ、薬剤の完全な放出に要するおよその時間を提供する。
【0113】
崩壊した組成物、例えば、錠剤中の有効成分は、溶液中に見出されるとは限らないし、吸収のために利用されるとも限らない。長い崩壊時間は、急速な薬剤吸収と一致しない;短い崩壊時間は、それ単独では、急速な吸収を保証しない。
【0114】
典型的には、崩壊と溶解の間にはいくらか関係がある。本発明の組成物に関して、溶解時間と崩壊時間の間には、直線的な関係が確立され得る。この例では、より短い崩壊時間がより速い溶解と一致し、一方で、より長い崩壊時間がより遅い溶解と関連することを証明し得る。より特には、6分およびそれ以下の崩壊時間は、20分で90%を越える溶解と一致し、9分の崩壊時間は、20分で〜30%の溶解と一致する。
【0115】
本発明の特定の態様では、組成物の溶解時間は、該組成物の分散時間と直線的な関係を有する。そのようなものとして、また本発明の他の局面では、組成物の崩壊時間を、組成物の溶解時間を予測するのに使用し得る。同様に、組成物の溶解時間が既知であるとき、該組成物の崩壊時間を計算し得る。
【0116】
崩壊時間と溶解時間の関係の使用は、特に、組成物が錠剤型であるときに有効である。ここで、崩壊時間は、胃での錠剤の崩壊時間である。したがって、錠剤の崩壊時間に影響を与える因子、例えば、錠剤硬度は、また、有効成分の溶解時間を予測するのに使用し得る。
【0117】
溶解の程度は、吸収の程度に反映され得る。したがって、好結果の溶解パラメーターは、治療上有効量の活性物質、すなわち薬剤が、血中血漿に到達するパラメーターである。
【0118】
サル薬物動態研究では、0.8 mgのカルシトニンを含有する製剤は、400 pg/mL以下のピーク血漿濃度(Cmax)および/または6時間で20%以上の血漿カルシウムレベルの減少を提供する。
【0119】
したがって、本発明の組成物の崩壊時間を調節することにより、吸収の速度および/または量を最適化し、および/または必要に応じて変え得る。1つの例として、組成物が錠剤であるとき、バイオアベイラビリティを、例えば、錠剤硬度を調節することにより、調節し得る。そのようなものとして、錠剤の成分(賦形剤/担体)および錠剤を形成するときの圧縮の程度が、本発明の組成物における有効成分のバイオアベイラビリティに影響を与えうる。
【0120】
本発明に記載のまた他のクラスの化合物では、医薬組成物は、圧縮錠剤の形態である。この形態では、錠剤は、好ましくは、5から10キロパスカル(kilopascal)の硬度を有する。
【0121】
このクラスの化合物では、錠剤硬度は、さらに、医薬組成物の崩壊時間を決定するのに使用し得る。同じ医薬組成物を用いたとき、錠剤硬度は、崩壊時間と直線的な関係を有することが、本願発明者らにより見出された。したがって、本発明の他の局面では、医薬組成物の崩壊時間は、錠剤の硬度に依存する。より特には、ある崩壊時間は、圧縮される錠剤の硬度を制御することにより達成し得る。
【0122】
錠剤硬度
5-20 Kpの硬度を有する好ましい製剤での好ましい重量での錠剤は、典型的には、6分未満の崩壊時間を有する。
【0123】
錠剤の硬度は、下記の表1および表2ならびに図3および図4に示したとおり、直接、錠剤の崩壊時間に関連する。
表1:
【表1】

【0124】
表2:
【表2】

ここで、
RSDは、相対標準偏差であり;そして
DTは、崩壊時間である。
【0125】
したがって、錠剤を製造するときの特定の組成物に適用する圧縮力は、医薬組成物の崩壊時間を決定し得る。
【0126】
さらなる成分
さらなるクラスの組成物において、医薬組成物は、さらに、流動促進剤および/または安定剤および/または乾燥結合剤を含む。
【0127】
したがって、1つのクラスの医薬組成物において、医薬組成物は、さらに、流動促進剤を含む。
【0128】
流動促進剤は、例えば、cab-o-silである。
【0129】
流動促進剤は、全組成物に基づいて、1.5 wt %以下、例えば、0.02wt%から0.5wt%、例えば、0.3 wt%の量で存在し得る。最終医薬組成物重量が500mgであるとき、これは、7.5mg以下の量に相当する。
【0130】
さらなるクラスの医薬組成物において、医薬組成物は、さらに、滑剤を含む。滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウムである。
【0131】
滑剤は、例えば、全組成物に基づき、0.5 wt%から1.5 wt%、例えば、0.75 wt%から1.25 wt%、例えば、1wt%の量で存在し得る。最終医薬組成物重量が500mgであるとき、これは、2.5mgから7.5 mgの量に相当する。
【0132】
本明細書に記載した特定の成分に加えて、本明細書に記載した崩壊および/または溶解特性を有する本発明の組成物は、また、他の技術、例えば、WO 94/26778;米国特許第5,359,030号;米国特許第5,438,040号;米国特許第5,681,811号;米国特許第6,191,105号;米国特許第6,309,633号;米国特許第6,380,405号;米国特許第6,436,990号;米国特許第6,458,776号; WO 97/33531;米国特許第5,912,014号;米国特許第608,618号および米国特許第6,479,692号(それらの内容は、その全体を引用により本明細書の一部とする)に記載された技術と組合せ得る。
【0133】
方法
本発明は、本明細書に記載した製剤および組成物を製造する方法を含む。
【0134】
特に、本発明は、10分以下の崩壊時間を有する錠剤を製造する方法に関し、該方法は、
a. 混合物を形成するために、ポリ(アミノ酸)、送達剤および崩壊剤を一緒に混合する
b. 希釈剤を混合物に添加し、混合する
c. 生成物を圧縮する
ことを含む。
【0135】
所望により、該方法は、さらに、下記の
1. パートaの混合物を篩過する
2. 工程bの後、崩壊剤を加え、混合する
3. 工程cの前に滑剤および/または流動促進剤を加える
を含む。
【0136】
典型的な方法を、下記のスキームIで示す:
【表3】

【0137】
上記方法の1つの態様では、混合物の錠剤への圧縮は、5 paから20 paの硬度を有する錠剤を提供し、その結果、錠剤は、10分以下の崩壊時間を有する。
【0138】
上記で記載したとおり、ポリ(アミノ酸)がカルシトニンであるとき、本発明の製剤は、例えば、骨吸収障害、例えば、骨粗鬆症、骨溶解またはページェット病、例えば、関節炎状態、例えば、骨関節症を処置するのに使用し得る。この目的を達成するために、それを必要とする患者での骨吸収障害および/または関節炎状態を予防または/および処置する方法を提供し、該方法は、該患者に本発明に記載の治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む(ここで、ポリ(アミノ酸)が、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンであり、医薬組成物の崩壊時間が10分以下である)。
【0139】
さらに、本発明の医薬組成物は、必要とされるポリ(アミノ酸)、例えば、カルシトニンを含有するとき、下記における方法で使用され得る:
【0140】
1. 処置を必要とする患者での、軟骨下骨の吸収を阻害し、そしてターンオーバーを正常化する方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0141】
2. 処置を必要とする患者での、軟骨細胞における直接または間接的な効果により軟骨を保護および刺激する方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0142】
3. 処置を必要とする患者での、ホスホリパーゼA2および/またはコラゲナーゼ活性を阻害する方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0143】
4. 処置を必要とする患者での、グリコサミノグリカンおよび/またはプロテオグリカン合成への刺激効果を得る方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0144】
5. 処置を必要とする患者での、軟骨下骨の密度または厚さにおける不均質に作用する方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0145】
6. 処置を必要とする患者での、炎症性過程に作用し、運動における疼痛および関連症状(例えば、膝の外周、膝の屈曲角、腫れの硬さ)の軽減を生じる方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0146】
7. 処置を必要とする患者での、関節における変性変化を減らす方法であって、該患者に治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0147】
組合せ剤
本発明の他の局面では、本発明に記載の医薬組成物は、第2薬剤物質と共に、例えば、第2薬剤物質を含んで投与し得て、ここで、該第2薬剤物質は、例えば、第2骨吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛緩和剤である。
【0148】
本発明に記載の医薬組成物を、第2、第3または第4の薬剤物質と共に投与するとき、各々の物質は、独立して、本発明の組成物に関して、同時に、別々に、または連続して投与し得る。
【0149】
適当な第2薬剤物質は、異なる起源のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu1-7)-ウナギまたはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体またはその誘導体、ステロイドホルモン、例えば、エストロゲン、部分エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン-ゲスターゲン組合せ剤、SERM (選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、例えば、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE-424、FC1271、Tibolone(Livial O)、ビタミンDまたはその類似体またはPTH、PTH断片またはPTH誘導体、例えば、PTH (1-84)、PTH (1-34)、PTH (1-36)、PTH (1-38)、PTH(1-31) NH2またはPTS 893、ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、イバンドロネート); プロテアーゼ阻害剤、例えば、カテプシン阻害剤、好ましくは、カテプシンK阻害剤; PTH放出; SARM (選択的アンドロゲン受容体分子) ; MMP 阻害剤(メタロプロテアーゼ阻害剤)、ストロンチウム関連のCOX-2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige (E))、セレコキシブ (Celebrex0)、ロフェコキシブ(Vioxx (D)、バルデコキシブ(BextraS))、エトリコキシブ(ArcoxiaG))、または混合COX- 1およびCOX-2阻害剤、例えば、ジクロフェナクを含み得る。
【0150】
したがって、本発明のこの局面にしたがって、
a) カルシトニン、例えば、サケ、(Asu1-7)-ウナギまたはヒトカルシトニンを、遊離形または塩形で、好ましくは、薬学的に許容される経口送達形態で含む医薬組成物、送達剤および崩壊剤を含み、該医薬組成物が10分以下の崩壊時間を有する、第1薬剤;および
b) 例えば、上記した骨吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛緩和剤である、共薬剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0151】
本明細書で使用するとき、“医薬的組合せ剤”なる用語は、2以上の有効成分の混合または組合せから生じる生成物を意味し、有効成分の固定化および非固定組合せ剤の両方を含む。“固定化組合せ剤”なる用語は、複数有効成分、例えば、サケカルシトニンおよび共薬剤の両方が、単一の物または用量の形態で、患者に同時に投与されることを意味する。“非固定化組合せ剤”なる用語は、複数有効成分、例えば、サケカルシトニンおよび共薬剤の両方が、分離した物として、同時に、共に、または連続して(特別な時間的制限は有さない)患者に投与されることを意味する(ここで、該投与は、患者の体内で2化合物の治療上有効量のレベルを提供する)。
【0152】
好ましくは、遊離形または薬学的に許容される塩形でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを、プロテアーゼ阻害剤、例えば、カテプシン阻害剤、例えば、カテプシンK阻害剤と共に投与する。
【0153】
本発明の上記局面の一部として、また、骨吸収障害および/または関節炎状態の予防および/または処置における使用のための複数部分のキットを提供し、該キットは、
a) (i) ポリ(アミノ酸)
(ii) 送達剤
(iii) 崩壊剤;および
10分以下の崩壊時間を有する医薬組成物での、遊離形または塩形でのカルシトニン、例えば、サケ、(Asu1-7)-ウナギまたはヒトカルシトニンである、第1薬剤;および
b) 例えば、上記したとおりの、骨吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛緩和剤である、共薬剤
を含む。
【0154】
さらに、また、上記方法(i)から(vii)の各々のために共投与法を提供し、該方法は、治療上有効量の本発明に記載の医薬組成物、例えば、カルシトニン、例えば、サケカルシトニンを遊離形または塩形で含有する医薬組成物で、10分以下の崩壊時間を有する医薬組成物、および第2薬剤物質(該第2薬剤物質は、遊離形または塩形の、骨吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛緩和剤)を含む。
【0155】
本明細書で使用するとき、“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、単一の患者への選択した複数治療剤の投与を包含することを意味し、これらの薬剤が、必ずしも、同じ投与経路または同じ時間で投与されない、処置レジメンを含むことを意図する。
【0156】
用量
薬理学的に活性な薬剤が、サケカルシトニンであるとき、適当な用量は、当然に、例えば、宿主ならびに処置される状態の性質および重篤度に依存して変わる。しかしながら、一般には、満足のいく結果は、全身的に、約0.5μg/kgから約10μg/kg動物体重、好ましくは、1μg/kgから約6μg/kg体重の一日投与量で得られる。カルシトニンの医薬組成物、例えば、カルシトニンの経口医薬組成物で使用される、薬学的に許容される不活性賦形剤は、例えば、本発明で意図された医薬組成物または固体経口投与形態の製造を助けるか、または胃腸環境での固体経口組成物の放出を助け得るポリマーおよび不活性化合物を含み得る。
【0157】
本開示は、カルシトニン、特に、遊離または塩形でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンに関する特定の用量範囲の規定を提供し、それは、有効かつ良好な耐用性を示す、すなわち、摂取する患者にとって安全である。
【0158】
好ましい範囲は、患者、例えば、ヒト、例えば、平均的な約70kgのヒトに関して、サケカルシトニンの0.15 mgから2.5 mg、特に、0.4 mgから2.5 mgである。より好ましい用量は、約1 mg、例えば、0.8 mgから1.2 mgである。また、より好ましい用量は、1 mg以下であるが、少なくとも、0.4 mgである。より好ましい用量は、約1 mg、例えば、1 mgである。最も好ましい用量は、0.5 mgから1.1 mg、特に、0.6 mgから0.8 mg、より特に、0.15 mgから0.4 mgの用量、とりわけ、0.15 mgの用量である。用量は、それを必要とする患者に対して、1日につき1回投与し得る。
【0159】
この目的を達成するために、本発明の医薬組成物は、下記のために使用し得る:
それを必要とする患者での骨関節症を予防および/または処置する方法であって、該患者に、カルシトニン、例えば、サケカルシトニンの0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.8 mgから1.2 mg、最も好ましくは、約1 mgを含み、10分以下の崩壊時間を有する医薬組成物を投与することを含む、方法。
カルシトニン、例えば、サケカルシトニンの0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.8 mgから1.2 mg、最も好ましくは、約1 mgを含む、医薬組成物。
骨吸収障害および/または関節炎状態の処置および/または予防のための医薬の製造における、カルシトニン、例えば、サケカルシトニンの使用であって、該医薬が、カルシトニンをカルシトニン、例えば、サケカルシトニンの0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.8 mgから1.2 mg、最も好ましくは、約1 mgの量で含む、方法(ただし、該医薬組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)。
【0160】
そのような経口送達形態は、例えば、サケカルシトニンの経口送達のための医薬組成物であり、
(A) 治療上有効量の該サケカルシトニン;
(B) 該サケカルシトニンのバイオアベイラビリティを促進するのに有効な、少なくとも1個の吸収エンハンサー
(該組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)
を含む。
【0161】
促進の例は、5-CNAC、SNACおよびカプリン酸ナトリウム、Na Capralateのような脂肪酸を含む。
【0162】
骨関節症の処置におけるカルシトニンの有用性が示されている医薬組成物は、ソフトジェルカプセルを含むカプセル、錠剤、カプレット、座薬または他の固体経口投与形態として提供し得て、そのすべては、当業者に既知の方法で製造し得る(ただし、該組成物は、10分以下の崩壊時間を有する)。
【0163】
本発明の特に好ましい製剤では、組成物は、10分以下の崩壊時間を有する。または、適当な条件で試験するとき、内容量の90%より多くが20分で溶解する。
【0164】
本発明の製造の一般的な概観において、固体医薬組成物は、最初に、送達剤または本発明の組成物のさらなる成分の任意の組合せを有する送達剤を、微粒子サイズまで粉砕することにより製造し得る。微粉化送達剤または微粉化送達剤プラス本発明の微粉化添加成分を、次いで、さらに、慣用的な方法により、例えば、1個またはそれ以上の活性薬剤、送達剤、クロスポビドンまたはポビドンおよび/または他の成分の混合物を混合し、混練し、カプセルに充填するか、またはカプセルに充填する代りに成形し、その後、さらに、錠剤化するか、または圧縮成型することにより錠剤を得ることにより加工し得る。さらに、固体分散は、既知の方法により形成し得て、その後、錠剤またはカプセルを形成するためにさらに加工され得る。
【0165】
本明細書の記載および請求項を通じて、“含む”および“包含する”なる用語ならびに該用語の変形、たとえば、“含むこと”および“含む”は、“非限定的に含むこと”を意味し、他の部分、付加物、構成要素、整数または工程を除外することを意味しない(および除外しない)。
【0166】
本明細書の記載および請求項を通じて、単数形は、内容が他に必要としなければ、複数形を含む。特に、不明確な冠詞を使用するとき、明細書は、内容が他に必要としなければ、複数形および単数形を規定するものと理解すべきである。
【0167】
特定の局面、態様または実施例との関連で記載した本発明の特徴、整数、特性、化合物、化学的部分もしくは基は、矛盾がない限り、本明細書に記載した任意の他の局面、態様または実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【実施例】
【0168】
実施例
下記の実施例は、さらに、本発明を例示するのに役立ち、当業者によって容易に理解されるであろう。実施例は、本発明を制限することは、一切意図していない。
【0169】
実施例1:医薬組成物1
【表4】

【0170】
サケカルシトニン、5-CNACおよびクロスポビドンを、第1混合工程で、一緒に混合した。Avicel PH 102を篩い、混合物に加え、第2混合工程で混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物をさらに、最終混合工程で混合した。最終混合物を、500mg錠剤に圧縮し、アカゲザルで評価した。結果は、図5に示している。
【0171】
実施例2:他の医薬組成物(3BATCHES)
実施例1で示したのと同じ組成物、すなわち、下記を含む組成物を製造した:
【表5】

【0172】
しかしながら、実施例1とは対照に、サケカルシトニンおよびAvicel PH 102を、第1混合工程で混合した。ついで、5-CNACおよびクロスポビドンを、第2混合工程で第1混合物に加えた。最後に、ステアリン酸マグネシウムを、最終混合工程で加えた。
【0173】
次いで、最終混合物を、3つの異なる崩壊時間を提供するために、3つの異なる圧縮レベルで圧縮し、各々異なる硬度を有する3つの異なるバッチの錠剤を得た:
(i) 1分10秒DT
(ii) 5分40秒DT
(iii) 8分51秒DT
【0174】
実施例3:他の医薬組成物
下記の組成物を形成するために一定量のCab-o-silを加えたことを除いては、類似の混合物を、実施例1のそれで製造した:
【表6】

【0175】
サケカルシトニン、5-CNACおよびクロスポビドンを、第1混合工程で混合した。AvicelおよびCab-o-silを篩い、第2混合工程で加えた。最後に、ステアリン酸マグネシウムを、最終混合工程で加えた。最終混合物を、500mg錠剤に圧縮した。Cab-o-silの混合は、錠剤の圧縮プロファイルを改善した。
【0176】
実施例4:他の医薬組成物
組成物が下記を含むことを除いては、実施例3に記載したとおりに組成物を製造した:
【表7】

【0177】
実施例5:他の医薬組成物
【表8】

5-CNAC二ナトリウム塩として記載した単位重量(a+b)は、200mgの5-CNAC遊離酸の合わせた重量に相当する。
Avicel PH 101 (I)および(II)の単位重量(a+b)は、Avicel PH 101の結合重量に相当する。
【0178】
実施例6:他の医薬組成物
【表9】

5-CNAC二ナトリウム塩として記載した単位重量(a+b+c)は、200mg の5-CNAC遊離酸の合わせた重量に相当する。
Avicel PH 101 (I)および(II)の単位重量(a+b)は、Avicel PH 101の結合重量に相当する。
【0179】
上記製剤の製造方法は、実施例1に記載したものの製造方法に類似している。しかしながら、実施例(特に、実施例5および6)の組成物を製造するための別の実施例方法を、下記に記載する:
1. 0.25gのsCT DSを計り取る;
2. パートIの5-CNACと混合する;
3. 工程2からの混合材料を、#60 (0.25mm)スクリーンを介して篩過する;
4. 工程3からのスクリーンを、パートIIの5-CNACですすぐ;
5. Aerosil 200PHおよびパートIのAvicel PH101を、#20 (0.85mm)メッシュスクリーンを介して篩過する;
6. Avicel PH101 (パートII)、工程5から篩過した材料、5-CNAC(パートIII)、工程4から篩過した材料、クロスポビドンを拡散ミキサーの中に加え、150回転、混合する;
7. 混合材料を、#20メッシュ(0.85mm)スクリーンを介して篩過する;
8. ステアリン酸マグネシウムを、#20メッシュ(0.85mm)スクリーンを介して篩過し、工程7からの混合物に加える;
9. 50回転、潤滑化する
10. 混合物を12 mm丸型FFBE錠剤に圧縮し、エンボス加工する。
【0180】
使用されるすべての装置は、実施例1で記載したものと同じである。
【0181】
実施例7:霊長類投与
下記の錠剤は、上記に記載した方法により製造し、アカゲザルで試験した。
バッチA
1. 0.8mg、DT 2m35s、力 8.5kN
2. 0.8mg、DT 5m40s、力 11.2kN
3. 0.8mg、DT 8m34s、力 12.1kN
バッチB
1. 0.6mg、DT 3m40s-5m35s、力 8kN
2. 0.6mg、DT 6m15s-7m55s、力 9kN
3. 0.6mg、DT 9m、力 10.2kN
バッチC
1. 0.8mg、DT 2m、力 8.3kN
【0182】
アカゲザルを投与前に一晩絶食させ、実験期間中、完全に意識のある状態でイスに拘束する。各々のバッチの一錠を、胃ゾンデにより各サルに投与し、その後、10 mLの水を投与する。アカゲザル血液試料を、投与直前および投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、および6時間に収集する。各用量および各々のサルに関する生じた血漿サケカルシトニンを、ラジオイムノアッセイにより決定する。
【0183】
各々のサルに関して、1つのバッチおよび1つの時点に関する霊長類血漿サケカルシトニン(SCt)、1つのバッチおよび1つの時点に関するすべてのサルについての平均血漿SCt濃度、1つのバッチおよび1つの時点に関する血漿SCt濃度の標準偏差(SD)、および1つのバッチおよび1つの時間期間に関するすべてのサルについての血漿SCt濃度に関する標準誤差の平均(SEM)を計算し、図5に示す。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】より多い潤滑を有する製剤の溶解を示すグラフである。
【図2】より少ない潤滑を有する製剤の溶解を示すグラフである。
【図3】崩壊時間(DT)(分)における錠剤硬度の効果を示すグラフである。
【図4】崩壊における錠剤硬度の効果を示すグラフである。
【図5】霊長類投与の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)副甲状腺ホルモン(PTH)または少なくとも1−28位のアミノ酸を含むそのフラグメント;
(ii)式I:
【化1】

[式中、
R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換C2-C16アルキレン、置換または非置換C2-C16アルケニレン、置換または非置換C1-C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換アリール(C1-C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1-C4アルキルである]
で示される化合物またはその水和物もしくはアルコール溶媒和物である送達剤;
(iii)崩壊剤;および
(iv)希釈剤
を含み、胃媒体(gastric media)中で、20分以下で80%以上の溶解時間を有する、錠剤形態の経口医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−211159(P2012−211159A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135063(P2012−135063)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2008−541365(P2008−541365)の分割
【原出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】