半導体微小粒構造体及びそれを使用した半導体装置
【課題】複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止するとともに、隣接する半導体微小粒間において封止樹脂の深い谷間を形成するのに有用な樹脂封止治具を提供すること。
【解決手段】半導体微小粒構造体であって、この構造体が、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材とを含んでなるように構成する。
【解決手段】半導体微小粒構造体であって、この構造体が、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材とを含んでなるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術と樹脂封止技術に関し、さらに詳しく述べると、半導体装置の製造に有用な半導体微小粒構造体及び半導体微小粒−レンズ複合構造体と、これらの構造体を使用した、例えば太陽電池などの半導体装置に関する。本発明はまた、半導体微小粒−レンズ複合構造体などの製造に有用な樹脂封止方法、及びかかる樹脂封止方法を利用した太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、球状で微細な半導体を使用して小型で高性能な半導体装置を製造する方法が提案されている。そのような半導体装置の典型例は、太陽電池であり、例えば、特許文献1は、それぞれp型及びn型領域を有する半導体塊の複数個をp型及びn型領域と接触する糸状の導体を横糸とし、不良導体を縦糸として構成された布様基体で固定し、モジュール化したことを特徴とする粒状太陽電池とその製造方法を記載している。
【0003】
また、特許文献2は、複数の球状半導体セルが網目状の導電性部材の網目に填り込んで整列した状態に載置され、各球状半導体セルと、網目状の導電性部材が導電性ペーストで接着され、さらに球状半導体セルの受光面が反射防止膜により覆われていることを特徴とする太陽電池とその製造方法を記載している。
【0004】
さらに、特許文献3は、支持体に形成された複数の凹部にそれぞれ球形のシリコンからなる光電変換素子を配置し、凹部の内面の反射光を光電変換素子に照射することを特徴とする光発電装置を記載している。
【0005】
さらにまた、非特許文献1及び特許文献4には、ほぼ球面形状に形成された半導体材料と、この半導体材料の外部表面に設けられた少なくとも1つの電気回路とからなる球面形状半導体集積回路とその製造方法を記載している。
【0006】
【特許文献1】特開平9−162434号公報(特許請求の範囲、図2)
【特許文献2】特開2001−267609号公報(特許請求の範囲、図6)
【特許文献3】特開2002−164554号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】特表2001−501779号公報(特許請求の範囲、図25)
【非特許文献1】ボールセミコンダクター社の挑戦、「エレクトロニクス実装技術」、Vol.17、No.8−10.、2001年8〜10月、株式会社技術調査会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、多数の球状半導体粒子の使用に基づいた太陽電池やその他の半導体装置は、すでに公知である。しかしながら、平面状に並べられた多数の微細な球状半導体粒子を液状の封止樹脂で注型して一つの構造体を作る手法については、未解決な問題が多い。具体的には、何らかの理由により(例えば、それぞれの半導体粒子に電気的な端子を形成するため)、それらの半導体粒子の上面が封止樹脂の液面からわずかに出た状態となるように、封止樹脂を注型して硬化させる必要が生じる場合がある。その時、主として、封止樹脂と半導体粒子との間の濡れ性及び封止樹脂の表面張力に応じてそれぞれの半導体粒子の上面に這い上がってくる封止樹脂の高さが定まり、また、隣り合う半導体粒子間の距離が定まれば、その半導体素子間の樹脂液面の高さも定まるが、このような自然に形成された液状封止樹脂の界面形状は、例えば注型時の温度、湿度、半導体粒子の形状、半導体粒子の表面状態のばらつきなどのファクターの影響を受けやすく、また、それぞれの半導体粒子が近接して配置された場合、半導体粒子間の液状封止樹脂の界面は高い位置に形成され、かつ、その谷間は浅いものとなる。すなわち、上記のような液状界面を自然形成に任せる限り、封止樹脂がその樹脂の表面張力により半導体粒子の上面に這い上がってしまうという不具合が生じ、封止樹脂の上面が上昇し、浅い凹部しか形成できない。また、樹脂封止工程は注型時の温度、粘度、ロットなどのばらつきの影響を受けやすいので、半導体粒子間の封止樹脂の谷間を深く安定に形成することは不可能である。もしも半導体粒子間において封止樹脂の深い谷間を形成できると、後工程で封止樹脂の上面全体に光反射膜を被覆することで、封止樹脂側から入射した光を光反射膜で効率よく反射させることができ、したがって、得られる半導体粒子構造体を太陽電池の製造に使用した場合、太陽電池の発光効率を高めることができる。
【0008】
本発明の目的は、したがって、複数個の粒子状半導体などを液状の封止樹脂で封止する際に半導体間において封止樹脂の深い谷間を形成できる半導体封止方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、そのような半導体封止方法の実施において半導体を一括して封止でき、取扱い性がよく、半導体装置の製造時の歩留まりもよい封止補助部材を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明は、半導体間において封止樹脂の深い谷間を備えた半導体封止構造体、そしてかかる半導体封止構造体を使用した光反射効率に優れた太陽電池やその他の半導体装置を提供することにある。
【0011】
さらにまた、本発明は、光反射効率に優れた太陽電池を正確かつ簡単に歩留まりよく製造できる方法を提供することにある。
【0012】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、その1つの面において、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、
網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材と、
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒構造体にある。
【0014】
また、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による半導体微小粒構造体と、
前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び前記網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材であって、
半導体微小粒構造体に含まれる半導体微小粒の第1の領域を所定の厚さで封止して半球状レンズ体を構成し、
前記半導体微小粒の前記第1の領域とは反対側の第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面が露出しておりかつ相隣れる前記半導体微小粒の間において、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスが前記樹脂の表面張力により形成されている封止部材と
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒−レンズ複合構造体にある。
【0015】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体を1構成要素として含んでなることを特徴とする太陽電池やその他の半導体装置にある。
【0016】
さらにまた、本発明は、そのもう1つの面において、複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること
を含んでなることを特徴とする樹脂封止方法にある。
【0017】
さらに加えて、本発明は、それぞれの表面にp極及びn極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を含んでなることを特徴とする太陽電池の製造方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、複数個の半導体微小粒を液状の封止樹脂で封止する際に、封止樹脂の液面形状の管理ができるので、半導体微小粒間において封止樹脂の深い谷間を安定に形成することができ、また、半導体微小粒を一括して手早くかつ確実に樹脂封止することができる。また、本発明で使用する封止樹脂を透明な例えば熱硬化性樹脂もしくは光硬化性樹脂から構成することで、液体の状態で樹脂を使用し、その後で熱あるいは光の適用により容易に硬化させることができるので、半導体封止を容易に実施することができる。また、得られる樹脂封止体に対して良好な光透過特性を付与することができるので、太陽電池を含めた各種の半導体装置の製造に有利に利用することができる。実際、取扱い性のよい本発明の半導体微小粒構造体を使用すると、半導体装置を簡単かつ確実に、歩留まりよく製造することができる。
【0019】
さらに具体的に説明すると、半導体微小粒間の谷間の封止樹脂の液面を深い状態で形成することが可能である。また、この界面、即ちメニスカスを自在にコントロールすることで、目的にあった深い谷間を安定的に光の入射が可能なように形成できる。このことにより、後工程で硬化後の樹脂表面に例えば銀の蒸着などによって光反射膜を形成すれば、個別の半導体微小粒にとって極めて効率の良い光反射形状を与えることができる。
【0020】
また、網状部材は、それを導電性材料から形成したとき、電流を効率よく流すことができるので、例えば光反射膜を金属蒸着によって形成する場合、金属蒸着面と導電性網状部材との並列接続の結果、電力ロスを低下させることができる。
【0021】
さらに、液状封止樹脂の表面の制御を網状部材の網目の単位で制限できるため、大面積化する際、半導体微小粒の形状及び位置の不良があったとしても、その不良が得られる結果などに波及することがない。
【0022】
さらにまた、半導体微小粒−レンズ複合構造体は、それに封じ込められている網状部材が補強材の役割を果たすので、丈夫であり、これを使用した太陽電池やその他の半導体装置の機械的強度を高めることができる。また、網状部材をフレキシブルな材料から形成した場合には、三次元曲面追従性をもった半導体微小粒−レンズ複合構造体をいろいろな形状に変形して使用することもできる。
【0023】
また、網状部材にアルミニウムめっきや銀めっきを施して光反射率の高い光反射膜を形成するか鏡面処理などを施した場合、網状部材自体に由来する光反射率の高さから、封止樹脂に入射した光を有効に取り込み、半導体微小粒に集束させ、光変換効率を高めることができる。
【0024】
さらに、網状部材において、少なくともその開口部の開口パターンを変更するかもしくは表面処理を施すことによって液状封止樹脂の濡れ性を改良した場合、封止樹脂において形成されるメニスカス(凹部)の深さを増大させ、光反射効率を最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明による半導体微小粒構造体、半導体微小粒−レンズ複合構造体、半導体装置、樹脂封止方法及び太陽電池の製造方法は、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明をその好ましい実施の形態を添付の図面を参照して説明するが、本発明は、下記の形態に限定されるものではない。
【0026】
本発明は、第1に、複数個の半導体微小粒を備えた半導体微小粒構造体にある。本発明の半導体微小粒構造体は、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材とを含んでなることを特徴とする。ここで、「微小粒」とは、以下において説明するように、球体もしくはそれに類似する断面形状をもった微細な粒子や粉体などを意味する。
【0027】
本発明の半導体微小粒構造体は、各種の半導体装置の製造において有利に使用することができる。本発明の実施に好適な半導体装置の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、太陽電池、発光ダイオード、光学センサーなどを挙げることができる。すなわち、本発明の半導体微小粒構造体は、それを樹脂で封止して半導体微小粒−レンズ複合構造体の形態となした後、これらの半導体装置の製造に使用することができる。なお、本発明の半導体微小粒構造体は、かかる用途に鑑みて、「半導体装置前駆体(特に、第1の半導体装置前駆体)」と呼ぶこともできる。
【0028】
図1は、本発明による半導体微小粒構造体の好ましい一形態を示した断面図である。図示の半導体微小粒構造体は、特にシリコン微小粒を使用した太陽電池の製造に用いることができる。半導体微小粒構造体10は、図では簡略化のために3個の半導体微小粒1が示されているが、通常、より多数の半導体微小粒1を備えている。半導体微小粒1は、図示されるようにほぼ球形であるが、図示の形態に限定されるものではない。特に製造条件などに依存するものであるが、半導体微小粒1は、さらに変形していてもよく、角部が備わっていてもよく、あるいはティアドロップの形などであってもよい。なお、図示の半導体微小粒1は、その外周を取り囲む薄膜の層が示されるが、これは、シリコン太陽電池の製造を予定しているので、すでに形成されているn型半導体層を表している。すなわち、このn型半導体層と、半導体微小粒1のコア部を構成するp型半導体層とでpn接合が構成されている。
【0029】
半導体微小粒1は、図3の写真から理解されるように、太陽電池において一般的に実施されているように、平面状に所定の間隔で配置されている。半導体微小粒1の数は、微小粒の大きさ、集光倍率及び太陽電池の大きさによって決定されるが、通常、約1〜250万個の範囲であり、好ましくは、約1〜7万個の範囲である。一例を示すと、半導体装置が光学センサーなどの場合、半導体微小粒1の数は、通常、1個である。また、太陽電池において、それに使用する半導体微小粒1の直径が0.5mm、集光倍率が4倍、そして太陽電池のパネルの大きさが1m×2mであるとき、半導体微小粒1の数は、例えば、250万個前後である。さらに、半導体微小粒1の直径が1.0mm、集光倍率が4.4倍、そして太陽電池のパネルの大きさが50cm×50cmであるとき、半導体微小粒1の数は、例えば、7万個前後である。
【0030】
それぞれの半導体微小粒1は、半導体装置の製造に使用するまでそれらを安定に保持するため、仮止めのための支持体(配置板ともいう)4によって担持されている。仮止めには、接着剤等の粘着材料が有利に用いられる。なお、支持体(配置板ともいう)4は、半導体微小粒構造体10から半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製する際に治具として使用するため、スペーサー3を備えている。
【0031】
本発明の半導体微小粒構造体10は、半導体微小粒1に組み合わせて網状部材2を備えている。網状部材2は、通常、シートあるいはプレートの形をしており、取扱い性及び加工性の便宜などのため、好ましくはフレキシブルである。また、網状部材2は、上記した半導体微小粒1を樹脂封止して本発明に特有の放物線状メニスカス(隣接した半導体微小粒1の間に形成された、封止樹脂からなる深さをもった凹部)を形成するため、複数個の半導体微小粒1のそれぞれを取り込むための開口部12を有している。開口部12は、半導体微小粒1の配列パターンに対応して、例えば図3に示すように、網目状に配置されることが好ましい。図示されるように、それぞれの開口部12に半導体微小粒1を、それらの半導体微小粒1のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置することができる。特に、本発明の半導体微小粒構造体10では、半導体微小粒1が網状部材2に接触していないことが肝要である。
【0032】
網状部材2は、半導体微小粒1と同様に、半導体装置の製造に使用するまでそれら部材を安定に保持し、かつ半導体微小粒との間の距離が変動しないようにするため、支持体4に仮止めされている。この場合の仮止め手段13は、特に限定されるものではない。例えば、所定の厚さを確保するため、両面粘着テープを有利に使用することができるが、必要であれば、所定の厚さをもったスペーサーやその他の部材を使用してもよい。
【0033】
網状部材2は、必要に応じて、仮止めしないで使用することもできる。例えば、網状部材2を可動に構成してもよく、そのような場合には、半導体微小粒が液状封止樹脂の適当な位置まで浸漬された後、網状部材を液面に当接させて押し下げることにより、所定の位置に液面を下げることが可能である。
【0034】
続いて、本発明の半導体微小粒構造体の構成をさらに詳細に説明する。
【0035】
半導体微小粒
半導体微小粒は、その最終的な用途に応じて、いろいろな半導体材料から、いろいろな形状及び寸法で形成することができる。まず、半導体材料としては、通常、シリコン(Si)が使用されるが、必要ならば、その他の材料であってもよい。適当な半導体材料として、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムアルミニウム砒素(GaAlAs)等の化合物半導体などを挙げることができる。
【0036】
半導体微小粒は、通常、球形もしくはほぼ球形の形であるか、さもなければ、変形した球体の形である。半導体微小粒の適当な形態として、以下に列挙するものに限定されないが、真球、歪んだ真球、ティアドロップなどの微小粒やこれらの微小粒に例えば金平糖の如く微細な突起物がさらに備わった微小粒を挙げることができる。また、半導体微小粒の特別な形態として、立方体、直方体などの微小粒も挙げることができる。本発明者の知見によると、加工性や得られる光学特性などの面から、ティアドロップの半導体微小粒が特に好適である。
【0037】
半導体微小粒は、いろいろな寸法で使用することができる。半導体微小粒の寸法は、球体の平均直径でみた場合に、通常、約0.2〜3.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.8〜1.1mmの範囲である。最近における半導体製造技術及び加工技術の進歩に併せて、必要ならば、より微細な半導体微小粒を使用してもよい。なお、半導体微小粒構造体の製造において、それぞれの半導体微小粒は、ほぼ同一の形状及び寸法を有していることが好ましい。
【0038】
半導体微小粒は、半導体微小粒の製造に常用されている各種の製造方法を利用して製造することができる。適当な半導体製造法は、例えば、溶融された半導体材料を重力によって自由落下させ、落下途中で微小粒を形成する方法である。この方法は、実施が簡単であり、装置が複雑でなく、しかも原理的にカットロスがない。具体的に述べると、この方法は、例えば、半導体材料(例えばシリコン)を溶融炉の坩堝で溶融させた後、その溶融半導体材料を予め定められた高さ(例えば、微小粒回収面から約10〜15mの高さ)から重力によって自由落下させることによって製造することができる。自由落下工程は、例えば、アルゴンのような不活性ガスの雰囲気下、溶融半導体材料を加圧下にノズルから高速で滴下することによって有利に実施することができる。溶融半導体材料は、自由落下中に表面張力で球形化し、さらには固化せしめられる。よって、最終的には所望とする形状及び寸法を備えた高品質の半導体微小粒が得られる。なお、好ましいことに、本発明の実施に当っては、このようにして得られた半導体微小粒は、煩雑な機械的研磨加工を施すことなく使用することができる。すなわち、半導体微小粒は、通常、製造されたままのものであり、それに研磨加工や成形加工などを施さなくてもよい。
【0039】
半導体微小粒は、それを製造した後、最終の使用目的などに応じて、任意の表面処理を施し、後段の工程の便を図ることができる。例えば、半導体微小粒がシリコン微小粒であり、太陽電池の製造に使用する場合、シリコン微小粒の表面にリン拡散によりn層を形成し、同時にpn接合が形成する。さらに、水素と窒素の混合ガスにより、結晶粒界の不純物を不活性化してから、シリコン酸化膜を形成する。最後に、シリコン酸化膜の上に酸化チタン膜や窒化シリコン膜などを反射防止膜として形成する。
【0040】
好ましい1態様を参照してさらに具体的に説明すると、半導体微小粒がシリコン微小粒であり、太陽電池の製造に使用する場合、シリコン微小粒の大きさは、約1mm±0.1mm程度で、その形状はティアドロップタイプである。ティアドロップタイプのシリコン微小粒は、概ね、球に近似できる部分の1.5倍程度が角の部分も含めた全長となり、球のサイズのばらつきと同様に角の出方も長さもばらつきがあるが、本発明の実施には差し障りがない。シリコン微小粒の主体は、p型半導体層(ボロン濃度1×1016atoms/cm3)であり、これにリン拡散を行って表面から300〜400nm程度までn型半導体層を形成している。さらに水素・窒素混合ガスにより結晶粒界の不活性化(パッシベーション)処理を行った後、保護膜として酸化シリコンの薄膜を例えば約8nmの膜厚で表面に形成し、その外側に酸化チタン膜を例えば86nmの膜厚で形成する。
【0041】
網状部材
網状部材は、上記した通り、網目状に配置された複数個の開口部を有し、好ましくはネットの形状で用いられる。
【0042】
網状部材において、開口部は、好ましくは、規則的な行及び列で配置されており、かつそれぞれの開口部のほぼ中央に半導体微小粒が位置せしめられる。また、開口部は、任意の開口パターンを有することができるが、好ましくは、円形、矩形、三角形又は六角形もしくはそれよりも多角形の開口パターンである。開口部の寸法は、その開口部に半導体微小粒を非接触で配置できる限り、特に限定されるものではない。開口部の大きさ(最大径)は、通常、約1〜8mmの範囲であり、好ましくは、約1.5〜2.4mmの範囲である。
【0043】
網状部材は、通常、シート、フィルム又はプレートの形で用いられる。これらの部材の大きさは、最終用途あるいは最終製品の大きさに応じて任意に変更することができる。例えば太陽電池の場合には、網状部材の大きさは、通常、約1mm〜200cmの範囲であり、好ましくは、約1〜50cmの範囲である。特に本発明の場合、この網状部材が補強材の役割を果たすことができかつ適度のフレキシビリティも保証することができるので、より大きな網状部材を使用して、歩留まりよくかつ簡単により大型の太陽電池を提供できるという点で注目に値する。従って、上記したような網状部材の大きさは、本発明の範囲を制限するものではなく、必要に応じて、より大きな網状部材を使用することもできる。
【0044】
網状部材は、構造体の強化や放物線状メニスカスの形成といった所期の目的が達成される限り、その材料や材質に制限はない。網状部材は、液体である封止樹脂の押し上げによる変形や、封止樹脂の硬化収縮などに伴った変形を考慮した場合、それらの変形の度合いが小さくなるように、硬い材料からなるか、あるいは、厚みのある材料からなることが好ましい。通常、網状部材は、このような性質や加工性などを考慮した場合、金属材料から形成するのが有利である。また、網状部材は、特にその使用が界面制御による放物線状メニスカスの形成を目的としたものであるならば、金属材料である必要はなく、プラスチック材料やガラスなど、その他の材料も使用可能である。以下に列挙するものに限定されないが、適当な金属材料は、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀、ステンレス鋼、鉄などを包含し、また、適当なプラスチック材料は、例えばポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などを包含する。これらの材料は、そのままで使用してもよく、さもなければ、任意の表面処理が施されていてもよい。
【0045】
網状部材における開口部の加工は、任意の技法に従って行うことができる。例えば、網状部材を金属材料から形成する場合には、所定の厚さをもった金属シートなどをパンチ加工することなどによって、所望とする開口パターンをもった金属ネットを簡単に形成することができる。網状部材をプラスチック材料から形成する場合には、開口部に対応する突起部を有する金型を使用して溶融プラスチック材料を成形することによって、所望とするプラスチックネットを容易に形成することができる。
【0046】
具体的に説明すると、網状部材の開口パターンは、半導体微小粒、すなわち、得られる半球状レンズの最密充填を考慮して、例えば図3に示すように、正六角形の開口部を千鳥状に配列したハニカム構造であることが好ましい。この場合、網状部材は、ネットの形態であり、ネットの線幅は、概ね150μm程度であり、また、その厚さは、50〜200μm程度である。ネットの線幅については、液状で使用される封止樹脂の液面を押し下げるときにネットの上面を濡らさない程度の幅があればよいが、これについては、液面の押し下げ量に依存する。
【0047】
本発明の好ましい1態様において、網状部材は、例えばアルミニウムや銀のような導電性の金属材料から形成されていることが好ましい。これらの金属材料は、電気伝導が良く、イオン化したものがシリコンの特性に重大な損失をもたらさないばかりでなく、光反射の面で有効に働くためである。
【0048】
また、網状部材は、少なくともその表面に光反射性が付与されていることが好ましい。網状部材が光反射性を有することで、太陽電池やその他の半導体装置に入射した光をより効果的に反射させ、発電効率をさらに改善することができるからである。光反射性を付与するための手段は限定されず、任意の表面処理を包含することができる。適当な表面処理法は、例えば、めっきなどの光沢処理や反射処理である。例えば、銅からなる部材の表面に銀めっきの薄い皮膜を形成することで、光反射性を高めることができる。
【0049】
さらに、網状部材の側面については、特殊な処理をしない限り、フラットで鏡面に近いことが好ましい。ただし、入射光の反射にあたって指向性をもたせないようにする場合、散乱光となるように適度に荒れた面とすることも可能である。
【0050】
さらにまた、網状部材は、少なくともその開口部において、網状部材及び半導体微小粒の封止に用いられる樹脂に対する濡れ性が制御され、正の親水性と負の親水性(撥水性)の2つの性質が調和された形で付与されていることが好ましい。例えば、網状部材の側面や底面に親水性あるいは撥水性を与える処理を行うことで、網状部材と封止樹脂の間の濡れを制御することができる。この処理は、未処理の場合と比較して、網状部材の線幅を狭くするのに効果的である。なお、網状部材の線幅が広すぎる場合には、入射光路の影になる場合もあるため、線幅の上限は、例えば太陽電池のセル構造により決定されるであろう。
【0051】
支持体
上記した半導体微小粒及び網状部材は、それぞれ、本発明で配置板ともいう支持体に一時的に保持した状態で、用いられることが好ましい。換言すると、支持体は、仮止めに使用され、最終製品の中には含まれない部材であるので、任意の材料から形成することができる。通常、支持体は、半導体微小粒及び網状部材を担持したときに変形せず、取扱い性にも優れた各種の材料、例えば金属材料、プラスチック材料、ガラスやその他のセラミック材料などから平板の形で形成することができる。また、支持体は、廃棄することなく、繰り返し使用可能であることが好ましい。
【0052】
また、支持体の片面には、半導体微小粒の位置決め、固定を容易にするため、半導体微小粒を一時的に仮止めすべき位置に、浅皿状の凹部もしくはくぼみあるいは細孔を予め設けられていることが好ましく、また、この凹部等には、予めあるいは使用の直前に、半導体微小粒を仮止めするのに好適な媒体、好ましくは粘着材、例えば接着剤や粘着性ペーストが微量で含まれることが好ましい。粘着材によって、半導体微小粒から支持体を分離するまでの間、半導体微小粒を支持体上に固定することができ、半導体微小粒−レンズ複合構造体を歩留まりよく製造できるからである。
【0053】
シリコン微小粒(ここでは、ティアドロップ形のシリコン微小粒)を使用した一例を示すと、千鳥状に孔の開いた石英ガラス製の配置板を支持体として用意する。次いで、配置板の細孔にシリコン微小粒の角を入れるようにしてシリコン微小粒を配置する。配置板を逆さまにしたときにシリコン微小粒が落下しないように、配置板の細孔をうすくグリースで埋めておく。
【0054】
支持体の片面では、網状部材を仮止めするために接合材も用いられる。ここで使用する接合材は、網状部材を安定に仮止めできる限り、特に限定されるものではなく、例えば両面粘着テープやグリースなどを包含する。例えば、金属ネットを両面粘着テープにより支持体に貼り付け、固定する。
【0055】
また、スペーサーも支持体の片面で用いられる。スペーサーは、以下に詳細に説明するが、半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造において、金型により形成される半球状レンズ体の中心とシリコン微小粒の位置を光学的な条件を考慮して最適な位置決めを行う際に、正確な位置調整のために有用である。スペーサーは、他の部材と同様にいろいろな材料から形成することができるが、通常、例えばポリイミドなどのプラスチック材料から成形によって形成するのが有用である。
【0056】
本発明は、半導体微小粒構造体の他に、それを使用した半導体微小粒−レンズ複合構造体にある。半導体微小粒−レンズ複合構造体は、半導体装置の形態により接近したものであり、前記した半導体微小粒構造体を「第1の半導体装置前駆体」と呼ぶことに対応して、「第2の半導体装置前駆体」と呼ぶことができる。
【0057】
本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体は、上記したような、本発明による半導体微小粒構造体と、半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材とを含んでなることを特徴とする。半導体微小粒構造体の詳細は、前記した通りであるので、ここでの繰り返しの説明を省略する。
【0058】
図2は、図1の半導体微小粒構造体を使用した作製された本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の一例であり、よって、シリコン微小粒を使用した太陽電池の製造に用いることができる。半導体微小粒−レンズ複合構造体20は、支持体4を取り除いた後の半導体微小粒構造体10(図1を参照)の半導体微小粒1の近傍を封止部材5で所定のパターンで封止したことを特徴とする。封止部材5は、その全体で集光層を形成するとともに、半導体微小粒1の第1の領域(網状部材2よりも下方の領域)において、その半導体微小粒1の表面を所定の厚さで被覆して半球状レンズ体15を構成している。
【0059】
封止部材5は、半導体微小粒1の第1の領域とは反対側の第2の領域(網状部材2よりも上方の領域)において、太陽電池やその他の半導体装置を構成するための電極やその他の構成要素を形成するため、半導体微小粒1を被覆しないで、露出した外周面を規定している。また、封止部材5は、同じ第2の領域において、封止部材5に入射した光を反射して半導体微小粒1に集中させるための光反射体を形成するため、隣接した半導体微小粒1の間において、網状部材2あるいはその近傍に頂点pを有する放物線状メニスカス16を規定している。放物線状メニスカス16の形成は、以下において説明するように、硬化前の液状の封止樹脂の表面張力に由来している。さらに、図2においては図示しないが、第2の領域において、半導体微小粒1の外周面及び半導体微小粒1に隣接した封止部材5の表面は、それらの表面を被覆した例えば銀めっき膜などの反射膜をさらに有していることが好ましい。この反射膜によって、封止部材5に入射した光を半導体微小粒1に集中させる作用をより一層高めることができるからである。
【0060】
封止部材は、最終製品である太陽電池やその他の半導体装置において使用したときに十分に高い光透過性を示す材料からなることが好ましい。例えば、太陽電池では、この封止部材から構成されるレンズ体に外部からの光線が入射し、効率よく半導体微小粒に入射する必要があるからである。換言すると、封止部材は、高い透明性=半導体装置の動作に十分な光透過性が得られるレベルの透明度を有することが必要である。よって、封止部材は、得られる硬化物が高い透明性を示す任意の硬化性樹脂から形成することができる。また、硬化性樹脂は、その硬化のメカニズムに応じて、光硬化性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。例えば、硬化時間の短縮などを希望する場合には、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、光硬化性樹脂、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの各種変性樹脂などのUV硬化性の樹脂、あるいは例えばアクリル系樹脂などの電子線硬化性の樹脂を使用することが推奨される。一方、熱硬化性樹脂としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0061】
本発明の実施において、上述のような硬化性樹脂は、適度な粘性を有する液体であることが好ましい。硬化性樹脂は、通常、形成を目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法を有する凹部あるいはキャビティを備えた金型に注型して用いられるからである。液状の硬化性樹脂の粘度は、広い範囲で変更し得るけれども、通常、1,000P未満のものが好ましく、さらに好ましくは、40P近傍である。硬化性樹脂の粘度が高すぎると、取扱い性が低下し、脱泡などが困難になる。
【0062】
さらに加えて、硬化性樹脂は、それから形成される封止部材が密着されるべき部材、例えば半導体微小粒(例えばシリコン微小粒)のシリコンや酸化チタン膜との接着力が強いことや、シリコン微小粒への這い上がり力が大きすぎないこと、ミラー面となる表面の硬化性が十分であること、吸水率が小さいこと、線膨張係数が大きすぎないこと、硬化収縮率が大きすぎないこと、厚さが薄い状態でも脆くないこと、できればタフであること、有毒成分が存在しないこと、などが望ましい。
【0063】
図4は、本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を網状部材の側から撮影した写真であり、図示の例では、正六角形の開口を千鳥状に配列したハニカム構造をもったアルミニウム製のネットを網状部材として使用している。また、説明のため、正六角形の開口の一部には半導体微小粒(シリコン微小粒)を配列していないが、図から理解されるように、それぞれのシリコン微小粒は、開口のほぼ中央に位置しており、しかもネットとは接触していない。
【0064】
図5は、網状部材を使用して作製した本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、その半導体微小粒1の近傍における封止樹脂5の液面プロファイルを模式的に示したものであり、また、図6は、網状部材を使用して作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における実際の液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。この写真は、封止樹脂を硬化させた後にセルを切断、研磨することで封止樹脂の形状をマイクロスコープで観察した結果である。なお、図6では、セルの研削の過程で半導体微小粒から電極部分が除去されている。
【0065】
これらの図面から理解されるように、本発明に従って網状部材を使用して本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製した場合には、網状部材2の上面を頂点pとする深い凹部(放物線状メニスカス)を隣接した半導体微小粒1の間の封止樹脂5において形成することができる。ここで、半導体微小粒1の形状を、角部を除いて球に近似するとき、その直径が1mmであるとき、放物線状メニスカス16の頂点pから半導体微小粒1の上端までの距離hは、約550μm程度までとれる。また、例えば距離hが500μmであるとすると、放物線状メニスカス16の深さm、すなわち、放物線状メニスカス16の頂点pから封止樹脂5の半導体微小粒1に這い上がった上端までの距離は、約250μmである。なお、これらの数値は、放物線状メニスカスの形成(液状封止樹脂の液面の押し下げ)時、それぞれの距離をマイクロスコープを用いて、液面の押し下げ現象を真横から観察することにより測定した結果である。なお、かかる測定値は、図6の写真からも評価可能である。
【0066】
本発明によれば、上記したように、光反射に好適な深さをもった放物線状メニスカスを容易にかつ正確に、しかも多数の半導体微小粒について一括して形成することができ、さらには、得られる放物線状メニスカスのパターン及びその深さを、網状部材及び半導体微小粒の形状、構成、配置状態を変更することによって容易に制御することができる。
【0067】
図7は、本発明例である図5に対応するが、比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒1の近傍における封止樹脂5の液面プロファイルを模式的に示したものである。また、図8は、本発明例である図6に対応するが、比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。なお、図8では、写真の上側に半導体微小粒の角部がでているために露出部分が大きく観察されるが、図5及び図6の例と対比するため、図7に図示したように、半導体微小粒を直径約1mmの球体でフィッティングして寸法測定を行った。
【0068】
これらの図面から理解されるように、従来の手法に従って網状部材を使用しないで半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製した場合には、隣接した半導体微小粒1の間の封止樹脂5の表面はごく浅い窪みしか形成することができず、本発明のように、深い凹部(放物線状メニスカス)を形成することは不可能である。実際、半導体微小粒1の直径が約1mmであるとき、封止樹脂5の液面の最下位から半導体微小粒1の上端までの距離hは、約250μmであり、また、封止樹脂5の液面の最下位から封止樹脂5の半導体微小粒1に這い上がった上端までの距離mは、約50μmである。
【0069】
また、本発明は、上記した本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を備えた半導体装置にある。本発明の半導体装置は、本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を備える限り特に限定されないが、好ましくは、例えば、太陽電池、発光ダイオード、光学センサーなどである。
【0070】
本発明の半導体装置は、さらに好ましくは、太陽電池である。本発明の太陽電池は、その主要部に本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を有し、かつ半導体微小粒のそれぞれの表面にp極及びn極が形成されている以外は、常用の太陽電池と同様な構成を有することができる。なお、太陽電池の一般的な構成等は、特許文献、技術文献などに詳細に説明されているので、ここでの説明を省略する。
【0071】
図9は、本発明による太陽電池(部分)の好ましい一形態を示した断面図である。太陽電池30は、その表面に透明な封止部材5から形成された半球状レンズ体15を備えており、上方から光(hν)が入射する。太陽電池30に入射した光は、ニッケル、銀などから蒸着によって形成された反射膜31で反射され、半導体微小粒1に集中的に集められ、発電に寄与することができる。また、太陽電池30は、保護層32、絶縁層33、電極層34を備えている。保護層32は、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂などの任意の樹脂から形成することができ、絶縁層33は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの任意の絶縁性樹脂から形成することができ、電極層34は、例えばアルミニウム、銀などの任意の導体金属から形成するかもしくは導体金属を備えた任意の素材から形成することができる。これらの層は、スパッタリング、真空蒸着などの常用の成膜技術を使用して容易に形成することができる。さらに、図面の簡略化のために省略されているが、従来の太陽電池と同様に、その他の層や部品等を備えていてもよい。例えば、半球状レンズ体15の上面(矢印で示される太陽光側)は、図示しないが、光透過性及び耐候性をもった保護シートで覆われていてもよい。
【0072】
図示のような本発明の太陽電池を使用すると、極めて効率のよい光反射形状を与えることのできる深さを持った放物線状メニスカスの形成などに由来して、半導体微小粒の受光量を顕著に高めることができ、よって、太陽電池の発光効率も顕著に高めることができる。なお、この効果については、以下に参照して説明する図15の光線図から容易に理解することができるであろう。
【0073】
さらに、本発明は、複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法にある。本発明の樹脂封止方法は、半導体微小粒を含むいろいろな構造体の製造に有利に使用することができるが、特に、上記したような本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造に有利に使用することができる。
【0074】
本発明による樹脂封止方法は、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて封止部材を形成すること
を順次実施することによって有利に実施することができる。
【0075】
上記の樹脂封止方法において、複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置する工程では、前記したように、半導体微小粒を仮止めするための支持体を使用するのが有利である。また、この支持体は、網状部材を半導体微小粒に重ね合わる際にも、網状部材の仮止め手段として有利に使用することができる。支持体は、上記の一連の工程を経て半導体微小粒−レンズ複合構造体を形成した後、取り外して、必要に応じて再使用することができる。
【0076】
また、本発明の樹脂封止方法において、硬化性樹脂は、上記したように、熱硬化性樹脂であってもよく、あるいは光硬化性樹脂であってもよい。
【0077】
さらに、樹脂接触工程においては、硬化性樹脂を含む金型に半導体微小粒構造体を押し込むことが好ましい。しかし、その他の成形法を使用するのであれば、このような手法でなくて、使用される成形法に適合した手法を任意に使用することができる。
【0078】
さらにまた、樹脂硬化工程においては、半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域を所定の厚さで封止した樹脂から形成される半球状レンズ体と、相隣れる半導体微小粒の間において樹脂の表面張力により形成された、網状部材を頂点とする放物線状メニスカスとを備えている樹脂封止部材を形成することが好ましい。
【0079】
図10は、本発明の樹脂封止方法に基づく半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造方法の好ましい一態様を順を追って示したものである。ここで、半導体微小粒−レンズ複合構造体は、特にシリコン太陽電池の製造のために設計されたものであり、したがって、半導体微小粒は、シリコン微小粒である。
【0080】
最初に、図10(A)に示すシリコン微小粒構造体10を作製する。ここで、シリコン微小粒1は、溶融したシリコンを15m程度の高さからアルゴン雰囲気中を自由落下させることで作製する。シリコン微小粒1の直径は、約1mmである。得られたシリコン微小粒1において、リン拡散によりn層を形成し、同時にnp接合を形成する。水素と窒素の混合ガスにより、結晶粒界の不純物を不活性化してから、酸化を行い、薄いシリコン酸化膜を形成し、さらに続けて酸化チタン膜を反射防止膜として形成する。
【0081】
次いで、千鳥状に孔の開いた石英ガラス製の支持体(ガラスプレート)4を用意し、それぞれの孔に先に作製したシリコン微小粒1の角の部分を差し込むようにしてシリコン微小粒1を配置する。なお、ガラスプレート4を逆さまにしたときにシリコン微小粒1が落下しないようにするため、ガラスプレート4の孔に対してグリースを薄く埋めておく。シリコン微小粒1の配置が完了した後、網状部材(正六角形の開口をもったアルミニウム製のネット)2を両面粘着テープ13によりガラスプレート4に貼り付け、固定する。ここで、ガラスプレート4のシリコン微小粒1がハニカム状のネット2の中心部にくるように位置合わせを行う。また、ネット2の固定に両面粘着テープ13を使用しているが、代わりに、接着剤やグリースを使用してもよい。また、ガラスプレート4にネット2を固定する方法に代えて、ネット2をガラスプレート4とは独立に設置することも可能である。その場合は、後段の工程で使用するシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型との配置なども考慮した治具が必要になる。なお、金型により形成される半球状レンズ体の中心とシリコン微小粒の位置は光学的な条件により最適な位置が定まるので、この位置調整のため、プラスチック製のスペーサー3もガラスプレート4に取り付ける。
【0082】
また、図10(A)に示すシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型21を作製する。金型21は、目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法をもった凹部を備えたもので、スチールのワイヤカット加工によって正確な寸法で作製することができる。次いで、金型21の樹脂注加面にフッ素系の離型材を吹き付けた後、ふき取り処理をする。金型21の離型処理を完了した後、封止樹脂を保持する枠22を金型22に取り付け、必要な量の液状封止樹脂5を注加する。ここで、液状封止樹脂5は、紫外線硬化性の樹脂である。
【0083】
引き続いて、図10(A)に示すように、直角の出ている2辺を有した治具(図示せず)に、金型21とガラスプレート4の辺をそれぞれあわせて、位置にずれが生じないようにしながら、ガラスプレート4を金型21の上に降ろしていく。液状封止樹脂5の液面にシリコン微粒子1が接した瞬間に封止樹脂5の盛り上がりが起きるが、これは、ネット2により抑制される。設定した深さまでガラスプレート4を降ろすことで、封止樹脂5の自由界面がシリコン微小粒1とネット2の間に形成されることとなる。なお、本発明の場合、金型21の上面を基準として、ガラスプレート4にスペーサー3を取り付けてあるため、液状封止樹脂5の液面制御は簡単である。
【0084】
液状封止樹脂5の液面の安定化が確認された後、図10(B)に示すように、シリコン微小粒構造体10のガラスプレート4を介して上方から紫外線(hν)を照射し、液状封止樹脂5を硬化させる。
【0085】
液状封止樹脂5の効果が確認された後、不要となったガラスプレート4をネット用のスペーサー3とともに取り外す。金型21から成形物を取り出すと、図10(C)に示すように、目的とするシリコン微小粒−レンズ複合構造体20が得られる。
【0086】
以上、図10において、半導体微小粒としてその典型例であるほぼ球形のシリコン微小粒(球状シリコン結晶)を使用してシリコン微小粒−レンズ複合構造体の製造を説明した。しかし、上記したようにシリコン微小粒はその他の形態でもよいので、以下、ティアドロップ型のシリコン微小粒を使用してシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造する方法を説明する。なお、ティアドロップ型のシリコン微小粒を使用した場合には、それぞれの微小粒に先端が尖った角形頂部(以下、「角部」という)と、それとは反対側の球面をもった底部(以下、「球部」という)とがあるので、シリコン微小粒の作製時、シリコン微小粒の角部を封止樹脂に埋め込んだ形で封止する通常配向方式と、シリコン微小粒の球部分を封止樹脂に埋め込んだ形で封止する反転配向方式の2方式を使い分けることが好ましい。なお、以下では特にシリコン微小粒を参照して本発明を説明するが、その他の半導体微小粒においても下記の方法を利用できることは言うまでもない。
【0087】
通常配向方式
通常配向方式では、配列板上にシリコン微小粒を予め配列した後、それぞれのシリコン微小粒を相方の支持体(紫外線透過性の板状の部材からなる;シリコン微小粒を一時的に保持した後、転写するために用いられるので、転写板とも呼ばれる)に一括して移動させる。得られたシリコン微小粒付きの支持体を引き続く樹脂封止工程に使用する。以下、この通常配向方方式を、図11を参照して説明する。
【0088】
まず、図11(A)に示すように、配列板43及び支持体(転写板)4を用意する。配列板43は、金属材料からなっていても、プラスチック材料からなっていてもよいが、本図では、厚さ0.5mmのステンレス鋼(SUS)シートを使用し、シリコン微小粒1の角部分を差し込み、一時的に固定するための細孔44を直径0.7mm及びピッチ2mmでレーザー加工により開孔している。それぞれの細孔44にシリコン微小粒1の角部を図示のように差し込み、シリコン微小粒1がほぼ垂直となるように配列する。シリコン微小粒1は、直径1mmのティアドロップ型のシリコン微小粒であり、その表面にシリコン酸化膜及び反射防止膜を順次順次有している。
【0089】
支持体4は、紫外線透過可能な材料からなり、本図では、厚さ2mmの石英ガラス製のガラスプレートを使用している。支持体4の下面(シリコン微小粒保持面)には、シリコン微小粒の配置位置に対応する領域を覆うように両面粘着テープ41が貼付されている。また、支持体4の両端には、(転写用スペーサー)42が固定されている。スペーサー42の高さは、支持体4を配列板43の上方に載置したときに、その配列板43上に配置されているシリコン微小粒1の球部の球頂からの距離が0.1mm程度となる大きさである。
【0090】
次いで、図11(B)に示すように、配列板43及び支持体4を、それらの2つ以上の辺を直角が出ている位置合わせ用治具45を使用して重ね合わせる。その後、配列板43、支持体4及び位置合わせ用治具45に位置関係を保持したまま、図11(C)に示すように上下を反転させる。結果、配列板43の細孔44に差し込まれていたシリコン微小粒1が重力によって落下し、支持体4上の両面粘着テープ41によって受理され、安定に固定される。
【0091】
シリコン微小粒1を支持体4上に固定した後、図11(D)に示すように配列板43から支持体4を取り出し、その後、図11(E)に示すように、支持体4のスペーサー42を硬化用スペーサー3と交換する。このようにして、すべてのシリコン微小粒1を両面粘着テープ41の面を同一として配置し、保持した支持体4が得られる。
【0092】
反転配向方式
反転配向方式では、通常配向方式で使用した配列板を使用しない。すなわち、それぞれのシリコン微小粒を支持体(紫外線透過性の板状の部材からなる;シリコン微小粒を一時的に保持した後、転写するために用いられるので、転写板とも呼ばれる)に保持したまま、引き続く樹脂封止工程に使用する。以下、この反転配向方式を、図12を参照して説明する。
【0093】
まず、図12(A)に示すように、細孔11及び固定用スペーサー3を備えた支持体4を用意する。支持体4は、紫外線透過可能な材料からなり、本図では、厚さ1mmの石英ガラス製のガラスプレートを使用している。細孔11は、直径0.7mm、ピッチ2mmで千鳥状に配置されている。細孔11の孔開けは、レーザー加工(アイオーレーザー)によって実施した。
【0094】
次いで、図12(B)に示すように、支持体4の細孔11にグリース46を薄く塗った後、細孔11にのみグリース46が残るようにきれいに拭き取る。グリースとしては、例えば、高真空用シリコーングリース(東レ&ダウコーニング社製)を使用することができる。
【0095】
グリースの充填が完了した後、図12(C)に示すように、支持体4の細孔11にシリコン微小粒1の角部を差し込み、グリース46で固定する。すべてのシリコン微小粒1をそれらの球部を上に向けて配置し、保持した支持体4が得られる。
【0096】
上記した通常配向方式及び反転配向方式において、それぞれ、角部又は球部が上方を向いたシリコン微小粒1を備えた支持体4が得られる。これらの支持体4を使用して、以下に図13に示すようにしてシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造することができる。なお、以下の説明では特に通常配向方式に由来する支持体4を参照してシリコン微小粒−レンズ複合構造体の製造を使用するが、反転配向方式に由来する支持体4を使用しても、同様な手順でシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造することができる。
【0097】
まず、図13(A)に示すように、図11(E)を参照して先に説明したシリコン微小粒1付きの支持体4を用意する。
【0098】
次いで、図13(B)に示すように、網状部材2を用意する。本図で使用した網状部材2は、正六角形の開口(網目)をパンチングにより打ち抜いたアルミニウム製のネット(アルミニウム材:A1050、厚さ0.2mm、線幅0.18mm)である。また、網状部材2は、支持体1に所定の間隔をあけて固定するため、スペーサー13(ここでは、プラスチック部材を使用)を備えている。
【0099】
次いで、支持体4の表面において、スペーサー13を貼付する部位に両面粘着テープ41を貼付し、その部位に網状部材2を固定する。網状部材2は、そのそれぞれの網目の中央にシリコン微小粒1が位置するように、支持体4に配置し、固定する。これにより、図13(C)に示すように、網状部材2とシリコン微小粒1が接触されることなく支持体4上に配置され、固定される。
【0100】
上記のようにして網状部材2とシリコン微小粒1付きの支持体4を一体化した後、得られた一体化物を、図13(D)に示すシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型(レンズ型)21と位置合わせし、重ね合わせる。金型21は、図示される通り、目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法をもった凹部を備えたもので、ステンレス鋼の切削加工によって形成されたものである。金型21の樹脂注加面にはフッ素系の離型材の吹き付けにより離型処理が施されている。また、金型21の外周部には、液体樹脂が周囲に漏れないようにするため、樹脂液溜めのためのプラスチック枠22が両面接着テープで取り付けられている。金型21には必要な量の液体の封止樹脂5を注加しておく。なお、ここで使用している封止樹脂5は、紫外線硬化性の液状樹脂である。
【0101】
支持体4と金型21の位置合わせに当たっては、例えば、金型21を位置調整用治具(図示せず)に2辺以上を接して固定し、さらに支持体4を位置調整用治具に2辺以上をあわせた状態で、下方に配置された金型21へ向けて支持体4のスペーサー3が当接するまで支持体4を降下させる。これにより、液体の樹脂5の液面が隣接したシリコン微小粒1の間に自然形成される。
【0102】
上記のようにして支持体4、金型21及び位置調整用治具を配置した後、その位置関係を保持したまま紫外線照射装置に導入し、図13(E)に示すようにして紫外線(hυ)を照射する。結果、液状樹脂5が硬化し、図13(F)に示すように、シリコン微小粒1の角部がレンズ面に向いている配向で、かつシリコン微小粒1の一部が樹脂5に埋まったシリコン微小粒−レンズ複合構造体20が得られる。
【0103】
さらに、本発明は、それぞれの表面にp電極及びn電極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法にある。本発明の太陽電池を製造する方法は、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を順次実施することによって有利に実施することができる。
【0104】
図14は、本発明による太陽電池の製造方法の好ましい一態様を順を追って示したものである。なお、本図では、説明の簡略化のために半導体微小粒−レンズ複合構造体が完成した時点から出発するが、ここで使用した半導体微小粒−レンズ複合構造体は、図9においてその製造方法を説明したものであり、したがって、半導体微小粒は、約1mmの直径を有するシリコン微小粒である。
【0105】
最初に、図10に示した手法でシリコン微小粒−レンズ複合構造体10を作製した後、希フッ酸を主とした酸で表面の反射防止膜である酸化チタン膜と、保護膜の酸化シリコン膜を除去し、n層Siを露出させる。次いで、図14(A)に示すように、複合構造体10の半球状レンズ体(集光レンズ)15とは反対側の面に電極材料(例えば、ニッケル、銀等)を全面的に堆積する。堆積方法としては、例えば真空蒸着が用いられる。また、堆積は、マスキングを行うことにより、2回以上の回数に分けて行う場合がある。例えば、ニッケル(Ni)を理想的にはシリコン微小粒上のみに30nmの膜厚で蒸着した後、銀を樹脂表面も含めた全面に2μmの膜厚で蒸着させる。これにより、反射面の反射特性を向上させることが可能となる。結果、シリコン微小粒1の露出面と封止樹脂の放物線状メニスカスを被覆した、n電極を兼ねる反射膜31が約2μmの膜厚で得られる。
【0106】
反射膜31の形成後、図14(B)に示すように、反射膜31の上に保護層32を形成する。保護層32は、例えばエポキシ樹脂の溶液を一面に塗布し、硬化させることによって形成する。得られる保護層32の膜厚は、最も厚いところで、約350μmである。
【0107】
次いで、図14(C)に示すように、シリコン微小粒1の上面において、すでに被覆してある反射膜31及びその上の保護層32を選択的に除去する。これらの層の除去には、例えばサンドブラスト及びエッチングを用いることができる。結果、n電極層が除去され、シリコン微小粒1の表面のp型Si層が露出する。
【0108】
引き続いて、図14(D)に示すように、保護層32と、保護層32によって被覆されていないシリコン微小粒1の上面のすべての上に絶縁層33を形成する。絶縁層33は、例えばエポキシ樹脂の溶液を一面に塗布し、硬化させることによって形成する。絶縁層33は、平坦化層の役割も果たすので、得られる太陽電池の裏面が平面となるような膜厚で形成する。得られる絶縁層33の膜厚は、約100μmである。
【0109】
絶縁層33の形成後、図14(E)に示すように、シリコン微小粒1の上面を例えば化学的機械的研磨法(CMP)で裏面研磨し、先の工程で堆積させた絶縁層33を選択的に除去する。結果、シリコン微小粒1の表面のp型Si層が再び露出する。
【0110】
以上の一連の処理を完了した後、図14(F)に示すように、作製途中の太陽電池の裏面全体にアルミニウムを真空蒸着し、約1μmの膜厚のp電極層を形成する。よって、図8を参照して先に説明したような構成のシリコン太陽電池30が得られる。
【実施例1】
【0111】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0112】
実施例1
溶融したシリコンを15m程度の高さからアルゴン雰囲気中を自由落下させ、直径1mmのティアドロップ型のシリコン微小粒(球状シリコン結晶)を作製した。次いで、得られたシリコン微小粒の表面にリン拡散によりn層を形成し、さらにその上にシリコン酸化膜及び反射防止膜を順次形成した。
【0113】
また、厚さ1mmの石英ガラス製のガラスプレート(商品名「SK1300」;住金セラミックス社製)を用意し、その片面に直径0.7mmの細孔を千鳥状にピッチ2mmで形成した。孔開けは、レーザー加工(アイオーレーザー)によって実施した。また、シリコン微小粒による太陽電池を透明UV硬化性樹脂で封止する際、端子形成をするため、シリコン微小粒の一部を露出させた状態で注型しなければならないので、細孔は、シリコン微小粒をその直径の約2倍のピッチで平面上に細密充填できるようなパターンで形成した。次いで、ガラスプレートの細孔に高真空用シリコーングリース(東レ&ダウコーニング社製)を埋め込んだ。
【0114】
さらに、網状部材として使用するため、それぞれ正六角形の開口をもった下記の2種類のメタルネットを作製した(図3を参照)。
(1)アルミニウムネット
アルミニウム材(A1050)、厚さ0.2mm、線幅0.18mm、パンチングによる打ち抜き処理で、正六角形の開口をもったハニカム構造を形成。
(2)銅ネット
銅材(C1100−1/4H)、厚さ0.2mm、線幅0.18mm、エッチング処理により正六角形の開口をもったハニカム構造を形成した後、光沢銀めっき処理。
【0115】
上記のようにしてシリコン微小粒、ガラスプレート及びアルミニウム製及び銅製のネットを用意した後、ガラスプレートのそれぞれの孔にシリコン微小粒の角の部分を差し込んだ。細孔にシリコーングリースが詰め込まれているため、ガラスプレートにそれぞれのシリコン微小粒が保持された。
【0116】
次いで、アルミニウム製のネット又は銅製のネットを両面粘着テープでガラスプレートに貼り付け、固定した。この固定作業の際、ネットの六角形の目がシリコン微小粒の一つ一つに非接触で収まるようにネットをセットした。
【0117】
上記のようにしてガラス微小粒及びネットをガラスプレートに仮固定した後、別に作製しておいたシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型(昭和精工社製)の凹部に必要な量の液状封止樹脂を注加した。ここで使用した金型は、ステンレス鋼製で、レンズ部に相当する球形部は、半径1.2mmの半球形凹部をピッチ2mmで千鳥状に配列したものであり、予め離型剤(商品名「フッソガードFC−109」、ファインケミカルジャパン社製)を塗ったものである。また、ここで使用した液状封止樹脂は、紫外線硬化性のアクリル樹脂(商品名「EXT055−5」、「LCR0631SC2」及び「LCR0632UV」;いずれも東亞合成社製)であった。
【0118】
引き続いて、金型とガラスプレートの位置合わせを行った後、位置にずれが生じないように注意を払いながら、ガラスプレートをその下方の金型に向けて降ろしていった。液状アクリル樹脂の液面にシリコン微粒子が接した後も、テンションをかけながらガラスプレートを降下させ続け、設定した深さに達したところでガラスプレートの降下を停止した。図4を参照して先に説明したように、液状アクリル樹脂の自由界面がシリコン微小粒とネットの間に形成された。
【0119】
その後、ガラスプレートを載置した金型を紫外線照射装置(商品名「ECS301−G1」、アイグラフィック社製)にセットし、ガラスプレートの側から紫外線を照射し、液状アクリル樹脂を硬化させた。硬化条件は、紫外線積算光量3〜6J/cm2であった。
【0120】
ガラスプレート及びスペーサー3を取り外し、さらに得られた成形物を金型から取り出したところ、図5に示すような断面プロファイルをもったシリコン微小粒−レンズ複合構造体が得られた。得られたシリコン微小粒−レンズ複合構造体において、放物線状メニスカス16の頂点pからシリコン微小粒1の上端までの距離hは、500μmであり、深い凹部が形成されていることが確認された。また、この複合構造体において、ネットの状態をレンズの側から観察したところ、ネットそのものの存在を確認することができなかった。すなわち、この現象をもって、ネットで反射した光は、外部に出ることなく、内部に向かって有効に働いていることが裏づけられた。さらに、アルミニウム製あるいは銅製のネットに電流を通すことで、発電ロスを効果的に低下させえたことも確認できた。
【0121】
〔評価試験〕
本例において作製したシリコン微小粒−レンズ複合構造体から図9を参照して先に説明した構成の太陽電池を作製した。
【0122】
次いで、シリコン微小粒近傍における入射光の挙動を市販の光学シミュレーター(Light Tools,ver5.0.0;サイバネットシステム)を使用して下記の条件でシミュレートしたところ、図15に示す結果が得られた。
【0123】
レンズ半径:1.2mm
シリコン球:真球(半径0.5mm)
シリコン球の中心間距離(ピッチ):2.0mm
レンズ部分樹脂屈折率:1.46(単一波長照射につき、固定)
レンズ面曲率円中心とシリコン球中心との距離(オフセット):0.26mm
シリコン表面での樹脂境界線(電極形成線):シリコンボトム頂点より0.2mm
照射光線波長:550nm
光源:並行入射を再現するために平面光源を使用;面からの照射は、均一であり、放射密度一定である。
なお、実際の太陽電池は、レンズ−シリコン球構造体セルが多数集合して構成されるため、この中の不特定の1個をシミュレーションに供した。
【0124】
ここで、入射光がレンズ面に垂直に入射するときの角度を0°として、入射角30°で光線を入射させたところ、放物線状メニスカスで反射された光線の多くの量がそのままシリコン微小粒に入射し得ることが確認された。また、この結果から、入射角30°のときに光の有効利用率は、下記の比較例1を100とすると、本例の有効利用率は221であった。入射角が0°から80°で10°刻みで計算を行い、それらを積算した場合でも、下記の比較例1を100として、本例の光の有効利用率は161であることが確認された。
【0125】
また、得られた太陽電池において、シリコン微小粒の球頂から封止樹脂(アクリル樹脂:EXT055−5)の液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図17に示すグラフが得られた。なお、本試験では、0.2mmのアルミニウムネットを使用している。また、図17には、比較のため、比較例1の結果も併記されている。実施例1の結果と比較例1の結果を比較するに、実施例1(ネットあり)の場合、シリコン微小粒のタッチダウンから露出位置(未付着層厚)が一定となるのに対して、比較例1(ネットなし)の場合、沈み込みの量が変化している。この変化の大きさは、環境に大きく影響されるので、ネット使用のほうが安定に液面をコントロールできることがわかる。
【0126】
さらに、同じ太陽電池において、ネットの高さと封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図18に示すグラフが得られた。図示の結果から理解されるように、ネットを使用した場合の露出位置コントロールは、ネット配置位置の調整によって容易に可能であり、また、ネットの高さと露出高さの間には相関関係がある。
【0127】
比較例1
上記実施例1の記載を繰り返したが、本例の場合、比較のため、アルミニウム製又は銅製のネットの使用を省略した。得られた成形物を金型から取り出したところ、図7に示すような断面プロファイルをもったシリコン微小粒−レンズ複合構造体が得られた。得られたシリコン微小粒−レンズ複合構造体において、実施例1で確認できたような放物線状メニスカスは存在せず、深さ約250μmの浅い凹部が形成されていることが確認された。
【0128】
〔評価試験〕
本例において作製したシリコン微小粒−レンズ複合構造体から図9を参照して先に説明した構成の太陽電池を作製した。
【0129】
次いで、同一の太陽電池について、実施例1と同様な手法によって光学シミュレーターによる受光量評価を行ったところ、図16に示す結果が得られた。得られた結果から、ネットを使用しない場合、非メニスカス状の液面で反射された光線は、レンズ体内を繰り返し反射し、ごく少量の光線のみが半導体微小粒に入射し、また、一部の光線がレンズ体から出射することが確認された。
【0130】
また、得られた太陽電池において、半導体微小粒の球頂から封止樹脂液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図17に示すグラフが得られた。図17を参照して先に説明したように、本例の場合、好ましくないことに沈み込みの量が変化していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明による半導体微小粒構造体の好ましい一形態を示した断面図である。
【図2】本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の好ましい一形態を示した断面図である。
【図3】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において用いられる網状部材の一例を示した拡大写真である。
【図4】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、網状部材の開口部に半導体微小粒が非接触で配置された状態を示した拡大写真である。
【図5】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒近傍における封止樹脂の液面プロファイルを示した断面図である。
【図6】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。
【図7】比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒近傍における封止樹脂の液面プロファイルを示した断面図である。
【図8】比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。
【図9】本発明による太陽電池(部分)の好ましい一形態を示した断面図である。
【図10】本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図11】本発明による半導体微小粒構造体の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図12】本発明による半導体微小粒構造体の製造方法のもう1つの例を順を追って示した断面図である。
【図13】図11の方法で製造した半導体微小粒構造体を使用して本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を製造する方法を順を追って示した断面図である。
【図14】本発明による太陽電池の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図15】本発明の太陽電池において、半導体微小粒近傍における入射光の挙動をシミュレートした結果を示す光線図である。
【図16】比較のために網状部材を使用しないで作製した太陽電池において、半導体微小粒近傍における入射光の挙動をシミュレートした結果を示す光線図である。
【図17】本発明の太陽電池において、半導体微小粒の球頂から封止樹脂液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたグラフである。
【図18】本発明の太陽電池において、網状部材の高さと封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたグラフである。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体微小粒
2 網状部材
3 スペーサー
4 支持体
5 封止部材
10 半導体微小粒構造体
12 開口部
13 接合材
15 半球状レンズ体
16 放物線状メニスカス
20 半導体微小粒−レンズ複合構造体
21 金型
30 太陽電池
31 反射膜
32 保護層
33 絶縁層
34 電極層
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術と樹脂封止技術に関し、さらに詳しく述べると、半導体装置の製造に有用な半導体微小粒構造体及び半導体微小粒−レンズ複合構造体と、これらの構造体を使用した、例えば太陽電池などの半導体装置に関する。本発明はまた、半導体微小粒−レンズ複合構造体などの製造に有用な樹脂封止方法、及びかかる樹脂封止方法を利用した太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、球状で微細な半導体を使用して小型で高性能な半導体装置を製造する方法が提案されている。そのような半導体装置の典型例は、太陽電池であり、例えば、特許文献1は、それぞれp型及びn型領域を有する半導体塊の複数個をp型及びn型領域と接触する糸状の導体を横糸とし、不良導体を縦糸として構成された布様基体で固定し、モジュール化したことを特徴とする粒状太陽電池とその製造方法を記載している。
【0003】
また、特許文献2は、複数の球状半導体セルが網目状の導電性部材の網目に填り込んで整列した状態に載置され、各球状半導体セルと、網目状の導電性部材が導電性ペーストで接着され、さらに球状半導体セルの受光面が反射防止膜により覆われていることを特徴とする太陽電池とその製造方法を記載している。
【0004】
さらに、特許文献3は、支持体に形成された複数の凹部にそれぞれ球形のシリコンからなる光電変換素子を配置し、凹部の内面の反射光を光電変換素子に照射することを特徴とする光発電装置を記載している。
【0005】
さらにまた、非特許文献1及び特許文献4には、ほぼ球面形状に形成された半導体材料と、この半導体材料の外部表面に設けられた少なくとも1つの電気回路とからなる球面形状半導体集積回路とその製造方法を記載している。
【0006】
【特許文献1】特開平9−162434号公報(特許請求の範囲、図2)
【特許文献2】特開2001−267609号公報(特許請求の範囲、図6)
【特許文献3】特開2002−164554号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】特表2001−501779号公報(特許請求の範囲、図25)
【非特許文献1】ボールセミコンダクター社の挑戦、「エレクトロニクス実装技術」、Vol.17、No.8−10.、2001年8〜10月、株式会社技術調査会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、多数の球状半導体粒子の使用に基づいた太陽電池やその他の半導体装置は、すでに公知である。しかしながら、平面状に並べられた多数の微細な球状半導体粒子を液状の封止樹脂で注型して一つの構造体を作る手法については、未解決な問題が多い。具体的には、何らかの理由により(例えば、それぞれの半導体粒子に電気的な端子を形成するため)、それらの半導体粒子の上面が封止樹脂の液面からわずかに出た状態となるように、封止樹脂を注型して硬化させる必要が生じる場合がある。その時、主として、封止樹脂と半導体粒子との間の濡れ性及び封止樹脂の表面張力に応じてそれぞれの半導体粒子の上面に這い上がってくる封止樹脂の高さが定まり、また、隣り合う半導体粒子間の距離が定まれば、その半導体素子間の樹脂液面の高さも定まるが、このような自然に形成された液状封止樹脂の界面形状は、例えば注型時の温度、湿度、半導体粒子の形状、半導体粒子の表面状態のばらつきなどのファクターの影響を受けやすく、また、それぞれの半導体粒子が近接して配置された場合、半導体粒子間の液状封止樹脂の界面は高い位置に形成され、かつ、その谷間は浅いものとなる。すなわち、上記のような液状界面を自然形成に任せる限り、封止樹脂がその樹脂の表面張力により半導体粒子の上面に這い上がってしまうという不具合が生じ、封止樹脂の上面が上昇し、浅い凹部しか形成できない。また、樹脂封止工程は注型時の温度、粘度、ロットなどのばらつきの影響を受けやすいので、半導体粒子間の封止樹脂の谷間を深く安定に形成することは不可能である。もしも半導体粒子間において封止樹脂の深い谷間を形成できると、後工程で封止樹脂の上面全体に光反射膜を被覆することで、封止樹脂側から入射した光を光反射膜で効率よく反射させることができ、したがって、得られる半導体粒子構造体を太陽電池の製造に使用した場合、太陽電池の発光効率を高めることができる。
【0008】
本発明の目的は、したがって、複数個の粒子状半導体などを液状の封止樹脂で封止する際に半導体間において封止樹脂の深い谷間を形成できる半導体封止方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、そのような半導体封止方法の実施において半導体を一括して封止でき、取扱い性がよく、半導体装置の製造時の歩留まりもよい封止補助部材を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明は、半導体間において封止樹脂の深い谷間を備えた半導体封止構造体、そしてかかる半導体封止構造体を使用した光反射効率に優れた太陽電池やその他の半導体装置を提供することにある。
【0011】
さらにまた、本発明は、光反射効率に優れた太陽電池を正確かつ簡単に歩留まりよく製造できる方法を提供することにある。
【0012】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、その1つの面において、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、
網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材と、
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒構造体にある。
【0014】
また、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による半導体微小粒構造体と、
前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び前記網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材であって、
半導体微小粒構造体に含まれる半導体微小粒の第1の領域を所定の厚さで封止して半球状レンズ体を構成し、
前記半導体微小粒の前記第1の領域とは反対側の第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面が露出しておりかつ相隣れる前記半導体微小粒の間において、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスが前記樹脂の表面張力により形成されている封止部材と
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒−レンズ複合構造体にある。
【0015】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体を1構成要素として含んでなることを特徴とする太陽電池やその他の半導体装置にある。
【0016】
さらにまた、本発明は、そのもう1つの面において、複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること
を含んでなることを特徴とする樹脂封止方法にある。
【0017】
さらに加えて、本発明は、それぞれの表面にp極及びn極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を含んでなることを特徴とする太陽電池の製造方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、複数個の半導体微小粒を液状の封止樹脂で封止する際に、封止樹脂の液面形状の管理ができるので、半導体微小粒間において封止樹脂の深い谷間を安定に形成することができ、また、半導体微小粒を一括して手早くかつ確実に樹脂封止することができる。また、本発明で使用する封止樹脂を透明な例えば熱硬化性樹脂もしくは光硬化性樹脂から構成することで、液体の状態で樹脂を使用し、その後で熱あるいは光の適用により容易に硬化させることができるので、半導体封止を容易に実施することができる。また、得られる樹脂封止体に対して良好な光透過特性を付与することができるので、太陽電池を含めた各種の半導体装置の製造に有利に利用することができる。実際、取扱い性のよい本発明の半導体微小粒構造体を使用すると、半導体装置を簡単かつ確実に、歩留まりよく製造することができる。
【0019】
さらに具体的に説明すると、半導体微小粒間の谷間の封止樹脂の液面を深い状態で形成することが可能である。また、この界面、即ちメニスカスを自在にコントロールすることで、目的にあった深い谷間を安定的に光の入射が可能なように形成できる。このことにより、後工程で硬化後の樹脂表面に例えば銀の蒸着などによって光反射膜を形成すれば、個別の半導体微小粒にとって極めて効率の良い光反射形状を与えることができる。
【0020】
また、網状部材は、それを導電性材料から形成したとき、電流を効率よく流すことができるので、例えば光反射膜を金属蒸着によって形成する場合、金属蒸着面と導電性網状部材との並列接続の結果、電力ロスを低下させることができる。
【0021】
さらに、液状封止樹脂の表面の制御を網状部材の網目の単位で制限できるため、大面積化する際、半導体微小粒の形状及び位置の不良があったとしても、その不良が得られる結果などに波及することがない。
【0022】
さらにまた、半導体微小粒−レンズ複合構造体は、それに封じ込められている網状部材が補強材の役割を果たすので、丈夫であり、これを使用した太陽電池やその他の半導体装置の機械的強度を高めることができる。また、網状部材をフレキシブルな材料から形成した場合には、三次元曲面追従性をもった半導体微小粒−レンズ複合構造体をいろいろな形状に変形して使用することもできる。
【0023】
また、網状部材にアルミニウムめっきや銀めっきを施して光反射率の高い光反射膜を形成するか鏡面処理などを施した場合、網状部材自体に由来する光反射率の高さから、封止樹脂に入射した光を有効に取り込み、半導体微小粒に集束させ、光変換効率を高めることができる。
【0024】
さらに、網状部材において、少なくともその開口部の開口パターンを変更するかもしくは表面処理を施すことによって液状封止樹脂の濡れ性を改良した場合、封止樹脂において形成されるメニスカス(凹部)の深さを増大させ、光反射効率を最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明による半導体微小粒構造体、半導体微小粒−レンズ複合構造体、半導体装置、樹脂封止方法及び太陽電池の製造方法は、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明をその好ましい実施の形態を添付の図面を参照して説明するが、本発明は、下記の形態に限定されるものではない。
【0026】
本発明は、第1に、複数個の半導体微小粒を備えた半導体微小粒構造体にある。本発明の半導体微小粒構造体は、平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材とを含んでなることを特徴とする。ここで、「微小粒」とは、以下において説明するように、球体もしくはそれに類似する断面形状をもった微細な粒子や粉体などを意味する。
【0027】
本発明の半導体微小粒構造体は、各種の半導体装置の製造において有利に使用することができる。本発明の実施に好適な半導体装置の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、太陽電池、発光ダイオード、光学センサーなどを挙げることができる。すなわち、本発明の半導体微小粒構造体は、それを樹脂で封止して半導体微小粒−レンズ複合構造体の形態となした後、これらの半導体装置の製造に使用することができる。なお、本発明の半導体微小粒構造体は、かかる用途に鑑みて、「半導体装置前駆体(特に、第1の半導体装置前駆体)」と呼ぶこともできる。
【0028】
図1は、本発明による半導体微小粒構造体の好ましい一形態を示した断面図である。図示の半導体微小粒構造体は、特にシリコン微小粒を使用した太陽電池の製造に用いることができる。半導体微小粒構造体10は、図では簡略化のために3個の半導体微小粒1が示されているが、通常、より多数の半導体微小粒1を備えている。半導体微小粒1は、図示されるようにほぼ球形であるが、図示の形態に限定されるものではない。特に製造条件などに依存するものであるが、半導体微小粒1は、さらに変形していてもよく、角部が備わっていてもよく、あるいはティアドロップの形などであってもよい。なお、図示の半導体微小粒1は、その外周を取り囲む薄膜の層が示されるが、これは、シリコン太陽電池の製造を予定しているので、すでに形成されているn型半導体層を表している。すなわち、このn型半導体層と、半導体微小粒1のコア部を構成するp型半導体層とでpn接合が構成されている。
【0029】
半導体微小粒1は、図3の写真から理解されるように、太陽電池において一般的に実施されているように、平面状に所定の間隔で配置されている。半導体微小粒1の数は、微小粒の大きさ、集光倍率及び太陽電池の大きさによって決定されるが、通常、約1〜250万個の範囲であり、好ましくは、約1〜7万個の範囲である。一例を示すと、半導体装置が光学センサーなどの場合、半導体微小粒1の数は、通常、1個である。また、太陽電池において、それに使用する半導体微小粒1の直径が0.5mm、集光倍率が4倍、そして太陽電池のパネルの大きさが1m×2mであるとき、半導体微小粒1の数は、例えば、250万個前後である。さらに、半導体微小粒1の直径が1.0mm、集光倍率が4.4倍、そして太陽電池のパネルの大きさが50cm×50cmであるとき、半導体微小粒1の数は、例えば、7万個前後である。
【0030】
それぞれの半導体微小粒1は、半導体装置の製造に使用するまでそれらを安定に保持するため、仮止めのための支持体(配置板ともいう)4によって担持されている。仮止めには、接着剤等の粘着材料が有利に用いられる。なお、支持体(配置板ともいう)4は、半導体微小粒構造体10から半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製する際に治具として使用するため、スペーサー3を備えている。
【0031】
本発明の半導体微小粒構造体10は、半導体微小粒1に組み合わせて網状部材2を備えている。網状部材2は、通常、シートあるいはプレートの形をしており、取扱い性及び加工性の便宜などのため、好ましくはフレキシブルである。また、網状部材2は、上記した半導体微小粒1を樹脂封止して本発明に特有の放物線状メニスカス(隣接した半導体微小粒1の間に形成された、封止樹脂からなる深さをもった凹部)を形成するため、複数個の半導体微小粒1のそれぞれを取り込むための開口部12を有している。開口部12は、半導体微小粒1の配列パターンに対応して、例えば図3に示すように、網目状に配置されることが好ましい。図示されるように、それぞれの開口部12に半導体微小粒1を、それらの半導体微小粒1のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置することができる。特に、本発明の半導体微小粒構造体10では、半導体微小粒1が網状部材2に接触していないことが肝要である。
【0032】
網状部材2は、半導体微小粒1と同様に、半導体装置の製造に使用するまでそれら部材を安定に保持し、かつ半導体微小粒との間の距離が変動しないようにするため、支持体4に仮止めされている。この場合の仮止め手段13は、特に限定されるものではない。例えば、所定の厚さを確保するため、両面粘着テープを有利に使用することができるが、必要であれば、所定の厚さをもったスペーサーやその他の部材を使用してもよい。
【0033】
網状部材2は、必要に応じて、仮止めしないで使用することもできる。例えば、網状部材2を可動に構成してもよく、そのような場合には、半導体微小粒が液状封止樹脂の適当な位置まで浸漬された後、網状部材を液面に当接させて押し下げることにより、所定の位置に液面を下げることが可能である。
【0034】
続いて、本発明の半導体微小粒構造体の構成をさらに詳細に説明する。
【0035】
半導体微小粒
半導体微小粒は、その最終的な用途に応じて、いろいろな半導体材料から、いろいろな形状及び寸法で形成することができる。まず、半導体材料としては、通常、シリコン(Si)が使用されるが、必要ならば、その他の材料であってもよい。適当な半導体材料として、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムアルミニウム砒素(GaAlAs)等の化合物半導体などを挙げることができる。
【0036】
半導体微小粒は、通常、球形もしくはほぼ球形の形であるか、さもなければ、変形した球体の形である。半導体微小粒の適当な形態として、以下に列挙するものに限定されないが、真球、歪んだ真球、ティアドロップなどの微小粒やこれらの微小粒に例えば金平糖の如く微細な突起物がさらに備わった微小粒を挙げることができる。また、半導体微小粒の特別な形態として、立方体、直方体などの微小粒も挙げることができる。本発明者の知見によると、加工性や得られる光学特性などの面から、ティアドロップの半導体微小粒が特に好適である。
【0037】
半導体微小粒は、いろいろな寸法で使用することができる。半導体微小粒の寸法は、球体の平均直径でみた場合に、通常、約0.2〜3.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.8〜1.1mmの範囲である。最近における半導体製造技術及び加工技術の進歩に併せて、必要ならば、より微細な半導体微小粒を使用してもよい。なお、半導体微小粒構造体の製造において、それぞれの半導体微小粒は、ほぼ同一の形状及び寸法を有していることが好ましい。
【0038】
半導体微小粒は、半導体微小粒の製造に常用されている各種の製造方法を利用して製造することができる。適当な半導体製造法は、例えば、溶融された半導体材料を重力によって自由落下させ、落下途中で微小粒を形成する方法である。この方法は、実施が簡単であり、装置が複雑でなく、しかも原理的にカットロスがない。具体的に述べると、この方法は、例えば、半導体材料(例えばシリコン)を溶融炉の坩堝で溶融させた後、その溶融半導体材料を予め定められた高さ(例えば、微小粒回収面から約10〜15mの高さ)から重力によって自由落下させることによって製造することができる。自由落下工程は、例えば、アルゴンのような不活性ガスの雰囲気下、溶融半導体材料を加圧下にノズルから高速で滴下することによって有利に実施することができる。溶融半導体材料は、自由落下中に表面張力で球形化し、さらには固化せしめられる。よって、最終的には所望とする形状及び寸法を備えた高品質の半導体微小粒が得られる。なお、好ましいことに、本発明の実施に当っては、このようにして得られた半導体微小粒は、煩雑な機械的研磨加工を施すことなく使用することができる。すなわち、半導体微小粒は、通常、製造されたままのものであり、それに研磨加工や成形加工などを施さなくてもよい。
【0039】
半導体微小粒は、それを製造した後、最終の使用目的などに応じて、任意の表面処理を施し、後段の工程の便を図ることができる。例えば、半導体微小粒がシリコン微小粒であり、太陽電池の製造に使用する場合、シリコン微小粒の表面にリン拡散によりn層を形成し、同時にpn接合が形成する。さらに、水素と窒素の混合ガスにより、結晶粒界の不純物を不活性化してから、シリコン酸化膜を形成する。最後に、シリコン酸化膜の上に酸化チタン膜や窒化シリコン膜などを反射防止膜として形成する。
【0040】
好ましい1態様を参照してさらに具体的に説明すると、半導体微小粒がシリコン微小粒であり、太陽電池の製造に使用する場合、シリコン微小粒の大きさは、約1mm±0.1mm程度で、その形状はティアドロップタイプである。ティアドロップタイプのシリコン微小粒は、概ね、球に近似できる部分の1.5倍程度が角の部分も含めた全長となり、球のサイズのばらつきと同様に角の出方も長さもばらつきがあるが、本発明の実施には差し障りがない。シリコン微小粒の主体は、p型半導体層(ボロン濃度1×1016atoms/cm3)であり、これにリン拡散を行って表面から300〜400nm程度までn型半導体層を形成している。さらに水素・窒素混合ガスにより結晶粒界の不活性化(パッシベーション)処理を行った後、保護膜として酸化シリコンの薄膜を例えば約8nmの膜厚で表面に形成し、その外側に酸化チタン膜を例えば86nmの膜厚で形成する。
【0041】
網状部材
網状部材は、上記した通り、網目状に配置された複数個の開口部を有し、好ましくはネットの形状で用いられる。
【0042】
網状部材において、開口部は、好ましくは、規則的な行及び列で配置されており、かつそれぞれの開口部のほぼ中央に半導体微小粒が位置せしめられる。また、開口部は、任意の開口パターンを有することができるが、好ましくは、円形、矩形、三角形又は六角形もしくはそれよりも多角形の開口パターンである。開口部の寸法は、その開口部に半導体微小粒を非接触で配置できる限り、特に限定されるものではない。開口部の大きさ(最大径)は、通常、約1〜8mmの範囲であり、好ましくは、約1.5〜2.4mmの範囲である。
【0043】
網状部材は、通常、シート、フィルム又はプレートの形で用いられる。これらの部材の大きさは、最終用途あるいは最終製品の大きさに応じて任意に変更することができる。例えば太陽電池の場合には、網状部材の大きさは、通常、約1mm〜200cmの範囲であり、好ましくは、約1〜50cmの範囲である。特に本発明の場合、この網状部材が補強材の役割を果たすことができかつ適度のフレキシビリティも保証することができるので、より大きな網状部材を使用して、歩留まりよくかつ簡単により大型の太陽電池を提供できるという点で注目に値する。従って、上記したような網状部材の大きさは、本発明の範囲を制限するものではなく、必要に応じて、より大きな網状部材を使用することもできる。
【0044】
網状部材は、構造体の強化や放物線状メニスカスの形成といった所期の目的が達成される限り、その材料や材質に制限はない。網状部材は、液体である封止樹脂の押し上げによる変形や、封止樹脂の硬化収縮などに伴った変形を考慮した場合、それらの変形の度合いが小さくなるように、硬い材料からなるか、あるいは、厚みのある材料からなることが好ましい。通常、網状部材は、このような性質や加工性などを考慮した場合、金属材料から形成するのが有利である。また、網状部材は、特にその使用が界面制御による放物線状メニスカスの形成を目的としたものであるならば、金属材料である必要はなく、プラスチック材料やガラスなど、その他の材料も使用可能である。以下に列挙するものに限定されないが、適当な金属材料は、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀、ステンレス鋼、鉄などを包含し、また、適当なプラスチック材料は、例えばポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などを包含する。これらの材料は、そのままで使用してもよく、さもなければ、任意の表面処理が施されていてもよい。
【0045】
網状部材における開口部の加工は、任意の技法に従って行うことができる。例えば、網状部材を金属材料から形成する場合には、所定の厚さをもった金属シートなどをパンチ加工することなどによって、所望とする開口パターンをもった金属ネットを簡単に形成することができる。網状部材をプラスチック材料から形成する場合には、開口部に対応する突起部を有する金型を使用して溶融プラスチック材料を成形することによって、所望とするプラスチックネットを容易に形成することができる。
【0046】
具体的に説明すると、網状部材の開口パターンは、半導体微小粒、すなわち、得られる半球状レンズの最密充填を考慮して、例えば図3に示すように、正六角形の開口部を千鳥状に配列したハニカム構造であることが好ましい。この場合、網状部材は、ネットの形態であり、ネットの線幅は、概ね150μm程度であり、また、その厚さは、50〜200μm程度である。ネットの線幅については、液状で使用される封止樹脂の液面を押し下げるときにネットの上面を濡らさない程度の幅があればよいが、これについては、液面の押し下げ量に依存する。
【0047】
本発明の好ましい1態様において、網状部材は、例えばアルミニウムや銀のような導電性の金属材料から形成されていることが好ましい。これらの金属材料は、電気伝導が良く、イオン化したものがシリコンの特性に重大な損失をもたらさないばかりでなく、光反射の面で有効に働くためである。
【0048】
また、網状部材は、少なくともその表面に光反射性が付与されていることが好ましい。網状部材が光反射性を有することで、太陽電池やその他の半導体装置に入射した光をより効果的に反射させ、発電効率をさらに改善することができるからである。光反射性を付与するための手段は限定されず、任意の表面処理を包含することができる。適当な表面処理法は、例えば、めっきなどの光沢処理や反射処理である。例えば、銅からなる部材の表面に銀めっきの薄い皮膜を形成することで、光反射性を高めることができる。
【0049】
さらに、網状部材の側面については、特殊な処理をしない限り、フラットで鏡面に近いことが好ましい。ただし、入射光の反射にあたって指向性をもたせないようにする場合、散乱光となるように適度に荒れた面とすることも可能である。
【0050】
さらにまた、網状部材は、少なくともその開口部において、網状部材及び半導体微小粒の封止に用いられる樹脂に対する濡れ性が制御され、正の親水性と負の親水性(撥水性)の2つの性質が調和された形で付与されていることが好ましい。例えば、網状部材の側面や底面に親水性あるいは撥水性を与える処理を行うことで、網状部材と封止樹脂の間の濡れを制御することができる。この処理は、未処理の場合と比較して、網状部材の線幅を狭くするのに効果的である。なお、網状部材の線幅が広すぎる場合には、入射光路の影になる場合もあるため、線幅の上限は、例えば太陽電池のセル構造により決定されるであろう。
【0051】
支持体
上記した半導体微小粒及び網状部材は、それぞれ、本発明で配置板ともいう支持体に一時的に保持した状態で、用いられることが好ましい。換言すると、支持体は、仮止めに使用され、最終製品の中には含まれない部材であるので、任意の材料から形成することができる。通常、支持体は、半導体微小粒及び網状部材を担持したときに変形せず、取扱い性にも優れた各種の材料、例えば金属材料、プラスチック材料、ガラスやその他のセラミック材料などから平板の形で形成することができる。また、支持体は、廃棄することなく、繰り返し使用可能であることが好ましい。
【0052】
また、支持体の片面には、半導体微小粒の位置決め、固定を容易にするため、半導体微小粒を一時的に仮止めすべき位置に、浅皿状の凹部もしくはくぼみあるいは細孔を予め設けられていることが好ましく、また、この凹部等には、予めあるいは使用の直前に、半導体微小粒を仮止めするのに好適な媒体、好ましくは粘着材、例えば接着剤や粘着性ペーストが微量で含まれることが好ましい。粘着材によって、半導体微小粒から支持体を分離するまでの間、半導体微小粒を支持体上に固定することができ、半導体微小粒−レンズ複合構造体を歩留まりよく製造できるからである。
【0053】
シリコン微小粒(ここでは、ティアドロップ形のシリコン微小粒)を使用した一例を示すと、千鳥状に孔の開いた石英ガラス製の配置板を支持体として用意する。次いで、配置板の細孔にシリコン微小粒の角を入れるようにしてシリコン微小粒を配置する。配置板を逆さまにしたときにシリコン微小粒が落下しないように、配置板の細孔をうすくグリースで埋めておく。
【0054】
支持体の片面では、網状部材を仮止めするために接合材も用いられる。ここで使用する接合材は、網状部材を安定に仮止めできる限り、特に限定されるものではなく、例えば両面粘着テープやグリースなどを包含する。例えば、金属ネットを両面粘着テープにより支持体に貼り付け、固定する。
【0055】
また、スペーサーも支持体の片面で用いられる。スペーサーは、以下に詳細に説明するが、半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造において、金型により形成される半球状レンズ体の中心とシリコン微小粒の位置を光学的な条件を考慮して最適な位置決めを行う際に、正確な位置調整のために有用である。スペーサーは、他の部材と同様にいろいろな材料から形成することができるが、通常、例えばポリイミドなどのプラスチック材料から成形によって形成するのが有用である。
【0056】
本発明は、半導体微小粒構造体の他に、それを使用した半導体微小粒−レンズ複合構造体にある。半導体微小粒−レンズ複合構造体は、半導体装置の形態により接近したものであり、前記した半導体微小粒構造体を「第1の半導体装置前駆体」と呼ぶことに対応して、「第2の半導体装置前駆体」と呼ぶことができる。
【0057】
本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体は、上記したような、本発明による半導体微小粒構造体と、半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材とを含んでなることを特徴とする。半導体微小粒構造体の詳細は、前記した通りであるので、ここでの繰り返しの説明を省略する。
【0058】
図2は、図1の半導体微小粒構造体を使用した作製された本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の一例であり、よって、シリコン微小粒を使用した太陽電池の製造に用いることができる。半導体微小粒−レンズ複合構造体20は、支持体4を取り除いた後の半導体微小粒構造体10(図1を参照)の半導体微小粒1の近傍を封止部材5で所定のパターンで封止したことを特徴とする。封止部材5は、その全体で集光層を形成するとともに、半導体微小粒1の第1の領域(網状部材2よりも下方の領域)において、その半導体微小粒1の表面を所定の厚さで被覆して半球状レンズ体15を構成している。
【0059】
封止部材5は、半導体微小粒1の第1の領域とは反対側の第2の領域(網状部材2よりも上方の領域)において、太陽電池やその他の半導体装置を構成するための電極やその他の構成要素を形成するため、半導体微小粒1を被覆しないで、露出した外周面を規定している。また、封止部材5は、同じ第2の領域において、封止部材5に入射した光を反射して半導体微小粒1に集中させるための光反射体を形成するため、隣接した半導体微小粒1の間において、網状部材2あるいはその近傍に頂点pを有する放物線状メニスカス16を規定している。放物線状メニスカス16の形成は、以下において説明するように、硬化前の液状の封止樹脂の表面張力に由来している。さらに、図2においては図示しないが、第2の領域において、半導体微小粒1の外周面及び半導体微小粒1に隣接した封止部材5の表面は、それらの表面を被覆した例えば銀めっき膜などの反射膜をさらに有していることが好ましい。この反射膜によって、封止部材5に入射した光を半導体微小粒1に集中させる作用をより一層高めることができるからである。
【0060】
封止部材は、最終製品である太陽電池やその他の半導体装置において使用したときに十分に高い光透過性を示す材料からなることが好ましい。例えば、太陽電池では、この封止部材から構成されるレンズ体に外部からの光線が入射し、効率よく半導体微小粒に入射する必要があるからである。換言すると、封止部材は、高い透明性=半導体装置の動作に十分な光透過性が得られるレベルの透明度を有することが必要である。よって、封止部材は、得られる硬化物が高い透明性を示す任意の硬化性樹脂から形成することができる。また、硬化性樹脂は、その硬化のメカニズムに応じて、光硬化性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。例えば、硬化時間の短縮などを希望する場合には、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、光硬化性樹脂、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの各種変性樹脂などのUV硬化性の樹脂、あるいは例えばアクリル系樹脂などの電子線硬化性の樹脂を使用することが推奨される。一方、熱硬化性樹脂としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0061】
本発明の実施において、上述のような硬化性樹脂は、適度な粘性を有する液体であることが好ましい。硬化性樹脂は、通常、形成を目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法を有する凹部あるいはキャビティを備えた金型に注型して用いられるからである。液状の硬化性樹脂の粘度は、広い範囲で変更し得るけれども、通常、1,000P未満のものが好ましく、さらに好ましくは、40P近傍である。硬化性樹脂の粘度が高すぎると、取扱い性が低下し、脱泡などが困難になる。
【0062】
さらに加えて、硬化性樹脂は、それから形成される封止部材が密着されるべき部材、例えば半導体微小粒(例えばシリコン微小粒)のシリコンや酸化チタン膜との接着力が強いことや、シリコン微小粒への這い上がり力が大きすぎないこと、ミラー面となる表面の硬化性が十分であること、吸水率が小さいこと、線膨張係数が大きすぎないこと、硬化収縮率が大きすぎないこと、厚さが薄い状態でも脆くないこと、できればタフであること、有毒成分が存在しないこと、などが望ましい。
【0063】
図4は、本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を網状部材の側から撮影した写真であり、図示の例では、正六角形の開口を千鳥状に配列したハニカム構造をもったアルミニウム製のネットを網状部材として使用している。また、説明のため、正六角形の開口の一部には半導体微小粒(シリコン微小粒)を配列していないが、図から理解されるように、それぞれのシリコン微小粒は、開口のほぼ中央に位置しており、しかもネットとは接触していない。
【0064】
図5は、網状部材を使用して作製した本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、その半導体微小粒1の近傍における封止樹脂5の液面プロファイルを模式的に示したものであり、また、図6は、網状部材を使用して作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における実際の液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。この写真は、封止樹脂を硬化させた後にセルを切断、研磨することで封止樹脂の形状をマイクロスコープで観察した結果である。なお、図6では、セルの研削の過程で半導体微小粒から電極部分が除去されている。
【0065】
これらの図面から理解されるように、本発明に従って網状部材を使用して本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製した場合には、網状部材2の上面を頂点pとする深い凹部(放物線状メニスカス)を隣接した半導体微小粒1の間の封止樹脂5において形成することができる。ここで、半導体微小粒1の形状を、角部を除いて球に近似するとき、その直径が1mmであるとき、放物線状メニスカス16の頂点pから半導体微小粒1の上端までの距離hは、約550μm程度までとれる。また、例えば距離hが500μmであるとすると、放物線状メニスカス16の深さm、すなわち、放物線状メニスカス16の頂点pから封止樹脂5の半導体微小粒1に這い上がった上端までの距離は、約250μmである。なお、これらの数値は、放物線状メニスカスの形成(液状封止樹脂の液面の押し下げ)時、それぞれの距離をマイクロスコープを用いて、液面の押し下げ現象を真横から観察することにより測定した結果である。なお、かかる測定値は、図6の写真からも評価可能である。
【0066】
本発明によれば、上記したように、光反射に好適な深さをもった放物線状メニスカスを容易にかつ正確に、しかも多数の半導体微小粒について一括して形成することができ、さらには、得られる放物線状メニスカスのパターン及びその深さを、網状部材及び半導体微小粒の形状、構成、配置状態を変更することによって容易に制御することができる。
【0067】
図7は、本発明例である図5に対応するが、比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒1の近傍における封止樹脂5の液面プロファイルを模式的に示したものである。また、図8は、本発明例である図6に対応するが、比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。なお、図8では、写真の上側に半導体微小粒の角部がでているために露出部分が大きく観察されるが、図5及び図6の例と対比するため、図7に図示したように、半導体微小粒を直径約1mmの球体でフィッティングして寸法測定を行った。
【0068】
これらの図面から理解されるように、従来の手法に従って網状部材を使用しないで半導体微小粒−レンズ複合構造体を作製した場合には、隣接した半導体微小粒1の間の封止樹脂5の表面はごく浅い窪みしか形成することができず、本発明のように、深い凹部(放物線状メニスカス)を形成することは不可能である。実際、半導体微小粒1の直径が約1mmであるとき、封止樹脂5の液面の最下位から半導体微小粒1の上端までの距離hは、約250μmであり、また、封止樹脂5の液面の最下位から封止樹脂5の半導体微小粒1に這い上がった上端までの距離mは、約50μmである。
【0069】
また、本発明は、上記した本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を備えた半導体装置にある。本発明の半導体装置は、本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を備える限り特に限定されないが、好ましくは、例えば、太陽電池、発光ダイオード、光学センサーなどである。
【0070】
本発明の半導体装置は、さらに好ましくは、太陽電池である。本発明の太陽電池は、その主要部に本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を有し、かつ半導体微小粒のそれぞれの表面にp極及びn極が形成されている以外は、常用の太陽電池と同様な構成を有することができる。なお、太陽電池の一般的な構成等は、特許文献、技術文献などに詳細に説明されているので、ここでの説明を省略する。
【0071】
図9は、本発明による太陽電池(部分)の好ましい一形態を示した断面図である。太陽電池30は、その表面に透明な封止部材5から形成された半球状レンズ体15を備えており、上方から光(hν)が入射する。太陽電池30に入射した光は、ニッケル、銀などから蒸着によって形成された反射膜31で反射され、半導体微小粒1に集中的に集められ、発電に寄与することができる。また、太陽電池30は、保護層32、絶縁層33、電極層34を備えている。保護層32は、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂などの任意の樹脂から形成することができ、絶縁層33は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの任意の絶縁性樹脂から形成することができ、電極層34は、例えばアルミニウム、銀などの任意の導体金属から形成するかもしくは導体金属を備えた任意の素材から形成することができる。これらの層は、スパッタリング、真空蒸着などの常用の成膜技術を使用して容易に形成することができる。さらに、図面の簡略化のために省略されているが、従来の太陽電池と同様に、その他の層や部品等を備えていてもよい。例えば、半球状レンズ体15の上面(矢印で示される太陽光側)は、図示しないが、光透過性及び耐候性をもった保護シートで覆われていてもよい。
【0072】
図示のような本発明の太陽電池を使用すると、極めて効率のよい光反射形状を与えることのできる深さを持った放物線状メニスカスの形成などに由来して、半導体微小粒の受光量を顕著に高めることができ、よって、太陽電池の発光効率も顕著に高めることができる。なお、この効果については、以下に参照して説明する図15の光線図から容易に理解することができるであろう。
【0073】
さらに、本発明は、複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法にある。本発明の樹脂封止方法は、半導体微小粒を含むいろいろな構造体の製造に有利に使用することができるが、特に、上記したような本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造に有利に使用することができる。
【0074】
本発明による樹脂封止方法は、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて封止部材を形成すること
を順次実施することによって有利に実施することができる。
【0075】
上記の樹脂封止方法において、複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置する工程では、前記したように、半導体微小粒を仮止めするための支持体を使用するのが有利である。また、この支持体は、網状部材を半導体微小粒に重ね合わる際にも、網状部材の仮止め手段として有利に使用することができる。支持体は、上記の一連の工程を経て半導体微小粒−レンズ複合構造体を形成した後、取り外して、必要に応じて再使用することができる。
【0076】
また、本発明の樹脂封止方法において、硬化性樹脂は、上記したように、熱硬化性樹脂であってもよく、あるいは光硬化性樹脂であってもよい。
【0077】
さらに、樹脂接触工程においては、硬化性樹脂を含む金型に半導体微小粒構造体を押し込むことが好ましい。しかし、その他の成形法を使用するのであれば、このような手法でなくて、使用される成形法に適合した手法を任意に使用することができる。
【0078】
さらにまた、樹脂硬化工程においては、半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域を所定の厚さで封止した樹脂から形成される半球状レンズ体と、相隣れる半導体微小粒の間において樹脂の表面張力により形成された、網状部材を頂点とする放物線状メニスカスとを備えている樹脂封止部材を形成することが好ましい。
【0079】
図10は、本発明の樹脂封止方法に基づく半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造方法の好ましい一態様を順を追って示したものである。ここで、半導体微小粒−レンズ複合構造体は、特にシリコン太陽電池の製造のために設計されたものであり、したがって、半導体微小粒は、シリコン微小粒である。
【0080】
最初に、図10(A)に示すシリコン微小粒構造体10を作製する。ここで、シリコン微小粒1は、溶融したシリコンを15m程度の高さからアルゴン雰囲気中を自由落下させることで作製する。シリコン微小粒1の直径は、約1mmである。得られたシリコン微小粒1において、リン拡散によりn層を形成し、同時にnp接合を形成する。水素と窒素の混合ガスにより、結晶粒界の不純物を不活性化してから、酸化を行い、薄いシリコン酸化膜を形成し、さらに続けて酸化チタン膜を反射防止膜として形成する。
【0081】
次いで、千鳥状に孔の開いた石英ガラス製の支持体(ガラスプレート)4を用意し、それぞれの孔に先に作製したシリコン微小粒1の角の部分を差し込むようにしてシリコン微小粒1を配置する。なお、ガラスプレート4を逆さまにしたときにシリコン微小粒1が落下しないようにするため、ガラスプレート4の孔に対してグリースを薄く埋めておく。シリコン微小粒1の配置が完了した後、網状部材(正六角形の開口をもったアルミニウム製のネット)2を両面粘着テープ13によりガラスプレート4に貼り付け、固定する。ここで、ガラスプレート4のシリコン微小粒1がハニカム状のネット2の中心部にくるように位置合わせを行う。また、ネット2の固定に両面粘着テープ13を使用しているが、代わりに、接着剤やグリースを使用してもよい。また、ガラスプレート4にネット2を固定する方法に代えて、ネット2をガラスプレート4とは独立に設置することも可能である。その場合は、後段の工程で使用するシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型との配置なども考慮した治具が必要になる。なお、金型により形成される半球状レンズ体の中心とシリコン微小粒の位置は光学的な条件により最適な位置が定まるので、この位置調整のため、プラスチック製のスペーサー3もガラスプレート4に取り付ける。
【0082】
また、図10(A)に示すシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型21を作製する。金型21は、目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法をもった凹部を備えたもので、スチールのワイヤカット加工によって正確な寸法で作製することができる。次いで、金型21の樹脂注加面にフッ素系の離型材を吹き付けた後、ふき取り処理をする。金型21の離型処理を完了した後、封止樹脂を保持する枠22を金型22に取り付け、必要な量の液状封止樹脂5を注加する。ここで、液状封止樹脂5は、紫外線硬化性の樹脂である。
【0083】
引き続いて、図10(A)に示すように、直角の出ている2辺を有した治具(図示せず)に、金型21とガラスプレート4の辺をそれぞれあわせて、位置にずれが生じないようにしながら、ガラスプレート4を金型21の上に降ろしていく。液状封止樹脂5の液面にシリコン微粒子1が接した瞬間に封止樹脂5の盛り上がりが起きるが、これは、ネット2により抑制される。設定した深さまでガラスプレート4を降ろすことで、封止樹脂5の自由界面がシリコン微小粒1とネット2の間に形成されることとなる。なお、本発明の場合、金型21の上面を基準として、ガラスプレート4にスペーサー3を取り付けてあるため、液状封止樹脂5の液面制御は簡単である。
【0084】
液状封止樹脂5の液面の安定化が確認された後、図10(B)に示すように、シリコン微小粒構造体10のガラスプレート4を介して上方から紫外線(hν)を照射し、液状封止樹脂5を硬化させる。
【0085】
液状封止樹脂5の効果が確認された後、不要となったガラスプレート4をネット用のスペーサー3とともに取り外す。金型21から成形物を取り出すと、図10(C)に示すように、目的とするシリコン微小粒−レンズ複合構造体20が得られる。
【0086】
以上、図10において、半導体微小粒としてその典型例であるほぼ球形のシリコン微小粒(球状シリコン結晶)を使用してシリコン微小粒−レンズ複合構造体の製造を説明した。しかし、上記したようにシリコン微小粒はその他の形態でもよいので、以下、ティアドロップ型のシリコン微小粒を使用してシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造する方法を説明する。なお、ティアドロップ型のシリコン微小粒を使用した場合には、それぞれの微小粒に先端が尖った角形頂部(以下、「角部」という)と、それとは反対側の球面をもった底部(以下、「球部」という)とがあるので、シリコン微小粒の作製時、シリコン微小粒の角部を封止樹脂に埋め込んだ形で封止する通常配向方式と、シリコン微小粒の球部分を封止樹脂に埋め込んだ形で封止する反転配向方式の2方式を使い分けることが好ましい。なお、以下では特にシリコン微小粒を参照して本発明を説明するが、その他の半導体微小粒においても下記の方法を利用できることは言うまでもない。
【0087】
通常配向方式
通常配向方式では、配列板上にシリコン微小粒を予め配列した後、それぞれのシリコン微小粒を相方の支持体(紫外線透過性の板状の部材からなる;シリコン微小粒を一時的に保持した後、転写するために用いられるので、転写板とも呼ばれる)に一括して移動させる。得られたシリコン微小粒付きの支持体を引き続く樹脂封止工程に使用する。以下、この通常配向方方式を、図11を参照して説明する。
【0088】
まず、図11(A)に示すように、配列板43及び支持体(転写板)4を用意する。配列板43は、金属材料からなっていても、プラスチック材料からなっていてもよいが、本図では、厚さ0.5mmのステンレス鋼(SUS)シートを使用し、シリコン微小粒1の角部分を差し込み、一時的に固定するための細孔44を直径0.7mm及びピッチ2mmでレーザー加工により開孔している。それぞれの細孔44にシリコン微小粒1の角部を図示のように差し込み、シリコン微小粒1がほぼ垂直となるように配列する。シリコン微小粒1は、直径1mmのティアドロップ型のシリコン微小粒であり、その表面にシリコン酸化膜及び反射防止膜を順次順次有している。
【0089】
支持体4は、紫外線透過可能な材料からなり、本図では、厚さ2mmの石英ガラス製のガラスプレートを使用している。支持体4の下面(シリコン微小粒保持面)には、シリコン微小粒の配置位置に対応する領域を覆うように両面粘着テープ41が貼付されている。また、支持体4の両端には、(転写用スペーサー)42が固定されている。スペーサー42の高さは、支持体4を配列板43の上方に載置したときに、その配列板43上に配置されているシリコン微小粒1の球部の球頂からの距離が0.1mm程度となる大きさである。
【0090】
次いで、図11(B)に示すように、配列板43及び支持体4を、それらの2つ以上の辺を直角が出ている位置合わせ用治具45を使用して重ね合わせる。その後、配列板43、支持体4及び位置合わせ用治具45に位置関係を保持したまま、図11(C)に示すように上下を反転させる。結果、配列板43の細孔44に差し込まれていたシリコン微小粒1が重力によって落下し、支持体4上の両面粘着テープ41によって受理され、安定に固定される。
【0091】
シリコン微小粒1を支持体4上に固定した後、図11(D)に示すように配列板43から支持体4を取り出し、その後、図11(E)に示すように、支持体4のスペーサー42を硬化用スペーサー3と交換する。このようにして、すべてのシリコン微小粒1を両面粘着テープ41の面を同一として配置し、保持した支持体4が得られる。
【0092】
反転配向方式
反転配向方式では、通常配向方式で使用した配列板を使用しない。すなわち、それぞれのシリコン微小粒を支持体(紫外線透過性の板状の部材からなる;シリコン微小粒を一時的に保持した後、転写するために用いられるので、転写板とも呼ばれる)に保持したまま、引き続く樹脂封止工程に使用する。以下、この反転配向方式を、図12を参照して説明する。
【0093】
まず、図12(A)に示すように、細孔11及び固定用スペーサー3を備えた支持体4を用意する。支持体4は、紫外線透過可能な材料からなり、本図では、厚さ1mmの石英ガラス製のガラスプレートを使用している。細孔11は、直径0.7mm、ピッチ2mmで千鳥状に配置されている。細孔11の孔開けは、レーザー加工(アイオーレーザー)によって実施した。
【0094】
次いで、図12(B)に示すように、支持体4の細孔11にグリース46を薄く塗った後、細孔11にのみグリース46が残るようにきれいに拭き取る。グリースとしては、例えば、高真空用シリコーングリース(東レ&ダウコーニング社製)を使用することができる。
【0095】
グリースの充填が完了した後、図12(C)に示すように、支持体4の細孔11にシリコン微小粒1の角部を差し込み、グリース46で固定する。すべてのシリコン微小粒1をそれらの球部を上に向けて配置し、保持した支持体4が得られる。
【0096】
上記した通常配向方式及び反転配向方式において、それぞれ、角部又は球部が上方を向いたシリコン微小粒1を備えた支持体4が得られる。これらの支持体4を使用して、以下に図13に示すようにしてシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造することができる。なお、以下の説明では特に通常配向方式に由来する支持体4を参照してシリコン微小粒−レンズ複合構造体の製造を使用するが、反転配向方式に由来する支持体4を使用しても、同様な手順でシリコン微小粒−レンズ複合構造体を製造することができる。
【0097】
まず、図13(A)に示すように、図11(E)を参照して先に説明したシリコン微小粒1付きの支持体4を用意する。
【0098】
次いで、図13(B)に示すように、網状部材2を用意する。本図で使用した網状部材2は、正六角形の開口(網目)をパンチングにより打ち抜いたアルミニウム製のネット(アルミニウム材:A1050、厚さ0.2mm、線幅0.18mm)である。また、網状部材2は、支持体1に所定の間隔をあけて固定するため、スペーサー13(ここでは、プラスチック部材を使用)を備えている。
【0099】
次いで、支持体4の表面において、スペーサー13を貼付する部位に両面粘着テープ41を貼付し、その部位に網状部材2を固定する。網状部材2は、そのそれぞれの網目の中央にシリコン微小粒1が位置するように、支持体4に配置し、固定する。これにより、図13(C)に示すように、網状部材2とシリコン微小粒1が接触されることなく支持体4上に配置され、固定される。
【0100】
上記のようにして網状部材2とシリコン微小粒1付きの支持体4を一体化した後、得られた一体化物を、図13(D)に示すシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型(レンズ型)21と位置合わせし、重ね合わせる。金型21は、図示される通り、目的とする半球状レンズ体に対応する形状及び寸法をもった凹部を備えたもので、ステンレス鋼の切削加工によって形成されたものである。金型21の樹脂注加面にはフッ素系の離型材の吹き付けにより離型処理が施されている。また、金型21の外周部には、液体樹脂が周囲に漏れないようにするため、樹脂液溜めのためのプラスチック枠22が両面接着テープで取り付けられている。金型21には必要な量の液体の封止樹脂5を注加しておく。なお、ここで使用している封止樹脂5は、紫外線硬化性の液状樹脂である。
【0101】
支持体4と金型21の位置合わせに当たっては、例えば、金型21を位置調整用治具(図示せず)に2辺以上を接して固定し、さらに支持体4を位置調整用治具に2辺以上をあわせた状態で、下方に配置された金型21へ向けて支持体4のスペーサー3が当接するまで支持体4を降下させる。これにより、液体の樹脂5の液面が隣接したシリコン微小粒1の間に自然形成される。
【0102】
上記のようにして支持体4、金型21及び位置調整用治具を配置した後、その位置関係を保持したまま紫外線照射装置に導入し、図13(E)に示すようにして紫外線(hυ)を照射する。結果、液状樹脂5が硬化し、図13(F)に示すように、シリコン微小粒1の角部がレンズ面に向いている配向で、かつシリコン微小粒1の一部が樹脂5に埋まったシリコン微小粒−レンズ複合構造体20が得られる。
【0103】
さらに、本発明は、それぞれの表面にp電極及びn電極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法にある。本発明の太陽電池を製造する方法は、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を順次実施することによって有利に実施することができる。
【0104】
図14は、本発明による太陽電池の製造方法の好ましい一態様を順を追って示したものである。なお、本図では、説明の簡略化のために半導体微小粒−レンズ複合構造体が完成した時点から出発するが、ここで使用した半導体微小粒−レンズ複合構造体は、図9においてその製造方法を説明したものであり、したがって、半導体微小粒は、約1mmの直径を有するシリコン微小粒である。
【0105】
最初に、図10に示した手法でシリコン微小粒−レンズ複合構造体10を作製した後、希フッ酸を主とした酸で表面の反射防止膜である酸化チタン膜と、保護膜の酸化シリコン膜を除去し、n層Siを露出させる。次いで、図14(A)に示すように、複合構造体10の半球状レンズ体(集光レンズ)15とは反対側の面に電極材料(例えば、ニッケル、銀等)を全面的に堆積する。堆積方法としては、例えば真空蒸着が用いられる。また、堆積は、マスキングを行うことにより、2回以上の回数に分けて行う場合がある。例えば、ニッケル(Ni)を理想的にはシリコン微小粒上のみに30nmの膜厚で蒸着した後、銀を樹脂表面も含めた全面に2μmの膜厚で蒸着させる。これにより、反射面の反射特性を向上させることが可能となる。結果、シリコン微小粒1の露出面と封止樹脂の放物線状メニスカスを被覆した、n電極を兼ねる反射膜31が約2μmの膜厚で得られる。
【0106】
反射膜31の形成後、図14(B)に示すように、反射膜31の上に保護層32を形成する。保護層32は、例えばエポキシ樹脂の溶液を一面に塗布し、硬化させることによって形成する。得られる保護層32の膜厚は、最も厚いところで、約350μmである。
【0107】
次いで、図14(C)に示すように、シリコン微小粒1の上面において、すでに被覆してある反射膜31及びその上の保護層32を選択的に除去する。これらの層の除去には、例えばサンドブラスト及びエッチングを用いることができる。結果、n電極層が除去され、シリコン微小粒1の表面のp型Si層が露出する。
【0108】
引き続いて、図14(D)に示すように、保護層32と、保護層32によって被覆されていないシリコン微小粒1の上面のすべての上に絶縁層33を形成する。絶縁層33は、例えばエポキシ樹脂の溶液を一面に塗布し、硬化させることによって形成する。絶縁層33は、平坦化層の役割も果たすので、得られる太陽電池の裏面が平面となるような膜厚で形成する。得られる絶縁層33の膜厚は、約100μmである。
【0109】
絶縁層33の形成後、図14(E)に示すように、シリコン微小粒1の上面を例えば化学的機械的研磨法(CMP)で裏面研磨し、先の工程で堆積させた絶縁層33を選択的に除去する。結果、シリコン微小粒1の表面のp型Si層が再び露出する。
【0110】
以上の一連の処理を完了した後、図14(F)に示すように、作製途中の太陽電池の裏面全体にアルミニウムを真空蒸着し、約1μmの膜厚のp電極層を形成する。よって、図8を参照して先に説明したような構成のシリコン太陽電池30が得られる。
【実施例1】
【0111】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0112】
実施例1
溶融したシリコンを15m程度の高さからアルゴン雰囲気中を自由落下させ、直径1mmのティアドロップ型のシリコン微小粒(球状シリコン結晶)を作製した。次いで、得られたシリコン微小粒の表面にリン拡散によりn層を形成し、さらにその上にシリコン酸化膜及び反射防止膜を順次形成した。
【0113】
また、厚さ1mmの石英ガラス製のガラスプレート(商品名「SK1300」;住金セラミックス社製)を用意し、その片面に直径0.7mmの細孔を千鳥状にピッチ2mmで形成した。孔開けは、レーザー加工(アイオーレーザー)によって実施した。また、シリコン微小粒による太陽電池を透明UV硬化性樹脂で封止する際、端子形成をするため、シリコン微小粒の一部を露出させた状態で注型しなければならないので、細孔は、シリコン微小粒をその直径の約2倍のピッチで平面上に細密充填できるようなパターンで形成した。次いで、ガラスプレートの細孔に高真空用シリコーングリース(東レ&ダウコーニング社製)を埋め込んだ。
【0114】
さらに、網状部材として使用するため、それぞれ正六角形の開口をもった下記の2種類のメタルネットを作製した(図3を参照)。
(1)アルミニウムネット
アルミニウム材(A1050)、厚さ0.2mm、線幅0.18mm、パンチングによる打ち抜き処理で、正六角形の開口をもったハニカム構造を形成。
(2)銅ネット
銅材(C1100−1/4H)、厚さ0.2mm、線幅0.18mm、エッチング処理により正六角形の開口をもったハニカム構造を形成した後、光沢銀めっき処理。
【0115】
上記のようにしてシリコン微小粒、ガラスプレート及びアルミニウム製及び銅製のネットを用意した後、ガラスプレートのそれぞれの孔にシリコン微小粒の角の部分を差し込んだ。細孔にシリコーングリースが詰め込まれているため、ガラスプレートにそれぞれのシリコン微小粒が保持された。
【0116】
次いで、アルミニウム製のネット又は銅製のネットを両面粘着テープでガラスプレートに貼り付け、固定した。この固定作業の際、ネットの六角形の目がシリコン微小粒の一つ一つに非接触で収まるようにネットをセットした。
【0117】
上記のようにしてガラス微小粒及びネットをガラスプレートに仮固定した後、別に作製しておいたシリコン微小粒−レンズ複合構造体作製用の金型(昭和精工社製)の凹部に必要な量の液状封止樹脂を注加した。ここで使用した金型は、ステンレス鋼製で、レンズ部に相当する球形部は、半径1.2mmの半球形凹部をピッチ2mmで千鳥状に配列したものであり、予め離型剤(商品名「フッソガードFC−109」、ファインケミカルジャパン社製)を塗ったものである。また、ここで使用した液状封止樹脂は、紫外線硬化性のアクリル樹脂(商品名「EXT055−5」、「LCR0631SC2」及び「LCR0632UV」;いずれも東亞合成社製)であった。
【0118】
引き続いて、金型とガラスプレートの位置合わせを行った後、位置にずれが生じないように注意を払いながら、ガラスプレートをその下方の金型に向けて降ろしていった。液状アクリル樹脂の液面にシリコン微粒子が接した後も、テンションをかけながらガラスプレートを降下させ続け、設定した深さに達したところでガラスプレートの降下を停止した。図4を参照して先に説明したように、液状アクリル樹脂の自由界面がシリコン微小粒とネットの間に形成された。
【0119】
その後、ガラスプレートを載置した金型を紫外線照射装置(商品名「ECS301−G1」、アイグラフィック社製)にセットし、ガラスプレートの側から紫外線を照射し、液状アクリル樹脂を硬化させた。硬化条件は、紫外線積算光量3〜6J/cm2であった。
【0120】
ガラスプレート及びスペーサー3を取り外し、さらに得られた成形物を金型から取り出したところ、図5に示すような断面プロファイルをもったシリコン微小粒−レンズ複合構造体が得られた。得られたシリコン微小粒−レンズ複合構造体において、放物線状メニスカス16の頂点pからシリコン微小粒1の上端までの距離hは、500μmであり、深い凹部が形成されていることが確認された。また、この複合構造体において、ネットの状態をレンズの側から観察したところ、ネットそのものの存在を確認することができなかった。すなわち、この現象をもって、ネットで反射した光は、外部に出ることなく、内部に向かって有効に働いていることが裏づけられた。さらに、アルミニウム製あるいは銅製のネットに電流を通すことで、発電ロスを効果的に低下させえたことも確認できた。
【0121】
〔評価試験〕
本例において作製したシリコン微小粒−レンズ複合構造体から図9を参照して先に説明した構成の太陽電池を作製した。
【0122】
次いで、シリコン微小粒近傍における入射光の挙動を市販の光学シミュレーター(Light Tools,ver5.0.0;サイバネットシステム)を使用して下記の条件でシミュレートしたところ、図15に示す結果が得られた。
【0123】
レンズ半径:1.2mm
シリコン球:真球(半径0.5mm)
シリコン球の中心間距離(ピッチ):2.0mm
レンズ部分樹脂屈折率:1.46(単一波長照射につき、固定)
レンズ面曲率円中心とシリコン球中心との距離(オフセット):0.26mm
シリコン表面での樹脂境界線(電極形成線):シリコンボトム頂点より0.2mm
照射光線波長:550nm
光源:並行入射を再現するために平面光源を使用;面からの照射は、均一であり、放射密度一定である。
なお、実際の太陽電池は、レンズ−シリコン球構造体セルが多数集合して構成されるため、この中の不特定の1個をシミュレーションに供した。
【0124】
ここで、入射光がレンズ面に垂直に入射するときの角度を0°として、入射角30°で光線を入射させたところ、放物線状メニスカスで反射された光線の多くの量がそのままシリコン微小粒に入射し得ることが確認された。また、この結果から、入射角30°のときに光の有効利用率は、下記の比較例1を100とすると、本例の有効利用率は221であった。入射角が0°から80°で10°刻みで計算を行い、それらを積算した場合でも、下記の比較例1を100として、本例の光の有効利用率は161であることが確認された。
【0125】
また、得られた太陽電池において、シリコン微小粒の球頂から封止樹脂(アクリル樹脂:EXT055−5)の液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図17に示すグラフが得られた。なお、本試験では、0.2mmのアルミニウムネットを使用している。また、図17には、比較のため、比較例1の結果も併記されている。実施例1の結果と比較例1の結果を比較するに、実施例1(ネットあり)の場合、シリコン微小粒のタッチダウンから露出位置(未付着層厚)が一定となるのに対して、比較例1(ネットなし)の場合、沈み込みの量が変化している。この変化の大きさは、環境に大きく影響されるので、ネット使用のほうが安定に液面をコントロールできることがわかる。
【0126】
さらに、同じ太陽電池において、ネットの高さと封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図18に示すグラフが得られた。図示の結果から理解されるように、ネットを使用した場合の露出位置コントロールは、ネット配置位置の調整によって容易に可能であり、また、ネットの高さと露出高さの間には相関関係がある。
【0127】
比較例1
上記実施例1の記載を繰り返したが、本例の場合、比較のため、アルミニウム製又は銅製のネットの使用を省略した。得られた成形物を金型から取り出したところ、図7に示すような断面プロファイルをもったシリコン微小粒−レンズ複合構造体が得られた。得られたシリコン微小粒−レンズ複合構造体において、実施例1で確認できたような放物線状メニスカスは存在せず、深さ約250μmの浅い凹部が形成されていることが確認された。
【0128】
〔評価試験〕
本例において作製したシリコン微小粒−レンズ複合構造体から図9を参照して先に説明した構成の太陽電池を作製した。
【0129】
次いで、同一の太陽電池について、実施例1と同様な手法によって光学シミュレーターによる受光量評価を行ったところ、図16に示す結果が得られた。得られた結果から、ネットを使用しない場合、非メニスカス状の液面で反射された光線は、レンズ体内を繰り返し反射し、ごく少量の光線のみが半導体微小粒に入射し、また、一部の光線がレンズ体から出射することが確認された。
【0130】
また、得られた太陽電池において、半導体微小粒の球頂から封止樹脂液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたところ、図17に示すグラフが得られた。図17を参照して先に説明したように、本例の場合、好ましくないことに沈み込みの量が変化していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明による半導体微小粒構造体の好ましい一形態を示した断面図である。
【図2】本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の好ましい一形態を示した断面図である。
【図3】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において用いられる網状部材の一例を示した拡大写真である。
【図4】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、網状部材の開口部に半導体微小粒が非接触で配置された状態を示した拡大写真である。
【図5】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒近傍における封止樹脂の液面プロファイルを示した断面図である。
【図6】本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。
【図7】比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、半導体微小粒近傍における封止樹脂の液面プロファイルを示した断面図である。
【図8】比較のために網状部材を使用しないで作製した半導体微小粒−レンズ複合構造体において、注型した液状封止樹脂の半導体微小粒近傍における液面プロファイルを示した拡大写真(100倍)である。
【図9】本発明による太陽電池(部分)の好ましい一形態を示した断面図である。
【図10】本発明による半導体微小粒−レンズ複合構造体の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図11】本発明による半導体微小粒構造体の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図12】本発明による半導体微小粒構造体の製造方法のもう1つの例を順を追って示した断面図である。
【図13】図11の方法で製造した半導体微小粒構造体を使用して本発明の半導体微小粒−レンズ複合構造体を製造する方法を順を追って示した断面図である。
【図14】本発明による太陽電池の製造方法の一例を順を追って示した断面図である。
【図15】本発明の太陽電池において、半導体微小粒近傍における入射光の挙動をシミュレートした結果を示す光線図である。
【図16】比較のために網状部材を使用しないで作製した太陽電池において、半導体微小粒近傍における入射光の挙動をシミュレートした結果を示す光線図である。
【図17】本発明の太陽電池において、半導体微小粒の球頂から封止樹脂液面までの距離と封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたグラフである。
【図18】本発明の太陽電池において、網状部材の高さと封止樹脂未付着層厚の関係をプロットしたグラフである。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体微小粒
2 網状部材
3 スペーサー
4 支持体
5 封止部材
10 半導体微小粒構造体
12 開口部
13 接合材
15 半球状レンズ体
16 放物線状メニスカス
20 半導体微小粒−レンズ複合構造体
21 金型
30 太陽電池
31 反射膜
32 保護層
33 絶縁層
34 電極層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、
網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材と、
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒構造体。
【請求項2】
前記半導体微小粒は、真球、歪んだ真球もしくはティアドロップの形態の微小粒又は立方体もしくは直方体の形態の微小粒であることを特徴とする請求項1に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項3】
前記半導体微小粒は、シリコン微小粒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項4】
前記半導体微小粒は、溶融された半導体材料を重力によって自由落下させることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項5】
前記半導体微小粒は、機械的な研磨加工が施されていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項6】
前記網状部材において、前記開口部は、規則的な行及び列で配置されており、かつそれぞれの開口部のほぼ中央に前記半導体微小粒が位置していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項7】
前記網状部材において、前記開口部は、円形、矩形、三角形又は六角形もしくはそれよりも多角形の開口パターンを有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項8】
前記網状部材は、導電性の材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項9】
前記網状部材は、少なくともその表面に光反射性が付与されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項10】
前記網状部材は、少なくともその開口部において、該網状部材及び前記半導体微小粒の封止に用いられる樹脂に対する濡れ性が制御されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項11】
前記半導体微小粒及び前記網状部材を一時的に保持した支持体をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体と、
前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び前記網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材であって、
前記半導体微小粒の第1の領域を所定の厚さで封止して半球状レンズ体を構成し、
前記半導体微小粒の前記第1の領域とは反対側の第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面が露出しておりかつ相隣れる前記半導体微小粒の間において、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスが前記樹脂の表面張力により形成されている封止部材と
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項13】
前記放物線状メニスカスのパターン及びその深さが、前記網状部材と前記半導体微小粒によって制御されていることを特徴とする請求項12に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項14】
前記第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面及び前記半導体微小粒に隣接した前記封止部材の表面を被覆した反射膜をさらに有していることを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体を含んでなることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
太陽電池であり、かつ前記半導体微小粒のそれぞれの表面にp電極及びn電極が形成されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること
を含んでなることを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項18】
前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項17に記載の樹脂封止方法。
【請求項19】
前記樹脂接触工程において、前記硬化性樹脂を含む金型に前記半導体微小粒構造体を押し込むことを特徴とする請求項17又は18に記載の樹脂封止方法。
【請求項20】
前記樹脂硬化工程において、前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域を所定の厚さで封止した樹脂から形成される半球状レンズ体と、相隣れる前記半導体微小粒の間において前記樹脂の表面張力により形成された、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスとを備えている樹脂封止部材を形成することを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の樹脂封止方法。
【請求項21】
それぞれの表面にp電極及びn電極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を含んでなることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項22】
前記半導体微小粒は、溶融シリコンの自由落下によって形成されたシリコン微小粒であることを特徴とする請求項21に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項1】
平面状に所定の間隔で配置された複数個の半導体微小粒と、
網目状に配置された複数個の開口部を有するとともに、それぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した網状部材と、
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒構造体。
【請求項2】
前記半導体微小粒は、真球、歪んだ真球もしくはティアドロップの形態の微小粒又は立方体もしくは直方体の形態の微小粒であることを特徴とする請求項1に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項3】
前記半導体微小粒は、シリコン微小粒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項4】
前記半導体微小粒は、溶融された半導体材料を重力によって自由落下させることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項5】
前記半導体微小粒は、機械的な研磨加工が施されていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項6】
前記網状部材において、前記開口部は、規則的な行及び列で配置されており、かつそれぞれの開口部のほぼ中央に前記半導体微小粒が位置していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項7】
前記網状部材において、前記開口部は、円形、矩形、三角形又は六角形もしくはそれよりも多角形の開口パターンを有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項8】
前記網状部材は、導電性の材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項9】
前記網状部材は、少なくともその表面に光反射性が付与されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項10】
前記網状部材は、少なくともその開口部において、該網状部材及び前記半導体微小粒の封止に用いられる樹脂に対する濡れ性が制御されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項11】
前記半導体微小粒及び前記網状部材を一時的に保持した支持体をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体微小粒構造体と、
前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域及び前記網状部材を封止した光透過性樹脂からなる封止部材であって、
前記半導体微小粒の第1の領域を所定の厚さで封止して半球状レンズ体を構成し、
前記半導体微小粒の前記第1の領域とは反対側の第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面が露出しておりかつ相隣れる前記半導体微小粒の間において、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスが前記樹脂の表面張力により形成されている封止部材と
を含んでなることを特徴とする半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項13】
前記放物線状メニスカスのパターン及びその深さが、前記網状部材と前記半導体微小粒によって制御されていることを特徴とする請求項12に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項14】
前記第2の領域において、前記半導体微小粒の外周面及び前記半導体微小粒に隣接した前記封止部材の表面を被覆した反射膜をさらに有していることを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の半導体微小粒−レンズ複合構造体を含んでなることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
太陽電池であり、かつ前記半導体微小粒のそれぞれの表面にp電極及びn電極が形成されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
複数個の半導体微小粒を一括して樹脂封止する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、及び
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること
を含んでなることを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項18】
前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項17に記載の樹脂封止方法。
【請求項19】
前記樹脂接触工程において、前記硬化性樹脂を含む金型に前記半導体微小粒構造体を押し込むことを特徴とする請求項17又は18に記載の樹脂封止方法。
【請求項20】
前記樹脂硬化工程において、前記半導体微小粒の外周面のほぼ半分を占有する第1の領域を所定の厚さで封止した樹脂から形成される半球状レンズ体と、相隣れる前記半導体微小粒の間において前記樹脂の表面張力により形成された、前記網状部材を頂点とする放物線状メニスカスとを備えている樹脂封止部材を形成することを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の樹脂封止方法。
【請求項21】
それぞれの表面にp電極及びn電極が形成された複数個の半導体微小粒からなる太陽電池を製造する方法であって、下記の工程:
複数個の半導体微小粒を平面状に所定の間隔で配置すること、
網目状に配置された複数個の開口部を有する網状部材を前記半導体微小粒に重ね合わせ、前記網状部材のそれぞれの開口部に前記半導体微小粒を、それらの半導体微小粒のほぼ中央の位置でかつ非接触で配置した半導体微小粒構造体を形成すること、
前記半導体微小粒構造体の樹脂封止されるべき部分に硬化性樹脂を未硬化の状態で接触させること、
前記半導体微小粒構造体と前記硬化性樹脂の接触状態を維持した状態で、前記硬化性樹脂を硬化させて樹脂封止部材を形成すること、及び
前記半導体微小粒の非樹脂封止部分においてp電極及びn電極を形成すること
を含んでなることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項22】
前記半導体微小粒は、溶融シリコンの自由落下によって形成されたシリコン微小粒であることを特徴とする請求項21に記載の太陽電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図2】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【公開番号】特開2007−258229(P2007−258229A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76966(P2006−76966)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発 革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発 粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発」に係わる委託業務、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000107387)ジャパンゴアテックス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発 革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発 粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発」に係わる委託業務、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000107387)ジャパンゴアテックス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
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