半導体装置及びその製造方法
【課題】半導体装置の薄型・小型化を図る。
【解決手段】半導体装置1は、上面に複数の配線層4を有し下面に前記配線層4に貫通導体5を介して電気的に接続される複数の下地電極層6を有する配線基板2と、配線基板2の上面に固定され上面に複数の電極を有する半導体チップ3と、配線基板2の上面に形成され半導体チップ3及び配線層4を選択的に覆う層間絶縁膜10と、層間絶縁膜10上に形成され一端側が層間絶縁膜10を貫通して半導体チップ3の電極に接続され、他端側が層間絶縁膜10を貫通して配線層4に接続される導体層からなる配線13と、配線基板の上面側に設けられ、配線を覆う絶縁体からなる封止体14と、下地電極層6に重ねて設けられる突起電極7とを有する。
【解決手段】半導体装置1は、上面に複数の配線層4を有し下面に前記配線層4に貫通導体5を介して電気的に接続される複数の下地電極層6を有する配線基板2と、配線基板2の上面に固定され上面に複数の電極を有する半導体チップ3と、配線基板2の上面に形成され半導体チップ3及び配線層4を選択的に覆う層間絶縁膜10と、層間絶縁膜10上に形成され一端側が層間絶縁膜10を貫通して半導体チップ3の電極に接続され、他端側が層間絶縁膜10を貫通して配線層4に接続される導体層からなる配線13と、配線基板の上面側に設けられ、配線を覆う絶縁体からなる封止体14と、下地電極層6に重ねて設けられる突起電極7とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法、特に、BGA(Ball Grid Array )構造及びLGA(Land Grid Array )構造等の表面実装型の半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の集積度向上及び小型・軽量化を図るためのパッケージ構造として、BGA構造及びLGA構造と呼称される表面実装型の半導体装置が知られている。また、生産性を向上させるために、一括モールド方法が採用されている。
【0003】
この一括モールド方法を採用する半導体装置の製造方法は以下のようになっている。半導体装置の製造において、最初に配線母基板が準備される。この配線母基板は縦横に製品形成部を区画配置した構造になっている。製品形成部は一面側の中央部分が半導体チップを搭載する部分になり、その周囲には複数の配線層が設けられている。また、製品形成部の他の一面(裏面)には前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される下地電極が設けられている。
【0004】
このような配線母基板を準備した後、配線基板の一面側の各製品形成部に半導体チップを搭載し、その後半導体チップの各電極と製品形成部の配線層を導電性のワイヤで接続する。つぎに、配線基板の一面に絶縁性樹脂によって樹脂層を形成して前記ワイヤ及び半導体チップを覆う。つぎに、前記樹脂層で覆われない配線基板の裏面の各製品形成部の下地電極面にボール電極等の突起電極を形成する。つぎに、配線基板を樹脂層と共に製品形成部の境界で切断して複数の半導体装置を製造する(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−110718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人においても、BGA構造の半導体装置の小型・薄型化を進めている。従来のBGA構造の半導体装置では以下のような問題があることがわかった。(1)半導体チップの電極と配線層をワイヤで接続するが、ワイヤ接続構造ではワイヤは弧を描くように張られる(ループ)ことから、ループ構造故にワイヤを覆う樹脂層の厚さが厚くなり、半導体装置の薄型化が妨げられている。
【0007】
(2)ワイヤボンディングはワイヤ接続箇所の下方領域に接続時の衝撃が加わることから、素子破壊を防止するためにもワイヤの接続位置、即ち、電極(電極パッド)は半導体チップのアクティブ領域を外れた位置に配置される。通常は矩形状の半導体チップの各辺に沿い、各辺に近接した位置に電極(電極パッド)が配される。このため、半導体装置のピン数(外部電極端子数)が多くなる程ワイヤの本数も多くなり、半導体チップの電極も増大する。電極は半導体チップの周辺に沿って並んで配置される結果、半導体装置の機能向上に伴うピン数増大に従って半導体チップも大型化し、半導体装置の小型化を妨げることになる。
【0008】
本発明の目的は、薄型化及び小型化が可能な半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
(1)半導体装置は、
上面に複数の配線層を有し、前記上面の反対面となる下面に前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定され、上面に複数の電極を有する半導体チップと、
前記配線基板の上面に形成され、前記半導体チップ及び前記配線層を選択的に覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、一端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体チップの前記電極に接続され、他端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記配線層に接続される導体層からなる配線と、
前記配線基板の上面側に設けられ、前記配線を覆う絶縁体からなる封止体と、
前記下地電極層に重ねて設けられる突起電極とを有する。
【0012】
このような半導体装置は、以下の工程を有する製造方法で製造される。
(a)第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される複数の配線層と、前記第2の面に形成され前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
(b)前記各製品形成部の前記第1の面に上面に複数の電極を有する半導体チップを固定する工程と、
(c)前記各製品形成部の前記半導体チップの固定位置を検出し、前記電極と前記配線層の位置関係を検出する工程と、
(d)前記製品形成部の前記第1の面に前記半導体チップ及び前記配線層を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて前記電極及び前記配線層上の前記層間絶縁膜にコンタクト孔を形成して前記電極と前記配線層を露出させる工程と、
(f)前記製品形成部の前記第1の面に形成され、かつ前記コンタクト孔を埋める導体層を形成する工程と、
(g)前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて、一端側が前記コンタクト孔を介して前記電極に接続され、他端側が前記コンタクト孔を介して前記導体層に接続される配線を形成する工程と、
(h)前記製品形成部の前記第1の面を絶縁性の樹脂層で覆う工程と、
(i)前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
(j)前記配線母基板を前記区画の区画線で切断して複数の半導体装置を製造する工程とを有し、
前記工程(e)の前記コンタクト孔の形成及び前記工程(g)の前記配線の形成はホトリソグラフィ技術とエッチング技術で形成し、かつ前記ホトリソグラフィ技術ではホトマスクを使用しない直接描画装置で形成することによって製造される。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
前記(1)の手段によれば、(a)配線基板の導体層と半導体チップの電極はループを描くワイヤにかえて層間絶縁膜上を這って延在する導体層からなる配線によって接続するため、この配線を覆う封止体の厚さも薄くでき、半導体装置の薄型化が達成できる。
【0014】
(b)導体層形成と、その後のホトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって形成する配線によって配線基板の導体層と半導体チップの電極を接続することから、ワイヤボンディングのように半導体チップに大きな衝撃を加えることがない。従って、半導体チップの電極をアクティブ領域上にも配置することが可能になる。
【0015】
(c)ワイヤボンディングの場合、ワイヤの直径が25μm程度の場合、ボンディングパッドとなる電極の大きさは一辺が80μm程度の正方形である。これに対して、導体層による配線で接続する場合には、電極の一辺が10μm程度の正方形でも充分となる。この結果、電極の占める面積の低減から半導体チップの小型化を図ることができる。
【0016】
(d)導体層をホトリソグラフィ技術及びエッチング技術でパターニングして形成する配線は、その平面パターンも自由であり、自由に屈曲させて延在させることが可能になる。この結果、アクティブ領域に自由に配置する電極間にも配置できる効果がある。
【0017】
(e)上記(b)乃至(d)のように、ボンディングパッドとしての電極を小さくでき、電極を半導体チップのアクティブ領域上に配置することも可能になり、さらに配線は屈曲も自在なパターンとすることができることから、電極レイアウト及び配線設計の自由度が増す。従って、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、アクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップをより小型にすることもできる。半導体チップの小型化は半導体装置の小型化を促進することになる。
【0018】
(f)配線形成におけるホトリソグラフィにおいて、10μm程度の解像度がある安価でスループットが高いホトマスクレス露光装置、即ち、直接描画装置で形成することが可能になり、半導体装置の製造コスト低減も達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0020】
図1乃至図23は本発明の実施例1の半導体装置に係わる図であり、図1乃至図3は半導体装置の構造に係わる図であり、図4乃至23は半導体装置の製造方法に係わる図である。図24乃至図26は本実施例1の変形例を示す図である。
【0021】
本実施例1の半導体装置1は図1乃至図3に示すような構造になっている。図1は半導体装置の断面図、図2は封止体を一部除いた半導体装置の平面図、図3は半導体装置の底面図である。
【0022】
半導体装置1は矩形状(例えば、正方形)の配線基板2を有している。この配線基板2の第1の面2a(図1では上面)の中央部分には、図1及び図2に示すように、半導体チップ3が図示しない接着剤を介して搭載(固定)されている。半導体チップ3を外れる周囲の配線基板領域(第2の面)には、配線層4が複数設けられている。配線層4は配線基板2の中央から外側に向かう細長片となり、例えば、配線基板2の各辺に直交する方向に延在する構造になっている。
【0023】
図1に示すように、各配線層4の外端近傍には配線基板2を貫通する導体5が設けられている。この導体5は、配線基板2の第1の面2aと反対面となる第2の面2bに設けられた、特に限定はされないが、円形の下地電極6と電気的に接続されている。この下地電極6には突起電極7が重ねて形成されている。本実施例1では突起電極7は、例えば、半田からなるボール電極で形成されている。突起電極7は、図3に示すように矩形枠状に配列されている。配線基板2は、例えば、厚さ200μm程度のガラスエポキシ樹脂板からなっている。また、配線層4及び下地電極6の表面は、配線13や突起電極7との接続状態を良好とするメッキ膜(図示せず)が形成されている。
【0024】
配線基板2の第1の面2a側には絶縁性樹脂からなる層間絶縁膜10が全体に形成され、半導体チップ3及び配線層4を覆っている。層間絶縁膜10は、例えば、10〜20μmの厚さのポリイミド樹脂で形成されている。層間絶縁膜10の半導体チップ3の各電極(図2及び図10参照:電極9)及び配線層4の内端側を覆う層間絶縁膜10部分にはコンタクト孔11,12が設けられている。このコンタクト孔11,12の形成によって電極9(電極パッド9)及び配線層4は露出することになる。そして、コンタクト孔11の底に露出する電極と、これに対応する配線層4(コンタクト孔12の底に露出する配線層4)は層間絶縁膜10上に這うように形成される導体層からなる配線13によって電気的に接続されている。導体層は導体ペーストの塗布、印刷等によって形成される。
【0025】
また、配線基板2の第1の面2a全体には絶縁性樹脂からなる封止体14が形成されている。実施例1では、封止体14はトランスファモールディングによって平坦に形成された絶縁性の樹脂層を切断することによって形成されている。従って、封止体14の上面は平坦な面になっている。
【0026】
封止体14の厚さはワイヤボンディング構造の封止体の厚さに比較して充分薄くなる。この封止体14の薄型化はそのまま半導体装置1の薄型化となる。
【0027】
つぎに、半導体装置1の製造方法について、図4乃至図23を参照して説明する。図4は本実施例1の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0028】
本実施例1の半導体装置1は、図4のフローチャートで示すように、配線母基板準備S01、半導体チップ搭載S02、半導体チップ固定位置検出S03,層間絶縁膜形成S04、層間絶縁膜に配線層形成用開口部形成(マスクレス)S05、導体層形成S06、導体層選択的除去による配線形成S07、樹脂層形成S08、突起電極形成S09、配線母基板及び樹脂層切断S10の各工程を経て製造される。
【0029】
半導体装置1の製造では、図5に示すように、配線母基板20が準備される(S01)。配線母基板20は、第1の面2a及び第1の面2aの反対面となる第2の面2b(図8参照)を有する配線基板からなっている。配線母基板20は、例えば、厚さ200μm程度のガラスエポキシ樹脂板からなっている。
【0030】
配線母基板20は、図5に示すように、その平面方向に区画された製品形成部21を複数有する構造になっている。製品形成部21は、縦横にマトリックス状に整列配置されている。製品形成部21は1個の半導体装置が製造される部分である。図5において各製品形成部21の境界を太い線で示してあるが、実際の配線母基板20にはこのような線は存在しておらず、説明の便宜上設けた線である。なお、以降の説明においては、主としてこの単一の製品形成部21で半導体装置の製造方法について説明する。
【0031】
製品形成部21は、図6乃至図8に示すような構造になっている。図6は製品形成部21の第1の面2aを示す平面図、図7は製品形成部21の第2の面を示す底面図、図8は図6のX−Xに沿う断面図である。
【0032】
製品形成部21は、区画されて矩形状(例えば、正方形)の領域となっている。この矩形状の製品形成部21において、図6に示すように、配線母基板20の第1の面2aには配線層4が複数形成されている。製品形成部21において、配線母基板20の中央領域は半導体チップが固定される領域である。そこで、この半導体チップが固定される領域を外れた周囲に配線層4が設けられている。配線層4は配線母基板20の中央から外側に向かう細長片となり、例えば、製品形成部21の各辺に直交する方向に延在する構造になっている。配線層4は各辺に沿って所定間隔で複数並列状態で配置されている。
【0033】
また、配線層4の外端近傍部分に対応する配線母基板20の第2の面2bには、図7に示すように、特に限定はされないが、円形の下地電極6が形成されている。そして、この下地電極6とその上に対面する配線層4は配線母基板20を貫通する導体5によって電気的に接続されている。図9には配線層4と下地電極6を接続する導体5を模式的に表示してある。配線層4及び導体5並びに下地電極6は導体ペースト等を塗布あるいは印刷しかつパターニングされて形成されている。配線層4及び下地電極6は、10μm程度の厚さになっている。
【0034】
このような製品形成部21に対して、図10及び図11に示すように、配線母基板20の第1の面2aに図示しない接着剤を介して半導体チップ3が位置決め固定(搭載)される(S02)。半導体チップ3の上面には電極(電極パッド)9が位置することになる。図10に示すように、本実施例1では、正確なる位置決めによる搭載によって、各配線層4の延長線上に電極9が位置するようになっている。しかし、図12に示すように、場合によっては一部の半導体チップ3は位置ずれを起こして搭載される場合もある。図12において、薄黒く色付けされた半導体チップ3が位置ずれチップ3aである。この位置ずれチップ3aにおいては配線層4の延長線上から電極9が外れるものもあることになる。なお、使用する接着剤によっては配線母基板20の第1の面2aに導体層によるボンディングパッドを形成しておいてもよい。
【0035】
つぎに、配線母基板20の各製品形成部21における半導体チップ3の固定位置を検出し、配線層4に対する電極9の位置関係を検出する(S03)。
【0036】
つぎに、図13に示すように、配線母基板20の第1の面2a全域に層間絶縁膜10を形成する(S04)。層間絶縁膜10は、例えば、10〜20μmの厚さのポリイミド樹脂で形成する。
【0037】
つぎに、層間絶縁膜10にホトリソグラフィ技術とエッチング技術によって、配線層形成用の開口部を形成する(S05)。このため、図13に示すように、層間絶縁膜10を覆うようにホトレジスト膜25を形成し、その後ホトマスクを使用しない直接描画装置(マスクレス露光装置)の描画部26から電子線27をホトレジスト膜25の所定箇所に照射して部分的にホトレジスト膜25を感光させる。図13に示すように、感光部28,29は前述のコンタクト孔11,12を形成する部分に対応し、半導体チップ3の電極9上及び配線層4上となる。つぎに、ホトレジスト膜25を現像処理して感光部28,29を除去し、さらにエッチング処理する。これにより、感光部28,29に対応した層間絶縁膜10がエッチングされ、図14及び図15に示すように、層間絶縁膜10にコンタクト孔11,12が形成される。コンタクト孔11の底には電極9が露出し、コンタクト孔12の底には配線層4が露出することになる。
【0038】
このコンタクト孔11,12の形成における直接描画装置による露光(感光)処理においては、工程S03の検出情報のもと露光が行われる。即ち、半導体チップ固定位置検出S03においては、配線母基板20の各製品形成部21における半導体チップ3の固定位置検出が行われる。そして、所定域の位置ずれに対しては良なる判定が行われる。しかし、図12に示すような大きな位置ずれにある位置ずれチップ3aでは不良と判定され、その位置ずれ情報が蓄積される。位置ずれチップ3aは、設計基準のもとにコンタクト孔11を形成した場合、コンタクト孔11は電極9から外れ、コンタクト孔11の底に電極9が位置しなくなったり、あるいは電極9の一部しか露出しない状態となる。この結果、配線13を形成した場合、電極9と配線層4が電気的に接続されなくなったり、あるいは接続されても細くショート不良の原因となることになる。
【0039】
そこで、本実施例1では、位置ずれチップ3aの場合、直接描画装置が工程S03の検出情報に基づいて露光位置を自動的に修正するようになっている。図16は配線母基板20に位置ずれして搭載された半導体チップ3(位置ずれチップ3a)を示す模式図である。図16にはコンタクト孔11,12も表示してある。
【0040】
半導体チップの固定位置の位置ずれを検出する場合、図16に示すように、X軸及びY軸の原点位置O(0,0)に対する半導体チップ3の位置ずれを検出する。例えば、半導体チップ3の所定の角部P(x,y)の座標を検出するとともに、X軸に対する半導体チップ3の一辺の傾斜角θを求める。半導体チップ3は、例えば、シリコン基板をクラッキング(劈開)やダイシング等によって切断することから、そのサイズはばらつきがある。そこで、例えば、ダイシング領域(ライン)の内側の線が交差する角部をPとし、ダイシング領域(ライン)の内側の線のX軸に対する傾斜角θを求める。これにより、配線層4に対する電極9の位置関係を確認できることになる。この検出情報を基にしてホトレジスト膜25の感光部28,29が形成される。なお、配線層4の位置ばらつきが大きい場合には、各製品形成部21における配線層4及び電極9の位置を検出し、この検出情報に基づいてコンタクト孔11,12を形成するようにしてもよい。
【0041】
つぎに、図16に示すように、配線母基板20の第1の面2a全体に導体層13aを形成する(S06)。導体層13aは導体ペーストの塗布,印刷等によって形成される。導体層13aは、例えば、厚さ10μm程度に形成される。
【0042】
つぎに、この導体層13aをホトリソグラフィ技術とエッチング技術によってパターニングして、所定のコンタクト孔11の底に露出する電極9と所定のコンタクト孔12の底に露出する配線層4を電気的に接続する配線13を形成する。このため、図17に示すように、導体層13aを覆うようにホトレジスト膜35を形成し、その後工程S05の場合と同様に直接描画装置の描画部26から出射される電子線27を、ホトレジスト膜35の所定長さ領域aに亘って照射して所定のコンタクト孔11部分から所定のコンタクト孔12部分のホトレジスト膜35を感光させる。その後、ホトレジスト膜35を現像処理する。ホトレジスト膜35は現像によって感光部分が残留するホトレジストを形成する。そこで、残留したホトレジスト膜35をエッチングマスクとして導体層13aをエッチングすることによって、図18及び図19に示すように、電極9と配線層4を電気的に接続する配線13が形成されることになる(S07)。本実施例1では、配線13は直線的に延在するパターンとなるが、描画部26を屈曲させて移動しながら露光を行うことによって屈曲するパターンも形成することができる。
【0043】
つぎに、図20に示すように、配線母基板20の第1の面2a側全体を絶縁性の樹脂層14aで覆う(S08)。樹脂層14aは、特に限定はされないが、トランスファモールディング装置によって形成する。このため、図21に示すように、樹脂層14aの上面は平坦になる。図21は図20のX−X線に沿う一部の断面図である。樹脂層14aは、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。
【0044】
つぎに、配線母基板20の第2の面2bを上面とした状態で、第2の面2bに露出する下地電極6に重ねて突起電極7を形成する(S09)。突起電極7は、例えば、半田ボールを取り付け、かつリフロー(再加熱処理)によって半球状に形成することによって形成する。
【0045】
つぎに、図23に示すように、配線母基板20を各製品形成部21の境界線で切断して複数の半導体装置1を製造する(S10)。図23は配線母基板20の第1の面2aを上面とした状態で分割したものを示す。この分割によって、図1乃至図3に示す半導体装置1が製造される。配線母基板20は分割されて配線基板2となり、樹脂層14aは分割されて封止体14となる。
【0046】
図24乃至図26は本実施例1の変形例である半導体装置の断面図である。図24の半導体装置1は本実施例1の変形例1である半導体装置である。この半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、下地電極6に平坦な導体層(ランド)7aを形成して突起電極を形成したものである。即ち、この半導体装置1はLGA構造の半導体装置となっている。平坦な導体層(ランド)7aは印刷等によって形成でき、半導体装置1の製造コスト低減が可能になる。
【0047】
図25の半導体装置1は本実施例1の変形例2である半導体装置である。図25の半導体装置1は実施例1のように封止体14をトランスファモールディングによって形成することなく、ポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して形成したものである。この封止体14は10μm前後と薄くできるため、さらに半導体装置1の薄型化が可能になる。
【0048】
図26の半導体装置1は本実施例1の変形例3である半導体装置である。図26の半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、配線基板2の第1の面2aに窪み40を形成し、この窪み40内に半導体チップ3を搭載した構造になっている。この半導体装置1は窪み40の深さ分半導体チップ3の上面の高さが低くなることから、半導体装置1の厚さを窪み40の深さ分薄くすることができる。
【0049】
本実施例1によれば以下の効果を有する。
(1)配線基板2の配線層4と半導体チップ3の電極9はループを描くワイヤにかえて層間絶縁膜10上を這って延在する導体層からなる配線13によって接続するため、この配線13を覆う封止体14の厚さも薄くでき、半導体装置1の薄型化が達成できる。
【0050】
(2)導体層形成と、その後のホトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって形成する配線13によって配線基板2の配線層4と半導体チップ3の電極9を接続することから、ワイヤボンディングのように半導体チップ3に大きな衝撃を加えることがない。従って、半導体チップ3の電極9をアクティブ領域上にも配置することが可能になる。
【0051】
(3)ワイヤボンディングの場合、ワイヤの直径が25μm程度の場合、ボンディングパッドとなる電極の大きさは一辺が80μm程度の正方形である。これに対して、導体層による配線13で接続する場合には、電極9の一辺が10μm程度の正方形でも充分となる。この結果、電極9の占める面積の低減から半導体チップ3の小型化を図ることができる。
【0052】
(4)上記(2)及び(3)のように、ボンディングパッドとしての電極9を小さくでき、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に配置することも可能になることから、電極レイアウトの自由度が増す。従って、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、アクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップ3をより小型にすることもできる。半導体チップ3の小型化は半導体装置1の小型化を促進することになる。
【0053】
(5)配線13の形成におけるホトリソグラフィにおいて、10μm程度の解像度がある安価でスループットが高いホトマスクレス露光装置、即ち、直接描画装置で形成することが可能になり、半導体装置1の製造コスト低減も達成できる。
【0054】
(6)LGA構造の半導体装置1の場合には製造コスト低減が可能になる。
【0055】
(7)封止体14を絶縁性樹脂の塗布によって形成した半導体装置1ではさらに半導体装置1の薄型化が可能になる。
【0056】
(8)配線基板2に窪み40を設け、この窪み40内に半導体チップ3を搭載した半導体装置1では窪み40の深さ分薄型化が図れる。
【実施例2】
【0057】
図27及び図28は本発明の実施例2の半導体装置に係わる図であり、図27は半導体装置の断面図、図28は半導体装置の一部の封止体を除去した平面図である。
【0058】
本実施例2の半導体装置1は、図1の半導体装置1において、半導体チップ3のグランド電位(GND)となる電極9に接続される配線13は半導体チップ3上の層間絶縁膜10上に所定の面積を有して広がる導体層からなるシールド配線部45に接続される構造になっている。図28は封止体14を一部取り除いた平面図であり、層間絶縁膜10上に形成される導体層からなる配線13及びシールド配線部45が示されている。
【0059】
図28では、半導体チップ3のグランド電極に接続される4本の配線13がシールド配線部45に連なっている。シールド配線部45は配線13を形成する際の導体層13aのパターニングの際形成すればよい。
【0060】
本実施例2の半導体装置1は、半導体チップ3全体が層間絶縁膜10上のシールド配線部45でシールドされることから、半導体装置1が安定動作し、信頼性が高くなる。
【実施例3】
【0061】
図29は本発明の実施例3である半導体装置の模式的平面図である。本実施例3の半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、半導体チップ3の電極9と配線基板2の第1の面2aに設けられた配線層4を接続する配線13を必要に応じて屈曲させたものである。また、半導体チップ3のグランド電極に接続される配線13(グランド配線)を他の配線(例えば、信号配線)に比較して太くしたものである。太くする配線は前記グランド配線以外に電源を供給する電源電位配線にも適用できる。
【0062】
配線13を屈曲させることによって電極9を半導体チップ3のいかなる位置に配置することができる。これは配線13による電極9との接続において、(1)従来のワイヤボンディング法のように半導体チップ3のアクティブ領域にボンディングのための衝撃によるダメージを与えることがないことによって可能になり、(2)配線13を直接描画装置を使用して形成することにより可能となるものである。
【0063】
また、配線の太さの調整は直接描画装置の電子線27の太さの調整で自由に決めることができる。図29では太い線で示す配線がグランド配線13dである。
【0064】
本実施例3の半導体装置1では、導体層13aをホトリソグラフィ技術及びエッチング技術でパターニングして配線13を形成することから、配線パターンは屈曲も含めて自由に選択できる。また、電極9には衝撃が加えられることもないので、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に自由に配置することが可能になる。また、ボンディングパッドとしての電極9を小さくできる。従って、電極9を小さくできること、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に配置することが可能になること、さらに配線13を屈曲も含めて自在なパターンとすることができることから、半導体装置1の製造における電極レイアウト及び配線設計の自由度が増す。従って、本実施例3の半導体装置1においては、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、半導体チップ3のアクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップ3をより小型にすることもできる。半導体チップ3の小型化は半導体装置1の小型化を促進することになる。
【0065】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1である半導体装置の断面図である。
【図2】実施例1の半導体装置の封止体を一部除いた平面図である。
【図3】実施例1の半導体装置の底面図である。
【図4】実施例1の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の半導体装置の製造で使用する配線母基板の第1の面を示す平面図である。
【図6】前記配線母基板の製品形成部の平面図である。
【図7】前記製品形成部の第2の面を示す底面図である。
【図8】図6のX−Xに沿う断面図である。
【図9】前記配線母基板の上下面の配線を接続する導体を表記した製品形成部の平面図である。
【図10】半導体チップを搭載した前記製品形成部の平面図である。
【図11】図10のX−Xに沿う断面図である。
【図12】半導体チップを搭載した前記配線母基板を示す模式的平面図である。
【図13】描画装置で前記製品形成部の上面に形成したホトレジスト膜を選択的に感光させる状態を示す模式図である。
【図14】前記製品形成部の上面に形成した層間絶縁膜に選択的にスルーホールを形成した状態を示す平面図である。
【図15】図14のX−Xに沿う断面図である。
【図16】前記配線母基板に位置ずれして搭載された半導体チップを示す模式図である。
【図17】描画装置で前記製品形成部の上面に形成した導体層上のホトレジスト膜を選択的に感光させる状態を示す模式図である。
【図18】層間絶縁膜上に選択的に形成された配線を示す前記配線母基板の平面図である。
【図19】図18のX−Xに沿う断面図である。
【図20】上面に樹脂層を形成した前記配線母基板の平面図である。
【図21】図19のX−Xに沿う単一の前記配線母基板の断面図である。
【図22】第2の面を上面として第2の面に突起電極を形成した前記製品形成部の断面図である。
【図23】前記配線母基板を分割して製造された複数の半導体装置を示す平面図である。
【図24】本実施例1の変形例1である半導体装置の断面図である。
【図25】本実施例1の変形例2である半導体装置の断面図である。
【図26】本実施例1の変形例3である半導体装置の断面図である。
【図27】本発明の実施例2である半導体装置の断面図である。
【図28】本実施例2の半導体装置の一部の封止体を除去した平面図である。
【図29】本発明の実施例3である半導体装置の模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1…半導体装置、2…配線基板、2a…第1の面、2b…第2の面、3…半導体チップ、3a…位置ずれチップ、4…配線層、5…導体、6…下地電極、7…突起電極、7a…平坦な導体層(ランド)、9…電極(電極パッド)、10…層間絶縁膜、11,12…コンタクト孔、13…配線、13a…導体層、13d…グランド配線、14…封止体、14a…樹脂層、20…配線母基板、21…製品形成部、25…ホトレジスト膜、26…描画部、27…電子線、28,29…感光部、35…ホトレジスト膜、40…窪み、45…シールド配線部。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法、特に、BGA(Ball Grid Array )構造及びLGA(Land Grid Array )構造等の表面実装型の半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の集積度向上及び小型・軽量化を図るためのパッケージ構造として、BGA構造及びLGA構造と呼称される表面実装型の半導体装置が知られている。また、生産性を向上させるために、一括モールド方法が採用されている。
【0003】
この一括モールド方法を採用する半導体装置の製造方法は以下のようになっている。半導体装置の製造において、最初に配線母基板が準備される。この配線母基板は縦横に製品形成部を区画配置した構造になっている。製品形成部は一面側の中央部分が半導体チップを搭載する部分になり、その周囲には複数の配線層が設けられている。また、製品形成部の他の一面(裏面)には前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される下地電極が設けられている。
【0004】
このような配線母基板を準備した後、配線基板の一面側の各製品形成部に半導体チップを搭載し、その後半導体チップの各電極と製品形成部の配線層を導電性のワイヤで接続する。つぎに、配線基板の一面に絶縁性樹脂によって樹脂層を形成して前記ワイヤ及び半導体チップを覆う。つぎに、前記樹脂層で覆われない配線基板の裏面の各製品形成部の下地電極面にボール電極等の突起電極を形成する。つぎに、配線基板を樹脂層と共に製品形成部の境界で切断して複数の半導体装置を製造する(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−110718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人においても、BGA構造の半導体装置の小型・薄型化を進めている。従来のBGA構造の半導体装置では以下のような問題があることがわかった。(1)半導体チップの電極と配線層をワイヤで接続するが、ワイヤ接続構造ではワイヤは弧を描くように張られる(ループ)ことから、ループ構造故にワイヤを覆う樹脂層の厚さが厚くなり、半導体装置の薄型化が妨げられている。
【0007】
(2)ワイヤボンディングはワイヤ接続箇所の下方領域に接続時の衝撃が加わることから、素子破壊を防止するためにもワイヤの接続位置、即ち、電極(電極パッド)は半導体チップのアクティブ領域を外れた位置に配置される。通常は矩形状の半導体チップの各辺に沿い、各辺に近接した位置に電極(電極パッド)が配される。このため、半導体装置のピン数(外部電極端子数)が多くなる程ワイヤの本数も多くなり、半導体チップの電極も増大する。電極は半導体チップの周辺に沿って並んで配置される結果、半導体装置の機能向上に伴うピン数増大に従って半導体チップも大型化し、半導体装置の小型化を妨げることになる。
【0008】
本発明の目的は、薄型化及び小型化が可能な半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
(1)半導体装置は、
上面に複数の配線層を有し、前記上面の反対面となる下面に前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定され、上面に複数の電極を有する半導体チップと、
前記配線基板の上面に形成され、前記半導体チップ及び前記配線層を選択的に覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、一端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体チップの前記電極に接続され、他端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記配線層に接続される導体層からなる配線と、
前記配線基板の上面側に設けられ、前記配線を覆う絶縁体からなる封止体と、
前記下地電極層に重ねて設けられる突起電極とを有する。
【0012】
このような半導体装置は、以下の工程を有する製造方法で製造される。
(a)第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される複数の配線層と、前記第2の面に形成され前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
(b)前記各製品形成部の前記第1の面に上面に複数の電極を有する半導体チップを固定する工程と、
(c)前記各製品形成部の前記半導体チップの固定位置を検出し、前記電極と前記配線層の位置関係を検出する工程と、
(d)前記製品形成部の前記第1の面に前記半導体チップ及び前記配線層を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて前記電極及び前記配線層上の前記層間絶縁膜にコンタクト孔を形成して前記電極と前記配線層を露出させる工程と、
(f)前記製品形成部の前記第1の面に形成され、かつ前記コンタクト孔を埋める導体層を形成する工程と、
(g)前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて、一端側が前記コンタクト孔を介して前記電極に接続され、他端側が前記コンタクト孔を介して前記導体層に接続される配線を形成する工程と、
(h)前記製品形成部の前記第1の面を絶縁性の樹脂層で覆う工程と、
(i)前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
(j)前記配線母基板を前記区画の区画線で切断して複数の半導体装置を製造する工程とを有し、
前記工程(e)の前記コンタクト孔の形成及び前記工程(g)の前記配線の形成はホトリソグラフィ技術とエッチング技術で形成し、かつ前記ホトリソグラフィ技術ではホトマスクを使用しない直接描画装置で形成することによって製造される。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
前記(1)の手段によれば、(a)配線基板の導体層と半導体チップの電極はループを描くワイヤにかえて層間絶縁膜上を這って延在する導体層からなる配線によって接続するため、この配線を覆う封止体の厚さも薄くでき、半導体装置の薄型化が達成できる。
【0014】
(b)導体層形成と、その後のホトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって形成する配線によって配線基板の導体層と半導体チップの電極を接続することから、ワイヤボンディングのように半導体チップに大きな衝撃を加えることがない。従って、半導体チップの電極をアクティブ領域上にも配置することが可能になる。
【0015】
(c)ワイヤボンディングの場合、ワイヤの直径が25μm程度の場合、ボンディングパッドとなる電極の大きさは一辺が80μm程度の正方形である。これに対して、導体層による配線で接続する場合には、電極の一辺が10μm程度の正方形でも充分となる。この結果、電極の占める面積の低減から半導体チップの小型化を図ることができる。
【0016】
(d)導体層をホトリソグラフィ技術及びエッチング技術でパターニングして形成する配線は、その平面パターンも自由であり、自由に屈曲させて延在させることが可能になる。この結果、アクティブ領域に自由に配置する電極間にも配置できる効果がある。
【0017】
(e)上記(b)乃至(d)のように、ボンディングパッドとしての電極を小さくでき、電極を半導体チップのアクティブ領域上に配置することも可能になり、さらに配線は屈曲も自在なパターンとすることができることから、電極レイアウト及び配線設計の自由度が増す。従って、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、アクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップをより小型にすることもできる。半導体チップの小型化は半導体装置の小型化を促進することになる。
【0018】
(f)配線形成におけるホトリソグラフィにおいて、10μm程度の解像度がある安価でスループットが高いホトマスクレス露光装置、即ち、直接描画装置で形成することが可能になり、半導体装置の製造コスト低減も達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0020】
図1乃至図23は本発明の実施例1の半導体装置に係わる図であり、図1乃至図3は半導体装置の構造に係わる図であり、図4乃至23は半導体装置の製造方法に係わる図である。図24乃至図26は本実施例1の変形例を示す図である。
【0021】
本実施例1の半導体装置1は図1乃至図3に示すような構造になっている。図1は半導体装置の断面図、図2は封止体を一部除いた半導体装置の平面図、図3は半導体装置の底面図である。
【0022】
半導体装置1は矩形状(例えば、正方形)の配線基板2を有している。この配線基板2の第1の面2a(図1では上面)の中央部分には、図1及び図2に示すように、半導体チップ3が図示しない接着剤を介して搭載(固定)されている。半導体チップ3を外れる周囲の配線基板領域(第2の面)には、配線層4が複数設けられている。配線層4は配線基板2の中央から外側に向かう細長片となり、例えば、配線基板2の各辺に直交する方向に延在する構造になっている。
【0023】
図1に示すように、各配線層4の外端近傍には配線基板2を貫通する導体5が設けられている。この導体5は、配線基板2の第1の面2aと反対面となる第2の面2bに設けられた、特に限定はされないが、円形の下地電極6と電気的に接続されている。この下地電極6には突起電極7が重ねて形成されている。本実施例1では突起電極7は、例えば、半田からなるボール電極で形成されている。突起電極7は、図3に示すように矩形枠状に配列されている。配線基板2は、例えば、厚さ200μm程度のガラスエポキシ樹脂板からなっている。また、配線層4及び下地電極6の表面は、配線13や突起電極7との接続状態を良好とするメッキ膜(図示せず)が形成されている。
【0024】
配線基板2の第1の面2a側には絶縁性樹脂からなる層間絶縁膜10が全体に形成され、半導体チップ3及び配線層4を覆っている。層間絶縁膜10は、例えば、10〜20μmの厚さのポリイミド樹脂で形成されている。層間絶縁膜10の半導体チップ3の各電極(図2及び図10参照:電極9)及び配線層4の内端側を覆う層間絶縁膜10部分にはコンタクト孔11,12が設けられている。このコンタクト孔11,12の形成によって電極9(電極パッド9)及び配線層4は露出することになる。そして、コンタクト孔11の底に露出する電極と、これに対応する配線層4(コンタクト孔12の底に露出する配線層4)は層間絶縁膜10上に這うように形成される導体層からなる配線13によって電気的に接続されている。導体層は導体ペーストの塗布、印刷等によって形成される。
【0025】
また、配線基板2の第1の面2a全体には絶縁性樹脂からなる封止体14が形成されている。実施例1では、封止体14はトランスファモールディングによって平坦に形成された絶縁性の樹脂層を切断することによって形成されている。従って、封止体14の上面は平坦な面になっている。
【0026】
封止体14の厚さはワイヤボンディング構造の封止体の厚さに比較して充分薄くなる。この封止体14の薄型化はそのまま半導体装置1の薄型化となる。
【0027】
つぎに、半導体装置1の製造方法について、図4乃至図23を参照して説明する。図4は本実施例1の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0028】
本実施例1の半導体装置1は、図4のフローチャートで示すように、配線母基板準備S01、半導体チップ搭載S02、半導体チップ固定位置検出S03,層間絶縁膜形成S04、層間絶縁膜に配線層形成用開口部形成(マスクレス)S05、導体層形成S06、導体層選択的除去による配線形成S07、樹脂層形成S08、突起電極形成S09、配線母基板及び樹脂層切断S10の各工程を経て製造される。
【0029】
半導体装置1の製造では、図5に示すように、配線母基板20が準備される(S01)。配線母基板20は、第1の面2a及び第1の面2aの反対面となる第2の面2b(図8参照)を有する配線基板からなっている。配線母基板20は、例えば、厚さ200μm程度のガラスエポキシ樹脂板からなっている。
【0030】
配線母基板20は、図5に示すように、その平面方向に区画された製品形成部21を複数有する構造になっている。製品形成部21は、縦横にマトリックス状に整列配置されている。製品形成部21は1個の半導体装置が製造される部分である。図5において各製品形成部21の境界を太い線で示してあるが、実際の配線母基板20にはこのような線は存在しておらず、説明の便宜上設けた線である。なお、以降の説明においては、主としてこの単一の製品形成部21で半導体装置の製造方法について説明する。
【0031】
製品形成部21は、図6乃至図8に示すような構造になっている。図6は製品形成部21の第1の面2aを示す平面図、図7は製品形成部21の第2の面を示す底面図、図8は図6のX−Xに沿う断面図である。
【0032】
製品形成部21は、区画されて矩形状(例えば、正方形)の領域となっている。この矩形状の製品形成部21において、図6に示すように、配線母基板20の第1の面2aには配線層4が複数形成されている。製品形成部21において、配線母基板20の中央領域は半導体チップが固定される領域である。そこで、この半導体チップが固定される領域を外れた周囲に配線層4が設けられている。配線層4は配線母基板20の中央から外側に向かう細長片となり、例えば、製品形成部21の各辺に直交する方向に延在する構造になっている。配線層4は各辺に沿って所定間隔で複数並列状態で配置されている。
【0033】
また、配線層4の外端近傍部分に対応する配線母基板20の第2の面2bには、図7に示すように、特に限定はされないが、円形の下地電極6が形成されている。そして、この下地電極6とその上に対面する配線層4は配線母基板20を貫通する導体5によって電気的に接続されている。図9には配線層4と下地電極6を接続する導体5を模式的に表示してある。配線層4及び導体5並びに下地電極6は導体ペースト等を塗布あるいは印刷しかつパターニングされて形成されている。配線層4及び下地電極6は、10μm程度の厚さになっている。
【0034】
このような製品形成部21に対して、図10及び図11に示すように、配線母基板20の第1の面2aに図示しない接着剤を介して半導体チップ3が位置決め固定(搭載)される(S02)。半導体チップ3の上面には電極(電極パッド)9が位置することになる。図10に示すように、本実施例1では、正確なる位置決めによる搭載によって、各配線層4の延長線上に電極9が位置するようになっている。しかし、図12に示すように、場合によっては一部の半導体チップ3は位置ずれを起こして搭載される場合もある。図12において、薄黒く色付けされた半導体チップ3が位置ずれチップ3aである。この位置ずれチップ3aにおいては配線層4の延長線上から電極9が外れるものもあることになる。なお、使用する接着剤によっては配線母基板20の第1の面2aに導体層によるボンディングパッドを形成しておいてもよい。
【0035】
つぎに、配線母基板20の各製品形成部21における半導体チップ3の固定位置を検出し、配線層4に対する電極9の位置関係を検出する(S03)。
【0036】
つぎに、図13に示すように、配線母基板20の第1の面2a全域に層間絶縁膜10を形成する(S04)。層間絶縁膜10は、例えば、10〜20μmの厚さのポリイミド樹脂で形成する。
【0037】
つぎに、層間絶縁膜10にホトリソグラフィ技術とエッチング技術によって、配線層形成用の開口部を形成する(S05)。このため、図13に示すように、層間絶縁膜10を覆うようにホトレジスト膜25を形成し、その後ホトマスクを使用しない直接描画装置(マスクレス露光装置)の描画部26から電子線27をホトレジスト膜25の所定箇所に照射して部分的にホトレジスト膜25を感光させる。図13に示すように、感光部28,29は前述のコンタクト孔11,12を形成する部分に対応し、半導体チップ3の電極9上及び配線層4上となる。つぎに、ホトレジスト膜25を現像処理して感光部28,29を除去し、さらにエッチング処理する。これにより、感光部28,29に対応した層間絶縁膜10がエッチングされ、図14及び図15に示すように、層間絶縁膜10にコンタクト孔11,12が形成される。コンタクト孔11の底には電極9が露出し、コンタクト孔12の底には配線層4が露出することになる。
【0038】
このコンタクト孔11,12の形成における直接描画装置による露光(感光)処理においては、工程S03の検出情報のもと露光が行われる。即ち、半導体チップ固定位置検出S03においては、配線母基板20の各製品形成部21における半導体チップ3の固定位置検出が行われる。そして、所定域の位置ずれに対しては良なる判定が行われる。しかし、図12に示すような大きな位置ずれにある位置ずれチップ3aでは不良と判定され、その位置ずれ情報が蓄積される。位置ずれチップ3aは、設計基準のもとにコンタクト孔11を形成した場合、コンタクト孔11は電極9から外れ、コンタクト孔11の底に電極9が位置しなくなったり、あるいは電極9の一部しか露出しない状態となる。この結果、配線13を形成した場合、電極9と配線層4が電気的に接続されなくなったり、あるいは接続されても細くショート不良の原因となることになる。
【0039】
そこで、本実施例1では、位置ずれチップ3aの場合、直接描画装置が工程S03の検出情報に基づいて露光位置を自動的に修正するようになっている。図16は配線母基板20に位置ずれして搭載された半導体チップ3(位置ずれチップ3a)を示す模式図である。図16にはコンタクト孔11,12も表示してある。
【0040】
半導体チップの固定位置の位置ずれを検出する場合、図16に示すように、X軸及びY軸の原点位置O(0,0)に対する半導体チップ3の位置ずれを検出する。例えば、半導体チップ3の所定の角部P(x,y)の座標を検出するとともに、X軸に対する半導体チップ3の一辺の傾斜角θを求める。半導体チップ3は、例えば、シリコン基板をクラッキング(劈開)やダイシング等によって切断することから、そのサイズはばらつきがある。そこで、例えば、ダイシング領域(ライン)の内側の線が交差する角部をPとし、ダイシング領域(ライン)の内側の線のX軸に対する傾斜角θを求める。これにより、配線層4に対する電極9の位置関係を確認できることになる。この検出情報を基にしてホトレジスト膜25の感光部28,29が形成される。なお、配線層4の位置ばらつきが大きい場合には、各製品形成部21における配線層4及び電極9の位置を検出し、この検出情報に基づいてコンタクト孔11,12を形成するようにしてもよい。
【0041】
つぎに、図16に示すように、配線母基板20の第1の面2a全体に導体層13aを形成する(S06)。導体層13aは導体ペーストの塗布,印刷等によって形成される。導体層13aは、例えば、厚さ10μm程度に形成される。
【0042】
つぎに、この導体層13aをホトリソグラフィ技術とエッチング技術によってパターニングして、所定のコンタクト孔11の底に露出する電極9と所定のコンタクト孔12の底に露出する配線層4を電気的に接続する配線13を形成する。このため、図17に示すように、導体層13aを覆うようにホトレジスト膜35を形成し、その後工程S05の場合と同様に直接描画装置の描画部26から出射される電子線27を、ホトレジスト膜35の所定長さ領域aに亘って照射して所定のコンタクト孔11部分から所定のコンタクト孔12部分のホトレジスト膜35を感光させる。その後、ホトレジスト膜35を現像処理する。ホトレジスト膜35は現像によって感光部分が残留するホトレジストを形成する。そこで、残留したホトレジスト膜35をエッチングマスクとして導体層13aをエッチングすることによって、図18及び図19に示すように、電極9と配線層4を電気的に接続する配線13が形成されることになる(S07)。本実施例1では、配線13は直線的に延在するパターンとなるが、描画部26を屈曲させて移動しながら露光を行うことによって屈曲するパターンも形成することができる。
【0043】
つぎに、図20に示すように、配線母基板20の第1の面2a側全体を絶縁性の樹脂層14aで覆う(S08)。樹脂層14aは、特に限定はされないが、トランスファモールディング装置によって形成する。このため、図21に示すように、樹脂層14aの上面は平坦になる。図21は図20のX−X線に沿う一部の断面図である。樹脂層14aは、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。
【0044】
つぎに、配線母基板20の第2の面2bを上面とした状態で、第2の面2bに露出する下地電極6に重ねて突起電極7を形成する(S09)。突起電極7は、例えば、半田ボールを取り付け、かつリフロー(再加熱処理)によって半球状に形成することによって形成する。
【0045】
つぎに、図23に示すように、配線母基板20を各製品形成部21の境界線で切断して複数の半導体装置1を製造する(S10)。図23は配線母基板20の第1の面2aを上面とした状態で分割したものを示す。この分割によって、図1乃至図3に示す半導体装置1が製造される。配線母基板20は分割されて配線基板2となり、樹脂層14aは分割されて封止体14となる。
【0046】
図24乃至図26は本実施例1の変形例である半導体装置の断面図である。図24の半導体装置1は本実施例1の変形例1である半導体装置である。この半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、下地電極6に平坦な導体層(ランド)7aを形成して突起電極を形成したものである。即ち、この半導体装置1はLGA構造の半導体装置となっている。平坦な導体層(ランド)7aは印刷等によって形成でき、半導体装置1の製造コスト低減が可能になる。
【0047】
図25の半導体装置1は本実施例1の変形例2である半導体装置である。図25の半導体装置1は実施例1のように封止体14をトランスファモールディングによって形成することなく、ポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して形成したものである。この封止体14は10μm前後と薄くできるため、さらに半導体装置1の薄型化が可能になる。
【0048】
図26の半導体装置1は本実施例1の変形例3である半導体装置である。図26の半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、配線基板2の第1の面2aに窪み40を形成し、この窪み40内に半導体チップ3を搭載した構造になっている。この半導体装置1は窪み40の深さ分半導体チップ3の上面の高さが低くなることから、半導体装置1の厚さを窪み40の深さ分薄くすることができる。
【0049】
本実施例1によれば以下の効果を有する。
(1)配線基板2の配線層4と半導体チップ3の電極9はループを描くワイヤにかえて層間絶縁膜10上を這って延在する導体層からなる配線13によって接続するため、この配線13を覆う封止体14の厚さも薄くでき、半導体装置1の薄型化が達成できる。
【0050】
(2)導体層形成と、その後のホトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって形成する配線13によって配線基板2の配線層4と半導体チップ3の電極9を接続することから、ワイヤボンディングのように半導体チップ3に大きな衝撃を加えることがない。従って、半導体チップ3の電極9をアクティブ領域上にも配置することが可能になる。
【0051】
(3)ワイヤボンディングの場合、ワイヤの直径が25μm程度の場合、ボンディングパッドとなる電極の大きさは一辺が80μm程度の正方形である。これに対して、導体層による配線13で接続する場合には、電極9の一辺が10μm程度の正方形でも充分となる。この結果、電極9の占める面積の低減から半導体チップ3の小型化を図ることができる。
【0052】
(4)上記(2)及び(3)のように、ボンディングパッドとしての電極9を小さくでき、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に配置することも可能になることから、電極レイアウトの自由度が増す。従って、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、アクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップ3をより小型にすることもできる。半導体チップ3の小型化は半導体装置1の小型化を促進することになる。
【0053】
(5)配線13の形成におけるホトリソグラフィにおいて、10μm程度の解像度がある安価でスループットが高いホトマスクレス露光装置、即ち、直接描画装置で形成することが可能になり、半導体装置1の製造コスト低減も達成できる。
【0054】
(6)LGA構造の半導体装置1の場合には製造コスト低減が可能になる。
【0055】
(7)封止体14を絶縁性樹脂の塗布によって形成した半導体装置1ではさらに半導体装置1の薄型化が可能になる。
【0056】
(8)配線基板2に窪み40を設け、この窪み40内に半導体チップ3を搭載した半導体装置1では窪み40の深さ分薄型化が図れる。
【実施例2】
【0057】
図27及び図28は本発明の実施例2の半導体装置に係わる図であり、図27は半導体装置の断面図、図28は半導体装置の一部の封止体を除去した平面図である。
【0058】
本実施例2の半導体装置1は、図1の半導体装置1において、半導体チップ3のグランド電位(GND)となる電極9に接続される配線13は半導体チップ3上の層間絶縁膜10上に所定の面積を有して広がる導体層からなるシールド配線部45に接続される構造になっている。図28は封止体14を一部取り除いた平面図であり、層間絶縁膜10上に形成される導体層からなる配線13及びシールド配線部45が示されている。
【0059】
図28では、半導体チップ3のグランド電極に接続される4本の配線13がシールド配線部45に連なっている。シールド配線部45は配線13を形成する際の導体層13aのパターニングの際形成すればよい。
【0060】
本実施例2の半導体装置1は、半導体チップ3全体が層間絶縁膜10上のシールド配線部45でシールドされることから、半導体装置1が安定動作し、信頼性が高くなる。
【実施例3】
【0061】
図29は本発明の実施例3である半導体装置の模式的平面図である。本実施例3の半導体装置1は、実施例1の半導体装置1において、半導体チップ3の電極9と配線基板2の第1の面2aに設けられた配線層4を接続する配線13を必要に応じて屈曲させたものである。また、半導体チップ3のグランド電極に接続される配線13(グランド配線)を他の配線(例えば、信号配線)に比較して太くしたものである。太くする配線は前記グランド配線以外に電源を供給する電源電位配線にも適用できる。
【0062】
配線13を屈曲させることによって電極9を半導体チップ3のいかなる位置に配置することができる。これは配線13による電極9との接続において、(1)従来のワイヤボンディング法のように半導体チップ3のアクティブ領域にボンディングのための衝撃によるダメージを与えることがないことによって可能になり、(2)配線13を直接描画装置を使用して形成することにより可能となるものである。
【0063】
また、配線の太さの調整は直接描画装置の電子線27の太さの調整で自由に決めることができる。図29では太い線で示す配線がグランド配線13dである。
【0064】
本実施例3の半導体装置1では、導体層13aをホトリソグラフィ技術及びエッチング技術でパターニングして配線13を形成することから、配線パターンは屈曲も含めて自由に選択できる。また、電極9には衝撃が加えられることもないので、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に自由に配置することが可能になる。また、ボンディングパッドとしての電極9を小さくできる。従って、電極9を小さくできること、電極9を半導体チップ3のアクティブ領域上に配置することが可能になること、さらに配線13を屈曲も含めて自在なパターンとすることができることから、半導体装置1の製造における電極レイアウト及び配線設計の自由度が増す。従って、本実施例3の半導体装置1においては、アクティブ領域の外側に電極を形成している従来の半導体チップ構造に比較して、半導体チップ3のアクティブ領域の外側の電極形成領域の縮小化、あるいは廃止が可能になり、半導体チップ3をより小型にすることもできる。半導体チップ3の小型化は半導体装置1の小型化を促進することになる。
【0065】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1である半導体装置の断面図である。
【図2】実施例1の半導体装置の封止体を一部除いた平面図である。
【図3】実施例1の半導体装置の底面図である。
【図4】実施例1の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の半導体装置の製造で使用する配線母基板の第1の面を示す平面図である。
【図6】前記配線母基板の製品形成部の平面図である。
【図7】前記製品形成部の第2の面を示す底面図である。
【図8】図6のX−Xに沿う断面図である。
【図9】前記配線母基板の上下面の配線を接続する導体を表記した製品形成部の平面図である。
【図10】半導体チップを搭載した前記製品形成部の平面図である。
【図11】図10のX−Xに沿う断面図である。
【図12】半導体チップを搭載した前記配線母基板を示す模式的平面図である。
【図13】描画装置で前記製品形成部の上面に形成したホトレジスト膜を選択的に感光させる状態を示す模式図である。
【図14】前記製品形成部の上面に形成した層間絶縁膜に選択的にスルーホールを形成した状態を示す平面図である。
【図15】図14のX−Xに沿う断面図である。
【図16】前記配線母基板に位置ずれして搭載された半導体チップを示す模式図である。
【図17】描画装置で前記製品形成部の上面に形成した導体層上のホトレジスト膜を選択的に感光させる状態を示す模式図である。
【図18】層間絶縁膜上に選択的に形成された配線を示す前記配線母基板の平面図である。
【図19】図18のX−Xに沿う断面図である。
【図20】上面に樹脂層を形成した前記配線母基板の平面図である。
【図21】図19のX−Xに沿う単一の前記配線母基板の断面図である。
【図22】第2の面を上面として第2の面に突起電極を形成した前記製品形成部の断面図である。
【図23】前記配線母基板を分割して製造された複数の半導体装置を示す平面図である。
【図24】本実施例1の変形例1である半導体装置の断面図である。
【図25】本実施例1の変形例2である半導体装置の断面図である。
【図26】本実施例1の変形例3である半導体装置の断面図である。
【図27】本発明の実施例2である半導体装置の断面図である。
【図28】本実施例2の半導体装置の一部の封止体を除去した平面図である。
【図29】本発明の実施例3である半導体装置の模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1…半導体装置、2…配線基板、2a…第1の面、2b…第2の面、3…半導体チップ、3a…位置ずれチップ、4…配線層、5…導体、6…下地電極、7…突起電極、7a…平坦な導体層(ランド)、9…電極(電極パッド)、10…層間絶縁膜、11,12…コンタクト孔、13…配線、13a…導体層、13d…グランド配線、14…封止体、14a…樹脂層、20…配線母基板、21…製品形成部、25…ホトレジスト膜、26…描画部、27…電子線、28,29…感光部、35…ホトレジスト膜、40…窪み、45…シールド配線部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の配線層を有し、前記上面の反対面となる下面に前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定され、上面に複数の電極を有する半導体チップと、
前記配線基板の上面に形成され、前記半導体チップ及び前記配線層を選択的に覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、一端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体チップの前記電極に接続され、他端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記配線層に接続される導体層からなる配線と、
前記配線基板の上面側に設けられ、前記配線を覆う絶縁体からなる封止体と、
前記下地電極層に重ねて設けられる突起電極とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線基板の上面には窪みが設けられ、この窪み内に前記半導体チップが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップのグランド電位となる前記電極に接続される前記配線は他の配線に較べて幅が広くなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップのグランド電位となる前記電極に接続される前記配線は前記半導体チップ上の前記層間絶縁膜上に所定の面積を有して広がる導体層からなるシールド配線部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される複数の配線層と、前記第2の面に形成され前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に上面に複数の電極を有する半導体チップを固定する工程と、
前記各製品形成部の前記半導体チップの固定位置を検出し、前記電極と前記配線層の位置関係を検出する工程と、
前記製品形成部の前記第1の面に前記半導体チップ及び前記配線層を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて前記電極及び前記配線層上の前記層間絶縁膜にコンタクト孔を形成して前記電極と前記配線層を露出させる工程と、
前記製品形成部の前記第1の面に形成され、かつ前記コンタクト孔を埋める導体層を形成する工程と、
前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて、一端側が前記コンタクト孔を介して前記電極に接続され、他端側が前記コンタクト孔を介して前記導体層に接続される配線を形成する工程と、
前記製品形成部の前記第1の面を絶縁性の樹脂層で覆う工程と、
前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
前記配線母基板を前記区画の区画線で切断して複数の半導体装置を製造する工程とを有し、
前記コンタクト孔の形成及び前記配線の形成はホトリソグラフィ技術とエッチング技術で形成し、かつ前記ホトリソグラフィ技術ではホトマスクを使用しない直接描画装置で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
上面に複数の配線層を有し、前記上面の反対面となる下面に前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定され、上面に複数の電極を有する半導体チップと、
前記配線基板の上面に形成され、前記半導体チップ及び前記配線層を選択的に覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、一端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体チップの前記電極に接続され、他端側が前記層間絶縁膜を貫通して前記配線層に接続される導体層からなる配線と、
前記配線基板の上面側に設けられ、前記配線を覆う絶縁体からなる封止体と、
前記下地電極層に重ねて設けられる突起電極とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線基板の上面には窪みが設けられ、この窪み内に前記半導体チップが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップのグランド電位となる前記電極に接続される前記配線は他の配線に較べて幅が広くなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップのグランド電位となる前記電極に接続される前記配線は前記半導体チップ上の前記層間絶縁膜上に所定の面積を有して広がる導体層からなるシールド配線部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される複数の配線層と、前記第2の面に形成され前記配線層に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極層とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に上面に複数の電極を有する半導体チップを固定する工程と、
前記各製品形成部の前記半導体チップの固定位置を検出し、前記電極と前記配線層の位置関係を検出する工程と、
前記製品形成部の前記第1の面に前記半導体チップ及び前記配線層を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて前記電極及び前記配線層上の前記層間絶縁膜にコンタクト孔を形成して前記電極と前記配線層を露出させる工程と、
前記製品形成部の前記第1の面に形成され、かつ前記コンタクト孔を埋める導体層を形成する工程と、
前記電極と前記配線層の位置関係検出情報に基づいて、一端側が前記コンタクト孔を介して前記電極に接続され、他端側が前記コンタクト孔を介して前記導体層に接続される配線を形成する工程と、
前記製品形成部の前記第1の面を絶縁性の樹脂層で覆う工程と、
前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
前記配線母基板を前記区画の区画線で切断して複数の半導体装置を製造する工程とを有し、
前記コンタクト孔の形成及び前記配線の形成はホトリソグラフィ技術とエッチング技術で形成し、かつ前記ホトリソグラフィ技術ではホトマスクを使用しない直接描画装置で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
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【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−13205(P2006−13205A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189626(P2004−189626)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000100997)株式会社アキタ電子システムズ (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000100997)株式会社アキタ電子システムズ (41)
【Fターム(参考)】
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