説明

単針動作での血液処理装置および方法

本発明は、単針動作モードでの血液処理装置および方法に関する。血液処理装置は、血液処理ユニット(2)の入口に至る血液供給管(8)と、血液処理ユニットの出口から離れていく血液戻り管(8)とを有する体外血液回路(1)を備えている。血液を集める手段、例えば血液収集容器が血液戻り管に設けられ、該手段は、フロー管路によってガスを貯蔵する手段(18)、例えば空気貯蔵槽に連結されている。フロー連結は2つの管路分岐を有し、一方の分岐は空気貯蔵槽から血液収集容器へガスを運ぶのに用いられ、他方の分岐は血液収集容器から空気貯蔵槽へガスを運ぶのに用いられる。ガスを空気貯蔵槽から血液収集容器に運ぶ連結分岐は、空気を圧縮する手段(20)、例えば圧縮機を含んでいる。本発明による装置は、血液を集める手段の最高液面位をできるだけ正確に測定することができるように動作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理ユニットの入口に至る血液供給管と血液処理ユニットの出口から出発する血液戻り管とを持つ体外血液回路を有し、血液供給管および血液戻り管は共通の針(カニューレ)に至ると共に共通の針からそれぞれ遠ざかる、単針動作の血液処理装置に関する。さらに、本発明は単針動作における血液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液が流れる血液処理ユニットを持つ血液処理装置は広く知られている。該血液処理装置として、例えば知られている血液透析、血液濾過、または血液透析濾過装置がある。知られている血液処理装置は、単針または2針動作で動作することができる。
【0003】
2針技法では、血液は第1の針を介して患者の血管から取り出され、血液処理装置の血液処理ユニットに運ばれ、第2の針を介して患者の血管に戻される。血液の取り出しおよび戻しについては、2本の針が連結された交換可能なホースシステムが血液供給管および血液戻り管で利用される。廃棄されるべきホースシステムは使い捨て品とも呼ばれている。
【0004】
単針技法では、血液の取り出しおよび戻しは単一の針を介して行われる。患者から取り出された血液は、次に静脈相で同一の針を通して貯蔵装置から患者の血液システムに戻されるために、動脈相中では、貯蔵槽に貯蔵される。
【0005】
単針動作の血液処理装置については特許文献1により知られている。知られている血液処理装置の実施形態では、血液処理ユニットの上流および下流に配置された2つの血液膨張室が、血液の一時貯蔵用に備えられている。血液処理装置は、該膨張室の圧力を基本的に一定に維持する制御装置を備えている。膨張室の液体の水位を検出するために、水位検出器が備えられている。
【0006】
特許文献2は、単針または2針動作における血液処理装置の動作用の使い捨て品一式について説明している(特許文献2参照)。単針動作の容積を増やすために、血液処理ユニットへの連結用の血液供給管および血液戻り管とは別に、使い捨て品一式は、空気分離装置に連結可能な膨張装置を有する。単針動作中、動脈相では、患者への血液供給は中断されている状態で、血液は血液供給管を通して血液処理ユニットに運ばれ、その後血液処理ユニットから空気分離/膨張装置に運ばれる。圧力測定装置によって監視される所定の圧力が、空気分離/膨張装置内に作り出される。圧縮空気装置によって、タンクと膨張装置との間に組み込まれた空気ポンプを始動させることにより、所定の圧力を膨張/空気分離装置内に確立することができる。さらに、3つの圧力センサーからの測定値および既知のシステムの容積を活用して、膨張/空気分離装置内の血液量を計算することが提案されている。さらに、血液の輸送率を最適な方法で適応させることができるように、空気ポンプを用いて静脈相での圧力を調整することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開明細書EP−A−0472480 B1
【特許文献2】ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2005 001 779 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根本的な課題は、血液貯蔵槽の血液量を水位検出器なしで確認することができると共に誤動作時の挙動を改善することができる、単針動作用の血液処理装置を提供することである。さらに、血液貯蔵槽の血液量を水位検出器なしで確認することができると共に誤動作時の挙動を改善することができる、単針動作における血液処理方法を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、これらの課題に対する解決策は請求項1、2、および12の特徴で行われる。本発明の好都合な実施形態が下位請求項の主題である。
【0010】
本発明による血液処理装置は、血液処理ユニットの入口に至る血液供給管と血液処理ユニットの出口から出発する血液戻り管とを持つ体外血液回路を有する。血液処理ユニットを持つこの体外血液回路は、血液処理装置の一部である必要はないが、血液処理用の処理装置に配置されている、1回だけ使用することを目的とした使い捨て品とすることができる。
【0011】
さらに、血液処理装置は、血液を集める手段と、ガス、特に空気を貯蔵する手段とを有する。血液を集める手段およびガスを貯蔵する手段は、いずれの場合にも、閉ざされた容器を形成する貯蔵槽、例えば所定の容積を持つ血液室および空気室である。
【0012】
血液を集める手段の充填中の動脈相では、血液を集める手段から排出された空気がガスを貯蔵する手段に入ることができ、静脈相では、ガスを貯蔵する手段からの空気が血液を集める手段に入ることができるように、血液を集める手段は、ガスを貯蔵する手段に連結されていて、その結果として、動脈相において以前に集められた血液は血液を集める手段から排出される。この効果は、動脈相では血液が患者から取り出され、静脈相では血液処理ユニットで処理された患者の血液が患者に戻されることである。
【0013】
血液を集める手段とガスを貯蔵する手段との間の連結は、第1の連結経路および第2の連結経路を有する。動脈相において、血液を集める手段から排出された空気がガスを貯蔵する手段に運ばれ、そして、連結を遮断する手段が第1の連結経路に提供されるように、第1の連結経路は、血液を集める手段をガスを貯蔵する手段に連結する。静脈相において、ガスを貯蔵する手段に貯蔵された空気が血液を集める手段に運ばれるように、第2の連結経路は、血液を集める手段とガス貯蔵する手段とを連結する。第2の連結経路は、ガスを貯蔵する手段に貯蔵された空気を、血液を集める手段に運ぶことができるように、ガスを圧縮する手段を含んでいる。空気を圧縮する手段により、動脈相および静脈相中のいずれにおいても、所定の圧力を、血液を集める手段に作り出すことができる。ガスを圧縮する手段は、例えば従来の圧縮機として構築することができる。
【0014】
血液を集める手段およびガスを貯蔵する手段は、第1の連結経路および第2の連結経路と共に、ガスが入ることができずかつガスが出ることができない閉ざされた容器を形成する。閉ざされた容器は、システムを初期化するためにのみ換気/脱気される。第1の連結経路および第2の連結経路は個別の管路で形成することができる。しかしながら、第1の連結経路および第2の連結経路は共通の管路セグメントを有することもできる。
【0015】
動作中でない場合に血液を集める手段でできる圧力よりも大きい圧力がガスを貯蔵する手段で生じているという事実により、患者への空気注入は、より大きな信頼性で除くことができる。この効果は、空気は、単にガスを圧縮する手段によってのみ、ガスを貯蔵する手段から血液を集める手段へ通過できることである。一方で、ガスを圧縮する手段の故障、例えば圧縮機のリークの場合には、空気は血液を集める手段に入ることができない。したがって、血液を集める手段が気付かずに空になる状況はこのように除かれ、その結果として、空気が患者に入ることもありえる。
【0016】
実際には、血液を集める手段から血液を排出させる戻り圧をできるだけ低く調整できることを確かなものにする試みがなされるが一方、1回排出量は可能な限り大きくなる。圧縮機の故障の場合に、低い戻り圧および大きな1回排出量ではガスを貯蔵する手段から血液を集める手段に空気が通過することができないという条件を満足させることができるように、連続的な動脈相および静脈相を初期化するシステムは、動脈相から静脈相に転換時、すなわち血液を集める手段が充填される上位転換点時、所定の圧力、好ましくは周囲圧力に軽減される。したがって、連続的な動脈相および静脈相では、ガスを貯蔵する手段の圧力は、常に所定の圧力より、特に閉ざされたシステムが軽減された周囲圧力より低い。
【0017】
動脈相中、体外血液回路が例えばホースクランプにより静脈側に分離されているので、ガスを貯蔵する手段は患者と直接接触しない。したがって、ガスを貯蔵する手段の圧力の推移は、動脈相中、患者の安全性に対するいくぶん小さい役割を果たしている。しかしながら、動脈相の終了時、すなわち静脈相の開始時、所望の戻り圧が血液を集める手段に存在することは明白である。これは、動脈相が2つの時間間隔に分割されるという事実により好ましく達成される。事前設定された第1の時間間隔では、血液を集める手段の充填中に排出された空気がガスを貯蔵する手段に入るように、血液を集める手段とガスを貯蔵する手段との間で連結が行われ、その結果として、特定の圧力がそこに作り出される。しかしながら、事前設定された第2の時間間隔では、血液を集める手段とガスを貯蔵する手段との間の連結が遮断される。このように、ガスを貯蔵する手段の圧力は一定のままであるが、一方、動脈相では、血液が血液を集める手段に連続的に運ばれるので、血液を集める手段の圧力はさらに上昇する。このように、2つの別個の空気量が生じることになる。
【0018】
本発明による血液処理装置の好ましい実施態様では、ガスを貯蔵する手段と血液を集める手段との間の第2の連結経路は、ガスを貯蔵する手段を、血液を集める手段に連結するガスを運ぶ管路を有する。ガスを圧縮する手段、例えば圧縮機はこの管路に配置される。第1の連結経路は、ガスを圧縮する手段を迂回するバイパス管路を有しており、バイパス管路にバイパスバルブが配置されている。ガスを圧縮する手段が動作していない場合、血液を集める手段の閉ざされた容器は、バイパスバルブが閉まっている場合にはガスを貯蔵する手段の閉ざされた容器から分離される。一方、バイパスバルブが開かれている場合、2つの容器は共通の閉ざされた容器を形成する。
【0019】
さらなる好ましい実施態様では、ガスを運ぶ管路は、血液を集める手段を、ガスを圧縮する手段の圧迫側に連結する第1の管路セグメントと、ガスを圧縮する手段の吸込み側を、ガスを貯蔵する手段に連結する第2の管路セグメントとを有する。
【0020】
システムの初期化中の周囲圧力に対する閉ざされた容器の軽減については、換気または脱気の手段が第1の管路セグメントに設けられるのが好ましい。
【0021】
血液を集める手段は、入口および出口を備え、かつ体外回路の血液戻り管に配置された、所定の容積を持つ容器として構築されるのが好ましい。ガスを貯蔵する手段は、所定の容積を持つ容器として構築されるのが好ましい。
【0022】
体外回路の血液は、血液供給管に配置された血液ポンプによって運ばれるのが好ましい。
【0023】
本発明による血液処理装置の特定の利点は、水位検出器を使用することなく、血液を集める手段の水位を単に圧力測定に基づいて可能な限り正確に確認することができるという事実にある。本発明による血液処理装置の好ましい実施態様は、血液を集める手段の閉ざされた容器内と、一方の血液を集める手段と他方のガスを圧縮する手段との間の連結経路の閉ざされた容器内と、ガスを貯蔵する手段の閉ざされた容器内とで圧力を測定する手段を有し、血液量は測定された圧力値から計算される。
【0024】
一方の血液を集める手段と他方のガスを圧縮する手段との間の連結経路の圧力を決定するために、第1の連結経路の管路セグメントおよび/または第2の連結経路の管路セグメントのいずれかで圧力を測定することができ、管路セグメントは、一方の血液を集める手段と、他方のガスを圧縮する手段または連結を遮断する手段との間に伸びている。第1の連結経路および第2の連結経路が共通の管路セグメントを持っている場合、圧力センサーで2つの連結経路の共通の管路セグメントの圧力を測定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による単針動作用の本発明による血液処理装置の実施形態の例を非常に簡単化した図式表現で示している。
【図2】本発明による血液処理装置の初期化および動作中の水位および圧力の推移を示している。
【図3】初期化後の連続的な動脈相および静脈相を通じた圧力の推移を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照することにより、以下に本発明の実施形態の例をより詳細に説明する。
【0027】
図1は、単針動作用の血液処理装置、特に透析装置の主要な構成要素を略図で示している。
【0028】
血液処理中、透析装置は、使い捨て品として設計された血液処理ユニット2、例えば透析装置を含んだ体外血液回路1を有する。透析装置2は、半透膜3により血液室4と透析液室5とに分割されている。
【0029】
体外血液回路では、血液は透析装置の一部である血液ポンプ6によって運ばれる。透析液回路は図1に示されていない。
【0030】
処理後に処分されるホース群7が透析装置に挿入されている。使い捨て品7は透析装置2の血液室4の入口4Aに通じる血液供給管8を持ち、血液供給管は透析装置のローラポンプ6に挿入され、血液戻り管9は血液室の出口4Bから出発する。血液供給管および血液戻り管8、9は共通のカニューレ10(針)に連結されている。
【0031】
所定の容積を持つ容器として設計された血液を集める手段11が、使い捨て品の血液戻り管9に配置されている。
【0032】
血液を集める手段は、以下では血液収集容器または血液貯蔵装置と呼ばれる。血液戻り管を遮断する手段12、例えば静脈ホースクランプが、血液戻り管9の血液収集容器11の下流に配置されている。
【0033】
血液収集容器11は、血液戻り管9の第1のセグメント9Aが到達する入口13を持ち、血液戻り管9の第2のセグメント9Bが出発する出口14を持っている。血液収集容器11の規定水位の検出については、透析装置は、容器の水位がいつ既定値に達したかを検出する水位指示器15を備えている。血液収集容器11の圧力を測定する圧力伝送器16も設けられている。
【0034】
血液収集容器11が血液で充填されると、特定の空気量が血液貯蔵装置の液位17の上方に残る。血液貯蔵装置は、閉じられた容器を持つ入れ物として構築されたガス、特に空気を貯蔵する手段18とフロー連結している。ガスを貯蔵する手段18は、以下では空気貯蔵容器または空気貯蔵装置と呼ばれる。
【0035】
血液貯蔵装置と空気貯蔵装置とが互いに通じることができるために、空気貯蔵装置18に達する管路19が血液貯蔵装置11の上部から出発する。例えば従来の圧縮機として構築可能なガスを圧縮する手段20が管路19に配置されている。圧縮機が動作していない限り、圧縮機は、血液貯蔵装置と空気貯蔵装置との間のフロー連結を遮断する。一方、圧縮機が動作しているとき、空気貯蔵装置に存在する空気は血液貯蔵装置に運ばれる。空気が圧縮されるので、所定の圧力が血液貯蔵装置に作り出される。
【0036】
管路19は2つの管路セグメント19A、19Bを持ち、その1つの管路セグメント19Aは、血液貯蔵装置11を圧縮機20の圧迫側連結20Aに連結し、他の管路セグメント19Bは、圧縮機20の吸込み側連結20Bを空気貯蔵装置18に連結する。これらの管路セグメント19A、19Bは、空気貯蔵装置から血液貯蔵装置へのガスの移送用の連結経路を形成する。
【0037】
圧縮機が運転中でない場合に血液貯蔵装置から空気貯蔵装置に空気を運ぶことができるように、管路19の第1の管路セグメント19Aから出発し、管路19の第2の管路セグメント19Bに至るバイパス管路21が設けられている。バイパスバルブ22がバイパス管路21に組み込まれている。バイパス管路21は、管路19の対応する管路セグメントと共に血液貯蔵装置から空気貯蔵装置にガスを運ぶ連結経路を形成する。
【0038】
液体が血液貯蔵装置から空気貯蔵装置に通過するのを防ぐために、疎水性膜、すなわち、空気に対して浸透性であるが液体に対して不浸透性を有する膜を含んだフィルター23が、管路19の第1の管路セグメント19Aに配置される。しかしながら、血液貯蔵装置は最大水位までのみ充填されるので、いずれにせよ、液体は誤動作の場合にのみ管路19に入ることができる。
【0039】
管路19だけでなく血液貯蔵装置と空気貯蔵装置とを含む閉じられた容器の換気/脱気については、換気/脱気弁24Bを持つ換気/脱気管路24を有する手段24が換気/脱気用に提供され、換気/脱気管路は、例えば管路19の第1の管路セグメント19Aに連結されている。換気/脱気管路24Aは、原則として換気または脱気される容器のいかなる場所からも出発することができる。換気/脱気は、特にマシン側の部分で行われるべきである。
【0040】
血液貯蔵装置の圧力を測定する圧力伝送器16とは別に、管路19の第1の管路セグメント19Aの圧力を測定する圧力伝送器25が、フィルター23と圧縮機20との間に設けられ、さらなる圧力伝送器26が、空気貯蔵装置18の圧力を測定するために設けられている。空気貯蔵装置の空気の温度を測定する温度センサーTが、空気貯蔵装置に設けられている。
【0041】
透析装置は、電線(図示せず)を通して、血液ポンプ6、静脈ホースクランプ12、バイパスバルブ22、換気/脱気弁24B、水位指示器15、圧縮機20、および圧力伝送器16、25、26に連結された中央制御/演算器27を備えている。中央制御/演算器は、ユーザとマシンとの間のインタフェースを創出する入力装置(図示せず)に順に連結されている。
【0042】
図2および図3を参照することにより、透析装置の動作を以下で詳細に説明する。中央制御/演算器27は以下のように透析機を制御する。
【0043】
実際の透析治療の開始時、システムの初期化が次の工程ステップで行われる。
【0044】
図2は、初期化の個々の段階中の時間の関数として血液貯蔵装置の水位を示している。さらに、図2は、チャンバ圧と呼ばれる血液貯蔵装置の圧力、貯蔵装置圧と呼ばれる空気貯蔵装置の圧力、および管路圧と呼ばれる管路19の第1の管路セグメント19Aの圧力の推移を示している。さらに、図2は、管路19、22の対応するセグメントだけでなく血液貯蔵装置および空気貯蔵装置に収容された全空気量の時間に関連した推移を示している。
【0045】
第1の初期化ステップで、血液貯蔵装置の血液水位は、透析装置の動作中に動脈相から静脈相に転換が行われる転換点と、静脈相から動脈相に転換が行われる下位転換点との間にある規定の水位より下に下げられる。このため、制御/演算器27は静脈ホースクランプ12を開いて、血液ポンプ6を静止させ、水位指示器によって検出される所望の液位に達するまで圧縮機20を動作させる。図2は、水位は降下しているが一方、システムの全空気量は一定のままであることを示している。血液の水位が既に所望の水位より下にある場合には、このステップはスキップすることができる。
【0046】
次に、第2のステップで、血液の水位は次に水位指示器によって検出され、所望の水位に調整される。このため、バイパスバルブ22および換気/脱気弁24Bは開かれ、血液ポンプ6が動作して、所望の血液の水位に達するまで静脈ホースクランプは閉じられる。図2は、血液の水位は所望の水位へ上昇したが、一方で、システムの空気量は減少したことを示している。
【0047】
所望の水位に達すると、管路圧だけでなくチャンバ圧および貯蔵装置圧も周囲圧力に調整されるまで待ち時間がある。それによって、水位は一定のままであるが、一方で、空気量はわずかに減少し続ける(ステップ3)。その後、換気/脱気弁24Bが再度閉じられるだけである(ステップ4)。
【0048】
その後、血液貯蔵装置は血液で充填され続ける。バイパスバルブが開かれることにより、血液ポンプ6は血液貯蔵装置の水位が上位転換点の水位に達するような時間まで動作する(ステップ5)。それによって、システムの空気量は一定のままである。チャンバ圧、貯蔵装置圧、および管路圧は圧力伝送器によって測定されるので、血液貯蔵装置の水位は連続的に計算することができる。制御/演算器は血液貯蔵装置の水位を計算し、水位が上位転換点の水位に達すると血液ポンプを停止する。これについては下に詳細に説明する。
【0049】
制御/演算器が血液ポンプ6を停止した後、システムに作り出された圧力が周囲圧力に軽減されるように、換気/脱気弁24Bは再度開かれる。(ステップ6)。図2は、血液の水位は一定のままであるが、一方で、管路圧だけでなくチャンバ圧および貯蔵装置圧も周囲圧力に下降することを示している。システムによって含有された容積、すなわち管路だけでなく血液貯蔵装置および空気貯蔵装置の両方の容積、およびシステムの圧力も知られているので、システムに含まれている空気量を計算することができる。これについては下に詳細に説明する。
【0050】
換気/脱気弁24Bは初期化の最後のステップとして閉じられ、それにより、血液の水位だけでなくシステムの圧力および空気量も変化しない(ステップ7)。例えば空気漏れの検出の後、新たな初期化が必要なければ、換気/脱気弁は全血処理中ずっと閉じたままである。初期化はこのようにして完了し、血液処理が第1の静脈相で始まる。
【0051】
第1の静脈相で、圧縮機20が動作してバイパスバルブ22が閉じ、静脈ホースクランプ12が開かれ、血液ポンプ6は静止する。圧縮機の動作中、貯蔵装置18からの空気は圧縮され、血液貯蔵装置11に供給される。このように、チャンバ圧および管路圧は増加するが、一方で、貯蔵装置圧は減少する。同時に、血液貯蔵装置の水位は、低位転換点の水位に達するまで連続的に減少する。ここで、誤動作の場合に空気貯蔵装置から血液貯蔵装置へのガスの流入を防止するために、貯蔵装置圧がチャンバ圧より低く、したがって管路圧よりも低くなることも明白である。加えて、貯蔵装置圧が周囲圧力よりもさらに低くなることを確保する試みがなされる。
【0052】
次に、血液貯蔵装置が患者から取り出された血液で再度充填され、血液が血液貯蔵装置から患者に供給される静脈相が再度続く動脈相が始まる。
【0053】
血液貯蔵装置の所望の戻り圧を維持可することができるために、空気貯蔵装置は静脈相の終了時に十分な空気がシステムに存在するような大きさになる。同じ初期化により、60mlまでの1回排出量に対して0〜500mmHgの戻り圧を持つ全ての動作点を調整することができるために、ほぼ300mlの貯蔵容積を持つ空気貯蔵装置が実際上必要とされる。
【0054】
システムの初期化後の実際の動脈相および静脈相中の、管路圧だけでなくチャンバ圧および貯蔵装置圧の時間に関連した推移を、図2からの詳細を示した図3に示している。
【0055】
血液ポンプ6は全動脈相中ずっと動作し、圧縮機20は静止する。静脈ホースクランプ12は全動脈相中ずっと閉じたままである。
【0056】
動脈相の開始時、制御/演算器27はバイパスバルブ22を開き、その結果、血液貯蔵装置11から排出された空気は、バイパス管路21を通して空気貯蔵装置18に入る。したがって、貯蔵装置圧は増加するが一方、チャンバ圧および管路圧は最初減少し、その後貯蔵装置圧と共に元の圧力へ再度上昇する。したがって、血液貯蔵装置およびそれぞれの管路の容積に含まれている空気量は絶え間なく減少する。
【0057】
血液貯蔵装置および管路の容積に含まれていた空気量が、所望の1回排出量および所望の戻り圧に起因する所定の量に達したらすぐに、制御/演算器はバイパスバルブを閉じる。このようにして、別個の2つの空気量、すなわちそれぞれの管路セグメントを持つ血液貯蔵装置の空気量およびそれぞれの管路セグメントを持つ空気貯蔵装置の空気量が発生する。その後、血液ポンプが動作して、バイパスバルブは閉じられ、その結果貯蔵装置圧は一定のままであるが一方、血液貯蔵装置およびそれぞれの管路の容積の空気も、所望の1回排出量に達するとすぐに、所望の戻り圧に達するまで圧縮される。図3は、動脈相の終了時、チャンバ圧および管路圧が所望の戻り圧に上昇し、それによって全動脈相の全体にわたる貯蔵装置圧は常にチャンバ圧および管路圧より低く、特に周囲圧力より低くなることを示している。このように、これは、例えば圧縮機の漏れによるシステムの誤動作の場合においても、空気貯蔵装置から血液貯蔵装置への空気の通過を不可能にする。
【0058】
動脈相を第1および第2の時間間隔に分割する代わりに、他の実施形態も可能であり、それによって本発明による利点も達成することができる。代替の実施形態は、一定圧力が一定期間の間、血液貯蔵装置で有効となるように、バイパスバルブ22の代わりに、戻り圧に対応するしきい値圧に達したときに開く圧力制御弁を用いる対策を行う。
【0059】
その後、制御/演算器は静脈相に転換し、それによって、バイパスバルブが閉じられたままになり、血液ポンプが停止され、圧縮機が動作し、静脈ホースクランプが開かれる。圧縮機は全静脈相中ずっと動作し、血液ポンプは静止する。静脈相中、静脈ホースクランプは開いたままであり、バイパスバルブは閉じられる。
【0060】
過剰な圧力を作り出すために、圧縮機は空気貯蔵装置から血液貯蔵装置に空気を運び、その結果血液は血液貯蔵装置から運ばれる。圧縮機は、所望の戻り圧が血液貯蔵装置に確立されるようなに動作される。空気貯蔵装置からの空気は血液貯蔵装置に連続的に供給されるので、貯蔵装置圧は連続的に減少する。再度、決定的要因は、貯蔵装置圧が常にチャンバ圧および管路圧より低くなり、好ましくは周囲圧力よりも低くなり、その結果誤動作の場合に空気貯蔵装置から患者への空気注入が不可能になることである。静脈相は、血液貯蔵装置の血液の水位が低位転換点の水位に再度落ちたときに終了する。その後、次の動脈相が続く。
【0061】
透析装置の動作中、制御/演算器によって連続的にまたは事前設定された間隔で実行される、血液貯蔵装置に存在する血液量Vbloodの計算を下に説明する。血液量が既知の場合、これを動脈相から静脈相への(逆もまた同様)転換点との比較に用いることができる。
【0062】
血液貯蔵装置にある血液量Vbloodを計算するために、まず血液貯蔵装置の空気量を測定することが必要である。圧力均等化が行われた後、次式が成立する。
【0063】
【数1】

【0064】
ただし、
p=圧力(絶対圧)、V=容積、m=質量、Mm=モル質量、R=一般気体定数、およびT=温度
mおよびRは一定であり、絶対値が空気量に対して必要ではないので、後者を明示的に考慮に入れる必要はない。したがって、次式のみを決定する必要がある。
【0065】
pV/T≡m
全空気量を決定するために、すべての部分的な空気量、すなわち血液貯蔵装置、それぞれの管路、および空気貯蔵装置の空気量の総量が計算される必要がある。このため、空気で充填されたすべての容積に、定められた最も一般的な圧力を乗じて、温度で除する必要がある。
【0066】
【数2】

【0067】
血液貯蔵装置の空気量Vblood storage unit/airは動作中変化する。血液の水位が、水位指示器15によって検出された水位の高さHである場合、次式が成立する。
【0068】
【数3】

【0069】
ここで、Vblood storage unit/air UTは、低位転換点UT時の血液貯蔵装置の空気量であり、ΔVblood storage unit/UT-Hは、低位転換点UTと、水位指示器15によって検出された血液貯蔵装置の水位の高さとの間の容積差である。
【0070】
上位転換点OTでの初期化の終了時、全1回排出量Vstrokeを有する血液が血液貯蔵装置にさらに存在し、その結果、次式となる。
【0071】
【数4】

【0072】
残りの容積は一定のままである。よい近似に対して、温度補償が行われない場合、温度は一定とすることができる。しかしながら、温度補償を行うことができるように、温度センサーが少なくとも空気貯蔵装置の温度測定用に設けられるのが好ましい。しかしながら、温度センサーは他の圧力値のためにも設けることができる。
【0073】
血液貯蔵装置に供給された血液量Vbloodは、全サイクル中各プログラムループで計算される。血液貯蔵装置に収容されている空気量Vblood storage unit/airは、測定された圧力の助けにより計算され、低位転換点UTでの血液貯蔵装置の空気量と血液貯蔵装置の空気量との間の差が得られる。
【0074】
【数5】

【0075】
【数6】

【0076】
換気弁は閉じられたままであるので、全空気量(pV/T)totalはシステムの初期化の後で変化しない。血液量Vbloodの計算は血液ポンプの運転または圧縮機の運転により行われるので、圧力信号および計算された血液量Vbloodの平滑化が行われる。
【0077】
計算された血液量Vbloodと調整された1回排出量Vstrokeとの間の差がゼロに等しい場合、動脈相から静脈相への転換(OT)が行われ、計算された血液量がゼロに等しい場合、静脈相から動脈相への転換が行われる。
【0078】
動脈相中に動脈相の第1の時間間隔と第2の時間間隔との間で転換が行われる時間を、制御/演算器がどのように計算するについて以下に説明する。
【0079】
既に上で説明したように、動脈相から静脈相へのおよび静脈相から動脈相への転換点は、1回排出量と血液量の簡単な比較(すなわちゼロ)によって可能になる。既に述べたように、動脈相は第1の時間間隔と第2の時間間隔とに分割される。第1の動脈相では、血液ポンプは、バイパスバルブが開いた状態で透析装置を介して、血液を血液貯蔵装置に運ぶ。静脈相において空気貯蔵装置に以前に作り出された低い圧力がポンプの支援に用いられる。第2の動脈相では、空気貯蔵装置は、バイパスバルブを閉じることにより残りのシステムから切り離され、血液貯蔵装置の圧力は、供給された血液量により急激に増加する。第2の動脈相の終了時、所望の設値圧が血液貯蔵装置に存在するべきである。したがって、第1の動脈相と第2動脈相との間の転換点は、上位転換点OTまでのまだ未処理の血液量が血液貯蔵装置および管路に設値圧を作り出すように選択される必要がある。
【0080】
したがって、上位転換点OTで血液貯蔵装置および管路で利用可能な空気量の圧縮により設値圧psetpointを作り出す空気量を計算する必要がある。血液貯蔵装置および管路の空気量は次式のようになる。
【0081】
【数7】

【0082】
動脈相の第1の時間間隔から第2の時間間隔への転換点時、血液貯蔵装置および管路に存在する空気量は、上位転換点OTで血液貯蔵装置および管路に存在する空気量に等しいはずである。
【0083】
【数8】

【0084】
ここで、 Vblood storage unit/airOTは、上位転換点OTでの血液貯蔵装置の空気量である。
【0085】
制御/演算器は、動脈相中、上の数式が満足されるかどうかをチェックする。該数式が満足されている場合にはすぐに、動脈相の第2の時間間隔が始まり、バイパスバルブが閉じられる。血液ポンプは、第2の時間間隔において、所望の1回排出量、ひいては、上位転換点OTに達するまで、制御/演算器によって同じ輸送率で動作される。
【0086】
閉じられた容器の漏れは、システムに収容されたガス量の変化をもたらす可能性がある。漏れがシステムの過剰圧力領域、すなわち血液貯蔵装置または隣接管路セグメントの領域にある場合、該漏れは収容された空気量の減少になり、その結果として、血液貯蔵装置の血液の水位は増加する。血液貯蔵装置が一杯に充填されて血液の水位が疎水性膜まで上昇し、その結果動脈相をもはや適切に終了することができないリスクがある。逆に、低圧力領域、すなわちガス貯蔵装置内、または血液システムを介する漏れがある場合、収容された空気量は増加し、その結果血液貯蔵装置の血液の水位は下降する。これは、空気に対する警告にさえ至ることもありえる極端な場合には、静脈相において望ましくない発泡につながる血液の水位の余りにも急速な下降をもたらす可能性がある。しかしながら、これは、システムに収容されている空気量が観察されるという事実により監視することができる。このような空気量の監視は、本発明による装置により提供することができる。
【0087】
漏れの検出のための空気量の監視は、血液貯蔵装置11の水位指示器15が水位を検出する時間、すなわち血液が事前設定水位に達する時間が検出されるという事実により行われる。血液の実際の水位は、この時にこうして知られる。この値は、圧力値からこの時計算された水位と比較される。測定された水位と計算された水位との間の差が事前設定のしきい値よりも大きい場合、システムに収容されている空気量が著しく変化してしまっており、このことは、システムの漏れに由来する可能性がある。この場合、システムは再初期化される。障害の問題が余りにも頻繁に発生する場合、中央制御/演算器27は処理を中断する。
【0088】
代替の評価は、考慮されるのは測定および計算された水位ではなく、むしろ水位指示器15が事前設定水位を検出する時間が、事前設定水位が確立されるべき計算された時間と比較されるように対策を行う。著しい時間差が存在する場合、システムに漏れがあると結論付けられる。
【0089】
他の実施形態も、急激に上昇する圧力が血液貯蔵装置11の圧力センサー16によって検出され、圧力および/または単位時間当たりの圧力上昇が事前設定のしきい値を越えるという事実により、動脈相において水位指示器により検出された水位を超えた水位の増加の後で、フィルター23の後ろの血液貯蔵装置11から離れて面している部分のシステムの漏れを検出する対策を行う。この場合、フィルターに達する血液は、システムのこの部分の適合性(compliance)を大幅に低下させる圧力上昇を発生させる。これは、特に、直接接触すなわち圧縮性の中間領域なしで圧力を測定する圧力センサーが用いられる場合に当てはまる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単針動作の血液処理装置であって、
血液処理ユニット(2)の入口(4A)に至る血液供給管(8)と、前記血液処理ユニットの出口(4B)から出発する血液戻り管(9)とを有する体外血液回路の血液を、閉じられた容器を有する血液を集める手段(11)に運ぶ手段(6)と、
閉じられた容器を有するガスを貯蔵する手段(18)と、
動脈相において、前記血液を集める手段の充填中、前記血液を集める手段から排出されたガスが前記ガスを貯蔵する手段に運ばれるようなに、前記血液を集める手段(11)を、前記ガスを貯蔵する手段(18)に連結する第1の連結経路(21)であって、連結を遮断する手段(22)を含んだ第1の連結経路(21)と、
ガスを圧縮する手段(20)を含む第2の連結経路であって、前記血液を集める手段を空にするために、前記ガスを貯蔵する手段に貯蔵されたガスが、前記ガスを圧縮する手段によって、前記血液を集める手段に運ばれるように、前記ガスを貯蔵する手段(18)を、前記血液を集める前記手段(11)に連結する第2の連結経路(19)と、
を有し、
血液を、前記動脈相では前記体外血液回路に供給することができ、静脈相では前記体外血液回路から取り出すことができる、
血液処理装置。
【請求項2】
単針動作の血液処理装置であって、
入口(4A)と出口(4B)とを持つ血液処理ユニット(2)と、
該血液処理ユニットの入口に至る血液供給管(8)と、血液処理ユニットの出口から出発する血液戻り管(9)とを有する体外血液回路(1)と、
閉じられた容器を有し、体外回路の血液を集める手段(11)と、
前記血液を集める手段に前記体外回路の血液を運ぶ手段(6)と、
閉じられた容器を有するガスを貯蔵する手段(18)と、
を有し、
動脈相において、前記血液を集める手段の充填中、前記血液を集める手段から排出されたガスが前記ガスを貯蔵する手段に運ばれるように、前記血液を集める手段は、連結を遮断する手段(22)を含んだ第1の連結経路(21)を介して、前記ガスを貯蔵する手段に連結され、
静脈相において、前記血液を集める手段を空にするために、前記ガスを貯蔵する手段に貯蔵されたガスが、ガスを圧縮する手段によって、前記血液を集める手段に運ばれるように、前記血液を集める手段は、前記ガスを圧縮する手段(20)を含んだ第2の連結経路(19)を介して、前記ガスを保存する手段に連結され、
動脈相では血液を前記体外血液回路に供給することができ、静脈相では血液を前記体外血液回路から取り出すことができる、
血液処理装置。
【請求項3】
前記第1の連結経路は、前記ガスを圧縮する手段(20)を迂回しバイパスバルブ(22)が配置されたバイパス管路(21)を有し、前記第2の連結経路は、前記血液を集める前記手段(11)を、前記ガスを貯蔵する前記手段(18)に連結する、ガスを運ぶ管路(19)を有し、前記ガスを圧縮する手段(20)は前記ガスを運ぶ管路に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の血液処理装置。
【請求項4】
前記ガスを運ぶ管路(19)は、前記血液を集める手段(11)を、前記ガスを圧縮する手段(20)の圧迫側に連結する第1の管路セグメント(19A)と、前記ガスを圧縮する手段の吸込み側を、前記ガスを貯蔵する手段(18)に連結する第2の管路セグメント(19B)とを有し、前記第1の管路セグメントの換気/脱気を行う手段(24B)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の血液処理装置。
【請求項5】
前記血液を集める手段(11)は、前記体外回路(1)の血液戻り管(9)に配置された所定の容積を持つ容器として構築されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項6】
前記ガスを貯蔵する手段(18)は、所定の容積を持つ容器として構築されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項7】
前記体外回路(1)の血液を運ぶ手段(6)は、前記血液供給管(8)に配置された血液ポンプとして構築されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項8】
前記血液を集める手段(18)に収容された血液量Vbloodを測定する手段(27)が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項9】
前記血液を集める手段(11)に収容された前記血液量Vbloodを測定する測定手段(27)は、
前記血液を集める手段(11)の圧力を測定する手段(16)と、
一方の前記血液を集める手段(11)と他方の前記ガスを圧縮する手段(20)との間の連結経路(19、21)の圧力を測定する手段(25)と、
前記ガスを貯蔵する手段(18)の圧力を測定する手段(26)と、
を有し、
前記血液量Vbloodを測定する手段(27)は、血液量Vbloodが、前記血液を集める手段の閉じられた容器内と、一方の前記血液を集める手段(11)と他方の前記ガスを圧縮する手段(20)との間の前記連結経路(19、21)の閉じられた容器内と、前記ガスを貯蔵する手段の閉じられた容器内とで測定された圧力に基づいて計算されるように構築されている
ことを特徴とする請求項8に記載の血液処理装置。
【請求項10】
前記体外回路(1)の血液を運ぶ手段(6)が動脈相で動作し、前記血液を集める手段の充填中、前記血液を集める手段から排出されたガスが前記ガスを貯蔵する手段に運ばれるように、前記血液を集める手段(11)は前記第1の連結経路(21)を介して前記ガスを貯蔵する手段(18)に連結され、
静脈相で前記ガスを圧縮する手段(20)が動作し、前記血液を集める手段を空にするために、前記ガスを貯蔵する手段に貯蔵されたガスが、前記ガスを圧縮する手段によって、前記血液を集める手段に運ばれるように、前記ガスを貯蔵する手段(18)は前記第2の連結経路(19)を介して前記血液を集める手段(11)に連結されるようなに構築された、動脈相と静脈相との間で転換する手段(27)が設けられている
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項11】
前記動脈相と静脈相との間で転換する手段(27)は、動脈相において、前記第1の連結経路(21)を遮断する前記手段(22)が、前記第1の連結経路が遮断されないように第1の時間間隔で作動され、前記第1の連結経路(21)を遮断する前記手段(22)が、前記第1の連結経路が遮断されるように第2の時間間隔で始動されるように構築されていることを特徴とする請求項10に記載の血液処理装置。
【請求項12】
血液が体外血液回路の血液処理ユニットを通して運ばれる単針動作の血液処理方法であって、
動脈相中、閉じられた容器を有する血液を集める手段(11)と、ガスを貯蔵する手段(18)との間を第1の連結経路(21)を介して連結し、血液を、前記血液を集める手段(11)に運ぶステップであって、前記血液を集める手段の閉じられた容器から排出されたガスは、前記第1の連結経路を介して、前記ガスを貯蔵する手段(18)に運ばれ、前記ガスを貯蔵する手段内の圧力が増大するステップと、
静脈相中、前記ガスを貯蔵する前記手段(18)と前記血液を集める手段(11)との間を第2の連結経路(19)を介して連結し、前記ガスを貯蔵する手段(18)に貯蔵されたガスを、前記前記血液を集める手段(11)に運ぶステップであって、それによって前記血液を集める手段の閉じられた容器に含まれている血液が排出されるステップと、
を有し、
血液処理中、前記血液を集める手段の容積が上位転換点まで血液で充填される動脈相と、前記血液を集める手段が下位転換点まで空になる静脈相との間の転換が連続的に行われ、
その結果、動脈相では血液が前記体外血液回路に供給され、静脈相では血液が前記体外血液回路から運び出される、
血液処理方法。
【請求項13】
前記ガスを貯蔵する手段(18)の圧力が、動脈相および静脈相中に、前記血液を集める手段(11)の圧力以下にされることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
連続的な動脈相および静脈相を初期化するために、所定の圧力は、前記血液を集める手段(11)が上位転換点まで血液で充填される動脈相から静脈相への転換時、前記血液を集める手段の閉じられた容器および前記ガスを貯蔵する手段(18)の閉じられた容器で調整されることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記血液を集める手段(11)の閉じられた容器および前記ガスを貯蔵する手段(18)の閉じられた容器で調整された前記所定の圧力は周囲圧力であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記周囲圧力を調整するために、前記血液を集める手段(11)および前記ガスを貯蔵する手段(18)の閉じられた容器は、初期化のために動脈相から静脈相への転換時に換気/脱気されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
動脈相では、前記血液を集める手段(11)と前記ガスを貯蔵する手段(18)との間の前記連結は、第1の時間間隔で行われ、前記血液を集める手段と前記ガスを貯蔵する手段との間の前記連結は、第2の時間間隔で遮断されることを特徴とする請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記血液を集める手段(18)に収容された血液量Vbloodが測定されることを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記血液を集める手段(11)に収容された血液量Vbloodを測定するために、前記血液を集める手段(11)の圧力、一方の前記血液を集める手段(11)と他方の前記ガスを圧縮する手段(20)との間の前記連結経路(19、21)の圧力、および前記ガスを貯蔵する手段(18)の圧力が測定され、血液量Vbloodが、前記血液を集める手段の閉じられた容器内と、一方の前記血液を集める手段(11)と他方の前記ガスを圧縮する手段(10)との間の前記連結経路(19、21)の閉じられた容器内と、前記ガスを保存する手段の閉じられた容器内とで測定された圧力に基づいて計算されることを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−528732(P2010−528732A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510678(P2010−510678)
【出願日】平成20年5月31日(2008.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004353
【国際公開番号】WO2008/148505
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(504332333)フレゼニウス メディカル ケア ドイツチュラーント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (5)
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS MEDICAL CARE DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】