説明

半導体装置

【課題】 放熱性の向上と設計自由度の確保を両立させた半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 絶縁性の支持基板2と、支持基板2の上面に設けられた第1上面電極4a及び第2上面電極4bと、支持基板2の下面に設けられた下面電極5a、5bと、支持基板2の内部に埋設されたヒートシンク3と、を有する実装基板1と、第1電極15a及び第2電極15bを有し、少なくとも第1上面電極4aの上に実装された半導体素子10と、を備え、実装基板1の内部に設けられ、第1上面電極及び下面電極を接続する導電性材料6を有し、導電性材料6は、ヒートシンク3に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子や保護素子等の半導体素子を実装基板に実装した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード(LED)或いはレーザダイオード(LD)等の発光素子を基板に実装した表面実装型の半導体装置が知られている。この半導体装置は、照明器具、表示画面のバックライト、車載用光源、ディスプレイ用光源、動画照明補助光源、その他の一般的な民生品用光源等に使用されており、従来の光源に比べて寿命が長く、また、省エネルギーでの発光が可能であるため次世代の照明用光源としての期待が大きい。
【0003】
上記のような半導体装置において、発光素子として、正電極と負電極とを同一面側に有する構造の発光素子を使用し、配線パターンが形成された絶縁性基板上にフリップチップ実装された構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、発光素子と外部との導通を取るために、導電性材料が充填された貫通孔を介して、絶縁基板の上面側の電極と下面側の電極とを電気的に接続している。
【0004】
近年、このような半導体装置の更なる高出力化が要求されており、発光素子の大型化(大面積化)や発光素子を複数個搭載する等の対応がなされている。しかし、これに伴い発光素子からの発熱量も大きくなるため、効率良く放熱させる手段が必要となる。そのため、例えば、パッケージに金属系ヒートシンクを設けて放熱性を改善する手法が一般的に知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2においては、金属系ヒートシンクを避けるようにパッケージの電極を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−319939号公報
【特許文献2】特開2008−160032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子をフリップチップ実装する半導体装置においては、上記のような貫通孔を設ける場合に、絶縁基板に埋設されたヒートシンクを避けるように設置する構造が一般的に知られている。しかし、このような構造は、パッケージの設計自由度に制限を与えてしまう。
【0007】
また、近年見られるパッケージの小型化と発光素子の大型化、あるいはマルチチップ化によって、上記のような貫通孔を設けるスペースが限られている。
【0008】
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたものであり、放熱性の向上と設計自由度の確保を両立させた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため本発明に係る半導体装置は、絶縁性の支持基板と、該支持基板の上面に設けられた第1上面電極及び第2上面電極と、前記支持基板の下面に設けられた下面電極と、前記支持基板の内部に埋設されたヒートシンクと、を有する実装基板と、第1電極及び第2電極とを有し、少なくとも前記第1上面電極の上に実装された半導体素子と、を備え、前記実装基板の内部に設けられ、前記第1上面電極及び前記下面電極を接続する導電性材料を有し、前記導電性材料は、前記ヒートシンクに接続されている。かかる構成によれば、上面電極と下面電極を接続する導電性材料を設ける場所の自由度を確保し、且つ半導体素子から発せられる熱を絶縁性の支持基板等を介することなくヒートシンクに伝えることが可能となり、放熱性を高めることができる。
【0010】
前記半導体素子は、透光性基板上に、前記第2電極を備えた第2導電型半導体層と、前記第1電極を備えた第1導電型半導体層とを順に有し、前記第1電極と前記第2電極が同一面側に設けられて、前記実装基板にフリップチップ実装されており、前記第1上面電極に前記第1電極が接続されていることが好ましい。これにより、放熱性を高めることができる。
前記導電性材料は、前記半導体素子の前記第1電極の直下に設けられていることが好ましい。これにより、放熱効果の高い上面電極に、第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層の積層構造の上に設けられた第1電極が接続されるため、放熱性を高めることができる。
前記半導体素子は、導電性基板を有し、前記第1上面電極に、前記導電性基板が対向するように前記半導体素子が接続されていることが好ましい。これにより、放熱効果の高い上面電極に、第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層の積層構造が形成された導電性基板が接続されるため、放熱性を高めることができる。
前記導電性材料が前記ヒートシンクを貫通していることが好ましい。これにより、放熱性を高めることができる。
前記導電性材料が前記ヒートシンクの上面及び下面に接続されていることが好ましい。これにより、実装基板の設計自由度が高く、放熱性が良好な半導体装置とすることができる。
前記導電性材料及び前記ヒートシンクが、前記第1上面電極及び前記第2上面電極のそれぞれに対応して複数設けられていることが好ましい。これにより、実装基板の設計自由度が高く、放熱性が良好な半導体装置とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、放熱性が良好で、実装基板の設計自由度を確保した半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】半導体素子の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものではない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の一例を示す概略断面図である。
【0015】
本実施形態に係る半導体装置100は、同一面側に一対の電極を有する発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体素子10と、半導体素子10を載置する実装基板1と、を備える。
【0016】
実装基板1は、絶縁性の支持基板2の上に電極を形成して構成されている。支持基板2は、例えば複数のセラミックスのシートを積層して構成されている。実装基板1の電極として、支持基板2の上面に一対の第1上面電極4a及び第2上面電極4bが設けられ、支持基板2の下面に一対の第1下面電極5a及び第2下面電極5bが設けられている。支持基板2は、第1上面電極4a及び第2上面電極4bの下から支持基板2の厚み方向にそれぞれ第1貫通孔7a、第2貫通孔7bが設けられている。第1貫通孔7a及び第2貫通孔7bの内部には導電性材料6が設けられており、第1上面電極4aと第1下面電極5a、第2上面電極4bと第2下面電極5bは、それぞれ導電性材料6によって接続されている。第1上面電極4a及び第2上面電極4bは、接合部材8を介して半導体素子10が載置される。第1下面電極5a及び第2下面電極5bは、外部と電気的に接続する端子として機能する。
【0017】
支持基板2の内部には、半導体素子10からの放熱性の向上を目的としたヒートシンク3が埋設されている。ヒートシンク3は、半導体素子10が配置される領域の下に配置される。半導体装置100の上から見て、ヒートシンク3は、半導体素子10よりも大きい方が好ましい。これにより、半導体素子10が発する熱を効率よく放熱させることができる。
【0018】
本実施形態においては、一方の上面電極と下面電極を接続する導電性材料6がヒートシンク3を貫通している。図1においては、第1上面電極4aと第1下面電極5aとを接続する導電性材料6がヒートシンク3を貫通している。すなわち、ヒートシンク3は、第1貫通孔7aと重なる位置において、ヒートシンク3の厚み方向に貫通する貫通孔を有しており、導電性材料6は、支持基板2の第1貫通孔7a及びヒートシンク3の貫通孔を通って上面電極及び下面電極に接続されている。また、ヒートシンク3の貫通孔内において、第1上面電極4aと第1下面電極5aとを接続する導電性材料6は、ヒートシンク3に接続されている。これにより、半導体素子10から発せられる熱を導電性部材を介してヒートシンク3に伝えることが可能となり、放熱性を高めることができる。なお、第2貫通孔7bは、ヒートシンク3と離間した位置に設けられている。
【0019】
半導体素子10は、透光性基板11上(図2における下面)に、第2導電型半導体層14と第1導電型半導体層とを順に有している。第2導電型半導体層14の上に、第2電極15bを有している。さらに、第1導電型半導体層12の上に、第1電極15aを有している。第1電極と前記第2電極は、同一面側(図2における下面側)に設けられており、半導体素子10は、実装基板1の第1上面電極4a及び第2上面電極4bにフリップチップ実装される。フリップチップ実装は、半田等の導電性を有するペースト状の接合部材8、薄膜状の接合部材8、或いはバンプ状の接合部材8を用いて、半導体素子10と実装基板1の第1上面電極4a及び第2上面電極4bとを電気的に接続している。このとき、半導体素子10の第1電極15aは、実装基板1の第1上面電極4a及び第2上面電極4bのうち、導電性材料6を介してヒートシンク3に接続された第1上面電極4aに接続されていることが好ましい。第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層の積層構造の上に設けられた第1電極15a側の方に放熱効果の高い上面電極を接続することにより、放熱性を高めることができる。
以下、本実施形態に係る半導体装置100の各構成部材について詳述する。
【0020】
(半導体素子10)
半導体素子としては、発光ダイオード、レーザダイオード等の発光素子やツェナーダイオード等の保護素子、その他電源等の制御調整機能を有する制御素子を用いることができる。
【0021】
発光素子の場合は、例えば、透光性基板11の上に、第2導電型半導体層14、発光層13及び第1導電型半導体層12がこの順に形成された半導体層を備え、第1導電型半導体層12及び第2導電型半導体層14のそれぞれに第1電極15a及び第2電極15bが設けられている。窒化物半導体を積層させるための透光性基板の材料として、例えば、サファイア、スピネルなどの絶縁性の透光性基板などが好適に用いられる。
【0022】
第1電極及び第2電極の材料は、導電性を有している材料であれば限定されないが、例えばAu、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Ag、Alのいずれかの金属またはこれらの合金やそれらの組み合わせを利用することができる。
【0023】
なお、発光素子はこれらの構成に限定されるものではなく、他の半導体層構造を用いて構成してもよい。また、適宜保護層や反射層などを備えるように構成してもよい。
【0024】
発光素子を白色発光させる場合には、青色発光する発光素子の外側を、蛍光体若しくは蛍光体を含む樹脂等からなる蛍光体層で覆う構成としてもよい。例えば、青色発光する発光素子には、黄色発光するセリウムで賦活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、又は(Sr,Ba)SiO:Eu等のシリケート系蛍光体と組み合わせて白色発光の構造とすることができる。なお、発光素子の発光部は光を照射することができれば、その発光色、あるいは構造を特に限定されるものではない。
【0025】
(実装基板1)
実装基板は、発光素子や保護素子等の半導体素子を載置するためのものである。実装基板は、絶縁性の支持基板の中に半導体素子からの放熱性を向上させるヒートシンクが埋設されている。支持基板の上面には、金属膜等を積層して上面電極が形成されている。支持基板の下面には、上面電極と同様の積層構造の下面電極が形成されている。支持基板には貫通孔が設けられており、上面電極と下面電極は貫通孔に充填された導電性材料で電気的に接続されている。なお、実装基板は、半導体素子を支持し、外部の駆動回路と電気的に接続する機能を有するものであれば、その材質、構造は特に限定されるものではない。
【0026】
支持基板の形状は、特に限定されないが、上面が平坦であることが好ましい。支持基板の材料としては、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスが挙げられる。
【0027】
第1上面電極及び第2上面電極は、導電性を有する材料であればよく、例えば、Au、Pt、Ag、Al、Cu、Ni、Rh等を用いることができる。実装基板の上に発光素子を実装する場合、上面電極の少なくとも最表面は反射率の高いAg、Al等を用いることが好ましい。これにより、発光素子から実装基板側に出射される光を上面電極によって反射させることができるため、光取り出し効率が向上する。
第1下面電極及び第2下面電極は、導電性を有する材料であればよく、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Ni等を用いることができる。
【0028】
(導電性材料6)
導電性材料は、ヒートシンクと熱伝導率が同じ若しくはそれよりも高い材料であることが好ましい。例えば、W、Cu、Au、Ag等を用いて形成することができる。支持基板の材料としてセラミックスを用いる場合には、導電性材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する部材が好ましい。より伝熱性を高めるために、導電性ペースト、温膜メッキ等を用いて貫通孔内を埋めるように導電性材料を設けることで、ヒートシンクと導電性材料とを面接触させ、実質的に一つのバルクとして見なすことができるため、放熱性が向上する。
【0029】
支持基板としてセラミックスを用いる場合、実装基板はいわゆるポストファイア法(post firing、逐次焼成法)やコファイア法(co-firing、同時焼成法)の何れでも製造できる。ポストファイア法とは、セラミックス基板を焼成した後に上面電極、下面電極、及び導電性材料の導電部を形成する方法である。一方、コファイア法とは、セラミックス基板上に導電部を形成した後に焼成を行う方法である。コファイア法によれば、セラミックス板と導電部の密着性が向上し、また同時に焼成するため製造コストが抑えられるという利点がある。なお、導電部のうち、支持基板に埋め込まれた部分はコファイア法で形成した後に、支持基板の上面及び/又は下面に露出する部分についてはポストファイア法のように形成してもよい。これにより、基体内部に導電部を埋め込む場合であっても、寸法精度を確保しつつ製造コストを抑えることができる。また、コファイア法によれば、打ち抜き形成されたグリーンシートを積層して焼成することにより、基体に発光素子や保護素子等を収納するためのキャビティを形成することも容易となる。
【0030】
(第1貫通孔7a、第2貫通孔7b)
支持基板の貫通孔の径(もしくは幅)は、発光素子の電極の大きさに応じて適宜変更することができる。貫通孔の径(もしくは幅)は、上面電極のダイアタッチ部よりも小さく、また、導通抵抗値に影響を与えない範囲で小さく設定することが好ましい。これはダイアタッチ電極形状に極力制約を与えないためである。また、貫通孔の径(もしくは幅)は、支持基板の上面側から下面側まで同一の径(もしくは幅)としてもよいし、異ならせてもよい。
【0031】
(ヒートシンク3)
本形態におけるヒートシンクとは、半導体素子が実装基板の上面電極及び導電性材料を介して熱的に接続され、その半導体素子の熱を外部に放熱させる機能を有する部材である。ヒートシンクは、放熱性を高めるために支持基板の側面及び/又は底面から一部を露出させてもよい。
ヒートシンクは、支持基板よりも熱伝導率が高い材料であれば特に限定されず、半導体装置100の出力や半導体素子の温度特性等を考慮して種々の大きさのものを用いることができる。ヒートシンクの材料としては、Cu、W、Au、CuW合金等の導電性の材料が挙げられる。また、絶縁性の材料を用いてもよく、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることにより、実装基板の反りを抑制することができる。
【0032】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置200の一例を示す概略断面図である。
【0033】
本実施形態に係る半導体装置200は、同一面側に一対の電極を有する発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体素子10と、半導体素子10を載置する実装基板1と、を備える。
【0034】
実装基板1は、絶縁性の支持基板2の上に電極を形成して構成されている。支持基板は、例えば複数のセラミックスのシートを積層して構成されている。実装基板1の電極として、支持基板2の上面に一対の第1上面電極4a及び第2上面電極4bが設けられ、支持基板2の下面に一対の第1下面電極5a及び第2下面電極5bが設けられている。
【0035】
支持基板2の内部には、半導体素子10からの放熱性の向上を目的としたヒートシンク3が埋設されている。本実施形態において、ヒートシンク3は、導電性の材料によって構成されている。支持基板2は、第1上面電極4aの下からヒートシンク3に通じる上側第1貫通孔71aと、第1下面電極5aの上からヒートシンク3に通じる下側第1貫通孔72aが設けられている。上側第1貫通孔71aと下側第1貫通孔72aは、ヒートシンク3によって上下方向に分離されている。また、支持基板2は、第2上面電極4bの下から第2下面電極に通じる第2貫通孔7bが設けられている。上側第1貫通孔71a、下側第1貫通孔72a及び第2貫通孔7bには、導電性材料6が設けられている。上側第1貫通孔71aに設けられた導電性材料6と下側第1貫通孔72aに設けられた導電性材料6は、ヒートシンク3の表面に接続されている。
【0036】
本実施形態に係る半導体装置200は、図3に示すように、上側第1貫通孔71aに設けられた導電性材料6と下側第1貫通孔72aに設けられた導電性材料6によってヒートシンク3が挟み込まれている。本実施形態においても、上面電極と下面電極を接続する導電性材料6を設ける場所の自由度を確保することができるとともに、また半導体素子10とヒートシンク3を導電性材料6を介して接続することができるので、放熱性を向上させることができる。
【0037】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置300の一例を示す概略断面図である。
【0038】
本実施形態に係る半導体装置300は、同一面側に一対の電極を有する発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体素子10と、半導体素子10を載置する実装基板1と、を備える。
【0039】
実装基板1は、絶縁性の支持基板2の上に電極を形成して構成されている。支持基板2は、例えば複数のセラミックスのシートを積層して構成されている。実装基板1の電極として、支持基板2の上面に一対の第1上面電極4a及び第2上面電極4bが設けられ、支持基板2の下面に一対の第1下面電極5a及び第2下面電極5bが設けられている。支持基板2は、第1上面電極4a及び第2上面電極4bの下から支持基板2の厚み方向にそれぞれ第1貫通孔7a、第2貫通孔7bが設けられている。第1貫通孔7a及び第2貫通孔7bの内部には導電性材料6が設けられており、第1上面電極4aと第1下面電極5a、第2上面電極4bと第2下面電極5bは、それぞれ導電性材料6によって接続されている。
【0040】
支持基板2の内部には、半導体素子10からの放熱性の向上を目的としたヒートシンク3が複数埋設されている。図4においては、一対の上面電極のそれぞれに対応してヒートシンク3が2つ設けられており、第1上面電極4aと第1下面電極5aを接続する導電性材料6が一方のヒートシンク3を貫通し、第2上面電極4bと第2下面電極5bを接続する導電性材料6が他方のヒートシンク3を貫通している。それぞれのヒートシンク3の貫通孔内において、導電性材料6はヒートシンク3に接続されている。
【0041】
本実施形態に係る半導体装置300は、一対の上面電極のそれぞれに対応してヒートシンク3を設けることにより、上面電極と下面電極を接続する導電性材料6を設ける場所の自由度を確保することができる。また、半導体素子10の両電極をヒートシンク3に接続することができるため、放熱性を高めることができる。
<第4実施形態>
図5は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置400の一例を示す概略断面図である。
【0042】
本実施形態に係る半導体装置400は、同一面側に一対の電極を有する発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体素子10と、半導体素子10を載置する実装基板1と、を備える。
【0043】
実装基板1は、絶縁性の支持基板2の上に電極を形成して構成されている。支持基板2は、例えば複数のセラミックスのシートを積層して構成されている。実装基板1の電極として、支持基板2の上面に一対の第1上面電極4a及び第2上面電極4bが設けられ、支持基板2の下面に一対の第1下面電極5a及び第2下面電極5bが設けられている。支持基板2は、第1上面電極4a及び第2上面電極4bの下から支持基板2の厚み方向にそれぞれ第1貫通孔7a、第2貫通孔7bが設けられている。第1貫通孔7a及び第2貫通孔7bの内部には導電性材料6が設けられており、第1上面電極4aと第1下面電極5a、第2上面電極4bと第2下面電極5bは、それぞれ導電性材料6によって接続されている。
【0044】
支持基板2の内部には、半導体素子10からの放熱性の向上を目的としたヒートシンク3が埋設されている。第1上面電極4aと第1下面電極5aとを接続する導電性材料6がヒートシンク3を貫通している。ヒートシンク3の貫通孔内において、導電性材料6はヒートシンク3に接続されている。
【0045】
本実施形態に係る半導体装置400は、半導体素子10の第1電極15aに接続される導電性材料6が、第1電極15aの直下に配置されている。これにより、半導体素子10の電極からヒートシンク3までの伝熱経路が短くなるため、より効率の良い放熱が可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る半導体装置400においては、第1上面電極4aは、半導体素子10が載置される領域よりも内側となる位置に形成されており、半導体素子10の第1電極15a側の外周直下には配線が存在せずに支持基板2が露出している。これにより、半導体素子10を半田等の導電性ペーストを用いて実装基板1に接合させる場合には、セルフアライメントを効果的に発揮させることができる。また、接合部材8が半導体素子10の周囲に流れることを防止し、接合の信頼性を高めることができる。また、半導体素子10の第1電極15a側の下部は、半導体素子10が載置される領域の外側に第1上面電極4aが延伸していないため、半導体素子10の側面への接合部材8の這い上がりによるショートを防止することができる。
<第5実施形態>
図6は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置500の一例を示す概略断面図である。
【0047】
本実施形態に係る半導体装置500は、導電性基板37上に半導体層を有する半導体素子と、半導体素子を載置する実装基板1と、を備える。
【0048】
本実施の形態において、半導体素子は、導電性基板37に接着部材38を介して第1導電型半導体層22と第2導電型半導体層24を含む発光構造部が設けられている。第1導電型半導体層22の一部が複数の箇所で除去されて、その各箇所において第2導電型半導体層24に接するように複数の第2電極25bが形成されている。この複数の第2電極は、導電性を有する接着部材38により互いに接続されるので分離して形成されていてもよい。図6では第2電極25bが分離して描かれているが、実際は互いに電気的に接続されている。この第2電極25bは、導電性を有する接着部材38を介して導電性基板37に電気的に接続されている。
【0049】
また、第1導電型半導体層22には、絶縁層28によって接着部材38と電気的に分離された第1電極25aが形成されている。また、導電性基板37と接合部材38は同じ平面形状を有しているのに対して、第1導電型半導体層22と第2導電型半導体層24を含む発光構造部の平面形状は、導電性基板37等に比べて小さく構成されている。このようにして、外側に配置された第1電極25aを発光構造部の外側に延在して設け、その外側に延在した第1電極25aの上にパッド電極26aを形成している。
【0050】
この図6に示した半導体素子は次のようにして作製することができる。
まず、成長用基板上に例えば、窒化物半導体からなる第2導電型半導体層24、第1導電型半導体層22を積層して半導体積層構造を形成する。第2導電型半導体層24と第1導電型半導体層22の間に発光層を形成するようにしてもよい。
次に、第1導電型半導体層22を複数の箇所で除去して第2電極25bを形成するために第2導電型半導体層24の表面を一部露出させる。
そして、露出させた第2導電型半導体層24の表面に第2電極25bを形成し、第1導電型半導体層22の表面に第1電極25aを形成する。
次に、半導体積層構造の上に、例えば、SiOからなる絶縁膜28を形成して、さらに、導電性基板37側に電気的に接続される第2電極25bの一部を露出させる。
次に、例えば、Ti−Pt−Auからなる接合層を形成する。
【0051】
一方、例えば、Cu−Wからなる導電性基板側にも、下地層のTi−Pt−Auの接合層と、その上のSn−Auからなる接着層を形成する。
そして、半導体積層構造側と導電性基板側の接着層を熱圧着して、接合した後、レーザ光を成長用基板側から照射して成長用基板を除去して、その外側に第1電極25aを露出させて、透明絶縁膜27とパッド電極26aとを形成する。
以上のようにして、図6に示す半導体素子が作製される。
【0052】
実装基板1は、絶縁性の支持基板2の上に電極を形成して構成されている。支持基板2は、例えば複数のセラミックスのシートを積層して構成されている。実装基板1の電極として、支持基板2の上面に第1上面電極4a及び第2上面電極4bが設けられ、支持基板2の下面に第1下面電極5a及び第2下面電極5bが設けられている。支持基板2は、第1上面電極4a及び第2上面電極4bの下から支持基板2の厚み方向にそれぞれ第1貫通孔7a、第2貫通孔7bが設けられている。第1貫通孔7a及び第2貫通孔7bの内部には導電性材料6が設けられており、第1上面電極4aと第1下面電極5a、第2上面電極4bと第2下面電極5bは、それぞれ導電性材料6によって接続されている。
【0053】
支持基板2の内部には、半導体素子からの放熱性の向上を目的としたヒートシンク3が埋設されている。第1上面電極4aと第1下面電極5aとを接続する導電性材料6がヒートシンク3を貫通している。ヒートシンク3の貫通孔内において、導電性材料6はヒートシンク3に接続されている。
【0054】
本実施の形態において、半導体素子は、実装基板1の第1上面電極4aの上に、導電性基板37が対向するように接合部材8を介して接続されている。発光素子のパッド電極26aは、導電性のワイヤ51により、第1上面電極4bに接続されている。
【0055】
本実施形態に係る半導体装置500は、半導体素子の導電性基板37に接続される導電性材料6が、導電性基板37の直下に配置されている。これにより、半導体素子からヒートシンク3までの伝熱経路が短くなるため、より効率の良い放熱が可能となる。
【0056】
本実施形態に係る半導体装置500は、第2実施形態のように、第1貫通孔7aをヒートシンク3によって上下方向に分離して、上側第1貫通孔に設けられた導電性材料と下側第1貫通孔に設けられた導電性材料によってヒートシンク3が挟み込まれた構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる半導体装置は、各種発光装置、取り分け照明用光源、LEDディスプレイ、液晶表示装置などのバックライト光源、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ、動画照明補助光源、その他の一般的な民生品用光源等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 実装基板
2 支持基板
3 ヒートシンク
4a 第1上面電極
4b 第2上面電極
5a 第1下面電極
5b 第2下面電極
6 導電性材料
7a 第1貫通孔
7b 第2貫通孔
8 接合部材
10 半導体素子
11 透光性基板
12、22 第1導電型半導体層
13 発光層
14、24 第2導電型半導体層
15 電極
15a、25a 第1電極
15b、25b 第2電極
26a パッド電極
27 透明絶縁膜
28 絶縁膜
37 導電性基板
38 接合部材
51 ワイヤ
100、200、300、400、500 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の支持基板と、該支持基板の上面に設けられた第1上面電極及び第2上面電極と、前記支持基板の下面に設けられた下面電極と、前記支持基板の内部に埋設されたヒートシンクと、を有する実装基板と、
第1電極及び第2電極を有し、少なくとも前記第1上面電極の上に実装された半導体素子と、
を備え、
前記実装基板の内部に設けられ、前記第1上面電極及び前記下面電極を接続する導電性材料を有し、
前記導電性材料は、前記ヒートシンクに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子は、透光性基板上に、前記第2電極を備えた第2導電型半導体層と、前記第1電極を備えた第1導電型半導体層とを順に有し、前記第1電極と前記第2電極が同一面側に設けられて、前記実装基板にフリップチップ実装されており、
前記第1上面電極に前記第1電極が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電性材料は、前記半導体素子の前記第1電極の直下に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体素子は導電性基板を有し、
前記第1上面電極に、前記導電性基板が対向するように前記半導体素子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電性材料が前記ヒートシンクを貫通していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記導電性材料が前記ヒートシンクの上面及び下面に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電性材料及び前記ヒートシンクが、前記第1上面電極及び前記第2上面電極のそれぞれに対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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