説明

単一のヌクレオチドバリエーションについての核酸をスクリーニングする方法

核酸中のバリエーションを検出するための方法および組成物が開示される。開示される方法は、目的の核酸の配列と参照核酸の配列との間のバリエーションを選択的に特定するために目的の核酸の配列と参照核酸の配列とを比較する。開示される方法は、一般に、他の鎖にハイブリダイズされた核酸鎖中の選択されたヌクレオチドの切除および置換を包含する。この方法では、切り出されたヌクレオチドが、他のハイブリダイズされた鎖中のヌクレオチドとミスマッチしたならば、置換ヌクレオチドはミスマッチされない。切り出されたヌクレオチドが他のハイブリダイズされた鎖中のヌクレオチドとミスマッチしなかったならば、切り出されたヌクレオチドは置換されない。この相違によって目的の核酸中のバリエーションの検出が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年5月14日に出願された米国仮出願第60/917,763号への優先権の利益を主張する。米国仮出願第60/917,763号は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
多くの薬物の有効性が、遺伝子中の特定の変位または多型に関連している。個別の遺伝的医薬の段階が現実になってきている。今日の医師は、遺伝子情報に基づいて薬物を処方している。感染性疾患の医師は、患者から単離されたヒト免疫不全ウイルス中で見出される耐性の変位に基づいてAIDSの処置のための薬物を処方している(Rhee SY、らAntimicrob Agents Chemother 2004;48(8):3122〜6)。チトクロムp450遺伝子中の多型は、患者の薬物代謝状態を決定するために用いられている(Ingelman−Sundberg M.Trends Pharmacol Sci 2004;25(4):193〜200)。上皮成長因子レセプター遺伝子の変異は、非小細胞肺癌患者の10%で薬物ゲフィニチブに対する実質的な臨床応答を活性化する(Lynch TJら、N Engl J Med 2004;350(21):2129〜39)。
【0003】
さらに、ガンの早期の検出および処置は罹患および死亡を有意に減らす。実際、ほとんどのガンが早期に検出されれば治癒可能である。体液中の少数のガン細胞を検出するためのゲノムDNAの分子分析は、ガンの早期の検出のための有望なアプローチである。
【0004】
腫瘍は、隣接する体液中に一時的に細胞を剥落する。局所の腫瘍由来の悪性細胞は、血液、喀痰、尿および便中で検出される。これらのまれな細胞の鋭敏な検出は、これらの体液中の正常な細胞の数が多すぎるせいで、困難である。これらの細胞由来の正常または野生型のDNAから生成された分子シグナルは、マイナーな変異画分のシグナルを圧倒するか、または競合する。
【0005】
遺伝子変異に関連する疾患の数は増え続けている。なぜならヒトゲノムの配列が解明されているからである。これらのわずかな変異について陽性に選択するために多くの技術が出現しており、その結果、これらのシグナルは、野生型よりも増幅され得る。これらの技術は、以下の2つのタイプに分けることができる;公知の変異を検出する技術、および未知の変異を検出する技術。
【0006】
DNAの公知の部位での変異の鋭敏な検出は既存の技術で容易に行われる。対立遺伝子特異的プライマーは、公知の位置で変異を標的し、その結果そのシグナルが野生型DNAを上回って優先的に増幅され得るように設計することができる。不幸にも、これは標的配列中の任意の位置(塩基)で生じ得る未知の変異では不可能である。ガン遺伝子中のほとんどの変異は、所定の位置には位置しない。kras遺伝子はガンでは高度に変異されている。変異は、エキソン12および13ではホットスポット中でクラスターであるが、遺伝子全体にわたって生じ得る。
【0007】
核酸配列決定は、ヌクレオチドバリエーションを検出するための究極的な標準である。核酸配列決定はまた、標的核酸セグメント内の任意の塩基で生じ得る未知の変異または多型を検出するために十分に適している。最も一般に用いられる方法である酵素的なDNA配列決定の化学は、本質的にその概念をそのまま保っている(非特許文献1)。しかし、これは費用、読み取り長さおよび変異の検出に関しては限界がある。この技術は、蛍光色素、ロボット工学および自動化検出による改良型の電気泳動システムの導入などその自動化を可能にしている技術によって改良されている。しかし、遺伝子バリエーションがサンプル集団中において低頻度で生じる場合、自動化は、ほとんどの実験について費用が高くつきすぎる。手動方式でさえ、配列決定は、労働集約型であるせいで費用が高額であり得る。これによってその広範な使用は検出ツールとしては、特に試験されているサンプル集団においてバリエーションが低頻度で生じる場合は限定されたものである。さらに読み取り長さが、電気泳動分離の分解能力によって制限される。DNA配列決定による変異の検出は、特にこれが野生型配列の20%未満を損なう場合、常に明らかというわけではない。
【0008】
DNAマイクロアレイはまた、遺伝子チップおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイとしても公知であり、公知のバリエーションおよび未知のバリエーションの両方を検出するためのさらに主要な趨勢的な使用となりつつある(非特許文献2)。それらは特に、通常は少数の個体由来の特定の遺伝子配列の高密度分析に適している。しかし、高い装備および製造のコストのせいで、未知のバリエーションの大規模集団スクリーニングにはそれほど適していない。チップはまた挿入および欠失変異を検出するのに極めて非効率的である。これらの変異を検出するためにオリゴヌクレオチドを追加することによってチップを2〜4倍の複雑性に増大することは問題である。また、マイクロアレイでは配列決定同様に、大量の野生型DNA中にマイナーな画分として存在し得る変異を検出するのに適切な感度がない。従って、薬物有効性に関連する遺伝子バリエーションの発見および検出は、現行の技術が不十分であることによって妨げられる。従って、配列決定の前に未知のヌクレオチドバリエーションについて核酸をスクリーニングするための簡易で安価なプロセスが当該分野では必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1997)74,5463
【非特許文献2】Hacia JG.Nat Genet(1999);21(補遺1):42〜7
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される方法は、核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する分野に関する。本明細書に開示される方法によって、過剰な正常DNAの存在下で単一ヌクレオチドバリエーションを含む変異を包含するまれな変異の急速かつ鋭敏な検出が可能になることが理解され、かつ本明細書において意図される。
【0011】
開示されるのは、核酸中のバリエーションを検出するための方法および組成物である。この開示された方法は、目的の核酸の配列と参照核酸の配列との間のバリエーションを鋭敏に特定するために目的の核酸の配列と参照核酸の配列とを比較する。この開示された方法は一般に、他の鎖にハイブリダイズした核酸鎖中の選択されたヌクレオチドの切り出しおよび置換を包含する。ハイブリダイズ核酸における核酸鎖のうちの1つは、目的の核酸であるか、またはそれに由来し、そしてハイブリダイズ核酸のもう一方の核酸鎖は、参照核酸であるか、またはそれに由来する。この整列によって、参照核酸の配列と目的の核酸に配列の比較が可能になる。この方法では、この切り出されたヌクレオチドが他のハイブリダイズした鎖におけるヌクレオチドとミスマッチであるならば、この置換ヌクレオチドは、ミスマッチしないであろう。この切り出されたヌクレオチドが、他のハイブリダイズした鎖におけるヌクレオチドとミスマッチしないならば、この切り出されたヌクレオチドは、置換されない。この相違によって、目的の核酸におけるバリエーションの検出が可能になる。
【0012】
この方法のいくつかの形態では、切り出されたヌクレオチドをヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで置き換えることによって、切り出されたヌクレオチドが置換される鎖は、ヌクレアーゼ消化に耐性になるが、切り出されたヌクレオチドが置換されていない鎖は、ヌクレアーゼ消化に感受性である。切り出されたヌクレオチドの置換後にハイブリダイズ核酸をヌクレアーゼに対して曝すことによって、切り出されたヌクレオチドが置換されていない鎖はヌクレアーゼによって破壊され得るが、切り出されたヌクレオチドが置換されている鎖は保存され得る。次いで、残りの鎖が検出可能であって、その鎖がヌクレアーゼ消化を生残したかが注記され得る。ヌクレアーゼ消化を生き残る鎖は、目的の核酸におけるバリエーションの存在の指標である。
【0013】
この方法のいくつかの形態では、切り出されたヌクレオチドは、テンプレート核酸から産生された核酸鎖中に組み込まれている修飾されたヌクレオチドである。テンプレート核酸は、目的の核酸であっても、または参照核酸であってもよい。修飾されたヌクレオチドは、種々の頻度で、最も通常には合成された鎖あたり平均1回で組み込まれ得る。ミスマッチした鎖とミスマッチの切り出しヌクレオチドなしの鎖との相違は、修飾されたヌクレオチドのタイプ、および/または修飾されたヌクレオチドに用いられる塩基のタイプを限定することによって容易にできる。従って、例えば、特定のタイプの塩基のみを有する修飾されたヌクレオチドの使用とは、その修飾されたヌクレオチドに用いられる塩基のタイプによって特徴付けられる位置でのみヌクレオチドが切り出されることを意味する。切り出され得るヌクレオチドの特定のための範囲がこのように限られているために、置換ヌクレオチドの特異性に制限をおくことが可能になる。従って、例えば、修飾されたヌクレオチド上の塩基のタイプ以外の塩基のタイプを有する置換ヌクレオチドの使用で、ハイブリダイズ鎖とミスマッチした修飾されたヌクレオチドの塩基のみを置換することが可能になる。この方法の特に有用な形態では、単一タイプの塩基を有する修飾されたヌクレオチドおよび3つの他のタイプの塩基を集合的に有する置換ヌクレオチドが用いられ得る。これによって、ある改変体が検出されるとき、改変体であるヌクレオチドのタイプの特定が可能になる。
【0014】
本発明の目的(単数または複数)によれば、本明細書に具現され、かつ広範に記載されるとおり、本発明は一局面では、目的の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法に関しており、この方法は、(a)第一の核酸由来の伸長産物の1セットを生成すること、およびこの伸長産物中に修飾されたヌクレオチドが存在するようにさせることを包含し、ここでこの修飾されたヌクレオチドが単一タイプの塩基を含む、工程と;(b)第二の核酸に対してこの伸長産物をハイブリダイズさせることを包含する工程と;(c)このハイブリダイズ核酸と修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と;(d)このハイブリダイズ核酸と、3つのタイプのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下においてこの伸長産物を伸長し、かつこの修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることであって、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む、工程と;(e)ハイブリダイズ核酸と、この伸長産物の3’末端からヌクレオチドを除去する第二の酵素とを接触させることを包含しており、ここでこの第二の酵素がヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを除去しない工程と;(f)このハイブリダイズ核酸と、ヌクレオチドの存在下でこの伸長産物を伸長する第三の酵素とを接触させることを包含する工程と;(g)ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物から、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することを包含する工程であって、この第一の核酸が参照核酸であって、かつこの第二の核酸が目的の核酸であるか、またはこの第一の核酸が目的の核酸であって、かつこの第二の核酸が参照核酸であり、それによって目的の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する工程と、を包含する。第一の核酸から生成される伸長産物は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。この修飾されたヌクレオチドは、単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で伸長産物を生成することによって伸長産物中で存在するようになり得、ここでこの伸長産物は修飾されたヌクレオチドを組み込む。この修飾されたヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを産生するために伸長産物中のヌクレオチドを修飾することによって伸長産物中で存在するようにされ得る。このヌクレオチドは、選択的に伸長産物中で修飾され得る。このヌクレオチドは、限定された様式で伸長産物中において修飾され得る。このヌクレオチドは、化学的修飾、酵素修飾または組み合わせによって伸長産物中で修飾され得る。
【0015】
開示された方法および組成物のさらなる利点は、本明細書に一部は示されており、これは説明から一部は理解され、または開示される方法および組成物の実施によって学習され得る。この開示された方法および組成物の利点は、添付の特許請求で特に示される要素および組み合わせによって実現および獲得される。前述の一般的説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示であり説明でしかなく、特許請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0016】
添付の図面は、本明細書に組み込まれかつその一部を構成しており、開示される方法および組成物のいくつかの実施形態を図示しており、その説明と一緒になって、開示される方法および組成物の原理を説明するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ウラシルの部位特異的な除去の後のホモ二重鎖またはヘテロ二重鎖DNA上の5’ビオチン化PCR産物の伸長を示す。ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖DNAでの、dNTP(全て)、マッチするヌクレオチド(U)、ミスマッチヌクレオチド(A、C、G)によるTEER。ヘテロ二重鎖Gレーン中の変異は、矢印で示す(<)。
【図2A】固相マイクロタイター形式で伸長産物を検出するために用いられる工程を示す。
【図2B】固相マイクロタイター形式で伸長産物を検出するために用いられる工程を示す。
【図3A】リアルタイムPCT検出を利用する開示された検出方法の例の図を示す。
【図3B】リアルタイムPCT検出を利用する開示された検出方法の例の図を示す。
【図4】モデルのオリゴ三重鎖を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が開示および記載される前、別段の特定がない限り、それらは、特定の合成方法または特定の組み換えバイオテクノロジー方法に、または別段の特定がない限り特定の試薬には限られず、そういうものとして、当然ながら変化してもよいことが理解されるべきである。本明細書に用いられる用語法は、特定の実施形態を記載する目的だけであって、限定する意図はないことも理解されるべきである。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つの、ある(不定冠詞:a、an)」および「この、その(定冠詞:the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含する。従って、例えば、「薬学的なキャリア」との言及は、2つ以上のこのようなキャリアの混合物などを包含する。
【0020】
範囲は、本明細書では「ほぼ、約、およそ」ある特定の値から、および/または「ほぼ、約、およそ」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値を包含する。同様に、値が近似で表される場合、先行詞「約」の使用で、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。この範囲の各々のエンドポイントが他のエンドポイントに関して、かつ他のエンドポイントとは独立して、その両方で有意であることがさらに理解される。本明細書に開示される多数の値があること、および各々の値がまた「約」(その値自体に加えてその特定の値)として本明細書に開示されることも理解される。例えば、「10」の値が開示されるならば、「約10」も開示される。ある値が開示されるとき、当業者によって適切に理解されるとおり、その値「以下の」、「その値以上」、およびその値の間の可能な範囲も開示されることがまた理解される。例えば、「10」という値が開示されるならば、「10以下」ならびに「10以上」も開示される。この出願を通じて、データは、多数の異なる形式で提供されること、およびこのデータは、エンドポイントおよび開始ポイント、ならびにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を示していることも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント15が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それ未満、それ以下およびそれと等しいことが開示されると考えられ、10〜15も同様であることが理解される。
【0021】
本明細書ではおよび以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると規定される多数の用語に対して言及がなされる。
【0022】
「任意の(optional)」または「任意に、必要に応じて(optionally)」とは、実質的に記載された事象または環境が生じても生じなくてもよいこと、ならびにこの事象または環境が生じる場合、および生じない場合をその説明が包含することを意味する。
【0023】
「プライマー」とは、いくつかのタイプの酵素操作を支持し得、酵素操作が生じ得るように標的核酸とハイブリダイズし得るプローブのサブセットである。プライマーは、酵素操作を邪魔しない当該分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチドの誘導体もしくはアナログの任意の組み合わせから作製され得る。
【0024】
「プローブ」は、例えばハイブリダイゼーションを通じて、代表的には配列特異的方式で標的核酸と相互作用し得る分子である。核酸のハイブリダイゼーションは当該分野で十分理解されており、かつ本明細書で考察されている。代表的にはプローブは当該分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチドの誘導体もしくはアナログの任意の組み合わせから作製され得る。
【0025】
配列決定技術、特に感度の限界のせいで、未知の変異についての多くの走査技術が長年にわたって開発されてきている:変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC)(Xiao W,Oefner PJ.Hum Mutat 2001;17(6):439〜74)、塩基切断配列走査(BESS)、一本鎖高次構造多型(SSCP)(Orita Mら、Genomics 1989;5(4)874〜9)、ヘテロ二重鎖分析(HA)(Nagamine CMら、Am J Hum Genet 1989;45(2):337〜9)、高次構造感受性ゲル電気泳動(CSGE)(Ganguly A,Prockop DJ.Electrophoresis 1995:16(10):1830〜5;Ganguly Aら、Proc Natl Acad Sci USA 1993;90(21):10325〜9)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Fodde R,Losekoot M.Hum Mutat 1994;3(2):83〜94)、定濃度変性ゲル電気泳動(CDGE)(Hovig E.ら、Mutat Res 1991;262(1):63〜71)、時間的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE)(Chen TJら、Clin Chem 1999;45(8Pt1):1162〜7)、ミスマッチの化学的切断(Cotton RGら、Proc Natl Acad Sci USA 1988;85(12):4397〜401、Novack DFら、Proc.Natl.Acad Sci USA 1986;83(3):586〜90)、ミスマッチの酵素切断(Winter Eら、Proc Natl Acad Sci USA 1985;82(22):7575〜9;Myers RMら、Science 1985;230(4731):1242〜6)およびミスマッチ修復酵素(Oldenburg MCら、Biotechniques 2000;28(2):351〜7;Babon JJら、Electrophoresis 1999;20(6):1162〜70;Youil Rら、Genomics 1996;32(3):431〜5;Brow MAら、J Clin Microbiol 1996;34(12):3129〜37;Lu AL、Hsu IC.Genomics 1992;14(2):249〜55)。これらの技術は、広範な使用はみられていない。なぜなら、それらは以下の限界のうちの1つ以上を有するからである:自動化するのが面倒で困難(低い処理能力)、低い感度または再現が困難。
【0026】
当該分野のその要件は、未知の変異についてスクリーニングするために開発されている多数の方法によって証明される。一本鎖高次構造多型(SSCP)は、Oritaら、Genomics,5:874〜879(1989)によって開示されるように、非変性ゲル中の既知のサンプルに対して一本鎖状態でのその移動率を比較することによって、未知のサンプル中の変異を検出する。ヌクレオチド配列中の変化は、電気泳動の間その移動率を変え得るDNA分子の二次構造または高次構造に影響する。しかし、この技術は、200bp未満の小さい標的に限定されており、感度に限界があり、再現するには厳格な電気泳動条件を要する。SSCP分析、例えば、ジデオキシフィンガープリンティング、無方向性(Sarkarら、Genomics,13:441〜443(1992))および双方向性(Liuら、Hum.Mol.Genet.,5:107〜114(1996))の両方、ならびに制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング(LiuおよびSommer,Biotechniques,18:470〜477(1995))における改良によって、1kbのスパンにまたがって変異を検出可能で、ただし簡易さのために感度が犠牲になる。なぜならこれらのプロセスによって生成されるDNAバンドの複雑なパターンのせいで、変異を容易に検出することが困難になるからである。
【0027】
核酸中のヌクレオチドバリエーションについてスクリーニングするために用いられる別の方法は、ゲルマトリックスを通じてそれらが泳動する場合ヘテロ二重鎖分子の種々の移動度に基づく。Nagamineら(Am.J.Hum.Genet.,45,337〜339(1989))によって最初に記載されたとおり、ヘテロ二重鎖分析と呼ばれるその最も簡易な形態で、特徴付けされていないDNAセグメント、通常は増幅またはPCR産物を、対応する野生型セグメントと混合して、加熱して、ゆっくり変性させる。特徴付けされていない核酸が野生型配列とは異なる配列を有する場合、ヘテロ二重鎖分子が形成される。ヘテロ二重鎖の塩基ミスマッチによって、その移動速度が変化し、それによって非変性ゲル中でホモ二重鎖から部分的に分解能することが可能になる。
【0028】
FisherおよびLerman(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:1579〜1583(1983))によって最初に記載されたとおり、変性ゲル勾配電気泳動(DGGE)と呼ばれるさらに鋭敏なアプローチによって、ヘテロ二重鎖分子を勾配ゲル形式で、漸増する変性レベルに供する。変性を通じてヘテロ二重鎖分子が移動するにつれて、それらは融解または変性をはじめる。この時点で移動は緩徐であって、もはや直線ではない。融点はホモ二重鎖分子についてわずかに異なり、ヘテロ二重鎖分子の部分的分解能が可能になる。電場強度、温度および時間の正確な制御が再現可能な結果を達成するのに重要であり、一貫して再現するのは困難である。
【0029】
定濃度変性ゲル電気泳動(CDGE)では、これらの変数はそれほど重要でない。なぜなら、変性剤の濃度はゲル全体にわたって同じであるからである(Hovigら、Mut.Res.,262:63〜71(1991))。この技術の重大な限界は、核酸セグメントが2つ以上の融解ドメインを有し得、そのために異なる変性濃度で別々のゲルを泳動しなければならないということである。
【0030】
時間的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE)は、Borresenら(Bioradiations,99:12〜113(1997))に記載のように、電気泳動の間温度を徐々に上げることによってこの問題を回避しようとする。これは、CDGEと、変性因子として温度のみを用いる温度勾配ゲル電気泳動との間のハイブリッド技術である(RosenbaumおよびRiesner,Biophys.Chem.,26:235〜246(1987))。しかし、予想どおり、この技術はまた、行うことが困難で、再現も困難である。
【0031】
塩基切断配列走査(BESS)と呼ばれる最近導入された技術は、別の配列決定反応の必要性を省くことによってddTTPでのジデオキシ・フィンガープリンティングを改善する(Epicentre Technologies,Madison,WI)。目的の標的は、標識プライマーおよび限られた量のdUTPを用いてPCRによって増幅される。増幅後、この産物をウラシルDNAグリコシラーゼで処理して、ウラシル部位で切断する。次いで、フラグメントの変性ゲル電気泳動で、ジデオキシT配列決定ラダーとほぼ同じラダーを産生する。この技術は、変異について最大1kbまでのDNAセグメントをスクリーニングするのに有用であるが、ゲル電気泳動の分解能によって制限され、GからCの塩基転換を検出せず、その逆も同様に検出しない。
【0032】
別の近年導入された技術は、クリベース(cleavase)と呼ばれる構造特異的エンドヌクレアーゼを用いて、鎖内構造を消化して、フラグメント長多型(CFLP)を生じ、これはBrowら、J.Clin.Microbiol.,34:3129〜3137(1996)に記載されている。この構造はDNAのセグメントを変性すること、次いでそれを消化温度まで急速に冷却すること、および酵素を添加することによって作製される。所定のセグメントのための折り畳みパターンは、酵素での消化の際に固有の結合パターンを変性ゲル上に生じる配列バリエーションによって変更され得る。しかしこの技術は、ゲル電気泳動の分解能、およびプロセスによって生じる複雑なパターンのDNAバンドによって厳しく制限され、これによって変異の検出が困難になる。
【0033】
ヘテロ二重鎖DNA中の塩基対ミスマッチの化学的または酵素的な切断による変異の検出は、Noackら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,83;586〜590(1986)、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:4394〜4401(1988)、Cottonら、米国特許第5,202,231号(Winterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82;7575〜7579(1989)、Myersら、Science,230:1245〜1246(1985))、(LuおよびHsu、Genomics,14:249〜255(1992))、および米国特許第5,698,400号によって記載されている。これらの技術の多くは、切断試薬が全てのタイプの塩基対ミスマッチを認識できないことによって制限され、他については、DNAセグメントの両方の鎖を分析することによってこれは克服され得る。今日まで、これらの技術の広範な使用は観察されておらず、その理由の一部は、それらが極めて毒性の試薬を要し、その手順が実施困難であるためである。
【0034】
DNAチップまたはマイクロアレイとして公知の小型の固相表面へのDNAハイブリダイゼーションプロセスの小型化によって、ゲル電気泳動なしのDNAセグメントの分析が可能になる。Macevicz、米国特許第5,002,867号、Drmanac.米国特許第5,202,231号、Lipshutzら、Biotechniques,9(3):442〜447(1995)およびCheeら、Science,274:610〜614(1996)を参照のこと。しかし、ゲル電気泳動の分解能度によって、DNA配列決定を含む上述の変異検出技術の全てについて分析可能なDNAセグメントのサイズは厳しく制限され、そしてこのプロセスで使用される装置およびチップのコストの高さによって、その広範な使用は制限される。
【0035】
エンドV変異走査と呼ばれる近年の技術が導入されており、未知の変異を検出するために改良されている(Pincas Hら、Nucl.Acid.Res 2004;32(19):e148)。その改良方式では、それぞれp53およびK−rasの遺伝子について1:50および1:100(変異体:野生型)で存在する未知の変異を検出し得る。既存の技術を上回る改良だが、それは検出のためのゲル電気泳動に依存し、解釈するのが困難である。
【0036】
この開示された方法および組成物によって、単一および複数の塩基の置換、挿入および欠失を含む全ての可能な塩基バリエーションを検出可能である方法を提供することにより、これらの他の方法を上回る必要な改善が得られる。これらのバリエーションは、1つ以上の部位で生じ得、そして所定の遺伝子座について各々の部位で1つ以上のヌクレオチドに影響し得る。第二に、スクリーニングプロセスとして、これらの方法は、明らかな陽性または陰性の結果をもたらす。第三に、このプロセスは、ゲル電気泳動の分解能力では制限されず、従って、1kbのサイズを上回るDNAセグメントの分析を可能にする。最後に、電気泳動検出を排することによって、これは極めて自動化しやすくなり、従って大量のスクリーニングに適する。
【0037】
本明細書に開示されるのは、核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する方法である。本明細書に開示される方法によって、過剰の正常DNAの存在下で単一のヌクレオチドバリエーションを含む変異を包含するがこれに限定されない、まれな変異の急速かつ鋭敏な検出が可能になるということが理解され、かつ本明細書で考えられる。従って、例えば、本明細書に開示されるのは、目的の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法であって、この方法は、
(a)第一の核酸由来の伸長産物の1セットを生成すること、およびこの伸長産物中に修飾されたヌクレオチドが存在するようにさせることを包含し、ここでこの修飾されたヌクレオチドが単一タイプの塩基を含む、工程と、
(b)第二の核酸に対してこの伸長産物をハイブリダイズさせることを包含する工程と、
(c)このハイブリダイズ核酸と、修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と、
(d)このハイブリダイズ核酸と、3つのタイプのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下においてこの伸長産物を伸長し、この修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることであって、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む、工程と、
(e)このハイブリダイズ核酸と、この伸長産物の3’末端からヌクレオチドを除去する第二の酵素とを接触させることを包含しており、この第二の酵素がヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを除去しない工程と、
(f)このハイブリダイズ核酸と、ヌクレオチドの存在下でこの伸長産物を伸長する第三の酵素とを接触させることを包含する工程と、
(g)ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物から、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することを包含する工程であって、この第一の核酸が参照核酸であって、かつこの第二の核酸が目的の核酸であるか、またはこの第一の核酸が目的の核酸であって、かつこの第二の核酸が参照核酸であり、それによって目的の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する工程と、を包含する。この第一の核酸から生成される伸長産物は、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよい。
【0038】
この修飾されたヌクレオチドは、単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で伸長産物を例えば生成することによって、この伸長産物に存在するようにされ得、ここでこの伸長産物は修飾されたヌクレオチドを含む。この方法の特に有用な形態は、平均して、伸長産物鎖に1つまたは2〜3個の修飾されたヌクレオチドを生じる。この修飾されたヌクレオチドは、一般にはランダムに組み込まれてもよく、その結果伸長産物のセットは集合的に、その修飾されたヌクレオチドが組み込まれ得る位置のうち多くで、ほとんどで、または全てにおいて修飾されたヌクレオチドを有する。これによって、目的の核酸における関連のヌクレオチド位置のうち多く、ほとんど、または全ての評価が可能になる。この修飾されたヌクレオチドは、例えば、修飾されたヌクレオチドを生じるように伸長産物中でヌクレオチドを修飾することによって、その伸長産物中で存在するようにされ得る。例えば、このヌクレオチドは、化学的修飾、酵素的修飾または組み合わせによって、伸長産物中で修飾され得る。この実施例は実施例3に記載される。ヌクレオチドを修飾し得る多数の化学剤が公知である。同様に、ヌクレオチドを修飾し得る酵素が公知である。有用な修飾によって、伸長した鎖からの除去のために修飾されたヌクレオチドを可能にするか、および/または標的する。
【0039】
伸長産物中のヌクレオチドの修飾は、選択的に行うことが可能である。選択的にとは、特定のタイプのヌクレオチドおよび/または特定のタイプの塩基のみが修飾されるかまたは修飾の標的になることを意味する。最も有用なのは、単一タイプの塩基が修飾されるか、および/または修飾の標的である修飾である。伸長産物におけるヌクレオチドの修飾はまた、限定された様式で行うことができる。限定的な修飾とは、ヌクレオチドのうちいくつかだけが修飾されることを意味する。例えば、修飾が、単一タイプの塩基を含むヌクレオチドで例えば選択的に行われる場合、限定的な修飾とは、選択されたタイプの塩基を含むヌクレオチドのうちいくつかだけが修飾されることを意味する。従って限定的な修飾とは、限られた反応または操作である。代表的には、限定的な修飾は、限られた時間または限定条件下で、修飾反応を行うこと、または修飾条件に対して伸長産物を曝すことによって達成され、その結果修飾され得るヌクレオチドのうちいくつかだけが修飾される。限定的な手順での修飾の特に有用な形態は、平均して、伸長産物鎖において1つまたは2〜3個の修飾されたヌクレオチドを生じる。このヌクレオチドは、一般にはランダムに修飾され、その結果、伸長産物のセットは集合的に、ヌクレオチドが修飾され得る位置のうち多くで、ほとんどで、または全てにおいて修飾されたヌクレオチドを有する。これによって、目的の核酸中の関連のヌクレオチド位置のうち多く、ほとんど、または全てのアセスメントが可能になる。
【0040】
本明細書で開示される核酸バリエーションの検出のための方法は、ガンなどの疾患または状態の存在の検出または診断、核酸バリエーションに関連する疾患または状態について感受性またはリスクを評価すること、疾患進行をモニタリングすること、および治療処置に対する感受性または耐性の決定を含むがそれに限定されない多くの用途を有する。従って、例えば、本発明に開示されるのは、目的の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する工程を包含するガンの存在を検出するための方法であって、この方法は、
(a)第一の核酸由来の伸長産物の1セットを生成すること、およびこの伸長産物中に修飾されたヌクレオチドが存在するようにさせることを包含し、ここでこの修飾されたヌクレオチドが単一タイプの塩基を含む、工程と、
(b)第二の核酸に対してこの伸長産物をハイブリダイズさせることを包含する工程と、
(c)このハイブリダイズ核酸と、修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と、
(d)このハイブリダイズ核酸と、3つのタイプのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下においてこの伸長産物を伸長するが、この修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることであって、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む、工程と、
(e)このハイブリダイズ核酸と、この伸長産物の3’末端からヌクレオチドを除去する第二の酵素とを接触させることを包含しており、この第二の酵素がヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを除去しない工程と、
(f)このハイブリダイズ核酸と、ヌクレオチドの存在下でこの伸長産物を伸長する第三の酵素とを接触させることを包含する工程と、
(g)ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物から、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することを包含する工程であって、この第一の核酸が参照核酸であって、かつこの第二の核酸が目的の核酸であるか、またはこの第一の核酸が目的の核酸であって、かつこの第二の核酸が参照核酸であり、それによって目的の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する工程を包含する工程と、を包含し、ここで、この参照核酸に対する目的の核酸中のバリエーションの存在がガンの存在を示す。第一の核酸から生成された伸長産物は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。この修飾されたヌクレオチドは、単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で伸長産物を生成することによって伸長産物中で存在するようにされ得、ここで、この伸長産物は、修飾されたヌクレオチドを組み込んでいる。この修飾されたヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを生じるために伸長産物中でヌクレオチドを修飾することによって伸長産物中で存在するようにされ得る。このヌクレオチドは、選択的に伸長産物に修飾され得る。このヌクレオチドは、伸長産物中で限定された様式で修飾され得る。このヌクレオチドは、化学的修飾、酵素的修飾または組み合わせによって伸長産物中で修飾され得る。
【0041】
この開示された方法は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物が実質的にない状況を生じ得る。従って、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物からヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することは、例えば、伸長産物の存在を単に検出することによって、達成され得る。例えば、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下で伸長した伸長産物に組み込まれていないサンプルは、酵素(例えば、エキソヌクレアーゼIIIなどのエキソヌクレアーゼ)に対する曝露の際に消化される伸長産物を生じる。逆に、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下で伸長した伸長産物に組み込まれているサンプルは、酵素(例えば、エキソヌクレアーゼ)による消化に耐性である伸長産物を生じる。第二の酵素が3’→5’方向に(すなわち、3’末端から)ヌクレオチドを除去し得る当該分野で公知の任意の酵素を含んでもよいことが理解される。従って、例えば、この酵素は、エキソヌクレアーゼIIIなどのエキソヌクレアーゼであってもよい。第二の酵素として利用することが本明細書で考慮される他の酵素としては、限定はしないがTrexI、TrexII、T7およびエキソヌクレアーゼTが挙げられる。従って、本明細書に開示されるのは、第二の酵素がエキソヌクレアーゼであり得る方法である。また本明細書に開示されるのは、第二の酵素がエキソヌクレアーゼIIIである方法である。酵素が3’から5’に消化するエキソヌクレアーゼである方法では、伸長産物中でヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの任意のヌクレオチド5’が酵素による除去から保護されることも理解される。同様に、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが存在する伸長産物は、酵素によって消化され得る。従って、本明細書に開示されるのは、伸長産物の3’末端からヌクレオチドを除去する酵素の使用後、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物が実質的にない方法であり、ここでは、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物からヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することは、伸長産物の存在を検出することを包含する。
【0042】
本明細書に開示される方法は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが伸長産物中に組み込まれている場合、ヌクレアーゼ消化後にのみ伸長産物が存在する状況を考慮する。「ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド」とは、所定のヌクレアーゼに耐性である任意のヌクレオチドをいう。このような「ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド」は天然に存在してもまたは合成であってもよいことが理解されかつ本明細書で考えられる。当業者に公知の多くのこのようなヌクレオチドがあり、任意の1つのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの使用は用いられているヌクレアーゼに依存することが理解される。ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの例としては限定はしないが、チオ修飾デオキシヌクレオチドおよびボラノ修飾ヌクレオチドが挙げられる。従って、例えば、開示されるのは、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがαチオデオキシヌクレオチドを含む方法である。本明細書に開示されるのは、核酸バリエーションを検出する方法であって、ここではヌクレオチドバリエーションが目的の核酸に存在する場合のみ、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下で伸長産物中に組み込まれる。また開示されるのは、ヌクレオチドバリエーションが目的の核酸に存在する場合のみ実質的に、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下で伸長産物中に組み込まれている方法である。
【0043】
開示される方法は、本明細書に開示される工程を行う結果として、第一の核酸(目的の核酸であってもまたは参照核酸であってもよい)から(テンプレートによって)産生された核酸中に、この開示される方法の修飾されたヌクレオチドを組み込むことを考慮する。ヌクレオチドバリエーションが生じる部位(単数または複数)が、ヌクレオチドバリエーションが生じる部位(単数または複数)に相当する位置(単数または複数)で修飾されたヌクレオチドの組み込みによって明らかになることもさらに考えられる。従って、本明細書に開示されるのは、伸長産物中の修飾されたヌクレオチドの位置に相当する部位で目的の核酸にヌクレオチドバリエーションが存在した方法である。当業者に公知の多数の修飾されたヌクレオチドが開示された方法で用いられ得ることが理解され、かつ本明細書で考慮される。当業者は、所定の修飾ヌクレオチドの妥当性を決定する方法を承知している。本明細書に開示される方法で用いられる場合、修飾されたヌクレオチドとしては限定はしないが、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン(8−オキソグアニン)、8−オキソアデニン、fapy−グアニン、メチ−fapy−グアニン、fapy−アデニン、アフラトキシンB−fapy−グアニン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシ−ウラシル、および開環したN−7グアニン付加物(7−メチルグアニン)が挙げられる。一般には修飾されたヌクレオチドは、1つ以上の剤により核酸鎖から選択的に除去され得るヌクレオチドとして選択され得る。修飾されたヌクレオチドの除去またはDNAの修復のための有用な剤としては、例えば、ウラシルDNAグリコシラーゼ、APEI(ヒトのアプリン/アピリミジンエンドヌクレアーゼ)、FPG(ホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼa.k.a.8−オキシグアニンDNAグリコシラーゼ)、エンドヌクレアーゼIVおよびキナーゼ、EndoIII、EndoVIII、hOGG1、T7EndoI、T4PDGおよびafuUDGが挙げられる。修飾されたヌクレオチドはまた、例えば、PCRの間のα−チオヌクレオチドまたはリボースヌクレオチドのランダムな組み込みによる塩基特異的切断、その後の化学切断によって除去されてもよい。
【0044】
選択的除去によって、実質的に修飾されたヌクレオチドのみの選択的な置換が可能になる。これによって、この開示された方法を操作して目的の核酸鎖中で改変体であるヌクレオチドのタイプを特定することが可能になる。選択的な除去とは、実質的に標的され除去することを意図するヌクレオチドのみをこの剤の作用によって除去することを意味する。修飾されたヌクレオチドの全て、ほとんど、または多数でさえも選択的な除去を構成するには除去される必要はない。そうではなく、選択的除去を構成する、標的もされず除去することを意図もしないヌクレオチドの除去は存在しない。一般には、修飾されたヌクレオチドの性質およびタイプ、ならびに剤の性質およびタイプによって、どのヌクレオチドが除去されるかが確立される。
【0045】
ヌクレオチドバリエーションを検出する開示された方法は、剤を利用して修飾されたヌクレオチドを除去し得る。この剤は、単剤の作用を通じてまたは多剤の作用を通じて、修飾されたヌクレオチドを除去し得る。従って、1つの剤は、別の剤が機能し得る状態を生じる場合がある。例えば、1つの剤が、修飾されたヌクレオチドの塩基を除去して、無塩基ヌクレオチドでのみ切断するエンドヌクレアーゼの作用のための部位を提供する場合がある。従って本明細書に開示されるのは、1つ以上の剤が、修飾されたヌクレオチドから塩基を除去する方法である。単独で用いられてもよいし、または開示された方法と組み合わせて用いられてもよい、多くの剤が当該分野で公知である。当業者は、開示された方法で用いられ得る剤を承知している。その剤が、ヌクレアーゼおよびグリコシラーゼなどの酵素を含み得るということが本明細書で理解され、かつ考慮される。従って、本明細書に開示されるのは、この剤がエンドヌクレアーゼを含む方法である。1つ以上の剤がエンドヌクレアーゼIVを含む方法も開示される。また、1つ以上の剤がホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(FPG)を含む方法も開示される。
【0046】
本明細書に開示される方法では、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下での修飾されたヌクレオチドの除去および伸長産物の伸長は、連続的に行われてもまたは同時に行われてもよい。
【0047】
本明細書に開示される方法は、酵素の使用であって、修飾されたヌクレオチドを除去しかつ置き換えて、それを標識されたヌクレオチドで置換する使用を考慮する。標識されたヌクレオチドで修飾されたヌクレオチドを置換し得る酵素の一例は、ポリメラーゼである。従って、本明細書に開示されるのは、第一の酵素がポリメラーゼを含む方法である。一局面では、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼであってもよいことが理解される。このポリメラーゼは熱安定性であってもよいことが理解され、かつ本明細書で開示される。従って、開示されるのは、第一の酵素が熱安定性ポリメラーゼである方法である。多数の熱安定性ポリメラーゼがこの開示された方法で用いられ得ることが理解されかつ本明細書で考えられる。従って、例えば、第三の酵素は、THERMOSEQUENASE(サーモシクエナーゼ)を含んでもよい。
【0048】
ヌクレアーゼ耐性伸長産物を含まない伸長産物からヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別するために当業者に公知の多数の方法があることが理解されかつ本明細書で考えられる。上記されるとおり、1つのこのような方法は、伸長産物の単なる有無による。これは、例えば、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物のみが存在し、ヌクレオチドバリエーションを含む伸長産物のみがヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを組み込んだ場合であり得る。ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、ヌクレオチドバリエーションの存在に対応し得る。なぜならこの方法ではヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、置換された修飾ヌクレオチドがバリエーションの位置に対応するとき、伸長産物中で修飾されたヌクレオチドを置換し得るからである。
【0049】
伸長産物はまたPCRを介して識別することもできる。リアルタイムPCR(rtPCR)はこれに特に有用である。任意の型のPCRまたはリアルタイムPCRを、開示される方法で用いてもよい。種々のPCRの形態およびプロトコールが公知であって、かつ用いられ得る。例えば、PCRは、2つ以上のプライマーによって媒介され得、ここで1つ以上のプライマーが蛍光標識を含む。例えば、このプライマーは、蛍光変化プライマーを含んでもよい。このプライマーは伸長産物、および/またはハイブリダイズ核酸に存在する特定の配列にハイブリダイズするように設計され得る。従って、本明細書で考慮されるのは、第一の核酸がプライマー配列を含み、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが存在する伸長産物の少なくとも一部が第一の核酸におけるプライマー配列に少なくとも伸長している方法である。すなわち、この伸長産物は、第一の核酸中のプライマー配列に相補的な配列が存在するように伸長され得る。次いで、プライマー配列に対する相補性は、伸長産物の増幅または複製のために用いられるプライマーについてプライマー結合部位として用いられ得る。
【0050】
他の形態の核酸増幅およびシグナル増幅を用いてもよい。一般には、PCRまたは他の増幅方法の目的は、検出されるべき伸長産物由来のシグナルを発生および/または増大することである。開示された方法のいくつかの形態では、標識されるかまたは組み込まれたヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを有するかまたは有さない伸長産物の種々の増幅能力(または検出能力)によって、これらの伸長産物の間の識別のための基礎が得られる。
【0051】
伸長産物を識別する別の方法は、標識されたヌクレオチドの使用を通じる。例えば、本明細書に開示されるのは、ヌクレアーゼ−耐性ヌクレオチドも標識される方法である。従って、例えば、本明細書に開示されるのは、伸長産物の伸長によって、この伸長産物に1つ以上の標識されたヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを組み込む方法である。別の例として、遊離型の伸長産物である修飾されたヌクレオチドは、標識されたヌクレオチドで置換されてもよい。
【0052】
また開示されるのは、伸長産物が検出可能な標識で標識され、伸長産物がこの伸長した伸長産物のゲル電気泳動を行うことによって識別される方法であって、この電気泳動がさらに伸長されない標識された伸長産物と全長核酸との間で識別するために十分な分解能度である方法である。
【0053】
ヌクレオチドバリエーションの存在を決定するか、またはあり得る改変体の間を識別するために各々のタイプの塩基を計上することが必要な場合があるということが本明細書で理解され、かつ考えられる。また本明細書で開示されるのは、ヌクレオチドバリエーションを検出する方法であって、異なるタイプの塩基を含む種々のタイプの修飾ヌクレオチドを各回で用いてさらに1回以上この方法のこの工程を行うことをさらに包含する、方法である。また、この方法のこの工程が、4つの異なる修飾ヌクレオチドの各々を少なくとも1回用いて行われ、この4つの異なる修飾ヌクレオチドの各々が、4つのタイプの塩基のうち異なる1つを含む方法も開示される。これによって、例えば、塩基の各々のタイプを目的の核酸中で評価または計上することが可能になる。これによって、例えば、任意の位置でのヌクレオチドのバリエーションの、および目的の核酸における任意の同一性の評価または決定が可能になり得る。
【0054】
本明細書に開示される方法はまた、ヌクレオチドバリエーションの位置を特定するためにDNA配列決定技術と組み合わせて用いられ得る。従って本明細書に開示されるのは、ヌクレオチドバリエーションを有する伸長産物を配列決定する工程、およびその配列を参照配列に対して比較する工程をさらに包含し、それによって第一の核酸におけるヌクレオチドバリエーションを特異的に特定する、ヌクレオチドバリエーション検出の方法である。
【0055】
本明細書に開示される方法は、ヌクレオチドバリエーションが単一ヌクレオチドバリエーションであるヌクレオチドバリエーションを検出するために用いられ得る。さらに、この開示された方法は、ヌクレオチドバリエーションを検出し得、ここで検出されたヌクレオチドバリエーションは、単一ヌクレオチド中のヌクレオチドバリエーションである。
【0056】
また本明細書に開示されるのは、第一の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法であって、この方法は:
(a)参照核酸から1セットの伸長産物を生成すること、およびこの伸長産物に修飾されたヌクレオチドが存在するようにさせることを包含する工程であって、この修飾されたヌクレオチドが単一タイプの塩基を含む工程と、
(b)この第一の核酸に対してこの伸長産物をハイブリダイズすることを包含する工程と、
(c)このハイブリダイズ核酸と、修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と、
(d)このハイブリダイズ核酸と、3つのタイプの標識ヌクレオチドの存在下においてこの伸長産物を伸長し、この修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることであって、標識ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む工程を包含する、工程と、
(e)標識されたヌクレオチドを含まない伸長産物から、標識されたヌクレオチドを含む伸長産物を識別する工程を包含する工程と、を包含し、それによってこの第一の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する。第一の核酸から生成された伸長産物は、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよい。この修飾されたヌクレオチドは、単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で伸長産物を生成することによってこの伸長産物中に存在するようにされ得、ここでこの伸長産物は、修飾されたヌクレオチドを組み込む。この修飾されたヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを産生するように伸長産物中でヌクレオチドを修飾することによって、この伸長産物中に存在するようにされ得る。このヌクレオチドは、選択的に伸長産物中で修飾され得る。このヌクレオチドは、伸長産物中で限定された様式で修飾され得る。このヌクレオチドは、化学的修飾、酵素的修飾または組み合わせによって伸長産物中で修飾され得る。
【0057】
この開示された方法は酵素を利用する。この方法の状況では、これらの酵素は、特定の機能を果たし、必要な機能を果たし得る任意の酵素が用いられ得る。一般には、この機能は、核酸およびヌクレオチドに関与する周知の反応である。多くの適切な酵素が公知であって、必要な反応を触媒するために用いられ得、このような反応のためのこのような酵素の使用の様相および方式は、周知である。開示された方法のいくつかの部分は、核酸の伸長を要する。鎖を伸長し得る任意の核酸ポリメラーゼを用いてもよい。有用なポリメラーゼは、核酸を伸長し得、かつテンプレート核酸に基づいて核酸を複製し得る。この方法での他の工程は、ヌクレオチドの除去を要する。一般的なヌクレオチド除去は、任意の適切なヌクレアーゼを用いて達成され得る。エキソヌクレアーゼは開示された方法で特に有用である。開示された方法のいくつかの段階では、修飾されたヌクレオチドの除去が必要である。酵素および/または化学物質が、本明細書のいずれかにさらに詳細に記載されるように、これを達成するために用いられてもよい。特に有用なのは、選択的エンドヌクレアーゼおよびヌクレオチドグリコシラーゼである。
【0058】
A.核酸
開示された方法および組成物は、種々の核酸を利用する。一般には、任意の核酸を開示された方法で用いてもよい。例えば、目的の開示された核酸および開示された参照核酸は、獲得または評価されるべき所望の分析および情報に基づいて選択され得る。この開示された方法ではまた、新規な核酸および変更された核酸が生じる。このような核酸の性質および構造は、それらがこの方法において産生および操作される方式によって確立される。従って、例えば、伸長産物およびハイブリダイズ核酸は、開示された方法で産生される。本明細書において用いる場合、ハイブリダイズ核酸は、伸長産物および第二の核酸のハイブリッドである。
【0059】
目的の核酸は、ヌクレオチドバリエーションの有無の決定が所望される任意の核酸であってもよいことが本明細書で理解されかつ考慮される。従って、例えば目的の核酸は、参照核酸の野生型配列に相当する配列を含んでもよい。本明細書にさらに開示されるのは、この開示される方法が行われ得るということであり、ここではこの第一の核酸が参照核酸であって、この第二の核酸が目的の核酸であるか、またはこの第一の核酸が目的の核酸であって、この第二の核酸が参照核酸である。
【0060】
参照核酸とは、目的の核酸が比較される任意の核酸であってもよいことが理解され、かつ本明細書で考慮される。代表的には、参照核酸は、公知の配列を有する(および/または、参照配列として目的の配列を有することが公知である)。必要ではないが、参照配列が目的の核酸に対して近い関係であることが公知であるかまたは疑われる場合にこれは有用である。例えば、単一ヌクレオチドバリエーションを検出することが望ましい場合、この参照配列は有用には、同じまたは関連の生物体または個体由来の同じ遺伝子または遺伝的エレメントに由来する核酸などの、目的の核酸にホモログであるかまたは密接にマッチする配列であるように選択され得る。従って、例えば、参照核酸が野生型配列を含んでもよいし、あるいは公知の変異、例えば、変異であってその有無が疾患または治療処置に対する抵抗に関連する変異を含む公知の変異を含んでもよいことが本明細書で考慮される。従って、例えば、開示された方法は、野生型配列(すなわち、変異を有さないことが公知)を含む参照核酸に対して目的の核酸を比較すること、および目的の核酸中のバリエーションの有無(ここでバリエーションがないことは変異がないことを示す)について試験することによって、目的の核酸中の公知の変異の存在を検出または診断するために用いられ得ることが考えられる。あるいは、参照核酸は公知の変異を保有してもよい。従って、例えば、開示された方法は、疾患についての疑いを示す公知の変異を含む参照核酸に対して目的の核酸を比較すること、および変異の有無(この変異の存在が疾患を示す)を検査することによって、疾患または状態についての疑いを検出するために用いられ得る。
【0061】
ここで、「ヌクレオチドバリエーション」という用語は、参照核酸のヌクレオチド配列に対する目的の核酸のヌクレオチド配列における任意の変化または相違を指す。従って、ヌクレオチドバリエーションは、参照核酸と目的の核酸(または状況によってはその相補体)との間の配列が異なる場合に存在するといえる。従って、例えば、核酸での特定の位置におけるアデニン(A)からグアニン(G)への置換は、ヌクレオチドバリエーションであって、ただし参照核酸が対応する位置でAを含む。バリエーションの決定は、参照核酸に基づき、配列が野生型であるか否かは示さないことが理解され、かつ本明細書で考慮される。従って、例えば、公知の変異を有する核酸を参照核酸として用いる場合、変異を保有しない核酸(野生型核酸を含む)は、ヌクレオチドバリエーションを保有するとみなされるであろう(参照核酸に対して)。
【0062】
B.ヌクレオチド
開示された方法および組成物は、種々のヌクレオチドを利用する。本出願全体、および本明細書の引用文献に開示される方法は、ヌクレオチドの塩基のタイプに対してなされる。あるタイプの塩基に対して言及する場合、これは核酸鎖中のヌクレオチドが正準塩基の1つ以上の規定のセットに対してハイブリダイズ(結合)し得る塩基を指すことが理解されかつ本明細書で考慮される。従って、例えば、3つのタイプのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在において伸長され、修飾ヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない伸長産物に対して言及される場合、これは、例えば、修飾されたヌクレオチドの塩基がアデニン(A)である場合、このヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが、例えば、グアニン(G),チミン(T)およびシトシン(C)であり得ることを意味する。これらの塩基の各々(4つの正準塩基を示す)は、4つの正準塩基のうちの異なる1つに対してハイブリダイズし得、これによって各々、本明細書に規定されるのと異なるタイプの塩基として資格を得る。別の例では、イノシン塩基は最初にアデニンおよびシトシンと(DNA中で)対になり、これによって、アデニンからおよびシトシンから種々のタイプの塩基が考えられ得る−塩基がそれぞれチミンおよびグアニンと対になる−ただし、グアニンまたはチミン由来の異なるタイプの塩基とではない−塩基がそれぞれシトシンおよびアデニンと対になる−なぜなら、グアニンおよびチミンの塩基対合は、イノシンのハイブリダイゼーションパターンと重複する(すなわち、異なることはない)からである
任意のタイプの修飾または代替の塩基は、開示された方法および組成物で用いられ得、一般にはこのような塩基を用いるために用いられる酵素の能力によってのみ制限され得る。多くの修飾された、および代替のヌクレオチドおよび塩基が公知であって、そのいくつかは以下におよび本明細書のいずれかに記載されている。このような修飾および代替の塩基が示す塩基のタイプは、本明細書に記載されるような塩基についての塩基対合のパターンによって決定され得る。従って、例えば、この修飾されたヌクレオチドがアデニンである場合、チミンと主に対になる任意のアナログ、誘導体、修飾された塩基または改変体塩基は、アデニンと同じタイプの塩基とみなされる。言い換えれば、アナログ、誘導体、修飾または改変体が別の塩基と同じ塩基対合のパターンを有する限り、同じタイプの塩基を考えることができる。修飾は糖、またはヌクレオチドのリン酸基に対して行ってもよい。一般にはこのような修飾は、塩基の塩基対合パターンを変化させない。しかし、核酸鎖中のヌクレオチドの塩基対合パターンで、ヌクレオチド中の塩基の塩基型が決定される。
【0063】
伸長産物中に組み込まれるべき、および開示された方法で開示された剤によって選択的に除去されるべき修飾ヌクレオチドは、本明細書のいずれかに記載されるとおり、開示される方法で必要な場合機能する任意の修飾されたヌクレオチドであってもよい。修飾されたヌクレオチドはまた、例えば、化学的修飾、酵素的修飾、または組み合わせによって、例えば、伸長産物などの既存の核酸鎖中で産生されてもよい。
【0064】
ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの多くのタイプが公知であって、開示される方法で用いられ得る。例えば、ヌクレオチドは、修飾されたリン酸基を有してもよいし、および/または修飾された糖基が1つ以上のヌクレアーゼに抵抗性であってもよい。ヌクレアーゼ耐性とは、任意の1つ以上のヌクレアーゼによって核酸からの除去に抵抗性であると本明細書に規定される。一般には、特定のヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性は、関連のヌクレアーゼに関して規定され得る。従って、例えば、特定のヌクレアーゼが開示される方法で用いられる場合、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドとは、その特定のヌクレアーゼに対して耐性であることだけが必要である。有用なヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの例としては、チオ修飾ヌクレオチドおよびボラノ修飾ヌクレオチドが挙げられる。
【0065】
核酸に基づく種々の分子が本明細書に開示されている。これらおよび他の分子の非限定的な例は本明細書に考察される。例えば、ヌクレオチドは塩基部分、糖部分およびリン酸部分を含む分子であることが理解される。ヌクレオチドは、そのリン酸部分および糖部分を通じて一緒に連結されて、ヌクレオシド間結合を作製し得る。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(アデニン、A)、シトシン−1−イル(シトシン、C)、グアニン−9−イル(グアニン、G)、ウラシル−1−イル(ウラシル、U)およびチミン−1−イル(チミン、T)であってもよい。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン酸部分は、五価のリン酸塩である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸塩)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸塩)である。
【0066】
ヌクレオチドアナログは、塩基、糖またはリン酸塩部分のいずれかに対するいくつかのタイプの修飾を含むヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾は、A、C、GおよびT/Uの天然および合成の修飾、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基、例えば、ウラシル−5−イル(ψ)、ヒドロキサンチン−9−イル(イノシン、I)および2−アミノアデニン−9−イルを包含する。修飾された塩基としては限定はしないが、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、ならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。さらなる塩基修飾は、例えば、米国特許第3,687,808号、Englischら、Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613,およびSanghvi,Y.S.第15章、Antisense Research and Applications、289〜302頁、Crooke,S.T.およびLebleu,B編、CRC Press,1993に見出され得る。特定のヌクレオチドアナログ、例えば、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6およびO−6置換プリン、例えば、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン。5−メチルシトシンは、二重鎖形成の安定性を増大し得る。しばしば、時間塩基修飾は、例えば、2’−O−メトキシエチルなどの糖部分と組み合わされて、二重鎖の安定性の増大などの固有の特性を達成できる。塩基修飾の範囲について詳しくかつ記載している多数の米国特許、例えば、
【0067】
【化1】

が存在する。これらの特許の各々は本明細書において参照によって援用される。
【0068】
ヌクレオチドアナログはまた、糖部分の修飾を包含し得る。糖部分に対する修飾は、リボースおよびデオキシリボースの天然の修飾、ならびに合成の修飾を包含する。糖修飾としては限定はしないが、2’位置での以下の修飾が挙げられる:OH;F;O−、S−もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル、ここでこのアルキル、アルケニル、およびアルキニルは置換または非置換のC1〜C10、アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。2’糖の修飾としてはまた、限定はしないが、−O[(CH2)nO]mCH3、−O[(CH2)nOCH3、−O(CH2)nNH2、−O(CH2)nCH3、−O(CH2)n−ONH2および−O(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2が挙げられ、ここでnおよびmは1〜約10である。
【0069】
2’位置の他の修飾としては限定はしないが以下が挙げられる:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2 CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および類似の特性を有する他の置換基。類似の置換基はまた、糖の上の他の位置で、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置で、または2’−5’連結オリゴヌクレオチド中で、および5’末端ヌクレオチドの5’位置で作製されてもよい。修飾された糖としてはまた、CH2およびSなどの架橋性の環酸素で修飾を含む糖が挙げられる。ヌクレオチド糖アナログはまた、ペンタフラノシル糖の位置でシクロブチル部分などの糖模倣物を有してもよい。このような修飾された糖構造の調製を教示する多数の米国特許、例えば、
【0070】
【化2】

があり、その各々は本明細書においてその全体が参照によって援用されている。
【0071】
ヌクレオチドアナログはまた、リン酸塩部分で修飾されてもよい。修飾されたリン酸塩部分としては限定はしないが、2つのヌクレオチドの間の結合がホスホロチオエート、キラル・ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホノエート、例えば、3’−アルキレン・ホスホネートおよびキラル・ホスホネート、ホスフィン酸塩、ホスホラミデート、例えば、3’−アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスフェートを含むように修飾され得るものが挙げられる。2つのヌクレオチドの間のこれらのリン酸塩または修飾されたリン酸塩結合は、3’−5’連結または2’−5’連結を通じてもよく、この連結は、3’−5’〜5’−3’または2’−5’〜5’−2’などの逆位の極性を含んでもよいことが理解される。種々の塩、混合塩、および遊離の酸型も含まれる。多数の米国特許が、修飾されたリン酸塩を含むヌクレオチドを作製および使用する方法を教示しており、これには限定はしないが、
【0072】
【化3】

が挙げられ、その各々が本明細書において参照によって援用されている。
【0073】
ヌクレオチドアナログは単一の修飾しか必要としないことが理解されるが、またこの部分の1つの中に、または異なる部分の間に複数の修飾を含んでもよい。
【0074】
ヌクレオチド置換基とは、ヌクレオチドと類似の機能的特性を有するが、リン酸塩部分、例えば、ペプチド核酸(PNA)を含まない分子である。ヌクレオチド置換基とはワトソン・クリックまたはフーグスティーン方式で核酸を認識し、ただしリン酸塩部分以外の部分を通じて一緒に結合される分子である。ヌクレオチド置換基は、適切な標的核酸と相互作用するとき、二重らせん型の構造に従い得る。
【0075】
ヌクレオチド置換基は、置換されたリン酸塩部分および/または糖部分を有するヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログである。ヌクレオチド置換基は、標準的なリン原子を含まない。リン酸塩の置換基は、例えば、短い鎖のアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオシド間結合であってもよい。これらとしては、モルホリノ結合を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成された);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファミン酸骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびにその他混合されたN、OおよびCH2成分の部分を有するものが挙げられる。多数の米国特許が、これらのタイプのリン酸塩置換を作製および使用する方法を開示しており、これには限定はしないが、
【0076】
【化4】

が挙げられ、その各々が参照によって本明細書に援用される。
【0077】
ヌクレオチド置換中では、ヌクレオチドの糖およびリン酸塩部分の両方が、例えば、アミド型の結合(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置換されてもよいことも理解される。米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号および同第5,719,262号は、PNA分子を作製および使用する方法を教示しており、その各々が参照によって本明細書に援用される。(また、Nielsenら、Science,1991,254,1497〜1500を参照のこと)。
【0078】
ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに対して、他のタイプの分子(コンジュゲート)を結合することも可能である。コンジュゲートは、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに対して化学的に結合され得る。このようなコンジュゲートとしては限定はしないが、脂質部分、例えば、コレステロール部分(Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553〜6556)、コール酸(Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Let.,1994,4,1053〜1060)、チオエステル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら、Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306〜309;Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3,2765〜2779)、チオコレステロール(Oberhauserら、Nucl.Acids Res.,1992,20,533〜538)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら、EMBO.J.,1991,10,1111〜1118;Kabanovら、FEBS Lett.,1990,259,327〜330;Svinarchukら、Biochimie,1993,75,49〜54)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら、Tetrahedron Lett.,1995,36,3651〜3654;Sheaら、Nucl.Acids Res.,1990,18,3777〜3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969〜973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanra,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651〜3654)、パルミチル部分(Misharaら、Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229〜237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crookeら、J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923〜937が挙げられる。多くの米国特許が、このようなコンジュゲートの調製について教示しており、これには限定はしないが、
【0079】
【化5】

が挙げられ、その各々が参照によって本明細書に援用されている。
【0080】
ワトソン−クリック相互作用とは、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換基のワトソン−クリック面との少なくとも1つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換のワトソン−クリック面としては、プリンベースのヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換基のC2、N1およびC6位置、ならびにピリミジンベースのヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換基のC2、N3、C4位置が挙げられる。
【0081】
フーグスティーン相互作用は、二重鎖DNAの主要なグルーブに曝されているヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのフーグスティーン面に生じる相互作用である。このフーグスティーン面としては、N7位置およびプリンヌクレオチドのC6位置の反応性基(NH2またはO)が挙げられる。
【0082】
C.プライマーおよびプローブ
開示されるのは、本明細書に開示されるようなモデルのオリゴ三重鎖のような、開示された核酸と相互作用し得る、プライマーおよびプローブを含む組成物である。特定の実施形態では、このプライマーは核酸伸長反応、核酸複製反応、および/または核酸増幅反応を支持するために用いられる。代表的には、このプライマーは、配列特異的方式で伸長され得るであろう。配列特異的方式でのプライマーの伸長としては、任意の方法を包含し、ここでは、プライマーがハイブリダイズするか、またはそうでなければ会合する核酸分子の配列および/または組成が、このプライマーの伸長によって産生される産物の組成または配列を指示するかまたはこれに影響する。従って、配列特異的な方式でのプライマーの伸長としては限定はしないが、PCR、DNA配列決定、DNA伸長、DNA重合、RNA転写、または逆転写が挙げられる。配列特異的な方式でプライマーを増幅する技術および条件が好ましい。特定の実施形態では、このプライマーは、PCRまたは直接配列決定のようなDNA増幅反応に用いられる。特定の実施形態では、プライマーはまた、例えば、そのプライマーを伸長するために用いられたヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが修飾されており、その結果それらが配列特異的方式でプライマーを伸長するように化学的に反応する、非酵素的技術を用いて伸長されてもよいことが理解される。代表的には、この開示されたプライマーは、開示された核酸もしくは核酸の領域とハイブリダイズするか、またはそれらは、核酸の相補体もしくは核酸のある領域の相補体とハイブリダイズする。プライマーの使用の例として、1つ以上のプライマーを用いて、第一の核酸から伸長産物を作製してもよいし、第一の核酸によってテンプレートにされてもよい。
【0083】
核酸との相互作用のためのプライマーまたはプローブのサイズは、プライマーの所望の酵素的な操作、例えば、DNA増幅またはプローブもしくはプライマーの単純なハイブリダイゼーションを支持する任意のサイズであってもよい。代表的なプライマーまたはプローブは少なくとも
【0084】
【化6】

ヌクレオチド長となるであろう。
【0085】
他の実施形態では、プライマーまたはプローブは、
【0086】
【化7】

ヌクレオチド長以下であってもよい。
【0087】
目的の核酸のプライマーは代表的には、目的の核酸の領域を含む伸長産物および/または他の複製もしくは増幅された産物を産生するために用いられる。この産物のサイズは、そのサイズが3または2または1ヌクレオチド内まで正確に決定できるようなサイズであり得る。
【0088】
特定の実施形態では、この産物は、例えば、少なくとも
【0089】
【化8】

ヌクレオチド長であってもよい。
【0090】
他の実施形態では、この産物は例えば、
【0091】
【化9】

ヌクレオチド長以下であってもよい。
【0092】
1.蛍光変化プローブおよびプライマー
蛍光変化プローブおよび蛍光変化プライマーとは、検出、アッセイまたは複製されるべきプローブまたはプライマーおよび核酸の形態または高次構造の変化に基づく蛍光強度または波長の変化を包含する全てのプローブおよびプライマーをいう。蛍光変化プローブおよびプライマーの例としては、分子ビーコン、Amplifluors、FRETプローブ、切断可能FRETプローブ、TaqManプローブ、スコーピオンプライマー、蛍光三重オリゴ、例えば、限定はしないが、三重分子ビーコンまたは三重FRETプローブ、蛍光水溶性コンジュゲートポリマー、PNAプローブおよびQPNAプローブが挙げられる。
【0093】
蛍光変化プローブおよびプライマーは、それらの構造および/または機能に従って分類され得る。蛍光変化プローブとしては、ヘアピンクエンチ性プローブ、切断クエンチ性プローブ、切断活性化プローブ、および蛍光活性化プローブが挙げられる。蛍光変化プライマーとしては、ステムクエンチ性プライマーおよびヘアピンクエンチ性プライマーが挙げられる。いくつかのタイプの蛍光変化プローブおよびプライマーの使用は、SchweitzerおよびKingsmore,Curr.Opin.Biotech.12:21〜27(2001)に概説される。Hallら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 97:8272〜8277(2000)は、Invaderアッセイによる蛍光変化プローブの使用を記載している。
【0094】
ヘアピンクエンチ性プローブとは、標的配列に結合しないとき、ヘアピン構造(および代表的にはループ)を形成し、蛍光標識およびクエンチング部分を近位にもたらし、その結果、標識からの蛍光がクエンチされるプローブである。プローブが標的配列に結合するときこのステムは破壊され、そのクエンチ部分はもはや蛍光標識に近位ではなく、蛍光が増大する。ヘアピンクエンチ性プローブの例は、分子ビーコン、蛍光三重鎖オリゴ、三重鎖分子ビーコン、三重鎖FRETプローブおよびQPNAプローブである。
【0095】
切断活性化プローブとは、蛍光がプローブの切断によって増大されるプローブである。切断活性化プローブは蛍光標識およびクエンチング部分を近位で含む場合があり、その結果、標識由来の蛍光がクエンチされる。プローブがクリップされるかまたは消化されるとき(代表的には、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって)、このクエンチング部分はもはや蛍光標識に近位ではなく、蛍光が増大する。TaqManプローブ(Hollandら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276〜7280(1991))は、切断活性化プローブの例である。
【0096】
切断クエンチ性プローブとは、プローブの切断によって蛍光が減じるかまたは変更されているプローブである。切断クエンチ性プローブは、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含んでもよく、その結果、このアクセプターおよびドナーが近位であるとき、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー伝達によって、アクセプターが蛍光を発するようになる。従ってこのプローブは、例えば、標的配列にハイブリダイズするとき、蛍光性である。このプローブがクリップされるか消化されるとき(代表的には、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって)、このドナー部分はもはやアクセプター蛍光標識に近位ではなく、このアクセプターからの蛍光が減少する。このドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、これは、アクセプターに近位でないとき、エネルギーを蛍光として遊離し得る(代表的には、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。その結果、全体的な効果はアクセプター蛍光の減少およびドナー蛍光の増大となろう。切断クエンチ性プローブの場合のドナー蛍光は、切断活性化プローブによって生成される蛍光に等しく、ここではアクセプターがクエンチング部分であり、ドナーが蛍光標識である。切断可能FRET(蛍光共鳴エネルギー伝達)プローブは、切断クエンチ性プローブの例である。
【0097】
蛍光活性化プローブとは、標的配列に対するプローブのハイブリダイゼーションによって蛍光が増大されるかまたは変更されている、プローブまたはプローブの対である。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含んでもよく、その結果、アクセプターおよびドナーが近位である場合(プローブが標的配列にハイブリダイズされるとき)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー伝達がアクセプターに蛍光を発生させる。蛍光活性化プローブとは代表的には、隣接する配列に対してハイブリダイズするように設計され、その結果アクセプターおよびドナーが近位にされているプローブの対である。蛍光活性化プローブはまた、ドナーおよびアクセプターの両方を含む単一のプローブであってもよく、ここでは、プローブが標的配列にハイブリダイズしない場合、このドナーおよびアクセプターは近位ではないが、ドナーおよびアクセプターは、プローブが標的配列にハイブリダイズした時は近位になっている。これは、例えば、プローブの反対の端にドナーおよびアクセプターを置くこと、およびプローブの各末端に標的相補的配列を置くことによって達成されてもよく、ここではこの標的相補的配列は、標的配列における隣接配列に相補的である。蛍光活性化プローブのドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、アクセプターに近位でないとき(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしないとき)、これはエネルギーを蛍光として放出し得る(代表的には、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。プローブが標的配列にハイブリダイズするとき、その結果、全体的な効果はドナー蛍光の減少、およびアクセプター蛍光の増大であろう。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの例である。
【0098】
ステムクエンチ性プライマーとは、相補的な配列にハイブリダイズしないとき、標識からの蛍光がクエンチされるように蛍光標識およびクエンチ部分を近位にさせるステム構造(分子内ステム構造または分子間ステム構造のいずれか)を形成するプライマーである。プライマーが相補的配列に結合するとき、このステムは破壊され、そのクエンチング部分はもはや蛍光標識に近位ではなく、蛍光が増大する。開示された方法では、ステムクエンチ性プライマーは、核酸合成のプライマーとして用いられ、従って合成または増幅核酸に組み込まれる。ステムクエンチ性プライマーの例は、ペプチド核酸クエンチ性プライマーおよびヘアピンクエンチ性プライマーである。
【0099】
ペプチド核酸クエンチ性プライマーとは、ペプチド核酸クエンチャーまたはペプチド核酸蛍光と会合してステム構造を形成するプライマーである。このプライマーは、蛍光標識またはクエンチング部分を含み、それぞれペプチド核酸クエンチャーまたはペプチド核酸蛍光のいずれかと会合される。これは、クエンチング部分の近位に蛍光標識を置く。プライマーが複製されるとき、ペプチド核酸は置換され、これによって蛍光標識は蛍光シグナルを生じることが可能になる。
【0100】
ヘアピンクエンチ性プライマーとは、相補的な配列にハイブリダイズしないとき、標識からの蛍光がクエンチされるように蛍光標識およびクエンチ部分を近位にさせるヘアピン構造(および代表的には、ループ)を形成するプライマーである。プライマーが相補的配列に結合するとき、このステムは破壊され、そのクエンチング部分はもはや蛍光標識に近位ではなく、蛍光が増大する。ヘアピンクエンチ性プライマーは代表的には、核酸合成のプライマーとして用いられ、従って合成または増幅核酸に組み込まれる。ヘアピンクエンチ性プライマーの例は、Amplifluorプライマー(Nazerenkoら、Nucleic Acids Res.25:2516〜2521(1997))およびスコーピオンプライマー(Thelwellら、Nucleic Acids Res.28(19):3752〜3761(2000))である。
【0101】
切断活性化プライマーは、それらが複製された鎖に組み込まれるプライマーであり、引き続いて切断されること以外は切断活性化プローブと同様である。Littleら、Clin.Chem.45:777〜784(1999)は、切断活性化プライマーの使用を記載する。
【0102】
D.標識
開示される方法を用いて産生される核酸の検出および定量を補助するために、標識をヌクレオチドまたは核酸に直接組み込んでもよいし、またはプローブおよびプライマーなどの検出分子にカップリングさせてもよい。本明細書において用いる場合、標識とは、ヌクレオチドまたは核酸と直接または間接的に会合され得、直接または間接的に測定可能、検出可能なシグナルを生じる任意の分子である。ヌクレオチドおよび核酸への組み込みのための、または核酸プローブへのカップリングのための多くのこのような標識が当業者に公知である。開示される方法における使用に適切な標識の例は、放射性同位体、蛍光分子、リン光分子、酵素、抗体およびリガンドである。蛍光標識は、特に蛍光変化プローブおよびプライマーの状況では、増幅のリアルタイム検出に有用である。
【0103】
適切な蛍光標識の例としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC),5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリスロシン、BODIPY(登録商標)、Cascade Blue(登録商標)、Oregon Green(登録商標)、ピレン、リサミン(lissamine)、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、ランタニドイオンの大環状キレート類、例えば、quantum dye(商標)、蛍光エネルギー伝達色素、例えば、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体、およびシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が挙げられる。他の特異的蛍光標識の例としては、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリン・コンプレキソン、アリザリン・レッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、アントロイルステアリン酸、アストラゾン・ブリリアントレッド4G、アストラゾン・オレンジR、アストラゾン・レッド6B、アストラゾン・イエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコフォアFFG溶液、ブランコフォアSV、Bodipy F1、ブリリアント・スルホフラビンFF、カルセイン・ブルー、カルシウム・グリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコフォール・ホワイト(Calcophor White)ABT溶液、カルコフォール・ホワイト(Calcophor White)標準溶液、カルボスチリル、カスケード・イエロー、カテコールアミン、チナクリン、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、Dans(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、Dansa(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキシジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、二フッ化ジピロメテンホウ素、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリスロシン ITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導性蛍光)、フラゾ・オレンジ、フルオ3(Fluo 3)、フルオレスカミン、Fura−2、ゲナクリル・ブリリアント・レッドB、ゲナクリル・ブリリアント・イエロー10GF、ゲナクリル・ピンク3G、ゲナクリル・イエロー5GF、グロキサン酸、グラニュラー・ブルー、ヘマトポルフィリン、Indo−1、イントラホワイトCf液、ロイコフォアPAF、ロイコフォアSF、ロイコフォアWS、リサミン・ローダミンB200(RD200)、ルシファー・イエローCH、ルシファー・イエローVS、マグダラ・レッド、マリーナ・ブルー、マキシロン・ブリリアント・フラビン10GFF、マキシロン・ブリリアント・フラビン8GFF、MPS(メチル・グリーン・ピロニン・スチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾキサジドール、ノルアドレナリン(Noradorenaline)、ヌクレア・ファスト・レッド、ヌクレア・イエロー、ニロサン・ブリリアント・フラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィック・ブルー、パラロサニリン(フォイルゲン)、ホルワイトAR溶液、ホルワイトBKL、ホルワイトRev、ホルワイトRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、フィコエリトリンB、ポリアザインダセン・ポントクローム・ブルー・ブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオン・イエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザール・ブリリアント・フラビン7GF、キナクリン・マスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエクストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロン・ブリリアント・レッド2B、セブロン・ブリリアント・レッド4G、セブロン・ブリリアント・レッドB、セブロン・オレンジ、セブロン・イエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベン・イソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1(Snarf1)、スルホローダミンBカンC、スルホローダミンGエクストラ、テトラサイクリン、チアジン・レッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルー・ブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、およびXRITCが挙げられる。
【0104】
好ましい蛍光標識は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)、およびシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7である。これらの蛍光についての吸収および発光極大波長は、それぞれ、FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)およびCy7(755nm;778nm)であり、これによってそれらの同時検出が可能になる。フルオレセイン色素の他の例としては、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’、5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−縮合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)、および2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光性の標識は、Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ;Molecular Probes,Eugene,OR;およびResearch Organics,Cleveland,Ohioを含む、様々な商業的供給源から入手できる。
【0105】
目的のさらなる標識としては、それらが会合するプローブが標的分子に特異的に結合されるときのみシグナルを生じる標識が挙げられ、このような標識としては以下が挙げられる:Tyagi&Kramer,Nature Biotechnology(1996)14:303および欧州特許第0070685号B1に記載される「分子ビーコン」。目的の他の標識としては、米国特許第5,563,037号;国際公開第97/17471号および国際公開第97/17076号に記載される標識が挙げられる。
【0106】
標識したヌクレオチドは、合成時に増幅産物に直接組み込まれ得るので標識の好ましい形態である。増幅される核酸中に組み込むことのできる標識の例としては、ヌクレオチドアナログ、例えば、BrdUrd(5−ブロモデオキシウリジン、Hoy and Schimke, Mutation Research 290:217−230(1993))、アミノアリルデオキシウリジン(Henegariu,et al.,Nature Biotechnology 18:345−348(2000))、5−メチルシトシン(Sano,et al.,Biochim.Biophys.Acta 951:157−165(1998))、ブロモウリジン(Wansick,et al.,J.Cell Biology 122:283−293(1993))、ならびにビオチンで(Langer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6633(1981))またはジゴキシゲニンなどの好適なハプテンで(Kerkhof,Anal.Biochem.205:359−364(1992))修飾したヌクレオチドが挙げられる。好適な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアン酸塩−dUTP、シアニン−3−dUTP、およびシアニン−5−dUTP(Yu,et al.,Nucleic Acids Res.,22:3226−3232(1994))である。DNAの好ましいヌクレオチドアナログ標識は、BrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma−Aldrich Co.)である。DNAへの標識の組み込みに好ましい他のヌクレオチドアナログは、AA−dUTP(アミノアリル−デオキシウリジン三リン酸塩、Sigma−Aldrich Co.)、および5−メチル−dCTP(Roche Molecular Biochemicals)である。RNAへの検出標識の組み込みに有用なヌクレオチドアナログは、ビオチン−16−UTP(ビオチン−16−ウリジン−5’−三リン酸塩、Roche Molecular Biochemicals)である。フルオレセイン、Cy3、およびCy5を、直接標識のためにdUTPに結合させてもよい。Cy3.5およびCy7は、ビオチンまたはジゴキシゲニン標識プローブの二次検出のためのアビジンまたは抗ジゴキシゲニンコンジュゲートとして使用できる。
【0107】
増幅核酸中に組み込まれている標識、例えばビオチンを、当該分野で周知の鋭敏な方法を用いて引き続き検出することができる。例えば、ビオチンはストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート(Tropix,Inc.)を用いて検出可能で、これをビオチンに結合させ、その後適切な基質(例えば、化学発光基質CSPD:二ナトリウム,3−(4−メトキシスピロ−[1,2,−ジオキセタン−3−2’−(5’−クロロ)トリクロロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニル燐酸;Tropix,Inc.)の化学発光により検出する。標識はまた、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、大豆ペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびポリメラーゼであってもよく、これらは例えば、化学的シグナル増幅を用いて、または光(例えば化学発光性1,2−ジオキセタン基質)もしくは蛍光シグナルを発生する酵素に対する基質を用いることによって検出できる。
【0108】
これらの検出標識のうち2つ以上を組み合わせる分子もまた標識として考えられる。公知の任意の標識を、開示されたプローブ、タグ、分子ならびに、開示された方法を用いて増幅された核酸を標識および検出するための方法とともに用いることができる。標識により発生したシグナルを検出および測定する方法もまた当業者に公知である。例えば、放射性同位体はシンチレーション計数または直接的視覚化により検出でき;蛍光分子は蛍光分光光度計で検出可能であり;リン光分子は分光光度計またはカメラによる直接的視覚化で検出可能であり;酵素は、その酵素で触媒される反応の産物の検出または視覚化によって検出でき;抗体は、その抗体に結合させた二次標識を検出することにより検出できる。本明細書で用いられる場合、検出分子とは、増幅された核酸と相互作用して、そこに1つ以上の標識が結合される分子である。
【0109】
E.配列類似性
本明細書に考察されるとおり、相同性および同一性という用語の使用は類似性と同じことを意味すると理解される。したがって例えば、相同性という語の使用が2つの非天然配列の間で用いられる場合、これは、必ずしもこれら2つの配列間の進化上の関係を指している訳ではなく、それらの核酸配列間の類似性または関連に注目しているものと理解される。進化上関連のある2つの分子の相同性を決定する方法の多くは、それらが進化上関連を有するか否かにかかわらず、配列類似性を測定する目的で、任意の2つ以上の核酸またはタンパク質に、慣用的に適用される。
【0110】
一般に、本明細書における開示された遺伝子およびタンパク質の、任意の公知の改変体および誘導体または生じ得るものを規定する一つの方法は、特定の公知の配列に対する相同性に関してその改変体および誘導体を定義することによることが理解される。本明細書に開示する特定配列の、この同一性はまた、本明細書のいずれかにも考察される。一般に、本明細書に開示される遺伝子およびタンパク質の改変体は、代表的には、言及された配列または天然配列に対して少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99パーセントの相同性を有する。当業者は、2つのタンパク質または核酸、例えば遺伝子の相同性を決定する方法を容易に理解する。例えば、相同性が最高レベルとなるように2つの配列を整列させた後、その相同性を計算してもよい。
【0111】
相同性を計算する別の方法は、公開されているアルゴリズムにより実施できる。比較のために最適な配列アラインメントは、Smith and Waterman Adv. Appl. Math.2:482(1981)の局所相同性(ローカル・ホモロジー)アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の相同性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター制御された実行によって(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または視察によって、行うことができる。
【0112】
同じタイプの相同性が、例えば、少なくとも核酸アラインメントに関連する材料について参照によって本明細書に援用される、Zuker,M.Science 244:48−52,1989、Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989、Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281−306,1989に開示されたアルゴリズムにより、核酸について取得できる。通常、これら任意の方法を利用できるということ、そして、特定の例では、これら様々な方法の結果が相違する場合もあるということが理解されるが、当業者には、これらの方法のうち少なくとも一つによって一致が見いだされるならば、その配列は、述べられた同一性を有すると言え、かつ本明細書に開示される。
【0113】
例えば、本明細書で用いる場合、別の配列に対して或る特定の相同性パーセントを有すると述べられた配列とは、上記の計算方法のうち任意の1つ以上の計算方法によって計算する場合に、言及された相同性を有する配列を指す。例えば、第一の配列が第二の配列に対してZuker計算法を用いて80パーセントの相同性を持つと計算されたならば、任意の他の計算法で計算した時に第一の配列が第二の配列に対して80パーセントの相同性を持たなくても、その第一の配列は第二の配列に対して80パーセントの相同性(本明細書の定義による)を有する。別の例として、第一の配列が第二の配列に対してZuker計算法およびPearson and Lipman計算法の両者を用いて80パーセントの相同性を有すると計算されたならば、Smith and Waterman計算法、Needleman and Wunsch計算法、Jaeger計算法、または任意の他の計算法で計算した場合に第一の配列が第二の配列に対して80パーセントの相同性を有さなくても、その第一の配列は第二の配列に対して80パーセントの相同性(本明細書の定義による)を有する。さらに別の例として、第一の配列が第二の配列に対してそれぞれの計算法を用いて80パーセントの相同性を有すると計算されたならば、その第一の配列は第二の配列に対して80パーセントの相同性(本明細書の定義による)を有する(ただし、実際には、異なる計算法ではしばしば異なる相同性パーセントの計算結果となるであろう)。
【0114】
F.ハイブリダイゼーション/選択的ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションという用語は代表的には、少なくとも2つの核酸分子、例えばプライマーまたはプローブおよび遺伝子の間の、配列駆動性の相互作用を意味する。配列駆動性の相互作用とは、ヌクレオチド特異的方法で2つのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体の間に起こる相互作用を意味する。例えば、GがCと相互作用することまたはAがTと相互作用することは、配列駆動性の相互作用である。代表的には、配列駆動性の相互作用は、ヌクレオチドのワトソン−クリック面またはフーグスティーン面で起こる。2つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者に公知の多数の条件およびパラメータにより影響を受ける。例えば、塩濃度、pH、および反応温度の全てが、2つの核酸分子がハイブリダイズするか否かに影響する。
【0115】
2つの核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションのパラメータは当業者に周知である。例えばいくつかの実施形態では、選択的ハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件として定義できる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、そのハイブリダイゼーションおよび洗浄工程のいずれかまたは両方の温度および塩濃度の両者によって制御される。例えば、選択的ハイブリダイゼーションを達成するハイブリダイゼーション条件は、Tm(当該分子の半分がそれらのハイブリダイゼーションのパートナーから解離する融解温度)より約12〜25℃低い温度で高イオン強度溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中でのハイブリダイゼーションおよびそれに続く、洗浄温度がTmより約5℃ないし20℃低くなるよう選択された温度および塩濃度の組み合わせでの洗浄を包含し得る。温度および塩条件は予備実験で容易に実験的決定ができ、その予備実験では、フィルターに固定化された参照DNAのサンプルを標識された目的の核酸にハイブリダイズし、次いで異なるストリンジェンシーの条件下で洗浄する。ハイブリダイゼーション温度は、代表的にはDNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリダイゼーションではより高い。条件を、ストリンジェンシーを達成するため上記のように利用、または当該分野で公知であるように用いてもよい(少なくとも核酸ハイブリダイゼーションに関係する材料について、参照によって本明細書に援用される、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989;Kunkel et al.Methods Enzymol.1987:154:367,1987)。DNA−DNAハイブリダイゼーションのための好ましいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSCまたは6×SSPE中で約68℃(水溶液)およびこれに続く68℃での洗浄であってよい。ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーは、所望の場合、所望の相補性の程度が低下するに応じて、そしてさらに変異度を探索する領域のG−CまたはA−Tのリッチさに応じて下げてもよい。同様に、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーを、必要な場合、所望の相同性が増大するに応じて、そしてさらに高い相同性が望まれる任意の領域のG−CまたはA−Tのリッチさに応じて増大してもよく、これらは全て当該分野で公知である。
【0116】
選択的ハイブリダイゼーションを定義する別の方法は、他の核酸に結合した核酸のうち1個の量(パーセンテージ)に注目することによる。例えばいくつかの実施形態では、選択的ハイブリダイゼーション条件は、限定的核酸のうち少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが非限定的核酸に結合している場合である。代表的には、この非限定的なプライマーは、例えば10または100または1000倍過剰である。このタイプのアッセイは、限定的および非限定的プライマーの両者が、例えばそれらのkの10倍もしくは100倍もしくは1000倍低いか、または核酸分子の一方だけが10倍もしくは100倍もしくは1000倍であり、または一方もしくは両方の核酸分子がそれらのk以上であるという条件下で実施できる。
【0117】
選択的ハイブリダイゼーションを定義する別の方法は、所望の酵素的操作の推進にハイブリダイゼーションが必要とされる条件下で、その酵素的操作を受けるプライマーのパーセンテージに注目することによる。例えばいくつかの実施形態では、選択的ハイブリダイゼーション条件とは、プライマーのうち少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが、その酵素的操作を促進する条件下で酵素的操作を受けるとき、例えば、酵素的操作がDNA伸張であるならば、プライマー分子のうち少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが伸張される選択的ハイブリダイゼーション条件である。好ましい条件はまた、その酵素が操作を遂行するのに適切であるとして製造者が推奨するか、または当該分野で指示される条件を包含する。
【0118】
相同性と同様に、2つの核酸分子間のハイブリダイゼーションのレベルを決定するための様々な方法が本明細書に開示されていることが理解される。これらの方法および条件は、2つの核酸分子の間に種々のハイブリダイゼーションパーセンテージを与え得るが、別途記載のない限り、いかなる方法のパラメータへの適合も満足できるものであるということが理解される。例えば、80%ハイブリダイゼーションが求められており、かつハイブリダイゼーションが、これらの方法のうち任意の一つにおいて必要とされるパラメータの範囲内で起こるならば、それは本明細書に開示されているとみなされる。
【0119】
或る組成物または方法が、集合的にまたは単独でハイブリダイゼーションを決定するためのこれらの基準のいずれか1つを満たすならば、それは本明細書に開示の組成物または方法であるということを当業者が理解するということが理解される。
【0120】
G.キット
本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される方法を行うのに使用され得る試薬を組み込んでいるキットである。このキットは、本明細書の考察される任意の試薬または試薬の組み合わせを備えてもよく、開示される方法の実施に必要とされるか、または利益があることが理解されるであろう。例えば、このキットは、本方法の特定の実施形態に考察される伸長、複製および増幅の反応を行うためのプライマー、ならびに示されるようにプライマーを用いるのに必要な緩衝液および酵素を備えてもよい。追加の試薬としては、修飾ヌクレオチド、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド、および/または標識されたヌクレオチドを挙げることができる。このキットはまた、開示される方法で用いるべき剤および/または酵素のうちの1つ以上を備えてもよい。
【0121】
本明細書に開示される組成物および開示される方法を行うために必要な組成物は、他に特に注記しない限り、その特定の試薬または化合物について当業者に公知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0122】
H.核酸合成
この開示された核酸、例えば、プライマーとして用いるべきオリゴヌクレオチドは、標準的な合成方法を用いて作製してもよいし、または酵素的方法もしくは任意の他の公知の方法を用いて生成してもよい。このような方法は、標準的な酵素消化、その後のヌクレオチドフラグメント単離から(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)第5,6章を参照のこと)、例えば、MilligenまたはBeckman System 1Plus DNAシンセサイザー(例えば、Milligen−Biosearch,Burlington,MAのModel8700の自動シンセサイザーまたはABI Model 380B)を用いるシアノエチルホスホラミダイト法による純粋合成方法までにおよび得る。オリゴヌクレオチドを作製するために有用な合成方法はまた、Ikutaら、Ann.Rev.Biochem.53:323〜356(1984)、(ホスホトリエステルおよびホスファイト−トリエステル法)、およびNarangら、Methods Enzymol.,65:610〜620(1980)、(ホスホトリエステル法)によって記載されている。タンパク質核酸分子は、Nielsenら、Bioconjug.Chem.5:3〜7(1994)によって記載されるような公知の方法を用いて作製してもよい。
【実施例】
【0123】
以下の実施例は、本明細書に特許請求される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が作製および評価される方法の詳細な開示および説明を当業者に与えるために示されており、純粋にその例示を意図するものであって、その開示を限定する意図はない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確実にするために労力を払っているが、ある程度の誤差および変異は考えなければならない。別段示さない限り、割合とは重量の割合であって、温度は℃であるか、または外界温度であり、圧力は大気圧かまたは大気圧付近である。
【0124】
(実施例1)
テンプレート交換伸長反応(Template Exchange Extension Reaction)(TEER)
テンプレート交換伸長反応(TEER)とは、配列テンプレートに対して未知または配列決定されていない核酸テンプレートを比較して、それらが同一であるか否かを決定し得る、ある種の方法を指す。これは、配列決定産物が、それらが生成されるテンプレートに固有であるという事実に基づく。この開示された方法および組成物は、特定の形態のTEERを包含する。図1は、ウラシルの部位特異的な除去後のホモ二重鎖またはヘテロ二重鎖DNA上の5’ビオチン化PCR産物の伸長を示す。正常なdNTPに対して少量のdUTPをPCRで用いてこの配列中のチミジンの各々の出現に相当するアンプリコンを含むウラシルのサブセットを作製する。これは本質的に、末端ddTを下回るジデオキシT配列決定ラダーである。4つ全てのdNTP(全)での伸長、切断産物を全長まで容易に伸長する方法が示される。ddUTP(U)での伸長は、マッチングまたは野生型ヌクレオチドでラダーを1塩基伸ばす。ddGTP(G)、ddCTP(C)、またはddATP(A)のいずれかでの単一塩基伸長は、可能な変異に相当する。ヘテロ二重鎖における変異は、Gレーンに示され、矢印で記される(<)。
【0125】
もともと、テンプレート交換伸長反応(TEER)は、ホモ接合性またはヘテロ接合性の状態に存在する未知の生殖系列および体細胞性変異を検出するために開発された。これは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いて化学発光検出によって実証された。このプロセスは、マイクロタイターベースの検出方式に変換された。マイクロタイタープレート形式では、これはかなり高い処理能力を有し、DNA配列決定の前に変異についてDNAを迅速にスクリーニングするために用いられ得る。配列走査方法と同様、これは、所定のサンプルについて特定の遺伝子中の変異の確率がかなり低い大サンプル集団をスクリーニングするのに有用である。TEERはサンプルを急速にスクリーニングして、変異を含むものにフラグを立て、その結果それらは配列決定されて変異が特定され得る。
【0126】
TEERは、マイクロプレート形式で変異を検出することが示された。これは、kras遺伝子における公知の変異をTまたはGヌクレオチドのいずれかで検出するように向いていた。図2は、固相マイクロタイター形式で伸長産物を検出するために用いた工程を示す。ストレプトアビジンコートしたマイクロタイターウェルを用いて、固相に対してビオチン化PCR産物を結合させる。ホモ二重鎖分子およびヘテロ二重鎖分子を固相中の御ハイブリダイゼーションの間に形成する。このプロセスの各工程は、マイクロタイタープレート中で容易に達成され、これによって、取り扱いおよび処理がかなり簡易になる。
【0127】
表1に示されるデータは、8つの複製反応の平均である。このデータは、変異が保護されて、次のマッチする塩基に伸びるとき、ヘテロ二重鎖DNAで見られるシグナルにおける増大を示す。変異を保護するためにαチオヌクレオチドを用い、続いてエキソヌクレアーゼIIIでの陰性の選択によって、バックグラウンドを下げて、ホモ二重鎖とヘテロ二重鎖のテンプレートの間の区別を可能にした。保護チオヌクレオチド後のこの配列における次のヌクレオチドはウラシルである。ホモ二重鎖(573RLU)をほぼ4倍上回るヘテロ二重鎖(2158RLU)のシグナルの増大が、Tヌクレオチドを標的した時に達成された。
【0128】
ジゴキシゲニン標識ジデオキシNTP類(A、GおよびC)の混合物での伸長によって、ポリメラーゼによる非特異的伸長、または非特異的酵素切断部位からの伸長のいずれかがあったことが示された。全長テンプレートへの標識ddATPの非特異的な付加が観察された;この活性は通常Taqポリメラーゼで示され、PCRクローニングキットに基づく。反応中のDNAの量はExoIIIコントロールなしで示された二重鎖とほぼ同じである(第3列)。マッチするDNAの分解は、二重鎖がExoIIIで処理された時の伸長シグナルの劇的な減少で示された(第1および2列)。
【0129】
【表1】

(実施例2)
B.ハイブリダイゼーションの感度
本発明の方法は、極めて豊富な野生型DNAが少量の変異体DNAよりも自分自身に対して優先的にハイブリダイゼーションすることによって生じる、変異検出の感度に関する問題を回避する。これは、特定の固相ハイブリダイゼーションにおける、またはホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖のDNAを識別するのに十分高い温度で行われるハイブリダイゼーションで問題であり得るが、使用されている条件下では問題ではない。等しい量の正常なPCR産物を等しい量のテスターDNAと混合する。このヘテロ二重鎖は、95℃で2分間サンプルを変性すること、続いて72℃に急速に冷却することによって形成され、次いで30分にわたって40℃まで緩徐に冷却される。PCR産物の大きさ(300bp)および非ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(時間および温度)を考慮すれば、変異体DNAに対する野生型DNAのハイブリダイゼーションは邪魔されない。これらの2つの分子のハイブリダイゼーションは、ランダムな衝突および機会に基づく。ヘテロ二重鎖分子の形成は選択されていないので、形成されるヘテロ二重鎖分子の産生はインプットの濃度に直接関連する。1つの変異体テンプレートがハイブリダイゼーションの前にあらゆる100個の正常なテンプレートについて存在するならば、その比は、ハイブリダイゼーション後の産物中で保存されるであろう。
【0130】
(実施例3)
C.未知の変異
4つ全てのヌクレオチドを標的して未知の変異を検出する。チミンおよびグアニンヌクレオチドは、直接標的され得る。グアニンヌクレオチドは無作為に、8−ヒドロキシグアニンへと化学的に変換され、次いでFPGおよびEndoIVで切り出される。シトシンおよびアデニンは、それらの相補体グアニンおよびチミンを反対側の鎖の上で分析することによって間接的に標的される。他の方法を用いてシトシンおよびアデニンを間接的に標的してもよいこと、ならびにこのような方法は、本明細書に開示の方法と適合することが本明細書で理解および考慮される。
【0131】
例えば、PromegaのWizard PCR Purificationキットを用いてPCR産物を含むαチオを精製するが、各々のαチオヌクレオチドについて特異的な配列決定ラダーが生成されていることが観察された。このαチオヌクレオチドは、DNAをシリカに結合するために用いられるカオトロピック試薬であるグアニジウムチオシアネートに感受性である。化学的加水分解に対するこの感受性は、2−ヨードエタノールで十分明らかになっており、DNAを配列決定するための方法として用いられている。インドエタノールでの切断後に残った3’末端は、3’リン酸塩および3’ヒドロキシル基の混合物である。この3’ヒドロキシル末端は容易に伸長されて、TEERで用いられ得る。従って、この化学的アプローチは各々のヌクレオチドを直接かつ均一に標的し得る。
【0132】
(実施例4)
D.挿入および欠失を検出する
TEERは、挿入および欠失を容易に検出し得る。これらの変異は、挿入/欠失のポイントで、または変異のちょうど3’で(野生型伸長鎖上で)ミスマッチを作製し、ここでこの配列フレームがシフトされる。これらの変異の検出は、同じヌクレオチドの長いストレッチまたは反復配列が存在する領域で妨げられ得る。例えば、ストレッチが十分に長いとき、ヘアピンループが形成を開始して、その結果その挿入または欠失は、絞り出されて検出できない場合がある。これらのストレッチの真ん中に近い挿入または欠失は、末端のものよりも検出するのが困難である。
【0133】
(実施例5)
E.TEER選択された変異のリアルタイムPCR検出
マイクロプレートへの化学の移行の間、TEERは、正常または野生型シグナルを上回る変異シグナルについて選択されているということが証明された。これは60個の「正常な」単一塩基伸長のうち1つの「変異体」からのシグナルを生じていた。ホモ二重鎖を超えるヘテロ二重鎖のシグナルにおける増大は劇的ではなく、約4倍であったが、プロセスが行われているという証拠が得られた。これで、マイクロプレート検出のノイズ比に対するシグナルを増大する必要性とともに、PCRを用いて変異を増幅するか否か、その結果DNA配列決定によってさらに特徴づけられ得るか決定する必要がある。変異を増幅するために最初にPCRを利用することによって、まれな変異の急速かつ鋭敏な検出が可能になる。陽性のサンプルを配列決定して、変異を位置決めおよび特定し得る。
【0134】
以下の説明は、図3に例示される工程を指す。簡便のために、kras遺伝子中の公知の変異を標的して、変異について選択するためのTEERの実現可能性を実証する。この十分特徴づけられた公知の変異はコドン12中のGからTの移行である。これによって選択プロセスが作動していることを示す理想的な標的となる。このように、kras遺伝子中で公知の単一の塩基変異を増幅および検出するためのリアルタイムPCR検出方式の容易さが描写される。詳細には、Uヌクレオチドの標的が図示される。残りの3塩基の各々は、別反応で標的され、その結果配列中の各々の塩基が分析される。一旦TEER選択が行われれば、サンプル由来の4つの反応産物を一緒に組み合わせて、1つのリアルタイムPCR検出反応で分析してもよい。
【0135】
TEER中の最初の工程は、テンプレート交換である。特定の塩基で無作為に修飾されているPCR増幅野生型DNAは、潜在的な変異を有するサンプルから増幅されたDNAにハイブリダイズされる。二重鎖DNAは、ExoIIIでの分解を防ぐために一端でミスマッチを有し、反対の端では3’凹部末端を有して固相結合のためのリンカープローブの連結を可能にする。このリンカーによって、全ての標的がその相補体にハイブリダイズすること、およびそれが全長の伸長産物であることが確実になる。任意の不完全な伸長産物は連結されず、ストリンジェントな洗浄を用いることによってプレートから容易に除去される。このヘテロ二重鎖DNAは野生型鎖でのみ修飾されたヌクレオチド(ウラシル)で特異的に切断する酵素または化合物で処理される。変異を含む可能性があるこの相補的な鎖は影響されない。これによって、その配列の塩基の各々の出現を代表する無塩基部位のサブセットが作製される。これは本質的に、インタクトな全長テンプレート上の、標的塩基より少ない、配列決定ラダーである。
【0136】
TEERの次の工程は、エキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドでの伸長反応である。ここではαチオヌクレオチドが用いられている(Pincas Hら、Nucleic Acids Res 2004;32(19):e148;Nakamaye KLら、Nucleic Acids Res 1988;16(21):9947〜59;Labeit Sら、Methods Enzymol 1987;155:166〜77;Labeit Sら、DNA 1986;5(2):173〜7)。ホウ素ヌクレオチドも用いられてもよい(Porter KWら、Nucleic Acids Res 1997;25(8):1611〜7)ことが理解され、かつ本明細書で考慮される。3つの可能性のあるヌクレオチド変異に相当する3つのα−チオデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP類)の混合物をThermosequenase(サーモシークエナーゼ)での伸長反応に用いる。標的された塩基とマッチするdNTPは存在しない。例えば、チミン(ウラシルを介して)が標的塩基であったならば、伸長ヌクレオチドは、α−チオdATP、dCTPおよびdGTPである。
【0137】
エキソヌクレアーゼIIIは、変異を選択するために用いられ得る。チオヌクレオチドで終止した伸長産物は変異を示しており、かつエキソヌクレアーゼIIIに耐性である。保護されていない野生型テンプレートは変性される。
【0138】
編集された野生型鎖はいまや、変異のコピーを含む。ポリメラーゼがDNAを伸長するにつれて、ポリメラーゼは鎖置換、またはポリメラーゼに依存する5’→3’エキソヌクレアーゼを用いて、変異テンプレートの末端に進む。このプロセスは、固相から変異体二重鎖を遊離する。この遊離したDNAはマイクロプレートから直接リアルタイムPCR反応中に移行され得る。
【0139】
この選択された変異体テンプレートはリアルタイム蛍光フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて特異的に増幅される。例えば、SYBR緑色色素または蛍光発生ヘアピンプライマー(伸長された後にのみ蛍光を発する)、例えば、LUXプライマー(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いてもよい。Taqmanまたは二重標識されたFRETプローブなどのリアルタイムPCRのための内部ハイブリダイゼーションプローブの使用は、推奨されない。なぜなら変異の部位が未知であるからである。
【0140】
(実施例6)
モデル三重鎖
このプロセスにおける各工程をモニターおよび最適化するために、3オリゴヌクレオチドから構成されるオリゴハイブリッドを用いてもよい(図4)。オリゴ三重鎖は介在している配列がない全長産物の小型バージョンである。LamMM−krasBは、キャピラリーゲル電気泳動による伸長/連結(ライゲーション)産物の検出を可能にする5’FAM標識を有する。上部の構築物で、ニックが作製されるが、下部の構築物はギャップを有する。この方法を用いれば、種々のポリメラーゼおよびリガーゼを、いずれかの部位で活性を開始する能力について研究できる。固相捕獲および遊離の有効性も研究できる
このプロセスの各々の工程について最適化する必要がある多数の条件がある。オリゴ三重鎖はこれらの工程の各々の最適化を補助する。このモデルには変異選択特異性に影響する多数の技術的リスクが存在する。エキソヌクレアーゼIII消化は、αチオヌクレオチドで終止した3’末端のみを残すのに極めて効率的でなければならない。なんらかの不完全な消化産物はリアルタイムPCRでバックグラウンドを生じる。この反応のための時間、濃度および緩衝液条件を最適化することは、バックグラウンドを低く維持しておくのに重要である。
【0141】
UDGおよびAPEでの切断も極めて特異的でなければならない。任意のランダムまたは非特異的な切断は、バックグラウンドを生じる。ここでもこの反応のための時間、濃度および緩衝液条件を最適化することは、バックグラウンドを低く維持しておくのに重要であろう。最適化された条件での酵素は極めて特異的である。DNAリガーゼを用いて任意の非特異的ニックを分解してもよい。
【0142】
ホモ二重鎖DNAとヘテロ二重鎖との間で少なくとも10サイクルの相違が観察され得る。これは、50:50の混合物または1:2の比の変異体対野生型である。従って、少なくとも変異体の1:100希釈が検出され得る。上記の図3に図示される方法を用いて、ヘテロ二重鎖DNA対ホモ二重鎖DNAの平均交差ポイントの4サイクルの減少が観察された。バックグラウンドのコントロールについては、ヘテロおよびホモ二重鎖産物の異なる組み合わせを試験した。両方のヘテロ二重鎖がG:Tミスマッチを有するが、お互いの逆相補体である。このヘテロ二重鎖SW/K5は検出のための適切な鎖の上に標的ヌクレオチド(ウラシルを介してT)を有する。バックグラウンド交差ポイントは、低交差ポイントで証明されるとおり、予想されるより高かった。同じTEER産物の複製増幅の間の標準偏差もかなり高かった。これは、SYBR緑色リアルタイムPCRの高い(3.33)増幅効率に基づいて驚くべきである。このアッセイは、極めて純粋な正のテンプレートの10倍階段希釈を用いて最適化した。複製の間の標準偏差を0.5未満にさせるためにテンプレートが高、低およびなしにおいて、他の要因、例えば、プライマー濃度 アニーリングの温度/時間、伸長の温度/時間、MgCl2濃度およびプライマー濃度なども最適化され得ることが理解される。
【0143】
【表2】

(実施例7)
G.検出の感度
このモデル系における公知の変異を検出する能力は、DNA中の未知の変異を検出するためのTEERに重要である。これは滴定実験であって、ここでは変異体krasテンプレートの量が正常または野生型の配列に対して希釈されて、検出の感度が決定される。正常なテンプレートに対する変異体krasテンプレートの希釈系列は、希釈なし、1:2、1:5、1:10、1:50、1:100 1:500、1:1000に設定される。反応条件は感度を増大するように最適化される。好ましくは、50の正常なテンプレートのうち最小1つの変異体テンプレートが検出される。プロセスの定量的な性質も評価される。正常なDNAに対してまれな未知の変異を定量する能力は、ガン処置およびモニタリングのための重要な介入の意義を確立し得る。
【0144】
本出願を通じて、種々の刊行物が言及される。これらの刊行物の開示は、本発明が属する当該分野の状況をさらに詳細に記載するため、その全体が参照によって本出願中に援用されている。開示される引用文献はまた、その引用文献が依拠する文章で考察されるものに含まれる材料について本明細書において引用文献によって個々にかつ詳細に援用される。
【0145】
種々の修飾およびバリエーションが本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく本発明でなされ得ることは当業者には明白であろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の詳細な説明および実施を考慮して当業者には明白であろう。本明細書および実施例は、単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲および趣旨は添付の特許請求の範囲によって示されるものである。
【0146】
参考文献
【0147】
【化10】

【0148】
【化11】

開示された発明および組成物は、それらが変化し得るので記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬には限定されない。本明細書に用いられる用語法は特定の実施形態を記載する目的でしかなく、本発明の範囲を限定する意図ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうということも理解される。
【0149】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、「含む、包含する」という用語、およびその用語のバリエーション、例えば、「包含している、含んでいる」および「包含する、含む」とは、「限定はしないが〜を含んでいる、〜を含んでいるが、これらに限定されない」を意味し、例えば、他の付加物、成分、整数または工程を排除するものではない。
【0150】
当業者は、慣用的な実験のみを用いて、本明細書に記載される方法および組成物の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し、または確定できるであろう。このような等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法であって:
(a)第一の核酸由来の伸長産物の1セットを生成すること、および該伸長産物中に修飾されたヌクレオチドが存在するようにさせることを包含し、ここで該修飾されたヌクレオチドが単一タイプの塩基を含む、工程と、
(b)第二の核酸に対して該伸長産物をハイブリダイズさせることを包含する工程と、
(c)該ハイブリダイズ核酸と、該修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と、
(d)該ハイブリダイズ核酸と、3つのタイプのヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下において該伸長産物を伸長するが、該修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることを包含しており、該ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む、工程と、
(e)該ハイブリダイズ核酸と、該伸長産物の3’末端からヌクレオチドを除去する第二の酵素とを接触させることを包含しており、該第二の酵素が該ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを除去しない工程と、
(f)該ハイブリダイズ核酸と、ヌクレオチドの存在下で該伸長産物を伸長する第三の酵素とを接触させることを包含する工程と、
(g)ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物から、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することを包含する工程であって、該第一の核酸が参照核酸であって、かつ該第二の核酸が目的の核酸であるか、または該第一の核酸が目的の核酸であって、かつ該第二の核酸が参照核酸である工程と、を包含し、それによって目的の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する方法。
【請求項2】
前記参照核酸が、野生型配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目的の核酸が、前記参照核酸の野生型配列に相当する配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(g)において、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物が実質的に存在せず、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含まない伸長産物からヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む伸長産物を識別することが、伸長産物の存在を検出することを包含する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが工程(d)の伸長産物中に組み込まれた場合、伸長産物が工程(g)でのみ存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ヌクレオチドバリエーションが目的の核酸に存在した場合のみ、ヌクレアーゼ−耐性ヌクレオチドが工程(d)の伸長産物中に組み込まれている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ヌクレオチドバリエーションが目的の核酸に存在した場合のみ実質的に、ヌクレアーゼ−耐性ヌクレオチドが工程(d)の伸長産物中に組み込まれている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヌクレオチドバリエーションが前記伸長産物中の修飾されたヌクレオチドの位置に相当する部位で目的の核酸に存在した、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記伸長産物中の前記ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドのヌクレオチド5’が、前記第二の酵素による除去から保護される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが存在しない伸長産物が、前記第二の酵素によって消化される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の核酸が、プライマー配列を含み、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが存在する前記伸長産物の少なくとも一部が、該第一の核酸中の少なくとも該プライマー配列に対して工程(f)で伸長される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記修飾されたヌクレオチドが、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン(8−オキソグアニン)、8−オキソアデニン、fapy−グアニン、メチ−fapy−グアニン、fapy−アデニン、アフラトキシンB−fapy−グアニン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシ−ウラシル、開環したN−7グアニン付加物(7−メチルグアニン)、リボース、ウラシル、または組み合わせである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)および(d)が同時に行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記剤の1つ以上が、前記修飾されたヌクレオチドから前記塩基を除去する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の剤が、エンドヌクレアーゼを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の剤が、エンドヌクレアーゼIVを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の剤が、ホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(FPG)を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の酵素が、前記修飾されたヌクレオチドを標識されたヌクレオチドで置き換える、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の酵素が、ポリメラーゼを含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の酵素がDNAポリメラーゼである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の酵素が熱安定性ポリメラーゼである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが、チオ修飾デオキシヌクレオチドを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドがボラノ修飾されたヌクレオチドを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の酵素がエキソヌクレアーゼを含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第二の酵素がエキソヌクレアーゼIIIを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記伸長産物がリアルタイムPCR(rtPCR)によって識別される、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
PCRが2つ以上のプライマーで媒介され、該プライマーの1つ以上が蛍光標識を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プライマーの1つ以上が蛍光変化プライマーを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程(f)の前記伸長産物の伸長が、1つ以上の標識ヌクレオチドを該伸長産物に組み込む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記標識されたヌクレオチドのうちの1つ以上がビオチンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記伸長産物が、前記標識されたヌクレオチドを検出することによって識別される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記伸長産物が、プローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長または組み合わせを介して識別される、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記伸長産物が、該伸長産物と固体支持体との会合を介して識別される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
種々のタイプの塩基を含む種々のタイプの修飾されたヌクレオチドを各回で用いてさらに1回以上、工程(a)〜(g)を行うことをさらに包含する、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
工程(a)〜(g)が、4つの異なる修飾されたヌクレオチドの各々を用いて少なくとも1回行われ、該4つの異なる修飾されたヌクレオチドの各々が、4つのタイプの塩基のうち異なる1つを含む、請求項1〜34のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
ヌクレオチドバリエーションを有する前記伸長産物を配列決定することと、参照配列に対してその配列を比較することと、それによって前記第一の核酸中の該ヌクレオチドバリエーションを特異的に特定することをさらに包含する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記ヌクレオチドバリエーションが単一ヌクレオチドバリエーションである、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
検出された前記ヌクレオチドバリエーションが単一ヌクレオチド中のヌクレオチドバリエーションである、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記伸長産物が、検出可能標識で標識され、かつ前記識別工程(g)が、工程(f)由来の反応物のゲル電気泳動を行うことを包含し、該電気泳動が、さらに伸長されない標識された伸長産物と、全長核酸との間を識別するために十分な分解能である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
修飾されたヌクレオチドが、単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で前記伸長産物を生成することによって該伸長産物中で存在するようにされ、該伸長産物は、該修飾されたヌクレオチドを組み込む、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
修飾されたヌクレオチドが、該修飾されたヌクレオチドを産生するように前記伸長産物中でヌクレオチドを修飾することによって、該伸長産物中に存在するようにされる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
ヌクレオチドが前記伸長産物中で選択的に修飾される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ヌクレオチドが限定された様式で前記伸長産物中で修飾される、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
ヌクレオチドが、化学的修飾によって前記伸長産物中で修飾される、請求項41〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
ヌクレオチドが、酵素修飾によって前記伸長産物中で修飾される、請求項41〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
第一の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法であって:
a.単一タイプの塩基を含む修飾されたヌクレオチドの存在下で参照核酸から1セットの伸長産物を生成することを包含する工程であって、該伸長産物が該修飾されたヌクレオチドを組み込む、工程と、
b.該第一の核酸に対して該伸長産物をハイブリダイズすることを包含する工程と、
c.該ハイブリダイズ核酸と、該修飾されたヌクレオチドを集団的に除去する1つ以上の剤とを接触させることを包含する工程と、
d.該ハイブリダイズ核酸と、3つのタイプの標識されたヌクレオチドの存在下において該伸長産物を伸長し、該修飾されたヌクレオチドと同じタイプの塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長しない第一の酵素とを接触させることを包含し、ここで該標識ヌクレオチドの3つのタイプの各々が異なるタイプの塩基を含む、工程と、
e.標識されたヌクレオチドを含まない伸長産物から、標識されたヌクレオチドを含む伸長産物を識別する工程を包含する工程と、を包含し、
それによって該第一の核酸中のヌクレオチドバリエーションを検出する、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−527241(P2010−527241A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508416(P2010−508416)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/006191
【国際公開番号】WO2008/143903
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509314633)インサイト ジェネティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】