説明

半導体試験装置

【課題】DUTからの信号と所定の期待値との比較を行う比較器とその比較結果であるフェイル情報を記憶するフェイルメモリとの対応付けの自由度を高め、これによりプローブカード等の設計自由度の向上及び製造コストの削減を図ることができる半導体試験装置を提供する。
【解決手段】半導体試験装置1は、被試験対象である複数のDUT20−1〜20−nから出力される信号と期待値パターンE1〜Emとの比較を行う論理比較器17−1〜17−mと、論理比較器の各々に対して一意に対応付けられており、論理比較器の比較によって得られるパス/フェイルの判定結果を示すフェイル情報を記憶する複数のフェイルメモリ19−1〜19−nと、論理比較器とフェイルメモリとの間に設けられ、論理比較器とフェイルメモリとの対応付けを変更する経路変換器18−1〜18−mとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの試験を行う半導体試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体試験装置は、周知の通り、被試験対象である半導体デバイス(以下、DUT(Device Under Test)という)に対して試験信号を印加し、DUTから出力される信号と予め定められた期待値とを比較してパス/フェイルを判定することによりDUTの良/不良を試験する。近年においては、DUTの試験効率を向上させるために、複数DUTの並列試験が可能である半導体試験装置の開発が盛んに行われている。特に、半導体試験装置の一種であるメモリテスタでは、膨大な数のDUT(メモリ)を効率良く試験する必要があるため、数百を越えるDUTの並列試験が可能なものも開発されている。
【0003】
半導体試験装置は、DUTに対するインターフェイスとして機能するピンエレクトロニスクカードをテストヘッド内に備える。複数DUTの並列試験が可能な半導体試験装置は、このピンエレクトロニクスカードを多数備えている。ピンエレクトロニクスカードの各々には、DUTのピン(DUTピン)と接続されるテスタピン(物理ピン)が複数設けられている。尚、テスタピンの各々には、DUTに印加する試験信号を生成するドライバ、DUTから得られる信号と所定の電圧とを比較するコンパレータ、コンパレータから出力される信号と所定の期待値とを比較してパス/フェイルを判定する比較器等が付随して設けられる。
【0004】
半導体試験装置の動作を統括的に制御するテスタコントローラは、テスタピンの各々に一意に割り当てられたピン番号(物理ピン番号)を用いてテスタピンを管理する訳ではなく、テスタピンの各々を論理ピンとして論理的に管理する。これは、物理ピン番号を用いてテスタピンの管理を行うと、並列試験を行うDUTの数(並列数)が変わる度にDUTの試験に用いられる試験プログラムの変更が必要になり、管理が極めて煩雑になるからである。また、複数のテスタピンを1つの論理ピンに割り付けることで、例えば複数のDUTを1つの論理的なDUTとして管理することも可能になるからである。
【0005】
以下の特許文献1〜3には、論理ピン番号と物理ピン番号との対応関係が任意に変更可能であり、論理ピンと物理ピンとの割り付け(アサイン)の自由度を高めた半導体試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−322978号公報
【特許文献2】特開2000−28683号公報
【特許文献3】特開平9−5393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体試験装置の多くは、コスト低減等を図るためにシェアード構成とされている。ここで、シェアード構成とは、DUTに印加する試験信号を生成するために用いられる試験パターン等を発生するパターン発生器を複数のテスタピンに共通して1つのみ設ける一方で、DUTから出力されてテスタピンの各々を介して入力される信号のパス/フェイルを判定する比較器をテスタピン毎に設けた構成である。かかるシェアード構成の半導体試験装置においては、パターン発生器と各テスタピンとの間における経路(試験パターンの経路)は半導体試験装置の物理的な構成により制約を生じるため、これをピン選択器により所望の経路に切り替えて信号を印加する手段を有する場合がある一方で、テスタピンと比較器との間の経路、及び比較器とパス/フェイルの判定結果であるフェイル情報を記憶するフェイルメモリとの間の経路は、個々のフェイルメモリが扱うことのできるDUTとの対応関係が一般に固定とされている。
【0008】
つまり、従来のシェアード構成の半導体試験装置は、論理ピンとテスタピンとの割り付けが、複数のDUTにバッファで配分される元となる各ピン毎に自由であるため、パターン発生器から出力される試験パターン等をピン選択器の選択範囲内で所望のテスタピンに割り振って印加することが可能である。しかしながら、上述の通り、DUTから出力される信号のパス/フェイルを判定する比較器とフェイルメモリとの間の対応付けが固定であるために制約を生じ、プローブカード(半導体試験装置とDUTとの間に介在してテスタピンとDUTピンとを電気的に接続する治具)等の配置や配線等が上記の対応付けによって制限されてしまい、これによりプローブカードの設計自由度の低下及び製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、DUTからの信号と所定の期待値との比較を行う比較器とその比較結果であるフェイル情報を記憶するフェイルメモリとの対応付けの自由度を高め、これによりプローブカード等の設計自由度の向上及び製造コストの削減を図ることができる半導体試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の半導体試験装置は、被試験対象である複数の半導体デバイス(20−1〜20−n)から出力される信号と所定の期待値(E1〜Em)との比較を行う複数の比較器(17−1〜17−m)と、当該比較器の各々に対して一意に対応付けられており、当該比較器の比較によって得られるパス/フェイルの判定結果を示すフェイル情報(F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−n)を記憶する複数のフェイルメモリ(19−1〜19−n)とを備える半導体試験装置(1)において、前記比較器と前記フェイルメモリとの間に設けられ、前記比較器と前記フェイルメモリとの対応付けを変更する変換器(18−1〜18−m)を備えることを特徴としている。
この発明によると、半導体デバイスから出力される信号と所定の期待値との比較を行う比較器と、比較器の比較によって得られるフェイル情報を記憶するフェイルメモリとの間に設けられた変換器によって比較器とフェイルメモリとの対応付けが変更され、比較器から出力されるフェイル情報が、変更された対応付けに従ってフェイルメモリに記憶される。
また、本発明の半導体試験装置は、前記変換器が、前記半導体デバイス毎のフェイル情報を入力とし、入力される当該フェイル情報の何れか1つを選択して出力する選択回路(30−1〜30−n)を複数備えることを特徴としている。
ここで、本発明の半導体試験装置は、前記選択回路の各々が、互いに異なる半導体デバイスのフェイル情報が各々から出力されるように前記フェイル情報の選択を行うことを特徴としている。
或いは、本発明の半導体試験装置は、前記変換器が、前記半導体デバイスの各々から出力される信号のパス/フェイルを示すフェイル情報を入力としており、入力されるフェイル情報を所定のビット数だけ順次シフトするシフタ(40−1,40−2)を備えることを特徴としている。
ここで、本発明の半導体試験装置は、前記シフタが、前記フェイル情報を、前記フェイル情報の特定のビット数分だけシフトするバレルシフタであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体デバイスから出力される信号と所定の期待値との比較を行う比較器と、比較器の比較によって得られるフェイル情報を記憶するフェイルメモリとの間に変換器を設けたため、比較器とフェイルメモリとの対応付けの自由度を高めることができるという効果がある。また、比較器とフェイルメモリとの対応付けの自由度が高まることによって、プローブカード等の半導体試験装置と半導体デバイスとを電気的に接続する治具の設計自由度の向上を高めることができるとともに、製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】経路変換器18−1〜18−mの内部構成を示すブロック図である。
【図3】経路変換器18−1〜18−mの変形例の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による半導体試験装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1は、パターン発生器11、ピン選択器12、タイミング発生器13−1〜13−m、フォーマッタ14−1〜14−m、ドライバ15−1〜15−n、コンパレータ16−1〜16−n、論理比較器17−1〜17−m(比較器)、経路変換器18−1〜18−m(変換器)、及びフェイルメモリ19−1〜19−nを備える。
【0014】
以上の構成の半導体試験装置1は、DUT20−1〜20−n(半導体デバイス)に対して試験信号を印加するとともに、DUT20−1〜20−nから出力される信号を用いてDUT20−1〜20−nの試験を行う。尚、本実施形態では、上記のDUT20−1〜20−nがメモリであって、上記の半導体試験装置1が半導体メモリの試験を行うメモリテスタであるとする。尚、本明細書で用いる変数「n」はDUTの総数、変数「m」はピンの数を意味し、それぞれ2以上の整数である。
【0015】
また、メモリテスタを用いてDUT20−1〜20−nを試験する場合には、実際にはDUT20−1〜20−nの各々に対して複数のテスタピンが電気的に接続される。本実施形態では説明を簡単にするために、図1に示す通り、DUT20−1〜20−nに対してそれぞれm個のテスタピンが接続されるとする。例えば、DUT20−1についてはm個のテスタピンP1−1〜P1−mが接続され、DUT20−nについてはm個のテスタピンPn−1〜Pn−mが接続されるとする。
【0016】
また、タイミング発生器13−1〜13−m、フォーマッタ14−1〜14−m、論理比較器17−1〜17−m、及び経路変換器18−1〜18−mは、DUT20−1〜20−nの各々に対して接続されるテスタピンの数と同数のm個ずつ設けられるとする。また、フェイルメモリ19−1〜19−nは、DUT20−1〜20−nの数と同数のn個設けられるとする。更に、ドライバ15−1〜15−n及びコンパレータ16−1〜16−nは、テスタピンの総数と同じm×n個ずつ設けられるが、図1では一部のみを図示している。
【0017】
パターン発生器11は、DUT20−1〜20−nに印加する試験信号を生成するために用いられる試験パターン、及びDUT20−1〜20−nから出力される信号のパス/フェイルを判定するために用いられる期待値パターンを生成して出力する。ピン選択器12は、予め設定されたアサイン(半導体試験装置1内でテスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mを論理的に管理するための論理ピン番号とテスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mの各々に割り当てられている物理ピン番号との対応付け)に基づいて、パターン発生器11から出力される試験パターン及び期待値パターンの振り分けを行う。
【0018】
タイミング発生器13−1〜13−mは、DUT20−1〜20−nに印加する試験信号の印加タイミングを規定するタイミング信号と、期待値パターンを用いた判定タイミングを規定するタイミング信号とを生成する。そして、各々のタイミング信号に基づいてピン選択器12を介して入力される試験パターン及び期待値パターンのタイミングをそれぞれ調整し、試験パターンS1〜Sm及び期待値パターンE1〜Em(期待値)としてそれぞれ出力する。
【0019】
フォーマッタ14−1〜14−mは、タイミング発生器13−1〜13−mから出力される試験パターンS1〜Smのフォーマット(波形フォーマット)を所定のフォーマットに変換して出力する。ここで、フォーマッタ14が変換するフォーマットの代表的なものとしては、例えばRZ(Return to Zero)又はNRZ(Non Return to Zero)等のフォーマットが挙げられる。
【0020】
ドライバ15−1〜15−nは、フォーマッタ14−1〜14−mから出力される信号から、DUT20−1〜20−nに印加する試験信号(アナログ信号)を生成する。コンパレータ16−1〜16−nは、DUT20−1〜20−nの各々から出力される信号と所定の電圧との比較を行う。尚、図1においては図示を省略しているが、テスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mとDUT20−1〜20−nとの間には、プローブカードと言われる治具が設置されており、このプローブカードによってテスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mとDUT20−1〜20−nとが電気的に接続されている。
【0021】
論理比較器17−1〜17−mは、コンパレータ16−1〜16−nから出力される信号と、タイミング発生器13−1〜13−mから出力される期待値パターンE1〜Emとを比較してパス/フェイルの判定を行い、その判定結果を示すフェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nを出力する。経路変換器18−1〜18−mは、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの間に設けられており、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを変更する。尚、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けの変更は、半導体試験装置1を統括制御するコントローラ(テスタコントローラ)の制御の下で行われる。
【0022】
フェイルメモリ19−1〜19−nは、論理比較器17−1〜17−mの各々に対して一意に対応付けられており、論理比較器17−1〜17−mから出力されて経路変換器18−1〜18−mを介したフェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nを記憶する。具体的に、フェイルメモリ19−1〜19−nは、論理比較器17−1から出力されるフェイル情報F1−1〜F1−nの何れかに対して一意に対応付けられており、以下同様に、論理比較器17−mから出力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−nの何れかに対して一意に対応付けられている。
【0023】
尚、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けは固定ではなく、上述した経路変換器18−1〜18−mによって変更される。また、図1では図示を省略しているが、半導体試験装置1には、DUT20−1〜20−nの試験が終了する度にフェイルメモリ19−1〜19−nに記憶されたフェイル情報を読み出し、DUT20−1〜20−nの不良救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算装置が設けられている。
【0024】
次に、経路変換器18−1〜18−mの内部構成について詳細に説明する。図2は、経路変換器18−1〜18−mの内部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、経路変換器18−1〜18−mは、複数のセレクタ30−1〜30−n(選択回路)を備える。経路変換器18−1に設けられるセレクタ30−1〜30−nは、論理比較器17−1から出力されるフェイル情報F1−1〜F1−nを入力としており、入力されるフェイル情報F1−1〜F1−nの何れか1つを選択して出力する。同様に、経路変換器18−mに設けられるセレクタ30−1〜30−nは、論理比較器17−mから出力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−nを入力としており、入力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−nの何れか1つを選択して出力する。
【0025】
経路変換器18−1〜18−mの各々に設けられるセレクタ30−1〜30−nは、不図示のテスタコントローラの制御によって、互いに異なるフェイル情報がセレクタ30−1〜30−nの各々から出力されるように入力されるフェイル情報を選択する。つまり、経路変換器18−1〜18−mのうちのある経路変換器に設けられたセレクタ30−1〜30−nから出力されるフェイル情報は互いに異なっており、これらのうちの何れか2つ以上のセレクタから同じフェイル情報が出力されることはない。尚、経路変換器18−1〜18−mの各々に設けられたセレクタ30−1〜30−nから出力されるフェイル情報は、フェイルメモリ19−1〜19−nにそれぞれ入力される。
【0026】
経路変換器18−1〜18−mに設けられるセレクタ30−1〜30−nの各々で選択されるフェイル情報は、ユーザによって作成される試験プログラム中で予め設定される。つまり、上記のテスタコントローラは、試験プログラムに基づいて、試験プログラムの設定に応じたフェイル情報が選択されるようにセレクタ30−1〜30−nの各々を制御する。試験プログラム中における設定は、セレクタ30−1〜30−nから同じフェイル情報が出力されない限りにおいて、ユーザが任意に設定することができる。
【0027】
次に、上記構成における半導体試験装置1の動作について説明する。被試験対象であるDUT20−1〜20−nの試験を行う場合には、ユーザは、半導体試験装置1が備えるテストヘッド上にプローブカード等の治具を搭載し、このプローブカード上にDUT20−1〜20−nを配置する作業を行う。以上の作業を終えた後に、ユーザが不図示のテスタコントローラに対して使用する試験プログラムを特定して指示し、試験開始の指示を行うとDUT20−1〜20−nの試験が開始される。
【0028】
DUT20−1〜20−nの試験が開始されると、ユーザによって特定された試験プログラムがテスタコントローラに読み込まれ、ピン選択器12に対するアサインの設定、経路変換器18−1〜18−mが備えるセレクタ30−1〜30−nの制御、フォーマッタ14−1〜14−mにおけるフォーマットの設定等の試験プログラムの内容に応じた各種の初期設定がテスタコントローラによって行われる。以上の初期設定が終了すると、テスタコントローラの制御の下で、パターン発生器11からの試験パターン及び期待値パターンの出力が開始される。
【0029】
パターン発生器11から出力された試験パターン及び期待値パターンはピン選択器12に入力され、上記の初期設定によって設定されたアサインに従って振り分けが行われてタイミング発生器13−1〜13−mに出力される。タイミング発生器13−1〜13−mでは、上記の試験プログラムに従ってタイミング信号が生成され、ピン選択器12から出力された試験パターン及び期待値パターンのタイミングがそれぞれ調整される。タイミングが調整された試験パターンは試験パターンS1〜Smとしてフォーマッタ14−1〜14−mにそれぞれ出力され、タイミングが調整された期待値パターンは期待値パターンE1〜Emとして論理比較器17−1〜17−mにそれぞれ出力される。
【0030】
フォーマッタ14−1〜14−mに入力された試験パターンS1〜Smは、先の初期設定の設定に従ったフォーマットに変換されてドライバ15−1〜15−nに出力される。ドライバ15−1〜15−nに試験パターンが入力されると、所定の上限電圧及び下限電圧を有し、試験パターンの論理変化に従って電圧が変化する試験信号が生成され、テスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mを介してDUT20−1〜20−nにそれぞれ印加される。
【0031】
試験信号がDUT20−1〜20−nに印加されると、その試験信号に応じた信号がDUT20−1〜20−nから出力される。尚、DUT20−1〜20−nがメモリである場合には、実際には例えばDUT20−1〜20−nが備えるアドレスピンに対してアドレスを特定する信号(試験信号)が印加され、DUT20−1〜20−nに記憶されているデータがデータピンの各々から読み出されて出力されるが、ここでは説明を簡略化している。
【0032】
DUT20−1〜20−nから出力された信号は、コンパレータ16−1〜16−nにそれぞれ入力されて所定の電圧と比較され、その比較結果を示す信号の各々がコンパレータ16−1〜16−nから論理比較器17−1〜17−mに入力される。そして、論理比較器17−1〜17−mにおいて、コンパレータ16−1〜16−nの各々から出力された信号とタイミング発生器13−1〜13−mから出力された期待値パターンE1〜Emとが比較されてパス/フェイルが判定される。この判定結果は、フェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nとして経路変換器18−1〜18−mに入力される。
【0033】
具体的に、フェイル情報F1−1〜F1−nは経路変換器18−1に設けられたセレクタ30−1〜30−nに入力され、フェイル情報Fm−1〜Fm−nは経路変換器18−mに設けられたセレクタ30−1〜30−nに入力される(図2参照)。そして、経路変換器18−1〜18−mに設けられたセレクタ30−1〜30−nの各々において初期設定で行われた設定に基づいた選択が行われ、セレクタ30−1〜30−nの各々で選択されたフェイル情報がフェイルメモリ19−1〜19−nにそれぞれ入力される。
【0034】
以上の通り、本実施形態では、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの間に、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを変更する経路変換器18−1〜18−mを備えたため、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを自由に変更することができる。この結果として、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを何ら考慮することなくプローブカードを設計することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0035】
また、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けが固定であった場合には、テスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mとDUT20−1〜20−nとを接続する配線が必然的に交差する場合があり、かかる場合にはプローブカードを多層構造にする必要があった。しかしながら、本実施形態では、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを変更してテスタピンP1−1〜P1−m,…,Pn−1〜Pn−mとDUT20−1〜20−nとを接続する配線の交差が生じないようにすることも可能である。このため、プローブカードの層数を低減することができ、プローブカードの製造コストを低減することができる。
【0036】
次に、経路変換器18−1〜18−mの変形例について説明する。図3は、経路変換器18−1〜18−mの変形例の内部構成を示すブロック図である。図3に示す変形例において、経路変換器18−1〜18−mは、図中の経路変換器41−1〜41−mと経路変換器42−1〜42−mとに分割されている。つまり、経路変換器18−1は経路変換器41−1と経路変換器42−1とからなり、経路変換器18−mは経路変換器41−mと経路変換器42−mとからなる。経路変換器18−1〜18−mのうちの経路変換器18−1,18−m以外の他の経路変換器についても同様の構成である。
【0037】
経路変換器41−1〜41−mはそれぞれバレルシフタ40−1を備えている。経路変換器41−1に設けられたバレルシフタ40−1は、論理比較器17−1から出力されるフェイル情報F1−1〜F1−r(rは1<r<nを満たす整数であり、例えばn/2である)が入力される第1入力端T11と、フェイルメモリ19−1〜19−rに接続された第1出力端T21とを備える。また、第1入力端T11から入力されたフェイル情報F1−1〜F1−rが出力される第2出力端T22と、経路変換器42−1に設けられたバレルシフタ40−2から出力されるフェイル情報F1−(r+1)〜F1−nが入力される第2入力端T12とを備える。
【0038】
経路変換器41−mに設けられたバレルシフタ40−1は、論理比較器17−mから出力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−rが入力される第1入力端と、フェイルメモリ19−1〜19−rに接続された第1出力端とを備える。また、第1入力端から入力されたフェイル情報Fm−1〜Fm−rが出力される第2出力端と、経路変換器42−mに設けられたバレルシフタ40−2から出力されるフェイル情報Fm−(r+1)〜Fm−nが入力される第2入力端とを備える。経路変換器41−1〜41−mのうちの経路変換器41−1,41−m以外の他の経路変換器についても同様の構成である。
【0039】
経路変換器42−1〜42−mはそれぞれバレルシフタ40−2を備えている。経路変換器42−1に設けられたバレルシフタ40−2は、論理比較器17−1から出力されるフェイル情報F1−(r+1)〜F1−nが入力される第1入力端T31と、フェイルメモリ19−(r+1)〜19−nに接続された第1出力端T41とを備える。また、第1入力端から入力されたフェイル情報F1−(r+1)〜F1−nが出力される第2出力端T42と、経路変換器41−1に設けられたバレルシフタ40−1から出力されるフェイル情報F1−1〜F1−rが入力される第2入力端とを備える。
【0040】
経路変換器42−mに設けられたバレルシフタ40−2は、論理比較器17−mから出力されるフェイル情報Fm−(r+1)〜Fm−nが入力される第1入力端と、フェイルメモリ19−(r+1)〜19−nに接続された第1出力端とを備える。また、第1入力端から入力されたフェイル情報Fm−(r+1)〜Fm−nが出力される第2出力端と、経路変換器41−mに設けられたバレルシフタ40−1から出力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−rが入力される第2入力端とを備える。経路変換器42−1〜42−mのうちの経路変換器42−1,42−m以外の他の経路変換器についても同様の構成である。
【0041】
以上の構成の経路変換器は、経路変換器41−1〜41−mに入力されるフェイル情報F1−1〜F1−r,…,Fm−1〜Fm−r、及び、経路変換器42−1〜42−mに入力されるフェイル情報F1−(r+1)〜F1−n,…,Fm−(r+1)〜Fm−nを特定のビット数分だけシフトして循環させつつフェイルメモリ19−1〜19−nに出力する。具体的には、経路変換器41−1が備えるバレルシフタ40−1に入力されるフェイル情報F1−1〜F1−r、及び経路変換器42−1が備えるバレルシフタ40−2に入力されるフェイル情報F1−(r+1)〜F1−nを、これらバレルシフタ40−1,40−2での各々で特定のビット数分だけシフトしてバレルシフタ40−1,40−2間で循環させつつフェイルメモリ19−1〜19−nに出力する。
【0042】
また、経路変換器41−mが備えるバレルシフタ40−1に入力されるフェイル情報Fm−1〜Fm−r、及び経路変換器42−mが備えるバレルシフタ40−2に入力されるフェイル情報Fm−(r+1)〜Fm−nを、これらバレルシフタ40−1,40−2での各々で特定のビット数分だけシフトしてバレルシフタ40−1,40−2間で循環させつつフェイルメモリ19−1〜19−nに出力する。以上の動作は、経路変換器41−1〜41−m,42−1〜42−mのうちの経路変換器41−1,42−1,41−m,42−m以外の他の経路変換器についても同様である。
【0043】
以上の構成によって、入力されるフェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nを任意のビット数だけシフトさせて出力することができる。従って、シフト量を、テスタコントローラが制御することで、図2に示す経路変換器18−1〜18−mと同様に、試験プログラムの設定内容に応じて、論理比較器17−1〜17−mとフェイルメモリ19−1〜19−nとの対応付けを任意に変更することができる。
【0044】
図3に示す経路変換器は、論理比較器17−1〜17−mから出力されるフェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nを、フェイル情報F1−1〜F1−r,…,Fm−1〜Fm−rからなる第1組と、フェイル情報F1−(r+1)〜F1−n,…,Fm−(r+1)〜Fm−nからなる第2組とに分け、第1組を経路変換器41−1〜41−mの入力とし、第2組を経路変換器42−1〜42−mの入力としている。これに対し、図2に示す経路変換器18−1〜18−mは、論理比較器17−1〜17−mから出力されるフェイル情報F1−1〜F1−n,…,Fm−1〜Fm−nの全てを入力としている。
【0045】
このため、図2に示す経路変換器18−1〜18−mの場合には、変数nの数が大きくなると飛躍的に経路変換器18−1〜18−mに入力される信号線の数が増大してしまう。このため、半導体試験装置1の装置構成上の制約等によって信号線の増加を抑制する必要がある場合には、図3に示す経路変換器を用いるのが望ましい。
【0046】
以上、本発明の一実施形態による半導体試験装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、半導体試験装置1がメモリの試験を行うメモリテスタである場合を例に挙げて説明したが、本発明はフェイル情報を格納するフェイルメモリを備える任意の半導体試験装置に適用することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、図1に示す経路変換器18−1〜18−mが、経路変換器41−1〜41−mと経路変換器42−1〜42−mとに分割された変形例(図3)について説明した。しかしながら、経路変換器18−1〜18−mの分割数は「2」に限られる訳ではなく、任意の分割数にすることができる。また、同図3ではバレルシフタ40−1,40−2を備える経路変換器について説明したが、フェイル情報を任意のビットだけ順次シフトさせる機能とセレクタとを組み合わせた構成にすることが可能であれば、本提案の構成の実現は可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 半導体試験装置
17−1〜17−m 論理比較器
18−1〜18−m 経路変換器
19−1〜19−n フェイルメモリ
20−1〜20−n DUT
30−1〜30−n セレクタ
40−1,40−2 バレルシフタ
E1〜Em 期待値パターン
F1−1〜F1−n,Fm−1〜Fm−n フェイル情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験対象である複数の半導体デバイスから出力される信号と所定の期待値との比較を行う複数の比較器と、当該比較器の各々に対して一意に対応付けられており、当該比較器の比較によって得られるパス/フェイルの判定結果を示すフェイル情報を記憶する複数のフェイルメモリとを備える半導体試験装置において、
前記比較器と前記フェイルメモリとの間に設けられ、前記比較器と前記フェイルメモリとの対応付けを変更する変換器を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記変換器は、前記半導体デバイス毎のフェイル情報を入力とし、入力される当該フェイル情報の何れか1つを選択して出力する選択回路を複数備えることを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記選択回路の各々は、互いに異なる半導体デバイスのフェイル情報が各々から出力されるように前記フェイル情報の選択を行うことを特徴とする請求項2記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記変換器は、前記半導体デバイスの各々から出力される信号のパス/フェイルを示すフェイル情報を入力としており、入力されるフェイル情報を所定のビット数だけ順次シフトするシフタを備えることを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項5】
前記シフタは、前記フェイル情報を、前記フェイル情報の特定のビット数分だけシフトするバレルシフタであることを特徴とする請求項4記載の半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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