半導体発光装置
【課題】色度の微調整が可能であり、輝度むらのない半導体発光装置を提供する。
【解決手段】基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする。
【解決手段】基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子と、蛍光体等の波長変換材料を含む封止樹脂とを備えた半導体発光装置に係り、特に発光装置の色度を調整する技術に関わる。
【背景技術】
【0002】
発光素子と蛍光体を含む封止樹脂を用いる半導体発光装置では、封止樹脂における蛍光体の含有量および封止樹脂の充填量を正確に制御することが困難であり、これらのばらつきによって発光装置間で色度がばらつくという問題がある。この問題を解決するため、従来、発光装置の製造工程内で、ばらつきを抑制する工夫がなされてきたが、製造工程で厳格な色度の管理をするのではなく、製造後に色度を調整する技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、封止樹脂の表面の一部に光散乱部を設けて色度のばらつきを調整する技術が提案されている。この技術では、封止樹脂から出射した光の一部を再度封止樹脂に戻すことによって、封止樹脂中の蛍光体から発生する光を増やし、色度を変化させている。
【0004】
また特許文献2には、封止樹脂の表面をレーザ照射して機械的にトリミング加工することで、色度が所定の値となるように調整する技術が記載されている。
【0005】
さらに特許文献3には、発光素子の駆動電流をパルス電流とし、そのパルス条件を変化させることにより、発光素子の発光波長や発光量を変化させて、発光装置の色度を調整する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−130301号公報
【特許文献2】特開2009−158541号公報
【特許文献3】特開2007−142152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載された技術は、色度調整のための手段(色度調整手段)が不可逆的であるため、最適な色度に調整することが困難であり、また一旦色度調整手段を設けた後は、微調整ができないという問題がある。それに加えて、特許文献1に記載された技術は、発光装置の表面の一部に光散乱部を設けるため、発光状態が面内で不連続になり、輝度むらや色度むらの原因となる可能性がある。また特許文献2に記載された技術は、トリミング加工に用いられるレーザ照射の照射強度によっては発光素子を損傷する可能性もある。
【0008】
また特許文献3に記載された技術は、発光素子の駆動電源としてパルス電流を用いることが前提であり、パルス駆動できない用途では適用することができない。
【0009】
本発明は、発光装置製造後に色度を調整する手段を備え、色度の調整を可逆的に行うことができ、それにより調整が容易で且つ発光素子の駆動方法に対する制限もなく色度の調整を行うことができる半導体発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の半導体発光装置は、基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする。
【0011】
スライド手段は、例えば、圧電素子を有する圧電アクチュエータを備え、その一端は基板側に固定され他端は封止樹脂部の端部に固定される。
発光素子が複数の配列からなる場合、スライド手段が封止樹脂部を移動させる方向は、配列方向であってもよいし、配列方向と直交する方向であってもよい。
また封止樹脂部は、多層であってもよく、そのうち少なくとも1層をスライド手段によって移動可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の半導体発光装置の第一実施形態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ本発明の半導体発光装置で利用するアクチュエータのタイプを示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の半導体発光装置の樹脂板がアクチュエータによって移動した状態を説明する図である。
【図4】第一実施形態における樹脂板のスライド量と発光装置が発する光の色度との関係を示すグラフ
【図5】SAE米国自動車技術会規格で規定される白色エリアと、本発明により拡大可能な範囲とを示す図
【図6】積層型圧電アクチュエータの固定構造の変更例を示す図
【図7】本発明の半導体発光装置の第二実施形態を示す図で、(a)は上面図と側断面図、(b)は樹脂板の位置が(a)と異なる場合の上面図と側断面図である。
【図8】第二実施形態における樹脂板のスライド量と発光装置が発する光の色度との関係を示すグラフ
【図9】本発明の半導体発光装置の第三実施形態を示す図で、(a)は上面図と側断面図、(b)は樹脂板の位置が(a)と異なる場合の上面図と側断面図である。
【図10】本発明の半導体発光装置の第四実施形態を示す図で、(a)は発光素子を示す図、(b)は樹脂板を示す図である。
【図11】本発明の半導体発光装置の第五実施形態を示す図で、(a)、(b)はそれぞれ樹脂板が異なる位置にある状態を示す断面図である。
【図12】本発明の半導体発光装置の他の実施形態を示す断面図で、(a)、(b)はそれぞれ樹脂板が異なる位置にある状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の半導体発光装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1(a)は、本発明の半導体発光装置の第一実施形態を示す上面図、(b)は側断面図である。この半導体発光装置は、導体パターンが形成された基板11と、基板上に実装されたLED等の半導体発光素子13と、この発光素子13を覆う封止樹脂層15と、封止樹脂層15の上にスライド可能に設置された蛍光体入り樹脂板(以下、単に樹脂板という)16と、樹脂板16の端部に固定され、樹脂板16をスライドさせるための圧電アクチュエータ17とを備えている。本実施形態では樹脂板16を発光素子13の配列と直交する方向にスライドさせるために、樹脂板16の発光素子の配列方向の側面に沿って、複数の圧電アクチュエータ17が設けられており、樹脂板16に固定されていない圧電アクチュエータ17の他端は、基板11に固定された支持部材19に固定されている。
【0014】
発光素子13の実装方法は、特に限定されないが、図示する実施形態では、基板11に金属バンプ12を形成し、その金属バンプ12に発光素子13の2つの電極パッド(図示せず)をそれぞれ接合するフリップチップ実装である。また図示する実施形態では、4つの発光素子を一列に配列した発光装置を示しているが、発光素子の数は4に限定されず、一つであってもよいし4以外の数でもよい。また複数の場合、2次元方向に配列していてもよい。
【0015】
封止樹脂層15は、本実施形態の発光装置では、封止樹脂層15と樹脂板16とを組み合わせたものが発光素子からの光を制御する封止樹脂部として機能する。樹脂板16とは別に封止樹脂層15を設けることにより、後述する圧電アクリュエータ17が作動することによって樹脂板16がスライドしたときに、その下に位置していた発光素子からの光が直接発光装置から出力されるのを防止し、発光素子と蛍光体の混色内での色度変化を調整することができる。従って樹脂板の上方に散乱板やレンズを配置する場合には、封止樹脂層15は必須ではない。
【0016】
封止樹脂層15と樹脂板16とは、同様の材料からなる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透明な樹脂を母材とし、蛍光体等の波長変換材料と、必要に応じて、シリカ、酸化チタン等のフィラーを含む。樹脂板16に用いられる蛍光体は、封止樹脂層15に含まれる蛍光体と同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
波長変換材料は、発光素子13の発する光を吸収して、異なる波長の光を発生するもので、具体的には、ニトリド或いはオキシニトリド蛍光体、YAG系蛍光体、BAM蛍光体(アルミン酸系青色蛍光体)、SiAlON蛍光体等の蛍光体が用いられる。フィラーは、製造工程における封止樹脂の粘度を調整するためや、色むらを軽減するための拡散材として用いられる。蛍光体およびフィラーの含有量は特に限定されないが、樹脂に対する蛍光体およびフィラーの合計含有量の重量割合で、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは20〜50重量%である。このような範囲とすることにより、比較的小さい封止樹脂厚みで波長変換効率の高い封止樹脂を形成することができる。なお封止樹脂層15を発光素子の保護層としてのみ利用する場合には、封止樹脂層15は蛍光体を含まなくてもよい。
【0018】
樹脂板16は、封止樹脂層15に対しスライド可能であり、発光素子に対する基板面方向の位置が可変に構成されている。樹脂板16は、封止樹脂層15の上に載置してもよいし、粘着剤や低硬度樹脂、例えば、JIS−A硬度(JIS K6253)で20°以下の樹脂を介して軽く接着されていてもよい。
樹脂板16の厚みは、特に限定されるものではないが、アクチュエータ17によってスライドさせることが可能な剛性を備えていることが必要であり、具体的には、好ましくは0.005〜2mm、より好ましくは0.02〜0.50mmとする。
【0019】
樹脂板16を封止樹脂層15に対しスライドさせる手段である圧電アクチュエータ17は、一端が支持部材19に固定されるとともに図示しない駆動回路に接続されている。このため、基板11には、発光素子13が接合される電極のほかに、圧電アクチュエータ17に給電するための電極(図示せず)が形成されており、圧電アクチュエータ17は、この電極を介して、駆動回路に接続される。支持部材19は、樹脂やセラミックス等からなり基板11に接着剤により固定されている。支持部材19は、基板11と一体成型により形成したものであってもよい。
【0020】
図1(a)に示す実施形態では、樹脂板16と支持部材19との間に、5個の圧電アクチュエータ17が所定の間隔をもって配置されているが、圧電アクチュエータ17の数や設置位置は図示する例に限定されず、圧電アクチュエータ17の性能に応じて、適宜変更が可能である。
【0021】
圧電アクチュエータ17は、ピエゾ素子等の公知の圧電材料からなる。公知の圧電材料には、図2(a)〜(d)に示すように、ベンダー型(モノモルフ型、バイモルフ型)(a)、積層型(b)、バイモルフ型圧電素子を積層したもの(以下、新積層型という)(c)、ディスク形状で中心が盛り上がるように変位するリングベンダー(d)など種々の構造のものが知られており、本発明では数十μm程度の変位量が得られるものであればいずれのタイプも採用することができる。特に、樹脂板16をスライドさせるのに必要な力が得やすいという点で、積層型或いは新積層型が好適である。
【0022】
図1に示す実施形態では、積層型或いは新積層型の圧電アクチュエータ17を採用した場合を示している。この圧電アクチュエータ17は、正(+)電圧が印加されると積層方向に伸び、負(−)電圧が印加される積層方向に縮み、これによって、例えば樹脂板16を図1(a)、(b)に矢印で示す方向(基板面に平行な方向)にスライドさせる。
【0023】
樹脂板16がスライドすることにより、発光素子上面に存在する樹脂板の面積が変化し、発光素子から発した光が通過する蛍光体の量が変ることになるので、色度が変化する。例えば、樹脂板16が、図3(a)に示す、発光素子の一部を覆っていない位置から、図3(b)、(c)に示す、発光素子を完全に覆う位置にスライドした場合には、発光素子上に存在する蛍光体の量が増加する。
【0024】
樹脂板のスライド量(体積の変化量)と色度との関係は、発光素子や蛍光体の種類や樹脂板の厚みによっても異なるが、青色LEDとYAG系蛍光体を組み合わせた一般的な半導体発光装置では、スライド量と色度とはほぼリニアに変化すると考えられる。本実施形態の発光装置において、4つの発光素子の配列を樹脂板16が完全に覆った状態から、発光素子の一部が露出するようにスライドさせた場合の色度(CIE・xy色度図のxおよびy)の変化を図4に示す。図示するように、変位量と色度(x、y)は、ほぼリニアに変化し、樹脂板が発光素子の端部から約50μmまでスライドすると、色度は0.01〜0.02程度減少している。なお図4のグラフは、発光素子として青色LED(サイズ:約400μm×約400μmmのチップをマトリクス状に密に並べて約1mm×約1mmの大きさとしたもの)を用い、YAG系蛍光体を含む樹脂板を用いて測定したデータである。
【0025】
入手可能な積層型圧電素子として、例えば変位量がカタログ値で数μmから50μmの積層型圧電アクチュエータが市販おり、これらの板厚や積層数等の設定により、数mmの大きさで数十μm程度の変位を実現できる。
【0026】
また図1(a)に示すように、圧電アクチュエータ17を樹脂板16の側面に沿って複数配置することにより、単独では数十μmの変位量を実現できない小サイズの圧電アクチュエータ17であっても、大きな変位量と力を得ることができる。支持部材19は圧電アクチュエータ17の変位量と寸法を考慮して、その設置位置を決定する。
【0027】
図5は、SAE米国自動車技術会規格で定められている車両用ヘッドランプの白色エリア(太線内)を示す色度表である。色度が0.01〜0.02の範囲で調整可能であることにより、調整前の製品における実効的な白色エリアを図中、点線で囲むエリアまで拡大することもできる。一方、製品によって太線の白色エリアよりも狭いエリアが要求される場合には、その要求を満たすことも可能になる。
【0028】
次に上記構成の発光素子の製造方法の一例を説明する。ただし本発明の発光装置は以下の製造方法によって製造されたものに限定されるものではない。
【0029】
まず発光素子用の電極(金属バンプ)と、圧電アクチュエータ用の電極(金属バンプ)が形成された基板11を作成し、基板11に発光素子を接合する。図1(a)に示すようなフリップチップ実装の発光装置では、発光素子の片面に形成された2つの電極を金属バンプに接合する。またワイヤボンディングによって接合するタイプの発光装置の場合には、発光素子の電極を金等のワイヤで接合する。
【0030】
次に、印刷法により、封止樹脂用樹脂組成物で発光素子13の周囲を覆い、樹脂組成物を硬化させて薄い封止樹脂層15を形成する。封止樹脂層15の厚みは10〜500μm程度とする。一方、封止樹脂層15と同様の樹脂組成物を用いて、厚み0.02〜0.5mm程度の樹脂板16を成型により作製する。
【0031】
また複数の圧電アクチュエータ17を固定した支持部材19を用意する。圧電アクチュエータ17がバイモルフ型或いはバイモルフ型を積層した型のアクチュエータであるときは、その端部(一端部または両端部)のみを支持部材19に固定する。積層型または新積層型の場合には、端面を支持部材19に固定する。なお積層型の場合には、図6に示すように、支持部材19に貫通孔を設け、貫通孔内の外側で圧電アクチュエータを固定し、固定された側と反対側から圧電アクチュエータが突出するように配置してもよい。これにより、圧電素子の積層方向の長さを大きくとることができ、大きな変位量を確保できる。
【0032】
次いで、必要に応じて封止樹脂層15の上に粘着剤層或いは低硬度樹脂層を設け、その上に樹脂板16を載せて、樹脂板16と発光素子13との位置合わせをした後、支持部材19に固定した圧電アクチュエータ17の端部を樹脂板16の端面に接着し、支持部材19を接着剤等で基板11に固定する。発光素子13との位置合わせは、例えば、圧電アクチュエータ17が最も伸びている状態において、樹脂板16のアクチュエータ17と接触していない側の端部と発光素子13の端部とが一致するようにする(図3(b)、(c)の位置)。用いる圧電アクチュエータ17によって、非駆動状態から最も伸びている状態までの変位量を知ることができるので、圧電アクチュエータ17の非駆動状態において、樹脂板16の端部を発光素子13の端部から、その変位量に相当する差だけずらして配置することで、位置合わせが可能となる。
【0033】
最後に、支持部材19に固定した圧電アクチュエータ17の給電端子を基板11に形成された配線にはんだ等により接合し、駆動回路に電気的に接続する。
【0034】
また図6に示すように、支持部材19の貫通孔に圧電アクチュエータ17を設置する場合には、樹脂板16作製後の工程は以下のように変更することができる。
【0035】
まず支持部材19を予め基板11に接着あるいは基板11と一体的に成型しておく。一方、樹脂板16の端面に圧電アクチュエータ17の一端部を接着しておき、この樹脂板16を封止樹脂層15に載せるとともに、圧電アクチュエータ17の他端側を支持部材19の貫通孔に通す。次いで、樹脂板16と発光素子13との位置合わせをした後、圧電アクチュエータ17の他端部を支持部材19に固定する。その後、圧電アクチュエータ17を駆動回路に接続することは上記方法と同じである。
【0036】
以上のように構成される本実施形態の発光装置は、圧電アクチュエータ17を駆動しない状態で、発光装置の色度を測定した後、測定値が所望の色度範囲から外れる場合には、圧電アクチュエータ17に所定の電圧を印加し、樹脂板16をスライドさせる。樹脂板16がスライドすることにより、発光素子13上に位置する樹脂板16の総量が変化するため、発光装置全体としての色度(発光素子からの光と蛍光体からの光の合成としての光の色度)が変化する。ここで、圧電アクチュエータ17の変位量は、印加電圧に比例するので、電圧値を制御することにより、変位量すなわち樹脂板16のスライド量を制御し、色度を調整することができる。圧電アクチュエータ17のオンオフは、発光素子のオンオフと連動させることが好ましい。その際、圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して印加電圧を制御することも可能である。
【0037】
<第二実施形態>
図7は、本発明の発光装置の第二実施形態を示す図である。
本実施形態の発光装置も、基板11および発光素子13(131〜134)の構成は、第一実施形態と同様であり説明を省略する。なお図7では、封止樹脂層15を省略しているが、必要に応じて封止樹脂層15を設けることは第一実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態は、樹脂板16を発光素子の配列方向に対し直交する方向ではなく、配列方向と同方向にスライドさせる構成を備えている点が第一実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、樹脂板16をスライドさせるための支持部材19は、基板11の、発光素子13の配列方向の端部に固定され、この支持部材19と樹脂板16の長手方向の端部との間に圧電アクチュエータ17が固定されている。図示する実施形態では、一つの圧電アクチュエータ17を配置した場合を示しているが、アクチュエータの性能等により複数に分けて配置してもよい。
【0039】
発光素子13の配列に対する樹脂板16の位置は、例えば図7(a)に示すように、圧電アクチュエータ17が最も伸びた状態で、樹脂板16の自由端が、支持部材19から最も離れた位置の発光素子131の端部に達しているように配置される。そして、圧電アクチュエータ17の非作動状態では、図7(b)に示すように発光素子131は一部樹脂板16に覆われない状態となっている。
【0040】
このような構成において、圧電アクチュエータ17が作動し、伸縮すると、樹脂板16がスライドし、それに伴い発光素子131を覆う樹脂板161の面積(体積)が変化する。体積の変化は、すなわち発光素子131の上に存在する蛍光体の量の変化を意味し、発光装置の色度を変化させる。
【0041】
本実施形態における、樹脂板のスライド量(体積変化量)と色度(CIE・xy色度図のxおよびy)の関係を図8に示す。なお図8のグラフは、図4のグラフと同様に、発光素子として青色LED(サイズ:約400μm×約400μmmのチップをマトリクス状に密に並べて約1mm×約1mmの大きさとしたもの)を用い、YAG系蛍光体を含む樹脂板を用いて測定したデータである。本実施形態では、4つの発光素子131〜134のうち一つの発光素子131の上の樹脂板面積のみが変化するので、第一実施形態に比べ色度の変化は小さいが、樹脂板を約200μmスライドすることにより、色度を0.01〜0.015程度変化させることができる。
【0042】
<第三実施形態>
図9は、本発明の発光装置の第三実施形態を示す図である。本実施形態は、上述した第二実施形態と同様に、樹脂板16を発光素子13の配列方向と同方向にスライド可能にしたものであるが、樹脂板16に開口部16aを設けた点が異なる。その他の構成、例えば樹脂板16を支持する支持部材19の設置位置や樹脂板16と支持部材19との間に設けられる圧電アクチュエータ17の構成は、図7に示す発光装置と同様であるので説明を省略する。
【0043】
即ち、樹脂板16は、発光素子13の配列上に図9(a)に示すように重ねた場合、発光素子の配列の外側及び発光素子と発光素子との間に対応する位置に、それぞれ開口部16aが位置するように形成されている。開口部16aの幅Wは、隣接する発光素子間の間隔とほぼ同じであり、長さLは、発光素子の配列方向と直交する方向の長さとほぼ同じである。
【0044】
本実施形態の発光装置においても、圧電アクチュエータ17を駆動することにより樹脂板16が、例えば図9(a)に示す位置から図9(b)に示す位置に移動すると、各発光素子13の上に存在する樹脂板の体積が変化し、これに伴い発光装置が発する光の色度が変化する。本実施形態では、配列する全ての発光素子について、その上の樹脂板体積を変化させることができるので、発光装置における樹脂板16のスライド量(変位量)と色度の変化量との関係は、図4に示す第一実施形態の場合と同様である。第一実施形態に比べ、発光装置全体としての色の均一性が向上する。
【0045】
なお図9に示す例では、開口部16aを発光素子間の間隙に合わせた長方形としているが、開口部16aの形状は、発光素子上をスライドすることによって、発光素子部上に存在する開口部以外の樹脂板16の体積を変えることができるものであれば上記例に限定されず任意に変更することが可能である。また開口部16aの数も、「発光素子数+1又は2」以外の任意の数でよい。
【0046】
さらに開口部16aの代わりに、開口部に相当する部分を、蛍光体を含まない透明樹脂で構成されていてもよい。開口部ではなく透明樹脂部とすることにより、樹脂板16の強度を高めることができ、圧電アクチュエータによるスライド動作を円滑に行なわせることができる。
【0047】
<第四実施形態>
本実施形態の発光装置は、第三実施形態と同様に開口(スリット)が形成された樹脂板を、発光部と非発光部のパターンを有するフリップチップ型発光素子についても適用したものである。
【0048】
図10(a)に示すチップ20は、くし型のp型半導体層部22と、くし型のn型半導体層部21とを噛合うように組み合わせたパターンを有し、p型半導体層部22のみから発光する発光素子である。図10(b)は、このような発光素子に組み合わせる蛍光体入り樹脂板16を示す図で、n型半導体層部21とほぼ同形状のスリット16bが形成されている。樹脂板16は、そのスリット16bの方向がくし型の歯と揃うように発光素子に重ねられる。
【0049】
この樹脂板16の側面に、圧電アクチュエータ17を配置し、図中矢印で示す方向にスライドさせる。樹脂板16のスリット16bがp型半導体層部22に重なる位置と、n型半導体層部21に重なる位置との間で移動することによって、発光部であるp型半導体層部22上に存在する樹脂板16の体積が変化し、発光装置から発せられる光の色度が変化する。
【0050】
<第五実施形態>
上述した第一〜第四の実施形態では、積層型の圧電アクチュエータを用いた場合を示したが、バイモルフ型の圧電アクチュエータ17’を用いた場合の実施形態を図11(a)、(b)に示す。図11(a)はアクチュエータを駆動していない状態、(b)はアクチュエータを駆動することにより樹脂板が移動した状態を示す。その他の構成は、図1の発光装置と同様であり、説明を省略する。
【0051】
図示するように、バイモルフ型の圧電アクチュエータ17’は、その両端のみを支持部材19に固着し、中間部は樹脂板16に固定されている。この状態で、樹脂板16側の圧電材料が伸び、支持部材19側の圧電材料が収縮するように、両側の圧電材料に正負逆の電圧を供給すると、圧電アクチュエータ17’は、図11(b)に示すように変形し、これによって樹脂板16をスライドさせて、発光素子上面にある体積を変化させる。体積の変化により色度を変化させることは第一〜第四の実施形態の同様である。
【0052】
<その他の実施形態>
上述した第一〜第五の実施形態では、樹脂板16に含まれる蛍光体の含有量が均一である場合を説明したが、樹脂板16における蛍光体の含有量をスライド方向に傾斜を持たせることも可能である。或いは蛍光体の含有量が異なる複数の樹脂板を、スライド方向に接合して1枚の樹脂板としたものを用いることも可能である。
【0053】
例えば図12(a)、(b)に示すように、蛍光体の含有量が異なる2枚の樹脂板161、162を接合した樹脂板16を、蛍光体の含有量が多いほうの樹脂板162の右端が発光素子の配列の右端と一致する位置(b)と、蛍光体の含有量が少ないほうの樹脂板161の左端が発光素子13の配列の左端と一致する位置(a)との間で、スライドさせることにより、発光素子の配列の上に位置する蛍光体の総量を変化させることができ、結果として発光装置から発する光の色度を調整することができる。
【0054】
なお接合する蛍光体の含有量が異なる樹脂板の数は2枚に限らず、3枚以上にすることも可能である。
【0055】
また本実施形態では、図12に示すように、樹脂板16のスライド方向の両側に支持部材19、19’を設置し、樹脂板16と各支持部材19、19’との間に圧電アクチュエータ17、17’を配置する構成としている。樹脂板16をスライドさせる場合、2つの圧電アクチュエータ17、17’に逆極性の電圧を印加する。2つのアクチュエータを利用することで、発生する力は比較的小さいが、伸び量が大きい圧電アクチュエータを使用することができる。
【0056】
このように樹脂板のスライド方向両側に圧電アクチュエータを配置する構成は、図12に示す実施形態のみならず、上述した第一〜第五のすべての実施形態にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0057】
以上、本発明の発光装置の種々の実施形態について説明したが、本発明の発光装置は、適宜これら実施形態を変更すること、組み合わせること、さらに公知の構造を追加することが可能であり、このような変更も本発明に含まれる。
【0058】
本発明によれば、発光装置の製造後であっても色度を調整することができ、かつ調整量を制御することが可能である。また発光素子の性能を低下させることなく、可逆的な調整を行なうことができる。また発光素子の駆動電源の制約も受けず、パルス駆動できない用途にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により、色度の微調整が可能であり、輝度むらのない半導体発光装置が提供される。
【符号の説明】
【0060】
11・・・基板、13・・・発光素子、15・・・封止樹脂層、16・・・蛍光体入り樹脂板(封止樹脂部)、17、17’・・・圧電アクチュエータ(スライド手段)、19、19’・・・支持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子と、蛍光体等の波長変換材料を含む封止樹脂とを備えた半導体発光装置に係り、特に発光装置の色度を調整する技術に関わる。
【背景技術】
【0002】
発光素子と蛍光体を含む封止樹脂を用いる半導体発光装置では、封止樹脂における蛍光体の含有量および封止樹脂の充填量を正確に制御することが困難であり、これらのばらつきによって発光装置間で色度がばらつくという問題がある。この問題を解決するため、従来、発光装置の製造工程内で、ばらつきを抑制する工夫がなされてきたが、製造工程で厳格な色度の管理をするのではなく、製造後に色度を調整する技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、封止樹脂の表面の一部に光散乱部を設けて色度のばらつきを調整する技術が提案されている。この技術では、封止樹脂から出射した光の一部を再度封止樹脂に戻すことによって、封止樹脂中の蛍光体から発生する光を増やし、色度を変化させている。
【0004】
また特許文献2には、封止樹脂の表面をレーザ照射して機械的にトリミング加工することで、色度が所定の値となるように調整する技術が記載されている。
【0005】
さらに特許文献3には、発光素子の駆動電流をパルス電流とし、そのパルス条件を変化させることにより、発光素子の発光波長や発光量を変化させて、発光装置の色度を調整する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−130301号公報
【特許文献2】特開2009−158541号公報
【特許文献3】特開2007−142152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載された技術は、色度調整のための手段(色度調整手段)が不可逆的であるため、最適な色度に調整することが困難であり、また一旦色度調整手段を設けた後は、微調整ができないという問題がある。それに加えて、特許文献1に記載された技術は、発光装置の表面の一部に光散乱部を設けるため、発光状態が面内で不連続になり、輝度むらや色度むらの原因となる可能性がある。また特許文献2に記載された技術は、トリミング加工に用いられるレーザ照射の照射強度によっては発光素子を損傷する可能性もある。
【0008】
また特許文献3に記載された技術は、発光素子の駆動電源としてパルス電流を用いることが前提であり、パルス駆動できない用途では適用することができない。
【0009】
本発明は、発光装置製造後に色度を調整する手段を備え、色度の調整を可逆的に行うことができ、それにより調整が容易で且つ発光素子の駆動方法に対する制限もなく色度の調整を行うことができる半導体発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の半導体発光装置は、基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする。
【0011】
スライド手段は、例えば、圧電素子を有する圧電アクチュエータを備え、その一端は基板側に固定され他端は封止樹脂部の端部に固定される。
発光素子が複数の配列からなる場合、スライド手段が封止樹脂部を移動させる方向は、配列方向であってもよいし、配列方向と直交する方向であってもよい。
また封止樹脂部は、多層であってもよく、そのうち少なくとも1層をスライド手段によって移動可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の半導体発光装置の第一実施形態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ本発明の半導体発光装置で利用するアクチュエータのタイプを示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の半導体発光装置の樹脂板がアクチュエータによって移動した状態を説明する図である。
【図4】第一実施形態における樹脂板のスライド量と発光装置が発する光の色度との関係を示すグラフ
【図5】SAE米国自動車技術会規格で規定される白色エリアと、本発明により拡大可能な範囲とを示す図
【図6】積層型圧電アクチュエータの固定構造の変更例を示す図
【図7】本発明の半導体発光装置の第二実施形態を示す図で、(a)は上面図と側断面図、(b)は樹脂板の位置が(a)と異なる場合の上面図と側断面図である。
【図8】第二実施形態における樹脂板のスライド量と発光装置が発する光の色度との関係を示すグラフ
【図9】本発明の半導体発光装置の第三実施形態を示す図で、(a)は上面図と側断面図、(b)は樹脂板の位置が(a)と異なる場合の上面図と側断面図である。
【図10】本発明の半導体発光装置の第四実施形態を示す図で、(a)は発光素子を示す図、(b)は樹脂板を示す図である。
【図11】本発明の半導体発光装置の第五実施形態を示す図で、(a)、(b)はそれぞれ樹脂板が異なる位置にある状態を示す断面図である。
【図12】本発明の半導体発光装置の他の実施形態を示す断面図で、(a)、(b)はそれぞれ樹脂板が異なる位置にある状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の半導体発光装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1(a)は、本発明の半導体発光装置の第一実施形態を示す上面図、(b)は側断面図である。この半導体発光装置は、導体パターンが形成された基板11と、基板上に実装されたLED等の半導体発光素子13と、この発光素子13を覆う封止樹脂層15と、封止樹脂層15の上にスライド可能に設置された蛍光体入り樹脂板(以下、単に樹脂板という)16と、樹脂板16の端部に固定され、樹脂板16をスライドさせるための圧電アクチュエータ17とを備えている。本実施形態では樹脂板16を発光素子13の配列と直交する方向にスライドさせるために、樹脂板16の発光素子の配列方向の側面に沿って、複数の圧電アクチュエータ17が設けられており、樹脂板16に固定されていない圧電アクチュエータ17の他端は、基板11に固定された支持部材19に固定されている。
【0014】
発光素子13の実装方法は、特に限定されないが、図示する実施形態では、基板11に金属バンプ12を形成し、その金属バンプ12に発光素子13の2つの電極パッド(図示せず)をそれぞれ接合するフリップチップ実装である。また図示する実施形態では、4つの発光素子を一列に配列した発光装置を示しているが、発光素子の数は4に限定されず、一つであってもよいし4以外の数でもよい。また複数の場合、2次元方向に配列していてもよい。
【0015】
封止樹脂層15は、本実施形態の発光装置では、封止樹脂層15と樹脂板16とを組み合わせたものが発光素子からの光を制御する封止樹脂部として機能する。樹脂板16とは別に封止樹脂層15を設けることにより、後述する圧電アクリュエータ17が作動することによって樹脂板16がスライドしたときに、その下に位置していた発光素子からの光が直接発光装置から出力されるのを防止し、発光素子と蛍光体の混色内での色度変化を調整することができる。従って樹脂板の上方に散乱板やレンズを配置する場合には、封止樹脂層15は必須ではない。
【0016】
封止樹脂層15と樹脂板16とは、同様の材料からなる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透明な樹脂を母材とし、蛍光体等の波長変換材料と、必要に応じて、シリカ、酸化チタン等のフィラーを含む。樹脂板16に用いられる蛍光体は、封止樹脂層15に含まれる蛍光体と同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
波長変換材料は、発光素子13の発する光を吸収して、異なる波長の光を発生するもので、具体的には、ニトリド或いはオキシニトリド蛍光体、YAG系蛍光体、BAM蛍光体(アルミン酸系青色蛍光体)、SiAlON蛍光体等の蛍光体が用いられる。フィラーは、製造工程における封止樹脂の粘度を調整するためや、色むらを軽減するための拡散材として用いられる。蛍光体およびフィラーの含有量は特に限定されないが、樹脂に対する蛍光体およびフィラーの合計含有量の重量割合で、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは20〜50重量%である。このような範囲とすることにより、比較的小さい封止樹脂厚みで波長変換効率の高い封止樹脂を形成することができる。なお封止樹脂層15を発光素子の保護層としてのみ利用する場合には、封止樹脂層15は蛍光体を含まなくてもよい。
【0018】
樹脂板16は、封止樹脂層15に対しスライド可能であり、発光素子に対する基板面方向の位置が可変に構成されている。樹脂板16は、封止樹脂層15の上に載置してもよいし、粘着剤や低硬度樹脂、例えば、JIS−A硬度(JIS K6253)で20°以下の樹脂を介して軽く接着されていてもよい。
樹脂板16の厚みは、特に限定されるものではないが、アクチュエータ17によってスライドさせることが可能な剛性を備えていることが必要であり、具体的には、好ましくは0.005〜2mm、より好ましくは0.02〜0.50mmとする。
【0019】
樹脂板16を封止樹脂層15に対しスライドさせる手段である圧電アクチュエータ17は、一端が支持部材19に固定されるとともに図示しない駆動回路に接続されている。このため、基板11には、発光素子13が接合される電極のほかに、圧電アクチュエータ17に給電するための電極(図示せず)が形成されており、圧電アクチュエータ17は、この電極を介して、駆動回路に接続される。支持部材19は、樹脂やセラミックス等からなり基板11に接着剤により固定されている。支持部材19は、基板11と一体成型により形成したものであってもよい。
【0020】
図1(a)に示す実施形態では、樹脂板16と支持部材19との間に、5個の圧電アクチュエータ17が所定の間隔をもって配置されているが、圧電アクチュエータ17の数や設置位置は図示する例に限定されず、圧電アクチュエータ17の性能に応じて、適宜変更が可能である。
【0021】
圧電アクチュエータ17は、ピエゾ素子等の公知の圧電材料からなる。公知の圧電材料には、図2(a)〜(d)に示すように、ベンダー型(モノモルフ型、バイモルフ型)(a)、積層型(b)、バイモルフ型圧電素子を積層したもの(以下、新積層型という)(c)、ディスク形状で中心が盛り上がるように変位するリングベンダー(d)など種々の構造のものが知られており、本発明では数十μm程度の変位量が得られるものであればいずれのタイプも採用することができる。特に、樹脂板16をスライドさせるのに必要な力が得やすいという点で、積層型或いは新積層型が好適である。
【0022】
図1に示す実施形態では、積層型或いは新積層型の圧電アクチュエータ17を採用した場合を示している。この圧電アクチュエータ17は、正(+)電圧が印加されると積層方向に伸び、負(−)電圧が印加される積層方向に縮み、これによって、例えば樹脂板16を図1(a)、(b)に矢印で示す方向(基板面に平行な方向)にスライドさせる。
【0023】
樹脂板16がスライドすることにより、発光素子上面に存在する樹脂板の面積が変化し、発光素子から発した光が通過する蛍光体の量が変ることになるので、色度が変化する。例えば、樹脂板16が、図3(a)に示す、発光素子の一部を覆っていない位置から、図3(b)、(c)に示す、発光素子を完全に覆う位置にスライドした場合には、発光素子上に存在する蛍光体の量が増加する。
【0024】
樹脂板のスライド量(体積の変化量)と色度との関係は、発光素子や蛍光体の種類や樹脂板の厚みによっても異なるが、青色LEDとYAG系蛍光体を組み合わせた一般的な半導体発光装置では、スライド量と色度とはほぼリニアに変化すると考えられる。本実施形態の発光装置において、4つの発光素子の配列を樹脂板16が完全に覆った状態から、発光素子の一部が露出するようにスライドさせた場合の色度(CIE・xy色度図のxおよびy)の変化を図4に示す。図示するように、変位量と色度(x、y)は、ほぼリニアに変化し、樹脂板が発光素子の端部から約50μmまでスライドすると、色度は0.01〜0.02程度減少している。なお図4のグラフは、発光素子として青色LED(サイズ:約400μm×約400μmmのチップをマトリクス状に密に並べて約1mm×約1mmの大きさとしたもの)を用い、YAG系蛍光体を含む樹脂板を用いて測定したデータである。
【0025】
入手可能な積層型圧電素子として、例えば変位量がカタログ値で数μmから50μmの積層型圧電アクチュエータが市販おり、これらの板厚や積層数等の設定により、数mmの大きさで数十μm程度の変位を実現できる。
【0026】
また図1(a)に示すように、圧電アクチュエータ17を樹脂板16の側面に沿って複数配置することにより、単独では数十μmの変位量を実現できない小サイズの圧電アクチュエータ17であっても、大きな変位量と力を得ることができる。支持部材19は圧電アクチュエータ17の変位量と寸法を考慮して、その設置位置を決定する。
【0027】
図5は、SAE米国自動車技術会規格で定められている車両用ヘッドランプの白色エリア(太線内)を示す色度表である。色度が0.01〜0.02の範囲で調整可能であることにより、調整前の製品における実効的な白色エリアを図中、点線で囲むエリアまで拡大することもできる。一方、製品によって太線の白色エリアよりも狭いエリアが要求される場合には、その要求を満たすことも可能になる。
【0028】
次に上記構成の発光素子の製造方法の一例を説明する。ただし本発明の発光装置は以下の製造方法によって製造されたものに限定されるものではない。
【0029】
まず発光素子用の電極(金属バンプ)と、圧電アクチュエータ用の電極(金属バンプ)が形成された基板11を作成し、基板11に発光素子を接合する。図1(a)に示すようなフリップチップ実装の発光装置では、発光素子の片面に形成された2つの電極を金属バンプに接合する。またワイヤボンディングによって接合するタイプの発光装置の場合には、発光素子の電極を金等のワイヤで接合する。
【0030】
次に、印刷法により、封止樹脂用樹脂組成物で発光素子13の周囲を覆い、樹脂組成物を硬化させて薄い封止樹脂層15を形成する。封止樹脂層15の厚みは10〜500μm程度とする。一方、封止樹脂層15と同様の樹脂組成物を用いて、厚み0.02〜0.5mm程度の樹脂板16を成型により作製する。
【0031】
また複数の圧電アクチュエータ17を固定した支持部材19を用意する。圧電アクチュエータ17がバイモルフ型或いはバイモルフ型を積層した型のアクチュエータであるときは、その端部(一端部または両端部)のみを支持部材19に固定する。積層型または新積層型の場合には、端面を支持部材19に固定する。なお積層型の場合には、図6に示すように、支持部材19に貫通孔を設け、貫通孔内の外側で圧電アクチュエータを固定し、固定された側と反対側から圧電アクチュエータが突出するように配置してもよい。これにより、圧電素子の積層方向の長さを大きくとることができ、大きな変位量を確保できる。
【0032】
次いで、必要に応じて封止樹脂層15の上に粘着剤層或いは低硬度樹脂層を設け、その上に樹脂板16を載せて、樹脂板16と発光素子13との位置合わせをした後、支持部材19に固定した圧電アクチュエータ17の端部を樹脂板16の端面に接着し、支持部材19を接着剤等で基板11に固定する。発光素子13との位置合わせは、例えば、圧電アクチュエータ17が最も伸びている状態において、樹脂板16のアクチュエータ17と接触していない側の端部と発光素子13の端部とが一致するようにする(図3(b)、(c)の位置)。用いる圧電アクチュエータ17によって、非駆動状態から最も伸びている状態までの変位量を知ることができるので、圧電アクチュエータ17の非駆動状態において、樹脂板16の端部を発光素子13の端部から、その変位量に相当する差だけずらして配置することで、位置合わせが可能となる。
【0033】
最後に、支持部材19に固定した圧電アクチュエータ17の給電端子を基板11に形成された配線にはんだ等により接合し、駆動回路に電気的に接続する。
【0034】
また図6に示すように、支持部材19の貫通孔に圧電アクチュエータ17を設置する場合には、樹脂板16作製後の工程は以下のように変更することができる。
【0035】
まず支持部材19を予め基板11に接着あるいは基板11と一体的に成型しておく。一方、樹脂板16の端面に圧電アクチュエータ17の一端部を接着しておき、この樹脂板16を封止樹脂層15に載せるとともに、圧電アクチュエータ17の他端側を支持部材19の貫通孔に通す。次いで、樹脂板16と発光素子13との位置合わせをした後、圧電アクチュエータ17の他端部を支持部材19に固定する。その後、圧電アクチュエータ17を駆動回路に接続することは上記方法と同じである。
【0036】
以上のように構成される本実施形態の発光装置は、圧電アクチュエータ17を駆動しない状態で、発光装置の色度を測定した後、測定値が所望の色度範囲から外れる場合には、圧電アクチュエータ17に所定の電圧を印加し、樹脂板16をスライドさせる。樹脂板16がスライドすることにより、発光素子13上に位置する樹脂板16の総量が変化するため、発光装置全体としての色度(発光素子からの光と蛍光体からの光の合成としての光の色度)が変化する。ここで、圧電アクチュエータ17の変位量は、印加電圧に比例するので、電圧値を制御することにより、変位量すなわち樹脂板16のスライド量を制御し、色度を調整することができる。圧電アクチュエータ17のオンオフは、発光素子のオンオフと連動させることが好ましい。その際、圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して印加電圧を制御することも可能である。
【0037】
<第二実施形態>
図7は、本発明の発光装置の第二実施形態を示す図である。
本実施形態の発光装置も、基板11および発光素子13(131〜134)の構成は、第一実施形態と同様であり説明を省略する。なお図7では、封止樹脂層15を省略しているが、必要に応じて封止樹脂層15を設けることは第一実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態は、樹脂板16を発光素子の配列方向に対し直交する方向ではなく、配列方向と同方向にスライドさせる構成を備えている点が第一実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、樹脂板16をスライドさせるための支持部材19は、基板11の、発光素子13の配列方向の端部に固定され、この支持部材19と樹脂板16の長手方向の端部との間に圧電アクチュエータ17が固定されている。図示する実施形態では、一つの圧電アクチュエータ17を配置した場合を示しているが、アクチュエータの性能等により複数に分けて配置してもよい。
【0039】
発光素子13の配列に対する樹脂板16の位置は、例えば図7(a)に示すように、圧電アクチュエータ17が最も伸びた状態で、樹脂板16の自由端が、支持部材19から最も離れた位置の発光素子131の端部に達しているように配置される。そして、圧電アクチュエータ17の非作動状態では、図7(b)に示すように発光素子131は一部樹脂板16に覆われない状態となっている。
【0040】
このような構成において、圧電アクチュエータ17が作動し、伸縮すると、樹脂板16がスライドし、それに伴い発光素子131を覆う樹脂板161の面積(体積)が変化する。体積の変化は、すなわち発光素子131の上に存在する蛍光体の量の変化を意味し、発光装置の色度を変化させる。
【0041】
本実施形態における、樹脂板のスライド量(体積変化量)と色度(CIE・xy色度図のxおよびy)の関係を図8に示す。なお図8のグラフは、図4のグラフと同様に、発光素子として青色LED(サイズ:約400μm×約400μmmのチップをマトリクス状に密に並べて約1mm×約1mmの大きさとしたもの)を用い、YAG系蛍光体を含む樹脂板を用いて測定したデータである。本実施形態では、4つの発光素子131〜134のうち一つの発光素子131の上の樹脂板面積のみが変化するので、第一実施形態に比べ色度の変化は小さいが、樹脂板を約200μmスライドすることにより、色度を0.01〜0.015程度変化させることができる。
【0042】
<第三実施形態>
図9は、本発明の発光装置の第三実施形態を示す図である。本実施形態は、上述した第二実施形態と同様に、樹脂板16を発光素子13の配列方向と同方向にスライド可能にしたものであるが、樹脂板16に開口部16aを設けた点が異なる。その他の構成、例えば樹脂板16を支持する支持部材19の設置位置や樹脂板16と支持部材19との間に設けられる圧電アクチュエータ17の構成は、図7に示す発光装置と同様であるので説明を省略する。
【0043】
即ち、樹脂板16は、発光素子13の配列上に図9(a)に示すように重ねた場合、発光素子の配列の外側及び発光素子と発光素子との間に対応する位置に、それぞれ開口部16aが位置するように形成されている。開口部16aの幅Wは、隣接する発光素子間の間隔とほぼ同じであり、長さLは、発光素子の配列方向と直交する方向の長さとほぼ同じである。
【0044】
本実施形態の発光装置においても、圧電アクチュエータ17を駆動することにより樹脂板16が、例えば図9(a)に示す位置から図9(b)に示す位置に移動すると、各発光素子13の上に存在する樹脂板の体積が変化し、これに伴い発光装置が発する光の色度が変化する。本実施形態では、配列する全ての発光素子について、その上の樹脂板体積を変化させることができるので、発光装置における樹脂板16のスライド量(変位量)と色度の変化量との関係は、図4に示す第一実施形態の場合と同様である。第一実施形態に比べ、発光装置全体としての色の均一性が向上する。
【0045】
なお図9に示す例では、開口部16aを発光素子間の間隙に合わせた長方形としているが、開口部16aの形状は、発光素子上をスライドすることによって、発光素子部上に存在する開口部以外の樹脂板16の体積を変えることができるものであれば上記例に限定されず任意に変更することが可能である。また開口部16aの数も、「発光素子数+1又は2」以外の任意の数でよい。
【0046】
さらに開口部16aの代わりに、開口部に相当する部分を、蛍光体を含まない透明樹脂で構成されていてもよい。開口部ではなく透明樹脂部とすることにより、樹脂板16の強度を高めることができ、圧電アクチュエータによるスライド動作を円滑に行なわせることができる。
【0047】
<第四実施形態>
本実施形態の発光装置は、第三実施形態と同様に開口(スリット)が形成された樹脂板を、発光部と非発光部のパターンを有するフリップチップ型発光素子についても適用したものである。
【0048】
図10(a)に示すチップ20は、くし型のp型半導体層部22と、くし型のn型半導体層部21とを噛合うように組み合わせたパターンを有し、p型半導体層部22のみから発光する発光素子である。図10(b)は、このような発光素子に組み合わせる蛍光体入り樹脂板16を示す図で、n型半導体層部21とほぼ同形状のスリット16bが形成されている。樹脂板16は、そのスリット16bの方向がくし型の歯と揃うように発光素子に重ねられる。
【0049】
この樹脂板16の側面に、圧電アクチュエータ17を配置し、図中矢印で示す方向にスライドさせる。樹脂板16のスリット16bがp型半導体層部22に重なる位置と、n型半導体層部21に重なる位置との間で移動することによって、発光部であるp型半導体層部22上に存在する樹脂板16の体積が変化し、発光装置から発せられる光の色度が変化する。
【0050】
<第五実施形態>
上述した第一〜第四の実施形態では、積層型の圧電アクチュエータを用いた場合を示したが、バイモルフ型の圧電アクチュエータ17’を用いた場合の実施形態を図11(a)、(b)に示す。図11(a)はアクチュエータを駆動していない状態、(b)はアクチュエータを駆動することにより樹脂板が移動した状態を示す。その他の構成は、図1の発光装置と同様であり、説明を省略する。
【0051】
図示するように、バイモルフ型の圧電アクチュエータ17’は、その両端のみを支持部材19に固着し、中間部は樹脂板16に固定されている。この状態で、樹脂板16側の圧電材料が伸び、支持部材19側の圧電材料が収縮するように、両側の圧電材料に正負逆の電圧を供給すると、圧電アクチュエータ17’は、図11(b)に示すように変形し、これによって樹脂板16をスライドさせて、発光素子上面にある体積を変化させる。体積の変化により色度を変化させることは第一〜第四の実施形態の同様である。
【0052】
<その他の実施形態>
上述した第一〜第五の実施形態では、樹脂板16に含まれる蛍光体の含有量が均一である場合を説明したが、樹脂板16における蛍光体の含有量をスライド方向に傾斜を持たせることも可能である。或いは蛍光体の含有量が異なる複数の樹脂板を、スライド方向に接合して1枚の樹脂板としたものを用いることも可能である。
【0053】
例えば図12(a)、(b)に示すように、蛍光体の含有量が異なる2枚の樹脂板161、162を接合した樹脂板16を、蛍光体の含有量が多いほうの樹脂板162の右端が発光素子の配列の右端と一致する位置(b)と、蛍光体の含有量が少ないほうの樹脂板161の左端が発光素子13の配列の左端と一致する位置(a)との間で、スライドさせることにより、発光素子の配列の上に位置する蛍光体の総量を変化させることができ、結果として発光装置から発する光の色度を調整することができる。
【0054】
なお接合する蛍光体の含有量が異なる樹脂板の数は2枚に限らず、3枚以上にすることも可能である。
【0055】
また本実施形態では、図12に示すように、樹脂板16のスライド方向の両側に支持部材19、19’を設置し、樹脂板16と各支持部材19、19’との間に圧電アクチュエータ17、17’を配置する構成としている。樹脂板16をスライドさせる場合、2つの圧電アクチュエータ17、17’に逆極性の電圧を印加する。2つのアクチュエータを利用することで、発生する力は比較的小さいが、伸び量が大きい圧電アクチュエータを使用することができる。
【0056】
このように樹脂板のスライド方向両側に圧電アクチュエータを配置する構成は、図12に示す実施形態のみならず、上述した第一〜第五のすべての実施形態にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0057】
以上、本発明の発光装置の種々の実施形態について説明したが、本発明の発光装置は、適宜これら実施形態を変更すること、組み合わせること、さらに公知の構造を追加することが可能であり、このような変更も本発明に含まれる。
【0058】
本発明によれば、発光装置の製造後であっても色度を調整することができ、かつ調整量を制御することが可能である。また発光素子の性能を低下させることなく、可逆的な調整を行なうことができる。また発光素子の駆動電源の制約も受けず、パルス駆動できない用途にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により、色度の微調整が可能であり、輝度むらのない半導体発光装置が提供される。
【符号の説明】
【0060】
11・・・基板、13・・・発光素子、15・・・封止樹脂層、16・・・蛍光体入り樹脂板(封止樹脂部)、17、17’・・・圧電アクチュエータ(スライド手段)、19、19’・・・支持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、
前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体発光装置であって、
前記スライド手段は、圧電素子を有する圧電アクチュエータからなり、前記圧電素子の一端が前記基板側に固定され他端が前記封止樹脂部に固定されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体発光装置であって、
前記基板面と平行な1の方向に配列した複数の発光素子を備え、前記スライド手段は、前記発光素子の配列方向と平行な方向に前記封止樹脂部を移動させることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体発光装置であって、
前記発光素子は、前記基板面と平行な1の方向に配列した複数からなり、前記スライド手段は、前記発光素子の配列方向と直交する方向に前記封止樹脂部を移動させることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の半導体発光装置であって、
前記封止樹脂部は、前記発光素子に固着された第1の封止樹脂部と、前記第1の封止樹脂層の上に配置された第2の封止樹脂部からなり、当該第2の封止樹脂部に前記スライド手段が備えられたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の半導体発光装置であって、
前記スライド手段によって移動可能な封止樹脂部は、1ないし複数のスリット部または開口部を有することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項7】
基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子からなる発光部と、前記発光部と交互に配置された非発光部と、前記発光部を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記非発光部の形状と同形状の切りかけ部を有し、
前記封止樹脂部を、前記基板の表面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光部に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項1】
基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子と、前記1ないし複数の発光素子を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置であって、
前記封止樹脂部を、前記基板の前記発光素子が実装された基板面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光素子に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体発光装置であって、
前記スライド手段は、圧電素子を有する圧電アクチュエータからなり、前記圧電素子の一端が前記基板側に固定され他端が前記封止樹脂部に固定されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体発光装置であって、
前記基板面と平行な1の方向に配列した複数の発光素子を備え、前記スライド手段は、前記発光素子の配列方向と平行な方向に前記封止樹脂部を移動させることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体発光装置であって、
前記発光素子は、前記基板面と平行な1の方向に配列した複数からなり、前記スライド手段は、前記発光素子の配列方向と直交する方向に前記封止樹脂部を移動させることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の半導体発光装置であって、
前記封止樹脂部は、前記発光素子に固着された第1の封止樹脂部と、前記第1の封止樹脂層の上に配置された第2の封止樹脂部からなり、当該第2の封止樹脂部に前記スライド手段が備えられたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の半導体発光装置であって、
前記スライド手段によって移動可能な封止樹脂部は、1ないし複数のスリット部または開口部を有することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項7】
基板と、当該基板の上に実装された1ないし複数の発光素子からなる発光部と、前記発光部と交互に配置された非発光部と、前記発光部を覆う封止樹脂部とを有し、前記封止樹脂部は前記発光素子が発する光を吸収し、異なる波長の光を発する波長変換材料を含む半導体発光装置において、
前記封止樹脂部は、前記非発光部の形状と同形状の切りかけ部を有し、
前記封止樹脂部を、前記基板の表面と平行な方向に移動させるスライド手段を備え、前記発光部に対する前記封止樹脂部の位置を可変にしたことを特徴とする半導体発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−181862(P2011−181862A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47377(P2010−47377)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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