説明

半導体チップを有する回路装置、該回路の担体、およびボンディングワイヤ接続方法

担体(1)上に半導体チップ(3)が配置されており、この半導体チップ(3)は、該担体の裏面のメタライジングされた面に、貫通接触接続部(9)を介して接続されている。前記貫通接触接続部(9)に第1のネイルヘッドコンタクト(4)が形成されており、該第1のネイルヘッドコンタクト(4)からワイヤは分離されている。半導体チップ(3)の接続パッド上に第2のネイルヘッドコンタクト(5)が形成されており、該第2のネイルヘッドコンタクト(5)から出発して、半導体チップ(3)を貫通接触接続部(9)に接続するワイヤ(6)が第1のネイルヘッドコンタクト(4)まで延在しており、ここでウェッジコンタクト(7)によって該第1のネイルヘッドコンタクト(4)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体チップと、貫通接触接続部が設けられた担体と、該半導体チップの接続パッドを該貫通接触接続部に接続するワイヤとを有する回路装置、および該回路装置の製造方法
本発明は、半導体チップと、コンタクト場所が設けられた担体と、該半導体チップの接続パッドを該コンタクト場所に接続するワイヤとを有する回路装置に関する。ここでは、該コンタクト場所に第1のネイルヘッドコンタクトが形成され、該ワイヤの第1の端部は第2のネイルヘッドコンタクトによって該半導体チップの接続パッドに接続され、該ワイヤの第2の端部はウェッジコンタクトによって第1のネイルヘッドコンタクトに接続されている。本発明はさらに、この種の回路装置の製造方法にも関する。
【0002】
この種の回路装置およびこの種の方法は、JP2000323514Aから公知である。ここでは良好なボンディングコンタクトを、金との接合性が悪い材料から成る導体路上に形成するという課題を解決しなければならない。このボンディングコンタクトは、とりわけウェッジコンタクトである。別の適用分野は、この公報には示唆されていない。
【0003】
本発明の課題は、ボンディングすべき場所におけるメタライジングの程度がごく僅かしかない担体表面とワイヤとの接続を可能な限り簡単および低コストにし、かつ良好にすることである。前記ワイヤは、とりわけ金ワイヤまたはアルミニウムワイヤである。
【0004】
前記課題は、請求項1に記載された回路装置または請求項6に記載された方法によって解決される。有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
それによれば本発明の技術思想は、ネイルヘッドコンタクトを担体表面上に、貫通接触接続部の場所にて、ここに別の表面メタライジング部を設けずに直接取り付けることである。担体を貫通して貫通接触接続部を形成する孔のみがメタライジングされる。担体の表面のこの孔の場所にネイルヘッドコンタクトを取り付けることにより、孔に形成されたメタライジング部との接続が十分に良好になり、該ネイルヘッドコンタクトに取り付けられたウェッジコンタクトによって、担体の別の表面との接続または2つの絶縁性の担体層間の金属層との接続が実現される。すなわち本発明では、担体上のコンタクトパッドの代わりに第1のネイルヘッドコンタクトが代用される。こうすることによって有利には、高価な基板表面が削減され、回路は縮小される。
【0006】
本発明による回路装置ないしは本発明による方法の別の利点は、担体表面上に設けられる通常のボンディング接続面を省略して、該担体表面上に導体路を製造する際の処理ステップが1つ削減できることである。このことによって、このために通常使用される金ペーストが削減され、コストが低減される。
【0007】
本発明の発展形態では、担体をセラミックスによって形成しなければならない。択一的に、担体をPCボード(printed circuit board)とすることもできる。この担体を絶縁層から形成して、貫通接触接続部を1つの担体表面から別の担体表面に到達させることができる。しかし、担体を2つまたはそれ以上の絶縁層から形成して、該絶縁層間にメタライジング部を導体路および/または質量体表面の形態で配置し、貫通接触接続部を少なくとも部分的に、この中間メタライジング部までのみ到達させることもできる。
【0008】
本発明を以下で、実施例に基づいて図面を使用して詳細に説明する。
【0009】
図 本発明による回路装置である。
【0010】
この図では、2つの絶縁層を有する担体1が形成されており、これらの2つの絶縁層間には、メタライジングされた面および/または導体路2が配置されている。担体1の1つの表面上に、半導体チップ3が配置されている。半導体チップ3が配置された担体層を貫通して貫通接触接続部9が案内されており、この貫通接触接続部9によって、メタライジング面または導体路2が接触接続される。本発明によれば、担体表面にコンタクトパッドは形成されず、その代わりに第1のネイルヘッドコンタクト4が取り付けられ、このネイルヘッドコンタクト4からワイヤは分離されている。半導体チップ3の接続パッド(詳細には図示されていない)上に、第2のネイルヘッドコンタクト5が形成されている。このネイルヘッドコンタクト5から出発して、該半導体チップ3と貫通接触接続部9とを接続するワイヤ6が第1のネイルヘッドコンタクト4まで延在しており、そこでウェッジコンタクト7を使用して、該ネイルヘッドコンタクト4に接続されている。図示されている実施例では、第1のネイルヘッドコンタクト4は担体層の貫通接触接続部9の孔に、ある程度押入されている。こうすることによって、孔のメタライジング部との接触接続が良好になる。
【0011】
本発明は、中間メタライジング部を有する多層の担体にて適用することに限定されることはなく、裏面メタライジング部を有する単層の担体に適用することもできる。
【0012】
図中には、本発明による方法を図解するため、ボンディングツールのキャピラリ8も示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による回路装置である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ(3)と、コンタクト場所が設けられた担体(1)と、該半導体チップ(3)の接続パッドを該コンタクト場所に接続するワイヤ(6)とを有する回路装置であって、
該コンタクト場所に第1のネイルヘッドコンタクト(4)が形成されており、
該ワイヤ(6)の第1の端部が、該半導体チップ(3)の接続パッドによって第2のネイルヘッドコンタクト(5)に接続されており、
該ワイヤ(6)の第2の端部が、ウェッジコンタクト(7)によって前記第1のネイルヘッドコンタクト(5)と接続されている形式のものにおいて、
該コンタクト場所は、該担体(1)内の貫通接触接続部(9)であり、
前記第1のネイルヘッドコンタクト(4)は担体表面上に、前記貫通接触接続部(9)の場所にて、ここに別の表面メタライジング部を設けずに直接取り付けられていることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
該担体(1)はセラミックスによって形成されている、請求項1記載の回路装置。
【請求項3】
該担体(1)は多層のセラミックスによって形成されており、
前記貫通接触接続部(9)は、該担体の表面と2つのセラミック層間のメタライジング部(2)とを接続する、請求項1または2記載の回路装置。
【請求項4】
該担体(1)はPCボードである、請求項1記載の回路装置。
【請求項5】
該担体(1)は、多層のPCボードによって形成されており、
前記貫通接触接続部(9)は、該担体の表面と2つのPCボード層間のメタライジング部(2)とを接続する、請求項1または4記載の回路装置。
【請求項6】
半導体チップ(3)の接続パッドと、担体(1)に設けられた貫通接触接続部(9)とを電気的に接続する方法において、
・第1のネイルヘッドコンタクト(4)を担体表面上に、前記貫通接触接続部(9)の場所にて、ここに別の表面メタライジング部を設けずに、ボンディングツールのキャピラリによって直接形成するステップと、
・ワイヤ(6)を前記第1のネイルヘッドコンタクト(4)から分離するステップと、
・第2のネイルヘッドコンタクト(5)を該半導体チップ(3)の接続パッド上に、該ボンディングツールのキャピラリ(8)によって形成するステップと、
・前記ワイヤ(6)を前記第1のネイルヘッドコンタクト(4)まで案内するステップと、
・前記ワイヤ(6)の端部とのウェッジコンタクト(7)を前記第1のネイルヘッドコンタクト(4)上に、該ボンディングツールのキャピラリ(8)によって形成するステップを有することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−502564(P2006−502564A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−528420(P2004−528420)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/DE2003/002465
【国際公開番号】WO2004/017400
【国際公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】