説明

半導体エッチング処理の力学的モデル化及び手法最適化のための方法およびシステム

半導体製造におけるエッチング処理の力学的モデルを生成するための方法およびシステムが開示される。一つの実施形態では、方法は、半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して、力学的処理モデルを生成する段階を含む。力学的処理モデルは、モデルで予測された出力値が要求される出力値に適合するまで入力値を調整することにより、処理手法の最適化に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体製造に関わり、特に、半導体エッチング処理の処理モデル化および手法最適化のための方法およびシステムに関する。本願は、「力学的エッチング処理をモデル化するための方法及びシステム」という発明の名称で2002年8月28日に出願された米国仮特許出願番号第60/406,905号に基づき優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造における重要な問題は、ホウリン珪酸ガラス(BPSG)処理のような、特定動作基準に適合させるための化学気相蒸着(CVD)法処理の手法を最適化することである。
【0003】
例えばセル形成処理において、製造業では、通常、(1)BPSG・CVD、(2)プラズマ・エッチング、及び(3)湿式洗浄/エッチングからなる3ステップ処理を利用する。図1は本発明の一実施形態によるセル形成処理のための、従来の模範的な技術の3ステップBPSG・CVD処理を示す。
【0004】
この3ステップ処理の目的は、基板上の円柱状セルをエッチングすべきものであり、続いて導電性物質で通常満たされ、メモリなどのコンピュータ部品の製造に使用される。これらのセルは、要求されるそれらの導電性を維持するために、それらの深さに沿って最小の直径を有し、それらの深さに沿っても最小の距離によって分離される必要がある。同時に、製造業では、それらの生産量を最大にするために、できるだけお互いの近くでこれらのセルをエッチングしようと望んでいる。即ち、これらのセルが近ければ近いほど、より多くのセルを単一ウェハ上にうまく収めることができ、単一ウェハからより多くの構成部品を製造できる。
【0005】
図2は、従来の模範的な技術による、X軸及びY軸に沿った楕円形状を有する単一セル600の上面図を示す。各半導体ウェハは、互いに隣接するこれらのセルの多くを含んでいる。これらのセルの側壁プロファイル(profile)は、通常、X軸610またはY軸620に沿ってウェハを切断し、続いてセルの断面積の画像を生成するのに走査電子顕微鏡などの画像処理法を使用することによって、測定される。
【0006】
図3は、セル形成処理において理想的で典型的な側壁プロファイルの従来技術の図を示す。単一ウェハ上に可能な限り多くのセルを配置するための理想的なセル側壁プロファイル210は、完全な円筒形となる。典型的な手法設計は、試行錯誤の最適化に基づいており、図3に示されるように、完全に垂直な円筒状プロファイルからの全偏差量が、通常1000Å(オングストローム)以上であるような側壁プロファイル220を生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当面の問題は、現状よりも遥かに理想の円筒形状に近い現実的な結果となるようなセル形成処理のための手法を最適化するための系統的な方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
方法及びシステムは、半導体製造におけるエッチング処理の力学モデルを作成するために開示される。モデルは、線形及び非線形の力学を組み入れて、結果的に得られる側壁プロファイルを改良するための処理手法を最適化するのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の特徴と利点は以下の詳細な説明の観点から当業者にとって明らかとなるであろう。
【0010】
方法及びシステムは、エッチング処理のための力学モデルを作成し、また手法の最適化にそれらのモデルを使用するために説明される。本発明の議論及び例示の目的として、化学気相蒸着(CVD)法処理の状況、より詳しくは、ホウリン珪酸ガラス(BPSG)処理の状況で与えられるであろう。しかしながら、当業者ならば、他のタイプのエッチング処理において同じモデル化問題が生じ、開示された技術がこれらの領域においても適合するということを理解し、かつ評価するであろう。
【0011】
以下の説明では、説明の目的のために、多数の特定の詳細事項が本発明の徹底的な理解を与えるために詳しく説明される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細事項なしに実施可能であるということが、当業者には明白になるであろう。いくつかの例では、周知の構造及び装置が、詳細にというよりはむしろ、本発明を不明瞭にするのを避けるためにブロック図の形式で示される。これらの例は、本発明を当業者が実施することを可能にする程度に充分に詳細に説明され、そして他の実施形態が利用でき、論理的、機械的、電気的、その他の変更が、本発明の範囲から逸脱せずに行うことができる、ということが理解されるべきである。
【0012】
以下の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータ・ビットへの動作のアルゴリズムと記号的表現で示される。これらのアルゴリズムの説明と表現は、
当技術分野の他の当業者に対するそれらの作業内容を、データ処理技術における当業者が最も効果的に運用するために利用される手段である。アルゴリズムは、ここでは、通常、要求される結果につながる自己一貫した一連の動作であると想定される。その動作は物理量の物理的操作を必要とするものである。通常、必ずしもそうではないが、これらの量は、格納され、転送され、結合され、比較され、他の操作が可能な電気的または磁気的信号の形式を取る。それは、主に共通に使用するという理由から、これらの信号がビット、値、要素、記号、文字、単語、数字などとして参照するのに、時には便利であると判明した。
【0013】
しかしながら、全てのこれらの用語及び類似の用語は適切な物理量に関連し、単にこれらの量に適用された便利なラベルである、ということを覚えておくべきである。以下の議論から明白であるとして別の方法で特に述べない場合、説明を通して「処理」、または「演算」、または「計算」、または「決定」、または「表示」などの用語を使う議論は、コンピュータシステムの動作及び処理のことを示すことと認識され、あるいは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ中の物理的な量(電子的な量)として表わされるデータを扱って、コンピュータシステムメモリまたはレジスタ、さらには情報蓄積装置、伝達装置またはディスプレイ装置などのその他の装置の中の物理量として同様に表わされる他のデータに変換するような、類似の電子計算装置の動作及び処理のことを示すことと認識される。
【0014】
本発明は、ここの動作を実施する装置によって実施できる。特に、要求される目的のために装置を組み立てることができ、またそれは、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に動かされ、または再構成された汎用コンピュータに含めることができる。このようなコンピュータプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクを含む何らかのタイプのディスク、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクなどのコンピュータの読み込み可能な記憶媒体に格納でき、また、コンピュータ・システム・バスと各々結合するリード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気式または光学式カード、または何らかのタイプの電子的記憶命令を格納するのに適した媒体に格納できる。但し、上記媒体に限定されることはない。
【0015】
ここに提示されたアルゴリズム及び表示物は、本来何らかの特定のコンピュータや特定の他の装置に関連するものではない。様々な汎用システムが、ここでの教示によるプログラムと共に使用でき、また、要求される方法を実施するためのより専門化した装置を組み立てることが便利であるということが判明するであろう。例えば、本発明による方法のいずれもが、汎用プロセッサをプログラムすることによって、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組み合わせによって、配線回路構成(hard-wired circuitry)を実装できる。当業者ならば、以下で説明されたもの以外のコンピュータシステム構成、例えば携帯端末、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサ・ベース家電またはプログラム制御家電、DSP装置、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、および同様の装置を含むものを用いて本発明を実施できるということを、即座に理解するであろう。また、本発明は、作業が通信網を介して連結されたリモート処理装置によって実施される分散型コンピューティング環境でも実施できる。様々なこれらのシステムに要求される構造は、以下の説明から明らかとなるであろう。
【0016】
本発明の方法は、コンピュータソフトウェアを使用することによって実施できる。認識された規格に従ったプログラミング言語で書かれれば、この方法を実施するよう設計された一連の命令は、様々なハードウェア・プラットホームにおいて実施するため、及び様々なオペレーティングシステムへのインターフェースのためにコンパイル(compile)できる。さらに、本発明は、何らかの特定のプログラミング言語に関して説明されたものではない。ここで説明されるように、本発明の教示を実施するのに様々なプログラミング言語が使用できるということが理解されるであろう。しかも、ソフトウェアについて、動作を起こしたり、結果を生じさせるのに応じて、あれこれの形式(例えば、プログラム、手順、アプリケーション...)で述べることは当技術分野で一般的である。このような表現形式は、コンピュータによるソフトウェアの実行がコンピュータのプロセッサに動作を実行させたり、結果を生じさせると言うような、単に間に合わせの表現をするものにすぎない。
【0017】
様々な用語と技法が、当技術分野における知識を有する者によって、通信、プロトコル、アプリケーション、実行、機構などを記述するために使用される、ということが理解されることになる。そのような技法の1つは、アルゴリズムまたは数式の表現による技法の実施を説明することである。つまり、その技法が、例えば、コンピュータ上のコードの実行として実施されつつ、その技法の表現は、より適切で簡潔に公式、アルゴリズム、または数式表現として伝えることができる。従って、当業者ならば、ハードウェア及び/またはソフトウェアにおける実行時に、2つの入力(AとB)を受け取って加算出力(C)を与えるような加算機能としての、A+B=Cを表すブロックについて理解するであろう。従って、公式、アルゴリズム、または数式を記述として使用することは、(本発明の技法を、実施の形態としても実施できるコンピュータシステムのような)少なくともハードウェア及び/またはソフトウェアにおける物理的な実施の形態を有しているとして理解されるべきである。
【0018】
機械読み込み可能な媒体とは、機械(例えばコンピュータ)によって読み込み可能な形式の情報を格納または伝達するための、何らかの機構を含んでいるということが理解される。例えば、機械読み込み可能な媒体は、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的、または他の形式の伝播信号(例えば、キャリア波、赤外線信号、デジタル信号など)等を含んでいる。
【0019】
[エッチング処理の空間的力学モデル化]
半導体エッチング処理のための最適化手法における主要な困難さは、全てが非常に複雑な関係で相互連結されている多変数を扱わなければならないという事実である。図1に戻って、3ステップのCVD処理100は、多くの入力120(TEB(トリエチル・ボレート)ガス流量、TEPO(トリエチル・ホスフェート)ガス流量、TEOS(テトラエチル・オルトシリケート)ガス流量などのドープ剤ガス流量122や、圧力、電力、ガス流量などのプラズマ・エッチング入力124)、及び多くの出力130(リフロー(reflow)の前後のSIMS(二次イオン質量分析)ドープ剤プロファイルや、FTIR(フーリエ変換赤外分光分析)集約ドープ剤プロファイルなどのCVD出力132、湿式洗浄/エッチング134の前と湿式洗浄/エッチング136の後におけるX軸610とY軸620の両方向における電気計測、CD(限界寸法)測定、SEM(走査電子顕微鏡観察)断面側壁プロファイルなどのプラズマ・エッチング出力134等)を含んでいる。多くの変数が存在し、これらの処理における複数のステップが存在し(その各々がいくつかのパラメータ設定によって影響を受け)、これらのそれぞれのステップが、正確にモデル化するのが難しい複雑な化学処理を表現することを考えると、セル側壁プロファイルを最適化することは難しい作業である。この処理のための適切なモデルは当業界ではまだ開発されておらず、入力値の特定の組み合わせから生じる側壁プロファイルを正確に予測することを困難にしている。従って、ほぼ垂直な側壁プロファイルをもたらすような、それらの入力のための手法、すなわち値の組み合わせを選択することは非常に難しい。図4は、本発明の一実施形態による、最適化された側壁プロファイル230の模範的な図を示す。最適化された側壁プロファイル230は、100Å未満にまで側壁偏差を最小化することによって、処理されたウェハ上のセル集積度をかなり増加することが可能となる。
【0020】
図5は、本発明の一実施形態によって、モデル化の目的に使用されるセル形成処理の模範的な方法を示す。本発明の一実施形態は、図5に示されるようにセル形成処理のための入力及び出力の数を減少させることによって、上述のような最適化問題を簡単にする。図5と図1を比較すると、図5に示した簡単化された処理300には、入力320の数が2個のみに減少したこと、すなわちドープ剤TEB及びTEPOのガス流量322に減少したことがわかる。また、出力330が、ドープ剤プロファイル332とSEM断面側壁プロファイル334及び336だけに減少したこともわかる。
【0021】
本発明の一実施形態は、2つのみの(2の)入力、即ちTEB及びTEPOの流れ322と、2つのみの(2の)出力、即ち2つの直交軸X軸610とY軸620に沿った実際の側壁プロファイルの鉛直からの偏差と、を有する処理のための力学システムモデルを、さらに作成する。これらの出力の両方が、湿式洗浄/エッチングの後のSEM断面側壁プロファイルから、即ち出力336から測定される。他のすべての入力及びパラメータ設定は、この処理に一般的な値で一定に保たれる。この手法の背後の論法は、TEB及びTEPOのガス流量322が、基板に析出した薄膜のホウ素(B)及びリン(P)のドープ剤濃度を決定する主要な変数であるとするものであり、その変数は、順に、エッチング速度とその結果としてのセル側壁の形状を決定する主要な変数である。従って、唯一の入力変数としてTEB及びTEPOのガス流量322を使用し、そして他のいかなるものをも一定に保つことは、モデル化処理の複雑さを遥かに処理しやすいレベルにまで減じながら、側壁プロファイルを最適化するのに十分な柔軟性を提供する。
【0022】
この2入力−2出力の力学モデルのためのパラメータの識別は、線形力学系のための何らかの同定方法、例えばARX(Auto-Regressive with eXogenous inputs:外因性入力による自動後退)法またはARMAX(Auto- Regressive Moving Average with eXogenous inputs:外因性入力による自動後退移動平均)法などのような方法を利用しながら実行できる。その代わりに、モデル化精度は、線形力学モデルに入力非線形性(input nonlinearities)を組み込み、以下で説明されるINARX(Input-Nonlinear Auto-Regressive with eXogenous inputs:入力非線形のARX)法を使用することによって改良できる。一般に、これらの方法のいずれかを使用することにより、多重の線形モデル、または異なった動作点の周りにおける処理の挙動を正確に記述する入力非線形モデルからなった非線形力学モデルがもたらされる。このパラメータの特定には、時間に対するTEB及びTEPOガス流量322の選択値を入力データとして使用し、結果とし得られたX軸610及びY軸620側壁プロファイルの垂直方向の参考位置からの偏差を出力データとして使用する。
【0023】
出力データは、湿式洗浄/エッチング336の後で側壁プロファイルのSEM断面写真から得られる。これらの写真は元々SEM分析装置からデジタル形式で記録されるので、エッジ検出を実行する画像処理アルゴリズムによりそれらを処理できる。一旦写真のエッジが検出されると、それらの画素位置がわかり、鉛直方向からのそれらの偏差が画素の配列番号の減算を通して計算される。そして、偏差は、エッチング深さの関数として格納され、その状況で、エッチングの深さは画素配列位置に対応する。
【0024】
側壁偏差を決定するためのこの処理は、時間よりむしろエッチング深さを独立変数として使用するエッチング処理のための空間的力学モデルを作成する。しかしながら、ガス流量手法は深さではなく時間の関数である。従って、本発明の一実施形態は、時間から深さへの変換成分を組み込む。このような成分の1つの具体化は、析出速度モデルであり、それは、TEB及びTEPO組成の関数として基板が蒸着される割合、即ち1秒当たりのオングストローム数を与える。本発明の一実施形態では、この析出速度モデルは別個の実験を通して作成される。本発明の他の実施形態では、この析出速度モデルは空間的力学モデルのパラメータを特定するのに使用される同一の実験から作成される。従って、結果として得られる力学モデルは、空間領域出力に時間領域入力を関連付け、対応する時間から深さへの変換を陰関数的に組み込む。
【0025】
このような空間的力学モデルを利用することによって、2つの出力値(X軸610及びY軸620側壁プロファイルの鉛直方向からの偏差)を最小化する許容できる入力範囲内において、2つの入力(TEB及びTEPOの時間プロファイル322)に対する値を選択する条件付き最適化方法を使うことができる。このような状況において、析出速度モデルは与えられた入力値の組み合わせから生じる出力値を予測するのに使用され、そして出力値が最小になるまで最適化アルゴリズムが入力値を適合させる。実際には、最適化目標としての何らかの出力判定基準を選定できる。例えば、要求されるプロファイルが垂直でなく異なる形状を有する場合、処理の出力はその形状からの偏差として定義でき、また同様の最適化処理が許容できる入力領域に従って使用できる。TEB及びTEPOプロファイルにおける許容値の変化の最大数は、この処理に使用されるCVD法装置の能力に依存して、CVD法装置が蒸着できるドープ層の最大数に制限されうる。その場合、最大値変化のこの制限に従う全入力プロファイル中で、可能な限り最小の側壁偏差をもたらすように、最適化を修正できる。
【0026】
上記方法は、入力としてTEB及びTEPOガス流量のみを使用することを示したが、当業者ならば、他の実施形態でも、TEB、TEPO、およびTEOSガス流量の何らかの組み合わせを入力値として使用するように同じ方法論を適用できるということを、即座に理解するであろう。例えば、3入力2出力のCVD処理の力学モデルを作成する入力として3つの全てのガス流量、または1入力2出力のCVD処理の力学モデルを作成するただ1つのガス流量を利用できる。上記方法と以下で説明する式は、1入力、2入力、または3入力を選択するために修正できるであろう。
【0027】
さらに、上記方法はBPSG・CVD処理の例で示されるが、当業者ならば、ガス流量を入力として含み、側壁プロファイルを出力として含む何らかの処理が、他の例においてモデル化でき、またその手法がここで記述された方法を用いて最適化できる、ということを即座に理解するであろう。
【0028】
[モデルの特定と実証方法]
入力としてのガス流量と出力としての側壁プロファイルとを含むエッチング処理のための力学モデルを作成する総合的な方法論が、一実施形態によって上記で説明された。また、何らかの選択された手法の結果を予測するための力学モデルを使用する処理に対する手法の最適化についても、上記で説明してきた。このような力学モデルの典型的な構造は、以下の式(1)で表される線形ARX(外因性入力による自動後退)モデルである。
【0029】
【数1】

【0030】
式(1)における数列u(k)、Y(k)、及びe(k)は、複数入力及び/または出力を表すために必要なベクトル量であり、量A、Bは適合する次元のマトリクスである。
【0031】
式(1)におけるARXモデルの線形構造は、CVDのような処理が、通常厳しい非線形性を示すので、CVD処理の力学的挙動を忠実に捕らえることができない。これらの非線形性は、エッチング処理の間に起こる基板内のドープ剤とエッチング剤と間の化学的相互作用に固有のものである。これらの非線形性を捕らえる1つの方法は、異なった動作点の周りにおける処理の力学的挙動を捕らえる各モデルと共に、式(1)に示すタイプのいくつかの線形モデルを使用することである、エッチング処理の場合には、そのような動作点は、使用される手法によって定義されるであろうし、また、対応する線形モデルは、動作点を定義するのに用いられる手法の周辺における小さな手法の変動に対するエッチング処理の出力を正確に予測するであろう。
【0032】
エッチング処理の非線形挙動を捕らえるより良い方法は、陽関数的に非線形性を組み込むモデル構造を考えることである。図1に示すタイプのセル形成処理に特に適していると見られるモデル構造は、以下の表現で定義されたINARX(外因性入力による入力非線形自動後退)モデルである。
【0033】
【数2】

【0034】
式(1)の線形ARXモデルと比べて、式(2)のINARXモデルは滑らかな無記憶(memoryles)非線形関数(無記憶非線形性)である関数f(・)を組み込む。これらの非線形性は,
ベクトルに適用されると、ベクトルにおける個々の要素に適用される。
【0035】
モデルを特定する問題をより簡単に定式化するために、以下のようなL個の非線形性G(・)のセットの一次結合である無記憶非線形性を考える。
【0036】
【数3】

【0037】
式(3)における非線形性パラメータ化は、同等な線形ARXモデルを産出するために、式(2)の一般的なINARXモデルに結合できる。即ち、
【0038】
【数4】

【0039】
または、
【0040】
【数5】

【0041】
で、ここに、
【0042】
【数6】

【0043】
である。
【0044】
図6は模範的なINARXモデルの実現を示す。式(4A)〜(4C)の線形パラメータ化により、線形最小二乗法による特定法を適用することで、1つ以上の記憶された入出力データセットにINARXモデルを適合させることが可能になる。言い換えれば、式(4A)〜(4C)で示した線形再パラメータ化により、式(1)の線形ARXモデルと同様にして、式(4b)のINARXモデルを扱うことができる。
【0045】
具体的には、実験中及び/または実験後に入力及び出力を測定することによって得られたデータセットを考える。
【0046】
【数7】

【0047】
データセット(5)から式(4b)の形式でINARXモデルを特定するために、式を行列形式に置き換える。即ち、
【0048】
【数8】

【0049】
または、
【0050】
【数9】

【0051】
マトリクスY及びΦは測定データから成り立つ。目標は式の誤差Eのサイズを最小にするパラメータ・マトリクスΘを計算することである。これは、最小二乗法問題を解くことによって行われる。即ち、
【0052】
【数10】

【0053】
P個の異なった実験からのデータセットが得られるならば、各実験からマトリクスを「積み重ねる」ことにより、また下の問題を解くことによって、全てのデータセットを説明するパラメータ・マトリクスΘが計算できる。
【0054】
【数11】

【0055】
さて、実験が毎回行われると仮定すると、未知であるが一定値のバイアス値(bias)が出力測定を損なってしまう。その場合、データセットは以下のように表される。即ち、
【0056】
【数12】

【0057】
ここに、
【0058】
【数13】

【0059】
は出力測定における未知であるが一定値のバイアス値を表す。バイアスした出力測定値を式(4b)に代入すれば、以下の表現が得られる。
【0060】
【数14】

【0061】
式のバイアス値dは以下のように定義される。即ち、
【0062】
【数15】

【0063】
式(10)に式(11)を代入すると、以下の式がもたらされる。即ち、
【0064】
【数16】

【0065】
式のバイアス値dは、ΦとΘの定義を適切に特定し修正するためのパラメータ列を追加することによって、特定できる。複数のデータセットを使用するモデルパラメータΘのセットが特定されるならば、実験毎にバイアス値が異なる可能性があるという事実を考慮に入れなければならない。式(8)の表現で引き起こされた複数の実験の最適化問題を以下のように修正することによって、これが可能である。即ち、
【0066】
【数17】

【0067】
ここに、
【0068】
【数18】

【0069】
である。
【0070】
式(13A)〜(13B)の表現における問題を解けば、実験間で異なる測定のバイアス値に対して強固なモデルパラメータをどうにか特定することが可能である。
【0071】
一旦モデルが特定されると、どれくらいよく、予測が測定入力及び出力
【0072】
【数19】

【0073】
に合うかを測定することによって、その特質を評価できる。モデルの予想値が新データセットと良く合致するならば、そのモデルは新データで「実証された」と言える。
【0074】
式(4b)のINARXモデルは、以下のように予測出力を演算するのに直接使用できる。即ち、
1. k=1,...,Nに対して、予測出力
【0075】
【数20】

【0076】
を測定出力
【0077】
【数21】

【0078】
に等しく設定する。
2. k=N+1,...,Mに対して、予測出力
【0079】
【数22】

【0080】
を、式
【0081】
【数23】

【0082】
を通じて演算する。
3. k=N+1,...,Mに対して、予測出力
【0083】
【数24】

【0084】
を測定出力
【0085】
【数25】

【0086】
と比較する。
【0087】
この方法は、推定値を使用せずに、予測出力が測定出力に対し「同期」を保つようにするので、開ループ実証方法である。
【0088】
さて、未知の出力誤差のバイアス値が存在する時のモデル実証問題を考える。モデルパラメータΘのセットと、バイアス値のセットd,...,dが、P回の実験のセットから測定入力と出力データを使用し、また式(13a)〜(13b)で表現される最適化問題を解くことによって、演算されたと仮定する。新しいセットの測定入力と出力
【0089】
【数26】

【0090】
を与えると、測定のバイアス値を明らかにしながらモデルを実証するために、以下の方法が使用できる。
【0091】
1. 新データを使用して、以下の最小化問題を解き、未知のバイアス値dを演算する。
【0092】
【数27】

【0093】
2. k=1,...,Nに対して、予測出力
【0094】
【数28】

【0095】
を測定出力
【0096】
【数29】

【0097】
に等しく設定する。
3. k=N+1,...,Mに対して、予測出力
【0098】
【数30】

【0099】
を、式
【0100】
【数31】

【0101】
を通じて演算する。
3. k=N+1,...,Mに対して、予測出力
【0102】
【数32】

【0103】
を測定出力
【0104】
【数33】

【0105】
と比較する。
【0106】
図7はセル形成処理に対する処理のモデル化と手法最適化の手法700の模範的なフローチャートで、本発明の一実施形態によるものを示す。処理はブロック710から始まる。処理ブロック715では、ユーザが、BPSGや異なる化学反応のようなモデル化すべきセル形成処理を選択する。上記で議論されたように、ユーザは処理ブロック720で処理入力と処理出力を選択できる。処理ブロック725では、ユーザが線形の力学モデル構造または入力非線形の力学モデル構造を選択するように促される。特定の処理挙動がどのくらい非線形であるかどうかに従って、ユーザに推奨できる。
【0107】
処理ブロック730では、入力非線形モデル構造を上記説明のように線形形式に再パラメータ化する基礎として使用される非線形関数を選択するように、ユーザが促される。異なる処理手法を用いた様々なテストと実験が、処理ブロック735において行われる。また、対応するセル側壁プロファイルのSEM画像も記録される。処理ブロック740では、SEM画像上でのエッジ検出が実行され、エッチング深さの関数としての鉛直方向からのセル側壁の偏差が演算される。そして、空間画像が、空間的力学モデルにおいてパラメータを特定するのに使用可能な数値出力に変換される。
【0108】
処理はブロック745に続き、時間ベースの入力値を、空間的力学モデルにおけるパラメータの特定に使用可能な深さベースの入力値に変換するのに、析出速度モデルが使用される。処理ブロック750では、最小二乗法による特定法が、出力測定値のバイアス値を含む空間的力学モデルのパラメータを特定するのに使用される。結果として得られたセル形成処理の空間的力学モデルは、処理ブロック760において、追加実験を行い、モデルによって予測された出力値を新しい実験に対する実際の出力値と比較することによって実証される。
【0109】
処理ブロック765では、処理入力上課せられた最大値及び最小値の制約の下に、モデルにより予測された出力値が要求される出力値に合致するまで入力値を調整することによって、実証されたセル形成処理の空間的力学モデルが処理手法を最適化するのに使用される。処理はブロック770で完了する。
【0110】
図8は、本発明の構成要素を実装可能な統合されたマルチプロセッサを表すコンピュータシステム2000の模範的なブロック図を示す。コンピュータシステム2000は、図7に関連して上記で説明した方法700を実行するのに使用できる。コンピュータシステム2000の一実施形態は、情報を伝達するためのシステムバス2200と、情報を処理するためにバス2100に結合されたプロセッサ2100とを有する。コンピュータシステム2000は、さらに、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)または他の動的記憶装置2250(ここではメインメモリとして示される)を含み、情報及び命令を格納してプロセッサ2100によって実行されるようにするバス2200に結合されている。メインメモリ2250は、プロセッサ2100による命令が実行されている間、一時的変数または他の中間的情報を格納するのにも使用できる。コンピュータシステム2000は、プロセッサ2100によって静的情報と命令を格納するために、リード・オンリー・メモリ(ROM)、及び/または、バス2200に結合された他の静的格納装置2260をも含むことができる。
【0111】
情報及び命令を格納するために、磁気ディスクあるいは光ディスクなどのデータ記憶装置2270、及びそれに対応するドライブをコンピュータシステム2000に結合できる。コンピュータシステム2000は、第2のI/Oバスにインターフェース2300を介して結合することもできる。ディスプレイ装置2430、入力装置(例えば、英数字入力装置2420、及び/またはカーソル制御装置2410)を含む複数のI/O装置が、I/Oバス2500に結合できる。例えば、ビデオ・ニュース・クリップ、及び関連する情報を、ディスプレイ装置2430上でユーザに提示できる。
【0112】
通信装置2400は、ネットワークを介して他のコンピュータ(サーバまたはクライアント)にアクセスするためのものである。通信装置2400は、モデム、ネットワーク・インターフェース・カード、または他の周知のインターフェース機器、例えばイーサネット(登録商標)やトークンリングや他のタイプのネットワークとの結合に用いられるもの、を有することができる。
【0113】
以上の明細書で、本発明は特定の実施の形態を参照して説明されたが、特許請求の範囲で説明された発明のより広い精神と範囲から逸脱することなく、様々な修正と変更をなすことができるということは明白であろう。従って、明細書と図面は、限定的な意味ではなく、むしろ例示であるとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】セル形成処理のための従来技術による模範的な3ステップBPSG・CVD処理を示す。
【図2】X軸及びY軸に沿った楕円形を有する単一セルの、従来技術による模範的なものの平面図を示す。
【図3】セル形成処理における理想的で典型的な側壁プロファイルの、従来技術によるものの図を示す。
【図4】本発明の一実施形態によって最適化された側壁プロファイルの模範的な図を示す。
【図5】本発明の一実施形態のモデル化目的に使用されるセル形成処理の模範的な方法を示す。
【図6】本発明の一実施形態による模範的なINARX(外因性入力による非線形自動後退)モデルの実現を示す。
【図7】本発明の一実施形態によるセル形成処理のための処理モデル化方法及び手法最適化方法の模範的なフローチャートを示す。
【図8】本発明の構成要素を実装可能な統合されたマルチプロセッサを表すコンピュータシステム2000の模範的なブロック図を示す。
【符号の説明】
【0115】
100 CVD処理
120 入力
122 ドープ剤ガス流量
124 プラズマ・エッチング入力
130 出力
132 CVD出力
134 プラズマ・エッチング出力
134 湿式洗浄/エッチング
136 湿式洗浄/エッチング
210 セル側壁プロファイル
220 側壁プロファイル
230 側壁プロファイル
300 処理
320 入力
322 ガス流量
330 出力
332 ドープ剤プロファイル
336 湿式洗浄/エッチング
600 セル
610 X軸
620 Y軸
700 手法
2000 コンピュータシステム
2100 バス
2100 プロセッサ
2200 バス
2250 メインメモリ
2260 静的格納装置
2270 データ記憶装置
2300 インターフェース
2400 通信装置
2410 カーソル制御装置
2420 英数字入力装置
2430 ディスプレイ装置
2500 I/Oバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する段階と、
前記力学的処理モデルを使用して要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する段階と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記エッチング処理をモデル化する段階は、
非線形モデル構造を使用する段階と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する段階と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る段階と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する段階と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける段階と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する段階と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項8に記載の方法。
【請求項12】
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウェハを製造する段階をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項8に記載の方法。
【請求項14】
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する手段と、
要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する力学的処理モデルを使用する手段と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する手段と、
を含むシステム。
【請求項15】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記エッチング処理をモデル化することは、
非線形モデル構造を使用する手段と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する手段と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る手段と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する手段と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける手段と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する手段と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する手段と、
を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウェハを製造する手段をさらに有する請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
コンピュータシステムでの実行時に、
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する段階と、
要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する力学的処理モデルを使用する段階と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する段階と、
をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令を格納した、コンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項28】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能媒体。
【請求項29】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項30】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項31】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項32】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項33】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項34】
エッチング処理をモデリングする際のコンピュータシステムでの実行時に、
非線形モデル構造を使用する段階と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する段階と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る段階と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する段階と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける段階と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する段階と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する段階と、
をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令をさらに格納した、請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項35】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項36】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項37】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項38】
コンピュータシステムでの実行時に、
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウエウェハする段階をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令をさらに格納した、請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項39】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する段階と、
前記力学的処理モデルを使用して要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する段階と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記エッチング処理をモデル化する段階は、
非線形モデル構造を使用する段階と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する段階と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る段階と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する段階と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける段階と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する段階と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項8に記載の方法。
【請求項12】
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウェハを製造する段階をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項8に記載の方法。
【請求項14】
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する手段と、
要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する力学的処理モデルを使用する手段と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する手段と、
を含むシステム。
【請求項15】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記エッチング処理をモデル化することは、
非線形モデル構造を使用する手段と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する手段と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る手段と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する手段と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける手段と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する手段と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する手段と、
を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウェハを製造する手段をさらに有する請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
コンピュータシステムでの実行時に、
半導体製造に使用されるエッチング処理をモデル化して力学的処理モデルを作成する段階と、
要求される出力パラメータに適合する入力パラメータを決定する力学的処理モデルを使用する段階と、
前記入力パラメータを用いてエッチング処理のための処理手法を最適化する段階と、
をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令を格納した、コンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項28】
前記エッチング処理はセル形成処理である請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能媒体。
【請求項29】
前記力学的処理モデルは入力非線形性を用いた線形ARXモデルである請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項30】
最適化された処理手法はセル側壁プロファイルを改良する請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項31】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大数の手法段階を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項32】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最大の入力値を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項33】
最適化された処理手法は、陽関数的処理規制に沿って許容される最小の入力値を組み込む請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項34】
エッチング処理をモデリングする際のコンピュータシステムでの実行時に、
非線形モデル構造を使用する段階と、
非線形モデル構造に関係する1つ以上の無記憶の非線形関数をパラメータ化する段階と、
非線形モデル構造から線形モデルを得る段階と、
1つ以上の入力パラメータと1つ以上の出力パラメータに対するバイアス値を特定する段階と、
1つ以上の出力パラメータの力学的空間モデルを作成して、時間領域における1つ以上の入力パラメータを空間領域における1つ以上の出力パラメータに関係付ける段階と、
1つ以上のテスト入力パラメータが線形モデルに提供される際に1つ以上の未来出力パラメータを予測する段階と、
線形モデルを使用しながら1つ以上の出力パラメータを最適化する段階と、
をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令をさらに格納した、請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項35】
力学的空間モデルは析出速度モデルである請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項36】
前記1つ以上の入力パラメータは、
トリエチル・ボレート、トリエチル・ホスフェート、およびテトラエチル・オルソシリケートを含む1つ以上のドープ剤ガス流量と、
圧力、電力、およびガス流量を含む1つ以上のプラズマ・エッチング入力を有する請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項37】
前記1つ以上の出力パラメータは、リフロー前後の2次イオン質量分析ドープ剤プロファイルと、フーリエ変換赤外線分光法収集ドープ剤プロファイルと、プラズマ・エッチング出力と、電気計測、限界寸法測定、及びX、Yの両方向の湿式エッチング前後における走査電子顕微鏡断面側壁プロファイルを含んだ湿式洗浄出力を含む1つ以上の化学気相蒸着出力と、を含んだ1つ以上の出力パラメータを有する請求項34に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項38】
コンピュータシステムでの実行時に、
100オングストローム未満のセル・プロファイル偏差をもった半導体ウエウェハする段階をコンピュータシステムに実行させるコンピュータ読み込み可能な命令をさらに格納した、請求項27に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。
【請求項39】
前記非線形モデル構造はINARXモデルであり、前記無記憶の非線形関数は力学的エッチング処理の挙動を獲得する請求項30に記載のコンピュータ読み込み可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−518925(P2006−518925A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−532027(P2004−532027)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/027341
【国際公開番号】WO2004/021405
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】