説明

単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置

【課題】単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置を提供する。
【解決手段】単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置において、前記光センシング回路は、光センシング素子としての役割と、データを引き出すための駆動回路の役割とを同時に遂行する光応答性酸化物半導体トランジスタを画素ごとに一つずつ含む。これにより、前記光センシング回路は、1つの画素内に多数のトランジスタを含む複雑な回路構造を有する必要がなく、これによって、光センシング回路の構造及び動作が簡単になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置に係り、さらに詳細には、光を感知することができる酸化物半導体トランジスタ(oxide semiconductor transistor)を光センシング素子として利用して回路構造を単純化した光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーン装置とは、ディスプレイ画面の特定位置に、ユーザの手やペンが接触すれば、その位置を把握して、ソフトウェアによって特定処理を行うことができるように、画面で直接に資料入力の可能な装置をいう。このために、タッチスクリーン装置は、一般的なディスプレイパネルにタッチパネルという装置を付け加え、その機能を発揮させる。タッチパネルには、圧力式抵抗膜方式、接触式静電容量方式、表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)方式、赤外線光感知方式及び圧電方式などの多様な種類がある。このようなタッチスクリーン装置は、最近キーボードやマウスを代替することができる入力装置として、多様な分野で広く使われている。
【0003】
これまで広く使われているタッチスクリーン装置は、手やペンなどを利用して、ディスプレイ装置の画面に直接触れる方式である。しかし、ディスプレイ装置が次第に大型化され、ユーザとディスプレイ装置との距離が遠くなる場合には、このような直接タッチ方式を適用し難くなる。このために、手やペンの接触の代わりに、光を感知して、既存のタッチスクリーンと同じ機能を遂行することができる光タッチスクリーン装置が提案されている。光タッチスクリーン装置は、ユーザと端末機との意思疎通だけではなく、ユーザとユーザとの意思疎通にも有利であると期待されている。
【0004】
光タッチスクリーン装置を具現化するためには、光を感知することができる微細サイズの光センシング素子が要求される。一般的に広く使用される光センシング素子としては、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(a−Si TFT(thin film transistor))がある。ところで、a−Si TFTの場合、光による電流変化が十分に大きくない。従って、光が印加され、フォトダイオードで発生した電荷を、一定時間キャパシタに蓄積した後、キャパシタに蓄積された電荷量から光度に係わる信号を発生させる。このようにキャパシタを使用する場合、キャパシタに電荷を蓄積する時間によってセンシング時間が遅延し、光タッチスクリーン装置の面積が大きくなるほど、寄生キャパシタンスが増加しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、センシング素子として酸化物半導体トランジスタを利用する光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一類型による光センシング回路は、酸化物半導体材料をチャネル層の材料として使用した酸化物半導体トランジスタを含み、前記酸化物半導体トランジスタは、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力するためのスイッチの役割と、を同時に遂行することができる。
【0007】
一実施形態によれば、前記光センシング回路は、前記酸化物半導体トランジスタのゲートに連結され、ゲート電圧を提供するゲートラインと、前記酸化物半導体トランジスタのドレインに連結され、駆動電圧を提供する駆動電圧ラインと、前記酸化物半導体トランジスタのソースに連結され、データを出力するためのデータラインと、をさらに含んでもよい。
【0008】
前記ゲートラインを介して、前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに提供される前記ゲート電圧は、例えば、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い第1電圧、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と、光非入射時の第2スレショルド電圧との間の第2電圧、及び正(+)の第3電圧のうちいずれか一つであってもよい。
【0009】
他の実施形態によれば、前記光センシング回路は、前記酸化物半導体トランジスタのゲートとドレインとに同時に連結され、ゲート電圧を提供するゲートラインと、前記酸化物半導体トランジスタのソースに連結され、データを出力するためのデータラインと、をさらに含んでもよい。
【0010】
一実施形態によれば、前記酸化物半導体トランジスタは、基板と、前記基板上に部分的に配置されたゲートと、少なくとも前記ゲートの周囲を覆うように、前記基板及び前記ゲートの上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上で、前記ゲートと対向するように配置されたチャネル層と、前記チャネル層の両側を覆うように配置されたソース及びドレインと、前記ソース、前記ドレイン及び前記チャネル層を覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなってもよい。
【0011】
また、前記酸化物半導体トランジスタは、前記ソースに対する電気的連結のために、前記透明絶縁層を貫通して前記ソースに連結された第1伝導性プラグと、前記第1伝導性プラグと電気的に接触するように、前記透明絶縁層上に形成された第1コンタクトと、前記ドレインに対する電気的連結のために、前記透明絶縁層を貫通して前記ドレインに連結された第2伝導性プラグと、前記第2伝導性プラグと電気的に接触するように、前記透明絶縁層上に形成された第2コンタクトと、をさらに含んでもよい。
【0012】
他の実施形態によれば、前記酸化物半導体トランジスタは、基板と、前記基板上に配置されたチャネル層と、前記チャネル層の中心領域に部分的に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上で、前記チャネル層と対向して配置されたゲートと、前記チャネル層上で、前記ゲートの両側にそれぞれ離れて配置されたソース及びドレインと、前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインを覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなってもよい。
【0013】
前記酸化物半導体材料は、例えば、ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOを含んでもよく、または前記ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOに、Hf、Zr、Ti、Ta、Ga、Nb、V、Al及びSnのうち、少なくとも1つの材料が追加して混合された材料を含んでもよい。
【0014】
また、本発明の他の類型による光センシング装置は、多数の行及び多数の列で配列された多数の光センシング画素を有する光センシング画素アレイと、それぞれの前記光センシング画素にゲート電圧とリセット信号とを提供するように、行方向に沿って配列された多数のゲートラインを有するゲートドライバと、を含み、それぞれの前記光センシング画素は、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力するためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタを含んでもよい。
【0015】
例えば、前記ゲートドライバは、行方向に沿って順次に、前記酸化物半導体トランジスタに前記ゲート電圧を印加した後、あらゆる前記酸化物半導体トランジスタに一度に前記リセット信号を印加するように構成されてもよい。
【0016】
一実施形態で、前記ゲートドライバは、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い第1電圧、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と、光非入射時の第2スレショルド電圧との間の第2電圧、及び正(+)の第3電圧をそれぞれの前記酸化物半導体トランジスタに提供することができる。
【0017】
一実施形態で、前記ゲートドライバは、前記第1電圧、前記第2電圧、前記第1電圧及び前記第3電圧の順序で、それぞれの前記酸化物半導体トランジスタに前記ゲート電圧を提供し、前記第3電圧は、前記酸化物半導体トランジスタをリセットさせる前記リセット信号であってもよい。
【0018】
それぞれの前記ゲートラインは、同じ行に沿って配列されている前記光センシング画素に連結されてもよい。
【0019】
1行に沿って配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのゲートには、前記行に対応する前記ゲートラインが連結されてもよい。
【0020】
前記光センシング装置は、それぞれの前記光センシング画素から光センシング信号を受けてデータ信号を出力する、列方向に沿って配列された多数のデータラインを有する信号出力部をさらに含んでもよい。
【0021】
例えば、1列に沿って配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのソースには、前記列に対応する前記データラインが連結されてもよい。
【0022】
また、前記信号出力部は、前記光センシング画素からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器と、前記デジタル出力信号を臨時に保存するためのバッファと、特定列の前記光センシング画素からの出力を選択するためのカラムスキャナと、を含んでもよい。
【0023】
一方、本発明の一類型によれば、前述の光センシング回路を画素内に含む画像取得装置が提供される。
【0024】
また、本発明の他の類型によれば、前述の光センシング装置を含む画像取得装置が提供される。
【0025】
また、本発明のさらに他の類型によれば、画像を表示するディスプレイ装置と、前記ディスプレイ装置の画面上に付着されたものであり、前述の光センシング回路を画素内に含む光タッチパネルと、前記光タッチパネルに光信号を提供する光源装置と、を含む光タッチスクリーン装置が提供される。
【0026】
また、本発明のさらに他の類型によれば、画像を表示するディスプレイ装置と、前記ディスプレイ装置の画面上に付着されたものであり、前述の光センシング装置を含む光タッチパネルと、前記光タッチパネルに光信号を提供する光源装置と、を含む光タッチスクリーン装置が提供される。
【0027】
また、本発明のさらに他の類型による光センシング装置の動作方法は、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力させるためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタのゲートに、負(−)の第1電圧、前記第1電圧より高い負(−)の第2電圧、第1電圧、及び正(+)の第3電圧を順次に印加する段階を含んでもよい。
【0028】
例えば、前記第1電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い電圧であり、前記第2電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と、光非入射時の第2スレショルド電圧との間の電圧であってもよい。
【0029】
ここで、前記第3電圧は、前記酸化物半導体トランジスタをリセットさせるリセット信号であってもよい。
【0030】
前記光センシング装置の動作方法は、前記酸化物半導体トランジスタのゲートに第2電圧が印加されている間、前記酸化物半導体トランジスタのドレインとソースとの間に流れる電流を測定する段階をさらに含んでもよい。
【0031】
また、本発明のさらに他の類型による光センシング装置の動作方法は、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力させるためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタを含み、多数の行及び多数の列で配列された多数の光センシング画素のうち、いずれか1行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのゲートに、負(−)の第2電圧を印加し、残りの行に配列された前記酸化物半導体トランジスタのゲートに、前記第2電圧より低い負(−)の第1電圧を印加する段階と、後続する次の行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに前記第2電圧を順次に印加し、残りの行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに前記第1電圧を印加する段階と、あらゆる行に対して順次に前記第2電圧の印加を完了した後、あらゆる行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに同時に正(+)の第3電圧を印加する段階と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の光センシング装置の1つである光センシング画素は、単に1つの酸化物半導体トランジスタのみを含んでもよい。このような光センシング装置において、酸化物半導体トランジスタは、光センシング素子としての役割を行うだけではなく、光センシング信号を出力するための駆動回路の役割も共に遂行することができる。従って、本発明の光センシング装置は、1つの画素内に多数のトランジスタを含む複雑な回路構造を有する必要がない。その代わりに、1画素内に単に1つの酸化物半導体トランジスタのみが配置される。それによって、光センシング装置の構造及び動作が簡単になる。また、このように単純化された光センシング装置を採用した光タッチスクリーン装置は、回路構造が単純であるために、大型化にも適する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】光センシング素子として使用される一実施形態による酸化物半導体トランジスタの例示的な構造を概略的に示す断面図である。
【図2】光センシング素子として使用される他の実施形態による酸化物半導体トランジスタの例示的な構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図1及び図2に図示された酸化物半導体トランジスタの動作特性を例示的に示すグラフである。
【図4】図1及び図2に図示された酸化物半導体トランジスタの動作特性を例示的に示すグラフである。
【図5】一実施形態による光センシング回路の例示的な構造を図示する回路図である。
【図6】図5に図示された光センシング回路で、酸化物半導体トランジスタの動作特性及び駆動方式を例示的に説明する図面である。
【図7】図5に図示された光センシング回路を含む一実施形態による光センシング装置の構造を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に図示された光センシング装置の光センシング画素アレイの例示的な回路構造を概略的に示す図面である。
【図9】図7の光センシング装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【図10】他の実施形態による光センシング回路の例示的な構造を図示する回路図である。
【図11】図10に図示された光センシング回路で、酸化物半導体トランジスタの動作特性及び駆動方式を例示的に説明する図面である。
【図12】図7に図示された光センシング装置を光タッチパネルとして使用する一実施形態による光タッチスクリーン装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照しつつ、単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置について詳細に説明する。以下の図面で同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、図面上で各構成要素のサイズは、説明の明瞭さ及び便宜さのために誇張されていることがある。
【0035】
酸化物半導体トランジスタは、チャネルの材料として酸化物半導体を使用するトランジスタを意味する。このような酸化物半導体トランジスタは、チャネル層として使用される酸化物半導体の材料によって、光によって電気的な特性が変化する光応答特性を有することができる。光応答特性を有する酸化物半導体材料を、チャネル層として使用する場合、酸化物半導体トランジスタは、入射光の波長や光量によって、スレショルド電圧及びドレイン電流が変わる光応答特性があるために、光センシング素子として活用される。
【0036】
図1は、一実施形態による酸化物半導体トランジスタの例示的な構造を概略的に示す断面図である。図1を参照すれば、酸化物半導体トランジスタ10は、基板11、前記基板11上に全体的に配置された絶縁層12、前記絶縁層12上に部分的に配置されたゲート13、少なくとも前記ゲート13の周囲を覆うように、絶縁層12及びゲート13の上に配置されたゲート絶縁膜14、前記ゲート絶縁膜14上で、ゲート13と対向するように配置されたチャネル層15、前記チャネル層15の両側を覆うように配置されたソース16及びドレイン17、並びに前記ソース16、ドレイン17及びチャネル層15を全体的に覆うように配置された透明絶縁層18を含んでもよい。また、酸化物半導体トランジスタ10は、ソース16に対する電気的連結のために、透明絶縁層18を貫通してソース16に連結された第1伝導性プラグ21、前記第1伝導性プラグ21と電気的に接触するように、透明絶縁層18上に形成された第1コンタクト23、ドレイン17に対する電気的連結のために、透明絶縁層18を貫通してドレイン17に連結された第2伝導性プラグ22、及び前記第2伝導性プラグ22と電気的に接触するように、透明絶縁層18上に形成された第2コンタクト24をさらに含んでもよい。
【0037】
ここで、基板11は、ガラスまたはシリコンのような一般的な基板材料を使用することができる。絶縁層12、ゲート絶縁膜14、及び透明絶縁層18は、例えば、SiOのような材料を使用することができる。もし基板11自体が絶縁性材料からなるものであるならば、前記基板11上の絶縁層12は、省略されてもよい。また、ゲート13、ソース16及びドレイン17は、伝導性金属または伝導性金属酸化物を使用することができる。例えば、光応答性酸化物半導体トランジスタ10が、ディスプレイパネル上に付着される光タッチパネルに使用される場合、前記ゲート13、ソース16及びドレイン17は、酸化インジウムスズ(ITO)のような透明伝導性材料からなってもよい。しかし、酸化物半導体トランジスタ10が透明なものであることが要求されない場合には、基板11、絶縁層12、ゲート13、ゲート絶縁膜14、ソース16及びドレイン17の材料が必ずしも透明である必要はない。ただし、上部の透明絶縁層18のみチャネル層15に光を導くために透明である必要がある。
【0038】
一方、チャネル層15は、前述のように、酸化物半導体材料からなってもよい。チャネル層15として使用される酸化物半導体材料の選択によって、酸化物半導体トランジスタ10は、光によって電気的な特性が変化する光応答特性を有することができる。例えば、そのような酸化物半導体チャネル層の材料として、ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnO、InSnOのような酸化物半導体材料を使用することができる。また、前述の酸化物半導体材料に、Hf、Zr、Ti、Ta、Ga、Nb、V、Al、Snなどの材料が一つ以上追加して混合された材料を使用することもできる。このような材料をチャネル層15として使用する場合、図1に図示された酸化物半導体トランジスタ10は、入射光の波長や光量によって、スレショルド電圧及びドレイン電流が変わる光応答特性があるために、光センシング素子として活用される。チャネル層15は、単一の酸化物半導体層からなってもよいが、多層構造からなってもよい。
【0039】
図1には、ゲートがチャネルの下方に配置されている下部ゲート構造の酸化物半導体トランジスタ10が図示されている。しかし、上部ゲート構造の酸化物半導体トランジスタを利用して、光センシング素子を提供することも可能である。図2は、上部ゲート構造の酸化物半導体トランジスタ30の例示的な構造を概略的に示す断面図である。
【0040】
図2を参照すれば、上部ゲート構造を有する酸化物半導体トランジスタ30は、例えば、基板31、前記基板31上に配置されたチャネル層32、前記チャネル層32の中心領域に部分的に配置されたゲート絶縁膜33、前記ゲート絶縁膜33上で、前記チャネル層32と対向して配置されたゲート34、前記チャネル層32上で、前記ゲート34の両側にそれぞれ離れて配置されたソース35及びドレイン36、並びにゲート34、ソース35及びドレイン36を全体的に覆うように配置された透明絶縁層37を含んでもよい。図2に図示された上部ゲート構造の酸化物半導体トランジスタ30の場合、光がチャネル層32に入射するように、ゲート34、ソース35及びドレイン36は、ITOのように透明な伝導性材料からなってもよい。また、図2に図示された酸化物半導体トランジスタ30も、第1伝導性プラグ21、第1コンタクト23、第2伝導性プラグ22及び第2コンタクト24をさらに含んでもよい。
【0041】
図3及び図4は、図1及び図2に図示された酸化物半導体トランジスタ10、30の動作特性を例示的に示すグラフである。まず図3は、酸化物半導体トランジスタ10、30のゲート電圧Vgsに対するドレイン電流Idsの特性を示すものであり、光が入射していないとき(dark)と、光が入射したとき(light)との酸化物半導体トランジスタ10、30のドレイン電流:ゲート電圧(Ids−Vgs)特性を示している。図3を参照すれば、酸化物半導体トランジスタ10、30に光が入射すれば、スレショルド電圧が全体的に負の方向に移動するということが分かる。例えば、酸化物半導体トランジスタ10、30に光が入射していないとき、酸化物半導体トランジスタ10、30のスレショルド電圧は、Vth2であるが、光が入射すれば、スレショルド電圧は、Vth1に変わる。従って、スレショルド電圧Vth1とVth2との間のゲート電圧Vが酸化物半導体トランジスタ10、30に印加される場合、光が入射していないとき(dark)は、酸化物半導体トランジスタ10、30がOFF状態になって低いドレイン電流が流れ、光が入射するとき(light)は、ON状態になって高いドレイン電流が流れる。一方、スレショルド電圧Vth1及びVth2より低いゲート電圧Vが酸化物半導体トランジスタ10、30に印加される場合、光の入射の有無と係わりなく、酸化物半導体トランジスタ10、30は、常にOFF状態となる。また、スレショルド電圧Vth1及びVth2より高いゲート電圧Vが酸化物半導体トランジスタ10、30に印加される場合、光の入射の有無と係わりなく、酸化物半導体トランジスタ10、30は、常にON状態となる。
【0042】
従って、酸化物半導体トランジスタ10、30に、Vのゲート電圧を印加した状態で、ドレイン電流を測定することにより光の入射の有無を判断することができる。
【0043】
特に、酸化物半導体トランジスタ10、30の場合、光が入射したときのドレイン電流と、光が入射していないときのドレイン電流との電流比(ION/IOFF)が約4.8 (log10(10−7.2/10−12))であり、かなり大きいことが分かる。このような特性を有する酸化物半導体トランジスタ10、30を光センシング素子として活用する場合、さまざまなメリットを有することができる。例えば、酸化物半導体トランジスタ10、30の光応答性が高いために、酸化物半導体トランジスタ10、30を光センシング素子として活用する場合、光センシング画素の回路構造を大きく単純化させることができる。一般的なシリコン・フォトダイオードの場合、電流比が比較的小さいために、光が印加され、フォトダイオードで発生した電荷を、一定時間キャパシタに蓄積した後、キャパシタに蓄積された電荷量から光度に係わる信号を発生させる。従って、キャパシタに蓄積された電荷を光度信号に変換して出力するための別途のデータ出力及びスイッチング駆動回路が必要である。このために、1つの光センシング画素ごとに、フォトダイオード、キャパシタ及び少なくとも1つの薄膜トランジスタが配置される。一般的に、ノイズなしに信号を増幅及び出力するために、1つの光センシング画素内に、3〜5個の薄膜トランジスタが使用される。しかし、図1及び図2に図示された酸化物半導体トランジスタ10、30の場合、光敏感度が非常に高いために、キャパシタを用いて一定時間電荷を蓄積する必要がない。また、酸化物半導体トランジスタ10、30は、フォトダイオードとは異なり、それ自体でスイッチング機能を遂行することができるために、別途のデータ出力及びスイッチング駆動回路を使用しなくともよい。これにより、酸化物半導体トランジスタ10、30を使用する光センシング装置の大面積化が可能になるだけではなく、駆動速度の向上及び消費電力の節減が可能になる。
【0044】
また図4は、酸化物半導体トランジスタ10、30に光が入射した後の経時的なドレイン電流の変化を示すグラフであり、スレショルド電圧Vth1とVth2との間の電圧V(例えば、−5V)が酸化物半導体トランジスタ10、30に印加されている場合である。図4を参照すれば、約40秒の時点で酸化物半導体トランジスタ10、30に光が入射するとドレイン電流が増加する。しかし、約55秒の時点で光の入射が中断したにもかかわらず、ドレイン電流はほとんど減少せず、光の入射時と類似した状態を維持している。すなわち、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光の入射の有無に係わる一種の記憶機能を有する。このような現象は、酸化物半導体トランジスタ10、30のチャネル層15、32内部またはその界面に、電荷がトラップされて発生すると理解される。例えば、光と共に、負のゲート電圧が酸化物半導体トランジスタ10、30に印加されれば、チャネル層15、32内部で光によって生成された正孔が、ゲート絶縁膜14、33とチャネル層15、32との界面に移動してトラップされる。このようにトラップされた電荷は、十分に大きい正(+)の電圧がゲートに印加されるまで除去されない。従って、いったん電荷がトラップされた後には、光の入射が中断された後にも、ドレイン電流が低くならない。このような現象は、十分に大きい正(+)のゲート電圧を酸化物半導体トランジスタ10、30に印加して、トラップされた電荷を除去すれば消える。
【0045】
図5は、以上のような原理によって構成した一実施形態による光センシング回路50の例示的な構造を図示する回路図である。図5を参照すれば、光センシング回路50は、光応答性を有するただ1つの酸化物半導体トランジスタ10、30、前記酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに連結されるゲートラインGATE、前記酸化物半導体トランジスタ10、30のドレインに連結される駆動電圧ラインVdd、及び酸化物半導体トランジスタ10、30のソースに連結されるデータラインDATAを含む。このような構造を有する本実施形態による光センシング回路50は、以下の説明のように、ただ1つの酸化物半導体トランジスタ10だけでも、光センシング動作とスイッチング動作とがいずれも可能である。図5には、便宜上、1画素の光センシング回路50だけ図示されている。しかし実際には、後述するように、多数のゲートラインGATEと、多数のデータラインDATAとに沿って、多数の画素のための多数の光センシング回路50が配列されてもよい。
【0046】
図6は、図5に図示された光センシング回路50で、酸化物半導体トランジスタ10、30の動作特性及び駆動方式を例示的に説明するための図面である。図6を参照すれば、まず待機状態で、光入射時の第1スレショルド電圧Vth1より低い負(−)の第1電圧Vが、ゲートラインGATEを介して酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに印加される。それにより、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光の入射の有無と係わりなく、常にOFF状態にある。その結果、酸化物半導体トランジスタ10、30のドレインからソースに電流が流れない。従って、その間には、データラインDATAに電流がほとんど流れない。
【0047】
次に、光センシング信号の出力のために、光入射時の第1スレショルド電圧Vth1と、光非入射時の第2スレショルド電圧Vth2との間にある負(−)の第2電圧VがゲートラインGATEを介して酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに印加される。ここで、第2電圧Vは、第1電圧Vより高い。このとき、図6に図示されているように、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光が入射する場合には、ON状態になり、光が入射していない場合には、OFF状態になる。従って、この間に、酸化物半導体トランジスタ10、30に光が入射すれば、ドレインからソースに電流が流れる。すなわち、光センシング回路50の駆動電圧ラインVddからデータラインDATAに電流が流れる。ここで、データラインDATAに流れる電流の量は、入射光の光量に比例しうる。従って、第2電圧Vが酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに印加されている間、データラインDATAに流れる電流を測定することによって、光の入射の有無及び入射光の光量を計算することができる。特に、光応答性を高めるために、第2電圧Vは、第1スレショルド電圧Vth1と第2スレショルド電圧Vth2との間で、第2スレショルド電圧Vth2に近いように選択されてもよい。光センシング信号の出力が完了すれば、ゲートラインGATEを介して、第1電圧Vを酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに再び印加する。それにより、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光の入射の有無と係わりなくOFF状態になる。
【0048】
前述のように、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光がいったん入射してしまえば、光の入射が中断された後にも、ドレイン電流が低くならない。従って、光センシング信号の出力後、次の光センシング動作のためには、十分に高い電圧のゲート電圧を酸化物半導体トランジスタ10、30に印加し、酸化物半導体トランジスタ10、30をリセットさせる動作を遂行する。例えば、図6を参照すれば、ゲートラインGATEを介して十分に大きい正の第3電圧V3を酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに印加する。それにより、酸化物半導体トランジスタ10、30がリセットされ、次の光センシング動作を遂行する。その後には、次の光センシング動作が始まるまで、第1電圧Vを酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートにさらに印加して待機状態にある。
【0049】
前述のような原理を利用し、多数のゲートラインGATEに順次に第2電圧Vを提供すれば、特定の行内に配列された画素のうち、どの画素に光が印加されるかが分かる。前述の通り、本実施形態による光センシング回路50は、ただ1つの酸化物半導体トランジスタ10、30だけで、光センシングとデータ出力とがいずれも可能である。すなわち、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光センシング素子としての役割と、駆動回路の役割と、を同時に遂行することができる。従って、図5に図示されているような非常に単純化された光センシング回路50を提供することが可能である。
【0050】
このような光センシング回路50は、光タッチスクリーン装置や画像取得装置のような光センシング装置の各画素構造に採用されて使用される。図7は、図5に図示された光センシング回路50を含む一実施形態による光センシング装置100の構造を概略的に示すブロック図である。図7を参照すれば、一実施形態による光センシング装置100は、入射光を感知する多数の光センシング画素121を有する光センシング画素アレイ120、それぞれの光センシング画素121に、ゲート電圧とリセット信号とを選択的に提供するゲートドライバ110、及びそれぞれの光センシング画素121から光センシング信号を受けてデータ信号を出力する信号出力部130を含んでもよい。図7に図示されているように、光センシング画素アレイ120内の光センシング画素121は、多数の行(row)と多数の列(column)とによって配列されてもよい。例えば、光センシング画素121は、n行の行とm列の列とを有するアレイの形態に配列される。それぞれの光センシング画素121は、図5に図示されているように、ただ1つの酸化物半導体トランジスタ10、30からなってもよい。また、信号出力部130は、光センシング画素121からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器(ADC)131、デジタル出力信号を臨時に保存するためのバッファ132、及び特定列の光センシング画素121から出力を選択するためのカラムスキャナ133を含んでもよい。
【0051】
図8は、図7に図示された光センシング装置100の光センシング画素アレイ120の例示的な回路構造を概略的に示している。例えば、図8を参照すれば、それぞれの光センシング画素121には、図5に図示された光センシング回路50が配置されていると図示されている。しかし、図5に図示された光センシング回路50の代わりに、後述する図10に図示された光センシング回路60がそれぞれの光センシング画素121内に配置されることも可能である。
【0052】
図7及び図8を参照すれば、ゲートドライバ110は、それぞれの光センシング画素121を個別に活性化させ、それぞれの光センシング画素121から光センシング信号が出力されるように制御する役割を行う。このために、ゲートドライバ110は、行方向に沿って配列された多数のゲートラインGATE1、GATE2、…を含んでもよい。それぞれのゲートラインは、同じ行に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに連結されてもよい。例えば、第1ゲートラインGATE1は、最初の行に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに連結され、第2ゲートラインGATE2は、2行目に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに連結されてもよい。
【0053】
信号出力部130は、それぞれの光センシング画素121から発生する光センシング信号を受けてデータ信号を出力する役割を行う。このために、信号出力部130は、列方向に沿って配列された多数のデータラインData1、Data2、…を含んでもよい。それぞれのデータラインData1、Data2、…は、同じ列に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のソースに連結されてもよい。例えば、第1データラインData1は、最初の列に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のソースに連結され、第2データラインData2は、2列目に配列されているあらゆる光センシング画素121内の酸化物半導体トランジスタ10、30のソースに連結されてもよい。このような構造とすれば、信号出力部130は、同じ行に配列されている多数の光センシング画素121から発生したあらゆる光センシング信号を、多数のデータラインData1、Data2、…を介して同時に受信することができる。例えば、第1ゲートラインGATE1に、Vのゲート電圧が印加される場合、最初の行に配列されている光センシング画素121から発生したあらゆる光センシング信号が、同時に信号出力部130に入力される。
【0054】
信号出力部130は、それらの光センシング信号をデジタルデータ信号に変換した後、1列ずつ順次に出力するように構成されてもよい。例えば、それぞれの光センシング画素121からの出力は、それぞれのデータラインDATAに沿って、A/D変換器131に提供される。ここで、光センシング画素121からの信号は、光入射時には大きい強度を有し、光非入射時には、ほぼ0に近い小さい強度を有する。このときの信号は、アナログ信号であるために、前記A/D変換器131によって、デジタル信号に変換される。A/D変換器131によって変換されたデジタル出力は、バッファ132に提供されて保存された後、カラムスキャナ133の選択によって、特定カラムのデジタル信号のみ出力される。例えば、図7には、3行目及び4列目にある光センシング画素121の信号が選択され、バッファ132から出力される状態が図示されている。
【0055】
以下、前述の光センシング装置100の動作について説明する。図9には、光センシング装置100の動作を例示的に示すタイミング図が図示されている。図9のタイミング図を参照すれば、まずゲートドライバ110は、酸化物半導体トランジスタ10、30のスレショルド電圧Vth1とVth2との間のゲート電圧Vを第1ゲートラインGATE1に印加し、最初の行の光センシング画素121から光センシング信号を出力する。残りのゲートラインGATE2、…には、スレショルド電圧Vth1よりも低いゲート電圧V(ロー電圧)が印加される。従って、残りの行の光センシング画素121からは、光センシング信号が出力されない。その後、ゲートドライバ110は、第2ゲートラインGATE2にゲート電圧Vを印加し、2行目の光センシング画素121から光センシング信号を出力する。残りのゲートラインGATE1、GATE3、…には、ゲート電圧V(ロー電圧)が印加される。このような方式で、光センシング画素アレイの最初の行から最後の行まで順次に光センシング画素121から光センシング信号を出力することができる。
【0056】
その後、ゲートドライバ110は、あらゆるゲートラインGATE1、GATE2、…に正のリセット信号Vを印加し、光センシング画素アレイ内のあらゆる光センシング画素121の酸化物半導体トランジスタ10、30をリセットさせる。これにより、酸化物半導体トランジスタ10、30が初期化され、次の光センシング動作を遂行する。それにより、1フレームの光センシング動作が完了する。このようにして、1フレームの光センシング動作が完了すれば、以上に述べた動作と同じ順序で次のフレームの光センシング動作が反復される。
【0057】
図10は、他の実施形態による光センシング回路60の例示的な構造を図示する回路図である。図11に図示された特性グラフから分かるように、図10の光センシング回路60で使われた酸化物半導体トランジスタ10、30の場合、光入射時の第1スレショルド電圧Vth1は、負の電圧であり、光非入射時の第2スレショルド電圧Vth2は、正の電圧である。このようなスレショルド電圧特性は、例えば、チャネル層15、32の材料によって選択される。第2スレショルド電圧Vth2が正の電圧である場合、ゲートラインGATEを介して、酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートに提供される第2電圧Vは、正の電圧であってもよい。その場合、酸化物半導体トランジスタ10、30のドレインに、別途の駆動電圧Vddを印加せずに、ゲートに印加される第2電圧Vを駆動電圧として使用することもできる。従って、図10の光センシング回路60は、駆動電圧Vddラインを別途に含まず、ゲートラインGATEが、酸化物半導体トランジスタ10、30のゲートとドレインとに同時に連結されている。図10に図示された光センシング回路60のそれ以外の構成及び動作は、図5に図示された光センシング回路50と同じである。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態による光センシング装置100の光センシング画素121は、ただ1つの酸化物半導体トランジスタ10、30のみを含む。このような光センシング装置100において、酸化物半導体トランジスタ10、30は、光センサとしての役割を行うだけではなく、光センシング信号を出力させるためのスイッチの役割も共に遂行することができる。従って、1つの画素内に、多数のトランジスタとキャパシタとが設けられた複雑な回路構造を有する既存の光センシング装置に比べ、本実施形態による光センシング装置100の構造と動作は、はるかに簡単になる。このような理由で、前記光センシング装置100は、寄生抵抗及び寄生キャパシタンスによる設計制限を克服し、大面積で製作が可能である。また、単純化された画素構造によって、開口率(aperture ratio)が向上し、光センシング装置100の感度及び解像度を向上させることができる。
【0059】
図12は、前述の光センシング装置100を光タッチパネルとして使用する一実施形態による光タッチスクリーン装置の斜視図である。図12を参照すれば、前述の光センシング装置100からなる光タッチパネルが画面に付着されたディスプレイ装置210を含む光タッチスクリーン装置200が図示されている。このような光タッチスクリーン装置200において、例えば、レーザポインタのような簡単な光源装置220を利用して、ディスプレイ装置210に光を照射すれば、光センシング装置100内に配列された光センシング画素121が光を認識する。従って、あたかも手やペンでタッチスクリーンに触れるのと同じ効果を得ることができる。
【0060】
以上では、酸化物半導体トランジスタ10,30を利用した光センシング回路50,60を含む光センシング装置100を、光タッチスクリーン装置200に適用することについてのみ説明した。しかし、前述の光センシング装置100は、光タッチスクリーン装置200だけではなく、光感知が要求されるあらゆる装置に適用が可能である。例えば、CMOS(complementary metal−oxide semiconductor)イメージセンサやCCD(charge−coupled device)のような画像取得装置にも、前述の光センシング装置100が適用されてもよい。
【0061】
以上、本発明の理解を助けるために、単純化された光センシング回路、前記光センシング回路を含む光センシング装置、前記光センシング装置を駆動する方法、及び前記光センシング装置を含む画像取得装置及び光タッチスクリーン装置に係わる例示的な実施形態について説明し、かつ添付された図面に図示した。しかし、上述したような実施形態は、単に本発明を例示するためのものであり、それらを制限するものではないという点を理解せねばならない。そして、本発明は、図示されて説明された説明に限定されるものではないという点も理解されねばならない。それは、多様な他の変形が、本技術分野で当業者に可能であるからである。
【符号の説明】
【0062】
10、30 酸化物半導体トランジスタ
11、31 基板
12 絶縁層
13、34 ゲート
14、33 ゲート絶縁膜
15、32 チャネル層
16、35 ソース
17、36 ドレイン
18、37 透明絶縁層
21 第1伝導性プラグ
22 第2伝導性プラグ
23 第1コンタクト
24 第2コンタクト
50、60 光センシング回路
100 光センシング装置
110 ゲートドライバ
120 光センシング画素アレイ
121 光センシング画素
130 信号出力部
131 A/D変換器
132 バッファ
133 カラムスキャナ
200 光タッチスクリーン装置
210 ディスプレイ装置
220 光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体材料をチャネル層の材料として使用した酸化物半導体トランジスタを含み、
前記酸化物半導体トランジスタは、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力するためのスイッチの役割と、を同時に遂行する光センシング回路。
【請求項2】
前記酸化物半導体トランジスタのゲートに連結され、ゲート電圧を提供するゲートラインと、
前記酸化物半導体トランジスタのドレインに連結され、駆動電圧を提供する駆動電圧ラインと、
前記酸化物半導体トランジスタのソースに連結され、データを出力するためのデータラインと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光センシング回路。
【請求項3】
前記ゲートラインを介して、前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに提供される前記ゲート電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い第1電圧、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と光非入射時の第2スレショルド電圧との間の第2電圧、及び正(+)の第3電圧のうちいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の光センシング回路。
【請求項4】
前記酸化物半導体トランジスタのゲートとドレインとに同時に連結され、ゲート電圧を提供するゲートラインと、
前記酸化物半導体トランジスタのソースに連結され、データを出力するためのデータラインと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光センシング回路。
【請求項5】
前記ゲートラインを介して、前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに提供される前記ゲート電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い第1電圧、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と光非入射時の第2スレショルド電圧との間の第2電圧、及び正(+)の第3電圧のうちいずれか1つであることを特徴とする請求項4に記載の光センシング回路。
【請求項6】
前記酸化物半導体トランジスタは、
基板と、
前記基板上に部分的に配置されたゲートと、
少なくとも前記ゲートの周囲を覆うように、前記基板及び前記ゲートの上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で、前記ゲートと対向するように配置されたチャネル層と、
前記チャネル層の両側を覆うように配置されたソース及びドレインと、
前記ソース、前記ドレイン及び前記チャネル層を覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、
前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光センシング回路。
【請求項7】
前記酸化物半導体トランジスタは、
前記ソースに対する電気的連結のために、前記透明絶縁層を貫通して前記ソースに連結された第1伝導性プラグと、
前記第1伝導性プラグと電気的に接触するように、前記透明絶縁層上に形成された第1コンタクトと、
前記ドレインに対する電気的連結のために、前記透明絶縁層を貫通して前記ドレインに連結された第2伝導性プラグと、
前記第2伝導性プラグと電気的に接触するように、前記透明絶縁層上に形成された第2コンタクトと、をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の光センシング回路。
【請求項8】
前記酸化物半導体トランジスタは、
基板と、
前記基板上に配置されたチャネル層と、
前記チャネル層の中心領域に部分的に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で、前記チャネル層と対向して配置されたゲートと、
前記チャネル層上で、前記ゲートの両側にそれぞれ離れて配置されたソース及びドレインと、
前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインを覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、
前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光センシング回路。
【請求項9】
前記酸化物半導体材料は、ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOを含み、または前記ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOに、Hf、Zr、Ti、Ta、Ga、Nb、V、Al及びSnのうち、少なくとも1つの材料が追加して混合された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の光センシング回路。
【請求項10】
多数の行及び多数の列で配列された多数の光センシング画素を有する光センシング画素アレイと、
それぞれの前記光センシング画素にゲート電圧とリセット信号とを提供するように、行方向に沿って配列された多数のゲートラインを有するゲートドライバと、を含み、
それぞれの前記光センシング画素は、光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力するためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタを含む光センシング装置。
【請求項11】
前記ゲートドライバは、行方向に沿って順次に、前記酸化物半導体トランジスタに前記ゲート電圧を印加した後、あらゆる前記酸化物半導体トランジスタに一度に前記リセット信号を印加するように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項12】
前記ゲートドライバは、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い第1電圧、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と光非入射時の第2スレショルド電圧との間の第2電圧、及び正(+)の第3電圧をそれぞれの前記酸化物半導体トランジスタに提供することを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項13】
前記ゲートドライバは、前記第1電圧、前記第2電圧、前記第1電圧及び前記第3電圧の順序でそれぞれの前記酸化物半導体トランジスタに前記ゲート電圧を提供し、前記第3電圧は、前記酸化物半導体トランジスタをリセットさせる前記リセット信号であることを特徴とする請求項12に記載の光センシング装置。
【請求項14】
それぞれの前記ゲートラインは、同じ行に沿って配列されている前記光センシング画素に連結されていることを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項15】
1行に沿って配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのゲートには、前記行に対応する前記ゲートラインが連結されていることを特徴とする請求項14に記載の光センシング装置。
【請求項16】
列方向に沿って配列された多数のデータラインを有し、それぞれの前記光センシング画素から光センシング信号を受けてデータ信号を出力する信号出力部をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項17】
1列に沿って配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのソースには、前記列に対応する前記データラインが連結されていることを特徴とする請求項16に記載の光センシング装置。
【請求項18】
前記信号出力部は、
前記光センシング画素からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器と、
前記デジタル出力信号を臨時に保存するためのバッファと、
特定列の前記光センシング画素からの出力を選択するためのカラムスキャナと、を含むことを特徴とする請求項16に記載の光センシング装置。
【請求項19】
前記酸化物半導体トランジスタは、
基板と、
前記基板上に部分的に配置されたゲートと、
少なくとも前記ゲートの周囲を覆うように、前記基板及び前記ゲートの上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で、前記ゲートと対向するように配置されたチャネル層と、
前記チャネル層の両側にそれぞれ配置されたソース及びドレインと、
前記ソース、前記ドレイン及び前記チャネル層を全体的に覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、
前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項20】
前記酸化物半導体材料は、ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOを含み、または前記ZnO、InO、SnO、InZnO、ZnSnOまたはInSnOに、Hf、Zr、Ti、Ta、Ga、Nb、V、Al及びSnのうち、少なくとも1つの材料が追加して混合された材料を含むことを特徴とする請求項19に記載の光センシング装置。
【請求項21】
前記酸化物半導体トランジスタは、
基板と、
前記基板上に配置されたチャネル層と、
前記チャネル層の中心領域に部分的に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で、前記チャネル層と対向して配置されたゲートと、
前記チャネル層上で、前記ゲートの両側にそれぞれ離れて配置されたソース及びドレインと、
前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインを覆うように配置された透明絶縁層と、を含み、
前記チャネル層は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする請求項10に記載の光センシング装置。
【請求項22】
請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の光センシング回路を画素内に含む画像取得装置。
【請求項23】
請求項10ないし請求項21のうち、いずれか1項に記載の光センシング装置を含む画像取得装置。
【請求項24】
画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の画面上に付着されたものであり、請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の光センシング回路を画素内に含む光タッチパネルと、
前記光タッチパネルに光信号を提供する光源装置と、を含む光タッチスクリーン装置。
【請求項25】
画像を表示するディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の画面上に付着されたものであり、請求項10ないし請求項21のうち、いずれか1項に記載の光センシング装置を含む光タッチパネルと、
前記光タッチパネルに光信号を提供する光源装置と、を含む光タッチスクリーン装置。
【請求項26】
光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力させるためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタのゲートに、負(−)の第1電圧、前記第1電圧より高い負(−)の第2電圧、第1電圧、及び正(+)の第3電圧を順次に印加する段階を含む光センシング装置の動作方法。
【請求項27】
前記第1電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い電圧であり、前記第2電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧と、光非入射時の第2スレショルド電圧との間の電圧であることを特徴とする請求項26に記載の光センシング装置の動作方法。
【請求項28】
前記第3電圧は、前記酸化物半導体トランジスタをリセットさせるリセット信号であることを特徴とする請求項27に記載の光センシング装置の動作方法。
【請求項29】
前記酸化物半導体トランジスタのゲートに第2電圧が印加されている間、前記酸化物半導体トランジスタのドレインとソースとの間に流れる電流を測定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の光センシング装置の動作方法。
【請求項30】
光を感知するための光センシング素子の役割と、光センシングデータを出力させるためのスイッチの役割と、を共に遂行する酸化物半導体トランジスタを含み、多数の行及び多数の列で配列された多数の光センシング画素のうち、いずれか1行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタのゲートに、負(−)の第2電圧を印加し、残りの行に配列された前記酸化物半導体トランジスタのゲートに、前記第2電圧より低い負(−)の第1電圧を印加する段階と、
後続する次の行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに前記第2電圧を順次に印加し、残りの行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに前記第1電圧を印加する段階と、
あらゆる行に対して順次に前記第2電圧の印加を完了した後、あらゆる行に配列された前記光センシング画素の前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに同時に正(+)の第3電圧を印加する段階と、を含む光センシング装置の動作方法。
【請求項31】
前記第1電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の第1スレショルド電圧より低い電圧であり、前記第2電圧は、前記酸化物半導体トランジスタの光入射時の前記第1スレショルド電圧と、光非入射時の第2スレショルド電圧との間の電圧であることを特徴とする請求項30に記載の光センシング装置の動作方法。
【請求項32】
前記第3電圧は、前記酸化物半導体トランジスタをリセットさせるリセット信号であることを特徴とする請求項31に記載の光センシング装置の動作方法。
【請求項33】
前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲートに第2電圧が印加されている間、前記酸化物半導体トランジスタのドレインとソースとの間に流れる電流を測定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の光センシング装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−25803(P2013−25803A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154441(P2012−154441)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】