説明

半導体試験装置

【課題】半導体試験装置と被試験デバイスと接続関係を自由に設定しつつ、被試験デバイスに複数ピンが備えられている場合に全ての被試験デバイスにフェイルが生じているか否かを検出することを目的とする。
【解決手段】複数のDUT2から出力される出力信号に基づいてDUT2のパスフェイル情報を生成するPE部3を備えた半導体試験装置であって、DUT2に接続されるPE部3の複数のDUTピンとDUT2との対応関係を記憶した対応表に基づいて、DUTごとにパスフェイル情報をグループ化して出力する変換部11と、DUT2ごとにグループ化されたパスフェイル情報を入力して論理和の演算を行い、被試験デバイス情報として出力を行う複数の論理和演算部12と、複数の論理和演算部12から出力される全ての被試験デバイス情報に対して論理積の演算を行う論理積演算部14と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験デバイスの試験を行う半導体試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被試験デバイス(DUT:Device Under Test)の試験を行う半導体試験装置が従来から知られている。従来の半導体試験装置101は、図6に示すように、複数個(N個:Nは2以上の整数)のDUT102を接続している。DUT102はICやLSI、メモリ等の被試験デバイスである。半導体試験装置101から所定の試験信号がDUT102に出力され、半導体試験装置101はDUT102から出力される出力信号と期待値とを比較して、パスフェイル判定(良否判定)の結果としてパスフェイル情報を得る。
【0003】
図6(a)および(b)において、半導体試験装置101側にはN個のピン(テスタピンP(1)〜P(N):総称してテスタピンPとする)を備えている場合を示している。DUT101にもピン(DUTピンとする)が備えられており、同図(a)は1つのDUT101に1つのDUTピンが備えられ、同図(b)は1つのDUT101に2つのDUTピンが備えられている場合を示している。何れにせよ、DUT101の1つのDUTピンには1つのテスタピンPが接続される。
【0004】
テスタピンPとDUT102との接続関係は基本的には固定である。つまり、テスタピンPに対して何れのDUT102を接続するかは予め規定されており、接続関係を自由に変更することはできない。一方で、テスタピンPとDUT102とにはそれぞれ物理的な位置関係があり、予め規定された接続関係の制約下では両者の物理的な位置関係が良好でない場合もある。特に、近年ではテスタピンPが多ピン化の傾向にあることから、物理的な接続関係が著しく複雑になることが多くなっている。これにより、接続線を迂回させる等しなければならず、波形品位が劣化するといった問題が生じる。
【0005】
そこで、DUTピンとテスタピンPとの物理的な接続関係を論理的な接続関係に変換している技術が特許文献1に開示されている。この技術では、物理ピン(テスタピン)を特定するための論理ピン情報と物理ピンとの対応関係を、DUTピンと物理ピンとの接続関係に応じて任意に変換している。この変換には、テーブル形式の変換規則を用いており、これによりDUTピンと物理ピンとを自由に接続したとしても、物理ピンを特定可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−42085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図6に示した半導体試験装置101では、DUT102に対する試験信号の入力と並行して、DUT102から出力された出力信号に基づく良否判定の処理が行われる。半導体試験装置101にはN個或いはN/2個といったように複数のDUT102が接続されている。このとき、全てのDUT102の良否判定の結果がフェイルであるときには、試験信号の入力が途中であったとしても、その時点で強制的に処理を終了する。
【0008】
全てのDUT102の結果がフェイルになるということは、例えば半導体試験装置101と各DUT102との間に接触不良が生じている場合やテスト条件の設定に誤りが生じている場合等があり、このように障害を生じている条件下では試験を続行してはならない。従って、この場合には即時に障害を復旧した後に、改めてDUT102の試験を再開するようにしている。
【0009】
このため、全てのDUT102の結果にフェイル(以下、全DUTフェイルとする)が生じているか否かを検出し、全DUTフェイルを検出したときには即時に復旧処理を行うようにする。全DUTフェイルを検出するためには、全てのDUT102についてのパスフェイル情報に着目しなければならない。
【0010】
この場合に、DUT102とテスタピンPとの接続関係が固定されているのであれば、パスフェイル情報が何れのDUT102のものであるかは明らかになる。つまり、DUT102には一意にテスタピンPが割り当てられるため、テスタピンPにより必ずDUT102が特定される。これにより、テスタピンPに対応するパスフェイル情報のみに着目すれば容易に全DUTフェイルを検出できる。ただし、接続関係が固定されていると、前述した波形品位の劣化といった問題を生じる。
【0011】
一方で、DUT102とテスタピンPとの接続関係を自由に設定すると、各テスタピンPに対応するパスフェイル情報が何れのDUT102のものかは不明になる。この場合に前述した技術で用いられているような変換規則を用いれば、DUT102とテスタピンPとの接続関係を特定することは可能である。ただし、この技術は1つのDUTを接続した半導体試験装置を対象とするものであり、図6のように複数のDUT102を接続した半導体試験装置101を対象とするものではない。
【0012】
図6(b)のように、1つのDUT102が複数ピンを備えているような場合には、半導体試験装置101の複数のテスタピンPの中からDUT102に対応する2つのテスタピンPを特定しなければならない。全DUTフェイルはテスタピンPを単位とするのではなく、DUT102を単位として検出されるものであるから、単にテスタピンPとDUT102との対応関係から全DUTフェイルを検出することはできない。
【0013】
そこで、本発明では、半導体試験装置と被試験デバイスと接続関係を自由に設定しつつ、被試験デバイスに複数ピンが備えられている場合に全ての被試験デバイスにフェイルが生じているか否かを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1の半導体試験装置は、複数の被試験デバイスから出力される出力信号に基づいて前記被試験デバイスのパスフェイル情報を生成する試験部を備えた半導体試験装置であって、前記被試験デバイスに接続される前記試験部の複数のピンと前記被試験デバイスとの対応関係を記憶した対応表に基づいて、被試験デバイスごとに前記パスフェイル情報をグループ化して出力する変換部と、前記被試験デバイスごとにグループ化されたパスフェイル情報を入力して論理和の演算を行い、被試験デバイス情報として出力を行う複数の論理和演算部と、これら複数の論理和演算部から出力される全ての被試験デバイス情報に対して論理積の演算を行う論理積演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この半導体試験装置によれば、変換部は被試験デバイスごとにパスフェイル情報をグループ化し、論理和演算部でグループごとにパスフェイル情報の論理和の演算を行うことにより被試験デバイス情報を生成し、全ての被試験デバイス情報の論理積の演算を行っている。これにより、半導体試験装置のピンと被試験デバイスとの接続関係を自由に設定しつつ、全ての被試験デバイスにフェイルが生じているか否かを検出できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、被試験デバイスごとにパスフェイル情報をグループ化して論理和の演算を施して被試験デバイス情報を生成し、全ての被試験デバイス情報の論理積の演算を行っている。これにより、被試験デバイスと半導体試験装置のピンとの接続関係を任意に変更したとしても、パスフェイル情報はグループ化されて論理和の演算が行われるため、被試験デバイスを単位としたパスフェイル情報(被試験デバイス情報)が得られる。これにより、被試験デバイスと半導体試験装置のピンとの接続関係を自由に設定しつつ、全ての被試験デバイスにフェイルが生じているか否かを検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】半導体試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】対応表の一例を示す図である。
【図3】本発明の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】変形例1の半導体試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】変形例2の半導体試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】従来の半導体試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は半導体試験装置1とDUT2との関係を示した図になる。半導体試験装置1はDUT2の試験を行う試験装置であり、DUT2はICやLSI、メモリ等の被試験デバイスである。図1に示すように、半導体試験装置1にはN(Nは2以上の整数)個のピン(テスタピンP(1)〜P(N))を備えており、また半導体試験装置1にはN/2個のDUT2(DUT(1)〜DUT(N/2))が接続されている。
【0019】
半導体試験装置1はPE部3と演算回路4と対応表記憶部5と対応表設定部6とを備えている。PE部3は1または複数のピンエレクトロニクスカードを備えるピンエレクトロニクスカード部であり、前記のN個のテスタピンPを備えている。PE部3はDUT2に対して試験を行うための試験信号を入力して、DUT2から出力される出力信号に基づいて良否判定(パスフェイル判定)を行う。
【0020】
図1に示すように、DUT2は2つのピン(DUTピン)を備えており、DUTピンとテスタピンPとは1対1の関係で接続される。半導体試験装置1に接続可能なDUT2の個数、つまり試験可能なDUT2の個数はテスタピンPが上限となる。このため、テスタピンPはN個を有していることから、DUT2の個数はN/2になる。
【0021】
PE部3は図示しないドライバとコンパレータとを有しており、ドライバにより試験信号がDUT2に出力される。コンパレータは期待値を有しており、DUT2から出力された出力信号と期待値とを比較して、パスまたはフェイルの判定を行うことにより、1ビットのパスフェイル情報(パス=「0」、フェイル=「1」とする)を得る。PE部3のN個のテスタピンPごとにパスフェイル情報が生成され、各パスフェイル情報は順番をそのままに演算回路4に出力される。
【0022】
演算回路4は全てのDUT2にフェイルを生じているか否か(全DUTフェイル)を検出するための回路になっており、つまり全DUTフェイル検出部になる。図1に示すように、演算回路4は変換部11と論理和演算部12とN/2個のDUT情報出力部13と論理積演算部14と判定部15とを備えて構成している。
【0023】
変換部11はPE部3から出力される各パスフェイル情報をDUT2ごとにグループ分けして出力を行う。この変換部11はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のように設定によりプログラム可能な論理回路であり、対応表に基づいて入力と出力とを任意に変換する。変換部11には対応表記憶部5が接続されており、対応表設定部6が対応表記憶部5に接続されている。対応表は図2のようになっており、DUT番号はDUT2の番号を示し、テスタピン番号はテスタピンPの番号を示している。
【0024】
この対応表に示されるように、DUT番号1がテスタピン番号1および3に対応しており、DUT番号2がテスタピン番号2および4に対応している。PE部3のN個のテスタピンPは固定された状態なっているが、各テスタピンPに対して任意のDUT2を自由に接続可能になっている。ユーザは任意に接続関係を設定することで、DUT2と半導体試験装置1との物理的な位置関係を最適にすることができる。従って、ユーザは接続関係を設定する必要があり、この設定を対応表設定部6により行う。
【0025】
対応表設定部6により設定された対応表は対応表記憶部5に記憶され、変換部11に出力される。変換部11は対応表に基づいて、パスフェイル情報の入力と出力との経路を変換する。例えば、対応表にはDUT番号1とテスタピン番号1および3が記憶されており、テスタピン番号1および3から入力したパスフェイル情報を1つのグループとして出力するようにしている。
【0026】
図1に示すように、PE部3から出力されたときのパスフェイル情報は同じDUT2から出力されたもの同士がグループ化されていない状態になっている。このため、変換部11は同じDUT2に対応するパスフェイル情報を隣接して出力することでグループ化を行うようにしている。これにより、同じDUT2に対応するパスフェイル情報が相互に隣接し、1つのグループを形成することができる。なお、パスフェイル情報同士は、隣接させなくても1つのグループを形成するものであれば任意の出力関係を採用してもよい。
【0027】
論理和演算部12は複数の論理和回路21(21(1)〜21(N/2))を有している。論理和回路21は変換部11でグループ化された各グループのパスフェイル情報を入力している。図1の例では、各グループは2つのパスフェイル情報から構成され、これは1つのDUT2のDUTピンの数と一致する。従って、論理和回路21は2つの入力端を持つ。
【0028】
例えば、論理和回路21(1)はDUT2(1)に対応したグループのパスフェイル情報について論理和の演算を行うため、変換部11により1つのグループにグループ化されたパスフェイル情報P(1)およびP(3)の2つのパスフェイル情報を入力している。同様に、論理和回路21(2)はパスフェイル情報P(2)およびP(4)の2つのパスフェイル情報を入力している。なお、パスフェイル情報PとはテスタピンPに対応するパスフェイル情報になる。
【0029】
論理和回路21は2つのパスフェイル情報の論理和の演算を行う。つまり、1つのDUT2に対応する2つのDUTピンのパスフェイル情報の論理和をとっている。これら2つのパスフェイル情報の何れかがフェイルであるということは、対応するDUTそのものがフェイルしていることを表している。従って、同じDUT2に対応する2つのパスフェイル情報の論理和をとることにより、DUT2自身にフェイルが生じているか否かを検出できる。
【0030】
図1の例では、DUT2には2つのDUTピンが備えられているため、論理和回路21の個数はN/2になる。勿論、DUT2のDUTピンの個数は任意に設定でき、1つのDUT2のDUTピンの数がM(Mは2以上の整数)であれば、論理和回路21の個数はN/M(以下に説明するDUT情報も同様)になる。
【0031】
各論理和回路21の演算結果はDUT情報出力部13に出力される。DUT情報出力部13はDUT情報を出力する。ここで、DUT情報は対応するDUTにフェイルを生じているか否かの情報(被試験デバイス情報)であり、つまり論理和回路21の演算結果の情報になる。パスフェイル情報は1ビットの信号になり、2つのパスフェイル情報の論理和の演算を行った信号がDUT情報になるため、DUT情報も1ビットの信号になる。
【0032】
図1では、N/2個のDUT情報出力部13の番号を示している。各DUT情報出力部13から出力されるDUT情報は論理積演算部14に入力される。図1では、DUT情報出力部13を設けているが、論理和演算部12から直接的に論理積演算部14にDUT情報を入力させるようにしてもよい。
【0033】
論理積演算部14は各DUT情報の論理積の演算を行うことにより、全DUTフェイル情報(全てのDUTにフェイルが生じているか否かの情報)を生成する。DUT情報は1ビットの信号であり、全てのDUT情報の論理積をとることにより、全DUTフェイル情報を検出できる。つまり、DUT情報は1つのDUTに関してパス「0」またはフェイル「1」の情報であり、全てのDUT情報の論理積の演算を行うことにより、全てのDUT情報が「1」であるときのみ論理積の演算結果は「1」になり、それ以外の場合は「0」になる。これが全DUTフェイル情報になる。
【0034】
論理積演算部14が生成した全DUTフェイル情報は判定部15に出力される。判定部15は全DUTフェイル情報に基づいて、「1」であれば全DUTフェイルが生じており、「0」であれば全DUTフェイルが生じていないことを検出する。
【0035】
次に、以上の構成における動作について図3のフローチャートを用いて説明する。最初に、変換部11に対応表の転送が行われる(ステップS1)。ユーザは予めテスタピンPとDUT2との関係に基づいて対応表を対応表設定部6に設定する。対応表設定部6に設定された対応表は対応表記憶部5に記憶されており、半導体試験装置1の動作開始時には最初に対応表記憶部5に記憶された対応表が変換部11に転送される。
【0036】
次に、半導体試験装置1が試験を行う対象となるDUT2の種類や個数等の種々の目的に応じた試験内容に基づくテスト条件が設定される(ステップS2)。このテスト条件の設定が完了した後に、DUT2の試験開始の準備が完了する。そして、DUT2の試験が実行される(ステップS3)。
【0037】
DUT2の試験は、図示しないコンピュータ等により設定されたテストパターンに基づいてPE部3からDUT2に対して試験信号を入力することにより行う。各DUT2は試験信号に基づいて出力信号を出力し、この出力信号がPE部3の各テスタピンPに入力される。PE部3は期待値とテスタピンPから入力した出力信号とを比較してパスフェイル情報を生成する。
【0038】
PE部3が生成したN個のパスフェイル情報はテスタピンPの配列どおりに変換部11に出力される。DUT2とテスタピンPとの接続関係を自由に変更しているため、PE部3から変換部11に出力されるパスフェイル情報は不規則な並びになっている。このため、変換部11は対応表記憶部5に記憶されている対応表に基づいて、パスフェイル情報をグループごとに纏めるように経路変換する(ステップS4)。
【0039】
図2に示したように、対応表にはテスタピン番号1および3はDUT番号1とした対応関係が明示されており、変換部11はこの対応表に基づいて論理回路を変更する。これにより、不規則な並びのパスフェイル情報をDUT2ごとにグループ化することができるようになる。
【0040】
変換部11はDUT2ごとにパスフェイル情報をグループ化して出力する。論理和演算部12は各グループのパスフェイル情報を入力して論理和の演算を行うことにより、DUT情報を生成する(ステップS5)。論理和演算部12の論理和回路21は入力した2つのパスフェイル情報のうち何れか一方がフェイル「1」のときには、DUT情報として「1」を出力する。これにより、DUT2を単位としてフェイルを生じているか否かのDUT情報を生成している。
【0041】
論理和演算部12の演算結果はDUT情報出力部13により論理積演算部14に出力され、論理積演算部14により全てのDUT情報に対して論理積の演算が施される(ステップS6)。これにより、全てのDUT2にフェイルが生じているか否かの全DUTフェイル情報が得られる。そして、判定部15は全DUTフェイル情報を参照することにより、全てのDUT2がフェイルしているか否かを判定する(ステップS7)。
【0042】
判定部15により全てのDUT2がフェイルしていないと判定した場合(つまり、全DUTフェイル情報が「0」の場合)には、処理を続行する。この場合には、現在のテストパターンが終了しているか否かを判定し(ステップS8)、終了していなければ、現在のテストパターンによる試験を続行するためにステップS3に戻る。
【0043】
一方、ステップS7において全てのDUT2がフェイルしていると判定した場合(つまり、全DUTフェイル情報が「1」の場合)には、試験処理を中断してエラー処理を行う(ステップS9)。全DUTフェイルになっている場合には、半導体試験装置1とDUT2との接続関係に不良を生じている場合やテスト条件の設定に誤りが生じている場合等が考えられる。つまり、障害を生じている状態になる。従って、全ての試験処理を一時的に中断して、発生している障害の復旧を行う。この試験処理の中断から障害の復旧の一連の処理がエラー処理になる。エラー処理を行うことにより、試験を再開することが可能になる。
【0044】
ステップS8でテストパターンが終了した場合およびステップS9のエラー処理を行った場合には全てのテストが終了したか否かを判定する(ステップS10)。1つのテストパターンが終了したときに、次のテストパターンがあれば当該テストパターンで試験を行うべく、再度テスト条件を設定する処理から開始するステップS2の処理を行う。また、テストパターンがなければ試験を終了する。一方、エラー処理を行った場合には、同じく次のテストパターンがあるか否かによって、ステップS2のテスト条件の設定処理または試験の終了の何れかを行う。
【0045】
以上説明したように、半導体試験装置1における複数のテスタピンPと複数のDUT2との接続関係を物理的な制約から自由に設定したとしても、変換部11によりDUT2ごとにグループ化して、グループごとにパスフェイル情報に対して論理和の演算を行ってDUT情報を生成すると共に、全てのDUT情報に対して論理積の演算を行うことにより、全DUTフェイルを検出できるようになる。
【0046】
ところで、図1はテスタピンPとDUT2との位置関係を自由に変更した場合の例を示したが、図4にテスタピンPとDUT2との位置関係を変更しない場合の例(変形例1)を示す。この場合には、DUT(1)がテスタピンP(1)およびP(2)に接続されており、DUT(2)がテスタピンP(3)およびP(4)に接続された状態になっている。
【0047】
図4の場合には、対応表に基づく変換を行わなくてもパスフェイル情報は隣接しており、実質的にグループ化された状態になっている。この場合には、変換部11を介さずに直接的に論理和演算部12にパスフェイル情報を入力させるようにすることもできる。勿論、DUT番号1とテスタピン番号1および2とを対応させ、DUT番号2とテスタピン番号3および4とを対応させているような対応表を用いれば、変換部11を介在させるようにしてもよい。
【0048】
図5には、DUT2のDUTピンが1つの場合の例(変形例2)を示している。この場合には、DUT2ごとにパスフェイル情報をグループ化する必要はない。このため、論理和演算部12は不要になる。図5の場合には、DUT2とテスタピンPとが1対1の関係になる。ただし、物理的な位置関係の制約から、DUT2とテスタピンPとの接続関係は自由に変更可能になっている。
【0049】
従って、対応表に基づいて変換部11によりパスフェイル情報を変換することにより、対応するDUT情報をDUT情報出力部13から出力させている。そして、論理積演算部14により論理積をとることにより、全DUTフェイル情報を生成し、判定部15が全DUTフェイルを生じているか否かを検出している。
【0050】
図5の場合には、最終的に論理積演算部14により全てのDUT情報に対して論理積の演算を行っているため、PE部3から出力されたパスフェイル情報が何れのDUT2に対応するかの関係性を明確にしなくてもよい。つまり、変換部11によりパスフェイル情報の対応関係を変換しなくてもよいため、変換部11は不要になる。
【0051】
ただし、DUT2ごとに個別的にパスフェイル情報が必要な場合であり、且つ全DUTフェイルの検出も必要な場合には、図5のような構成を採用することにより、DUT2ごとにDUT情報を得ると同時に、全DUTフェイルの検出も可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体試験装置 2 DUT
3 PE部 4 演算回路
5 対応表記憶部 6 対応表設定部
11 変換部 12 論理和演算部
13 DUT情報出力部 14 論理積演算部
15 判定部 21 論理和回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被試験デバイスから出力される出力信号に基づいて前記被試験デバイスのパスフェイル情報を生成する試験部を備えた半導体試験装置であって、
前記被試験デバイスに接続される前記試験部の複数のピンと前記被試験デバイスとの対応関係を記憶した対応表に基づいて、被試験デバイスごとに前記パスフェイル情報をグループ化して出力する変換部と、
前記被試験デバイスごとにグループ化されたパスフェイル情報を入力して論理和の演算を行い、被試験デバイス情報として出力を行う複数の論理和演算部と、
これら複数の論理和演算部から出力される全ての被試験デバイス情報に対して論理積の演算を行う論理積演算部と、
を備えたことを特徴とする半導体試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate