半自動化された眼科用光凝固の方法及び器具
【課題】患者の眼内の標的組織に対する治療を行うための眼科的処置システム及び方法を提供すること。
【解決手段】送達系が、患者の眼に処置光を送達し、カメラが患者の眼のライブ画像をキャプチャする。制御電子機器が、送達系を制御し、患者の眼の処置前画像をカメラのライブ画像に見当合わせし(処置前画像は、患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む)、送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証する。制御電子機器は、トリガ装置の起動と送達系が標的組織に位置合わせされていることの検証との両方に応答して、患者の眼の上に処置光を投射させるように送達系を制御するとともに、眼の運動を追跡するよう送達系を調整する。
【解決手段】送達系が、患者の眼に処置光を送達し、カメラが患者の眼のライブ画像をキャプチャする。制御電子機器が、送達系を制御し、患者の眼の処置前画像をカメラのライブ画像に見当合わせし(処置前画像は、患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む)、送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証する。制御電子機器は、トリガ装置の起動と送達系が標的組織に位置合わせされていることの検証との両方に応答して、患者の眼の上に処置光を投射させるように送達系を制御するとともに、眼の運動を追跡するよう送達系を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の眼の眼科的処置に関し、より詳細には、患者の眼の半自動化眼科的光医学処置のための機械及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
現在、糖尿病性網膜症、静脈閉塞及び加齢性黄斑変性といった症状は、可視レーザ光によって誘発される光凝固を用いて処置されている。このタイプの可視レーザ光処置は基礎疾患の進行を食い止めることができるが、課題もあり得る。
【0003】
1つの問題は、眼科的処置によっては網膜に多数のレーザ線量を適用する必要とすることがあり、退屈で時間がかかる場合があることである。そのような処置は、各線量を、標的組織に適用されるレーザ・ビーム・スポットの形態で所定の時間適用することを必要とする。医師は、各々のレーザ光スポットを、永続的な意図しない損傷を生じさせる恐れのある網膜黄斑のような眼の感受性の高い領域からできる限り離して、意図した標的組織上に正しく位置決めすることを保証する責任がある。処置によっては、標的組織を処置するために数百ものレーザ・ビーム・スポットを必要とすることがあるので、全体の処置時間は相当長くかかることがあり、標的組織領域全体の精密かつ適切な処置の達成を保証にするためには、医師の高い技量を必要とする。
【0004】
網膜光凝固に必要とされる処置時間を短縮するために、複数のレーザ・スポットをスポットの処置パターンの形態で自動的に適用し、その結果、標的組織の領域が組織上にパターン形態で予め位置決めされた複数のスポットによって効率的に処置されるシステム及び方法が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3を参照のこと。しかしながら、パターン状の複数の光スポットをすばやく送達することは新たな問題を引き起こす。例えば、眼は動く可能性があり、たとえ短い照射時間であっても、医師が処置パターンの適用をトリガする瞬間に患者の眼が動くことがあり、そのことにより標的としていない組織への処置パターンの適用が生じることがあるので、照射期間は制限される。さらに、医師は、典型的には眼の処置前画像を用いて標的とすべき組織位置を特定する。スポットのパターンを適用するための現在のシステム及び技術には、医師によって処置の標的とされた組織が処置前画像で特定されたものと同じ組織であることを保証する能力はない。それゆえ、処置されようとしている組織が処置前画像で特定されたものと同じ組織であることを保証することにただ一人で責任を持つのは医師であり、眼の位置の安定性が、処置パターンの正確な適用を可能にする。衝動性運動(サッカード)と呼ばれる急速な眼の動きは、医師によって十分に追跡又は補償できるものではない。典型的な医師の潜時はおよそ400msであり、従って医師は通常、レーザ照準装置を速度5Hzで動かすことができるにすぎない(一方、眼の動きはおよそ100倍速い)。眼の後方への麻酔剤の注射を用いて眼筋を麻酔することで眼を安定化することはできるが、これは、眼、視神経又は血管を穿孔するリスクがあり、非常な痛みを伴い、さらには死に至らしめることさえある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0286019号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0100677号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0129775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、患者の眼の動きを補償する、及び/又は、眼の処置前画像において特定された標的組織に対する処置パターンの位置合わせを検証及び調整する医師を支援する、半自動化眼科用レーザ処置及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の問題を、患者の眼内の標的組織に対して治療を行うための眼科的処置システムを提供することにより解決するものであり、このシステムは、処置光を生成するための光源と、患者の眼に処置光を送達するための送達系と、患者の眼のライブ画像をキャプチャするためのカメラと、送達系を制御するための制御電子機器とを含み、送達系の制御は、患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む患者の眼の処置前画像を、カメラによってキャプチャされたライブ画像に対して見当合わせすること、及び送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証することのためのものである。トリガ装置が制御電子機器に接続されており、制御電子機器は、トリガ装置の起動と送達系が標的組織に位置合わせされていることの検証との両方に応答して、患者の眼の上に処置光を投射させるように送達系を制御するように構成されている。
【0008】
それに加えて、処置光を生成するための光源と患者の眼に処置光を送達するための送達系とを有する眼科的処置システムを用いて、患者の眼の標的組織に対して治療を行うための方法は、患者の眼の処置前画像を作成し、処置前画像を用いて、患者の眼の標的組織を特定する処置テンプレートを準備し、患者の眼に光源送達系の照準を合わせ、患者の眼のライブ画像を生成し、患者の眼のライブ画像に処置前画像及び処置テンプレートを見当合わせし、送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証し、上記送達系の標的組織への位置合わせが検証されたら、送達系に患者の眼の上に処置光を投射させるトリガ装置を起動するステップを含む。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面を検討することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】半自動化眼科的処置のための光生成及びスキャナ・システムを示す概略図である。
【図2A】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2B】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2C】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2D】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3A】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3B】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3C】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3D】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図4】半自動化眼科的処置の方法を示す流れ図である。
【図5】半自動化眼科的処置のための、光生成及びスキャナ・システムの代替的な実施形態を示す概略図である。
【図6】半自動化眼科的処置のための、光生成及びスキャナ・システムの第2の代替的な実施形態を図解する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
処置のための組織領域を正確に特定し、処置のために光送達系をそれら組織領域に位置合わせし、処置中の患者の眼の運動を補償するために位置合わせを調整する、医師をループ内に組み入れた(doctor-in-the-loop)、半自動化された標的眼部組織の眼科的処置のためのシステム及び方法が開示される。
【0012】
パターン生成システム
図1は、患者の眼の組織の半自動化された眼科的処置を行うのに適したシステム10の概略図である。位置合わせ光(ビーム又は位置合わせパターンの照準を合わせるための)は、入力/出力装置24を通じて制御電子機器22によって制御することができる位置合わせ光源20を用いて作成される。位置合わせ光の使用は随意的であり、従ってその生成及び使用のための要素は省略することができることに留意されたい。治療光は、治療光源26を用いて作成される。光源20及び26は、いずれかの気体若しくは固体レーザ装置とすることができ、又は1つ若しくはそれ以上の発光ダイオードとすることさえできる。光源20/26は、典型的には異なる波長及び出力レベルで光を生成するので、別々の装置とすることが好ましい。しかしながら、それらを組み合わせて、異なる又は同一の波長の位置合わせ光と治療光とを生成する単一の光源とすることもできる。光源20から出る位置合わせ光は、可視であることが好ましい(しかしながら、赤外線画像化のような代替的な視覚化方式が使用される場合には、可視でなくともよい)。光源26から出る治療光を可視光とすることもできるが、必ずしも可視光である必要はない。治療光源26が可視光を生成する場合には、これを位置合わせ光源20の代わりに位置合わせ光を生成するために用いることもできる(例えば、眼用の安全フィルタが可視化経路内に存在しない場合には、システムの位置合わせの間、単にその出力を低下させることによる)。同様に、治療用光源26が不可視光を生成する場合には、不可視画像化方式の場合と同様の方法(例えば赤外線画像化装置を用いることによる)で、これを位置合わせのために用いることができる。
【0013】
治療光源26からの光出力は最初にミラー30に遭遇し、ミラー30は、安全及びリアルタイムの出力調整の目的でその出力を測定するために、治療光のうちの一定の部分をフォトダイオード32に反射する。治療光は、次いで、シャッター34、ミラー36、及びミラー38に遭遇する。シャッター34は、基本的に治療光の送達を制御する役割を果たし、治療光をすばやくゲート制御するため及び/又は一般に遮断するために用いることができる。ミラー36は、随意的な回転ミラーであり、ミラー38は、治療光を光源20から出た位置合わせ光と合成して、合成された位置合わせ/治療光ビーム46を形成するために用いられ、ここで、光源20から出た位置合わせ光を下流で治療光と一致するように調整することができる。位置合わせ光と治療光は典型的には同時には生成されず、その場合、ミラー36は、実際にはこれらの2つの光のビームのためのビーム経路を合成することに留意されたい(即ち、位置合わせ/治療光46は、あるときには位置合わせ光のみを含み、別のときには治療光のみを含む)。ミラー40を用いて、追加の測定のために(及びシャッター34の状態の冗長監視を提供するために)、合成された位置合わせ及び治療光の一部をフォトダイオード42へと反射する。
【0014】
レンズ44を用いて、合成された位置合わせ/治療光46を、スキャナ組立体48に入る前に合焦することができる。レンズ44は、単一レンズとすることもでき、又は複合レンズとすることもできる。レンズ44が複合レンズの場合、それは、スポットSの大きさ、従ってパターンPの大きさを調整する、ズームレンズ組立体として構成することができる。別のレンズ50をスキャナ組立体48の光学的中点から1焦点距離だけ離れた位置に配置して、テレセントリックな走査を生じさせることができる(しかしながら、これは随意である)。レンズ50を含むシステムでは、テレセントリック走査は、残りの光学素子が走査全体を収容するのに十分な大きさである限りは、走査速度を最大化することに役立つ。現在利用可能な光学処置用コンタクトレンズの大部分は、テレセントリックな入力を要求する。
【0015】
走査組立体48は、2つの光学素子56及び58(例えばミラー、レンズ、回折素子、回転くさび、など)を含むことが好ましく、これらを、光学ビーム46を偏らせ(偏向させ)、最終的には光学ビーム46をパターンPの形態(図2A乃至図2D及び図3A乃至図3Dに示され、さらに詳細に後述されるような)で標的組織に向けるために、直交方式で個々に傾け又は動かすことができる。例えば、光学素子56/58は、ミラーを傾けることによってビーム46を偏向させるための検流計、ソレノイド、圧電アクチュエータ、モータ、サーボ、モータ又は他のタイプのアクチュエータに取り付けられた、ミラーとすることができる。もちろん、音響光学偏光器、光位相アレイ、又はマイクロ・ミラー装置といった、単一素子の二次元スキャナを用いることもできる。あるいは、ミラーは、光学倍率を有する(例えば表面曲率を有する)ものであってもよく、その場合、ビームの偏向は、ミラーを並進させることによって達成することができる。若しくは、光学素子56/58は1つ又はそれ以上のレンズであってもよく、それらは、レンズの並進運動によってビームを偏向させる。
【0016】
光46は次にミラー52に遭遇し、これが、光を患者の眼1の標的組織に向けて反射させる。ミラー52は高反射率被膜を含み、この高反射率被膜は、位置合わせ及び治療光の出力をスペクトル的に整合させ、そのうえさらに、ミラー52を通して標的領域を視覚化することができるように、標的から来る視覚化光を通過させることができる。好ましくは、被膜はミラー52を通じた伝導のホワイトバランスを取るように構築され、その場合、被膜はより複雑なものとなり、グリーン・ノッチ・フィルタ被膜を用いる場合に生じるピンクがかった色の代わりに、より自然な色が見えるようにする。視覚化装置が張る全体としての立体角を大きくしようとする試みにおいてミラー52のサイズを最小化するために、レンズ50を用いて、ミラー52上にスキャナ組立体48の光学的中点の像を結ぶこともできる。ミラー52が小さい場合には、それを、それほど邪魔にならずに視覚化経路内に直接配置することができる。ミラー52は、視覚化を妨げることなく、Zeissの細隙灯生体顕微鏡のような双眼画像化器具の中央に配置することもできる。
【0017】
任意の検眼鏡、細隙灯生体顕微鏡、眼底カメラ、SLO、又はOCTシステムを用いて行うことができるような視覚化を補助するために、随意的な眼科用レンズ60を眼の前に直接置くことができる。眼科用レンズ60は、コンタクトレンズでも非コンタクトレンズでもよく、レンズ50と併用して、走査が患者の虹彩の周りを旋回することによりシステムの網膜走査範囲を最大化するように、共役瞳孔面(conjugate pupil planes)を提供することもできる。標的組織の視覚化は、好ましくは、医師がミラー52を通して(例えば細隙灯生体顕微鏡を用いて)網膜を直接観察することによって達成され、同様に、高フレームレートのカメラ62(例えばCCD又はCMOSカメラ)を用いて、ミラー52を通過した光から電子画像を作成することによって達成される。電子画像は、システムによって格納され、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)54上で表示され、かつ、後述するように位置合わせを確認/調整するために制御電子機器22によって用いることができる。
【0018】
光源20/26と患者の眼1との間のミラー、レンズ及び他の光学素子は、位置合わせ/処置パターンを意図した標的組織に送達するように制御することができる送達系68を形成する。より詳細には、制御電子機器22の制御下にあるスキャナ48は、図2A乃至図2D及び図3A乃至図3Dに関してさらに詳細に後述されるように、それぞれ位置合わせ光及び治療光の、位置合わせパターン及び処置パターンPを作成する。送達系68の他の任意の構成要素は、制御電子機器22によって可動的に制御することができるので、従って、送達系68の最終的な位置合わせに影響を及ぼす。パターンPの位置及び特性は、レンズ60の位置を調整する医師によって手動で制御することができ、同様にグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUI)54を介した命令又は制御入力によって電子的に制御することができ、及び/又は、後述のように制御電子機器22によって自動的に制御することができる。GUI54は、システムの選択肢を表示し、命令を入力し、カメラ62からの画像並びに取り込まれた画像を見るための、単一のタッチ画面とすることができる。あるいは、GUI54は、命令を入力するためのキーパッド又はキーボード、システムの選択肢を見るため及びシステム命令を入力するためのタッチ・センシティブ・スクリーン、及び/又はカメラ62からの画像を見るため(並びに、さらに詳細に後述される処置前画像及び処置テンプレートを見るため)の独立型映像ディスプレイ画面を含む、いくつかの別個の構成要素を含むことができる。パターンP又はその任意の要素を、点滅によって医師が気づくようにさせることもできる。
【0019】
位置合わせ/処置パターン
システム10によって生成される位置合わせ及び処置パターンは、標準的治療、選択的治療、及び/又は閾値下治療(即ち、目に見えるいかなる処置の痕跡も生じさせない治療)のための、連続波(CW)及びパルス光源のうちのいずれか又は両方を使用した、単一光スポット、複数の光スポット、光の連続パターン、光の複数の連続パターン、及び/又はそれらの任意の組合せから構成することができる。さらに、位置合わせパターンは、必ずしも処置パターンと同一である必要はないが、治療光が所望の標的領域内又は特定の位置を中心とする位置のみに送達されることを確実にするために、その位置(例えばその境界又はその中心など)を定めることが好ましい。これは、例えば、意図される処置パターンの輪郭、又は中心位置を示す点若しくは十字線を与える位置合わせパターンを用いることによって達成することができる。この方法で、医師は、個々のスポットの正確な位置自体でないとしても、処置パターンの空間的範囲又は中心点を知ることができ、従って、走査が、速度、効率及び精度について最適化される。
【0020】
位置合わせパターン及び処置パターンは、図2A乃至図2Dに示されるように、標的組織上に投射された光のスポットSのパターンPとして形成されることが好ましい。スポットSは円形で表されているが、かならずしも円形である必要はない。図3A乃至図3Dは、1つ又はそれ以上のスポットSを用いて、パターンPを形成するために細長い直線又は曲線の線分を描出すか、さらには形成する方法を示し、これは、連続波(CW)光源のために理想的である。例えば、図3Aでは、スポットSを速度Vで走査して、パターンPの線分走査LSを形成する。各線分LSは、走査して線分LSを形成するスポットSに対して光源がもはや光を送達しなくなったときに終結する。これは、光源を直接、断続的にゲート制御すること、光路内に配置されたシャッターを用いること、アパーチャを用いることなどの、多くの方法で行うことができる。図3Bに表されるように、パターンPは、複数の線分LS及び/又はスポットSで形成されてもよい。線分LSは、図3Cに示されるように形作られ又は湾曲していてもよく、さらには、図3Dに示されるように、幾何学的図形又はシンボルを形成するよう湾曲され/形作られてもよい(これは、先に述べたように位置合わせパターンのための標的組織の輪郭として特に適している)。
【0021】
従って、本開示の目的については、光の「パターン」は、完全には重複しない(又は全く重複しない)少なくとも2つのスポットSを意味し、又は単一のパルスの間若しくはCW光と共に移動して、投射された直線又は曲線の線分をもたらす1つ又はそれ以上のスポットを意味する。その上、位置合わせパターンは、処置パターンと同一である必要はない。例えば、処置パターンが数百のスポットを含む場合、その位置をさほど複雑ではない印(例えば、処置パターンの境界及び/又は中心を示すわずか数個のスポットの位置合わせパターン)によって特定することができる。実際に、処置パターンの中心を示す単一の静止した位置合わせビーム・スポットを用いることができる。簡略化された位置合わせパターン又は単一の静止した位置合わせビーム・スポットの使用の方が、位置合わせ光によって処置パターン全体を複製しようとするよりも、より簡単かつ迅速に投射することができる。
【0022】
半自動化された位置合わせの確認及び補償
典型的には、医師は、患者の眼の1つ又はそれ以上の処置前画像及び/又は二次元若しくは三次元データのセット(眼の画像はしばしば、処置のかなり以前、ときには何日も前に、別の病院で異なる機器を用いて撮影される)を用いて、処置の標的とすべき組織の精密な位置を特定する。従来の処置手順中、医師は、処置前画像を用いてあらかじめ特定された患者の眼部組織を手動で特定し、標的を合わせなければならない。処置前画像においてあらかじめ特定された組織位置と処置中に標的とされる組織位置との間に何らかの不整合があった場合、結局は健常な組織が処置され、意図した標的組織は処置を免れることになる。従って、医師による意図された標的組織への処置パターンの位置合わせをより首尾良く成功させるために、システム10は、1つ又はそれ以上の処置前画像を用いて処置テンプレートを作成し、この処置テンプレートを患者の目のライブ画像に対して見当合わせして、位置合わせを検証し、患者の眼の運動を補償し、及び/又は同じ処置パターン内でさえ様々である処置光の線量を制御する。
【0023】
図4は、半自動化された位置合わせの確認及び補償の方法を示す。ステップ1において、眼の処置前画像が生成される。以下の議論では、簡便のために単一の処置前画像について述べるが、同じ又は異なるタイプの複数の処置前画像も同様に生成することができる。画像生成は、処置の現場で処置の直前に実施することもでき、又は異なる場所で処置のかなり前に実施することもできる。処置前画像のソースは、デジタルカラー眼底カメラ画像、眼底カメラ血管造影図、共焦点血管造影図、広視野型血管造影図(近年、糖尿病性網膜症における末梢虚血が重要視されている)、インドシアニングリーン血管造影図、自己蛍光画像、単色画像、赤外線画像、眼底(網膜)画像に対してポイント・ツー・ポイントで見当合わせされたスペクトル領域又は時間領域3D OCT(眼用コヒーレンス断層撮影)、多焦点ERG、優先的超視力視野測定(preferential hyperacuity perimetry)又は静的視野測定のデータセットを含む。処置前画像を形成するデータは、2D又は3Dにマッピングされた機能データ、OCTデータなどであってもよい。画像はまた、複数の異なるソースの2Dデータ及び患者の眼からの画像を用いた複合画像でもよい。
【0024】
ステップ2において、処置前画像における組織のどの部分を処置すべきかを特定する処置テンプレートが作成される。処置テンプレートは、映像ディスプレイとジョイスティック、マウス又は他のポインティング装置のようなユーザ入力とを備えた電子計算装置(コンピュータ装置)を用いて構築することが好ましい。このコンピュータ装置は、処置システムとは別個であってもよく、又は処置システムと一体型であってもよい。例えば、処置テンプレートは、処置前画像を従来のコンピュータにロードし、次いで、コンピュータのディスプレイ画面及び従来のコンピュータ入力装置(キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチ画面など)を用いて、その画像内に処置を保証する位置をデジタル的にマーキングすることによって形成することができる。あるいは、処置前画像は、入力ポート66を用いてシステム10にロードすることができ、この場合、コンピュータ装置は制御電子機器22を含む。次いで、処置テンプレートを、GUI54と、場合によっては1つ又はそれ以上の入力装置64とを用いて生成することができる。
【0025】
処置テンプレートを作成するためのコンピュータ装置は、処置のために医師が患者の眼の画像上に位置をマーキングすることを支援するためのソフトウェア又はハードウェアを含むことが好ましい。例えば、コンピュータ装置は、処置パターンにスポットを付加し又は処置パターンからスポットを取り去るためのツールを含んでいてもよく、又は処置パターンが付加される処置のための領域の輪郭を医師が描くことを可能にすることもできる。理想的には、コンピュータ装置は、上記のシステム10が生成することが可能な1つ又はそれ以上の処置パターンを医師が決定することを支援する。コンピュータ装置は、調整可能な大きさ及び形状のサンプル処置パターンのライブラリを提供し、治療が保証される画像の領域全体をカバーするように1つ又はそれ以上の処置パターンを医師が選択し、配置し、調整することを可能にする。典型的なパターンは、初期又はフィルイン型(fill-in)の汎網膜光凝固(PRP)、格子状処置パターン、扇形処置パターン、脈絡膜新生血管膜を「塗る(paint)」パターン、網膜円孔又は裂孔の周囲を「塗る」パターン、又は微細動脈瘤の処置のために自動的に特定された領域の周囲を「塗る」パターン、治験に必要なパターン、及び/又は専門的には頻繁に利用するユーザによって開発されたカスタム・パターンを含むことができるが、これらに限られるものではない。処置パターンを開発する際に、コンピュータ装置は、画像の特定領域を回避する処置パターンを自動的に構築するよう構成することができる。例えば、コンピュータ装置は、黒色(以前の処置を示す)又は赤色(大血管又は血液を示す)の形状又は領域の位置を突き止めて、回避するように設定することができ、又は窩及び視神経といった医師が指定した領域を回避するように設定することができる。コンピュータ装置は、脈絡膜新生血管膜、微細動脈瘤、又は中枢性漿液性網膜症の漏出部といった標的になる可能性がある領域の位置を突き止めて標的とするように構成することもできる。スポットの大きさは位置によって様々であり得る。PRPスポットは、周辺部ではより大きく、後極の付近ではより小さくすることができ、かつ、上記の黒色部回避アルゴリズム又は以前の処置セッション由来の見当合わせされたテンプレートによって判定される、以前のスポットの間に均一に散在させることができる。
【0026】
処置テンプレート生成は、単に処置位置の特定及び制御に限定される必要はない。線量制御情報を処置テンプレートの中に埋め込み、システム10がこれを使用して、標的組織内の様々な位置に対する処置光の線量(出力、スポットの大きさ及び持続時間)を自動的に変化させるようにすることもできる。これは、コンピュータ装置によって実行される自動化された機能とすることもでき、又は医師によって手動で実行することもでき、又は両方の組合せとすることもできる。例えば、レーザ・エネルギー吸収は一般に色素沈着の関数である。色が薄い又は反射率が高い組織ほど、一般に高用量の処置光を必要とする。対照的に、色が濃い組織は吸収性がより高く、一般により低用量の処置光を必要とする。処置テンプレートの生成の際に、標的組織内の各スポット又は位置に対する適正な線量を決定するために、コンピュータ装置及び/又は医師が、色素沈着及び反射率/吸収特性を用いることができる。この情報を処置テンプレートに組み入れることによって、システム10はその後この情報を用いてレーザ出力及び/又はドウェル時間を自動的に調整して、標的組織内の各位置における最適な処置線量を提供することができる(数百ものスポットを含む処置パターンについてのリアルタイムのスポット毎の場合でさえも)。意図された処置波長に付近の波長で判定すれば吸収測定は最適となるはずであるが、メラニンは広帯域吸収体であり、棹体及び錐体の色素もまた累積的に緑色吸収体(最も広く使用されている処置波長に近い)であり、このことは、自動化線量制御を使用する多くの手順について、厳密な処置波長での画像化は必ずしも必要ではないことを意味する。自動化線量制御は、より高い精度及び安全性をもたらし、より精密な閾値下処置を可能にし、ブルッフ膜の破断及び出血の可能性を減少させる。
【0027】
処置テンプレートは、精密な処置パターンとそのような処置パターン内での線量を含めた処置の位置及び線量を定める、処置前画像に対するデジタル・オーバーレイを表す。処置テンプレートは、処置前画像を含む同じデジタル・ファイル内に組み入れることができ、又は典型的には別個のデジタル・ファイルとして格納することができる。処置テンプレートを用いることで、医師は、患者がいないところで(おそらくは臨床環境の外でさえも)処置前画像を注意深く分析することによって、処置スポット又はパターンをどこに、どのくらいの線量で適用するかを厳密に定めるために自分の時間を使うことが可能になる。処置テンプレートに医師が「デジタル署名」すること、及び危機管理の目的で処置テンプレートを永久保存することさえ可能である。処置テンプレートは、処置後の手術レポートとしての役目を果たすこともできる。
【0028】
ステップ3において、処置前画像及び処置テンプレートは、入力ポート66を介してシステム10内にロードされ、好ましくは、制御電子機器22の中に収容されているか又は接続された記憶装置22a(例えばハード・ドライブ、フラッシュ不揮発性メモリ、CD、DVDなど)の中に格納される。入力ポート66は、記憶装置(即ちCD/DVDディスク、フラッシュ・メモリ・キーなど)から電子ファイルを受け取るためのポート、又はネットワーク上で電子ファイルを受け取るためのネットワーク接続とすることができ、又は、処置テンプレートを生成するため用いられるコンピュータ装置に対する直接接続を提供するものとすることさえできる。システム10を用いて処置テンプレートが生成される場合、処置前画像データはあらかじめシステム10内にロードされており、処置テンプレートはシステム10によって内部で作成されているはずであるので、このロードするステップは省略することができる。
【0029】
ステップ4において、送達系68が患者の眼に位置合わせされる。これは、医師がレンズ60(好ましくはコンタクトレンズ)を保持して患者の眼に対して位置合わせすることによって(これは、画像の最適化、傾斜度、コンタクトレンズからの反射、瞳孔の大きさ、瞳孔の分散、角膜及びレンズの混濁、及び乱視の問題を解決する)、及び/又は、標的組織を直接観察しながら又はガイドとしてカメラ62からリアルタイム画像を用いながら、1つ又はそれ以上の入力装置/制御64及び/又はGUI54を通じて送達系68の位置合わせを操作することによって、達成することができる。送達系68が概ね患者の眼に対して位置合わせされたときに、カメラ62が患者の眼のライブ画像をキャプチャし、この画像が制御電子機器22に送信され、GUI54上又は別のディスプレイ装置上に表示される。
【0030】
ステップ5において、システム10は、処置前画像及び処置テンプレートをカメラ66からのライブ画像に見当合わせし、その結果、システム10は、処置前画像及び処置テンプレート上のどこに現在、送達系が照準を合わせているかを精密に判断することができるようになっている。この画像の見当合わせは、カメラ62からのライブ画像の二次元映像振幅を処置前画像の二次元映像振幅に対して整合させるアフィン変換又は他のストレッチング若しくはモーフィング・アルゴリズムを用いて達成することができる。このプロセスは、ライブ画像との最良適合を作り出すように、処置前画像をストレッチング又はモーフィングすることを伴う。随意に、特徴認識技術を用いて画像の見当合わせを行うことができる。ステップ4における送達系の位置合わせが意図される標的組織に近接している(即ち、処置前画像とライブ画像との間に実質的な重なりが存在する)限り、システム10はライブ画像を認識し、それに対して処置前画像を見当合わせする。
【0031】
見当合わせは、おそらくはカメラ62からのメガピクセル画像を必要とせず、512×512又はVGA(640/480)程度の低い解像度でおそらく十分であることが証明されるであろう(それゆえ、費用が削減され、メガピクセル・カメラよりも高いフレームレート及び低い処理帯域が可能となる)。カメラ62は、典型的には、光子効率を高めるための高い充填率(fill factor)(100%)の単色センサ、又はより良好な画像処理のための漸進的に走査されるセンサを含む。カメラ62は、細隙灯生体顕微鏡で標的組織を照明し視覚化するために医師が通常用いる白色光照明から網膜画像を検出する、赤外線又は可視センシングを含むことができる。制約を受けていない眼は衝動性運動を安定化するためにおよそ1kHzを必要とするので、カメラ62のフレームレートはビデオレートよりも相当に高くすべきである。高粘度の結合流体、及び大きな表面積と接触するフランジ付きレンズを用いることで、患者の眼の衝動性運動の速度をある程度遅くすることができる。
【0032】
システムは患者の眼の運動が生じた場合に適正な見当合わせを維持することが望ましく、これは、システム10が見当合わせを維持しながら眼の運動を検出し追跡することが好ましいことを意味する。眼の運動を追跡することができる画像見当合わせの1つの非限定的な例は、カイ二乗アルゴリズム(これは、網膜の追跡に効果的であることが既に示されている)を実装したパイプライン処理(好ましくはXilinixによって行われているようなFPGAシリコン上での画像処理を用いる)を用いることである。このプロセスは、患者の眼のライブ画像の現在のフレームの二次元映像振幅を以前のフレームの二次元映像振幅と比較して、何らかの運動の方向及び振幅を判定することによって達成することができる。例えば、現在のフレーム画像を反復的に、例えば右へ1ピクセル移動させることができ、そこで計算を行って適合が存在するかどうかを判定する。これを、最良適合又は整合が達成されるまで、左、上及び下へと移動させながら繰り返す。いったん最良適合が達成されると、眼の運動の量は、最良適合/整合を達成するためにいくつのXYピクセルの移動が必要であったかによって判定することができる。次いで、それらのピクセル移動の調整が可動ミラーを通じた処置テンプレートの位置決めに適用され、ライブ画像に対する適正な見当合わせが維持される。
【0033】
ライブカメラの画像と処置テンプレート(処置前画像上に構築されたもの)との間で適正な見当合わせが達成されていることを医師が確認することが好ましい。これは、ライブ画像と処置テンプレートのオーバーレイを視覚的に表示することができるGUI54を用いることによって遂行することができる。このオーバーレイ画像は、医師が必要とする、見当合わせが適切に実行されており、システムが処置パターンを送達する準備が整ったということの視覚的確認を提供する。従って、いったん医師が送達系68を意図した標的組織又はその付近に位置合わせするとシステム10は見当合わせを自動的にロックするが、見当合わせは、処置を開始する前に医師によって視覚的に確認されるべきである。
【0034】
いったん見当合わせが達成されると、重ね合わされたライブ画像及び処置前画像の視覚表示は、処置テンプレートによって定められる標的組織に対する送達系の位置合わせをもっと心合わせするためにさらなる手動の位置合わせが必要とされ得ることを、医師に示すことがある。患者の眼の運動によって位置ずれが生じることもある。従って、ステップ5の画像の見当合わせの間及びその後の両方において、医師による患者の眼に対する送達系68の更なる位置合わせが行われることがある。位置合わせの確認は、いくつかの異なる方法で実施することができる。医師は、処置テンプレートによって定められた標的組織が、画像オーバーレイを示すディスプレイの視野内、ディスプレイ上の特定の領域内、又は、さらにはディスプレイ中央に来るまで、送達系の位置合わせを操作することができる。あるいは、送達系の位置合わせを視覚的に示す照準ビームを眼に向けることができ、それによって、医師は照準ビームが処置テンプレートによって定められた処置パターン内(又は、さらには処置パターンに対して中央)に来るまで位置合わせを調整する。若しくは、図1に関して上述したような位置合わせパターンが患者の眼に投射され、医師は、この位置合わせパターンが処置テンプレートによって定められ画像オーバーレイ・ディスプレイ上に表示された処置パターンに部分的に又は完全に重なるまで、又はその中央に来るまで、又は、さらにはスポット同士がに完全に位置合わせされるまで、送達系の位置合わせを調整する。
【0035】
見当合わせが確認され、送達系68が提案された処置領域又はその付近に位置合わせされるように医師によるいずれかの追加の位置合わせが完了した後、医師は、入力装置/制御64(例えばフットペダル、フィンガースイッチ、又は他の何らかの同等のトリガ装置)をトリガすることによってステップ6の処置を起動し、システム10が患者の眼に対して処置パターンを適用する。システムは、もっぱら医師の位置合わせのみに依存する(及び、単純に位置合わせが処置テンプレートによって定められた標的組織に対して余りにずれている又はずれてきた場合に処置を妨げるように構成される)こともできるが、システム10が、標的組織に対する送達系68の位置合わせを達成及び/又は維持するように処置の前及び間に位置合わせを能動的に操作することが好ましい。より具体的には、医師が処置をトリガすると、システム10は、送達系68が意図された標的組織(処置テンプレートによって定められた)に対して正確に照準を合わせていることを確認する。そうなっていない場合には、システム10は(制御電子機器22を通じて)処置のために指定された領域を探索し、見つかったら、送達系68の位置合わせが意図した標的組織に位置合わせされる(即ち、処置テンプレートによって定められたのと同じ位置及び線量で処置パターンが眼の組織に投射されるようになる)まで、送達系68を調整する。さらに、処置パターンを眼の組織に適用しながら、システムによって検出されたいかなる眼の運動も補償するように、送達系68の位置合わせが必要に応じて絶えず調整される(即ち、システムは、眼のリアルタイムの運動を追跡し、送達系68の位置合わせに対して適切な修正を加える)。この技術によれば、医師は送達系68を意図する標的組織の近くに位置合わせするだけでよく(粗調整)、システム10が、処置テンプレートを用いて位置合わせを自動的に完了及び検証し(微調整)、次いで処置パターンを眼の組織に対して自動的に適用する。
【0036】
上記技術の真の精度は、処置を行うべき場所及び線量を正確に示す詳細なテンプレートを作成する医師と、そのテンプレートを用いて標的組織に対して所定の線量の処置光を適用しながら位置合わせを達成及び維持するシステムとの組合せによって達成される。精度は、処置されているのが位置合わせ及び線量制御のために画像化もされている(瞳孔、虹彩、又は他の隣接の組織ではなく)実際の組織であることからも、達成される。さらに、このシステムは、送達系の位置合わせを操作して動いている標的組織を追跡することができるので、より均一な処置のために、より長い照射時間を用いて、パターン又は移動するスポットをより良好に標的組織上に投射し又は塗ることができる。
【0037】
上記の処置テンプレートには、他の利点及び用途がある。1つの処置セッションに由来する処置テンプレートを格納しておき、その後の処置セッションの際に過去の処置位置の正確な指標として後日使用することができる。例えば、PRPのフィルイン型の再処置において、もっと初期の処置セッション由来の処置テンプレートを用いて、以前のレーザ処置の中間の組織位置を定め、標的とすることができる。多くの候補患者の間で広範に使用するための汎用の処置テンプレートを作成することもできる。例えば、眼科専門家は、特定の研究又は最適化された特殊処置のための処置テンプレートを調製することができる。これらの汎用処置テンプレートに幾らかの修正を加えて特定の患者のジオメトリにマッピングすることが可能であり、その際、意図された処置の包括的な態様は保持される。
【0038】
処置前画像及び処置テンプレート内の探索範囲及び/又は送達系68に適用される微調整の量は、最初に医師による位置合わせの粗調整を含めることによって、医師が連続的に標的組織を位置合わせしようと試みる一方でシステムが同様に眼の運動を修正するならば特に小さくなる。上記のシステム及び技術は、熱拡散によって引き起こされるRPEクリープのリスクを軽減しながら精度、安全性及び効率を高め、従って、医師が、中心窩の無血管域、網膜黄斑、以前のレーザ・マークなどのような敏感な領域に近い組織を安全に処置することを可能にする。
【0039】
上記の半自動化処置システム及び技術には、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症及び静脈閉塞に対する微細動脈瘤(画像内では識別子として小さな鮮やかな赤色のドットを用いる)、網膜静脈分岐閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、糖尿病性黄斑浮腫、限局性中心窩外又は乳頭周囲脈絡膜新生血管膜(CNV)、中心性漿液性網膜症(CSR)漏出、網膜血管腫状増殖(RAP)病変、網膜孔、毛細血管拡張症、又は供給血管(典型的にはICG、高フレームレート血管造影法によって特定される)の処置を含む多くの用途がある。
【0040】
図5は、光ファイバ送達を用いた、図1のシステムの代替的な実施形態を示す概略図である。この実施形態においては、レンズ70を用いて位置合わせ及び治療光46を光ファイバ72に注入する。光ファイバ72から出た光46は、光を調節する、光がスキャナ組立体48に入る前のズーム・システムとしての役割を果たすことができるレンズ74及び76に遭遇する。光ファイバ72の出力面の画像を標的領域に中継することができ、気体レーザによって生成されるガウス・プロファイルではなく、むしろ「フラット・トップ」強度プロファイルが用いられる。図5のシステムの残りの部分は、図1に表されるものと同じである。
【0041】
図6は、図1に関して上述した実施形態と同様ではあるが、光46を走査するために適応光学素子92が走査組立体48内の走査ミラー56/58を置き換えて追加された別の実施形態を示す概略図である。この実施形態において、適応光学素子92を再構成して、複合光学系を作成することができる。例えば、この単一の素子によって、走査及び任意の可能なアナモフィックな補正の両方を光46に対して行うことができる。そのような光学素子92のいくつかの例には、変形可能なミラー、変形可能なレンズ、及び光位相アレイが含まれる。スキャナ48は、同様に他の構成を取ることもできる。特に、著しい眼の運動のために、スキャナ48は、送達系に対する網膜標的の自由度5の運度(3D並進、ピッチ(縦揺れ)、ヨー(偏揺れ))の補償のような、追加の自由度のための追加の光学部品を組み入れることができる。例えば、眼が著しく上方に回転すると、上向きのピッチ補償は十分ではない場合があるが、焦点を合わせるように移動しながら下方への並進及びピッチアップが可能な光学系は、より汎用性が高いものとなり得る(可能であれば医師の補助の下で)。光ビーム46を走査する他の技術は、スキャナ組立体48の一部としての光源(即ち、光源20/34自体を直接動かすことによるビームの移動)、送達系内の他の場所にある単一の可動光学素子(例えばミラー52)を単に用いること、又は送達系68内の他のいずれかの光学素子を操作することを含むことができる。光学素子56/58が光学倍率を有している場合には、標的組織上に画像を生成するために、単なる照明とは対照的に、補償用光学素子(図示せず)を追加してもよい。
【0042】
本発明は、上述され、かつ本明細書で示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るいずれかの及び全てのバリエーションを包含するものであることを理解すべきである。例えば、スキャナ48は、必要な位置合わせの(微)調整を行うために理想的ではあるが、処置パターンを適用する前に、送達光学チェーン内の他の光学素子を動かし又は使用して、別の方法で処置パターンの位置の微調整を実施することができる。さらに、処置光及び/又は位置合わせ光のためにはレーザが好ましい光源であるが、任意の適切な光源を利用することができる。治療光は、診断及び/又は処置の目的のためのものとすることができることに留意されたい。走査組立体は、位置合わせパターン及び処置パターンの両方を形成するものとして説明されているが、処置パターンの中心又は他の位置を視覚的に示すための位置合わせ光源から出た照準ビーム、又は単純な処置ビームを単に伝送するものであってもよい。制御電子機器の機能は、1つ又はそれ以上の電子部品によって全体として実装することもでき、及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェア内に見いだされる1つ又はそれ以上の構成要素又はモジュールを含むこともできる。
【符号の説明】
【0043】
1:眼
10:半自動化眼科的処置システム
20:位置合わせ光源
22:制御電子機器
24:入力/出力装置
26:治療光源
30、36、38、40、52:ミラー
32、42:フォトダイオード
34:シャッター
44、50、70、74、76:レンズ
46:位置合わせ/治療光
48:スキャナ組立体
54:グラフィカル・ユーザ・インターフェース
56、58、92:光学素子
60:眼科用レンズ
62:カメラ
64:入力装置
66:入力ポート
68:送達系
72:光ファイバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の眼の眼科的処置に関し、より詳細には、患者の眼の半自動化眼科的光医学処置のための機械及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
現在、糖尿病性網膜症、静脈閉塞及び加齢性黄斑変性といった症状は、可視レーザ光によって誘発される光凝固を用いて処置されている。このタイプの可視レーザ光処置は基礎疾患の進行を食い止めることができるが、課題もあり得る。
【0003】
1つの問題は、眼科的処置によっては網膜に多数のレーザ線量を適用する必要とすることがあり、退屈で時間がかかる場合があることである。そのような処置は、各線量を、標的組織に適用されるレーザ・ビーム・スポットの形態で所定の時間適用することを必要とする。医師は、各々のレーザ光スポットを、永続的な意図しない損傷を生じさせる恐れのある網膜黄斑のような眼の感受性の高い領域からできる限り離して、意図した標的組織上に正しく位置決めすることを保証する責任がある。処置によっては、標的組織を処置するために数百ものレーザ・ビーム・スポットを必要とすることがあるので、全体の処置時間は相当長くかかることがあり、標的組織領域全体の精密かつ適切な処置の達成を保証にするためには、医師の高い技量を必要とする。
【0004】
網膜光凝固に必要とされる処置時間を短縮するために、複数のレーザ・スポットをスポットの処置パターンの形態で自動的に適用し、その結果、標的組織の領域が組織上にパターン形態で予め位置決めされた複数のスポットによって効率的に処置されるシステム及び方法が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3を参照のこと。しかしながら、パターン状の複数の光スポットをすばやく送達することは新たな問題を引き起こす。例えば、眼は動く可能性があり、たとえ短い照射時間であっても、医師が処置パターンの適用をトリガする瞬間に患者の眼が動くことがあり、そのことにより標的としていない組織への処置パターンの適用が生じることがあるので、照射期間は制限される。さらに、医師は、典型的には眼の処置前画像を用いて標的とすべき組織位置を特定する。スポットのパターンを適用するための現在のシステム及び技術には、医師によって処置の標的とされた組織が処置前画像で特定されたものと同じ組織であることを保証する能力はない。それゆえ、処置されようとしている組織が処置前画像で特定されたものと同じ組織であることを保証することにただ一人で責任を持つのは医師であり、眼の位置の安定性が、処置パターンの正確な適用を可能にする。衝動性運動(サッカード)と呼ばれる急速な眼の動きは、医師によって十分に追跡又は補償できるものではない。典型的な医師の潜時はおよそ400msであり、従って医師は通常、レーザ照準装置を速度5Hzで動かすことができるにすぎない(一方、眼の動きはおよそ100倍速い)。眼の後方への麻酔剤の注射を用いて眼筋を麻酔することで眼を安定化することはできるが、これは、眼、視神経又は血管を穿孔するリスクがあり、非常な痛みを伴い、さらには死に至らしめることさえある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0286019号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0100677号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0129775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、患者の眼の動きを補償する、及び/又は、眼の処置前画像において特定された標的組織に対する処置パターンの位置合わせを検証及び調整する医師を支援する、半自動化眼科用レーザ処置及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の問題を、患者の眼内の標的組織に対して治療を行うための眼科的処置システムを提供することにより解決するものであり、このシステムは、処置光を生成するための光源と、患者の眼に処置光を送達するための送達系と、患者の眼のライブ画像をキャプチャするためのカメラと、送達系を制御するための制御電子機器とを含み、送達系の制御は、患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む患者の眼の処置前画像を、カメラによってキャプチャされたライブ画像に対して見当合わせすること、及び送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証することのためのものである。トリガ装置が制御電子機器に接続されており、制御電子機器は、トリガ装置の起動と送達系が標的組織に位置合わせされていることの検証との両方に応答して、患者の眼の上に処置光を投射させるように送達系を制御するように構成されている。
【0008】
それに加えて、処置光を生成するための光源と患者の眼に処置光を送達するための送達系とを有する眼科的処置システムを用いて、患者の眼の標的組織に対して治療を行うための方法は、患者の眼の処置前画像を作成し、処置前画像を用いて、患者の眼の標的組織を特定する処置テンプレートを準備し、患者の眼に光源送達系の照準を合わせ、患者の眼のライブ画像を生成し、患者の眼のライブ画像に処置前画像及び処置テンプレートを見当合わせし、送達系が処置テンプレートによって定められた標的組織に位置合わせされているかどうかを検証し、上記送達系の標的組織への位置合わせが検証されたら、送達系に患者の眼の上に処置光を投射させるトリガ装置を起動するステップを含む。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面を検討することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】半自動化眼科的処置のための光生成及びスキャナ・システムを示す概略図である。
【図2A】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2B】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2C】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図2D】パルス光源又はゲート制御された光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3A】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3B】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3C】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図3D】連続波(CW)光源での使用のための、例示的な走査パターンを示す。
【図4】半自動化眼科的処置の方法を示す流れ図である。
【図5】半自動化眼科的処置のための、光生成及びスキャナ・システムの代替的な実施形態を示す概略図である。
【図6】半自動化眼科的処置のための、光生成及びスキャナ・システムの第2の代替的な実施形態を図解する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
処置のための組織領域を正確に特定し、処置のために光送達系をそれら組織領域に位置合わせし、処置中の患者の眼の運動を補償するために位置合わせを調整する、医師をループ内に組み入れた(doctor-in-the-loop)、半自動化された標的眼部組織の眼科的処置のためのシステム及び方法が開示される。
【0012】
パターン生成システム
図1は、患者の眼の組織の半自動化された眼科的処置を行うのに適したシステム10の概略図である。位置合わせ光(ビーム又は位置合わせパターンの照準を合わせるための)は、入力/出力装置24を通じて制御電子機器22によって制御することができる位置合わせ光源20を用いて作成される。位置合わせ光の使用は随意的であり、従ってその生成及び使用のための要素は省略することができることに留意されたい。治療光は、治療光源26を用いて作成される。光源20及び26は、いずれかの気体若しくは固体レーザ装置とすることができ、又は1つ若しくはそれ以上の発光ダイオードとすることさえできる。光源20/26は、典型的には異なる波長及び出力レベルで光を生成するので、別々の装置とすることが好ましい。しかしながら、それらを組み合わせて、異なる又は同一の波長の位置合わせ光と治療光とを生成する単一の光源とすることもできる。光源20から出る位置合わせ光は、可視であることが好ましい(しかしながら、赤外線画像化のような代替的な視覚化方式が使用される場合には、可視でなくともよい)。光源26から出る治療光を可視光とすることもできるが、必ずしも可視光である必要はない。治療光源26が可視光を生成する場合には、これを位置合わせ光源20の代わりに位置合わせ光を生成するために用いることもできる(例えば、眼用の安全フィルタが可視化経路内に存在しない場合には、システムの位置合わせの間、単にその出力を低下させることによる)。同様に、治療用光源26が不可視光を生成する場合には、不可視画像化方式の場合と同様の方法(例えば赤外線画像化装置を用いることによる)で、これを位置合わせのために用いることができる。
【0013】
治療光源26からの光出力は最初にミラー30に遭遇し、ミラー30は、安全及びリアルタイムの出力調整の目的でその出力を測定するために、治療光のうちの一定の部分をフォトダイオード32に反射する。治療光は、次いで、シャッター34、ミラー36、及びミラー38に遭遇する。シャッター34は、基本的に治療光の送達を制御する役割を果たし、治療光をすばやくゲート制御するため及び/又は一般に遮断するために用いることができる。ミラー36は、随意的な回転ミラーであり、ミラー38は、治療光を光源20から出た位置合わせ光と合成して、合成された位置合わせ/治療光ビーム46を形成するために用いられ、ここで、光源20から出た位置合わせ光を下流で治療光と一致するように調整することができる。位置合わせ光と治療光は典型的には同時には生成されず、その場合、ミラー36は、実際にはこれらの2つの光のビームのためのビーム経路を合成することに留意されたい(即ち、位置合わせ/治療光46は、あるときには位置合わせ光のみを含み、別のときには治療光のみを含む)。ミラー40を用いて、追加の測定のために(及びシャッター34の状態の冗長監視を提供するために)、合成された位置合わせ及び治療光の一部をフォトダイオード42へと反射する。
【0014】
レンズ44を用いて、合成された位置合わせ/治療光46を、スキャナ組立体48に入る前に合焦することができる。レンズ44は、単一レンズとすることもでき、又は複合レンズとすることもできる。レンズ44が複合レンズの場合、それは、スポットSの大きさ、従ってパターンPの大きさを調整する、ズームレンズ組立体として構成することができる。別のレンズ50をスキャナ組立体48の光学的中点から1焦点距離だけ離れた位置に配置して、テレセントリックな走査を生じさせることができる(しかしながら、これは随意である)。レンズ50を含むシステムでは、テレセントリック走査は、残りの光学素子が走査全体を収容するのに十分な大きさである限りは、走査速度を最大化することに役立つ。現在利用可能な光学処置用コンタクトレンズの大部分は、テレセントリックな入力を要求する。
【0015】
走査組立体48は、2つの光学素子56及び58(例えばミラー、レンズ、回折素子、回転くさび、など)を含むことが好ましく、これらを、光学ビーム46を偏らせ(偏向させ)、最終的には光学ビーム46をパターンPの形態(図2A乃至図2D及び図3A乃至図3Dに示され、さらに詳細に後述されるような)で標的組織に向けるために、直交方式で個々に傾け又は動かすことができる。例えば、光学素子56/58は、ミラーを傾けることによってビーム46を偏向させるための検流計、ソレノイド、圧電アクチュエータ、モータ、サーボ、モータ又は他のタイプのアクチュエータに取り付けられた、ミラーとすることができる。もちろん、音響光学偏光器、光位相アレイ、又はマイクロ・ミラー装置といった、単一素子の二次元スキャナを用いることもできる。あるいは、ミラーは、光学倍率を有する(例えば表面曲率を有する)ものであってもよく、その場合、ビームの偏向は、ミラーを並進させることによって達成することができる。若しくは、光学素子56/58は1つ又はそれ以上のレンズであってもよく、それらは、レンズの並進運動によってビームを偏向させる。
【0016】
光46は次にミラー52に遭遇し、これが、光を患者の眼1の標的組織に向けて反射させる。ミラー52は高反射率被膜を含み、この高反射率被膜は、位置合わせ及び治療光の出力をスペクトル的に整合させ、そのうえさらに、ミラー52を通して標的領域を視覚化することができるように、標的から来る視覚化光を通過させることができる。好ましくは、被膜はミラー52を通じた伝導のホワイトバランスを取るように構築され、その場合、被膜はより複雑なものとなり、グリーン・ノッチ・フィルタ被膜を用いる場合に生じるピンクがかった色の代わりに、より自然な色が見えるようにする。視覚化装置が張る全体としての立体角を大きくしようとする試みにおいてミラー52のサイズを最小化するために、レンズ50を用いて、ミラー52上にスキャナ組立体48の光学的中点の像を結ぶこともできる。ミラー52が小さい場合には、それを、それほど邪魔にならずに視覚化経路内に直接配置することができる。ミラー52は、視覚化を妨げることなく、Zeissの細隙灯生体顕微鏡のような双眼画像化器具の中央に配置することもできる。
【0017】
任意の検眼鏡、細隙灯生体顕微鏡、眼底カメラ、SLO、又はOCTシステムを用いて行うことができるような視覚化を補助するために、随意的な眼科用レンズ60を眼の前に直接置くことができる。眼科用レンズ60は、コンタクトレンズでも非コンタクトレンズでもよく、レンズ50と併用して、走査が患者の虹彩の周りを旋回することによりシステムの網膜走査範囲を最大化するように、共役瞳孔面(conjugate pupil planes)を提供することもできる。標的組織の視覚化は、好ましくは、医師がミラー52を通して(例えば細隙灯生体顕微鏡を用いて)網膜を直接観察することによって達成され、同様に、高フレームレートのカメラ62(例えばCCD又はCMOSカメラ)を用いて、ミラー52を通過した光から電子画像を作成することによって達成される。電子画像は、システムによって格納され、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)54上で表示され、かつ、後述するように位置合わせを確認/調整するために制御電子機器22によって用いることができる。
【0018】
光源20/26と患者の眼1との間のミラー、レンズ及び他の光学素子は、位置合わせ/処置パターンを意図した標的組織に送達するように制御することができる送達系68を形成する。より詳細には、制御電子機器22の制御下にあるスキャナ48は、図2A乃至図2D及び図3A乃至図3Dに関してさらに詳細に後述されるように、それぞれ位置合わせ光及び治療光の、位置合わせパターン及び処置パターンPを作成する。送達系68の他の任意の構成要素は、制御電子機器22によって可動的に制御することができるので、従って、送達系68の最終的な位置合わせに影響を及ぼす。パターンPの位置及び特性は、レンズ60の位置を調整する医師によって手動で制御することができ、同様にグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUI)54を介した命令又は制御入力によって電子的に制御することができ、及び/又は、後述のように制御電子機器22によって自動的に制御することができる。GUI54は、システムの選択肢を表示し、命令を入力し、カメラ62からの画像並びに取り込まれた画像を見るための、単一のタッチ画面とすることができる。あるいは、GUI54は、命令を入力するためのキーパッド又はキーボード、システムの選択肢を見るため及びシステム命令を入力するためのタッチ・センシティブ・スクリーン、及び/又はカメラ62からの画像を見るため(並びに、さらに詳細に後述される処置前画像及び処置テンプレートを見るため)の独立型映像ディスプレイ画面を含む、いくつかの別個の構成要素を含むことができる。パターンP又はその任意の要素を、点滅によって医師が気づくようにさせることもできる。
【0019】
位置合わせ/処置パターン
システム10によって生成される位置合わせ及び処置パターンは、標準的治療、選択的治療、及び/又は閾値下治療(即ち、目に見えるいかなる処置の痕跡も生じさせない治療)のための、連続波(CW)及びパルス光源のうちのいずれか又は両方を使用した、単一光スポット、複数の光スポット、光の連続パターン、光の複数の連続パターン、及び/又はそれらの任意の組合せから構成することができる。さらに、位置合わせパターンは、必ずしも処置パターンと同一である必要はないが、治療光が所望の標的領域内又は特定の位置を中心とする位置のみに送達されることを確実にするために、その位置(例えばその境界又はその中心など)を定めることが好ましい。これは、例えば、意図される処置パターンの輪郭、又は中心位置を示す点若しくは十字線を与える位置合わせパターンを用いることによって達成することができる。この方法で、医師は、個々のスポットの正確な位置自体でないとしても、処置パターンの空間的範囲又は中心点を知ることができ、従って、走査が、速度、効率及び精度について最適化される。
【0020】
位置合わせパターン及び処置パターンは、図2A乃至図2Dに示されるように、標的組織上に投射された光のスポットSのパターンPとして形成されることが好ましい。スポットSは円形で表されているが、かならずしも円形である必要はない。図3A乃至図3Dは、1つ又はそれ以上のスポットSを用いて、パターンPを形成するために細長い直線又は曲線の線分を描出すか、さらには形成する方法を示し、これは、連続波(CW)光源のために理想的である。例えば、図3Aでは、スポットSを速度Vで走査して、パターンPの線分走査LSを形成する。各線分LSは、走査して線分LSを形成するスポットSに対して光源がもはや光を送達しなくなったときに終結する。これは、光源を直接、断続的にゲート制御すること、光路内に配置されたシャッターを用いること、アパーチャを用いることなどの、多くの方法で行うことができる。図3Bに表されるように、パターンPは、複数の線分LS及び/又はスポットSで形成されてもよい。線分LSは、図3Cに示されるように形作られ又は湾曲していてもよく、さらには、図3Dに示されるように、幾何学的図形又はシンボルを形成するよう湾曲され/形作られてもよい(これは、先に述べたように位置合わせパターンのための標的組織の輪郭として特に適している)。
【0021】
従って、本開示の目的については、光の「パターン」は、完全には重複しない(又は全く重複しない)少なくとも2つのスポットSを意味し、又は単一のパルスの間若しくはCW光と共に移動して、投射された直線又は曲線の線分をもたらす1つ又はそれ以上のスポットを意味する。その上、位置合わせパターンは、処置パターンと同一である必要はない。例えば、処置パターンが数百のスポットを含む場合、その位置をさほど複雑ではない印(例えば、処置パターンの境界及び/又は中心を示すわずか数個のスポットの位置合わせパターン)によって特定することができる。実際に、処置パターンの中心を示す単一の静止した位置合わせビーム・スポットを用いることができる。簡略化された位置合わせパターン又は単一の静止した位置合わせビーム・スポットの使用の方が、位置合わせ光によって処置パターン全体を複製しようとするよりも、より簡単かつ迅速に投射することができる。
【0022】
半自動化された位置合わせの確認及び補償
典型的には、医師は、患者の眼の1つ又はそれ以上の処置前画像及び/又は二次元若しくは三次元データのセット(眼の画像はしばしば、処置のかなり以前、ときには何日も前に、別の病院で異なる機器を用いて撮影される)を用いて、処置の標的とすべき組織の精密な位置を特定する。従来の処置手順中、医師は、処置前画像を用いてあらかじめ特定された患者の眼部組織を手動で特定し、標的を合わせなければならない。処置前画像においてあらかじめ特定された組織位置と処置中に標的とされる組織位置との間に何らかの不整合があった場合、結局は健常な組織が処置され、意図した標的組織は処置を免れることになる。従って、医師による意図された標的組織への処置パターンの位置合わせをより首尾良く成功させるために、システム10は、1つ又はそれ以上の処置前画像を用いて処置テンプレートを作成し、この処置テンプレートを患者の目のライブ画像に対して見当合わせして、位置合わせを検証し、患者の眼の運動を補償し、及び/又は同じ処置パターン内でさえ様々である処置光の線量を制御する。
【0023】
図4は、半自動化された位置合わせの確認及び補償の方法を示す。ステップ1において、眼の処置前画像が生成される。以下の議論では、簡便のために単一の処置前画像について述べるが、同じ又は異なるタイプの複数の処置前画像も同様に生成することができる。画像生成は、処置の現場で処置の直前に実施することもでき、又は異なる場所で処置のかなり前に実施することもできる。処置前画像のソースは、デジタルカラー眼底カメラ画像、眼底カメラ血管造影図、共焦点血管造影図、広視野型血管造影図(近年、糖尿病性網膜症における末梢虚血が重要視されている)、インドシアニングリーン血管造影図、自己蛍光画像、単色画像、赤外線画像、眼底(網膜)画像に対してポイント・ツー・ポイントで見当合わせされたスペクトル領域又は時間領域3D OCT(眼用コヒーレンス断層撮影)、多焦点ERG、優先的超視力視野測定(preferential hyperacuity perimetry)又は静的視野測定のデータセットを含む。処置前画像を形成するデータは、2D又は3Dにマッピングされた機能データ、OCTデータなどであってもよい。画像はまた、複数の異なるソースの2Dデータ及び患者の眼からの画像を用いた複合画像でもよい。
【0024】
ステップ2において、処置前画像における組織のどの部分を処置すべきかを特定する処置テンプレートが作成される。処置テンプレートは、映像ディスプレイとジョイスティック、マウス又は他のポインティング装置のようなユーザ入力とを備えた電子計算装置(コンピュータ装置)を用いて構築することが好ましい。このコンピュータ装置は、処置システムとは別個であってもよく、又は処置システムと一体型であってもよい。例えば、処置テンプレートは、処置前画像を従来のコンピュータにロードし、次いで、コンピュータのディスプレイ画面及び従来のコンピュータ入力装置(キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチ画面など)を用いて、その画像内に処置を保証する位置をデジタル的にマーキングすることによって形成することができる。あるいは、処置前画像は、入力ポート66を用いてシステム10にロードすることができ、この場合、コンピュータ装置は制御電子機器22を含む。次いで、処置テンプレートを、GUI54と、場合によっては1つ又はそれ以上の入力装置64とを用いて生成することができる。
【0025】
処置テンプレートを作成するためのコンピュータ装置は、処置のために医師が患者の眼の画像上に位置をマーキングすることを支援するためのソフトウェア又はハードウェアを含むことが好ましい。例えば、コンピュータ装置は、処置パターンにスポットを付加し又は処置パターンからスポットを取り去るためのツールを含んでいてもよく、又は処置パターンが付加される処置のための領域の輪郭を医師が描くことを可能にすることもできる。理想的には、コンピュータ装置は、上記のシステム10が生成することが可能な1つ又はそれ以上の処置パターンを医師が決定することを支援する。コンピュータ装置は、調整可能な大きさ及び形状のサンプル処置パターンのライブラリを提供し、治療が保証される画像の領域全体をカバーするように1つ又はそれ以上の処置パターンを医師が選択し、配置し、調整することを可能にする。典型的なパターンは、初期又はフィルイン型(fill-in)の汎網膜光凝固(PRP)、格子状処置パターン、扇形処置パターン、脈絡膜新生血管膜を「塗る(paint)」パターン、網膜円孔又は裂孔の周囲を「塗る」パターン、又は微細動脈瘤の処置のために自動的に特定された領域の周囲を「塗る」パターン、治験に必要なパターン、及び/又は専門的には頻繁に利用するユーザによって開発されたカスタム・パターンを含むことができるが、これらに限られるものではない。処置パターンを開発する際に、コンピュータ装置は、画像の特定領域を回避する処置パターンを自動的に構築するよう構成することができる。例えば、コンピュータ装置は、黒色(以前の処置を示す)又は赤色(大血管又は血液を示す)の形状又は領域の位置を突き止めて、回避するように設定することができ、又は窩及び視神経といった医師が指定した領域を回避するように設定することができる。コンピュータ装置は、脈絡膜新生血管膜、微細動脈瘤、又は中枢性漿液性網膜症の漏出部といった標的になる可能性がある領域の位置を突き止めて標的とするように構成することもできる。スポットの大きさは位置によって様々であり得る。PRPスポットは、周辺部ではより大きく、後極の付近ではより小さくすることができ、かつ、上記の黒色部回避アルゴリズム又は以前の処置セッション由来の見当合わせされたテンプレートによって判定される、以前のスポットの間に均一に散在させることができる。
【0026】
処置テンプレート生成は、単に処置位置の特定及び制御に限定される必要はない。線量制御情報を処置テンプレートの中に埋め込み、システム10がこれを使用して、標的組織内の様々な位置に対する処置光の線量(出力、スポットの大きさ及び持続時間)を自動的に変化させるようにすることもできる。これは、コンピュータ装置によって実行される自動化された機能とすることもでき、又は医師によって手動で実行することもでき、又は両方の組合せとすることもできる。例えば、レーザ・エネルギー吸収は一般に色素沈着の関数である。色が薄い又は反射率が高い組織ほど、一般に高用量の処置光を必要とする。対照的に、色が濃い組織は吸収性がより高く、一般により低用量の処置光を必要とする。処置テンプレートの生成の際に、標的組織内の各スポット又は位置に対する適正な線量を決定するために、コンピュータ装置及び/又は医師が、色素沈着及び反射率/吸収特性を用いることができる。この情報を処置テンプレートに組み入れることによって、システム10はその後この情報を用いてレーザ出力及び/又はドウェル時間を自動的に調整して、標的組織内の各位置における最適な処置線量を提供することができる(数百ものスポットを含む処置パターンについてのリアルタイムのスポット毎の場合でさえも)。意図された処置波長に付近の波長で判定すれば吸収測定は最適となるはずであるが、メラニンは広帯域吸収体であり、棹体及び錐体の色素もまた累積的に緑色吸収体(最も広く使用されている処置波長に近い)であり、このことは、自動化線量制御を使用する多くの手順について、厳密な処置波長での画像化は必ずしも必要ではないことを意味する。自動化線量制御は、より高い精度及び安全性をもたらし、より精密な閾値下処置を可能にし、ブルッフ膜の破断及び出血の可能性を減少させる。
【0027】
処置テンプレートは、精密な処置パターンとそのような処置パターン内での線量を含めた処置の位置及び線量を定める、処置前画像に対するデジタル・オーバーレイを表す。処置テンプレートは、処置前画像を含む同じデジタル・ファイル内に組み入れることができ、又は典型的には別個のデジタル・ファイルとして格納することができる。処置テンプレートを用いることで、医師は、患者がいないところで(おそらくは臨床環境の外でさえも)処置前画像を注意深く分析することによって、処置スポット又はパターンをどこに、どのくらいの線量で適用するかを厳密に定めるために自分の時間を使うことが可能になる。処置テンプレートに医師が「デジタル署名」すること、及び危機管理の目的で処置テンプレートを永久保存することさえ可能である。処置テンプレートは、処置後の手術レポートとしての役目を果たすこともできる。
【0028】
ステップ3において、処置前画像及び処置テンプレートは、入力ポート66を介してシステム10内にロードされ、好ましくは、制御電子機器22の中に収容されているか又は接続された記憶装置22a(例えばハード・ドライブ、フラッシュ不揮発性メモリ、CD、DVDなど)の中に格納される。入力ポート66は、記憶装置(即ちCD/DVDディスク、フラッシュ・メモリ・キーなど)から電子ファイルを受け取るためのポート、又はネットワーク上で電子ファイルを受け取るためのネットワーク接続とすることができ、又は、処置テンプレートを生成するため用いられるコンピュータ装置に対する直接接続を提供するものとすることさえできる。システム10を用いて処置テンプレートが生成される場合、処置前画像データはあらかじめシステム10内にロードされており、処置テンプレートはシステム10によって内部で作成されているはずであるので、このロードするステップは省略することができる。
【0029】
ステップ4において、送達系68が患者の眼に位置合わせされる。これは、医師がレンズ60(好ましくはコンタクトレンズ)を保持して患者の眼に対して位置合わせすることによって(これは、画像の最適化、傾斜度、コンタクトレンズからの反射、瞳孔の大きさ、瞳孔の分散、角膜及びレンズの混濁、及び乱視の問題を解決する)、及び/又は、標的組織を直接観察しながら又はガイドとしてカメラ62からリアルタイム画像を用いながら、1つ又はそれ以上の入力装置/制御64及び/又はGUI54を通じて送達系68の位置合わせを操作することによって、達成することができる。送達系68が概ね患者の眼に対して位置合わせされたときに、カメラ62が患者の眼のライブ画像をキャプチャし、この画像が制御電子機器22に送信され、GUI54上又は別のディスプレイ装置上に表示される。
【0030】
ステップ5において、システム10は、処置前画像及び処置テンプレートをカメラ66からのライブ画像に見当合わせし、その結果、システム10は、処置前画像及び処置テンプレート上のどこに現在、送達系が照準を合わせているかを精密に判断することができるようになっている。この画像の見当合わせは、カメラ62からのライブ画像の二次元映像振幅を処置前画像の二次元映像振幅に対して整合させるアフィン変換又は他のストレッチング若しくはモーフィング・アルゴリズムを用いて達成することができる。このプロセスは、ライブ画像との最良適合を作り出すように、処置前画像をストレッチング又はモーフィングすることを伴う。随意に、特徴認識技術を用いて画像の見当合わせを行うことができる。ステップ4における送達系の位置合わせが意図される標的組織に近接している(即ち、処置前画像とライブ画像との間に実質的な重なりが存在する)限り、システム10はライブ画像を認識し、それに対して処置前画像を見当合わせする。
【0031】
見当合わせは、おそらくはカメラ62からのメガピクセル画像を必要とせず、512×512又はVGA(640/480)程度の低い解像度でおそらく十分であることが証明されるであろう(それゆえ、費用が削減され、メガピクセル・カメラよりも高いフレームレート及び低い処理帯域が可能となる)。カメラ62は、典型的には、光子効率を高めるための高い充填率(fill factor)(100%)の単色センサ、又はより良好な画像処理のための漸進的に走査されるセンサを含む。カメラ62は、細隙灯生体顕微鏡で標的組織を照明し視覚化するために医師が通常用いる白色光照明から網膜画像を検出する、赤外線又は可視センシングを含むことができる。制約を受けていない眼は衝動性運動を安定化するためにおよそ1kHzを必要とするので、カメラ62のフレームレートはビデオレートよりも相当に高くすべきである。高粘度の結合流体、及び大きな表面積と接触するフランジ付きレンズを用いることで、患者の眼の衝動性運動の速度をある程度遅くすることができる。
【0032】
システムは患者の眼の運動が生じた場合に適正な見当合わせを維持することが望ましく、これは、システム10が見当合わせを維持しながら眼の運動を検出し追跡することが好ましいことを意味する。眼の運動を追跡することができる画像見当合わせの1つの非限定的な例は、カイ二乗アルゴリズム(これは、網膜の追跡に効果的であることが既に示されている)を実装したパイプライン処理(好ましくはXilinixによって行われているようなFPGAシリコン上での画像処理を用いる)を用いることである。このプロセスは、患者の眼のライブ画像の現在のフレームの二次元映像振幅を以前のフレームの二次元映像振幅と比較して、何らかの運動の方向及び振幅を判定することによって達成することができる。例えば、現在のフレーム画像を反復的に、例えば右へ1ピクセル移動させることができ、そこで計算を行って適合が存在するかどうかを判定する。これを、最良適合又は整合が達成されるまで、左、上及び下へと移動させながら繰り返す。いったん最良適合が達成されると、眼の運動の量は、最良適合/整合を達成するためにいくつのXYピクセルの移動が必要であったかによって判定することができる。次いで、それらのピクセル移動の調整が可動ミラーを通じた処置テンプレートの位置決めに適用され、ライブ画像に対する適正な見当合わせが維持される。
【0033】
ライブカメラの画像と処置テンプレート(処置前画像上に構築されたもの)との間で適正な見当合わせが達成されていることを医師が確認することが好ましい。これは、ライブ画像と処置テンプレートのオーバーレイを視覚的に表示することができるGUI54を用いることによって遂行することができる。このオーバーレイ画像は、医師が必要とする、見当合わせが適切に実行されており、システムが処置パターンを送達する準備が整ったということの視覚的確認を提供する。従って、いったん医師が送達系68を意図した標的組織又はその付近に位置合わせするとシステム10は見当合わせを自動的にロックするが、見当合わせは、処置を開始する前に医師によって視覚的に確認されるべきである。
【0034】
いったん見当合わせが達成されると、重ね合わされたライブ画像及び処置前画像の視覚表示は、処置テンプレートによって定められる標的組織に対する送達系の位置合わせをもっと心合わせするためにさらなる手動の位置合わせが必要とされ得ることを、医師に示すことがある。患者の眼の運動によって位置ずれが生じることもある。従って、ステップ5の画像の見当合わせの間及びその後の両方において、医師による患者の眼に対する送達系68の更なる位置合わせが行われることがある。位置合わせの確認は、いくつかの異なる方法で実施することができる。医師は、処置テンプレートによって定められた標的組織が、画像オーバーレイを示すディスプレイの視野内、ディスプレイ上の特定の領域内、又は、さらにはディスプレイ中央に来るまで、送達系の位置合わせを操作することができる。あるいは、送達系の位置合わせを視覚的に示す照準ビームを眼に向けることができ、それによって、医師は照準ビームが処置テンプレートによって定められた処置パターン内(又は、さらには処置パターンに対して中央)に来るまで位置合わせを調整する。若しくは、図1に関して上述したような位置合わせパターンが患者の眼に投射され、医師は、この位置合わせパターンが処置テンプレートによって定められ画像オーバーレイ・ディスプレイ上に表示された処置パターンに部分的に又は完全に重なるまで、又はその中央に来るまで、又は、さらにはスポット同士がに完全に位置合わせされるまで、送達系の位置合わせを調整する。
【0035】
見当合わせが確認され、送達系68が提案された処置領域又はその付近に位置合わせされるように医師によるいずれかの追加の位置合わせが完了した後、医師は、入力装置/制御64(例えばフットペダル、フィンガースイッチ、又は他の何らかの同等のトリガ装置)をトリガすることによってステップ6の処置を起動し、システム10が患者の眼に対して処置パターンを適用する。システムは、もっぱら医師の位置合わせのみに依存する(及び、単純に位置合わせが処置テンプレートによって定められた標的組織に対して余りにずれている又はずれてきた場合に処置を妨げるように構成される)こともできるが、システム10が、標的組織に対する送達系68の位置合わせを達成及び/又は維持するように処置の前及び間に位置合わせを能動的に操作することが好ましい。より具体的には、医師が処置をトリガすると、システム10は、送達系68が意図された標的組織(処置テンプレートによって定められた)に対して正確に照準を合わせていることを確認する。そうなっていない場合には、システム10は(制御電子機器22を通じて)処置のために指定された領域を探索し、見つかったら、送達系68の位置合わせが意図した標的組織に位置合わせされる(即ち、処置テンプレートによって定められたのと同じ位置及び線量で処置パターンが眼の組織に投射されるようになる)まで、送達系68を調整する。さらに、処置パターンを眼の組織に適用しながら、システムによって検出されたいかなる眼の運動も補償するように、送達系68の位置合わせが必要に応じて絶えず調整される(即ち、システムは、眼のリアルタイムの運動を追跡し、送達系68の位置合わせに対して適切な修正を加える)。この技術によれば、医師は送達系68を意図する標的組織の近くに位置合わせするだけでよく(粗調整)、システム10が、処置テンプレートを用いて位置合わせを自動的に完了及び検証し(微調整)、次いで処置パターンを眼の組織に対して自動的に適用する。
【0036】
上記技術の真の精度は、処置を行うべき場所及び線量を正確に示す詳細なテンプレートを作成する医師と、そのテンプレートを用いて標的組織に対して所定の線量の処置光を適用しながら位置合わせを達成及び維持するシステムとの組合せによって達成される。精度は、処置されているのが位置合わせ及び線量制御のために画像化もされている(瞳孔、虹彩、又は他の隣接の組織ではなく)実際の組織であることからも、達成される。さらに、このシステムは、送達系の位置合わせを操作して動いている標的組織を追跡することができるので、より均一な処置のために、より長い照射時間を用いて、パターン又は移動するスポットをより良好に標的組織上に投射し又は塗ることができる。
【0037】
上記の処置テンプレートには、他の利点及び用途がある。1つの処置セッションに由来する処置テンプレートを格納しておき、その後の処置セッションの際に過去の処置位置の正確な指標として後日使用することができる。例えば、PRPのフィルイン型の再処置において、もっと初期の処置セッション由来の処置テンプレートを用いて、以前のレーザ処置の中間の組織位置を定め、標的とすることができる。多くの候補患者の間で広範に使用するための汎用の処置テンプレートを作成することもできる。例えば、眼科専門家は、特定の研究又は最適化された特殊処置のための処置テンプレートを調製することができる。これらの汎用処置テンプレートに幾らかの修正を加えて特定の患者のジオメトリにマッピングすることが可能であり、その際、意図された処置の包括的な態様は保持される。
【0038】
処置前画像及び処置テンプレート内の探索範囲及び/又は送達系68に適用される微調整の量は、最初に医師による位置合わせの粗調整を含めることによって、医師が連続的に標的組織を位置合わせしようと試みる一方でシステムが同様に眼の運動を修正するならば特に小さくなる。上記のシステム及び技術は、熱拡散によって引き起こされるRPEクリープのリスクを軽減しながら精度、安全性及び効率を高め、従って、医師が、中心窩の無血管域、網膜黄斑、以前のレーザ・マークなどのような敏感な領域に近い組織を安全に処置することを可能にする。
【0039】
上記の半自動化処置システム及び技術には、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症及び静脈閉塞に対する微細動脈瘤(画像内では識別子として小さな鮮やかな赤色のドットを用いる)、網膜静脈分岐閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、糖尿病性黄斑浮腫、限局性中心窩外又は乳頭周囲脈絡膜新生血管膜(CNV)、中心性漿液性網膜症(CSR)漏出、網膜血管腫状増殖(RAP)病変、網膜孔、毛細血管拡張症、又は供給血管(典型的にはICG、高フレームレート血管造影法によって特定される)の処置を含む多くの用途がある。
【0040】
図5は、光ファイバ送達を用いた、図1のシステムの代替的な実施形態を示す概略図である。この実施形態においては、レンズ70を用いて位置合わせ及び治療光46を光ファイバ72に注入する。光ファイバ72から出た光46は、光を調節する、光がスキャナ組立体48に入る前のズーム・システムとしての役割を果たすことができるレンズ74及び76に遭遇する。光ファイバ72の出力面の画像を標的領域に中継することができ、気体レーザによって生成されるガウス・プロファイルではなく、むしろ「フラット・トップ」強度プロファイルが用いられる。図5のシステムの残りの部分は、図1に表されるものと同じである。
【0041】
図6は、図1に関して上述した実施形態と同様ではあるが、光46を走査するために適応光学素子92が走査組立体48内の走査ミラー56/58を置き換えて追加された別の実施形態を示す概略図である。この実施形態において、適応光学素子92を再構成して、複合光学系を作成することができる。例えば、この単一の素子によって、走査及び任意の可能なアナモフィックな補正の両方を光46に対して行うことができる。そのような光学素子92のいくつかの例には、変形可能なミラー、変形可能なレンズ、及び光位相アレイが含まれる。スキャナ48は、同様に他の構成を取ることもできる。特に、著しい眼の運動のために、スキャナ48は、送達系に対する網膜標的の自由度5の運度(3D並進、ピッチ(縦揺れ)、ヨー(偏揺れ))の補償のような、追加の自由度のための追加の光学部品を組み入れることができる。例えば、眼が著しく上方に回転すると、上向きのピッチ補償は十分ではない場合があるが、焦点を合わせるように移動しながら下方への並進及びピッチアップが可能な光学系は、より汎用性が高いものとなり得る(可能であれば医師の補助の下で)。光ビーム46を走査する他の技術は、スキャナ組立体48の一部としての光源(即ち、光源20/34自体を直接動かすことによるビームの移動)、送達系内の他の場所にある単一の可動光学素子(例えばミラー52)を単に用いること、又は送達系68内の他のいずれかの光学素子を操作することを含むことができる。光学素子56/58が光学倍率を有している場合には、標的組織上に画像を生成するために、単なる照明とは対照的に、補償用光学素子(図示せず)を追加してもよい。
【0042】
本発明は、上述され、かつ本明細書で示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るいずれかの及び全てのバリエーションを包含するものであることを理解すべきである。例えば、スキャナ48は、必要な位置合わせの(微)調整を行うために理想的ではあるが、処置パターンを適用する前に、送達光学チェーン内の他の光学素子を動かし又は使用して、別の方法で処置パターンの位置の微調整を実施することができる。さらに、処置光及び/又は位置合わせ光のためにはレーザが好ましい光源であるが、任意の適切な光源を利用することができる。治療光は、診断及び/又は処置の目的のためのものとすることができることに留意されたい。走査組立体は、位置合わせパターン及び処置パターンの両方を形成するものとして説明されているが、処置パターンの中心又は他の位置を視覚的に示すための位置合わせ光源から出た照準ビーム、又は単純な処置ビームを単に伝送するものであってもよい。制御電子機器の機能は、1つ又はそれ以上の電子部品によって全体として実装することもでき、及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェア内に見いだされる1つ又はそれ以上の構成要素又はモジュールを含むこともできる。
【符号の説明】
【0043】
1:眼
10:半自動化眼科的処置システム
20:位置合わせ光源
22:制御電子機器
24:入力/出力装置
26:治療光源
30、36、38、40、52:ミラー
32、42:フォトダイオード
34:シャッター
44、50、70、74、76:レンズ
46:位置合わせ/治療光
48:スキャナ組立体
54:グラフィカル・ユーザ・インターフェース
56、58、92:光学素子
60:眼科用レンズ
62:カメラ
64:入力装置
66:入力ポート
68:送達系
72:光ファイバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼内の標的組織に対して治療を行うための眼科的処置システムであって、
処置光を生成するための光源と、
前記患者の眼に前記処置光を送達するための送達系と、
前記患者の眼のライブ画像をキャプチャするためのカメラと、
前記患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む該患者の眼の処置前画像を前記カメラによってキャプチャされた前記ライブ画像に対して見当合わせすること、及び
前記送達系が前記処置テンプレートによって定められた前記標的組織に位置合わせされているかどうかを検証すること
のために前記送達系を制御するための制御電子機器と、
前記制御電子機器に接続されたトリガ装置と
を含み、前記トリガ装置の起動と前記送達系が前記標的組織に位置合わせされていることの前記検証との両方に応答して前記患者の眼の上に前記処置光を投射させるように前記送達系を制御するように、前記制御電子機器が構成されたことを特徴とする眼科的処置システム。
【請求項2】
前記制御電子機器が、前記標的組織への前記送達系の前記位置合わせが検証されない場合に、該送達系を前記処置テンプレートによって特定された該標的組織に対して位置合わせしようとする試行において該制御電子機器が該送達系の位置合わせを調整するように構成されており、前記試行が成功すれば、該制御電子機器が、前記患者の眼の上に前記処置光を投射させるように該送達系を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御電子機器が、前記ライブ画像から前記患者の眼の運動を検出するように構成され、かつ、前記送達系が前記標的組織に位置合わせされたままとなるように該送達系の位置合わせを調整して前記運動を追跡させるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処置テンプレートが線量情報を含み、
前記制御電子機器が、前記線量情報に応答して、前記標的組織に対する前記処置光の用量を変更することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処置前画像を受け取るための入力装置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処置テンプレートと前記ライブ画像とのオーバーレイ画像を表示するためのディスプレイ画面をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記オーバーレイ画像が、前記標的組織上の所望の処置位置を視覚的に特定する、前記処置テンプレートから生成された印を含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
位置合わせ光を生成するための第2の光源をさらに含み、前記送達系が、前記患者の眼に対する該送達系の位置合わせを視覚的に示すために、該患者の眼に前記位置合わせ光を送達することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記送達系が、前記処置光を偏向させて前記患者の眼の上への投射のための該処置光の処置パターンを生成するための、走査装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
位置合わせ光を生成するための第2の光源をさらに含み、前記送達系が前記患者の眼に前記位置合わせ光を送達し、前記走査装置が、該患者の眼に対する該送達系の位置合わせを視覚的に示すために、該位置合わせ光を偏向させて該患者の眼の上に該位置合わせ光の位置合わせパターンを生成することを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の眼への前記送達系の位置合わせを調整するための、前記制御電子機器に接続されたユーザ入力をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記処置前画像及び前記処置テンプレートを格納するための記憶装置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
処置光を生成するための光源と患者の眼に前記処置光を送達するための送達系とを有する眼科的処置システムを用いて、患者の眼内の標的組織に対する治療を行うための方法であって、
前記患者の眼の処置前画像を生成し、
前記処置前画像を用いて、前記患者の眼の標的組織を特定する処置テンプレートを準備し、
前記患者の眼に前記光源送達系の照準を合わせ、
前記患者の眼のライブ画像を作成し、
前記患者の眼の前記ライブ画像に、前記処置前画像及び前記処置テンプレートを見当合わせし、
前記送達系が前記処置テンプレートによって定められた前記標的組織に位置合わせされているかを検証し、
前記標的組織への前記送達系の位置合わせが検証されたら、該送達系に前記患者の眼の上へと処置光を投射させるトリガ装置を起動する
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記標的組織に対する前記送達系の前記位置合わせが検証されない場合、
前記送達系を前記処置テンプレートによって特定された前記標的組織に対して位置合わせしようとする試行において、該送達系の位置合わせを調整し、
前記試行が成功すれば、前記処置光を前記患者の眼の上に投射する
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ライブ画像から前記患者の眼の運動を検出し、
前記送達系が前記標的組織に位置合わせされたままとなるように、前記運動を追跡するように該送達系の位置合わせを調整する
ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記処置テンプレートが線量情報を含み、前記方法が、
前記線量情報に応答して、前記標的組織に対する前記処置光の用量を変更するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記処置テンプレートと前記ライブ画像とのオーバーレイ画像をディスプレイ画面上に表示するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記オーバーレイ画像が、前記標的組織上の所望の処置位置を視覚的に特定する、前記処置テンプレートから生成された印を含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼に対する前記送達系の位置合わせを視覚的に示すために、前記送達系による該患者の眼への送達のための位置合わせ光を生成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の眼の上への投射のための前記処置光の処置パターンを生成するために、走査装置を用いて該処置光を偏向させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項1】
患者の眼内の標的組織に対して治療を行うための眼科的処置システムであって、
処置光を生成するための光源と、
前記患者の眼に前記処置光を送達するための送達系と、
前記患者の眼のライブ画像をキャプチャするためのカメラと、
前記患者の眼内の標的組織を特定する処置テンプレートを含む該患者の眼の処置前画像を前記カメラによってキャプチャされた前記ライブ画像に対して見当合わせすること、及び
前記送達系が前記処置テンプレートによって定められた前記標的組織に位置合わせされているかどうかを検証すること
のために前記送達系を制御するための制御電子機器と、
前記制御電子機器に接続されたトリガ装置と
を含み、前記トリガ装置の起動と前記送達系が前記標的組織に位置合わせされていることの前記検証との両方に応答して前記患者の眼の上に前記処置光を投射させるように前記送達系を制御するように、前記制御電子機器が構成されたことを特徴とする眼科的処置システム。
【請求項2】
前記制御電子機器が、前記標的組織への前記送達系の前記位置合わせが検証されない場合に、該送達系を前記処置テンプレートによって特定された該標的組織に対して位置合わせしようとする試行において該制御電子機器が該送達系の位置合わせを調整するように構成されており、前記試行が成功すれば、該制御電子機器が、前記患者の眼の上に前記処置光を投射させるように該送達系を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御電子機器が、前記ライブ画像から前記患者の眼の運動を検出するように構成され、かつ、前記送達系が前記標的組織に位置合わせされたままとなるように該送達系の位置合わせを調整して前記運動を追跡させるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処置テンプレートが線量情報を含み、
前記制御電子機器が、前記線量情報に応答して、前記標的組織に対する前記処置光の用量を変更することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処置前画像を受け取るための入力装置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処置テンプレートと前記ライブ画像とのオーバーレイ画像を表示するためのディスプレイ画面をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記オーバーレイ画像が、前記標的組織上の所望の処置位置を視覚的に特定する、前記処置テンプレートから生成された印を含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
位置合わせ光を生成するための第2の光源をさらに含み、前記送達系が、前記患者の眼に対する該送達系の位置合わせを視覚的に示すために、該患者の眼に前記位置合わせ光を送達することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記送達系が、前記処置光を偏向させて前記患者の眼の上への投射のための該処置光の処置パターンを生成するための、走査装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
位置合わせ光を生成するための第2の光源をさらに含み、前記送達系が前記患者の眼に前記位置合わせ光を送達し、前記走査装置が、該患者の眼に対する該送達系の位置合わせを視覚的に示すために、該位置合わせ光を偏向させて該患者の眼の上に該位置合わせ光の位置合わせパターンを生成することを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の眼への前記送達系の位置合わせを調整するための、前記制御電子機器に接続されたユーザ入力をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記処置前画像及び前記処置テンプレートを格納するための記憶装置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
処置光を生成するための光源と患者の眼に前記処置光を送達するための送達系とを有する眼科的処置システムを用いて、患者の眼内の標的組織に対する治療を行うための方法であって、
前記患者の眼の処置前画像を生成し、
前記処置前画像を用いて、前記患者の眼の標的組織を特定する処置テンプレートを準備し、
前記患者の眼に前記光源送達系の照準を合わせ、
前記患者の眼のライブ画像を作成し、
前記患者の眼の前記ライブ画像に、前記処置前画像及び前記処置テンプレートを見当合わせし、
前記送達系が前記処置テンプレートによって定められた前記標的組織に位置合わせされているかを検証し、
前記標的組織への前記送達系の位置合わせが検証されたら、該送達系に前記患者の眼の上へと処置光を投射させるトリガ装置を起動する
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記標的組織に対する前記送達系の前記位置合わせが検証されない場合、
前記送達系を前記処置テンプレートによって特定された前記標的組織に対して位置合わせしようとする試行において、該送達系の位置合わせを調整し、
前記試行が成功すれば、前記処置光を前記患者の眼の上に投射する
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ライブ画像から前記患者の眼の運動を検出し、
前記送達系が前記標的組織に位置合わせされたままとなるように、前記運動を追跡するように該送達系の位置合わせを調整する
ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記処置テンプレートが線量情報を含み、前記方法が、
前記線量情報に応答して、前記標的組織に対する前記処置光の用量を変更するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記処置テンプレートと前記ライブ画像とのオーバーレイ画像をディスプレイ画面上に表示するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記オーバーレイ画像が、前記標的組織上の所望の処置位置を視覚的に特定する、前記処置テンプレートから生成された印を含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼に対する前記送達系の位置合わせを視覚的に示すために、前記送達系による該患者の眼への送達のための位置合わせ光を生成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の眼の上への投射のための前記処置光の処置パターンを生成するために、走査装置を用いて該処置光を偏向させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2011−501985(P2011−501985A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527943(P2010−527943)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/010984
【国際公開番号】WO2009/045286
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506237436)オプティメディカ・コーポレイション (12)
【氏名又は名称原語表記】OPTIMEDICA CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/010984
【国際公開番号】WO2009/045286
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506237436)オプティメディカ・コーポレイション (12)
【氏名又は名称原語表記】OPTIMEDICA CORPORATION
【Fターム(参考)】
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