説明

半導体装置の製造方法

【課題】 半導体装置の製造方法であって、隔壁の幅に対する隔壁の高さのアスペクト比が高い隔壁を簡便な工程で製造し、スクリーン印刷された光硬化性樹脂を全て光硬化させる製造方法を提供すること。
【解決手段】 受光部を有する撮像素子が形成された半導体基板と、受光部に対向し、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する光硬化性樹脂の隔壁とを有する半導体装置の製造方法であって、(1)受光部が形成された領域を除く撮像素子上若しくは被覆部上の一部又は全部に、枠状に光硬化性樹脂層をスクリーン印刷する工程、(2)光硬化性樹脂層を硬化する工程、(3)硬化した光硬化性樹脂層上に、さらに枠状に光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程、次いで、必要により工程(2)、(3)をこの順で1回以上繰り返した後、(4)被覆部を搭載し、光硬化性樹脂を硬化する工程、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光部を有する撮像素子が形成された半導体基板と、受光部に対向し、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する隔壁とを有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の一種であるCCD、CMOSイメージセンサー等の撮像素子を用いた撮像装置が、さまざまな分野で実用化されている。図6に、従来の撮像装置の一例を断面図で示す。撮像装置1は、受光部5を有する撮像素子3が形成された半導体基板2と、受光部5に対向し、撮像素子3を被覆する被覆部50と、撮像素子3と被覆部50を接合する隔壁4とを備える。
【0003】
この隔壁4は、未硬化のフィルムを隔壁の形状(枠状)に加工して半導体基板に貼り合わせた後、フィルムを硬化させる方法、あるいは、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む接着層を用いる方法であって、半導体基板2又は被覆部50に接着層を形成する工程と、接着層を選択的に露光して、所定領域に接着層に含まれる光硬化性樹脂を硬化させる工程と、光硬化性樹脂が未硬化の領域を除去(現像)して、接着層をパターニングする工程と、パターニングされた接着層を介して半導体基板2と被覆部50とが対向するように配置し、加熱により接着層に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させて、半導体基板2及び被覆部50を接着する工程を含む方法(以下、「露光及び現像を含む方法」という)により、製造される(特許文献1:請求項12参照)。
【0004】
この隔壁4には、撮像装置の高画素化、高密度化を達成するとともに、撮像装置内への異物混入の管理を容易にする目的で、隔壁4の高さが高いことが要求されている(高画素化および異物混入の管理)。また隔壁4の幅も狭くする必要がある(高密度化)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−73546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の隔壁の形状に加工したフィルムを半導体基板に貼り合わせる方法では、フィルム層の厚さを50μm以上にすることが難しいため、隔壁の高さを高くすることが出来ない。また、加工したフィルムのハンドリングに手間がかかる、という課題がある。
【0007】
また、上記の露光及び現像を含む方法でも隔壁の高さを50μmよりも高くすることは困難であった。さらに、未硬化の光硬化性樹脂を除去する工程が必要になること、及び廃液が発生し環境負荷が大きい、未硬化の光硬化性樹脂が無駄になる、という課題がある。
【0008】
さらに、上記の露光及び現像を含む方法では、光硬化性樹脂の光反応部分が硬化した後に、パターニングされた接着層を介して半導体基板2と被覆部50とが対向するように配置し、1〜2MPaの圧力をかけながら加熱により接着層に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させるため、半導体基板等が圧力により破損する、加熱加圧装置が必要となる、かつ耐熱性に弱い撮像素子が形成された半導体基板には使用できない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、高さが100μmよりも高い隔壁を簡便な工程で製造すること、及びスクリーン印刷された光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂(以下、「光硬化性樹脂」という)の光硬化によって被覆部を固定させる、半導体装置の製造方法を提供することである。
【0010】
第1の本発明は、受光部を有する撮像素子が形成された半導体基板と、受光部に対向し、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する光硬化性樹脂の隔壁とを有する半導体装置の製造方法であって、(1)受光部が形成された領域を除く撮像素子上若しくは被覆部上の一部又は全部に、枠状に光硬化性樹脂層をスクリーン印刷する工程、(2)光硬化性樹脂層を硬化する工程、(3)硬化した光硬化性樹脂層上に、さらに枠状に光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程、及び(4)被覆部を搭載し、光硬化性樹脂を硬化する工程、を含む方法に関する。
【0011】
第2の本発明は、工程(1)と工程(4)の間で、さらに、工程(2)、(3)をこの順で1回以上繰り返すことを含む、上記方法に関する。
【0012】
第3の本発明は、工程(2)、(3)を繰り返す回数が、1〜10回である、上記方法に関する。
【0013】
第4の本発明は、工程(1)及び(3)を、遮光して行う、上記方法に関する。
【0014】
第5の本発明は、工程(3)の前に、半導体基板とスクリーンの間隔を、前工程で硬化した光硬化性樹脂の厚さに応じて広げる、上記方法に関する。
【0015】
第6の本発明は、光硬化性樹脂が、カチオン重合性のエポキシ若しくはオキセタン若しくはビニル樹脂又はラジカル重合性のアクリル若しくはメタクリル若しくはビニル樹脂である、上記方法に関する。
【0016】
第7の本発明は、光硬化性樹脂の粘度が、10〜1,000Pa・sであり、チキソ比が1.5〜8.0である、上記方法に関する。
【0017】
第8の本発明は、上記のいずれかの方法で製造された、半導体装置に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法は、高さが100μmよりも高い隔壁を簡便な工程で製造することができる。また、光硬化性樹脂を使用するため、耐熱性に弱い撮像装置が形成された半導体基板にも使用することができる。また、スクリーン印刷された光硬化性樹脂を全て光硬化させることができるため、材料歩留りに優れ、かつ露光及び現像工程がないので、廃液や未硬化の光硬化性樹脂が発生せず、環境面や安全衛生面でも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、受光部を有する撮像素子が形成された半導体基板と、受光部に対向し、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する光硬化性樹脂の隔壁とを有する半導体装置の製造方法であって、(1)受光部が形成された領域を除く撮像素子上若しくは被覆部上の一部又は全部に、枠状に光硬化性樹脂層をスクリーン印刷する工程、(2)光硬化性樹脂層を硬化する工程、(3)硬化した光硬化性樹脂層上に、さらに枠状に光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程、必要により、さらに工程(2)、(3)をこの順で1回以上繰り返した後、(4)被覆部を搭載し、光硬化性樹脂を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明における半導体装置は、半導体基板と、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する光硬化性樹脂の隔壁とを備え、被覆部が、受光部に対向して配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明における半導体基板には、受光部を有する撮像素子が形成されている。その受光部に対向して被覆部が配置され、隔壁により撮像素子と被覆部を接合することにより、受光部は半導体基板、被覆部、隔壁により形成される空間に配置されることになる。
【0023】
一般的には、図1に示すように、半導体基板2上に撮像素子3が形成され、撮像素子3内に受光部5が形成される。また、1枚の半導体基板上に複数個の撮像素子が形成される方が、作業効率等の観点から好ましいことは当然である。このとき、各撮像素子間のピッチは、半導体基板1枚当たりに形成される撮像素子の密度の観点から、1000μm以下が好ましく、600μm以下が特に好ましい。
【0024】
本発明における撮像素子は、フォトダイオードのような受光部を有し、受光部の出力による電気信号を読み出す読出部などの回路で構成された光学受光センサーであり、CCD、CMOSイメージセンサー等が挙げられる。撮像素子の大きさの例としては、幅2〜5mm、長さ2〜5mmである。受光部の大きさの例としては、幅1.5〜4.5mm、長さ1.5〜4.5mmである。
【0025】
本発明における被覆部は、光硬化性樹脂を硬化するための光が透過可能なものであればよく、好ましくは透明なもの、例えばガラスである。被覆部の大きさの例としては、幅2〜5mm、長さ2〜5mmである。
【0026】
本発明における隔壁は、光硬化性樹脂を硬化させたものであり、撮像装置の高画素化、高密度化を達成するための撮像装置内への異物混入の管理を容易にするため、隔壁の高さは、100μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましく、250μm以上が特に好ましい。また、隔壁の幅は、半導体基板中の撮像素子の高密度化の観点から、1000μm以下が好ましく、600μm以下が特に好ましい。
【0027】
本発明における光硬化性樹脂は、光を照射することにより硬化樹脂となるような樹脂をいい、モノマー、オリゴマー又はプレポリマーおよび開始剤などを含む混合物等である。光硬化性樹脂は、カチオン重合性のエポキシ若しくはオキセタン若しくはビニル樹脂又はラジカル重合性のアクリル若しくはメタクリル若しくはビニル樹脂が封止性の点で好ましい。又、光としては、UV、可視光線、電子線、レーザー、X線、γ線等が挙げられるが、生産性、汎用性の観点からUVが好ましい。
【0028】
エポキシ樹脂は、分子内に3員環エーテル、すなわちエポキシ基を有する化合物である。カチオン重合性のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、ゴム変性エポキシ、部分アクリル化ビスフェノールA型エポキシなどに代表される脂肪族エポキシ、芳香環含有エポキシ、脂環式エポキシが挙げられ、フェノールノボラック型エポキシ、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシが硬化収縮性、接着性の点で好ましい。
【0029】
オキセタン樹脂は、分子内に4員環エーテル、すなわちオキセタニル基を有する化合物である。カチオン重合性のオキセタン樹脂としては、3−エチル−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンに代表される脂肪族オキセタン、芳香環含有オキセタンが挙げられ、耐熱性の観点から芳香環含有オキセタンが好ましい。
【0030】
アクリル(メタクリル)樹脂は、分子内にアクリロイル(メタクリロイル)基を有する化合物である。ラジカル重合性のアクリル樹脂としては、パラクミルフェノキシエチレン、グリコールアクリレート(メタクリレート)、t−ブチルアクリレート(メタクリレート)、エトキシ化フェニルアクリレート(メタクリレート)、ベンジルアクリレート(メタクリレート)、グリシジルアクリレート(メタクリレート)に代表される脂肪族アクリル(メタクリル)、芳香環含有アクリル(メタクリル)が挙げられ、耐熱性の観点から芳香環含有アクリレートが好ましい。
【0031】
ビニル樹脂は、分子内にビニル基を有する化合物である。カチオン重合性若しくはラジカル重合性のビニル樹脂としては、ビニルエーテル、スチレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどに代表される脂肪族ビニル、芳香環含有ビニルが挙げられ、反応性の観点からビニルエーテルが好ましい。
【0032】
光硬化性樹脂は、光重合開始剤を含有し得る。光重合開始剤は、光の照射によりカチオン又はラジカルを発生し、光硬化性樹脂の重合を開始する公知の光重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2,4−ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4,4’−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロフォスフォネートが挙げられ、硬化性の観点から2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、4,4’−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートが好ましい。
【0033】
光硬化性樹脂は、溶剤を含むことができる。溶剤としては、公知の溶剤であれば特に限定されないが、例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアルコール、n−プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、1,3−ブチレングリコール、トリアセチン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、4−ブチロラクトンが挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンカーボネート、4−ブチロラクトンが好ましい。
【0034】
本発明の効果を損なわない限り、光硬化性樹脂には、更に、その他の添加剤、例えば、光増感剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、シリカ、タルク、雲母、マイカ、ガラス粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子などに代表される有機、無機、有機−無機複合充填剤を加えることができる。
【0035】
光硬化性樹脂の粘度は、スクリーン印刷時の印刷性等の観点から、10〜1,000Pa・sであると好ましく、30〜200Pa・sであるとより好ましい。チキソ比は、スクリーン充填性、版離れの観点から、1.5〜8.0であると好ましく、2.0〜6.0であるとより好ましい。ここで、光硬化性樹脂の粘度は、コーン/プレート型粘度計を用い、3°×R14、3°×R7.7ローターで、室温、10rpmの条件で測定する。また、チキソ比は、上述の粘度計を用いたときの、[1rpmでの粘度/10rpmでの粘度]により求める。
【0036】
本発明におけるスクリーン印刷では、光硬化性樹脂層を形成するためのパターンが形成されたスクリーンを用いる。スクリーンの目開きは、100〜325メッシュが好ましく、100メッシュより細かいと、スクリーン印刷後の光硬化性樹脂層のパターンの外延を所定の粗さ内に抑えることができ、325メッシュより粗いと、スクリーン印刷1回当たりの厚さを約30μm以上にすることができる。
【0037】
次に、本発明の半導体装置の製造方法を説明する。図2は、半導体装置を製造する方法の一例を示す断面図である。
【0038】
まず、撮像素子3を備えた半導体基板2を準備する(図2(A))。次に、受光部5が形成された領域を除く撮像素子3上の一部又は全部に、枠状に光硬化性樹脂層40をスクリーン印刷し(図2(B))、その後、光を照射し、硬化した光硬化性樹脂層41を形成する(図2(C))。
【0039】
次に、硬化した光硬化性樹脂層41上に、さらに枠状に光硬化性樹脂42をスクリーン印刷する(図2(D))。このとき、光硬化性樹脂42を、硬化した光硬化性樹脂層41の概略上に、スクリーン印刷する。
【0040】
図2(C)、(D)の工程を必要により繰り返し、光を照射し硬化させることで図2(E)のように枠状に積み上げていき、アスペクト比の高い硬化した光硬化性樹脂層400を得る(図2(F))。
【0041】
さらに、硬化した光硬化性樹脂層400の上に、枠状に光硬化性樹脂401をスクリーン印刷し(図2(G))、被覆部50を搭載し(図2(H))、光照射で硬化した光硬化性樹脂402により、被覆部50が接合された半導体装置を製造する(図2(I))。なお、このときも、光硬化性樹脂401を、硬化した光硬化性樹脂層400の概略上に、スクリーン印刷する。また、半導体基板に複数個の撮像素子が形成されている場合には、さらに半導体基板を、ダイシング等により、撮像素子毎に分割することができる。
【0042】
また、光硬化性樹脂層を、被覆部上にスクリーン印刷することもできる。このときには、少なくとも被覆部の受光部が形成された領域を除く撮像素子の一部又は全部と対向する部分に、光硬化性樹脂層を形成することが必要であり、被覆部の受光部が形成された領域を除く撮像素子の一部又は全部と対向する部分のみに、光硬化性樹脂層を形成することが好ましい。
【0043】
次に、半導体基板上に隔壁を形成する方法を具体的に例示する。図3は、半導体基板上に隔壁を形成する方法の一例を示す断面図である。この例では、光照射にUVランプを使用する。
【0044】
半導体基板2を搭載するステージ6は、ステージ架台61に支持され、UVランプ7の下の位置とスクリーン印刷機8の下の位置の間を往復することができる。
【0045】
シャッターは、閉じた状態のシャッター71が、光硬化性樹脂層へのUV照射を防ぐことができ、開いた状態のシャッター72が、光硬化性樹脂層へUVを照査することができるように、設置する。また、シャッターの開閉に対応して、UVランプのON/OFFをすることもできる。
【0046】
スクリーン印刷機は、一般的なものを用いることができる。本発明においては、スクリーン印刷機をチャンバー内に設置することが好ましい。チャンバーが開いた状態81では、ステージ6が往復することができ、チャンバーが閉じた状態82では、真空ポンプ83により、チャンバー内を減圧することができる。また、チャンバーを遮光性にすることにより、スクリーン印刷中の光硬化性樹脂の重合を防ぐことができる。なお、チャンバーは、スクリーン印刷機のスクリーン位置、スクリーンと半導体基板間の間隔の調製、光硬化性樹脂のスクリーン上への供給が可能なように、設計されている。
【0047】
まず、半導体基板2をステージ6上に搭載する(図3(A))。次に、ステージ6を移動し、半導体基板2をチャンバー内に移動し、予め半導体基板2に対するスクリーン位置と、半導体基板2間とスクリーンの間隔が調整されたスクリーン印刷機で、光硬化性樹脂層40を形成する(図3(B))。このとき、チャンバーを閉めて、真空ポンプ83で減圧すると、光硬化性樹脂40中の気泡を抑制する観点から好ましい。
【0048】
次に、必要に応じてチャンバーを開いた後、半導体基板2をUVランプ7の下に移動する。シャッターを開いて、所定の時間UV光を照射し、光硬化した光硬化性樹脂41を得る(図3(C))。
【0049】
再度、半導体基板2をチャンバー内に移動し、前回と同様にスクリーン印刷を行い、光硬化性樹脂42を形成する(図3(D))。このとき、前回の印刷と同じスクリーンを使用することができるので、半導体基板2に対するスクリーン位置の再調整は、通常は不要であるが、スクリーンと半導体基板間の間隔は、光硬化性樹脂41の厚さに応じて大きくすることが好ましい。なお、スクリーンと半導体基板間の間隔は、印刷時にスクリーンがスキージで押し下げられるときのスキージ・ダウンストッパーの位置で評価することが好ましいが、半導体基板2が載っているステージ6の印刷時の位置で評価することが、より好ましい。
【0050】
図3(C)、(D)の工程を繰り返すことにより、アスペクト比のより高い硬化した光硬化性樹脂層を得ることができる。この繰り返す回数は、生産性の観点から1〜10回が好ましい。
【0051】
以下に、本発明を実施例により示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
半導体基板には、図4に示すシリコン製のもの(半導体基板の直径:20.32cm、厚さ:0.725mm)を用いた。半導体基板の各格子の大きさは、幅5mm、長さ5mmであり、格子の幅は、0.5mmである。また、半導体基板の周囲には、2mmの外周部を設けた。
【0053】
半導体基板に、協立化学産業(株)製カチオン重合性エポキシ系樹脂(製品名:ワールドロックNo.X-8723P33)を、ニューロング精密工業(株)製スクリーン印刷機(型番:LS−340VTVA)を用いて、スクリーン印刷した。使用したカチオン重合性エポキシ系樹脂の粘度は、100Pa・s、チキソ比は、3.5であった。スクリーンは、枠サイズが、幅750mm、長さ750mmで、200メッシュ(紗厚:84μm、総厚:105μm)のものを使用した。スクリーン印刷は、図3(B)に示すような閉じたチャンバー内で、真空中(約1330Pa)で、遮光しながら行った。次に、図3(C)に示すようにシャッターを開けて、UVを照射した。UV光源には、メタルハライドランプを用いた。UV硬化後の格子部及び外周部の光硬化性樹脂層の厚さと幅をマイクロスコープおよびマイクロメーターを用いて複数箇所、目視確認および測定し、それぞれの平均値、均一性を求めた。光硬化性樹脂層の厚さと幅の平均値を表1、図5に、それぞれの均一性の結果を表2に示す。
【実施例2】
【0054】
実施例1でスクリーン印刷及びUV照射した半導体基板に、実施例1と同様に、スクリーン印刷した。このとき、スクリーンと半導体基板間の間隔を100μm大きくした。次に、実施例1と同様に、UVを照射した。UV硬化後の格子部及び外周部の光硬化性樹脂層の厚さと幅を実施例1と同様に、測定した。結果を表1、図5に示す。
【実施例3】
【0055】
実施例2でスクリーン印刷及びUV照射した半導体基板に、さらにスクリーン印刷とUV照射の工程をさらに2回繰り返した。UV硬化後の格子部及び外周部の光硬化性樹脂層の厚さと幅を実施例1と同様に、測定した。結果を表1、図5に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
実施例1と実施例3の比較から、スクリーン印刷回数を4回にすると、スクリーン印刷1回のときより、格子部の高さを、約4.1倍にすることができ、一方、格子部の幅は、約1.2倍に抑えることができた。
【0059】
上記のように、半導体基板上に、スクリーン印刷された光硬化性樹脂を光硬化させる工程で、隔壁の幅はほぼ一定で隔壁の高さが高い隔壁を簡便な工程で製造することができた。従って、本発明の半導体装置の製造方法により、幅を変えずに高さが高い隔壁を有する半導体装置を簡便な工程で製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、隔壁の幅を変えずに高さが高い隔壁を有する半導体装置を簡便な工程で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】一般的な半導体基板の上面図である。
【図2−1】半導体装置を製造する方法の一例を示す断面図である。
【図2−2】半導体装置を製造する方法の一例を示す断面図である。
【図3−1】半導体基板上に隔壁を形成する方法の一例を示す断面図である。
【図3−2】半導体基板上に隔壁を形成する方法の一例を示す断面図である。
【図4】実施例に用いた半導体基板の上面図である。
【図5】実施例の結果を示すグラフである。
【図6】従来の撮像素子の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 撮像装置
2 半導体基板
3 撮像素子
4 隔壁
40 光硬化性樹脂層
41、43、400 硬化した光硬化性樹脂層
42、401 光硬化性樹脂
402 硬化した光硬化性樹脂
5 受光部
50 被覆部
6 ステージ
61 ステージ架台
7 UVランプ
71 閉じた状態のシャッター
72 開いた状態のシャッター
8 スクリーン印刷機
81 閉じた状態のチャンバー
82 開いた状態のチャンバー
83 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部を有する撮像素子が形成された半導体基板と、受光部に対向し、撮像素子を被覆する被覆部と、撮像素子と被覆部を接合する光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂の隔壁とを有する半導体装置の製造方法であって、(1)受光部が形成された領域を除く撮像素子上若しくは被覆部上の一部又は全部に、枠状に光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂層をスクリーン印刷する工程、(2)光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂層を硬化する工程、(3)硬化した光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂層上に、さらに枠状に光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂をスクリーン印刷する工程、及び(4)被覆部を搭載し、光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂を硬化する工程、を含む方法。
【請求項2】
工程(1)と工程(4)の間で、さらに、工程(2)、(3)をこの順で1回以上繰り返すことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(2)、(3)を繰り返す回数が、1〜10回である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程(1)及び(3)を、遮光して行う、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程(3)の前に、半導体基板とスクリーンの間隔を、前工程で硬化した光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂の厚さに応じて広げる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂が、カチオン重合性のエポキシ若しくはオキセタン若しくはビニル樹脂又はラジカル重合性のアクリル若しくはメタクリル若しくはビニル樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
光硬化性樹脂又は光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂の粘度が、10〜1,000Pa・sであり、チキソ比が1.5〜8.0である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の方法で製造された、半導体装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−129643(P2010−129643A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300703(P2008−300703)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【出願人】(000111270)ニューロング精密工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】