説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体基板のエッチング特性の劣化の抑制およびサポート基板からの汚染リスクの低減を図る。
【解決手段】本実施形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法においては、半導体基板の表面とサポート基板20の表面とを接着剤15を介して貼り合わせる。前記サポート基板の周辺部の一部に撥水処理を行い、前記一部に前記接着剤の端面に接するように撥水領域22を形成する。ウェットエッチングにより、前記半導体基板を裏面側から加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM、またはその他のメモリデバイスにおいて、TSV(Through Silicon Via)技術を用いたチップ積層技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−009425号公報
【特許文献2】特開2007−019465号公報
【特許文献3】特開2008−209432号公報
【特許文献4】特開2008−209433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板のエッチング特性の劣化の抑制およびサポート基板からの汚染リスクの低減を図る半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。前記半導体装置の製造方法においては、半導体基板の表面とサポート基板の表面とを接着剤を介して貼り合わせる。前記サポート基板の周辺部の一部に撥水処理を行い、前記一部に前記接着剤の端面に接するように撥水領域を形成する。ウェットエッチングにより、前記半導体基板を裏面側から加工する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の製造フローを示す図。
【図2】本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図。
【図3】図2に続く、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図。
【図4】図3に続く、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図。
【図5】図4に続く、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図。
【図6】図5に続く、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図。
【図7】図5における撥水領域の一例を示す拡大図。
【図8】図5における撥水領域の一例を示す拡大図。
【図9】図5における撥水領域の一例を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
TSVの形成は以下のように行われる。まず、表面側に回路等が配置されたデバイスウェハ(第1デバイスウェハ)を裏面側から薄化させる。このとき、デバイスウェハの表面側は、サポート基板に接着している。そして、デバイスウェハを所望の膜厚にした後、貫通ビアが形成される。その後、貫通ビアに接続される裏面バンプが形成され、別のデバイスウェハ(第2デバイスウェハ)が積層される。このとき、第2デバイスウェハの表面に形成された表面バンプと第1デバイスウェハの裏面バンプとが接続することで、チップ積層を行う。
【0008】
積層前の中間プロセスとなるデバイスウェハ(Siウェハ)の薄膜化技術において、機械研削技術(バックサイドグラインディング)や、エッチング液を用いたウェットエッチングが行われる。
【0009】
ウェットエッチングによる場合、デバイスウェハの露出した被エッチング面(裏面)のみをエッチングする必要がある。このため、枚葉スピンエッチング設備を用いたスピン方式で行われる。枚葉スピンエッチング設備では、デバイスウェハを高速回転させながら、被エッチング面にエッチング液が吐出される。この場合、固定ノズルからエッチング液を吐出する方法と、吐出ノズルをスキャンしながらエッチング液を吐出する方法が有り、エッチング面均一特性により選択される。そして、デバイスウェハを高速回転させることにより、エッチング液はデバイスウェハ中央部から外周部へとエッチングしていく。その後、エッチング液は、高速回転による遠心力によりデバイスウェハ外へと排出され、回収される。
【0010】
枚葉スピンエッチング設備で処理した場合、エッチング液は、デバイスウェハ外周部において接触している下地材料との濡れ性(親水性)によって、デバイスウェハの外周部からサポート基板側へと回り込む。これにより、ガラス等で構成されるサポート基板や、サポート基板上に形成される保護膜等がエッチングされ得る。
【0011】
この局所的なエッチングが進むと、サポート基板からの汚染リスクが問題になる。例えば、サポート基板に含まれる不純物によるデバイスウェハの汚染や次に加工されるデバイスウェハへの二次汚染が生じる。また、サポート基板の形状が変化することにより、サポート基板の繰り返し使用回数も減少する。
【0012】
このようなサポート基板へのエッチング液の回り込みを抑制する方法として、エッチング時の回転数を増大させることにより遠心力を向上させる方法が挙げられる。これにより、エッチング液のサポート基板への回り込みの抑制を図ることができる。
【0013】
しかし、回転数を増大させることで、デバイスウェハのエッチング特性が劣化する。より具体的には、回転数を例えば1000rpm以上にするとデバイスウェハの外周部側のエッチングレートが大きくなり、膜厚の均一性が劣化してしまう。このようにエッチング特性の観点から、過度な高速回転以外のエッチング液の回り込みの抑制を図る方法が求められる。
【0014】
本実施形態を以下に図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一の参照符号を付す。また、重複する説明は、必要に応じて行う。
【0015】
<実施形態>
本実施形態は、スピン方式のウェットエッチングによる半導体基板(デバイスウェハ)の薄膜化工程において、半導体基板を支持するサポート基板の周辺部を撥水処理することにより、エッチング液のサポート基板への回り込みを抑制する例である。
【0016】
なお、以下ではTSVによるチップ積層工程を有する半導体装置の製造方法を例に説明するが、本実施形態は被処理基板とサポート基板とを接着した状態で被処理基板に対するスピン方式のウェットエッチング工程を有する半導体装置の製造方法全般に適用可能である。
【0017】
[半導体装置の製造フロー]
まず、図1を用いて、本実施形態に係る半導体装置の製造フローについて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造フローを示す図である。
【0019】
図1に示すように、まず、ステップS1において、半導体基板10の表面上に回路14が形成される。次に、ステップS2において、半導体基板10の表面側に接着剤15が塗布される。次に、ステップS3において、半導体基板10の表面とサポート基板20の表面とが接着剤15を介して貼り合わせられる。次に、ステップS4において、サポート基板20上に保護膜21が形成される。次に、ステップS5において、サポート基板20の周辺部が撥水処理される。その後、ステップS6において、半導体基板10が裏面側からスピン方式のウェットエッチングにより加工され、薄膜化する。本実施形態におけるステップS1〜S6の工程の詳細は、後述する。
【0020】
次に、ステップS7において、半導体基板10にTSVが形成される。より具体的には、例えばリソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、半導体基板10の裏面側から半導体基板10を貫通するホールが形成される。その後、このホールを埋め込むように、導電材料が形成され、半導体基板10の表面側から裏面側まで電気的に接続される。なお、導電材料は、ホール内を埋め込まなくてもよく、その内面上に形成されることで半導体基板10の表面側から裏面側まで電気的に接続してもよい。その後、半導体基板10の裏面側に、TSVに接続されるバンプが形成される。
【0021】
次に、ステップS8において、半導体基板10(第1半導体基板)の裏面側に、回路が形成された別の半導体基板(第2半導体基板)が積層される。その後、同様に、第2半導体基板にTSVが形成され、回路が形成された別の複数の半導体基板が順に積層される。
【0022】
次に、ステップS9において、半導体基板10とサポート基板20とが剥離される。その後、ステップS10において、半導体基板10および積層された複数の半導体基板がダイシングラインに沿って個片化され、積層された半導体チップが形成される。
【0023】
なお、半導体基板10の個片化工程(ステップS10)は、第2半導体基板の積層工程(ステップS8)の前に行われてもよい。より具体的には、半導体基板10にTSVが形成された後(ステップS7)、半導体基板10がダイシングラインに沿って個片化され、第1半導体チップが形成される。その後、第1半導体チップの裏面側に、別工程にて形成された第2半導体チップが積層される。また、半導体基板10とサポート基板20との剥離工程(ステップS9)は、半導体基板10の個片化工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0024】
[TSV形成の前工程]
次に、図2乃至図9を用いて、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程(図1におけるステップS1〜ステップS6)について説明する。
【0025】
図2乃至図6は、本実施形態に係る半導体装置におけるTSV形成の前工程を示す断面図である。
【0026】
まず、図2に示すように、例えばSi基板で構成される半導体基板10の表面上に、回路14が形成される。回路14は、例えば配線層11,13、およびそれらを接続するビア12で構成される。その後、半導体基板10の表面側に接着剤15が塗布される。接着剤15は、例えばアクリル系樹脂等を含む複合材料からなる。しかし、これに限らず、接着剤15は、後述するシランカップリング剤に対して比較的高い撥水性を有し、撥水処理工程においてシランカップリング剤が半導体基板10の裏面側に流れ込まないような材料であることが望ましい。
【0027】
次に、図3に示すように、半導体基板10の表面とサポート基板20の表面とが接着剤15を介して貼り合わせられる。これにより、半導体基板10は、サポート基板20に支持される。サポート基板20は、例えばガラス基板で構成されるが、これに限らず、Si基板で構成されてもよい。
【0028】
また、サポート基板20は、その周辺部において、エッジ部A、ベベル部B1,B2、および側部Cを有する。
【0029】
ここで、エッジ部Aは、サポート基板20の表面の一部であり、半導体基板10が接着される際に露出する面を示す。このエッジ部Aは、半導体基板10との接着状況によって露出しない場合もある。
【0030】
ベベル部B1は、エッジ部Aに連続するサポート基板20の表面側の端縁角部であり、サポート基板20の膜面(表面および裏面)に対して傾きを有する面を示す。なお、ここで、膜面に対して傾きを有するとは、膜面に対する角度θが0°<θ<90°の範囲であることを示す。
【0031】
ベベル部B2は、サポート基板20の裏面側の端縁角部であり、サポート基板20の膜面に対して傾きを有する面を示す。なお、ここで、膜面に対して傾きを有するとは、膜面に対する角度θが90°<θ<180°の範囲であることを示す。
【0032】
側部Cは、ベベル部B1とベベル部B2との間に位置し、サポート基板20の側面を示す。側部Cは、サポート基板20の膜面に対して90°であるが、これに限らない。
【0033】
なお、サポート基板20は、ベベル部B1,B2、および側部Cの部分に曲率を有していてもよい。すなわち、ベベル部B1,B2、および側部Cの部分が、表面側から裏面側に向かってその接線と膜面との角度が0°から180°に連続的に変化するように形成されてもよい。
【0034】
また、以下の説明において、エッジ部A、ベベル部B1,B2、および側部Cはサポート基板20の面ではなく、後述する保護膜21の面を示す場合がある。
【0035】
次に、図4に示すように、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、サポート基板20上に保護膜21が形成される。より具体的には、保護膜21は、サポート基板20における接着剤15との接着面以外の面上に形成される。
【0036】
このとき、サポート基板20の裏面側からプラズマCVD法が行われる。このため、保護膜21は、サポート基板20の裏面、ベベル部B2、および側部Cに形成される。しかし、ベベル部B1およびエッジ部Aには、保護膜21が形成されにくい。したがって、ベベル部B1およびエッジ部Aには、裏面、ベベル部B2および側部Cよりも薄い保護膜21が形成される。また、エッジ部Aには、ベベル部B1よりも薄い保護膜21が形成される。
【0037】
なお、ベベル部B1およびエッジ部Aに、保護膜21が形成されない場合もある。この場合、ベベル部B1およびエッジ部Aにおいて、サポート基板21は露出したままである。
【0038】
保護膜21は、例えばSiN膜で構成されるが、これに限らず、SiO膜で構成されてもよい。また、保護膜21は、サポート基板20側からSiO膜およびSiN膜が順に積層された積層膜でもよい。後述するウェットエッチング耐性の観点から、保護膜21はSiN膜で構成されることが望ましい。
【0039】
なお、後工程において、サポート基板20自体の汚染や形状変化の恐れがない場合は、保護膜21は形成されなくてもよい。
【0040】
次に、半導体基板10およびサポート基板20がウェット処理チャンバーに導入された後、図5に示すように、サポート基板20の周辺部が撥水処理される。これにより、サポート基板20の周辺部に、接着剤15の端面に接するように撥水領域22が形成される。この撥水領域22の形成方法の詳細については、後述する。
【0041】
次に、図6に示すように、スピン方式のウェットエッチングにより、半導体基板10が裏面側から薄膜化される。
【0042】
より具体的には、半導体基板10およびサポート基板20を回転させながら、半導体基板10の裏面側の中央部に図示せぬノズルからフッ硝酸等のエッチング液が吐出される。半導体基板10およびサポート基板20の回転による遠心力によって、エッチング液は中央部から外周部へ向かって流れ、半導体基板10の裏面をエッチングしていく。その後、エッチング液は、高速回転による遠心力により半導体基板10外へと排出される。
【0043】
このとき、半導体基板10外へと排出されたエッチング液は、サポート基板20の周辺部へと流れ込む。本実施形態では、サポート基板20の周辺部を撥水処理している。このため、エッチング液は、サポート基板20の裏面側へと回り込むことなく、外部へと排出され、回収される。
【0044】
ウェットエッチング工程における半導体基板10およびサポート基板20の回転速度は、300rpm以上1000rpm以下である。300rpm以上の回転速度にすることで、エッチング液のサポート基板20の裏面側への回り込みを十分抑制することができる。また、1000rpm以下の回転速度にすることで、半導体基板10のエッチング特性の劣化を抑制することができる。
【0045】
その後、残留したエッチング液を除去するために純水リンスが行われる。さらに、スピン乾燥が行われ、半導体基板10およびサポート基板20がウェット処理チャンバーから移載される。このようにして、本実施形態におけるTSVの前工程が行われる。
【0046】
以下に、本実施形態における撥水領域22の形成方法について詳説する。
【0047】
まず、半導体基板10およびサポート基板20がウェット処理チャンバーに導入された後、半導体基板10およびサポート基板20を回転させる。回転速度は、例えば数100rpmである。この回転速度による遠心力により、半導体基板10の裏面まで撥水処理されてしまうことを防ぐことができる。
【0048】
次に、サポート基板20の周辺部に、専用処理ノズル50を近接させる。専用処理ノズル50としては例えばチューブタイプのノズルが用いられ、周辺部を狙って吐出するように調整される。
【0049】
そして、専用処理ノズル50からシランカップリング剤を吐出する。このシランカップリング剤により、サポート基板20の周辺部において、シリル化反応が起こり、撥水領域22が形成される。
【0050】
シランカップリング剤は、分子中に無機材料と親和性、反応性を有する加水分解基と、有機材料と化学結合する有機官能基とを有するものであり、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等である。撥水領域22は、シランカップリング剤の脱水反応によりトリメチルシラン基が生成されることで形成される。したがって、アニール処理を行って液温を上昇させたり、紫外線を照射したりすることで、反応を促進させるようにしてもよい。
【0051】
このとき、周辺部の最表面(サポート基板20または保護膜21)の構成材料がOH基を有さない場合、シリル化反応は不十分になる。より具体的には、最表面がSi基板からなるサポート基板20である場合、またはSiN膜からなる保護膜21である場合、シリル化反応は起こりにくい。これらの場合、撥水処理の前工程として、例えばウェット系のオゾン等により、周辺部の最表面が酸化される。これにより、周辺部の最表面にOH基を形成することができる。
【0052】
なお、最表面がガラス基板からなるサポート基板20である場合、またはSiO膜からなる保護膜21である場合、最表面にOH基が十分に存在するため、上記酸化工程は不要である。また、最表面がSi基板からなるサポート基板20である場合、最表面に自然酸化膜が形成されていればOH基が十分に存在するため、上記酸化工程は不要である。
【0053】
また、ガラス基板からなるサポート基板20上にSiN膜からなる保護膜21が形成されている場合、上記酸化工程の代わりに、フッ酸等を用いて周辺部のSiN膜を除去し、ガラス基板を露出させ、最表面にしてもよい。
【0054】
図7乃至図9は、図5における撥水領域22の一例を示す拡大図である。
【0055】
図7に示すように、撥水領域22は、サポート基板20(および/または保護膜21)のエッジ部Aおよびベベル部B1に形成される。また、撥水領域22は、エッジ部Aにおいて、少なくとも接着剤15の端面に接するように形成される。言い換えると、撥水領域22は、エッジ部Aにおいて、接着剤15の端面から連続して形成される。すなわち、サポート基板20の表面は、接着剤15および撥水領域22によって覆われる。これにより、エッチング液によりサポート基板20の表面側がエッチングされることを抑制し、またエッチング液のサポート基板20の裏面側への回り込みを十分に抑制することができる。
【0056】
なお、図8に示すように、撥水領域22は、サポート基板20(および/または保護膜21)の側部Cにも形成されることが望ましい。これにより、エッチング液のサポート基板20の裏面側への回り込みをさらに抑制することができる。
【0057】
また、図9に示すように、サポート基板20(および/または保護膜21)のベベル部B1,B2、および側部Cの部分が曲率を有する場合、撥水領域22は、エッジ部Aの接着剤15と接する位置からベベル部B1,B2、および側部Cの接線と膜面との角度が90°になる位置まで形成される。これにより、ベベル部B1,B2、および側部Cの部分が曲率を有する場合であっても、エッチング液のサポート基板20の裏面側への回り込みを十分に抑制することができる。
【0058】
なお、撥水領域22は、エッジ部A、ベベル部B1、側部Cに限らず、ベベル部B2および裏面側に形成されてもよい。
【0059】
撥水領域22の形成後、残留したシランカップリング剤を除去するために、アルコールリンスおよび純水リンスが行われる。さらに、スピン乾燥が行われ、周辺部をドライアウトする。このようにして、本実施形態における撥水処理が行われる。
【0060】
なお、撥水領域22は、図1に示すステップS7におけるTSV形成工程におけるRIEとその後のアッシング処理等の酸化処理、および別途UV(ultraviolet)等の追加処理を行うことにより容易に除去することができる。または、図1に示すステップS9の剥離工程後のサポート基板20の再生処理工程においても、酸化処理およびUV処理等を行うことにより容易に除去することができる。
【0061】
[効果]
上記実施形態によれば、半導体基板10のスピン方式のウェットエッチングによる薄膜化工程の前工程として、半導体基板10を支持するサポート基板20(および/または保護膜21)の周辺部を撥水処理する。これにより、エッチング液によってサポート基板20がエッチングされることを抑制することができる。すなわち、サポート基板20の形状変化といったサポート基板20へのダメージを抑制することができる。その結果、サポート基板20の繰り返し使用回数を増大することができる。
【0062】
また、サポート基板20上に保護膜21が形成されている場合、保護膜21がエッチングされてサポート基板20が露出することを防ぐことができる。これにより、後の熱工程等において、サポート基板20に含まれる不純物金属等の拡散を防止することが可能となる。これにより、半導体基板10の汚染や次に加工される別の半導体基板への二次汚染といったサポート基板20からの汚染リスクを低減することができる。
【0063】
また、半導体基板10およびサポート基板20を比較的低速回転することで、エッチング液の排出および回収をすることができる。すなわち、高速回転でエッチングする必要がなくなり、高速回転による半導体基板10のエッチング特性の劣化を抑制することができる。
【0064】
さらに、サポート基板20の撥水処理工程から半導体基板10のウェットエッチング工程までは、同一のウェット処理チャンバー内で行われる。チャンバー間の移動がないため、本実施形態におけるサポート基板20の撥水処理工程が行われても、その処理時間の増加を必要最低限に抑えることができる。
【0065】
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0066】
10…半導体基板、15…接着剤、20…サポート基板、21…保護膜、22…撥水領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面とガラス基板で構成されるサポート基板の表面とを接着剤を介して貼り合わせる工程と、
前記サポート基板上にSiN膜、SiO膜並びに前記サポート基板側からSiO膜およびSiN膜が順に積層された積層膜のいずれかから選ばれる膜で構成される保護膜を形成する工程と、
前記保護膜を酸化する工程と、
前記サポート基板および/または前記保護膜の周辺部の一部にシランカップリング剤を用いて撥水処理を行い、前記一部に前記接着剤の端面に接するように撥水領域を形成する工程と、
ウェットエッチングにより、前記半導体基板を裏面側から加工する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板の表面とサポート基板の表面とを接着剤を介して貼り合わせる工程と、
前記サポート基板の周辺部の一部に撥水処理を行い、前記一部に前記接着剤の端面に接するように撥水領域を形成する工程と、
ウェットエッチングにより、前記半導体基板を裏面側から除去する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板と前記サポート基板とを貼り合わせた後に、前記サポート基板上に保護膜を形成する工程をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記サポート基板はガラス基板で構成され、前記保護膜はSiN膜、SiO膜並びに前記サポート基板側からSiO膜およびSiN膜が順に積層された積層膜のいずれかから選ばれる膜で構成されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記撥水処理は、シランカップリング剤を用いて行われることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記撥水領域を形成する前に、前記保護膜を酸化する工程をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105909(P2013−105909A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248961(P2011−248961)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】