説明

半導体装置実装装置

【課題】 表示パネルにチップ型半導体装置とTAB型半導体装置とを実装する上で、TAB型半導体装置を予めTCPから打ち抜いてトレーに収納させる必要をなくす。
【解決手段】 表示パネル1の長辺側張り出し部に実装されるTAB型半導体装置2aの供給部10及び短辺側張り出し部に実装されるTAB型半導体装置の供給部には、それぞれTCP20aの走行経路21a等とが設けられており、打ち抜き金型22a等により打ち抜くことによりTAB型半導体装置2a等が得られ、移載用ロボット30のアーム31の先端の吸着ヘッド32でハンドリングされて、表示パネル1に実装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶パネル等の表示パネルに、半導体装置を実装するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示パネルとして、例えば液晶パネルは2枚の重ね合せ基板の間に液晶を封入することにより構成されるが、この液晶パネルに映像を表示させるために、パネルを駆動するために、例えばTFT型の液晶パネルの場合には、ソース用及びゲート用として用いられる半導体装置を実装し、さらにこの半導体装置を印刷回路基板(PCB)に接続する構成とされる。ここで、液晶パネルに実装される半導体装置は、重ね合せた2枚のガラス基板の一方(上基板)に対して他方のガラス基板(下基板)の少なくとも2辺を張り出させて、この基板張り出し部に順次半導体装置を実装する。
【0003】
ここで、液晶パネルに実装される半導体装置としては、TAB(Tape Automated Bonding)型半導体装置とチップ型半導体装置とが用いられる。TAB型半導体装置は、フィルム基板の表面に半導体装置を搭載したものであり、フィルム基板に設けたリードをパネルの表面に設けた電極と接続するように実装するものである。一方、チップ型半導体装置は、パッケージの外面に多数のバンプ電極を形成し、これらのバンプ電極を直接ガラス基板の表面に設けた電極と接続するようにして実装されることになる。そして、半導体装置としては、当然、ソース用とゲート用とでは異なる構造のものである。
【0004】
以上のように、半導体装置は、それらのパネルへの実装方式が異なる2種類のものが用いられているが、同種類の半導体装置を実装する場合と、ソース用の半導体装置とゲート用の半導体装置とが異なる実装方式のものを用いる場合とがある。半導体装置の実装装置として、それぞれ専用の装置として構成すると、汎用性が得られない。TAB型であれ、チップ型であれ、半導体装置はACF(Anisotropic Conductive Film)を介してパネルに実装されるものであり、半導体装置を位置決めして、この半導体装置がACFを介してパネルに対して所定の位置に保持されるように仮圧着を行ない、次いで加熱下で加圧することによって、ACFのバインダ樹脂を硬化させるように、本圧着を行うという点に関しては共通のものである。以上の点を勘案して、TAB型半導体装置と、チップ型半導体装置とをガラス基板に実装できるようにしたものが、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−6467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した特許文献1に係る実装装置は、TAB型半導体装置及びチップ型半導体装置は共にトレーに収容させて所定の位置まで搬送して、ピックアンドプレイス手段によってトレーから半導体装置を取り出して、パネルに実装するようにしている。ここで、TAB型半導体装置は、一般に、TCP(Tape Carrier Package)、つまり長尺テープに所定のピッチ間隔毎に形成したものを打ち抜くことにより得られるものである。従って、特許文献1では、このTCPからTAB型半導体装置を分離して、一度トレーに収納させた後、パネルに実装するという方式を採用している。このために、このTAB型半導体装置をトレーに収納させる工程分だけ製造工数が増えることになり、コストアップの原因となる等といった問題点がある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて、その目的とするところは、TCPからのTAB型半導体装置のトレーへの収納工程を省略するができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、表示パネルに実装される複数の半導体装置を供給する実装品供給部と、この実装品供給部から供給された半導体装置を位置決めして、パネルに搭載する実装品搭載部とを備え、表示パネルの所定箇所に複数種類の半導体装置を順次実装する装置であって、前記実装品供給部は、少なくとも1種類のTAB型半導体装置の供給部と2種類のチップ型半導体装置の供給部とからなり、TAB型半導体装置の供給部はTCPからTAB型半導体装置を打ち抜いて吸着保持させ、またチップ型半導体装置の供給部はトレーに収納させたチップ型半導体装置を1個ずつ吸着保持させる吸着ヘッドを備えた実装品ハンドリング手段と、この実装品ハンドリング手段の吸着ヘッドからの半導体装置を前記実装品搭載部で受け取って、前記表示パネルに対して半導体装置を位置決めして搭載させるロータリ式搭載手段とを備える構成としたことをその特徴とするものである。
【0008】
ここで、表示パネルには、TAB型半導体装置またはチップ型半導体装置のいずれかが実装されるが、2辺が同じタイプの半導体装置を実装する場合もあり、また1辺がTAB型、他の1辺がチップ型の半導体装置を実装する場合もある。従って、これらを全て満足させるには、実装品供給部においては、チップ型半導体装置だけでなく、TAB型半導体装置も2種類供給できるようにする。
【0009】
吸着ヘッドを有する実装品ハンドリング手段は2組設けるのが望ましい。特に、TCPから打ち抜かれて表示パネルに実装されるTAB型半導体装置を2種類供給する構成とした場合には、各々のTAB型半導体装置の打ち抜き位置が離れた位置となるために、実装品ハンドリング手段を2組設けることによって、それぞれの実装品ハンドリング手段における移動範囲の短縮及び単純化を図ることができる。トレーに収納されるチップ型半導体装置は、ソース用及びゲート用のいずれのチップ型半導体装置を実装する際においても、トレーを実質的に同じ位置に配置することは格別困難ではない。従って、チップ型半導体装置の供給部の両側に、それぞれTAB型半導体装置の打ち抜き金型を配置する構成とするのが合理的である。そして、チップ型半導体装置の実装時には、実装品ハンドリング手段における吸着ヘッドを2組交互に作動させて、トレーからの取り出しから表示パネルへの実装までの作業を行わせることによって、高速実装が可能となる。
【0010】
実装品搭載部を設けたロータリ式搭載手段の構成としては、例えば90°毎にインデックス回転するロータリテーブルに昇降手段に装着した吸着部材を4箇所設けるようになし、この吸着部材はTAB型半導体装置及びチップ型半導体装置のいずれをも吸着できるようにする。実装品ハンドリング手段を構成する吸着ヘッドから実装品搭載部の吸着部材に半導体装置を受け渡した後、ロータリテーブルを90°回転させて、アライメント用光学系を用いて、半導体装置の吸着位置を検出する。基準位置からのずれがあると、実装時に位置調整を行うことになるが、この位置調整は実装品搭載部側または表示パネル側のいずれかで行うようにする。また、例えば、水平面での直交2軸、つまりXY軸方向の位置調整は表示パネル側で、またこの水平面内での回転方向、つまりθ方向での位置調整は実装品搭載部側で行うようにすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
表示パネルにチップ型半導体装置とTAB型半導体装置とのいずれも実装できるようにした半導体装置実装装置において、TAB型半導体装置を予めTCPから打ち抜いてトレーに収納させる必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に表示パネル(例えば液晶表示パネル)1への半導体装置の実装態様を示す。同図においては、表示パネル1における下基板の長辺及び短辺をそれぞれ1辺ずつ上基板から張り出させて、これら下基板の長辺側張り出し部1aと短辺側張り出し部1bとにそれぞれ複数の半導体装置が実装される。同図(a)は長辺側張り出し部1a及び短辺側張り出し部1bにそれぞれTAB型半導体装置2a,2b(ソース用及びゲート用の半導体装置を総称する場合には、符号2を用いる)を実装したものであり、同図(b)は長辺側張り出し部1aにはTAB型半導体装置2aが、短辺側張り出し部1bにはチップ型半導体装置3bが、同図(c)には長辺側及び短辺側の各張り出し部1a,1bにチップ型半導体装置3a,3b(ソース用及びゲート用の半導体装置を総称する場合には、符号3を用いる)が、それぞれ実装されている。なお、上記のものの他、長辺側張り出し部1aにはチップ型半導体装置3aが、短辺側張り出し部1bにはTAB型半導体装置2bが実装されるものもある。
【0013】
ここで、TAB型であれ、チップ型であれ、半導体装置は表示パネル1における下基板の張り出し部1aまたは1bに形成した電極と、半導体装置側の電極とをACFを用いて電気的に接続するように実装される。図2にTAB型半導体装置2の表示パネル1への実装状態の断面を示す。同図において、符号4はACFであり、このACF4はバインダ樹脂4aに導電粒子4bを均一に分散させたものからなり、半導体装置側の電極と表示パネル側の電極とが導電粒子4bを介して電気的に接続されるようになっている。また、バインダ樹脂4aは熱硬化型接着剤からなり、半導体装置を加熱下で表示パネルに対して加圧することによって、熱圧着がなされる。ただし、実装工程では、予めACFを貼り付けた表示パネル1に半導体装置2または3を位置合わせした状態で接合させて、一度仮圧着させた後に、バインダ樹脂4bの硬化温度以上に加熱した状態で、加圧力を作用させることにより本圧着されることになる。この場合、実質的に同じACFを用いることができ、このためにTAB型半導体装置2も、チップ型半導体装置3も実装方式においては格別の差異はない。
【0014】
以上のように、表示パネル1に半導体装置を実装するには、まずこの表示パネル1の所定の位置にACF4を貼り付けるACF貼り付けステージと、半導体装置が実装されて、仮圧着される仮圧着ステージと、本圧着ステージとから構成される。そして、これらの各ステージ間で表示パネル1を搬送するために、表示パネル1は、後述するパネル搬送手段5により搬送されるようにしている。また、この表示パネル1の搬送時に位置ずれしなように保持するために、表示パネル1はパネル搬送手段5を構成する後述の補正テーブル51上に真空吸着されるようになっている。
【0015】
本発明による実装装置は、この仮圧着までの工程を実行するものである。そして、処理されるべき表示パネル1に応じて、その長辺側張り出し部1a及び短辺側張り出し部1bにそれぞれTAB型半導体装置2またはチップ型半導体装置3のいずれかが実装されることになる。そこで、図3に、仮圧着ステージにおいて、半導体装置の実装手順を模式的に示し、また図4は実装装置の概略構成の平面図を、さらに図5には図4の正面図をそれぞれ示す。
【0016】
これらの図において、10は表示パネル1の長辺側張り出し部1aに実装されるTAB型半導体装置2aの供給部、11は短辺側張り出し部1bに実装されるTAB型半導体装置2bの供給部、12はチップ型半導体装置3の供給部であり、これらにより実装品供給部を構成している。
【0017】
まず、チップ型半導体装置3は、トレー13に多数収納されており、このトレー13からチップ型半導体装置3が1個ずつ取り出されることになる。ここで、チップ型半導体装置は2種類あることから、図4から明らかなように、それぞれ異なるトレー13a,13bにチップ型半導体装置3a,3bが別々に収納されており、これら各トレー13a,13bが多数段積み状態にして待機させるトレーストック部14を備えている。トレー13aとトレー13bとでは、半導体装置の収容部の形状は異なっているが、トレー自体の外形は同一になっている。従って、トレーを総称する際には、符号13を用いる。
【0018】
チップ型半導体装置3の供給部12にはターンテーブル15が設けられており、このターンテーブル15には相互に90°の位置関係に4箇所のトレーホルダ15aが装着されている。そして、第1の位置T1において、トレーストック部14から1枚のトレー13aまたは13bが取り出されて、ターンテーブル15のトレーホルダ15aに装着されることになる。この第1の位置T1からターンテーブル15を180°回動させた第2の位置T2において、チップ型半導体装置3が1個ずつ取り出されて、表示パネル1に供給されることになる。また、トレーが空になる毎にターンテーブル15が第1の位置T1に移動して、空のトレーを排出し、チップ型半導体装置3で満杯となったトレーがトレーホルダ15aに供給される。チップ型半導体装置3は2種類用いられることから、ターンテーブル15において、一方のチップ型半導体装置3aを収容させたトレー13aの装着位置と、他方のチップ型半導体装置3bを収容させたトレー13bの装着位置とは、相互に90°の位置関係をもって配置されている。
【0019】
TAB型半導体装置2は、TCPとして長尺テープに多数形成されて、リールに巻回されており、このリールからTCPを繰り出して、打ち抜き金型でTAB型半導体装置を1個ずつ打ち抜いてTCPから分離されるようになっている。
【0020】
ここで、TAB型半導体装置2はソース用,ゲート用の2種類があり、それぞれ別個のTCP20a,20bから打ち抜かれることになる。このために、TCP20aの走行経路21a(図4に矢印で示す)と、TCP20bの走行経路21bとが設けられており、それぞれ供給用のリールからガイドローラや送りローラにより打ち抜き金型22a,22bの配設位置に走行させて、この打ち抜き金型22a,22bにより打ち抜くことによって、TAB型半導体装置2a,2bが得られるようになっている。つまり、TAB型半導体装置2aの供給部10はTCP20aの走行経路21a及び打ち抜き金型22aから構成され、TAB型半導体装置2bの供給部11はTCP20bの走行経路21b及び打ち抜き金型22bから構成される。そして、いずれもTCPを打ち抜いて得られるTAB型半導体装置は下方から取り出されることになる。
【0021】
TAB型半導体装置2なり、チップ型半導体装置3なりをトレーまたは打ち抜き金型から取り出して、表示パネル1に実装するために、実装品ハンドリング手段とロータリ式搭載手段とを備えている。実装品ハンドリング手段の構成としては、移載用ロボット30が用いられる。この移載用ロボット30は、図4及び図5から明らかなように、X軸30X及びY軸30YとZ軸30Z(上下方向)、さらにθ方向30θと、反転軸30Rを有する5軸ロボットのアーム31の先端に吸着ヘッド32を装着することにより構成される。そして、吸着ヘッド32は、TAB型半導体装置2(2a,2b)及びチップ型半導体装置3(3a,3b)のいずれもハンドリング可能となっている。
【0022】
ここで、移載用ロボット30は2箇所設けられている。即ち、実装品供給部のうち、TAB型半導体装置2a,2bの供給部10,11はチップ型半導体装置3の供給部12を挟んだ両側に配置されており、供給部10と供給部11とは離れた位置に配置されているので、単一の移載用ロボット30でこれらTAB型半導体装置2a,2bを取り出すように構成すると、移載用ロボットが大型化し、かつ動きも複雑になってしまう。従って、移載用ロボット30はチップ型半導体装置3の供給部12を構成するターンテーブル15の配設位置を挟んだ左右両側にそれぞれ配置するように構成する。そして、チップ型半導体装置3は左右の移載用ロボット30により交互に取り出すように動作させることによって、高速実装が可能になる。
【0023】
以上のように、ターンテーブル15を備えたチップ型半導体装置3a,3bの供給部12を挟んだ左右両側の位置にTAB型半導体装置2a,2bを供給するTCP20a,20nの打ち抜き金型22a,22bを装着したTAB型半導体2a,2bの供給部10,11が配置されているが、これらの配置部をできるだけ近接させるために、供給部12と供給部10,11とをできるだけ近接した位置に配置する。そして、これらの供給部を構成する各部材が相互に干渉しないようにするために、上下の空間を利用し、供給部10,11を上部側に、供給部12を下部側に配置するようにしている。これによって、移載用ロボット30の半導体装置の移載時における移動距離の短縮が図られる。
【0024】
図3に移載用ロボット30の可動範囲を示す。同図において、一方の移載用ロボット30の作動によるアーム31に装着した吸着ヘッド32(同図に仮想線で示す)のみの可動範囲をA、また他方の移載用ロボット30の作動による吸着ヘッド32のみの可動範囲をB、両吸着ヘッド32の可動範囲をCで示す。従って、2組設けられている移載用ロボット30の吸着ヘッド32は、図3の左側に位置する移載用ロボット30の吸着ヘッド32では、TAB型半導体装置2aの供給部10とチップ型半導体装置3の供給部12とから半導体装置を移載することができ、また図3の右側に位置する移載用ロボット30の吸着ヘッド32では、TAB型半導体装置2bの供給部11とチップ型半導体装置3の供給部12とから半導体装置をロータリテーブル40の仮圧着ユニット41に移載することができるようになっている。そして、供給部3では、トレー13aが供給位置に配置されているか、またはトレー13bが供給位置に配置されているかによって、チップ型半導体装置3a,3bのいずれかが取り出されることになる。
【0025】
そして、チップ型半導体装置3はトレー13から供給されて、移載用ロボット30の吸着ヘッド32に吸着保持されるが、この吸着ヘッド32によるチップ型半導体装置3の移載動作時における脱落を防止するために、チップ型半導体装置3の外形を検出する外形検出光学系33が設けられている。従って、吸着ヘッド32に吸着されているチップ型半導体装置3の吸着位置を外形検出光学系33により検出して、後述する仮圧着ユニット41における吸着部材42への移載を確実に、しかも円滑に行うようにしている。
【0026】
前述した移載用ロボット30により実装品の供給部から取り出された半導体装置2または3をパネル搬送手段5に保持されている表示パネル1に実装するために、移載用ロボット30と表示パネル1との間にロータリ式搭載手段を構成するロータリテーブル40が設けられており、このロータリテーブル40には、相互に90°となる位置にそれぞれ実装品搭載部を構成する仮圧着ユニット41が装着されている。仮圧着ユニット41は、下端部に吸着部材42を備えた本体ブロック43から構成され、この本体ブロック43はロータリテーブル40に装着した昇降ガイド44に沿って昇降する昇降板45に固定して設けられている。
【0027】
ロータリテーブル40において、表示パネル1が配置されている部位の上部位置には、加圧手段46が設けられており、この加圧手段46を作動させることによって、仮圧着時の加圧がなされる。従って、この位置が半導体装置の実装位置となる。また、この加圧による反力を受承させるために、表示パネル1の下部位置には受け台47が設けられており、この受け台47は表示パネル1の下面に当接する作動位置と、吸着部材42の下部位置を開放して、後述するアライメント用光学系の作動を可能にする退避位置とに変位可能となっている。
【0028】
ロータリテーブル40の前述した実装位置に対して180°の位置は、半導体装置が移載用ロボット30の吸着ヘッド32から仮圧着ユニット41の吸着部材42への移載が行なわれる移載位置である。また、それらに対して90°の位置にはプリアライメント用光学系48が設けられており、仮圧着ユニット41における吸着部材42に吸着保持されている半導体装置2または3の位置検出が行なわれる。プリアライメント用光学系48による半導体装置の吸着位置にずれがあると、少なくともそのθ方向の位置ずれを補正するように作動するようになっている。このために、仮圧着ユニット41における本体ブロック43には回転モータを内蔵させ、吸着部材42による半導体装置の吸着位置に応じて回転モータを作動させることによりθ方向の位置ずれを補正するようにしている。
【0029】
次に、実装位置には、アライメントマーク検出手段50が設けられている。このアライメントマーク検出手段50は、仮圧着ユニット41における吸着部材42の下部位置であって、受け台47と干渉しない位置に配置されており、かつ表示パネル1における半導体装置実装位置は、吸着部材42に吸着されている半導体装置から僅かに離間した位置となっている。
【0030】
半導体装置2,3の表示パネル1への実装は正確に位置決めした状態で行なわなければならない。つまり、TAB型であれ、チップ型であれ、それらに設けた電極と表示パネル1側の電極とが正確に一致するようにして仮圧着しなければならない。このために、半導体装置2,3及び表示パネル1には、それぞれ位置検出用のアライメントマークが設けられており、これらアライメントマークが相互に一致するようにして実装することになる。このアライメントマークを一致させるために、アライメントマーク検出手段50は、半導体装置側と表示パネル側とのアライメントマークを同時に視野に入れるカメラ及び光学系を備えたものからなり、カメラで取得した画像に基づいて相互の位置ずれを検出する。そして、半導体装置と表示パネルとの間で位置ずれがあると、その位置補正が行なわれる。このために、表示パネル1を搬送するパネル搬送手段5は、補正テーブル51を備えている。この補正テーブル51としては、表示パネル1をX軸方向及びY軸方向に位置調整できるように構成したものである。また、θ方向の補正は、既に説明したように、仮圧着ユニット41側で行うようにしている。
【0031】
以上のように構成することによって、表示パネル1に実装される半導体装置の種類の如何、つまりTAB型半導体装置2であるか、チップ型半導体装置3であるかに拘らず、円滑かつ迅速に実装することができ、また半導体装置の種類に応じて装置を構成する各部の変更を必要としない。このためには、TAB型半導体装置2a及び2bの供給部に、予めそれぞれTCP20a及び20bの供給リールを装着して、打ち抜き金型22a,22bにより打ち抜ける状態とする。また、チップ型半導体装置3a,3bの供給部12におけるトレーストック部14には、それぞれチップ型半導体装置3a,3bを満杯にまで収容させたトレー13a,13bをそれぞれ段積み状態にして装着しておく。
【0032】
パネル搬送手段5により搬送される表示パネル1において、その長辺側1aに実装される半導体装置がTAB型半導体装置2aであったとする。この場合には、TAB型半導体装置2aの供給部10のみを作動させ、他の供給部11,12は停止状態とする。また、移載用ロボット30は図3の左方を作動状態となし、右方の移載用ロボット30は停止状態とする。打ち抜き金型22aでTCP20aから1個のTAB型半導体装置2aが打ち抜かれるが、このときには、移載用ロボット30におけるアーム31の先端に設けた吸着ヘッド32を金型22aの下部位置に配置しておき、金型22aを作動させて、TAB型半導体装置2aを打ち抜く。その結果、打ち抜かれたTAB型半導体装置2aは吸着ヘッド32に吸着される。ここで、TAB型半導体装置2aはフィルム基板に半導体装置を搭載したものであり、広い吸着面積が得られ、取り落とし等のおそれがないので、外形検出光学系33による検出を行なわず、そのままロータリテーブル40に装着した仮圧着ユニット41の吸着部材42に受け渡す。
【0033】
仮圧着ユニット41でTAB型半導体装置2aを受け取ると、ロータリテーブル40は90°回転して、次の仮圧着ユニット41がTAB型半導体装置2aを受け取る位置に移動する。そして、既にTAB型半導体装置2aを受け取った仮圧着ユニット41の吸着部材42がプリアライメント用光学系48の位置に移行する。そして、このプリアライメント用光学系48により吸着部材42により吸着されているTAB型半導体装置2aの基準位置からのずれを検出して、回転方向に位置ずれがあると、本体ブロック43に装着した回転モータを作動させてθ方向の補正を行う。このθ方向の位置補正が完了し、かつその手前の仮圧着ユニット41における吸着部材42により次のTAB型半導体装置2aの吸着が完了すると、ロータリテーブル40がさらに90°回転する。その結果、先頭に位置するTAB型半導体装置2aは実装位置に移行して、表示パネル1に仮圧着される。
【0034】
この仮圧着を行うに当っては、ロータリテーブル40の回転後に、アライメントマーク検出手段50により表示パネル1における当該TAB型半導体装置2aを実装すべき位置に設けたアライメントマークと半導体装置2aに設けたアライメントマークとの位置を検出して、その間における位置ずれの有無を判定する。そして、位置ずれがある場合には、位置合わせを行うが、X,Y軸方向の位置ずれについては、補正テーブル51側で行うようになし、またθ方向の位置ずれは吸着部材42側で行う。なお、θ方向のずれは前段階で既にプリアライメントが行なわれているので、殆ど位置ずれが生じていない。このように、ロータリテーブル40において、その移載位置と実装位置との間のインデックス位置においては格別の処理等を行う必要がないが、この間にプリアライメントを行うことによって、実装位置でのアライメント作業の負担が軽減され、このアライメントをより迅速に行うことができる。
【0035】
このようにして表示パネル1と半導体装置2aとのアライメントが終了すると、加圧手段46が作動して、昇降板45を昇降ガイド44に沿って下降させる。また、受け台47を前進させて、表示パネル1の下部位置に当接させる。そして、加圧手段46は単に昇降板45を下降させるだけでなく、所定の加圧力を半導体装置2aに作用させるものであって、これによって、TAB型半導体装置2aの表示パネル1への仮圧着が行なわれる。
【0036】
以上の動作が順次繰り返し行なわれて、表示パネル1の長辺側1aに所定数の半導体装置2aが実装される。その後、加熱下で加圧することによって、つまり本圧着を行うことによって、TAB型半導体装置2aが表示パネル1に固定される。
【0037】
次に、表示パネル1の短辺側1bにTAB型半導体装置2bを実装するには、TAB型半導体装置2bの供給部11側を作動させる。即ち、打ち抜き金型22bを作動させ、図3の右側の移載用ロボット30を作動させる。勿論、このときもロータリ式搭載手段としては、仮圧着ヘッド41を有するロータリテーブル40が作動することになる。
【0038】
次に、チップ型半導体装置3aを表示パネル1の長辺側1aに実装する場合にも、TAB型半導体装置2aの実装時に説明したとほぼ同様の手順となるが、このチップ型半導体装置3aの場合には、図5に矢印で示したように、吸着ヘッド32は、下降、前進、吸着、反転、上昇、後退という動作を行なって、一度外形検出用光学系33により吸着位置の検出を行なって、確実に吸着部材42に移載できる状態にした上で、さらに後退させて、チップ型半導体装置3aを仮圧着ユニット41の吸着部材42に受け渡すようにする。従って、TAB型半導体装置2より長い時間が必要となるために、2組設けられている移載用ロボット30を共に作動させて、動作をオーバーラップさせることによって、高速化を図るようにする。吸着ヘッド32を一度下降させて、トレー13aに向けて移動させ、半導体装置3aを吸着した後に上昇させるのは、これら2組の移載用ロボット30,30の干渉を防止するためである。
【0039】
表示パネル1において、長辺側1a及び短辺側1b共に同じタイプの半導体装置を実装する場合だけでなく、異なるタイプの半導体装置を搭載することもできる。例えば、長辺側1aには、TAB型半導体装置2aを実装するために、TCP20aを供給して、打ち抜き金型22aでTAB型半導体装置2aを打ち抜いて、移載用ロボット30及びロータリテーブル40の仮圧着ユニット41を作動させて、表示パネル1の長辺側1aに実装する作業が完了した後に、左右の移載用ロボット30を作動させて、トレー13bからチップ型半導体装置3bを順次取り出して、仮圧着ユニット41により短辺側1bに実装することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】表示パネルへの半導体装置のそれぞれ異なる実装方式を示す構成説明図である。
【図2】半導体装置と表示パネルとの電極間の電気的接続状態を示す断面図である。
【図3】半導体装置を表示パネルに実装する際に行なわれる各々の作業を模式的に示す説明図である。
【図4】半導体装置の実装装置の構成を示す平面図である。
【図5】半導体装置の実装装置の構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 表示パネル 1a 長辺側
1b 短辺側 2a,2b TAB型半導体装置
3a,3b チップ型半導体装置
4 ACF 5 パネル搬送手段
10 TAB型半導体装置2aの供給部
11 TAB型半導体装置2bの供給部
12 チップ型半導体装置の供給部
13a,13b トレー 14 トレーストック部
15 ターンテーブル 20a,20b TCP
22a,22b 打ち抜き金型
30 移載用ロボット 31 アーム
32 吸着ヘッド 33 外形検出光学系
40 ロータリテーブル 41 仮圧着ユニット
42 吸着部材 46 加圧手段
48 プリアライメント用光学系
50 アライメントマーク検出手段
51 補正テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルに実装される複数の半導体装置を供給する実装品供給部と、この実装品供給部から供給された半導体装置を位置決めして、前記表示パネルに搭載する実装品搭載部とを備え、この表示パネルの所定箇所に複数種類の半導体装置を順次実装する装置において、
前記実装品供給部は、少なくとも1種類のTAB型半導体装置の供給部と2種類のチップ型半導体装置の供給部とからなり、
TAB型半導体装置の供給部はTCPからTAB型半導体装置を打ち抜いて吸着保持させ、またチップ型半導体装置の供給部はトレーに収納させたチップ型半導体装置を1個ずつ吸着保持させる吸着ヘッドを備えた実装品ハンドリング手段と、
前記実装品ハンドリング手段の吸着ヘッドからの半導体装置を前記実装品搭載部で受け取って、前記表示パネルに対して半導体装置を位置決めして搭載させるロータリ式搭載手段と
を備える構成としたことを特徴とする半導体装置実装装置。
【請求項2】
前記表示パネルには、長辺側及び短辺側の各1辺に半導体装置が実装されるものであり、前記実装品供給部には、2種類のTAB型半導体装置と2種類のチップ型半導体装置との供給部を設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の半導体装置実装装置。
【請求項3】
前記各チップ型半導体装置は、ターンテーブルに装着したトレーから供給されるものであり、このターンテーブルの左右両側の位置にそれぞれTCPからのTAB型半導体装置の打ち抜き金型を配置する構成としたことを特徴とする請求項2記載の半導体装置実装装置。
【請求項4】
前記実装品ハンドリング手段は2組設けられており、前記打ち抜き金型で打ち抜いたTAB型半導体装置を供給する際には、一方の実装品ハンドリング手段を作動させ、前記トレーからチップ型半導体装置を供給する際には、両実装品ハンドリング手段により交互に供給可能な構成としたことを特徴とする請求項3記載の半導体実装装置。
【請求項5】
前記ロータリ式搭載手段は、ロータリテーブルと、このロータリテーブルの所定角度毎に配置され、前記TAB型及びチップ型の各半導体装置を吸着する吸着部材を装着した仮圧着ユニットを有し、前記ロータリテーブルのいずれか1つのインデックス位置が前記実装品ハンドリング手段からの前記半導体装置の移載位置であり、また他の1つのインデックス位置が前記表示パネルへの実装位置であることを特徴とする請求項1記載の半導体実装装置。
【請求項6】
前記実装位置には、前記半導体装置と前記表示パネルとのアライメントを行うアライメント手段を装着する構成としたことを特徴とする請求項5記載の半導体実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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