説明

半径方向篩モジュール

【課題】 半径方向篩モジュールを提供する。
【解決手段】 半径方向篩モジュールは、二つの対向端部を持つハウジングを備えている。多孔質内チューブがハウジング内に設けられており、ガス流を半径方向に通過させるようになっている。多孔質外チューブが多孔質内チューブを実質的に取り囲んでいる。多孔質外チューブは、更に、ハウジングとの間にチャンバが形成されるようにハウジングから所定距離だけ離間されている。吸着剤が、多孔質内チューブの少なくとも一部と多孔質外チューブの少なくとも一部との間に設けられている。端キャップがハウジングの二つの対向端部の各々と隣接して位置決めされており、これによってハウジングを実質的にシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、篩モジュールに関し、更に詳細には、ガス流を半径方向に通過させるようになっている篩モジュール、すなわち、半径方向篩モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
篩モジュールは、多くの場合、様々な部品で形成されている。部品点数によっては、デバイスの効率を向上する特徴である実質的に短い床長を形成するのが困難になる。篩モジュールの様々な部品を製造するのに要する費用は、床長が短いデバイス程効率的には作動しないデバイスについて、大幅に高くなる。かなり複雑であり且つ費用が掛かる製造方法の例には、ガス流を分配するためのマニホールドを持つ床間に、管状の中空繊維を分配する必要がある方法が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、部品点数が少ない半径方向篩モジュールを提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中、半径方向篩モジュールを開示する。このモジュールは、二つの対向端部を持つハウジングを備えている。多孔質内チューブがハウジング内に設けられており、ガス流を半径方向に通過させるようになっている。多孔質外チューブが多孔質内チューブを実質的に取り囲んでおり、多孔質外チューブは、更に、ハウジングとの間にチャンバー(室)が形成されるようにハウジングから所定距離だけ離間されている。吸着剤が、多孔質内チューブの少なくとも一部と多孔質外チューブの少なくとも一部との間に設けられている。端キャップが、ハウジングの二つの対向端部の各々と隣接して位置決めされており、これによってハウジングを実質的にシール(密封)する。
【0005】
本発明の実施例の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面を参照することにより、明らかになるであろう。添付図面では、同じ参照番号が、同様であるが必ずしも同一ではない構成要素に付してある。簡潔化を図る目的で、参照番号、又は前に説明した機能を持つ特徴は、必ずしも、他の図面と関連して説明しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書中に開示した半径方向篩モジュール(及びその使用方法)の実施例は、有利には、医療の目的で、窒素(又は他の望ましからぬガス)を取り出してかなり高濃度の酸素を提供するのに使用されてもよい。更に、半径方向篩モジュールの実施例は、一つ又はそれ以上の吸着剤床を一体化し、一つの連続した半径方向に延びる床にしてもよい。更に、半径方向篩モジュールの一実施例は、吸着剤床の大きさを小さく(即ち短く)し、及び/又はデバイスの構成要素の数を少なく(即ち減少)するようになっている。更に、半径方向篩モジュールの一実施例は、圧力変動吸着(PSA:pressure swing adsorption)プロセスを組み込んだシステムで使用してもよく、有利には、高速応答PSAサイクルを促してもよい。床の長さが短いと、適切にタイミングを取った(調時した)加圧/流れサイクルで使用した場合にモジュールの効率が向上すると考えられている。
【0007】
図1乃至図4を参照すると、これらの図には、ガス流の方向を径方向に流す篩モジュール(すなわち、半径方向篩モジュール)10が示してある。半径方向篩モジュール10は、概ね、二つの対向端部(両端)18、22を持つハウジング14と、このハウジング14内に設けられた多孔質内チューブ26と、多孔質外チューブ30とを備えている。多孔質外チューブ30は、この多孔質内チューブ26を実質的に取り囲み、ハウジング14との間に中空チャンネル34が形成されるようにハウジング14から離間されて所定の間隔を形成している。半径方向篩モジュール10は、更に、多孔質内チューブ26の少なくとも一部と多孔質外チューブ30の少なくとも一部との間に設けられた吸着剤38を含む。端キャップ42、42’が、ハウジング14の二つの対向端部18、22の各々と隣接して設けられており、これによってハウジング14を実質的にシールする。
【0008】
一実施例では、ハウジング14は、全体に実質的に円筒形形状を有する。しかしながら、任意の適当な形状にハウジング14を形成してもよいということは、本開示の範疇に含まれると考えられる。任意の適当な形状としては、他の規則的な幾何学的形状又は不規則な幾何学的形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されない。ハウジング14は、ハウジング14の外壁を通してガスを流すことができない材料で形成されているということは理解されるべきである。一般的には、ハウジング14は、モジュール10に流入するガスと反応せず、使用される圧力サイクルに耐えることができる任意の材料で形成される。ハウジング14の適当な材料の例としては、アルミニウム(例えば押出しアルミニウム)、圧力容器の必要条件(例えば加えられる圧力等)を考慮して設計されたエンジニアリング等級の熱可塑性のプラスチック等、又はこれらの組み合わせなどが挙げられるが、もちろん、これらの例に限定されるものではない。
【0009】
ハウジング14は、対向端部18、22と隣接して配置された二つの端キャップ42、42’でシールされる。一実施例では、これらの端キャップ42、42’の各々は、ハウジング14と一体に形成される。このように、端キャップ42、42’は、ハウジング14と同じ材料で形成されていてもよい。特に図4に示す別の実施例では、一方の端キャップ42をハウジング14と一体に形成する。この際、他方の端キャップ42’は別体の部品であり、ハウジング14との間に任意の適当なシール部材16を置いてハウジング14に取り付けられてもよい。更に別の実施例では、両端キャップ42、42’は、ハウジング14と密封係合するように形成された、ハウジング14とは別体の部品であってもよい。この実施例では、端キャップ42、42’の一方が、二つの対向端部のうちの一方の対向端部18、22と密封係合していてもよく、端キャップ42’、42の他方が、二つの対向端部のうちの他方の対向端部22、18と密封係合していてもよい。こうした密封係合の夫々は、シール部材16又は他の適当なシール手段を介して行われる。
【0010】
シール部材16は、任意の適当なシール材料で形成されていてもよいということは理解されるべきである。一実施例では、シール部材16は、O−リング、非透過性のダイカット(打ち抜き)された又は成形されたガスケット等、及び/又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。端キャップ42、42’は、別の態様では、当該端キャップとハウジングとの間をシールするため、ハウジング14にプレス嵌め(圧入)されるように設計されていてもよいし、ハウジング14及びチューブ26、30に溶接されていてもよい。端キャップ42、42’をハウジング14にシールするための別の方法には、溶剤による結合及び/又は接着剤を使用することが含まれる。
【0011】
半径方向篩モジュール10の実施例は、更に、チューブ26、30の各々と夫々の端キャップ42、42’との間のシールを含む。シール部材16、又は任意の他の適当なシール手段を使用してもよく、これによってガスが夫々のチューブ26、30の外側に実質的に漏れないようにするということは理解されるべきである。非限定的例では、プレス嵌めにより、多孔質内チューブ26と夫々の端キャップ42、42’との間、及び多孔質外チューブ30と夫々の端キャップ42、42’との間を十分にシールできる。
【0012】
ハウジング14及び任意の一体の端キャップ42、42’は、任意の適当な方法で形成されてもよい。このような方法の一つの非限定的例は、所定形状の金型を使用する型成形である。金型の所定の形状は、少なくとも部分的には、端キャップ42、42’の一方又は両方がハウジング14と一体成形されているのかで決まる。
【0013】
端キャップ42、42’は、ガス流を差し向ける(案内する)ようになっていてもよいということは理解されるべきである。一般的には、一方の端キャップ42、42’が、ガス流を、多孔質内チューブ26内に差し向け、他方の端キャップ42’、42が、ガス流を、中空チャンネル34から出るときに収集することができる。かくして、ガスは、一方の対向端部18に設けられた一方の端キャップ42、42’を介して、多孔質内チューブ26のところでモジュール10内に差し向けられ、中空チャンネル34のところで、他方の対向端部22に設けられた別の端キャップ42’、42を介して、モジュール10の外に差し向けられる。
【0014】
変形例では、一方の端キャップ42、42’が、ガス流を、中空チャンネル34内に差し向けてもよく、他方の端キャップ42’、42が、ガス流を、多孔質内チューブ26を出るときに収集してもよい。かくして、ガスは、中空チャンネル34のところで、一方の対向端部22に設けられた一方の端キャップ42、42’を介してモジュール10内に差し向けられてもよく、多孔質内チューブ26のところで他方の対向端部18に設けられた別の端キャップ42’、42を介してモジュール10の外に差し向けられてもよい。
【0015】
更に別の変形例では、一方の端キャップ42、42’がガス流を差し向け且つ収集するようになっており、他方の端キャップ42’、42はシーラントとして作用する。このように、この実施例では、ガス流は多孔質内チューブ26内に差し向けられてもよく、端キャップ42、42’を通って中空チャンネル34から外に差し向けられてもよい。
【0016】
ガスを通過させることができる端キャップ42、42’の実施例は、一つの主孔43、43’を含み、更に追加の小孔44を備えていてもよい。非限定的例では、ガスの収集に適した端キャップ42、42’は、追加の小孔44を備えている。更に、図1及び図4に示すように、端キャップ42’は、二つの別々の部品を含んでいてもよい(図4参照)。これらの部品は互いに嵌着(図3参照)し、ハウジング14の対向端部22のところに密封係合部を形成する。端キャップ42、42’の二つの別々の部品間の密封係合部は、任意の適当な手段(例えば、プレス嵌め、溶接、溶剤溶接、接着剤結合、シール部材16、等)によって形成してもよい。一実施例では、小孔44が中空チャンネル34を主孔43、43’に連結し、別の実施例では、小孔44は、主孔43、43’と同様に作用し、収集したガスを出口に通過させる。追加の小孔44は、ガス流の収集の制御を実質的に補助するということは理解されるべきである。
【0017】
半径方向篩モジュール10は、更に、多孔質内チューブ26の少なくとも一部と多孔質外チューブ30の少なくとも一部との間に収容された吸着剤38(図2参照)を含む。吸着剤38は、実質的に所定の長さLに亘って(例えば、一方の対向端部18から他方の対向端部22まで、又は一方端キャップ42、42’から他方の端キャップ42’、42まで)、及び多孔質内チューブ26及び多孔質外チューブ30の「床長(bed length)」Bに亘って延びるように形成されていてもよい(L及びBの両方が図2に示してある)。本明細書中で使用したように、「床長」という用語は、多孔質内チューブ26から多孔質外チューブ30までの半径方向距離に関する。一般的には、吸着剤38は、多孔質内チューブ26と多孔質外チューブ30との間の領域を実質的に完全に充填するように形成される。
【0018】
床長Bは、使用されるPSAサイクルの一次関数と定義されるということは理解されるべきである。この長さBは、ガスの流れ時間と比例する。床長が短いと、流れサイクルが短い(即ち流れ時間が短い)と考えられる。非限定的例では、床長Bは、PSAプロセス中に床(酸素純化の場合)を通って移動する窒素波面(nitrogen wave front)によって制限される。
【0019】
PSAについての代表的なサイクルは、約8秒乃至約15秒である。このようなサイクルについて、床長Bは、約100mm乃至約400mmの範囲内にあってもよい。本明細書中に開示した半径方向篩モジュール10の非限定的例な例示の実施例は、約2秒よりも短いPSAサイクルを使用し、床長Bは約5mm乃至約40mmの範囲内にある。これは、有利には、吸着剤38の必要な容積及び半径方向篩モジュール10の全容積を減少する。
【0020】
一実施例では、吸着剤38は、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施例では、吸着剤38は、Li−LSXビード(Li−LSX bead)、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトLSX、MCM−41ゼオライト、活性アルミナ、及び/又はシリコアルミノフォスフェート(SAPOS)、及び/又はこれらの組み合わせから選択される。一般的には、吸着剤38は複数の粒子を含む。吸着剤38が多孔質内チューブ26と多孔質外チューブ30との間に収容される場合には、多孔質内チューブ26及び多孔質外チューブ30の複数の孔の各々の最大直径は、吸着剤38の複数の粒子の各々の最小直径よりも小さい。これにより、吸着剤38は、多孔質内チューブ26と多孔質外チューブ30との間に確実に保持される。このように吸着剤38の粒子の大きさ(即ち直径)は、少なくとも部分的には、多孔質内チューブ26及び多孔質外チューブ30に選択された材料で決まる。幾つかの実施例では、どのような直径でも適している。非限定的実施例として、吸着剤38の粒子の直径は、約100μm乃至約800μmの範囲内にあり、又は約400μm乃至約800μmの範囲内にある。
【0021】
吸着剤38は、幾つかの流体(例えば気体分子、汚染物、水分子、等)を選択的に捕捉できると同時に、他の流体を通過させることができる。一般的には、吸着率(又は吸着速度)は、選択された吸着剤38に特有なものとなっている。一実施例では、ガス流は、少なくとも酸素及び他のガスを含む。非限定的例として、ガス流は空気であってもよく、これによって、吸着剤38は、空気から、窒素及び酸素を大幅に異なる割合又は速度で捕捉してもよく、これによって、酸素を実質的に浄化できる。他の実施例では、吸着剤38は、特定の汚染物を浄化の対象とすることによって他のガスを浄化するように設計されていてもよい。更に別の実施例では、吸着剤38を乾燥用デバイスとして使用してもよい。
【0022】
更に別の実施例では、比較的薄い(例えば、床長Bの約1/100乃至床長Bの約1/50)、吸着剤38の皮膜層を、水分を含むガスに露呈された場合に水を分離するための乾燥層として作用するように変え又は非活性化する。この水分を含むガスに露呈されると、この吸着剤38の皮膜層は、一般的には、窒素(又は分子の大きさが窒素とほぼ同じガス)を分離できないが、PSAの各サイクルで来入ガスから水分子を分離し続け、取り除き続ける。本明細書中に説明した実施例による半径方向篩モジュール10は、この乾燥濾過層について、吸着剤38の変換又は非活性化を行うため、従来の床設計よりも大きな表面積を提供する。これは、多くの状況で有利であることがわかった。その一例は、湿った気候である。
【0023】
一実施例では、多孔質内チューブ26及び/又は多孔質外チューブ30は、多孔質ポリマー材料で形成される。上述のように、チューブ26、30の孔は、吸着剤38の粒子の最小直径よりも小さい。非限定的例として、吸着剤38の粒子の最小直径よりも小さい孔を有する、エンジニアリング等級の任意の非吸湿性の熱可塑性材料を使用してもよい。粒径が約300μmよりも大きい吸着剤38を使用する実施例では、多孔質内チューブ26及び/又は多孔質外チューブ30の孔径は、約300μm、又はそれ以下である。しかしながら、吸着剤38の粒径がこれよりも大きい場合には、多孔質内チューブ26及び/又は多孔質外チューブ30の孔径を、これに従って大きくしてもよく、吸着剤38の粒径がこれよりも小さい場合には、多孔質内チューブ26及び/又は多孔質外チューブ30の孔径を、これに従って小さくしてもよいということは理解されるべきである。
【0024】
多孔質内チューブ26及び/又は多孔質外チューブ30に従って床長Bを設計することにより、モジュール10を形成するための部品の数が大幅に減少する。幾つかの従来のモジュールは、多床設計を有し、多数の短い床が直線状に(次々に並んで)配置される。この直線状設計は、モジュールの全容積を大幅に増大する。これは、少なくとも部分的には、1つの床から他の床までで必要な間隔のためであり、ガスを多数の流路に分配するのにマニホールドが必要とされる。これとは対照的に、本明細書中に開示したモジュール10の実施例は、有利には、その効率を維持し又は増大しながら、容積が減少する。
【0025】
半径方向篩モジュール10(又は複数の半径方向篩モジュール10)を、酸素濃縮器システムで使用してもよい。このシステムは、患者に高濃度の酸素を長期間に亘って供給するのに使用できる。更に、モジュール10のこれらの実施例を乾燥(デシカント)システムで使用してもよい。更に、モジュール10を、PSAサイクル/プロセスに組み込んだシステムで使用してもよく、その場合、ガスの製造、濃縮、又は分離を行うのに一つ又はそれ以上のモジュール10を使用してもよい。
【0026】
酸素を濃縮するための方法の一実施例は、端キャップ42、42’の一方の主孔43、43’を通して、ガス流を、多孔質内チューブ26の中央又は中空チャンネル34に案内する(又は差し向ける)工程を含む。ガス流は、先ず最初に、チューブ26又はチャンネル34の長さと平行に移動するということは理解されるべきである。一実施例では、ガスを加圧し(代表的には、コンプレッサによって)、一連のバルブによりモジュール10のうちの一つ又はそれ以上に制御下で導入する。これらのバルブは、マイクロプロセッサにより、加圧タイミングと、床(即ち、吸着剤38が配置された、多孔質内チューブ26と多孔質外チューブ30との間の領域)の流れ及び排気とを考慮に入れて、制御することができる。前記タイミングと、前記床の流れや排気は、少なくとも部分的には、使用された吸着剤38及び床長Bによって決定できる。バルブの設計は、システム設計に基づいて適切な流れを提供するため、制御アルゴリズムに従って開発されてもよいということは理解されるべきである。
【0027】
一実施例では、方法は、多孔質内チューブ26内の圧力を上昇させることにより、ガス流の方向を半径方向(すなわち、径方向)に(チューブ26を通る最初のガス流に対して実質的に垂直方向に)変えて多孔質内チューブ26の小孔に通す工程を更に含む。別の実施例では、方法は、中空チャンネル34内の圧力を上昇することにより、ガス流の方向を半径方向に(チャンネル34を通る最初のガス流に対して実質的に垂直方向に)変えて多孔質外チューブ30の小孔に通す工程を更に含む。いずれの実施例でも、圧力の上昇は、コンプレッサによって行われてもよい。ガスは、多孔質内チューブ26又は多孔質外チューブ30を通って半径方向に流れた後、吸着剤38と接触し、これによって、ガス流の(望ましからぬ)ガス分子が吸着され、これによって被吸着ガス流を形成する。
被吸着ガス流は、吸着剤38を通って流れ続けるガス流であり、望ましからぬ分子がそこから除去されるということは理解されるべきである。
【0028】
ガスが、先ず最初に、多孔質内チューブ26を介してモジュール10に導入される実施例では、方法は、被吸着ガス流を多孔質外チューブ30の小孔を通して中空チャンネル34内に差し向ける工程を更に含む。ハウジング14がガス不透過性材料で形成されているため、被吸着ガス流は、端キャップ42、42’に向かって差し向けられ、ここで収集される。ガスが、先ず最初に、中空チャンネル34を介してモジュール10に導入される実施例では、方法は、被吸着ガス流を多孔質内チューブ26の小孔を通して端キャップ42、42’に向かって差し向ける工程を更に含む。ガスは、端キャップ42、42’のところで収集される。
【0029】
図5Aは、図1の半径方向篩モジュール10の実施例の概略図を示す。図5Bは、図5Aの5B−5B線に沿った断面図を示す。図5A及び図5Bの実施例では、半径方向篩モジュール10は、一方の端キャップ42、42’の外面から他方の端キャップ42’、42の外面まで、約80mmの長さ46を有し、一方の端キャップ42、42’の内面から他方の端キャップ42’、42の内面まで、約65mmの長さL,50を有する。更に、図5Bの実施例では、ハウジング14の外径54は約38mmであり、多孔質外チューブ30の内径58は約28mmであり、多孔質内チューブ26の外径62は約8mmであり、多孔質内チューブ26の内径66は約4mmである。
【0030】
ここに開示した寸法は、少なくとも部分的に、使用される吸着剤38に応じて、及び/又はモジュール10の又はこのモジュールが使用されるシステムの全容量に応じて、変化してもよいということは理解されるべきである。多孔質内チューブ26と多孔質外チューブ30との間の寸法(床長Bを形成する)は、更に、使用される吸着剤38で決まる。更に、多孔質内チューブ26及び多孔質外チューブ30の長さL,50は、少なくとも部分的に、モジュール10又はこのモジュールを組み込んだシステムが必要とする出力容量に応じて変化してもよい。
【0031】
幾つかの実施例を詳細に説明したが、ここに開示した実施例を変更してもよいということは、当業者には明らかであろう。従って、以上の説明は、限定でなく例示であると考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、半径方向篩モジュールの分解斜視図である。
【図2】図2は、半径方向篩モジュールの一実施例の断面図である。
【図3】図3は、半径方向篩モジュールの別の実施例の斜視図である。
【図4】図4は、図3の半径方向篩モジュールの分解斜視図である。
【図5A】図5Aは、図1の実施例の概略正面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの5B−5B線での概略断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 半径方向篩モジュール
14 ハウジング
16 シール部材
18、22 対向端部
26 多孔質内チューブ
30 多孔質外チューブ
34 中空チャンネル
38 吸着剤
42、42’ 端キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向篩モジュールであって、
二つの対向端部を持つハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、流体を半径方向に通過させるようになった多孔質内チューブと、
前記多孔質内チューブを実質的に取り囲み、前記ハウジングとの間に中空チャンネルが形成されるように前記ハウジングから所定距離だけ離間された多孔質外チューブと、
前記多孔質内チューブの少なくとも一部と前記多孔質外チューブの少なくとも一部との間に設けられた吸着剤と、
前記ハウジングの前記二つの対向端部の各々と隣接しており、これによって前記ハウジングを実質的にシールする端キャップとを備えた、半径方向篩モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記端キャップの一方は、前記ハウジングと一体的に成形されている、半径方向篩モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記端キャップの各々は、前記ハウジングと一体的に成形されている、半径方向篩モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記端キャップの一方は、前記二つの対向端部のうちの一方と密封係合しており、前記端キャップの他方は、前記二つの対向端部のうちの他方と密封係合しており、前記密封係合は、夫々、シール部材を介して行われる、半径方向篩モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記吸着剤は、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、及びこれらの組み合わせから選択される、半径方向篩モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記端キャップの一方は、ガス流を前記多孔質内チューブ又は前記中空チャンネルのうちの一方に案内するように形成されており、
前記端キャップの他方は、ガス流が前記中空チャンネル又は前記多孔質内チューブのうちの他方を出るときに、ガス流を収集するように形成されている、半径方向篩モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記端キャップの一方は、ガス流を差し向け、及びガス流を収集するようになっている、半径方向篩モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記吸着剤は、実質的に前記多孔質内チューブ及び前記多孔質外チューブの全長に亘って延びるように形成されている、半径方向篩モジュール。
【請求項9】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記多孔質内チューブ及び前記多孔質外チューブの各々は、多孔質ポリマー材料で形成されている、半径方向篩モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記多孔質内チューブ及び前記多孔質外チューブの各々は、孔径が前記吸着剤の最小直径よりも小さい非吸湿性の熱可塑性材料で形成されている、半径方向篩モジュール。
【請求項11】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールにおいて、
前記多孔質内チューブ及び前記多孔質外チューブの各々は、複数の小孔を有し、前記吸着剤は複数の粒子を含み、前記複数の小孔の各々の最大直径は、前記複数の粒子の各々の最小直径よりも小さい、半径方向篩モジュール。
【請求項12】
請求項1に記載の半径方向篩モジュールの使用方法において、
前記方法は、前記半径方向篩モジュールを酸素濃縮器システムに配置して作動させる工程を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
複数の前記半径方向篩モジュールを、前記酸素濃縮器システムに配置して作動させる、方法。
【請求項14】
酸素を濃縮するための方法であって、
多孔質外チューブ内に配置された多孔質内チューブを通してガス流を案内する工程を備え、
前記多孔質外チューブ及び前記多孔質内チューブの各々は、ハウジング内に配置されており、
吸着剤が、実質的に前記多孔質内チューブと前記多孔質外チューブとの間に配置されており、中空チャンネルが、前記多孔質外チューブと前記ハウジングとの間に形成されており、
前記方法は、また、
前記多孔質内チューブ内の圧力を上昇することによって、前記ガス流の方向を半径方向に変えて多孔質内チューブの小孔及び吸着剤を通し、これによって、前記吸着剤が前記ガス流の少なくとも一つのガス分子を吸着し、これによって被吸着ガス流を形成する工程と、
前記被吸着ガス流を多孔質外チューブの小孔を通して前記中空チャンネル内に案内する工程と、
前記中空チャンネルから前記被吸着ガス流を収集する工程とを備えた、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記ガス流は、少なくとも酸素と、少なくとも一つのガス分子を含む他のガスとを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記他のガスは窒素ガスである、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
前記多孔質内チューブを通して案内される前記ガス流は、前記半径方向ガス流に対して実質的に垂直な第1方向に流れる、方法。
【請求項18】
酸素を濃縮するための方法であって、
多孔質外チューブとハウジングとの間に形成された中空チャンネルを通してガス流を案内する工程を備え、
前記多孔質外チューブは多孔質内チューブを実質的に取り囲んでおり、吸着剤が、実質的に、前記多孔質内チューブと前記多孔質外チューブとの間に配置されており、
前記方法は、また、
前記中空チャンネル内の圧力を上昇することによって、前記ガス流の方向を半径方向に変えて前記多孔質外チューブの小孔及び前記吸着剤に通し、これによって、前記吸着剤が前記ガス流の少なくとも一つのガス分子を吸着し、これによって被吸着ガス流を形成する工程と、
前記被吸着ガス流を前記多孔質内チューブの小孔を通して前記多孔質内チューブの中央に案内する工程と、
前記被吸着ガス流を前記多孔質内チューブの前記中央から収集する工程とを備えた、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記ガス流は、少なくとも酸素と、少なくとも一つのガス分子を含む他のガスとを含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記中空チャンネルを通して案内される前記ガス流は、前記半径方向ガス流に対して実質的に垂直な第1方向に流れる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2008−36632(P2008−36632A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−203915(P2007−203915)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】