説明

半導体装置及び半導体装置の異常検出方法

【課題】メモリセルの読出し及び書込みを必要としない、簡便なテスト方法を実行することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、複数のワード線(WL)と、ワード線ドライバ(4)と、第1検出回路(11、12、15)と、制御回路とを具備する。複数のワード線(WL)は、複数のメモリセルトランジスタ(図示されず)のゲートに接続されている。ワード線ドライバ(4)は、複数のワード線(WL)の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給する。第1検出回路(11、12、15)は、ワード線ドライバ(4)を介して複数のワード線(WL)のいずれかに選択電圧を供給するとき、選択電圧を供給する配線(21)を介してワード線ドライバ(4)に流れ込む第1電流を検出する。制御回路は、第1電流に基づいて、複数のワード線(WL)及びワード線ドライバ(4)の異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の異常検出方法に関し、特にメモリ回路を有する半導体装置でのメモリセルアレイのワード線及びワード線ドライバのテストに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ回路を有する半導体装置(例示:メモリ、メモリ内蔵マイクロコンピュータ)のメモリセルアレイをテストする方法が知られている。一般的に、そのテスト方法では、メモリセルに対する読出し及び書込みが正常であるか否かを判断することで、間接的にメモリセルアレイのワード線、ビット線、及び周辺回路が正常であるか否かを判断している。すなわち、直接的に故障を検出しているわけではない。また、フラッシュメモリは、読出しに対して書込みが非常に長い。加えて、上書きで書き込むためには、書込みよりも長い時間を必要とする消去動作が必要となる。そのため、読出し及び書き込みが同程度の時間で実行できるSRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのRAMに対してテスト時間が長いというデメリットを生んでいる。テスト時間の短縮のためには、メモリセルの読出し及び書込みを必要としない、簡便なテスト方法が望まれている。
【0003】
メモリセルの読出し及び書込みを必要としないテストに関して、例えば、特開平5−159600号公報に半導体メモリのテスト回路が開示されている。このテスト回路は、半導体メモリと、トランジスタ列と、プリチャージ手段と、接地手段と、判定手段とから成る。半導体メモリは、少なくともワード線を含むメモリセルアレイを有する。トランジスタ列は、電源側と接地側との間に並列に接続されると共に、半導体メモリのデコード出力をゲート入力とし、各ワード線に対してそれぞれ付加された複数のトランジスタより成る。プリチャージ手段は、制御信号により上記トランジスタ列のドレイン側をプリチャージする。接地手段は、制御信号により上記トランジスタ列のソース側を接地する。判定手段は、上記トランジスタ列のドレイン側の電位に基づきワード線の不良を判定する。
【0004】
具体的には以下のように記載されている。このテスト回路は、ワード線を挟んで行デコーダとは反対側に、ゲートをワード線に接続したトランジスタ(トランジスタ列)を設け、そのトランジスタを用いてワード線の電圧を直接モニタする。それにより、従来メモリセルの読み書きによって間接的にワード線の良否を判定していたものと比較して、ワード線のテスト時間を短縮する。より具体的には、制御信号によって、トランジスタ列のドレイン側に接続されたインバータの入力を電源電圧レベルにプリチャージしておき、その後、1本のワード線を選択する。インバータの出力は、正常に1本のワード線だけ選択された場合と、不良により複数のワード線が多重に選択された場合とでは、その出力タイミングが異なる。そのため、そのタイミングを判定手段で測定することにより、ワード線の良否を判定することができる。また、ワード線が1本も選択されない不良の場合、インバータの出力は接地レベルのままである。そのため、同様にワード線の良否を判定できる。
【0005】
また、メモリセルの読出し及び書込みを必要としないテストに関して、特開2000−353399号公報(対応米国特許:US6111801)にメモリアレイのワード線及び関連回路をテストする方法が開示されている。ここで、メモリアレイは複数個の行に配列された複数個のメモリセルを有している。複数個の行の各々は複数個のメモリセルの夫々のものへ接続されている夫々のワード線を有している。関連回路はデコード回路によってデコードされる対応するアドレス信号に基づいて夫々のワード線のうちの少なくとも1つを活性化させるために夫々のワード線の各々へ接続されているデコード回路を有している。テスト方法は、夫々のワード線の対応する1つを活性化させるためにデコード回路へアドレス信号を印加し、夫々のワード線のうちの対応する1つが活性化された否かを決定するために夫々のワード線のうちの対応する1つをモニタする、上記各ステップを有することを特徴とする。
【0006】
具体的には以下のように記載されている。このテスト方法は、メモリセルアレイに行テスト回路を設け、行テスト回路によってワード線が活性化されたか否かをモニタする。それにより、従来複雑なテストパタンが必要で、かつそのテスト実施のために長い計算時間が必要であったのに対し、そのコストを低減する。より具体的には、行テスト回路にはワード線ごとにラッチブロックを設け、ワード線の活性=“1”もしくは非活性=“0”の状態を保持させる。ワード線が正常に選択されれば、ワイヤードORを介して“1”が返されるので、直接“行”が正常であるということがテストできる。そのため、テストコストを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−159600号公報
【特許文献2】特開2000−353399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開平5−159600号公報や特開2000−353399号公報は、メモリセルの読み書きを必要としないテストである。しかし、発明者の研究により以下のような問題点が判明した。
【0009】
特開平5−159600号公報は、テスト回路の設計が難しいという問題を有している。このテスト回路では、正常にワード線1本が選択された場合と、異常により複数のワード線が選択された場合とでは、インバータの入力電圧が接地レベルに到達する時間が異なる。したがって、この時間差を判定手段により測定する必要がある。しかし、テスト時間の短縮というメリットを出すためには、電位の変動は少なくともメモリセルの読出し及び書込みにかかる時間と同程度もしくはそれ以下にする必要がある。一方、1本も選択されなかった場合にインバータの入力は、電源電圧とのことである。しかし、実際は、リークによる電位変動があるので、測定時間が長すぎれば1本も選択されない場合でもインバータの入力は、いずれ接地レベルに到達する。高温下のテストであれば、リークによる電位変動はさらに短時間となる。従って、判定手段にはおおよそ数ns〜数十ns程度の精度でタイミングを測定できることが必要と考えられる。これは、メモリセルアレイのタイミング設計同様のタイミング精度がテスト回路の設計にも要求されることになる。すなわち、テスト回路の設計が難しいという問題を有している。
【0010】
また、特開2000−353399号公報は、行テスト回路の面積のオーバヘッドが大きいという問題を有している。このテスト方法は、ワード線が選択されたか否かを判定するためにワード線をモニタする。モニタの方法は論理レベルによる判定である。従って、そのためにワード線ごとにラッチ(行テスト回路)を設ける必要がある。しかし、ラッチには複数のトランジスタが必要となるため、面積オーバヘッドが非常に大きくなる。
【0011】
メモリセルの読出し及び書込みを必要とせず、簡便なテスト方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明の半導体装置は、複数のワード線(WL)と、ワード線ドライバ(4)と、第1検出回路(11、12、15)と、制御回路(16)とを具備する。複数のワード線(WL)は、複数のメモリセルトランジスタ(図示されず)のゲートに接続されている。ワード線ドライバ(4)は、複数のワード線(WL)の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給する。第1検出回路(11、12、15)は、ワード線ドライバ(4)を介して複数のワード線(WL)のいずれかに選択電圧を供給するとき、選択電圧を供給する配線(21)を介してワード線ドライバ(4)に流れ込む第1電流を検出する。制御回路(16)は、第1電流に基づいて、複数のワード線(WL)及びワード線ドライバ(4)の異常を検出する。
【0014】
本発明では、ワード線(WL)とワード線ドライバ(4)の選択状態でのテストを、ワード線ドライバ(4)に流れ込む第1電流(IR1)の大きさを判定すること(例示:基準値との比較、第1電流を電圧に変換して検出する場合を含む)で行う。この場合、テストでの主なタイミング制御は、テスト対象のワード線(WL)に対するアドレス切り替えを行うだけである。したがって、複雑なタイミング制御は不要である。加えて、アドレス制御は、通常のメモリマクロの回路を用いることができ、このような電流の供給や電流の大きさの判定に用いるために追加される回路の面積は小さい。そのため、通常の半導体装置に追加される回路の面積オーバヘッドは少なくて済む。従って、メモリセルの読出し及び書込みを必要とせず、簡便にテストを実行可能な装置とすることができる。
【0015】
本発明の半導体装置の異常検出方法は、複数のメモリセルトランジスタ(図示されず)備える半導体装置の異常検出方法である。複数のメモリセルトランジスタ(図示されず)のゲートに接続された複数のワード線(WL)の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給するワード線ドライバ(4)を介して、複数のワード線(WL)のいずれかに選択電圧を供給するステップと、選択電圧を供給する配線(21)を介してワード線ドライバ(4)に流れ込む第1電流を検出するステップと、第1電流に基づいて、複数のワード線(WL)及びワード線ドライバ(4)の異常を検出するステップとを具備する。
【0016】
本発明では、ワード線(WL)とワード線ドライバ(4)の選択状態でのテストを、ワード線ドライバ(4)に流れ込む第1電流(IR1)の大きさを判定すること(例示:基準値との比較、第1電流を電圧に変換して検出する場合を含む)で行う。この場合、テストでの主なタイミング制御は、テスト対象のワード線に対するアドレス切り替えを行うだけである。したがって複雑なタイミング制御は不要である。従って、メモリセルの読出し及び書込みを必要とせず、簡便にテストを実行可能とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、メモリセルの読出し及び書込みを必要としない、簡便なテスト方法を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を部分的に詳細に示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法を示すフロー図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法を示すフロー図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を部分的に詳細に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の半導体装置及び半導体装置の異常検出方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。半導体装置1は、メモリ回路を含む装置であり、メモリ又はメモリ内蔵マイクロコンピュータに例示される。半導体装置1は、メモリセルアレイ2、ビット線制御回路3、ワード線ドライバ4、行選択デコーダ5、電流検出回路A11、定電流印加回路A12、電流検出回路B13、ワード線電圧検出回路14、定電流印加回路B15を具備する。
【0021】
メモリセルアレイ2は、Y方向に設けられた複数のビット線と、X方向に設けられた複数のワード線と、複数のビット線と複数のワード線との交点の各々に設けられた複数のメモリセルとを備えている。メモリセルは、ワード線にゲートを接続されたメモリセルトランジスタを備えている。メモリセルは、DRAMセル、SRAMセル、及びフラッシュメモリセルに例示される。ただし、メモリセルトランジスタは、DRAMセルやSRAMセルにおける選択トランジスタのような通常のトランジスタであっても良いし、フラッシュメモリセルのような情報を格納する機能を有するトランジスタであっても良い。
【0022】
ビット線制御回路3は、複数のビット線に接続されている。制御回路16からの制御信号に基づいて、ビット線の選択、読み出し/書き込み、テスト手順などを実行する。ビット線制御回路3は、列選択デコーダやセンスアンプ、I/Oを含んでいる。ワード線ドライバ4は、行選択デコーダ5に接続され、更に、複数のワード線に接続されている。制御回路16からの制御信号に基づいて、行選択デコーダ5を介して、それら複数のワード線を駆動する。すなわち、ワード線ドライバ4は、複数のワード線の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給する。それにより、ワード線の選択、テスト手順などが実行される。
【0023】
電流検出回路A11は、ワード線ドライバ4に接続されている。電流検出回路A11は、制御回路16からの制御信号に基づいて、テスト時にワード線が正常に“選択”されたか否かを電流の大きさで検出する。電流検出回路A11は、テスト時に定電流印加回路A12、B15と共に用いられる。電流検出回路B13は、ワード線電圧検出回路14に接続されている。電流検出回路B13は、制御回路16からの制御信号に基づいて、テスト時にワード線が正常に“非選択”であるか否かを電流の大きさで検出する。電流検出回路B13は、テスト時にワード線電圧検出回路14、定電流印加回路A12と共に用いられる。
【0024】
定電流印加回路A12は、ワード線ドライバ4及びワード線電圧検出回路14に接続されている。定電流印加回路A12は、制御回路16からの制御信号に基づいて、テスト時にワード線ドライバ4及びワード線電圧検出回路14に定電流を供給する。定電流印加回路B15は、ワード線を介してメモリセルアレイと接続されている。定電流印加回路B15は、制御回路16からのメモリセルアレイ2を挟んでワード線ドライバ4とは反対側の位置に設けられている。定電流印加回路B15は、制御信号に基づいて、テスト時にワード線に定電流を供給する。
【0025】
ワード線電圧検出回路14は、ワード線デコーダ4とメモリセルアレイ2との間に設けられている。ワード線電圧検出回路14は、テスト時にワード線が非選択の状態にあるか、又は選択状態あるいは中間の状態にあることを検出し、電流検出回路B13に伝達する。
【0026】
制御回路16は、メモリセルアレイ2の通常動作の場合のメモリセルアレイ2、ビット線制御回路3、及び行選択デコーダ5に関する制御、及び、異常検出動作(テスト)の場合のメモリセルアレイ2、ビット線制御回路3、行選択デコーダ5、電流検出回路A11、定電流印加回路A12、電流検出回路B13、ワード線電圧検出回路14、及び定電流印加回路B15の制御を行う。以下では、電流検出回路A11、定電流印加回路A12、電流検出回路B13、ワード線電圧検出回路14、及び定電流印加回路B15をテスト回路とも言う。制御回路16は、異常検出動作(テスト)においては、例えば、アドレス制御、及びモード制御(テスト回路への入力設定(VBIAS、VREF1、VREF2など)、出力OUT1、OUT2の判定など)を実行する。
【0027】
制御回路16は、一つの回路で設けられていてもよいし、機能に応じて複数の回路で設けられていてもよい。例えば、アドレス制御は、制御回路16として、BIST回路(メモリの場合)やCPU(メモリ内蔵マイクロコンピュータの場合)を用いることが考えられる。また、モード制御は、制御回路16として、メモリマクロ内部に設けられた専用の回路を用いることが考えられる。
【0028】
なお、通常のメモリ動作には、上記電流検出回路A11、B13、ワード線電圧検出回路14、定電流印加回路A12、B15は停止している。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を部分的に詳細に示すブロック図である。なお、本図において、メモリセルアレイ2中のビット線やメモリセルの記載は省略されている。
【0030】
電流検出回路A11は、電源スイッチSWとカレントミラー回路CUR1、及び、抵抗R1とコンパレータCOMP1を備えている。
電源スイッチSWは、電源電圧Vddとワード線ドライバ4との間に設けられている。例えばpMOSトランジスタで形成され、制御回路16からの制御信号TESTによりON又はOFFされる。電源スイッチSWは、通常のメモリセル動作時にONとなり、ワード線ドライバ4に電源電圧Vddが供給される。一方、テスト時にOFFとなり、ワード線ドライバ4に直接電源電圧Vddが供給されないようにする。
カレントミラー回路CUR1は、入力側が電源電圧Vddとワード線ドライバ4との間に、出力側が電源電圧Vddと抵抗R1との間にそれぞれ設けられている。例えばpMOSトランジスタで形成されている。抵抗R1は接地電位に接続されている。カレントミラー回路CUR1は、テスト時(電源スイッチSW:OFF)に動作し、ワード線ドライバ4に流れ込む電流を監視する。すなわち、カレントミラー回路CUR1の入力側を流れる電流を、出力側に流れる電流IR1として検出する。ただし、その電流IR1は抵抗R1により、電圧(IR1×R1)として検出される。
コンパレータCOMP1は、非反転入力端子にカレントミラー回路CUR1の出力側と抵抗R1との接続点の電圧(IR1×R1)を、反転入力端子に基準電圧VREF1をそれぞれ供給される。そして、両電圧の比較結果(カレントミラー回路CUR1の監視結果)を出力OUT1として制御回路16に出力する。
【0031】
定電流印加回路A12は、2つのnMOSトランジスタTr31、Tr32を備えている。nMOSトランジスタTr31のドレインは、通常のメモリ動作時にはワード線ドライバ4の電源線となる配線21に接続されている。nMOSトランジスタTr32のドレインは、ワード線電圧検出回路14に接続されている。両nMOSトランジスタTr31、Tr32のソースは接地電位に接続されている。両nMOSトランジスタTr31、Tr32のゲートは、通常のメモリ動作時には制御回路16から0Vが印加されて、テスト時には制御回路16からVBIASが印加される。その結果、両nMOSトランジスタTr31、Tr32は、通常のメモリ動作時にはOFFとなり、テスト時にはONとなりドレイン−ソース間に定電流IBIASが流れる。
【0032】
定電流印加回路B15は、複数のワード線WLの各々ごとに設けられたnMOSトランジスタTr25、Tr26、Tr27、…を備えている。各nMOSトランジスタのドレインは対応するワード線WLに接続されている。nMOSトランジスタTr25、Tr26、Tr27、…のゲートは、共通に、通常メモリ動作時には制御回路16から0Vが供給され、テスト時には制御回路16からVBIASが印加される。その結果、nMOSトランジスタTr25、Tr26、Tr27、…は、共通に、通常メモリ動作時にはOFFであり、一方、テスト時にはONとなりWLが選択されることによりドレイン−ソース間に定電流IBIASが流れる。
【0033】
ワード線電圧検出回路14は、複数のワード線WLの各々ごとに設けられたpMOSトランジスタTr15、Tr16、Tr17、…を備えている。各pMOSトランジスタのゲートは対応するワード線WLに接続されている。各pMOSトランジスタのドレインは隣接するpMOSトランジスタのソース及びドレインに接続されている。すなわち、pMOSトランジスタTr15、Tr16、Tr17、…は、互いに直列に接続されている。一方の一番端に配置されるpMOSトランジスタのソースは電流検出回路B13に接続されている。他の一方の一番端に配置されるpMOSトランジスタのドレインは定電流印加回路A12に接続されている。各pMOSトランジスタは、電流検出回路B13から定電流印加回路A12までの電流経路上に設けられたスイッチと見ることができる。
【0034】
電流検出回路A13は、カレントミラー回路CUR2、及び、抵抗R2とコンパレータCOMP2を備えている。
カレントミラー回路CUR2は、入力側が電源電圧Vddとワード線電圧検出回路14との間に、出力側が電源電圧Vddと抵抗R2との間にそれぞれ設けられている。例えばpMOSトランジスタで形成されている。抵抗R2は接地電位に接続されている。カレントミラー回路CUR2は、ワード線電圧検出回路14に流れ込む電流を監視する。すなわち、カレントミラー回路CUR2の入力側を流れる電流を、出力側に流れる電流IR2として検出する。ただし、その電流IR2は抵抗R2により、電圧(IR2×R2)として検出される。
コンパレータCOMP2は、非反転入力端子にカレントミラー回路CUR2の出力側と抵抗R2との接続点の電圧(IR2×R2)を、反転入力端子に基準電圧VREF2をそれぞれ供給される。そして、両電圧の比較結果(カレントミラー回路CUR2の監視結果)を出力OUT2として制御回路16に出力する。
【0035】
ワード線ドライバ4は、電源スイッチSWを介して配線21により選択電圧を供給される。選択電圧はワード線WLごとに設けられたインバータに高電位側の電源電圧として供給される。非選択電圧は、インバータの低電位側の電源電圧である接地電圧である。インバータは、選択信号を入力とし、選択電圧又は非選択電圧を対応するワード線WLに出力する。
【0036】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法における、VREF1及びVREF2の設定方法について説明する。電流検出回路A11及び電流検出回路B13のカレントミラー回路CUR1、CUR2のミラー比が1の場合、以下のようにVREF1及びVREF2を選ぶことで、ワード線WL及びワード線ドライバ4のテストを実施できる。
【0037】
(1)ワード線WLの選択状態のテスト
・ワード線WLが1本も選択されない(ワード線ドライバ4の異常又はワード線WLの断線)
:IR1=IBIAS…(A1)
・ワード線WLが1本選択(正常) :IR1=2×IBIAS…(A2)
・ワード線WLが2本以上選択される(ワード線ドライバ4の異常によるワード線WLの多重選択、又は、ワード線WLのショート)
:IR1≧3×IBIAS…(A3)
【0038】
ここで、(A1)と(A2)の判定には、
BIAS×R1<VREF1<2×IBIAS×R1…(C1)
となるVREF1を選ぶ。そのとき、OUT1=“H”となれば正常と判断できる。ただし、VREF1は、2×IBIAS×R1より僅かに小さい近い値(2×IBIAS×R1−δ)であることが好ましい。後述の異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
一方、(A2)と(A3)の判定には、
2×IBIAS×R1<VREF1<3×IREF1×R1…(C2)
となるVREF1を選ぶ。そのとき、OUT1=“L”となれば正常と判断できる。ただし、VREF1は、2×IBIAS×R1より僅かに大きい近い値(2×IBIAS×R1+δ)であることが好ましい。後述の異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
【0039】
(2)ワード線WLの非選択状態のテスト
・全ワード線WLが非選択(正常) :IR2=IBIAS…(B1)
・いずれかのワード線WLが選択状態又は中間状態(ワード線ドライバ4の異常)
:IR2<IBIAS…(B2)
【0040】
ここで、IBIASは、全ワード線WLが正常に非選択になったときの値を表していることに注意されたい。(B1)と(B2)の判定には、
0<VREF2<IBIAS×R2…(C3)
となるVREF2を選ぶ。そのとき、OUT2=“H”となれば正常と判定できる。ただし、VREF2は、IBIAS×R2より僅かに小さい近い値(IBIAS×R2−δ)であることが好ましい。後述の異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
【0041】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法について説明する。図3A及び図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法を示すフロー図である。異常検出方法(テスト)は、以下の手順で行う。
【0042】
テストに関連する回路を起動する(ステップS01)。具体的には、制御回路16は、制御信号TESTを“H”レベルにして、電源スイッチSWをOFFとする。これにより、電源電圧Vddが直接ワード線ドライバ4に供給されなくなる。また、制御回路16は、定電流印加回路A12、B15に制御信号VBIASを印加する。これにより、ワード線ドライバ4及びワード線WLが正常であれば、ワード線WLから接地に至る電流経路、及び、配線21から接地に至る電流経路が形成される。
【0043】
次に、ワード線WLの非選択状態を検査する(ステップS02)。制御回路16は、ワード線ドライバ4に全てのワード線WLが非選択となるように行選択デコーダ5を制御し、行選択デコーダ5は、“H”レベルの信号をワード線ドライバ4に供給する。それにより、ワード線WLやワード線ドライバ4が正常であれば、全てのワード線WLは“L”レベルの非選択状態になるはずである。例えば、ワード線WL0用のワード線ドライバ4のインバータ(pMOSTr11及びnMOSTr21)の入力には、“H”レベルの信号が供給される。それにより、ワード線WL0やワード線ドライバ4が正常であれば、ワード線WL0は“L”レベルの非選択状態になるはずである。
【0044】
全てのワード線WLが“L”レベルになる場合(正常な場合)、ワード線電圧検出回路14の全てのpMOSトランジスタはONになる。それにより、定電流印加回A12から全てのpMOSトランジスタを介して電流検出回路B13までの電流経路が形成される。その結果、カレントミラー回路CUR2の入力側に、その電流経路を介した電流IBIASが流れる。それに対応して、カレントミラー回路CUR2(ミラー比:1)の出力側に、その電流と同じ大きさの電流IR2が流れる。コンパレータCOMP2の非反転入力として、電圧(IR2×R2)が供給される。ここで、上記(2)の(C3)のように反転入力としてVREF2を設定しておくと、コンパレータCOMP2の出力OUT2は、“H”となる。制御回路16は、その検査結果(OUT2)により、ワード線非選択状態を正常(IR2=IBIAS)と判定する(ステップS02:Yes)。制御回路16は、ワード線WLの非選択状態の正常という結果をテスト結果として外部に出力してもよい。
【0045】
一方、いずれかのワード線WLが“H”レベル(又は中間レベル)になる場合(異常な場合)、ワード線電圧検出回路14の対応するpMOSトランジスタはOFF(又は中間レベル)になる。それにより、定電流印加回A12から全てのpMOSトランジスタを介して電流検出回路B13までの電流経路は、そのpMOSトランジスタで断線する(又は高抵抗になる)ことになる。その結果、カレントミラー回路CUR2の入力側に電流は流れない(又は僅かに電流が流れる)。それに対応して、カレントミラー回路CUR2の出力側の電流はIR2=0となる(又はその僅かな電流と同じ大きさの電流IR2が流れる)。コンパレータCOMP2の非反転入力として、電圧(IR2×R2)が供給される。ここで、上記(2)の(C3)のように反転入力VREF2を設定しておくと、コンパレータCOMP2の出力OUT2は、“L”となる。制御回路16は、その検査結果(OUT2)により、ワード線非選択状態を異常(IR2<IBIAS)と判定する(ステップS02:No)。異常が検出された場合、制御回路16は、ワード線WLの非選択状態の不良(FAIL)という結果をテスト結果として外部に出力する(ステップS03)。
【0046】
続いて、ワード線WLの選択状態を検査する(ステップS04〜S07)。まず、制御回路16は、行アドレスをリセットする(ステップS04)。その後、制御回路16は行選択デコーダ5を制御し、行選択デコーダ5は、ワード線選択状態の検査対象である最初の行アドレスをワード線ドライバ4に出力する(ステップS05)。具体的には、ワード線WL0用のワード線ドライバ4のインバータ(pMOSTr11及びnMOSTr21)の入力に、“L”レベルの信号が供給される。一方、ワード線WL1、WL2、…用のワード線ドライバ4のインバータ(pMOSTr12及びnMOSTr22、pMOSTr13及びnMOSTr23、…)の入力には、“H”レベルの信号が供給される。それにより、ワード線WLやワード線ドライバ4が正常であれば、検査対象のワード線WL0が選択され(“H”レベル)、他のワード線WL1、WL2、…は非選択(“L”レベル)となるはずである。
【0047】
ワード線WL0が選択され“H”レベルになり、他のワード線WLが非選択で“L”レベルになる場合(正常な場合)、まず、ワード線WL0用のワード線ドライバ4のpMOSトランジスタTr11はON、nMOSトランジスタTr21はOFFになり、電流検出回路A11とpMOSトランジスタTr11とワード線WL0と定電流印加回路B15のnMOSトランジスタTr25とを介して接地に続く電流経路が形成される。また、電流検出回路A11と配線21と定電流印加回路A12のnMOSトランジスタTr31とを介して接地に続く電流経路も形成される。ここで、nMOSトランジスタTr25と、nMOSトランジスタTr31とに同じ制御信号VBIASが印加されているので、これら二つの電流経路に流れる電流は同じ電流IBIASになる。その結果、カレントミラー回路CUR1の入力側に、それらの二つの電流経路を介した電流2×IBIASが流れる。それに対応して、カレントミラー回路CUR1(ミラー比:1)の出力側に、その電流と同じ大きさの電流IR1(=2×IBIAS)が流れる。コンパレータCOMP1の非反転入力として、電圧(IR1×R1=2×IBIAS×R1)が供給される。ここで、上記(1)の(C1)のように反転入力としてVREF1を設定しておくと、コンパレータCOMP1の出力OUT2は、“H”となる。更に、次のタイミングで、上記(1)の(C2)のように反転入力としてVREF1を設定すると、コンパレータCOMP1の出力OUT1は、“L”となる。制御回路16は、それら2つの検査結果(OUT1)により、ワード線選択状態を正常(IR1=2×IBIAS)と判定する(ステップS06:Yes)。制御回路16は、ワード線WL0の選択状態の正常という結果をテスト結果として外部に出力してもよい。
【0048】
ワード線WL0が選択されず“L”レベルになる(一本のワード線WLも選択されない)場合(異常な場合)、電流検出回路A11とワード線ドライバ4とワード線WL0と定電流印加回路B15のnMOSトランジスタTr25とを介して接地に続く電流経路は形成されない。すなわち、その電流経路に電流は流れない。従って、カレントミラー回路CUR1の入力側には、正常な場合と比較して、IBIASだけ減少した電流IBIASが流れる。それに対応して、カレントミラー回路CUR1の出力側に、その電流と同じ大きさの電流IR1(=IBIAS)が流れる。コンパレータCOMP1の非反転入力として、電圧(IR1×R1=IBIAS×R1)が供給される。ここで、上記(1)の(C1)のように反転入力としてVREF1を設定しておくと、コンパレータCOMP1の出力OUT1は、“L”となる。制御回路16は、この検査結果(OUT1)により、ワード線選択状態を異常(IR1=IBIAS)と判定する(ステップS06:No)。異常が検出された場合、制御回路16は、ワード線WLの選択状態の不良(FAIL)という結果をテスト結果として外部に出力する(ステップS07)。
【0049】
又は、複数(m本、m≧2)のワード線WLが選択された場合(異常な場合)、電流検出回路A11とワード線ドライバ4とワード線WLと定電流印加回路B15のnMOSトランジスタとを介して接地に続く複数の電流経路が形成される。従って、カレントミラー回路CUR1の入力側には、正常な場合と比較して、(m−1)×IBIASだけ増加した電流(m+1)×IBIASが流れる。それに対応して、カレントミラー回路CUR1の出力側に、その電流と同じ大きさの電流IR1(=(m+1)×IBIAS)が流れる。コンパレータCOMP1の非反転入力として、電圧(IR1×R1=(m+1)×IBIAS×R1)が供給される。ここで、上記(1)の(C2)のように反転入力としてVREF1を設定すると、コンパレータCOMP1の出力OUT2は、“H”となる。制御回路16は、この検査結果(OUT1)により、ワード線非選択状態を異常(IR1=(m+1)×IBIAS)と判定する(ステップS06:No)。異常が検出された場合、制御回路16は、ワード線WLの選択状態の不良(FAIL)という結果をテスト結果として外部に出力する(ステップS07)。
【0050】
ステップS06がYesの場合、制御回路16は、その行アドレスに対応するワード線WL及びワード線ドライバ4に異常が無いと判断して、全てのワード線WLについて、テストが終了したか否かを判定する(ステップS08)。全てのワード線WLについてテストが終了した場合(ステップS08:Yes)、制御回路16は、テスト対象の半導体装置がテストにPASSしたものとして、そのテスト結果を外部に出力する(ステップS10)。一方、テストの終了していないワード線WLがある場合(ステップS08:No)、行アドレスを1行分インクリメントして(ステップS09)、全てのワード線WLについてテストが終了するまで、以降のワード線WLについて、同様にステップS05〜S09を繰り返す。
【0051】
なお、ステップS07のワード線WLの選択状態の不良について、異常の内容を確認すべく、以下のテストを行うことができる。
【0052】
まず、検出された電流IR1と正常時の電流2×IBIASとを比較する(ステップS11)。すなわち、上記(1)の(C1)のようにコンパレータCOMP1の反転入力としてVREF1(IBIAS×R1<VREF1<2×IBIAS×R1)を設定する。このとき、コンパレータCOMP1の出力OUT1が“L”の場合、IR1<2×IBIASと判定される(ステップS11:Yes)。
【0053】
ステップS11がYesの場合において、検出された電流IR1と配線21を流れる電流IBIASとを比較し、IR1=IBIASであることをテストする(ステップS15)。より具体的には、VREF1=IBIAS×R1−α(ただし、α>0)と設定したとき、コンパレータCOMP1の出力OUT1が“H”、IR1=IBIAS×R1+αと設定したときコンパレータCOMP1の出力OUT1が“L”の場合、IR1=IBIASと判定される(ステップS15:Yes)。
これらの場合(ステップS11:Yes、かつ、ステップS15:Yes)、ワード線WLが選択されないか(ワード線ドライバ4の異常)、又はワード線WLが断線している(ワード線WLの異常)と推定することができる(ステップS17)。
【0054】
ステップS11がYesの場合において、検出された電流IR1と配線21を流れる電流IBIASとを比較した結果(ステップS15)、より具体的には、VREF1=IBIAS×R1+αのときにコンパレータCOMP1の出力OUT1が“H”の場合、IR1>IBIASと判定される(ステップS15:No)。
これらの場合(ステップS11:Yes、かつ、ステップS15:No)、ワード線WLが正常に選択されない状態、かつ、ワード線ドライバ4がリークしている(いずれもワード線ドライバ4の異常)と推定することができる(ステップS16)。
【0055】
一方、検出された電流IR1と正常時の電流2×IBIASとを比較した結果(ステップS11)、コンパレータCOMP1の出力OUT1が“H”の場合、IR1>2×IBIASと判定される(ステップS11:No)。
【0056】
ステップS11がNoの場合において、検出された電流IR1と配線21及び複数のワード線WLを流れる電流3×IBIASとを比較する(ステップS12)。すなわち、上記(1)の(C2)のようにコンパレータCOMP1の反転入力としてVREF1(2×IBIAS×R1<VREF1<3×IREF1×R1)を設定する。このとき、コンパレータCOMP1の出力OUT1が“L”の場合、IR1<3×IBIASと判定される(ステップS12:Yes)。
これらの場合(ステップS11:No、かつ、ステップS12:Yes)、ワード線WLがショートしている(ワード線WLの異常)か、又はワード線ドライバがリークしている(ワード線ドライバ4の異常)と推定することができる(ステップS14)。
【0057】
一方、ステップS11がNoの場合において、検出された電流IR1と配線21及び複数のワード線WLを流れる電流3×IBIASとを比較した結果(ステップS12)、コンパレータCOMP1の出力OUT1が“H”の場合、IR1>3×IBIASと判定される(ステップS12:No)。
これらの場合(ステップS11:No、かつ、ステップS12:No)、ワード線WLが多重選択されているか(ワード線ドライバ4の異常)、ワード線WLがショートしているか(ワード線WLの異常)、又はワード線ドライバ4がリークしている(ワード線ドライバ4の異常)と推定することができる(ステップS13)。
【0058】
以上のようにして、本実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法が実行される。
【0059】
以上説明した通り、本実施の形態では、上記のテスト回路を用いて定電流にてワード線とワード線ドライバのテストを行う。テスト(異常検出方法)での主なタイミング制御は、テスト対象のワード線に対するアドレス切り替えを行うだけである。したがって、特開平5−159600号公報のようなテストのための複雑なタイミング制御は不要である。更に、アドレス制御は通常のメモリマクロの回路を用いることができるほか、ワード線WLとワード線ドライバ4のテストは定電流により行われるので、テスト回路を簡単な回路で実現することができる。従って、従来技術における動的に変化する信号を検知するための回路の設計が難しいという問題(特開平5−159600号公報)を解決できる。また、メモリセルの読出しや書込みは必要ないためテストを短時間で実行することができることは言うまでもない。
【0060】
また、メモリセルアレイ近傍に付加する回路は、概ね上記のテスト回路だけである。したがって、特開2000−353399号公報の回路と比較して、上記のテスト回路を構成するトランジスタの数は少なくて済む(ワード線1本あたりに必要なテスト回路のトランジスタ数は約2個;特開2000−353399号公報の回路の1/10程度)。更に、電流検出回路A11、A13は、行選択デコーダと列選択デコーダとの間の角の領域に配置されるが、テストのための基準電流(IBIAS)として、電流経路の抵抗による電圧降下が少ないように、かつ電流経路のリーク電流を下回らないような値を選べば、小サイズのトランジスタで構成できる。そのため、上記のテスト回路を用いた場合、面積オーバヘッドを非常に少なく抑えることができる。従って、従来技術におけるワード線ごとにラッチ回路を設けるために面積オーバヘッドが大きいという問題(特開2000−353399号公報)を解決できる。
【0061】
本発明によれば、メモリセルの読出し及び書込みを必要としない、簡便なテスト方法を実行することが可能となる。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較すると、電流検出回路A11、B13の構成の点で相違している。以下では、第1の実施の形態と相違する点について主に説明する。
【0063】
図1は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。本図における半導体装置1の構成については、第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0064】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を部分的に詳細に示すブロック図である。なお、本図において、メモリセルアレイ2中のビット線やメモリセルの記載は省略されている。
【0065】
本実施の形態では、電流検出回路A11、B13において、コンパレータCOMP1、COMP2をそれぞれインバータINV1、INV2に置き換え、抵抗R1、R2をそれぞれnMOSトランジスタTr1、Tr2に置き換えた点で、第1の実施の形態の構成と異なっている。
【0066】
インバータINV1は、入力がカレントミラー回路CUR1の出力側に接続されている。インバータINV1の出力が、電流検出回路A11の出力OUT1となる。同様に、インバータINV2は、入力がカレントミラー回路CUR2の出力側に接続されている。インバータINV2の出力が、電流検出回路B13の出力OUT2となる。
【0067】
nMOSトランジスタTr1は、ソースに接地電圧を供給され、ドレインをカレントミラー回路CUR1の出力側とインバータINV1の入力に接続され、ゲートに基準電圧VREF1を供給される。同様に、nMOSトランジスタTr2は、ソースに接地電圧を供給され、ドレインをカレントミラー回路CUR2の出力側とインバータINV2の入力に接続され、ゲートに基準電圧VREF2を供給される。このとき、ドレイン電圧が十分に高いときに、nMOSトランジスタTr1、Tr2にそれぞれ電流IREF1、及びIREF2が流れる。
【0068】
テストされるワード線WLやワード線ドライバ4の経路に流れる各電流は、第1の実施の形態と同じである。
【0069】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法における、VREF1及びVREF2の設定方法について説明する。電流検出回路A11及び電流検出回路B13のカレントミラー回路CUR1、CUR2のミラー比が1の場合、以下のようにVREF1及びVREF2を選ぶことで、ワード線WL及びワード線ドライバ4のテストを実施できる。
【0070】
(1)ワード線WLの選択状態のテスト
出力がインバータなので、(A1)と(A2)の判定には、
BIAS<IREF1<2×IBIAS…(D1)
となるVREF1を選ぶ。そのとき、OUT1=“L”となれば正常と判断できる。ただし、IREF1は、2×IBIASより僅かに小さい近い値(2×IBIAS−δ)であることが好ましい。異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
一方、(A2)と(A3)の判定には、
2×IBIAS<IREF1<3×IBIAS…(D2)
となるVREF1を選ぶ。そのとき、OUT1=“H”となれば正常と判断できる。ただし、IREF1は、2×IBIASより僅かに大きい近い値(2×IBIAS+δ)であることが好ましい。異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
ただし、(A1)、(A2)、(A3)は、第1の実施の形態と同様である。
【0071】
(2)ワード線WLの非選択状態のテスト
出力がインバータなので、(B1)と(B2)の判定には、
0<IREF2<IBIAS…(D3)
となるVREF2を選ぶ。そのとき、OUT2=“L”となれば正常と判定できる。ただし、IREF2は、IBIASより僅かに小さい近い値(IBIAS−δ)であることが好ましい。異常検出方法における判定の精度を上げることができるからである。
【0072】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法について説明する。図3A及び図3Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の異常検出方法を示すフロー図である。この異常検出方法(テスト)は、上記回路上の変更(図2から図4へ変更)及び判定条件の変更((C1)〜(C3)から(D1)〜(D3)へ変更)のほかは、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
この場合にも、第1の実施の形態と同様の効果を得る事ができる。
加えて、本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して電流検出回路A11、B13の面積を抑制することができる利点がある。その理由は、比較的複雑な構成のコンパレータ(第1の実施の形態)を2つのトランジスタのみで構成されるインバータ(第2の実施の形態)に置き換えた点と、抵抗(第1の実施の形態)をトランジスタ(第2の実施の形態)に置き換えた点である。
【0074】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0075】
1 半導体装置
2 メモリセルアレイ
3 ビット線制御回路
4 ワード線ドライバ
5 行選択デコーダ
11 電流検出回路A
12 定電流印加回路A
13 電流検出回路B
14 ワード線電圧検出回路
15 定電流印加回路B
16 制御回路
21 配線
SW 電源スイッチ
COMP1、COMP2 コンパレータ
CUR1、CUR2 カレントミラー回路
INV1、INV2 インバータ
Tr11〜Tr13、Tr15〜Tr17 pMOSトランジスタ
Tr1、Tr2、Tr21〜Tr23、Tr25〜Tr27、Tr31〜Tr32 nMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルトランジスタのゲートに接続された複数のワード線と、
前記複数のワード線の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給するワード線ドライバと、
前記ワード線ドライバを介して前記複数のワード線のいずれかに前記選択電圧を供給するとき、前記選択電圧を供給する配線を介して前記ワード線ドライバに流れ込む第1電流を検出する第1検出回路と、
前記第1電流に基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出する制御回路と
を具備する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ワード線ドライバが前記複数のワード線に前記非選択電圧を供給するとき、前記複数のワード線の第2電圧を検出する第2検出回路を更に具備し、
前記制御回路は、前記第1電流と前記第2電圧とに基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出する
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1検出回路は、
前記複数のワード線における前記ワード線ドライバとは反対の側に設けられ、前記選択電圧の供給に対応して前記複数のワード線のいずれかに定電流を供給する第1定電流回路と、
前記ワード線ドライバに接続され、前記第1電流を検出して、第1基準電流と比較する第1電流検出回路と、
前記ワード線ドライバに接続され、かつ前記第1電流検出回路とは反対の側に設けられ、前記ワード線ドライバに定電流を供給する第2定電流回路と
を備え、
前記制御回路は、前記第1電流検出回路の比較結果に基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出する
半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置において、
前記第2検出回路は、
前記複数のワード線の電圧でオン又はオフされ、互いに直列に接続された複数のスイッチを備えるワード線電圧検出回路と、
前記直列接続の複数のスイッチの一端側に設けられ、前記非選択電圧の供給に対応して前記直列接続の複数のスイッチに定電流を供給する第2定電流回路と、
前記直列接続の複数のスイッチの他端側に設けられ、前記第2電圧を、前記直列接続の複数のスイッチに流れる第2電流として検出して、第2基準電流と比較する第2電流検出回路と
を備え、
前記制御回路は、前記第2電流検出回路の比較結果に基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出する
半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1電流検出回路は、
入力側を前記ワード線ドライバに接続された第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力側に接続され、前記入力側の前記第1電流に対応した電流を前記第1基準電流と比較する第1比較部と
を含む
半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第2電流検出回路は、
入力側を前記ワード線電圧検出回路に接続された第2カレントミラー回路と、
前記第2カレントミラー回路の出力側に接続され、前記入力側の前記第2電流に対応した電流を前記第2基準電流と比較する第2比較部と
を含む
半導体装置。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記比較部は、
前記第1カレントミラー回路の出力側に接続され、前記入力側の前記第1電流に対応した電流を第1電圧に変換する第1変換回路と、
前記第1電圧を一方の入力に供給され、前記第1基準電流に対応した第1基準電圧を他方の入力に供給される第1比較回路と
を有する
半導体装置。
【請求項8】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記比較部は、
前記第1カレントミラー回路の出力側に接続され、前記第1基準電流に対応した第1基準電圧をゲートに入力され、前記入力側の前記第1電流に対応した電流をソースドレインに流されるトランジスタと、
前記第1カレントミラー回路の出力側に入力側を接続されたインバータと
を有する
半導体装置。
【請求項9】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記比較部は、
前記第2カレントミラー回路の出力側に接続され、前記入力側の前記第2電流に対応した電流を第3電圧に変換する第2変換回路と、
前記第3電圧を一方の入力に供給され、前記第2基準電流に対応した第2基準電圧を他方の入力に供給される第2比較回路と
を有する
半導体装置。
【請求項10】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記比較部は、
前記第2カレントミラー回路の出力側に接続され、前記第2基準電流に対応した第2基準電圧をゲートに入力され、前記入力側の前記第2電流に対応した電流をソースドレインに流されるトランジスタと、
前記第2カレントミラー回路の出力側に入力側を接続されたインバータと
を有する
半導体装置。
【請求項11】
複数のメモリセルトランジスタ備える半導体装置の異常検出方法であって、
前記複数のメモリセルトランジスタのゲートに接続された複数のワード線の各々に選択電圧又は非選択電圧を供給するワード線ドライバを介して、前記複数のワード線のいずれかに前記選択電圧を供給するステップと、
前記選択電圧を供給する配線を介して前記ワード線ドライバに流れ込む第1電流を検出するステップと、
前記第1電流に基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出するステップと
を具備する
半導体装置の異常検出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の異常検出方法において、
前記ワード線ドライバが前記複数のワード線に前記非選択電圧を供給するとき、前記複数のワード線の第2電圧を検出するステップを更に具備し、
前記異常を検出するステップは、前記第1電流と前記第2電圧とに基づいて、前記複数のワード線及び前記ワード線ドライバの異常を検出するステップを備える
半導体装置の異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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