説明

半導体装置の製造方法および半導体製造装置

【課題】小型化された半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造工程は、フリップチップ実装体を構成する第1の半導体チップとプリント配線基板(実装基板)の間の間隙に、第1の半導体チップの電極と実装基板の電極の接合部を保護するためのアンダーフィル樹脂を充填する。このとき、アンダーフィル樹脂が間隙に進入する側と反対側のアンダーフィル樹脂の流れを抑制しつつ、アンダーフィル樹脂を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高密度実装を目的として、フリップチップ実装の重要性が高まっている。フリップチップ実装技術においては、半導体チップと配線基板、または半導体チップ同士を対向させ、バンプを介して接続させる。このフリップチップ実装を行う際には、電気的にショートすることを抑制しつつ接続部を保護し、信頼性を向上させる事を目的として、接続部にアンダーフィル樹脂を充填する。この充填方法としては、フリップチップ接続された半導体チップ近傍の配線基板上にアンダーフィル樹脂を塗布し、毛細管現象を利用してアンダーフィル樹脂をチップと配線基板間の間隙に浸透させ、充填させる方法が一般にとられている。
【0003】
たとえば、ニードルを用いてアンダーフィル樹脂を充填する場合、以下の課題があった。
図7(a)に示すように、半導体チップ15近傍へのアンダーフィル樹脂18を塗布する。この際、ニードル11を中心に配線基板17上の半導体チップ15以外の方向にも、塗布したアンダーフィル樹脂18が流れ拡がることがあった。このため、アンダーフィル樹脂18の付着によって不良となる実装部品等を、半導体チップ15の近傍に配置することが出来なくなり、半導体装置の小型化が困難であった。また、図7(b)に示すように、半導体チップ22が、半導体チップ15に隣接して、配線基板17上にバンプ23を介して実装されている。このとき、半導体チップ22までアンダーフィル樹脂18が流れ達すると、半導体チップ22と配線基板17との間隙にアンダーフィル樹脂21が引き寄せられる。その結果、本来注入すべきフリップチップ実装体(バンプ16を介して実装された半導体チップ15)に十分な量のアンダーフィル樹脂19が供給されずに、アンダーフィル樹脂19の量が不足する。このため、不良品となるフリップチップ実装体が発生することがあった。
【0004】
特許文献1には、ニードルの先端に細線が設けられている、樹脂塗布装置が記載されている。同文献によれば、この樹脂塗布装置においては、ニードルの先端が部品間に入らないような場合であっても、アンダーフィル樹脂を細線伝いに実装体に供給することで、アンダーフィル樹脂を部品間に注入可能としている。
しかし、ニードルの先端に細線が設けたとしても、半導体チップ近傍に樹脂を塗布する際に、ニードルを中心に配線基板上でチップ以外の方向にも、塗布したアンダーフィル樹脂が拡がることを防ぐことができない。
【0005】
特許文献2には、半導体チップと回路実装基板の間隙に樹脂を注入する際に、樹脂注入方向と平行なチップの両側を粘着テープで閉止し、樹脂注入の上流側および下流側に密閉空間を形成する。そして、上流側の密閉空間に圧縮空気を送り込み、下流側の密閉空間から吸引することで、半導体チップと回路実装基板の間隙に樹脂を充填する技術が開示されている。
しかし、特許文献2の技術では、同一実装基板上に複数の半導体チップや電子部品を搭載する場合には適用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−278895号公報
【特許文献2】特開2008−192947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、特許文献1、2の技術においては、アンダーフィル樹脂の塗布時において、配線基板上で半導体チップ以外の方向に、アンダーフィル樹脂が拡散してしまうという問題があった。このため、実装部品について間隔を拡げて配置する必要があり、半導体装置の小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
実装基板と前記実装基板上に実装された半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する、半導体製造装置であって、
前記アンダーフィル樹脂を供給するニードルと、
前記ニードルの周りに設けられ、前記間隙と反対方向に前記実装基板上で拡がる前記アンダーフィル樹脂を堰き止め、前記アンダーフィル樹脂を前記間隙に導く、堰き止め手段と、
を備える、半導体製造装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、
実装基板と前記実装基板上に実装された半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する工程を含み
前記アンダーフィル樹脂を充填する工程において、前記間隙と反対方向に前記実装基板上で拡がる前記アンダーフィル樹脂を堰き止め、前記アンダーフィル樹脂を前記間隙に導く、半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、実装基板と半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する際、間隙と反対方向に実装基板上で拡がるアンダーフィル樹脂を堰き止め、アンダーフィル樹脂を当該間隙に導くようにしている。これにより、アンダーフィル樹脂が塗れ拡がることを抑制して、実装基板上に配置する実装部品の間隔を、狭くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型化された半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における半導体製造装置のノズル部分を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体製造装置のノズル部分を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】塗布した樹脂の塗れ拡がりを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、半導体製造装置のノズル部分を示す。図3は、半導体装置の製造手順の工程断面図を示す。
【0015】
まず、第1の実施の形態の半導体装置の製造工程の概要について説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、フリップチップ実装体を構成する第1の半導体チップ150とプリント配線基板(実装基板170)の間の間隙に、第1の半導体チップ150の電極と実装基板170の電極の接合部を保護するためのアンダーフィル樹脂190を充填するものである。
このとき、図3(b)に示すように、当該間隙と反対方向に実装基板170上で拡がるアンダーフィル樹脂180を堰き止め、アンダーフィル樹脂180を当該間隙に導いて、アンダーフィル樹脂190を充填する。
【0016】
次に、本製造工程に用いる、半導体製造装置100について説明する。
半導体製造装置100は、アンダーフィル樹脂190を注入する、樹脂注入装置である。この半導体製造装置100は、第1のニードル110、第1の堰き止め手段130を備える。
【0017】
半導体製造装置100においては、図1(a)に示すように、第1のニードル110先端に、ガイド(第1の堰き止め手段130)が設置されている。第1のニードル110は、アンダーフィル樹脂180を供給する。第1の堰き止め手段130は、上下移動方向から見たとき、L字型である。第1の堰き止め手段130は、間隙と反対方向に流れるアンダーフィル樹脂180を堰き止め、当該間隙に向かってアンダーフィル樹脂180を導く。つまり、第1の堰き止め手段130は、アンダーフィル樹脂180の拡がりを制限する。第1の堰き止め手段130は、ゴムで構成されている。
【0018】
次に、第1の実施の形態の半導体装置の製造工程について図3を参照して説明する。
本実施の形態の製造工程は次の(i)から(iii)の手順で実施する。
工程(i)実装基板170上に、第1の半導体チップ150をフリップチップ実装する。
工程(ii)第1の堰き止め手段130を、第1の半導体チップ150の近傍に離間して実装基板170上に載置する。
工程(iii)第1の堰き止め手段130と第1の半導体チップ150との離間部からアンダーフィル樹脂190を充填する。
【0019】
以下、各手順について詳述する。
図3(a)に示すように、まず、実装基板170上に、第1のバンプ160を介して第1の半導体チップ150を直接接続する(工程(i))。
続いて、L字型の第1の堰き止め手段130の内面220が第1の半導体チップ150の角部を覆うように、第1のニードル110を配置する(工程(ii))。このとき、内面220を構成する2辺が、角部を構成する2辺とそれぞれ略平行となる。
【0020】
この後、図3(b)に示すように、第1のニードル110を第1の半導体チップ150の実装方向に下降させて、第1の堰き止め手段130の下端と実装基板170の上面とを密着させる。この状態で、第1の堰き止め手段130の内面220と第1の半導体チップ150とが近接している離間部に位置している第1のニードル110から、実装基板170上面にアンダーフィル樹脂180を塗布する。そして、第1の半導体チップ150と実装基板170との間隙に、毛細管現象を利用してアンダーフィル樹脂190を浸透させ充填させる(工程(iii))。このとき、第1のニードル110の近傍の角部の間隙から、対角位置の角部に向かって、アンダーフィル樹脂190が進入する。
【0021】
ここでは、実装基板170上のアンダーフィル樹脂180の端部が第1の半導体チップ150の角部に沿った状態で、アンダーフィル樹脂190が充填される。つまり、アンダーフィル樹脂180が内面220の形状に沿った状態で、アンダーフィル樹脂190が間隙に充填される。
【0022】
以上のようにして、図3(b)に示すように、当該間隙と反対方向に実装基板170上で拡散するアンダーフィル樹脂180を堰き止め、アンダーフィル樹脂180を当該間隙に導いて、アンダーフィル樹脂190が充填される。
【0023】
さらに、充填が終了した後、実装基板170について加熱処理を実施して、アンダーフィル樹脂190を硬化させる。加熱処理には、たとえばベーク炉を用いる。最後に、図3(b)に示すBGAボール200を介して、実装基板170をボードへ実装し、半導体装置を完成させる。
【0024】
本実施の形態の作用効果について説明する。
第1の半導体チップ150近傍の実装基板170上に、アンダーフィル樹脂180を塗布する際、第1のニードル110の先端に第1の堰き止め手段130を設ける。これにより、第1の堰き止め手段130の内面220の形状に沿った状態で、アンダーフィル樹脂180の端部の流れを堰き止めることができる。つまり、第1の堰き止め手段130の内面220から裏面側向かって、実装基板170上のアンダーフィル樹脂180が流れることがない。そして、第1の堰き止め手段130が、当該間隙に向かってアンダーフィル樹脂180を導くことができる。そのため、間隙と反対方向に実装基板170上でアンダーフィル樹脂180が拡散することがなくなる。すなわち、意図しない方向へのアンダーフィル樹脂180の流出を防ぐことができる。これにより、アンダーフィル樹脂180を供給する際に生じる、アンダーフィル樹脂180の塗れ拡がりの面積を縮小できる。
【0025】
上述のとおり、第1の堰き止め手段130が、実装基板170上を拡散するアンダーフィル樹脂180を堰き止めるストッパとして働くため、実装基板170上に配置する実装部品の間隔を、狭くすることが可能となる。これにより、電子部品等の実装部品を高密度に実装可能となり、半導体装置の小型化を実現することができる。
【0026】
また、図3に示すように、第1の半導体チップ150の角部からアンダーフィル樹脂190を注入するより、ボイド発生の抑制に効果的な場合がある。これにより、第1の半導体チップ150と実装基板17を電気的に接続する第1のバンプ160が溶融し、電気的にショートすることを防ぐことと、第1のバンプ160と第1の半導体チップ150、および第1のバンプ160と実装基板170の接続部を保護するができる。そして、信頼性に優れた半導体装置の構造を提供することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、同一の実装基板上に、複数の半導体チップを実装する点が異なる以外は、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、実装基板170上には、第1のバンプ160を介して第1の半導体チップ150が実装されており、第2のバンプ162を介して第2の半導体チップ152が実装されている。第1の半導体チップ150と第2の半導体チップ152とは隣接して設けられている。
【0028】
また、第1の半導体チップ150の近傍の実装基板170上に、第1のニードル110に設置された第1の堰き止め手段130が載置されている。さらに、第2の半導体チップ152の近傍の実装基板170上に、第2のニードル112に設置された第2の堰き止め手段132が載置されている。
【0029】
図4に示す第1の堰き止め手段130は、隣接する第1の半導体チップ150と第2の半導体チップ152との間に、設けられている。このとき、上述のとおり、内面220から裏面に向かって、第1の堰き止め手段130を超えて、実装基板170上のアンダーフィル樹脂180が流れることを抑制することができる。そのため、アンダーフィル樹脂180が第2の半導体チップ152まで移動することを防止しつつ、第1の半導体チップ150のみにアンダーフィル樹脂190を充填できる。
【0030】
また、図4に示す第2の堰き止め手段132の内面は、第2の半導体チップ152の角部近傍に沿うように、第2のニードル112が配置される。これにより、意図しない方向へのアンダーフィル樹脂の流出を防ぎつつ、第2の半導体チップ152と実装基板170との間隙のみに、アンダーフィル樹脂を導いて充填できる。
【0031】
これにより、各半導体チップに、それぞれ独立してアンダーフィル樹脂を充填することができる。さらには、各半導体チップに対するアンダーフィル樹脂の充填タイミングを、所望タイミングに設定でき、たとえば同時に充填することもできる。これにより、効率よく半導体装置を作製することができる。
【0032】
次に、従来技術と対比しつつ本実施の形態の効果についてさらに説明する。
前述のとおり、図7に示すように、本来注入すべきフリップチップ実装体(バンプ16を介して実装された半導体チップ15)のアンダーフィル樹脂19の量が不足し、不良品が発生するという課題があった。
【0033】
これに対して、本実施の形態では、隣接する第1の半導体チップ150と第2の半導体チップ152との間に、第1の堰き止め手段130を設けている。これにより、上述のとおり、第1の半導体チップ150側と反対側に、アンダーフィル樹脂180が拡散することを堰き止めつつ、第1の半導体チップ150の間隙に、アンダーフィル樹脂190を導いて充填できる。このため、本来、アンダーフィル樹脂190を注入すべきフリップチップ実装体に十分量のアンダーフィル樹脂190を充填することができる。また、アンダーフィル樹脂180の塗布を行うタイミングでない隣接のフリップチップ実装体に、アンダーフィル樹脂180が引き寄せられることもない。これらにより、不良品が発生する危険性を低減できる。
【0034】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態においては、第1の堰き止め手段134の形状が異なる点以外は、第1の実施の形態と同様である。第3の実施の形態ついて、図2、図5を参照し、第1の実施の形態と異なる点について適宜説明する。
【0035】
図2に、第1の堰き止め手段134を示す。第1の堰き止め手段134は、第1のニードル110の上下駆動方向から見て、I字型である。
【0036】
図5は、図2に示す第1のニードル110を用いた半導体装置の製造手順の一部を示す。図5では、第1のニードル110中心を第1の半導体チップ150中心位置と一致の場所で静止させた状態で塗布を行っている。つまり、アンダーフィル樹脂が供給される第1のニードル110の開口部の中心と、第1の半導体チップ150の中心線210と一致させている。
【0037】
また、図5に示すように、第1の堰き止め手段134の内面222は、第1の半導体チップ150の一辺に沿うように配置されている。このとき、実装基板170上のアンダーフィル樹脂(図示せず)の端部が第1の半導体チップ150の一辺に沿った状態で、当該アンダーフィル樹脂が間隙に充填される。つまり、アンダーフィル樹脂の端部が、第1の堰き止め手段134の内面222に沿った状態で、第1の半導体チップ150と実装基板170との間隙に充填される。一方、第1のニードル110の近傍の辺の間隙から、対面位置の辺に向かって、アンダーフィル樹脂が進入する。
これにより、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
さらに、図6に示すように、複数の半導体チップ(第1の半導体チップ150、第2の半導体チップ152)が実装基板170上に実装されている場合にも、第2の実施形態と同様の効果が得られる。つまり、本実施の形態によれば、アンダーフィル樹脂の塗れ拡がり幅を狭くするができる。また、塗布時点でアンダーフィル樹脂の塗布対象とはしていない隣接のフリップチップ実装体に樹脂が流れ達し、樹脂を引き寄せられる結果、本来、アンダーフィル樹脂を塗布すべきフリップチップ実装体でアンダーフィル樹脂が不足するといった不具合を防ぐことができる。
【0039】
また、チップの一辺からアンダーフィル樹脂を注入したほうがボイド発生の抑制に効果的な場合がある。
【0040】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0041】
第1の堰き止め手段130の内面220の横幅は、第1のニードル110の外径より大きい限りにおいては、特に限定されない。このとき、上記横幅は、第1の半導体チップ150の実装方向に対して直交方向における内面220の横幅を示す。内面220の横幅が、第1のニードル110の外径より大きいと、開口部140から供給されたアンダーフィル樹脂180が第1の堰き止め手段130を超えて、反対側に流れることを抑制することができる。
【0042】
上記横幅は、特に限定されないが、厚すぎると塗布時の動作に支障をきたし、薄すぎるとアンダーフィル樹脂180の拡がり方向を制限できない。この観点から、図1(b)に示す第1のニードル110中心から端までの横幅の距離を、たとえば0.5mm〜4.0mmとするのが望ましい。また、同様の観点から、図2(b)に示す第1のニードル110においては、第1のニードル110中心から端までの横幅の距離を、0.5mm〜4.0mmとするのが望ましい。このとき、第1のニードル110の外径は、0.5mm以下である。
【0043】
第1の堰き止め手段130を構成する材料は、上述のとおり、ゴムに限定されず、各種の材料を採用することができる。たとえば弾性材料を用いることができる。これにより、実装基板170にガイドを押し付けたときに、実装基板170の損傷を防止することができる。また、第1のニードル110が上下方向動作を行う際に、ガイドの接触面が実装基板170表面に押し付けられた際に変形し、ガイド表面と実装基板170の間に隙間を生じさせることを防止できる。その結果、ガイドと実装基板170の隙間からアンダーフィル樹脂180の漏れが発生するといった不具合を防ぐことが可能となる。また、ガイドの表面と実装基板170の表面とが完全に水平でなかった場合にも、同様にガイドが変形して、実装基板170と密着するため、アンダーフィル樹脂180の漏れを防止できる。
【0044】
本実施の形態においては、図3(b)に示すように、第1の堰き止め手段130と実装基板170とを密着させているが、この態様に限定されない。たとえば、フィラーを含むアンダーフィル樹脂180の粘度が高い場合には、第1の堰き止め手段130と実装基板170との間をわずかに空けたとしても、第1の堰き止め手段130の下端を超えてアンダーフィル樹脂180が流れ出すことはない。これにより、アンダーフィル樹脂180の漏れを防止するとともに、第1の堰き止め手段130の摩耗を抑制することができる。以上から、アンダーフィル樹脂180の粘度が高い場合には、アンダーフィル樹脂180が漏れない限りにおいて、第1の堰き止め手段130と実装基板170との間にわずかな隙間があってもよい。他方、フィラーを含まないクリア樹脂のように、アンダーフィル樹脂180の粘度が低い場合には、第1の堰き止め手段130を実装基板170に密着させることが好ましい。
【0045】
半導体チップの形状は、特に限定されないが、たとえば、平面視において、正方形または長方形等である。
また、堰き止め手段の形状は、上述のI字型、L字型に限定されず、各種の形状を採用することができる。たとえば、堰き止め手段の形状としては、ニードルの上下移動方向から見たとき、コの字型、U字型または円弧状等の形状とすることができる。このとき、少なくとも堰き止め手段の内面が、このような形状であればよい。
【0046】
I字型の場合、堰き止め手段の内面が半導体チップの一辺をカバーできる。L字型または円弧状等の形状の場合、堰き止め手段の内面が半導体チップの二辺をカバーできる。つまり、半導体チップの角部をカバーできる。さらに、コの字型またはU字型等の形状の場合、堰き止め手段の内面が半導体チップの三辺をカバーできる。このとき、コの字型の場合には、各内面の辺が、三辺のいずれかの辺とも略平行になる。
【0047】
半導体チップの配置パターンとしては、特に限定されてないが、図4に示すようにアレイ状とすることができる。このとき、各半導体チップ同士は、各辺が略平行となるように配置されてもよい。また、複数の半導体チップが実装される場合、半導体のチップサイズは、同一でもよく、異なってもよい。
【0048】
第1の堰き止め手段130および第2の堰き止め手段132を、第1の半導体チップ150および第2の半導体チップ152にそれぞれ配置してもよいが、第1の半導体チップ150に、第1の堰き止め手段130および第2の堰き止め手段132を配置してもよい。つまり、1つの半導体チップに、複数のニードルに設置された堰き止め手段を配置してもよい。このとき、図4に示す第1の堰き止め手段130および第2の堰き止め手段132は、たとえば第1の半導体チップ150の対角位置の角部をカバーするように配置する。これにより、実装基板170と第1の半導体チップ150との間隙に、アンダーフィル樹脂190を2箇所から同時に充填することができる。さらには、効率的に半導体装置を作製することができる。
【0049】
また、半導体チップのサイズに応じて、第1の堰き止め手段130および第2の堰き止め手段132においては、対角位置の角部をカバーする配置距離を調節する。これにより、サイズの異なる半導体チップついて連続してアンダーフィル樹脂を充填できる。
【0050】
なお、四つ堰き止め手段を用いて、半導体チップの全ての角部をカバーしてもよい。
同一の実装基板170上において、複数の堰き止め手段を用いる場合、同じ形状の堰き止め手段を用いてもよいが、異なる形状の堰き止め手段を用いてもよい。具体的には、I字型の第1の堰き止め手段134とL字型の第1の堰き止め手段130とを同時に使用してもよい。
【0051】
また、半導体製造装置100は、不図示の制御部をさらに備えてもよい。制御部は、第1のニードル110および第2のニードル112の配置位置を制御する。つまり、この制御部により、第1のニードル110に設置された第1の堰き止め手段130の配置位置および第1の堰き止め手段130の高さ等が、制御される。たとえば、制御部は、第1の半導体チップ150の近傍に離間して第1の堰き止め手段130を実装基板170上に搭載するとともに、第1の堰き止め手段130と実装基板170との間からアンダーフィル樹脂180が漏れることを防止するように、第1の堰き止め手段130の高さを維持する。この状態で、第1の堰き止め手段130と第1の半導体チップ150との離間部に設けられた第1のニードル110が、アンダーフィル樹脂190を充填する。
【0052】
第1のニードル110と第1の堰き止め手段130とは、特に限定されないが、第1の連結部120を介して結合している。また、第2のニードル112と第2の堰き止め手段132とは、特に限定されないが、第2の連結部122を介して結合している。たとえば、第1の連結部120または第2の連結部122に代えて、接着剤を用いてもよい。
【0053】
アンダーフィル樹脂190は、液体である。また、アンダーフィル樹脂190は、フィラーを含む樹脂でもよいし、フィラーを含まないクリア樹脂でもよい。アンダーフィル樹脂190としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミン系樹脂、ポリイミド系樹脂等を例示することできる。アンダーフィル樹脂190のヤング率および熱膨張係数は適宜調節する。ヤング率を適当な範囲内にすると、第1のバンプ160にクラックが発生することを抑制したり、第1の半導体チップ150の反りを小さくして剥離を少なくできる。熱膨張係数を適当な範囲内にすると、実装基板170の断線の発生を少なくでき、アンダーフィル樹脂190の反りを小さくして剥離を少なくできる。
【0054】
実装基板170には、たとえば樹脂基板、セラミックス基板、ガラス基板等の絶縁基板を適用することができる。
【0055】
なお、フリップチップ実装方法とは、半導体チップと配線基板を電気的に接合する際、半導体チップ表面(回路側)に形成した電極パッドと配線基板上に形成した電極パッドとを、バンプを介して直接接続する実装方法である。また、チップが配線基板にフリップチップ実装された形態の半導体パッケージをフリップチップ実装体という。第1のバンプ160としては、たとえば、はんだやAu等のバンプを用いる。
【符号の説明】
【0056】
11 ニードル
15 半導体チップ
16 バンプ
17 配線基板
18 アンダーフィル樹脂
19 アンダーフィル樹脂
20 BGAボール
21 アンダーフィル
22 半導体チップ
23 バンプ
100 半導体製造装置
110 第1のニードル
112 第2のニードル
120 第1の連結部
122 第2の連結部
130 第1の堰き止め手段
132 第2の堰き止め手段
134 第1の堰き止め手段
136 第2の堰き止め手段
140 開口部
150 第1の半導体チップ
152 第2の半導体チップ
160 第1のバンプ
162 第2のバンプ
170 実装基板
180 アンダーフィル樹脂
190 アンダーフィル樹脂
200 BGAボール
210 中心線
220 内面
222 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と前記実装基板上に実装された半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する、半導体製造装置であって、
前記アンダーフィル樹脂を供給するニードルと、
前記ニードルの周りに設けられ、前記間隙と反対方向に前記実装基板上で拡がる前記アンダーフィル樹脂を堰き止め、前記アンダーフィル樹脂を前記間隙に導く、堰き止め手段と、
を備える、半導体製造装置。
【請求項2】
前記堰き止め手段の内面は、前記半導体チップの少なくとも一辺に沿う、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記堰き止め手段の内面は、前記半導体チップの少なくとも角部を覆う、請求項1または2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記半導体チップの実装方向に対して直交方向における前記堰き止め手段の内面の横幅は、前記ニードルの外径より大きい、請求項1から3のいずれかに記載の半導体製造装置。
【請求項5】
同一の前記実装基板上に、複数の前記半導体チップとして、第1の半導体チップおよび第2の半導体が実装され、前記実装基板と前記第1の半導体チップとの間隙および前記実装基板と前記第2の半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する半導体製造装置において、
複数の前記堰き止め手段として、第1の堰き止め手段および第2の堰き止め手段と、
複数の前記ニードルとして、第1のニードルおよび第2のニードルと、
前記第1のニードルおよび前記第2のニードルの配置位置を制御する、制御部と、をさらに備え、
前記制御部が、前記第1の半導体チップの近傍の前記実装基板上に、前記第1のニードルに設置された前記第1の堰き止め手段を載置するとともに、前記第2の半導体チップの近傍の前記実装基板上に、前記第2のニードルに設置された前記第2の堰き止め手段を載置するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【請求項6】
複数の前記堰き止め手段として、第1の堰き止め手段および第2の堰き止め手段と、
複数の前記ニードルとして、第1のニードルおよび第2のニードルと、
前記第1のニードルおよび前記第2のニードルの配置位置を制御する、制御部と、をさらに備え、
前記制御部が、1つの前記半導体チップに、前記第1のニードルに設置された前記第1の堰き止め手段を載置するとともに、前記第2のニードルに設置された前記第2の堰き止め手段を載置するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【請求項7】
実装基板と前記実装基板上に実装された半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する工程を含み
前記アンダーフィル樹脂を充填する工程において、前記間隙と反対方向に前記実装基板上で拡がる前記アンダーフィル樹脂を堰き止め、前記アンダーフィル樹脂を前記間隙に導く、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記アンダーフィル樹脂を充填する工程は、前記半導体チップの近傍に離間して堰き止め手段を前記実装基板上に載置する工程と、
前記堰き止め手段と前記半導体チップとの離間部から前記アンダーフィル樹脂を充填する工程と、を含み、
前記堰き止め手段により、前記間隙と反対方向に前記実装基板上で拡がる前記アンダーフィル樹脂を堰き止め、前記アンダーフィル樹脂を前記間隙に導く、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記アンダーフィル樹脂を充填する工程において、前記アンダーフィル樹脂の端部が前記半導体チップの少なくとも一辺に沿った状態で、前記アンダーフィル樹脂を充填する、請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記アンダーフィル樹脂を充填する工程において、前記アンダーフィル樹脂の端部が前記半導体チップの少なくとも角部に沿った状態で、前記アンダーフィル樹脂を充填する、請求項7から9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
同一の前記実装基板上に、複数の前記半導体チップとして、第1の半導体チップおよび第2の半導体チップが実装され、前記実装基板と前記第1の半導体チップとの間隙および前記実装基板と前記第2の半導体チップとの間隙にアンダーフィル樹脂を充填する半導体製造装置の製造方法において、
前記実装基板と前記第1の半導体チップとの間隙および前記実装基板と前記第2の半導体チップとの間隙に、前記アンダーフィル樹脂を充填する、請求項7から10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記実装基板と前記半導体チップとの前記間隙に、前記アンダーフィル樹脂を複数箇所から同時に充填する、請求項7から11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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