説明

半導体発光装置

【課題】発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化し、発光色の色斑を改善した半導体発光装置を提供する。
【解決手段】チップ基板1と、チップ基板1上に配置された第1端子電極2aおよび第2端子電極2kと、チップ基板1の上面外縁を囲むように配置された反射ケース5と、第1端子電極2a上に配置された半導体発光素子3と、半導体発光素子3と第2端子電極2kを接続するボンディングワイヤ4と、反射ケース5で囲まれた内部に配置され、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層6と、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面に配置され、沈殿する第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を貯蔵する貯蔵部8とを備える半導体発光装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関し、特に発光色のばらつきを改善した半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子を用いた発光装置として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)をパッケージの凹状のカップ部の内部に収容し、LEDの発光出力を波長変換するための蛍光物質を含む透光性部材をカップ部内に充填した構成を有するものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−244421号公報
【特許文献2】特開2010−114218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化し、発光色の色斑を改善した半導体発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、チップ基板と、前記チップ基板上に配置された第1端子電極および第2端子電極と、前記チップ基板の上面外縁を囲むように配置された反射ケースと、前記第1端子電極上に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子と第2端子電極を接続するボンディングワイヤと、前記反射ケースで囲まれた内部に配置され、発光蛍光体を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層と、前記反射ケースで囲まれた前記チップ基板表面に配置され、沈殿する前記発光蛍光体を貯蔵する貯蔵部とを備える半導体発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化し、発光色の色斑を改善した半導体発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)比較例に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成図、(b)図1(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図2】(a)第1の実施の形態に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成図、(b)図2(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図3】(a)図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(b)第1の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置であって、図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図。
【図4】発光蛍光体を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層の熱硬化強度Hと熱硬化時間tとの関係を示す模式図。
【図5】(a)第2の実施の形態に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成図、(b)図5(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図6】図5(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図。
【図7】第2の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置の模式的断面構造図。
【図8】第3の実施の形態に係る半導体発光装置の模式的断面構造図。
【図9】第4の実施の形態に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成図。
【図10】第4の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0009】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(比較例)
比較例に係る半導体発光装置10aは、図1(a)および図1(b)に示すように、チップ基板1と、チップ基板1上に配置された第1端子電極2a・第2端子電極2kと、チップ基板1の上面外縁を囲むように配置された反射ケース5と、第1端子電極2a上に配置された半導体発光素子3と、半導体発光素子3の上面電極(図示省略)と第2端子電極2kを接続するボンディングワイヤ4と、反射ケース5で囲まれた内部に配置され、第1発光蛍光体61と第2発光蛍光体62とを透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層6とを備える。ここで、蛍光体層6は、反射ケース5で囲まれた内部に配置され、第1端子電極2a・第2端子電極2k・半導体発光素子3・ボンディングワイヤ4などを封止している。
【0011】
図1(a)および図1(b)に示すように、第1発光蛍光体61および第2発光蛍光体62は、蛍光体層6中では相対的に比重が重たいため沈殿する。また、第1発光蛍光体61および第2発光蛍光体62の沈殿の仕方に斑(むら)がある。例えば、図1(a)に示すように、パイルアップ部分Aの様に、蛍光体が集中する部分がある一方、フラット部分Bの様に、蛍光体がほとんど無い部分もある。第1発光蛍光体61および第2発光蛍光体62の位置がばらつくと色度ばらつきを生じ易い。また、発光装置毎にも色度ばらつきを生じ易い。
【0012】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10の模式的平面パターン構成は、図2(a)に示すように表され、図2(a)のI−I線に沿う模式的断面構造は、図2(b)に示すように表される。また、図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造は、図3(a)に示すように表される。
【0013】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10は、図2〜図3に示すように、チップ基板1と、チップ基板1上に配置された第1端子電極2aおよび第2端子電極2kと、チップ基板1の上面外縁を囲むように配置された反射ケース5と、第1端子電極2上に配置された半導体発光素子3と、半導体発光素子3と第2端子電極2kを接続するボンディングワイヤ4、反射ケース5で囲まれた内部に配置され、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層6と、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面に配置され、沈殿する第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体を貯蔵する貯蔵部8とを備える。
【0014】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10において、貯蔵部8は、図2〜図3に示すように、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面に形成された溝部で構成されている。
【0015】
この貯蔵部8を構成する溝部は、図2〜図3に示すように、チップ基板1の表面上において、半導体発光素子3を取り囲んで配置されている。
【0016】
また、この貯蔵部8を構成する溝部は、図2〜図3に示すように、連続したリング状に配置されている。
【0017】
また。この貯蔵部8を構成する溝部の断面形状は、図2〜図3に示すように、例えば、U字である。
【0018】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10において、蛍光体層6は、反射ケース5で囲まれた内部に配置され、第1端子電極2aおよび第2端子電極2kと、半導体発光素子3と、ボンディングワイヤ4を封止している。
【0019】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10においては、半導体発光素子3の周囲の反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面上に、貯蔵部8を構成する溝部を設け、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62をこの溝部内に積極的に沈殿させる。基本的な構造として、発光蛍光体を半導体発光素子3に密着させて塗布するのではなく、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を沈殿させて、貯蔵する貯蔵部8を溝部によって形成している。
【0020】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10においては、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8を溝部によって設けることで、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の沈殿を均一にすることによって、発光色の色斑(むら)を抑制し、発光色を均一化することができる。
【0021】
また、第1の実施の形態に係る半導体発光装置10においては、沈殿する第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の密度は、貯蔵部8を構成する溝部において最大であり、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面に垂直方向に蛍光体層6中を上昇するに従って、次第に低下する。
【0022】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10においては、図2〜図3に示すように、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8を溝部によって設けることで、この溝部に第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を収集して、色度ばらつきを低減化することができ、品質の安定化、向上を図ることができる。
【0023】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10においては、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8を設けることで、この貯蔵部8に貯蔵された第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62によって、半導体発光素子3からのLED光hνを繰り返し反射させる。この結果、半導体発光装置10から発光される光hνは、比較例のようなフラット部分Bやパイルアップ部分Aのような第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の沈殿に斑がないため、一定の色度が得られるようになる。
【0024】
また、第1の実施の形態においては、発光蛍光体は、複数種類存在していても良い。
【0025】
半導体発光素子3は、窒化物系半導体により形成された青色LEDで形成されていても良い。この場合、第1発光蛍光体61および第2発光蛍光体62は、共に黄色蛍光体で形成されていても良い。或いは、演色性を確保するために、第1発光蛍光体61は赤色蛍光体、第2発光蛍光体62は、緑色蛍光体で形成されていても良い。
【0026】
ここで、青色LEDを励起光源とする黄色蛍光体としては、例えば、Ce添加YAG(Y3Al512:Ce)蛍光体、Eu添加α−サイアロン(CaSiAlON:Eu)、シリケート蛍光体((Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)などを用いることができる。すなわち、青色発光LEDの青色光の一部を黄色蛍光体により黄色の発光に変換し、青+黄の発光により白色発光を得ることができる。
【0027】
また、青色LEDを励起光源とする緑色蛍光体としては、例えば、Eu添加β−サイアロン(Si6-zAlzz8-z:Eu)蛍光体、Ce添加CSSO(Ca3Sc2Si312:Ce)蛍光体などを用いることができる。
【0028】
また、青色LEDを励起光源とする赤色蛍光体としては、例えば、Eu添加CaAlSiN3(CaAlSiN3:Eu)蛍光体などを用いることができる。
【0029】
また、半導体発光素子3は、窒化物系半導体により形成された紫外光LEDで形成されていても良い。この場合、第1発光蛍光体61および第2発光蛍光体62は、共に黄色蛍光体で形成されていても良い。或いは、演色性を確保するために、第1発光蛍光体61は青色蛍光体、第2発光蛍光体62は、黄色蛍光体で形成されていても良い。
【0030】
紫外光LEDを励起光源とする青色蛍光体としては、紫外光を受けて青色に発光するものであれば良く、例えば、ハロゲン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体などが挙げられる。また、付活剤としては、例えば、セリウム、ユウロピウム、マンガン、ガドリニウム、サマリウム、テルビウム、スズ、クロム、アンチモン等の元素を挙げることができる。この中でもユウロピウムが好ましい。付活剤の添加量は、蛍光体に対して0.1〜10mol%の範囲が好ましい。
【0031】
紫外光LEDを励起光源とする黄色蛍光体としては、青色発光を吸収して黄色に発光する蛍光体および紫外線を吸収して黄色に発光する蛍光体のいずれであっても良い。ここで、演色性を確保するために、第1発光蛍光体61を青色蛍光体、第2発光蛍光体62を黄色蛍光体で形成する場合には、発光効率を一層高めるためには、紫外線を吸収して黄色に発光する蛍光体が望ましい。青色発光を吸収して黄色に発光する蛍光体としては、例えば、有機蛍光体では、アリルスルホアミド・メラミンホルムアルデヒド共縮合染色物やペリレン系蛍光体等を挙げることができ、無機蛍光体では、アルミン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等を挙げることができる。このなかでも長時間使用可能な点から、ペリレン系蛍光体、YAG系蛍光体が特に好ましい。また、付活剤としては、例えば、セリウム、ユウロピウム、マンガン、ガドリニウム、サマリウム、テルビウム、スズ、クロム、アンチモン等の元素を挙げることができる。この中でもセリウムが好ましい。付活剤の添加量は、蛍光体に対して0.1〜10mol%の範囲が好ましい。蛍光体と付活剤との組み合わせとしては、YAGとセリウムとの組み合わせが好ましい。
【0032】
また、紫外線を吸収して黄色に発光する蛍光体としては、例えば、(La,Ce)(P,Si)O4や、(Zn,Mg)Oなどの蛍光体を挙げることができる。また、付活剤としては、例えば、テルビウム、亜鉛などを挙げることができる。
【0033】
蛍光体層6中の第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の含有量は、半導体発光素子3や蛍光体の種類などから適宜決定すればよいが、一般にその含有量は、各蛍光体とも蛍光体層6に対して1〜25wt%の範囲が望ましい。
【0034】
第1の実施の形態に係る半導体発光装置10において、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を混合分散した蛍光体層6は、主として、エポキシ系の透光性樹脂で形成される。ここで、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層6の熱硬化強度Hと熱硬化時間tとの関係は、模式的に図4に示すように、時刻tA〜tBの初期段階において、熱硬化強度Hが低下する。
【0035】
例えば、時刻t=tAでは、熱硬化強度Hの値はH1であるが、熱硬化時間の経過と共に、徐々に低下し、時刻t=tBでは、熱硬化強度Hの値はH2の最小値が得られる。さらに熱硬化時間tの経過とともに、図4に示すように、熱硬化強度Hは上昇する。ここで、時刻t=tA〜時刻t=tBにおける熱硬化強度Hの減少に伴って、蛍光体層6の主成分であるエポキシ系の透光性樹脂の粘性が低下する。この結果として、蛍光体層6に含まれる第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の沈殿が促進される。このように、エポキシ系の透光性樹脂の場合、熱硬化時間tの初期の段階において、粘度が下がる現象が見られるため、発光蛍光体が沈殿し易いという現象が見られ、沈殿が進む。このような沈殿現象が生じた後に、熱硬化が始まる。エポキシ系の透光性樹脂の典型的な熱硬化温度は、例えば、約180℃程度である。また、発光蛍光体の直径は、例えば、約0.4μm程度である。
【0036】
(変形例)
第1の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置であって、図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造は、図3(b)に示すように表される。図3(b)の構成においては、充分な時間が経過して、蛍光体層6中で、すべての第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62が反射ケース5で囲まれたチップ基板表面に若しくは貯蔵部8に沈殿した例を示す。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0037】
第1の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化した半導体発光装置を提供することができる。
【0038】
また、第1の実施の形態およびその変形例によれば、貯蔵部を構成する溝部は、連続した丸いドーナツ状のリング状に配置されているため、色度を向上させることができる。
【0039】
第1の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の貯蔵部を構成する溝部を設けることによって、発光蛍光体をこの溝部に沈殿させて、色度を向上させることができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成は、図5(a)に示すように表され、図5(a)のI−I線に沿う模式的断面構造は、図5(b)に示すように表される。また、図5(a)のII−II線に沿う模式的断面構造は、図6に示すように表される。
【0041】
第2の実施の形態に係る半導体発光装置10において、貯蔵部8を構成する溝部は、チップ基板1の表面上において、反射ケース5の内壁と半導体発光素子3との間に配置される。
【0042】
また。この貯蔵部8を構成する溝部の断面形状は、図5〜図6に示すように、ピーク8pを有するV字である。この溝部のピーク8pは、図5(a)に示すように、半導体発光素子3を矩形状に取り囲んでいる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0043】
第2の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置10の模式的断面構造は、図7に示すように表される。貯蔵部8を構成する溝部は、チップ基板1の表面上において、反射ケース5の内壁と半導体発光素子3との間に配置される。ただし、貯蔵部8を構成する溝部の幅は第2の実施の形態に比べて狭く、また、深さも第2の実施の形態に比べて浅い。
【0044】
第2の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置10においては、反射ケース5の内壁とV字溝部の縁と間の距離Lの値は、例えば、約20μm〜約50μmに設定している。第2の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置10においては、V字溝部を所定の位置に浅く形成すればよく、加工が容易である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0045】
第2の実施の形態およびその変形例に係る半導体発光装置10においては、半導体発光素子3に発光蛍光体を密着させてつけるのではなく、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8を溝部によって設けることで、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の沈殿を均一にすることによって、発光色の色斑(むら)を抑制し、発光色を均一化することができる。
【0046】
第2の実施の形態およびその変形例に係る半導体発光装置10においては、図5〜図7に示すように、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8をV字形状の溝部によって設けることで、この溝部に第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を収集して、色度ばらつきを低減化することができ、品質の安定化、向上を図ることができる。
【0047】
第2の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化した半導体発光装置を提供することができる。
【0048】
また、第2の実施の形態およびその変形例によれば、貯蔵部を構成する溝部は、連続した矩形状に配置されているため、色度を向上させることができる。
【0049】
第2の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の貯蔵部を構成する溝部を設けることによって、発光蛍光体をこの溝部に沈殿させて、色度を向上させることができる。
【0050】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る半導体発光装置10の模式的断面構造は、図8に示すように表される。
【0051】
第3の実施の形態に係る半導体発光装置10は、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面に形成された凸部9を備え、貯蔵部8は、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面上において、凸部9と反射ケース5の内壁との間および凸部9と半導体発光素子3との間に配置される。図8は、図2(a)において、貯蔵部8の溝部分を反対に凸部9で置換した平面パターン構成において、II−II線に沿う模式的断面構造に対応している。
【0052】
また、凸部9は、チップ基板1の表面上において、半導体発光素子3を取り囲み連続したリング状に配置されていても良い。
【0053】
また、凸部9は、チップ基板1の表面上において、半導体発光素子3を取り囲み連続した矩形状に配置されていても良い。
【0054】
或いは、凸部9は、チップ基板1の表面上において、半導体発光素子3を取り囲み、互いに離隔して分散配置されていても良い。
【0055】
また、凸部9の断面形状は、例えば、逆U字、逆V字、若しくは矩形であっても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0056】
第3の実施の形態によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化した半導体発光装置を提供することができる。
【0057】
第3の実施の形態によれば、発光蛍光体の貯蔵部を設けることによって、発光蛍光体をこの貯蔵部に沈殿させて、色度を向上させることができる。
【0058】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る半導体発光装置10の模式的平面パターン構成は、図9に示すように表される。
【0059】
第4の実施の形態に係る半導体発光装置10において、貯蔵部8a、8b、8c、8d
を構成する溝部は、図9に示すように、チップ基板1の表面上において、反射ケース5と半導体発光素子3との間の4隅に互いに離隔して配置されている。
【0060】
また、貯蔵部8を構成する溝部の断面形状は、例えば、U字、V字、若しくは矩形であっても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0061】
第4の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置の模式的平面パターン構成は、図10に示すように表される。
【0062】
第4の実施の形態の変形例に係る半導体発光装置10においては、貯蔵部8を構成する溝部は、チップ基板1の表面上において、反射ケース5の内壁と半導体発光素子3との間に、複数個離隔して配置される。
【0063】
また、貯蔵部8を構成する溝部の断面形状は、例えば、U字、V字、若しくは矩形であっても良い。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0064】
尚、第3の実施の形態と同様に、図9において、貯蔵部8を構成する溝部とは反対に、貯蔵部8a、8b、8c、8dの位置に凸部9を配置しても良い。この場合、凸部9が、反射ケース5と半導体発光素子3との間の4隅に互いに離隔して配置される。この場合には、貯蔵部8は、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面上において、凸部9と反射ケース5の内壁との間および凸部9と半導体発光素子3との間、および凸部9間に配置される。また、第3の実施の形態と同様に、図10において、貯蔵部8を構成する溝部とは反対に、貯蔵部8の位置に凸部9を配置しても良い。この場合には、凸部9は、チップ基板1の表面上において、半導体発光素子3を取り囲み、互いに離隔して分散配置される。また、凸部9の断面形状は、例えば、逆U字、逆V字、若しくは矩形であっても良い。この場合には、貯蔵部8は、反射ケース5で囲まれたチップ基板1の表面上において、凸部9と反射ケース5の内壁との間および凸部9と半導体発光素子3との間、および凸部9間に配置される。
【0065】
第4の実施の形態およびその変形例に係る半導体発光装置10においては、半導体発光素子3に発光蛍光体を密着させてつけるのではなく、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8として、複数個離隔して配置した溝部を設けることで、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の沈殿を均一化し、発光色の色斑(むら)を抑制し、発光色を均一化することができる。
【0066】
第4の実施の形態およびその変形例に係る半導体発光装置10においては、図9〜図10に示すように、第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62の貯蔵部8として、複数個離隔して配置した溝部を設けることで、この溝部に第1発光蛍光体61・第2発光蛍光体62を収集して、色度ばらつきを低減化し、品質の安定化、向上を図ることができる。
【0067】
第4の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化した半導体発光装置を提供することができる。
【0068】
第4の実施の形態およびその変形例によれば、発光蛍光体の貯蔵部を構成する溝部を複数個離隔して設けることによって、発光蛍光体をこの溝部に沈殿させて、色度を向上させることができる。
【0069】
本発明によれば、発光蛍光体の位置ばらつきを抑制し、色ばらつきが低減化し、発光色の色斑を改善した半導体発光装置を提供することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0071】
また、半導体発光素子3のLEDの構成として、例えば、1パッケージ中に「青色LED+緑色LED+赤色LED」を収容して白色LEDを構成することもできる。このようなマルチチップの例として、「赤外LED+青色LED」のマルチチップで、青色光励起によって黄色光を発光する蛍光体を組み合わせることもできる。黄色蛍光体は、赤外光による影響を受けないため、小型1パッケージで構成可能であり、占有スペースを小さくすることができ、小さなスペースに実装可能である。
【0072】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の半導体発光装置は、一般照明、道路照明、タスク照明、アクセント照明、階段灯、フラッシュライト、誘導灯、交通信号灯、自動車電装用、自動車前照灯、大型液晶バックライトなどLED照明装置全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…チップ基板
2a、2k…端子電極
3…半導体発光素子
4…ボンディングワイヤ
5…反射ケース
6…蛍光体層
8、8a、8b、8c、8d…貯蔵部
9…凸部
10、10a…半導体発光装置
61…第1発光蛍光体
62…第2発光蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ基板と、
前記チップ基板上に配置された第1端子電極および第2端子電極と、
前記チップ基板の上面外縁を囲むように配置された反射ケースと、
前記第1端子電極上に配置された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子と第2端子電極を接続するボンディングワイヤと、
前記反射ケースで囲まれた内部に配置され、発光蛍光体を透光性樹脂中に混合分散した蛍光体層と、
前記反射ケースで囲まれた前記チップ基板表面に配置され、沈殿する前記発光蛍光体を貯蔵する貯蔵部と
を備えることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記貯蔵部は、前記反射ケースで囲まれた前記チップ基板表面に形成された溝部であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記反射ケースで囲まれた前記チップ基板表面に形成された凸部を備え、
前記貯蔵部は、前記反射ケースで囲まれた前記チップ基板表面上、前記凸部と前記反射ケース内壁との間および前記凸部と前記半導体発光素子との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記チップ基板表面上において、前記半導体発光素子を取り囲み配置されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記チップ基板表面上において、前記半導体発光素子を取り囲み配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記チップ基板表面上において、複数個離隔して配置されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記凸部は、前記チップ基板表面上において、複数個離隔して配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記溝部は、前記チップ基板表面上において、前記反射ケースと前記半導体発光素子との間の4隅に互いに離隔して配置されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記凸部は、前記チップ基板表面上において、前記反射ケースと前記半導体発光素子との間の4隅に互いに離隔して配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記溝部は、連続したリング状に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記凸部は、連続したリング状に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記溝部は、前記チップ基板表面上において、前記反射ケース内壁と前記半導体発光素子との間に連続した矩形状に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記凸部は、前記チップ基板表面上において、前記反射ケース内壁と前記半導体発光素子との間に連続した矩形状に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記発光蛍光体は、複数種類であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項15】
前記溝部の断面形状は、U字、V字、若しくは矩形であることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項16】
前記凸部の断面形状は、逆U字、逆V字もしくは矩形であることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項17】
前記蛍光体層は、前記反射ケースで囲まれた内部に配置され、前記第1端子電極および前記第2端子電極と、前記半導体発光素子と、前記ボンディングワイヤを封止することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項18】
前記半導体発光素子は、窒化物系半導体により形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−41866(P2013−41866A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175958(P2011−175958)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】