説明

半導体発光素子取付用モジュール、及び、半導体発光素子モジュール

【課題】生産性が良好で全体形状を変形させることが可能でありながら、変形による応力がLEDに伝達せず、LEDの取付が容易で放熱性に優れ、しかもLEDの照明光のロスを小さくすることが可能な半導体発光素子取付用モジュール、及び、半導体発光素子モジュールを提供する。
【解決手段】金属からなる導通板17と、コンタクト26と、可撓性を有する表面絶縁部60と、を備え、導通板が、複数の第1導通部18A、18B、18Cと、第1導通部とそれぞれ導通する第1給電部21及び第2給電部24と、を有し、コンタクト26が、第1導通部に接触すると共に半導体発光素子80の陰極83とそれぞれ導通する陰極側接触部28、33と、各第1導通部に接触し半導体発光素子の陽極82と導通する陽極側接触部36と、を有し、第1導通部の半導体発光素子との対向部を露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体発光素子(LED)を取付可能な半導体発光素子取付用モジュール、及び、半導体発光素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内用の照明器具や液晶モニター用のバックライトなど様々な分野でLED(半導体発光素子)を利用した照明器具が利用されている。
LEDを利用した照明器具は一般的に、一つ又は複数のLEDを片面に実装した複数の回路基板(リジッド基板)を連鎖状(直線状又は平面状)に多数並べて、隣り合う回路基板同士を電気コネクタで接続することにより構成される(例えば特許文献1−4)。しかし、この構成のLED照明器具は複数の回路基板どうしを電気コネクタで接続する必要があるため生産性が悪い。
さらに取付対象物が湾曲形状の場合は、各LEDが一つの曲面上に位置する態様でLED照明器具を構成する必要があるが、上記構成のLED照明器具ではこの要請に応えるのが難しい。
【0003】
その一方で長尺状のFPC(フレキシブルプリント基板)の表面に複数のLEDを半田付けした構成のLED照明器具は、コネクタによる接続作業が不要であり、しかもFPCを湾曲させることにより各LEDを曲面上に位置させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−525523号公報
【特許文献2】特表2010−505232号公報
【特許文献3】特開2010−62556号公報
【特許文献4】特開2010−98302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしFPCを用いたLED照明器具には以下の欠点がある。
第一に、LEDはFPCの回路(導体層)上に直接半田接続されるため、FPCを撓ませたときに半田部分に応力が生じ、当該応力が大きくなると半田クラックが生じて不導通やLEDの脱落の原因となるおそれがある。またLEDのON/OFFの繰り返しによる熱履歴により、半田クラックが促進されるおそれがある。
第二に、FPCを構成する樹脂材は一般的に反射率が低いため、各LEDが発光した光のロスが大きくなってしまう。FPC単独では反射等の光学設計に対する工夫や対策を行うのは難しく、反射率を向上させるためにはFPC上に反射板等の別部材を設置する必要がある。
第三に、SMT(Surface Mount Technology)等の半田付けの自動化のためには、基板等の搬送、部品のピックアップ、半田接合のためのリフロー等に応じた複数の設備が必要となる。しかし各設備を汎用設備とすると、FPC等の基板が長尺になった場合に各設備の動作やFPCの設備間移動が難しくなり、半田作業の自動化が難しくなるので、著しく生産性が低下する。また、設備側の制限から対応できるFPCの長さが決まってしまうこともある。
第四に、FPCは屈曲性に優れるももの剛性が低いため、LEDが実装されたFPCを放熱板等に固定する際は、FPCの全面を両面テープや接着剤を利用して固定する必要がある。しかし、これらの介在物(両面テープや接着剤)が伝熱の妨げとなるので、FPCの全面に介在物を固定すると放熱性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、生産性が良好で全体形状を変形させることが可能でありながら、変形による応力がLEDに伝達せず、LEDの取付が容易で放熱性に優れ、しかもLEDの照明光のロスを小さくすることが可能な半導体発光素子取付用モジュール、及び、半導体発光素子モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールは、金属からなる導通板と、該導通板に接触した金属製のコンタクトと、該導通板及びコンタクトの表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、を備える半導体発光素子取付用モジュールであって、上記導通板が、互いに離れた状態で一方向に並んだ複数の第1導通部と、上記一方向の両端部に位置する上記第1導通部とそれぞれ導通する第1給電部及び第2給電部と、を有し、上記コンタクトが、一端が上記第1導通部にそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陰極とそれぞれ導通可能な弾性変形部となっている、各第1導通部毎に少なくとも一つずつ設けた陰極側接触部と、一端が上記第1導通部に接触し、かつ他端が、隣接する上記第1導通部の上記陰極側接触部に上記陰極が導通する上記半導体発光素子の陽極と導通可能な弾性変形部となっている、各第1導通部毎に少なくとも一つずつ設けた陽極側接触部と、を有し、上記表面絶縁部が、可撓性を有し、かつ、該陰極側接触部及び陽極側接触部の上記弾性変形部、上記第1導通部の上記半導体発光素子との対向部、並びに、上記第1給電部及び第2給電部の一部を露出させ、上記陰極側接触部及び陽極側接触部の上記弾性変形部全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向することを特徴としている。
【0008】
上記導通板が、上記第1導通部と並べて設けた、上記一方向の一方の端部に位置する該第1導通部に接続する第2導通部を具備し、該第2導通部の上記第1給電部と同じ側の端部が上記第2給電部を構成してもよい。
【0009】
上記第1導通部と上記第2導通部の少なくとも一方が可撓性を有してもよい。
【0010】
上記陰極側接触部全体及び上記陽極側接触部全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向してもよい。
【0011】
上記半導体発光素子全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向してもよい。
【0012】
上記第1導通部とは別体で、かつ上記陰極側接触部及び陽極側接触部を具備するコンタクトを備えてもよい。
【0013】
異なる上記第1導通部にそれぞれ接触し、かつ上記半導体発光素子を挟持する上記陰極側接触部及び上記陽極側接触部と、該陰極側接触部と陽極側接触部を接続しかつ切断可能な切断ブリッジと、を有するコンタクトを具備してもよい。
【0014】
隣り合う上記第1導通部どうしを物理的に切断可能なブリッジにより接続してもよい。
また第2導通部を有する場合は、隣り合う上記第1導通部どうし、及び、各第1導通部と上記第2導通部を、物理的に切断可能なブリッジにより接続してもよい。
【0015】
上記表面絶縁部に取り付けた、上記半導体発光素子が上記陰極側接触部及び陽極側接触部から上記導通板の板厚方向に離れるのを規制する抜止金具を備えてもよい。
【0016】
本発明の半導体発光素子モジュールは、上記半導体発光素子取付用モジュールと、該半導体発光素子取付用モジュールの上記陰極側接触部と陽極側接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、を備えることを特徴としている。
【0017】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールは、別の態様によると、金属からなるベース板部と、該ベース板部に接触した金属製のコンタクトと、該ベース板部及びコンタクトの表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、を備える半導体発光素子取付用モジュールであって、上記ベース板部が、一方向に並べて設けた、第1導通部及び第2導通部を備える複数の半導体発光素子固定部と、両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部及び第2給電部と、を有し、上記コンタクトが、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能かつ弾性変形可能な第1接触部及び第2接触部とを有し、上記表面絶縁部が、可撓性を有し、かつ、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、上記半導体発光素子固定部の上記半導体発光素子との対向部、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させたことを特徴としている。
【0018】
上記半導体発光素子固定部が可撓性を有していてもよい。
【0019】
上記半導体発光素子固定部に、上記半導体発光素子を挟持した状態で固定可能な一対の固定片を設け、上記表面絶縁部が該固定片を露出させていてもよい。
【0020】
互いに離間させた全ての上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能とするとともに、上記ベース板部の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続してもよい。
【0021】
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、全ての上記第2導通部を互いに接続させ、上記第1導通部と第2導通部を互いに離間させ、上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にしてもよい。
【0022】
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、全ての上記第2導通部を互いに接続させ、上記ベース板部の一方の端部側に位置する上記半導体発光素子固定部の上記第1導通部と上記第2導通部のみを互いに接続させ、上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にしてもよい。
【0023】
上記第1接触部及び第2接触部が、上記半導体発光素子固定部とは別体で共に弾性を有する金属からなり、一端が上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触し、他端が各半導体発光素子固定部から離間し上記半導体発光素子の陽極と陰極にそれぞれ導通可能な第1接触片及び第2接触片であってもよい。
【0024】
上記半導体発光素子固定部が、上記ベース板部の他の部分に比べて広幅であってもよい。
【0025】
上記表面絶縁部に、上記ベース板部の一部を露出させるための露出部を形成してもよい。
【0026】
上記第1導通部と、該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを、物理的に切断可能な切断ブリッジにより接続してもよい。
【0027】
上記表面絶縁部に、上記半導体発光素子が発する光を拡散させる拡散レンズを支持するための支持部を形成してもよい。
【0028】
本発明の半導体発光素子モジュールは、上記半導体発光素子取付用モジュールと、該半導体発光素子取付用モジュールの上記第1接触部と第2接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
請求項1、12記載の発明によれば、コンタクトの陰極側接触部と陽極側接触部との間でLED(半導体発光素子)を挟持させることにより(第1接触部と第2接触部にLEDを接触させることにより)LEDを半導体発光素子取付用モジュールに取り付けることができるので、各LEDの取付が容易である。また半導体発光素子取付用モジュールを撓ませても(例えば隣り合う第1導通部どうしの隙間と対応する箇所で表面絶縁部を曲げる)、陰極側接触部(第2接触部)と陽極側接触部(第1接触部)は弾性変形可能で追従性に優れるため、各LEDは脱落することなく確実に保持され、半導体発光素子取付用モジュールの変形に起因する応力が各LEDに生じることはない。さらに、リフローを行う必要がないので半導体発光素子が熱によるダメージを受けるおそれもない。
さらに表面絶縁部は樹脂性であることから可撓性を有するとともに反射率が高い材質や色(及び色調)の選択が可能となる。さらに表面絶縁部は任意形状に形成するのが容易であるため、LED周辺部の形状を最適な形状にすることで各LEDの照明光のロスを小さくすることができる。すなわち、モジュール自体で反射等を考慮した光学的設計を実現でき、反射板等の別部材を設置する必要がない。
しかも一本の半導体発光素子取付用モジュールを長尺化でき、さらに多数のLEDを取り付けることができるので、半導体発光素子モジュールや半導体発光素子取付用モジュールの組立や製造が容易である。
また、熱伝導性及び剛性に優れる金属製の導通板(ベース板部)によって、半導体発光素子取付用モジュールの大部分を構成し、導通板全体を樹脂からなる表面絶縁部で覆う構造であるため、半導体発光素子取付用モジュールの可撓性と剛性の両立が可能となる。そのため、半導体発光素子取付用モジュールを外部部品(例えば放熱板等)に対して固定する場合は半導体発光素子取付用モジュールの一部のみを固定すればよいので、半導体発光素子取付用モジュール裏面を外部部品に接触させることにより放熱効果を高めることができる。さらに、導通板(ベース板部)でLEDの熱と弾性変形部から伝わる熱を効率良く受けることができるので、LEDで発生した熱は導通板(ベース板部)及び薄肉の表面絶縁部を通じて効率よく外部に放熱される。つまり、本半導体発光素子取付用モジュールは可撓性と放熱性の両立を実現することができる。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、半導体発光素子取付用モジュールへの給電が一端側からのみとなるので、給電のための配線を簡略化できる。また、他端側は給電部がないため、他部材への固定等における設計自由度が向上する。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、第1導通部自体又は(及び)第2導通部自体が可撓性を有するので、半導体発光素子取付用モジュールをより撓ませ易くなる。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、陰極側接触部及び陽極側接触部の熱が第1導通部に対してより伝わり易くなるので、放熱性がさらに向上する。
【0033】
請求項5記載の発明によれば、半導体発光素子の熱が第1導通部に対してより伝わり易くなるので、放熱性がさらに向上する。
【0034】
請求項6記載の発明によれば、陰極側接触部及び陽極側接触部が第1導通部とは別体なので、第1導通部の一部を切り起こして陰極側接触部及び陽極側接触部を形成する場合のように、第1導通部に孔やスリットを形成する必要がなく、面積を大きくすることができるので、放熱性がさらに向上する。
【0035】
請求項7記載の発明によれば、陰極側接触部と陽極側接触部は一体物であるコンタクトの一部として製造されるので、コンタクトの製造時において陰極側接触部と陽極側接触部の寸法精度は高く、表面絶縁部の成形後に切断ブリッジを切断しても該寸法精度は維持される。そのため陰極側接触部と陽極側接触部で半導体発光素子を挟持すると、陰極側接触部と陽極側接触部に対する半導体発光素子の挿入力及び陰極側接触部と陽極側接触部による保持力が安定したばらつきの少ないものになる。
【0036】
請求項8、9記載の発明によれば、ブリッジによって第1導通部どうしを一体化できるので、導通板の各部位がずれを生じないように(各部位の正確な位置を保ちながら)表面絶縁部を成形できる。さらに、表面絶縁部の成形後にはブリッジを物理的に切断することによって第1導通部どうしを離間させることができる(導通路として不要な部分を除去できる)。
【0037】
請求項10記載の発明によれば、半導体発光素子を陰極側接触部及び陽極側接触部と確実に導通させることが可能になる。
【0038】
請求項13記載の発明によれば、半導体発光素子取付用モジュールを撓ませ易くなる。
【0039】
請求項14記載の発明によれば、半導体発光素子を導通板に対して嵌め込みによって固定できるので、両者を半田付け及びリフローする必要がなく、生産性が良好である。
またリフローを行う必要がないので半導体発光素子が熱によるダメージを受けるおそれがない。
しかも固定片を通じて半導体発光素子の熱を効率よく導通板に流せるので、熱伝導性と放熱性が向上する。
【0040】
請求項15記載の発明によれば、導通板上に電流値のばらつきが少ない直列回路が形成されるので、各半導体発光素子の輝度のばらつきが少なくなる。
【0041】
請求項16記載の発明によれば、導通板上に並列回路が構成されるので、仮に1つの半導体発光素子が劣化や破損したとしても、本モジュールが有する他の半導体発光素子は発光可能なので、長寿命や信頼性が求められる器具に対して好適となる。
【0042】
請求項17記載の発明によれば、請求項16に比べて配線を少なくした上で、請求項16の発明と同様の効果を発揮できる。
【0043】
請求項18記載の発明によれば、第1接触片及び第2接触片のみをばね性に優れた金属材とし、導通板のその他の部分にはばね性を有さない金属材を利用できるので、ばね性を有する部分を小さくでき、導通板全体の製造コストを低減できる。
【0044】
請求項19記載の発明によれば、主に放熱効果を発揮する半導体発光素子固定部を除く部分を細く(狭幅に)することができるので、導通板及び表面絶縁部を軽量化し、かつ本モジュールの製造コストを低減できる。
【0045】
請求項20記載の発明によれば、半導体発光素子から導通板に伝わった熱が露出部を通じて外部に放熱されるので、放熱性がさらに向上する。また、半導体発光素子取付用モジュールを搭載する機器(例えば曲面ディスプレイ等)の熱設計の自由度が高まる。
【0046】
請求項21記載の発明によれば、切断ブリッジによって第1導通部と第2導通部を一体化できるので、表面絶縁部を成形する際に各導通板をずれが無い高い位置精度で成形できる。さらに、表面絶縁部の成形後には切断ブリッジを物理的に切断することによって第1導通部と第2導通部を離間させることができる。
【0047】
請求項22記載の発明によれば、半導体発光素子に対してレンズを適切な位置に位置決めできる。また半導体発光素子の直近に拡散機能を有するレンズを配置できるため、半導体発光素子が発する光を効率よく拡散でき、かつレンズを含めた本モジュール全体を低背化できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態の導通板の斜視図である。
【図2】導通板にコンタクトを載置した状態を示す斜視図である。
【図3】コンタクトの拡大斜視図である。
【図4】導通板にコンタクトを載置した状態を示す平面図である。
【図5】図4のV部の拡大平面図である。
【図6】導通板とコンタクトを表面絶縁部で被覆した状態を示す斜視図である。
【図7】導通板とコンタクトを表面絶縁部で被覆したときの図5と同様の拡大平面図である。
【図8】導通板とコンタクトを表面絶縁部で被覆したときの底面図である。
【図9】切断ブリッジを切断したときの図5と同様の拡大平面図である。
【図10】切断ブリッジを切断したときの底面図である。
【図11】表面絶縁部に抜止金具を装着した状態を示す斜視図である。
【図12】抜止金具の拡大斜視図である。
【図13】表面絶縁部に抜止金具を装着したときの図5と同様の拡大平面図である。
【図14】LEDを装着した完成状態のLEDモジュールの斜視図である。
【図15】完成状態のLEDモジュールの図5と同様の拡大平面図である。
【図16】完成状態のLEDモジュールの平面図である。
【図17】コンタクト、抜止金具、及び、LEDの上方から見た拡大斜視図である。
【図18】コンタクト、抜止金具、及び、LEDの下方から見た拡大斜視図である。
【図19】図17のXIX−XIX矢線に沿う断面図である。
【図20】図16のXX−XX矢線に沿う断面図である。
【図21】導通板上に形成した直列回路の模式図である。
【図22】LEDモジュールを円弧状に湾曲させ、断面円弧形をなす放熱板に固定したときの側面図である。
【図23】第1の実施形態の変形例の導通板の平面図である。
【図24】第1の実施形態の変形例の直列回路の模式図である。
【図25】本発明の第2の実施形態のLED取付用モジュールの斜視図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI矢線に沿う拡大断面図である。
【図27】拡散レンズとLED素子を取り外したLED取付用モジュールの分解斜視図である。
【図28】図27のXXVIII部分の拡大図である。
【図29】拡散レンズを取り外したときのLEDモジュールの正面図である。
【図30】拡散レンズとLED素子を取り外したLED取付用モジュールの正面図である。
【図31】LEDモジュールの背面図である。
【図32】図29のXXXII−XXXII矢線に沿う拡大断面図である。
【図33】図30のXXXIII−XXXIII矢線に沿う拡大断面図である。
【図34】図30のXXXIV−XXXIV矢線に沿う拡大断面図である。
【図35】直列回路用に構成した導通板の正面図である。
【図36】直列回路用に構成した導通板の背面図である。
【図37】導通板とその直列回路の模式図である。
【図38】LED固定部の拡大斜視図である。
【図39】図22と同様の側面図である。
【図40】並列回路用に構成した導通板の正面図である。
【図41】並列回路用に構成した導通板とその並列回路の模式図である。
【図42】別のタイプの並列回路用に構成した導通板とその並列回路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明中の上下、左右、及び、前後の各方向は図中に表した矢線方向を基準としている(第2の実施形態、及び、各変形例の説明も同様)。
本実施形態は本発明を全体が湾曲可能(撓ませることが可能)なLEDモジュール10に適用したものである。
【0050】
まずは図1〜図21を利用してLEDモジュール10の詳しい構造及び製造要領について説明する。尚、紙面の都合上、以下の説明中のLEDモジュール10は6個のLED素子(半導体発光素子)80を搭載しているが、実際はさらに多く(又は小数)のLED素子80を搭載できる。
LEDモジュール10は、LED取付用モジュール15にLED素子80を取り付けたものであり、LED取付用モジュール15は導通板17、コンタクト26、抜止金具40、及び、表面絶縁部60からなるものである。
【0051】
図1はLED取付用モジュール15の基材となる導通板17を示している。導通板17は、例えば黄銅、リン青銅、鉄、アルミニウム等の導電性と弾性(可撓性)を有する金属製の平板をスタンピング成形した前後方向に延びる長尺状の平板状部材である。導通板17は前後方向に延びる一直線上に位置する複数の第1導通部18A、18B、18Cを具備している。第1導通部18A、18B、18Cの左右幅は全て同一であるが、第1導通部18Cの前後寸法は第1導通部18Bより短く、第1導通部18Aの前後寸法は第1導通部18Cより短い。また第1導通部18Bの上面には一対の位置決め突起19が突設してあり、第1導通部18Aと第1導通部18Cの上面には位置決め突起19がそれぞれ一つずつ突設してあり、全ての位置決め突起19は前後方向に延びる一直線上に位置している。さらに隣り合う第1導通部18A、18B、18Cの間は、切断ブリッジ20によって互いに接続してあり、第1導通部18Aからは前方に向かって第1給電部21が延出している。第1導通部18A、18B、18Cの右側には前後方向に延びかつ第1導通部18A、18B、18Cより左右幅が狭い第2導通部22が位置しており、第1導通部18B、18Cから延びる回路設計用ブリッジ23が第2導通部22に接続している。さらに第2導通部22の前端部からは第2給電部24が前方に向かって延びている。
【0052】
図2、図3、図4、図5等に示すコンタクト26は、例えばリン青銅製(他の金属でもよい)の弾性を有する平板を利用したスタンピング成形により図示形状としたものである。コンタクト26は、その中央部を構成する平板状の大寸基部27を具備している。大寸基部27の中央部には、一端が大寸基部27に支持された弾性変形可能な第1陰極側接触部28が切り起こしにより構成してあり、第1陰極側接触部28の先端部には接触端部29が形成してある。第1陰極側接触部28はその基端を中心に上下方向(大寸基部27の板厚方向)に弾性変形する(撓む)ことが可能であり、自由状態において第1陰極側接触部28の接触端部29側は大寸基部27より上側に位置している。また大寸基部27の右側縁部には略半円状の側縁凹部30が凹設してある。大寸基部27の後縁部には、大寸基部27と同一平面上に位置する平板状をなし、かつ位置決め孔31が形成された小寸基部32が接続している。さらに小寸基部32の左右両縁部には、上方に向かって延びた後に下方に湾曲しながら延び、その先端側(下方に延びる部分)が前後方向に変形可能な弾性変形部34を構成する一対の第2陰極側接触部33が突設してある。また大寸基部27の前方には小寸基部32と前後対称をなす小寸基部35が位置しており、小寸基部35の左右両縁部には第2陰極側接触部33と前後対称をなす一対の陽極側接触部36が突設してある。そして大寸基部27と小寸基部35の間を、大寸基部27及び小寸基部35と同一平面上に位置する切断ブリッジ37が接続している。この切断ブリッジ37はコンタクト26を、切断ブリッジ37より前方に位置する陽極導通部26Aと、切断ブリッジ37より後方に位置する陰極導通部26Bとに区画している。
【0053】
図12等に示す抜止金具40は、金属板を図示形状となるようにスタンピング成形したものであり、左右方向に延びる接続片41と、接続片41の下方に位置しかつ接続片41の左端部から前方に延びる嵌合アーム42と、嵌合アーム42の先端部の上面に突設した抑え部44と、接続片41の右端部から下方に延びる嵌合突部46と、嵌合突部46の前端部から前方に延びる抑えアーム48と、を具備している。嵌合アーム42の前後両端面には一対の係止突起43が突設してあり、抑え部44の前後両端部には共に右側に突出する抑え突起45が形成してある。さらに嵌合突部46の前後両端面には一対の係止突起47が突設してあり、抑えアーム48の上面には左側に延びる抑え突起49が突設してあり、抑えアーム48の先端部には平面形状が略円弧形をなす押圧部50が形成してある。
【0054】
次にLED取付用モジュール15の製造要領について説明する。
まず導通板17を図1に示す姿勢で作業面(図示略)に載せ、次いで図2、図4、図5に示すように、各コンタクト26を隣合う2つの第1導通部18A、18B、18Cに跨るようにして導通板17の上面に載置(面接触)させ、各切断ブリッジ37を各切断ブリッジ20の上面に載せる(切断ブリッジ20の上面は切断ブリッジ37によって完全に覆われる)。このとき小寸基部35の位置決め孔31を第1導通部18A、18Bに形成した位置決め突起19に嵌合させ、小寸基部32の位置決め孔31を小寸基部35が載った第1導通部18A、18Bの直後に位置する別の第1導通部18B、18Cの位置決め突起19に嵌合させる。さらに各位置決め突起19を対応する位置決め孔31に対してかしめて、各コンタクト26を導通板17に対して位置決めする。
続いて、一体化した導通板17及びコンタクト26を金型(図示略)の内部に位置決めした状態で入れ、該金型を型締めした後に金型のキャビティ内に樹脂(例えばPBT、LCP、ナイロンなど)を流し込む。そしてキャビティ内で樹脂が冷却して硬化したら、導通板17、コンタクト26、及び、硬化した樹脂材を金型から分離させる。すると図6、図7、図8等に示すように、第1給電部21及び第2給電部24の端部及び第1陰極側接触部28等を除いた導通板17及び各コンタクト26のほぼ全体の表面に、上記樹脂によって構成された弾性(可撓性)を有する表面絶縁部60が形成される(射出成形される)。表面絶縁部60を構成する樹脂材は、反射率や要求仕様を考慮してその材質や色(及び色調)を選択できる。光の吸収・反射を考慮すると、樹脂材は色調が濃い(反射率が高い)白色とするのが好適である。導通板17の第1導通部18A、18B、18C、及び、第2導通部22は切断ブリッジ20及び回路設計用ブリッジ23によって互いに接続(一体化)しているので、該金型内における表面絶縁部60の成形中に第1導通部18A、18B、18C、及び、第2導通部22が金型内でばらけたり位置ずれしたりすることはなく、極めて正確な位置を保つ。なお長いLED取付用モジュール15を成形する場合は、導通板17の一方の端部(前端部又は後端部)に金型を利用して表面絶縁部60を形成し、金型の離型後に該金型周辺に設置した搬送装置により導通板17の当該部分に隣接する部分(表面絶縁部60が未成形の部分)を金型内に移動させて、当該部分に射出成形により表面絶縁部60を形成する。そして、この作業(射出成形)を複数回繰り返すことにより導通板17全体に表面絶縁部60を形成する。
【0055】
図示するように硬化した表面絶縁部60の上面には、共に前後方向に延びる左側壁61及び右側壁62と、左側壁61と右側壁62の後端どうしを接続する後部壁63とが形成してあり、左側壁61、右側壁62、及び後部壁63で囲まれた部分に前後方向に延びる上面凹部64が形成してある。
上面凹部64の底面(上面)には、各切断ブリッジ37を露出させるための円形の露出孔65と、第1陰極側接触部28、大寸基部27の一部、及び、回路設計用ブリッジ23を露出させるための露出孔66と、第2陰極側接触部33と小寸基部32の側縁部及び陽極側接触部36と小寸基部35の側縁部を露出させるための前後方向に延びる長孔からなる露出孔67とが形成してある。一方、表面絶縁部60の下面には、各切断ブリッジ20を露出させるための円形の露出孔68と、各回路設計用ブリッジ23を露出させるための円形の露出孔69とが形成してある。
また上面凹部64の底面には、左右に並ぶ一対の露出孔67の間から第2陰極側接触部33及び陽極側接触部36の上端より上方まで延び、かつ上面に係合凹部71を有する支持突部70が突設してある(最後端の支持突部70の後部は後部壁63と一体化している)。
さらに左側壁61の上面には複数(第1陰極側接触部28と同数)の取付溝73が下向きに凹設してある。各取付溝73の平面形状は前後方向に延びる細長形状であり、その左右幅は嵌合アーム42の厚みと略同じである。また左側壁61の右側縁部(各取付溝73の内側部分)の上端面には、接続片逃げ凹部74と、前後一対の抑え突起逃げ凹部75が凹設してある。一方、右側壁62の上面には、取付溝73と同数の取付溝76と、取付溝76の直前に位置する抑えアーム逃げ溝77が共に下向きに凹設してある。各取付溝76の平面形状は、取付溝73より短寸の前後方向に延びる細長形状である。各抑えアーム逃げ溝77は取付溝76より浅い凹部であり、その後端は抑えアーム逃げ溝77と連通しており、その前端は開放している。また右側壁62の左側縁部(各取付溝76の内側部分)の上端面には、接続片逃げ凹部78が凹設してある。
【0056】
硬化した表面絶縁部60には抜止金具40を取り付けるが、抜止金具40を取り付ける前に露出孔65、66、68、69を利用して、最後部に位置する回路設計用ブリッジ23を除く全ての切断ブリッジ20、回路設計用ブリッジ23、及び、切断ブリッジ37を物理的に切断する(図9、図10参照)。
続いて表面絶縁部60の取付溝73と取付溝76に抜止金具40の嵌合アーム42と嵌合突部46を上方からそれぞれ嵌合し、抑えアーム逃げ溝77に対して抑えアーム48の中間部を上方から嵌合し、抑えアーム48の先端部を上面凹部64内に位置させる。すると一対の係止突起43が対応する取付溝73の前後両端面に食い込み、一対の係止突起47が対応する取付溝76の前後両端面に食い込むので、抜止金具40が表面絶縁部60に対して固定される。また抑えアーム逃げ溝77の左右幅は抑えアーム48の厚みより大きいので、抑えアーム48は抑えアーム逃げ溝77内で左右方向に弾性変形可能となる。さらに接続片41の両端部が接続片逃げ凹部74と接続片逃げ凹部78に嵌合し、かつ接続片41の中央部が係合凹部71に嵌合する。また前後の抑え突起45の下部が前後の抑え突起逃げ凹部75内に位置する。
【0057】
以上のようにして構成したLED取付用モジュール15に複数(第1陰極側接触部28と同数)の半導体発光素子であるLED素子80を取り付ければ、LEDモジュール10が完成する。
LED素子80は、上面に発光面81を有し、前面に左右一対の陽極82を有し、後面に左右一対の陰極83を有し、かつ、下面に一つの陰極(図示略)を有する平面視矩形の部材である。
各LED素子80を、左側壁61、右側壁62、及び、隣り合う二つの支持突部70によって囲まれた空間に上方から嵌合すると、図15、図17〜図20に示すように、各LED素子80の直前に位置する一対の陽極側接触部36の弾性変形部34が僅かに弾性変形しながら一対の陽極82に接触し、かつ、各LED素子80の直後に位置する一対の第2陰極側接触部33の弾性変形部34が僅かに弾性変形しながら一対の陰極83に接触する(第2陰極側接触部33と陽極側接触部36がLED素子80を前後方向に挟持する)ので、各LED素子80がLED取付用モジュール15に対して前後に位置決めされる。また各抜止金具40の抑え突起49に形成された傾斜面(左側部の上面)にLED素子80が当接することによって抑えアーム48が右側に弾性変形した後に、LED素子80が所定の位置まで下方に挿入されると、抑えアーム48が左側に弾性復帰することにより押圧部50がLED素子80の右側面を左側に移動付勢し、各LED素子80の左側面が左側壁61の右側面に面接触するので、各LED素子80がLED取付用モジュール15に対して左右に位置決めされる。さらに下方に僅かに弾性変形した第1陰極側接触部28の接触端部29が下方から各LED素子80の下面の上記陰極に接触してLED素子80を上方に移動付勢し、かつ、各LED素子80の上面の左右両側縁部が下方から抑え突起45と抑え突起49に係合するので、各LED素子80がLED取付用モジュール15に対して上下に位置決めされる。
【0058】
以上の要領で組み立てたLEDモジュール10は、金属板を円弧状に湾曲させた放熱板85(図22参照)に対して固定する。具体的には、共に可撓性(弾性)を有する導通板17と表面絶縁部60を放熱板85と略同一の曲率で湾曲させ、LEDモジュール10と放熱板85の対向面同士を接触させて両者を固定する。
このとき導通板17は、第1導通部18A、18B、18C及び第2導通部22自体を湾曲させてもよいし、又は、第2導通部22のみを湾曲させて、第1導通部18A、18B、18C自体は湾曲させずに隣り合う第1導通部18A、18B、18C同士の向きを変えてもよい(隣り合う第1導通部18A、18B、18C同士の隙間と対向する表面絶縁部60の数カ所、及び、第2導通部22の該隙間と同じ前後位置を曲げる)。
LEDモジュール10と放熱板85の固定手段としては、例えば、LEDモジュール10と放熱板85の一方の部材に形成した他方の部材と係合可能なラッチ(図面記載なし)や、LEDモジュール10と放熱板85とは別部材であるロック手段を利用可能である。
また、表面絶縁部60の成形時に表面絶縁部60の数カ所に貫通孔を形成し、かつ、放熱板85の数カ所にねじ孔を形成した上で、各貫通孔に挿入したネジを放熱板85のねじ孔に螺合してLEDモジュール10と放熱板85を固定してもよい。この場合は、放熱板85とネジとを短絡させないことが肝要である。
或いは、伝熱性を有する接着剤や両面テープ等を用いて、LEDモジュール10と放熱板85を固定することも可能である。
図示を省略したケーブル等を介して、LED取付用モジュール15の第1給電部21を図示を省略した電源の陽極側に接続すると共に第2給電部24を該電源の陰極側に接続し、メインスイッチ(図示略)をオンにすると、該電源から上記ケーブルを介してLEDモジュール10に電流が流れるので、図21の模式図で示すように、第1給電部21から第1導通部18Aに流れた電流が陽極導通部26Aを介してLED素子80に流れ、さらに陰極導通部26Bから隣接する第1導通部18Bに流れる。同様に該第1導通部18BからLED素子80を介して隣接する第1導通部18Bに電流が流れ、第1導通部18Aと反対側に位置する第1導通部18BからLED素子80を介して第1導通部18Cに電流が流れ、さらに第1導通部18Cから第2導通部22に電流が流れる。このようにLEDモジュール10の内部に直列回路が形成されるため、上記直列回路上に位置する各LED素子80が発光する(図22参照)。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、一本のLEDモジュール10に対して多数のLED素子80を取り付けることができるので、LEDモジュール10の組立や製造は容易である。さらに各LED素子80が表面絶縁部60(上面凹部64)内に位置するので、LEDモジュール10を薄型化ができる。
また導通板17の表面を表面絶縁部60で覆っているのでLED取付用モジュール15の絶縁性は良好である。
【0060】
さらに第2陰極側接触部33と陽極側接触部36の間でLED素子80を挟持させることにより、各LED素子80をLED取付用モジュール15に取り付けているので、各LED素子80のLED取付用モジュール15に対する取付が容易である。
また(半田付けを行わないため)リフローを行う必要がないので各LED素子80が熱によるダメージを受けるおそれもない。
またLED取付用モジュール15を撓ませても共に弾性変形可能な第2陰極側接触部33と陽極側接触部36は各LED素子80を確実に挟持し続けるので、各LED素子80がLED取付用モジュール15から脱落することはない。
さらに、第2陰極側接触部33と陽極側接触部36は弾性変形可能で追従性に優れるため、LED取付用モジュール15を撓ませても、各LED素子80にLED取付用モジュール15の変形に起因する応力は生じず、各LED素子80の物理特性・発光特性はともに維持される。
さらに樹脂製の表面絶縁部60は可撓性を有するとともに反射率が高い材質や色(及び色調)の選択が可能であり、しかも任意形状に形成するのが容易であるため、LED素子80周辺部の形状を最適な形状にすることで各LED素子80の照明光のロスを小さくすることができる。すなわち、LED取付用モジュール15自体で反射等を考慮した光学的設計を実現でき、反射板等の別部材を設置する必要がない。
【0061】
また熱伝導性及び剛性に優れる金属製の導通板17によってLED取付用モジュール15の大部分を構成し(必要に応じて導通板17の厚みをある程度大きくすることもできる
)、導通板17全体を樹脂からなる表面絶縁部60で覆っている。しかも、熱源体であるLED素子80全体が各第1導通部18A、18B、18Cと導通板17の板厚方向に対向しているので、LED素子80の熱が導通板17に伝わり易い。さらに陽極導通部26Aと陰極導通部26BはLED素子80の陽極82と陰極83に接触する部分であるためLED素子80の熱が特に伝わり易い部分であるが、コンタクト26全体が各第1導通部18A、18B、18Cと導通板17の板厚方向に対向しており、各陽極導通部26A及び陰極導通部26Bの近傍部である小寸基部32、35が導通板17と直接接しており、かつ、弾性変形部34の直下かつ直近に導通板17が位置しているため、陽極導通部26A及び陰極導通部26Bの熱は導通板17に対して直接的及び間接的に伝わり易い。従って本実施形態のLED取付用モジュール15は、各LED素子80が発生した熱を陽極導通部26A及び陰極導通部26Bから導通板17に効率良く伝え、かつ導通板17、及び、薄肉の表面絶縁部60を通じて効率よく外部(例えば放熱板85)に放熱できる。そのため、LED取付用モジュール15及びLED素子80の温度上昇を抑止できるので、LED素子80の発光効率の低下を防止できる。
さらにコンタクト26(陽極導通部26A、陰極導通部26B)が導通板17とは別体なので、第1導通部18A、18B、18Cの一部を切り起こして陽極導通部26Aと陰極導通部26Bを形成する場合のように、第1導通部18A、18B、18Cに孔やスリットを形成する必要がない。そのため第1導通部18A、18B、18Cの一部を切り起こして陽極導通部26Aと陰極導通部26Bを形成する場合に比べて、金属(導通板17)の面積を広くできるので、本実施形態のLED取付用モジュール15は放熱性が良好である。
【0062】
さらに一体物として製造したコンタクト26の周囲に表面絶縁部60を成形した後に切断ブリッジ37を切断して陽極導通部26Aと陰極導通部26Bを互いに分離するので、陽極導通部26Aと陰極導通部26Bを分離しても導通板17への組立公差に影響は出ない。そのため陽極導通部26Aと陰極導通部26Bに対するLED素子80の挿入力及び陽極導通部26Aと陰極導通部26Bによる保持力を安定したばらつきの少ないものにできる。またリフローを行う必要がないので各LED素子80が熱によるダメージを受けるおそれもない。
またLED取付用モジュール15、陽極導通部26A、及び陰極導通部26B上に形成した直列回路上に各LED素子80を配置しているので、各LED素子80の輝度のばらつきを少なくすることが可能である。
【0063】
以上説明した第1の実施形態は、以下に説明する変形例の態様で実施可能である。
例えば導通板17の形状を若干変更することにより、導通板17上に様々なタイプの回路を簡単に構成できる。図23及び図24は導通板17、陽極導通部26A、及び陰極導通部26B上に上記実施形態とは別タイプの直列回路を形成した例を示している。
この変形例の導通板17’は(製造時から)第2導通部22及び回路設計用ブリッジ23を具備しておらず、第1導通部18Cには第1給電部21と前後対称形状をなす第2給電部21Aが突設してある。
本変形例の導通板17’を利用してLEDモジュール10を製造する場合は、導通板17’に各コンタクト26を装着した後に、導通板17’に対して上記と同じ要領で表面絶縁部60を形成し、第1給電部21と第2給電部21Aの端部を表面絶縁部60の外側に露出させる。次いで露出孔65を利用して全ての切断ブリッジ20及び切断ブリッジ37を切断し、表面絶縁部60に抜止金具40を装着してLED取付用モジュール15を構成し、このLED取付用モジュール15にLED素子80を取り付けてLEDモジュール10を完成させる(LED取付用モジュール15とLEDモジュール10の図示は省略)。
本変形例のLEDモジュール10も湾曲させた上で放熱板85に固定可能である。そして図示を省略したケーブル等を介して、第1給電部21を電源の陽極側に接続すると共に第2給電部21Aを該電源の陰極側に接続した上で、図示を省略したメインスイッチをオンにすれば、図23の模式図で示すように導通板17’、陽極導通部26A、及び陰極導通部26B上に直列回路が形成されるので各LED素子80が発光する。
【0064】
また、第2陰極側接触部33と陽極側接触部36の弾性変形部34に、陽極82及び陰極83がそれぞれ嵌合する、上面が閉塞された嵌合凹部(図示略)を形成して、LED素子80の上方向の抜止めを実現してもよい。
【0065】
また導通板17を導電性、熱伝導性、及び放熱性に優れる上記以外の金属材料によって構成したり、コンタクト26を弾性及び導電性に優れるリン青銅以外の金属材料により構成してもよい。また、導通板17とコンタクト26を導電性、弾性、及び放熱性に優れる金属材料により一体成形してもよい。
【0066】
続いて、図25〜図39を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
まずは図25〜図38を利用して全体を湾曲可能(撓ませることが可能)なLEDモジュール110の詳しい構造について説明する。尚、紙面の都合上、以下の説明中のLEDモジュール110は5個のLED素子160を搭載しているが、実際はLED照明器具100の大きさに対応した数のLED素子160を搭載できる。
LEDモジュール110は、LED取付用モジュール115にLED素子160と拡散レンズ164を取り付けたものである。
LED取付用モジュール115は基材となる導通板117を有しており、導通板117はベース板部120と陽極片139と陰極片143とを具備している。
図35及び図36に示すベース板部120は、例えば黄銅、リン青銅、鉄、アルミニウム等の導電性と弾性(可撓性)を有する金属製の平板をスタンピング成形した前後方向に延びる長尺状部材である。ベース板部120は左半部をなす陽極半部121と右半部をなす陰極半部122とに大別され、ベース板部120は自身の中心点に関して点対称な形状である。陽極半部121と陰極半部122は計10個の切断ブリッジ123と、計8個の回路設計用ブリッジ124と、によって互いに接続されている。陽極半部121の前後両端部は陽極側給電部(第1給電部)125を構成しており、陰極半部122の前後両端部は陰極側給電部(第2給電部)126を構成している。陽極半部121の前後の陽極側給電部125を除いた部分は互いに離間する計5つの陽極側導通部(第1導通部)128に区切られている。さらに各陽極側給電部128には切り起こしにより第1把持片(固定片)130が上向きに突設してある。陰極半部122の前後の陰極側給電部126を除いた部分は互いに離間する計5つの陰極側導通部(第2導通部)132に区切られている。さらに各陰極側導通部132には切り起こしにより第2把持片(固定片)134が上向きに突設してある。さらにベース板部120は、陽極半部121と陰極半部122に跨りかつ一対の回路設計用ブリッジ124の間に位置する4つの貫通孔135を有している。
図示するようにベース板部120はその長手方向の5カ所に一定間隔でその他の部分に比べて左右幅が広いLED固定部(半導体発光素子固定部)136(陽極半部121側の部分が左半部を構成し、陰極半部122側の部分が右半部を構成している)を備えている。各LED固定部136の陽極半部121側部分と陰極半部122側部分には円形をなす貫通位置決め孔137が穿設してある。
【0068】
図38等に示すように、各LED固定部136の陽極側給電部128には例えばリン青銅製等の弾性を有する金属材料によって構成した陽極片(第1接触部)(第1接触片)139が載せてある。陽極片139はLED固定部136(陽極半部121)に接触し且つかしめや溶接等によりLED固定部136に固定した略矩形の固定部140と、固定部140から前斜め上方に向かって延びLED固定部136(陽極半部121)から上方に離間する片持ち梁状の弾性変形部141と、を有している。図示するように弾性変形部141は同じLED固定部136に形成された第1把持片130の直ぐ右側に位置しており、弾性変形部141は固定部140との接続部(基端部)を中心にして上下方向に弾性変形可能である。また各LED固定部136の陰極側導通部132には陽極片139と同じ材質かつ同じ形状の陰極片(第2接触部)(第2接触片)143が載せてある。陰極片143はLED固定部136(陰極半部122)に接触し且つかしめや溶接等によりLED固定部136に固定した略矩形の固定部144と、固定部144から後斜め上方に向かって延びLED固定部136(陰極半部122)から上方に離間する弾性変形部145と、を有している。図示するように弾性変形部145は同じLED固定部136に形成された第2把持片134の直ぐ左側に位置しており、弾性変形部145は固定部144との接続部(基端部)を中心にして上下方向に弾性変形可能である。
【0069】
以上構成の導通板117(ベース板部120、陽極片139、陰極片143)の表面は樹脂(例えばPBT、LCP、ナイロンなど)によって覆ってある。
この樹脂によるコーティング(アウトサート成形)を行う際には、ベース板部120の全ての切断ブリッジ123及び回路設計用ブリッジ124をつなげたままの状態で、図示を省略した金型内に突設した位置決めピンに陽極半部121及び陰極半部122の各貫通位置決め孔137を嵌合し、ベース板部120(陽極半部121、陰極半部122)を位置決め状態で支持する。次いで金型を型締めすることによりベース板部120を固定し、金型のキャビティ内に樹脂を流し込む。そしてキャビティ内で樹脂が冷却して硬化したら、ベース板部120及び一体化して硬化した樹脂材を金型から分離させる。すると図30から図32に示すようにベース板部120のほぼ全体の表面に上記樹脂によって構成された表面絶縁部148が形成される。このとき、各々の陽極側給電部128と陰極側導通部132は切断ブリッジ123及び回路設計用ブリッジ124によりつながれているので、導通板117が金型内でばらけたり位置ずれしたりすることはない。なお長いLED取付用モジュール115を成形する場合は、導通板117の一方の端部側部分に金型を利用して表面絶縁部148を形成し、金型の離型後に金型周辺に設置した搬送装置により導通板117の当該部分に隣接する部分(表面絶縁部148が未成形の部分)を金型内に移動させて、当該部分に表面絶縁部148を形成する。そして、この作業を複数回繰り返すことにより導通板117全体に弾性(可撓性)を有する表面絶縁部148を形成する。
【0070】
図29から図31に示するように表面絶縁部148は陽極側給電部125及び陰極側給電部126の先端部は被覆していない。また表面絶縁部148は各LED固定部136の上面を覆う部分に、第1把持片130、第2把持片134、弾性変形部141、及び弾性変形部145を露出させるための中央孔149を備えている。一方、陽極片139の固定部140と陰極片143の固定部144は、表面絶縁部148によって覆われている。また、表面絶縁部148の上面の各LED固定部136に対応する部分は外形が円形をなすと共に周辺部より肉厚となっており、当該部分の周面は(後述する拡散レンズ164を位置決め及び支持するための)傾斜面(支持部)156となっている。また表面絶縁部148は、成形後に上記位置決めピンを各貫通位置決め孔137から抜き取ることにより形成される貫通位置決め孔137と同数の成形孔150を有している。さらに表面絶縁部148は各LED固定部136の上面を覆う部分に各LED固定部136の上面を露出させる計8つの露出孔(露出部)151を有しており、各LED固定部136の下面を覆う部分に各LED固定部136の下面を露出させる計4つの露出孔151を有している。さらに表面絶縁部148はその上下両面に、各切断ブリッジ123を上下に露出させるための切断用孔152を有しているので、表面絶縁部148の成形後に各切断用孔152を利用して全ての切断ブリッジ123を物理的に切断する(切断ブリッジ123を二つに分断して両者を離間させる)。また表面絶縁部148の下面には第1把持片130と第2把持片134の基端部を露出させるための露出孔(露出部)153が形成してある。さらに各貫通孔135と対応する部分には、貫通孔135より小寸である円形孔154と長孔155が形成してある。円形孔154と長孔155は、LEDモジュール110をアプリケーション(LEDモジュール110を取り付ける機器)のシャシーや放熱板に固定するためのねじ止め用の孔や、ロック用の孔として利用することができる。
以上説明した導通板117(ベース板部120、陽極片139、陰極片143)、及び、表面絶縁部148がLED取付用モジュール115の構成要素である。
【0071】
この導通板117と表面絶縁部148からなるLED取付用モジュール115に計5個のLED素子(半導体発光素子)160と拡散レンズ164を取り付けることによりLEDモジュール110を構成する。
LED素子160は、下面に陽極と陰極(いずれも図示略)を有する方形の基板161と、基板161によって支持された該陽極及び陰極と接続するLED162と、を有している。各LED素子160を対応するLED固定部136の中央孔149に挿入し、基板161を第1把持片130と第2把持片134により固定状態で挟持すると(このとき第1把持片130と第2把持片134は互いに離れる方向に僅かに弾性変形する)、基板161の下面に形成した上記陽極が陽極片139の弾性変形部141と接触し、上記陰極が陰極片143の弾性変形部145と接触し、各LED素子160の一部が対応する中央穴149によって内包される(中央穴149内に位置する。図32参照)。なお、LED素子160には極性があるため、中央穴49に誤挿入キーを形成したり、LED固定部136の上面に認識マークを刻印してもよい。
さらに表面絶縁部148には、下面中央部に背面凹部165を有する拡散レンズ164が接着等で固定してある。図26に示すように背面凹部165の周面に形成した環状傾斜面が表面絶縁部148の支持部156に嵌合(面接触)することにより位置決めされており、拡散レンズ164を固定すると背面凹部165内にLED素子160が位置する(LED素子160が背面凹部165の底面の直下に位置する)。
【0072】
以上の要領で組み立てたLEDモジュール110は、第1の実施形態(図22)と同じく、共に可撓性(弾性)を有する導通板117と表面絶縁部148を放熱板85と略同一の曲率で湾曲させることにより、放熱板85に対して固定可能である。放熱板85に対する固定手段としては接着剤や両面テープやネジ等が利用可能であり、ネジを利用する場合は円形孔154や長孔155に挿入したネジを放熱板85のねじ孔に螺合する。
そして図示を省略したケーブル等を介して、LED取付用モジュール115の陽極側給電部125を図示を省略した電源の陽極側に接続すると共に陰極側給電部126を該電源の陰極側に接続しメインスイッチ(図示略)をオンにすると、該電源から上記ケーブルを介してLEDモジュール110に電流が流れる。図37に示すように本実施形態の導通板117の上面において、同じLED固定部136に形成された陽極側給電部128と陰極側導通部132が陽極片139、陰極片143、及び、LED素子160によって電気的に導通しており、かつ、陽極側給電部128と当該陽極側給電部128が形成されたLED固定部136に隣接するLED固定部136に形成された陰極側導通部132とが回路設計用ブリッジ124を介して電気的に導通しているので、導通板117の上面には直列回路が形成されている。そのためLEDモジュール110に電流が流れると、上記直列回路上に位置する各LED162が発光する。LED162が発した照明光は各拡散レンズ164によって拡散されながら上方に向かう。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、一本の導通板117に多数のLED素子160の一部を内包する形態で取り付けることができるので、LED取付用モジュール115(LEDモジュール110)を薄型化ができるとともに組立や製造が容易であり、かつLEDモジュール110のLED照明器具100への組み込み作業工程を低減できるので、生産性が良好である。
また導通板117の表面を表面絶縁部148で覆っているのでLED取付用モジュール115の絶縁性は良好である。さらにベース板部120は単一の板材からなり、かつその表面を表面絶縁部148で覆っているので、LED取付用モジュール115は大きな剛性を有している。
【0074】
さらに第1把持片130と第2把持片134の間でLED素子160を挟持させることにより、各LED素子160をLED取付用モジュール115に取り付けているので、各LED素子160のLED取付用モジュール115に対する取付が容易である。また(半田付けを行わないため)リフローを行う必要がないので各LED素子160が熱によるダメージを受けるおそれもない。
またLED取付用モジュール115を撓ませても共に弾性変形可能な弾性変形部141(陽極片139)と弾性変形部145(陰極片143)は各LED素子160を確実に挟持し続けるので、各LED素子160がLED取付用モジュール115から脱落することはない。
さらに、弾性変形部141(陽極片139)と弾性変形部145(陰極片143)は弾性変形可能で追従性に優れるため、LED取付用モジュール115を撓ませても、各LED素子160にLED取付用モジュール115の変形に起因する応力は生じず、各LED素子160の物理特性・発光特性はともに維持される。
さらに樹脂製の表面絶縁部148は可撓性を有するとともに反射率が高い材質や色(及び色調)の選択が可能であり、しかも任意形状に形成するのが容易であるため、LED素子160周辺部の形状を最適な形状にすることで各LED素子160の照明光のロスを小さくすることができる。すなわち、LED取付用モジュール115自体で反射等を考慮した光学的設計を実現でき、反射板等の別部材を設置する必要がない。
【0075】
さらに第1把持片130及び第2把持片134を通じてLED素子160の熱を効率よく導通板117に流すことが可能であり、熱伝導性と放熱性に優れる材料である金属材によって成形したベース板部120の面積及び厚みを大きくすることが可能で、しかも導通板117に伝わった熱を露出孔151、53と薄肉の表面絶縁部148を通じて外部に放熱可能なので、LED取付用モジュール115は放熱性に優れる。そのため各LED素子160が発生した熱を導通板117と薄肉の表面絶縁部148を通じて効率よく外部に放熱できる。
【0076】
また導通板117上に形成した直列回路上に各LED素子160を配置しているので、各LED素子160の輝度のばらつきを少なくすることが可能である。
【0077】
また導通板117は、LED素子160を支持するための部材である第1把持片130及び第2把持片134のみをばね性に優れたリン青銅により形成しているので、導通板117全体の製造コストを低減できる。
さらにベース板部120は、主に放熱効果を発揮するLED固定部136を除く部分を細く(狭幅に)しているので、導通板117及び表面絶縁部148を軽量化し、かつLED取付用モジュール115の製造コストを低減できる。
さらに表面絶縁部148がLED素子160を固定する支持部156を有しているので、LED取付用モジュール115に対して拡散レンズ164を適切な位置に位置決めできる。またLED素子160の直近に拡散機能を有する拡散レンズ164を配置できるため、LED素子160が発する光を効率よく拡散でき、かつ拡散レンズ164を含めたLED取付用モジュール115全体を低背化できる。
【0078】
さらに上記スタンピング成形時にベース板部120に形成するブリッジの種類(位置)を変更することにより、導通板117上に様々なタイプの回路を簡単に構成できる。
例えば、図40及び図41は導通板117上に並列回路を形成した例を示している。この変形例の導通板117には、上記スタンピング成形によって隣り合う陽極側給電部128同士を接続する陽極ブリッジ129と、隣り合う陰極側導通部132同士を接続する陰極ブリッジ133と、を形成してあり、その一方で回路設計用ブリッジ124は存在しない。このような導通板117(表面絶縁部148の成形後に各切断ブリッジ123を物理的に切断する)にLED素子160を取り付けると、図41に示すように隣り合う陽極側給電部128同士が陽極ブリッジ129を介して電気的に導通し、隣り合う陰極側導通部132同士が陰極ブリッジ133を介して電気的に導通し、かつ、同じLED固定部136に形成された陽極側給電部128と陰極側導通部132が陽極片139、陰極片143、及び、LED素子160によって電気的に導通するので、導通板117の上面には並列回路が形成される。そのため、仮に1つのLED素子160が破損したとしても他のLED素子160は発光可能な状態を維持するので、発光の寿命や信頼性が求められる機器(照明器具等)に用いるのに好適である。
【0079】
さらに図42は導通板117上に図40及び図41とは別タイプの並列回路を形成した例を示している。この変形例の導通板117の図40の導通板117と異なる点は、一方の端部(図では後端部)に位置する各切断ブリッジ123のみを切断せずに残した点にある。導通板117にこの並列回路を形成すれば、図40及び図41の並列回路を形成する場合に比べて配線を少なくした上で、図40及び図41の並列回路の場合と同様の効果を発揮できる。なお、この並列回路を形成する場合は、スタンピングによってベース板部120の一方の端部側のLED固定部136に形成した陽極側給電部128と陰極側導通部132の間を切断ブリッジ123とは別のブリッジによって接続した上で、全ての切断ブリッジ123を物理的に切断してもよい。
なお、スタンピング成形によってベース板部120にすべてのブリッジ(切断ブリッジ123、回路設計用ブリッジ124、陽極ブリッジ129、陰極ブリッジ133)を形成しておき、その後にいずれかのブリッジを選択的に物理的に切断して、導通板117上に任意の電気回路を形成してもよい。
【0080】
以上本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態とは異なる様々な態様で実施可能である。
例えば、ベース板部120を導電性、熱伝導性、及び放熱性に優れる上記以外の金属材料によって構成したり、陽極片139及び陰極片143を弾性及び導電性に優れるリン青銅以外の金属材料により構成してもよい。また、導通板117全体を導電性、弾性、及び放熱性に優れる金属材料により構成することにより、ベース板部120、陽極片139、及び、陰極片143を一体成形してもよい。
【0081】
また露出孔151の代わりに導通板117を露出させるための切り欠き等を表面絶縁部148に形成してもよい。
さらに一つのベース板部120に形成するLED固定部136の数(一つのLED取付用モジュール115に取付可能なLED素子160と拡散レンズ164の数)や、一つのLED照明器具100が具備するLEDモジュール110の数は上記実施形態のものには限定されない。
【0082】
さらにいずれの実施形態においても、一つ又は複数のLEDモジュール10、110を用いて環状体(例えば円環状)を構成し、環状体の内周側又は外周側に向けてLED素子80、160を発光させてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 LEDモジュール(半導体発光素子モジュール)
15 LED取付用モジュール(半導体発光素子取付用モジュール)
17 17’ 導通板
18A 18B 18C 第1導通部
19 位置決め突起
20 切断ブリッジ(ブリッジ)
21 第1給電部
21A 第2給電部
22 第2導通部
23 切断ブリッジ(ブリッジ)
24 第2給電部
26 コンタクト
26A 陽極導通部
26B 陰極導通部
27 大寸基部
28 第1陰極側接触部
29 接触端部
30 側縁凹部
31 位置決め孔
32 小寸基部
33 第2陰極側接触部
34 弾性変形部
35 小寸基部
36 陽極側接触部
37 切断ブリッジ
40 抜止金具
41 接続片
42 嵌合アーム
43 係止突起
44 抑え部
45 抑え突起
46 嵌合突部
47 係止突起
48 抑えアーム
49 抑え突起
50 押圧部
60 表面絶縁部
61 左側壁
62 右側壁
63 後部壁
64 上面凹部
65 66 67 68 69 露出孔
70 支持突部
71 係合凹部
73 取付溝
74 接続片逃げ凹部
75 抑え突起逃げ凹部
76 取付溝
77 抑えアーム逃げ溝
78 接続片逃げ凹部
80 LED素子(半導体発光素子)
81 発光面
82 陽極
83 陰極
85 放熱板
110 LEDモジュール(半導体発光素子モジュール)
115 LED取付用モジュール(半導体発光素子取付用モジュール)
117 導通板
120 ベース板部
121 陽極半部
122 陰極半部
123 切断ブリッジ
124 回路設計用ブリッジ
125 陽極側給電部(第1給電部)
126 陰極側給電部(第2給電部)
128 陽極側導通部(第1導通部)
129 陽極ブリッジ
130 第1把持片(固定片)
132 陰極側導通部(第2導通部)
133 陰極ブリッジ
134 第2把持片(固定片)
135 貫通孔
136 LED固定部(半導体発光素子固定部)
137 貫通位置決め孔
139 陽極片(コンタクト)(第1接触部)(第1接触片)
140 固定部
141 弾性変形部
143 陰極片(コンタクト)(第2接触部)(第2接触片)
144 固定部
145 弾性変形部
148 表面絶縁部
149 中央孔
150 成形孔
151 露出孔(露出部)
152 切断用孔
153 露出孔(露出部)
154 円形孔
155 長孔
156 支持部
160 LED素子(半導体発光素子)
161 基板
162 LED
164 拡散レンズ
165 背面凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる導通板と、
該導通板に接触した金属製のコンタクトと、
該導通板及びコンタクトの表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、
を備える半導体発光素子取付用モジュールであって、
上記導通板が、
互いに離れた状態で一方向に並んだ複数の第1導通部と、
上記一方向の両端部に位置する上記第1導通部とそれぞれ導通する第1給電部及び第2給電部と、
を有し、
上記コンタクトが、
一端が上記第1導通部にそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陰極とそれぞれ導通可能な弾性変形部となっている、各第1導通部毎に少なくとも一つずつ設けた陰極側接触部と、
一端が上記第1導通部に接触し、かつ他端が、隣接する上記第1導通部の上記陰極側接触部に上記陰極が導通する上記半導体発光素子の陽極と導通可能な弾性変形部となっている、各第1導通部毎に少なくとも一つずつ設けた陽極側接触部と、
を有し、
上記表面絶縁部が、可撓性を有し、かつ、該陰極側接触部及び陽極側接触部の上記弾性変形部、上記第1導通部の上記半導体発光素子との対向部、並びに、上記第1給電部及び第2給電部の一部を露出させ、
上記陰極側接触部及び陽極側接触部の上記弾性変形部全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向することを特徴とする半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記導通板が、上記第1導通部と並べて設けた、上記一方向の一方の端部に位置する該第1導通部に接続する第2導通部を具備し、
該第2導通部の上記第1給電部と同じ側の端部が上記第2給電部を構成する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1導通部と上記第2導通部の少なくとも一方が可撓性を有する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記陰極側接触部全体及び上記陽極側接触部全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子全体が、上記第1導通部と上記導通板の板厚方向に対向する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1導通部とは別体で、かつ上記陰極側接触部及び陽極側接触部を具備するコンタクトを備える半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
異なる上記第1導通部にそれぞれ接触し、かつ上記半導体発光素子を挟持する上記陰極側接触部及び上記陽極側接触部と、該陰極側接触部と陽極側接触部を接続しかつ切断可能な切断ブリッジと、を有するコンタクトを具備する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項8】
請求項1、及び、1に従属する3から7のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
隣り合う上記第1導通部どうしを物理的に切断可能なブリッジにより接続した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項9】
請求項2、及び、2に従属する3から7のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
隣り合う上記第1導通部どうし、及び、各第1導通部と上記第2導通部を、物理的に切断可能なブリッジにより接続した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記表面絶縁部に取り付けた、上記半導体発光素子が上記陰極側接触部及び陽極側接触部から上記導通板の板厚方向に離れるのを規制する抜止金具を備える半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールと、
該半導体発光素子取付用モジュールの上記陰極側接触部と陽極側接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、
を備えることを特徴とする半導体発光素子モジュール。
【請求項12】
金属からなるベース板部と、
該ベース板部に接触した金属製のコンタクトと、
該ベース板部及びコンタクトの表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、
を備える半導体発光素子取付用モジュールであって、
上記ベース板部が、
一方向に並べて設けた、第1導通部及び第2導通部を備える複数の半導体発光素子固定部と、
両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部及び第2給電部と、
を有し、
上記コンタクトが、
一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能かつ弾性変形可能な第1接触部及び第2接触部とを有し、
上記表面絶縁部が、可撓性を有し、かつ、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、上記半導体発光素子固定部の上記半導体発光素子との対向部、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させたことを特徴とする半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項13】
請求項12記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子固定部が可撓性を有する半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項14】
請求項12または13記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子固定部に、上記半導体発光素子を挟持した状態で固定可能な一対の固定片を設け、
上記表面絶縁部が該固定片を露出させている半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
互いに離間させた全ての上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能とするとともに、上記ベース板部の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続させた半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項16】
請求項12から14のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、
全ての上記第2導通部を互いに接続させ、
上記第1導通部と第2導通部を互いに離間させ、
上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にした半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項17】
請求項12から14のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、
全ての上記第2導通部を互いに接続させ、
上記ベース板部の一方の端部側に位置する上記半導体発光素子固定部の上記第1導通部と上記第2導通部のみを互いに接続させ、
上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にした半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1接触部及び第2接触部が、
上記半導体発光素子固定部とは別体で共に弾性を有する金属からなり、一端が上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触し、他端が各半導体発光素子固定部から離間し上記半導体発光素子の陽極と陰極にそれぞれ導通可能な第1接触片及び第2接触片である半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子固定部が、上記ベース板部の他の部分に比べて広幅である半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記表面絶縁部に、上記ベース板部の一部を露出させるための露出部を形成した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項21】
請求項12から20のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1導通部と、該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを、物理的に切断可能な切断ブリッジにより接続した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記表面絶縁部に、上記半導体発光素子が発する光を拡散させる拡散レンズを支持するための支持部を形成した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項23】
請求項12から22のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールと、
該半導体発光素子取付用モジュールの上記第1接触部と第2接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、
を備えることを特徴とする半導体発光素子モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2012−146794(P2012−146794A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3448(P2011−3448)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000128407)京セラコネクタプロダクツ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】