説明

半導体製造装置

【課題】半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に接合することで接合時間を短縮し、保守が容易な高生産性の半導体製造装置を提供する。
【解決手段】半導体チップと実装部品とにワイヤを超音波接合する超音波工具を備えた半導体製造装置であって、前記超音波工具は、前記半導体チップに向けて突出して設けられ、前記ワイヤの一部を保持し前記一部を前記半導体チップに加圧しつつ超音波を印加可能とする第1突起部と、前記実装部品に向けて突出して設けられ、前記ワイヤの他の一部を保持し前記他の一部を加圧しつつ超音波を印加可能とする第2突起部と、を有することを特徴とする半導体製造装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤによって半導体チップとポストとが接続された構造の半導体装置がある。このような半導体装置を製造する場合は、例えば、まず、超音波振動するボンディングツールにセットしたワイヤをチップに加圧し、振動を印加することでワイヤをチップに接合した後、ボンディングツールを上昇させ、ボンディングツールをポストの位置まで上下左右方向に移動することでループを形成し、そして、ワイヤをポストに加圧し、振動を印加することでワイヤをポストに接合し、しかる後にワイヤを切断することで、ワイヤの接合が完了する。このような方法では、チップ接合部とポスト接合部とを別々に接合していたため、ワイヤ接合工程にかかる時間が長く、生産性が悪かった。また、ワイヤの電気抵抗を低下させるために、ワイヤの直径を大きくすると、接合時間はさらに長くなり、生産性がさらに低下する。
【0003】
さらに、このようにワイヤのループを形成しながらワイヤを接合するこのような装置は機構が複雑であり、装置の保守が難しいため装置の生産性が低く、結果として半導体装置のコストを上昇させていた。
【0004】
なお、特許文献1には、半導体チップの上面電極とリードフレームのリード端子とを板または帯状の接続導体で同時に接合する超音波接合治具に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3753426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体チップ及びポストの両方にワイヤを同時に接合する半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、半導体チップと実装部品とにワイヤを超音波接合する超音波工具を備えた半導体製造装置であって、前記超音波工具は、前記半導体チップに向けて突出して設けられ、前記ワイヤの一部を保持し前記一部を前記半導体チップに加圧しつつ超音波を印加可能とする第1突起部と、前記実装部品に向けて突出して設けられ、前記ワイヤの他の一部を保持し前記他の一部を加圧しつつ超音波を印加可能とする第2突起部と、を有することを特徴とする半導体製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体チップ及びポストの両方にワイヤを同時に接合する半導体製造装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造及び作用を例示する模式図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式的斜視図である。
図2に表したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置10においては、半導体チップと、ポストなどの実装部品と、に、ワイヤを超音波接合するための超音波工具110を備えている。本具体例の半導体製造装置10においては、超音波工具110は略円筒形状を有しているが、本発明はこれには限らず、各種の多角柱形状等、その形状は任意である。そして、超音波工具110の一端は、超音波ホーン170に接合されており、例えば、超音波工具110の円筒の軸方向に対して平行な方向に振動する。
そして、超音波工具110の他端の下面には、ワイヤを保持し、ワイヤをチップとポストに超音波接合する突出部112が設けられている。
【0010】
超音波工具110は、例えば、鉄、ステンレスなど各種の金属や合金材料や、セラミック材料で形成することができる。なお、超音波工具110の材料によって、超音波工具110の長さや太さなどを適切に設計し、超音波ホーン170から突出部112に効率的に超音波を伝えられることができる。
【0011】
図1は、突出部112を部分的に拡大して表し、図1(a)は、図2に例示した半導体製造装置10における超音波工具110の突出部112をA方向からみた平面図(正面図)であり、図1(b)は、図1(c)のP−P線断面図、図1(c)〜(e)は、突出部112を図2のB方向からみた側面図であり、同時に半導体製造装置10の作用も例示している。
図1(a)、(c)に表したように、超音波工具110(の突出部112)の下面は、半導体チップ140のチップ電極145及び実装部品159(ポスト150)に対向する面である。そして、図1(a)に表したように、突出部112の下面には、ワイヤ120をガイドして保持する突起部130が設けられている。
超音波工具110の突出部112の下面には、半導体チップ140に向けて突出する第1突起部131と、ポスト150に向けて突出する第2突起部132と、が設けられている。すなわち、図1(c)に表したように、突起部130は、半導体チップ140のチップ電極145及びポスト150に対向する部分に対応する離間した2箇所に設けられた第1突起部131と第2突起部132とを含む。
具体的には、半導体チップ140のチップ電極145側には、第1突起部131が2つ設けられ、1対となる。また、ポスト150側には、第2突起部132が2つ設けられ、1対となる。そして、1対の第1突起部131は、ワイヤ120の一部を保持し、この一部を半導体チップに加圧しつつ超音波を印加することができる。また、1対の第2突起部132は、ワイヤ120の他の一部を保持し、この他の一部を加圧しつつ超音波を印加することができる。
【0012】
なお、図1(c)に例示したように、半導体製造装置10においては、ポスト150側には、1対の第2突起部132が1組設けられているのに対し、半導体チップ140側には、1対の第1突起部131が、ワイヤ120の軸方向に沿って4組設けられている。ただし、本発明はこれに限らず、第1突起部131及び第2突起部132のそれぞれの組みの数は任意である。すなわち、第1突起部131と第2突起部132の両方とも1組ずつ設けることもでき、また、第1突起部131を1組とし、第2突起部132を複数とすることもできる。さらには、第1突起部131と第2突起部132の両方を複数組設けることができる。
また、図1(c)に例示したように、本具体例においては、第1突起部131の1つの長さ(ワイヤ120の軸に対して平行な方向の長さ)よりも、第2突起部132の長さは長い。ただし、本発明はこれに限らず、第1突起部131の長さと第2突起部132の長さを同じとしても良く、さらに、第1突起部131の長さを第2突起部132の長さよりも長くしても良い。さらに、第1突起部131と第2突起部132とで、断面形状を変えることもできる。
【0013】
そして、図1(c)に表したように、本実施形態に係る半導体製造装置10に用いられるワイヤ120は、予めループ122が設けられて所定の長さに切断された、断面が略円形(楕円形も含む)または、多角形状を有しており、突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)のワイヤ120に面する面は、このワイヤ120の断面形状(外周の形状)に適合する形状を有しており、ワイヤ120が突起部130に適正にガイドされるようにすることができる。
【0014】
第1突起部131と第2突起部132との間の超音波工具110の突出部112の下面には、ワイヤ120のループ122が格納可能なように第1突起部131及び第2突起部132よりも凹状に後退した凹部113が設けられている。この凹部113は、少なくとも第1突起部131及び第2突起部132よりも、半導体チップ140からみて遠い方向に後退した部分を有している。これにより、ワイヤ120のループ122を格納できる。
【0015】
なお、この凹部113は、第1突起部131と第2突起部132よりも相対的に凹状になっていれば良く、凹部113は、突出部112の第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面と同じ面上にあっても良く、突出部112の第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面からさらに凹状に窪ませて(後退させて)形成されていても良い。さらに、第1突起部131及び第2突起部132よりも相対的に凹状であればよいので、例えばこれら突起部131、132の突起の高さが高い場合には、凹部113は、突出部112の第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面よりも半導体チップ140側に突出して設けられていても良い。
【0016】
なお、後述するように、超音波工具110に突出部が設けられず、第1突起部131及び第2突起部132が超音波工具110に直接設けられる場合には、凹部113は、超音波工具110の第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面と同じ面上にあっても良く、第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面からさらに凹状に窪ませて(後退させて)形成されていても良く、さらに、例えばこれら突起部131、132の突起の高さが高い場合には、凹部113は、超音波工具110の第1突起部131及び第2突起部132が設けられている面よりも半導体チップ140側に突出して設けられていても良い。
【0017】
そして、凹部113には、超音波工具110の中を貫通する配管114が開口しており、これにより、ワイヤ120を例えば真空等によって吸引して保持することができる。なお、配管114は、図2に例示したように、例えば超音波工具110の円筒の側面に設けられた吸引口116と連通し、吸引口116を減圧配管や吸引ポンプ(図示しない)に接続することによって、凹部113に設けられた開口部115でワイヤ120を吸引して保持することができる。この開口部115が、ワイヤ120を吸着する吸着部119となる。すなわち、超音波工具110は、第1突起部131と第2突起部132との間(凹部113)に設けられ、ループ122を吸着する吸着部119(開口部115)をさらに有する。
なお、図1(b)に表したように、凹部113において、配管114の開口部115(吸着部119)には、凹部113の面よりも配管114の奥側に向けて、ワイヤ120の外形の一部に適合するように、ワイヤ120の延在方向に沿って僅かに掘られた溝117が設けられており、この溝117によってワイヤ120を効率的に吸着できるようになっている。ただし、この溝117は必要に応じて設ければ良く、省略しても良い。
【0018】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置10においては、超音波工具110は、半導体チップ140に対向する面に設けられ、ワイヤ120の一端を挟むように保持し、その一端を加圧しながら超音波を印加可能とする第1突起部131と、実装部品159(ポスト150)に対向する面に設けられ、ワイヤ120の他端を挟むように保持し、その他端を加圧しながら超音波を印加可能とする第2突起部132と、を有する。
【0019】
このような構造を有する半導体製造装置10の作用を説明する。
図1(c)に表したように、半導体製造装置10の超音波工具110の突出部112の第1突起部131、及び、第2突起部132によって、所定形状のループ122を有するワイヤ120をガイドし、配管114の開口部115で吸引することによって、ワイヤ120を保持する。この時、凹部113内にワイヤ120のループ122を格納できるので、ループ122の形状を損なうことなくワイヤ120を保持することができる。
【0020】
そして、図1(d)に表したように、ワイヤ120を保持した超音波工具110を、半導体チップ140のチップ電極145及びポスト150に対して加圧しつつ、超音波振動を印加することで、チップ電極145(半導体チップ140)とポスト150とにワイヤ120を同時に接合させる。なお、この時、超音波の振動方向は、超音波工具110と超音波ホーン170の接合面に対して垂直方向、すなわち、図1(d)の矢印で例示した方向に振動させることができる。
【0021】
そして、図1(e)に例示したように、配管114の中を大気圧に戻して超音波工具110のワイヤ120の保持力を解除して、超音波工具110を上方に移動させる。
【0022】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置10においては、超音波工具110の突出部112に、突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)を設け、さらに、ワイヤ120を配管114の開口部115で吸着することにより、精度良く保持し、半導体チップ140とポスト150の上に位置精度良くワイヤ120を配置することができる。そして、突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)によって、ワイヤ120の一端と他端とに、加圧しながら超音波を印加することができ、半導体チップ140とポスト150とにワイヤ120を同時に接合できる。
【0023】
本実施形態に係る半導体製造装置10によれば、半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に接合することで接合時間を短縮し、保守が容易な高生産性の半導体製造装置を提供できる。
なお、本実施形態に係る半導体製造装置において使用されるワイヤは、例えば、アルミニウム、銅、金等各種の導電性材料及びそれらの合金を用いることができる。
【0024】
なお、ループ122を吸着する吸着部119(開口部115)は必要によって設けることができ、例えば、ワイヤの材質や形状、第1突起部131と第2突起部132のワイヤ120に対向する面の形状等によっては、第1突起部131と第2突起部132とでワイヤ120を保持することができ、この場合は、吸着部119を省略することができる。これの場合は、装置が簡単になり装置が低コスト化できる。
【0025】
(比較例)
図3は、比較例の半導体製造装置の要部の構造及び動作を例示する模式図である。
図3(a)、(b)は、比較例の半導体製造装置90のそれぞれ正面図及び側面図である。図3(c)〜(h)は、半導体製造装置90の動作を例示する側面図である。
図3(a)、(b)に表したように、比較例の半導体製造装置90の加工部ユニット230には、超音波工具220が設けられ、超音波工具220の先端部分に隣接して、ガイドホルダ250に支持されたワイヤガイド240が設けられている。また、超音波工具220のワイヤガイド240と反対側の側面にはワイヤカッター260が設けられている。そして、超音波工具220の先端にワイヤ120が保持される。
【0026】
このような構造の比較例の半導体製造装置90においては、図3(c)に表したように、まず、加工部ユニット230を半導体チップ140に向けて下降させる。
そして、図3(d)に表したように、まず、ワイヤ120を半導体チップ140へ加圧しながら超音波振動を印加して、ワイヤ120をチップへ接合する。
その後、図3(e)に表したように、加工部ユニット230を上昇しつつ、ポスト150の上方に向けて移動させる。
そして、図3(f)に表したように、一端上方向に移動した後に下方向に移動することでループ122を形成し、そして、ポスト150に向けて加工部ユニット230を下降させ、ワイヤ120を加圧しながら超音波振動を印加することでワイヤ120とポスト150を接合する。
その後、図3(g)に表したように、ワイヤカッター260を下降させてワイヤ120をカットする。
そして、図3(h)の表したように、加工部ユニット230を上昇させる。
このようにして、1回のワイヤ120の接合工程が完了する。
【0027】
このような方法では、半導体チップ140との接合部とポスト150との接合部とを、順次的に別々に接合していたため、ワイヤ接合工程にかかる時間が長く、生産性が悪い。また、ワイヤの電気抵抗を低下させるために、ワイヤの直径を大きくすると、ループ形成のための河口部ユニットの移動速度を低下させたり、2回の超音波振動の印加時間がそれぞれ長くなるため、結果としてワイヤの接合工程時間がさらに長くなり、生産性がさらに低下する。
【0028】
さらに、ワイヤループを形成しながらワイヤを接合するこのような装置は複雑であり、装置の保守が難しいため装置の生産性が低く、結果として半導体装置のコストを上昇させていた。
【0029】
これに対して、本実施形態に係る半導体製造装置10では、超音波工具110の突出部112に、第1突起部131及び第2突起部を設け、ワイヤ120を位置合わせした状態で、精度良く保持し、半導体チップ140とポスト150の上に位置精度良くワイヤ120を配置することができる。そして、第1突起部131及び第2突起部132によって、ワイヤ120の一端及び他端の2箇所に、加圧しながら超音波を印加することができ、半導体チップ140とポスト150とにワイヤ120を同時に接合できる。また、ワイヤの直径を大きくした場合も、ループ形成をせず、また、超音波振動の印加回数は1回であるため、接合工程時間はあまり長くならない。
【0030】
これにより、本実施形態に係る半導体製造装置10によれば、半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に接合することで接合時間を短縮し、保守が容易な高生産性の半導体製造装置を提供できる。これにより、ワイヤを接合するための半導体製造装置の台数を削減できる。
また、本実施形態に係る半導体製造装置10は、ループ122を形成する機構を省略できるので装置構成が簡単となり、保守も容易となり、結果として半導体装置を低コストにできる。
このように、本実施形態に係る半導体製造装置10では、超音波工具110の半導体チップ140とポスト150とに対向する部分に、ワイヤ120を保持し、超音波接合時にはワイヤを加圧しつつ超音波振動をワイヤ120に印加する突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)を設けることで、ワイヤ120を半導体チップ140とポスト150とに同時に精度良く接合することができる。そして、凹部113を設けることにより、ワイヤ120のループ122の形状を損なうことなくワイヤ120を保持し、接合させることができる。
【0031】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置における突起部の構造を例示する模式的断面図である。
すなわち、図4(a)、(b)、(c)は、突起部130の各種の変形例を表しており、例えば、図2に例示した半導体製造装置10における超音波工具110の突出部112をA方向からみた平面図(正面図)である。
【0032】
図4(a)に例示したように、突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)の断面形状は、例えば台形とすることができる。すなわち、1対の台形状の突起部130によって、その間にワイヤを挟むようにして、位置合わせした状態でワイヤを保持することができる。
また、図4(b)に表したように、突起部130の断面形状は、三角形等の多角形でも良く、また、図示しない矩形の形状でも良い。
また、図4(c)に表したように、2つの突起部130の内側面が連なって、略円筒状の一部となる曲面形状でも良い。
すなわち、突起部130は、ワイヤ120を位置合わせできれば良く、突起部130の形状は任意である。
【0033】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る変形例の半導体製造装置の構造を例示する模式図である。
すなわち、図5(a)は、例えば、図2に例示したA方向からみた平面図(正面図)であり、図5(b)は、B方向からみた側面図である。
図5に表したように、本実施形態の変形例の半導体製造装置11においては、突出部112が設けられていない。すなわち、本実施形態に係る変形例の半導体製造装置11においては、超音波工具110の下面(半導体チップ140とポスト150)に対向する面に突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)が直接設けられている。この場合は、超音波工具110の下面の突起部130どうしの間の超音波工具110の下面に、凹部113が直接設けられる。
図2に例示した超音波工具110は、円筒形を有していたが、超音波工具110の形状はこれに限らず、任意の形状を取ることができ、超音波工具110の形状によっては、突出部112は省略できる。
この場合も、凹部113は、第1突起部131と第2突起部132とを設けることによって、第1突起部131と第2突起部132よりも相対的に凹状になっていても良いし、また、超音波工具110の下面からさらに凹状に窪ませて(後退させて)形成しても良い。このように、本実施形態に係る半導体製造装置においては、突出部112は必要に応じて設ければ良い。
【0034】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
すなわち、図6(a)は側面図(例えば図2のB方向からみた時の図)であり、図6(b)は図6(a)のC−C線断面図であり、図6(c)は図6(a)のD−D線断面図である。また、図6(d)は、変形例の半導体製造装置の図6(a)のC−C線断面に相当する断面図である。
図6に表したように、第2の実施形態に係る半導体製造装置20では、図1、図2に例示した半導体製造装置10に対して、突出部112の下面(半導体チップ140及びポスト150に対向する面)の凹部113に、ワイヤガイド部160が設けられている。これ以外の構成は半導体製造装置10と同様とすることができる。
【0035】
図6(b)に表したように、この場合のワイヤガイド部160は、凹部113から下方に突出した1対の突出部からなり、突出部どうしの間の形状は、図6(b)に例示したように、円形の一部の形状となっている。なお、図6(a)に表したように、ワイヤガイド部160となる1対の突出部は、凹部113からは突出しているが、第1突起部131及び第2突起部132よりは下方(半導体チップ140側の方向)に突出していない。
このようにワイヤガイド部160のワイヤ120に対向する面の形状は、ワイヤ120の断面形状(外周の形状)に適合する形状とすることができる。そして、このワイヤガイド部160の間に上に説明した配管114の開口部115が設けられており、これにより、ワイヤガイド部160でワイヤ120のループ122をガイドした状態で、ワイヤ120を吸着することで、ワイヤ120を高精度に保持することができる。
【0036】
また、ワイヤガイド部160は、凹部113から下方に突出した部分を設けるのではなく、例えば図2(b)に例示した溝117の深さを深くすることによっても設けることができる。この際、溝117の深さは、例えばワイヤ120の径の半分程度以上の深さとすることができる。すなわち、この場合は、ワイヤガイド部160は凹形状となる。
【0037】
すなわち、半導体製造装置20においては、超音波工具110は、図6(c)に例示した既に説明した突起部130(第1突起部131及び第2突起部132)に加え、第1突起部131と第2突起部132との間に設けられ、ループ122を挟む凸形状または凹形状を有し、ループ122を保持するワイヤガイド部160をさらに有する。
【0038】
これにより、本実施形態に係る半導体製造装置20では、第1突起部131及び第2突起部132によってワイヤ120の一端と他端を位置合わせした状態で保持し、さらに、ワイヤガイド部160によってワイヤ120のループ122を位置合わせした状態で保持し、吸着することで、さらに精度良く保持することができる。これにより、半導体チップ140とポスト150の上にワイヤ120をさらに位置精度良く配置することができる。そして、第1突起部131及び第2突起部132によって、ワイヤ120の一端と他端の2箇所に、加圧しながら超音波を印加することができ、半導体チップ140とポスト150とにワイヤ120を同時に接合できる。
【0039】
これにより、本実施形態に係る半導体製造装置10によれば、半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に、さらに高精度で接合することで接合時間を短縮し、保守が容易な高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0040】
なお、ワイヤガイド部160の断面形状は、図6(b)に例示したように、用いるワイヤの断面形状に適合させた円弧(楕円の円弧も含む)とすることができる。この場合、円(楕円を含む)の約半周の円弧とすることで、効率的にワイヤ120を吸着し、保持することができる。すなわち、このような形状とすることで、ワイヤガイド部160とワイヤ120とが面で接触することができるので、ワイヤ120の位置精度とワイヤの保持力を高めることができる。
【0041】
ただし、本発明はこれには限らず、ワイヤガイド部160のワイヤ120に対向する側の断面形状は、直線状としても良い。
図6(d)に表したように、変形例の半導体製造装置においては、ワイヤガイド部160は、凹部113の配管114の開口部115に沿って設けられた断面が台形状の突起部で構成されている。このように、ワイヤガイド部160が台形状の突起部である場合は、ワイヤガイド部160の先端どうしの距離が開くので、ワイヤ120をワイヤガイド部160で挟むようにして受け入れる際に、ワイヤ120の位置ずれの許容を拡大することができる。ただし、この場合は、ワイヤガイド部160とワイヤ120とが、ワイヤ120の軸方向に沿った線状で接触するので、ワイヤガイド部160がワイヤ120を吸着する力は、ワイヤガイド部160の断面形状が円弧状である場合に比べて低下する。しかし、この場合も、配管114内の真空度を調整することによって、実用上十分な吸着力を得ることができる。
このように、ワイヤガイド部160のワイヤ120に対向する側の形状は、用いるワイヤ120の断面形状に適合させ、実用的なワイヤ120の位置精度を実現しつつ実用的な吸着力(すなわち保持力)が得られれば任意に設定できる。例えば、断面形状が略円形のワイヤ120を用いる場合、円弧状の他、多角形状(上記のように2つの台形を組み合わせた形状を含む)の一部とすることができる。さらに、ワイヤ120の断面形状が多角形である場合、ワイヤガイド部160の断面形状は、各種の多角形及び円形の一部とすることができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
すなわち、図7(a)は正面図(例えば図2のA方向からみた時の図)であり、図7(b)は側面模式図(図2のB方向からみた時の図)である。また、図7(c)は、超音波工具110の平面図(正面図)であり、例えば、図2に例示した超音波工具110をA方向から見たときの図である。
図7(a)に表したように、第3の実施形態に係る半導体製造装置30では、超音波工具110の突出部112の下面(半導体チップ140の対向する面及びポスト150に対向する面)に、突起部130(第1突起部131)が6つ設けられている。この場合、隣接する突起部130がそれぞれ1対の突起部130と見なされるので、計5対の突起部130が設けられている。そして、図示はしないが、ポスト150側にも5対の突起部130(第2の突起部132)が設けられている。
すなわち、超音波工具110に、5対の第1突起部131と5対の第2突起部132とが設けられている例である。そして、この5対の第1突起部131と5対の第2突起部132において、突起部のそれぞれの対の間に5本のワイヤ120が保持される。
すなわち、第1突起部131と第2突起部132のそれぞれの対の数は、接合しようとするワイヤ120の数に適合する数だけ設けることができる。
なお、図示しないが、凹部113のワイヤガイド部160も5対設けられている。すなわち、ワイヤガイド部160も、接合しようとするワイヤ120の数に適合する数だけ設けることができる。
【0043】
これにより、半導体製造装置30においては、5本のワイヤを、半導体チップ140とポスト150とに同時に接合することができる。
このように、本実施形態に係る半導体製造装置30によれば、半導体チップ及びポストの両方の複数の接合部分を同時に接合することでき、接合時間をさらに短縮し保守が容易な、さらに高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0044】
なお、半導体製造装置30では、図7(b)に例示したように、半導体チップ140に対向する側では、第1突起部131が4組設けられ(5本のワイヤに対応する第1突起部131が4組)、ポスト150に対向する側では、第2突起部132が1組(5本のワイヤに対応する第2突起部132が1組)設けられているが、本発明はこれに限らず、突起部の組数は任意である。
【0045】
また、図7(a)、(c)に表したように、それぞれの5本のワイヤ120に対応するように、超音波工具110及び突出部112には、5本の配管114aが設けられ、その配管114aに対応して、凹部113には開口部115(吸着部119)が5つ設けられている。そして、例えば、5本の配管114aは、超音波工具110内では1つの配管114に連通し、吸引口116から図示しない減圧配管や吸引ポンプに接続される。これにより、5本のワイヤ120を効率的に吸着し、精度良く保持することができる。
【0046】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る変形例の半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
すなわち、図8(a)は本実施形態に係る半導体製造装置の1つ目の変形例の構造を例示し、図8(b)は別の変形例の構造を例示する、例えば図2のA方向からみた時の正面図である。
【0047】
図8(a)に表したように、本実施形態に係る変形例の半導体製造装置31では、4本のワイヤ120が異なる間隔で保持されるように突起部130が、異なる間隔で設けられている。すなわち、この場合、4本のワイヤ120を同時に接合する例であり、そして、半導体チップ140及びポスト150のそれぞれの接合部の寸法(例えば接合部どうしの間隔)がこの4本のワイヤ120で異なる場合である。そして、半導体製造装置31において、半導体チップ140及びポスト150の接続部の配置に適合させて、突起部130の位置が異なる間隔で設けられている。これにより、ワイヤ120を異なる間隔で半導体チップ140またはポスト150に接合させることができる。
【0048】
また、図8(b)に表したように、本実施形態に係る別の変形例の半導体製造装置32では、4本のワイヤ120が異なる間隔で保持されるように突起部130の幅が変えられて設けられている。これにより、ワイヤ120を異なる間隔で半導体チップ140またはポスト150に接合させることができる。
【0049】
すなわち、図8(a)(b)に例示した半導体製造装置31、32においては、接合するワイヤ120が4本であり、突起部130の対も4つであるが、半導体製造装置31においては、図8(a)中の右側の端から2番目の突起部130aが、対として兼用され、突起部130の数が計7つ設けられている例である。また、図8(b)に例示した半導体製造装置32においては、内側の3つの突起部130b、130c、130dが兼用され、突起部130が計5つ設けられている例である。
このように、突起部130の間隔や幅によって、突起部130の対に対して、各突起部130の兼用の状態を変えることができ、突起部130の数、間隔及び幅の設定は、互いに適正に設定することができる。
【0050】
さらに、図示しないが、突起部130の間隔や幅及びそれによって設定される突起部130の数は、半導体チップ140側の第1突起部131とポスト150側の第2突起部132とで、異ならせることもできる。
【0051】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置においては、突起部130の数、幅、間隔は、接合する半導体チップ140及びポスト150のそれぞれの接合部の数(すなわち、接合するワイヤ120の本数)、及び、接合部の寸法(例えば接合部どうしの間隔等)によって適切に設定することができる。これにより、異なる数と異なる寸法の接合部を有した半導体チップ140及びポスト150とワイヤ120とを同時に接合できる。
【0052】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置によれば、複数の接合部の寸法(例えば接合部どうしの間隔)が異なっていた場合においても、半導体チップ及びポストの両方の複数の接合部を同時に接合することでき、接合時間をさらに短縮し、多品種へ対応が容易で、保守が容易なさらに高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0053】
(第4の実施の形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
すなわち、図9は側面図(例えば図2のB方向からみた時の図)である。
図9に表したように、第4の実施形態に係る半導体製造装置40では、超音波工具110の突出部112の下面(半導体チップ140及びポスト150に対向する面)に段差が設けられている。すなわち、接合する半導体チップ140のワイヤ接合面141とポスト150のワイヤ接合面151とが異なる平面内にある場合、その段差に適合した段差を突出部112に設けたものである。これ以外は半導体製造装置20と同様とすることができる。
【0054】
すなわち、図9に表したように、半導体チップ140のワイヤ接合面141(例えばチップ電極145の上面)と、ポスト150のワイヤ接合面151との間に距離d1の段差がある。一方、半導体製造装置40においては、半導体チップ140側の突出部112aの下面(半導体チップ140に対向する面)と、ポスト150側の突出部112bの下面(ポスト150に対向する面)との間に段差が設けられ、この段差は、距離d1と同じに設定されている。すなわち、第1突起部131の先端と、第2突起部132の先端と、の間の段差(距離d2)は、半導体チップ140のワイヤ接合面141と、ポスト150(実装部品159)のワイヤ接合面151と、の間の段差(距離d1)と等しい。
これにより、接合する半導体チップ140のワイヤ接合面141とポスト150のワイヤ接合面151とが異なる平面内にある場合にも、半導体チップ及びポストの両方の接合部分を同時に接合することでき、接合時間を短縮し、多品種へ対応が容易で汎用性の高い、保守が容易な高生産性の高い半導体製造装置が提供できる。
なお、上記において、半導体チップ140側の突出部112aの下面(半導体チップ140に対向する面)と、ポスト150側の突出部112bの下面(ポスト150に対向する面)との間の段差は、距離d1と厳密に同じに設定されなくても良く、略同じに設定されれば良い。同様に、距離d2は、距離d1と厳密に等しくなくても良く、略等しければ良い。例えば、半導体チップ140のワイヤ接合面141やポスト150のワイヤ接合面151の状態、第1突起部131及び第2突起部132の形状や組数、ワイヤ120の材料、太さ、断面形状、硬度によっては、半導体チップ140側とポスト150側との両方に適切な接合性を得るために、距離d2と距離d1とが異なっていても良い。ただし、この場合も、距離d2は、距離d1と実質的に同じであれば良く、距離d2と距離d1との差は、例えば、ワイヤ120の太さ以内とすることができる。
【0055】
(第5の実施の形態)
図10は、本発明の第5の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造及び作用を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は模式的斜視図であり、同図(b)は、同図(a)のV方向からみたときの半導体チップ140、ポスト150及びワイヤ120の構造を例示する側面模式図である。
【0056】
図10(a)に表したように、本発明の第5の実施形態に係る変形例の半導体製造装置50においては、超音波工具110の第1突起部131と第2突起部132の配置位置が、半導体チップ140の接合面と平行な面内で相対的にシフトしている。
【0057】
すなわち、第1突起部131において保持されるワイヤ120の一部の延在方向と、第2突起部132において保持されるワイヤ120の他の一部の延在方向は、これら第1突起部131と第2突起部132との間におけるワイヤ120の延在方向と異なる。換言すると、第1突起部131と第2突起部132とは、半導体チップ140のワイヤ接合面141と平行な平面内における、ワイヤ120の延在方向と直交する方向の異なる位置に設けられている。
つまり、第1突起部131で保持されたワイヤ120の一端の延在軸と、第2突起部132で保持されたワイヤ120の他端の延在軸とは、半導体チップ140のワイヤ接合面141と平行な平面内おいて異なる位置とされるように、第1突起部131と第2突起部132とは配置されている。
【0058】
図10(a)に表したように、半導体チップ140の接合位置142とポスト150の接合位置152とが、接合面に平行な面内でシフトしており、このシフト量に適合するように、第1突起部131と第2突起部132の配置位置が相対的にシフトされている。そして、この場合には、半導体チップ140側とポスト150側とで、ワイヤ120の一端と他端との位置がずれているS字形状のワイヤ120を用いる。これにより、半導体チップ140とポスト150とに対してワイヤ120を同時に接合する。
【0059】
なお、図10(b)に表したように、半導体製造装置10で用いられるワイヤ120はループ122を有しており、ワイヤ120の一端は、例えば半導体チップ140のワイヤ接合面141に接合され、また、ワイヤ120の他端は、ポスト150のワイヤ接合面151に接合される。
【0060】
これにより、接合する半導体チップ140の接合位置142とポスト150の接合位置152とが接合面に平行な面内でシフトしている場合においても、半導体チップ及びポストの両方の接合部分を同時に接合することでき、接合時間を短縮し、多品種への対応が容易で汎用性が高い高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0061】
なお、以上説明したワイヤガイド部160の形状や寸法等の設定、第1突起部131及び第2突起部132の数や配置等の設定、第1突起部131の先端及び第2突起部132の先端との間の段差、突出部112の段差等(超音波工具110の半導体チップ140に対向する面とポスト150に対向する面との間の段差)等の設定、第1突起部131及び第2突起部132との間の相対的位置の設定は、それぞれ任意に組み合わせて変更することができる。これにより、任意の形状と寸法の半導体チップ140及びポスト150とワイヤ120とを高効率で接合でき、半導体チップ及びポストの両方の接合部分を同時に接合し、接合時間を短縮し、多品種への対応を容易にした汎用性の高い高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0062】
(第6の実施の形態)
図11は、本発明の第6の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
図11に表したように、本発明の第6の実施形態に係る変形例の半導体製造装置60においては、超音波工具110の側面に4つの突出部112、すなわち、4セットの第1突起部131と第2突起部132が設けられている。これ以外は、既に説明した実施形態に係る半導体製造装置と同様とすることができる。
【0063】
すなわち、例えば、図2に例示した本実施形態に係る半導体製造装置10においては、突出部112は、超音波工具110に1つ設けられていたが、このように、超音波工具110には突出部112を複数設けることができる。
そして、図11に例示した4つの突出部112には、それぞれ、突起部130(第1突起部131と第2突起部132)の数、形状、配置及び寸法、凹部113の形状及び寸法、ワイヤガイド部160の形状及び寸法、第1突起部131の先端及び第2突起部132の先端との間の段差、半導体チップ140側の突出部112aの下面とポスト150側の突出部112bの下面の段差、並びに、第1突起部131と第2突起部132の配置位置の相対差のうち少なくとも1つを異ならせることができる。これにより、半導体チップ140とポスト150のワイヤ120との接合部の形状や寸法が異なっていたり、ワイヤ120の数や形状や寸法が異なっていたり、ループの形状や寸法が異なっていたり、半導体チップ140とポスト150の接合面に段差があったり、半導体チップ140とポスト150の接合位置とが相対的にずれていても、超音波工具110を(例えば超音波ホーン170と一緒に)回転させることにより、接合する半導体チップ140、ポスト150、ワイヤ120に適合させた突出部112(第1突起部131、第2突起部132)に簡単に変更できるので、非常に便利であり、生産性をより向上させることができる。
【0064】
これにより、多品種への対応をさらに容易にした汎用性が高い、半導体チップ及びポストの両方の接合部分を同時に接合することでき、接合時間を短縮した高生産性の半導体製造装置が提供できる。
【0065】
図12は、本発明の実施形態に係る半導体製造装置による半導体製造方法を例示するフローチャート図である。
すなわち、本発明の実施形態係る半導体製造装置による半導体製造方法においては、まず、半導体製造装置の超音波工具110(の例えば突出部112)の半導体チップ140に対向する面に設けられた第1突起部131でワイヤ120の一端を挟むように保持しつつ、実装部品159(ポスト150)に対向する面に設けられた第2突起部132でワイヤ120の他端を挟むように保持する(ステップS110)。このとき、第1突起部131と第2突起部132との間に設けられた凹部113に、ワイヤ120に予め設けられたループ122が格納される。
【0066】
そして、第1突起部131でワイヤ120の一端を加圧しつつ、第2突起部132でワイヤ120の他端を加圧した状態で、超音波を印加して、ワイヤ120の一端を半導体チップ140の接合面に接合しつつ、ワイヤ120の他端を実装部品159(ポスト150)の接合面に接合する(ステップS120)。
【0067】
これにより、半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に接合するができる。なお、ワイヤ120に予め設けられたループ122の形状は損傷されることながない。
【0068】
このように本実施形態に係る半導体製造方法によれば、半導体チップ及びポストの両方のワイヤ接合部分を同時に接合することで接合時間を短縮し、高生産性の半導体製造方法が提供できる。
【0069】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体製造装置を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0070】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体製造装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体製造装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0071】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造及び作用を例示する模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式的斜視図である。
【図3】比較例の半導体製造装置の要部の構造及び動作を例示する模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置における突起部の構造を例示する模式的断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る変形例の半導体製造装置の構造を例示する模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る変形例の半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造及び作用を例示する模式的斜視図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る半導体製造装置の要部の構造を例示する模式図である。
【図12】本発明の実施形態に係る半導体製造装置による半導体製造方法を例示するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0073】
10、11、20、30、31、32、40、50、60、90 半導体製造装置
110 超音波工具
112、112a、112b 突出部
113 凹部
114、114a 配管
115 開口部
116 吸引口
117 溝
119 吸着部
120 ワイヤ
122 ループ
130、130a、130c、130d 突起部
131 第1突起部
132 第2突起部
140 半導体チップ
141 半導体チップのワイヤ接合面
142 半導体チップの接合位置
145 チップ電極
150 ポスト
151 ポストのワイヤ接合面
152 ポストの接合位置
159 実装部品
160 ワイヤガイド部
170 超音波ホーン
220 超音波工具
230 加工部ユニット
240 ワイヤガイド
250 ガイドホルダ
260 ワイヤカッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと実装部品とにワイヤを超音波接合する超音波工具を備えた半導体製造装置であって、
前記超音波工具は、
前記半導体チップに向けて突出して設けられ、前記ワイヤの一部を保持し前記一部を前記半導体チップに加圧しつつ超音波を印加可能とする第1突起部と、
前記実装部品に向けて突出して設けられ、前記ワイヤの他の一部を保持し前記他の一部を加圧しつつ超音波を印加可能とする第2突起部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記ワイヤは、前記一部と、前記他の一部と、の間にループを有し、
前記超音波工具は、前記第1突起部と前記第2突起部との間に設けられ、前記ループを吸着する吸着部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記超音波工具は、前記第1突起部と前記第2突起部との間に設けられ、前記ループを保持するワイヤガイド部をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第1突起部の先端と、前記第2突起部の先端と、の間の段差は、前記半導体チップのワイヤ接合面と、前記実装部品のワイヤ接合面と、の間の段差と等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記第1突起部において保持される前記ワイヤの前記一部の延在方向と、前記第2突起部において保持される前記ワイヤの前記他の一部の延在方向と、の少なくともいずれかは、前記第1突起部と前記第2突起部との間における前記ワイヤの延在方向と異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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