説明

単一成分被覆系

本発明は、イソシアネート基に対して反応性でないポリウレタン分散体およびブロックト疎水性ポリイソシアネートに基づく水性一成分(1K)被覆系、ならびにそれらの製造方法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イソシアネート反応性ポリウレタン分散体(イソシアネート基に対して反応性でないポリウレタン分散体)およびブロックト疎水性ポリイソシアネートに基づく水性一成分(1K)被覆系、ならびにそれらの製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の被覆において、溶媒媒介結合剤は、ますます、水性の環境に優しい系に取って代わられている。増大する役割は、優れた特性のため、特にポリウレタン-ポリ尿素分散体に基づく結合剤が担っている。
【0003】
水性ポリウレタン(PU)分散体の製造は、原理上既知である。このような分散体を製造する種々の可能性は、例えば、総説中にD. Dieterichによって記載されている(D. Dieterich、Prog. Org. Coatings 9、281(1981))。
【0004】
さらなる改善(特にこれらの分散体の特性)をもたらすために、それらは、しばしばブロックトポリイソシアネートに基づく架橋剤と組み合わせて使用される。
【0005】
国際公開WO-A 02/14395は、例えば、ウレタン基含有ポリオールおよびピラゾール誘導体でブロックされた疎水性ポリイソシアネートから構成される被覆組成物の製造を開示する。熱誘導非ブロック化は、ウレタンの形成と共に、ポリオールおよびポリイソシアネートの架橋を導く。得られた被覆物は、耐ストーンチップ性の黄変しない被覆物に適当である。
【0006】
ブロックトイソシアネート基を有し、有意な量のイソシアネート反応性基を含有しないPU分散体に基づく1K被覆系は、熱暴露下で、それらが塗布されたまたは組み込まれた基材と架橋し得る。
【0007】
したがって、例えば、ガラス繊維のサイジングまたはガラス繊維強化プラスチックの製造などの多くの適用分野において、ブロックト水分散性またはブロックト水溶性ポリイソシアネートと組み合わせて、イソシアネート反応性基を含有しないポリウレタン-ポリ尿素分散体が使用される(これらの製造は、例えば、独国特許公開DE-A 24 56 469およびDE-A 28 53 937に記載される)。
【0008】
しかしながら、先行技術から既知の水性一成分(1K)被覆組成物に関して、特に特性(耐水性および湿粘着)における、厳格な要求は、十分に満たされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、フィルム形成後に、先行技術の通例の被覆組成物より高い耐水性および湿粘着を有する、保存安定性の水性被覆系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
疎水性ブロックトポリイソシアネートは、有意な量のツェレビチノフ活性水素原子を有しない水分散性および/または水溶性ポリウレタンの助けを借りて水中に安定して分散され得、そして、それらから製造された被覆物の特性(例えば、耐水性および湿粘着)を著しく改善することが判明した。この場合、水分散性または水溶性ポリウレタンは、ブロックトポリイソシアネートのための「乳化剤」の機能を果たす。該ポリウレタンは、有意な量のツェレビチノフ活性水素原子を含有しないので、それらは、ブロックトポリイソシアネートと組み合わされた自己架橋分散体を形成しない。高温にてブロッキング剤を排除した後、ポリイソシアネート架橋剤の官能性基は、被覆組成物が塗布された基材のイソシアネート反応性基と架橋することができる。通例の結合剤/架橋剤の組合せと対照的に、結合剤および架橋剤が親水性化された場合、本発明の被覆組成物は、非常に低い全体的な親水性を有し、その結果、基材への塗布の後、著しく低い水吸収、高い耐水性、および良好な被覆物の湿粘着がもたらされる。
【0011】
本発明は、
(I)化学結合した親水性基、および分散体の不揮発性画分に基づいて0〜0.53mmol/g、好適には0〜0.4mmol/g、より好適には0〜0.25mmol/gのツェレビチノフ活性水素原子を含有する基を含有する、少なくとも一つのポリウレタン(A)と、
(II)少なくとも一つのポリイソシアネート(B)(ここでNCO基は、可逆的にブロックされており、そして親水性基を含有しない。)と、
(III)水
を含んでなり、
成分(A)と(B)の割合は、ブロックトイソシアネート含量が0.01mol/100g樹脂固体と1.0mol/100g樹脂固体の間となるようなものである、水性一成分(1K)被覆系を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の目的のために、ツェレビチノフ活性水素原子を含有する基は、水酸基、第一級または第二級アミン基またはチオール基である。
【0013】
本発明において、イオン性または非イオン性基は、親水性基に含まれる。
【0014】
本発明の1K被覆系に適当なポリウレタン(A)は、
A1)ポリイソシアネートと、
A2)400〜8000の平均分子量を有する、ポリマーのポリオールおよび/またはポリアミンと、
A3)必要に応じて、400までの分子量を有する、モノ-もしくはポリアルコールまたはモノ-もしくはポリアミンあるいはアミノアルコールと、
A4)少なくとも一つのイオン性または潜在的イオン性基を有する化合物および/または
A5)非イオン的親水性化化合物
から選択される少なくとも一つの化合物と
の反応生成物である。
【0015】
本発明の目的のための潜在的イオン性基は、イオン性基を形成可能な基である。
【0016】
ポリウレタン(A)は、好適にはA1)7〜45重量%、A2)50〜91重量%、A5)0〜15重量%、イオン性または潜在的イオン性化合物A4)0〜12重量%、ならびに、必要に応じて、化合物A3)0〜30重量%(ここで、A4)およびA5)の合計は、0.1〜27重量%であり、そして成分の合計は、100重量%となる)から製造される。
【0017】
ポリウレタン(A)は、より好適にはA1)10〜30重量%、A2)65〜90重量%、A5)0〜10重量%、イオン性または潜在的イオン性化合物A4)3〜9重量%、ならびに、必要に応じて、化合物A3)0〜10重量%(ここで、A4)およびA5)の合計は、0.1〜19重量%であり、そして成分の合計は、100重量%となる)から製造される。
【0018】
ポリウレタン(A)は、非常に好適にはA1)8〜27重量%、A2)65〜85重量%、A5)0〜8重量%、イオン性または潜在的イオン性化合物A4)3〜8重量%、ならびに、必要に応じて、化合物A3)0〜8重量%(ここで、A4)およびA5)の合計は、0.1〜16重量であり、そして成分の合計は、100重量%となる)から製造される。
【0019】
適当なポリイソシアネート(A1)は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環族ポリイソシアネートである。このようなポリイソシアネートの混合物も使用され得る。適当なポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の所望の異性体含量のそれらの混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネート、またはウレタン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン構造を有するそれらの誘導体、およびそれらの混合物である。好適には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
それらは、好適には、脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を排他的に有する所定のタイプのポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物である。非常に好適な出発成分(A1)は、HDI、IPDIおよび/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づくポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート混合物である。
【0021】
ポリイソシアネート(A1)として適当なものは、例えば、J. Prakt. Chem. 336(1994)、第185〜200頁に記載されたような、少なくとも二つのジイソシアネートから合成された、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する、単純な脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および/または芳香族のジイソシアネートを修飾することによって製造された、任意の所望のポリイソシアネートである。
【0022】
適当なポリマーのポリオールまたはポリアミン(A2)は、少なくとも1.5〜4のOH官能価を有する。例えば、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキサンなどである。分子量範囲が600〜2500であり、OH官能価2〜3を有するポリオールが好適である。
【0023】
適当なヒドロキシル含有ポリカーボネートは、炭酸誘導体(例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチルまたはホスゲンを、ジオールと反応させることによって得られ得る。適当なこのようなジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリ-メチルペンタン-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAであり、また、ラクトン改変ジオールも含む。ジオール成分は、好適には、40〜100重量%のヘキサンジオール、好適には1,6-ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体、好適には末端OH基に加えて、エーテル基またはエステル基を含有するもの、例えば、独国特許公開DE-A 17 70 245にしたがって1molのヘキサンジオールを、1mol(好適には1〜2mol)の少なくとも一つのカプロラクトンと反応させることによって、またはヘキサンジオール自身をエーテル化してジ-またはトリヘキシレングリコールを得ることによって、得られた生成物を含有する。このような誘導体の製造は、例えば、独国特許公開DE-A 15 70 540から既知である。また、独国特許公開DE-A 37 17 060に記載されたポリエーテル-ポリカーボネートジオールを使用することもできる。
【0024】
ヒドロキシルポリカーボネートは、好適には直鎖であるべきである。しかしながら、それらは、必要に応じて、ポリ官能性成分(特に低分子量ポリオール)の組み込みを通じて、低レベルの分枝を有する。本目的に適当なものの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、およびソルビトール、メチルグリコシド、ならびに1,3,4,6-ジアンヒドロヘキシトールが挙げられる。
【0025】
適当なポリエーテルポリオールは、ポリウレタン化学において自体既知である、ポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。これは、例えば、カチオン性環の開環による、テトラヒドロフランの重合によって製造され得る。
【0026】
さらなる適当なポリエーテルポリオールは、ポリエーテル、例えば、スターター分子を使用して、スチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン(特にはプロピレンオキシド)から製造されるようなポリオールである。
【0027】
適当なポリエステルポリオールの例としては、多価アルコール(好適には二価アルコールおよび必要に応じてさらなる三価アルコール)と、多塩基カルボン酸(好適には二塩基カルボン酸)との反応生成物が挙げられる。また、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物を使用して、ポリエステルを製造することができる。ポリカルボン酸は、事実上脂肪族、脂環族、芳香族および/またはヘテロ環式であり得、そして必要に応じて、例えば、ハロゲン原子で置換され得、および/または不飽和であり得る。
【0028】
成分(A3)は、ポリウレタンプレポリマーを終端処理するのに適当である。それらとしては、適当には、一官能性アルコールおよびモノアミンが挙げられる。好適なモノアルコールは、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、例えば、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチルヘキサノール、1-オクタノール、1-ドデカノールまたは1-ヘキサデカノールなどである。好適なモノアミンは、脂肪族モノアミン、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、エタノールアミン、N-メチルエタノールアミンまたはN,N-ジエタノールアミンおよびJeffamin(登録商標) Mシリーズ(Huntsman Corp. Europe、ベルギー)のアミン、またはアミノ官能性ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどである。
【0029】
同様に、成分(A3)として適当なものは、400未満の分子量を有するポリオール、アミノポリオールまたはポリアミンである。これらは、対応する文献に数多く記載されている。
【0030】
好適な成分(A3)の例は、
a)アルカンジオールおよび/または-トリオール、例えば、エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,4-および2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,3-ジメチルプロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、位置異性体ジエチルオクタンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル 2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロール、
b)エーテルジオール、例えば、ジエチレンジグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、
c)一般式(I)および(II):
【0031】
【数1】

【0032】
〔式中、
Rは、1〜10個の炭素原子、好適には2〜6個の炭素原子を有する、アルキレンまたはアリーレン基であり、
xは、2〜6であり、
yは、3〜5である。〕
で示されるエステルジオール、例えば、δ-ヒドロキシブチル-ε-ヒドロキシ-カプロン酸エステル、ω-ヒドロキシヘキシル-γ-ヒドロキシ酪酸エステル、(β-ヒドロキシエチル)アジペートおよび(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートなど、および
【0033】
d)ジアミンおよびポリアミン、例えば、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド(これらは、商品名Jeffamin(登録商標)、Dシリーズ(Huntsman Corp. Europe、ベルギー)のもと入手可能)、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンである。また、本発明において、ジアミンとして適当なものは、ヒドラジン、ヒドラジン水和物および置換ヒドラジン(例えば、N-メチルヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジンおよびそれらの類似体)、ならびに酸ジヒドラジド、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、セバシン酸、ヒドロアクリル酸およびテレフタル酸、セミカルバジド-アルキレンヒドラジド、例えば、β-セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド(例えば、独国特許公開DE-A 17 70 591に記載)、セミカルバジドアルキレン-カルバジンエステル(例えば、2-セミカルバジドエチルカルバジンエステル(例えば、独国特許公開DE-A 19 18 504に記載)、あるいはアミノセミカルバジド化合物(例えば、β-アミノエチルセミカルバジドカーボネート(例えば、独国特許公開DE-A 19 02 931に記載)である。
【0034】
成分(A4)は、事実上カチオン性またはアニオン性のいずれかであり得るイオン性基を含有する。カチオン性、アニオン性分散性化合物は、例えば、スルホニウム、アンモニウム、ホスホニウム、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート基または塩形成によって上記基に変換され得る基(潜在的イオン性基)およびイソシアネート反応性基を存在させることによって高分子中に組み込まれ得る基を含有するようなものである。好適な適当なイソシアネート反応性基は、水酸基およびアミン基である。
【0035】
適当なイオン性または潜在的イオン性化合物(A4)の例は、モノ-およびジヒドロキシカルボン酸、モノ-およびジアミノカルボン酸、モノ-およびジヒドロキシスルホン酸、モノ-およびジアミノスルホン酸ならびにモノ-およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ-およびジアミノホスホン酸およびそれらの塩、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノ-エチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミン-プロピル-または-ブチルスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIおよびアクリル酸の付加物(欧州特許公開EP-A 0 916 647、実施例1)およびそのアルカリ金属および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムのブタ-2-エン-1,4-ジオール付加物、ポリエーテルスルホネート、2-ブテンジオールおよびNaHSOのプロポキシル化付加物(例えば、独国特許公開DE-A 2 446 440(第5〜9頁、式I-III)に記載されたもの)、ならびに親水性合成成分としてカチオン性基に変換され得る構成単位(例えば、N-メチルジエタノールアミン)である。好適なイオン性または潜在的イオン性化合物は、カルボキシまたはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有するものである。特に好適なイオン性化合物は、イオン性または潜在的イオン性基として、カルボキシルおよび/またはスルホネート基を含有するもの、例えば、N-(2-アミノエチル)-β-アラニンの塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIおよびアクリル酸の付加物の塩(欧州特許公開EP-A 0 916 647、実施例1)ならびにジメチロールプロピオン酸の塩である。
【0036】
適当な非イオン的親水性化化合物(A5)の例は、少なくとも一つの水酸基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30重量%〜100重量%のエチレンオキシドから誘導された構成単位の画分を含む。1と3の間の官能価を有する直鎖構造のポリエーテルばかりでなく、一般式(III):
【0037】
【化1】

【0038】
〔式中、
およびRは、互いに独立して、各々、1〜18個の炭素原子を有する、酸素および/または窒素原子が割り込まれていてもよい、二価の脂肪族、脂環族または芳香族の基であり、および
は、アルコキシ末端ポリエチレンオキシド基である。〕
で示される化合物が適当である。
【0039】
非イオン的親水性化化合物のさらなる例としては、平均して一分子当たり5〜70個、好適には7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する一官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコール、例えば、自体既知の方法において適当なスターター分子をアルコキシル化することによって得られるようなもの(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、ワインハイム、第31〜38頁)が挙げられる。
【0040】
適当なスターター分子の例は、飽和モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、例えば、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、フェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール)、芳香脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール)、第二級モノアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス-(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン)、ならびにヘテロ環式第二級アミン(例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾール)である。好適なスターター分子は、飽和モノアルコールである。特に好適には、スターター分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用することが挙げられる。
【0041】
アルコキシル化反応に特に適当なアルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において、いずれの種類でも、または混合物でも使用され得る。
【0042】
上記ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、直鎖ポリエチレンオキシドポリエーテルまたは少なくとも30mol%、好適には少なくとも40mol%のアルキレンオキシド単位がエチレンオキシド単位から構成される混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかである。好適な非イオン性化合物は、少なくとも40mol%のエチレンオキシドおよび60mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する一官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0043】
ポリウレタン(A)を製造するためには、非イオン性(A4)およびイオン性(A5)親水性化剤の組合せを使用することが好適である。非イオン性およびアニオン性親水性化剤の組合せは、特に好適である。
【0044】
水性ポリウレタン(A)は、一以上の段階において均質相中で、または多段階反応の場合、部分的に分散相中で、製造され得る。完全にまたは部分的に重付加を行った後、分散、乳化または溶解工程を行う。その後、それらは、分散相中でさらに重付加または修飾され得る。
【0045】
ポリウレタン(A)は、先行技術から既知の任意の技術、例えば、乳化剤/剪断力、アセトン、プレポリマー混合、溶融乳化、ケチミンおよび自発的固体分散技術またはそれらの変形によって製造され得る。これらの方法の編集物は、Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl、第4版別冊、第E20巻、H. BartlおよびJ. Falbe、スタットガート、ニューヨーク、Thieme、1987年、第1671〜1682頁)に見出され得る。好適には、溶融乳化、プレポリマー混合およびアセトン技術が挙げられる。アセトン技術が特に好適である。
【0046】
通常、ポリウレタンプレポリマーの製造のための第一級または第二級アミノ基を含有しない構成成分(A2)〜(A5)およびポリイソシアネート(A1)を、全部または一部反応器に充填し、そして適当であれば、水混和性であるが、イソシアネート不活性の溶媒で希釈するが、好適には溶媒なしで、比較的高温、好適には50〜120℃の範囲に加熱する。
【0047】
適当な溶媒の例としては、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよび1-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。これらは、製造開始時ばかりでなく、適当であれば、一部を後に添加することができる。アセトンおよびブタノンが好適である。反応を大気圧または高圧(例えば、溶媒(例えば、アセトン)の沸点の蒸気圧を超える圧力)下で行うことができる。
【0048】
また、例えば、最初の充填物に含まれるまたは後で計量供給される、既知の触媒、例えば、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジブチルスズオキシド、スズジオクトエートまたはジブチルスズジラウレート、スズビス(2-エチルヘキサノエート)または他の有機金属化合物は、イソシアネート付加反応を促進することが可能である。ジブチルスズジラウレートが好適である。
【0049】
その後、反応開始時には添加されず、そして第一級または第二級アミノ基を含有しない、任意の構成成分(A1)、(A2)、必要に応じて(A3)、および(A4)および/または(A5)が添加される。ポリウレタンプレポリマーの製造の場合、イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基のモル比は、0.90〜3、好適には0.95〜2.5、より好適には1.05〜2.0である。成分(A1)〜(A5)の反応は、第一級または第二級アミノ基を含有しない(A2)〜(A5)の画分のイソシアネート反応性基の総量に基づいて、部分的にまたは完全に(好適には完全に)起こる。反応度合いは、通常、反応混合物のNCO含量を追跡することによってモニターされる。本目的のために、採取した試料の分光計測、例えば、赤外または近赤外スペクトル、屈折率の決定、または化学分析(例えば、滴定)を行うことが可能である。遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、バルクまたは溶液中に得られる。
【0050】
(A1)および(A2)〜(A5)からのポリウレタンプレポリマーの製造は、出発分子において予め行われていない場合、アニオン性および/またはカチオン性分散基からの部分的または完全な塩形成を後に行うか、または伴う。アニオン性基の場合、これは、塩基、例えば、アンモニア、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウム、好適にはトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミンを使用して行う。塩基のモル量は、アニオン性基のモル量の50%と100%の間、好適には60%と90%の間である。カチオン性基の場合、ジメチルサルフェートまたはコハク酸が使用される。エーテル基を有する非イオン的親水性化化合物(A5)のみが使用される場合、中和工程は存在しない。また、中和は、予め中和剤を含有する分散水によって、分散と共に行われ得る。
【0051】
任意の残留イソシアネート基と反応し得る可能性のあるアミン成分は、(A2)、(A3)および(A4)である。この鎖延長は、分散前に溶媒中で、分散の間に、または分散後に水中で、のいずれかで行われ得る。(A4)としてアミン成分が使用される場合、鎖延長は、好適には分散前に行う。
【0052】
アミン成分(A2)、(A3)または(A4)は、有機溶媒および/または水の希釈液の状態で、反応混合物に添加され得る。70〜95重量%の溶媒および/または水を使用することが好適である。二以上のアミン成分が存在する場合、反応は、任意の順序で連続して、または混合物の添加によって同時に、行われ得る。
【0053】
ポリウレタン分散体(A)を製造するために、ポリウレタンプレポリマーを、必要に応じて強い剪断力(例えば、強い攪拌など)と共に、分散水中に導入するか、または、逆に、分散水をプレポリマー中に攪拌混合する。その後、予めこれが均質相中で行われていない場合、分子量は、存在する任意のイソシアネート基を、成分(A2)および(A3)と反応させることによって上昇させることができる。ポリアミン(A2)および(A3)の使用量は、未だ存在する未反応イソシアネート基に依存する。イソシアネート基のモル量の50〜100%、より好適には75〜95%を、ポリアミン(A2)および(A3)と反応させることが好適である。
【0054】
所望の場合、有機溶媒は、蒸留によって除去され得る。分散体は、10〜70重量%、好適には25〜65重量%およびより好適には30〜60重量%の固形分を有する。
【0055】
適当なブロックトポリイソシアネート(B)は、
(B1)脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有し、親水性基を含有しない、少なくとも一つのポリイソシアネートを、
(B2)少なくとも一つのブロッキング剤
と反応させることによって製造される。
【0056】
ブロックトポリイソシアネート(B)は、必要に応じて溶媒(B3)を含んでなり得る。
【0057】
ブロックトポリイソシアネート(B)の製造に適当なポリイソシアネート(B1)は、例えば、J. Prakt. Chem. 336(1994)第185〜200頁に一例として記載されるように、単純な脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および/または芳香族のジイソシアネートを、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造で修飾することによって、少なくとも二つのジイソシアネートから合成されたポリイソシアネートである。
【0058】
ポリイソシアネート(B1)を製造するために適当なジイソシアネートは、分子量範囲140〜400のジイソシアネートであり、これらはホスゲン化によって、またはホスゲンを含まない方法(例えば、熱ウレタン開裂)によって得られ得、そして脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する。例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナト-メチルシクロヘキサン、ビス-(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ジイソシアナトナフタレンまたはこのようなジイソシアネートの任意の所望の混合物が挙げられる。
【0059】
さらにまた、適当なものは、トリイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネートおよび/または4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネートである。
【0060】
出発成分(B1)は、好適には、排他的に脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を含有する、定められたタイプのポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物である。
【0061】
特に好適な出発成分(B1)は、HDI、IPDIおよび/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づく、イソシアヌレートおよび/またはビウレット構造を有するポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物である。
【0062】
ポリイソシアネート(B1)は、1%〜50%、好適には8%〜25%のNCO含量を有する。それらは、所望の場合、水混和性であるがイソシアネート不活性である溶媒で希釈し得る。
【0063】
ブロックトポリイソシアネート(B)を製造するために使用されるポリイソシアネート(B1)は、2.0〜5.0(好適には2.3〜4.5)の(平均)NCO官能価、1.0〜50.0重量%、好適には5.0〜27.0重量%、より好適には5.0〜27.0重量%、14.0〜24.0重量%のイソシアネート基含量、および1重量%未満、好適には0.5重量%未満のモノマーのジイソシアネート含量を有する。
【0064】
ブロッキング剤(B2)の例としては、例えば、アルコール、ラクタム、オキシム、マロネート、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、ジエチルマロネート、エチルアセトアセテート、アセトンオキシム、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチルベンジルアミン、3,5-ジメチルピラゾール、または一般式(IV):
【0065】
【化2】

【0066】
〔式中、
は、化学結合した親水性基を含有しない、各々1〜12個、好適には1〜4個の炭素原子を有する、一以上の脂肪族(脂環族)炭化水素基に対応し、および
nは、0〜3、好適には1または2の整数であり得る。〕
で示されるピラゾール誘導体、またはこれらのブロッキング剤の任意の所望の混合物が挙げられ得る。
【0067】
好適には、ブロッキング剤(B2)として、ブタノンオキシム、式(IV)で示される化合物、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチルベンジルアミンを使用することが挙げられる。特に好適なブロッキング剤(B2)は、3,5-ジメチルピラゾールまたは3-メチルピラゾールである。
【0068】
適当な有機溶媒(B3)は、自体通常のラッカー溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはベンジンである。芳香族(特に比較的高度に置換されたもの)を含んでなる混合物、例えば、Solvent Naphtha、Solvesso(登録商標)(Exxon Chemicals、ヒューストン、米国)、Cypar(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、Cyclo Sol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、Tolu Sol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、Shellsol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)の商品名のもと市販されているようなものも同様に好適である。さらなる溶媒の例は、炭酸エステル(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、1,2-炭酸エチレンおよび1,2-炭酸プロピレン)、ラクトン(例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、ε-メチルカプロラクトン)、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルおよびブチルエーテルアセテート、N-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタムまたはこのような溶媒の任意の所望の混合物である。好適な溶媒は、アセトン、2-ブタノン、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、キシレン、トルエン、例えば、Solvent Naphtha、Solvesso(登録商標)(Exxon Chemicals、ヒューストン、米国)、Cypar(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、シクロ Sol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、Tolu Sol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)、Shellsol(登録商標)(Shell Chemicals、エシュボーン、独国)の商品名のもと市販されているような芳香族(特に比較的高度に置換されたもの)を含んでなる混合物、およびN-メチルピロリドンである。アセトン、2-ブタノンおよびN-メチルピロリドンは、特に好適である。
【0069】
ブロックトポリイソシアネート(B)は、当該分野で既知の方法により製造される。該製造は、例えば、欧州特許公開EP-A 0159117(第9〜11頁)中に記載される。
【0070】
同様に、本発明は、水相への移動前またはその間、架橋剤成分(B)をポリウレタン(A)に混合することを特徴とする、本発明の水性(1K)被覆系の製造方法を提供する。
【0071】
好適な一実施態様において、成分(B)と成分(A)の混合は、水相への移動前に行うので、得られた混合物は、その後水中に分散される。その場合、ポリウレタン(A)は、親水性的に改変されていない架橋剤(B)の乳化剤として役立ち、そして、そのようにそれを水性分散体中に安定に保持させる。また、必要に応じて、水性分散体において、成分(A3)および/または(A4)による鎖延長工程も可能である。
【0072】
本発明の被覆系は、単独でまたは通例の被覆技術の結合剤、助剤および添加剤、特に光安定化剤、例えば、UV吸収剤および立体障害アミン(HALS)、ならびに酸化防止剤、充填剤、および被覆助剤、例えば、沈降防止剤、消泡剤および/または湿潤剤、レベリング剤、反応性希釈剤、可塑剤、触媒、補助溶媒および/または増粘剤、ならびに添加剤、例えば分散体、顔料、染料または艶消剤など、と共に使用され得る。特にさらなる結合剤(例えば、ポリウレタン分散体またはポリアクリレート分散体、適当であれば、ヒドロキシ官能性でもあり得る)の組合せは、問題なく可能である。添加剤は、加工の直前に本発明の被覆系に添加され得る。しかしながら、また、添加剤の少なくとも一部を、結合剤または結合剤/架橋剤混合物の分散の前または間に添加することもできる。個々の成分および/または混合物に添加され得るこれらの物質の選択および計量は、概して、当業者に既知である。
【0073】
助剤を添加せずとも、本発明の被覆組成物からの水の除去は、機械的負荷に耐える被覆物(これはダストドライないし硬い)を生じさせる。水は、蒸発、または、例えば、加熱、熱および/または除湿空気および/または熱放射の作用による強制乾燥(好適には100℃まで)によって、除去され得る。その後の、100℃と200℃の間、好適には110℃と180℃の間での熱的に誘導された架橋(これは、必要に応じて被覆物が付与された基材とも起こる)を通じて、フィルムは、特にハイグレードの、耐水性および耐加水分解性被覆物に硬化する。
【0074】
同様に、本明細書は、本発明の水性被覆系を基材に塗布し、水を少なくとも部分的に除去し、次いで熱硬化を行うことを特徴とする、被覆物の製造方法を提供する。
【0075】
本発明の被覆組成物は、通常の技術によって、例えば、吹付け塗装、ロール塗装、ナイフ塗装、流し塗り、噴出し塗装、刷毛塗り、または浸し塗りなどによって、任意の種々の基材に塗布され得る。基材は、木材、金属、プラスチック、紙、皮、繊維製品、フェルト、ガラスおよび鉱物基材からなる群から選択される。好適な基材は、ガラス繊維または炭素繊維である。
【0076】
同様に、本発明の(1K)被覆系で被覆された基材は、本発明によって提供される。
【0077】
塗布されたフィルム厚み(硬化前)は、典型的には、0.05μmと5000μmの間、好適には0.05μmと1500μmの間、より好適には0.05μmと1000μmの間である。
【0078】
また、本発明は、接着剤、シーラントおよびラッカーならびにサイズ剤における本発明の水性(1K)被覆系の使用を提供する。それらのサイズ剤(好適にはガラス繊維サイズ剤)中のまたはサイズ剤としての使用が好適である。
【0079】
サイズ剤の製造のために、本発明の(1K)被覆組成物は、結合剤成分として使用され、そしてさらなる成分、例えば、乳化剤、さらなるフィルム形成樹脂、粘着促進剤、滑剤および助剤、例えば湿潤剤または帯電防止剤を含んでなり得る。粘着促進剤、滑剤および助剤、サイズ剤の製造方法、ならびにガラス繊維のサイジング方法およびガラス繊維の後の加工は、既知であり、例えば、K.L. Loewenstein 「The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibres」、Elsevier Scientific Publishing Corp.、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、1983年に記載されている。
【実施例】
【0080】
(使用した製品)
Desmodur(登録商標) W:4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmodur(登録商標) I:イソホロンジイソシアネート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmodur(登録商標) H:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmodur(登録商標) N3200:23.0%のNCO含量を有する、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく、ビウレット基を含有するポリイソシアネート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmodur(登録商標) N3300:21.8%のNCO含量を有する、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmodur(登録商標) VPLS 2376:3,5-ジメチルピラゾール(メチルエチルケトン中80%濃度)でブロックされた、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Desmorapid(登録商標) SO:スズ2-エチルヘキサノエート、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
AAS:2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸のナトリウム塩の45%濃度溶液、Bayer AG、レバークーゼン、独国。
Irganox(登録商標) 245:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、Ciba Spezialitaeten GmbH、ランペルトハイム、独国)。
【0081】
結合剤および被覆組成物の機械的性質は、製造された固定されていないフィルムについて以下のように決定した:
的確な間隔を空けて設けることができる二つの磨かれたロールからなるフィルムアプリケーターは、バックロールより前方に挿入された剥離紙を有する。紙とフロントロールの間の間隔は、隙間ゲージを使用して調節される。この間隔は、得られる被覆物の湿フィルム厚みに対応し、各被覆物の所望のアドオンに調節され得る。また、被覆は、二以上の被覆物において連続的に行われ得る。個々の被覆を付与するため、生成物(水性処方物は、アンモニア/ポリアクリル酸の添加前に粘度4500mPa.sに調節される)を、紙とフロントロールの間のニップ上に注ぎ、剥離紙を真っ直ぐしたに引き抜き、対応するフィルムを紙上に形成する。二以上の被覆物を付与する場合、個々の被覆物の各々を乾燥し、紙を再度挿入する。
【0082】
100%モジュラスを、DIN 53504にしたがって、100μmより厚いフィルムについて、決定した。
【0083】
加水分解条件下でのフィルム保存を、DIN EN 12280-3にしたがって行う。これらのフィルム試料の機械的性質を、DIN 53504にしたがって、標準条件下(20℃および65%の大気湿度)で、24時間保存後、決定する。
【0084】
フィルムの機械的性質は、150℃で30分間乾燥した後、決定する。
【0085】
〔ブロックトポリイソシアネート〕
(実施例1)
212.3gのDesmodur(登録商標) N3300を、130.5gのメチルエチルケトンを有する容器に導入し、そしてこの最初の充填物を70℃に加熱する。続いて、179.3gのN-tert-ブチルベンジルアミンを、攪拌しながら2時間にわたって滴下し、そして反応混合物を、遊離イソシアネートが赤外分光法によってもはや検出できなくなるまで、70℃にて攪拌する。
【0086】
(実施例2)
249.5gのDesmodur(登録商標) N3300を、125.0gのアセトンを有する容器に導入する。続いて、125.5gの3,5-ジメチルピラゾールを、攪拌しながら2時間にわたって滴下し、そして反応混合物を、遊離イソシアネートが赤外分光法によってもはや検出できなくなるまで、20℃にて攪拌する。
【0087】
(実施例3)
270.2gのDesmodur(登録商標) N3300を、130.7gのメチルエチルケトンを有する容器に導入し、そしてこの最初の充填物を75℃に加熱する。続いて、121.8gのブタノンオキシムを、攪拌しながら2時間にわたって滴下し、そして反応混合物を、遊離イソシアネートが赤外分光法によってもはや検出できなくなるまで、75℃にて攪拌する。
【0088】
〔分散体〕
(実施例4)
169.9gのポリエステルPE 170 HN(Bayer AG、レバークーゼン、独国、アジピン酸、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールに基づくポリエステル、平均分子量1700(OHN=66)を有する)および77.8gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を、容器に導入し、そして70℃に加熱する。次いで、50.9gのDesmodur(登録商標) Wを、攪拌しながら、20℃にて5分間にわたって添加し、反応混合物を100℃に加熱し、理論NCO値(2.17%)に到達するまで、この温度にて攪拌する。50℃に冷却後、128.0gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。実施例2からの156.5gのブロックトポリイソシアネートの添加に続いて、反応混合物を、さらに5分間攪拌する。553.8gの水(20℃)を、10分間にわたって添加することによって、分散を行う。分散に続いて直ちに、1.0gのヒドラジン一水和物、6.8gのイソホロンジアミンおよび41.8gの水の溶液を、40℃で5分間にわたって計量添加する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分40.6%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、164nmである。
【0089】
(実施例5)
169.9gのポリエステルPE 170 HN(Bayer AG、レバークーゼン、独国、アジピン酸、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールに基づくポリエステル、平均分子量1700(OHN=66)を有する)および77.8gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を容器に導入し、そして70℃に加熱する。次いで、50.9gのDesmodur(登録商標) Wを、攪拌しながら20℃で5分間にわたって添加し、反応混合物を100℃に加熱し、そしてこの温度で理論NCO値(2.17%)に到達するまで攪拌する。50℃に冷却後、128.0gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。156.5gのブロックトポリイソシアネートDesmodur(登録商標) VPLS 2376の添加に続いて、反応混合物を、さらに5分間攪拌する。553.8gの水(20℃)を、10分間にわたって添加することによって、分散を行う。分散に続いて直ちに、1.0gのヒドラジン一水和物、6.8gのイソホロンジアミンおよび41.8gの水の溶液を、40℃で5分間にわたって計量添加する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分40.2%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、266nmである。
【0090】
(実施例6)
111.6gのポリエーテルDesmophen(登録商標) 3900(Bayer AG、レバークーゼン、独国、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドに基づくトリヒドロキシ官能性、平均分子量4800(OHN=35)を有する)、11.9gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)および12.8gのポリエーテルスルホネートを、容器に導入し、そして70℃に加熱する。次いで、18.7gのDesmodur(登録商標) I、14.2gのDesmodur(登録商標) Hおよび0.1gのDesmorapid(登録商標) SOを、攪拌しながら70℃で5分間にわたって添加する。反応混合物を、理論NCO値(5.00%)に到達するまで70℃で攪拌する。50℃に冷却後、314.1gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。実施例2からの177.2gのブロックトポリイソシアネートおよび5.0gのIrganox(登録商標) 245の添加に続いて、反応混合物をさらに10分間攪拌する。489.4gの水(20℃)を、5分間にわたって添加することによって、分散を行う。分散に続いて直ちに、2.5gのヒドラジン一水和物、8.4gのイソホロンジアミンおよび205.2gの水の溶液を、40℃で5分間にわたって計量添加する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分30.1%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、314nmである。
【0091】
(実施例7)
240.0gのポリエステルPE 170 HN(Bayer AG、レバークーゼン、独国、アジピン酸、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールに基づくポリエステル、平均分子量1700(OHN=66)を有する)および8.1gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を容器に導入し、そして65℃に加熱する。次いで、35.6gのDesmodur(登録商標) Iおよび26.9gのDemodur(登録商標) Hを、攪拌しながら6℃で5分間にわたって添加し、反応混合物を110℃に加熱し、そしてこの温度で理論NCO値(4.8%)に到達するまで攪拌する。50℃に冷却後、552.0gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。180.0gのブロックトポリイソシアネートDesmodur(登録商標) VPLS 2376の添加に続いて、反応混合物を、さらに5分間攪拌する。分散の前に、20.9gのイソホロンジアミンおよび37.1gのアセトンの溶液を、40℃で2分間にわたって計量供給し、続いて、6.9gのAAS、0.7gのヒドラジン一水和物および36.2gの水の溶液を、5分間にわたって計量供給する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。619.6gの水(20℃)を、35分間にわたって添加することによって、分散を行う。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分40.6%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、254nmである。
【0092】
(実施例8)
169.9gのポリエステルPE 170 HN(Bayer AG、レバークーゼン、独国、アジピン酸、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールに基づくポリエステル、平均分子量1700(OHN=66)を有する)および77.8gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を容器に導入し、そして70℃に加熱する。次いで、50.9gのDesmodur(登録商標) Wを、攪拌しながら20℃で5分間にわたって添加し、反応混合物を100℃に加熱し、そしてこの温度で理論NCO値(2.17%)に到達するまで攪拌する。50℃に冷却後、128.0gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。実施例3からの145.9gのブロックトポリイソシアネートの添加に続いて、反応混合物をさらに5分間攪拌する。544.6gの水(20℃)を、10分間にわたって添加することによって、分散を行う。分散に続いて直ちに、1.0gのヒドラジン一水和物、6.8gのイソホロンジアミンおよび41.8gの水の溶液を、40℃で5分間にわたって計量添加する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分40.0%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、316nmである。
【0093】
(実施例9)
160.5gのポリエステルPE 170 HN(Bayer AG、レバークーゼン、独国、アジピン酸、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールに基づくポリエステル、平均分子量1700(OHN=66)を有する)および73.4gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を容器に導入し、そして70℃に加熱する。次いで、48.1gのDesmodur(登録商標) Wを、攪拌しながら20℃で5分間にわたって添加し、反応混合物を100℃に加熱し、そしてこの温度で理論NCO値(2.17%)に到達するまで攪拌する。50℃に冷却後、120.9gのアセトンを5分間にわたって添加することによって、プレポリマーを溶解する。実施例1からの175.5gのブロックトポリイソシアネートの添加に続いて、反応混合物をさらに5分間攪拌する。547.3gの水(20℃)を、10分間にわたって添加することによって、分散を行う。分散に続いて直ちに、0.9gのヒドラジン一水和物、6.4gのイソホロンジアミンおよび39.4gの水の溶液を、40℃で5分間にわたって計量添加する。その後の40℃での攪拌時間は、15分である。真空中で溶媒を除去することによって、ブロックトイソシアネート基を有し、固形分40.6%を有する保存安定性の水性PU/架橋剤分散体を得る。分散体粒子の平均粒度は、329nmである。
【0094】
(実施例10)
比較例(先行技術の通例の結合剤/架橋剤系)
126.0gのBaybond(登録商標) PU 401(ポリウレタン分散体、Bayer AG、レバークーゼン、独国)および74gの以下のように製造した架橋剤分散体を、20℃で30分間攪拌する。
【0095】
(架橋剤分散体)
NCO含量23.0%を有する1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づくビウレット基含有ポリイソシアネート(147.4g)を、40℃で容器に導入する。121.0gのポリエーテルLB 25(Bayer AG、レバークーゼン、独国、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく一官能性ポリエーテル、平均分子量2250(OHN=25)を有する)を、攪拌しながら10分間にわたって計量供給する。その後、反応混合物を90℃に加熱し、そしてこの温度で理論NCO値に到達するまで攪拌する。混合物を65℃に冷却した後、62.8gのブタノンオキシムを、混合物の温度が80℃を超えないような速度で攪拌しながら30分間にわたって滴下する。726.0gの水(T=20℃)を60℃で30分間にわたって添加することによって、分散を行う。その後の40℃での攪拌時間は、1時間である。
これは、保存安定性の、固形分30.0%を有するブロックトポリイソシアネートの水性分散体を与える。
【0096】
【表1】

【0097】
表1の結果は、本発明の分散体は、先行技術の結合剤-架橋剤混合物に匹敵する機械的性質(引張強さおよび伸び性)を有すると同時に、先行技術の結合剤-架橋剤混合物よりも、耐加水分解性、耐水性および粘着(特に湿粘着)に関して、著しく優れていることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)化学結合した親水性基、および分散体の不揮発性画分に基づいて0〜0.53mmol/gのツェレビチノフ活性水素原子を含有する基を含有する、少なくとも一つのポリウレタン(A)と、
(II)少なくとも一つのポリイソシアネート(B)(ここでNCO基は、可逆的にブロックされており、そして親水性基を含有しない。)と、
(III)水
を含んでなり、
成分(A)と(B)の割合は、ブロックトイソシアネート含量が0.01mol/100g樹脂固体と1.0mol/100g樹脂固体の間となるようなものである、水性一成分(1K)被覆系。
【請求項2】
ポリウレタン(A)は、
A1)ポリイソシアネートと、
A2)400〜8000の平均分子量を有する、ポリマーのポリオールおよび/またはポリアミンと、
A3)必要に応じて、400までの分子量を有する、モノ-もしくはポリアルコールまたはモノ-もしくはポリアミンあるいはアミノアルコールと、
A4)少なくとも一つのイオン性または潜在的イオン性基を有する化合物および/または
A5)非イオン的親水性化化合物
から選択される少なくとも一つの化合物と
の反応生成物であることを特徴とする、請求項1に記載の水性(1K)被覆系。
【請求項3】
ポリウレタン(A)は、構成単位として、非イオン性(A4)およびイオン性(A5)親水性化剤の組合せを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の水性(1K)被覆系。
【請求項4】
ポリイソシアネート(B)は、
(B1)親水性基を含有しない、脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する、少なくとも一つのポリイソシアネートを、
(B2)少なくとも一つのブロッキング剤
と反応させることにより製造されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水性(1K)被覆系。
【請求項5】
イソシアネート基のためのブロッキング剤は、一般式(IV):
【化1】

〔式中、
は、化学結合した親水性基を含有しない、各々1〜12個の炭素原子を有する、一以上の脂肪族(脂環族)炭化水素基に対応し、および
nは、0〜3、好適には1または2の整数であり得る。〕
で示されるピラゾール誘導体であることを特徴とする、請求項4に記載の水性(1K)被覆系。
【請求項6】
ブロッキング剤は、3,5-ジメチルピラゾールまたは3-メチルピラゾールであることを特徴とする、請求項4または5に記載の水性(1K)被覆系。
【請求項7】
成分(B)を、分散前にポリウレタン(A)に混合することを特徴とする、請求項1に記載の水性(1K)被覆系の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の水性(1K)被覆系を基材に塗布し、水を少なくとも部分的に除去し、次いで、熱硬化を行うことを特徴とする、被覆物の製造方法。
【請求項9】
基材は、ガラス繊維または炭素繊維であることを特徴とする、請求項8に記載の被覆物の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の(1K)被覆系を含んでなる被覆組成物を被覆した基材。
【請求項11】
ガラス繊維サイズ剤における、請求項1に記載の(1K)被覆系の使用。

【公表番号】特表2006−519276(P2006−519276A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501684(P2006−501684)
【出願日】平成16年1月31日(2004.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000883
【国際公開番号】WO2004/072143
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】