説明

卓球用水性粘着剤および卓球ラバーの貼り合わせ方法

【課題】ラバーの貼りかえの際に選手の健康を害することがなく、ラケット表面に粘着剤が残らず、ラケット表面を傷つけるおそれのない卓球用の粘着剤を提供する。
【解決手段】卓球用ラバーを、卓球ラケット本体に貼り合わせるのに用いる水性粘着剤であって、天然ゴムラテックス、変性天然ゴムラテックス及びイソプレン(合成天然ゴム)ラテックスからなる群から選ばれる1種又は2種以上からなるラテックスと粘着付与樹脂を含有することを特徴とする卓球用水性粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓球用ラケット本体の表面にラバーを貼り合わせるのに使用する卓球用水性粘着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
卓球競技において使用されるラケット本体の表面には、競技者の好みに応じて各種ラバーの中から、その好みに合ったラバーを選択し、貼り合わせて使用することが世界的に一般化している。
【0003】
この場合、それらのラバーは消耗品であることから、卓球競技を行なう選手は、上記ラバーの貼りかえを頻繁に行なっているものである。
【0004】
また、ラケットは木製であることが競技ルールで限定されているため、同じ樹種で製造しても重量や打感が全く同じものになりづらい。よって、競技者は自分の好みに合ったラケットを持っている場合それを取り替えることが少なく、ラバーを貼りかえる際にもそれまで使用してきたラケットをそのまま使用する場合が多い。
【0005】
また、卓球ラケットは軽くなければスイングが遅くなりボールに速いスピードを与えることができなくなるため、ラケットの重量が100g以下、すなわち比重が約0.5以下になるように構成されている。そのため、用いられる樹種は檜、バルサ、南洋リンバ材などに限定されており、これらは繊維組織が粗いものが多い。
【0006】
このラバー貼りかえのために使用されている従来の粘着剤は、その全てが、有機溶剤にゴム又はプラスチックスを溶質として例えば5〜10%を溶入したものである。そのため、ラバー貼りかえのとき、粘着剤に含まれる有機溶剤が揮散するため、有機溶剤に変わるものが期待されていた。
【0007】
ラバーの貼りかえを行なう時、従来の粘着剤は木材への付着力が強いため粘着剤がラケット表面に残った。これを除去する際、繊維組織が粗い木材の場合、ラケット表面の木質が破損することが見られた。これを保護するためにラケット表面をコーティング処理する試みもなされてきたが、木材が本来もつ打感が失われるため競技者が打感を好まない場合が多かった。よって、従来の粘着剤ではラケットが本来有する性質を損なうことなくラケットの損傷を防ぐことが困難だった。
【0008】
そこでこの問題点を解消するために、上記有機溶剤を含んでいない、両面粘着シート、もしくは液体粘着剤等が検討されている。
【0009】
ところが、現在知られている卓球ラバー両面粘着シートを用いてラバーをラケット表面に貼り合わせた場合、ラバーを再度はりかえようとするとき、そのラバーの剥離が困難で、その貼りかえ作業に手間がかかる。またその粘着シートを均一に気泡がかまないように貼り合わせるには熟練を要することから、このラバー粘着両面シートの使用は、選手に嫌われ、普及されていないのが現状である(特許文献1、特許文献2)。
【0010】
また、上記の問題を解決するために水溶性粘着剤を用いる貼り合わせ方法が提案されている(特許文献3)。しかし水溶性粘着剤は、従来の有機溶剤形粘着剤に比べて乾燥スピードがたいへん遅く、そのため貼りかえ作業に時間と手間がかかる。また、ラケットへの糊残りが多くラバーの貼りかえ作業がしづらいうえ、ラケット本体を単独で持ち運びする際、貼り合わせ面にベタつきが残り持ち運びしにくい欠点がある。
【0011】
更には、一般的に用いられる水性粘着剤では特にラケット本体の表面に直接塗布すると、ラケットは木製であるが故に粘着剤がラケット本体の表面に含浸し易く、ラバーを貼りかえる際、ラケット表面に粘着剤が残ってしまう問題がある。
【0012】
また、上記問題を避けるため、ラバー側にのみ水性粘着剤を塗布し、十分に水分を乾燥させた後、ラケットに貼り合わせる方法も提案されているが、この方法では、粘着剤に必要以上にタック(ベタつき)を持たせる必要がある為、ラバーを貼りかえる際にかなりのはがす力が必要となり、ラケット表面を傷つけるおそれがある(特許文献4)
【0013】
【特許文献1】特開平8−188754号公報
【特許文献2】特開平9−38258号公報
【特許文献3】特開2006−51328号公報
【特許文献4】特開平6−240218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、ラバーの貼りかえの際に有機溶剤が揮散することがなく、ラケット本体の表面に粘着剤が残らず、ラケット本体の表面を傷つけるおそれのない卓球用の粘着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述の両面粘着シートや、水溶性粘着剤の欠点に着目してなされたもので、天然ゴムラテックス、変性天然ゴムラテックス及びイソプレン(合成天然ゴム)ラテックスからなる群より選ばれる1種又は2種以上からなるラテックスと粘着付与樹脂を含有することで、従来の有機溶剤系粘着剤と同様容易にラバーの貼りかえることができ、かつ有機溶剤を含まない卓球用水性粘着剤および該卓球用水性粘着剤を用いた卓球ラバーの粘着方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、卓球用ラバーを、卓球ラケット本体に貼り合わせるのに用いる水性粘着剤であって、ラケット本体及び/又はラバーに塗布し、貼り合わせて用いる。該粘着剤は、ラテックスをベースとしていることから、有機溶剤を含まないので有機溶剤を揮散することなく、容易に塗布することができ、従来通りのラバーの貼りかえやすさを得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の卓球ラケット本体とは、ブレード部に何も加工していないラケットを指すが、ブレード部にプライマーを塗布したり、ゴムシート、スポンジなどを前もって貼り合わせてもよい。
【0019】
本発明で用いられる天然ゴムラテックスは、天然ゴム固形分を60〜70重量%含有するように濃縮したものであって、保存剤としてアンモニア等が添加されたものである。
【0020】
本発明で用いられる変性天然ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックスにメタクリル酸メチルやスチレン、アクリロニトリルなどをグラフトしたグラフト化天然ゴムラテックスの他、無水マレイン酸、チオール酸を付加した変性天然ゴムラテックスを含む。
【0021】
本発明で用いられるイソプレン(合成天然ゴム)ラテックスとしては、溶液重合により得られたイソプレン(合成天然ゴム)溶液に石けん及び水を加えて乳化した後溶剤を除去することで得られる。
【0022】
そのほか、天然ゴムラテックス、変性天然ゴムラテックス及びイソプレン(合成天然ゴム)ラテックスから選ばれる1種又は2種以上からなるラテックスに対し、粘着剤の皮膜物性の改善のため、例えば低分子量のイソプレン(合成天然ゴム)ラテックス、(水素添加)スチレン系エラストマーなどを必要に応じて配合することができる。
【0023】
本発明で用いられる粘着付与樹脂としては、一般の粘着剤に使用されているものがいずれも使用可能であり、例えば、水添ロジン、重合ロジン、変性ロジン、水添ロジンエステル等のロジン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等のフェノール系樹脂、天然及び合成テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、クマロン−インデン−スチレン樹脂、脂肪族系及び芳香族系石油樹脂等が挙げられる。これらの中で、特にロジン系樹脂、テルペン樹脂、及び石油樹脂等がラテックスとの相溶性、安定性、臭気、コストの点で好ましい。
【0024】
粘着付与樹脂の添加量はラテックス100乾燥重量部に対して、70乾燥重量部以下が好ましく、より好ましくは5〜50乾燥重量部が適当である。70乾燥重量部を超えると、ラバーの貼りかえの際にラバーのはく離が困難になる。また、粘着付与樹脂を添加しないと、粘着剤を塗布し、完全に乾燥させた場合、タックも無くなるため、ラケット本体とラバーとを貼り合わせることが困難になる。
【0025】
粘着付与樹脂の他、加硫剤、加硫促進剤、充填材、老化防止剤、増粘剤などは必要に応じて配合すればよい。
【0026】
加硫剤としては、好適に使用されるが、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジチオビスモルホリンなどの含むイオウ化合物も使用可能である。加硫促進剤としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が使用可能である。加硫促進助剤としては、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸、オレイン酸、トリエタノールアミンなどが使用可能である。
【0027】
充填材としては、例えば炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウムなどがあげられる。老化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル6−t−ブチルフェノール)などが使用可能である。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどが使用可能である。
【0028】
以上のようにして調整される粘着剤の粘度は通常2000〜30000mPa・s(B型粘度型)に調整するのが好ましい。また、本発明の粘着剤は固形分濃度が40〜70重量%に調整するのが好ましい。70重量%を超えると、乾燥が早すぎて塗布しづらく、また粘着剤の貯蔵安定性も悪くなる。また、40重量%未満では乾燥に時間がかかり、ラバーの貼りかえ作業に手間取ることになる。
【0029】
上記粘着剤の塗布量は50〜500g/mが適当であり、好ましくは200〜300g/mである。
【0030】
塗布方法は、通常のハケ、ヘラ、スポンジ等が使える。
【0031】
従来、ラケット本体とラバーの貼り合わせ用粘着剤としては、天然ゴムまたは合成ゴムを有機溶剤に溶解した粘着剤が用いられ、競技者たちは、この粘着剤を、ラケット本体とラバーの両面に塗布し、乾燥させた後、貼り合わせたラケットを用いていた。
【0032】
しかし、同様にして通常の水性粘着剤を両面に塗布すると、特に木製のラケット本体の表面に対して含浸し易く、ラバーを貼りかえる際、ラケット本体の表面に粘着剤が残ってしまう問題がある。
【0033】
また、上記問題を避けるため、ラバー側にのみ水性粘着剤を塗布し、十分に水分を乾燥させた後、ラケットに貼り合わせる方法も提案されているが、この方法では、粘着剤に必要以上にタックを持たせる必要があり、ラバーを貼りかえる際、はがす力がかなり必要となり、ラケット表面を傷つけるおそれがある。
【0034】
これに対し本発明の粘着剤は、ラケット本体及び/又はラバーに塗布し、貼り合わせて用いる。塗布面はラケット本体またはラバーのどちらか一方でも良く、ラケット本体及びラバーの両面でも良い。より好ましくは、ラケット本体及びラバーの両面に塗布し、貼り合わせた方が、より均一に貼り合わせることができ、またはがすときもラケット本体の表面に粘着剤が残ることなくきれいにはがすことができる。貼り合わせるタイミングは、粘着剤を塗布した直後の塗布面の表面が乾燥する前でも良く、また粘着剤を塗布した後、しばらく時間をおいて塗布面の表面が乾燥してから貼り合わせても良い。より好ましくは塗布面の表面を乾燥させた後貼り合わせて用いる。乾燥の程度は、十分に乾燥させた後であっても長時間にわたり貼り合わせが可能である。そのため、ラケット本体とラバーとで、その乾燥時間に大きな差が生じることがあった場合でも、その時間差を気にすることなく貼り合わせることができる。また、完全に乾燥させてから貼り合わせることで、養生時間を取ることなく、貼り合わせた直後から、直ちに卓球に使用することが可能となる。本発明の方法により貼り合わせることにより、ラバーを貼りかえる際にラケット表面を傷つけることなく、しかもラケット表面に粘着剤が残ってしまうこともなくきれいにはがせる。
【実施例】
【0035】
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を50乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0037】
(実施例2)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を10乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0038】
(実施例3)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を10乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて60分間放置させた後、貼り合わせた。
【0039】
(実施例4)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を10乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。さらに水を加え、粘度を2000mPa・s/23℃に調整した。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0040】
(実施例5)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を10乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。さらに増粘剤を加え粘度を30000mPa・s/23℃に調整した。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0041】
(実施例6)
天然ゴムラテックス100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を100乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0042】
(比較例1)
アクリル樹脂系エマルジョン(綜研化学社製RE−339)。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0043】
(比較例2)
ウレタン樹脂系エマルジョン(三井武田ケミカル社製W−7004)。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0044】
(比較例3)
SBRラテックス(旭化成ケミカルズ社製A2510)。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0045】
(比較例4)
アクリル樹脂系エマルジョン(綜研化学社製RE−339)100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を50乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0046】
(比較例5)
ウレタン樹脂系エマルジョン(三井武田ケミカル社製W−7004)100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を50乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0047】
(比較例6)
SBRラテックス(旭化成ケミカルズ社製A2510)100乾燥重量部に対し、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂エマルジョン(ハリマ化成社製SK−218NS)を50乾燥重量部、混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0048】
(比較例7)
ポリビニルアルコール(日本酢ビポバール社製JL−05E)を予め、固形分10重量%になるように水に溶解し、グリセリンを5重量%添加し、水溶性粘着剤組成物を得た。この水溶性粘着剤組成物をラケット本体及びラバーの両面に100g/mずつ塗布し、23℃にて30分間放置させた後、貼り合わせた。
【0049】
(比較例8)
粘着シート(タマス社製ニュークイック)
【0050】
(比較例9)
従来の有機溶剤形粘着剤(タマス社製クリーンチャック)
【0051】
(比較例10)
ラケットの表面に木質を保護するためのコーティング処理(大阪塗料工業株式会社製乳状白ラックニス)を行なったラケットに、従来の有機溶剤型粘着剤を使用した。
【0052】
[評価方法]
(1)接着力
ラケット(タマス社製サイプレス 材質:檜材 重量90g)、ラバー(タマス社製スレイバー 材質:天然ゴム)のそれぞれの貼り合わせ面に粘着剤(粘着シート)を塗布し貼り合わせ、卓球ラケットを作成。この卓球ラケットを使用した際に、はく離の有無を確認する。(○:はく離なし ×:はく離あり △:一部はく離あり)
【0053】
(2)乾燥性
ラケット、ラバーそれぞれの貼り合わせ面に粘着剤(粘着シート)を塗布し、貼り合わせが可能になるまでの時間を測定する。(○:従来の有機溶剤形粘着剤と同等 ◎従来の有機溶剤形粘着剤より短時間で乾燥。もしくは乾燥時間を要しない △従来の有機溶剤形粘着剤より若干乾燥時間が延びる ×従来の有機溶剤形粘着剤より大幅に時間を要する)
【0054】
(3)ラケットの糊残り
ラケット、ラバーそれぞれの貼り合わせ面に粘着剤(粘着シート)を塗布し貼り合わせ、卓球ラケットを作成。この卓球ラケットを1ヶ月使用した後、ラバーをはく離し、ラケット板面への糊残り、及びラケット板表面の損傷の有無を目視にて観察。(○:糊残りなく、ラケット板表面の損傷もなし △:一部糊残り、もしくはラケット板表面に一部ささくれが見られる ×:糊残りが多い。もしくはラケット板表面に損傷が見られる)
【0055】
(4)塗りやすさ
ラケット、ラバーそれぞれの貼り合わせ面に粘着剤(粘着シート)を塗布する際の、作業のしやすさを評価する。(○:従来の有機溶剤形粘着剤と同等 △:従来の有機溶剤形粘着剤に比べ、若干手間取る ×:従来の有機溶剤形粘着剤に比べて、非常に煩雑)
【0056】
(5)臭い
各粘着剤(粘着シート)の臭いをかぎ、その度合いを評価。(○:無臭、もしくは不快な臭いではない △:若干不快な臭い ×:不快な臭い、異臭)
【0057】
(6)打感
ラケット、ラバーそれぞれの貼り合わせ面に粘着剤(粘着シート)を塗布し貼り合わせ、卓球ラケットを作成。この卓球ラケットを使用した際に、打感のよさを確認する。(○:打感が良好 △:打感は若干好ましくない ×:打感が悪い)
【0058】
(7)粘度
23℃において、BM型粘度型No.4ローター、12回転、または、BH型粘度型No.6ローター、20回転にて測定をおこなった。
【0059】
(8)固形分
JIS K 6828-1準拠。乾燥温度:105℃、乾燥時間:1時間。
【0060】
得られた各種粘着剤(粘着シート)の各種性能を評価した結果は表1に示すとおりであった。
【0061】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の卓球用水性粘着剤は、天然ゴムラテックスをベースとしていることから、有機溶剤を含まず、容易に塗布することができ、従来通りのラバーの貼りかえやすさを得られるので有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓球用ラバーを、卓球ラケット本体に貼り合わせるのに用いる水性粘着剤であって、天然ゴムラテックス、変性天然ゴムラテックス及びイソプレン(合成天然ゴム)ラテックスからなる群から選ばれる1種又は2種以上からなるラテックスと粘着付与樹脂を含有することを特徴とする卓球用水性粘着剤。
【請求項2】
前記粘着付与樹脂が水添ロジン、重合ロジン、変性ロジン、水添ロジンエステル等のロジン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等のフェノール系樹脂、天然及び合成テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、クマロン−インデン−スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上からなる樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の卓球用水性粘着剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された卓球用水性粘着剤を卓球用ラバー及び/又は卓球ラケットに塗布し、卓球用ラバーと卓球ラケットを貼り合わせることを特徴とする卓球ラバーの貼り合わせ方法。

【公開番号】特開2007−284573(P2007−284573A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113763(P2006−113763)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(390028222)株式会社タマス (7)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】