半導体受光素子及びそれを有する受光装置
【課題】抵抗を所望の大きさとすることが可能な半導体受光素子及びそれを有する受光装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、一導電型のn型InP基板20と、n型InP基板20上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、p型InP窓層24上に設けられたシリコン窒化膜32と、シリコン窒化膜32上に設けられたp電極36と、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に複数設けられた、p電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続するための窓34と、を備える半導体受光素子である。
【解決手段】本発明は、一導電型のn型InP基板20と、n型InP基板20上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、p型InP窓層24上に設けられたシリコン窒化膜32と、シリコン窒化膜32上に設けられたp電極36と、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に複数設けられた、p電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続するための窓34と、を備える半導体受光素子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体受光素子及びそれを有する受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、受光素子の表面から入射する光を受光する表面入射型受光素子や裏面から入射する光を受光する裏面入射型受光素子が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子とトランスインピーダンスアンプが接続されて構成されている。トランスインピーダンスアンプは、受光素子から出力された光電流を、電圧に変換させている。この場合に、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間でインピーダンスのミスマッチが起こる場合があるため、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を組み込んでミスマッチを抑えている。
【0005】
図1は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を接続させた回路図の例である。図1のように、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間に直列に抵抗素子14を接続させている。これにより、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間のインピーダンスのミスマッチを抑制できる。しかしながら、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間に、別部品である抵抗素子14を接続させると、コストの増大を招くと共に、小型化の面でもデメリットとなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、抵抗を所望の大きさとすることが可能な半導体受光素子及びそれを有する受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一導電型の半導体層と、前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた電極と、前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に複数設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子である。本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を除く前記受光領域を包囲する領域に配置されてなる構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を含む前記受光領域を包囲する領域の内側に配置されてなる構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記受光領域には、前記一導電型の半導体層側から信号光が入射する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、一定の間隔で配置されている構成とすることができる。この構成によれば、光吸収層に印加される電界分布を均一にすることができる。
【0012】
本発明は、一導電型の半導体層と、前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた電極と、前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に、前記受光領域を包囲し、一部が分断されたパターンによって設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子である。本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記反対導電型の半導体層と前記絶縁膜の間には、コンタクト層が形成されてなる構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記半導体受光素子は、フリップチップ構造を有する構成とすることができる。
【0015】
本発明は、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板と、前記トランスインピーダンスアンプに電気的に接続するように前記回路基板に実装された請求項1から8のいずれか一項記載の半導体受光素子と、を備えることを特徴とする受光装置である。本発明によれば、半導体受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子等の外部部品を接続させることなく、半導体受光素子とトランスインピーダンスとの間のインピーダンスのミスマッチを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を接続させた回路図の例である。
【図2】図2(a)は、比較例1に係る受光素子の上面図の例であり、図2(b)は、図2(a)のA−A間の断面図の例である。
【図3】図3は、コンタクト面積に対する受光素子の抵抗の測定結果である。
【図4】図4は、窓の幅を狭めた受光素子の上面図の例である。
【図5】図5は、実施例1に係る受光素子の上面図の例である。
【図6】図6(a)から図6(c)は、窓の製造方法を示す断面図の例である。
【図7】図7は、実施例1の変形例1に係る受光素子の上面図の例である。
【図8】図8は、実施例1の変形例2に係る受光素子の上面図の例である。
【図9】図9は、実施例2に係る受光素子の断面図の例である。
【図10】図10(a)は、図9の破線領域の拡大図の例であり、図10(b)は、図10(a)の上面図の例である。
【図11】図11は、窓を格子点状に配置した場合の例である。
【図12】図12は、実施例3に係る受光素子の断面図の例である。
【図13】図13(a)は、図12の破線領域の拡大図の例であり、図13(b)は、図13(a)の上面図の例である。
【図14】図14(a)は、実施例4に係る受光装置の上面図の例であり、図14(b)は、側面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、比較例1に係る受光素子について説明する。図2(a)は、比較例1に係る受光素子10Aの上面図の例であり、図2(b)は、図2(a)のA−A間の断面図の例である。なお、図2(a)においては、Auスパッタ膜38及びAuめっき層40を透視してp電極36を図示している(図3、図5、図7、図8、図10(b)、図11、図13(b)において同じ)。図2(a)及び図2(b)のように、n型InP基板20上に、ノンドープのInGaAs光吸収層22が設けられている。InGaAs光吸収層22上に、p型InP窓層24とn型InP窓層26とが設けられている。p型InP窓層24は、n型InP窓層26上に設けられたシリコン窒化膜28をマスクとして、p型不純物(例えば、Zn、Cd、Be等)をドープすることで形成された拡散領域である。このように、比較例1に係る受光素子10Aは、一導電型であるn型InP基板20上に、ノンドープのInGaAs光吸収層22と、一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、が順次積層された半導体層23が設けられたPIN型フォトダイオードである。
【0019】
p型InP窓層24の上面に、リング形状のコンタクト層30が設けられている。リング形状とは、円板の中心部をくり抜いた形状をいい、ドーナッツ形状ともいえる。コンタクト層30は、例えばInGaAsからなる。コンタクト層30は、p型InP窓層24の周辺側に位置している。p型InP窓層24上には、コンタクト層30を覆ってシリコン窒化膜32が設けられ、コンタクト層30上面のシリコン窒化膜32の一部は開口して窓34が設けられている。窓34は、リング形状をしたコンタクト層30の上面に沿って設けられており、コンタクト層30と同じリング状をしている。窓34では、コンタクト層30の上面が露出している。窓34に埋め込まれるように、コンタクト層30の上側であってシリコン窒化膜32上に、基板側からTi、Ptが順次積層されたp電極36が設けられている。言い換えると、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に複数の窓34が設けられている。p電極36もリング形状をしていて、コンタクト層30とp電極36とは、同心状で、同程度の幅を有している。窓34は、コンタクト層30及びp電極36よりも狭い幅を有している。
【0020】
p電極36の上面には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層して設けられている。つまり、Auスパッタ膜38とAuめっき層40も、コンタクト層30及びp電極36と同心状のリング形状をしている。n型InP基板20の裏面には、基板側からAuGe、Au、Ti、Pt、Auが順次積層されたn電極42が設けられている。
【0021】
リング形状のコンタクト層30、p電極36、Auスパッタ膜38、及びAuめっき層40の内側領域が、p型InP窓層24の上方から入射する光を受光する受光領域44である。つまり、比較例1に係る受光素子は、表面入射型の受光素子である。
【0022】
p電極36が窓34に埋め込まれるように設けられることで、p電極36とコンタクト層30とは窓34において接触し電気的に接続している。言い換えると、窓34は、コンタクト層30を介してp電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続させるために設けられている。p電極36とコンタクト層30とが接触する領域をコンタクト領域とし、その接触面積をコンタクト面積とする。つまり、窓34が開口した領域がコンタクト領域となり、窓34が開口した面積がコンタクト面積となる。図2(a)のように、窓34はリング状に開口していることから、コンタクト領域はリング状となり、その面積がコンタクト面積となる。
【0023】
ここで、コンタクト面積の大きさと受光素子の抵抗の大きさとの相関関係を調べた。調査は、コンタクト面積を異ならせた複数の受光素子をウエハ面内に作製し、受光素子夫々について抵抗値を測定することで行った。図3は、コンタクト面積に対する受光素子の抵抗の測定結果である。なお、図3では、同様に作製した3枚のウエハについての測定結果を示している。図3のように、受光素子の抵抗はコンタクト面積に反比例し、コンタクト面積が大きくなるに従い、受光素子の抵抗は小さくなることが分かる。このことから、コンタクト面積の大きさを制御することで、受光素子の抵抗の大きさを制御できることが分かる。
【0024】
コンタクト面積を小さくする方法として、図4のように、リング状の窓34の幅Dを狭くすることが考えられる。しかしながら、窓34は、シリコン窒化膜32上にパターン化されたフォトレジストを形成し、フォトレジストをマスクとしてシリコン窒化膜32をエッチングすることで形成される。このため、形成可能なパターン幅等のプロセス限界の制限を受け、窓34の幅Dの最小寸法が決まってしまう。したがって、リング状をした窓34の幅Dを狭くする方法では、十分に小さいコンタクト面積を得ることができず、受光素子の抵抗を所望の大きさにできない場合がある。そこで、このような課題を解決すべく、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能な実施例に係る受光素子について以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1に係る受光素子100は、表面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図5は、実施例1に係る受光素子100の上面図の例である。図5のA−A間の断面図は、図2(b)に示した比較例1に係る受光素子の場合と同じであるため、ここでは図示及び説明を省略する。
【0026】
図5のように、実施例1に係る受光素子100では、窓34は、リング形状をしたコンタクト層30に沿って2つに分離して設けられている。つまり、2つに分離された窓34は、リング状に配置されている。言い換えると、窓34は、受光領域44を包囲する領域に配置されている。窓34の幅Dは、例えば3.0μmである。リング形状のコンタクト層30の中心Oに対する窓34の角度θは、例えば90°である。また、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域である受光領域44の直径Lは、例えば50μmである。2つに分離されてリング状に配置された窓34は、中心Oに対して対称に設けられており、リングに沿う方向で一定の間隔で配置されている。
【0027】
実施例1に係る受光素子によれば、n型InP基板20上に設けられたInGaAs光吸収層22及びp型InP窓層24を有する半導体層23上に、リング形状をしたコンタクト層30が設けられている。コンタクト層30上には、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34が複数に分離して形成されたシリコン窒化膜32が設けられ、シリコン窒化膜32上には、コンタクト層30と電気的に接続するp電極36が設けられている。言い換えると、実施例1に係る受光素子によれば、一導電型のn型InP基板20と、n型InP基板20上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、を有する。そして、p型InP窓層24上に設けられたシリコン窒化膜32に、シリコン窒化膜32上に設けられたp電極36とオーバーラップする領域にp電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続させる複数の窓34が設けられている。このように、窓34を複数に分離させて設けることで、図2(a)に示したリング状の窓34に比べて、幅Dを同一にしたままコンタクト層30とp電極36とのコンタクト面積を小さくすることができる。つまり、プロセス限界の制約を受けることなくコンタクト面積を小さくすることができ、図3のようなリング状の窓34の幅Dをプロセス限界まで狭めた場合よりも小さなコンタクト面積とすることができる。したがって、リング状の窓34ではプロセス限界の制約を受けて実現できない程に小さなコンタクト面積とすることもでき、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0028】
比較例1に係る受光素子でも述べたが、窓34はエッチングにより形成される。図6(a)から図6(c)は、窓34の製造方法を説明する断面図の例である。図6(a)のように、コンタクト層30を覆って形成されたシリコン窒化膜32上に、窓34を形成すべき領域を開口させたフォトレジスト58を形成する。ここで、図3に示したように、受光素子の抵抗とコンタクト面積とは相関関係があることから、受光素子の抵抗が所望の大きさとなるコンタクト面積を求め、それを基にして、フォトレジスト58の開口領域を決定する。
【0029】
図6(b)のように、フォトレジスト58をマスクとして、例えばドライ又はウエットエッチング法により、シリコン窒化膜32をエッチングする。その後、図6(c)のように、フォトレジスト58を除去する。これにより、シリコン窒化膜32に、所望の大きさの窓34を形成することができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることができる。
【0030】
実施例1に係る受光素子は、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域が、p型InP窓層24の上方からの光を受光する受光領域44である表面入射型の受光素子であり、窓34は受光領域44の外側に設けられている。言い換えると、複数の窓34は、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置されている。これにより、InGaAs光吸収層22での光の吸収効率の劣化を抑制できる。
【0031】
コンタクト面積を十分に小さくでき、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる点からは、図7に示す実施例1の変形例1に係る受光素子のように、リング形状をしたコンタクト層30の上面に沿って設けられた窓34が、リングを一部で分断させたような形状をして1つ設けられている場合でもよい。言い換えると、窓34は、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に、受光領域44を包囲し、一部が分断されて設けられている場合でもよい。しかしながら、窓34は、複数に分離され、リングに沿う方向で一定の間隔となるように配置されている場合が好ましい。この理由は、窓34においてコンタクト層30とp電極36とが接触することから、窓34を複数に分離させ、一定の間隔となるように配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができるからである。
【0032】
実施例1では、図5のように、窓34は2つに分離されている場合を例に示したが、これに限られず、3つ以上の複数に分離されている場合でもよい。図8は、窓34が8つに分離されている実施例1の変形例2に係る受光素子の上面図の例である。図8のように、窓34は8つに分離され、リング状に配置されている。中心Oに対する窓34の角度θは、例えば20°である。8つに分離されてリング状に配置された窓34は、中心Oに対して対称となる対を有するように、リングに沿う方向で一定の間隔で配置されている。実施例1の変形例2に係る受光素子によっても、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を、図5のように窓34を2つに分離させた場合よりも均一にすることができる。このように、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布が均一になるようにするため、窓34の個数は多い方が好ましく、例えば4個以上の場合が好ましく、6個以上の場合がより好ましく、8個以上の場合がさらに好ましい。また、窓34の個数は奇数個の場合でもよい。
【0033】
窓34の形状は、図5や図8のように扇形形状をしている場合でもよいが、円形や楕円形、長方形、正方形等の形状をしている場合でもよい。
【0034】
実施例1では、p型InP窓層24とシリコン窒化膜32との間にコンタクト層30が設けられ、p電極36とp型InP窓層24とはコンタクト層30を介して電気的に接続する場合を例に示したが、コンタクト層30は設けられていない場合でもよい。
【0035】
実施例1において、コンタクト層30を覆い、一部に窓34が形成された絶縁膜としてシリコン窒化膜32の場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。p型InP窓層24の上方から入射する光に対して透明で反射を防止する絶縁膜であれば、その他の絶縁膜の場合でもよい。
【0036】
また、実施例1に係る受光素子として、PIN型フォトダイオードの場合を例に説明したが、これに限られる訳ではなく、例えばアバランシェフォトダイオードやPN接合型のフォトダイオード等のその他のフォトダイオードの場合でもよい。また、p型とn型の導電型を逆転させた場合でもよい。
【実施例2】
【0037】
実施例2に係る受光素子101は、裏面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図9は、実施例2に係る受光素子101の断面図の例である。図10(a)は、図9の破線領域の拡大図であり、図10(b)は、図10(a)の上面図の例である。なお、図10(b)においては、p電極36は、コンタクト層30の上面に設けられた部分のみを図示している(図11、図13(b)において同じ)。図9及び図10(a)のように、半絶縁性InP基板46上に、n型InPコンタクト層48、ノンドープのInGaAs光吸収層22が順次積層されて設けられている。InGaAs光吸収層22上に、p型InP窓層24とn型InP窓層26とが設けられている。p型InP窓層24は、n型InP窓層26上に設けられたシリコン窒化膜28をマスクとして、p型不純物をドープすることで形成された拡散領域である。このように、実施例2に係る受光素子101は、半絶縁性InP基板46上に、一導電型のn型InPコンタクト層48と、ノンドープのInGaAs光吸収層22と、一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、が順次積層する半導体層23が設けられたメサ形状のPIN型フォトダイオードである。実施例2のPIN型フォトダイオードは、メサ形状の受光部101Aと、ダミーメサ101B及び101Cから構成されている。
【0038】
メサ形状の受光部101Aとダミーメサ101B及び101Cとの周縁には、n型InP窓層26から半絶縁性InP基板46にまで達する溝49が形成されている。この溝49によって、メサ形状の受光部101Aとダミーメサ101B及び101Cとの間の容量やn型InPコンタクト層48を介したリーク電流を抑制することができる。半絶縁性InP基板46の裏面には、反射防止膜としてシリコン窒化膜50が設けられている。
【0039】
p型InP窓層24の上面の大部分を覆って、円板形状をしたコンタクト層30が設けられている。コンタクト層30は、例えばInGaAsからなる。p型InP窓層24上に、コンタクト層30を覆ってシリコン窒化膜32が設けられ、コンタクト層30上面のシリコン窒化膜32の一部は開口されて窓34が設けられている。図10(b)のように、窓34は、図8に示した実施例1の変形例2に係る受光素子の場合と同じように、8つに分離されており、リング状に配置されている。窓34は、コンタクト層30の周辺側、即ち、p型InP窓層24の周辺側に位置している。
【0040】
窓34に埋め込まれるように、シリコン窒化膜32上にp電極36が設けられ、p電極36は、溝49の内面を経由して一方の側に引き出されている。p電極36は、コンタクト層30の上面全面に設けられているため、コンタクト層30と同心円状の円板形状を有している。p電極36は、基板側からTi、Ptが順次積層された構造をしている。溝49の内面等にもシリコン窒化膜32は設けられており、シリコン窒化膜32により、p電極36とn型InPコンタクト層48等とは絶縁されている。p電極36上には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層されている。
【0041】
p電極36が引き出された側と反対側の溝49には、n型InPコンタクト層48上のシリコン窒化膜32の一部が開口し、開口した領域には、n型InPコンタクト層48に接して、基板側からAuGe、Auが順次積層されたn電極42が設けられている。溝49の内面に設けられたシリコン窒化膜32上には、n電極42に接続した引き出し電極52が設けられている。引き出し電極52は、基板側からTi、Ptが順次積層された構造をしている。引き出し電極52上には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層されている。
【0042】
Auめっき層40上には、p電極36と電気的に接続する半田層54と、n電極42と電気的に接続する半田層54と、が設けられている。半田層54は、例えばAuSn半田である。実施例2に係る受光素子は、半田層54が例えば回路基板に接続することで回路基板に実装される、フリップチップ構造を有している。つまり、実施例2に係る受光素子は、例えば回路基板にフェースダウンで実装される。
【0043】
実施例2に係る受光素子は、半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光をInGaAs光吸収層22で吸収する裏面入射型の受光素子であり、n型InPコンタクト層48とInGaAs光吸収層22とp型InP窓層24とが積層された領域が、半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光を受光する受光領域44である。即ち、実施例2に係る受光素子は、一導電型であるn型InPコンタクト層48側から信号光が入射する。
【0044】
実施例2に係る受光素子101は裏面入射型であるため、表面入射型である実施例1に係る受光素子100のようにコンタクト層30をリング形状にしなくてもよく、コンタクト層30は円板形状をしている。そして、図10(b)のように、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34は、複数に分離されて、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置されている。このように、裏面入射型の受光素子であって、コンタクト層30が円板形状をしている場合であっても、窓34を複数に分離させて設けることで、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0045】
コンタクト層30が円板形状をしている場合は、例えば円板の中心部分に小さな窓34を1つ設けることでも、コンタクト面積を十分に小さくすることができる。しかしながら、この場合は、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布が不均一となってしまう。一方、図10(b)のように、窓34を分離させて、p型InP窓層24の周辺側、即ち、受光領域44を包囲するように、一定の間隔で設けることで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。また、電界分布をより均一にするために、円板形状をしたコンタクト層30の中心部分に更に窓34を設けてもよい。
【0046】
また、コンタクト層30が円板形状である場合は、窓34をリング状に配置する場合に限らず、図11に示す実施例2の変形例1に係る受光素子のように、窓34を格子点状に配置してもよい。即ち、複数の窓34を、受光領域44の中央部を含む受光領域44を包囲する領域の内側に配置させてもよい。これによっても、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、格子点上に配置されて隣接する窓34を一定間隔で配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。窓34の形状は、円形の場合に限られず、楕円形や長方形、正方形等の場合でもよい。
【0047】
実施例2において、半絶縁性InP基板46の裏面に設けられた反射防止膜としてシリコン窒化膜50の場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光に対して透明で反射を防止する膜であれば、その他の膜の場合でもよい。
【実施例3】
【0048】
実施例3に係る受光素子102も、裏面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図12は、実施例3に係る受光素子102の断面図の例である。図13(a)は、図12の破線領域の拡大図であり、図13(b)は、図13(a)の上面図の例である。図12及び図13(a)のように、実施例3に係る受光素子102が、実施例2に係る受光素子101と異なる点は、コンタクト層30及びその上側に設けられたp電極36がリング形状をしており、リング形状の内側領域に、シリコン窒化膜32、Auスパッタ膜38、及びAuめっき層40が順次積層されている点である。その他については、実施例2に係る受光素子と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
実施例3に係る受光素子102は、実施例2に係る受光素子と同様に、裏面入射型の受光素子であるため、半絶縁性InP基板46の裏面から入射する光をInGaAs光吸収層22で吸収する。この場合に、入射した光をInGaAs光吸収層22で吸収しきれずに、InGaAs光吸収層22を通過する光が存在する。通過した光は、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられたシリコン窒化膜32及びAuスパッタ膜38の積層体に到達する。この積層体は、InGaAs光吸収層22を通過した光を反射する反射膜56として機能するため、光はInGaAs光吸収層22に向かって反射される。このため、InGaAs光吸収層22で反射光を再度吸収することが可能となる。一方、実施例2に係る受光素子101では、p型InP窓層24の上面に円板形状をしたInGaAsのコンタクト層30が設けられており、InGaAs光吸収層22を通過した光は、コンタクト層30で反射されずに吸収される。このため、実施例2に係る受光素子は、InGaAs光吸収層22を通過した光を再度吸収することができない。よって、実施例3に係る受光素子は、実施例2に係る受光素子に比べて、光の吸収効率が高くなる。
【0050】
したがって、図13(a)及び図13(b)のように、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられた反射膜56よりも外側に窓34を形成することで、InGaAs光吸収層22を通過した光の反射を妨げることを抑制でき、光の吸収効率を向上させることができる。言い換えると、複数の窓34を、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置することで、光の吸収効率を向上させることができる。
【0051】
また、図13(b)のように、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34は8つに分離されて設けられているため、実施例1に係る受光素子と同様に、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、窓34を一定の間隔で配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。
【0052】
実施例3において、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられた反射膜56としてシリコン窒化膜32及びAuスパッタ膜38の積層体である場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。半絶縁性InP基板46の裏面から入射する光を反射させることができれば、その他の金属、絶縁膜、またはこれらの組み合わせの場合でもよい。なお、実施例3のPIN型フォトダイオードは、実施例2の場合と同様に、メサ形状の受光部102Aとダミーメサ102B及び102Cから構成されている。
【実施例4】
【0053】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの受光素子が、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板に実装された受光装置の例である。図14(a)は、実施例4に係る受光装置の上面図の例であり、図14(b)は、側面図の例である。図14(a)及び図14(b)のように、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板60上に、例えばAuバンプ62により、実施例1から3のいずれかに係る受光素子64が実装されている。実施例1に係る受光素子の場合はフェースアップで実装され、実施例2及び3に係る受光素子の場合はフェースダウンで実装されている。これにより、実施例1から3のいずれかに係る受光素子64とトランスインピーダンスアンプとが電気的に接続している。
【0054】
実施例1から3に係る受光素子は、上述したように、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさにすることが可能である。このため、実施例4に係る受光装置によれば、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子等の外部部品を接続させることなく、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間のインピーダンスのミスマッチを抑制することができる。よって、コストの低減や小型化を実現することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 受光素子
10A 受光素子
12 トランスインピーダンスアンプ
14 抵抗素子
20 n型InP基板
22 InGaAs光吸収層
23 半導体層
24 p型InP窓層
26 n型InP窓層
28 シリコン窒化膜
30 コンタクト層
32 シリコン窒化膜
34 窓
36 p電極
38 Auスパッタ膜
40 Auめっき層
42 n電極
44 受光領域
46 半絶縁性InP基板
48 n型InPコンタクト層
49 溝
50 シリコン窒化膜
52 引き出し電極
54 半田層
56 反射膜
58 フォトレジスト
60 回路基板
62 Auバンプ
64 受光素子
100 受光素子
101 受光素子
102 受光素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体受光素子及びそれを有する受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、受光素子の表面から入射する光を受光する表面入射型受光素子や裏面から入射する光を受光する裏面入射型受光素子が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子とトランスインピーダンスアンプが接続されて構成されている。トランスインピーダンスアンプは、受光素子から出力された光電流を、電圧に変換させている。この場合に、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間でインピーダンスのミスマッチが起こる場合があるため、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を組み込んでミスマッチを抑えている。
【0005】
図1は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を接続させた回路図の例である。図1のように、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間に直列に抵抗素子14を接続させている。これにより、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間のインピーダンスのミスマッチを抑制できる。しかしながら、受光素子10とトランスインピーダンスアンプ12との間に、別部品である抵抗素子14を接続させると、コストの増大を招くと共に、小型化の面でもデメリットとなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、抵抗を所望の大きさとすることが可能な半導体受光素子及びそれを有する受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一導電型の半導体層と、前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた電極と、前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に複数設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子である。本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を除く前記受光領域を包囲する領域に配置されてなる構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を含む前記受光領域を包囲する領域の内側に配置されてなる構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記受光領域には、前記一導電型の半導体層側から信号光が入射する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記複数設けられた窓は、一定の間隔で配置されている構成とすることができる。この構成によれば、光吸収層に印加される電界分布を均一にすることができる。
【0012】
本発明は、一導電型の半導体層と、前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた電極と、前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に、前記受光領域を包囲し、一部が分断されたパターンによって設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子である。本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記反対導電型の半導体層と前記絶縁膜の間には、コンタクト層が形成されてなる構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記半導体受光素子は、フリップチップ構造を有する構成とすることができる。
【0015】
本発明は、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板と、前記トランスインピーダンスアンプに電気的に接続するように前記回路基板に実装された請求項1から8のいずれか一項記載の半導体受光素子と、を備えることを特徴とする受光装置である。本発明によれば、半導体受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子等の外部部品を接続させることなく、半導体受光素子とトランスインピーダンスとの間のインピーダンスのミスマッチを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子を接続させた回路図の例である。
【図2】図2(a)は、比較例1に係る受光素子の上面図の例であり、図2(b)は、図2(a)のA−A間の断面図の例である。
【図3】図3は、コンタクト面積に対する受光素子の抵抗の測定結果である。
【図4】図4は、窓の幅を狭めた受光素子の上面図の例である。
【図5】図5は、実施例1に係る受光素子の上面図の例である。
【図6】図6(a)から図6(c)は、窓の製造方法を示す断面図の例である。
【図7】図7は、実施例1の変形例1に係る受光素子の上面図の例である。
【図8】図8は、実施例1の変形例2に係る受光素子の上面図の例である。
【図9】図9は、実施例2に係る受光素子の断面図の例である。
【図10】図10(a)は、図9の破線領域の拡大図の例であり、図10(b)は、図10(a)の上面図の例である。
【図11】図11は、窓を格子点状に配置した場合の例である。
【図12】図12は、実施例3に係る受光素子の断面図の例である。
【図13】図13(a)は、図12の破線領域の拡大図の例であり、図13(b)は、図13(a)の上面図の例である。
【図14】図14(a)は、実施例4に係る受光装置の上面図の例であり、図14(b)は、側面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、比較例1に係る受光素子について説明する。図2(a)は、比較例1に係る受光素子10Aの上面図の例であり、図2(b)は、図2(a)のA−A間の断面図の例である。なお、図2(a)においては、Auスパッタ膜38及びAuめっき層40を透視してp電極36を図示している(図3、図5、図7、図8、図10(b)、図11、図13(b)において同じ)。図2(a)及び図2(b)のように、n型InP基板20上に、ノンドープのInGaAs光吸収層22が設けられている。InGaAs光吸収層22上に、p型InP窓層24とn型InP窓層26とが設けられている。p型InP窓層24は、n型InP窓層26上に設けられたシリコン窒化膜28をマスクとして、p型不純物(例えば、Zn、Cd、Be等)をドープすることで形成された拡散領域である。このように、比較例1に係る受光素子10Aは、一導電型であるn型InP基板20上に、ノンドープのInGaAs光吸収層22と、一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、が順次積層された半導体層23が設けられたPIN型フォトダイオードである。
【0019】
p型InP窓層24の上面に、リング形状のコンタクト層30が設けられている。リング形状とは、円板の中心部をくり抜いた形状をいい、ドーナッツ形状ともいえる。コンタクト層30は、例えばInGaAsからなる。コンタクト層30は、p型InP窓層24の周辺側に位置している。p型InP窓層24上には、コンタクト層30を覆ってシリコン窒化膜32が設けられ、コンタクト層30上面のシリコン窒化膜32の一部は開口して窓34が設けられている。窓34は、リング形状をしたコンタクト層30の上面に沿って設けられており、コンタクト層30と同じリング状をしている。窓34では、コンタクト層30の上面が露出している。窓34に埋め込まれるように、コンタクト層30の上側であってシリコン窒化膜32上に、基板側からTi、Ptが順次積層されたp電極36が設けられている。言い換えると、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に複数の窓34が設けられている。p電極36もリング形状をしていて、コンタクト層30とp電極36とは、同心状で、同程度の幅を有している。窓34は、コンタクト層30及びp電極36よりも狭い幅を有している。
【0020】
p電極36の上面には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層して設けられている。つまり、Auスパッタ膜38とAuめっき層40も、コンタクト層30及びp電極36と同心状のリング形状をしている。n型InP基板20の裏面には、基板側からAuGe、Au、Ti、Pt、Auが順次積層されたn電極42が設けられている。
【0021】
リング形状のコンタクト層30、p電極36、Auスパッタ膜38、及びAuめっき層40の内側領域が、p型InP窓層24の上方から入射する光を受光する受光領域44である。つまり、比較例1に係る受光素子は、表面入射型の受光素子である。
【0022】
p電極36が窓34に埋め込まれるように設けられることで、p電極36とコンタクト層30とは窓34において接触し電気的に接続している。言い換えると、窓34は、コンタクト層30を介してp電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続させるために設けられている。p電極36とコンタクト層30とが接触する領域をコンタクト領域とし、その接触面積をコンタクト面積とする。つまり、窓34が開口した領域がコンタクト領域となり、窓34が開口した面積がコンタクト面積となる。図2(a)のように、窓34はリング状に開口していることから、コンタクト領域はリング状となり、その面積がコンタクト面積となる。
【0023】
ここで、コンタクト面積の大きさと受光素子の抵抗の大きさとの相関関係を調べた。調査は、コンタクト面積を異ならせた複数の受光素子をウエハ面内に作製し、受光素子夫々について抵抗値を測定することで行った。図3は、コンタクト面積に対する受光素子の抵抗の測定結果である。なお、図3では、同様に作製した3枚のウエハについての測定結果を示している。図3のように、受光素子の抵抗はコンタクト面積に反比例し、コンタクト面積が大きくなるに従い、受光素子の抵抗は小さくなることが分かる。このことから、コンタクト面積の大きさを制御することで、受光素子の抵抗の大きさを制御できることが分かる。
【0024】
コンタクト面積を小さくする方法として、図4のように、リング状の窓34の幅Dを狭くすることが考えられる。しかしながら、窓34は、シリコン窒化膜32上にパターン化されたフォトレジストを形成し、フォトレジストをマスクとしてシリコン窒化膜32をエッチングすることで形成される。このため、形成可能なパターン幅等のプロセス限界の制限を受け、窓34の幅Dの最小寸法が決まってしまう。したがって、リング状をした窓34の幅Dを狭くする方法では、十分に小さいコンタクト面積を得ることができず、受光素子の抵抗を所望の大きさにできない場合がある。そこで、このような課題を解決すべく、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能な実施例に係る受光素子について以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1に係る受光素子100は、表面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図5は、実施例1に係る受光素子100の上面図の例である。図5のA−A間の断面図は、図2(b)に示した比較例1に係る受光素子の場合と同じであるため、ここでは図示及び説明を省略する。
【0026】
図5のように、実施例1に係る受光素子100では、窓34は、リング形状をしたコンタクト層30に沿って2つに分離して設けられている。つまり、2つに分離された窓34は、リング状に配置されている。言い換えると、窓34は、受光領域44を包囲する領域に配置されている。窓34の幅Dは、例えば3.0μmである。リング形状のコンタクト層30の中心Oに対する窓34の角度θは、例えば90°である。また、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域である受光領域44の直径Lは、例えば50μmである。2つに分離されてリング状に配置された窓34は、中心Oに対して対称に設けられており、リングに沿う方向で一定の間隔で配置されている。
【0027】
実施例1に係る受光素子によれば、n型InP基板20上に設けられたInGaAs光吸収層22及びp型InP窓層24を有する半導体層23上に、リング形状をしたコンタクト層30が設けられている。コンタクト層30上には、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34が複数に分離して形成されたシリコン窒化膜32が設けられ、シリコン窒化膜32上には、コンタクト層30と電気的に接続するp電極36が設けられている。言い換えると、実施例1に係る受光素子によれば、一導電型のn型InP基板20と、n型InP基板20上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、を有する。そして、p型InP窓層24上に設けられたシリコン窒化膜32に、シリコン窒化膜32上に設けられたp電極36とオーバーラップする領域にp電極36とp型InP窓層24とを電気的に接続させる複数の窓34が設けられている。このように、窓34を複数に分離させて設けることで、図2(a)に示したリング状の窓34に比べて、幅Dを同一にしたままコンタクト層30とp電極36とのコンタクト面積を小さくすることができる。つまり、プロセス限界の制約を受けることなくコンタクト面積を小さくすることができ、図3のようなリング状の窓34の幅Dをプロセス限界まで狭めた場合よりも小さなコンタクト面積とすることができる。したがって、リング状の窓34ではプロセス限界の制約を受けて実現できない程に小さなコンタクト面積とすることもでき、受光素子の抵抗の制御幅が広がるため、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0028】
比較例1に係る受光素子でも述べたが、窓34はエッチングにより形成される。図6(a)から図6(c)は、窓34の製造方法を説明する断面図の例である。図6(a)のように、コンタクト層30を覆って形成されたシリコン窒化膜32上に、窓34を形成すべき領域を開口させたフォトレジスト58を形成する。ここで、図3に示したように、受光素子の抵抗とコンタクト面積とは相関関係があることから、受光素子の抵抗が所望の大きさとなるコンタクト面積を求め、それを基にして、フォトレジスト58の開口領域を決定する。
【0029】
図6(b)のように、フォトレジスト58をマスクとして、例えばドライ又はウエットエッチング法により、シリコン窒化膜32をエッチングする。その後、図6(c)のように、フォトレジスト58を除去する。これにより、シリコン窒化膜32に、所望の大きさの窓34を形成することができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることができる。
【0030】
実施例1に係る受光素子は、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域が、p型InP窓層24の上方からの光を受光する受光領域44である表面入射型の受光素子であり、窓34は受光領域44の外側に設けられている。言い換えると、複数の窓34は、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置されている。これにより、InGaAs光吸収層22での光の吸収効率の劣化を抑制できる。
【0031】
コンタクト面積を十分に小さくでき、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる点からは、図7に示す実施例1の変形例1に係る受光素子のように、リング形状をしたコンタクト層30の上面に沿って設けられた窓34が、リングを一部で分断させたような形状をして1つ設けられている場合でもよい。言い換えると、窓34は、p電極36とオーバーラップする領域のシリコン窒化膜32に、受光領域44を包囲し、一部が分断されて設けられている場合でもよい。しかしながら、窓34は、複数に分離され、リングに沿う方向で一定の間隔となるように配置されている場合が好ましい。この理由は、窓34においてコンタクト層30とp電極36とが接触することから、窓34を複数に分離させ、一定の間隔となるように配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができるからである。
【0032】
実施例1では、図5のように、窓34は2つに分離されている場合を例に示したが、これに限られず、3つ以上の複数に分離されている場合でもよい。図8は、窓34が8つに分離されている実施例1の変形例2に係る受光素子の上面図の例である。図8のように、窓34は8つに分離され、リング状に配置されている。中心Oに対する窓34の角度θは、例えば20°である。8つに分離されてリング状に配置された窓34は、中心Oに対して対称となる対を有するように、リングに沿う方向で一定の間隔で配置されている。実施例1の変形例2に係る受光素子によっても、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を、図5のように窓34を2つに分離させた場合よりも均一にすることができる。このように、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布が均一になるようにするため、窓34の個数は多い方が好ましく、例えば4個以上の場合が好ましく、6個以上の場合がより好ましく、8個以上の場合がさらに好ましい。また、窓34の個数は奇数個の場合でもよい。
【0033】
窓34の形状は、図5や図8のように扇形形状をしている場合でもよいが、円形や楕円形、長方形、正方形等の形状をしている場合でもよい。
【0034】
実施例1では、p型InP窓層24とシリコン窒化膜32との間にコンタクト層30が設けられ、p電極36とp型InP窓層24とはコンタクト層30を介して電気的に接続する場合を例に示したが、コンタクト層30は設けられていない場合でもよい。
【0035】
実施例1において、コンタクト層30を覆い、一部に窓34が形成された絶縁膜としてシリコン窒化膜32の場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。p型InP窓層24の上方から入射する光に対して透明で反射を防止する絶縁膜であれば、その他の絶縁膜の場合でもよい。
【0036】
また、実施例1に係る受光素子として、PIN型フォトダイオードの場合を例に説明したが、これに限られる訳ではなく、例えばアバランシェフォトダイオードやPN接合型のフォトダイオード等のその他のフォトダイオードの場合でもよい。また、p型とn型の導電型を逆転させた場合でもよい。
【実施例2】
【0037】
実施例2に係る受光素子101は、裏面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図9は、実施例2に係る受光素子101の断面図の例である。図10(a)は、図9の破線領域の拡大図であり、図10(b)は、図10(a)の上面図の例である。なお、図10(b)においては、p電極36は、コンタクト層30の上面に設けられた部分のみを図示している(図11、図13(b)において同じ)。図9及び図10(a)のように、半絶縁性InP基板46上に、n型InPコンタクト層48、ノンドープのInGaAs光吸収層22が順次積層されて設けられている。InGaAs光吸収層22上に、p型InP窓層24とn型InP窓層26とが設けられている。p型InP窓層24は、n型InP窓層26上に設けられたシリコン窒化膜28をマスクとして、p型不純物をドープすることで形成された拡散領域である。このように、実施例2に係る受光素子101は、半絶縁性InP基板46上に、一導電型のn型InPコンタクト層48と、ノンドープのInGaAs光吸収層22と、一導電型と反対導電型のp型InP窓層24と、が順次積層する半導体層23が設けられたメサ形状のPIN型フォトダイオードである。実施例2のPIN型フォトダイオードは、メサ形状の受光部101Aと、ダミーメサ101B及び101Cから構成されている。
【0038】
メサ形状の受光部101Aとダミーメサ101B及び101Cとの周縁には、n型InP窓層26から半絶縁性InP基板46にまで達する溝49が形成されている。この溝49によって、メサ形状の受光部101Aとダミーメサ101B及び101Cとの間の容量やn型InPコンタクト層48を介したリーク電流を抑制することができる。半絶縁性InP基板46の裏面には、反射防止膜としてシリコン窒化膜50が設けられている。
【0039】
p型InP窓層24の上面の大部分を覆って、円板形状をしたコンタクト層30が設けられている。コンタクト層30は、例えばInGaAsからなる。p型InP窓層24上に、コンタクト層30を覆ってシリコン窒化膜32が設けられ、コンタクト層30上面のシリコン窒化膜32の一部は開口されて窓34が設けられている。図10(b)のように、窓34は、図8に示した実施例1の変形例2に係る受光素子の場合と同じように、8つに分離されており、リング状に配置されている。窓34は、コンタクト層30の周辺側、即ち、p型InP窓層24の周辺側に位置している。
【0040】
窓34に埋め込まれるように、シリコン窒化膜32上にp電極36が設けられ、p電極36は、溝49の内面を経由して一方の側に引き出されている。p電極36は、コンタクト層30の上面全面に設けられているため、コンタクト層30と同心円状の円板形状を有している。p電極36は、基板側からTi、Ptが順次積層された構造をしている。溝49の内面等にもシリコン窒化膜32は設けられており、シリコン窒化膜32により、p電極36とn型InPコンタクト層48等とは絶縁されている。p電極36上には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層されている。
【0041】
p電極36が引き出された側と反対側の溝49には、n型InPコンタクト層48上のシリコン窒化膜32の一部が開口し、開口した領域には、n型InPコンタクト層48に接して、基板側からAuGe、Auが順次積層されたn電極42が設けられている。溝49の内面に設けられたシリコン窒化膜32上には、n電極42に接続した引き出し電極52が設けられている。引き出し電極52は、基板側からTi、Ptが順次積層された構造をしている。引き出し電極52上には、Auスパッタ膜38とAuめっき層40とが順次積層されている。
【0042】
Auめっき層40上には、p電極36と電気的に接続する半田層54と、n電極42と電気的に接続する半田層54と、が設けられている。半田層54は、例えばAuSn半田である。実施例2に係る受光素子は、半田層54が例えば回路基板に接続することで回路基板に実装される、フリップチップ構造を有している。つまり、実施例2に係る受光素子は、例えば回路基板にフェースダウンで実装される。
【0043】
実施例2に係る受光素子は、半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光をInGaAs光吸収層22で吸収する裏面入射型の受光素子であり、n型InPコンタクト層48とInGaAs光吸収層22とp型InP窓層24とが積層された領域が、半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光を受光する受光領域44である。即ち、実施例2に係る受光素子は、一導電型であるn型InPコンタクト層48側から信号光が入射する。
【0044】
実施例2に係る受光素子101は裏面入射型であるため、表面入射型である実施例1に係る受光素子100のようにコンタクト層30をリング形状にしなくてもよく、コンタクト層30は円板形状をしている。そして、図10(b)のように、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34は、複数に分離されて、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置されている。このように、裏面入射型の受光素子であって、コンタクト層30が円板形状をしている場合であっても、窓34を複数に分離させて設けることで、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。
【0045】
コンタクト層30が円板形状をしている場合は、例えば円板の中心部分に小さな窓34を1つ設けることでも、コンタクト面積を十分に小さくすることができる。しかしながら、この場合は、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布が不均一となってしまう。一方、図10(b)のように、窓34を分離させて、p型InP窓層24の周辺側、即ち、受光領域44を包囲するように、一定の間隔で設けることで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。また、電界分布をより均一にするために、円板形状をしたコンタクト層30の中心部分に更に窓34を設けてもよい。
【0046】
また、コンタクト層30が円板形状である場合は、窓34をリング状に配置する場合に限らず、図11に示す実施例2の変形例1に係る受光素子のように、窓34を格子点状に配置してもよい。即ち、複数の窓34を、受光領域44の中央部を含む受光領域44を包囲する領域の内側に配置させてもよい。これによっても、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、格子点上に配置されて隣接する窓34を一定間隔で配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。窓34の形状は、円形の場合に限られず、楕円形や長方形、正方形等の場合でもよい。
【0047】
実施例2において、半絶縁性InP基板46の裏面に設けられた反射防止膜としてシリコン窒化膜50の場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。半絶縁性InP基板46の裏面側から入射する光に対して透明で反射を防止する膜であれば、その他の膜の場合でもよい。
【実施例3】
【0048】
実施例3に係る受光素子102も、裏面入射型のPIN型フォトダイオードの場合の例である。図12は、実施例3に係る受光素子102の断面図の例である。図13(a)は、図12の破線領域の拡大図であり、図13(b)は、図13(a)の上面図の例である。図12及び図13(a)のように、実施例3に係る受光素子102が、実施例2に係る受光素子101と異なる点は、コンタクト層30及びその上側に設けられたp電極36がリング形状をしており、リング形状の内側領域に、シリコン窒化膜32、Auスパッタ膜38、及びAuめっき層40が順次積層されている点である。その他については、実施例2に係る受光素子と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
実施例3に係る受光素子102は、実施例2に係る受光素子と同様に、裏面入射型の受光素子であるため、半絶縁性InP基板46の裏面から入射する光をInGaAs光吸収層22で吸収する。この場合に、入射した光をInGaAs光吸収層22で吸収しきれずに、InGaAs光吸収層22を通過する光が存在する。通過した光は、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられたシリコン窒化膜32及びAuスパッタ膜38の積層体に到達する。この積層体は、InGaAs光吸収層22を通過した光を反射する反射膜56として機能するため、光はInGaAs光吸収層22に向かって反射される。このため、InGaAs光吸収層22で反射光を再度吸収することが可能となる。一方、実施例2に係る受光素子101では、p型InP窓層24の上面に円板形状をしたInGaAsのコンタクト層30が設けられており、InGaAs光吸収層22を通過した光は、コンタクト層30で反射されずに吸収される。このため、実施例2に係る受光素子は、InGaAs光吸収層22を通過した光を再度吸収することができない。よって、実施例3に係る受光素子は、実施例2に係る受光素子に比べて、光の吸収効率が高くなる。
【0050】
したがって、図13(a)及び図13(b)のように、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられた反射膜56よりも外側に窓34を形成することで、InGaAs光吸収層22を通過した光の反射を妨げることを抑制でき、光の吸収効率を向上させることができる。言い換えると、複数の窓34を、受光領域44の中央部を除く受光領域44を包囲する領域に配置することで、光の吸収効率を向上させることができる。
【0051】
また、図13(b)のように、コンタクト層30とp電極36とを接触させるための窓34は8つに分離されて設けられているため、実施例1に係る受光素子と同様に、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさとすることが可能となる。また、窓34を一定の間隔で配置することで、InGaAs光吸収層22に印加される電界分布を均一にすることができる。
【0052】
実施例3において、リング形状をしたコンタクト層30の内側領域に設けられた反射膜56としてシリコン窒化膜32及びAuスパッタ膜38の積層体である場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。半絶縁性InP基板46の裏面から入射する光を反射させることができれば、その他の金属、絶縁膜、またはこれらの組み合わせの場合でもよい。なお、実施例3のPIN型フォトダイオードは、実施例2の場合と同様に、メサ形状の受光部102Aとダミーメサ102B及び102Cから構成されている。
【実施例4】
【0053】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの受光素子が、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板に実装された受光装置の例である。図14(a)は、実施例4に係る受光装置の上面図の例であり、図14(b)は、側面図の例である。図14(a)及び図14(b)のように、トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板60上に、例えばAuバンプ62により、実施例1から3のいずれかに係る受光素子64が実装されている。実施例1に係る受光素子の場合はフェースアップで実装され、実施例2及び3に係る受光素子の場合はフェースダウンで実装されている。これにより、実施例1から3のいずれかに係る受光素子64とトランスインピーダンスアンプとが電気的に接続している。
【0054】
実施例1から3に係る受光素子は、上述したように、コンタクト面積を十分に小さくすることができ、受光素子の抵抗を所望の大きさにすることが可能である。このため、実施例4に係る受光装置によれば、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間に抵抗素子等の外部部品を接続させることなく、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの間のインピーダンスのミスマッチを抑制することができる。よって、コストの低減や小型化を実現することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 受光素子
10A 受光素子
12 トランスインピーダンスアンプ
14 抵抗素子
20 n型InP基板
22 InGaAs光吸収層
23 半導体層
24 p型InP窓層
26 n型InP窓層
28 シリコン窒化膜
30 コンタクト層
32 シリコン窒化膜
34 窓
36 p電極
38 Auスパッタ膜
40 Auめっき層
42 n電極
44 受光領域
46 半絶縁性InP基板
48 n型InPコンタクト層
49 溝
50 シリコン窒化膜
52 引き出し電極
54 半田層
56 反射膜
58 フォトレジスト
60 回路基板
62 Auバンプ
64 受光素子
100 受光素子
101 受光素子
102 受光素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一導電型の半導体層と、
前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、
前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた電極と、
前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に複数設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子。
【請求項2】
前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を除く前記受光領域を包囲する領域に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体受光素子。
【請求項3】
前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を含む前記受光領域を包囲する領域の内側に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体受光素子。
【請求項4】
前記受光領域には、前記一導電型の半導体層側から信号光が入射することを特徴とする請求項3記載の半導体受光素子。
【請求項5】
前記複数設けられた窓は、一定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項6】
一導電型の半導体層と、
前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、
前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた電極と、
前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に、前記受光領域を包囲し、一部が分断されたパターンによって設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子。
【請求項7】
前記反対導電型の半導体層と前記絶縁膜の間には、コンタクト層が形成されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項8】
前記半導体受光素子は、フリップチップ構造を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項9】
トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板と、
前記トランスインピーダンスアンプに電気的に接続するように前記回路基板に実装された請求項1から8のいずれか一項記載の半導体受光素子と、を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項1】
一導電型の半導体層と、
前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、
前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた電極と、
前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に複数設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子。
【請求項2】
前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を除く前記受光領域を包囲する領域に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体受光素子。
【請求項3】
前記複数設けられた窓は、前記受光領域の中央部を含む前記受光領域を包囲する領域の内側に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体受光素子。
【請求項4】
前記受光領域には、前記一導電型の半導体層側から信号光が入射することを特徴とする請求項3記載の半導体受光素子。
【請求項5】
前記複数設けられた窓は、一定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項6】
一導電型の半導体層と、
前記一導電型の半導体層上に設けられ、周縁の内側が受光領域となる前記一導電型と反対導電型の半導体層と、
前記反対導電型の半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた電極と、
前記電極とオーバーラップする領域の前記絶縁膜に、前記受光領域を包囲し、一部が分断されたパターンによって設けられた、前記電極と前記反対導電型の半導体層とを電気的に接続するための窓と、を備えることを特徴とする半導体受光素子。
【請求項7】
前記反対導電型の半導体層と前記絶縁膜の間には、コンタクト層が形成されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項8】
前記半導体受光素子は、フリップチップ構造を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の半導体受光素子。
【請求項9】
トランスインピーダンスアンプが形成された回路基板と、
前記トランスインピーダンスアンプに電気的に接続するように前記回路基板に実装された請求項1から8のいずれか一項記載の半導体受光素子と、を備えることを特徴とする受光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−119490(P2012−119490A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267839(P2010−267839)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
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