説明

半導体装置の製造方法

【課題】セラミック回路基板を構成部品とする半導体装置の分離をダイシングで実施すると、セラミック焼成時の不均一な収縮による寸法ズレにより基板側面の外部端子を欠損させる恐れがある。
【解決手段】セラミック回路基板16の封止樹脂20表面側から各半導体素子18ごとの領域のヘヤーライン24に対して、回転するダイシングブレードでセミフルカットすることにより、残存した基板部分はローラー押圧で分断するので、セラミック回路基板底面の外部端子のダイシングカット時の欠損、フルカットを避けたセミフルカットによるダイシングブレードの摩耗、破損を防止できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は底面に外部端子を有した回路基板に対して、その上面に半導体素子が搭載され、電気的接続がなされ、外囲が封止樹脂で封止された半導体装置の効率的な製造方法に関するものであり、特に単一の回路基板に複数個の半導体素子を搭載した後に個々の半導体装置に分離する成形分離に特徴を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図12の斜視図に示すような基板の下面と側面とがつながる外部端子1を有したセラミック回路基板2に対して、その上面に半導体素子が搭載され、電気的接続がなされ、外囲が封止樹脂3で封止された半導体装置の製造方法においては、単一のセラミック回路基板2に複数の半導体素子を搭載した後、個々の半導体素子単位に回転ブレードにより分割し、半導体装置を製造していた。
【0003】
また、別の分割方法として、セラミック回路基板の下面に形成されたブレーク溝中の切り欠き溝を利用して手作業や機械処理で分割し、半導体装置を製造していた。
以下、従来の半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図13〜図19は従来の半導体装置の製造方法を示す主要な工程ごとの図である。また図13〜図17において、それぞれ(a)は平面図であり、(b)は(a)の一点鎖線箇所の主要な断面図であり、図18、図19は断面図である。
【0004】
まず図13(a),(b)に示すように、その上面に半導体素子が搭載されるボンディング部4と、その半導体素子と金属細線等により電気的に接続するためのパッド部5を有し、その下面にパッド部5と電気的に接続した外部端子1を有した厚さ500〜1000[μm]のセラミック回路基板2を用意する。なお、ボンディング部4、パッド部5および外部端子1は搭載される半導体素子の数に対して必要とする数量が備えられたセラミック回路基板2を用意する。
【0005】
この積層回路基板であるセラミック回路基板2において、ボンディング部4、パッド部5、外部端子1は、ガラスセラミックからなる積層基板表層に銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)の順に積層した金属膜で形成され、金属膜の平均的な全厚みは10〜20[μm]を有する構造とする。また、このセラミック回路基板2の下面には、予め半導体素子が搭載される各々の領域を分離するように深さ100〜200[μm]、幅120〜180[μm]を有したブレーク溝6が縦横に設けられ、さらにそのブレーク溝6の中心線上に下面側からのブレーク性を向上するために幅10〜30μm、深さ20〜50[μm]の切り欠き溝7が設けられている。
【0006】
次に図14(a),(b)に示すように、用意したセラミック回路基板2の上面に形成された各ボンディング部4に銀(Ag)ペーストや半硬化膜の固着材(図示せず)で半導体素子8を各々接着した後、130〜180[℃]で1[hr]硬化することで半導体素子8を固着し、その後、セラミック回路基板2を180〜230[℃]の温度に加熱した状態において、セラミック回路基板2の上面に形成されたパッド部5と各半導体素子8面上の電極パッドとを25〜30[μm]φ径の金属細線9で各々電気的に接続し、単一のセラミック回路基板2上に複数の半導体素子8を搭載する。
【0007】
次に図15(a),(b)に示すように、セラミック回路基板2の半導体素子8が搭載された面側の所定の位置にメタルマスクを合わせてマスク開口部からエポキシ系の熱硬化型液状の封止樹脂3をスキージにより印刷塗布する。この場合の塗布厚みは、金属細線9の最高位より100[μm]以上上部となるように設定する。その後、エポキシ系の熱硬化型液状の封止樹脂3中に巻き込まれている空気を除去するために、15〜5[Torr]の脱泡槽内で10〜15[min]、減圧脱泡する。そして大気に戻した後、100〜120[℃]で30〜60[min]、140〜160[℃]で90〜120[min]ステップ加熱硬化する。このようにしてエポキシ系の熱硬化型液状の封止樹脂3でセラミック回路基板2上に複数個の半導体素子8が搭載された面を一体的に全面封止する。
【0008】
次に図16(a),(b)に示すように、セラミック回路基板上面に搭載された複数の半導体素子全体を覆う封止樹脂表面上の各半導体素子が搭載されている各領域毎にCO2レーザーで品名や製造年月を刻印した後、ダイシング用リング10に保持された紫外線照射型接着剤が形成されたダイシングシート11に対して、基板下面が上側になるようにセラミック回路基板2を貼り付ける。
【0009】
次に図17(a),(b)に示すように、20000〜40000[rpm]で回転する厚さ50〜100[μm]のダイシングブレードでセラミック回路基板2の下面のブレーク溝6の中心近傍をダイシングシート11の表面一部と共にフルカットし、複数の半導体素子8を搭載するセラミック回路基板2の各半導体素子8の領域を個々に分離する。このフルカットの際のカットラインの平行度はセラミック回路基板2の下面に設けられたブレーク溝6の両端の段差を認識パターンとして使用する。なお、図中の太線で示した部分はフルカットした部分を示している。
【0010】
次に図18に示すように、各半導体素子8ごとの各領域が分離されたセラミック回路基板2がダイシング用リング10にダイシングシート11で貼り付けられた状態で、ダイシングシート11の裏側から、所定の時間紫外線を照射してダイシングシート11上の接着剤の粘着強度を1/5〜1/10に下げる。図中の矢印は照射された紫外線を示している。
【0011】
最後に図19に示すように、粘着強度の低下したダイシングシートから個片化になった半導体素子8を搭載するパッケージ体を取り外すことによってガラスセラミック型の半導体装置12を得て工法は完結する。
【0012】
また、従来の半導体装置の製造方法において、ダイシングシートの接着剤の粘着強度を低下させる紫外線照射の工程を行わず、セラミック回路基板の下面に形成されたブレーク溝中の切り欠き溝に沿って、手作業や機械処理でセラミック回路基板の下面が凸になるように折り曲げて分割し、半導体装置を製造する場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら前記従来の半導体装置の製造方法では以下のような課題がある。すなわち、従来の半導体装置においてはガラスの焼成体からなるセラミック回路基板を用いており、そのセラミック回路が加工対象となる。このセラミック回路基板は焼成前に比べて焼成後で大きく収縮し、そのためにセラミック回路基板の下面に形成されたブレーク溝の中心線は焼成前では直線状であったのに対して、焼成後のブレーク溝の中心線は元の中心線から大きく逸脱して曲がる場合がある。その変形量は一辺が60[mm]の正方形の焼成後セラミック回路基板の場合で、70〜80[μm]にも及ぶ。それに対してセラミック回路基板のブレーク溝の幅は120〜180[μm]であり、仮にブレーク溝の幅が180[μm]であってもブレーク溝の側壁に隣接して形成されている外部端子が20[μm]の厚みを有する場合、ブレーク溝の曲がりが80[μm]あれば、ダイシング時に70[μm]以上の厚みの回転ダイシングブレードを使用した際、外部端子がそのブレードにより削られ、外部端子が欠損するという課題があった。
【0014】
また、ダイシングブレードでセラミック回路基板とエポキシ系の樹脂封止とを含む全厚みの半導体装置と、ダイシングシートの表面一部とを切断するために、回転するダイシングブレードの切削負荷が許容限界を超えたり、またダイシングシートの表面の接着剤層を切断することでダイシングブレードの目詰まりを生じたりするために、ダイシングブレードの目立て作業を頻繁に行ったり、またダイシングブレードの破損が著しい場合には、切断速度を低速にして生産性が犠牲になるという課題があった。
【0015】
さらには、セラミック回路基板の下面には、手作業や機械処理でも分割可能にするためにブレーク溝中に切り欠き溝が形成されているが、半導体素子をセラミック回路基板の上面のボンディング部にAgペーストからなる固着剤で固着したり、各半導体素子面上の電極パッドとセラミック回路基板のパッド部とを金属細線で各々電気的に接続する際の熱衝撃により、切り欠き溝からセラミック回路基板の上面までクラックが発生する恐れがある。このクラックはその後の工程でエポキシ系の熱硬化型液状の封止樹脂で各半導体素子の外囲を封止する際に封止樹脂の加熱硬化型中にセラミック回路基板の上面に到達しているクラックを介して、切り欠き溝、ブレーク溝、外部端子を覆ってしまうという課題があった。
【0016】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、セラミック回路基板に対して精度のよい切断を可能にするとともに、切断分離後の半導体装置の外形寸法の精度を高くし、各半導体素子領域のパッド部欠損を防止する半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために本発明の半導体装置の製造方法は、回路基板に複数の半導体素子を搭載するとともに、前記複数の半導体素子の電極パッドと前記回路基板のパッド部とを各々電気的に接続する第1の工程と、前記回路基板の前記複数の半導体素子が搭載された面を封止樹脂で一括して封止する第2の工程と、前記封止樹脂面側から回転ブレードで前記回路基板の一部を残存させて切断する第3の工程と、シート上の接着剤が形成された面に、回路基板のパッド部が形成された面の反対側の面を貼付した状態で、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側から押圧して前記回路基板の残存した部分を押圧切断して前記半導体素子ごとに個々の半導体装置に分離する第4の工程とよりなる半導体装置の製造方法である。
【0018】
そして具体的には、第4の工程は、シート上の接着剤が形成された面に、回路基板のパッド部が形成された面の反対側の面を貼付した状態で、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側からローラーにより前記回路基板を押圧して前記回路基板の残存した部分を切断し、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側に対して紫外線を照射して前記紫外線硬化型の接着剤を硬化させ個々の半導体装置を取り出す工程である半導体装置の製造方法である。
【0019】
また、第4の工程の後は、シートに貼付された回路基板を槽内に置いた後、前記槽内に窒素を封入する工程を有する半導体装置の製造方法である。
また、第2の工程と第3の工程との間に、回路基板上に搭載された複数の半導体素子の各半導体素子間の封止樹脂表面に対して各半導体素子領域を分離識別する部分を形成する第5の工程を備えた半導体装置の製造方法である。
【0020】
また、第5の工程は、回路基板上の各半導体素子間の封止樹脂表面にレーザーを照射して各半導体素子領域を分離識別する部分を形成する工程を含む半導体装置の製造方法である。
【0021】
また、第5の工程は、紫外線硬化型の接着剤が形成されたシートに回路基板底面を貼付した状態で行う半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
前記構成の通り、印刷樹脂封止後、セラミック回路基板上に搭載された複数の半導体素子の各半導体素子間の封止樹脂表面に対して、各半導体素子領域を分離認識する部分を形成し、セラミック回路基板上面の封止樹脂面側からその認識部分上を回転ダイシングブレードでセラミック回路基板下面側の一部を残存させてセミフルカットする工程により、精度のよい切断が可能になる。またローラー押圧分離による切断分離後の外形寸法の精度が高くなり、各半導体素子領域のパッド部の欠損を防止できるものである。またセラミック回路基板をフルカットせずにセミフルカットするため、回転ダイシングブレードへの切削負荷の軽減や、ダイシングシート上の紫外線照射型接着剤層に非接触で切断でき、その結果、回転ダイシングブレード自体の寿命を向上させ、製造効率を向上させることができる。
【0023】
また、セラミック回路基板を手作業や機械処理で分離せず、封止樹脂で覆われた基板上面からセミフルカットダイシングで分離するために、ブレーク溝中の切り欠き溝の形成を除去することでセラミック回路基板の各工程での耐熱衝撃性が飛躍的に向上し、セラミック回路基板のクラックを皆無とすることができる。その結果、封止樹脂の加熱硬化の際のセラミック回路基板下面および側面の外部端子表面上の封止樹脂の被膜による汚染が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図10は本実施形態の半導体装置の製造方法を示す工程ごとの図であり、その中で図1〜図6においては、(a)は平面図であり、(b)は(a)の一点鎖線の箇所の主要断面を示す断面図である。
【0025】
まず図1(a),(b)に示すように、その上面に半導体素子が搭載されるボンディング部13と、半導体素子と金属細線等により電気的に接続するためのパッド部14とを有し、またその下面および側面にパッド部14と電気的に接続した外部端子15を有した厚さ500〜1000[μm]の積層型のセラミック回路基板16であって、ボンディング部13、パッド部14、外部端子15はガラスセラミックからなる基板表層にCu、Ni、Auの順に積層した金属膜で形成され、金属膜の平均的な全厚みは10〜20[μm]を有するセラミック回路基板16を用意する。また、このセラミック回路基板16の下面は予め複数の半導体素子が搭載される各々の領域を分離するように深さ100〜200[μm]、幅120〜180[μm]を有したブレーク溝17が縦横にマトリックス状に設けられている。なお、ボンディング部13、パッド部14および外部端子15は搭載される半導体素子の数に対して必要とする数量が備えられたセラミック回路基板を用意するものである。
【0026】
次に図2(a),(b)に示すように、用意したセラミック回路基板16の上面に形成された各ボンディング部13に対して、Agペーストや半硬化膜の固着材で半導体素子18を各々貼り付けた後、130〜180[℃]で1[hr]硬化することで半導体素子18を固着し、その後、180〜230[℃]の温度に加熱されたセラミック回路基板16の上面に形成されたパッド部14と各半導体素子18表面上の電極パッドとを25〜30[μm]φ径の金属細線19で各々電気的に接続し、単一のセラミック回路基板16上に複数の半導体素子18を搭載する。
【0027】
次に図3(a),(b)に示すように、セラミック回路基板16の半導体素子18が搭載された上面側の所定の位置にメタルマスクを合わせてマスク開口部からエポキシ系の熱硬化型液状の封止樹脂20をスキージにより印刷塗布する。この場合の塗布厚みは、金属細線19の最高位より100[μm]以上上部となるように設定する。そして樹脂封止後、封止樹脂20中に巻き込まれている空気を除去するために、15〜5[Torr]の脱泡槽内で10〜15[min]の間で減圧脱泡する。そして大気に戻した後、100〜120[℃]で30〜60[min]間、140〜160[℃]で90〜120[min]間ステップ加熱硬化する。このようにして封止樹脂20でセラミック回路基板16上に複数個の半導体素子18が搭載された上面を一体的に全面封止する。
【0028】
次に図4(a),(b)に示すように、セラミック回路基板16の上面に搭載された複数の半導体素子18全体を覆う封止樹脂20表面に対して、封止樹脂20表面の各半導体素子18が搭載されている各領域毎にCO2レーザーで品名および製造年月等のマーク21を刻印し、さらに、セラミック回路基板16の下面のブレーク溝17に、予めレーザー光を走査するラインと一致するように配置されたマーカーステージ22のエッヂ23をはめ込み、セラミック回路基板16の上面の封止樹脂20表面にレーザー光で各領域分割のためのヘヤーライン24をけがく。なお図中、太線で示した部分がヘヤーライン24を示している。
【0029】
次に図5(a),(b)に示すように、ダイシング用リング25で保持された紫外線照射型接着剤がその表面に形成されたダイシングシート26に対して、品名等のマーク21や各領域分割用のヘヤーライン24が刻印されたセラミック回路基板16を封止樹脂20表面が上側になるように貼り付ける。このダイシングシート26へのセラミック回路基板16の貼り付けは、ゴム系ローラーでセラミック回路基板16の端から、セラミック回路基板16の下面とダイシングシート26との間に介在する空気を追い出すようにして行う。
【0030】
次に図6(a),(b)に示すように、セラミック回路基板16の封止樹脂20表面側から各半導体素子18ごとの領域のヘヤーライン24に対して、20000〜40000[rpm]で回転する厚さ50〜100[μm]のダイシングブレードでセミフルカットする。切断前のセラミック回路基板16の切断部の位置認識は封止樹脂20面上のレーザーで形成したヘヤーライン24の両端を認識パターンとして使用し、各ライン毎にヘヤーライン24による平行の認識を行う。またダイシングブレードの高さの設定は、セラミック回路基板16の下面のブレーク溝17の上部が0〜250[μm]の厚みで切り残るように設定する。このようにして封止樹脂20面側からダイシング切断を行う。
【0031】
次に図7に示すように、ダイシングカットで切り残されたセラミック回路基板16は、その下面に貼り付けられたダイシングシート26の裏側から硬質ゴムやベークライトからなるローラー27で押圧してローラーブレークし、セラミック回路基板16のブレーク溝17上部の切り残し部分を分断し、個々のパッケージに分割する。なお、図中の縦矢印は押圧力を示し、横矢印はローラー27の移動方向を示している。
【0032】
次に図8に示すように、ダイシングカット時にセラミック回路基板16の下面のブレーク溝17とダイシングシート26との間に進入した水分の除去と、ダイシングシート26の剥離の際に、ダイシングシート26表面の接着剤が十分硬化するように、各領域が分断されたセラミック回路基板16をダイシングシート上に接着した状態で、常温の減圧槽28中で5〜60[min]間、100〜10-1[Torr]に保持した後、同一の減圧槽28内で1〜30[min]間103〜2.23[Torr]で窒素ガスを封入し、終了後迅速に取り出して窒素保管箱に保管する。
【0033】
次に図9に示すように、セラミック回路基板16がダイシングシート26に貼り付けられた状態で、ダイシングシート26の裏側から、所定の時間紫外線を照射してダイシングシート26の表面の接着剤の粘着強度を1/5〜1/10に下げる。なお、図中の矢印は照射された紫外線を示している。
【0034】
最後に図10に示すように、粘着強度の低下したダイシングシートから個片化になった半導体素子18を搭載するパッケージ体を取り外すことによってガラスセラミック型の半導体装置29を得る。
【0035】
図11には本実施形態の工法で得られた半導体装置を示す。図11の斜視図に示す半導体装置は、基板の下面と側面とにつながる外部端子15を有したセラミック回路基板16に対して、その上面に半導体素子が搭載され、電気的接続がなされ、基板上部であって搭載した半導体素子の外囲が封止樹脂20で封止された半導体装置であり、セラミック回路基板16の側面には基板切断の際のセミフルカットによる切り残し厚から構成された突起部30を有するものである。
【0036】
以上、本実施形態の半導体装置の製造方法では、セラミック回路基板上に搭載した半導体素子を封止した封止樹脂に対して、ダイシング切断時の分離用のヘヤーラインを形成し、そのヘヤーラインに対してダイシングブレードでセミフルカットし、残存した基板部分はローラー押圧で分断するので、セラミック回路基板底面の外部端子のダイシングカット時の欠損、高温工程でのセラミック回路基板のクラックによる外部端子表面の封止樹脂による汚染、フルカットを避けたセミフルカットによるダイシングブレードの摩耗、破損を防止できるものである。
【0037】
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法により、セラミック回路基板上に複数の半導体素子を搭載して一括で樹脂封止後に、セラミック回路基板上に搭載された複数の半導体素子の各半導体素子間の封止樹脂表面に対して、ヘヤーラインを形成して各半導体素子領域を分離認識でき、セラミック回路基板上の封止樹脂面側からそのヘヤーラインに対して、回転ブレードでセラミック回路基板の下面側の一部を残存させてセミフルカットする工程により、外部端子を切削することなくダイシングブレード切断が可能となり、またヘヤーラインを認識することで各半導体素子領域のパッドを欠損するのを防止できる。またセラミック回路基板をフルカットせずセミフルカットするため、回転ブレード自体の寿命を向上させ、製造効率を向上させることができる。
【0038】
さらに本発明の工法では、ブレーク溝中の切り欠き溝を必要としないため各工程の耐熱衝撃性が改善され、その結果セラミック回路基板の下面に形成されている外部端子面の樹脂漏れによる表面汚染が防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、基板上に複数の半導体素子を搭載して一括で樹脂封止した後に個々の半導体装置に分離する製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図2】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図3】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図4】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図5】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図6】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す図
【図7】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図8】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図9】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図10】本発明の一実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図11】本発明の一実施形態の半導体装置を示す斜視図
【図12】従来の半導体装置を示す斜視図
【図13】従来の半導体装置の製造方法を示す図
【図14】従来の半導体装置の製造方法を示す図
【図15】従来の半導体装置の製造方法を示す図
【図16】従来の半導体装置の製造方法を示す図
【図17】従来の半導体装置の製造方法を示す図
【図18】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図19】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
【0041】
1 外部端子
2 セラミック回路基板
3 封止樹脂
4 ボンディング部
5 パッド部
6 ブレーク溝
7 切り欠き溝
8 半導体素子
9 金属細線
10 ダイシング用リング
11 ダイシングシート
12 半導体装置
13 ボンディング部
14 パッド部
15 外部端子
16 セラミック回路基板
17 ブレーク溝
18 半導体素子
19 金属細線
20 封止樹脂
21 マーク
22 マーカーステージ
23 エッヂ
24 ヘヤーライン
25 ダイシング用リング
26 ダイシングシート
27 ローラー
28 減圧槽
29 半導体装置
30 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に複数の半導体素子を搭載するとともに、前記複数の半導体素子の電極パッドと前記回路基板のパッド部とを各々電気的に接続する第1の工程と、
前記回路基板の前記複数の半導体素子が搭載された面を封止樹脂で一括して封止する第2の工程と、
前記封止樹脂面側から回転ブレードで前記回路基板の一部を残存させて切断する第3の工程と、
シート上の接着剤が形成された面に、回路基板のパッド部が形成された面の反対側の面を貼付した状態で、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側から押圧して前記回路基板の残存した部分を押圧切断して前記半導体素子ごとに個々の半導体装置に分離する第4の工程とよりなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第4の工程は、シート上の接着剤が形成された面に、回路基板のパッド部が形成された面の反対側の面を貼付した状態で、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側からローラーにより前記回路基板を押圧して前記回路基板の残存した部分を切断し、前記シートの前記回路基板が貼付された側の反対側に対して紫外線を照射して前記紫外線硬化型の接着剤を硬化させ個々の半導体装置を取り出す工程であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第4の工程の後は、シートに貼付された回路基板を槽内に置いた後、前記槽内に窒素を封入する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第2の工程と第3の工程との間に、回路基板上に搭載された複数の半導体素子の各半導体素子間の封止樹脂表面に対して各半導体素子領域を分離識別する部分を形成する第5の工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第5の工程は、回路基板上の各半導体素子間の封止樹脂表面にレーザーを照射して各半導体素子領域を分離識別する部分を形成する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
第5の工程は、紫外線硬化型の接着剤が形成されたシートに回路基板底面を貼付した状態で行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−55069(P2009−55069A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313841(P2008−313841)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【分割の表示】特願2000−185862(P2000−185862)の分割
【原出願日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】