説明

半導体装置

【課題】 通常のメモリカードのメモリカード用通信回路および、非接触通信回路などの複数のインターフェースを持つ非接触通信機能付きメモリカードにおいて、メモリカード用電源の供給がいかなる状態であっても、非接触通信を安定して行うことができる非接触通信機能付きメモリカードを提供する。
【解決手段】 方式選択回路109は、メモリカード用電源電圧センサー106と、非接触通信電源電圧センサー107の検知結果によって、方式格納部108に格納されている方式の中から1つを選択する。VCO110は選択された方式に従って発振・停止制御される。クロック選択/リセット生成回路111は選択された方式に従ってCPU114,フラッシュコントローラ113,非接触通信用暗号回路112のそれぞれに対しリセットを生成し、非接触通信回路105から供給されるクロックとVCO110から供給されるクロックのいずれかを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置、特に非接触ICカードに関するものであり、非接触通信回路に加え、通常のメモリカードが持つ有線方式のメモリカード用通信回路など複数のインターフェースを設けることで、非接触通信機能付きメモリカードの改良を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道・交通系アプリケーションのほか、電子マネー・電子チケット・会員証・公共交通機関の改札や、レジでの支払いなどにおいて非接触通信技術による非接触ICカードが広く用いられている。非接触ICカードは財布やパスケース等からカードを取り出すことなくカードリーダーにかざしたりタッチするだけで、非接触通信(無線通信)により認証、決済ができる(例えば、特許文献1参照)。その形状もカード形状のものやカートリッジ形状、機器形状がある。
【0003】
カード形状は非接触ICカードそれ自体である。カートリッジ形状は非接触ICカード用LSIのカートリッジであり、他の装置に装着される場合である。機器形状はアンテナを携帯電話機に埋め込んだ非接触ICカード機能付き携帯電話機などの機器自体の場合である。
ところで、非接触ICカードでは、データ容量が小さい、カード形状であるためにカード内部へのデータアクセスに専用の端末が必要で利便性が悪い、などの欠点があった。
これに対し、非接触ICカード機能付き携帯電話機では、非接触ICカードの欠点であったカード内部の情報を携帯電話機画面に呼び出せるなどの利点がある。その反面、カード内部情報へのアクセス中は非接触通信ができない、携帯電話機からの電力供給がないと非接触通信が行えない、という課題があった。
【0004】
一方、非接触ICカード機能を搭載したメモリカードという形態がある。このメモリカードは非接触ICカードとして単体で動作し、メモリカードのもつ大容量フラッシュメモリを利用できる。またメモリカードが装着される機器、例えば携帯電話機などでカード内部のデータアクセスが可能となるため従来の非接触ICカードの欠点を解決することができる。
【特許文献1】特開2003−36427号公報(第4頁 図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、非接触通信を採用することで、カードをリーダやライタに近づけたり軽く接触したりするだけでカードの内容の読み書きが可能であり、読み書きの都度、カードをリーダやライタのスロットに挿入する手間を省くことができる。
しかしながら、非接触通信の場合、単にデータだけではなくメモリカードの電源やクロックも電波により送受信されるため、近づけ方が不十分であったり、電波の状況が悪いと動作が不安定になる。またメモリカードの電源やクロックの供給状態は、ホストからのアクセスがない場合には電源供給が停止するなど、非接触通信とは無関係に変化するため、非接触ICカードの通信を安定して行うことは困難であった。
【0006】
この発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたもので、非接触通信機能を有するメモリカードにおいて、ホスト機器からの通信がいかなる状態であっても、安定した通信が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1の発明に係る半導体装置は、カード型の半導体装置であって、外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行う接触通信部と、該第1の通信部から出力される、接触通信により供給される電源の状態を検知する第1の電源状態検知部と、外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信部と、該第2の通信部から出力される、非接触通信により供給される電源の状態を検知する第2の電源状態検知部と、電源供給の状態に応じたクロック信号およびリセット信号の制御方法(以下、方式と称す)を複数格納した方式格納部と、前記第1の電源状態検知部および前記第2の電源状態検知部の検知結果に応じて、前記方式格納部に格納されている複数の方式の中から一つを選択する方式選択部と、前記接触通信部より電力供給を受けクロック信号を発振する発振部と、前記方式選択部が選択した方式に従い、前記第2の通信部から供給されるクロック信号と前記発振部から供給されるクロック信号のいずれかを選択し、リセット信号を生成するクロック選択/リセット生成部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本願の請求項2の発明に係る半導体装置は、外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行う接触通信部と、外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信部と、前記接触通信部より電力供給を受けクロック信号を発振する発振部と、前記接触通信および前記非接触通信が同時に行われる場合、前記非接触通信部から供給されるクロック信号と前記発振部から供給されるクロック信号のいずれかを選択するクロック信号選択部とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本願の請求項3の発明に係る半導体装置は、非接触通信機能付きのカード型半導体装置において、外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行うメモリカード用通信回路と、該メモリカード用通信回路から出力されるメモリカード用電源の状態を検知するメモリカード用電源電圧センサーと、外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信回路と、該非接触通信回路から出力される非接触通信電源の状態を検知する非接触電源電圧センサーと、電源供給の状態に応じてクロック信号およびリセット信号の供給についての方式情報を複数格納した方式格納部と、前記メモリカード用電源電圧センサーの検知結果と、前記非接触電源電圧センサーの検知結果より、前記方式格納部に格納されている方式情報の中から一つを選択する方式選択回路と、前記メモリカード用通信回路より電力供給を受けクロック信号を発振するVCOと、各種演算処理を行うCPUと、前記CPUにより制御されるフラッシュコントローラと、前記フラッシュコントローラによりデータのやりとりを行うフラッシュメモリと、非接触通信時の暗号処理を行う非接触通信用暗号回路と、前記方式選択回路が選択した方式情報に従い、前記CPU、前記フラッシュコントローラ、前記非接触通信用暗号回路のそれぞれに対して、前記非接触通信回路から供給されるクロック信号と前記VCOから供給されるクロック信号のいずれかを選択し、かつ上記各回路に入力するリセット信号を生成するクロック選択/リセット生成回路とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本願の請求項4の発明に係る半導体装置は、請求項3に記載の半導体装置において、メモリカード用電源状態と非接触通信電源状態の遷移に応じた拡張ビットを付与するビット拡張部をさらに備え、前記方式選択回路は前記電源状態の遷移に基づいて最適な方式を選択する際、該拡張ビットをも考慮して選択を行うことを特徴とするものである。
【0011】
また、本願の請求項5の発明に係る半導体装置は、請求項4に記載の半導体装置において、前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を格納した第1のROMをさらに備え、前記拡張部は前記メモリカード用電源と非接触通信電源の少なくとも一方が供給された場合に、該第1のROMに格納された情報のロードを要求することを特徴とするものである。
【0012】
また、本願の請求項6の発明に係る半導体装置は、請求項4に記載の半導体装置において、前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を格納した不揮発性メモリをさらに備え、前記拡張部は前記メモリカード用電源と非接触通信電源の少なくとも一方が供給された場合に、該不揮発性メモリに格納された情報のロードを要求することを特徴とするものである。
【0013】
また、本願の請求項7の発明に係る半導体装置は、請求項4に記載の半導体装置において、前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を外部からの通信により受信する拡張ビット付与情報通信回路をさらに備え、該拡張ビット付与情報通信回路は該外部からの通信を検出した際に、前記拡張部に該拡張ビット付与情報をロードすることを特徴とするものである。
【0014】
また、本願の請求項8の発明に係る半導体装置は、請求項6に記載の半導体装置において、前記前記メモリカード用電源と非接触通信電源のいずれか一方の供給時間を計測するタイマーをさらに備え、前記拡張部は該タイマーからの供給時間情報に応じて前記不揮発性メモリに格納された拡張ビット付与情報の中から該拡張部にロードする情報を決定することを特徴とするものである。
【0015】
また、本願の請求項9の発明に係る半導体装置は、請求項8に記載の半導体装置において、電源供給状態と前記タイマーからの供給時間情報より、頻繁に生じる電源供給状態を学習する学習器をさらに備え、該学習器は学習した内容に応じて前記不揮発性メモリに格納された拡張ビット付与情報の中から前記拡張部にロードする情報を決定することを特徴とするものである。
【0016】
また、本願の請求項10の発明に係る半導体装置は、請求項8に記載の半導体装置において、電源状態の遷移のパターンを監視し、不正パターンと照合する不正パターン照合器をさらに備え、電源状態の遷移が不正パターンに該当するか否かを前記CPUに通知することを特徴とするものである。
【0017】
また、本願の請求項11の発明に係る半導体装置は、請求項3に記載の半導体装置において、前記方式格納部に格納された方式情報以外の方式情報を格納した第2のROMをさらに備え、前記方式格納部は前記第2のROMへ格納した方式情報を、該方式格納部にロードすることを特徴とするものである。
【0018】
また、本願の請求項12の発明に係る半導体装置は、請求項3に記載の半導体装置において、 電源供給状態をモニターし、メモリカード用電源が必要と判断した場合前記メモリカード用通信回路に電力供給を要求する電源要求部をさらに備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本願の請求項1の発明によれば、カード型の半導体装置において、外部から接触通信にて電源供給を受ける接触通信部と外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受ける非接触通信部とを有し、電源供給状態を検知することにより、外部からのクロック信号あるいは外部から供給された電源により内部で発振したクロック信号のいずれを使用するかを選択できるようにしたので、カードの使用状況に応じて安定したクロック信号あるいはリセット信号を使用できる効果がある。
【0020】
また、本願の請求項2の発明によれば、カード型の半導体装置において、外部から接触通信にて電源供給を受ける接触通信部と外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受ける非接触通信部とを有し、電源供給状態を検知することにより、外部からのクロック信号あるいは外部から供給された電源により内部で発振したクロック信号のいずれを使用するかを選択できるようにしたので、カードの使用状況に応じて安定したクロック信号を使用できる効果がある。
【0021】
また、本願の請求項3の発明によれば、非接触機能付きメモリカードは、メモリカードコントローラと、コイルアンテナと、フラッシュメモリとを有し、メモリカードコントローラは、メモリカード用通信回路と,非接触通信回路と、メモリカード用電源電圧センサーと、非接触通信電源電圧センサーと、方式格納部と、方式選択回路と、VCOと、クロック選択/リセット生成回路と、非接触通信用暗号回路と、フラッシュコントローラと、CPUとを有し、方式選択回路は、メモリカード用電源電圧センサーと、非接触通信電源電圧センサーの検知結果によって、方式格納部に格納されている方式の中から1つを選択する。VCOは選択された方式に従って発振・停止制御される。クロック選択/リセット生成回路は、選択された方式に従ってCPU,フラッシュコントローラ,非接触通信用暗号回路それぞれに対しリセット信号を生成し、非接触通信回路から供給されるクロック信号とVCOから供給されるクロック信号のいずれかを選択するようにしたので、上記非接触機能付きメモリカードは、非接触通信電源が供給されている状態において、メモリカード用電源の供給が開始・停止しても、CPU,フラッシュコントローラ,非接触通信用暗号回路には常に安定したクロック信号とリセット信号が供給されるため、安定した非接触通信が可能となる効果がある。
【0022】
また、本願の請求項4の発明によれば、請求項3に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは拡張部をさらに備え、拡張部はメモリカード用電源供給状態と非接触通信電源供給状態の遷移に応じて拡張ビットを付与し、方式選択回路は、電源状態の遷移に基づいて最適な方式を選択する際、拡張ビットをも考慮して選択するようにしたので、電源供給状態の遷移に応じて最適な方式を選択してクロック信号とリセット信号を制御することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0023】
また、本願の請求項5の発明によれば、請求項4に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは拡張部の拡張ビットの付与の方法を格納したROMをさらに備え、ROMは拡張ビットの付与の方法を格納しており、拡張部からのロード要求に応じて、拡張部へ拡張ビットの付与の方法をロードするようにしたので、ROMのデータを書き換えることで、電源供給状態の遷移に応じてより柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0024】
また、本願の請求項6の発明によれば、請求項4に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは拡張部の拡張ビットの付与の方法を格納した不揮発性メモリをさらに備え、不揮発性メモリはCPUにより随時書き換えが可能であり、拡張部からのロード要求に応じて、拡張部へ拡張ビットの付与の方法をロードするようにしたので、必要に応じて、不揮発性メモリ内部に格納されている拡張ビットの付与の方法を変更することで、不揮発性メモリのデータを書き換えることで、電源供給状態の遷移に応じてより柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0025】
また、本願の請求項7の発明によれば、請求項4に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは拡張ビットの付与の方法を外部からの通信より受信し、拡張部にロードするようにしたので、外部機器から電源の供給状態に応じて方式の選択方法を任意のものに変更することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0026】
また、本願の請求項8の発明に係る半導体装置によれば、請求項6に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードはタイマーをさらに備え、タイマーは電源供給状態の継続時間を測定するようにしたので、より柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することができ、電源が供給されている時間の長さに応じて最適な方式の選択方法を任意に変更することができ、より柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することができ、安定した通信が可能となる効果がある。
【0027】
また、本願の請求項9の発明に係る半導体装置によれば、請求項8に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは学習器をさらに備え、学習器は、電源供給状態とタイマーからの時間情報より、頻繁に生じる電源供給状態を学習するようにしたので、使用者が頻繁に使用する条件を学習し、最適な方式の選択方法に変更することが可能となり、より柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0028】
また、本願の請求項10の発明に係る半導体装置によれば、請求項8に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは不正パターン照合器をさらに備え、不正パターン照合器は、あらかじめ格納された電源供給状態の不正パターンと、実際の電源供給状態とを比較し、合致した場合CPUに不正情報を出力するようにしたので、通常想定される使用状況とは異なった使用を繰り返し、不正行為ならびにその予備行為と見なせる場合はCPUが不正対策処理を行えるので、安定した通信が行えるばかりでなく安全面での対策がなされたものが得られる効果がある。
【0029】
また、本願の請求項11の発明に係る半導体装置によれば、請求項3に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは方式を格納したROMをさらに備え、ROMは、電源供給状態に応じた方式を格納しており、方式格納部からのロード要求に対し、格納されている方式を方式にロードするようにしたので、方式格納部に格納されている方式情報自体を差し替えることが可能となり、より柔軟にクロック信号とリセット信号を制御することが可能となり、安定した通信が可能となる効果がある。
【0030】
また、本願の請求項12の発明に係る半導体装置によれば、請求項3に記載の半導体装置において、上記非接触機能付きメモリカードは電源要求部をさらに備え、電源要求部は、電源供給状態をモニターし、メモリカード用電源が必要と判断した場合に、メモリカード用通信回路に対し、電力要求信号を出力するようにしたので、電力要求信号を発することにより、非接触通信号中の電源供給が安定し、より安定した通信が可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
<非接触通信機能付きメモリカードの全体構成>
図1は、この発明の実施の形態1による半導体装置としての非接触通信機能付きメモリカードの全体構成を示すブロック図である。
図2は、この図1では一部を省略した電源供給系統およびデータの流れの全体を示すものである。
【0032】
この図1の構成による非接触通信機能付きメモリカードは非接触通信用の非接触通信回路とともに、接触通信用のメモリカード用通信回路を設けたものである。
このような非接触通信と接触通信の両方に対応したメモリカードの使用形態として、図3に示すような状況が想定される。
【0033】
この図3に示す状況では、たとえば、PDA(Personal Digital Assistant)・携帯型オーディオ・携帯電話機MPなどのデジタル機器のスロットSLTに非接触通信機能付きメモリカード100を挿入して、デジタル機器と非接触通信機能付きメモリカードとの間でデータのやりとりが行われる。このやりとりは接触通信で行われる。
またたとえば、このようなデジタル機器のスロットに装着した非接触通信機能付きメモリカード100を、鉄道の自動改札機ATG・商店のサービスポイント(いわゆるポイント)カードリーダライタなどの非接触通信ホスト機器の電波到達範囲内まで近づけたりタッチしたりすると、非接触通信ホスト機器と非接触通信機能付きメモリカードなどの間でデータのやりとりが行われる。このやりとりは非接触通信で行われる。
【0034】
<非接触通信機能付きメモリカード>
図1において、非接触通信機能付きメモリカード100は、メモリカードコントローラ101と、コイルアンテナ102と、フラッシュメモリ103とを有する。
メモリカードコントローラ101は、ワンチップマイコンに相当するもので、メモリカード用通信回路(接触通信部)104と,非接触通信回路(非接触通信部)105と、メモリカード用電源電圧センサー(第1の電源状態検知部)106と、非接触電源電圧センサー(第2の電源状態検知部)107と、方式格納部108と、方式選択回路(方式選択部)109と、VCO(発振部)110と、クロック選択/リセット生成回路(クロック選択/リセット生成部,クロック選択部)111と、非接触通信用暗号回路112と、フラッシュコントローラ113と、CPU114とを備える。
【0035】
メモリカード用通信回路104は、図示しないデジタル機器から有線で供給されるメモリカード用電源115を、メモリカード用電源電圧116としてメモリカード用電源電圧センサー106に出力する。また、デジタル機器から受信したメモリカード用データ117をCPU114に出力し、CPU114から出力されたメモリカード用データ117をデジタル機器へ送信する。
【0036】
非接触通信回路105は、非接触通信ホスト機器からコイルアンテナ102を介して電磁誘導で供給された非接触通信電源118を、非接触電源電圧119として非接触電源電圧センサー107に出力する。
【0037】
また、非接触通信ホスト機器からコイルアンテナ102を介して供給された非接触通信クロック(クロック信号)120をクロック選択/リセット生成回路(クロック選択/リセット生成部)111に出力する。また、非接触通信ホスト機器からコイルアンテナ102を介して受信した非接触通信データ121をCPU114に出力し、CPU114から出力された非接触通信データ121をコイルアンテナ102を介して非接触通信ホスト機器へ送信する。
【0038】
メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用通信回路104より与えられるメモリカード用電源電圧116を検知し、メモリカード用電源115が供給されていない状態か、供給されている状態かをメモリカード用電圧状態信号122として方式選択回路109に出力する。
【0039】
ここでは、
a) メモリカード用電源115が供給されている場合、
メモリカード用電圧状態信号122=1
b) メモリカード用電源115が供給されていない場合、
メモリカード用電圧状態信号122=0
を出力する。
なお、メモリカード用電圧状態信号122は複数本の信号であってもかまわない。
【0040】
非接触電源電圧センサー107は、非接触通信回路105より与えられる非接触電源電圧119を検知し、非接触通信電源118が供給されていない状態か、供給されている状態かを非接触電圧状態信号123として方式選択回路109に出力する。
ここでは、
c) 非接触通信電源118が供給されている場合、
非接触電圧状態信号123=1
d) 非接触通信電源118が供給されていない場合、
非接触電圧状態信号123=0
を出力する。
なお、非接触電圧状態信号123は複数本の信号であってもかまわない。
【0041】
方式格納部108には、電源供給状態に応じて、VCO110、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112のクロック、およびリセットの制御方法(いわゆるリソース(資源))を示す方式情報A、方式情報B、方式情報C(方式A、方式B、方式C)が格納されている。なお、以下では方式情報Xを単に方式Xと記す。
【0042】
ここでは、
α) 方式Aとして、
「非接触通信電源118のみ供給されている場合、即ち、メモリカード用電圧状態信号122=0 かつ 非接触電圧状態信号123=1の場合、VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112とを動作させる」、
β) 方式Bとして、
「非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている場合、即ち、メモリカード用電圧状態信号122=1 かつ 非接触電圧状態信号123=1の場合、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113と非接触通信用暗号回路112とを動作させる」
γ) 方式Cとして、
「メモリカード用電源115のみ供給されている場合、即ち、メモリカード用電圧状態信号122=1 かつ 非接触電圧状態信号123=0の場合、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113とを動作させる」
旨の情報が格納されている。
【0043】
方式選択回路109は、メモリカード用電圧状態信号122および非接触電圧状態信号123とで表わされる電源供給状態により、方式格納部108に格納されている、現在の電源供給状態に該当する方式情報を選択し、対応する方式信号125をVCO110およびクロック選択/リセット生成回路111に出力する。すなわち、メモリカード用電圧状態信号122が、「メモリカード用電源115が供給されていない状態」を示し、非接触電圧状態信号123が、「非接触通信電源118が供給されている状態」を示した場合、方式選択回路109は、方式Aを選択し、「VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112を動作させる」要求を示す方式信号125を、VCO110およびクロック選択/リセット生成回路111に出力する。
【0044】
VCO110は、方式選択回路109から与えられる方式信号125によって発振を行いあるいは停止し、発振する場合はVCOクロック124をクロック選択/リセット生成回路111に出力する。すなわち、方式選択回路109が方式Aを選択した場合、方式信号125は「VCO110停止」要求を示しており、VCO110は発振を行わない。
【0045】
クロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109より与えられる方式信号125に従い、クロック信号(以下、クロックと称す)の選択とリセット信号(以下、リセットと称す)の生成を行い、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112にそれぞれクロックとリセットを供給する。クロックの選択については、方式信号125に応じて、VCO110より与えられるVCOクロック124と、非接触通信回路105から与えられる非接触クロックのいずれかを選択し、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112それぞれへ、CPUクロック126、フラッシュコントローラクロック127、非接触通信用暗号回路クロック128を出力する。また、リセット生成については、方式信号125に応じて、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112それぞれへリセット解除状態、およびリセット状態を示すCPUリセット129、フラッシュコントローラリセット130、非接触通信用暗号回路リセット131を出力する。
【0046】
すなわち、方式選択回路109が方式Aを選択した場合、方式信号125は、「非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112を動作させる」要求を示しており、CPUリセット129を解除し、CPUクロック126へ非接触通信クロック120を選択して出力する。また、非接触通信用暗号回路リセット131を解除し、非接触通信用暗号回路クロック128へ非接触通信クロック120を選択して出力する。また、フラッシュコントローラリセット130は解除せず、クロック供給を行わない。これにより、CPU114は、クロック選択/リセット生成回路111によって与えられるCPUクロック126、及びCPUリセット129によって動作する。またCPU114は、メモリカード用通信回路104とメモリカード用データ117をやりとりする。またCPU114は、非接触通信回路105と非接触通信データ121をやりとりする。またCPU114は、フラッシュコントローラ113を介して、フラッシュメモリ103とデータをやりとりする。
【0047】
フラッシュコントローラ113は、クロック選択/リセット生成回路111によって与えられるフラッシュコントローラクロック127、及びフラッシュコントローラリセット130によって動作する。またフラッシュコントローラ113は、CPU114と、フラッシュメモリ103との間でデータのやりとりを行う。
非接触通信用暗号回路112は、クロック選択/リセット生成回路111によって与えられる非接触通信用暗号回路クロック128、及び非接触通信用暗号回路リセット131によって動作する。
【0048】
<フラッシュメモリ>
フラッシュメモリは、フラッシュコントローラ113により制御され、データの記録と読み出しをおこなう。
<非接触通信電源118のみ供給されている場合>
まず非接触通信電源118のみ供給されている場合について説明する。非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されると、非接触電源電圧119のモニターを開始し、「非接触通信電源118が供給されている状態」として非接触電圧状態信号123=1を出力する。
【0049】
メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用電源115が供給されていないため、「メモリカード用電源115が供給されていない状態」として、メモリカード用電源電圧状態信号=0を出力する。方式選択回路109は、非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=0であることから、「非接触通信電源118のみが供給されている状態」であることを認識し、この状態に一致する方式A「VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112を動作させる」を、方式格納部108から選択し、方式Aに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。VCO110は、方式選択回路109の出力する方式Aによる方式信号125によって発振制御される。
【0050】
方式Aの場合、VCO110は停止し、クロック選択/リセット生成回路111へVCOクロック124を出力しない。クロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Aによる方式信号125によってクロックの選択、リセットの生成を行う。方式Aでは、クロック選択/リセット生成回路111は、CPU114に対して非接触通信クロック120をCPUクロック126として選択し、CPUリセット129を解除する。またクロック選択/リセット生成回路111は、フラッシュコントローラ113に対してフラッシュコントローラクロック127を停止し、フラッシュコントローラリセット130を解除しない。またクロック選択/リセット生成回路111は、非接触通信用暗号回路112に対して非接触通信クロック120を非接触通信用暗号回路クロック128として選択し、非接触通信用暗号回路リセット131を解除する。
【0051】
<非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている場合>
次に非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている場合について説明する。
非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されると、非接触電源電圧119のモニターを開始し、「非接触通信電源118が供給されている状態」として非接触電圧状態信号123=1を出力する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用電源115が供給されると、メモリカード用電源電圧116のモニターを開始し、「メモリカード用電源115が供給されている状態」としてメモリカード用電圧状態信号122=1を出力する。方式選択回路109は、非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=1であることから、「非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態」であることを認識し、この状態に一致する方式B「VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113を動作させる」を、方式格納部108から選択し、方式Bに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。
【0052】
VCO110は、方式選択回路109の出力する方式Bによる方式信号125によって発振制御される。方式Bの場合VCO110は発振し、クロック選択/リセット生成回路111へVCOクロック124を出力する。クロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Bによる方式信号125によってクロックの選択、リセットの生成を行う。方式Bでは、クロック選択/リセット生成回路111は、CPU114に対してVCO110のクロックをCPUクロック126として選択し、CPUリセット129を解除する。またクロック選択/リセット生成回路111は、フラッシュコントローラ113に対してVCOクロック124をフラッシュコントローラクロック127として選択し、フラッシュコントローラリセット130を解除する。またクロック選択/リセット生成回路111は、非接触通信用暗号回路112に対してVCOクロック124を非接触通信用暗号回路クロック128として選択し、非接触通信用暗号回路リセット131を解除する。
【0053】
<メモリカード用電源115のみ供給されている場合>
更に、メモリカード用電源115のみ供給されている場合について説明する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用電源115が供給されると、メモリカード用電源電圧116のモニターを開始し、「メモリカード用電源115が供給されている状態」としてメモリカード用電圧状態信号122=1を出力する。
【0054】
非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されていないため、「非接触通信電源118が供給されていない状態」として、非接触電源電圧状態信号=0を出力する。方式選択回路109は、非接触電圧状態信号123=0かつメモリカード用電圧状態信号122=1であることから、「メモリカード用電源115のみが供給されている状態」であることを認識し、この状態に一致する方式C「VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113を動作させる」を、方式格納部108から選択し、方式Cに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。VCO110は、方式選択回路109の出力する方式Cによる方式信号125によって発振制御される。
【0055】
方式Cの場合、VCO110は発振し、クロック選択/リセット生成回路111へVCOクロック124を出力する。クロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Cによる方式信号125によってクロックの選択、リセットの生成を行う。方式Cでは、クロック選択/リセット生成回路111は、CPU114に対してVCOクロック124をCPUクロック126として選択し、CPUリセット129を解除する。またクロック選択/リセット生成回路111は、フラッシュコントローラ113に対してVCOクロック124をフラッシュコントローラクロック127として選択し、フラッシュコントローラリセット130を解除する。またクロック選択/リセット生成回路111は、非接触通信用暗号回路112に対して非接触通信用暗号回路クロック128を停止し、非接触通信用暗号回路リセット131を解除しない。
【0056】
従って、非接触通信電源118が供給されている状態において、メモリカード用電源115の供給が開始・停止するように遷移したとしても、CPU114,フラッシュコントローラ113,非接触通信用暗号回路112には常に安定したクロックとリセット信号が供給されるため、安定した通信が可能な非接触通信機能付きメモリカードを提供できる。
【0057】
<効果>
以上のように、本実施の形態1では、非接触通信電源118のみが供給されている状態、非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている場合、メモリカード用電源115のみが供給されている場合のそれぞれの状態に対応する方式を用意し、これらの方式を選択可能としているため、各方式をそれぞれの状態に対し最適な方式としておくことで、最適なクロック・リセット制御が可能となる効果がある。
【0058】
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。このブロック図は図1に示した非接触通信機能付きメモリカードに対し新たに設けた構成部分のみを示すものである。即ち、この図4は図1に示した非接触通信機能付きメモリカードに加えて、さらに拡張部201を備える。なお、実施の形態3以降でもその構成を示すブロック図は、図1に示した非接触通信機能付きメモリカードに対し新たに設けた構成部分のみを示すものとする。また、方式格納部108は、図1の方式A、方式B、方式Cと一部が同様の処理を行う方式D,方式E,方式F,方式Gを格納する。
【0059】
拡張部201は、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123によって、電源供給状態の遷移を記憶し、電源供給状態の遷移パターンの違いによって、方式選択回路109に対して、異なる拡張ビットを付加した拡張部状態信号202を出力する。
【0060】
ここでは、
拡張部状態信号202[2:0]=
[メモリカード用電圧状態信号122:非接触電圧状態信号123:拡張ビット]
として、
非接触通信電源118のみが供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115の両方が供給されている状態に遷移した場合、
即ち、メモリカード用電圧状態信号122=0 かつ 非接触電圧状態信号123=1
の電源供給状態から、
メモリカード用電圧状態信号122=1 かつ 非接触電圧状態信号123=1
に遷移した場合は、
拡張部状態信号202=110(すなわち拡張ビットは0)を、
メモリカード用電源115のみが供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115の両方が供給されている状態に遷移した場合、
即ちメモリカード用電圧状態信号122=1 かつ 非接触電圧状態信号123=0
の電源供給状態から、
メモリカード用電圧状態信号122=1 かつ 非接触電圧状態信号123=1
に遷移した場合は、
拡張部状態信号202=111(すなわち拡張ビットは1)を、
それぞれ出力する。
【0061】
また、拡張ビットは、上記以外の遷移パターンでは常に0である。
方式格納部108にはVCO110、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路クロック128、およびリセットの制御方法である方式D、方式E、方式F、方式Gが格納されている。
【0062】
ここでは、
方式Dには、「非接触通信電源118のみ供給されている場合、即ち、拡張部状態信号202=010の場合、
VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112とを動作させる」、
方式Eには、「非接触通信電源118のみ供給されている状態から、非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合、即ち、拡張部状態信号202=110の場合、VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112とを動作させる」、
方式Fには、「メモリカード用電源115のみ供給されている状態から、非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合、即ち、拡張部状態信号202=111の場合、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113と非接触通信用暗号回路112とを動作させる」
方式Gには、「メモリカード用電源115のみ供給されている場合、即ち、拡張部状態信号202=100、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113とを動作させる」、
の情報が格納されている。
なお、これら以外に、さらに多くの方式を格納してもかまわない。
【0063】
以下、上記各方式での動作について説明する。
方式Dおよび方式Gは実施の形態1における方式Aおよび方式Cと同様であるので、説明を省略する。
【0064】
<方式E;最初に非接触通信電源118が供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合>
まず、非接触通信電源118のみが供給されている状態において、非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されると、非接触電源電圧119のモニターを開始し、非接触電圧状態信号123=1を出力する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用電源115が供給されていないため、メモリカード用電源電圧状態信号=0を出力する。拡張部201は非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=0の状態が遷移していないため拡張ビット=0とし、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202=010を出力する。方式選択回路109は、拡張部状態信号202=010であることから、この状態に一致する方式Dを、方式格納部108から選択し、方式Dに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。VCO110およびクロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Dによる方式信号125によって制御される。即ち、VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112を動作させる。
【0065】
つぎに、非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移したものとする。
非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されると、非接触電源電圧119のモニターを開始し、非接触電圧状態信号123=1を出力する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用通信電源が供給されると、メモリカード用電源電圧116のモニターを開始し、メモリカード用電圧状態信号122=1を出力する。拡張部201は非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=0の状態から、非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=1の状態に遷移したため、拡張ビット=0とし、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202=110を出力する。方式選択回路109は、拡張部状態信号202=110であることから、この状態に一致する方式Eを、方式格納部108から選択し、方式Eに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。VCO110およびクロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Eによる方式信号125によって制御される。即ち、VCO110を停止させ、非接触通信クロック120を用いてCPU114と非接触通信用暗号回路112とを動作させる。
【0066】
<方式F;最初にメモリカード用電源115が供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合>
まず、メモリカード用電源115のみが供給されている状態において非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されていないため、非接触電源電圧状態信号=0を出力する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用電源115が供給されると、メモリカード用電源電圧116のモニターを開始し、メモリカード用電圧状態信号122=1を出力する。拡張部201は非接触電圧状態信号123=0かつメモリカード用電圧状態信号122=1の状態が遷移していないため拡張ビット=0とし、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202=100を出力する。方式選択回路109は、拡張部状態信号202=100であることから、この状態に一致する方式Gを、方式格納部108から選択し、方式Gに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。即ち、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113とを動作させる。VCO110およびクロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Gによる方式信号125によって制御される。
【0067】
つぎに、非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移したものとする。
非接触電源電圧センサー107は、非接触通信電源118が供給されると、非接触電源電圧119のモニターを開始し、非接触電圧状態信号123=1を出力する。メモリカード用電源電圧センサー106は、メモリカード用通信電源が供給されると、メモリカード用電源電圧116のモニターを開始し、メモリカード用電圧状態信号122=1を出力する。拡張部201は非接触電圧状態信号123=0かつメモリカード用電圧状態信号122=1の状態から非接触電圧状態信号123=1かつメモリカード用電圧状態信号122=1の状態に遷移したため、拡張ビット=1とし、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202=111を出力する。方式選択回路109は、拡張部状態信号202=111であることから、この状態に一致する方式Fを、方式格納部108から選択し、方式Fに従って、VCO110、クロック選択/リセット生成回路111に方式信号125を出力する。VCO110およびクロック選択/リセット生成回路111は、方式選択回路109の出力する方式Fによる方式信号125によって制御される。即ち、VCO110を発振させ、VCOクロック124を用いてCPU114とフラッシュコントローラ113と非接触通信用暗号回路112とを動作させる
【0068】
図5は、メモリカード用電圧状態信号122と、非接触電圧状態信号123の遷移を表したものである。パターン1は方式Eに該当し、<最初に非接触通信電源118が供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合>を示す。また、パターン2は方式Fに該当し、<最初にメモリカード用電源115が供給されている状態から非接触通信電源118およびメモリカード用電源115が供給されている状態に遷移した場合>を示す。
【0069】
各々のパターンでは、最終的には同じ電源供給状態(メモリカード用電源115、非接触通信電源118がともに供給)になっているが、電源遷移としては異なっているため、選択される方式も異なり、VCO110、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112も異なった動作を行う。パターン1では、非接触通信電源118の供給中にメモリカード用電源115が供給されるが、VCO110を停止し、クロックの切り替えを行わずに、以前の状態を維持することで電源変動によるノイズの影響などを抑え、非接触通信を安定して行う。またパターン2では、メモリカード用電源115の供給中に非接触通信電源118が供給されるが、VCO110の発振を維持し、さらに非接触通信用暗号回路112もVCOクロック124で動作させることにより、より安定して非接触通信を行う。
【0070】
<効果>
以上のように、本実施の形態2では、拡張部201を備えたことにより、電源供給状態の遷移によって、各々最適な方式、即ち、最初に非接触通信電源が供給されている状態から非接触通信電源およびメモリカード用電源が供給されている状態に遷移する場合は、VCOを停止した状態を維持して非接触通信クロックを用いてCPUと非接触通信用暗号回路とを動作させることで、電源変動によるノイズの影響を抑える方式、および、最初にメモリカード用電源が供給されている状態から非接触通信電源およびメモリカード用電源が供給されている状態に遷移する場合は、VCOの発振を維持し、CPUとフラッシュコントローラと非接触通信用暗号回路とを安定したVCOクロックで動作させることにより、より安定した非接触通信を行う方式とを選択し、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することができるため、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0071】
(実施の形態3)
図6は、この発明の実施の形態3による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図4に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、拡張部201に対して拡張情報をロードできるROM(第1のROM)401をさらに備える。
ROM401は、電源供給状態の遷移パターン毎にどのように拡張ビットを付与するかという情報を格納しており、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123によって、電源供給状態の遷移を記憶し、ROM401から与えられる拡張情報信号402によりロードした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張ビットを付加した拡張部状態信号202を出力する。
【0072】
このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、メモリカード用電源115あるいは非接触通信電源118が供給されると、拡張部201は直ちにROM401に対して拡張情報のロード要求を出力(図示しない)する。ROM401は拡張部201からのロード要求に対し、格納されている、電源供給状態の遷移パターン毎の拡張情報を読み出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、拡張情報信号402によって与えられる拡張情報を拡張部201内部にストアする。拡張部201はその後電源供給状態が遷移すると、ストアした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202を出力する。
【0073】
<効果>
以上のように、本実施の形態3では、拡張部201に拡張情報をロードできるROM401を備えたことにより、ROMデータの変更によって、電源供給状態の遷移に応じた方式の選択方法を変更することができる。従って、例えば元の選択方法であれば方式Dを方式Eに変更していたものを、方式Gに変更できる等、より柔軟にCPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することができるため、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0074】
(実施の形態4)
図7は、この発明の実施の形態4による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。この図7は図6に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成において、ROM401を不揮発性メモリ501に置き換えたものである。この不揮発性メモリはメモリカードコントローラ101内部に設けるものである。
【0075】
不揮発性メモリ501は、電源供給状態の遷移パターン毎にどのように拡張ビットを付与するかという情報(以下、拡張情報と称す)を格納しており、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、メモリカード用電源115あるいは非接触通信電源118が供給されると、拡張部201は直ちに不揮発性メモリ501に対して拡張情報のロード要求を出力(図示しない)する。不揮発性メモリ501は拡張部201からのロード要求に対し、格納されている、電源供給状態の遷移パターン毎の拡張情報を読み出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、拡張情報信号402によって与えられる拡張情報を拡張部201内部にストアする。拡張部201はその後電源供給状態が遷移すると、ストアした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202を出力する。なお不揮発性メモリ501は、CPU114からアクセス可能であり、CPU114動作後は拡張情報を任意に変更することが可能である。
【0076】
<効果>
以上のように、本実施の形態4では、拡張部201に拡張情報をロードでき、拡張情報を変更可能な不揮発性メモリ501を備えたことにより、システムの動作中に電源供給状態の遷移に応じた方式の選択方法を任意に変更することができる。このため、不揮発性メモリを書き換えることで、元の選択方法であれば方式Dを方式Eに変更していたものを、方式Gに変更できる等、より柔軟に方式格納部に格納された方式情報の選択方法を変更できるため、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することが可能となり、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0077】
(実施の形態5)
図8は、この発明の実施の形態5による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図1に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成のメモリカード用通信回路104に替えて、拡張部201に対して拡張情報をロードできるロード機能付きメモリカード用通信回路(拡張ビット付与情報通信回路)601をさらに備える。
【0078】
ロード機能付きメモリカード用通信回路601は、デジタル機器(図示せず)から与えられるメモリカード用データ117を受信し、受信データに含まれる拡張情報を検出・抽出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、デジタル機器(図示せず)は、拡張情報(電源供給状態の遷移パターン毎にどのように拡張ビットを付与するかという情報)を、メモリカード用データ117としてロード機能付きメモリカード用通信回路601に対して送信する。ロード機能付きメモリカード用通信回路601は、デジタル機器から送られてくるメモリカード用データ117に拡張情報を検出すると、拡張情報を抽出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、拡張情報信号402によって与えられる拡張情報を拡張部201内部にストアする。拡張部201はその後電源供給状態が遷移すると、ストアした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202を出力する。
【0079】
なお、ロード機能付きメモリカード用通信回路601は、拡張部201に拡張情報をロードできるロード機能付き非接触通信回路、メモリカード用データ117は非接触通信データ121とし、外部デジタル機器を外部の非接触通信ホスト機器としてもよい。
【0080】
<効果>
以上のように、本実施の形態5では、拡張部201に拡張情報をロードできるロード機能付きメモリカード用通信回路601を備えたことにより、外部のデジタル機器から、電源供給状態の遷移に応じた方式の選択方法を任意に変更することができる。このため、メモリカードを装着した外部機器からの制御等により方式の選択方法の変更が可能となり、より柔軟にCPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することができるため、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0081】
(実施の形態6)
図9は、この発明の実施の形態6による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図7に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、タイマー701をさらに備える。
【0082】
タイマー701は、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123によって、カウンターのリセットを行う。また、タイマー701はカウンターが設定値に達すると、時間情報信号702を不揮発性メモリ501に対して出力する。
不揮発性メモリ501は、電源供給状態の遷移パターン毎にどのように拡張ビットを付与するかという情報(拡張情報)を格納しており、タイマー701より与えられる時間情報信号702に従って拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。
【0083】
このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、メモリカード用電源115あるいは非接触通信電源118が供給されると、タイマー701は直ちにカウントを開始する。タイマー701のカウンター設定値に達するまでの間に、メモリカード用電圧状態信号122あるいは非接触電圧状態信号123が変化すると、タイマー701はカウンターをリセットし、再びカウントを開始する。タイマー701のカウンター設定値に達するまでの間に、メモリカード用電圧状態信号122あるいは非接触電圧状態信号123が変化しなかった場合、タイマー701は不揮発性メモリ501に対して、時間情報信号702を出力する。不揮発性メモリ501はタイマー701より与えられる時間情報信号702によって、格納されている、電源供給状態の遷移パターン毎の拡張情報を読み出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、拡張情報信号402によって与えられる拡張情報を拡張部201内部にストアする。拡張部201はその後電源供給状態が遷移すると、ストアした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202を出力する。
【0084】
たとえば、図5のパターン1の電源供給状態遷移において、タイマー701は、非接触通信電源118が供給されている状態でのみカウントし、非接触通信電源118が供給されていない状態では、カウンターをリセットするとする。パターン1の思想は、非接触通信電源118が供給されている間は電源やクロックの切り替えを行わず、非接触通信の安定性を優先して、メモリカード通信は保留するというものである。このようなパターン1において、非接触通信ホスト機器からの通信がいつまでも終了せず、メモリカード用電源115が供給される(デジタル機器によりメモリカードに対してアクセスが起こる)と、メモリカードはフラッシュコントローラ113のクロックを停止したままの状態になり、メモリカード通信を開始することができない。この時、タイマー701は非接触通信電源118が供給されている状態の時間を測定し、カウンター設定値になったときに、時間情報信号702を不揮発性メモリ501に出力する。不揮発性メモリ501は時間情報信号702によって、現在方式Eを表わしている拡張情報信号402を方式Fに変更し、拡張部201に出力する。これにより、タイマー設定値、即ち非接触通信電源の供給時間に達したか否かに応じて非接触通信が破綻しているか否かを判断でき、破綻したと判断した場合にメモリカードは非接触通信を中止し、クロックとしてVCOクロックを使用してメモリカード通信を開始することができる。
【0085】
<効果>
以上のように、本実施の形態6では、電源供給状態の時間を測定するタイマー701を備えたことにより、電源が供給されている時間の長さによって、最適な方式の選択方法を任意に変更することができ、より柔軟にCPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することができるため、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0086】
(実施の形態7)
図10は、この発明の実施の形態7による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図9に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、学習器801をさらに備える。
【0087】
学習器801は、タイマー701から与えられる時間情報信号702をモニターし、時間情報信号702の発生する頻度を学習する。また学習器801は、学習した結果に基づき学習情報信号802を不揮発性メモリ501に対して出力する。不揮発性メモリ501は、電源供給状態の遷移パターン毎にどのように拡張ビットを付与するかという情報(拡張情報)を格納しており、学習器801により与えられる学習情報信号802およびタイマー701より与えられる時間情報信号702に従って拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。
【0088】
このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、学習器801は、タイマー701が出力する時間情報信号702をモニターし、時間情報信号702の発生する頻度を学習する。学習器801は、時間情報信号702の発生する頻度が多いと学習すると、不揮発性メモリ501に対して、学習情報信号802を出力する。不揮発性メモリ501は通常、タイマー701より与えられる時間情報信号702によって、格納されている、電源供給状態の遷移パターン毎の拡張情報を読み出し、拡張部201に対して拡張情報信号402を出力するが、学習器801から学習情報信号802が出力された場合は、学習情報信号802を優先しその情報に従って拡張部201に対して拡張情報信号402を出力する。拡張部201は、拡張情報信号402によって与えられる拡張情報を拡張部201内部にストアする。拡張部201はその後電源供給状態が遷移すると、ストアした拡張情報に従って、方式選択回路109に対して、拡張部状態信号202を出力する。
【0089】
たとえば、図5のパターン1の電源供給状態の遷移において、非接触通信ホスト機器からの通信がいつまでも終了せず、メモリカード用電源115が供給されると、メモリカードはフラッシュコントローラ113のクロックを停止したままの状態になり、メモリカード通信を開始することができないが、タイマー701が、時間情報信号702を不揮発性メモリ501に出力することで、不揮発性メモリ501は、現在方式Eを表わしている拡張情報信号402を方式Fに変更し、拡張部201に出力する。これにより、メモリカードはメモリカード通信を開始することができる。学習器801は、この時間情報信号702の発生する頻度を学習する。この頻度とはすなわち、非接触通信ホスト機器からの通信がいつまでも終了せず、メモリカード用電源115が供給される状態が発生する頻度を示す。このような状況は、例えば、使用者が非接触通信用のホスト機器にカードを十分近づけないとか、タッチが不十分な場合が多い場合に発生する。
【0090】
学習器801はこの頻度が多いと学習すると、利用者が頻繁に使用する条件では、例えば、現在の方式Eよりも方式Fを使うほうが最適であると判断し、次回起動時には、不揮発性メモリ501は、方式Dから方式Eを選択する拡張情報ではなく、方式Dから方式Fを選択する拡張情報を拡張部201に出力するよう、学習情報信号802を出力する。
なお、学習器は公知の学習アルゴリズムを実行するものを使用できる。
【0091】
<効果>
以上のように、本実施の形態7では、タイマー701の出力する時間情報信号702の発生する頻度を学習する学習器801を備えたことにより、使用者が頻繁に使用する条件を学習し、最適な方式の選択方法に変更することができ、より柔軟にCPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することができるため、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0092】
(実施の形態8)
図11は、この発明の実施の形態8による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図9に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、不正パターン照合器901をさらに備える。
【0093】
不正パターン照合器901は、あらかじめ不正と認識する電源供給状態のパターンを格納しており、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123と、タイマー701から与えられる時間情報信号702によって、不正な電源供給状態のパターンを検出し、不正情報信号902をCPU114に対して出力する。このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、不正パターン照合器901は、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123により現在の電源供給状態および、電源供給状態の遷移を認識し、タイマー701から与えられる時間情報信号702により、電源供給状態の継続時間を認識する。また不正パターン照合器901は、あらかじめ不正と認識する電源供給状態のパターンを格納しており、この不正パターンと認識した電源供給状態の遷移のパターンが一致すると不正な行為が行われていると判断し、CPU114に対して不正情報信号902を出力する。
【0094】
CPU114は不正情報信号902を受け、不正な行為に対する対策を実行する。
たとえば、図12はメモリカード用電源115が供給されている間に、非接触通信電源118が非接触通信の行われる時間に対して短い間隔で何度も供給される場合を示したものである。仮に一回の非接触通信電源118の供給時間が1μs以下で、これが10回以上繰り返された場合を不正パターンとする。まず不正パターン照合器901は、メモリカード用電圧状態信号122と、非接触電圧状態信号123により、現在の電源供給状態がメモリカード用電源115が供給されかつ非接触通信電源118が供給されている状態であることを認識する。またタイマー701は現在の電源供給状態の継続時間を時間情報信号702に出力し、不正パターン照合器901は、現在の継続時間を記録する。つぎに非接触通信電源118が供給されなくなると、不正パターン照合器901は、現在の電源供給状態がメモリカード用電源115のみ供給されている状態であることを認識する。またタイマー701は以前の電源供給状態の継続時間をクリアし、新たに継続時間のカウントを開始し、時間情報信号702に出力する。不正パターン照合器901は、以前の電源供給状態の継続時間がクリアされると、クリアされる直前の継続時間が1μs以下かどうかを判断する。もしも1μs以下であれば、これを1回目のフラグと記録し、引き続き監視を行う。このパターンが10回以上発生し、10回目のフラグが記録されると、不正パターンに一致したと判断し、CPU114に対して不正情報信号902を出力する。CPU114は不正情報信号902を割り込み要因として不正対策処理(例えば強制リセットをかけたり、データを全消去したり)を行う。
【0095】
これにより、例えば、非接触通信ホスト機器をもちいて、解析目的で何度もアクセスを行ったり、通常使用では考えられない不自然なパターンを頻繁に繰り返し、その際の反応を見ることで、カードの内部を解析しようとする等の不正行為とその予備行為の防止が可能となる。
【0096】
<効果>
以上のように、実施の形態8では、不正パターン照合器901を備えたことにより、不正な電源供給状態遷移を検知することができるため、通常想定される使用状況とは異なった使用を繰り返し実行した場合のカードの反応を観察することでカード内部の解析を試みる等の、不正行為ならびにその予備行為に対しても安全で安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0097】
(実施の形態9)
図13は、この発明の実施の形態9による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図1に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、方式格納部108に方式をロードするためのROM(第2のROM)1101をさらに備える。
【0098】
ROM1101は、電源供給状態に応じた、VCO110、CPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112のクロック、およびリセットの制御方法(方式)を格納しており、方式格納部108に対して方式情報信号1102を出力する。このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、メモリカード用電源115あるいは非接触通信電源118が供給されると、方式格納部108は直ちにROM1101に対して方式のロード要求を出力(図示しない)する。ROM1101は方式格納部108からのロード要求に対し、格納されている方式を読み出し、方式格納部108に対して方式情報信号1102を出力する。方式格納部108は、方式情報信号1102によって与えられる方式を方式格納部108にストアする。
【0099】
<効果>
以上のように、本実施の形態9では、方式格納部108に方式をロードできるROM1101を備えたことにより、ROMデータ(ソフトウェア)の変更によって、方式格納部108に格納されている方式情報自体を差し替えることが可能となる。このため、より柔軟にCPU114、フラッシュコントローラ113、非接触通信用暗号回路112に対し、クロックとリセットを制御することが可能となり、安定した通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0100】
(実施の形態10)
図14は、この発明の実施の形態10による非接触通信機能付きメモリカードの構成を示すブロック図であり、図1に示した非接触通信機能付きメモリカードの構成に加えて、電源要求部1201をさらに備える。
【0101】
電源要求部1201は、メモリカード用電源電圧センサー106から与えられるメモリカード用電圧状態信号122と、非接触電源電圧センサー107から与えられる非接触電圧状態信号123と、タイマー701から与えられる時間情報信号702によって、現在の電源供給状態をモニターし、メモリカード用電源115が必要と判断した場合に、メモリカード用通信回路104に対し、電力要求信号1202を出力する。このような構成の非接触通信機能付きメモリカードにおいて、非接触通信電源118のみ供給されている場合、非接触通信電源118はメモリカード用電源115に比べて電源供給能力が劣っているため、方式選択回路109では消費電力を抑えるために、動作する機能ブロックを限定したり、VCO110を停止したりする方式を選択せざるを得ない。このような場合電源要求部1201は、メモリカード用通信回路104に対し、供給能力の高いメモリカード用電源115を供給するよう、電力要求信号1202を出力する。メモリカード用通信回路104は、電源要求部1201から与えられた電力要求信号1202を受け、外部のデジタル機器(図示せず)に対して、メモリカード用データ117を出力し電源要求を行う。デジタル機器は電源要求を受けると、非接触通信機能付きメモリカードに対し、メモリカード用電源115を供給開始する。方式選択回路109では、メモリカード用電源115及び非接触通信電源118がともに供給されている状態の方式、すなわちすべての機能ブロックが動作し、VCO110を発振して高速なクロックで動作させる方式を選択する。
【0102】
<効果>
以上のように、本実施の形態10では、非接触通信電源118のみ供給されている場合に、メモリカード用電源115の供給を要求する電源要求部1201を備えたことによって、非接触通信中の電源供給を安定させ、VCO110を発振して高速なクロックで動作させることができるため、より安定で高速な通信が可能な非接触機能付きメモリカードを提供できる。
【0103】
なお、上記実施の形態1ないし10において、ソフトウエア化が可能な回路ブロックはソフトウエアにより実現してもよい。
また、上記実施の形態1ないし10においては、携帯電話機のスロットに装着される例を示したが、他の機器に装着されてもよく、あるいは、カード単体として、カードリーダライタにかざすあるいはタッチする非接触通信と、カードリーダライタのスロットに挿入する接触通信の双方に対応するものとしてもよい。
さらに、上記実施の形態1ないし10においては、自動改札や商店のサービスポイントカードリーダライタを例にとって説明したが、いわゆる電子マネーカードやクレジットカード、社員証、入退室管理等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明に係る半導体装置は、非接触通信と接触通信を併用するカードの通信の安定性を向上でき、この種のカードを用いる決済システムや認証システムの信頼性を向上する用途に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの全体構成を、データの流れおよび電源系統の全体を含めて示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの使用状況の一例を示すである。
【図4】この発明の実施の形態2による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2における電源供給状態の遷移を示した図である。
【図6】この発明の実施の形態3による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態5による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態6による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態7による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態8による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態8における電源供給状態の遷移を示した図である。
【図13】この発明の実施の形態9による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態10による半導体装置としての非接触機能付きメモリカードの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0106】
101 メモリカードコントローラ
102 コイルアンテナ
103 フラッシュメモリ
104 メモリカード用通信回路
105 非接触通信回路
106 メモリカード用電源電圧センサー
107 非接触電源電圧センサー
108 方式格納部
109 方式選択回路
110 VCO
111 クロック選択/リセット生成回路
112 非接触通信用暗号回路
113 フラッシュコントローラ
114 CPU
115 メモリカード用電源
116 メモリカード用電源電圧
117 メモリカード用データ
118 非接触通信電源
119 非接触電源電圧
120 非接触通信クロック
121 非接触通信データ
122 メモリカード用電圧状態信号
123 非接触電圧状態信号
124 VCOクロック
125 方式信号
126 CPUクロック
127 フラッシュコントローラクロック
128 非接触通信用暗号回路クロック
129 CPUリセット
130 フラッシュコントローラリセット
131 非接触通信用暗号回路リセット
201 拡張部
202 拡張状態信号
401 ROM
402 拡張情報信号
501 不揮発性メモリ
601 ロード機能付きメモリカード用通信回路
701 タイマー
702 時間情報信号
801 学習器
802 学習情報信号
901 不正パターン照合器
902 不正情報信号
1101 ROM
1102 方式情報信号
1201 電源要求部
1202 電力要求信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型の半導体装置であって、
外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行う接触通信部と、
該第1の通信部から出力される、接触通信により供給される電源の状態を検知する第1の電源状態検知部と、
外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信部と、
該第2の通信部から出力される、非接触通信により供給される電源の状態を検知する第2の電源状態検知部と、
電源供給の状態に応じたクロック信号およびリセット信号の制御方法(以下、方式と称す)を複数格納した方式格納部と、
前記第1の電源状態検知部および前記第2の電源状態検知部の検知結果に応じて、前記方式格納部に格納されている複数の方式の中から一つを選択する方式選択部と、
前記接触通信部より電力供給を受けクロック信号を発振する発振部と、
前記方式選択部が選択した方式に従い、前記第2の通信部から供給されるクロック信号と前記発振部から供給されるクロック信号のいずれかを選択し、リセット信号を生成するクロック選択/リセット生成部とを備えた、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行う接触通信部と、
外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信部と、
前記接触通信部より電力供給を受けクロック信号を発振する発振部と、
前記接触通信および前記非接触通信が同時に行われる場合、前記非接触通信部から供給されるクロック信号と前記発振部から供給されるクロック信号のいずれかを選択するクロック信号選択部とを備えた、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
非接触通信機能付きのカード型半導体装置において、
外部から接触通信にて電源供給を受け、データの送受信を行うメモリカード用通信回路と、
該メモリカード用通信回路から出力されるメモリカード用電源の状態を検知するメモリカード用電源電圧センサーと、
外部から非接触通信にて電源およびクロック信号の供給を受け、データの送受信を行う非接触通信回路と、
該非接触通信回路から出力される非接触通信電源の状態を検知する非接触電源電圧センサーと、
電源供給の状態に応じてクロック信号およびリセット信号の供給についての方式情報を複数格納した方式格納部と、
前記メモリカード用電源電圧センサーの検知結果と、前記非接触電源電圧センサーの検知結果より、前記方式格納部に格納されている方式情報の中から一つを選択する方式選択回路と、
前記メモリカード用通信回路より電力供給を受けクロック信号を発振するVCOと、
各種演算処理を行うCPUと、
前記CPUにより制御されるフラッシュコントローラと、
前記フラッシュコントローラによりデータのやりとりを行うフラッシュメモリと、
非接触通信時の暗号処理を行う非接触通信用暗号回路と、
前記方式選択回路が選択した方式情報に従い、前記CPU、前記フラッシュコントローラ、前記非接触通信用暗号回路のそれぞれに対して、前記非接触通信回路から供給されるクロック信号と前記VCOから供給されるクロック信号のいずれかを選択し、かつ上記各回路に入力するリセット信号を生成するクロック選択/リセット生成回路とを備えた、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
メモリカード用電源状態と非接触通信電源状態の遷移に応じた拡張ビットを付与するビット拡張部をさらに備え、
前記方式選択回路は前記電源状態の遷移に基づいて最適な方式を選択する際、該拡張ビットをも考慮して選択を行う、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を格納した第1のROMをさらに備え、
前記拡張部は前記メモリカード用電源と非接触通信電源の少なくとも一方が供給された場合に、該第1のROMに格納された情報のロードを要求する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を格納した不揮発性メモリをさらに備え、
前記拡張部は前記メモリカード用電源と非接触通信電源の少なくとも一方が供給された場合に、該不揮発性メモリに格納された情報のロードを要求する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記拡張ビットの付与の方法を示す拡張ビット付与情報を外部からの通信により受信する拡張ビット付与情報通信回路をさらに備え、
該拡張ビット付与情報通信回路は該外部からの通信を検出した際に、前記拡張部に該拡張ビット付与情報をロードする、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記前記メモリカード用電源と非接触通信電源のいずれか一方の供給時間を計測するタイマーをさらに備え、
前記拡張部は該タイマーからの供給時間情報に応じて前記不揮発性メモリに格納された拡張ビット付与情報の中から該拡張部にロードする情報を決定する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
電源供給状態と前記タイマーからの供給時間情報より、頻繁に生じる電源供給状態を学習する学習器をさらに備え、
該学習器は学習した内容に応じて前記不揮発性メモリに格納された拡張ビット付与情報の中から前記拡張部にロードする情報を決定する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置において、
電源状態の遷移のパターンを監視し、不正パターンと照合する不正パターン照合器をさらに備え、
電源状態の遷移が不正パターンに該当するか否かを前記CPUに通知する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記方式格納部に格納された方式情報以外の方式情報を格納した第2のROMをさらに備え、
前記方式格納部は前記第2のROMへ格納した方式情報を、該方式格納部にロードする、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項3に記載の半導体装置において、
電源供給状態をモニターし、メモリカード用電源が必要と判断した場合前記メモリカード用通信回路に電力供給を要求する電源要求部をさらに備えた、
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−195901(P2006−195901A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9341(P2005−9341)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】